説明

発光装置の作製方法

【課題】陽極、陰極及び有機化合物層からなる発光素子の欠陥部を検査して修理することにより、良質な画像表示を行うことができる発光装置の作製方法を提供する。
【解決手段】基板に発光素子が設けられた発光装置の作製方法であって、発光素子は、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間の有機化合物層を有し、基板を上、発光素子を下にした状態で発光素子にバイアスを印加することで発光素子を発光させ、発光により欠陥部を特定し、欠陥部にレーザを照射することで陽極と陰極を物理的に引き離す発光装置の作製方法により課題を解決する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成された発光素子を含む発光装置において、陰極と陽極との短絡
(ショート)箇所を検出し、これを修理し、発光装置として作製する方法に関する。また
、基板上に形成された発光素子を封止基板により封止して作製した発光パネルにICを実
装した発光モジュールにおけるショート箇所を検出し、これを修理し、発光装置を作製す
る方法に関する。なお本明細書において、発光パネル及び発光モジュールを発光装置と総
称する。さらに、このように短絡箇所を検出し、検出した箇所を修理し、発光装置を作製
することができる薄膜形成装置についても本発明に含めるものとする。
【背景技術】
【0002】
発光素子は自ら発光するため視認性が高く、液晶表示装置(LCD)で必要なバックラ
イトが要らず薄型化に最適であると共に、視野角にも制限が無い。そのため、近年、発光
素子を用いた発光装置はCRTやLCDに代わるものとして注目されている。
【0003】
発光素子は、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:電場を加えることで
発生するルミネッセンス)が得られる有機化合物を含む層(以下、有機化合物層と記す)
と、陽極と、陰極とを有する。有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態
から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リ
ン光)とがあるが、本発明によるショート箇所の検出、および修理方法は、どちらの発光
を用いた発光装置にも適用可能である。
【0004】
なお、本明細書では、陽極と陰極の間に設けられた全ての層を有機化合物層と定義する
。有機化合物層には具体的に、発光層、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送
層等が含まれる。基本的に発光素子は、陽極/発光層/陰極が順に積層された構造を有し
ており、この構造に加えて、陽極/正孔注入層/発光層/陰極や、陽極/正孔注入層/発
光層/電子輸送層/陰極等の順に積層した構造を有していることもある。
【0005】
また、本明細書中では、陽極、有機化合物層及び陰極で形成される素子を発光素子と呼
ぶ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
陽極と陰極との間に有機化合物層を形成することにより、発光素子が形成される。そし
て、発光素子の電極に電圧が印加されると陰極からは、電子が有機化合物層に注入され、
陽極からは正孔(ホール)が有機化合物層に注入される。
【0007】
そして、有機化合物層において、電子と正孔が再結合することにより発生したエネルギ
ーにより有機化合物層を形成する有機化合物が発光する。
【0008】
しかし、有機化合物層の一部が何らかの理由により欠損した場合には、陰極と陽極間が
ショートし、ショートした箇所にリーク電流が流れるため、発光素子は消光する。
【0009】
有機化合物層が欠損する原因としては、有機化合物層を形成する前に形成した一方の電
極表面が平坦化されていなかったために、有機化合物層が均一に成膜されずに欠損する場
合や電極上にゴミが乗っていたために電極上に有機化合物層が充分に形成されない場合な
どがある。そして、これらの欠損箇所を有する有機化合物層の上にもう一方の電極が形成
されると、有機化合物層が形成されない部分(欠損箇所)において陰極、陽極間がショー
トする。
【0010】
図10(A)に発光素子1104の断面図を簡単に示す。陽極1101上には、有機化
合物層1102が形成されており、有機化合物層1102の上には、陰極1103が形成
され、発光素子1104が形成されている。なお、発光素子1104において、有機化合
物層1102の一部が欠損する欠陥部1105を有すると、有機化合物層1102上に陰
極1103を形成したとき、欠陥部1105において陽極1101と陰極1103とが接
して形成されるためにショートが起こる。
【0011】
なお本明細書中では、両電極間に有機化合物層を有する正常部1106に対して、有機
化合物層1102の欠損している部分において2つの電極が接している箇所を欠陥部11
05と呼ぶことにする。
【0012】
通常、発光素子1104は、外部電源1107から電源電圧が印加されることにより発
光を示す。
【0013】
図10(B)には、発光素子1104が欠陥部1105を有しない場合について、つま
り、図10(A)の正常部1106のみである場合について示す。この場合は、外部電源
1107から電源電圧Eoriが印加されると発光素子1104には、電圧Edioが印加され
る。なお、このときの配線抵抗をRwirで表し、配線に印加される電圧をEwirで表す。
【0014】
これに対して、図10(C)には、発光素子1104が図10(A)に示した欠陥部1
105を有する場合について示す。この場合には、外部電源1107から電圧Eoriが印
加されると、正常部1106に印加される電圧は、図10(B)に示した電圧Edioより
も小さく、E'dioとなる。これは、欠陥部1105に流れる電流Idefにより配線での電
圧降下が起こるためであり、配線の電圧がEwirからE'wirへ減少することによるもので
ある。
【0015】
なお、発光素子は両電極に順バイアスを印加して、有機化合物層に電流Ioriが流れる
と有機化合物層において発光が得られることから、有機化合物層よりも欠陥部に電流が流
れてしまう場合には、発光素子は発光を示さない。
【0016】
つまり、欠陥部を含む発光素子に順バイアスを印加すると実際には、ほとんどの電流が
欠陥部に流れてしまうため、正常部を流れる電流Idioはほとんどない。以上のことから
欠陥部を有する発光素子において、有機化合物層には電流が流れにくくなるために発光素
子は、輝度の低下や消光を起こす。
【0017】
なお、発光素子における輝度の低下や消光に加えて、欠陥部においてショートしている
と、欠陥部に常に電流が流れるため、欠陥部付近の有機化合物層の劣化を促進してしまう

【0018】
さらに、欠陥部1105による発光素子の消光は、発光素子を有する画素が、複数形成
された画素部における表示の輝度の低下を招き、また、リーク電流の発生に伴い、消費電
力を増大させてしまうなどの問題がある。
【0019】
本発明は上記問題に鑑み、発光素子における欠陥部を検査し、欠陥部が検出された場合
には欠陥部を修理して発光装置を作製する方法、およびこの方法を用いて発光装置を作製
する薄膜形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、発光素子に逆バイアスを印
加すると、その欠陥部に電流が流れることを利用したものである。
【0021】
図1(A)は、基板上に形成された画素部101を示すものであり、複数の画素102
が形成されている。これらの画素は、陽極、陰極及び有機化合物層で形成された発光素子
をそれぞれ有している。
【0022】
これらの発光素子が、欠陥部103を有する場合には、その断面構造は、図1(B)に
示すようになるが、発光素子の両電極に外部電源108から電圧が印加されると、欠陥部
103に電流が流れる。しかし、欠陥部103に電流が流れると有機化合物層107に電
流が流れにくくなるために発光素子104は消光してしまう。
【0023】
そこで、本発明では、陰極105、陽極106及び有機化合物層107からなる発光素
子104に、外部電源108から逆バイアスを印加する。
【0024】
このとき、発光素子104の欠陥部103では、有機化合物層107が欠損しているた
めに、陰極105と陽極106がショートしている。つまり、逆バイアスを印加すると発
光素子104の欠陥部103には、電流が流れる。これに対して、欠陥部103を有しな
い発光素子104には、ほとんど電流が流れない。
【0025】
そこで、本発明では、逆バイアスを印加することにより、欠陥部103のみに電流を流
し、このとき流れる電流を検出することにより、欠陥部103の位置の特定を行う。
【0026】
次に、特定された欠陥部103にレーザーを照射して、欠陥部103において陰極と陽
極がショートしている部分を絶縁化する。絶縁化させることにより、逆バイアスを印加し
た際に流れる電流を減少、または、完全に防ぐことができる。なお、本明細書中では、逆
バイアスを印加した際に流れる電流のことを逆方向電流と呼ぶことにする。
【0027】
以上により、ショート箇所を絶縁化することで、順バイアスを印加した際に生じる欠陥
部103のリーク電流を防ぐことができ、これにより有機化合物層107に所望の電流が
流れることから、発光素子104を所望の輝度で発光させることができる。
【0028】
さらに、本発明においては、発光素子の有機化合物層及びパッシベーション膜を形成す
る成膜室と、封止を行う処理室と、本発明を用いて欠陥部の位置を特定し、これを修理す
る処理室を有する薄膜形成装置を用いて発光装置を作製することができる。なお、この薄
