説明

発光装置

本発明は、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と第2電極の間に位置するピーク発光波長を有する有機発光材料を含む有機発光領域を含む有機発光装置であって、前記電極の少なくとも1つは透明であり、電荷注入金属と前記電荷注入金属と共蒸着できる他の材料の複合材料を含み、他の材料は前記電荷注入金属の屈折率とは異なる屈折率を有し、前記他の材料は前記電荷注入金属よりピーク発光波長において低い程度のクエンチを有し、前記少なくとも1つの電極による励起子のクエンチは減少されており、前記電荷注入金属は3.5eV以下の仕事関数を有する低仕事関数金属又は4.5eV以上の仕事関数を有する高仕事関数金属を含むことを特徴とする有機発光装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光装置、その製造方法及びそれに使用されるカソードに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光装置(OLEDs)は、通常、カソード、アノード及びカソードとアノードの間に位置する有機発光領域を有する。発光有機材料は、US4539507に記載される低分子材料、又はPCT/WO90/13148に記載されるポリマー材料を含む。カソードは電子を発光領域に注入し、アノードは正孔を注入する。電子と正孔は結合して光子を生成する。
【0003】
図1は、OLEDの典型的な断面構造を示す。OLEDは、典型的には、インジウム−錫−酸化物(ITO)層のような透明アノード2で被覆されたガラス又はプラスチック基板1上に形成される。ITOで被覆された基板は、電子発光有機材料3の薄膜層で被覆され、カルシウムのような低仕事関数金属のカソード材料4が適用され、選択的にアルミニウムのキャップ層(図示しない)を有する。例えば、電極と電子発光材料間の電荷の輸送を改良するための他の層も追加できる。
【0004】
従来の装置に対する潜在的な優位性のためにディスプレイの応用におけるOLEDの使用は大きな注目を有してきている。OLEDは、相対的に低い駆動電圧と電力消費を有し、容易に大面積のディスプレイを製造することができる。実用的レベルにおいては、輝度が高く効率的に駆動するが、製造の信頼性が高く安定して使用できるOLEDを製造するニーズが存在する。
【0005】
OLEDにおけるカソードの構造は、この技術における考慮すべき1つの側面である。モノクロOLEDの場合、単一の電子発光有機材料を有する最適の特性のためにカソードが選択される。しかしながら、フルカラーOLEDは、赤、緑及び青色光有機発光材料を含む。このような装置は、全ての3つに発光材料、すなわち「共通電極」に電子を注入することができるカソードを必要とする。
【0006】
有機発光層(又は、もし存在するならば有機電子輸送層)と金属カソードの間に位置するフッ化金属層が知られている。例えば、Appl.Phys.Lett.70,152、1997参照。この改良は、ポリマー/カソード境界における障壁の高さの減少による有機層への電子の注入の改良によるものと考えられている。Li/Alカソードを使用する装置劣化のメカニズムは、Appl.Phys.Lett.79(5),563−565,2001において報告されており、電子発光層へ移動し電子発光材料をドーピングするLi原子を開放するようにLiF及びAlが反応するとされている。しかしながら、本発明の発明者は、LiF/Alカソードが相対的に安定しており、その主な欠点は比較的低い効率(特に、共通電極として使用した場合)にあることを発見した。より効率的な配列は、アルミニウム単独に代えて、LiF上のカルシウム及びアルミニウムの2層を利用する。これは、Synth.Metals2000,111−112,p.125−128において共通カソードとして記載されているが、LiF/Alカソードに比較して金属の開放がより大きいので、より不安定なシステムである。特に、WO03/019696においては、このカソード及びチオフェン−ベンゾチアジアゾールチオフェン繰返し単位を含む赤色発光ポリマーのようなイオウを含む電子材料を含む装置において特に劣化が注目されることが報告されている。
【0007】
WO00/35028によれば、グラファイト及び/又はリチウムのような低仕事関数のフッ化物又は酸化物を含む光吸収層を含む発光装置が提供される。この配列によれば、カソードは、光吸収である電子注入層として使用されるアルミニウムで選択的に蒸着されたフッ化リチウムから形成することができる。アルミニウムは相対的に高い仕事関数を有する。米国特許6278236は、電子注入層を有する多層有機電子発光装置を提供する。この配列において、電子注入層は、アルミニウム及び少なくとも1つのアルカリ金属塩化物又は少なくとも1つのアルカリ土類金属塩化物を含む。フッ化リチウムとアルミニウムを含む電子注入層複合材料が例示されている。金のような他の高仕事関数のカソード材料が提示されている。他の複合材料カソードは、Jabbour et al in Applied Physics Letters 73 (9), 1185-1187 (1998)に記載されている。不安定性を避けるために、低仕事関数金属の使用を避ける目的で、フッ化リチウム又はフッ化セシウム及びアルミニウムを含む複合材料カソードが記載されている。US2001/0051284は多層有機電子発光装置における複合材料電子注入層を記載している。電子注入層は、好ましくは、低仕事関数金属酸化物又はリチウム、マグネシウム及びイットリウムのようなハロゲン化金属を含む。相対的に高い仕事関数を有する金属、好ましくは、それぞれ4.2eV以上の仕事関数を有するアルミニウム、インジウム、銀又は金が、電子注入層中に混合される。インジウムとアルミニウムは実施例に開示される金属である。
【0008】
本発明の目的は、有機発光領域中への改良された電子注入を有するカソードを含む改良された特性を有する有機発光装置を提供する。他の目的は、電子を多くの異なる種類の有機発光材料に注入できるカソード、すなわち「共通電極」を提供し、単一のカソードにより、赤、緑及び青光有機発光材料中への電子の注入を効果的にする。
【0009】
ある装置の応用においては、カソードが透明であることが必要である。これは、駆動回路又は他の構造がアノードに隣接し、これによってアノードを通過しての発光を防止している。これら装置は、しばしば「上面発光装置」と呼ばれる。図2は、上面発光OLEDの典型的な断面構造を概略的に示す。ITOのようなアノード材料が、アクティブマトリックス背面板21上に位置する金属ミラー25上に位置する。正孔輸送材料26は、アノード22と発光層23の間に位置する。選択的に、他の中間層27が電子注入層と発光層の間に適用される。
【0010】
カソード24は発光層23の上に位置し、通常、バリウム層であり、発光層に電子を注入することができるような低仕事関数金属である。バッファー層28がバリウムカソード層24上に蒸着され、インジウム錫酸化物(ITO)層29が前記バッファー層上に蒸着され、バリウムカソードの相対的に低い導電性を補償するために横方向の導電性を有する相対的に透明な層を提供する。最終的に、透明封止層(図示しない)が酸素及び湿気から装置を保護するためにITO層の上に適用される。
【0011】
この配列のカソードの形成において問題が生じている。ITOはスパッタリングによってのみ蒸着可能である。しかしながら、スパッタリングは非常に損傷性のあるプロセスであり、もしITOが保護されていないバリウムカソードに直接スパッタされると、カソード及び発光層が損傷する。このためにバッファー層が使用される。バッファー層は電子注入を干渉せず、もし要求するなら、装置の光学的特性に貢献する。バッファー層は金属であり得る。しかしながら、要求されるバッファー保護を達成するために、金属の相対的に高い厚さが使用される必要があり、これがカソードの透明性に悪い影響を及ぼす。したがって、一般的なバッファーはフッ化バリウム又は硫化亜鉛のような高い透明性の化合物となる傾向がある。しかしながら、これらバッファー材料は導電性が低いという欠点を有する。
【0012】
