説明

発電の領域において使用するためのコーティング

本発明は、流体媒体と接触するターボマシンの表面のコーティング法に関し、その際、流体媒体と接触するターボマシンの部材の外側の表面は、無機−有機ハイブリッドポリマーを包含するコーティングと接触させられる。さらに本発明は、流体媒体と接触する表面が無機−有機ハイブリッドポリマーを包含する外側のコーティングを有するターボマシンに関しならびに電流を発生させるためのそのようなターボマシンの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコーティング法に関する。殊に本発明は流体媒体(fluide Medien)と接触するターボマシン(Stroemungsmaschinen)の表面をコーティングするための方法に関する。
【0002】
例えば発電所プラントの部品も含めた、多数のターボマシン中もしくはターボマシン上には、それらの運転時間が経過する中で、それらの運転を阻害する汚れおよび付着物が形成される。同様に、例えば水を用いたこれらの部品の洗浄の結果として、高められた腐食が生じる。部品の周囲に存在する油、埃または煤は、そのような問題の原因となりうる。発電所プラントのそのような部品に関する例は、ガスタービンおよび空冷発電機のコンプレッサーであり、それらは、コンプレッサーまたは発電機冷却器から吸い上げられる空気中の不純物の結果として汚れる。タービンのケースにおいては、通常、圧縮機ステーター、圧縮機ローターおよび、その際、殊に圧縮機ブレードがタービンの正常な運転を保証するために規則的な時間間隔で洗浄されなければならない。圧縮機ブレードは、タービンの運転中、微細に分散された水が圧縮機流入口に注入されることによって洗浄される("オンライン洗浄(online washing)")。吸い上げられた空気の埃および/または油による汚損に従って、洗浄プロセスが週に何度か繰り返されなければならない。しかしながらこの際、水は、殊に圧縮機ローターの腐食の可能性として考えられる汚染要因源となる。この関連において、メンテナンス間隔、耐用年数および部品の利用可能性を高めることが有利である。"オンライン洗浄"に加えて、圧縮機ブレードはプラントの点検中に手動で後洗浄されなければならない。洗浄プロセスおよびそれに伴うプラントの停止は時間を浪費しかつそれゆえ高価である。
【0003】
これまでに公知であるのは、そのような圧縮機ブレードを腐食から保護するためにアルミニウムを含有する基体およびクロム酸塩/リン酸塩の皮膜層によりコーティングすることである。この種のコーティングはしかしながら欠点を有する。それというのも、それは簡単に汚れかつ上述されたように頻繁に洗浄されなければならないからである。さらに、クロメート処理に際して有毒なCr(VI)化合物が使用されなければならない。
【0004】
それゆえ、流体媒体と接触するターボマシンの表面のための改善された表面コーティングの必要性が存在する。
【0005】
本発明は、従来技術において記載された欠点の少なくとも1つを克服することを課題にしていた。殊に本発明は、流体媒体と接触するターボマシンの表面のコーティング法を供給することを課題にしており、結果、得られた表面は腐食に対して保護されており、簡単に洗浄されるべきでありかつ有毒なクロム含有化合物を含まない。
【0006】
課題は本発明に従って、流体媒体と接触するターボマシンの表面のコーティング法によって解決され、その際、流体媒体と接触するターボマシンの部材の外側の表面は、無機−有機ハイブリッドポリマーを包含するコーティングと接触させられ、その際、コーティングは、下の式(I)
(X)(Y)M(OR)b−a (I)
[式中、
Mは、Al、Si、Tiおよび/またはZrである;
Rは、Hまたは分岐または非分岐の、C原子1〜9個を有するアルキル基である;
XおよびYは、互いに無関係に、反応性でないアリール基、アルキル基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基、ペルフルオロアルキル基および/またはペルフルオロアリール基または反応性のエポキシ基、アクリレート基、ビニル基、アリル基、イソシアネート基、アミン基および/またはヒドロキシル基を包含する有機基である;
nは、0、1、2、3または4である;
mは、0、1、2、3または4である;
(n+m)=a;
aは、1、2、3または4である;
bは、3または4である]
に従うモノマーが反応させられかつコーティングの形成のために硬化されることによって発生させられる。
