説明

発券システム

【課題】発券端末装置からの支援要望をコールセンタで効率良く処理できると共に、コールセンタ側の通信障害などに起因して発券端末装置とコールセンタとの接続が断たれた場合でも、速やかに操作支援を再開できる機能を備えた発券システムを提供する。
【解決手段】駅1の発券端末装置10とシステムセンタ2の支援装置30は、業務データ用ネットワークN1と音声・映像データ用ネットワークN2を介して、システムセンタ2の発券統括制御装置21及び接続管理サーバ22と接続され、発券端末装置10の利用者がコールセンタ3を呼び出したとき、オペレータは支援装置30を使って音声や支援表示でガイドしたり、発券端末装置10を遠隔操作したりして、利用者の操作支援を行い、障害発生により支援装置30と発券端末装置10の接続が断たれると、接続管理サーバ22によって、コールセンタ3内の他の支援装置30に対して支援再開要請が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駅などの発券場に設置される発券端末装置を利用者が操作するときに、発券端末装置を介して操作支援を行える発券システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、駅できっぷを購入する場合等、自動券売機の設置が進んでいるが、高齢者など、自動券売機の操作に不慣れな利用者にとっては、その使用に戸惑い、不自由な思いをすることもある。そのような場合、駅員等が利用者に寄り添って端末の使用方法を説明したり、操作を代行したりすることとなるため、駅員の負担が大きくなってきている。
【0003】
そこで、近来は、発券場に発券端末装置を設置し、この発券端末装置とネットワークを介してシステムセンタおよびコールセンタと接続することで、発券端末装置から利用者の支援要望をコールセンタで受けられるようにし、利用者が発券端末装置を操作する代わりにコールセンタのオペレータが予約・発券操作端末装置を操作して、システムセンタの発券統括制御装置へ発券内容を送り、これに基づいて発券統括制御装置から発券端末装置へ発券情報が送られ、利用者が入金すると、その発券端末装置から所望のきっぷが発行される発券システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−50616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている発明のように、支援を要する利用者の要望を全てコールセンタのオペレータが受け付けて処理する発券システムでは、確保できるオペレータの数に限界があるため、利用者が支援を要望してから実際にオペレータと繋がるまでに長い時間を要するような場合もあり、利用者に不快な思いをさせると共に、発券端末装置の稼働率も落ちるという問題がある。
【0006】
また、発券端末装置を利用する利用者が支援を要望する場合、操作の一部が分からないためにその後の操作につまずいていることもあり、コールセンタに支援を要望した全ての利用者が発券操作の全行程を代行して欲しいと考えているわけではないのである。
【0007】
このことから、発券端末装置からの支援要望に対して、その利用者の端末操作習熟度に応じて、発券端末装置によるきっぷ購入操作をアシストするか、発券操作の全行程を代行するか、自由度の高い支援形態を実現できれば、支援要望の有った端末利用者一人当たりに要する支援時間を減らすことができ、同じ人数のオペレータで操作支援を行った場合、オペレータ一人当たりが対応可能な支援人数を増やすことに繋がり、コールセンタ全体の効率を高めることができる。更に、支援を受けずに発券場に設置された発券端末装置を利用者が操作することで券を発行する機能も前記支援機能と同時に使用できれば、利用者の判断により、操作方法を選択でき、端末の稼動率を高めることができる。
【0008】
とはいえ、支援を要する利用者とコールセンタのオペレータとの間で常に安定した通信環境を保持できるわけではなく、何らかの障害により、発券端末装置とコールセンタとの通信が途絶することも有り得るが、そのような障害に対して、速やかに支援を再開できるようなバックアップ機能がないと、システム全体の信頼性を高めることができない。
【0009】
そこで、本発明は、発券端末装置からの支援要望をコールセンタで効率良く処理できると共に、コールセンタ側の通信障害などに起因して発券端末装置とコールセンタとの接続が断たれた場合でも、速やかに操作支援を再開できる機能を備えた発券システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、券売場に設置され、利用者が操作することにより、利用者の指定した券を発行する発券機能と、少なくともマイク、スピーカ、カメラを含む操作支援機能とを備え、固有の識別情報が付与された発券端末装置と、前記発券場とは異なる場所であるシステムセンタに設けられ、前記発券端末装置とネットワークを介して接続され、所定の手続により特定された発券内容の券を前記発券端末装置から発行させる機能を備えた発券統括制御装置と、前記発券場とは異なる場所であるコールセンタに複数設けられ、前記発券統括制御装置とネットワークを介して接続され、特定の発券端末装置で発行させる発券内容を発券統括制御装置へ指示可能な予約・発券操作機能と、前記発券場の発券端末装置とネットワークを介して接続され、利用者の操作支援を行う利用者操作支援機能と、を含み、固有の識別情報と所属するグループが予め設定され、コールセンタの支援者が操作する支援装置と、前記システムセンタに設けられ、利用者操作支援が行われている発券端末装置と支援装置との接続状況を監視する接続管理サーバと、を備える発券システムであって、前記接続管理サーバは、利用者操作支援中にある支援装置側の障害により発券端末装置との接続が断たれた支援中断状態を検出することに基づき、障害の発生した支援装置と同一グループに属する他の