Journal of Applied Physics 96(1),709−714(2004)は、スッパタリング損傷が上面発光型有機発光装置の製造における問題点であると認めている。著者は、熱蒸着され得るAlドープSiO薄膜が上面発光型OLEDの透明電極を蒸着する魅力的な方法を提供する。著者は、電子伝導性、電子注入及びカソード光透明性を最適化するために薄膜中のAlの割合が重要な因子となるカソードとして多層LiF/Al/Al:AiOが適用可能であると結論付けている。したがって、記載されるカソード構造は、全て適切な電子注入を提供するLiF/Al層を要求する。相対的に高いレベルのアルミニウムは、カソードの透明性を減少するという望ましくない影響を有する適切な導電性を供給するために必要とされる。
【0013】
Chemical Physics Letters 366(2002)128−133の記事は、YbとAgを共蒸発させYb:Ag合金電極を形成するために透明カソードを作成するために使用される。この記事は、スパッタリング蒸着ITO薄膜によってキャップされた非常に薄いMg:Ag合金層を使用する透明OLEDを開示するApplied Physics Letters68(1996)の記事を引用する。Ybの仕事関数(2.6eV)は、LiF(2.9eV)、Mg:Ag(3.68eV)及びAg(4.2eV)からLiが分離されるものより低く、有機発光層とカソード間の電子注入のためのエネルギー障壁はYbの使用により低くなる、しかしながら、Ybは非常に高価である、また、カソードが薄いとき低い電流密度及び発光が得られた。これは、Yb:Agカソード層が薄くなると、より薄いカソード層の低い電気伝導力の結果電流密度が低下するためである。しかしながら、層の厚さが増加すると電流密度の重要な増加に比較して発光はわずかに増加するだけであり、これはより厚いYb:Ag層により引き起こされる反射/吸収の増加に起因する。光の大部分は、Agが低い透明性を有すため、内部反射によって失われてしまう。
【特許文献1】国際公開00/35028号パンフレット
【特許文献2】米国特許6278236号明細書
【非特許文献1】L. H. Smith et el., Light outcoupling efficiency of top-emitting diodes, Appl. Phys. Lett. 84(16),2986-2988
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の1つの目的は、従来のカソード構造の欠点を有しないカソードを含む改良された特性を有する有機発光装置を提供する。
【0015】
この技術における他の問題は、発光層への電子の注入のためにほとんど変化なしに使用される金属カソードに関連したクエンチモードによる励起子のクエンチによって生じる有機発光装置に効率の損失である。クエンチモードは、Suraface Plasmon (SP)モードとLossyモードの2つの形で生じる。Suraface Plasmonモードは金属の表面の自由電荷とエレクトロマグネトロン放射の間の結合から生じる。この相互作用によって、金属表面から指数関数的に離れて崩壊する振動EM場に結合した金属表面に沿って伝わる縦の表面電荷密度変動がもたらされる。Surface Plasmonモードは、相対的に短い距離しか伝わらないLossyモードに比較して金属表面の相対的に長い距離を伝わる。
【0016】
この問題に対するいくつかの可能な解決策が提案されている。"L. H. Smith et el., Light outcouplingefficiency of top-emitting diodes, Appl. Phys. Lett. 84(16),2986-2988"においては、有機層内の励起子の位置がSPモードに結合する強度、したがって装置の効率を変化させる。したがって、この文献においては、層の形状(例えば、有機層の厚さ)は励起子が最適な位置に生じるように最適化される。しかしながら、この手法は、装置内の励起子を正確に位置させるの困難であるという問題があり、また、装置の形状の変更は抵抗率を増加させ透明性を低下させるという他の問題につながる。
【0017】
"L. H. Smith et el., Light outcoupling efficiency of top-emitting diodes, Appl. Phys. Lett. 84(16),2986-2988"は、また、低分子装置の励起子がランダムに方位付けられるのに対してポリマーの励起子は層の平面に方位付けられSP場への適合がよくないという事実によって、低分子発光材料ではなく発光ポリマーを利用する装置において、SPモードへの結合はあまり問題にならないことを提案している。しかしながら、本発明の発明者らは、SPモードによる重要なクエンチがポリマー装置において生じることを発見した。
【0018】
"S. Wedge et al., Coupled surface plasmon-polariton mediated photoluminescence from a top-emitting organic light-emitting structure, Appl. Phys. Lett. 85 (2), 182-184"においては、金属カソードに関連したSPモードへの損失の問題も検討され、これらSPへの電力損失をリカバーする可能性のある方法が検討されている。光に対するSPモードの結合の方法は、SPのBragg散乱を可能にするように金属薄膜中に周期的なミクロ構造を導入することであることが開示されている。他の方法としては、ミクロ構造誘電層がカソード上に重ねられる方法である。しかしながら、この方法も製造プロセスを複雑にし、外側層の追加はカソードの透明性を低下させる。さらに、本発明の出願人は、短いLossyモードじゃそのようなミクロ構造によって評価できないことを発見した。
【0019】
"P. Hobson et al., Surface Plasmon Mediated Emission from Organic Light-Emitting Diodes, Adv. Mater. 14 (19), 1393-1396"は、ポリマーの励起子は製造過程で使用されるスピンコート法によって層の平面に方位付けられるという事実により、低分子発光材料ではなく発光ポリマーを使用する装置においては、SPモードへの結合はあまり問題にならないことを提案している。しかしながら、前述したように、本発明の出願人は、SPモードによる重要なクエンチがポリマー装置においても依然として生じることを発見した。例えば、スピンコートではなくインクジェットにより蒸着されれば、ポリマーは方位付けされない。従来文献の著者は、SPモードへの電力損失をリカバーするために装置層を通じた周期的ミクロ構造の導入を提案している。これは、また、製造プロセスの複雑さを増大させる。さらに、本発明の出願人は、Lossyモードはこのようなミクロ構造によって評価されないことを発見した。
【0020】
本発明の1つの目的は、SP及びLossyモード両者による低いクエンチレベルを有する透明電極を含む改良された特性を有する有機発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
1つの側面において、本発明は、カソード、アノード、及び前記カソードとアノードの間の有機発光領域を含む有機発光装置において、前記カソードは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物若しくは酸化物であって、かつ3.5eV以下の低仕事関数を有する金属である金属化合物の複合材料を含む電子注入層を含むことを特徴とする有機発光装置を提供する。
【0022】
驚くべきことに、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物若しくは酸化物であって、かつ3.5eV以下の低仕事関数を有する金属である金属化合物の複合材料を含む電子注入層は、十分に安定した実用上信頼性のある状態で電子を有機発光領域に注入することができることが発見された。
【0023】
電子注入層の低仕事関数金属は、好ましくはアルカリ土類金属である。アルカリ土類金属中、マグネシウムとベリリウムは本発明の使用には高すぎる仕事関数を有している。ラジウムは、その放射性半減期のために実用的に適した選択ではない。カルシウム及びベリリウムは、低仕事関数金属として好ましい。低仕事関数金属は、3.5eV以下、好ましくは3.2eV以下、より好ましくは3eV以下の仕事関数を有し、最も好ましくは2.5−3eVの仕事関数を有するが、2eVまでの仕事関数を有することができる。
