説明

発電プラントの再熱システム

【課題】加熱器内に発生する凝縮ドレンおよびベント蒸気の熱回収を円滑かつスムーズに行なってプラント熱効率を向上させることができる発電プラントの再熱システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る発電プラント10の再熱システム26は、主蒸気系12からの分岐主蒸気を加熱源として高圧タービン13からの排気蒸気を加熱する加熱器25と、高圧タービン13からの排気蒸気を加熱して発生した凝縮ドレンを流入させるドレンタンク30と、このドレンタンク30と復水給水系18の復水管18aとを接続するドレン配管32とを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電プラントや火力発電プラント等に適用される発電プラントの再熱システムに係り、特に熱損失を回避して発電性能・効率を向上させた発電プラントの再熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントや火力発電プラント等の発電プラントでは、原子炉やボイラ等の蒸気発生器で発生した主蒸気を高圧タービンおよび低圧タービンに順次導いて仕事をさせ、発電機を駆動させるようになっている。発電プラントの中には、高圧タービンからのタービン排気を湿分分離器あるいは湿分分離加熱器で改質し、乾き度を改善して低圧タービンに導くようにした非再熱式発電プラントや再熱式発電プラントがある(特許文献1および非特許文献1参照)。
【0003】
従来の非再熱式あるいは再熱式発電プラントは、図11および図12に示すように構成されており、蒸気発生器1からの主蒸気で駆動される高圧タービン2と、高圧タービン2からのタービン排気で駆動される低圧タービン3と、低圧タービン3で仕事をした膨張蒸気を冷却して凝縮させる復水器4と、この復水器4からの復水を蒸気発生器1に供給する復水給水系5と、この復水給水系5の途中に設けられ、タービン抽気で給水を加熱する多段給水加熱構造の給水加熱器6(6a,6b,6c)とを備える。符号Pは給水ポンプである。
【0004】
給水加熱器6のうち、最終段の給水加熱器6cには、高圧タービン2からのタービン抽気が供給され、上段側の給水加熱器6a,6bに比べ、最も高い蒸気温度および圧力のタービン抽気が給水加熱源として用いられる。
【0005】
また、図11に示された非再熱式発電プラントには、高圧タービン2から低圧タービン3に至る連結管に湿分分離器7が備えられ、この湿分分離器7でタービン排気から湿分を除去し、乾き度を改善して低圧タービン3に導くようになっている。湿分分離器7で分離された凝縮ドレンは、熱回収を図るため、低圧側給水加熱器6aに送られる。
【0006】
一方、再熱式発電プラントには、図12に示すように、高圧タービン2から低圧タービン3に至る連結管に湿分分離加熱器8が備えられる。この湿分分離加熱器8内に、主蒸気系から主蒸気の一部が分岐されて案内される加熱器8aが備えられ、この加熱器8aでタービン排気を加熱し、タービン排気のエンタルピを増大させ、乾き度を向上させて低圧タービン3に導くようになっている。湿分分離加熱器8は、タービン排気の湿分を除去してから、高圧タービン2に流入前の主蒸気を分岐させて加熱源とし、タービン排気の再熱を行なう機能を有する。
【0007】
加熱器8aを通る主蒸気は、タービン排気を加熱して冷却され、一部は凝縮してドレンとなってドレンタンク9に移送され、残りはベント蒸気となる。この凝縮ドレンとベント蒸気は、熱回収を図るために、最終段の給水加熱器6cに導かれ、この給水加熱器6c内を通る給水を加熱している。
【0008】
湿分分離加熱器8で発生した凝縮ドレンとベント蒸気は、主蒸気と同じ高い蒸気圧力と温度とを有するために、最終段の給水加熱器6cに導かれるタービン抽気の蒸気圧力および温度よりも高い。このため、凝縮ドレンとベント蒸気は、熱効率を高圧側最終段の給水加熱器6cに回収している。
【0009】
また、最終段の給水加熱器6cで給水と熱交換を行なった凝縮ドレンおよび同じく給水と熱交換を行なって凝縮ドレンとなったベント蒸気は、タービン抽気が給水と熱交換を行なって相変化したドレンと混合して、配管を経由して圧力の低い給水加熱器6b,6cに順次送られる。
【0010】
発電プラントの建設当初から再熱システムを採用した再熱式発電プラントの場合には、凝縮ドレンおよびベント蒸気の流入量を考慮した給水加熱器6の設計が行なわれる。
【0011】
また、湿分分離加熱器8の加熱器8aでタービン排気を加熱して冷却された凝縮ドレンは、飽和状態のために僅かな圧力変化でフラッシュし易い。凝縮ドレンがフラッシュすると、配管の目詰り等の不都合が発生するため、ドレンフラッシュの発生を防止させる必要がある。
【0012】
凝縮ドレンのフラッシュを防止するため、ドレンタンク9と最終段の給水加熱器6cとの間に適当な高低差と適切な配管勾配を設ける必要がある。このドレンタンク9の高さ位置と配管勾配で、凝縮ドレンがドレンタンク9から給水加熱器6cに流下する間のドレンフラッシュによる配管閉塞を防止している。このため、ドレンタンク9を設置するタービン建屋は、ドレンタンク9が適切な高さ位置に配置できる設計となっている。
【特許文献1】特開平4−340498号公報
【非特許文献1】火力原子力発電技術協会「原子力発電所−全体計画と設備−」平成14年6月発行(第135頁参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
再熱システムを有する発電プラントを新設する場合には、湿分分離加熱器の技術を適用した設計を行ない、ドレンタンクを高所に配置した新たな発電プラントを建設することができる。
【0014】
また、再熱システムを備えない既存の非再熱式発電プラントを再熱プラント化し、この発電プラントの発電効率を向上させて発電出力増加を図る目的で再熱システムを追設するためには、湿分分離加熱器8の加熱器8a内に発生する凝縮ドレンおよびベント蒸気を給水加熱器6へ回収させる必要がある。
【0015】
しかし、非再熱式発電プラントに組み込まれた給水加熱器6は、凝縮ドレンおよびベント蒸気の流入を想定した設備容量(設計容量)となっていないために、既存の給水加熱器6へ凝縮ドレンおよびベント蒸気を回収させることは、給水加熱器6の設備容量を超過することとなり、困難である。
【0016】
既存の非再熱式発電プラントに再熱システムを付設しても、給水加熱器6へ凝縮ドレンおよびベント蒸気を回収できないために、湿分分離加熱器8の加熱器8a内で発生した凝縮ドレンおよびベント蒸気を代りに復水器4に排出することが考えられる。
【0017】
しかし、凝縮ドレンおよびベント蒸気を復水器に回収することは、凝縮ドレンおよびベント蒸気の持つ熱量を発電プラントの外部に排出することを意味し、熱回収が有効に行なわれず、大きな熱損失を発生させる。この熱損失は発電プラントの発電出力を制限することとなり、好ましくない。
【0018】
したがって、既存の非再熱式発電プラントに再熱システムを付設する場合、湿分分離加熱器8の加熱器8a内で発生する凝縮ドレンおよびベント蒸気の熱回収を行なう手段や熱回収方法を如何に構成したらよいか問題となっている。
【0019】
一方、既存の非再熱式発電プラントの場合、タービン建屋は凝縮ドレンやベント蒸気の回収を考慮した高さに設計されていない。したがって、既存の非再熱式発電プラントを改造して再熱プラントを付設する場合、凝縮ドレンやベント蒸気の熱回収を図るためには、ドレンタンクの設置高さを確保することが課題となっており、タービン対応に大掛りな改造工事が要求される原因となっている。
