説明

発泡ポリマーと鉱物綿を有する断熱パネルの製造プロセス

本発明は、発泡ポリマーの層(10)と鉱物綿の層(12)を用いる断熱パネルの製造プロセスに関する。断熱発泡材を形成する樹脂の一様な発泡を得るため、発泡のときの樹脂との摩擦抵抗を低減するよう鉱物綿の繊維状の層の上に接合面(15)を備える。この接合面は、発泡材と同じ樹脂のフィルムを吹き付けることにより得ることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱物綿の少なくとも一つの層と、発泡ポリマーの一つの層から成る断熱コアが、金属、プラスチックあるいは他の材料の板で形成された二つの外面の間に配置された複合あるいはサンドイッチ構造を有する断熱パネルの製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
これらのパネルは、発泡ポリマーと異なり鉱物綿が好ましい耐火性の特徴を有しているので、防火用途に使用される。発泡ポリマーは、通常、発泡ポリウレタンあるいは他の発泡樹脂であり、代わりに、大きな断熱能力と、さらに、鉱物綿と比較し大きな構造的剛性とを備える。
【0003】
このようなパネルの製造においての困難さは、鉱物綿の繊維が、鉱物綿の接合面に接する方向に樹脂が発泡するのを妨げ、その結果、発泡材が、パネルの内側の全ての範囲に正確に届かない、あるいは、発泡が遅くなることになる。
【0004】
この状況を解決するため、パネルの全表面に渡り、ほぼ一様になるよう、液体樹脂を広げる、あるいは、分布させることが知られている。しかし、特に非連続的な生産の場合は、パネルの形状や寸法のより、常に可能ではない。
【0005】
事実、このような生産の間、通常、樹脂は、一点あるいは、場合により数点で注入され、パネルの内側の全ての空間に届くように、主に鉱物綿の表面に並行な方向に発泡していく。しかし、鉱物綿の繊維状の表面は、その表面に沿って発泡材が広がるのを妨げるような摩擦の原因になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために、鉱物綿の繊維状の表面により生じた摩擦の負の影響を解決することが可能な鉱物綿と発泡ポリマーから成るコアを有する断熱パネルの製造プロセスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題を解決する考え方は、パネル構造内に分離現象や欠陥を避けるように、鉱物綿の表面に発泡材と鉱物綿の両方に確実に付着する材料の接合面を供給することである。
【0008】
本発明の実施例として、この材料は、発泡材と同じポリマー樹脂から成り、鉱物綿の表面の上に吹き付けることにより、供給される。
【0009】
このプロセスによれば、一方で、発泡材と一致する吹き付けられた接合面を得ることができ、それにより、互いに完全な付着を確実にし、他方で、鉱物綿への接合面の取り付けは、発泡材の場合に正常に生じる。
【実施例】
【0010】
第1の図において、本発明による断熱パネルは全体を1で示され、リブ5、6と7で形成された金属板で作られ、従来の形状を有する上面2と底面3を備える。
【0011】
発泡ポリマー、好ましくは発泡ポリウレタンの層10と、鉱物綿の層12により形成された断熱コアが、パネルの二つの面の間に設けられている。
【0012】
発泡ポリマーと同じタイプの発泡樹脂から成る接合面15が層10、12の間に設けられ、接合面15の厚さは、発泡材10の続いて起こる発泡が可能なよう必要な柔軟性を確実にするように選ばれる。
【0013】
従って、接合面が薄いフィルムである場合と数ミリメータの厚さの場合とがあり、それは、使用される樹脂のタイプや、その密度、断熱コアの形状と寸法に依存する。
【0014】
本発明の二つの可能な異なるプロセスによるパネルの製造の操作ステップを、図4、5に図示する。
【0015】
ステップ(a)に見ることができるように、鉱物綿12がパネルの第二の面3の上に接着された後、ポリマー樹脂が綿12の上面全体にわたってヘッド17を用いて吹き付けられ、その上に接合面15を形成する。
【0016】
液体(あるいはある場合は流体)樹脂が、第2のヘッド18を用いて、パネルの面2、すなわち高いリブ5を有する面の上に注がれる(ステップ(b))。液体樹脂が、パネルの面2の一点でのみ供給される。
【0017】
この操作の後、公知のタイプの型を用いて、パネルの厚さと等しい距離で下方に向けられた接合面15を有するように、パネルの他の面3が形成される。このように準備された半完成品が、内側に圧力を形成され(まだ公知のものは示されていない)、樹脂の発泡が生じる。
【0018】
綿12の上に吹き付けられた樹脂により形成された接合面のために、発泡材が、パネル内側の空間に、一様に満たされ正常に広がる。これは、鉱物綿の繊維状の面を特徴付ける摩擦を受けないように、発泡材が沿ううことができる規則正しい表面を形成する前述の接合面のためである。
【0019】
図5は、ステップ(b)において、パネルの他の面2の上の代わりに、綿12の上の吹き付けられた樹脂の接合面15の上に液体樹脂が注がれるような、前述の行程の変形を示す。それは、パネルの厚さと等しい距離で型の内側に置かれ(ステップ(c))、この後、全体の組立が、樹脂の発泡、従って発泡材10の形成のための圧力内に置かれる。
【0020】
見て取れるように、本発明によるプロセスは、自由度があり、環境に最も適合しするように実行できる利点を備えている。簡単なため、このプロセスは、パネルの非連続的生産にも連続生産にも用いるのに適しており、二つの面2、3は、それぞれのコイルから巻かれていない金属板の帯板を形成して得ることができる。
【0021】