【0024】
電子注入層の金属化合物は、アルカリ金属又はアルカリ金属ハロゲン化物若しくは酸化物である。この金属化合物の金属は、典型的には、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム、又はバリウム若しくはカルシウムであり、リチウムが好ましい。これらの化合物のなかで、フッ化リチウムが特に好ましい。
【0025】
低仕事関数金属:金属化合物の割合は、水晶厚みセンサーを使用して蒸着の間の体積比において、通常10:1までであり(例えば、1:1〜10:1の範囲)、好ましくは5:1までであり(例えば、1:1〜5:5の範囲)、より好ましくは3:1までである(例えば、1:1〜3:1)。金属化合物及び低仕事関数金属の組み合わせ、及びその割合は、まっすぐで製造上の信頼性があり、作動中相対的に安定した電子注入層を提供する。電子注入層は、低仕事関数の金属と金属化合物の電子注入特性の結合した影響のために有機発光層中に電子を注入するのに相対的に効率がよく、有機発光層によって広く受け入れられる。本発明の共蒸着された電子注入層は、電子発光層に直接接触する金属化合物の量が少ないためLiF/Caのような従来の2層電子注入層の欠点有しない、電子注入層のエネルギーレベルは、電子を緑及び青色発光層に注入するための使用によく適合する。
【0026】
本発明の電子注入層は電子を赤、緑及び青色発光材料に注入することができるため、本発明のカソードは有機発光装置において「共通カソード」として使用することができる。本発明のこの側面によれば、有機発光領域が赤、緑及び青色発光材料の区別されたサブピクセルを含む有機発光装置が提供される。カソードは電子を各サブピクセルに注入する。これは、多色有機発光装置の作製を極めて容易にする。共通カソードを有する多色及びフルカラーディスプレイの作製は当業者に明らかである。例えば、インクジェット印刷フルカラーディスプレイは、Synth.Metals2000,111−112,p.125−128に開示されている。
【0027】
電子注入層は、通常、1〜100nm、好ましくは、2〜10nmの厚さを有する。ある設計においては、カソードは透明であることが要求され、したがって材料と厚さはそのように選択されなければならない。他の設計においては、アノードが透明である。OLEDは観察者に光を放出する必要があるのはそれが組み込まれる製品に依存する。電子注入層は、これら成分の共蒸着又は共蒸発を含む従来の方法によって適用される。
【0028】
典型的には、カソードは、電子注入層を酸素、水及び他の反応性材料のような環境反応物から保護するためにキャップ層をさらに有する。キャップ層は、電源に接続できるように電気的に導電性であることがしばしば有利である。従来のキャップ層は、高い仕事関数を有する金属及びこれらの合金又は特定の金属の酸化物を含む。アルミニウムは、カプセル層として好ましい材料である。キャップ層は50〜1000nmの範囲の厚さを有する。
【0029】
アノードは従来の材料から構成することができ、通常、4.3eVより大きな仕事関数、通常、約4.8eVの仕事関数を有する。従来のアノード材料は、錫酸化物、金又はプラチナのような高仕事関数金属、及びインジウム錫酸化物(ITO)を含む。インジウム錫酸化物が好ましい。
【0030】
有機発光領域は、電子発光ポリマー、電子発光デンドリマー、電子発光低分子又は電子発光性のこれらのくみあわせのような適切な有機発光材料を含むことができる。有機発光材料は、通常、その層として適用又は形成される。
【0031】
低分子発光材料は、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(US4539507においてalq3として記載される)を含む。これらの材料は、通常、OLEDにおける有機薄膜として蒸着される。他の低分子発光体は、例えば、J.Appl.Phys.1989,65(9),3610−3616に開示されるホスト材料−ドープ材料系に一部として通常ポリマーであるホスト材料中に蒸着される。
【0032】
電子発光ポリマーは、ポリ(パラーフェニレンビニレン)(PPV)を含むポリアリーレンビニレンのようなPCT/WO90/13148に記載されるものを含む。他の材料は、ポリ(2−メトキシ−5(2’−エチル)ヘキシロキシフェニレン−ビニレン)(“MEH−PPV”)、1又は2以上のPPV−誘導体(例えば、ジ−アルコキシ又はジ−アルキル誘導体)、ポリフルオレン区域を組み込むポリフルオレン及び/又はコポリマー、PPVs及び関連コポリマー、ポリ(2,7−(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン)(“F8”)、ポリ(2,7−(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン)−(1,4−フェニレン((4−セクブチルフェニル)イミノ)−1,4−フェニレン))(“F8−TFB”)、ポリ(2,7−(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン)−(1,4−フェニレン((4−メチルフェニル)イミノ)−1,4−フェニレン((4−メチルフェニル)イミノ)−1,4−フェニレン))(“F8−PFM”)、ポリ(2,7−(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン)−(1,4−フェニレン((4−メトキシフェニル)イミノ)−1,4−フェニレン−((4−メトキシフェニル)イミノ)−1,4−フェニレン))(“F8−PFMO”)又は(2,7−(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン)−3,6−ベンゾチアジアゾール)(“F8BT”)を含む。
【0033】
OLEDにおけるこれらポリマー層を形成する方法は従来技術として知られている。
【0034】
電子発光デンドリマーはOLEDにおける有機発光層の使用が知られている。このようなデンドリマーは好ましくは次の一般式を有する。
【0035】
核−[デンドライト]n
上記式において、核は、金属陽イオン又は金属イオンを含む基を表し、nは1又は2以上の整数を表し、各デンドライトは、同じか異なり、アリール基及び/又はヘテロアリール基又は窒素及び、選択的に、(ヘテロ)アリールビニル及びアセチレニル基のsp又はsp混成原子によって、N及び(ヘテロ)アリール基の間の単一結合によって結合されたビニル又はアセチレニル基を含む固有の少なくとも部分的に共役された樹枝状構造を表し、核は、2以上の共役樹枝状分岐が付着している(ヘテロ)アリール基のSP2混成環原子に結合している最初の単一結合において終結し、前記環状炭素又は窒素原子がデンドライトの一部を形成する。
【0036】
発光は、通常、デンドライトの核から供給され、発光はWO99/21935に開示される蛍光又はWO02/066552に開示される燐光である。
【0037】
選択的に、有機発光装置は、前記アノードと前記有機発光領域の間に正孔輸送層を含む。このような層は、アノードから発光層への正孔注入を助ける。有機正孔輸送材料の例は、EP0901176及びEP0947123に開示されるPEDT/PSS又はUS5723873及びUS5798170に開示されるポリアリーレンを含む。PEDT/PSSはポリスチレンスルフォン酸ドープポリエチレンジオキシチオフェンである。他の正孔輸送材料は、PPV及びポリ(2,7−(9,9−ジ−n−オクシチルフルオレン)−(1,4−フェニレン−(4−イミノ(ベンゾ酸))−1,4−フェニレン−(4−イミノ(ベンゾ酸))−1,4−フェニレン))(BFA)及びポリアニリンを含む。
【0038】
他の側面において、本発明は、カソード、アノード、前記カソードとアノードの間の有機発光領域を含み、前記カソードは、3.5eV以下の仕事関数を有する低仕事関数金属及び前記低仕事関数金属と共蒸着される透明材料を含む有機発光装置を提供する。
【0039】
本発明によれば、分離されたバッファー層とカソード材料を有するカソード構造は低仕事関数金属とバッファー層として機能し得る透明材料の複合材料からなる単一層に替えることができる。このようにして、分離されたバッファー層の必要性はなくなる。本発明は、透明カソードの使用が必須である上面発光装置に特に応用可能である。