【0020】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、加熱器内に発生する凝縮ドレンおよびベント蒸気の熱回収を円滑かつスムーズに行ない、プラント熱効率を向上させることができる発電プラントの再熱システムを提供することを目的とする。
【0021】
本発明の他の目的は、既存の非再熱式発電プラントを改造して再熱システムを効果的に付設でき、再熱システムを付設した場合でも、加熱器内に発生する熱損失を効率よく回避して発電効率を向上させた発電プラントの再熱システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に係る発電プラントの再熱システムは、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、主蒸気系からの分岐蒸気を加熱源として高圧タービンからの排気蒸気を加熱する加熱器と、高圧タービンからの排気蒸気を加熱して発生した凝縮ドレンが流入するドレンタンクと、このドレンタンクと復水給水系の復水管とを接続するドレン配管とを有するものである。
【0023】
また、本発明に係る発電プラントの再熱システムは、上述した課題を解決するために、請求項9に記載したように、主蒸気系からの分岐蒸気を加熱源として高圧タービンからの排気蒸気を加熱する加熱器と、この加熱器の凝縮ドレン出口より高い位置に配置されたドレンタンクと、このドレンタンクと前記加熱器とを結ぶ凝縮ドレンのドレン配管と、前記ドレンタンクの出口側に設けられた凝縮ドレン昇圧用のドレンポンプと、このドレンポンプで昇圧された凝縮ドレンを復水給水系の給水管に供給する凝縮ドレン供給系とを有するものである。
【0024】
さらに、本発明に係る発電プラントの再熱システムは、上述した課題を解決するために、請求項14に記載したように、高圧タービンからの排気蒸気から湿分を除去する湿分分離器と、主蒸気系からの分岐蒸気を加熱源として前記湿分分離器で湿分を除去された排気蒸気を加熱する加熱器と、前記湿分分離器と前記加熱器の間に設けられたドレン冷却器とを備え、前記ドレン冷却器は、前記湿分分離器で湿分が除去された排気蒸気と前記加熱器からの凝縮ドレンを熱交換するものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る発電プラントの再熱システムは、湿分分離加熱器内に発生する凝縮ドレンおよびベント蒸気の熱回収を行なって発電プラントのプラント熱効率を向上させ、発電効率を有効かつ効率的に向上させ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明に係る発電プラントの再熱システムの実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0027】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る発電プラントの再熱システムの第1実施形態を簡略的に示すものである。この発電プラントの再熱システムは、図11に示された既設の非再熱式発電プラントに再熱システムを付設して好適に実施される。
【0028】
図1において、符号10は、原子力発電プラントや火力発電プラントに適用される発電プラントを示す。この発電プラント10は、原子炉やボイラ等の蒸気発生器11を有し、この蒸気発生器11で発生した主蒸気を主蒸気系12を通して高圧タービン13に導き、この高圧タービン13を駆動させ、仕事をしている。
【0029】
高圧タービン13で仕事をしたタービン排気は連絡管14を介して低圧タービン15に導かれ、この低圧タービン15を駆動させている。低圧タービン15で仕事をし、図示しない発電機を駆動して膨張した蒸気は、復水器16に排気され、この復水器16で冷却されて凝縮し、復水となる。
【0030】
この復水は、復水給水系18に導かれ、復水給水系18に設けられた復水ポンプ(図示せず)や給水ポンプ19でポンプアップされ、さらに、給水加熱器20(20a,20b,20c)で昇温され、給水となって蒸気発生器11に送られる。
【0031】
一方、高圧タービン13から低圧タービン15に至る連結管14の途中に湿分分離加熱器22が設けられる。湿分分離加熱器22は、高圧タービン13のタービン排気から湿分を除去する湿分分離器24と、湿分が除去された排気蒸気を加熱(再熱)して乾き度を向上させる加熱器(再熱器)25とを備える。この湿分分離加熱器24は、再熱システム26を構成しており、既存の非再熱式発電プラントの湿分分離器に代えて、湿分分離加熱器22を設置することで再熱式発電プラント10に改造することができる。
【0032】
加熱器25には、高圧タービン13の入口側、ひいては主蒸気系12から分岐された主蒸気の一部が蒸気分岐管28を経て案内され、この主蒸気を加熱源として高圧タービン13からの排気蒸気を湿分分離除去後に加熱し、排気蒸気のエンタルピを増大させ。乾き度を改善して低圧タービン15に導かれるようになっている。
【0033】
高圧タービン13の排気蒸気を加熱することで冷却された主蒸気(加熱蒸気)は、一部が凝縮ドレンとなり、残りはベント蒸気となってドレンタンク30に回収される。ドレンタンク30は、加熱器(再熱器)25より高さが低い位置で、かつ加熱器25の加熱蒸気出口側(下流側)に設けられる。
【0034】
加熱器25とドレンタンク30はドレン配管31が接続される一方、このドレンタンク30は、給水ポンプ19の入口側の復水管18aとドレン配管32によって接続される。このドレン配管32の途中には、凝縮ドレンの圧力を復水管18aの圧力まで低くできる減圧量調節装置33が設けられる。
【0035】
また、湿分分離加熱器22の湿分分離器24で分離除去された凝縮ドレンはドレン部24aからドレン配管34を経て低圧側給水加熱器、例えば初段の給水加熱器20aに送られ、ここで復水器16から復水給水系18を通って送られる復水と熱交換し、復水を加熱している。
【0036】
なお、図1において、符号35はタービン抽気管であり、このタービン抽気管35は最終段の給水加熱器20cに接続される。高圧タービン13のタービン抽気で最終段の給水加熱器20cを通る給水を加熱し、加熱された給水は給水管18bを通って蒸気発生器11に送られる。最終段の給水加熱器20cで給水を加熱し、冷却されたタービン抽気は、順次前段側の給水加熱器20b,20aに送られる。
【0037】
図1に示された再熱式発電プラント10は、図11に示された非再熱式発電プラントの湿分分離器に代えて湿分分離加熱器22を備えた再熱システム26を付設することにより構成される。
【0038】
この再熱システム26を備えた発電プラント10において、高圧タービン13からのタービン排気は、湿分分離加熱器22の湿分分離器24で湿分が除去され、湿分が除去された排気蒸気は加熱器25で加熱され、エンタルピが増加し、乾き度が上昇して低圧タービン15に導かれる。
【0039】
高圧タービン13からの排気蒸気は加熱器25で再熱される一方、排気蒸気を加熱することにより加熱器25で発生した主蒸気による凝縮ドレンは、重力作用を受けて落下し、ドレンタンク30に回収される。
【0040】
また、発電プラント10では、プラント運転中において、給水ポンプ19の入口側圧力が主蒸気の圧力より一般的に低い。ドレンタンク30内の凝縮ドレンは、ドレンタンク30と復水管18aを結ぶドレン配管32を通り、圧力差によって復水給水系18を通る復水に回収され、復水と合流せしめられる.
