説明

発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管及びその製造方法

【課題】 配管同士が取り扱い中に分離されるのを防ぎ、且つ、施工時に接合部分を剥がし分岐させる場合であっても、表皮シートを破壊することなく、分離可能とした発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管を提供できる。
【解決手段】 配管を発泡断熱材で被覆し、該発泡断熱材を表皮シートによって被覆する発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管複数を、接着剤を用いて、各発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管の前記表皮シート同士を長手方向で接着することにより得られる発泡ポリオレフィン樹脂複合配管において、接着部の引き剥がし荷重を43N以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管及びその製造方法に関するものである。より具体的には、追い焚き配管、エコキュート(登録商標)配管等に使用される三層管、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管等の長尺巻樹脂管の外周面に、保温断熱、損傷保護、防振、遮音等の目的のため断熱材及び表皮シートが被覆された発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管(以下、「被覆配管」と称す)同士の接着加工技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
追い焚き用配管に多く使用される被覆配管は、ボイラーを行き戻り配管にて循環させて湯を温めるため、被覆配管同士が融着された発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管(以下、「被覆複合配管」と称す)が主流である。
【0003】
この被覆複合配管を施す工法としては、一般的には、長尺生産された二本以上の被覆配管同士を長さ方向に繰り出しながら、二本の被覆配管同士を隣り合うようにさせ、隣り合う被覆配管の両外面から突き合わせ、この突き合わせ部に高温の熱風を吹き付けて、該突き合わせ部を両外面からロールで加圧し、長さ方向に全長熱融着させる方法である(以下、「熱融着法」と称す)。この熱融着法において、熱融着により二本以上の複合配管が融着された発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管が形成され、この後、引き取り機を通しながら巻取りを行う。
【0004】
また、上記の方法と同様であるが、被覆配管を長さ方向で熱融着させていき、且つ長さ方向に非融着部を適宜間隔を置いて設ける方法の提案もされている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このようにして得られる被覆複合配管は、長尺品の生産や断熱材の厚み、断熱材の発泡倍率、色相が変更容易であり、断熱材の表面に設けられる表皮シートの厚み、色相、シボ模様等も変更容易である。また、断熱材として、30〜50倍の高発泡品の採用や、架橋度も容易に変えられること、ならびに耐熱樹脂の使用も可能である。また断熱材の表面に貼り付けられる表皮シートには耐候処方が施されており、屋外配管をしても紫外線劣化が起き難い特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−286743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記のように熱融着法により得られた従来の被覆複合配管は、例えば搬送時に、融着部の表皮シートが破壊して被覆配管同士が分離することがあり、取り扱い性が悪いという問題が指摘されている。
【0008】
また、長尺生産された被覆複合配管は、その配管施工時には、ボイラー等の機器に接続する際に、必要長さにカットし、被覆複合配管の端を機器に接続させるため、被覆複合配管の熱融着部分を端から300mm〜500mm程度剥がし分離させる必要がある。しかし、この施工時の分離作業により、熱融着部分の表皮シートが破損し、断熱材がむき出しとなり、表皮シートによる保護性能が損なわれるという問題が発生している。例えば、雨水の浸入が防げなくなる。特に、表皮シートが耐候処方を施したものであるとき、上記の分離作業で表皮シートが破損し、内部の断熱材(一般に、非耐候性処方品である)が露出されるため、露出した断熱材が紫外線劣化し、やがては配管としての樹脂管そのもの迄も紫外線劣化により亀裂が発生し、樹脂管からの水漏れが発生するという問題が懸念されている。紫外線劣化は、直射日光以外にも地面からの反射光によっても発生する。
【0009】
第一に、被覆複合配管には、その取り扱い性を向上させる上で、簡単に分離しないことが要求される。
第二に、配管施工時の分離作業時に表皮シート破損を発生させないことが要求される。従来は表皮シートが破損した箇所については化粧カバー、市販耐候性テープ等で材料費、工賃、手間等を掛けて取り付け、補修等で対応している。しかし、本来、表皮シートの破損が発生しなければ補修作業等は不要である。そのため、配管施工の分離作業時に表皮シートの破損を発生させないことが大きな課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。
施工時の分離作業により、表皮シートが融着部分で破損し、表皮シートによる保護性能が損なわれる問題を解決するため、まず熱風温度等の改善検討を実施したが、熱融着法では、表皮シート融点以上の熱風温度で熱融着を実施しないと融着強度が弱く、施工前に被覆複合配管が剥がれてしまう不具合が発生することがわかった。
【0011】
そのため、熱融着法では無く、表皮シート融点温度以下で接着可能な、特定の接着剤を使用しての接着方法を取り入れることで、取り扱い性がよく、さらには配管施工時の分離作業において、融着部分の表皮シートが破損することなく分離できる発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管を提供できることを見出した。
即ち本発明は、次のものに関する。
【0012】
(1)配管を発泡断熱材で被覆し、該発泡断熱材を表皮シートによって被覆する発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管複数を、接着剤を用いて、各発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管の上記表皮シート同士を長手方向で接着することにより得られる発泡ポリオレフィン樹脂複合配管であって、引き剥がし荷重が35N以上である発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【0013】
(2)前記引き剥がし荷重が35〜130Nである上記(1)に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
(3)前記接着部としての引き剥がし荷重が43〜130Nである上記(1)又は(2)に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