【0040】
複合材料の低仕事関数金属は、好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属である。アルカリ土類金属の中では、マグネシウム及びベリリウムは本発明の使用には高すぎる仕事関数を有する。ラジウムは、その放射性半減期のため実用上の使用には適さず、好ましい選択ではない。アルカリ金属の中では、リチウムが好ましい。低仕事関数金属は3.5eV以下の仕事関数を有し、好ましくは3.2eV以下、より好ましくは3eV以下を有する。低仕事関数金属は、2eVまで低くすることができるが、最も好ましくは、2.5〜3eVの範囲である。ある条件下では、低仕事関数金属は、複合材料における低仕事関数金属の供給源となる低仕事関数金属化合物又は合金として供給することができる。
【0041】
透明材料は、低仕事関数金属と共に共蒸着されなければならない。通常、これは、透明材料が低仕事関数金属と共に共蒸発できることを要求する。透明材料は、透明金属化合物、周期律表のIV族からの元素の化合物、又は誘電化合物を含むことができる。金属化合物の金属は、周期律表のI、II及びIII族から選ばれる金属又は遷移金属であることができる。このような化合物は、ハロゲン化物、酸化物、硫化物、窒化物又は酸窒化物、好ましくはフッ化物である。有用な化合物としては、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、酸化リチウム、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化シリコン、硫化亜鉛、窒化シリコン及び酸窒化シリコンがあげられる。
【0042】
複合材料の透明性に依存して、好ましくは、5nm〜200nm、より好ましくは10nm〜100nm、最も好ましくは20nm〜50nmの厚さを有する。より透明な複合材料は、より厚くすることができる。複合材料の透明性は、厚さ及びその複合材料、特に、低仕事関数金属の構成要素の透明性及び透明材料の透明性に依存する。さらに、複合材料の構成要素間の物理的又は化学的相互作用は透明性に影響を与える、好ましくは、装置における複合材料の透明性は、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%である。透明バッファー層は、通常、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは90%、最も好ましくは少なくとも95%(50nmの厚さで測定時)である。
【0043】
上記で定義した透明性の範囲は、全ての可視波長にわたって、通常、400〜700nmに適合することが特に好ましい。
【0044】
低仕事関数金属:透明バッファー材料の容積比は、好ましくは5〜80、より好ましくは10〜60である。
【0045】
本発明の実施態様において、透明バッファー材料に対する低仕事関数金属の体積比は発光領域からの距離の方向のカソードの厚さに沿って低下する。この実施態様において、発光領域に適用される複合材料が低仕事関数金属の高い濃度を有するような(バッファー材料が無い場合から始まって)、低仕事関数金属と透明バッファー材料の共蒸着の配置を可能にする。構成要素の比率は時間と共に変化し、蒸着の最後のプロセスでは、複合材料は透明バッファー材料が支配的(又は独占的)である。これは、蒸着装置をプログラムすることによって達成される。複合材料の厚さを通した複合材料の構成要素の比率の変化は、ITOのような導電性透明層がスパッタされる場所の表面にバッファー材料の高濃度層が存在できるという利点を有する。この実施態様によれば、カソードの厚さ方向にわたって複合材料構成要素の比率の滑らかな変化が可能となる。
【0046】
有機発光装置が上面発光装置を含む場合、アノードを通しての発光はほとんど又は全く予期されないし望まれない。1つの態様において、カソードを通じて装置の発光層から放出された光を反射するように設計されたミラーを含む基板上にアノードが供給される。アクティブマトリックス背面が基板の他面に供給される。
【0047】
本発明の複合材料は電子を赤、緑及び青色発光材料に注入することができるので、カソードは有機発光装置において共通カソードとして使用される。本発明のこの側面によれば、有機発光領域が赤、緑及び青色発光材料の区別されたサブピクセルを含む発光装置が提供される。カソードは電子を各サブピクセルに注入する。この方法において、分離したカソードが電子を各サブピクセルに注入する必要性がない。これは、多色有機発光装置の製造を大きく簡略化する。共通カソードを有する多色及びフルカラーディスプレイの製造は当業者に自明である。例えば、インクジェット印刷されたフルカラーディスプレイは、Synth.Metals.2000,111−112,p.125−128に開示されている。
【0048】
一般的に、カソードは、発光領域から最も遠い複合材料の側面に電気的に接触する透明導電層をさらに含む。透明導電層の目的は、カソードを横切って縦の導電性を提供することにある。透明導電層は、通常、10nm〜100nmの厚さ、透明性が少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%を有する。好ましい透明導電層は透明導電酸化物、特にITO層である。
【0049】
装置は、好ましくは、湿気及び酸素の侵入を防ぐためカプセル化(図示しない)される。適切なカプセルは、ガラスシート、例えば、WO01/81649に開示されるポリマーと誘電体の交互積層のような適切な遮断特性を有する薄膜、例えば、WO01/19142に開示される気密容器を含む。基板又はカプセルを貫通する湿気及び/又は酸素の吸収用材料は基板とカプセルの間に配置される。
【0050】
他の側面において、次の工程を含む上記に定義される有機発光装置の製造プロセスを提供する。その部分がアノード及び有機発光領域を含む装置の部分を提供し、及び、(i)3.5eV以下の仕事関数を有する低仕事関数金属、及び(ii)前記発光領域上に透明な複合材料を形成する。
【0051】
ITOのように透明酸化物電極の透明導電層がスパッタリングにより複合材料に適用される場合、複合材料は、カソード及びその下層を損傷から保護するバッファー特性を有する。
【0052】
本発明の他の側面によれば、第1電極、第2電極、前記第1電極と第2電極の間に位置するピーク発光波長を有する有機発光材料を含む有機発光層を含み、前記電極の少なくとも1つは透明であり、電荷注入金属と前記電荷注入金属と共蒸着できる他の材料の複合材料を含み、他の材料は前記電荷注入金属の屈折率とは異なる屈折率を有し、前記他の材料は前記電荷注入金属よりピーク発光波長において低い程度のクエンチを有し、前記少なくとも1つの電極による励起子のクエンチは減少されており、前記電荷注入金属は3.5eV以下の仕事関数を有する低仕事関数金属又は4.5eV以上の仕事関数を有する高仕事関数金属を含む。
【0053】
本発明の1つの態様によれば、アノード、カソード、前記アノードとピーク発光波長を有する有機発光材料を含むカソードの間に位置する有機発光領域を含む有機発光装置が提供され、前記カソードは透明であり、3.5eV以下の仕事関数を有する低仕事関数金属と前記低仕事関数金属と共蒸着できる他の材料を含み、前記他の材料は前記低仕事関数金属の屈折率とは異なる屈折率を有し、前記他の材料は前記低仕事関数金属よりピーク発光波長における低い程度のクエンチを有し、これによって前記カソードによる励起子のクエンチが低減されている。
【0054】
本発明の他の態様によれば、アノード、カソード、前記アノードとピーク発光波長を有する有機発光材料を含むカソードの間に位置する有機発光領域を含む有機発光装置が提供され、前記アノードは透明であり、4.5eV以上の仕事関数を有する高仕事関数金属と前記高仕事関数金属と共蒸着できる他の材料を含み、前記他の材料は前記高仕事関数金属の屈折率とは異なる屈折率を有し、前記他の材料は前記高仕事関数金属よりピーク発光波長における低い程度のクエンチを有し、これによって前記アノードによる励起子のクエンチが低減されている。
【0055】