支援装置に対して、再接続対象の端末装置に対する支援の再開を要請するようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の発券システムにおいて、前記接続管理サーバは、利用者操作支援中にある支援装置側の障害により発券端末装置との接続が断たれた支援中断状態を検出した場合、支援装置の即時復旧が見込める時間として予め定めた支援再開要請保留時間が経過するまで、障害の発生した支援装置と同一グループに属する他の支援装置に対する支援再開要請を行わずに待機するようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発券システムにおいて、前記発券統括制御装置は、支援中の端末装置と支援装置との組み合わせに対して各々行程管理ファイルを生成し、接客中に行程登録要求のあった各行程を記録して管理することを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に係る発明は、前記請求項3に記載の発券システムにおいて、前記接続管理サーバからの支援再開要請を受諾した支援端末装置より発券統括制御装置へ接客内容の問い合わせを行うことにより、再接続対象であった端末装置の支援中に生成された行程管理ファイルの内容が閲覧可能となり、行程管理ファイルを引き継げるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発券システムによれば、券売場に設置され、利用者が操作することにより、利用者の指定した券を発行する発券機能と、少なくともマイク、スピーカ、カメラを含む操作支援機能とを備え、固有の識別情報が付与された発券端末装置と、前記発券場とは異なる場所であるシステムセンタに設けられ、前記発券端末装置とネットワークを介して接続され、所定の手続により特定された発券内容の券を前記発券端末装置から発行させる機能を備えた発券統括制御装置と、前記発券場とは異なる場所であるコールセンタに複数設けられ、前記発券統括制御装置とネットワークを介して接続され、特定の発券端末装置で発行させる発券内容を発券統括制御装置へ指示可能な予約・発券操作機能と、前記発券場の発券端末装置とネットワークを介して接続され、利用者の操作支援を行う利用者操作支援機能と、を含み、固有の識別情報と所属するグループが予め設定され、コールセンタの支援者が操作する支援装置と、前記システムセンタに設けられ、利用者操作支援が行われている発券端末装置と支援装置との接続状況を監視する接続管理サーバと、を備える発券システムであって、前記接続管理サーバは、利用者操作支援中にある支援装置側の障害により発券端末装置との接続が断たれた支援中断状態を検出することに基づき、障害の発生した支援装置と同一グループに属する他の支援装置に対して、再接続対象の端末装置に対する支援の再開を要請するようにしたので、発券端末装置からの支援要望をコールセンタで効率良く処理できると共に、コールセンタ側の通信障害などに起因して発券端末装置とコールセンタとの接続が断たれた場合でも、速やかに操作支援を再開できる。
【0015】
また、請求項2に係る発券システムによれば、前記接続管理サーバは、利用者操作支援中にある支援装置側の障害により発券端末装置との接続が断たれた支援中断状態を検出した場合、支援装置の即時復旧が見込める時間として予め定めた支援再開要請保留時間が経過するまで、障害の発生した支援装置と同一グループに属する他の支援装置に対する支援再開要請を行わずに待機するようにしたので、支援再開要請保留時間内に支援装置が復旧した場合には、同じ支援者による操作支援が再開されることとなる。しかしながら、支援再開要請保留時間が経過すると、他の支援装置に対する支援再開要請が行われ、支援装置で支援再開要請を受けた支援者によって、再接続対象の発券端末装置に対する支援が速やかに再開されることから、発券端末の利用者を著しく待たせるようなことも回避できる。
【0016】
また、請求項3に係る発券システムによれば、前記発券統括制御装置は、支援中の端末装置と支援装置との組み合わせに対して各々行程管理ファイルを生成し、接客中に行程登録要求のあった各行程を記録して管理するので、発券端末装置とコールセンタとの接続が断たれて相互の支援関係が解消されても、その間の接客内容を行程管理ファイルとして発券統括制御装置に残しておくことができる。
【0017】
また、請求項4に係る発券システムによれば、前記接続管理サーバからの支援再開要請を受諾した支援端末装置より発券統括制御装置へ接客内容の問い合わせを行うことにより、再接続対象であった端末装置の支援中に生成された行程管理ファイルの内容が閲覧可能となり、行程管理ファイルを引き継げるようにしたので、支援再開を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る発券システムの概要を示すシステム構成図である。
【図2】発券システムを用いた利用者への支援による発券過程の説明図である。
【図3】発券システムにおけるアシスト開始時のシーケンス図である。
【図4】発券システムにおける行程登録時のシーケンス図である。
【図5】発券システムにおける全行程確定時のシーケンス図である。
【図6】発券システムにおける発券時のシーケンス図である。
【図7】操作支援のために発券端末装置と支援装置との接続を保持・再開する機能に着目して示した発券システムの概略機能ブロック図である。
【図8】支援装置で支援再開要請を受けるときに表示される画面の遷移を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る発券システムの実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1に示すのは、発券システムの実施形態を示す概略構成で、業務データ用ネットワークN1と音声・映像データ用ネットワークN2を介して、発券場である駅1とシステムセンタ2とコールセンタ3が相互に接続されたものである。