(4)前記接着部としての引き剥がし強度が、15〜35N/cmである上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【0014】
(5)前記発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管の表皮シートの表面が、シボ形状を有する上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
(6)シボの形状が、最大幅0.5〜10mmで、高さ又は深さ0.1〜5mmの四角錐である上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【0015】
(7)前記接着剤が、ポリオレフィン系樹脂を主成分としたオレフィン系樹脂ホットメルト接着剤である上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
(8)前記発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管同士の接着剤による接着部が、適宜間隔をおいて設けられる上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【0016】
(9)前記発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管を構成する前記発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管同士の分離を防止するための、前記発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の外周を覆う保持器具を設けた上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【0017】
(10)前記表皮シート同士を長手方向で接着する場合において、接着剤の表皮シートへの塗布時の表面温度が、表皮シートの溶融温度より低い温度である上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【0018】
(11)配管を発泡断熱材で被覆し、該発泡断熱材を表皮シートで被覆する発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管を複数用いて、前記表皮シート同士を長手方向で接着して発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管を製造する方法において、
前記接着が、塗布時の表面温度を前記表皮シートの融点未満に調製した接着剤によりなされ、引き剥がし荷重が35N以上であることを特徴とする発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造方法。
【0019】
(12)前記接着が、前記接着剤塗布量を制御しながら、前記発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管で互いに向かい合う配管のうちの少なくとも一方の表皮シートに、長手方向に塗布し、前記発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管同士を圧着することにより行われる上記(11)に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造方法。
(13)前記長手方向への接着剤の塗布が、適宜間隔をおいて行われる上記(11)又は(12)に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造方法。
【0020】
(14)前記接着剤の表皮シートへの塗布時の表面温度が、表皮シートの溶融温度より低い温度である上記(11)〜(13)のいずれか一つに記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造方法。
(15)前記引き剥がし荷重が35〜130Nである上記(11)〜(14)のいずれか一つに記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造方法。
(16)接着部としての引き剥がし荷重が43〜130Nである上記(11)〜(15)のいずれか一つに記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造方法。
(17)接着部としての引き剥がし強度が、15〜35N/cmである上記(11)〜(16)のいずれか一つに記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造方法。
【発明の効果】
【0021】
接着剤を利用した本発明に係る発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の個々の被覆配管への引き剥がし荷重及び引き剥がし強度は、熱融着法を利用した発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の個々の被覆配管への引き剥がし荷重及び引き剥がし強度よりも大きな値となり、発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の接着部が取り扱い中に容易に分離するのを防ぐことができる。従って、本発明に係る発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管は取り扱い性に優れる。
【0022】
さらにその上で、本発明に係る発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管は、施工時に個々の被覆配管を接着部を引き剥がして分離させる場合又は何らかの力により分離させられる場合であっても、表皮シート等を破壊することなく、個々の被覆配管に分離可能である。
従って、表皮シート破損箇所への化粧カバー取り付け、市販耐候性テープ等での補修等が不要となり、材料費、廃棄物、工賃、作業等が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の一つの実施の形態の断面図を示す図である。
【図2】本発明における発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管の一つの実施の形態の断面図を示す図である。
【図3】本発明の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管におけるシボ形状の一つの実施の形態示す図である。
【図4】本発明の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管におけるシボ形状の一つの実施の形態示す図である。
【図5】本発明の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造方法の一つを説明する図である。
