説明

発熱装置

【課題】連結部材によって電線外被をむき出す脱皮作業が不要であり、さらに別の熱源による加熱作業なしに一度に電線と発熱棒を堅固に結合することができ、作業が容易にかつ迅速になり、同時に作業工程を減らして簡素化することで製造費用を節減することができる暖房用発熱装置を提供する。
【解決手段】この発熱装置は複数の発熱棒、電線、及び連結部材を含む。加熱棒は導電性カーボン発熱体と前記カーボン発熱体をくるむ絶縁外皮とを含む。前記電線は前記発熱棒の両端にそれぞれ結合されて前記カーボン発熱体に通電させる。前記連結部材は挿入部と少なくとも一つの着座部を含む。前記挿入部は前記電線を貫いて前記発熱棒カーボン発熱体に挿入される先端部を含む。前記着座部は前記挿入部の上端に備えられて前記電線にかかる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は住宅、学校、宿泊施設、オフィステル、ペンションなどの住居及び商業用建物に設置される暖房用発熱装置に係り、より詳しくは連結部材の着座部が発熱棒と電線を直接連結し、同時に連結部材の挿入部先端部を発熱棒に直接挿入することにより、電線被覆の脱皮作業なしに電線と発熱棒の堅固な結合を保障する発熱装置に関する。
【0002】
すなわち、本発明による連結部材は、電線と発熱棒の結合が容易にかつ迅速になされるようにし、同時に堅固な結合とすぐれた伝導性を保障することにより、より信頼度の高い暖房用発熱装置を提供することができることになる。
【背景技術】
【0003】
電気による低温輻射による床暖房は、近年新しく脚光を浴びている建築技術である。一般的な発熱素材としては、ニクロム線、炭素繊維、面状発熱体などがあり、このような素材はいずれも遠赤外線を放出する機能を持っている。
【0004】
本発明の発明者が2005年12月31日付で出願した韓国実用新案第20−2005−37270号(登録番号20−417945号、公告日2006.06.07)「暖房用発熱装置」(以下、従来技術1という)においては、「・・・発熱線、・・・電線、・・・結合部材を含んでなり、前記結合部材の挿入部は先端部と前記発熱線から抜け出ないようにする楔部を持つことを特徴とする暖房用発熱装置。」が提案されている。
【0005】
しかし、従来技術1では、まず電線の被覆を一部むき出した後、結合部材を前記電線の伝導体をくるむ形状に結合し、高周波または超音波で加熱した後、前記結合部材挿入部の先端部を前記発熱線のカーボン発熱体に加圧し、高周波または超音波による加熱により前記カーボン発熱体が溶融するにつれて前記先端部が前記発熱体に挿入される。
【0006】
すなわち、電線の被覆をむき出した後、結合部材の一端を伝導体に当接し、他端を曲げて伝導体をくるんだ後、伝導体に結合された結合部材を高周波または超音波で一定温度以上に加熱した後、カーボン発熱体に挿入することになる。
【0007】
しかし、前記従来技術1では、発熱線が結合される位置で電線外被を予めむき出さなければならない脱皮作業が必要であり、連結部材が伝導体に結合された後、加熱する加熱作業が必要であり、さらに加熱された連結部材を発熱線に挿入する結合作業が別に必要であるので、作業工数が多くなり、作業者がそれぞれの工程を手作業で行わなければならない不便さがあった。
【0008】
また、電線外被をむいた後、連結部材を結合することになるので、外部カバーを通過した湿気及びほこりなどが浸透することを防ぐことができる効果的な手段がなかった。
【0009】
そして、発熱装置が床面または地面に埋め込まれた状態で使用される場合、床面または地面をなすコンクリートと電線外被は、密着するしかなく、よって時間が経つにつれてコンクリートに亀裂が生ずれば、コンクリートと密着した電線外被も同時に割れ、究極には破損される問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記のような問題点を解決するためになされたもので、連結部材によって電線外被をむき出す脱皮作業が不要であり、さらに別の熱源による加熱作業なしに一度に電線と発熱棒を堅固に結合することができ、作業が容易にかつ迅速になり、同時に作業工程を減らして簡素化することで製造費用を節減することができる暖房用発熱装置を提供することにその目的がある。
【0011】
本発明の他の目的は、伝導性を高めるために、前記連結部材の着座部は弧状に形成され、また前記連結部材の挿入部には、先端部が形成され、前記発熱棒のカーボン発熱体に挿入されることにより堅固な結合を保障することができる暖房用発熱装置を提供することにある。
【0012】
本発明の目的は、さらに、床面または地面をなすコンクリートと接触する電線被覆を保護外被でくるむことで、コンクリートの亀裂、及び外部衝撃による電線の損傷を防止することができる暖房用発熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記のような目的を達成するために、本発明は、
導電性カーボン発熱体と前記カーボン発熱体をくるむ絶縁外皮からなる複数の発熱棒;
前記発熱棒の両端にそれぞれ結合され、前記カーボン発熱体に通電する電線;及び
前記電線を貫いて前記発熱棒のカーボン発熱体に挿入される先端部が形成された挿入部と前記挿入部の上端に備えられて前記電線にかかる着座部
が形成された連結部材;を含んでなる、暖房用発熱装置、を提供する。
【0014】
また、前記連結部材の着座部は、前記電線をくるむように弧状とすることができる。
【0015】
また、前記連結部材の着座部は、先端部を持つことができる。