膜形成装置を用いて発光装置を作製することにより、発光素子を形成した後、これを封止
する前に欠陥部の修理を行い、発光装置を作製することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明により、発光素子における欠陥部を検査して、欠陥部の位
置を特定し、欠陥部にレーザーを照射することにより発光素子の陽極と陰極におけるショ
ート箇所を絶縁化して、ショート箇所におけるリーク電流を防ぐことができる。これによ
り、消光していた発光素子を再び発光させることができる。なお、本発明により欠陥部を
有する発光素子を修復して発光装置を作製することができるので、発光装置の生産におけ
る歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による欠陥部の検査及び修理方法ついて説明する図。
【図2】本発明による欠陥部の検査及び修理方法ついて説明する図。
【図3】画素の回路図。
【図4】画素の回路図及び検査時の画素部の動作を示す図。
【図5】エミッション顕微鏡により観察された欠陥部の写真。
【図6】本発明に用いる成膜装置の構成を示す図。
【図7】発光装置の断面構造を説明する図。
【図8】発光装置の断面構造を説明する図。
【図9】電気器具の一例を示す図。
【図10】従来例を説明する図。
【図11】欠陥部における逆バイアス印加時の電気特性を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、本発明の実施の形態として、アクティブマトリクス型の発光装置における欠陥
部の検査方法及び検出された欠陥部の修理方法について、図2を用いて説明する。なお、
パッシブ型の発光装置においても同様に本発明を実施することができる。
図2(A)は、基板201上にTFT202が形成され、TFT202と電気的に接続
された画素電極203(陽極)、画素電極203上に形成された有機化合物層204、さ
らに陰極205が形成され、発光素子206が形成されたものを上下逆さに示している。
すなわち、図1(A)で示した画素102毎に図2(A)に示すような陽極205、有機
化合物層204、および陰極205からなる発光素子206が形成され、画素部101を
形成している。
さらに、発光素子206形成後は、内部に空間208を有し、封止基板209により封
止構造が形成されている。なお、ここでは、封止構造まで形成された発光装置を示してい
るが、本発明は、発光素子206を完成させた時点で(発光素子の封止前に)、欠陥部2
07の検査及び修理を行うことは可能である。この場合の方法については、後の実施例で
詳しく説明する。
【0032】
なお、発光素子において、207に示すように有機化合物層204が欠損して、陰極2
05と陽極203がショートしている箇所は、欠陥部207となり、これを有する発光素
子は、外部電源から順バイアスを印加して電流を流しても有機化合物層204よりも欠陥
部207に電流が流れるため発光しない。
【0033】
そこで、本発明では、外部電源から逆バイアスを印加することで欠陥部207に電流を
流し、この時流れる電流により生じる発光を観察することにより欠陥部207の特定を行
う。
【0034】
具体的には、電極間のショート部分に逆バイアスを印加して、電流を流し、この電流か
ら生じる発光における光子(Photon)数をエミッション顕微鏡で観察して測定することに
より、ショートしている欠陥部207の位置を特定する。なお、この時発光素子206に
印加する逆バイアスは、1〜15Vの範囲で印加する。なお、エミッション顕微鏡は、逆
バイアスを印加した際に流れる電流から生じる発光の光子数を光学顕微鏡と超高感度カメ
ラ(フォトンカウンティングカメラ)により測定する装置である。本発明の実施において
は、エミッション顕微鏡として浜松ホトニクス社製のホットエレクトロン装置(C320
0シリーズ)を用いる。
【0035】
このカメラは、I.I(Image Intensifier)と撮像カメラからなり、極微弱な光をもと
らえることができる。ここで検出された発光は、映像信号としてイメージプロセッサに取
り込まれ、画像処理を施されてTVモニター(CRT:Cathode Ray Tube)に表示される
。この時予め撮影しておいた基板上のパターン像と重ね合わせることにより発光箇所の特
定が可能となる。
【0036】
一般的に、電極間のショートによる電流のリークが生じたときには、可視光から赤外光
に及ぶ広い連続スペクトルの発光が検出されることが知られている。本発明で用いる超高
感度カメラ(フォトンカウンティングカメラ)は、Siを含む結晶がそのバンドギャップ
エネルギーに相当する波長よりも長波長の赤外光を透過することを利用しているため、逆
バイアスを印加した際に欠陥部207に流れる電流を基板を介して検出することが可能で
ある。
【0037】
図2(B)には、図2(A)において示されている複数の画素のうち、欠陥部207を
有する画素208について、この欠陥部207の位置を特定し、修理する方法について説
明する。
【0038】
基板201は、XYZステージ210に備えられており、外部電源211からFPC2
12を介して基板201上に形成された発光素子206に逆バイアスが印加される。この
とき、発光素子206の欠陥部207には電流(逆方向電流)が流れる。
【0039】
ここで流れた電流は、発光213を伴う。この発光213を形成する光子は、シャッタ
ー(1)214が開くと集光レンズ215、ハーフミラー216を介して超高感度カメラ
217(フォトンカウンティングカメラ)により検出され、これを映像信号として画像処
理機構218(イメージプロセッサ)により画像処理を施されることによりカラーモニタ
ー219(CRT)に表示される。この時シャッター(2)222は閉じている。
【0040】
カラーモニター219には、画素の発光素子が有する欠陥部に流れる電流が、電流によ
り生じる光の光子数の分布として色表示されるため、光子が色表示されたところが欠陥部
207であるとして、その位置の特定が可能となる。
【0041】
本発明において、超高感度カメラ217は、位置合わせ機構221と接続されており、
位置合わせ機構221は、超高感度カメラ217で特定された欠陥部207の位置データ
から、欠陥部207がレーザー照射される位置にXYZステージ210を動かすための信
号を送る。これにより、欠陥部207は、レーザーが照射される位置に移動される。
【0042】
次に、シャッター(1)214を閉じ、シャッター(2)222を開いて、レーザー照
射機構223からのレーザー224を入射する。なお、レーザー224は、ハーフミラー
216、集光レンズ215を介して欠陥部207に照射される。
【0043】
以上のようにして、特定された欠陥部207にレーザーを照射することにより、欠陥部
207の修理を行う。具体的には、欠陥部207における陰極205と陽極203とのシ
ョート箇所がレーザーを照射することにより絶縁化され、陰極205と陽極203の間が
絶縁化される。
【0044】
なお、欠陥部207を絶縁化する方法としては、陰極205、または陽極203を形成
する材料をレーザー照射により酸化物にすることで絶縁化させたり、レーザー照射により
欠陥部207のショート箇所を物理的に引き離すことにより絶縁化させる方法がある。本
発明に於いては、レーザーのパワーを調節することによりいずれの絶縁化も可能である。
【0045】
なお、本発明においてレーザーを照射する場合には、陽極203を照射してその機能を
破壊することのない様にレーザーの照射パワー、照射時間を調整することが必要である。
【0046】
本発明に於いて用いるレーザーとしては、色素レーザーが好ましい。なお、色素レーザ
ーを用いる場合においては、波長領域を375〜900nmの範囲を用いることができ、
使用する波長領域によってクマリンやローダミンといったレーザー色素を用いることがで
きる。なお、この時用いるレーザー色素は公知の色素を用いればよい。また、本発明に用
いるレーザーのビーム径は、照射する欠陥部207の径よりも大きい方が好ましく、具体
的には1.0〜3.0μmであるのが望ましい。
【0047】
以上のように、発光装置の画素を形成する発光素子に順バイアスを印加して、発光素子
206に欠陥部207があると陽極203と陰極205のショート箇所でリーク電流が生
じるために、発光素子206の有機化合物層204に電流が流れにくくなり、発光素子2
06が消光する。つまり、この画素は消光してしまう。
【0048】
そこで、本発明では、はじめに発光素子206に逆バイアスを印加することにより欠陥
部207に電流を流し、この電流から生じる光を検出することにより、欠陥部207の位
置を特定し、この欠陥部207にレーザーを照射して欠陥部207を絶縁化して修理する
ことにより、順バイアスを印加した際に、この画素を再び発光させることができる。
【実施例1】
【0049】
本実施例では、各画素に2つの薄膜トランジスタ(TFT)を有するアクティブマトリ
クス型の発光装置に、本発明を用いた例について説明する。
【0050】
図3に本発明を用いて発光素子の欠陥部における検査および修理法を行った発光装置に
おける画素の回路図を示す。各画素はソース信号線Si(iは1〜xのいずれか1つ)と
、電流供給線Vi(iは1〜xのいずれか1つ)と、ゲート信号線Gj(jは1〜yのい
ずれか1つ)とを有している。
【0051】
また、各画素は、スイッチング用TFT301と、電流制御用TFT302と、発光素
子303と、コンデンサ304とを有している。
【0052】
スイッチング用TFT301のゲート電極はゲート信号線(Gj)に接続されている。
またスイッチング用TFT301のソース領域とドレイン領域は、一方はソース信号線(
Si)に、もう一方は電流制御用TFT302のゲート電極に接続されている。