【0007】
本発明の意味において、ターボマシンの表面と接触する流体媒体は、ガス、液体および/またはエアロゾル、有利には空気および/または水を包含する群から選択されている。媒体は、室温で、室温を下回ってまたは室温を上回って存在してよい。例えば空気は室温で存在してよく、かつエアロゾル、例えば燃料/空気−混合物は高められた温度で存在してよい。
【0008】
本発明に従う意味においてターボマシンとされるのは、連続的に作動する、つまり流入口と流出口との間の静的な差圧を発生させる流体エネルギーマシン(Fluidenergiemaschinen)である。それらは、プロペラ、レペラ、遠心ポンプ、ファン、水タービン、圧縮機、蒸気タービンおよび/またはガスタービンから選択されていてよい。本発明の範囲においてプロペラおよびリペラはハウジングを持たないターボマシンであり、それらは機械的仕事(mechanische Arbeit)を吸収しかつこれをターボエネルギーの形において、それらを取り囲む媒体に送り出し(プロペラ)、または逆に、駆動する流体からエネルギーを取り出しかつこれを機械的な回転およびトルクの形において供給する(リペラ)。本発明の範囲における遠心ポンプは、流体媒体が機械的仕事によって動かされるポンプを表し、その際、機械的仕事は媒体の遠心力および偏向によって羽根車に伝えられる。それに対してファンは、周囲空気を動かすために使用され、しかしながらその際、物体の駆動には利用されない装置を表す。水タービンは、水力を有効にするタービンを表す。その際、位置エネルギーおよび/または運動エネルギーは、機械的仕事にまたはタービン軸上に存在する発電機によって直接的に電流に変換される。コンプレッサーとも呼ばれる圧縮機とされるのは、本発明の範囲において、ガスを圧縮するために使用される流体エネルギーマシンである。蒸気タービンもしくはガスタービンは、タービンブレードが取り付けられている回転シャフトを包含するタービン構造型として理解されるべきである。タービンブレードは、水蒸気もしくは燃焼ガスのような熱いガスで環流させられる。
【0009】
無機−有機ハイブリッドポリマーは、有機成分および場合により付加的な有機ネットワークを有する無機ネットワークを有する材料である。無機−有機ハイブリッドポリマーは、有機変性された金属アルコキシドから誘導される。これらの金属アルコキシドは、この発明の範囲においてモノマーとされる。
【0010】
無機ネットワークは2段階のゾル−ゲル法において形成される。まず金属アルコキシドが、相応するアルコールの脱離下で部分的にまたは完全に加水分解される。第2の工程において金属水酸化物は、水脱離下で、酸素架橋された無機ネットワークに濃縮する。
【0011】
分岐または非分岐の、C原子1〜9個を有するアルキル基のための例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよび/またはsec−ブチルを包含する群から選択されている。有利なのは、金属アルコキシドの加水分解後に低い沸点を有するアルコールをもたらすメチルまたはエチルのようなアルキル基である。
【0012】
冒頭に記載された有機基XおよびYはコーティングの特性に著しく影響を与える。疎水性有機基は、例えばコーティングの表面エネルギーを減少させる。フッ素化基は、表面エネルギーを低下させることに関してとりわけ効果的である。コーティングはこのように疎水性および/または疎油性となり、つまり撥水性または撥油性となる。低い表面エネルギーの結果として、表面コーティングはいわゆる"清浄しやすい(easy to clean)"特性を示す:水および有機液体は容易にしたたり落ちかつ低い付着力は表面の埃またはダート粒子の機械的な除去を軽減しかつ促進する。そのような疎水性または疎油性は、該当する液体の接触角によって表されうる。液滴が固体の表面上でこの表面に対して形成する角度が接触角とされる。接触角が大きければ大きいほど、それだけますます液体と表面の相互作用は小さくなる。
【0013】
例えば、水に対する、本発明に従う方法によりコーティングされた表面の接触角は≧80゜〜≦130゜、有利には≧90゜〜≦130゜、なおより有利には≧98゜〜≦130゜の範囲にあってよい。さらに例えば、CHに対する、本発明に従う方法によりコーティングされた表面の接触角は≧45゜〜≦90゜、有利には≧50゜〜≦90゜、なおより有利には≧60゜〜≦90゜の範囲にあってよい。比較のために、未処理のステンレス鋼表面の場合には水に対する接触角は約63゜でありかつCHに対する接触角は約38゜であることが引き合いに出される。
