説明

発音制御装置、特定装置、発音制御システム、プログラムおよび発音制御方法

【課題】音素材を組み合わせた楽曲について、一定期間の楽曲の印象を容易に変更可能にすること。
【解決手段】本発明の実施形態における発音制御システムは、時間軸が規定されたアイコン配置領域STを表示画面131に表示させ、音素材を示す素材データの特徴量情報が対応付けられたアイコン画像を、入力される指示に応じて表示させる。また、素材データと当該素材データの前記特徴量情報とを対応付けた特徴量DBの種類を、入力される指示に応じてアイコン配置領域STの時間軸に沿って設定する。そして、アイコン画像と時間軸において対応関係にある種類の特徴量DBを参照して、アイコン画像に対応する特徴量情報に類似した素材データを特定し、アイコン画像の時間軸における位置に応じたタイミングおよび特定した素材データに応じた発音内容で発音させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音素材を組み合わせて発音させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
断片的な音素材をデータベースに記憶し、この音素材を組み合わせて楽音を発生させる技術がある。楽音を発生させるときに用いる音素材は、データベースに記憶された多数の音素材から選択することになる。この音素材の選択を容易にするために、データベースに記憶された音素材は、音楽的な特徴を示すカテゴリ毎に分類されている。特許文献1には、楽曲の波形から音素材を抽出するとともに、各カテゴリに分類してデータベースに記憶させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−191337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
データベースに記憶された音素材を用いて楽音を発生させるときの発音内容は、ユーザなどによって予め決定され、例えば、発音させる音素材と、その発音タイミングを規定することにより決定される。そのため、ユーザは、音素材と発音タイミングとの組み合わせを、発音したい音の数だけ決定する必要がある。したがって、この組み合わせを多数設定して作成される楽曲が長くなるほど、ユーザの作業量が増えてしまうことになる。
【0005】
長い楽曲においては一定期間の発音内容を繰り返して発音させる部分がある場合もある。このような場合には、ユーザは、その一定期間における音素材と発音タイミングとの組み合わせを複製して他の期間にも適用することにより、作業を簡略化することがある。しかしながら、単なる複製であることから楽曲の内容は単調なものとなる場合がある。
そのため、ユーザは、楽曲の進行の流れを大きく変化させずに複製部分の楽曲の印象を変化させることを試みる場合がある。この場合には、ユーザは、発音タイミングの変更をせずに、発音させる音素材の種類を変更することになるが、変更対象の全ての音素材の種類をそれぞれ変更する必要があるため、結果的には、作業の簡略化にはつながらなかった。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、音素材を組み合わせた楽曲について、一定期間の楽曲の印象を容易に変更可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、本発明は、時間軸が規定された配置領域を表示画面に表示させ、音素材の波形を示す素材データの特徴量を示す特徴量情報が対応付けられたアイコン画像を、入力される指示に応じて当該配置領域に表示させる表示制御手段と、素材データと当該素材データの前記特徴量情報とを対応付けたデータベースの種類を、入力される指示に応じて前記配置領域の時間軸に沿って設定するデータベース設定手段と、前記アイコン画像が表示された位置と前記時間軸において対応関係にあるデータベースを参照して前記アイコン画像と前記特徴量情報が特定の関係となる素材データを特定する特定手段に当該素材データを特定させ、当該アイコン画像の前記時間軸における位置に応じたタイミングおよび当該素材データに応じた発音内容を示す楽音データを出力する出力手段に当該楽音データを出力させる発音制御手段とを具備することを特徴とする発音制御装置を提供する。
【0008】
また、別の好ましい態様において、前記配置領域は、前記素材データの加工内容を指定する指定値を示す指定座標軸がさらに規定され、前記発音制御手段は、前記アイコン画像の前記指定座標軸における位置に応じて、当該アイコン画像から前記特定された素材データに応じた発音内容が変化するように制御することを特徴とする。
【0009】
また、別の好ましい態様において、前記配置領域は、前記素材データを特定するための特定値を示す特定座標軸がさらに規定され、前記特定の関係は、前記アイコン画像の前記特定座標軸における位置に基づいて決定されることを特徴とする。
【0010】
また、別の好ましい態様において、前前記アイコン画像は、当該アイコン画像に対応付けられた特徴量情報に応じた絵柄の画像であることを特徴とする。
【0011】
また、別の好ましい態様において、前記配置領域は、前記特徴量情報を規定するための特徴量規定軸がさらに規定され、前記表示制御手段は、前記配置領域のうち、前記アイコン画像に対応付けられた特徴量情報に対応する前記特徴量規定軸の位置に、当該アイコン画像を表示させることを特徴とする。
【0012】
また、別の好ましい態様において、前記表示制御手段は、入力される指示に応じて、前記配置領域に表示された前記アイコン画像の前記時間軸に沿った方向の長さを変更し、前記発音制御手段は、前記アイコン画像の長さに応じて、当該アイコン画像から前記特定された素材データに応じた発音内容が変化するように制御することを特徴とする。
【0013】
また、別の好ましい態様において、前記アイコン画像は、前記特徴量情報が示す特徴量に応じて変化することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記記載の発音制御装置から、前記アイコン画像が表示された位置と前記時間軸において対応関係にあるデータベースの種類を示す種類情報および当該アイコン画像に対応付けられた特徴量情報を取得する取得手段と、複数種類の前記データベースのうち、前記種類情報が示す種類のデータベースを参照して、当該種類情報とともに取得した前記特徴量情報と特定の関係となる素材データを特定する特定手段と、前記特定された素材データを前記発音制御装置に出力する出力手段とを具備することを特徴とする特定装置を提供する。
【0015】
また、本発明は、上記記載の発音制御装置と、上記記載の特定装置とを具備することを特徴とする発音制御システムを提供する。
【0016】
また、本発明は、コンピュータを、時間軸が規定された配置領域を表示画面に表示させ、音素材の波形を示す素材データの特徴量を示す特徴量情報が対応付けられたアイコン画像を、入力される指示に応じて当該配置領域に表示させる表示制御手段と、素材データと当該素材データの前記特徴量情報とを対応付けたデータベースの種類を、入力される指示に応じて前記配置領域の時間軸に沿って設定するデータベース設定手段と、前記アイコン画像が表示された位置と前記時間軸において対応関係にあるデータベースを参照して前記アイコン画像と前記特徴量情報が特定の関係となる素材データを特定する特定手段に当該素材データを特定させ、当該アイコン画像の前記時間軸における位置に応じたタイミングおよび当該素材データに応じた発音内容を示す楽音データを出力する出力手段に当該楽音データを出力させる発音制御手段として機能させるためのプログラムを提供する。
【0017】
また、本発明は、コンピュータを、上記記載の発音制御装置から、前記アイコン画像が表示された位置と前記時間軸において対応関係にあるデータベースの種類を示す種類情報および当該アイコン画像に対応付けられた特徴量情報を取得する取得手段と、複数種類の前記データベースのうち、前記種類情報が示す種類のデータベースを参照して、当該種類情報とともに取得した前記特徴量情報と特定の関係となる素材データを特定する特定手段と、前記特定された素材データを前記発音制御装置に出力する出力手段として機能させるためのプログラムを提供する。
【0018】
また、本発明は、時間軸が規定された配置領域を表示画面に表示させ、音素材の波形を示す素材データの特徴量を示す特徴量情報が対応付けられたアイコン画像を、入力される指示に応じて当該配置領域に表示させる表示制御手段、および素材データと当該素材データの前記特徴量情報とを対応付けたデータベースの種類を、入力される指示に応じて前記配置領域の時間軸に沿って設定するデータベース設定手段に対して、前記指示を入力するステップと、前記アイコン画像が表示された位置と前記時間軸において対応関係にあるデータベースを参照して前記アイコン画像と前記特徴量情報が特定の関係となる素材データを特定するステップと、前記アイコン画像の前記時間軸における位置に応じたタイミングおよび当該アイコン画像に対応して特定された前記素材データに応じた発音内容を示す楽音データを出力するステップとを備えることを特徴とする発音制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、音素材を組み合わせた楽曲について、一定期間の楽曲の印象を容易に変更可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態における発音制御システムの構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の実施形態におけるサーバ装置の構成を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態における特徴量データベースの例を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態における情報処理端末の構成を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態における抽出データの例を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態におけるシーケンスデータの例を説明する図である。
