説明

発光装置

【課題】下方により多くの光を出射することが可能な発光装置を提供すること。
【解決手段】発光装置Aは、第1の方向xに凹む凹部10を有するケース1と、凹部10の底部11に配置された光源2と、光源2から出射される光を透過させる材質で形成され、光源を覆うように凹部10に充填された封止部材4と、を備えており、凹部10は、第1の方向xと直交する第2の方向yにおいて、光源2より一方側に形成された第1の反射面12と、光源2より他方側に形成された第2の反射面13とを有しており、第2の反射面13と底部11とが成す角度α2は、第1の反射面12と底部11とが成す角度α1よりも大きいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭上に設置される表示装置に用いられる発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来の発光装置の一例を示している(たとえば特許文献1参照)。同図に示された発光装置Xは、基台91と、光源92と、封止部材93と、電極94とを備えている。光源92は、LED素子である。この発光装置Xは、主に、図5に示すx方向に向けて光を出射するように構成されている。
【0003】
しかしながら、このような発光装置Xを、例えば駅に設置される電光掲示板のように見る人の頭上に設置される表示装置に用いた場合、下方に進む光が少ないため表示が暗く見えることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−266246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、たとえば下方により多くの光を出射することが可能な発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される発光装置は、第1の方向に凹む凹部を有するケースと、上記凹部の底部に配置された光源と、上記光源から出射される光を透過させる材質で形成され、上記光源を覆うように上記凹部に充填された封止部材と、を備えた発光装置であって、上記凹部は、上記第1の方向と直交する第2の方向において、上記光源より一方側に形成された第1の反射面と、上記光源より他方側に形成された第2の反射面とを有しており、上記第2の反射面と上記底部とが成す角度は、上記第1の反射面と上記底部とが成す角度よりも大きいことを特徴とする。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1および第2の反射面は、上記第1の方向において上記光源から遠ざかるほど、上記第2の方向において上記光源から遠ざかるように形成されている。
【0008】
より好ましくは、上記第1および上記第2の反射面は、凹面に形成されている。
【0009】
本発明のさらに好ましい実施の形態においては、上記凹部は、上記第2の方向において上記第2の反射面の他方側に設けられており、上記第2の方向において上記光源から遠ざかるにつれて上記光源から遠ざかるように形成された第3の反射面を有しており、上記第3の反射面と上記底部とが成す角度は、上記第2の反射面と上記底部とが成す角度よりも大きくなっている。
【0010】
より好ましくは、上記光源が、上記第1および第2の方向と直交する第3の方向に沿って一列に並ぶように配置された赤緑青の発光ダイオードからなる。
【0011】
さらにより好ましくは、上記凹部は、上記第1の反射面の上記第2方向における一方側の端部に接する第4の反射面を有しており、上記第4の反射面と上記底部とが成す角度は、上記第1の反射面と上記底部とが成す角度よりも小さくなっている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の発光装置では、上記光源から出射される光のうち、上記第1および第2の反射面によって反射された光は、上記第2の方向において、上記一方側よりも上記他方側により進行しやすくなっている。このため、上記発光装置は、上記第2の方向における上記他方側に向けて比較的多くの光を出射可能となっている。従って、本発明の発光装置を頭上に設置する表示装置に上記他方側を下方となるように組み込んだ場合、上記表示装置は、下から見上げる人にとってより見やすいものとなる。
【0013】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかる発光装置の実施形態の一例を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1に示す発光装置において光源の一方側から出た光が進む光路の例を示す断面図である。
【図4】図1に示す発光装置において光源の他方側から出た光が進む光路の例を示す断面図である。
【図5】従来における発光装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図4には、本発明にかかる発光装置の実施形態の一例を示している。図1〜図4に示す発光装置Aは、ケース1、光源2、リード群3、および、封止部材4を備えている。さらに、図1〜図4には、互いに直交する、第1の方向x、第2の方向y、および、第3の方向zを示している。またさらに、図3および図4では、光源2の第2の方向yの一方側または他方側から出射された光の進む光路を示している。
【0016】
ケース1は、図1および図2に示すように、全体として直方体状であり、第1の方向xにおいて凹む凹部10を備えている。この凹部10は、第3の方向zにおいて一定幅を有しており、第3の方向zに沿って一様の断面を有している。このケース1は、たとえば、白色樹脂で形成されている。
【0017】
凹部10は、平坦な底部11および第1〜4の反射面12,13,14,15を有している。底部11は、第1の方向xに対して垂直な長方形状の平坦な面に形成されている。第1の反射面12は、底部11の第2の方向yにおける一方側に形成されている。第2の反射面13は、底部11の第2の方向yにおける他方側に形成されている。第3の反射面14は、第2の反射面13の第2の方向yにおける他方側に形成されている。第4の反射面15は、第1の反射面12の第2の方向yにおける一方側に形成されている。
【0018】
第1の反射面12は、図3に示すように、光源2の第2の方向yの一方側から出射された光を第2の方向yにおいて他方側に向けて反射するように形成されている。
【0019】
第2の反射面13は、図4に示すように、光源2の第2の方向yの他方側から出射された光を第2の方向yにおいて他方側に向けて反射するように形成されている。
【0020】
第1の反射面12および第2の反射面13は、凹面に形成されている。図2には、第1の反射面12の第2の方向yにおける両端を結ぶ2点鎖線12aと、第2の反射面13の第2の方向yにおける両端を結ぶ2点鎖線13aとを示している。本実施形態では、第1の反射面12と底部11とが成す角を底部11と2点鎖線12aとが成す角α1とみなす。また、第2の反射面13と底部11とが成す角を底部11と2点鎖線13aとが成す角α2とみなす。なお、角α2は角α1よりも大きくなっている。