本発明の発明者は、透明金属電極に関連するクエンチの量は前記金属の屈折率に依存し、クエンチが低減されるような屈折率を有する透明電極に使用される金属を選択するのに有利であることを認識した。しかしながら、電極の材料は主としてその電気的特性、特に、電子(カソード)又は正孔(アノード)を発光層に注入できる能力によって選択される。したがって、これら電極材料の変更はクエンチを低減する一方で、装置の電気的特性は悪影響を受ける。したがって、単に電荷注入に最適な金属材料に換えるのではなく、本発明に基づいて、これら材料を保持しつつ、複合材料が低いクエンチをもたらすように他の材料との複合材料の形で供給される。したがって、本発明は良好な電荷注入特性と良好な光の結合を提供する。
【0056】
本発明は、L.H.Smith et al.において提案されているように、励起子を再配置する装置構造の変更を必要とせずにクエンチを低減する。さらに、本発明は、Wedge et al.and Hobson et al.に開示されるような周期的ミクロ構造に必要性もなく、クエンチを低減する。本発明は、Lossy及びSPモードの両者によるクエンチを低減する。これは、電極に使用される材料の光学特性を変えることによってこれらモードが近づくのを防止することによって達成される。これは、これらモードが近づく従来技術の構造と対照的であるが、ミクロ構造によって実質的に発光モードに結合するものである。このような構造は、短いLossyモードを発光モードに結合するのに適さない。
【0057】
発光波長、屈折率及びクエンチモードを支える能力などの光学特性は機能的効果ではなく材料特性である。したがって、本発明の実施例を提供するための光学特性に応じて有機発光装置を構成するための材料が選ばれる。適切な有機発光材料、電荷注入金属及びクエンチを低減するための材料を選ぶ方法を次に示す。
【0058】
本発明の実施例の透明電極に使用される特定の材料は、クエンチモードへの励起子の結合が波長依存性であるため、使用される特定の発光体に依存する。Hobson et al.(1394頁、右欄、4〜7行参照)に述べられているように、放射性崩壊からからの発光がクエンチモードに失われる度合いを計算するに適切なモデルがうまく確立されている。このようなモデルを使用して、特定の発光波長のクエンチのための量が、実際の構成要素の屈折率(n)及び複合体の屈折率(k)に対して計算されプロットされる(このようなプロットの例は、図5に示されている)。適切な電極材料の屈折率をプロットに重ね合わせることにより、注入金属のクエンチモードへの結合を低減させるための電荷注入金属と他の材料を選択する。特に、他の材料は、電荷注入金属より低い度合いのクエンチを有すべきであり、したがって、電荷注入材料と比較して低いプロット曲線となる。したがって、例えば、カルシウムは良好な電荷注入金属であり、図5に示されるプロット曲線においてクエンチのピークの近くにある。アルミニウムは、クエンチのピークより離れているのでクエンチを低減するために複合材料中の他の材料として選ぶことができる。
【0059】
本発明の出願人は、本発明の実施例において、透明電極に選択される特定の材料は電極からの発光双極子の距離に敏感でないことを発見した。クエンチの絶対値は電極からの距離によって変化し、異なる材料によるクエンチの相対的な度合いは発光双極子の距離に敏感である。
【0060】
複合材料電極層は公知文献に開示されているが、クエンチを低減する適切な屈折率を有する材料を開示していない。例えば、公知文献に開示されるMg:Ag合金は、Mgを電子注入材料として、Agを導電性特性のために利用する。しかしながら、図5に示されるように、Agは実際にMgによるクエンチを増加させる。さらに、Mgの注入特性は、材料のやや高い仕事関数のため特別よいというわけではない。
【0061】
異なる屈折率を有する他の材料の共蒸着の影響は、電荷注入金属(カソードには低仕事関数、アノードには高仕事関数)の光学特性をシフトさせる。理想的には、金属及び他の材料は、複合材料中で密接に混合されるように共蒸着されるべきである。もし複合材料が、電荷注入材料の塊を含むようなばらつき状態であると、クエンチモードに寄与するこれら塊のためにクエンチが生じる可能性がある。金属と他の材料は複合材料のいたるところで混合される。あるいは、金属と他の材料の濃度は複合材料を通して変化し、その場合、複合材料の光学特性は複合材料のバルク特性によるので、複合材料はその電荷注入金属及び/又は他の材料の濃度勾配がなめらかなものであるべきである。
【0062】
本発明の実施態様の複合材料中の電荷注入材料の割合も重要である。もしこの割合が高すぎると、複合材料のバルク特性は注入金属の特性から十分に除去されておらず、クエンチモードが生じやすい。逆に、電荷注入金属の割合が低すぎると、電荷注入は悪影響を受ける。この点において、公知の透明カソードにおいて利用される5nmの厚さの典型的な電荷注入層は注入の限界ではないことを注目すべきである。すなわち、電荷注入材料量の減少が直ちに電荷注入の減少には結びつかない。したがって、これら材料の合金化は必ずしも注入特性の減少とはならない。しかしながら、電荷注入金属の量が過剰に削減されると、電荷注入金属の量が注入限界になると電荷注入は減少し始める。
【0063】
クエンチを低減するために複合材料に使用される材料は誘電化合物であり得る。k=0の誘電材料は、図5に示されるグラフの底辺軸に沿う。有利には、誘電化合物は前述した種類の透明材料である。しかしながら、金属と化合物の共蒸着の1つの問題は、注入金属より低い反応性を有する金属酸化物が利用されるならば、例えば、酸素の移転によって、化合物が金属と反応することである。したがって、化合物が使用されるならば、化合物はより反応性の高い金属からなり、その金属は電荷注入に利用されるという利点を有する。
【0064】
あるいは、金属材料は、合金を形成するために、電荷注入材料金属と共蒸着される他の材料として利用することができる。
【0065】
本発明は、アノード及びカソードに応用できるが、金属材料は良好な電子注入材料であるので、実施例は主として透明電極のために利用される。これに対して、クエンチモードの問題が生じないITOのような良好な非金属透明電極は既に存在している(金属材料のみがこのクエンチモードを生じさせる)。
【0066】
電極は、上述した複合電荷注入層と組み合わせて他の層を含むことができる。例えば、二層を形成するために追加の導電性キャップ層が供給される。好ましくは、このキャップ層は、装置の寿命を延ばす電極の安定性を増加させるために低反応性の高仕事関数材料である。例えば、アルミニウム、銀又はITOが使用できる。このような2層構造においては、反射のような遠い−場光学効果が厚いキャップ層によって支配され、クエンチのような近い−場光学効果が薄い電荷注入層によって支配される。
【0067】
バッファー層が3層構造を形成するために導電性キャップ層と複合材料注入層の間に供給される。バッファー層は、スパッタリング(例えば、スパッタリングITO)のような高エネルギープロセスによって導電性キャップ層を蒸着するとき下層を保護することができる。しかしながら、追加の層は電極の物理的/電気的特性を改良することができるが、電極の透明性は低下することに気をつけなければならない。さらに、追加の金属層はクエンチモードの原因となる追加の金属境界をもたらす。本発明の1つの有利な実施態様においては、複合材料に利用される他の材料は、バッファー層として機能するのに適切な厚さを供給し追加のバッファー層の必要性がないように十分に透明である。
【0068】
分離された多層の製造の代替として、他の配置において、複合材料中の電荷注入金属と他の材料の濃度は変化し得る。例えば、発光層に一番近い複合材料に側では電荷注入材料の濃度が高く、発光層より最も遠い複合材料側では端材料の濃度が高くなるように共蒸着プロセスはコントロールされる。これは、電極の電気特性を改良するために追加のキャップ層が必要ないほど他の材料の導電性が高いと特に有利である。さらに、このような配置においては、発光層の最上面層とキャップ層の間の境界は除去され、したがってこの境界における潜在的なクエンチモードを回避できる。
【0069】
材料層の間のゆるやかな勾配による境界は発光層の近くに位置した多層電極構造を含む金属中の発光の光学的クエンチを減少させる。金属/誘電体境界に典型的に存在するSuraface Plasmonモードは、これら境界の十分近くに位置する発光双極子の非−放射性再結合(クエンチ)に寄与する。また、金属/誘電体境界及び金属/金属境界におけるSurface Plasomon共鳴から少ない程度に共に離れたLossyモードは、光学的損失に寄与する。このようなクエンチ効果は、これら境界における光学的場が強い場所、例えば、金属層を含む多層カソード構造を通じて光が伝播する上面発光装置において増強される。このような勾配の境界はこれらSurface Plasmon及びLossyモードの強度を十分に減少させる。