【図6】本発明の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管に用いられる保持器具の一つの実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管(以下、「樹脂被覆複合配管」ともいう)は、配管と、該配管を被覆した発泡断熱材、及び、該発泡断熱材を被覆する表皮シートと、を有する発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管(以下、「樹脂被覆配管」ともいう)の複数を、接着剤を用いて、各樹脂被覆配管の前記表皮シート同士を長手方向で接着することで得られる樹脂被覆複合配管であって、引き剥がし荷重が、35N以上である。この引き剥がし荷重は35〜130Nであることが好ましい。また、接着部としての引き剥がし荷重(表皮シート等が損傷することなく接着部が分離するときの引き剥がし荷重)は、43〜130Nであることが好ましい。
【0025】
引き剥がし荷重が35N以上(好ましくは43N以上)であると、樹脂被覆複合配管を、巻取りや巻き出しの工程、その他の取り扱い中に、樹脂被覆配管同士が剥がれて分離することを防止するのに好ましい。接着部の引き剥がし荷重がこれより小さすぎると、配管接着力が小さくなり、樹脂被覆配管が接着部で容易に分離しやすくなる。
また、引き剥がし荷重が、大きい場合、強度の点では特に問題はないが、例えば、樹脂被覆複合配管端部の接着部を分離したいときに、人力で剥がすように分離することが困難になる傾向がある。しかし、その場合は、樹脂被覆複合配管の端部の接着部の分離を、刃物等を利用して行うこともできる。
【0026】
引き剥がし荷重が、大きくなりすぎると上記のように樹脂被覆配管が接着部で容易には分離できなくなるだけでなく、引き剥がし時に表皮シートや断熱材の熱融着部が破壊されやすくなるので、樹脂被覆配管を接着部で分離させることを予定するときは、引き剥がし荷重は、130N以下が好ましい。
【0027】
本発明に係る樹脂被覆複合配管は、それを構成する複数の樹脂被覆配管が、それぞれに分離された場合に、接着部で分離し、表皮シート、断熱材の熱融着された突き合わせ部(熱融着部)その他の箇所で損傷しないものであることが好ましい。これにより、樹脂被覆複合配管に大きな力が働いたときにも、樹脂被覆配管が接着部で分離し、損傷することがないので好ましい。以上のようなことから、接着部としての引き剥がし荷重は、43〜130Nであることが好ましい。
そのために、また、表皮シートへの塗布時の接着剤の表面温度を該表皮シートの融点未満とすることが好ましい。この塗布時の温度が高すぎると、樹脂被覆配管同士の引き剥がしに対して表皮シートの強度が低下する傾向がある。
【0028】
また、樹脂被覆複合配管の樹脂被覆配管同士の接着部としての引き剥がし強度(表皮シート等が損傷することなく接着部が分離するときの引き剥がし強度)は、35N/cm以下であることが好ましい。引き剥がし強度が大きすぎると、引き剥がし時に表皮シートが破壊されやすくなる。
【0029】
また、上記の接着部としての引き剥がし強度は15N/cm以上であることが好ましい。引き剥がし強度が小さくなると、十分な引き剥がし荷重を得るために、接着剤の塗布面積が大きくなり、製造作業上、また経済的にも、不利に成りやすい。
【0030】
引き剥がし荷重を調整するには、接着剤の種類、接着剤塗布量、接着剤の塗布温度、接着時に両被覆配管の外面からのロール加圧力等を調整することにより可能である。詳細は後述する。また、引き剥がし強度を調整するには、接着剤の種類、接着剤の塗布温度、接着時に両被覆配管の外面からのロール加圧力等を調整することにより可能である。
なお、引き剥がし荷重及び引き剥がし強度は、実施例に記載する方法により測定される。但し、使用する装置は、テンシロン型引張試験機(型番:AGS−500H((株)島津製作所製))以外のものでもよい。
【0031】
また、本発明の樹脂被覆複合配管は、前記長手方向での接着において、非接着部が適宜間隔をおいて設けられていてもよい。これにより、引き剥がし荷重の調整がより行いやすくなり、また、表皮シートへのダメージの軽減に役立つ。
【0032】
本発明の樹脂被覆複合配管には、前記接着部を係止、保持するための、前記樹脂被覆複合配管の外周を覆う保持器具を設けることができる。これにより、搬送時に樹脂被覆複合配管の接着部の補強に利用でき、また、その取付位置を調整することにより、施工時に樹脂被覆複合配管端部の接着部を引き剥がす場合、余分に分離するのを防ぐのに用いることができる。金具の形状、材質等については後述する。
【0033】
<発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管の構成>
まず、本発明の樹脂被覆複合配管の樹脂被覆配管の構成について説明する。
発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管は、配管と、該配管を被覆した発泡断熱材及び該発泡断熱材を被覆する表皮シートとを含む。
【0034】
(1)各構成
(配管)
上記の配管は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等のオレフィン系共重合体のポリオレフィン樹脂等の樹脂から主になるものが好ましい。特に、アルミ箔、銅箔等の金属箔を上記樹脂で挟んだ三層構造を有する配管(「三層管」ともいう)が好ましい。
配管の形状は特に制限はなく、目的に応じた長さ、大きさ、形状とすればよい。
【0035】
(発泡断熱材)
発泡断熱材としては、ポリオレフィン樹脂を含む発泡性樹脂組成物を発泡させたものを用いることができる。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等のオレフィン系共重合体が単独物で又は混合物が挙げられる。
【0036】
上記の発泡性樹脂組成物には、さらに発泡剤及び架橋剤が含まれ、難燃剤、帯電防止剤、抗菌剤、顔料、充填剤、多官能性モノマー等の架橋促進剤、防蝕剤等が適宜含まれる。
【0037】
上記発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラジカルボンアミド等の熱分解型発泡剤を用いることができる。熱分解型発泡剤の添加割合は、所望の発泡倍率に応じて適宜定めることが出来るが、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、2〜50質量部で使用されることが望ましく、さらには、5〜30質量部で使用されることがより好ましい。
【0038】
上記架橋剤としては、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等であり、その添加量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、0.1〜3.0質量部が一般的である。
【0039】
前記発泡性樹脂組成物において、ポリオレフィン樹脂成分中に、高密度ポリエチレン(HDPE)を25質量%以上含有させることにより、より剛性を付与することができ、延伸性を小さくする上で好ましい。また、これにより、表皮シートにシボ模様を加工する際、シボ模様の加熱・加圧による発泡断熱材の変形くずれをより少なくするこができる。
上記HDPEは、前記の発泡性樹脂組成物において、樹脂成分中に、60質量%以下にすることが押出発泡をしやすくする点から好ましい。
【0040】
上記発泡断熱材の架橋度は、耐熱性と製造作業性の観点から、40〜80%が好ましく、さらに50〜75%、60〜70%の範囲が順次好ましい。
ここで言う架橋度(ゲル分率)とは、試料を約0.3g採取、これを沸騰キシレン中(約130℃)で8Hr以上抽出後、風乾にて16Hr以上放置し、更に風乾後の試料を80℃雰囲気にて4Hr以上放置したものを抽出後の質量とし、次式により算出した値である。