【0021】
駅1には、利用者が操作することにより、利用者の指定した券を発行する発券機能と、少なくともマイク、スピーカ、カメラを含む操作支援機能とを備えた発券端末装置10が設置され、きっぷを購入したい利用者が操作できるものである。なお、本実施形態における発券端末装置10は、主たる発券機能を備えたメイン発券装置11と、操作支援機能を備えた音声・映像情報入出力装置12とに分けて、各々別の筐体に収めた構造としたが、両機能を一体に備えた単筐体の装置として構成しても構わない。また、各発券端末装置10には、それぞれの個体を識別できるようにユニークな識別番号が割り振られており、この識別番号を使うことで、発券システム内に含まれる全ての発券端末装置10を特定することが可能となる。
【0022】
メイン発券装置11には、タッチパネル式の表示・操作パネル、きっぷを排出する発券口、購入費用を入れる現金投入口、精算用のクレジットカード等を入れるカード挿排口などを備え、利用者は表示・操作パネルを見ながら操作することで、発券操作の各行程を順次行うことができる。発券に際しては、業務データ用ネットワークN1を介して接続されているシステムセンタ2と交信し、座席指定券の予約可否などの諸情報を受けると共に、決定した発券情報がシステムセンタ2へ送られる。
【0023】
上述したメイン発券装置11と接続されている音声・映像情報入出力装置12は、発券端末装置10を操作している利用者を映す接客カメラ、コールセンタ3のオペレータからの音声が出力されるスピーカ、利用者の声などをコールセンタへ送るためのマイク、提示された申込書や割引証等の紙面を写す書画カメラ、申込書や割引証を回収する申込書回収口などを備える。この音声・映像情報入出力装置12からの入力情報は音声・映像データ用ネットワークN2を介してコールセンタ3へ供給され、その逆にコールセンタ3から供給された音声・映像情報を受け取ることで、コールセンタ3のオペレータからの音声が音声・映像情報入出力装置12のスピーカから出力されるのである。
【0024】
なお、コールセンタ3を呼び出すための機能として、音声・映像情報入出力装置12にオペレータ呼出ボタンを設けているが、本実施形態においては、メイン発券装置11に向かって諸々の操作を行っている利用者の利便性を考慮して、メイン発券装置11の表示・操作パネルのメニュー画面にオペレータ呼出ボタンを設けておき、操作に戸惑った利用者がオペレータ呼出ボタンを押下することでコールセンタ3と接続され、オペレータによる支援を受けられるようにした。
【0025】
一方、駅1とは異なる場所であるシステムセンタ2には、業務データ用ネットワークN1を介して発券端末装置10やコールセンタ3と接続される発券統括制御装置21が設置され、複数の発券端末装置10から多数の予約要求を受けても、きっぷの指定予約が重複することのないように統括的な発券制御を行う。また、この発券統括制御装置21は、後述するコールセンタ3の支援装置30で行われた所定の手続により特定された発券内容の券を、指定された発券端末装置10から発行させる機能を備えるものである。なお、支援装置30から発券端末装置10への支援として実行された内容は、例えば、行程ステータスや接客管理ステータス等を含む行程管理ファイルとして管理する。
【0026】
さらに、このシステムセンタ2には、音声・映像データ用ネットワークN2を介して駅1およびコールセンタ3と接続される接続管理サーバ22を設置してあり、後述するコールセンタ3の予約・発券操作端末装置31および利用者操作支援端末装置32と各駅1の発券端末装置10と接続される。そして、操作支援を必要とする利用者からの求めにより発券端末装置10とコールセンタ3の利用者操作支援端末装置32とを繋ぐと共に、その支援中は、両者の接続状況を監視し、回線の不具合等で接続が切断された場合には、回線接続が維持されている側の回線を切断する等の接続管理を行うものである。また、駅1の発券端末装置10とコールセンタ3の支援装置30との相互接続による支援を行った接客内容(発券した券片の情報や支援履歴等)は、接客完了後に接続管理サーバ22が接客記録として記憶・管理する。
【0027】
駅1とは異なる場所であるコールセンタ3には、発券統括制御装置21と業務データ用ネットワークN1を介して接続され、特定の発券端末装置10で発行させる発券内容を発券統括制御装置21へ指示可能な予約・発券操作端末機能を担う予約・発券操作端末装置31と、駅1の発券端末装置10と音声・映像データ用ネットワークN2を介して接続され、発券端末装置10を使っている利用者の操作支援を行う利用者操作支援機能を担う利用者操作支援端末装置32とを設ける。また、予約・発券操作端末装置31も、音声・映像データ用ネットワークN2を介して、発券端末装置10へ画像を送信することができる。
【0028】
なお、これら予約・発券操作端末装置31と利用者操作支援端末装置32は、一組のセットとして一人のオペレータが使用するものであり、両装置の機能を一体のものと看做す場合は、支援装置30と呼ぶ。また、各支援装置30には個体を特定できるユニークコード(個体識別番号など)が割り振ってあり、前述した駅1の発券端末装置10とコールセンタ3の支援装置30との組み合わせを、システムセンタ2の発券統括制御装置21および接続管理サーバ22にて特定することができるので、操作支援を要求した発券端末装置10とこれに対応中の支援装置30との組み合わせによる行程管理ファイルの生成・管理や接客記録の記憶・管理をシステムセンタ2で行うことができる。
【0029】