この発電プラント10の再熱システム26によれば、高圧タービン13の排気蒸気の再熱に伴って発生する主蒸気の凝縮ドレンを復水器16に回収させることなく、凝縮ドレンと復水との圧力差を利用して復水管18aに回収することができる。凝縮ドレンと復水との圧力差を利用することで既存のタービン建屋へのドレンタンク30の設置高さに関わらず、復水管18aに熱回収でき、既存の非再熱式発電プラントの熱損失を回避した再熱システム26への改造を容易に行なうことができる。
【0041】
さらに、この発電プラント10の再熱システム26は既設の非再熱式発電プラントに再熱システム26を容易に追設することができ、既設発電プラントの再熱発電プラント化により、発電効率を向上させることができる。
【0042】
[第2実施形態]
図2は、本発明に係る発電プラントの再熱システムの第2実施形態を簡略的に示す構成図である。
【0043】
第2実施形態の発電プラント10Aの再熱システム40を説明するに当り、図1に示された発電プラント10の再熱システム26と同じ構成には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0044】
この発電プラント10Aの再熱システム40は、減圧量調節装置33の下流側にフラッシュタンク圧力調節装置41を設けたものである。再熱システム40は、高圧タービン13からのタービン排気を湿分分離して再熱する湿分分離加熱器22と、タービン排気を加熱して一部凝縮された主蒸気の凝縮ドレンおよびベント蒸気を貯溜するドレンタンク30と、ドレンタンク30の凝縮ドレン出口の下流側に凝縮ドレンの圧力を低下させる減圧量調節弁としての減圧量調節装置33と、この減圧量調節装置33で減圧された凝縮ドレンを回収し、フラッシュタンク44の器内圧力を調節するフラッシュタンク圧力調節装置41とを有し、このフラッシュタンク圧力調節装置41で圧力調節された凝縮ドレンを給水ポンプ19のポンプ入口側に供給している。
【0045】
湿分分離加熱器22は、図1に示された湿分分離加熱器と同様に、湿分分離器24と湿分分離されたタービン排気を加熱し、再熱させる加熱器(再熱器)25とを有する。加熱器25でタービン排気を加熱し、温度降下した主蒸気の凝縮ドレンおよびベント蒸気は、ドレンタンク30に回収される。
【0046】
ドレンタンク30に回収された凝縮ドレンは減圧量調節装置33により凝縮ドレンが減圧され、ドレン配管32を経てフラッシュタンク圧力調節装置41のフラッシュタンク44に送られる。
【0047】
フラッシュタンク圧力調節装置41は、減圧された凝縮ドレンを回収するフラッシュタンク44と、フラッシュタンク44内に回収された凝縮ドレンを減圧して給水ポンプ19のポンプ入口側に供給するドレン供給系45と、フラッシュタンク44内の器内蒸気を排出するベント蒸気排出系46と、ベント蒸気排出系46のフラッシュタンクベント管46aの途中に設けられたフラッシュタンク流量調節装置47と、フラッシュタンク44の器内圧力を計測するフラッシュタンク圧力計測装置48と、この圧力計測装置48からフラッシュタンク44の器内圧力値を受けてフラッシュタンク流量調節装置47のベント蒸気流量を調節制御するフラッシュタンク圧力制御装置49とを有し、このフラッシュタンク圧力制御装置49によりフラッシュタンク流量調節装置47の作動制御を行なってベント蒸気流量を調節し、フラッシュタンク44内の器内圧力が、給水ポンプ19の入口側復水圧力と同等となるように調節制御している。
【0048】
この発電プラント10Aの再熱システム40においては、ドレンタンク30に回収された凝縮ドレンは、ドレンタンク30からフラッシュタンク44に移送される途中で減圧量調節装置33にて給水ポンプ19の入口側復水圧力と同等の圧力にまで減圧される。
【0049】
凝縮ドレンは、減圧によってフラッシュし、その一部は蒸気に相変化する。相変化により発生した蒸気は、ベント蒸気排出系46のフラッシュタンクベント管46aによってフラッシュタンク44から排出される。
【0050】
また、何らかの原因でフラッシュタンク44の器内圧力が増減した場合には、フラッシュタンク44から排出される蒸気(ベント蒸気)の流量を増減させることでフラッシュタンク44の器内圧力を制御することができる。
【0051】
この発電プラント10Aの再熱システム40において、再熱システム40で発生する主蒸気の凝縮ドレン圧力は、復水給水系18の給水ポンプ19の入口側の復水圧力よりも高く、再熱システム40で発生する凝縮ドレンを、復水給水系18の給水ポンプ19の入口側復水管18aに直接回収しようとすると、復水管18aの内部で凝縮ドレンのフラッシュが発生する虞がある。
【0052】
フラッシュ蒸気が生じると、復水管18aの閉塞を生じさせたり、また、フラッシュ蒸気より温度の低い復水との直接接触で蒸気が凝縮して衝撃波が生成され、この衝撃波により復水給水系18の配管を損傷させたり、復水給水系18の機器を損傷させる虞がある。
【0053】
この発電プラント10Aの再熱システム40では、復水給水系18の配管や機器の損傷を防止するために、フラッシュタンク圧力調節装置41を設けている。フラッシュタンク圧力調節装置41によりフラッシュタンク内で発生する蒸気をベント蒸気排出系46からベント蒸気として排出することにより、復水給水系18内でフラッシュ蒸気の発生を有効的かつ未然に抑制でき、フラッシュ蒸気による復水管の閉塞や衝撃波による復水給水系の配管や機器の損傷を有効的にかつ確実に防止できる。
【0054】
この再熱システム40は、高圧タービン13の排出蒸気を再熱することに伴って発生する凝縮ドレンが、高圧で復水との直接混合ではフラッシュ蒸気による復水管18aの閉塞や衝撃波による配管等の損傷が懸念される場合でも、凝縮ドレンを既存の給水加熱器20および復水器16に回収することなく、復水給水系18の復水管18にフラッシュ蒸気を発生させることなく回収することができる。この再熱システム40は、既存のタービン建屋へのドレンタンクの設置高さに関わらず、減圧量調節装置33およびフラッシュタンク圧力調節装置41の設置により、復水給水系18の復水管18aに回収でき、熱損失を回避した再熱システム40への改造が可能となる。
【0055】