「架橋度(ゲル分率)(%)= 抽出後の試料質量/抽出前の試料質量×100」
【0041】
発泡倍率については10〜50倍程度のものが使用されるが、断熱性の点で30〜50倍のものが望ましい。
厚みは2〜25mm程度の範囲のものが、保温断熱性、損傷防護性、防振遮音性、経済性、施工性、取り扱い運搬性等の点で好ましい。
【0042】
発泡断熱材の製法としては、種々の方法を用いることができるが、前記発泡性樹脂組成物を押出発泡成形することが好ましく、また、シート状に成形することが好ましい。そのために、発泡成形装置として、Tダイを備えた押出機を使用することが好ましい。前記発泡性樹脂組成物としては、架橋剤を含まないものを使用することができるが、この場合には、発泡成形中に、電離性放射線を照射することによって架橋することができる。電離性照射線としては、α線、β線又はγ線が好ましいが、X線や紫外線等を用いても良い。この放射線照射量は架橋促進剤の種類や量によって異なるが、通常5〜20Mradで好ましくは3〜10Mradである。
【0043】
(表皮シート)
表皮シートの材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の非架橋ポリオレフィン樹脂;ポリエステル樹脂;エチレンビニルアクリレート共重合体;ポリ塩化ビニル;等がある。
発泡断熱材として、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂が使用される場合は、これらとの熱ラミネート作業性の観点と環境性に配慮して、表皮シートの材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の非架橋ポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0044】
この表皮シートには、材料の樹脂に紫外線吸収剤を混入して、耐光性処方を施しても何ら問題はない。紫外線吸収剤としては、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール,ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物等が一般的に用いられる。また、上記表皮シートの材料樹脂に酸化防止剤、難燃剤、スリップ剤、密着性向上材、顔料等を、混入しても構わない。
【0045】
上記表皮シートは、形態としては、フィルム状、不織布状、織布状等いずれの形態のものでもよい。
【0046】
表皮シートを製造する方法としては、インフレーション法、Tダイ法、キャスティング法等の製膜技術を利用することができる。表皮シートの材料をポリエステルとする場合、発泡断熱材との接着性を高めるために、ポリエステルシートの融着面をプライマー処理したものやポリオレフィンを予めコートしたものを用いても良い。
【0047】
表皮シートの厚みは、取り扱い性、損傷防護性等の点から30〜500μmのものが望ましい。更に、シボ模様の付与と保持の点から50〜300μmのものが好ましく、また、耐候性の点から100以上のものが好ましく、取扱性の点からは、300μm以下がより好ましく、さらに250μm以下が好ましい。
【0048】
表皮シートの表面には、シボ模様が形成されていることが好ましい。表皮シートの表面にシボ模様が形成されていれば、配管施工時に、曲げ加工を施した箇所のシワ防止や取り扱い性において、また、接触面積が小さくなることから傷が付き難い効果がある。また意匠性の観点からも、表面にシボ模様を有していることが好ましい。
シボの形状は、断面が、三角形、台形、半円形、さい円形、半楕円形その他の形状をとることができる。
また、シボ1個の平面形状は、三角形、四角形、台形、円形、さい円形、楕円形その他の形状をとることができる。
【0049】
シボの大きさは、最大幅(平面形状が内接する円の直径又は細長い形状であれば、その幅のうち最大の大きさ)が0.5〜10mmが好ましく、1〜5mmがより好ましく、また、高さ又は深さが0.1〜5mmが好ましく、0.5〜3mmがより好ましい。
前記のシボは、必ずしも連続して配置される必要はなく、適宜途中で途切れていてもよい。
【0050】
また、シボとしては、細長く連続した形状のものであってもよく、特に長手方向に長く連続したシボをタテシボという。このような細長く連続したシボのピッチは0.5〜20mmが好ましく、1〜5mmがより好ましい。最大幅は、0.5〜10mmが好ましく、1〜5mmがより好ましく、また、高さ又は深さが0.1〜5mmが好ましく、0.5〜3mmがより好ましい。また、その断面形状は三角形、台形、半円形、さい円形、半楕円形その他の形状をとることができる。
【0051】
上記のシボの形成方法としては、後記する断熱シートの表皮シート表面をバーナー等の加熱手段で加熱溶融し、その表面にシボ模様に対応したシボロールを押圧して冷却し形状を付与固定化する方法がある。
また、樹脂被覆配管又は被覆複合配管を製造する工程で表皮シート付き発泡断熱材の表面に上記と同様の方法でシボを付与固定化してもよい。
さらに、表皮シートを軟化し、続いてエンボスロールで挟んで冷却し、シボ形状を付与してシボ模倣付き表皮シートを得ることができる。このとき、シボ模倣付き表皮シートと断熱材とは、接着剤で貼り合わせることが好ましい。
シボの形状は、具体的には、例えば、図3及び図4に示すようなシボ形状5aやシボ形状5bが挙げられる。
【0052】
配管を被覆するための発泡断熱材と該発泡断熱材を被覆する表皮シートとは、これらを配管の被覆に適用する前に予め一体化して、断熱シートとして使用することが好ましい。この断熱シートは、シート状の発泡断熱材一方の面に表皮シートを接着剤で貼着して、あるいは、融着して作製することができる。融着は、例えば、断熱材の表面をバーナー等で加熱し、その表面を溶融させて、これに表皮シートを加圧ローラーを通して積層することにより行うことができる。この後、引き続き、前記したシボ模様の形成を行うことができる。
後述するが、樹脂被覆配管は、断熱シートを、配管に巻きつけることにより作製することが特に好ましい。
シート状の発泡断熱材と表皮シートとを積層することにより、延伸変形されにくい構造体にすることができる。
【0053】
(2)樹脂被覆配管
樹脂被覆配管は、次のようにして製造することができる。
まず、配管を長手方向に繰り出す一方、上記断熱シートを長手方向に繰り出しながら、該断熱シート配管外周を覆うように湾曲変形させていく。
【0054】
次に、上記断熱シートのシート幅方向の両端部が突き合うようにし、この突き合わされた両端部に高温(例えば、約200〜250℃)の熱風を吹き付けて、該両端部を製筒機にて熱融着する。これにより配管を包む形で断熱シートで被覆された樹脂被覆配管が作製される。この後、冷却し、樹脂被覆配管の巻取りを行う。
【0055】
上記の断熱シートの代わりに、シート状発泡断熱材を用いて、発泡断熱材で被覆された配管を作製し、さらに、同様にして表皮シートを発泡断熱材で被覆された配管に、好ましくは、両端部が少し重なるようにして巻き付け、表皮シートの両端部を融着することによっても樹脂被覆配管を作製することができる。この場合、融着する代わりに、表皮シートの内面に接着剤を塗布しておき、表皮シートを発泡断熱材に貼り合わせるようにしてもよい。
【0056】
樹脂被覆配管の一つの実施の形態を図2に示す。図2は、樹脂被覆配管7の断面図である。配管1が、発泡断熱材3と表皮シート4とを有する断熱シート20で被覆されている。断熱シート20は、シート状のものが、配管1を被覆するように湾曲変形され、シート幅方向の両端部が突き合わされるように熱融着され、熱融着部6を形成している。