【0053】
電流制御用TFT302のソース領域は電流供給線(Vi)に接続されており、ドレイ
ン領域は発光素子303が有する2つの電極のいずれか一方に接続されている。発光素子
303が有する2つの電極のうち、電流制御用TFT302のドレイン領域に接続されて
いない方は、対向電源307に接続されている。
【0054】
なお、発光素子303が有する2つの電極のうち、電流制御用TFT302のドレイン
領域に接続されている電極を画素電極と呼び、対向電源307に接続されている電極を対
向電極と呼ぶ。
【0055】
またコンデンサ304は、電流制御用TFT302のゲート電極と電流供給線Viとの
間に形成されている。
【0056】
図4(A)に、図3に示した画素を複数有する発光装置の画素部を示す。画素部306
は、ソース信号線S1〜Sxと、電流供給線V1〜Vxと、ゲート信号線G1〜Gyとを
有している。画素部306には複数の画素305がマトリクス状に形成されている。
【0057】
図4(B)に発光素子303の欠陥部を検査して特定する際の、各画素におけるTFT
の動作と、電流供給線Vi及び対向電極に入力される電圧の高さを示す。発光素子303
の欠陥部を検査するとき、各画素のスイッチング用TFT301及び電流制御用TFT3
02は共にオンの状態にしておく。そして電流供給線Viの電圧及び対向電極の電圧を一
定にし、発光素子に所定の逆バイアスを印加する。なお、対向電極の電圧は、画素電極が
陽極の時は、図4(B)に示すように電流供給線Viの電圧よりも高い電圧を印加するが
、画素電極が陰極の時は、電流供給線Viの電圧よりも低い電圧を印加することになる。
【0058】
本実施例においては、画素電極が陽極であり、対向電極が陰極である場合について示す
が、具体的には陽極に+1Vの電圧を印加し、陰極には+9Vの電圧を印加する。
【0059】
以上のように、発光素子の陽極に低い電圧を印加し、陰極に高い電圧を印加することに
より、発光素子上の欠陥部のみに電流が流れる。このようにして欠陥部に電流を流した状
態で、これをエミッション顕微鏡で観察することにより欠陥部を特定する。
【0060】
エミッション顕微鏡は、電流が流れた際に生じる発光を形成する光子(Photon)の数を
測定することができる装置である。予め、エミッション顕微鏡に測定された光子の数毎に
色分けして表示がされるように設定しておく。これにより逆バイアスを印加した際に欠陥
部に流れる電流から、欠陥部の位置を特定することができる。
【0061】
また、エミッション顕微鏡は、予め発光素子の画像を撮影しているので、測定された光
子数の色分け表示とこれを重ねて表示することにより、正確な欠陥部を特定することがで
きる。
【0062】
ここで、実際にエミッション顕微鏡を用いて画素部の発光素子を観察し、これにより欠
陥部が特定された様子を図5に示す。図5において、丸印が付けられている部分が実際の
欠陥部であり、通常カラーモニターでは、白黒の画素部の画像写真中に色分けして表示さ
れる。
【0063】
なお、ここで用いられている光子数の色分け表示とは、欠陥部に流れる電流から生じる
光を形成する光子数ごとに色別に表示することをいう。つまり、検出された光子数が少な
い場合には、青色の点の分布により表示され、やや多くなると黄色の点の分布により表示
され、さらに多くなると赤色点の分布により表示されるといったように色分けして表示す
ることをいう。
【0064】
エミッション顕微鏡により、欠陥部の箇所を特定したところで、これをモニターにより
観察しながらレーザー照射機構からレーザーを照射することにより、欠陥部におけるショ
ート箇所を絶縁化させ、これにより欠陥部の修理を行うことができる。
【0065】
本実施例では、色素レーザーを用いる。具体的には、波長を440nmとし、パワーを
20mJとし、レーザー色素としてクマリン440を用い、ビーム径を2.3μmとして
欠陥部にレーザーを照射する。
【0066】
また、本実施例におけるショート箇所の絶縁化では、ショート箇所の陰極を形成してい
る材料を酸化することにより絶縁化をはかっている。
【0067】
なお発光素子の欠陥部の検査および修理は、画素部306が有する全ての画素305に
おいて一斉に行っても良いし、ライン毎、または画素毎に行っても良い。
【0068】
以上より、特定された発光素子の欠陥部にレーザー照射を行い、これを絶縁化させるこ
とで、発光素子に順バイアスの電圧をかけたときに発光素子の有機化合物層に電流を流し
、有機化合物層を発光させることができる。
【0069】
また、欠陥部では常に電流が流れるために、欠陥部の周囲に存在する有機化合物層は劣
化が起こりやすかった。しかし、これを絶縁化させることによりリーク電流を防ぐことが
できるので、欠陥部の周囲に存在する有機化合物層の劣化を防ぐことができる。
【0070】
以上により、発光装置が有する発光素子の欠陥部を検査して特定した後、レーザー照射
により修理することで欠陥部があるために消光していた発光素子を再び発光させることが
できる。
【0071】
以上に示した本発明は、上記構成を有する発光装置にのみ適用可能なわけではない。本
発明はあらゆる構成を有する発光装置に用いることができる。なお、発光装置が有するT
FTにおいて、有機半導体を用いたTFTであっても良い。
【実施例2】
【0072】
本実施例では、基板上に発光素子の画素電極(陽極)まで形成させた基板上に有機化合
物層、陰極を形成したところで、本発明の検査及び修理を行い、発光素子が欠陥部を有し
ている場合には、陰極を形成した直後に(封止を行う前に)修理を行い、さらに封止を行
うところまでの工程を全て同一の装置内で行う場合について説明を行う。なお、本実施例
に於いては、基板上に陽極である画素電極を形成し、その上に有機化合物層を形成した後
で陰極を形成するという構造を有する発光素子について説明したが、本発明は、陰極であ
る画素電極を形成し、その上に有機化合物層を形成し、さらに陽極を形成するという構造
の発光素子についても実施することは可能である。但し、欠陥部を検査し、修理するのは
、いずれの構造の場合に於いても、陽極側からである。
【0073】
本実施例に於いて用いる成膜装置について図6を用いて説明する。図6において、60
1は搬送室であり、搬送室601には搬送機構(A)602が備えられ、基板603の搬
送が行われる。搬送室601は減圧雰囲気にされており、各処理室とはゲートによって連
結されている。各処理室への基板の受け渡しは、ゲートを開けた際に搬送機構(A)60
2によって行われる。また、搬送室601を減圧するには、ドライポンプ、メカニカルブ
ースターポンプ、ターボ分子ポンプ(磁気浮上型)もしくはクライオポンプなどの排気ポ
ンプを用いることが可能であるが、より高純度に高真空状態を得るためには磁気浮上型の
ターボ分子ポンプが好ましい。
【0074】
以下に、各処理室についての説明を行う。なお、搬送室601は減圧雰囲気となるので
、搬送室601に直接的に連結された処理室には全て排気ポンプ(図示せず)が備えられ
ている。排気ポンプとしては上述のドライポンプ、メカニカルブースターポンプ、ターボ
分子ポンプ(磁気浮上型)もしくはクライオポンプが用いられるが、ここでも磁気浮上型
のターボ分子ポンプが好ましい。
【0075】
まず、604は基板のセッティング(設置)を行うロード室であり、アンロード室も兼
ねている。ロード室604はゲート600aにより搬送室601と連結され、ここに基板
603をセットしたキャリア(図示せず)が配置される。なお、ロード室604は基板搬
入用と基板搬出用とで部屋が区別されていても良い。また、ロード室604は上述の排気
ポンプと高純度の窒素ガスまたは希ガスを導入するためのパージラインを備えている。な
お、排気ポンプとしては、ターボ分子ポンプが望ましい。さらに、このパージラインには
、ガス精製機が備えられており、装置内に導入されるガスの不純物(酸素や水)が予め除
去されるようになっている。
【0076】
なお、本実施例では基板603として、発光素子の陽極となる透明導電膜まで形成した
基板を用いる。本実施例では基板603を、被成膜面を下向きにしてキャリアにセットす
る。これは後に蒸着法による成膜を行う際に、フェイスダウン方式(デポアップ方式とも
いう)を行いやすくするためである。フェイスダウン方式とは、基板の被成膜面が下を向
いた状態で成膜する方式をいい、この方式によればゴミの付着などを抑えることができる

【0077】
次に、605で示されるのは発光素子の陽極もしくは陰極(本実施例では陽極)の表面
を処理する処理室(以下、前処理室という)であり、前処理室605はゲート600bに
より搬送室601と連結される。前処理室は発光素子の作製プロセスによって様々に変え
ることができるが、本実施例では透明導電膜からなる陽極の表面に酸素中で紫外光を照射
しつつ100〜120℃で加熱できるようにする。このような前処理は、発光素子の陽極
表面を処理する際に有効である。
【0078】
その他の前処理法としては、酸素または水素中でプラズマを照射しつつ200〜400
℃で加熱するという方法も有効であり、この場合には、プラズマ処理及び加熱処理が可能
な機構を前処理室に備えておけばよい。
【0079】
次に、606は蒸着法により有機化合物を成膜するための成膜室であり、成膜室(A)
と呼ぶ。成膜室(A)606はゲート600cを介して搬送室601に連結される。
【0080】
本実施例では、成膜室(A)606内の成膜部607において、発光素子を形成する有
機化合物層の形成を行う。なお、本実施例では、赤色、緑色、青色に発色する有機化合物
層を成膜する。従って、成膜室(A)606内に備えられている複数の蒸発源は、これら
の有機化合物層を形成する有機化合物が備えられている。
【0081】