[第3実施形態]
図3は、本発明に係る発電プラントの再熱システムの第3実施形態を簡略的に示す構成図である。
【0056】
第3実施形態に示された発電プラント10Bの再熱システム50は、フラッシュタンクと復水給水系18の復水管18aとを結ぶドレン供給系45の配管45aに逆止弁等の逆流防止装置51を設けたものであり、他の構成および作用は、図2に示された発電プラント10Aの再熱システム40と異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
図3に示された再熱システム50では、ドレン供給系45に逆流防止装置51を設けることにより、復水管18aに供給される凝縮ドレンや復水がフラッシュタンク44側に逆流することを防止できる。
【0058】
この凝縮ドレンおよび復水のフラッシュタンク44側への逆流防止により、発電プラント10Bの起動停止やタービントリップなどの過渡事象が発生してフラッシュタンク44内の器内圧力が低下した場合にも、凝縮ドレンと復水がフラッシュタンクに急激に逆流してプラント機器に損傷を及ぼす事象の発生を抑制することができる。
【0059】
この発電プラント10Bの再熱システム50では、第2実施形態で有する作用効果を備える他、発電プラント10Bの起動停止やタービントリップなどの過渡事象が発生しても機器の損傷を防止することができ、凝縮ドレンを既存の給水加熱器20および復水器16に回収することなく、復水給水系18の復水管18aに熱損失を回避させて回収でき、既存のタービン建屋へのドレンタンク30の設置高さ如何に関らず、熱損失を回避した再熱システムを構築することができる。
【0060】
[第4実施形態]
図4は、本発明に係る発電プラントの再熱システムの第4実施形態を示す概略的な構成図である。
【0061】
この実施形態に示された発電プラントの再熱システム55は、既設あるいは新設の発電プラント10に付設されるものである。発電プラント10の全体的構成は図1に示される発電プラントと異なるところかないので、説明を省略する。
【0062】
この再熱システム55は、高圧タービン13から低圧タービン15に至る連結管14の途中に湿分分離加熱器22が設けられる。湿分分離加熱器22は高圧タービン13からの排気蒸気を湿分分離させる湿分分離器24と、この湿分分離器24で分離されたタービン排気を加熱(再熱)する加熱器25とを備えたものであり、この構成は、図1に示された湿分分離加熱器と異ならない。
【0063】
図4に示された再熱システム55は、湿分分離加熱器22の加熱器25からの凝縮ドレン出口側に、加熱器25と同等以上の高さ位置にドレンタンク30を設け、このドレンタンク30と加熱器25とを接続するドレン配管31の途中に圧力調節弁としての減圧量調節装置33が設けられる。
【0064】
ドレンタンク30の出口側の凝縮ドレン供給系56にドレンポンプ57を設け、このドレンポンプ57の出口側を凝縮ドレン供給系56を介して復水給水系18の給水管18bに最終段の給水加熱器20c出口側で接続している。
【0065】
第4実施形態に示された発電プラント10の再熱システム55は、湿分分離加熱器22の加熱器25で発生した凝縮ドレンは、加熱器25から流出してドレンタンク30に流入するまでの間に減圧量調節装置33にて減圧される。この結果、ドレンタンク30の器内圧力は、加熱器25の圧力よりも低くすることができ、加熱器25で発生した凝縮ドレンは重力差ではなく圧力差によってドレンタンク30に移送される。
【0066】
また、ドレンタンク30から流出した凝縮ドレンは、ドレンポンプ57により昇圧され、復水給水系18の給水加熱器20c下流の給水管18bに回収され、凝縮ドレンが保有する熱エネルギを発電プラント10の復水給水系18に回収している。
【0067】
この再熱システム55では、加熱器25からドレンタンク30への凝縮ドレンの回収を、加熱器25とドレンタンク30の圧力差によって行なうことができる。このため、ドレンタンク30を加熱器25よりも高い位置に配置することも可能となる。この再熱システム55では、ドレンタンク30の配置上の自由度を向上させることができ、ドレンポンプ57が必要とする吸込水頭を確保できる位置にドレンタンク30を配置することが可能となる。
【0068】
また、この再熱システム55は、凝縮ドレンを給水加熱器20c出口の給水管18bに回収することとしており、第1実施形態に示されたように凝縮ドレンを給水ポンプ19入口側の復水管18aに回収する場合よりも、発電プラント10のプラント熱効率を向上させることができる。
【0069】
この発電プラント10の再熱システム55は、加熱器25より高い位置にドレンタンク30を配置してドレンポンプ57に必要な吸込水頭を確保できる。しかも、ドレンポンプ57は凝縮ドレンを給水よりも高い圧力に昇圧することで、凝縮ドレンを既存の給水加熱器20および復水器16(図1参照)に回収させることなく、給水加熱器20下流側の給水配管18bに回収させることができる。発電プラント10のプラント熱効率の改善を図り得る再熱システム55の構築が図れる。
【0070】
この再熱システム55は、既存の発電プラントのタービン建屋を使用してもドレンタンク30の設置高さ如何に関らずドレンポンプ57により給水よりも高圧にすることができ、プラント熱効率を向上させ、熱損失を回避させることができる。
【0071】
[第5実施形態]
図5は、本発明に係る発電プラントの再熱システムの第5実施形態を示すものである。
【0072】
この実施形態に示された発電プラントの再熱システム55Aは、既設あるいは新設の発電プラント10に付設されるものである。発電プラント10の全体的構成は、図1に示された発電プラントと異なるところがないので、説明を省略する。また、再熱システム55Aは、図4に示された再熱システム55にベント排出系58を備えたものであり、他の構成は図4の再熱システム55と異なるところがないので、同じ構成は同一符号を付して説明を省略する。
【0073】
ベント排出系58は、ドレンタンク30の頂部側に接続されるドレンタンクベント管59を有し、このベント管59にてドレンタンク30の内部に貯溜された蒸気をベントしている。加熱器25から流出した凝縮ドレンが減圧量調節装置33によって減圧されると、凝縮ドレンは減圧量調節装置33の下流側ドレン配管31の内部あるいはドレンタンク30内部にて飽和圧力以下になった時点で凝縮ドレンの一部がフラッシュして蒸気となる。