【0057】
断熱材3を配管1に貼着又は融着させて固定する方法が場合により、有効である。この場合、断熱材3と配管1の接触面全体を貼着又は融着させてもよいが、この場合複合配管が湾曲しにくくなるため、部分的に、より好ましくは、間隔をおいた点状に貼着又は融着させ、隙間2を有していることが好ましい。
【0058】
<発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管>
発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管は、樹脂被覆配管を複数本接着して一体化したものである。
本発明の樹脂被覆複合配管は、前記樹脂被覆配管を複数用いて、各樹脂被覆配管の表皮シート同士を長手方向で接着する方法によって製造され、上記接着が、上記表皮シートの融点未満に塗布時の表面温度を調製した接着剤を用いて行われる。結果として得られる樹脂被覆複合配管における樹脂被覆配管同士の引き剥がし荷重が、35N以上であることを特徴とする。前記したように引き剥がし荷重は、130N以下が好ましい。また、樹脂被覆配管同士の接着部としての引き剥がし強度は、15〜35N/cmであることが好ましい。引き剥がし荷重、接着部としての引き剥がし荷重、接着部としての引き剥がし強度については、前記の通りである。
【0059】
上記接着に用いる接着剤には、CR系(溶剤系)接着剤、エマルジョン系接着剤、ホットメルト等を用いることができるが、設備投資、安全性を考慮し、乾燥設備不要、無溶剤で取り扱いが容易なホットメルト接着剤が望ましい。ホットメルト接着剤にも反応系、EVA系、オレフィン系等多種であるが、その中でもオレフィン系に対して接着強度が強く、リサイクル性の高い熱可塑性樹脂(特にポリオレフィン系樹脂)を主成分とするオレフィン系樹脂ホットメルト接着剤がより望ましい。
【0060】
なお、ホットメルト接着剤の融点は、表皮シートの材料として用いられる樹脂の融点未満であることが好ましい。表皮シートの材料として用いられる樹脂の融点以上のホットメルト接着剤を用いた場合、得られた樹脂被覆複合配管の接着部分を作業中に剥がし分離させる場合、表皮シートが破損する恐れがある。オレフィン系樹脂ホットメルト接着剤は、表皮シートの材料を考慮して、適宜選択する。
なお、表皮シートに用いられる樹脂の融点温度は、例えば、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
【0061】
接着剤の塗布時の表面温度の測定法は、日油技研工業(株)製のサーモラベルに溶融した測定対象のホットメルト接着剤を塗布し、塗布面のラベル変色目視により表面温度を測定することができる。
【0062】
前記オレフィン系樹脂ホットメルト接着剤を前記樹脂被覆配管の隣り合う二本のうちの少なくとも一方の表皮シートに、長手方向で直線上に塗布し、前記樹脂被覆配管同士を圧着させることにより、樹脂被覆複合配管を得ることも好ましい。このとき、接着剤は、塗布量、接着剤の温度は適宜制御しながら、(好ましくは、適正量になるように自動制御しながら)塗布される。
【0063】
また、得られた樹脂被覆複合配管は、前記接着部の分離を防止するための、前記樹脂被覆複合配管の外周を覆う保持器具を設けることができる。保持器具は、また、適宜脱着可能なものであることが好ましい。保持器具は、形状、材質等を特に制限されない。
【0064】
形状の一つの例として、例えば、図6に示すような、樹脂被覆複合配管を外周から覆うように保持できる、断面が長円で且つ樹脂被覆複合配管を挿入するための開口が設けられている形状の保持器具が挙げられる。なお、図6の(a)は正面図であり、図6の(b)は、底面図である。
【0065】
保持器具の材質としては、アルミ、鉄や、これらの合金等の金属でもよいし、ABS樹脂、AAS樹脂等の樹脂でもよい。樹脂被覆複合配管の脱着がしやすいように、弾力のある材質が好ましい。
【0066】
二本の配管は、対になっている被覆配管ガイドロール13を通ることにより被覆されて発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管9となり、該上記発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管9の二本は被覆配管9同士が徐々に隣り合うように、しかし、離間して、該被覆配管の長手方向に同時に連続的に繰り出す。次に、図5に示すように隣り合う被覆配管を接触させるが、その直前に、溶融したホットメルト接着剤をホットメルトノズル12から吹き出して一方の樹脂被覆配管に塗布する。ホットメルト接着剤は、ホットメルトアプリケーターにて溶融(例えば、溶融温度120〜160℃)し、塗布時のホットメルト接着剤表面温度を表皮シートの融点(例えば、100〜130℃)より低い温度(例えば、80〜100℃)に調製する。接着剤の塗布は、被覆配管の長手方向に直線状に適当な塗布幅でかつ適当な塗布量になるように制御される。上記接触部を両外面から対の加圧ロール11で加圧して表皮シート同士を接着させることにより、二本の被覆配管が接着された被覆複合配管10が作製される。このようにして連続して生成する被覆複合配管は、引取装置により引取ながら巻き取ることができる。
【0067】
上記した接着剤の塗布幅及び塗布量は、引き剥がし荷重、引き剥がし強度を調節するために適宜決定されるが、塗布幅は0.1〜1.5cm、塗布量は、管の長手方向に0.4〜4g/mが好ましい。塗布幅は0.15〜1.1cm、塗布量は、管の長手方向に0.5〜3.5g/mがそれぞれより好ましい。これらの値が大きすぎても小さすぎても引き剥がし荷重及び引き剥がし強度を上記のように調整することが難しくなる傾向がある。
また、接着部を管の長手方向に適宜間隔をとって設けるために、接着剤を、管の長手方向に、適宜間隔をもって塗布する場合、接着剤塗布の間隔は100mm以下、接着剤の塗布の長さは50mm以上であることが好ましい。間隔が大きすぎたり、塗布幅が小さすぎると、性能の達成上また、製造上困難になる傾向がある。
【0068】
本発明に係る樹脂被覆複合配管の一例の断面図を、図1に示す。樹脂被覆複合配管10は、配管1と、該配管1を被覆する断熱シート20(断熱シート20は、発泡断熱材3と、該発泡断熱材3を被覆する表皮シート4とを有する)と、を有する樹脂被覆配管7を複数用いて(図1においては、二本)、樹脂被覆配管7の表皮シート同士を長手方向で接着して構成され、樹脂被覆配管7は、接着部8により接着されている。
本発明の樹脂被覆複合配管は、運搬中等に簡単に分離することなく、また、配管施工時の分離作業時に表皮シート破損を発生させずに、分離できるものである。
【実施例】
【0069】
本発明を更に具体的に説明するために、以下に実施例及び比較例を示すが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0070】
(1)断熱シートの製造法(片面)
シート状発泡断熱材(ロール状に巻いた化学架橋したポリエチレンフォーム、架橋度:65%、厚さ:10.0mm、発泡倍率:30倍、製品名:ハイエチレンS、日立化成工業(株)製)を繰り出しながらその一方の表面をバーナーで加熱し、その表面を溶融させて、これに表皮シートとしてのLDPEフィルム(厚さ:150μm、ロール状に巻いたもの)を繰り出しながら、シボロール(15℃に冷却しているもの)で加圧下に積層して融着させるとともにその表面にシボを形成し、生成する積層体(すなわち、断熱シート)を巻き取った。シボロールの模様に従って、シボ模様がLDPEフィルム融着面に形成されていた。