【0016】
また、前記電線は、伝導体をくるむ被覆、及び前記被覆をくるむ保護外被を含むことができる。
【0017】
また、前記連結部材と前記電線の結合部位には、カバーを結合することができる。
【0018】
また、前記連結部材は、空気圧発射装置によって前記電線と前記発熱棒に挿入されることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による暖房用発熱装置は電線外被をむき出す脱皮作業が不要であり、また別の加熱源による加熱作業が不要であり、作業が容易で迅速になされ、同時に作業工程を減らして簡素化することで製造費用を節減することができる効果がある。
【0020】
さらに、長期間にわたる使用にもかかわらず、外部に伝わる衝撃によって電線が破損されることを防止して効率性を高めることができる。
【0021】
一方、電線被覆をくるんでいる保護外被と、溶融率の高い素材をカバーとして使用することで湿気及び異物の浸透を防止することができ、特に湿式暖房に一層高い効率を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明による暖房用発熱装置の結合斜視図である。
【図2】図2は、図1の一部分解斜視図である。
【図3】図3は、結合部位の側断面図である。
【図4】図4は、連結部材の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による暖房用発熱装置の一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1〜図3に示すように、本発明による暖房用発熱装置1は、長手方向に連続的に備えられる一対の電線10と、前記電線10の間に一定間隔を置いて位置する導電性カーボン発熱体21及び前記カーボン発熱体21をくるむ絶縁外被22からなる複数の発熱棒20と、前記発熱棒20と前記電線10を結合するとともに前記カーボン発熱体21に電線10に流れる電気が通電するようにする連結部材30とからなる。
【0025】
本発明による暖房用発熱装置において、前記発熱棒20は、間隔は一定に維持され、間隔は一般的に5cm〜20cmの間で決定される。そして高い床温度(高発熱量)が必要な場合には発熱棒20の間隔を狭くし、低い床温度が必要な場合には間隔を大きくして設置する。また、前記発熱棒20はカーボン発熱体21とこれをくるむ絶縁外被22でなり、外形は断面楕円形の棒状に形成される。
【0026】
前記カーボン発熱体21は、カーボンとポリエチレンの混合物でなり、電気を通電させれば波長8〜14μmの遠赤外線を放射する。前記遠赤外線の輻射率は、90%以上である。前記絶縁外被22は、ポリエチレン樹脂でなる。
【0027】
前記発熱棒20の発熱温度は、通常60〜70度を維持し、絶縁外被22の性質と前記カーボンとポリエチレンの混合比を調節することで発熱温度を調節することができる。また、前記発熱棒20は均一で早く発熱する利点を持ち、電磁波輻射がないという利点を持つ。
【0028】
本発明による暖房用発熱装置において、前記電線10は、前記発熱棒20の両端にそれぞれ結合されて、前記カーボン発熱体21に通電するようにし、前記電線10は、電気が流れる伝導体11と、前記伝導体をくるむ被覆12とからなる通常の電線を使用することになる。
【0029】
特に、前記電線10は、前記被覆12をくるむ保護外被13をさらに含んでなり、前記保護外被13は、弾性素材から電線10の全体にわたって一体的に形成される。そして、前記保護外被13は、電線10の被覆12と密着しないように形成される。よって、前記保護外被13がコンクリートと密着し、コンクリートの亀裂や破損の際、保護外被13の内部に位置する電線10は、前記保護外被13と密着していないので、前記保護外被13の弾力による伸縮性によって保護外被13のみが伸び、内側に位置する電線10は損傷されなくなる。
【0030】
本発明による暖房用発熱装置において、前記連結部材30は、前記電線10と発熱棒20を結合するもので、通電のための導電性材料からなることが好ましい。
【0031】
前記連結部材30は、前記発熱棒20のカーボン発熱体21に差し込まれる先端部31aを持つ挿入部31と、前記挿入部31の上端に備えられ、前記電線10の伝導体11にかかる着座部32とからなる。
【0032】
図4に示す前記連結部材30において、前記着座部32は両端に前記伝導体11の外径と同一であるかあるいはそれより大きな内径を持ち、伝導体11をくるむように弧状に形成されて、高速で発射された連結部材30を停止させるとともに伝導体11をくるむことになる。
【0033】
この際、前記各着座部32は、前記伝導体11を前方及び後方からそれぞれ半円形にくるむ半円形になる。さらに、前記着座部32には先端部32aがさらに形成され、前記先端部32aが伝導体11をくるむ被覆12及び保護外被13を貫いて前記伝導体11と接触し、弧状の着座部32は被覆12をくるむように形成されることができる。
【0034】
そして、前記挿入部31は、連結部材30が空気圧発射装置(図面に図示せず)、またはシリンダー加圧装置によって高速で発射されれば、まず挿入部31の先端部31aの一端が保護外被13、被覆12及び伝導体11を順次貫くことになり、ついで先端部31aの他端が被覆12、保護外被13を貫いた後、発熱棒20のカーボン発熱体21に差し込まれることになる。すなわち、前記連結部材30の挿入部が高速で発射される速度によって電線10を貫いた後、カーボン発熱体21に堅固に差し込まれることになる。この際、前記着座部32は伝導体11をくるむことになる。