【0074】
ドレンタンク30を加熱器25よりも高い位置に配置するほど、減圧量調節装置33でより低い圧力まで減圧させる必要がある。減圧の程度が大きくなるに従って、発生する蒸気量も多くなる。
【0075】
この発電プラント10の再熱システム55Aにおいては、減圧量調節装置33による凝縮ドレンの減圧に伴って発生した蒸気が、ドレン配管31の内部を閉塞させたり、ドレンタンク30に貯溜することでドレンタンク30が閉塞して凝縮ドレンの回収が不能となる状態を、ドレンタンク30から凝縮ドレンのフラッシュ蒸気をドレンさせることで、回避させることができる。
【0076】
この再熱システム55Aは、ドレンタンク30にベント排出系58を設けることにより、凝縮ドレンの減圧フラッシュ蒸気による配管やドレンタンク30の閉塞を回避して凝縮ドレンをドレンポンプ57に円滑かつスムーズに導くことができる。ドレンポンプ57にて昇圧された凝縮ドレンを復水給水系18の給水加熱器20下流側の給水管18bに回収させることができる。既存の給水加熱器20や復水器16(図1参照)に回収させる必要がないので、既存のタービン建屋へのドレンタンクの設置高さ如何に関らず、凝縮ドレンの熱回収を有効的に効率よく行なうことができ、熱損失を回避した再熱システムの構築が可能となる。
【0077】
[第6実施形態]
図6は、本発明に係る発電プラントの再熱システムの第6実施形態を示す概略的な構成図である。
【0078】
この実施形態に示された発電プラントの再熱システム60は、ドレンタンク30にその器内圧力を計測するドレンタンク圧力計測定装置61と、この圧力計測定装置61にて計測されたドレンタンク30の器内圧力が設定値より低下した場合、ドレンタンク圧力計測定装置61の圧力信号を受けて減圧量調節装置33の弁開度を制御し、凝縮ドレンの減圧量を低下させる減圧量制御装置62と、ドレンベント排出系58のドレンタンクベント管59に設けられたベント流量調節装置64と、ドレンタンク30の器内圧力が設定値より増加した場合に、ドレンタンク圧力計測定装置61からの圧力計測定信号を入力してベント流量調節装置64を制御してベント蒸気流量を増加させるベント流量制御装置65とが備えられる。ベント流量調節装置64は、ドレンタンク30からのドレンタンクベント管59の途中に設けられ、ドレンタンク30内の圧力に応動してベント蒸気流量の増減を行なっている。
【0079】
この発電プラントの再熱システム60は、ドレンタンク30の器内圧力が低減した場合に、減圧量調節装置33により凝縮ドレンの減圧量を小さくし、ドレンタンク30の器内圧力の低下を抑制するように制御を行なう。ドレンタンク30の器内圧力が増加した場合には、減圧量調節装置33により凝縮ドレンの減圧量を大きくして、ドレンタンク30の器内圧力が略一定に保持されるように制御している。
【0080】
また、再熱システム60においては、減圧量調節装置33による凝縮ドレンの減圧量増減と、凝縮ドレンのフラッシュにて発生する蒸気の流量変化とは逆の関係にある。ドレンタンク30の器内圧力が低下した場合には、ベント蒸気流量を少なくし、逆にドレンタンク30の器内圧力が増加した場合にはベント蒸気流量を多くするように制御することで、ドレンタンク30内の器内圧力が略一定となるように制御される。
【0081】
凝縮ドレンの減圧量を調節する減圧量調節装置33が、例えば固定オリフィスのように、減圧量が凝縮ドレン流量の2乗に比例して変化する場合には、凝縮ドレンの流量が少なくなるとドレンタンク30と加熱器25との圧力差が小さくなる。圧力差が小さくなると、凝縮ドレンを高い位置に持ち上げることが困難となる。ドレンタンク30を加熱器25よりも高い位置に設置すると、加熱器25のヒータ配管28a内が凝縮ドレンで満水となり、加熱器25の機能を低下させる原因となる。
【0082】
本実施形態における発電プラントの再熱システム60では、発電プラント10のプラント出力変化等により凝縮ドレンの発生量が増減した場合でも、ドレンタンク30内の器内圧力を制御することができ、加熱器25の機能を損なうことなく、凝縮ドレンのドレンタンク30への回収が可能となる。
【0083】
したがって、この発電プラントの再熱システムは、発電プラント10のプラント出力変化等により加熱器25での凝縮ドレン量の発生量が増減した場合でも、加熱器25内に凝縮ドレンを満水にさせることなく、ドレンタンク30に導くことができ、ドレンタンク30に回収された凝縮ドレンはドレンポンプ57により復水給水系18の給水圧力より高圧にポンプアップされ、給水加熱器20下流側の給水管18bに供給され、回収される。凝縮ドレンを既存の給水加熱器20および復水器16に回収させることなく、給水管18bに回収させることで、既存のタービン建屋へのドレンタンク設置高さ如何に関らず、熱損失を回避した再熱システムを構築することができる。
【0084】
[第7実施形態]
図7は、本発明に係る発電プラントの再熱システムの第7実施形態を示す概略的な構成図である。
【0085】
この実施形態に示された発電プラントの再熱システム70は、第6実施形態に示された再熱システム60に改良を加えたものであり、この再熱システム60と同じ構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0086】
図7に示された発電プラントの再熱システム70は、湿分分離加熱器22の加熱器25よりも低い位置に加熱器25で発生した凝縮ドレンを貯溜するドレン受けタンク71を設ける一方、このタンク71より下流側に流量調節弁であるドレン受けタンク流量調節装置72が設けられる。ドレン受けタンク71にはタンク水位計測定装置73が設けられ、この水位計測定装置73で検出されたタンク水位検出信号は、ドレン受けタンク流量調節装置74に送られ、この流量制御器74によりドレン受けタンク流量調節装置72の弁開度を調節制御している。ドレン受けタンク流量調節装置72は減圧量調節装置としての役割も果している。
【0087】