【0071】
なお、表皮シートとして用いたLDPEフィルムは、東ソー(株)製のLDPEとチバ・スベシャルティケミカルズ(株)製のTINUVIN326の混合物をインフレーション法にて作製したものである。この融点は、106℃である。
【0072】
(2)シボロールの模様
上記(1)の断熱シートの製造法において、使用したシボロールのシボ模様は、四角錐で、高さ1.4mm、底面が(平面形状で)一辺の長さ2.5mmの四角形、ピッチは3.0mmとなるようにした。
【0073】
<発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管の製造法>
樹脂管〔長尺巻きされたサイズ13A(外径16.0mm)の三層管(中心軸から径方向外側に向かって高耐熱ポリエチレンで形成される内層とアルミニウムで形成される金属中間層と高耐熱ポリエチレンで形成される外層との三層が順に積層された配管)、Uponor製〕を巻出し機にかけて繰り出しながら製筒機(穴の直径25mm、円周長78.5mm、路長20mm)に通した。
一方、82mm幅の前記(1)で製造した断熱シートを繰り出しながら、樹脂管を囲むように、しかも、断熱シートの幅方向両端部を突き合わせるように湾曲させ、製筒機を通過させた。ただし、製筒機の穴を通過する前に、断熱シートの突き合わされた幅方向両端部に240〜250℃の熱風が吹き付けられ、該両端部が熱融着された。
さらに、断熱シートの熱融着された部分が、製筒機を通過させられた直後に、その部分を冷却するために15℃の冷水が吹き付けられた。
このようにして、連続して生成する発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管を引取装置により巻き取った。なお、巻き取り速度は15m/分とした。
【0074】
なお、上記において、断熱シートの幅方向のサイズを、幅方向両端部を熱融着した後の断熱シートと樹脂管との間に、全周に渡り、0.5〜3.0mmの隙間が生じるようなサイズとした。これは、断熱シート幅方向両端部を熱風で熱融着する際に、樹脂管表面に熱風による損傷(漏水の原因)を生じさせないためである。
【0075】
(実施例1)
<発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造法>
上記で得られた発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管二本(以下、「被覆配管」ともいう)を、被覆配管同士が徐々に隣り合うように、しかし、離間して、該被覆配管の長手方向に同時に連続的に繰り出した。
【0076】
次に、図5に示すように隣り合う被覆配管を接触させるが、この接触の直前、一方の樹脂被覆配管の表皮シート上に、溶融したホットメルト接着剤をホットメルトノズルから吹き出して塗布した。ホットメルト接着剤は、ホットメルトアプリケーターにて溶融(溶融温度135℃)し、塗布時のホットメルト接着剤表面温度を80℃に調製されたものであった。接着剤の塗布は、被覆配管の長手方向に直線状に塗布幅:0.4cmで塗布量が0.9g/mになるように行なわれ、上記接触部を両外面からロールで加圧して表皮シート同士を接着させることにより、二本の被覆配管が接着された被覆複合配管が作製された。このようにして連続して生成する被覆複合配管は、引取装置により引取ながら巻き取られた。
【0077】
なお、実施例1で用いたホットメルト接着剤は、軟化点:135℃(実施例1では、塗布時のホットメルト接着剤表面温度:80℃に調製)であり、約−15℃の低温可とう性を有する日立化成ポリマー(株)製のオレフィン系樹脂ホットメルト接着剤(商品名:ハイボンYH450−1)である。このオレフィン系樹脂ホットメルト接着剤は、短時間に固化し、乾燥工程が不要であり、無溶剤である等の特徴を有する。
【0078】
得られた被覆複合配管に対して、下記の評価を行った。
<評価>
(1)伸ばし試験
巻き取られた被覆複合配管を、巻き戻して伸ばしたときの、接着保持状態を目視確認した。
接着部(表皮シートの融着部を包含する、以下同じ)の分離が無い場合及びその他異常のない場合を○とし、接着部の分離が有る場合を×とした。
(2)曲げ試験
被覆複合配管曲げ時の接着保持状態は、90度に曲げた時の接着保持状態を目視確認した。
接着部の分離が無い場合及びその他異常のない場合を○とし、接着部の分離が有る場合を×とした。
【0079】
(3)剥離試験
(a)分離状態の確認
長さ50mmにカットした被覆複合配管をテンシロン型引張試験機に取り付け、引張速度500mm/分で被覆複合配管を引っ張り、分離された接着部の表皮シートの破損、その他の異常の有無を外観確認した。
表皮シートの破損が無い場合及びその他の異常が無い場合を○とし、表皮シートが破れた場合又は断熱シートの熱融着された突き合わせ部が破壊された場合を×とした。
【0080】
(b)引き剥がし荷重及び引き剥がし強度の測定法
被覆複合配管を長手方向に50mm幅にカットし、試験片とする。試験片の内径に合った樹脂管を挿入し、テンシロン型引張試験機(型番:AGS−500H((株)島津製作所製))に取り付ける。試験片を上下方向に引張速度500mm/分で引っ張り、二本の樹脂被覆配管が分離するまでの最大荷重を測定し、これを引き剥がし荷重(単位:N)とした。この引き剥がし荷重を、接着剤塗布面積(前記ホットメルト接着剤塗布幅(cm)×5.0(cm))又は融着面積(融着幅(cm)×5.0(cm))で除した値を引き剥がし強度(単位:N/cm)とした。
【0081】
なお、前記ホットメルト接着剤の塗布幅は、上記試験で剥がれた接着剤(上記の試験において、接着剤は、配管が引き剥がされた場合、一方の配管の表皮シートに残存するので、その接着剤の幅を測定し、最大値と最小値の平均を求め、これを塗布幅とした。また、接着部が破壊されるときも、破壊された一方の表皮が他方の表皮に接着しているので、その接着剤の幅又は融着部の幅を測定し、最大値と最小値の平均を求め、これを塗布幅又は融着幅とした。
【0082】
なお、表皮シートの融点温度、ホットメルト接着剤の塗布時の表面温度、塗布量、塗布幅については、下記の方法で行った。
<測定方法>
(4)表皮シート融点温度の測定法
(株)島津製作所製、示差走査熱量計(DSC)により融点温度を測定した。
(5)ホットメルト接着剤表面温度の測定法
日油技研工業(株)製のサーモラベルで溶融したホットメルト接着剤を塗布し、塗布面のラベル変色目視により表面温度を測定した。
【0083】
(6)ホットメルト接着剤塗布量の測定方法
上記(2)の剥離状態の確認後の試料片よりホットメルト接着剤を剥がし、量りにて50mm辺りのホットメルト接着剤塗布量を測定し、次の式で1m辺りのホットメルト接着剤塗布量を求めた。
ホットメルト接着剤の塗布量(g/m) =ホットメルト接着剤の塗布量(g/50mm辺り)×20
【0084】
剥離試験(分離状態の確認)では表皮シートに破れ発生及びその他の異常は無し、伸ばし試験、曲げ試験では、接着部の分離及びその他の異常は無しであった。
【0085】
(実施例2)
被覆配管及びホットメルト接着剤は実施例1と同じものを使用し、ホットメルト接着剤を、被覆配管の長手方向に直線状に、塗布量3.0g/m、塗布幅:0.7cmで塗布時のホットメルト接着剤表面温度約80℃で塗布し、被覆複合配管を形成した。