なお、発券統括制御装置21で生成・管理する行程管理ファイルは、支援装置30による支援が適切に行われるよう接客中に利用するものである。この行程管理ファイルには、各種ステータスが保持されており、受信する電文に含まれている情報によって各種ステータスを書き換えて保存してゆくことで、装置間の電文の送受信が想定通りの順番で行われているか、それが正しい内容か等を発券統括制御装置21で確認することが可能となり、もし、支援装置30から不正な指示が来た場合には、その指示が不正である旨を支援装置30へ通知することで、不正なやりとりが発生することを未然に防止できる。また、発券統括制御装置21では、装置間の電文の送受信をリアルタイムで監視して行程管理ファイルを更新しているため、接客の途中で装置故障や回線断といった障害が発生した場合、行程管理ファイルを参照すれば、どのやりとりから復旧すべきかを把握することができ、円滑な支援再開を実現できる。
【0030】
一方、接続管理サーバ22で記憶・管理する接客記録は、接客完了後に接客内容を長期間(例えば、数年程度)保存しておき、支援装置30から記録内容を閲覧可能なものである。支援装置30による発券端末装置10の支援毎に記録されて行く接客記録の接客内容として、例えば、発券内容や枚数、発券した切符の券面情報、録音した通話内容などを含み、接客完了後にお客様から接客内容について問合せがあった場合に、該当する接客記録を閲覧すれば、当該接客時の発売実績や通話録音といった情報から接客内容を確認することができる。また、管理者等が実績を確認し、売り上げを確認する際にも、接客ファイルを使用することができる。
【0031】
次に、上述した本実施形態の発券システムにおいて、駅1に設置された発券端末装置10の利用者を、遠隔地のコールセンタ3にてオペレータが支援するとき、4つの支援方法を採ることができる。以下、この具体的な支援方法について、図2に基づき詳述する。
【0032】
図2(a)に示すのは、オペレータが発券の全行程を代行して行う支援方法である。すなわち、発券端末装置10でオペレータ呼出ボタンが操作され、音声・映像データ用ネットワークN2を介してコールセンタ3の利用者操作支援端末装置32と繋がった後、オペレータと利用者とのやりとりで、発券端末装置10の操作を利用者自身が行うことが非常に困難と判断された場合に、コールセンタ3のオペレータが申込書の内容や利用者からの聞き取りによって予約・発券操作端末装置31を操作し、システムセンタ2の発券統括制御装置21との予約照会などを行い、発券内容が確定すると、システムセンタ2の発券統括制御装置21から駅1の発券端末装置10へ発券指示が行われ、利用者の金銭投入により、発券端末装置10からきっぷが印字されて出てくるのである。
【0033】
このように、コールセンタ3のオペレータが発券の全行程を代行して行う支援方法によれば、不慣れな利用者が発券端末装置10を操作する必要が殆どないので、手慣れたオペレータが発券の各行程を手早く行うことで、その利用者が発券端末装置10で発券されたきっぷを受け取るまでの時間を短縮することができる反面、コールセンタ3のオペレータは適正に切符が発行されるまで利用者の対応に拘束された状態となり、多くの利用者からコールセンタの呼出が行われて全てのオペレータの手が塞がっていた場合には、後続の利用者を長時間待たせることになってしまう。そこで、本実施形態の発券システムにおいては、第2の支援方法として、図2(b)に示すように、予約・発券操作端末装置31を用いて発券操作の全行程を代行せずに、利用者操作支援端末装置32による利用者の熟練度に応じた支援だけを行えるようにしてある。
【0034】
すなわち、発券端末装置10でオペレータ呼出ボタンが操作され、音声・映像データ用ネットワークN2を介してコールセンタ3の利用者操作支援端末装置32と繋がった後、オペレータと利用者とのやりとりで、発券端末装置10の操作を利用者自身が引き続き行えるとオペレータが判断した場合、利用者が行う発券端末装置10の表示・操作パネルの操作を音声によりアシストするものである。例えば、利用者が見ている発券端末装置10の表示・操作パネルと同じ映像が利用者操作支援端末装置32にも表示され、同じ操作パネルを見ながらオペレータが利用者に音声で操作を支援すると、これを聞いた利用者が自ら表示・操作パネルを操作して、発券行程を順次進めて行くことができるのである。
【0035】
このように、駅1の発券端末装置10から利用者の問い合わせ(音声情報)および接客カメラの映像や表示・操作パネルの操作画面等(映像情報)を受けるコールセンタ3の利用者操作支援端末装置32をオペレータ(コールセンタ3の支援者)が操作することにより、利用者操作支援端末装置32を操作するオペレータからの音声を発券端末装置10より出力することで、利用者に対する操作支援を行うようにすれば、操作の一部が分からないためにその後の操作につまずいている利用者に対して、音声による操作支援を行うだけで、利用者本人に発券端末装置10を操作させて発券処理を進めることが可能となり、コールセンタ3のオペレータが予約・発券操作端末装置31を使って発券処理の全行程を代理する場合よりも負担が軽減され、また、支援に要する対応時間も減縮できることから、発券端末装置10の利用者に対して効率の良い支援を行うことができる。
【0036】
上述した音声による操作支援が有効でないとオペレータが判断した場合、予約・発券操作端末装置31から利用者操作支援端末装置32を経由して発券端末装置10へ第1操作支援要求を行い、これを受けた発券端末装置10において第1操作支援要求を受容する(例えば、支援要求を拒否するためのキャンセルボタンを押さない、或いは発券端末装置10の表示・操作パネル上に表示された表示支援開始ボタンを押下する等)と、支援表示を発券端末装置10の表示・操作パネルに表示させることが可能な第1操作支援状態に移行できる。この第1操作支援状態においては、例えば、コールセンタ3の利用者操作支援端末装置32に表示されている発券端末装置10の操作画面において、オペレータが自由に操作できる支援表示(例えば、カーソルのようなポインタ表示)を、そのまま実際の発券端末装置10の表示・操作パネルの画面にも表示させることで、利用者に対する操作支援を行うのである。このように、第1操作支援状態に移行すると、第3の支援方法として、支援表示によって注目して欲しい箇所やボタンを指し示すことができるので、音声による支援が有効でなかった利用者に対して、可視的に操作を支援することができ、一層効率の良い利用者支援を実現できる。