また、再熱システム70は、ドレンタンク30の側方にドレンタンク水位計測定装置76を設ける一方、ドレン供給系56のドレンポンプ57の下流側に流量調節弁としてのドレンポンプ流量調節装置77が設けられる。ドレンタンク水位計測定装置76で計測されたドレンタンク水位検出信号がドレンポンプ流量制御装置78に入力され、この流量制御装置78はタンク水位検出信号を入力してドレンポンプ流量調節装置77の弁開度を調節制御する制御信号を出力している。
【0088】
この発電プラントの再熱システム70は、図6に示された再熱システム60に加えて、ドレンタンク30の上流側にドレン受けタンク71、ドレン受けタンク流量調節装置72、ドレン受けタンク水位計測装置73およびドレン受けタンク流量制御装置74が設けられる一方、ドレンタンク30より下流側のドレン供給系56にドレンポンプ57、下流側のドレンポンプ流量調節装置77と、この流量調節装置77を作動制御させるドレンポンプ流量調節装置78と、この流量制御装置78にドレンタンク水位検出信号を入力するドレンタンク水位計測装置76とが設けられる。
【0089】
本実施形態に示された発電プラント10の再熱システム70、湿分分離加熱器22の加熱器25で発生した凝縮ドレンをドレン受けタンク71に一旦貯溜させ、このドレン受けタンク71の水位をドレン受けタンク流量制御装置74によりドレン受けタンク流量調節装置72により制御している。このドレン受けタンク71の水位制御により、加熱器25内部で凝縮ドレンの水位形成を確実に防止することができる。
【0090】
また、ドレンタンク30の器内圧力は、ドレンタンク30のドレンベント排出系58によりベント蒸気流量を制御することにより行なわれ、ドレンタンク30が満水となり、ベント蒸気流量によってドレンタンク30の器内圧力が制御できなくなることを、ドレンタンク30からの凝縮ドレン流出量を制御するドレンポンプ水位制御装置77によって防止することができる。
【0091】
ドレンタンク30からの凝縮ドレンは、ドレンポンプ57により復水給水系18の給水圧力より高圧にポンプアップされ、ドレン供給系56からドレンポンプ流量調節装置77を通って復水給水系18の給水管18bに供給され、回収される。
【0092】
この発電プラント10の再熱システム70は、加熱器25での凝縮ドレンの発生量と給水管18bへの凝縮ドレンの回収量とをバランスさせることができ、加熱器25が凝縮ドレンにより満水となって加熱器25の加熱機能を損なうのを効率よく有効的に防止できる。また、ドレンタンク30が満水となって加熱器25の機能を損なうことを防止できるので、ドレンタンク30からの凝縮ドレンを復水給水系18の給水配管18bに回収させることができ、既存の給水加熱器や復水器に回収させることがない。したがって、既存のタービン建屋のドレンタンク30の設置高さ如何に関らず、凝縮ドレンの熱エネルギを効率よく回収でき、熱損失を回避した再熱システム70とすることができる。
【0093】
[第8実施形態]
図8は、本発明に係る発電プラントの再熱システムの第8実施形態を示す概略的構成図である。
【0094】
この実施形態に示された発電プラントの再熱システム80は、図5に示された再熱システム55Aに改良を加えたものであり、湿分分離加熱器81の湿分分離器24と再熱器である加熱器25との間にドレン冷却器82を設けたものである。他の構成は、図5に示された再熱システム55Aと実質的に異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0095】
ドレン冷却器82は加熱器25より低い位置に配置され、湿分分離器24で気液分離されたタービン排気(排気蒸気)と加熱器25からの凝縮ドレンとを熱交換し、凝縮ドレンを冷却している。凝縮ドレンと熱交換して温度上昇した排気蒸気は、続いて加熱器25に導かれて再加熱され、乾き度が上昇して低圧タービン15に案内される。ドレン冷却器82は排気蒸気を加熱し、タービン排気の乾き度を向上させる機能を有している。
【0096】
一方、加熱器25とドレン冷却器82とはドレン配管31aで接続され、さらに、ドレン冷却器82の下流側は、ドレン冷却器82より高位置に減圧量調節装置33およびドレンタンク30が設置される。ドレンタンク30は減圧量調節装置33より上方に設けられる。ドレン冷却器82の下流側の凝縮ドレンのドレン配管31は、ドレン冷却器82よりも高く、かつ加熱器25より低い位置で引き廻され、Uシールを構成した後、減圧量調節装置33に案内されるように配管される。
【0097】
この発電プラントの再熱システム80は、加熱器25で発生した凝縮ドレンは、加熱器25から流出してドレン冷却器82に案内される。ドレン冷却器82は加熱器25よりも低く、かつ、ドレン冷却器82の出口配管31はドレン冷却器82がUシールの一部となるように配置されているため、ドレン冷却器82は常に満水状態となる。
【0098】
この再熱システム80は、常にドレン冷却器82の内部は凝縮ドレンで満水にすることができるため、高圧タービン排気蒸気と凝縮ドレンとの熱交換を行なうドレン冷却器82の伝熱部分(熱交換部分)は常に凝縮ドレンで満たすことができ、伝熱部分が凝縮ドレンで満たされない場合の温度交番域の発生と、その温度交番によって起こる伝熱部分の熱疲労損傷を回避できる。
【0099】
また、ドレン冷却器82から流下する凝縮ドレンの温度を飽和温度よりも低くすることができるため、減圧量調整装置33で減圧した後の凝縮ドレンの減圧フラッシュを抑制でき、かつ凝縮ドレンを減圧した分だけ高い位置にあるドレンタンク30へ凝縮ドレンを移送できる。したがって、適切な高さにドレンタンク30の配置も可能となることから、凝縮ドレンを既存の給水加熱器20および復水器16(図1参照)に回収させることなく、かつ、既存のタービン建屋へのドレンタンク設置高さに関らず給水管18bに回収して熱損失を回避した再熱システム80への改造が可能となる。
【0100】
[第9実施形態]
図9は、本発明に係る発電プラントの再熱システムの第9実施形態を概略的に示す構成図である。
【0101】