【0070】
例えば、ガラス/金属アノード/有機層/Ba/Ag/キャップ層の構造を有する「上面発光装置においては、Suraface Plasmonモード及び類似のLossyモードは有機層/Ba、Ba/Ag及びAg/キャップ境界において生じる。これらは全て装置内のクエンチ効果に加わる。勾配、例えば、Ba/Agカソード境界はこの強化のために実質的にクエンチを減少又は除去する。
【0071】
透明カソードとしては、好ましくは複合材料層は、Al,Ag,Mg又はCrと合金化されたBa又はCaを含む。Ybは、高価であり貧弱な装置寿命をもたらすその低仕事関数のために装置内で不安定であるので好ましくない。
【0072】
本発明の他の側面によれば、(i)3.5eV以下の低仕事関数金属又は4.5eV以上の高仕事関数金属、及び(ii)前記金属に関係するモードによる励起子のクエンチを低減するための残貴金属と異なる屈折率を有する材料の共蒸着によって少なくとも1つの電極を提供する(a)ことを含む上記の有機発光装置を製造するプロセスが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
次に、実施例によって、本発明を具体的に説明する。
【0074】
実施例1
図3を参照すると、PEDT/PSS(図示しない)層が、HC Starck of Leverkusen,Germanyから入手可能なBaytron P(RTM)のフォーミュレイションをガラス基板11(Applied Films,Colorado,USAから入手可能)上に支持されたインジウム錫酸化物アノード12上にスピンコートにより蒸着される。PEDT/PSS層は電子発光有機材料14の薄膜層で覆われている。有機材料は、WO01/49768に開示される9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール1−4,7−ジイル及び4,7−ビス(2−チエン−5イル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾールの繰り替えし単位を含む赤色発光コポリマーである。BaF及びCa又はBaの複合材料層は、有機層13上への電子ビーム共蒸発、熱共蒸発又は共スパッタリングによって共蒸着される。アルミニウムのキャップ層15は電子ビーム蒸発、熱共蒸発又はスパッタリングによって適用される。最終的に、装置は、密封シールを形成するために、基板に固着されるSaes Getters SpA(図示しない)から入手されている金属封入を使用してカプセル化される。
【0075】
実施例2
標準的なリソグラフィー技術、すなわち、サブピクセルウェルへのPEDT/PSSのインクジェット印刷、並びに赤、緑及び青色サブピクセルのためのそれぞれ赤、緑及び青色電子発光材料のイックジェット印刷によって、EP0880303に記載されるプロセスによおてフルカラーディスプレオが形成される点を除いて上記プロセスが繰り返される。
【0076】
本発明の装置は、低仕事関数金属及び電子注入金属化合物の存在によってOLEDの有機層に良好な電子注入を提供し、同時に、金属のマトリックス中に固定され、これによって装置の有機層中に混合しにくい金属化合物によって、低仕事関数金属/金属化合物の2層に比較して高い安定性を提供する。
【0077】
実施例3
図4は、本発明の上面発光OLEDの断面図を輪郭だけ示したものである。ITOのようなアノード材料はアクティブマトリックス背面31上に配置される金属ミラー上に配置される。正孔輸送材料36はPEDT/PSSであり、アノード32(ITO)と発光層33の間に配置される。選択的に、追加の中間層37が電子注入層と発光層の間に適用される。
【0078】
カソード/バッファー層34が結合した複後材料は、電子ビーム共蒸発又は熱的共蒸発によって発光層33上に蒸着される。インジウム錫酸化物層39が複合材料層上にスパッタリングによって蒸着される。最後に、酸素及び湿気の装置への侵入を防止するために透明カプセル層(図示しない)がITO層上に適用される。カプセル層は通常、誘電又はポリマー/誘電複合材料である。
【0079】
透明度の測定
第1の測定法によれば、共蒸発によって洗浄された0.7mm透明ガラス基板上に複合材料が蒸着される。蒸発に続いて、酸素及び湿気に敏感なBa金属が大気中にさらされるのを避けるために、蒸発装置に連続するグラブボックスに移転される。
【0080】
He−Ne635nmレーザーダイオード及びシリコンフォトダイオードを使用してグラブボックス中でガラス上の複合材料の透明度が測定される。ガラスの透明度も測定され、複合材料のみの透明度がガラス上の複合材料の透明度を透明ガラスの透明度で割ることによって計算される。
【0081】
第2の測定法によれば、複合材料を酸素及び湿気にさらすのをさらに最小化するために複合材料上に酸化シリコン層が蒸着され、割合計算のために透明ガラスの透明度の代わりにガラス上の酸化シリコン層の透明度が測定される点を除いて第1の測定法が繰り返される。
【0082】
装置の作成
青色装置
Baytron P(登録商標)としてHC Starck of Leverkusen,Germanyから入手可能なポリ(スチレンスルフォナト)(PEDT/PSS)をスピンコートによりガラス基板(Applied Films,Colorado,USAより入手可能)上に支持されたインジウム錫酸化物上に蒸着される。F8−TFBの正孔輸送層がPEDT/PSS上にキシレン溶液からスピンコートによって約10nmの厚さまで蒸着され、180℃で1時間加熱される。WO03/095586に開示される青色電子発光ポリマーがF8−TFB層の上にキシレン溶液からスピンコートにより約65nmの厚さを有する電子発光層を形成するように蒸着された。30nmの厚さのBa:BaFの複合材料層が、望ましい厚さに達するまで(例えば、Ba又はBaFのいずれかの現存する容量が蒸着されたときに共蒸着が終了する)BaとBaFの同じ速度による共蒸着により形成される。50nmの厚さのITO層はスパッタリングにより複合材料層上に形成される。最後に、装置がガラス板の中心内に形成されたキャビティ内に配置されるように装置を覆うようにガラス板をかぶせ、ガラス板を基板に固着させることによって装置は外気から遮断される。
【化1】

【0083】
カソードを通して発光する光を最大化するため、反射層が基板上に供給される。
【0084】
赤色装置
発光層が、50モル%の9,9−ジ−n−オクチルフルオレン−2,7−ジイル、17%の“TFB”繰返し単位(下記に図示される)、30モル%の1,3,2−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル、及び3モル%の4,7−ビス(2−チオフェン−5−イル)−1,3,2−ベンゾチアジアゾールを含む赤色電子発光ポリマーから形成される点を除いて、青色装置のプロセスにしたがって装置を形成することができる。このタイプの材料はWO00/46321及びWO00/55927に開示されている。
【化2】

【0085】
緑色電子発光装置
電子発光層が、例えば、WO00/55927及びWO00/46321に開示されるような緑色電子発光ポリマーから形成される点を除いて青色装置のプロセスにしたがって装置を形成することができる。
【0086】
フルカラー装置
赤、緑及び青色サブピクセル領域を規定するフォトリソグラフィーによって形成されるインクジェットウェルにPEDT/PSS及びF8−TFB層がインクジェット印刷により蒸着され、続いて、前記赤、緑、青色電子発光ポリマーをインクジェット印刷する点を除いて、青色装置のプロセスにしたがって装置を形成することができる。
【0087】
本発明によれば、カソードを形成するために必要とされる低仕事関数金属の量はこれまで必要とされたものより小さく、より大きな透明度及び同時にカソード層の厚さの増大をまねく。複合材料カソードのバッファー特性はITO透明導電層のスパッタ蒸着の使用を容易にする。加えて、装置の酸素/湿気に敏感な領域にたいする劣化を導く低仕事関数金属の酸化を低減させるようにバッファー層材料を選ぶことができる。