【0037】
しかしながら、発券端末装置10を途中まで操作していた利用者からの支援要求に対して、音声や支援表示による操作支援が有効でないとオペレータが判断した場合には、上述したように、オペレータが予約・発券操作端末装置31を操作して、発券の全行程を代行する方法もあるが、発券端末装置10での操作がある程度進んでいたような場合には、これを活かして、この発券端末装置10で続きの発券行程へ進めた方が良い場合もある。そこで、本実施形態の発券システムにおける第4の支援方法は、既に第1操作支援状態となっていることを条件として、予約・発券操作端末装置31から利用者操作支援端末装置32を経由して発券端末装置10へ第2操作支援要求を行い、これを受けた発券端末装置において第2操作支援要求を受容する(例えば、支援要求を拒否するためのキャンセルボタンを押さない、或いは発券端末装置10の表示・操作パネル上に表示された遠隔操作支援開始ボタンを押下する等)と、利用者操作支援端末装置32から発券端末装置10の発券機能を直接操作できる第2操作支援状態に移行するのである。
【0038】
このように、利用者操作支援端末装置32からオペレータが発券端末装置10を直接操作できるようにすれば、熟練したオペレータが残りの行程を手早く行うことで、その利用者が発券端末装置10で発券されたきっぷを受け取るまでの時間を短縮することができる。しかも、利用者は発券端末装置10で発券行程が進む様子を見て納得しながら発券処理が実行されてゆくので、コールセンタ3のオペレータが予約・発券操作端末装置31で発券行程を進めて最後に利用者へ提示した発券内容が利用者の要望と違っていたために、改めて発券行程をやり直さなければならないような非効率的な状況になることを未然に防ぐことができ、更に効率の良いものとなる。
【0039】
以上のように、本実施形態の発券システムでは、従来から行われていた予約・発券操作端末装置31による発券操作の全行程を代理する支援方法に加えて、音声により利用者の操作を促す支援方法と、支援表示により利用者の操作を促す支援方法と、利用者が使っている発券端末装置10を利用者操作支援端末装置32から遠隔操作して残りの発券行程を代理して行う支援方法をオペレータの判断で選定することができるので、オペレータによる利用者の支援を効率的に行えるようになる。
【0040】
しかしながら、駅1の発券端末装置10と、システムセンタ2の接続管理サーバ22と、コールセンタ3の支援装置30を接続する音声・映像データ用ネットワークN2には、或る程度の堅牢性を担保するものの、何らかの原因で支援中の発券端末装置10と支援装置30の通信が切断されてしまう可能性もあるので、通信断による操作支援の中断から、早急に操作支援を復旧できるような仕組みがあれば、発券システムとしての信頼性を高めることができる。
【0041】
そこで、本実施形態の発券システムでは、システムセンタ2の発券統括制御装置21にて、発券端末装置10の識別情報と支援装置30の識別情報とを紐付けした行程管理ファイルを作成し、接客内容の履歴を蓄積できるようにしてある。以下、図3〜図6に基づいて、行程管理ファイルによる操作支援の管理手法を説明する。
【0042】
図3は、遠隔操作によるアシスト開始のシーケンスを示すもので、オペレータにより、支援装置30からアシスト開始ボタンが押されると、発券統括制御装置21を介してアシスト対象の発券端末装置10へアシスト開始指示が送られる。これに対して、発券端末装置10から出力されたアシスト開始要求は発券統括制御装置21へ送られ、支援中の両端末を紐づけた行程管理ファイルが作成され、アシスト開始となる。アシスト開始に伴って、発券統括制御装置21から発券端末装置10へアシスト開始回答が返され、これに対して、発券端末装置10から発券統括制御装置21へSNOD(信号受信確認信号)を返す。また、同時に、発券端末装置10から発券統括制御装置21を介して支援装置30へアシスト開始応答が送られる。斯くして、アシスト開始になると、通話中の発券端末装置10と支援装置30がアシスト業務中となり、発券統括制御装置31での予約操作(行程登録、行程照会、取消などの要求)の受付が可能となる。
【0043】
図4は、アシスト業務中となった支援装置30から発券統括制御装置21へ行程紹介を行う場合のシーケンスを示すものである。図4の上段に示すように、支援装置30から通常の行程照会操作を行った場合には、発券統括制御装置21から行程照会回答が帰って来るのみで、行程管理ファイルに登録されることはない。このように行程管理ファイルに登録されていない回答内容については、発券端末装置10に表示して利用者に見せるかどうかは、オペレータの任意である。但し、例外として、きっぷの払戻の機能等、一部の後戻りが不可能な業務については行程照会の際に発券端末装置10に自動的に回答内容が送信され、その場で利用者に内容確認をしてもらう。
【0044】
一方、図4の下段に示すように、支援装置30から行程登録操作を行った場合には、発券統括制御装置21から行程登録回答が帰って来る事に加えて、行程管理ファイルに要求した内容が保存されると共に接客管理ステータスが[受付中]となる。また、登録された行程に対する行程ステータスを[予約済/登録済]とする。このように行程登録された回答は、必ず発券端末装置10に表示し、利用者に見せる。また、行程登録要求を行った場合は、要求内容が行程管理ファイルに記録されるので、複数の行程登録要求を行って、それらを行程管理ファイルに順次記録して行くことができ、複数の行程に各々対応する行程ステータスを[予約済/登録済]とする。
【0045】