【0014】
本発明に従って、反応性のおよび反応性でない有機基XおよびYが使用されうる。反応性でないアリール基、アルキル基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基、ペルフルオロアルキル基および/またはペルフルオロアリール基は、フェニル、ナフチル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよび/またはse
c−ブチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、C13、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、フルオロフェニルおよび/またはペンタフルオロフェニルを含有する群から選択されている。
【0015】
反応性の有機基は、エポキシ基、アクリレート基、ビニル基、アリル基、イソシアネート基、アミン基および/またはヒドロキシル基であってよい。これらの基は、それらを保持する有機残基により疎水性の特性も有しうる。さらに、それらは他の反応性基との反応が可能な状況にありえかつハイブリッドポリマーの架橋に寄与しうる。そのような有機ネットワークは、例えばハイブリッドポリマーの改善された弾性につながる。
【0016】
コーティングの硬化は、熱的にまたは光化学的に行われうる。それは一方では、無機ネットワークへの金属水酸化物の濃縮を完全なものにする目的に利用される。他方では、それによって上で言及された反応性の有機基も互いに架橋されうる。
【0017】
本発明の有利な一実施態様において、コーティングは付加的に、マグネシウム、亜鉛、鉄、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化セリウム、五酸化バナジウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素および/または二酸化ケイ素を包含する群から選択された無機マイクロ粒子および/またはナノ粒子を有する。この発明の意味におけるマイクロ粒子は、少なくとも1つの広がりにおいて≦100μmの寸法を有する粒子を表す;この発明の意味におけるナノ粒子は、少なくとも1つの広がりにおいて≦100nmの寸法を有する粒子を表す。
【0018】
そのような粒子によって供給される典型的な機能は、付加的な疎水性、耐引掻性、触媒作用(熱的にまたはUV線によって)および/または腐食抑制である。とりわけ有利なのは、粒子が、コーティングされた構成部材の運転温度で酸化触媒として作用し、そうして付着する汚れを消滅させる場合である。より良好な分散性のためにまたはさらに他の特性を調整するために、粒子は付加的に、二酸化ケイ素、シリコン油、シラン、水酸化アルミニウム、ステアリン酸および/または酸化アルミニウムを包含する群から選択された物質を用いて表面コーティングされていてよい。粒子はまた、塗布されるべきコーティングのゾルにコロイド溶液の形で添加してよい。これによって簡単な方法で粒子の良好な分散が可能となる。
【0019】
さらに他の有利な一実施態様において、本発明による方法は以下の工程:
a)式(I)に従うモノマーの加水分解
b)得られた反応混合物の、噴霧、ディッピング、ローリングおよび/またはワイピングによる表面への塗布;
c)熱硬化、UV線を用いた硬化および/または可視光線を用いた硬化による、塗布された反応混合物の硬化
を包含する。
【0020】
式(I)に従うモノマー、つまり金属アルコキシドの加水分解はゾル−ゲルプロセスを開始する。加水分解は純粋な水の中で、またはさらに他の溶媒、例えばアルコールの存在において実施されうる。溶媒混合物を使用する利点は、水中でより低い溶解度を有するモノマーがまた処理されうることである。さらに、加水分解は水および水とは混合しえない溶媒からの多相系において実施されうる。これは、モノマーが水中で非常に溶解しづらい場合に有効である。さらに、加水分解は酸、例えば塩酸の存在において実施されうる。この際、加水分解の反応速度は高まる。反応の温度は、室温を下回って、室温でまたは室温を上回ってよい。加水分解を室温で実施することは有利である。それというのも、冷却または加熱のためのさらに他のエネルギーが必要とされずかつ比較的に小さい反応速度によって、不所望の副反応、例えば早期の架橋のリスクが低くなるからである。このことは重要である。それというのも、モノマーの架橋が高すぎると反応混合物の粘度が増加し、そして処理性、つまりサブストレートへの塗布が困難になるからである。同様に重要であるのは、加水分解の反応時間を、可能な限り完全な加水分解が達成され、しかし可能な限り早期の架橋が達成されないように選択することである。有利には、この反応時間は初期物質当たり24時間である。
