説明

発光装置及び発光システム

【課題】 低コストで、従来よりもさらに広範囲における広告表示等を可能にする。
【解決手段】 発光体11を備える発光装置10が、無線通信の受信機能だけでなく、他の発光装置に制御信号を無線送信する機能も兼ね備えた送受信部12を有し、送受信部12によって制御信号を受信すると発光体11を駆動させると共に、送受信部12を介して他の発光装置に制御信号を送信させる駆動制御部13を有している。このため、一の発光装置10が制御信号を受信すると、この一の発光装置10の駆動制御部13は、他の発光装置に制御信号を送信するように送受信部12を制御し、他の発光装置においてその制御信号を受信すると、他の発光装置はさらに他の発光装置に制御信号を送信するように設定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルなどの建築物の壁面、路面、山肌、ホテル・デパート・その他の商業施設・ それらの駐車場などの出入り口、スタジアム・スタジオ・ホール等において、文字や広告を表示したり、電飾等として用いたりする発光装置及び該発光装置を具備した発光システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルの壁面、山肌、スタジアムなどの比較的広い面積に設けられた発光体を、遠隔地から制御し、所定の発光体を点灯させる技術として、特許文献1及び特許文献2では、受信機を備えた発光装置を開示している。いずれも、本体制御装置から無線で送信される発光処理コマンドを受信することにより所定の発光体が発光し、それにより、比較的広い面積であるにも拘わらず、広告や文字を表示することができる。
【特許文献1】特開2005−71853号公報
【特許文献2】特開2003−36981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した技術は、無線通信を利用しているため、有線よりも容易に広い面積に点在する各発光体の制御が可能であることは確かであるが、本体制御装置から発光体を備えた受信機までの距離は、無線通信可能な一定範囲の距離に限られる。受信機をさらに離れた場所に設置する場合には、本体制御装置との間で無線通信可能な範囲に中継装置を設置する必要があるなど、その場合には、設備コストが多大になる。
【0004】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、多大な設備コストをかけることなく、従来よりもさらに広範囲における広告表示等を可能にする発光装置及び該発光装置を具備した発光システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1記載の本発明では、発光体と、
無線通信の送受信を行う送受信部と、
前記送受信部によって外部から制御信号を受信すると前記発光体を駆動させる一方、前記送受信部を介して外部に制御信号を送信させる駆動制御部と
を備えることを特徴とする発光装置を提供する。
請求項2記載の本発明では、前記駆動制御部の記憶部にIDが記憶されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置を提供する。
請求項3記載の本発明では、発光体と、
無線通信の送受信を行う送受信部と、
前記送受信部によって外部から制御信号を受信すると前記発光体を駆動させる一方、前記送受信部を介して外部に制御信号を送信させる駆動制御部と
を備えてなる発光装置が複数用いられ、
前記各発光装置の送受信部同士で行われる無線通信により、各駆動制御部が動作することを特徴とする発光システムを提供する。
請求項4記載の本発明では、一の発光装置の送受信部から他の発光装置の送受信部に制御信号が送信されて、他の発光装置の駆動制御部が動作し、他の発光装置の送受信部からさらに他の発光装置の送受信部に制御信号が送信されて、さらに他の発光装置の駆動制御部が動作するように設定されていることを特徴とする請求項3記載の発光システムを提供する。