【図7】本発明の実施形態における情報処理端末およびサーバ装置の機能を説明する機能ブロック図である。
【図8】本発明の実施形態におけるシーケンスプログラム実行時の表示画面の表示例を説明する図である。
【図9】本発明の実施形態におけるシーケンスプログラム実行時の発音制御システムの動作を説明する図である。
【図10】本発明の実施形態における類似音置換プログラム実行時の発音制御システムの動作を説明する図である。
【図11】本発明の実施形態における類似音置換プログラム実行時の表示画面の表示例を説明する図である。
【図12】本発明の実施形態における類似音置換プログラム実行時の素材データ範囲を設定する画面を説明する図である。
【図13】本発明の実施形態における類似音置換プログラム実行時の素材データの置換態様を設定する画面を説明する図である。
【図14】本発明の実施形態におけるテンプレートシーケンスプログラム実行時の表示画面を説明する図である。
【図15】本発明の実施形態におけるテンプレートシーケンスプログラムで利用される、図14に示すテンプレート2の内容を説明する図である。
【図16】本発明の変形例1におけるシーケンスプログラム実行時の表示画面の表示例を説明する図である。
【図17】本発明の変形例4における類似音置換プログラム実行時の素材データの置換対象を指定する画面を説明する図である。
【図18】本発明の変形例4における類似音置換プログラム実行時の発音制御システムの動作を説明する図である。
【図19】図17に示す画面の別の表示例を説明する図である。
【図20】本発明の変形例10における情報処理端末の構成を説明する図である。
【図21】本発明の変形例10における情報処理端末の機能を説明する機能ブロック図である。
【図22】本発明の変形例14における類似音置換プログラム実行時の素材データの置換対象を指定する画面を説明する図である。
【図23】本発明の変形例14におけるシーケンスプログラム実行時の表示画面の表示例を説明する図である。
【図24】本発明の変形例15におけるシーケンスプログラム実行時の表示画面の表示例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態>
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態における発音制御システム1の構成を説明するブロック図である。発音制御システム1は、インターネットなどの通信回線1000を介して接続される情報処理端末10およびサーバ装置50を有する。発音制御システム1は、楽曲の楽音を示す楽曲データなどの一部として抽出された音素材を用いて楽音を発生させるための制御を行う。この例においては、音素材の波形を示す素材データは、サーバ装置50において記憶されている。
【0022】
情報処理端末10は、携帯電話、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)などの情報処理端末である。図1に示すように、情報処理端末10は、筐体100の前面に、タッチセンサ121、操作ボタン122、および表示画面131を有する。タッチセンサ121は、表示画面131の前面に設けられ、表示画面131とともに、タッチパネルを構成している。ここで、ユーザが情報処理端末10に対して入力する指示は、タッチセンサ121または操作ボタン122を操作することにより行うものとする。なお、操作ボタン122は、図1においては、1つのみであるが、複数であってもよいし、全く無くてもよい。
【0023】
情報処理端末10は、ユーザによって入力された指示に応じて、サーバ装置50に記憶された素材データを組み合わせて発音させるためのシーケンスデータを生成する。また、情報処理端末10は、シーケンスデータに基づいてサーバ装置50から素材データを取得し、この素材データに基づいてスピーカ161(図4参照)から発音させる。以下、発音制御システム1における各構成について説明する。
【0024】
[サーバ装置50の構成]
図2は、本発明の実施形態におけるサーバ装置50の構成を説明する図である。サーバ装置50は、制御部51、通信部54および記憶部55を有する。これらの各構成は、バスを介して接続されている。
【0025】
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを有する。制御部51は、ROMまたは記憶部55に記憶された各種プログラムを実行することにより、各種機能を実現する。この例においては、制御部51は、情報処理端末10からの指示により、検索プログラムまたは抽出プログラムを実行する。検索プログラムが実行されると、情報処理端末10からの指示に応じて、記憶部55の特徴量データベース(以下、特徴量DBと記す)を検索して、特定した素材データを情報処理端末10に送信する機能を実現する。抽出プログラムは、情報処理端末10から送信された切出データから音素材となる素材データを抽出して記憶部55に記憶する機能を実現する。これらの機能の詳細については、機能構成の説明において述べる。
【0026】
通信部54は、制御部51の制御に応じて、通信回線1000と接続して、情報処理端末10などの通信装置と情報のやりとりを行う。制御部51は、通信部54を介して取得した情報を用いて、記憶部55に記憶された情報を更新するようにしてもよい。また、通信部54は、通信回線1000を介した通信に限らず、有線または無線により外部装置と接続可能に構成されたインターフェイスを有していてもよい。
【0027】
記憶部55は、ハードディスク、不揮発性メモリなどであり、特徴量DB、切出データベース(以下、切出DBと記す)をそれぞれ記憶する記憶領域の他、上述した検索プログラム、抽出プログラムなどの各種プログラムを記憶する記憶領域を有する。
切出DBは、楽音波形を示す切出データを記憶するデータベースである。切出データは、その一部または全部が、音素材を示す素材データとして用いられるデータである。
特徴量DBは、複数の特徴量DB(特徴量DBa、DBb,・・・)から構成されている。以下、それぞれを特に区別せずに説明する場合には、特徴量DBという。特徴量DBについては、予め記憶部55に記憶されているが、通信部54を介して外部装置から取得することにより、新たな種類の特徴量DBがさらに記憶されるようにしてもよい。
【0028】
図3は、本発明の実施形態における特徴量DBの例を説明する図である。特徴量DBは、音素材を示す素材データを特定する素材特定情報、および素材データの特徴量を示す特徴量情報とが対応付けて記憶されたデータベースであり、各素材データには、特徴量情報の内容に応じて複数のカテゴリ(分類A、分類B・・・)に分類されている。素材特定情報は、切出DBに記憶された切出データを識別する情報と、切出データの一部または全部を指定するデータ範囲を示す情報とを合わせたものをいう。例えば、図3に示す例においては、素材データは、切出データAにおけるデータの先頭を基準とした時刻ts1から時刻te1までのデータ範囲に対応する。
【0029】
特徴量情報は、素材データの複数種類の特徴量p1、p2、・・・を示す。素材データの特徴量とは、例えば、素材データが表す音素材について、周波数別(高域、中域、低域)のそれぞれの強度、振幅のピークとなる時刻(素材データの先頭を基準とした時刻)、振幅のピーク強度、協和度、複雑さなどについての特徴量であり、素材データを解析して得られた値である。例えば、特徴量p1は、その値により音素材の高域の強度を示す。以下、特徴量情報Pは、その特徴量p1、p2、・・・のそれぞれの値の組み合わせによってPa、Pb、・・・というように示す。
特徴量情報の内容に応じて分類されるカテゴリは、聴感上の特徴が似た音素材ごとに分類されたものであり、例えば、アタックが明瞭でエッジ感が強い音として分類されるカテゴリ「分類A(例えば、エッジ音)」、ノイズのように聞こえる音として分類されるカテゴリ「分類B(例えば、テクスチャ音)」などである。
図3に示す特徴量DBにおいて、切出データAの時刻ts1から時刻te1のデータ範囲として特定される素材データは、特徴量Paであり、分類Aのカテゴリに分類されていることを示す。以上が、サーバ装置50のハードウエア構成についての説明である。
【0030】
[情報処理端末10の構成]
図4は、本発明の実施形態における情報処理端末10の構成を説明する図である。情報処理端末10は、制御部11、操作部12、表示部13、通信部14、記憶部15及び音響処理部16を有する。これらの各構成は、バスを介して接続されている。また、情報処理端末10は、音響処理部16に接続されたスピーカ161およびマイクロフォン162を有する。
【0031】