この実施形態に示された発電プラント10Cの再熱システム85は、復水給水系18の給水加熱器20cの下流側給水管18bに凝縮ドレンと給水との熱交換器86を設け、この熱交換器86にドレンタンク30からのドレン配管87を接続する一方、熱交換器86で給水を加熱して冷却されたドレンはドレン配管88を経て給水ポンプ19入口側復水管18aに供給される。
【0102】
この実施形態に示された発電プラント10Cの再熱システム85において、熱交換器86は、ドレン配管87を介してドレンタンク30より低圧の復水管に接続されているので、ドレンタンク30に回収された凝縮ドレンは、圧力差で熱交換器86に送られる。熱交換器86を既存の復水冷却系18の給水管18bに、給水加熱器20の下流側で設けることにより、給水加熱器20の出口側給水温度より高温の凝縮ドレンと熱交換し、凝縮ドレンの高熱を給水へと熱移動させることができる。これにより、給水温度を上昇させて発電プラント10Cのプラント熱効率の改善を図ることができる。
【0103】
この発電プラント10Cの再熱システム85は、既存の給水加熱器20やこの加熱器下流側の給水管18bに凝縮ドレンを回収することがなく、かつ、既存のタービン建屋へのドレンタンク30の設置高さ如何に関わらず、凝縮ドレンで給水加熱器20からの給水を加熱した後、復水管18aに回収でき、熱損失を回避した再熱システム85を提供できる。この再熱システム85は、既存の発電プラントに再熱システム85を付設することができる。
【0104】
[第10実施形態]
図10は、本発明に係る発電プラントの再熱システムの第10実施形態を概略的に示す構成図である。
【0105】
この実施形態に示された発電プラント10Dの再熱システム90は、図1に示された発電プラントの再熱システム26を改良したものである。この再熱システム26と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0106】
図10に示された発電プラント10Dの再熱システム90は、図1に示された再熱システム26を改良する一方、図9に示された再熱システム85の熱交換器8に代えて給水加熱器20の機能を有する二重管装置91を設置したものである。他の構成は、図9の発電プラントの再熱システム85とも異ならないので、同じ構成には同じ符号を付す。
【0107】
第10実施形態に示された発電プラント10Dの再熱システム90において、ドレンタンク30から流出した凝縮ドレンは、二重管装置91により給水を加熱した後、給水管18bの内部を通過して、給水ポンプ19入口の復水管18aに回収される。
【0108】
この発電プラント10Dの再熱システム90は、図9に示された熱交換器86を設置する場所の確保ができない既存のタービン建屋を持つ発電プラントにも適用できる。この再熱システム90は、復水給水系18に新たな熱交換器を設置することなく、給水管18bの内部で凝縮ドレンと給水との熱交換を行なわせることが可能となり、既存のタービン建屋へのドレンタンクの設置高さに関わらず、ドレンタンク30からの凝縮ドレンを給水加熱後に復水管18aに回収させることができる。この発電プラント10Dの再熱システム90では発電プラント10Dのプラント熱効率を改善することができ、熱損失を回避した再熱システム90を提供できる。
【0109】
この発電プラントの再熱システム90は復水給水系18の給水管18b内にドレンタンク30から凝縮ドレンが通る配管92を通して二重管構造の二重管装置91を設け、この二重管装置91を給水熱交換器に構成したので、二重管装置91の小型・コンパクト化が図れる。既存の発電プラントに設置自由度の高い再熱システム90を付設することを容易に行なうことができる。
【0110】
本発明に係る発電プラントの再熱システムは、火力発電プラントや沸騰水型発電プラント(BWR)だけでなく、コンバインドサイクル発電プラントや加圧水型原子力発電プラント等の各種発電プラントに適用することができる。
【0111】
この発電プラントの再熱システムは、発電プラントを新設する場合だけでなく、既設の発電プラントに再熱システムを追設することにより、非再熱式発電プラントをプラント熱効率の向上が図れる再熱式発電プラントに変更させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明に係る発電プラントの再熱システムの第1実施形態を概略的に示す構成図。
【図2】本発明に係る発電プラントの再熱システムの第2実施形態を概略的に示す構成図。
【図3】本発明に係る発電プラントの再熱システムの第3実施形態を概略的に示す構成図。
【図4】本発明に係る発電プラントの再熱システムの第4実施形態を示す概略的な構成図。
【図5】本発明に係る発電プラントの再熱システムの第5実施形態を示す概略的な構成図。
【図6】本発明に係る発電プラントの再熱システムの第6実施形態を示す概略的な構成図。
【図7】本発明に係る発電プラントの再熱システムの第7実施形態を示す概略的な構成図。
【図8】本発明に係る発電プラントの再熱システムの第8実施形態を示す概略的な構成図。
【図9】本発明に係る発電プラントの再熱システムの第9実施形態を概略的に示す構成図。
【図10】本発明に係る発電プラントの再熱システムの第10実施形態を概略的に示す構成図。
【図11】従来の発電プラントの非再熱システムを示す概略構成図。
【図12】従来の発電プラントの再熱システムを示す概略構成図。
【符号の説明】
【0113】
10,10A,10B,10C,10D 発電プラント
11 蒸気発生器
12 主蒸気系
13 高圧タービン
14 連結管
15 低圧タービン
16 復水器
18 復水給水系
18a 復水管
18b 給水管
19 給水ポンプ
20(20a,20b,20c) 給水加熱器
22,81 湿分分離加熱器
24 湿分分離器
25 加熱器(再熱器)
28 蒸気分岐管
30 ドレンタンク
33 減圧量調節装置
31,32,34 ドレン配管
35 タービン抽気管
26,40,50,55,55A,60,70,80,90 再熱システム
41 フラッシュタンク圧力調節装置
44 フラッシュタンク
45 ドレン供給系
46 ベント蒸気排出系
47 フラッシュタンク流量調節装置
48 フラッシュタンク圧力計測定装置
49 フラッシュタンク圧力制御装置
51 逆流防止装置
56 凝縮ドレン供給系
57 ドレンポンプ