なお、有機化合物層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層
といった複数の層が積層され形成されている。本実施例では、各色に発光する有機化合物
層層は、発光層を形成する材料のみを変え、その他の層は全て全て同一の材料を用いて形
成する。
【0082】
正孔注入層としては、銅フタロシアニンなどを用いることができ、正孔輸送層としては
、MTDATA(4,4',4''-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine)やα−NP
D等を用いることができるが、その他の公知の材料を用いることも可能である。
【0083】
なお、赤色に発色する発光層としては、Alq3にDCMをドーピングしたものを用い
て形成することができる。その他にもEu錯体(Eu(DCM)3(Phen)、アルミ
キノリラト錯体(Alq3)にDCM−1をドーパントとして用いたもの等を用いること
ができるが、その他公知の材料を用いることもできる。
【0084】
また、緑色に発色する発光層としては、CBPとIr(ppy)3を共蒸着することに
より形成させることができる。なお、この他にもアルミキノリラト錯体(Alq3)、ベ
ンゾキノリノラトベリリウム錯体(BeBq)を用いることができる。さらには、アルミ
キノリラト錯体(Alq3)にクマリン6やキナクリドンといった材料をドーパントとし
て用いたものも可能であるが、その他公知の材料を用いることもできる。
【0085】
さらに、青色に発色する発光層としては、ジスチリル誘導体であるDPVBiや、アゾ
メチン化合物を配位子に持つ亜鉛錯体及びDPVBiにペリレンをドーピングしたものを
用いることもできるが、その他の公知の材料を用いても良い。
【0086】
また、発光層形成後には、電子輸送層や電子注入層を形成させても良い。なお、電子輸
送層としては、1,3,4−オキサジアゾール誘導体や1,2,4−トリアゾール誘導体(T
AZ)といった材料を用いることができる。さらに、バッファ層206として、フッ化リ
チウム(LiF)、酸化アルミニウム(Al23)、リチウムアセチルアセトネート(L
iacac)といった材料を用いても良いが、その他の公知の材料を用いることは可能で
ある。
【0087】
また、成膜室(A)606はゲート600fを介して材料交換室614に連結される。
なお、材料交換室614には、交換した材料を加熱するヒーターが設けられている。予め
材料を加熱することで水等の不純物を除去することができる。この時加える温度は200
℃以下であることが望ましい。また、材料交換室614には、内部を減圧状態にすること
ができる排気ポンプが備えられているので、外部から蒸発材料を追加または交換して加熱
処理した後、内部を減圧状態にする。そして、成膜室内と同じ圧力状態になったところで
ゲート600fを開け、成膜室内部の蒸発源に蒸発材料備えることができるようになって
いる。なお、蒸発材料は、搬送機構などにより成膜室内の蒸発源に備えられる。
【0088】
次に、608はスピンコート法(塗布法)により有機化合物を成膜するための成膜室で
あり、成膜室(B)と呼ぶ。なお、成膜室(B)608は搬送室(A)601との間に真
空排気用処理室610を設けて、成膜室(B)608のみ常圧(大気圧)での処理を可能
にした構成を示す。
【0089】
本実施例に於いては、薄膜形成装置の内部は、全て減圧状態にあるため、高分子材料を
塗布方法により成膜する場合には、窒素や希ガス等の不活性ガスを満たした常圧で行うた
め、成膜室608に基板を搬送するためには、成膜室608とそれ以外の成膜装置内部に
おける圧力差を克服しなければならない。
【0090】
そこで本実施例において高分子材料を成膜する場合には、まず真空排気用処理室610
を搬送室(A)601と同じ圧力まで減圧しておき、その状態でゲート600dを開けて
基板を搬送する。そして、ゲート600dを閉めた後、真空排気用処理室610内を不活
性ガスでパージし、常圧に戻った時点でゲート600gを開けて成膜室608へと基板を
搬送する。ここでは、基板と一緒にステージごと搬送しても良いし、専用の搬送手段で行
っても良い。
【0091】
なお、ここで用いる高分子系有機化合物としては、ポリパラフェニレンビニレン(PP
V)系、ポリビニルカルバゾール(PVK)系、ポリフルオレン系やポリチオフェン誘導
体(例えば、PEDOT)等の他、公知の高分子系有機化合物を用いることは可能である

【0092】
以上により、成膜室608の成膜部609においてスピンコート法により正孔注入層が
形成される。なお、成膜室608には、加熱機構を備えておき、成膜後の乾燥を行う機能
を設けておいても良い。
【0093】
高分子系有機化合物の成膜が終了したら、ゲート600gを開けて真空排気用処理室6
10へ基板を搬送し、ゲート600g及びゲート600dを閉めた状態で真空排気を行う
。こうして真空排気用処理室610が搬送室(A)601と同じ減圧状態にまで達したら
、ゲート600dを開けて基板を搬送室(A)601へと搬送する。
【0094】
また、成膜室(B)608はゲート600hを介して材料交換室615に連結される。
なお、材料交換室615には、交換した材料を加熱するヒーターが設けられている。予め
材料を加熱することで水等の不純物を除去することができる。この時加える温度は200
℃以下であることが望ましい。また、材料交換室615には、内部を減圧状態にすること
ができる排気ポンプが備えられているので、
外部から蒸発材料を追加または交換して加熱処理した後、内部を減圧状態にする。そして
、成膜室内と同じ圧力状態になったところでゲート600hを開け、成膜室内部の蒸発源
に蒸発材料備えることができるようになっている。なお、蒸発材料は、搬送機構などによ
り成膜室内の蒸発源に備えられる。
【0095】
以上により、本実施例に於いては、有機化合物層を蒸着法を用いて形成することもスピ
ンコート法を用いて形成することも可能であり、さらに、これらの方法を用いて形成した
層を複数積層させて有機化合物層を作製しても良い。
【0096】
次に、611は蒸着法により発光素子の陽極もしくは陰極となる導電膜(本実施例では
陰極となる金属膜)を成膜するための成膜室であり、成膜室(C)と呼ぶ。成膜室(C)
611はゲート600eを介して搬送室601に連結される。本実施例では、成膜室(C
)611内の成膜部612において、発光素子の陰極となる導電膜としてAl−Li合金
膜(アルミニウムとリチウムとの合金膜)を成膜する。なお、周期表の1族もしくは2族
に属する元素とアルミニウムとを共蒸着することも可能である。共蒸着とは、同時に蒸着
セルを加熱し、成膜段階で異なる物質を混合する蒸着法をいう。
【0097】
なお、成膜室(A)606および成膜室(C)611には、成膜室内にイメージセンサ
ーとして知られているCCD(Charge Coupled Device)を備えておくことは、メタルマス
クを用いて成膜を行う際に基板とメタルマスクの位置合わせを精度良く行うことを可能に
するので好ましい。
【0098】
さらに成膜室(A)606、真空排気用処理室610及び成膜室(C)611に備える
排気ポンプとしては、ドライポンプ、メカニカルブースターポンプ、ターボ分子ポンプ(
磁気浮上型)もしくはクライオポンプなどを用いることが可能であるが、本実施例ではク
ライオポンプ及びドライポンプが望ましい。
【0099】
また、成膜室(A)606、真空排気用処理室610及び成膜室(C)611は、排気
ポンプにより減圧される。なお、この時の到達真空度は10-6Pa以上であることが望ま
しい。この様な真空度を得るためには、成膜室内部を電解研磨により表面積を小さくする
ことが効果的である。
【0100】
搬送室(A)601には、ゲート600iを介して、リペア室613と連結されている
。リペア室613では、陰極まで形成された発光素子の欠陥部を欠陥検出機構622によ
り特定し、さらに、レーザー照射機構623により欠陥部にレーザーを照射して欠陥部の
絶縁化を行う。なお、欠陥部の位置の特定を行う欠陥検出機構622として本実施例では
、エミッション顕微鏡を用いている。
【0101】
また、エミッション顕微鏡による欠陥部の特定の際には、発光素子に逆バイアスを印加
した状態で、欠陥部がある場合には、その欠陥部に電流が流れるようにしておくが、この
時印加する逆バイアスは、1〜15Vの範囲で印加される。
【0102】
リペア室613に於いて発光素子における欠陥部の修理を行った基板は、ゲート600
jを介して、リペア室613と連結されている搬送室(B)616に搬送される。さらに
、搬送室(B)616とゲート600lを介して連結され、CVD(chemical vapor depo
sition)装置を備えた成膜室(D)617に搬送され、欠陥部の修理がなされた発光素子
上に窒化珪素や酸化珪素等の珪素を含む化合物やこれらの化合物の上に炭素を含むDLC
(Diamond Like Carbon)膜を積層させた絶縁膜を形成する。
【0103】
なお、DLC(Diamond Like Carbon)膜とは、ダイヤモンド結合(sp3結合)とグラフ
ァイト結合(SP2結合)が混在した非晶質膜である。なお、CVD(chemical vapor depos
ition)装置を備えた成膜室においては、酸素(O2)、水素(H2)、メタン(CH4)、
アンモニア(NH3)、シラン(SiH4)を用いることができる。また、CVD装置とし
ては、平行平板型の電極を有しRF電源における周波数が13.56〜60MHzのもの
を用いることができる。
【0104】
また、本実施例に於いては示していないが、スパッタリング法(または、スパッタ法と
もいう)により成膜を行う成膜室を本実施例で示した成膜装置に設けることも可能である