制御部11は、CPU、RAM、ROMなどを有し、ROMまたは記憶部15に記憶された各種プログラムを実行することにより、各種機能を実現する。この例においては、制御部11は、ユーザから入力される指示に応じて、シーケンスプログラム、類似音置換プログラムまたはテンプレートシーケンスプログラムを実行する。シーケンスプログラムが実行されると、ユーザから入力される指示に応じて、素材データを組み合わせて発音させるためのシーケンスデータを生成し、サーバ装置50において検索、特定させた素材データを取得してスピーカ161から発音させる機能を実現する。類似音置換プログラムは、予め用意した楽曲データなどを用いて、サーバ装置50に音素材となる素材データを抽出させ、その素材データに特徴量情報が類似した素材データを取得し、楽曲データと置換してスピーカ161から発音させる機能を実現する。テンプレートシーケンスプログラムは、上記の抽出された素材データに特徴量情報が類似した素材データをテンプレートに従って発音させる機能を実現する。これらの機能の詳細については後述する。
【0032】
操作部12は、ユーザによる操作を受け付けるタッチセンサ121および操作ボタン122を有し、それぞれに受け付けられた操作の内容を示す操作情報を制御部11に出力する。これにより、ユーザからの指示が情報処理端末10に対して入力される。
表示部13は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、制御部11の制御に応じた内容の表示を表示画面131に行う。表示画面131に表示される内容は、メニュー画面、設定画面などの他、実行されたプログラムによって様々な内容となる(図8、図11、図12、図13、図14参照)。
【0033】
通信部14は、制御部11の制御に応じて、通信回線1000と接続して、サーバ装置50などの通信装置と情報のやりとりを行う。制御部11は、通信部14を介して取得した情報を用いて、記憶部15に記憶された情報を更新するようにしてもよい。また、通信部14は、通信回線1000を介した通信に限らず、有線または無線により外部装置と接続可能に構成されたインターフェイスを有していてもよい。
記憶部15は、揮発性メモリの一時記憶領域と不揮発性メモリで構成され、一時記憶領域には、後述のプログラムで利用する楽曲データや実行するプログラムなどを一時保存する。不揮発性メモリには、楽曲データベース(以下、楽曲DBと記す)、抽出データ、素材データベース(以下、素材DBと記す)、シーケンスデータおよびテンプレートデータをそれぞれ記憶する記憶領域の他、上述したシーケンスプログラム、類似音置換プログラムおよびテンプレートシーケンスプログラムなどの各種プログラムを記憶する記憶領域を有する。不揮発性メモリに記憶されている各種データについては、予め記憶部15に記憶されているが、通信部14を介して外部装置から取得することにより、新たに追加して記憶されるようにしてもよい。また、後述するようにしてユーザによって作成された新たなシーケンスデータおよびテンプレートデータについても、記憶部15に記憶されるようにしてもよい。
楽曲DBは、様々な楽曲の音の波形を示す楽曲データ(楽曲データA、B、・・・)が記憶されたデータベースである。素材DBは、サーバ装置50における検索プログラムが実行され、サーバ装置50から送信された置換用の素材データ(素材データW1、W2、・・・)が記憶されたデータベースである。
【0034】
図5は、本発明の実施形態における抽出データの例を説明する図である。抽出データは、サーバ装置50において楽曲データから抽出された素材データの部分を特定する素材特定情報、その素材データの特徴量情報、その特徴量情報に応じて決められた分類、および、その特徴量情報に類似するものとしてサーバ装置50において特定された置換用の素材データを識別する情報とが対応付けられたデータである。ここでの素材特定情報は、上述の素材特定情報と同様に、楽曲データを識別する情報と、楽曲データの一部または全部を指定するデータ範囲を示す情報とを合わせた情報である。例えば、図5に示す抽出データの例においては、素材データは、楽曲データAにおけるデータの先頭を基準とした時刻ts2から時刻te2までのデータ範囲に対応し、その特徴量情報はPbであり、カテゴリは分類Bであり、置換用の素材データは、類似するものから順にW5、W1、W2、・・・であることを示している。
【0035】
図6は、本発明の実施形態におけるシーケンスデータの例を説明する図である。シーケンスデータは、特徴量指定データ(図6(a))およびDB指定データ(図6(b))により構成される。特徴量指定データは、発音タイミングを示す再生時刻、そのタイミングに発音させたい素材データに相当する特徴量情報、および発音の音量が対応付けられている。図6(a)の例によれば、再生時刻「0002:01:000」(第2小節第1拍に対応)においては、特徴量情報Pbに基づく音を、音量「20」で発音させることが示されている。なお、後述するように、発音される特徴量情報Pbに基づく音は、特徴量情報Pbの素材データが示す音素材とは限らず、類似する音のいずれかとなる。
DB指定データは、特徴量指定データによって示される特徴量情報を用いて、サーバ装置50において素材データを特定するときの検索対象となる特徴量DBの種類を再生時刻の範囲として設定されたデータである。図6(b)の例によれば、再生時刻「0001:01:000」から「0001:03:959」までは、検索対象となるデータベースは特徴量DBaであることを示している。
なお、テンプレートデータについては後述する。
【0036】
図4に戻って説明を続ける。マイクロフォン162は、ユーザによる発音が入力され、発音内容を示すオーディオ信号を音響処理部16に出力する。スピーカ161は、音響処理部16から出力されるオーディオ信号を放音する。音響処理部16は、DSP(Digital Signal Processor)などの信号処理回路などを有する。音響処理部16は、マイクロフォン162から入力されるオーディオ信号をA/D変換(アナログデジタル変換)して制御部11に出力する。音響処理部16は、制御部11から出力された楽音データを、制御部11によって設定されたエフェクト処理、D/A変換(デジタルアナログ変換)処理、増幅処理などの信号処理などを施して、オーディオ信号としてスピーカ161に出力する。以上が、情報処理端末10のハードウエア構成についての説明である。
【0037】
[機能構成]
次に、情報処理端末10の制御部11がシーケンスプログラムを実行し、それに伴いサーバ装置50の制御部51が検索プログラムを実行することによって実現される機能について説明する。なお、以下に説明する機能を実現する各構成の一部または全部については、ハードウエアによって実現してもよい。
【0038】
図7は、本発明の実施形態における情報処理端末10およびサーバ装置50の機能を説明する機能ブロック図である。制御部11がシーケンスプログラムを実行すると、表示制御部110、設定部120、発音制御部130およびデータ出力部140を構成する。この例においては情報処理端末10は、表示制御部110、設定部120および発音制御部130が構成されることにより発音制御装置として機能する。また、制御部51が検索プログラムを実行すると、特定部510を構成する。この例においてはサーバ装置50は、特定部510が構成されることにより特定装置として機能する。
表示制御部110は、ユーザによって入力される指示に応じて、表示画面131の表示内容を制御する。この場合、表示画面131には、図8に示すような内容が表示される。
【0039】
図8は、本発明の実施形態におけるシーケンスプログラム実行時の表示画面131の表示例を説明する図である。表示画面131には、大きく分けてアイコン配置領域STおよびDB配置領域DTが表示される。アイコン配置領域STおよびDB配置領域DTは、横軸を共通の時間軸として決められている。拍子線BLは、1拍ごとの位置を示す補助線である。また、アイコン配置領域STは、縦軸が発音の音量を規定する音量軸である。なお、アイコン画像の位置に関係なく音量が規定されるものとすれば音量軸はなくてもよい。
【0040】
アイコン画像s1、s2、・・・は、特徴量情報が対応付けられた画像である。アイコン画像s1、s2、・・・がアイコン配置領域STに配置されることにより、アイコン画像左端の時間軸に沿った方向の位置に応じて、それぞれ対応した特徴量情報に基づく音の発音タイミングが規定される。また、アイコン画像下端の音量軸に沿った方向の位置に応じて、その音量が規定される。アイコン画像s1、s2、・・・の絵柄の種類は、対応付けられた特徴量情報が分類されるカテゴリ(分類A、B、・・・)ごとに異なるように決められている。例えば、アイコン画像s1に対応する特徴量情報とアイコン画像s2に対応する特徴量情報とは異なるカテゴリに分類されるものであり、アイコン画像s2に対応する特徴量情報とアイコン画像s4に対応する特徴量情報とは同じカテゴリに分類されるものである。なお、アイコン画像の絵柄は、カテゴリに応じて異なったものでなくてもよい。すなわち、全て同じ絵柄であってもよいし、別のパラメータに応じて異なる絵柄になるように制御されてもよい。
【0041】
DB画像d1、d2、・・・は、特徴量DBの種類が対応付けられた画像である。DB画像d1、d2、・・・が、DB配置領域DTに配置され、DB画像の左端から右端の時間軸に沿った方向の位置に応じて、そのDB画像に対応する特徴量DBがサーバ装置50における検索対象として適用される期間が規定される。例えば、特徴量DBaは、時刻t0から時刻t2までが検索対象として適用され、特徴量DBcは、時刻t1から時刻t3までが検索対象として適用される。すなわち、時刻t1から時刻t2までは、特徴量DBaと特徴量DBcとの双方が検索対象として適用される。
【0042】