請求項5記載の本発明では、前記各発光装置は、駆動制御部の記憶部にIDを記憶しており、IDを指定して制御信号を送信することにより所定の発光装置を制御可能であることを特徴とする請求項3又は4記載の発光システムを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、発光体を備える発光装置が、無線通信の受信機能だけでなく、他の発光装置に制御信号を無線送信する中継機能も兼ね備えた送受信部と、送受信部によって制御信号を受信すると発光体を駆動させると共に、送受信部を介して他の発光装置に制御信号を送信させる駆動制御部とを有している。このため、一の発光装置が制御信号を受信すると、この一の発光装置の駆動制御部は、他の発光装置に制御信号を送信するように送受信部を制御し、他の発光装置においてその制御信号を受信すると、他の発光装置の駆動制御部はさらに他の発光装置に制御信号を送信するように制御できる。従って、一組の発光装置間の通信距離が制限されているとしても、一の発光装置から他の発光装置へ、他の発光装置からさらに他の発光装置へと連鎖して無線通信が行われるため、理論的には通信距離の制限がなくなり、ビルの壁面のほか、山肌や路面など、さらに広い面積に発光装置を設置して広告や文字等の表示を行うことができる。しかも、各発光装置に受信機能と送信機能が組み込まれているため、特別な中継装置を設ける必要がなく、低コストで構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて更に詳しく説明する。図1は、本実施形態の発光装置10の構成を示す図である。この図に示したように、発光装置10は、発光体11と、送受信部12と、駆動制御部13とを有している。
【0008】
発光体11は特に限定されるものではなく、例えば、単色のLEDを用いることができるが、3色発光のLEDを用いることが好ましい。3色発光のLEDを用いることにより、青、赤、緑の各色の発光度合いを調整し、種々の色を表現することができる。発光体11としては電気を利用するものであれば特に限定されず、LEDの他に蛍光ランプ、白熱ランプ、HIDランプなどがあげられる。
【0009】
送受信部12は、無線アンテナを備え、データの送信及び受信を行い、他の発光装置の送受信部12と中継する機能を有する。無線通信の通信方式は特に限定されるものではなく、Bluetooth(商標)、UWB、ZigBee(商標)等を利用することができる。
【0010】
駆動制御部13は、CPUや記憶部13aを備えたマイクロコンピュータからなり、記憶部13aに記憶されたプログラムにより、発光体11及び送受信部12の駆動制御を行う。また、記憶部13aには、各発光装置10に付した固有のIDが記憶されている。
【0011】
具体的には、送受信部12により、他の発光装置から発せられた制御信号を受信すると、その制御信号が駆動制御部13によって読み込まれ、発光体11を点灯させる。また、駆動制御部13は、他の発光装置からの制御信号を受信した後、さらに他の発光装置に向けて制御信号を送信するように制御する。発光体11を点灯させると共に、さらに他の発光装置に向けて制御信号を送信する手順は、駆動制御部13の記憶部13aに記憶されたプログラムにより実行される。このため、受信する制御信号は、このプログラムを稼働させるためのトリガー信号として機能するものであればよい。例えば、記憶部13aに記憶されるプログラムが単一のものであれば、トリガー信号を受信すると即座にそのプログラムが実行されるだけでよい。一方、例えば、発光体11を連続点灯させるプログラム、所定時間毎に点灯と消灯を繰り返すプログラム等、複数のプログラムが記憶部13aに設定されている場合には、制御信号としては、そのいずれのプログラムを実行させるか、あるいは、複数のプログラムをどのような順序で実行させるかの処理コマンドを含んだものとすることができる。
【0012】
また、制御信号は、送信先のIDを指定して送信することが好ましい。IDは、上記のように、各発光装置10の駆動制御部13の記憶部13aに記憶されているため、IDを指定することにより、当該IDを備えた所定の発光装置10に対して制御信号を送信することができる。
【0013】
本実施形態の発光装置10は、複数使用されて、所望の広告表示などを行う発光システムとして利用される。例えば、図2に示したように、ビルの壁面などに、星の図形を表示するとして、発光装置10aから10jまでの10個を所定の位置に設置する。なお、発光装置10aから10jは、いずれも、発光体11として3色発光のLEDが使用されており、駆動制御部13には、例えば、青、赤、緑の順に10秒おきに発光体11を点滅させるように制御するプログラムが記憶されているとする。また、それぞれの記憶部13aには、10a〜10jの符号がIDとして記憶されていると共に、自己を指定した制御信号を受信したならば、アルファベット順に次のID(例えば、10cならば、10d)の発光装置に向けて制御信号を送信するように送受信部12を動作させるプログラムが駆動制御部13に設定されているとする。
【0014】