図5は、全行程確定シーケンスを示すもので、オペレータにより、支援装置30から全行程確定要求指示を行うと、発券統括制御装置21を介してアシスト対象の発券端末装置10へ全行程確定要求指示が送られる。この指示に対して、発券端末装置10から出力された全行程確定要求は発券統括制御装置21へ送られ、支援中の両端末を紐づけた行程管理ファイルの接客管理ステータスを[受付中]から[確定済]に変更し、発券統括制御装置21から発券端末装置10へ全行程確定回答が返され、これに対して、発券端末装置10から発券統括制御装置21へSNODを返すと共に全行程確定受信完了通知を出力し、この全行程確定受信完了通知が発券統括制御装置21を介して支援装置30へ入力される。
【0046】
図6は、最後となる発券シーケンスを示すもので、全行程が確定したところで、利用者が発券端末装置10へ現金を投入(或いは決済可能なクレジットカードを投入)して、合計金額の支払いが完了すると、発券端末装置10より出力された発券準備完了通知が発券統括制御装置21を介して支援装置30へ送られ、この完了通知を受けた支援装置30でオペレータが発券指示を行うと、発券統括制御装置21を介して発券端末装置10へ送られ、この指示を受けた発券端末装置10より出力された発券指示応答が発券統括制御装置21を介して支援装置30へ送られると共に、発券端末装置10より発券統括制御装置21へ発券要求が出力される。
【0047】
上記のように、発券端末装置10からの発券要求を受けた発券統括制御装置21では、支援中の両端末を紐づけた行程管理ファイルの接客管理ステータスを[確定済]から[決済済]に変更し、同時に、該当する行程の行程ステータスを[予約済/登録済]から[発券済]に変更し、発券端末装置10へ発券回答を行う。これを受けた発券端末装置10は、発券回答に沿った券片を印字したきっぷを発行し、発券統括制御装置21へSNODを返す。複数の行程が登録されている場合には、以後、各行程毎に発券回答の出力を行い、発券の完了に伴って、当該行程のステータスをして行き、全ての行程に対する発券が終了すれば、遠隔操作による支援は完了する。そして、発券端末装置10で全ての行程に対する発券が完了したら、発券端末装置10内にストックしておいた発券済みのきっぷをまとめて発券口から放出し、これを利用者が抜き取れる。
【0048】
以上のようにオペレータの支援によって、発券端末装置10より利用者に所望のきっぷが渡れば、支援は終了であり、[決済済]のステータスとなった行程管理ファイルは操作支援の役目を終えているので、発券統括制御装置21からすぐに削除しても良いし、翌営業日の開店時に全削除するようにしても良い。あるいは、所定期間が経過するまでそのまま保管しておいて、所定期間の経過により削除条件が満たされたときに消去するような運用としても良い。
【0049】
上述した如く、システムセンタ3の発券統括制御装置21にて行程管理ファイルの生成・管理を行うようにすれば、操作支援の途中で発券端末装置10と支援装置30との接続が断たれても、それまでの支援内容を履歴としてこのしておくことができるので、発券端末装置10と支援装置30とが再接続されて支援を再開できたときに、切断前の支援内容を改めて行う必要がないので、発券端末装置10の利用者にとっても、コールセンタ3のオペレータにとっても利便性がよいものとなる。
【0050】
しかしながら、通信障害や装置トラブルなどで発券端末装置10と支援装置30との通信断が生じたとき、極く短時間で回線が復旧する可能性は低く、復旧までの期間が長引けば、それだけ発券端末装置10の利用者に与える不安感・不快感も大きいものとなるので、操作支援の再開を迅速に行うことが望ましい。
【0051】
そこで、本実施形態に係る発券システムでは、主として接続管理サーバ22の機能により、回線断で中断した支援を効率良く迅速に再開できるようにした。図7に示すのは、操作支援のために発券端末装置10と支援装置30との接続を保持・再開する機能に着目して示した発券システムの概略機能で、業務データ用ネットワークN1を介した発券統括制御装置21との接続については省略してある。なお、発券統括制御装置21には、上述した行程管理ファイルを生成し、管理する機能を実現するための行程管理ファイル生成・管理手段21aを備える点のみ示した。
【0052】
図7においては、システムセンタ2は、複数の発券場として、駅A1a、駅B1b、第1コールセンタ3−01、第2コールセンタ3−02等と接続され、操作支援のための接続を接続管理サーバ22にて監視する。なお、駅A1aには、発券端末装置10a1〜10a3が、駅B1bには、発券端末装置10b1,10b2が各々設置され、第1コールセンタ3−01には、オペレータA利用支援装置30a,オペレータB利用支援装置30bが、第2コールセンタ3−02には、オペレータC利用支援装置30cが各々設けられている。そして、発券端末装置10a1〜10a3は駅A1aに設置された同一グループに属するものとし、発券端末装置10b1,10b2は駅B1bに設置された同一グループに属するものとし、オペレータA利用支援装置30a,オペレータB利用支援装置30bは第1コールセンタ3−01に設置された同一グループに属するものとする。なお、同一グループの設定基準は特に限定されるものではなく、コールセンタ3のフロア毎にグループを分けたり、フロア内のエリア毎にグループわけしたりしても良い。無論、複数のコールセンタを併せて1つのグループに括るようにしても構わない。
【0053】
これら発券端末装置10a1〜10a3,10b1,10b2およびオペレータA〜C利用端末装置30a〜30cは、音声・映像データ用ネットワークN2を介して接続管理サーバ22と接続されており、発券端末装置10a1〜10a3,10b1,10b2とオペレータA〜C利用端末装置30a〜30cとの接続状況を接続監視手段22aにて監視できる。例えば、接続監視手段22aから各接続先との回線状況を一定時間毎にチェックすることで、パスの有効・無効を調べることができ、パスが切れていた接続先が支援のための通話中であった場合には、障害による通信断が生じた支援中断状態と判断できるのである。なお、接続先のパスが切れていても支援のための通話中でなければ、単に装置電源がオフになったケースも考えられるので、これは支援中断状態とは看做さない。