【0021】
次の工程は、加水分解反応からの反応混合物を用いたサブストレートのコーティングである。本発明に従うコーティング法の利点は、コーティングが酸素または湿気の作用に対してさらに他の保護予防措置なしに塗布されうることである。そのため慣用の技術が利用されうる。噴霧に際して、例えば複雑な成形体を均一にコーティングすることができる噴霧ロボットが用いられうる。コーティングされるべき物体のディッピングは非常に簡単な手法である。ローリングまたはワイピングによる塗布と同様に、すでに存在するプラントをin situでまたは有利には個々の部材を分解することなくコーティングすることが可能である。
【0022】
塗布後、硬化、つまり加水分解反応からの反応混合物の架橋が続いて行われる。有利には熱硬化は、≧25℃〜≦500℃、有利には≧100℃〜≦400℃、とりわけ有利には≧150℃〜≦300℃、極めて有利には≧170℃〜≦250℃の温度で実施されうる。300℃を上回る熱硬化は、一般に有機成分の分解および耐高温性のコーティングの形成につながる。その時、このコーティングはガラス様の挙動を示す。
【0023】
UV線または可視光線によるコーティングの硬化は、構成部材が後からコーティングされるべき場合、およびこれらの構成部材を含有するプラントの解体が有効には生じない場合に有利でありうる。例えばUV線は、≧250nm〜≦370nmの波長を有してよい。さらに、UV線のスペクトルは輝度最大値を360nmで有しうる。そのような波長の光を放射するUVランプは、商業的に良く入手可能でありかつ比較的に低コストで使用されるべきである。
【0024】
本発明に従う方法において使用されるゾルは、メチルトリエトキシシランを≧50質量%〜≦75質量%の割合において包含してよい。そのように高い質量割合によって、高いケイ素割合がコーティング中に導入されうる。
【0025】
さらに、本発明に従う方法において使用されるゾルは、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランを≧15質量%〜≦30質量%の割合において包含してよい。この範囲を下回ると、エポキシド基を介した後架橋は、改善された材料特性にもはや本質的に寄与しない。この範囲を上回ると、成分の費用と比較して材料特性の本質的な増加を見込むことはできない。
【0026】
さらに、本発明に従う方法において使用されるゾルは、フェニルトリエトキシシランを≧5質量%〜≦15質量%の割合において包含してよい。この範囲を下回ると、フェニル基は目的とされる疎水性にもはや本質的に寄与しない。この範囲を上回ると、機械的な安定性の悪化が見込まれ、かつコーティングの疎水性の本質的な改善を見込むことはできない。
【0027】
さらに、本発明に従う方法において使用されるゾルは、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシランを≧0.5質量%〜≦3質量%の割合において包含してよい。この範囲を下回ると、フルオロアルキル基は目的とされる疎水性にもはや本質的に寄与しい。この範囲を上回ると、成分の費用と比較して疎水性および疎油性の本質的な増加を見込むことはできない。
【0028】
さらに、本発明に従う方法において使用されるゾルは、1−メトキシプロパノール−2を≧5質量%〜≦15質量%の割合において包含してよい。この中揮発性の、水と混合されうる溶媒は、良好な生分解性の利点を有する。
【0029】
本発明のさらに他の一対象は、本発明に従う方法によって製造可能なコーティングに関する。
【0030】
硬化されたコーティングは、≧1質量%〜≦50質量%、有利には≧5質量%〜≦30質量%、とりわけ有利には≧10質量%〜≦20質量%、極めて有利には≧13質量%〜≦17質量%のケイ素含有率を有してよい。
【0031】
さらに、硬化されたコーティングは、≧80゜〜≦130゜、有利には≧90゜〜≦130゜、なおより有利には≧98゜〜≦130゜の水に対する接触角を有してよい。
【0032】