また、表示画面131には、再生テンポを設定するためのテンポ制御ボタンb1、アイコン配置領域のアイコン画像の配置態様に基づいて、シーケンスデータを楽音データに変換するための指示を行うための変換指示ボタンb2、変換により生成された楽音データを発音させるための再生指示ボタンb3が表示される。なお、作成したシーケンスデータを記憶部15に記憶させるための保存ボタンなどが表示されていてもよい。
【0043】
図7に戻って説明を続ける。設定部120は、ユーザによって入力された指示に応じて、時間軸に沿って特徴量DBの種類を設定する。この例においては、設定部120は、設定内容を表示制御部110に出力して、図8に示すように表示画面にDB画像を表示させる。なお、設定部120は、表示制御部110への出力をせずに、DB画像が表示画面131に表示されないようにしてもよい。この場合には、DB配置領域DTは不要である。すなわち、特徴量DBの種類がアイコン配置領域STと同じ時間軸に沿って設定されていれば、その設定内容が表示画面131に表示されていても表示されていなくてもよい。
【0044】
表示制御部110および設定部120は、アイコン画像の配置態様、特徴量DBの種類の設定態様に応じてシーケンスデータを生成する。ここで、表示制御部110は、シーケンスデータのうち、特徴量指定データを生成し、設定部120は、シーケンスデータのうちDB指定データを生成する。シーケンスデータは、アイコン画像が配置されたり、特徴量DBの設定が行われたりする度に内容が決定されるようにしてもよいし、変換指示ボタンb2が操作されたときに決定されるようにしてもよい。上述した保存ボタンが表示画面131に表示されている場合には、ユーザによって保存ボタンが操作が操作されると、ここで生成されたシーケンスデータが記憶部15に保存される。
【0045】
発音制御部130は、ユーザによって変換指示ボタンb2が操作されると、サーバ装置50に対して、生成されたシーケンスデータの一部または全部を通信部14を介して送信し、サーバ装置50の制御部51に検索プログラムを起動、実行させる。シーケンスデータの一部とは、少なくとも、特徴量情報と、その特徴量情報に対して時間軸において対応関係にある特徴量DBの種類(種類情報)とを対応付けた部分のデータである。そして、発音制御部130は、サーバ装置50から素材データを通信部14を介して受信して、受信した素材データおよびシーケンスデータに基づいて、データ出力部140から楽音データを出力させる。具体的には、発音制御部130は、シーケンスデータの特徴量指定データを参照して、アイコン画像に対応する素材データを音量に応じてレベルを変化させる加工をし、再生時刻に応じたタイミングで楽音データとして出力させる。データ出力部140は、発音制御部130の制御に応じて楽音データを出力する。
【0046】
特定部510は、発音制御部130から送信されたシーケンスデータに基づく情報を通信部54を介して受信し、記憶部55に記憶された特徴量DBのうち、受信した情報が示す検索対象となる種類の特徴量DBを検索し、シーケンスデータに含まれる各特徴量情報のそれぞれに対して、類似する特徴量情報をもつ素材データを特定する。この例においては、特定部510は、特徴量情報を複数の特徴量により構成されるベクトル量として取り扱い、検索対象となる種類の特徴量DBを参照してユークリッド距離が最も短くなる特徴量情報をもつ素材データを特定する。
なお、類似度を判断するためのアルゴリズムについては、公知の他のアルゴリズムを用いてもよい。また、ユークリッド距離が最も短くなるものでなくてもよく、2番目、3番目に近いものを特定してもよい。このような特定を行うために必要な情報は、予めユーザなどにより設定されていればよい。また、特定される素材データは、シーケンスデータに含まれる特徴量情報に対して、特徴量情報が類似関係にあるものでなくてもよく、予め決められた特定の関係にあればよい。また、検索対象については、検索対象となる種類の特徴量DBとするだけなく、さらに、カテゴリにより絞りこまれてもよい。この場合には、検索対象となるカテゴリは、例えばユーザによって指示されたものであってもよいし、シーケンスデータに含まれる特徴量情報と同じカテゴリまたは関連するカテゴリであってもよい。ここで、関連するカテゴリは、予め設定されたアルゴリズムに従って決められてもよいし、予め関連するカテゴリ同士が設定されていてもよい。
【0047】
そして、特定部510は、特定した素材データを通信部54を介して発音制御部130に送信する。なお、上述の通り、この例においては、通信部54は、シーケンスデータに基づく情報を受信することにより取得する取得手段、および特定された素材データを送信することにより出力する出力手段として機能する。
以上が機能構成についての説明である。続いて、シーケンスプログラム実行時の発音制御システム1における動作について図9を用いて説明する。
【0048】
[シーケンスプログラム実行時の動作]
図9は、本発明の実施形態におけるシーケンスプログラム実行時の発音制御システム1の動作を説明する図である。ここでは、情報処理端末10は、ユーザからシーケンスプログラムの実行の指示が入力された後の処理を説明する。シーケンスプログラムが実行されると、表示画面131には、図8に示すように、アイコン配置領域ST、DB配置領域DTなどの表示がなされる。この段階においては、アイコン画像およびDB画像は表示されていないものとする。
【0049】
ユーザは、特徴量情報の内容を決定する指示、決定した内容により決まる絵柄のアイコン画像をアイコン配置領域STに配置する指示、DB画像をDB配置領域DTに配置する指示を入力することにより、楽音を発生させるためのシーケンスを作成する(ステップS110)。その結果、表示画面131には、図8に示す内容で表示されたものとする。この状態で生成されているシーケンスデータは、例えば、図6に示す内容となる。この場合、アイコン画像s3、s4、s5に対応する特徴量情報は、Pc、Pd、Peとなる。
【0050】
ユーザは、変換指示ボタンb2を操作することにより変換指示(ステップS120)を入力すると、情報処理端末10は、発音制御部130によりサーバ装置50にシーケンスデータを送信する(ステップS130)。送信されるシーケンスデータは、上述したように、全ての情報でなくてもよく、特徴量情報と、その特徴量情報に対して時間軸において対応関係にある特徴量DBの種類とを対応付けた部分を有したデータであればよい。
【0051】
サーバ装置50は、このデータを受信すると、検索プログラムを実行し、特定部510により特徴量DBを検索して素材データを特定する(ステップS140)。例えば、アイコン画像s3に対応する特徴量情報Pcについては、時間軸において対応関係にある特徴量DBの種類となる特徴量DBcを検索して、特徴量情報Pcに類似する特徴量情報をもつ素材データを情報処理端末10に送信する(ステップS150)。このとき、サーバ装置50は、特定した素材データがどの特徴量情報に対応したものであるかが識別できるようにして送信する。
【0052】
情報処理端末10は、これらのデータを受信が完了するとその旨をユーザに通知する。ユーザは、再生指示ボタンb3を操作することにより再生指示を入力(ステップS160)すると、発音制御部130によりデータ出力部140を制御させる。発音制御部130は、シーケンスデータのうち特徴量指定データを参照して、受信した素材データの音量を調整して、対応する特徴量情報の再生時刻にしたがって楽音データとしてデータ出力部140から出力(ステップS170)させ、スピーカ161から発音させる。
【0053】
このようにして、ユーザが作成したシーケンスにしたがって、情報処理端末10から楽音データが出力される。ここで、検索対象となる特徴量DBの種類は、DB指定データによって規定されている。したがって、ユーザは、DB指定データを変更するだけで検索対象となる特徴量DBの種類が変更されるから、特徴量指定データの内容が変更されていなくても、特定部510において特定される素材データも変化する。したがって、ユーザの再生指示により発音される内容も変化することになる。このとき、素材データは変化したとしても、特徴量情報が変わるわけではないから、素材データの音が全く違うものに変化せず、大体の場合は同じカテゴリに分類されているものから特定される。したがって、特徴量DBの種類が、例えば、楽曲のジャンル(ジャズ、ロックなど)に応じたものとなっている場合には、ユーザはDB指定データを変更するだけでも、同じような発音内容(楽音のパターンなど)を維持したまま、ジャズであったりロックであったりと印象を変更することができる。
続いて、類似音置換プログラム実行時の発音制御システム1における動作について図10を用いて説明する。
【0054】
[類似音置換プログラム実行時の動作]
図10は、本発明の実施形態における類似音置換プログラム実行時の発音制御システム1の動作を説明する図である。ここでは、情報処理端末10は、ユーザから類似音置換プログラムの実行の指示が入力された後の処理を説明する。類似音置換プログラムが実行されると、表示画面131には、サーバ装置50に送信して素材データを抽出させる対象となる切出データを含む楽音データを決定するための表示として、図11に示す内容の表示がなされる。制御部11は、ユーザによって入力された指示に応じて、楽音データを決定する(ステップS210)。
【0055】
図11は、本発明の実施形態における類似音置換プログラム実行時の表示画面の表示例を説明する図である。制御部11は、類似音置換プログラムを実行すると、表示画面131に、楽音データを、録音して入力するか、記憶部15の楽曲DBに予め記憶されている楽曲データから選択するかを決定するための画面を表示させる。この例において、表示画面131には、図11(a)に示すように、録音して入力する指示をするための録音選択ボタンbs1と、楽曲データから選択する指示をするための楽曲データ選択ボタンbs2とが表示される。