。陰極である画素電極上に有機化合物層が形成された後、陽極が形成されるというような
構造を有する素子を形成する場合に於いて、スパッタリングによる成膜が有効であるため
である。なお、成膜時の成膜室内は、アルゴン中に酸素を添加した雰囲気にしておくこと
で成膜された膜中の酸素濃度を制御し、透過率の高い低抵抗な膜を形成することができる
。また、その他の成膜室と同様に成膜室はゲートにより搬送室と遮断されるのが望ましい

【0105】
また、スパッタリングを行う成膜室を設ける場合には、成膜基板の温度を制御する機構
を設けても良い。なお、成膜基板は20〜150℃に維持されることが望ましい。さらに
、成膜室に備える排気ポンプとしては、ドライポンプ、メカニカルブースターポンプ、タ
ーボ分子ポンプ(磁気浮上型)もしくはクライオポンプなどを用いることが可能であるが
、本実施例ではターボ分子ポンプ(磁気浮上型)及びドライポンプが望ましい。
【0106】
次に、618は封止室(封入室またはグローブボックスともいう)であり、ゲート60
0kを介して搬送室(B)616に連結されている。封止室618では、最終的に発光素
子を密閉空間に封入するための処理が行われる。この処理は形成された発光素子を酸素や
水分から保護するための処理であり、カバー材で機械的に封入する、又は熱硬化性樹脂若
しくは紫外光硬化性樹脂で封入するといった手段を用いる。
【0107】
カバー材としては、ガラス、セラミックス、プラスチックもしくは金属を用いることが
できるが、カバー材側に光を放射させる場合は透光性でなければならない。また、カバー
材と上記発光素子が形成された基板とは熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等のシール材
を用いて貼り合わせられ、熱処理又は紫外光照射処理によって樹脂を硬化させて密閉空間
を形成する。この密閉空間の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を設けることも有効で
ある。
【0108】
また、カバー材と発光素子の形成された基板との空間を熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬
化性樹脂で充填することも可能である。この場合、熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹
脂の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を添加しておくことは有効である。
【0109】
図6に示した成膜装置では、封止室618の内部に紫外光を照射するための機構(以下
、紫外光照射機構という)619が設けられており、この紫外光照射機構619から発し
た紫外光によって紫外光硬化性樹脂を硬化させる構成となっている。また、封止室618
の内部は排気ポンプを取り付けることで減圧にすることも可能である。上記封入工程をロ
ボット操作で機械的に行う場合には、減圧下で行うことで酸素や水分の混入を防ぐことが
できる。なお、具体的には、酸素及び水の濃度は0.3ppm以下にすることが望ましい
。また、逆に封止室618の内部を与圧とすることも可能である。この場合、高純度な窒
素ガスや希ガスでパージしつつ与圧とし、外気から酸素等が侵入することを防ぐ。
【0110】
次に、封止室618には受渡室(パスボックス)620が連結される。受渡室620に
は搬送機構(C)621が設けられ、封止室618で発光素子の封入が完了した基板を受
渡室620へと搬送する。受渡室620も排気ポンプを取り付けることで減圧とすること
が可能である。この受渡室620は封止室618を直接外気に晒さないようにするための
設備であり、ここから基板を取り出す。その他、封止室618において用いる部材を供給
する部材供給室を設けることも可能である。
【0111】
以上のように、図6に示した成膜装置を用いることで、発光素子を封止する前に欠陥部
の修理を行うことができ、さらに、完全に発光素子を密閉空間に封入するまで外気に晒さ
ずに済むため、信頼性の高い発光装置を作製することが可能となる。
【実施例3】
【0112】
本実施例では、欠陥部を有する発光素子に、実際に逆バイアスの電圧を印加したとき、
エミッション顕微鏡によって観察された特性について説明する。
【0113】
本実施例で用いた発光素子は、酸化インジウムと酸化スズを組み合わせた化合物(IT
O)からなる陽極上に、正孔注入層として銅フタロシアニンが20nmの膜厚で蒸着法に
より形成され、次に正孔輸送層としてα−NPDが40nmの膜厚で蒸着法により形成さ
れる。そして、正孔輸送層の上に発光層を形成する発光材料としてトリプレット化合物で
あるIr(ppy)3が、CBPとの共蒸着により20nmの膜厚で成膜される。さらに
、発光層の上に電子注入層としてBCPを10nm、陰極としてアルミニウムを140n
mの厚さに成膜することにより、発光素子が形成される。なお、本明細書中においては、
トリプレット化合物とは、三重項励起子からの燐光を発光に利用できる有機化合物のこと
をいい、詳細については、実施例4において説明を行う。
【0114】
上記構成を有し、欠陥部を有する発光素子に逆バイアスの電圧を印加したときの、電圧
−電流特性を図11に示す。なお、図11において、横軸に逆バイアスを印加した際の電
圧(陽極に印加される電圧と陰極に印加される電圧の差)を示し、縦軸に逆バイアス印加
時に発光素子に流れる電流値(逆バイアス電流)を示す。ここでは、陽極に印加される電
圧値を+1Vで固定し、陰極に印加される電圧を+1〜+7Vまで変化させた時に発光素
子に流れる電流値を測定したものである。すなわち、ここで測定される電流値は本明細書
中でいう、発光素子の欠陥部に流れる電流値に値する。
【0115】
そして、欠陥部に流れる電流により生じる発光を形成する光子(フォトン:photon)の
数がエミッション顕微鏡により検出される。エミッション顕微鏡により検出された光子は
、光子の数毎に色で区別され、表示される。なお、色分け表示により特定された欠陥部の
位置は、予め撮影された発光素子部の像と重ね合わせてCRTに表示されるため発光素子
上に存在する欠陥部の位置を正確に特定することができる。
【0116】
なお、逆バイアスの電圧は、0〜−15Vの範囲において印加される。印加される逆バ
イアスの電圧がこれ以上大きくなると発光素子を破壊してしまう可能性があるためである

【0117】
本発明における欠陥部の検査において、発光素子に印加する逆バイアスの電圧の高さ及
び印加する時間については、発光素子が有する陽極、陰極及び有機化合物層の材料や積層
される層の構成によって異なる。逆バイアスの電圧が低くすぎると本発明の効果は得られ
ず、逆に高すぎても有機化合物層の劣化が促進されたり、発光素子自体が破壊されたりす
る。
【0118】
実施者は、発光素子が有する陽極、陰極及び有機化合物層の材料や構成によって、逆バ
イアスの電圧の高さ及び印加する時間を適宜設定する必要がある。
【0119】
CRTに表示された発光素子における欠陥部にレーザーを照射して絶縁化させることで
発光素子の修理を行った。以下に修理前と修理後における発光素子の消費電力について測
定した結果を示す。なお、測定は全白表示及び全黒表示でそれぞれ行った。
【0120】
【表1】

【0121】
上記に示した結果は、外部電源における駆動電圧を6〜8Vとしたとき、発光素子の陰
極に流れる電流量を測定することにより消費電力を求めたものであるが、いずれの駆動電
圧の場合に於いても修理前の駆動電圧に比べて修理後の駆動電圧は、1/5〜1/10に
なっている。つまり、レーザー照射により欠陥部を絶縁化させることで発光素子の修復が
可能になることがわかる。
【実施例4】
【0122】
本発明を用いて欠陥部を検査し、欠陥部を検出した場合にはレーザー照射により、欠陥
部が修理される発光装置において、その有機化合物層に三重項励起子からの燐光を発光に
利用できる有機化合物(トリプレット化合物ともいう)を用いることは可能である。燐光
を発光に利用できる有機化合物を用いた発光装置は、外部発光量子効率を飛躍的に向上さ
せることができる。これにより、発光素子の低消費電力化、長寿命化、および軽量化が可
能になる。
【0123】
ここで、三重項励起子を利用し、外部発光量子効率を向上させた報告を示す。
(T.Tsutsui, C.Adachi, S.Saito, Photochemical Processes in Organized Molecular S
ystems, ed.K.Honda, (Elsevier Sci.Pub., Tokyo,1991) p.437.)
【0124】
上記の論文により報告された有機化合物(クマリン色素)の分子式を以下に示す。
【0125】
【化1】

【0126】
(M.A.Baldo, D.F.O'Brien, Y.You, A.Shoustikov, S.Sibley, M.E.Thompson, S.R.Forr
est, Nature 395 (1998) p.151.)
【0127】
上記の論文により報告された有機化合物(Pt錯体)の分子式を以下に示す。
【0128】
【化2】

【0129】
(M.A.Baldo, S.Lamansky, P.E.Burrrows, M.E.Thompson, S.R.Forrest, Appl.Phys.Let
t.,75 (1999) p.4.) (T.Tsutsui, M.-J.Yang, M.Yahiro, K.Nakamura, T.Watanabe, T.ts
uji, Y.Fukuda, T.Wakimoto, S.Mayaguchi, Jpn.Appl.Phys., 38 (12B) (1999) L1502.)