【0021】
第3の反射面14と底部11が成す角は、底部11と平行な2点鎖線11aと第3の反射面14とが成す角α3と等しくなっている。この角α3は角α2よりも大きくなっている。この第3の反射面14は、たとえば、封止部材4と外気との境界で全反射した光を反射し、封止部材4の外側に出射させるために設けられている。
【0022】
第4の反射面15は、底部11に対して垂直な面となるように形成されている。
【0023】
リード群31は、底部11においてその一部がケース1から露出する4本のリード31,32,33,34からなる。リード31,32,33は、底部11から第2の方向yにおいて他方側に向かって長く延びている。リード31,32,33の第2の方向yにおける他方側の端部は、ケース1の外部へ延出し、外部電源に接続するための端子となっている。リード34は、底部11から第2の方向yにおいて一方側に向かって長く延びている。リード34の第2の方向yにおける一方側の端部は、ケース1の外部へ延出し、外部電源に接続するための端子となっている。
【0024】
光源2は、第3の方向zに沿って一列に並ぶ青色の発光ダイオード(LED)21、緑色のLED22、赤色のLED23によって構成されている。LED21,22,23は、第1の方向xにおける高さが揃うようにそれぞれリード31,32,33に設置されている。さらに、LED21,22,23は、ワイヤを用いてそれぞれリード34と導通接続されている。なお、図2〜図4においては、ワイヤを省略している。
【0025】
封止部材4は、光源2およびリード群3の露出部を覆うように凹部10に充填された透明樹脂である。
【0026】
次に、このような発光装置Aの作用について説明する。
【0027】
本実施形態によれば、図3に示すように、光源2の第2の方向yにおける一方側から出射された光の大部分は、第1または第4の反射面12,15によって反射される。図3によると、第4の反射面15により反射された光は、第2の方向yにおける他方側に向けて進行する。また、第1の反射面12により反射された光は、第2の方向yにおいて他方側に偏りつつ第1の方向xに沿って進行する。一方、図4に示すように、光源2の第2の方向yにおける他方側から出射された光はほぼ全て第2の方向yにおける他方側に向けて進行している。
【0028】
以上のことから、発光装置Aは、第2の方向yにおける一方側に向けて出射する光を減らし、他方側に向けて出射する光を増やすことができる。このため、発光装置Aは、たとえば、駅に設置される電光掲示板のように上方に光を出射する必要性が低く、下方により多くの光を出射する必要性が高い表示装置に用いるのに適している。
【0029】
さらに、本実施形態によれば、光源2からの光をより効率よく必要な方向に向けて出射しているため、光源2の光量を小さくしても、必要な方向に十分な光を出射することが可能である。このため、発光装置Aは、省エネ化を図りやすくなっている。
【0030】
さらに、本実施形態によれば、第3の反射面14は、封止部材4の表面に対して傾斜している。このため、封止部材4と外気との境界で全反射して封止部材4の内部に戻った光であっても、上記第3の反射面14で反射することにより進行方向が変化し、封止部材4の外部へ出射されることがある。従って、発光装置Aでは、光源2からの光を、より効率よく利用可能であり、より省エネ化を図りやすくなっている。
【0031】
本発明に係る発光装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る発光装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。たとえば、LED22が、第2の方向yにおいてLED21,23よりも他方側に配置されていても構わない。
【符号の説明】
【0032】
A 発光装置
x 第1の方向
y 第2の方向
z 第3の方向
1 ケース
2 光源
3 リード群
4 封止部材
10 凹部
11 底部
12 第1の反射面
13 第2の反射面
14 第3の反射面
15 第4の反射面
21 (青色)発光ダイオード(LED)
22 (緑色)発光ダイオード(LED)
23 (赤色)発光ダイオード(LED)
31,32,33,34 リード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に凹む凹部を有するケースと、
上記凹部の底部に配置された光源と、
上記光源から出射される光を透過させる材質で形成され、上記光源を覆うように上記凹部に充填された封止部材と、
を備えた発光装置であって、
上記凹部は、上記第1の方向と直交する第2の方向において、上記光源より一方側に形成された第1の反射面と、上記光源より他方側に形成された第2の反射面とを有しており、
上記第2の反射面と上記底部とが成す角度は、上記第1の反射面と上記底部とが成す角度よりも大きいことを特徴とする、発光装置。
【請求項2】
上記第1および第2の反射面は、上記第1の方向において上記光源から遠ざかるほど、上記第2の方向において上記光源から遠ざかるように形成されている、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
上記第1および上記第2の反射面は、凹面に形成されている、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
上記凹部は、上記第2の方向において上記第2の反射面の他方側に設けられており、上記第2の方向において上記光源から遠ざかるにつれて上記光源から遠ざかるように形成された第3の反射面を有しており、
上記第3の反射面と上記底部とが成す角度は、上記第2の反射面と上記底部とが成す角度よりも大きくなっている、請求項1ないし3のいずれかに記載の発光装置。
【請求項5】
上記光源が、上記第1および第2の方向と直交する第3の方向に沿って一列に並ぶように配置された赤緑青の発光ダイオードからなる、請求項1ないし4のいずれかに記載の発光装置。
【請求項6】
上記凹部は、上記第1の反射面の上記第2方向における一方側の端部に接する第4の反射面を有しており、
上記第4の反射面と上記底部とが成す角度は、上記第1の反射面と上記底部とが成す角度よりも小さくなっている、請求項1ないし5のいずれかに記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−171294(P2010−171294A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13869(P2009−13869)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】