ここで、符号100は、本体制御装置であり、いずれかの発光装置10a〜10jに向けて最初のトリガーとなる制御信号を送信する。本体制御装置100は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、その他の携帯端末などから構成することができ、図2に示したように、本体制御装置100を自動車内に搭載して制御信号を送信することもできる。
【0015】
そして、本体制御装置100から最初のトリガーとなる制御信号が発光装置10aに送信され、該発光装置10aの送受信部12がこれを受信すると、駆動制御部13は、上記プログラムに従って発光体11を点滅動作させる。これと共に、駆動制御部13は、送受信部12を介して、次の発光装置10bに向けて制御信号を送信させる。発光装置10bにおいてはかかる制御信号を受信すると、該発光装置10bの発光装置11を点滅動作させ、さらに次の発光装置10cに制御信号を送信する。各発光装置10a〜10jは上記動作を順次行って、最終的に発光装置10jが点滅する。このとき、本体制御装置100から発光装置10aまでの距離が最も短く、それより離れた場合には本体制御装置100の通信範囲外となる場合でも、上記のように発光装置10a〜10jが相互に通信可能であるため、従来よりも広い範囲に亘って所定の広告表示や文字表示等を行うことができる。
【0016】
なお、上記のような図柄のほか、携帯電話等の本体制御装置100において、人の名前を入力して送信すると、入力された文字に対応するIDを備えた発光装置10が動作して、各発光体11が点灯して、当該人の名前が表示されるようにしたり、携帯電話等の本体制御装置100を具備した人がある距離まで近づくと、それに応じた発光装置10が動作して、文字(例えば、「Welcome」)等を表示する構成とすることもできる。また、発光装置10間で相互通信を行って発光する構成であるため、ビルの壁面に限らず、路面、さらには山肌など、広い面積において電飾の広告表示等を行うのに特に適している。また、発光装置10の電源は電池を用いても良いが、電池交換等の手間がかからない点から、ビル等の建築物から電源を直接取得するか、太陽電池により電力の供給を受けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一の実施形態に係る発光装置の概略構成を示したブロック図である。
【図2】上記発光装置を用いた発光システムの一例を示した図である。
【符号の説明】
【0018】
10 発光装置
11 発光体
12 送受信部
13 駆動制御部
13a 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光体と、
無線通信の送受信を行う送受信部と、
前記送受信部によって外部から制御信号を受信すると前記発光体を駆動させる一方、前記送受信部を介して外部に制御信号を送信させる駆動制御部と
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記駆動制御部の記憶部にIDが記憶されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
発光体と、
無線通信の送受信を行う送受信部と、
前記送受信部によって外部から制御信号を受信すると前記発光体を駆動させる一方、前記送受信部を介して外部に制御信号を送信させる駆動制御部と
を備えてなる発光装置が複数用いられ、
前記各発光装置の送受信部同士で行われる無線通信により、各駆動制御部が動作することを特徴とする発光システム。
【請求項4】
一の発光装置の送受信部から他の発光装置の送受信部に制御信号が送信されて、他の発光装置の駆動制御部が動作し、他の発光装置の送受信部からさらに他の発光装置の送受信部に制御信号が送信されて、さらに他の発光装置の駆動制御部が動作するように設定されていることを特徴とする請求項3記載の発光システム。
【請求項5】
前記各発光装置は、駆動制御部の記憶部にIDを記憶しており、IDを指定して制御信号を送信することにより所定の発光装置を制御可能であることを特徴とする請求項3又は4記載の発光システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−281679(P2008−281679A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124367(P2007−124367)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(505041391)株式会社知財戦略研究所 (6)
【Fターム(参考)】