58 ベント排出系
59 ドレンタンクベント管
61 ドレンタンク圧力計測定装置
62 減圧量制御装置
64 ベント流量調節装置
65 ベント流量制御装置
71 ドレン受けタンク
72 ドレン受けタンク流量調節装置
73 ドレン受けタンク水位計測定装置
74 ドレン受けタンク流量制御装置
76 ドレンタンク水位計測定装置
77 ドレンポンプ流量調節装置
78 ドレンポンプ流量制御装置
82 ドレン冷却器
91 二重管装置(給水熱交換器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主蒸気系からの分岐蒸気を加熱源として高圧タービンからの排気蒸気を加熱する加熱器と、
高圧タービンからの排気蒸気を加熱して発生した凝縮ドレンが流入するドレンタンクと、
このドレンタンクと復水給水系の復水管とを接続するドレン配管とを有することを特徴とする発電プラントの再熱システム。
【請求項2】
前記ドレン配管に前記ドレンタンクからの凝縮ドレンの圧力を減圧させる減圧量調節装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の発電プラントの再熱システム。
【請求項3】
前記ドレンタンクは加熱器より低い位置に設置され、ドレンタンクからのドレン配管を復水給水系に給水ポンプ入口側で接続した請求項1記載の発電プラントの再熱システム。
【請求項4】
前記ドレンタンクからのドレン配管に、減圧量調節装置の下流側でフラッシュタンク圧力調節装置を設けた請求項2記載の発電プラントの再熱システム。
【請求項5】
前記フラッシュタンク圧力調節装置は、ドレンタンクからの凝縮ドレンの圧力低下に伴って発生した蒸気が流入するフラッシュタンクと、
このフラッシュタンク内の蒸気を排出するフラッシュタンクベント管と、
このフラッシュタンクベント管に設けられ、フラッシュタンクからの排出蒸気流量を調節するフラッシュタンクベント流量調節装置と、
前記フラッシュタンク内の圧力を計測するフラッシュタンク圧力計測定装置と、
このフラッシュタンク圧力計測定装置からの圧力計測定信号を入力して前記フラッシュタンクベント流量調節装置を作動制御するフラッシュタンクベント流量制御装置とを備えた請求項4記載の発電プラントの再熱システム。
【請求項6】
前記フラッシュタンク出口のドレン配管に逆流防止装置を備えた請求項4記載の発電プラントの再熱システム。
【請求項7】
前記復水給水系の給水管に給水熱交換器を給水加熱器下流側に設け、前記ドレンタンクからのドレン配管を前記給水熱交換器に接続する一方、この給水熱交換器を復水給水系の復水管に接続した請求項1記載の発電プラントの再熱システム。
【請求項8】
前記ドレンタンクから凝縮ドレンが案内されるドレン配管が、前記復水給水系の給水管内部を通る二重管装置を、復水給水系の給水加熱器下流側に設け、この二重管装置で給水を加熱した凝縮ドレンのドレン配管を前記復水給水系の復水管に接続した請求項1記載の発電プラントの再熱システム。
【請求項9】
主蒸気系からの分岐蒸気を加熱源として高圧タービンからの排気蒸気を加熱する加熱器と、
この加熱器の凝縮ドレンが流入するドレンタンクと、
このドレンタンクと前記加熱器とを結ぶ凝縮ドレンのドレン配管と、
前記ドレンタンクの出口側に設けられた凝縮ドレン昇圧用のドレンポンプと、
このドレンポンプで昇圧された凝縮ドレンを復水給水系の給水管に供給する凝縮ドレン供給系とを有することを特徴とする発電プラントの再熱システム。
【請求項10】
前記ドレン配管の途中に減圧量調節装置を備えたことを特徴とする請求項9記載の発電プラントの再熱システム。
【請求項11】
前記ドレンタンクに、このタンク内部蒸気を排出するドレンタンクベント管を備えた請求項9記載の発電プラントの再熱システム。
【請求項12】
前記ドレンタンクに、このタンク内部の蒸気を排出するドレンタンクベント管と、
このドレンタンクベント管に設けられ、ベント蒸気流量を調節するベント流量調節装置と、
前記ドレンタンク内部の圧力を計測するドレンタンク圧力計測定装置と、
このドレンタンク圧力計測定装置からの圧力計測定信号を入力して前記ベント流量調節装置を制御するベント流量制御装置と、
前記ドレンタンク圧力計測定装置の圧力信号を受けて前記減圧量調節装置の減圧量を制御する減圧量制御装置とを備えた請求項9記載の発電プラントの再熱システム。
【請求項13】
前記加熱器より低い位置で凝縮ドレン出口側に設けられたドレン受けタンクと、
このドレン受けタンクの下流側に設けられたドレン流量調節装置と、
ドレンタンクの内部水位を計測するドレン受けタンク水位計測定装置と、
このドレン受けタンク水位計測定装置からの水位検出信号を入力してドレン流量調節装置を作動制御するドレン流量制御装置とを備え、前記ドレン流量調節装置は、凝縮ドレンのドレン流量を調節することを特徴とする請求項9記載の発電プラントの再熱システム。
【請求項14】
高圧タービンからの排気蒸気から湿分を除去する湿分分離器と、
主蒸気系からの分岐蒸気を加熱源として前記湿分分離器で湿分を除去された排気蒸気を加熱する加熱器と、
前記湿分分離器と前記加熱器の間に設けられたドレン冷却器とを備え、
前記ドレン冷却器は、前記湿分分離器で湿分が除去された排気蒸気と前記加熱器からの凝縮ドレンを熱交換することを特徴とする発電プラントの再熱システム。
【請求項15】
前記加熱器の凝縮ドレンが流入するドレンタンクが、前記ドレン冷却器よりも高い位置に設けられたことを特徴とする請求項14記載の発電プラントの再熱システム。
【請求項16】
前記ドレン冷却器と前記ドレンタンクの間に減圧量調整装置を設け、この減圧量調整装置が前記ドレン冷却器よりも高い位置に設けられたことを特徴とする請求項14記載の発電プラントの再熱システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−242083(P2006−242083A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58050(P2005−58050)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】