【0056】
ユーザが楽曲データ選択ボタンbs2を操作すると、制御部11は、楽曲DBに記憶された楽曲データのリストを表示画面131に表示させる(図示略)。そして、ユーザによってこのリストから1つの楽曲データを選択する指示が入力されると、制御部11は、選択された楽曲データを楽音データとして決定する(ステップS210、図10参照)。
一方、ユーザが録音選択ボタンbs1を操作すると、制御部11は、表示画面131に表示される内容を図11(b)に示す内容に切り替える。このとき表示画面131には、録音を開始させる指示をユーザから受け付けるための録音開始ボタンbrs、録音の開始から経過した時間を示す録音時間表示バーsb、1つ前の画面(この場合においては、図11(a)に示す表示画面)に戻る指示をユーザから受け付けるための戻りボタンbr、および録音した内容を楽音データとして決定する指示をユーザから受け付けるための決定ボタンbfが表示される。
【0057】
ユーザが録音開始ボタンbrsを操作すると、制御部11は、表示画面131に表示される内容を図11(c)に示す内容に切り替え、マイクロフォン162から入力された音を示すデータを蓄積する。このとき表示画面131には、図11(b)に示す表示内容から、録音開始ボタンbrsが録音を停止させる指示をユーザから受け付けるための録音停止ボタンbreに変更され、また、録音時間表示バーsbに録音時間に応じた経過表示バーsbtを表示させる。
ユーザは、この状態において楽音データとしたい音をマイクロフォン162から入力する。音の入力が終了し、ユーザが録音停止ボタンbreを操作すると、制御部11は、マイクロフォン162から入力される音を示すデータの蓄積を終了し、表示画面131の表示を図11(b)に示す内容に切り替える。
【0058】
ユーザが録音開始ボタンbrsを再度操作した場合には、制御部11は、再びに録音を開始して、すでに蓄積されたデータを破棄して新たにデータの蓄積を開始してもよいし、破棄せず新たなデータを追加するようにしてもよい。一方、ユーザが決定ボタンbfを操作した場合には、録音によって蓄積されたデータを楽音データとして決定する(ステップS210、図10参照)。
このように、制御部11は、楽曲データまたは録音によって蓄積されたデータを楽音データとして決定する(ステップS210)と表示画面131に表示される内容を、図12に示す内容に切り替える。
【0059】
図12は、本発明の実施形態における類似音置換プログラム実行時の素材データ範囲を設定する画面を説明する図である。表示画面131には、決定された楽音データの波形wd1および波形wd1の一部を拡大表示した波形wd2が表示されている。また、表示画面131には、波形wd1のうち波形wd2の表示範囲を規定するための表示範囲ウインドウwsが表示される。ユーザは表示範囲ウインドウwsの位置および範囲を変更する指示を入力すると、制御部11は、表示範囲ウインドウwsの位置および範囲を変更し、その変更内容に応じて波形wd2の表示も変更する。
【0060】
表示画面131には、決定した楽音データのうち、サーバ装置50に送信するデータ範囲tw(切出データ)を指定するための範囲指定矢印(開始指定矢印asおよび終了指定矢印ae)が表示される。ユーザが範囲指定矢印の位置を指定すると、その間がデータ範囲twとして指定される。時間表示twcは、データ範囲twの時間を示す表示である。範囲の指定方法は、上記に限らず、拍数や時間をなんらかの入力手段で数値入力しても良い。
表示画面131には、指定されたデータ範囲twを設定するための設定ボタンbk、1つ前の画面に戻る指示をユーザから受け付けるための戻りボタンbr、指定されたデータ範囲twの楽音データを再生してスピーカ161から出力させる指示をユーザから受け付けるための再生ボタンbpが表示される。位置の指定方法は、例えば表示画面131上でそれぞれの範囲指定矢印を二本の指でタッチしながら広げたり狭めたりスライドさせることによる。指定範囲矢印は、波形wd2に重ねるように表示し、その位置は波形wd2の中心線上でも良いし、中心線近辺でも良い。波形表示に重ねることで直感的に開始指定点と終了指定点がわかるので、指定範囲矢印は、特に矢印の形状を形成したアイコンでなくても良く、タッチする箇所を視覚的に誘導可能なアイコンであればよい。指定範囲矢印は、波形の開始指定点と終了指定点が認識し易いように、その一部を透かしても良いし、半透明であっても良い。
【0061】
ユーザがデータ範囲twを指定してから再生ボタンbpを操作すると、制御部11は、楽音データのうち、データ範囲twの部分のみ、再生してスピーカ161から出力させる。ユーザがデータ範囲twを指定してから設定ボタンbkを操作すると、制御部11は、サーバ装置50において素材データを抽出させる対象として、このデータ範囲twを設定し(ステップS220、図10)、通信部14からデータ範囲twの楽音データである切出データを送信させる(ステップS230)。
【0062】
なお、シーケンスプログラムの実行のときに用いられたDB指定データが、類似音置換プログラムにおいても用いられてもよい。この場合には、DB指定データについてもサーバ50に送信される。
【0063】
サーバ装置50が切出データを受信すると、制御部51は、抽出プログラムを実行し、データ範囲twの楽音データから素材データを抽出する(ステップS240)。この抽出方法としては、例えば、切出データから音量変化が一定以上の変化をするオンセットを検出し、オンセットから予め決められた時間の範囲のうち、特定の条件を満たす特徴量をもつ部分を素材データとして抽出する方法がある。楽音を示す切出データから素材データを抽出する方法については、公知の方法のいずれも用いることが可能であるが、例えば、特開2010−191337号公報に開示された方法を用いればよい。
【0064】
続いて、制御部51は、抽出した素材データに関連するデータを記憶部55に登録する(ステップS250)。具体的には、制御部51は、受信した切出データを切出DBに登録し、特徴量DBにデータ範囲、特徴量情報およびその分類を登録する。このとき、どの種類の特徴量DBに登録するか(単数、複数を含む)については、予めユーザによって指定されていてもよいし、切出データが楽曲データの一部であり、楽曲データに対応するジャンルが取得可能な場合には、その楽曲データのジャンルに対応させてもよい。
なお、ステップS260における素材データの登録については、存在しなくてもよいし、登録を行うか否かを、ユーザが予め指定してもよい。
【0065】
続いて、制御部51は、検索プログラムを実行し、切出データから抽出した各素材データの特徴量情報に類似する素材データを特定する(ステップS260)。この例においては、制御部51は、抽出した素材データの各々について、特徴量を算出し、特徴量情報が類似する5つの素材データを特徴量DBから検索して特定する。この特定方法は、上述した特定部510における方法と同様にすればよい。すなわち、制御部51は、各素材データについて、特徴量情報のユークリッド距離が近いものから5つの特徴量情報をもつ素材データを特定すればよい。なお、ステップS250において登録した情報は検索範囲から除外する。
制御部51は、抽出した各素材データに類似する5つの素材データを特定すると、これらの素材データを通信部54から情報処理端末10に送信させ、また、図5に示すような抽出データを構成するための情報、すなわち、切出データのうち、素材データとして抽出した部分とその特徴量情報、類似する素材データ(置換用の素材データ)を識別する情報などを、通信部54から送信させる(ステップS270)。
【0066】
なお、制御部51は、情報処理端末10からDB指定データが送信されている場合には、シーケンスプログラム実行に伴ってサーバ装置50において実行された検索プログラムと同様に、素材データを特定するときの検索対象となる特徴量DBの種類を、DB指定データに基づいて決定する。このとき、抽出された素材データの切出データにおけるデータ位置に基づいて、特徴量DBの種類が決められるようになっていればよい。例えば、DB指定データにおける再生時刻範囲については、切出データのデータ位置を示す情報を用いて、その範囲が指定されていればよい。
【0067】
情報処理端末10がこれらの情報を受信すると、制御部11は、抽出データを記憶部15の一時記憶領域に記憶させ、表示画面131に表示される内容を、図13に示す内容とする。なお、制御部11は、サーバ装置50での処理が行われている間、すなわち、ステップS230からステップS270の処理の間には、表示画面131を別の内容(「データ送信中」、「データ処理中」の表示など)にしてもよい。
【0068】
図13は、本発明の実施形態における類似音置換プログラム実行時の素材データの置換態様を設定する画面を説明する図である。表示画面131には、図13に示すように、切出データの波形を示す波形wd3、素材データとして抽出された部分を示す抽出ウインドウwk1、wk2、・・・が表示される。また、表示画面131には、波形wd3の下部に、抽出ウインドウwk1、wk2、・・・に対応したアイコン列bk1、bk2、・・・が表示される。これらが表示される領域は、上述したアイコン配置領域STに相当する。横軸方向は、波形wd3における抽出された素材データの位置関係に対応しているため、アイコン配置領域STと同様に時間軸に相当する。ただし、図8に示す例とは異なり、一定の時刻が経過すると時間軸方向に一定量進むという関係にはなっていない。すなわち、一定の時刻が経過すると時間軸方向に一定量進むという波形wd3における時間軸が、適宜伸縮され、その結果として素材データが時系列に沿って並ぶように表示されている。このように、アイコン配置領域STに相当する部分については、時間軸が適宜伸縮されて表示される場合もある。