【0130】
上記の論文により報告された有機化合物(Ir錯体)の分子式を以下に示す。
【0131】
【化3】

【0132】
以上のように三重項励起子からの燐光発光を利用できれば原理的には一重項励起子から
の蛍光発光を用いる場合より3〜4倍の高い外部発光量子効率の実現が可能となる。
【0133】
なお、本実施例の構成は、実施例1〜実施例3のいずれの構成とも自由に組み合わせて
実施することが可能である。
【実施例5】
【0134】
本実施例では、本発明を用いて欠陥部の修理を行った発光装置について、図7示す断面
図を用いて説明する。
【0135】
図7において、基板700上に設けられたスイッチング用TFT721はnチャネル型
TFTを用いて形成される。
【0136】
なお、本実施例ではスイッチング用TFT721においてチャネル形成領域が二つ形成
されるダブルゲート構造としているが、チャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲー
ト構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。
【0137】
基板700上に設けられた駆動回路はnチャネル型TFT723とpチャネル型TFT
724を有している。なお、本実施例では駆動回路が有するTFTをシングルゲート構造
としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0138】
また、配線701、703はCMOS回路のソース配線、702はドレイン配線として
機能する。また、配線704はソース配線708とスイッチング用TFTのソース領域と
を電気的に接続する配線として機能し、配線705はドレイン配線709とスイッチング
用TFTのドレイン領域とを電気的に接続する配線として機能する。
【0139】
なお、電流制御用TFT722はpチャネル型TFTを用いて形成される。なお、本実
施例では電流制御用TFT722をシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造
もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0140】
また、配線706は電流制御用TFTのソース配線(電流供給線に相当する)であり、
707は電流制御用TFTの画素電極710上に重ねることで画素電極710と電気的に
接続する電極である。
【0141】
なお、710は、透明導電膜からなる画素電極(発光素子の陽極)である。透明導電膜
としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物
、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、前記透明導電
膜にガリウムを添加したものを用いても良い。画素電極710は、上記配線を形成する前
に平坦な層間絶縁膜711上に形成する。本実施例においては、樹脂からなる平坦化膜7
11を用いてTFTによる段差を平坦化することは非常に重要である。後に形成される有
機化合物層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある
。従って、有機化合物層をできるだけ平坦面に形成しうるように画素電極を形成する前に
平坦化しておくことが望ましい。
【0142】
配線701〜707を形成後、図7に示すようにバンク712を形成する。バンク71
2は100〜400nmの珪素を含む絶縁膜もしくは有機樹脂膜をパターニングして形成
すれば良い。
【0143】
なお、バンク712は絶縁膜であるため、成膜時における素子の静電破壊には注意が必
要である。本実施例ではバンク712の材料となる絶縁膜中にカーボン粒子や金属粒子を
添加して抵抗率を下げ、静電気の発生を抑制する。この際、抵抗率は1×106〜1×1
12Ωm(好ましくは1×108〜1×1010Ωm)となるようにカーボン粒子や金属粒
子の添加量を調節すれば良い。
【0144】
画素電極710の上には有機化合物層713が形成される。なお、図7では一画素しか
図示していないが、本実施例ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した有機化
合物層を作り分けている。また、本実施例では蒸着法により低分子系有機化合物を形成し
ている。
【0145】
具体的には、正孔注入層713aとして20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜
を設け、その上に発光層713bとして70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニ
ウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としている。Alq3にキナクリドン、ペリレン
もしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
【0146】
但し、以上の例は有機化合物層として用いることのできる有機化合物の一例であって、
これに限定する必要はまったくない。発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層また
は電子注入層を自由に組み合わせて有機化合物層(発光及びそのためのキャリアの移動を
行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、本実施例では低分子系有機化合物を有機
化合物層として用いる例を示したが、高分子系有機化合物を用いても良い。これらの有機
有機化合物は公知の材料を用いることができる。
【0147】
次に、有機化合物層713の上には導電膜からなる陰極714が設けられる。本実施例
の場合、導電膜としてアルミニウムとリチウムとの合金膜を用いる。勿論、公知のMgA
g膜(マグネシウムと銀との合金膜)を用いても良い。陰極材料としては、周期表の1族
もしくは2族に属する元素からなる導電膜もしくはそれらの元素を添加した導電膜を用い
れば良い。
【0148】
この陰極714まで形成された時点で発光素子719が完成する。なお、ここでいう発
光素子719は、画素電極(陽極)710、有機化合物層713及び陰極714で形成さ
れたコンデンサを指す。
【0149】
発光素子719を完全に覆うようにしてパッシベーション膜716を設けることは有効
である。パッシベーション膜716としては、炭素膜、窒化珪素膜もしくは窒化酸化珪素
膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層で用いる。
【0150】
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素
膜、特にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を用いることは有効である。DLC膜
は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い有機化合物層7
13の上方にも容易に成膜することができる。また、DLC膜は酸素に対するブロッキン
グ効果が高く、有機化合物層713の酸化を抑制することが可能である。そのため、この
後に続く封止工程を行う間に有機化合物層713が酸化するといった問題を防止できる。
【0151】
さらに、パッシベーション膜716上に封止材717を設け、カバー材718を貼り合
わせる。封止材717としては紫外線硬化樹脂を用いれば良く、内部に吸湿効果を有する
物質もしくは酸化防止効果を有する物質を設けることは有効である。また、本実施例にお
いてカバー材718はガラス基板や石英基板やプラスチック基板(プラスチックフィルム
も含む)の両面に炭素膜(好ましくはダイヤモンドライクカーボン膜)を形成したものを
用いる。
【0152】
こうして図7に示すような構造の発光装置が完成する。なお、バンク712を形成した
後、パッシベーション膜716を形成するまでの工程をマルチチャンバー方式(またはイ
ンライン方式)の成膜装置を用いて、大気解放せずに連続的に処理することは有効である
。また、さらに発展させてカバー材718を貼り合わせる工程までを大気解放せずに連続
的に処理することも可能である。
【0153】
また、本実施例におけるTFTの特徴は、ゲート電極が2層の導電膜から形成されてお
り、そしてチャネル形成領域とドレイン領域との間に設けられる低濃度不純物領域におい
て、ほとんど濃度差がなく、緩やかな濃度勾配を有し、下層のゲート電極と重なる領域(
GOLD領域)と、ゲート電極と重ならない領域(LDD領域)とを備えている点である
。また、ゲート絶縁膜の周縁部、即ち、ゲート電極と重ならない領域及び高濃度不純物領
域の上方の領域はテーパー状となっている。
【0154】
本実施例の発光装置は、正孔注入層713aおよび発光層713bに欠損部分があり、
この欠損部分において画素電極(陽極)710と陰極714とがショートしている欠陥部
715を有している。本発明により欠陥部715の位置を特定し、レーザー照射すること
により欠陥部715を絶縁体720に変えることができる。欠陥部715を絶縁体720
に変えることで、欠陥部715におけるリーク電流を防ぐことができる。よって、欠陥部
715におけるリーク電流により消光していた発光素子を再び発光させることができる。
【0155】
また、本実施例では画素部と駆動回路の構成のみ示しているが、本実施例の製造工程に
従えば、その他にも信号分割回路、D/Aコンバータ、オペアンプ、γ補正回路などの論
理回路を同一の絶縁体上に形成可能であり、さらにはメモリやマイクロプロセッサをも形
成しうる。
【0156】
なお本実施例に示す構造を有する発光装置は、実施例1〜実施例4の構成と自由に組み
合わせて実施することが可能である。
【実施例6】
【0157】
本実施例では、実施例5で示した発光装置と異なる構造を有する発光装置に本発明の検
査及び修理法を用いて欠陥部の修理を行う場合について、図8に示す断面図を用いて説明
する。
【0158】
図8において、811は基板、812は下地となる絶縁膜(以下、下地膜という)であ
る。基板811としては透光性基板、代表的にはガラス基板、石英基板、ガラスセラミッ
クス基板、又は結晶化ガラス基板を用いることができる。但し、作製プロセス中の最高処
理温度に耐えるものでなくてはならない。
【0159】
また、下地膜812は特に可動イオンを含む基板や導電性を有する基板を用いる場合に
有効であるが、石英基板には設けなくても構わない。下地膜812としては、珪素(シリ
コン)を含む絶縁膜を用いれば良い。なお、本明細書において「珪素を含む絶縁膜」とは
、具体的には酸化珪素膜、窒化珪素膜若しくは窒化酸化珪素膜(SiOxNy:x、yは
任意の整数、で示される)など珪素に対して酸素若しくは窒素を所定の割合で含ませた絶
縁膜を指す。
【0160】
8201はスイッチング用TFT、8202は電流制御用TFTであり、それぞれnチ
ャネル型TFT、pチャネル型TFTで形成されている。発光素子から生じた光が発光す
る方向が基板の下面(TFT及び有機化合物層が設けられていない面)の場合、上記構成
であることが好ましい。しかし本発明はこの構成に限定されない。スイッチング用TFT
と電流制御用TFTは、nチャネル型TFTでもpチャネル型TFTでも、どちらでも構
わない。
【0161】
スイッチング用TFT8201は、ソース領域813、ドレイン領域814、LDD領