得られた被覆複合配管に対して実施例1と同様に評価を行ったところ、剥離試験(分離状態の確認)では表皮シートに破れ発生及びその他の異常無し、伸ばし試験、曲げ試験では接着部の分離及びその他の異常無しで良好であった。
【0086】
(実施例3)
被覆配管及びホットメルト接着剤は実施例1と同じものを使用し、ホットメルト接着剤を、被覆配管の長手方向に直線状に、塗布量1.7g/m、塗布幅:0.3cmで塗布時のホットメルト接着剤表面温度約95℃で塗布し、被覆複合配管を形成した。
得られた被覆複合配管に対して実施例1と同様に評価を行ったところ、剥離試験(分離状態の確認)では表皮シートに破れ発生及びその他の異常無し、伸ばし試験、曲げ試験では接着部の分離及びその他の異常無しで良好であった。
【0087】
(実施例4)
被覆配管及びホットメルト接着剤は実施例1と同じものを使用し、ホットメルト接着剤を、被覆配管の長手方向に直線状に、塗布量3.0g/m、塗布幅:0.2cmで塗布時のホットメルト接着剤表面温度約95℃で塗布し、被覆複合配管を形成した。
得られた被覆複合配管に対して実施例1と同様に評価を行ったところ、剥離試験(分離状態の確認)では表皮シートに破れ発生及びその他の異常無し、伸ばし試験、曲げ試験では接着部の分離及びその他の異常無しで良好であった。
【0088】
(実施例5)
被覆配管及びホットメルト接着剤は実施例1と同じものを使用し、ホットメルト接着剤を、被覆配管の長手方向に直線状に、塗布量0.6g/m、塗布幅:0.4cmで塗布時のホットメルト接着剤表面温度約100℃で塗布し、被覆複合配管を形成した。
得られた被覆複合配管に対して実施例1と同様に評価を行ったところ、剥離試験(分離状態の確認)では表皮シートに破れ発生及びその他の異常無し、伸ばし試験、曲げ試験では接着部の分離及びその他の異常無しで良好であった。
【0089】
(実施例6)
被覆配管及びホットメルト接着剤は実施例1と同じものを使用し、ホットメルト接着剤を、被覆配管の長手方向に直線状に、塗布量3.0g/m、塗布幅:0.8cmで塗布時のホットメルト接着剤表面温度約100℃で塗布し、被覆複合配管を形成した。
得られた被覆複合配管に対して実施例1と同様に評価を行ったところ、剥離試験(分離状態の確認)では表皮シートに破れ発生及びその他の異常無し、伸ばし試験、曲げ試験では接着部の分離及びその他の異常無しで良好であった。
【0090】
(実施例7)
被覆配管及びホットメルト接着剤は実施例1と同じものを使用し、ホットメルト接着剤を、被覆配管の長手方向に直線状に、塗布量4.0g/m、塗布幅:0.7cmで塗布時のホットメルト接着剤表面温度約95℃で塗布し、被覆複合配管を形成した。
得られた被覆複合配管に対して実施例1と同様に評価を行ったところ、伸ばし試験、曲げ試験では接着部の分離無しであったが、剥離試験(分離状態の確認)では被覆配管の断熱シートの熱融着された突き合わせ部に破れが発生した。
これは、引き剥がし荷重、引き剥がし強度が大きすぎることによると考えられる。
【0091】
(実施例8)
被覆配管及びホットメルト接着剤は実施例1と同じものを使用し、ホットメルト接着剤を、被覆配管の長手方向に直線状に、塗布量6.0g/m、塗布幅:1.1cmで塗布時のホットメルト接着剤表面温度約100℃で塗布し、被覆複合配管を形成した。
得られた被覆複合配管に対して実施例1と同様に評価を行ったところ、伸ばし試験、曲げ試験では接着部の分離無しであったが、剥離試験(分離状態の確認)では被覆配管の断熱シートの熱融着された突き合わせ部に破れが発生した。
これは、引き剥がし荷重、引き剥がし強度が大きすぎることによると考えられる。
【0092】
(実施例9)
被覆配管及びホットメルト接着剤は実施例1と同じものを使用し、ホットメルト接着剤を、被覆配管の長手方向に直線状に、塗布量1.0g/m、塗布幅:0.4cmで塗布時のホットメルト接着剤表面温度約120℃で塗布し、被覆複合配管を形成した。
得られた被覆複合配管に対して実施例1と同様に評価を行ったところ、伸ばし試験、曲げ試験では接着部の分離無しであったが、剥離試験(分離状態の確認)では表皮シートに破れが発生した。
これは、接着剤塗布時の接着剤が表皮シートの溶融温度よりも高い表面温度であったことによると考えられる。
【0093】
(実施例10)
被覆配管及びホットメルト接着剤は実施例1と同じものを使用し、ホットメルト接着剤を、被覆配管の長手方向に直線状に、塗布量0.5g/m、塗布幅:0.4cmで塗布時のホットメルト接着剤表面温度約80℃で塗布し、被覆複合配管を形成した。
得られた被覆複合配管に対して実施例1と同様に評価を行ったところ、剥離試験(分離状態の確認)では表皮シート破れ発生は無し、伸ばし試験では接着部の分離無しであったが、曲げ試験では接着部の分離が発生した。
【0094】
(実施例11)
被覆配管及びホットメルト接着剤は実施例1と同じものを使用し、ホットメルト接着剤を、被覆配管の長手方向に直線状に、塗布量1.0g/m、塗布幅:0.4cmで塗布時のホットメルト接着剤表面温度約110℃で塗布し、被覆複合配管を形成した。
得られた被覆複合配管に対して実施例1と同様に評価を行ったところ、伸ばし試験、曲げ試験では接着部の分離無しであったが、剥離試験(分離状態の確認)では表皮シートに破れが発生した。
【0095】
(比較例1)
<発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造法>
被覆配管は実施例1と同じものを使用し、被覆配管を長手方向に二本同時に繰り出して被覆配管同士が隣り合うように、しかし、離間して、該被覆配管の長手方向に連続的に繰り出した。
【0096】
次に、図5に示すように隣り合う被覆配管を接触させ、この接触部に、高温の熱風(約200℃)を吹き付けて、該接触部を両外側からロールで加圧し、表皮シート同士を融着させることにより、二本の被覆配管が接着された被覆複合配管が作製された。このようにして連続して生成する被覆複合配管は、引取装置により引取ながら巻き取られた。
得られた被覆複合配管に対して実施例1と同様に評価を行ったところ、伸ばし試験、曲げ試験では表皮シート間の融着部の分離無しであったが、剥離試験(分離状態の確認)では表皮シートに破れが発生した。
【0097】
(比較例2)
被覆配管は実施例1と同じものを使用し、融着温度を140℃としたこと以外は比較例1と同様にして、被覆複合配管を融着形成した。
得られた被覆複合配管に対して実施例1と同様に評価を行ったところ、剥離試験(分離状態の確認)では表皮シートに破れが発生無し、伸ばし試験曲げ試験では表皮シートの融着部の分離発生無しも、曲げ試験では表皮シートの融着部の分離が発生した。
【0098】
(比較例3)
被覆配管は実施例1と同じものを使用し、融着温度を120℃としたこと以外は比較例1と同様にして、被覆複合配管を融着形成した。
得られた被覆複合配管に対して実施例1と同様に評価を行ったところ、剥離試験(分離状態の確認)では表皮シートに破れが発生し、伸ばし試験、曲げ試験では表皮シートの融着部の分離が発生した。
これらの結果を表1に示す。
【0099】
【表1】

【0100】
上記表1から明らかなように、実施例1〜11において、接着剤で接着することにより、熱融着で接着した比較例1〜3に比較して、樹脂被覆管の分離に対する強度が増大した。