なお、DB指定データが用いられる場合には、DB配置領域DTに相当する領域が、表示画面131に表示されるようにしてもよいし、表示されなくてもよい。
【0069】
これらのアイコン列bk1、bk2・・・は、それぞれ素材データの特徴量情報により分類されるカテゴリに応じた絵柄の画像となっている。すなわち、この画像は、特徴量情報が対応付けられたアイコン画像に相当する。絵柄は、図13に示すもの以外であっても良いが、視覚的にカテゴリ毎の判別が明確にできる絵柄が好ましい。この例においては、抽出ウインドウwk1に対応する素材データと抽出ウインドウwk4に対応する素材データとが同じカテゴリに分類され、抽出ウインドウwk2に対応する素材データと抽出ウインドウwk3に対応する素材データとが同じカテゴリに分類されている。
【0070】
また、アイコン列bk1、bk2、・・・は、それぞれ、抽出された素材データを示すアイコン画像が並ぶ元音素材行bkiと、素材データに類似し、置換対象となる素材データを示すアイコン画像が並ぶ類似音素材行bkrとを有する。この例においては、類似音素材行bkrのアイコン画像は、対応する素材データと類似しているほど上に表示(後述する変形例3に記載する特定座標軸に相当)され、かつ色が濃く表示されている。類似音素材行bkrにおけるアイコン画像の行数は、図13に示す数に限らず、任意に設定可能である。また、アイコン画像における類似程度の表示方法は、色の明度の濃淡に限らず、色相の変化、画像の大きさの変化等視覚的に判別が明確にできるものであれば良い。また、抽出された素材データと置換させる対象となる素材データを特定するためのカーソルckがアイコン列bk1、bk2、・・・の各列に表示される。したがって、抽出された素材データの数に応じてアイコン列の数が変わる。アイコン列を構成するアイコン1つずつの表示の大きさは、表示画面を最大アイコン列で割り振っておいて、アイコン列が少ない場合は表示しない部分を残しても良いし、その都度表示するアイコン列数により表示画面を割り振って、1つずつの表示の大きさを変えて、全体で画面いっぱいになるように表示しても良い。
【0071】
ユーザが図13に示すようにアイコン列bk1、bk2、・・・の各列におけるカーソルckの位置を操作するなどして、位置を特定する指示を入力すると、制御部11は、抽出された素材データを、カーソルckの位置に応じた置換用の素材データと置換するように設定する(ステップS280)。
ユーザが再生ボタンbpを操作することにより再生が指示されると(ステップS290)、制御部11は、切出データのうち、設定された内容に応じて、抽出された素材データを置換用の素材データに置換して再生して楽音データとして出力(ステップS300)し、スピーカ161から放音させる。そして、ユーザにより入力された指示により、ファイル名を指定して、置換したデータを示す情報を記憶部15の不揮発性メモリに記憶する。この情報は、波形を示すデータであってもよいし、抽出データにおいて、選択された置換用の素材データを特定する情報を追加したものであってもよい。記憶されたファイルは、ファイル名を指定して、情報処理端末10単体で読み出し可能となる。
【0072】
なお、ユーザが抽出ウインドウwk1、wk2、・・・の時間軸方向の長さを調整して、抽出された素材データの開始時間または終了時間を調整可能としてもよい。このようにして調整された場合には、情報処理端末10は、サーバ装置50に対して、変更内容を示す情報を送信し、サーバ装置50の制御部51は、抽出された素材データが変更されたものとして、ステップS250からの処理を行うようにすればよい。
以上が類似音置換プログラム実行時の動作についての説明である。
【0073】
[テンプレートシーケンスプログラム実行時の動作]
図14は、テンプレートシーケンスプログラム実行時の表示画面を説明する図である。テンプレートシーケンスプログラムは、予め複数(例えば、16個)のテンプレートを用意しておき、そのテンプレートによって規定される発音タイミングで、素材データを発音させるプログラムである。
テンプレートシーケンスプログラムを実行するには、上述の素材データの置換態様を設定する画面(図13)においてテンプレートシーケンスプログラムへの移行指示の操作を受け付けるための移行指示ボタンbtsをユーザが操作して行う。図14の上部にある波形領域は、素材データの置換態様を設定する画面で表示された波形wd3が示され、下部にあるトラック領域TTには、複数(図13の例では4つ)のトラックが表示される。個のトラック領域TTは、上述したアイコン配置領域STに相当する。なお、トラックは上から順に、第1〜第4トラック(図13におけるtb1〜tb4に対応)と呼ぶ。トラックtb1、tb2、tb3、tb4のそれぞれは、抽出ウインドウwk1、wk2、wk3、wk4のいずれかに対応して設けられている。この例においては、抽出ウインドウwk1、wk2、wk3、wk4に示されるa〜dは、トラック領域TTの各トラックtb1,tb2、tb3、tb4の左側に示されるa〜dに対応しており、波形領域のどの部分のデータとトラックの類似音が対応しているかがわかるようになっている。
【0074】
各トラックは、1小節16拍分の個々の発音タイミングを画面横方向に示しており、左端のアイコンから順に1拍づつ進んだ発音タイミングとなる。すなわち、横軸方向は、アイコン配置領域STと同様に時間軸に相当する。各発音タイミングは、四角形のアイコン画像で示されている。アイコン画像のうち、明るい表示(図13においては太枠表示)となっているアイコン画像(以下、発音アイコン画像tbsという)は、発音タイミングを示し、枠内に表示されている数値が選択している類似音の種類(上述の置換用の素材データの種類に対応)を示している。例えば、「1」、「2」、・・・はそれぞれ類似度に応じて決められた置換用の素材データを示し、「0」は、波形wd3における抽出ウインドウに対応する素材データを示している。この発音アイコン画像tbsは、表示されているトラックにより、抽出された素材データの特徴量情報が対応付けられたアイコン画像に相当する。すなわち、画面縦軸方向に並ぶトラックは、特徴量情報を規定するための特徴量規定軸となる。一方、暗い表示(図13においては細枠表示)となっているアイコン画像(以下、無音アイコン画像tbbという)は、発音しないタイミングを示している。
【0075】
例えば、第1トラックtb1においては、4拍目において抽出ウインドウwk1に対応する素材データが発音され、6拍目において抽出ウインドウwk1に対応する素材データに3番目に類似するものとして特定された素材データが発音され、10拍目において抽出ウインドウwk1に対応する素材データに1番目に類似するものとして特定された素材データが発音されることになる。
【0076】
ユーザは、発音アイコン画像tbsをタッチして操作することにより発音アイコン画像tbsの数値を変更させて、対応する類似音の種類をサイクリックに選択できる。なお、図示の例は、1小節16拍で示しているが、2拍子や3拍子、小節数も2小節や4小節など、自在に組んでよい。
また、テンプレートは、予めテンプレートシーケンスプログラムによって規定されているものとして説明しているが、ユーザが作ったり、既存のテンプレートを加工できるようにしてもよい。このようにして作成、加工したテンプレートは、上述したように、記憶部15に記憶できるようにして、ユーザが後にテンプレートシーケンスプログラムを実行したときに、読み出して利用してもよい。また、拍数の合計値に応じて、トラック領域TTに表示されるアイコン画像の数は増減させてもよいし、スクロールするようにして表示させてもよい。また、あらかじめ用意されたテンプレートだけでなく、新たにテンプレートを作成してもよい。この場合、ユーザは、特徴量情報を新たに設定し、その特徴量情報と類似する素材データを、上述したステップS240(図10参照)で抽出された素材データの中から決定する。また、それぞれのトラックに付いて発音タイミングを任意に設定することができる。
【0077】
左下のスライダtsは、演奏テンポを指定するもので、ユーザがスライドさせて希望するテンポを指定する。右下のボタンは、テンプレートを選択するテンプレートボタンtnであり、ユーザがテンプレートボタンtnをここをタッチして操作する度にテンプレートが1からサイクリックに変わって、テンプレートの種類を選択できる。図示の例ではテンプレート2が選択されている。
なお、上記の発音アイコン画像tbsに数値を表示させる代わりに発音アイコン画像tbsの色の明度あるいは濃度で表示したり、色の違いで表すようにしてもよい。また、トラックtb1、tb2、tb3、tb4と抽出ウインドウwk1、wk2、wk3、wk4関係についても同様にして、アルファベットによる表示以外に、色などにより対応関係がわかるようにしてもよい。
【0078】