【0054】
接続監視手段22aによって接続先に障害が発生していると判定されたとき、システムセンタ2側から特に支援を行わず、従来より発券端末装置10に備わっている「係員コール」という機能によって、利用者が駅係員を呼び出し、駅係員の助力によって発券装置10の復旧を試みることで、発券端末装置10が復旧すると、この復旧した発券端末装置10と支援装置30との支援が再開されるようにしても良いが、システムセンタ2側からの働きかけで、迅速な支援再開を実現するようにしても構わない。例えば、支援のための通話中であった駅A1aの発券端末装置10a1に回線断が生じていた場合、回線断が生じている旨を駅A1aへ通報し、駅A1aの係員に対応して貰うことで、利用者が駅係員を呼び出す前に迅速な対応ができるようにしても良い。また、障害の発生した発券端末装置10が属する同一グループ内に未使用の発券端末装置10が有る場合、例えば、駅A1aの発券端末装置10a1に障害が発生したが、隣にある発券端末装置10a2が未使用であった場合、発券端末装置10a2より音声で指示することにより、発券端末装置10a1から発券端末装置10a2へ移動するように利用者を誘導し、発券端末装置10a1と接続されていた支援装置30を利用しているオペレータに対して、支援接続先を発券端末装置10a2に変更するように指示すれば、円滑に支援を再開することができる。このとき、発券統括制御装置21が行程管理ファイルにおける支援装置30と発券端末装置10との紐付けを更新すれば、移動先の発券端末装置10a2に対する支援を障害発生直前の状態から再開できる。
【0055】
一方、接続監視手段22aによって障害が発生していると判定された接続先が、オペレータA〜C利用端末装置30a〜30cであった場合には、オペレータの判断および操作によって支援装置30に生じた障害がすぐに解消され、再び支援が再開される可能性もあるため、支援装置30の即時復旧が見込める時間として予め定めた支援再開要請保留時間が経過するまで接続管理サーバ22から再接続のためのアクションを起こさずに待機する。すなわち、接続監視手段22aによって支援中断状態と判定されたときには、切断判定手段22aによって支援再開要請保留時間の計時を開始し、支援再開要請保留時間が経過しても接続監視手段22aが回線復旧を検出していなければ、切断判定手段22bから接続監視手段22aへ切断判定が送られたタイミングで、再接続のためのアクションを起こすこととなる。
【0056】
なお、オペレータが利用する支援装置30には接続先情報記憶手段33を各々設けてあり、回線が途切れた後も、直前に支援中であった発券端末装置10の識別情報(ID番号など)を記憶保持し、モニタ上に表示することができるので、支援装置30の復旧が見込めないとオペレータが判断した場合、再接続対象の発券端末装置10の識別情報を支援中でないオペレータに伝えて操作支援を引き継いで貰うようにしたり、別の支援装置30へ移動して再接続対象の発券端末装置10と通話を再開するような運用も可能である。このように、接続管理サーバ22を介さずに支援を再開する場合においても、行程管理ファイルを引き継ぐことができれば、障害発生後でも効率良く操作支援を再開することが可能である。但し、オペレータが利用する支援装置30が復旧しない場合、直ぐ近くに支援を引き継げる支援装置30が無かった場合は、上記のようなオペレータ判断による支援再開は困難であり、全ての支援装置30の接続状況を把握している接続管理サーバ22が主体となって支援再開を促すことが確実且つ有効な支援再開手法である。
【0057】
例えば、駅B1bの発券端末装置10b2と第1コールセンタ3−01のオペレータA利用支援装置30aとが接続されて支援を行っていたとき、オペレータA利用支援装置30a側の回線に障害があって接続が切れてしまった場合、接続管理サーバ22では、接続監視手段22aによる回線切断の判定から切断判定手段22bによる支援再開要請保留時間の計時が終わるまで、オペレータA利用支援装置30aが回線復帰するのを待っているが、回線復帰しなかった場合には、支援再開要請端末選定手段22cによって、発券端末装置10b2と接続する他の支援装置30を選定する。
【0058】
選定条件としては、障害の発生した支援装置30と同一グループに属し、尚且つ現在は接続中でない支援装置と設定してあり、オペレータA利用支援装置30aは、オペレータB利用支援装置30bと同一グループに属するので、オペレータB利用支援装置30bが他の発券端末装置10と接続中でなければ、支援再開要請端末選定手段22cがこのオペレータB利用端末装置30bを選定する。なお、同一グループに数十台規模の支援装置30が含まれている場合、支援再開要請の対象となる支援装置30が複数存在していることも考えられ、その場合、該当する支援装置30の全てに支援再開要請を行っても良いし、その中の1台に絞り込む選定基準(例えば、前回の支援終了から最も時間の経過している支援装置30を選定するように、待機時間長に基づく選定基準)を任意に定めても構わない。
【0059】
そして、支援再開要請の対象となった支援装置30に対しては、接続監視手段22aを介して支援再開要請が送られる。この支援再開要請を受けられるように、各支援装置30には、支援再開要請受付手段34を設けてあり、支援再開要請を受けている状態を可視表示すると共に、支援要請の具体的内容を表示することができる。
【0060】