同様に、硬化されたコーティングは、≧45゜〜≦90゜、有利には≧50゜〜≦90゜、なおより有利には≧60゜〜≦90゜のCHに対する接触角を有してよい。
【0033】
質量%で表されるケイ素含有率は、コーティングの全質量に対してコーティング中に含有されるケイ素原子の質量割合として計算される。
【0034】
挙げられた範囲におけるケイ素含有率によって、可能な限り高い数のケイ素原子がそれらの可能な限り大きい数の架橋に加わりかつ可能な限り小さい数の遊離OH基がケイ素原子上に残ることが可能である。遊離OH基がたくさん残れば残るほど、それだけますますコーティングの撥水特性は悪化する。
【0035】
さらにすでに前で引き合いに出されたように、本発明に従うコーティングによって、コーティングされた表面の特性は有利に影響を及ぼされる。そうして表面エネルギーは減少させられ、それによって汚れはそんなに簡単には付着せずかつわずかな労力により除去されうる。さらに、本発明に従う表面およびワークピースは一緒にして腐食から保護される。従ってまた浸食性環境、例えば塩を含む水中での使用が可能である。
【0036】
本発明のなお1つの対象は、本発明に従う外側の表面コーティングを有するターボマシンに関する。すでに引き合いに出されたように、そのようなターボマシンは特により容易な洗浄および高められた腐食保護によって特徴づけられる。
【0037】
さらに、本発明に従うターボマシンは、その外側の表面コーティング中で、さらに他の有利な特性、例えば疎水性、耐引掻性、触媒作用(熱的にまたはUV線によって)および/または腐食抑制の調整のために、マグネシウム、亜鉛、鉄、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化セリウム、五酸化バナジウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素および/または二酸化ケイ素を包含する群から選択された無機マイクロ粒子および/またはナノ粒子を包含してよい。前で引き合いに出された不活性腐食抑制(passive Korrosionsinhibition)の他に、さらに他の効果として犠牲アノードの原理に従う活性腐食抑制(aktive Korrosionsinhibition)が生じる。これによって同様に、本発明に従う表面およびワークピースを一緒にして腐食性媒体中で使用することが可能となる。
【0038】
本発明のなお1つの対象は、本発明に従ってコーティングされた、流体媒体と接触する表面を有する、電流を発生させるためのターボマシンの使用に関する。例えばそれらは、例えばガスタービンの圧縮機にて使用されうる。そのような部材は、通常の形でコーティングされたもしくはコーティングされなかった部材と比較してより大きい時間間隔において洗浄されえ、洗浄するためによりわずかな時間を要しかつ"オンライン洗浄"を用いてより効果的に洗浄されうる。同様に、部材はより少ない腐食を有しかつ従ってより長い可使時間および運転時間を有する。それ以外に、部材の効率および利用可能性は高い水準で維持されうる。
【0039】
本発明の対象は、以下で例1および2を手がかりにして説明される。その際、質量%におけるデータは、他に記載がない限り、ゾルの全質量に対する。成分の量は、量データの合計が最大100質量%に達するように選択される。
【0040】
例1
ゾルは、以下の成分から構成されていた:
【表1】

【0041】
例2
ゾルは、以下の成分から構成されていた:
【表2】

【0042】
ゾルを24時間、室温で攪拌しかつステンレス鋼試験体にディッピングによって塗布した。室温にて10分間のフラッシュオフタイム(Ablueftzeit)をとった後にコーティングを10分間、200℃で硬化した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体媒体と接触するターボマシンの表面のコーティング法において、流体媒体と接触するターボマシンの部材の外側の表面を、無機−有機ハイブリッドポリマーを包含するコーティングと接触させ、その際、コーティングを、下の式(I)
(X)(Y)M(OR)b−a (I)
[式中、
Mは、Al、Si、Tiおよび/またはZrである;
Rは、Hまたは分岐または非分岐の、C原子1〜9個を有するアルキル基である;