【0088】
実施例4−低SPクエンチカソード
実施例3の青色発光装置は複合材料層中のBaF2の存在のために、低い度合いのクエンチのカソードを有する。これは、バリウムが非常に高い双極子(励起子)クエンチを発生させることを示す図5によって理解される。これに対して、BaFは誘電体であり、したがって、図5における低い軸線のプロットに沿って0の値のKを有する。このようにして、複合材料は、電子注入層としてBa単独を利用するカソードに比較して双極子クエンチの低下をもたらすBaFとBaの中間に位置する双極子クエンチ値を有する。
【0089】
図5からわかるように、Al、Ag,Mg及びCrが低い双極子カップリングを生成するのに対して、2つとも電子注入層として典型的に使用されるBa及びCaは近い場において捕縄に強い双極子クエンチを生成する。したがって、Ba及びBaF複合材の代替として、Ba又はCaとAl,Ag,Mg又はCrとの合金化を利用することができる。例えば、1つの態様として、望まれる厚さに達するまで(例えば、Ba又はAlのいずれかの現存する容量が蒸着されたときに共蒸着が終了する)BaとAlを同じ速度で蒸発させることにより50:50のBa:Alの厚さの層を共蒸着することができる。10nmの厚さのAgが複合材料層の上に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】OLEDの断面構造の概略図を示す。
【図2】上面発光OLEDの典型的な断面構造の概略図を示す。
【図3】本発明の第1の側面のOLEDの断面構造を示す。
【図4】本発明の他の側面のOLEDの断面構造の概略図を示す。
【図5】そこから40nmに位置する双極子のためのカソードの現実の複合屈折率の変化に対する460nmにおけるクエンチ量の変化を示す曲線を示す。
【符号の説明】
【0091】
1 基板
2 アノード
3 電子発光有機材料
4 カソード
11 ガラス基板
12 インジウム錫酸化物アノード
13 電子発光有機材料
14 複合材料層
15 キャップ層
21 アクティブマトリックス板
22 アノード
23 発光層
24 カソード
25 金属ミラー
26 正孔輸送材料
27 中間層
28 バッファー層
29 インジウム錫酸化物(ITO)
31 アクティブマトリックス板
32 アノード材料
33 発光層
34 複合材料層
35 金属ミラー
36 正孔輸送層
37 中間層
39 インジウム錫酸化物層



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極、第2電極、及び前記第1電極と第2電極の間に位置するピーク発光波長を有する有機発光材料を含む有機発光領域を含む有機発光装置であって、
前記電極の少なくとも1つは透明であり、電荷注入金属と前記電荷注入金属と共蒸着できる他の材料の複合材料を含み、前記他の材料は前記電荷注入金属の屈折率とは異なる屈折率を有し、前記他の材料は前記電荷注入金属よりピーク発光波長において低い程度のクエンチを有し、前記少なくとも1つの電極による励起子のクエンチは減少されており、前記電荷注入金属は3.5eV以下の仕事関数を有する低仕事関数金属又は4.5eV以上の仕事関数を有する高仕事関数金属を含むことを特徴とする有機発光装置。
【請求項2】
前記低仕事関数金属はアルカリ土類金属である請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項3】
前記アルカリ土類金属は、カルシウム又はバリウムである請求項2に記載の有機発光装置。
【請求項4】
前記低仕事関数金属はアルカリ金属である請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項5】
前記アルカリ金属はリチウムである請求項4に記載の有機発光装置。
【請求項6】
前記他の材料は化合物である請求項1ないし5のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項7】
前記化合物は金属化合物又は第IV族の化合物を含む透明材料である請求項6に記載の有機発光装置。
【請求項8】
前記化合物はハロゲン化物、酸化物、硫化物、窒化物又は酸窒化物である請求項7に記載の有機発光装置。
【請求項9】
前記金属化合物はフッ化物である請求項8に記載の有機発光装置。
【請求項10】
前記金属化合物はバリウムを含む請求項7ないし9のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項11】
前記複合材料は50nmないし200nmの範囲の厚さを有する請求項6ないし10のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項12】
前記他の材料は金属である請求項1ないし5のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項13】
前記金属はAl、Ag、Mg又はCrの少なくとも1つである請求項12に記載の有機発光装置。
【請求項14】
前記複合材料は3nmないし20nmの範囲の厚さを有する請求項12又は13に記載の有機発光装置。
【請求項15】
前記複合材料は少なくとも60%の装置における透明度を有する請求項1ないし14のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項16】
前記他の材料は50nmの厚さにおいて少なくとも70%の透明度を有する請求項1ないし15のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項17】
前記低仕事関数金属:他の材料の体積比は5ないし80の範囲である請求項1ないし16のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの電極は、前記発光領域から最も遠い複合材料の側面に電気的に接触する透明導電層をさらに含む請求項1ないし17のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項19】
前記透明導電層は透明導電性酸化物層である請求項18に記載の有機発光装置。
【請求項20】
前記透明導電層は金属層である請求項18に記載の有機発光装置。
【請求項21】
前記電荷注入金属:前記他の材料の体積比は、発光領域からの距離において少なくとも1つの電極の厚さにわたって減少する請求項1ないし20のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項22】
上面発光装置である請求項1ないし21のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つの電極はカソードであり、前記他の電極はアノードであり、前記アノードは反射性であるか又は金属ミラーを含む基板上に供給されるものである請求項22に記載の有機発光装置。
【請求項24】
前記基板はアクティブマトリックス背面板を含む請求項23に記載の有機発光装置。
【請求項25】
前記有機発光領域は赤、緑及び青色発光材料を含み、前記少なくとも1つの電極は電子を各サブピクセルに注入する請求項1ないし24のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項26】
前記有機発光領域は発光ポリマー又はデンドリマーを含む請求項1ないし25のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項27】
前記他の材料は前記複合材料中に均一に混合されるか又は滑らかな濃度勾配を有する請求項1ないし26のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項28】
前記他の材料は前記電荷注入金属より反応性の高い金属化合物である請求項1ないし27のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項29】
請求項1ないし28のいずれかに記載の有機発光装置の製造方法であって、透明複合材を形成するために(i)3.5eV以下の低仕事関数金属又は4.5eV以上の高仕事関数金属を含む電荷注入金属、及び(ii)前記注入金属に関係するモードによる励起子のクエンチを低減するための前記注入金属と異なる屈折率を有する材料の共蒸着によって少なくとも1つの電極を提供することを含む有機発光装置を製造方法。