域815a〜815d、分離領域816及びチャネル形成領域817a、817bを含む活性
層と、ゲート絶縁膜818と、ゲート電極819a、819bと、第1層間絶縁膜820と
、ソース信号線821と、ドレイン配線822とを有している。なお、ゲート絶縁膜81
8又は第1層間絶縁膜820は基板上の全TFTに共通であっても良いし、回路又は素子
に応じて異ならせても良い。
【0162】
また、図8に示すスイッチング用TFT8201はゲート電極817a、817bが電気
的に接続されており、いわゆるダブルゲート構造となっている。勿論、ダブルゲート構造
だけでなく、トリプルゲート構造などいわゆるマルチゲート構造(直列に接続された二つ
以上のチャネル形成領域を有する活性層を含む構造)であっても良い。
【0163】
マルチゲート構造はオフ電流を低減する上で極めて有効であり、スイッチング用TFT
のオフ電流を十分に低くすれば、それだけ電流制御用TFT8202のゲート電極に接続
されたコンデンサが必要とする最低限の容量を抑えることができる。即ち、コンデンサの
面積を小さくすることができるので、マルチゲート構造とすることは発光素子の有効発光
面積を広げる上でも有効である。
【0164】
さらに、スイッチング用TFT8201においては、LDD領域815a〜815dは、
ゲート絶縁膜818を介してゲート電極819a、819bと重ならないように設ける。こ
のような構造はオフ電流を低減する上で非常に効果的である。また、LDD領域815a
〜815dの長さ(幅)は0.5〜3.5μm、代表的には2.0〜2.5μmとすれば
良い。
【0165】
なお、チャネル形成領域とLDD領域との間にオフセット領域(チャネル形成領域と同
一組成の半導体層でなり、ゲート電圧が加えられない領域)を設けることはオフ電流を下
げる上でさらに好ましい。また、二つ以上のゲート電極を有するマルチゲート構造の場合
、チャネル形成領域の間に設けられた分離領域816(ソース領域又はドレイン領域と同
一の濃度で同一の不純物元素が添加された領域)がオフ電流の低減に効果的である。
【0166】
次に、電流制御用TFT8202は、ソース領域826、ドレイン領域827及びチャ
ネル形成領域829を含む活性層と、ゲート絶縁膜818と、ゲート電極830と、第1
層間絶縁膜820と、ソース信号線831並びにドレイン配線832を有して形成される
。本実施例において電流制御用TFT8202はpチャネル型TFTである。
【0167】
また、スイッチング用TFT8201のドレイン領域814は電流制御用TFT820
2のゲート830に接続されている。図示してはいないが、具体的には電流制御用TFT
8202のゲート電極830はスイッチング用TFT8201のドレイン領域814とド
レイン配線(接続配線とも言える)822を介して電気的に接続されている。なお、ゲー
ト電極830はシングルゲート構造となっているが、マルチゲート構造であっても良い。
また、電流制御用TFT8202のソース信号線831は電流供給線(図示せず)に接続
される。
【0168】
電流制御用TFT8202は発光素子に注入される電流量を制御するための素子であり
、比較的多くの電流が流れる。そのため、チャネル幅(W)はスイッチング用TFTのチ
ャネル幅よりも大きく設計することが好ましい。また、電流制御用TFT8202に過剰
な電流が流れないように、チャネル長(L)は長めに設計することが好ましい。望ましく
は一画素あたり0.5〜2μA(好ましくは1〜1.5μA)となるようにする。
【0169】
また、電流制御用TFT8202の活性層(特にチャネル形成領域)の膜厚を厚くする
(好ましくは50〜100nm、さらに好ましくは60〜80nm)ことによって、TF
Tの劣化を抑えてもよい。逆に、スイッチング用TFT8201の場合はオフ電流を小さ
くするという観点から見れば、活性層(特にチャネル形成領域)の膜厚を薄くする(好ま
しくは20〜50nm、さらに好ましくは25〜40nm)ことも有効である。
【0170】
以上は画素内に設けられたTFTの構造について説明したが、このとき同時に駆動回路
も形成される。図8には駆動回路を形成する基本単位となるCMOS回路が図示されてい
る。
【0171】
図8においては極力動作速度を落とさないようにしつつホットキャリア注入を低減させ
る構造を有するTFTをCMOS回路のnチャネル型TFT8204として用いる。なお
、ここでいう駆動回路としては、ソース信号側駆動回路、ゲート信号側駆動回路を指す。
勿論、他の論理回路(レベルシフタ、A/Dコンバータ、信号分割回路等)を形成するこ
とも可能である。
【0172】
CMOS回路のnチャネル型TFT8204の活性層は、ソース領域835、ドレイン
領域836、LDD領域837及びチャネル形成領域838を含み、LDD領域837は
ゲート絶縁膜818を介してゲート電極839と重なっている。
【0173】
ドレイン領域836側のみにLDD領域837を形成しているのは、動作速度を落とさ
ないための配慮である。また、このnチャネル型TFT8204はオフ電流値をあまり気
にする必要はなく、それよりも動作速度を重視した方が良い。従って、LDD領域837
は完全にゲート電極に重ねてしまい、極力抵抗成分を少なくすることが望ましい。即ち、
いわゆるオフセットはなくした方がよい。
【0174】
また、CMOS回路のpチャネル型TFT8205は、ホットキャリア注入による劣化
が殆ど気にならないので、特にLDD領域を設けなくても良い。従って活性層はソース領
域840、ドレイン領域841及びチャネル形成領域842を含み、その上にはゲート絶
縁膜818とゲート電極843が設けられる。勿論、nチャネル型TFT8204と同様
にLDD領域を設け、ホットキャリア対策を講じることも可能である。
【0175】
なお861〜865はチャネル形成領域842、838、817a、817b、829
を形成するためのマスクである。
【0176】
また、nチャネル型TFT8204及びpチャネル型TFT8205はそれぞれソース
領域上に第1層間絶縁膜820を間に介して、ソース信号線844、845を有している
。また、ドレイン配線846によってnチャネル型TFT8204とpチャネル型TFT
8205とのドレイン領域は互いに電気的に接続される。
【0177】
次に、847は第1パッシベーション膜であり、膜厚は10nm〜1μm(好ましくは
200〜500nm)とすれば良い。材料としては、珪素を含む絶縁膜(特に窒化酸化珪
素膜又は窒化珪素膜が好ましい)を用いることができる。このパッシベーション膜847
は形成されたTFTをアルカリ金属や水分から保護する役割金属を有する。最終的にTF
T(特に電流制御用TFT)の上方に設けられる有機化合物層にはナトリウム等のアルカ
リ金属が含まれている。即ち、第1パッシベーション膜847はこれらのアルカリ金属(
可動イオン)をTFT側に侵入させない保護層としても働く。
【0178】
また、848は第2層間絶縁膜であり、TFTによってできる段差の平坦化を行う平坦
化膜としての機能を有する。第2層間絶縁膜848としては、有機樹脂膜が好ましく、ポ
リイミド、ポリアミド、アクリル、BCB(ベンゾシクロブテン)等を用いると良い。こ
れらの有機樹脂膜は良好な平坦面を形成しやすく、比誘電率が低いという利点を有する。
有機化合物層は凹凸に非常に敏感であるため、TFTによる段差は第2層間絶縁膜848
で殆ど吸収してしまうことが望ましい。また、ゲート信号線やデータ信号線と発光素子の
陰極との間に形成される寄生容量を低減する上で、比誘電率の低い材料を厚く設けておく
ことが望ましい。従って、膜厚は0.5〜5μm(好ましくは1.5〜2.5μm)が好ま
しい。
【0179】
また、849は透明導電膜でなる画素電極(発光素子の陽極)であり、第2層間絶縁膜
848及び第1パッシベーション膜847にコンタクトホール(開孔)を開けた後、形成
された開孔部において電流制御用TFT8202のドレイン配線832に接続されるよう
に形成される。なお、図8のように画素電極849とドレイン領域827とが直接接続さ
れないようにしておくと、有機化合物層のアルカリ金属が画素電極を経由して活性層へ侵
入することを防ぐことができる。
【0180】
画素電極849の上には酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜または有機樹脂膜でなる第3層間
絶縁膜850が0.3〜1μmの厚さに設けられる。この第3層間絶縁膜850は画素電
極849の上にエッチングにより開口部が設けられ、その開口部の縁はテーパー形状とな
るようにエッチングする。テーパーの角度は10〜60°(好ましくは30〜50°)と
すると良い。
【0181】
第3層間絶縁膜850の上には有機化合物層851が設けられる。有機化合物層851
は単層又は積層構造で用いられるが、積層構造で用いた方が発光効率は良い。一般的には
画素電極上に正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層の順に形成されるが、正孔輸
送層/発光層/電子輸送層、または正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子
注入層のような構造でも良い。本発明では公
知のいずれの構造を用いても良いし、有機化合物層に対して蛍光性色素等をドーピングし
ても良い。
【0182】
図8の構造はRGBに対応した三種類の発光素子を形成する方式を用いた場合の例であ
る。なお、図8には一つの画素しか図示していないが、同一構造の画素が赤、緑又は青の
それぞれの色に対応して形成され、これによりカラー表示を行うことができる。本発明は
発光方式に関わらず実施することが可能である。
【0183】
有機化合物層851の上には発光素子の陰極852が設けられる。陰極852としては
、仕事関数の小さいマグネシウム(Mg)、リチウム(Li)若しくはカルシウム(Ca
)を含む材料を用いる。好ましくはMgAg(MgとAgをMg:Ag=10:1で混合
した材料)でなる電極を用いれば良い。他にもMgAgAl電極、LiAl電極、また、
LiFAl電極が挙げられる。
【0184】
なお、画素電極(陽極)849、有機化合物層851及び陰極852によって発光素子
8206が形成される。
【0185】
有機化合物層851と陰極852とでなる積層体は、各画素で個別に形成する必要があ
るが、有機化合物層851は水分に極めて弱いため、通常のフォトリソグラフィ技術を用
いることができない。従って、メタルマスク等の物理的なマスク材を用い、真空蒸着法、
スパッタ法、プラズマCVD法等の気相法で選択的に形成することが好ましい。
【0186】
なお、有機化合物層を選択的に形成する方法として、インクジェット法、スクリーン印
刷法又はスピンコート法等を用いることも可能であるが、これらは現状では陰極の連続形
成ができないので、上述の方法の方が好ましいと言える。
【0187】
また、853は保護電極であり、陰極852を外部の水分等から保護すると同時に、各
画素の陰極852を接続するための電極である。保護電極853としては、アルミニウム
(Al)、銅(Cu)若しくは銀(Ag)を含む低抵抗な材料を用いることが好ましい。
この保護電極853には有機化合物層の発熱を緩和する放熱効果も期待できる。
【0188】
また、854は第2パッシベーション膜であり、膜厚は10nm〜1μm(好ましくは
200〜500nm)とすれば良い。第2パッシベーション膜854を設ける目的は、有
機化合物層851を水分から保護する目的が主であるが、放熱効果をもたせることも有効