XおよびYは、互いに無関係に、反応性でないアリール基、アルキル基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基、ペルフルオロアルキル基および/またはペルフルオロアリール基または反応性のエポキシ基、アクリレート基、ビニル基、アリル基、イソシアネート基、アミン基および/またはヒドロキシル基を包含する有機基である;
nは、0、1、2、3または4である;
mは、0、1、2、3または4である;
(n+m)=a;
aは、1、2、3または4である;
bは、3または4である]
に従うモノマーを反応させかつコーティングの形成のために引き続き硬化することによって発生させることを特徴とする、流体媒体と接触するターボマシンの表面のコーティング法。
【請求項2】
コーティングが付加的に、マグネシウム、亜鉛、鉄、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化セリウム、五酸化バナジウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素および/または二酸化ケイ素を包含する群から選択された無機マイクロ粒子および/またはナノ粒子を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
粒子が、二酸化ケイ素、シリコン油、シラン、水酸化アルミニウム、ステアリン酸および/または酸化アルミニウムを包含する群から選択された物質を用いて表面コーティングされている、請求項2記載の方法。
【請求項4】
以下の工程:
a)式(I)に従うモノマーの加水分解
b)得られた反応混合物の、噴霧、ディッピング、ローリングおよび/またはワイピングによる表面への塗布;
c)熱硬化、UV線を用いた硬化および/または可視光線を用いた硬化による、塗布された反応混合物の硬化
を包含する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
硬化を、≧25℃〜≦500℃、有利には≧100℃〜≦400℃、とりわけ有利には≧150℃〜≦300℃、極めて有利には≧170℃〜≦250℃の温度で実施する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
流体媒体が、ガス、液体および/またはエアロゾル、有利には空気および/または水を包含する群から選択されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ターボマシンが、プロペラ、レペラ、遠心ポンプ、ファン、水タービン、圧縮機、ガスタービンおよび/または蒸気タービンを包含する群から選択されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
硬化されたコーティングが、≧1質量%〜≦50質量%、有利には≧5質量%〜≦30質量%、とりわけ有利には≧10質量%〜≦20質量%、極めて有利には≧13質量%〜≦17質量%のケイ素含有率を有し、および≧80゜〜≦130゜、有利には≧90゜〜≦130゜、なおより有利には≧98゜〜≦130゜の水に対する接触角を有し、および/または≧45゜〜≦90゜、有利には≧50゜〜≦90゜、なおより有利には≧60゜〜≦90゜のCHに対する接触角を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法により製造可能なコーティング。
【請求項9】
請求項8記載の外側の表面コーティングを有するターボマシン。
【請求項10】
外側の表面コーティングが、マグネシウム、亜鉛、鉄、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化セリウム、五酸化バナジウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素および/または二酸化ケイ素を包含する群から選択されている無機マイクロ粒子および/またはナノ粒子を有する、請求項9記載のターボマシン。

【公表番号】特表2009−504369(P2009−504369A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525565(P2008−525565)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065106
【国際公開番号】WO2007/017488
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】