図15は、本発明の実施形態におけるテンプレートシーケンスプログラムで利用される、図14に示すテンプレート2の内容を示す。テンプレートには、それぞれのトラックに割当てられる素材データを選択するための特徴量情報を規定すると共に、それぞれのトラックにおける発音タイミングを規定する。特徴量情報は、図6の特徴量指定データにおける特徴量情報と同じ構成である。発音タイミングは、小節数とその小節内におけるタイミング(1拍が120)として指定される。例えば、図15に示す発音タイミング「1:360」は、1小節目の3拍目であることを示している。なお、上述したように、DB指定データが用いられている場合には、再生時刻範囲については、テンプレートデータの発音タイミングの形式に合わせ、小節数とその小節内におけるタイミングを用いて、その範囲が指定されればよい。また、DB配置領域DTに相当する領域が、表示画面131に表示されるようにしてもよいし、表示されなくてもよい。
【0079】
テンプレートのそれぞれのトラックに対する素材データの割当ては、類似音置換プログラム実行時の切出データ送信の際に、各テンプレートの情報も合わせてサーバ装置50に送り、サーバ装置50で各テンプレートの特徴量情報に類似した素材データを割当てて、情報処理端末10に抽出結果データとともに送るようにする。情報処理端末10では、割当てテーブルでそれぞれのトラックと素材データの対応関係を割当てて一時記憶領域において記憶する。図14に示す例では、第1トラックtb1に抽出ウインドウwk1に対応する素材データが、第2トラックtb2に抽出ウインドウwk1に対応する素材データが、第3トラックtb3に抽出ウインドウwk1に対応する素材データが、第4トラックtb4に抽出ウインドウwk1に対応する素材データがそれぞれ割当てられていることがわかる。
なお、16個のテンプレートは、それぞれが特徴量と発音タイミングを異なるものとして使うのが一般的であるが、一部のテンプレートの間で、特徴量情報または発音タイミングのデータのどちらかを他のテンプレートと共通にして、サーバ装置50と情報処理端末10との間でやり取りするデータ量、サーバ装置50における計算量を少なくするようにしてもよい。
【0080】
表示画面131に図14に示す内容の画面が表示されているときに、ユーザが再生ボタンbpを操作することにより再生が指示されると、制御部11は、トラック領域TTに表示された発音アイコン画像tbsの数値に応じて決められる素材データを、その発音アイコン画像tbsの位置に応じた発音タイミングで発音されるように再生して楽音データとして出力し、スピーカ161から放音させる。
そして、ユーザにより入力された指示により、ファイル名を指定してそれぞれのテンプレートと割当てテーブルのデータをひとつのファイルとして、記憶部15の不揮発性メモリに記憶する。記憶されたファイルは、ファイル名で情報処理端末単体で読み出し可能となる。
【0081】
[DAWへの適用例]
上述の実施形態では、情報処理端末10は、タブレット端末、携帯電話、PADなどに適用した例として説明したが、他のひとつの例としては、情報処理端末10において実現される各機能は、DAW(Digital Audio Workstation)と呼ばれるアプリケーションソフトウェアをパソコン(パーソナルコンピュータ)PCのOS(Operating System)上で起動させることにより実現することができる。すなわち、情報処理端末10は、DAWが動作しているパソコンPCにより音楽処理装置として実現される。音楽処理装置では、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)イベントやオーディオ信号の録音/再生、編集、ミキシングなどの一連の音楽処理を実行することができ、その機能の一つとして上述のシーケンスプログラム、テンプレートシーケンスプログラムを持たせるようにする。
【0082】
そして、DAWのアプリケーションのなかで、上記のシーケンスプログラムとの連携で、MIDIイベントの録音/再生を制御するMIDIシーケンサで再生させた信号から特徴量を抽出してシーケンスデータを作成したり、抽出された特徴量に応じた素材データで新しいオーディオ信号として録音する。すなわち、MIDIシーケンサと上記シーケンスプログラムの間でデータをやり取りしたり、あるいは、上記シーケンスプログラムで作成されたデータからオーディオ信号で録音し、さらに編集できる。
【0083】
同様に、DAWのアプリケーションのなかで、上記のテンプレートシーケンスプログラムとの連携で、MIDIシーケンサのMIDIのトラックを、テンプレートシーケンスプログラムのトラックから作成したり、逆にテンプレートシーケンスプログラムのテンプレートをMIDIシーケンサのトラックのタイミング情報を利用して作ったり、テンプレートシーケンスの1または複数のトラックのデータからMIDIデータを作る。
【0084】
さらには、DAWのアプリケーションのミキサ画面では、上記シーケンスプログラムの入出力トラックを、他のMIDIトラックやオーディオトラック同様に選択指定できるように扱うことで、MIDIデータの再生信号と上記シーケンスデータの再生信号をミキシングして出力したり、オーディオの再生信号と上記シーケンスデータの再生信号をミキシングして出力する。なお、上記シーケンスプログラムのみでの再生出力、記録も可能である。
【0085】
また、DAWのアプリケーションにおけるデータの保存・再生では、プロジェクトファイルの構成データのひとつとして、上記シーケンスデータとDB指定データを持たせて、一つのプロジェクトファイルにまとめるようにすればよい。この場合、具体的には、例えば、ヘッダ、オーディオトラックのデータ(複数トラック分の波形データおよび管理データ)、オーディオミキサのデータ(複数チャンネル分のパラメータ)、MIDIトラックのデータ(複数トラック分のシーケンスデータ)、MIDIミキサのデータ(複数チャンネル分のパラメータ)、ソフト音源のデータ(起動されたソフト音源のパラメータ)、ハード音源のデータ(音源ラックに登録されたハード音源のパラメータ)、ソフト効果器のデータ(起動されたソフト効果器のパラメータ)、ハード効果器のデータ(挿入されたハード効果器のパラメータ)、音源テーブル、効果器テーブル、音楽LANのデータ、その他のデータに加え、上記シーケンスデータとDB指定データから構成されるようになる。
【0086】
この場合、DAWのアプリケーションによって提供される大量のオーディオデータを、上記シーケンスデータや素材データの元として使えるようになり、上記シーケンスプログラムの利用可能性を大きく高められるとともに、MIDIシーケンサやオーディオデータの編集作業のひとつのツールとして上記シーケンスプログラムを利用することができる。
【0087】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな態様で実施可能である。
[変形例1]
上述した実施形態において、ユーザによって入力された指示に応じて、アイコン配置領域STに表示されるアイコン画像が時間軸方向に伸縮可能に構成されてもよい。
【0088】
図16は、本発明の変形例1におけるシーケンスプログラム実行時の表示画面の表示例を説明する図である。表示制御部110は、表示画面131に表示されたアイコン画像の長さを、ユーザによって入力された指示に応じて時間軸に沿った方向に変化させる。例えば、図8に示すアイコン画像s4を、図16に示すアイコン画像s41のように、時間軸に沿った方向に伸長させる。この場合には、発音制御部130は、このアイコン画像s41に対応する素材データを出力部140から出力させるときに、アイコン画像s41の時間軸に沿った方向の長さに応じて、タイムストレッチ処理(素材データの波形を伸ばす処理)、ループ処理(素材データを繰り返して出力させる処理)などを施すことにより加工し、データ出力部140から楽音データとして出力させてもよい。この場合、シーケンス情報として発音終了のタイミング、ループ再生のフラグなど必要な情報が追加される。
なお、図8に示すアイコン画像は、すべて同じ大きさであり、本変形例での処理により時間軸に沿った方向に伸縮させていたが、伸縮させる前の状態であっても、そのアイコン画像に対応する特徴量情報に類似するものとして特定された素材データを再生したときの音長に応じた長さで表示されてもよい。
【0089】
[変形例2]
上述した実施形態においては、アイコン配置領域STの縦軸は音量を示す座標軸(音量軸)であったが、例えば、ピッチ、音長などを示す座標軸(以下、指定座標軸という)としてもよい。すなわち、アイコン配置領域STは、素材データの音量以外の他の加工内容を指定する指定値を示す指定座標軸をもっていてもよい。ピッチを示す指定座標軸とした場合には、発音制御部130は、素材データのピッチを、アイコン画像の指定座標軸における位置に応じて変更してデータ出力部140から楽音データとして出力させればよい。音長を示す指定座標軸とした場合には、発音制御部130は、アイコン画像の指定座標軸に於ける位置に応じて、タイムストレッチ処理(素材データの波形を伸ばす処理)、ループ処理(素材データを繰り返して出力させる処理)などを施すことにより加工し、データ出力部140から楽音データとして出力させればよい。
また、指定座標軸によって指定される加工内容は、音量、ピッチなど複数種類にわたってもよく、この場合には、ユーザによって入力された指示に応じて、指定座標軸の種類を切り替えて、アイコン画像を配置可能なものとしてもよい。このように切り替え可能な指定座標軸をもつアイコン配置領域STにアイコン画像を配置させることにより、素材データを様々に加工してもよい。
【0090】
[変形例3]
上述した実施形態においては、アイコン配置領域STの縦軸は素材データの加工内容を指定する指定座標軸であったが、特定部510において素材データを特定するための特定値を示す座標軸(以下、特定座標軸という)としてもよい。この場合には、特定部510は、素材データを特定するときに、アイコン画像の特定座標軸における位置に応じて特定すればよい。例えば、特定値が類似度に関するものであれば、アイコン配置領域STの上方にアイコン画像が位置するほど、特定部510において特定される素材データが類似度が低い(特徴量情報間のユークリッド距離が長い)ものが特定されるようにすればよい。