である。但し、上述のように有機化合物層は熱に弱いので、なるべく低温(好ましくは室
温から120℃までの温度範囲)で成膜するのが望ましい。従って、プラズマCVD法、
スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法又は溶液塗布法(スピンコーティング
法)が望ましい成膜方法と言える。
【0189】
本実施例の発光装置は、有機化合物層851に欠損部分があり、この欠損部分において
画素電極(陽極)849と陰極852とがショートしている欠陥部866を有している。
本発明を用いて欠陥部866の位置を特定し、レーザー照射により欠陥部866を絶縁化
して修理することにより、欠陥部866を絶縁体867に変えることで欠陥部866にお
けるリーク電流を防ぐことができる。よって、欠陥部866におけるリーク電流により消
光していた発光素子を再び発光させることができる。さらに、欠陥部866を絶縁化する
ことにより、欠陥部周辺の有機化合物層851の劣化を防ぐことができる。
【0190】
なお、本実施例に示す構造を有する発光装置は、実施例1〜実施例4の構成と自由に組
み合わせて実施することが可能である。
【実施例7】
【0191】
発光素子を用いた発光装置は自発光型であるため、液晶表示装置に比べ、明るい場所で
の視認性に優れ、視野角が広い。従って、本発明の発光装置を用いて様々な電気器具を完
成させることができる。
【0192】
本発明により発光素子の欠陥部の検査及び修理を行う発光装置を用いた電気器具として
、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレ
イ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)
、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ
、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体
的にはデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる
表示装置を備えた装置)などが挙げられる。特に、斜め方向から画面を見る機会が多い携
帯情報端末は、視野角の広さが重要視されるため、発光素子を有する発光装置を用いるこ
とが望ましい。それら電気器具の具体例を図9に示す。
【0193】
図9(A)は表示装置であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、スピ
ーカー部2004、ビデオ入力端子2005等を含む。本発明において、発光素子の欠陥
部の検査及び修理を行うことにより作製した発光装置をその表示部2003に用いること
により作製される。発光素子を有する発光装置は自発光型であるためバックライトが必要
なく、液晶表示装置よりも薄い表示部とすることができる。なお、表示装置は、パソコン
用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0194】
図9(B)はデジタルスチルカメラであり、本体2101、表示部2102、受像部2
103、操作キー2104、外部接続ポート2105、シャッター2106等を含む。本
発明において、発光素子の欠陥部の検査及び修理を行うことにより作製した発光装置をそ
の表示部2102に用いることにより作製される。
【0195】
図9(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、
表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス
2206等を含む。本発明において、発光素子の欠陥部の検査及び修理を行うことにより
作製した発光装置を表示部2203に用いることにより作製される。
【0196】
図9(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ
2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明において、発光素
子の欠陥部の検査及び修理を行うことにより作製した発光装置を表示部2302に用いる
ことにより作製される。
【0197】
図9(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)で
あり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体(
DVD等)読み込み部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表
示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表
示するが、本発明において、発光素子の欠陥部の検査及び修理を行うことにより作製した
発光装置をこれら表示部A、B2403、2404に用いることにより作製することがで
きる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。
【0198】
図9(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体2
501、表示部2502、アーム部2503を含む。本発明において、発光素子の欠陥部
の検査及び修理を行うことにより作製した発光装置を表示部2502に用いることにより
作製することができる。
【0199】
図9(G)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外
部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607
、音声入力部2608、操作キー2609、接眼部2610等を含む。本発明において、
発光素子の欠陥部の検査及び修理を行うことにより作製した発光装置を表示部2602に
用いることにより作製することができる。
【0200】
ここで図9(H)は携帯電話であり、本体2701、筐体2702、表示部2703、
音声入力部2704、音声出力部2705、操作キー2706、外部接続ポート2707
、アンテナ2708等を含む。本発明において、発光素子の欠陥部の検査及び修理を行う
ことにより作製した発光装置を表示部2703に用いることにより作製することができる
。なお、表示部2703は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電力
を抑えることができる。
【0201】
なお、将来的に有機化合物の発光輝度が高くなれば、出力した画像情報を含む光をレン
ズ等で拡大投影してフロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも可能とな
る。
【0202】
また、上記電気器具はインターネットやCATV(ケーブルテレビ)などの電子通信回
線を通じて配信された情報を表示することが多くなり、特に動画情報を表示する機会が増
してきている。有機化合物の応答速度は非常に高いため、発光装置は動画表示に好ましい

【0203】
また、発光装置は発光している部分が電力を消費するため、発光部分が極力少なくなる
ように情報を表示することが望ましい。従って、携帯情報端末、特に携帯電話や音響再生
装置のような文字情報を主とする表示部に発光装置を用いる場合には、非発光部分を背景
として文字情報を発光部分で形成するように駆動することが望ましい。
【0204】
以上の様に、本発明により発光素子の欠陥部の検査及び修理を行う発光装置の適用範囲
は極めて広く、あらゆる分野の電気器具に用いることが可能である。また、本実施例の電
気器具は実施例1〜実施例6を実施することにより作製された発光装置を用いることによ
り完成させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に発光素子が設けられた発光装置の作製方法であって、
前記発光素子は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極の間の有機化合物層を有し、
前記基板を上、前記発光素子を下にした状態で前記発光素子にバイアスを印加することで前記発光素子を発光させ、
前記発光により欠陥部を特定し、
前記欠陥部にレーザを照射することで前記陽極と前記陰極を物理的に引き離すことを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項2】
基板に発光素子が設けられた発光装置の作製方法であって、
前記発光素子は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極の間の有機化合物層を有し、
前記基板を上、前記発光素子を下にした状態で前記発光素子に逆バイアスを印加することで前記発光素子を発光させ、
前記発光により欠陥部を特定し、
前記欠陥部にレーザを照射することで前記陽極と前記陰極を物理的に引き離すことを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項3】
基板に発光素子が設けられた発光装置の作製方法であって、
前記発光素子は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極の間の有機化合物層を有し、
前記基板を上、前記発光素子を下にした状態で前記発光素子にバイアスを印加することで前記発光素子を発光させ、
前記発光により欠陥部を特定し、
前記欠陥部に前記基板の上からレーザを照射することで前記陽極と前記陰極を物理的に引き離すことを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項4】
基板に発光素子が設けられた発光装置の作製方法であって、
前記発光素子は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極の間の有機化合物層を有し、
前記基板を上、前記発光素子を下にした状態で前記発光素子に逆バイアスを印加することで前記発光素子を発光させ、
前記発光により欠陥部を特定し、
前記欠陥部に前記基板の上からレーザを照射することで前記陽極と前記陰極を物理的に引き離すことを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記基板は透光性を有することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記基板と前記有機化合物層に挟まれた前記陽極または前記陰極の一方は、透光性を有することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、
前記発光素子の封止は、前記陽極と前記陰極を物理的に引き離した後で行うことを特徴とする発光装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−71142(P2011−71142A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2599(P2011−2599)
【出願日】平成23年1月10日(2011.1.10)
【分割の表示】特願2010−260833(P2010−260833)の分割
【原出願日】平成13年12月20日(2001.12.20)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】