【請求項30】
アノード、カソード、及び前記アノードとピーク発光波長を有する有機発光材料を含むカソードの間に位置する有機発光領域を含む有機発光装置であって、前記カソードは透明であり、3.5eV以下の仕事関数を有する低仕事関数金属と前記低仕事関数金属と共蒸着できる他の材料の複合材料を含み、前記他の材料は前記低仕事関数金属の屈折率とは異なる屈折率を有し、前記他の材料は前記低仕事関数金属よりピーク発光波長における低い程度のクエンチを有し、これによって前記カソードによる励起子のクエンチが低減されていることを特徴とする有機発光装置。
【請求項31】
アノード、カソード、及び前記アノードとピーク発光波長を有する有機発光材料を含むカソードの間に位置する有機発光領域を含む有機発光装置であって、前記アノードは透明であり、4.5eV以上の仕事関数を有する高仕事関数金属と前記高仕事関数金属と共蒸着できる他の材料を含み、前記他の材料は前記高仕事関数金属の屈折率とは異なる屈折率を有し、前記他の材料は前記高仕事関数金属よりピーク発光波長における低い程度のクエンチを有し、これによって前記アノードによる励起子のクエンチが低減されていることを特徴とする有機発光装置。
【請求項32】
カソード、アノード、及び前記カソードと前記アノードの間の有機発光領域を含む有機発光装置であって、前記カソードは3.5eV以下の仕事関数を有する低仕事関数金属の透明複合材料及び前記低仕事関数金属と共蒸着できる透明材料を含むことを特徴とする有機発光装置。
【請求項33】
前記低仕事関数金属はアルカリ土類金属である請求項32に記載の有機発光装置。
【請求項34】
前記アルカリ土類金属はカルシウム又はバリウムである請求項33に記載の有機発光装置。
【請求項35】
前記低仕事関数金属はアルカリ金属である請求項32に記載の有機発光装置。
【請求項36】
前記アルカリ金属はリチウムである請求項35に記載の有機発光装置。
【請求項37】
前記透明材料は金属化合物又は第IV族化合物を含む請求項32ないし37のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項38】
前記化合物はハロゲン化物、酸化物、硫化物、窒化物又は酸窒化物である請求項37に記載の有機発光装置。
【請求項39】
前記金属化合物はフッ化物である請求項38に記載の有機発光装置。
【請求項40】
前記金属はバリウムである請求項37ないし39のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項41】
前記複合材料は50nmないし200nmの範囲の厚さを有する請求項32ないし40のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項42】
前記複合材料は少なくとも60%の装置における透明度を有する請求項32ないし40のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項43】
前記透明材料は50nmの厚さにおいて少なくとも70%の透明度を有する請求項32ないし42のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項44】
前記低仕事関数金属:透明材料の体積比は5ないし80の範囲である請求項32ないし43のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項45】
前記カソードは、前記発光領域から最も遠い複合材料の側面に電気的に接触する透明導電性材料をさらに含む請求項32ないし44のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項46】
前記透明導電材料は透明導電酸化物層である請求項45に記載の有機発光装置。
【請求項47】
前記低仕事関数金属:透明材料の体積比は前記発光領域からの距離においてカソードの厚さにわたって減少している請求項32ないし46のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項48】
上面発光装置である請求項32ないし47のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項49】
前記アノードは反射性であるか又は金属ミラーを含む基板上に供給される請求項48に記載の有機発光装置。
【請求項50】
前記基板はアクティブマトリックス背面板を含む請求項49に記載の有機発光装置。
【請求項51】
前記有機発光領域は赤、緑及び青色発光材料のサブピクセルを含み、前記カソードは電子を各サブピクセルに注入する請求項32ないし50のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項52】
前記有機発光領域は発光ポリマー又はデンドリマーを含む請求項32ないし51のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項53】
請求項32ないし52のいずれかに記載の有機発光装置の製造方法であって、アノード及び有機発光領域を含む装置の部分を供給し、(i)3.5eV以下の仕事関数を有する低仕事関数金属、及び(ii)前記有機発光領域上に透明複合材料を形成するための透明材料を共蒸着することを含む有機発光装置の製造方法。
【請求項54】
スパッタリングによって透明導電層が複合材料に適用される請求項53に記載の製造方法。
【請求項55】
カソード、アノード、及び前記カソードと前記アノードの間の有機発光領域を含む有機発光装置であって、前記カソードはアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物又は酸化物である金属化合物の複合材料を含む電子注入層並びに3.5eV以下の仕事関数を有する低仕事関数金属を含むことを特徴とする有機発光装置。
【請求項56】
前記低仕事関数金属はアルカリ土類金属である請求項55に記載の有機発光装置。
【請求項57】
前記アルカリ土類金属はカルシウム又はバリウムである請求項56に記載の有機発光装置。
【請求項58】
前記金属化合物の金属はリチウム、ナトリウム、カルシウム、セシウム、ルビジウム又はバリウムである請求項55ないし57のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項59】
前記金属化合物の金属はリチウムである請求項58に記載の有機発光装置。
【請求項60】
前記金属化合物がフッ化物である請求項55ないし59のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項61】
前記低仕事関数金属:金属化合物の体積比は10:1までである請求項55ないし60のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項62】
前記カソードは環境反応物質から電子注入層を保護するための導電性キャップ層をさらに含む請求項55ないし61のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項63】
前記キャップ層はアルミニウムを含む請求項62に記載の有機発光装置。
【請求項64】
前記有機発光領域は赤、緑及び青色発光材料を含み、前記カソードは電子を各サブピクセルに注入する請求項55ないし63のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項65】
前記有機発光領域は有機発光ポリマー又はデンドリマーを含む請求項55ないし64のいずれかに記載の有機発光装置。




















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−509537(P2008−509537A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525349(P2007−525349)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003135
【国際公開番号】WO2006/016153
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】