明かなように、本発明によるプロセスは、図1に示すものと異なる形状のパネルの製造にも使用できる。例えば、同じ用途により製造されるような曲面パネル、あるいは、図3のように平面パネルにも使用でき、単純なので、同等のパネルは図1の記号に20を加えて示されている。従って、パネル21(1+20)は上面22(2+20)と底面23とを備える。
【0022】
この場合、絶縁コアは、既に説明したように得られるそれぞれのフィルム35により、発泡ポリマー30から分離された鉱物綿32の二つの層を備える。
【0023】
明かなように、このフィルム35により助けられて、パネル内で発泡材が一様に発泡することについて、上記と同様のことが、この変形に適用される。
【0024】
材料については、いままで述べてきたものに関連し、様々な変更が考えられる。例えば、明らかなように、パネルの面は金属でなくてもいい。従って、はじめに述べたように、プラスチック材料(ポリカーボネイト、ポリエチレンなど)あるいは、木、ガラスなどを使用することも可能である。
【0025】
さらに、ロックウールの代わりに、人工、天然繊維の両方の織物材のような他の繊維材料を使用することも可能である。
【0026】
原理的に、繊維と発泡材の分離接合面は、樹脂の吹き付け以外の他のプロセスにより得ることができることを付け加える。一般に、柔軟で、滑らかでなくて、多孔でないどんな材料も用いることができる。
【0027】
この要求を基に、当業者は様々な代替を見出すことができる。
【0028】
既に述べたことを繰り返すと、本発明によるプロセスは、面2、3が分離され、綿と樹脂が発泡するよう供給されたパネルの非連続生産のため特に適しているが、樹脂と鉱物綿が成形された金属帯板に供給される製造ラインに用いられる連続製造プロセスに適用される。
【0029】
これらの変更は、以下の請求範囲を外れることはない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明によるパネルを示す。
【図2】図1によるパネルの断面の詳細を示す。
【図3】前記パネルの変形の断面図である。
【図4】それぞれの変形による、本発明のプロセスを実行するステップを示す。
【図5】それぞれの変形による、本発明のプロセスを実行するステップを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの繊維状の層(12;32)と発泡ポリマー樹脂の一つの層(10;30)が、互いに向き合う外面(2、3;22、23)の間に配置されている断熱パネルであって、
前記パネル(1;21)の一つの面(3;23)の上に、接着剤あるいは他の固定手段を用いて、前記繊維状の層(12;32)を固定し、
前記繊維状の層(12;32)の自由面の上に、発泡中、前記樹脂のクリープに対する低い摩擦抵抗を有する柔軟な接合面(15;35)を形成し、
液体ポリマー樹脂を供給した後、所定の距離に位置するように、前記パネルの他方の面(3;23)を対向させ、
前記パネルの内側に圧力を維持するように、前記液体ポリマー樹脂の発泡を起こさせることを特徴とする断熱パネルの製造プロセス。
【請求項2】
前記接合面(15;35)が前記繊維状の層(12;32)の上にポリマー樹脂を吹き付けることにより得られることを特徴とする請求項1記載の製造プロセス。
【請求項3】
吹き付けられた前期ポリマー樹脂が前記断熱層(10;30)と同じタイプであることを特徴とする請求項2記載の製造プロセス。
【請求項4】
前記繊維状の層(12;32)が鉱物綿から成ることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の製造プロセス。
【請求項5】
前記外面(2、3;22、23)が金属板で形成されたことを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の製造プロセス。
【請求項6】
前記外面(2、3;22、23)が個別の金属帯板により形成され、連続して実施されることを特徴とする請求項5記載の製造プロセス。
【請求項7】
前記液体ポリマー樹脂が前記接合面(15)あるいはそれに対向する前記パネルの一つの面(2、22)の上に、少なくとも1点に集中して注入されることを特徴とする請求項1から6のいずれか記載の製造プロセス。
【請求項8】
繊維状の層(12;32)と外面(2、3;22、23)間の発泡ポリマー樹脂(10;30)との間の接合面を有し、請求項1から7のいずれか記載の製造プロセスにより製造されたことを特徴とするパネル。
【請求項9】
前記接合面が前記繊維状の層(12、32)の上に吹き付けられた樹脂の層により形成されたことを特徴とする請求項8記載のパネル。
【請求項10】
前記吹き付けられた樹脂が前記発泡樹脂(10;30)と同じタイプであることを特徴とする請求項9記載のパネル。
【請求項11】
前記繊維状の層(12;32)が鉱物綿より成り、前記外面(2、3;22、23)が金属板で形成されたことを特徴とする請求項8から10のいずれか記載のパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−536138(P2007−536138A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512724(P2007−512724)
【出願日】平成16年5月3日(2004.5.3)
【国際出願番号】PCT/IT2004/000240
【国際公開番号】WO2005/105406
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(506365544)メテクノ ソシエタ ペル アチオニ (1)
【Fターム(参考)】