実施例1〜6においては、樹脂被覆複合配管の分離に際し、接着剤がどちらかの樹脂被覆配管に残った状態でその接着部で分離し、表皮シートの損傷等が無く、うまく分離できた。しかし、引き剥がし荷重が大きすぎる実施例7又は8では、樹脂被覆複合配管が分離しずらくなり、強制的に樹脂被覆複合配管を分離しようとすると断熱材突き合わせ部の熱融着部が破壊された。
実施例9及び10では、引き剥がし荷重は高くなったが、樹脂被覆複合配管を表皮シートの溶融温度より高い表面温度の接着剤で接着したので、樹脂被覆複合配管が分離しやすく、また、樹脂被覆複合配管の分離に際し、表皮シートが破れやすくなっていた。
【符号の説明】
【0101】
1 配管
2 配管と断熱シートとの隙間
3 断熱材
4 表皮シート
20 断熱シート
5 シボ
6 断熱シートの熱融着部
7 樹脂被覆配管
8 接着部
10 発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管
11 加圧ロール
12 ホットメルトノズル
13 被覆配管ガイドロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を発泡断熱材で被覆し、該発泡断熱材を表皮シートによって被覆する発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管複数を、接着剤を用いて、各発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管の上記表皮シート同士を長手方向で接着することにより得られる発泡ポリオレフィン樹脂複合配管であって、引き剥がし荷重が35N以上である発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【請求項2】
前記引き剥がし荷重が35〜130Nである請求項1に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【請求項3】
接着部としての引き剥がし荷重が43〜130Nである請求項1又は2に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【請求項4】
前記接着部としての引き剥がし強度が、15〜35N/cmである請求項1〜3のいずれか一項に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【請求項5】
前記発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管の表皮シートの表面が、シボ形状を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【請求項6】
シボの形状が、最大幅0.5〜10mmで、高さ又は深さ0.1〜5mmの四角錐である請求項1〜5のいずれか一項に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【請求項7】
前記接着剤が、ポリオレフィン系樹脂を主成分としたオレフィン系樹脂ホットメルト接着剤である請求項1〜6のいずれか一項に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【請求項8】
前記発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管同士の接着剤による接着部が、適宜間隔をおいて設けられる請求項1〜7のいずれか一項に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【請求項9】
前記発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管を構成する前記発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管同士の分離を防止するための、前記発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の外周を覆う保持器具を設けた請求項1〜8のいずれか一項に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【請求項10】
前記表皮シート同士を長手方向で接着する場合において、接着剤の表皮シートへの塗布時の表面温度が、表皮シートの溶融温度より低い温度である請求項1〜9のいずれか一項に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管。
【請求項11】
配管を発泡断熱材で被覆し、該発泡断熱材を表皮シートで被覆する発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管を複数用いて、前記表皮シート同士を長手方向で接着して発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管を製造する方法において、
前記接着が、塗布時の表面温度を前記表皮シートの融点未満に調製した接着剤によりなされ、引き剥がし荷重が35N以上であることを特徴とする発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造方法。
【請求項12】
前記接着が、前記接着剤塗布量を制御しながら、前記発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管で互いに向かい合う配管のうちの少なくとも一方の表皮シートに、長手方向に塗布し、前記発泡ポリオレフィン樹脂被覆配管同士を圧着することにより行われる請求項11に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造方法。
【請求項13】
前記長手方向への接着剤の塗布が、適宜間隔をおいて行われる請求項11又は12に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造方法。
【請求項14】
前記接着剤の表皮シートへの塗布時の表面温度が、表皮シートの溶融温度より低い温度である請求項11〜13のいずれか一項に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造方法。
【請求項15】
前記引き剥がし荷重が35〜130Nである請求項11〜14のいずれか一項に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造方法。
【請求項16】
接着部としての引き剥がし荷重が43〜130Nである請求項11〜15のいずれか一項に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造方法。
【請求項17】
接着部としての引き剥がし強度が、15〜35N/cmである請求項11〜16のいずれか一項に記載の発泡ポリオレフィン樹脂被覆複合配管の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−234705(P2010−234705A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86436(P2009−86436)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(508187665)日立化成テクノサービス株式会社 (11)
【出願人】(000151025)株式会社タブチ (86)
【Fターム(参考)】