例えば、図8(a)に示すのは、支援装置30(例えば、予約・発券操作端末装置31)における非支援中のモニタ画面35を示すもので、通常は目立たない障害発生通知ボタン35aがある。ここで、システムセンタ3より支援再開要請を受けると、目立たなかった障害発生通知ボタン35aが目立つ色に変わったり、点滅したりして、オペレータの注意を喚起する(図8(b)を参照)。そして、これに気付いたオペレータが障害発生通知ボタン35aをクリックすると、障害通知ダイアログ35bが開き、支援再開要請の具体的な内容が提示される(図8(c)を参照)。
【0061】
支援再開要請を受ける場合には、障害通知ダイアログ35b内の通話ボタンを押すと、支援対象の発券端末装置10b2と電話が繋がり、利用者に状況を確認することができる。そして、障害発生に伴う担当オペレータの交代について利用者の了解を得ることができ、支援を再開する(例えば、支援装置30よりシステムセンタ2へ「アシスト再開」の通知を送る)と、発券端末装置10b2とオペレータA利用支援装置30aとの組み合わせとして作成されていた行程管理ファイルが更新され、発券端末装置10b2とオペレータB利用支援装置30bとの組み合わせで管理されるようになり、オペレータB利用支援装置30bよりシステムセンタ2の発券統括制御装置21へ「アシスト問合せ」を行えば、障害発生前に登録してあった行程管理ファイルの内容を閲覧可能となる。但し、障害発生に伴って行程登録に至らなかった内容は行程管理ファイルに記録されないので、再操作が必要となる。
【0062】
このように、本実施形態の発券システムによれば、支援中の発券端末装置10と支援装置30との接続が断たれ、その原因が支援装置30側にある場合、システムセンタ2内の接続管理サーバ22によって支援中断状態が速やかに判定されて、障害の発生した支援装置30と同一グループに属する他の支援装置30に対する支援再開要請が行われることで、迅速且つ的確な支援再開が可能となり、システムの信頼性を高めることができる。しかも、障害発生前の接客内容が行程管理ファイルとして発券統括制御装置21にて管理されており、支援を引き継いだ支援装置30で行程管理ファイルの閲覧・更新が可能になることで、一層円滑な支援の引き継ぎを実現できる。
【0063】
以上、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、公知既存の等価な技術手段を転用することにより実施しても構わない。
【符号の説明】
【0064】
1 駅(発券場)
10 発券端末装置
11 メイン発券装置
12 音声・映像情報入出力装置
2 システムセンタ
21 発券統括制御装置
22 接続管理サーバ
3 コールセンタ
30 支援装置
31 予約・発券操作端末装置
32 利用者操作支援端末装置
N1 業務データ用ネットワーク
N2 音声・映像データ用ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
券売場に設置され、利用者が操作することにより、利用者の指定した券を発行する発券機能と、少なくともマイク、スピーカ、カメラを含む操作支援機能とを備え、固有の識別情報が付与された発券端末装置と、
前記発券場とは異なる場所であるシステムセンタに設けられ、前記発券端末装置とネットワークを介して接続され、所定の手続により特定された発券内容の券を前記発券端末装置から発行させる機能を備えた発券統括制御装置と、
前記発券場とは異なる場所であるコールセンタに複数設けられ、前記発券統括制御装置とネットワークを介して接続され、特定の発券端末装置で発行させる発券内容を発券統括制御装置へ指示可能な予約・発券操作機能と、前記発券場の発券端末装置とネットワークを介して接続され、利用者の操作支援を行う利用者操作支援機能と、を含み、固有の識別情報と所属するグループが予め設定され、コールセンタの支援者が操作する支援装置と、
前記システムセンタに設けられ、利用者操作支援が行われている発券端末装置と支援装置との接続状況を監視する接続管理サーバと、
を備える発券システムであって、
前記接続管理サーバは、利用者操作支援中にある支援装置側の障害により発券端末装置との接続が断たれた支援中断状態を検出することに基づき、障害の発生した支援装置と同一グループに属する他の支援装置に対して、再接続対象の端末装置に対する支援の再開を要請するようにしたことを特徴とする発券システム。
【請求項2】
前記接続管理サーバは、利用者操作支援中にある支援装置側の障害により発券端末装置との接続が断たれた支援中断状態を検出した場合、支援装置の即時復旧が見込める時間として予め定めた支援再開要請保留時間が経過するまで、障害の発生した支援装置と同一グループに属する他の支援装置に対する支援再開要請を行わずに待機するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の発券システム。
【請求項3】
前記発券統括制御装置は、支援中の端末装置と支援装置との組み合わせに対して各々行程管理ファイルを生成し、接客中に行程登録要求のあった各行程を記録して管理することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発券システム。
【請求項4】
前記接続管理サーバからの支援再開要請を受諾した支援端末装置より発券統括制御装置へ接客内容の問い合わせを行うことにより、再接続対象であった端末装置の支援中に生成された行程管理ファイルの内容が閲覧可能となり、行程管理ファイルを引き継げるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の発券システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−198594(P2012−198594A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60571(P2011−60571)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(592048741)鉄道情報システム株式会社 (5)
【Fターム(参考)】