【0035】
さらに、前記着座部32に先端部32aをさらに形成することで、伝導体11に着座部32が挿入されるようにすることもできる。この際、前記着座部32の幅は前記伝導体11の外径より狭く形成され、一対でなることが好ましい。
【0036】
本発明による暖房用発熱装置において、前記カバー40は前記連結部材30と前記電線10との結合部位Jをくるむように形成される。一方、前記連結部材30が高速で電線10を貫くことによって最も外側に形成された保護外被13及び前記保護外被の内側に備えられた被覆12を損傷させる場合が発生することになる。

したがって、前記カバー40が損傷部位をくるんで保護することにより、外部から流入する湿気及び異物を遮断することになる。すなわち、前記カバー40は、合成樹脂により対称状のクロス型に成形され、前記連結部材30によって結合された‘T’字形に連結された前記発熱棒20と前記電線10との結合部位Jをくるむことになる。
【0037】
また、前記カバー40は射出装置(図面に図示せず)によって前記結合部位Jに成形される。すなわち、電線10と発熱棒20が結合されて鉄道レールのような形状を成すことになり、電線10の長手方向の両端に射出装置が備えられ、前記結合部位Jが射出装置を通過すると同時にカバー40が結合部位Jを密閉することにより、水密性及び節電効果を高めることができることになる。
【0038】
図面において、符号Pは電線10に電源を供給するプラグである。
【0039】
本発明による暖房用発熱装置の結合状態を以下に説明する。
【0040】
まず、一定間隔を置いて一対の電線10を配設し、前記電線10の間に発熱棒20を適当な間隔で配列し、上下両端がそれぞれ電線10に密着するようにする。そして、前記発熱棒20が電線10に密着される方向の反対方向から、連結部材30が、空気圧発射装置またはシリンダー加圧装置によって高速で発射されるかあるいは高圧で押し付けられることになる。そして、高速で発射された前記連結部材30は、まず前記挿入部31の先端部31aが、保護外被13、被覆12及び伝導体11を順次貫くことになり、ついで発熱棒20のカーボン発熱体21に差し込まれることになる。この際、前記挿入部31の上端に備えられた着座部32は伝導体11にかかることになる。
【0041】
この際、前記着座部32は伝導体11の外径と同じ内径を持ち、安定的で堅固に伝導体11をくるむことになる。さらに、前記着座部32に先端部31aを形成して、伝導体11に差し込まれるようにすることができる。
【0042】
以上、添付図面に基づいて本発明による暖房用発熱装置の具体例を説明したが、本発明はこの説明により限定されず、添付の特許請求範囲の範疇内で当業者により多様な変形及び変更が可能である。このような変形及び変更も本発明の保護範囲に属するものとして解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0043】
1: 暖房用発熱装置
10: 電線
11: 伝導体
12: 被覆
13: 保護外被
20: 発熱棒
21: カーボン発熱体
22: 絶縁外被
30: 連結部材
31: 挿入部
31a、32a:先端部
32: 着座部
40: カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性カーボン発熱体と前記カーボン発熱体をくるむ絶縁外皮でなる複数の発熱棒;
前記発熱棒の両端にそれぞれ結合され、前記カーボン発熱体に通電する電線;及び
前記電線を貫いて前記発熱棒カーボン発熱体に挿入される先端部が形成された挿入部と前記挿入部の上端に備えられて前記電線にかかる着座部が形成された連結部材;
を含んでなることを特徴とする、暖房用発熱装置。
【請求項2】
前記連結部材の着座部は、前記電線をくるむように弧状であることを特徴とする請求項1に記載の暖房用発熱装置。
【請求項3】
前記連結部材の着座部は、先端部を持つことを特徴とする請求項2に記載の暖房用発熱装置。
【請求項4】
前記電線は、伝導体をくるむ被覆及び前記被覆をくるむ保護外被をさらに含んでなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の暖房用発熱装置。
【請求項5】
前記連結部材と前記電線の結合部位には、カバーがさらに結合されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の暖房用発熱装置。
【請求項6】
前記連結部材は、空圧発射装置によって前記電線と前記発熱棒に挿入されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の暖房用発熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−539431(P2010−539431A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524768(P2010−524768)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/KR2008/001192
【国際公開番号】WO2009/035192
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510066400)ジー タッチ カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】