なお、類似度についてはユーザが指定するのではなく、例えば、ユーザが所定の操作(ランダムボタンの操作など)をすることにより、全てのアイコン画像または予め指定されたアイコン画像に対応する類似度が予め決められたアルゴリズム(例えばランダム)に従って指定されるようにしてもよい。
【0091】
また、特定値の内容は複数種類にわたってもよく、この場合には、ユーザによって入力された指示に応じて、アイコン配置領域STにおける特定座標軸と変形例2における指定座標軸とを切り替えて、アイコン画像を配置可能なものとしてもよい。他の種類の例としては、例えば、アイコン画像に対応する特徴量情報を変化させて分類させるカテゴリを変化させるものであってもよい。
【0092】
[変形例4]
上述した実施形態においては、類似音置換プログラムの実行により、表示画面131に表示される内容は、図12に示す内容から図13に示す内容に切り替わり、類似音として置換する素材データは、選択肢の中からユーザが選択していたが、図17に示す内容での表示を行うことで、別の態様で置換する素材データを選択するようにしてもよい。図17、図18を用いて、この場合における表示画面131の表示内容および発音制御システム1の動作について説明する。
【0093】
図17は、本発明の変形例4における類似音置換プログラム実行時の素材データの置換対象を指定する画面を説明する図である。図18は、本発明の変形例4における類似音置換プログラム実行時の発音制御システムの動作を説明する図である。図18に示すステップS210からステップS250の処理までは、実施形態における処理と同様であるため、説明を省略する。
サーバ装置50の制御部51は、切出データから抽出した素材データを示す情報(切出データにおけるデータ範囲、特徴量情報)を抽出結果データとして、通信部54から送信させる(ステップS310)。
【0094】
情報処理端末10において抽出結果データを受信すると、制御部11は、表示画面131に表示される内容を図17に示す内容に切り替える。この例においては、図17に示すように、表示画面131には、切出データの波形wd3が表示され、また、抽出ウインドウwr1、wr2、・・・が表示される。この抽出ウインドウが表示されている領域は、上述したアイコン配置領域STに相当し、横軸が時間軸に相当する。また、抽出ウインドウの各々は、抽出された素材データの特徴量情報が対応付けられたアイコン画像に相当する。
【0095】
この例における抽出ウインドウwr1、wr2、・・・は、特徴量情報が分類されたカテゴリに応じた色で表されている。ここでは、ウインドウ内部がカテゴリに応じた半透明の色で塗りつぶされ、上方の色が濃く、下方の色が薄くなるように決められている。以下の説明においては、抽出ウインドウwr1を例として説明する。
抽出ウインドウwr1の上部には、分類切替領域wrbが表示されている。分類切替領域wrbは複数の領域に分けられ、各領域には、分類対象となる全てのカテゴリに応じた色で塗りつぶされている。また、抽出ウインドウwr1は、上下方向(縦軸)の位置が類似度と対応付けられ、上方ほど類似度が高くなるように決められている。すなわち、類似度と色の濃度とが相関を持っている。
【0096】
分類切替領域wrbのいずれかの位置がユーザによって指定されると、制御部11は、表示画面131の抽出ウインドウwr1内の色を、指定された位置の領域の色に変更する。このとき、上方の色が濃く、下方の色が薄くなる態様であることは変化しない。これにより制御部11は、色に応じたカテゴリを検索対象の分類として設定する。ユーザによるこの指定が行われなければ、抽出ウインドウwr1に対応する素材データの特徴量情報が分類されているカテゴリがそのまま検索条件の分類として設定される。そして、抽出ウインドウwr1の内部の位置がユーザによって指定されると、制御部11は、縦軸における位置に応じた類似度を検索条件として設定する。このようにして、制御部11は、分類と類似度とを検索条件として設定(ステップS320)する。
ユーザによって再生ボタンbpが操作されると、制御部11は、検索条件を示す条件データを各ウインドウwr1における素材データを識別する情報と対応付けて、通信部14から送信させる(ステップS330)。
【0097】
サーバ装置50が条件データを受信すると、制御部51は、実施形態におけるステップS260の処理と同様に、抽出した素材データの特徴量情報に類似する素材データを特定する(ステップS340)。ただし、この例においては、実施形態と異なり、制御部51は、条件データに基づく制約のもと素材データを特定する。すなわち、検索対象は、特徴量DBのうち条件データが示すカテゴリに分類された特徴量情報の素材データとする。また、ユークリッド距離が近いものから類似度に応じた順番の素材データを特定する。このとき、類似度が高いほどユークリッド距離が近い特徴量情報をもつ素材データが特定される。なお、上述したように、DB指定データが用いられている場合には、制御部51は、素材データを特定するときの検索対象となる特徴量DBの種類を、DB指定データに基づいて決定する。
制御部51は、条件データに応じて素材データを特定すると、実施形態におけるステップS270の処理と同様に、特定した素材データ、および置換対象となる素材データを識別する情報を対応付けて、通信部54から情報処理端末10に送信させる(ステップS350)。
【0098】
情報処理端末10がこれらデータを受信すると、制御部11は、抽出された素材データを特定された素材データと置換する(ステップS360)。ユーザが再生ボタンbpを操作することにより再生が指示されると(ステップS370)、制御部11は、素材データが置換された切出データを再生して楽音データとして出力(ステップS380)し、スピーカ161から放音させる。
【0099】
図19は、図17に示す画面の別の表示例を説明する図である。この表示例においては、ユーザによって指定された縦軸方向の位置(類似度)に横棒状のマーカwrcを表示させている。これによってユーザは、どの程度の類似度が指定されているかの認識が容易となる。または、この表示例においては、波形wd3のうち抽出ウインドウwr1に含まれる部分wraについては、置換対象の素材データの波形に置き換えて表示されている。他の抽出ウインドウwr2、wr3、wr4についても同様である。
【0100】
ここで、抽出ウインドウは、サーバ装置50において抽出された素材データの部分を示しているが、ユーザが指定した領域(例えば、図19に示す領域wrs)をサーバ装置50において抽出された素材データの部分として新たに追加してもよい。この場合には、情報処理端末10からサーバ装置50に領域wrsを示す情報を送信し、図18のステップS240においてその領域wrsの波形が素材データとして抽出されたものとすればよい。このようにして、抽出ウインドウの数を増加させてもよい。また、ユーザが指定した抽出ウインドウを削除することができるようにしてもよい。
【0101】
なお、類似度についてはユーザが指定していたが、例えば、ユーザが所定の操作(ランダムボタンの操作など)をすることにより、全ての抽出ウインドウまたは予め指定された抽出ウインドウに対応する類似度が予め決められたアルゴリズム(例えばランダム)に従って指定されるようにしてもよい。
また、抽出ウインドウに含まれる部分とそれ以外の部分において再生するときの音量をそれぞれ調整できるようにしてもよい。この調整は、連続量で制御できるようにしてもよいし、オンオフできるか得られるようにしてもよい。また、抽出ウインドウ毎に調整できるようにしてもよい。このようにして、素材データ部分を際立たせたり目立たなくしたりした放音が可能となる。これらは、実施形態の図13に示す表示がされているときにおいても適用可能である。
また、実施形態においても説明したように、ユーザが抽出ウインドウwr1、wr2、・・・の時間軸方向の長さを調整して、抽出された素材データの開始時間または終了時間を調整可能としてもよい。
【0102】
[変形例5]
上述した実施形態において、図9に示すステップS170の処理、すなわち、シーケンスプログラムの実行時にデータ出力部140から出力される楽音データは、発音制御部130が、アイコン画像の時間軸における位置に応じたタイミングで素材データを出力することにより実現していたが、出力期間全体の発音内容を示すデータとして発音制御部130によって生成された後、データ出力部140から出力されるようにしてもよい。発音制御部130は、生成された楽音データを記憶部15に出力して記憶させるようにしてもよい。また、楽音データとして記憶させる場合に限らず、シーケンスデータと素材データとの組み合わせなど、楽音データを生成するために必要な複数種類のデータで記憶させれるようにしてもよい。各種データを記憶させる指示については、ユーザによって入力されるようにすればよい。
【0103】
また、このような楽音データに基づく発音は、情報処理端末10のスピーカ161から出力されていたが、情報処理端末10に接続される外部のスピーカ装置から出力されるようにしてもよいし、サーバ装置50から出力されるようにしてもよい。すなわち、発音制御部130は、音を出力する何らかの装置から発音されるように、楽音データを出力させるように、情報処理端末10の構成のみならず接続される各構成を制御すればよい。
【0104】
[変形例6]
上述した実施形態においては、シーケンスプログラム実行時に表示画面131に表示されるアイコン画像、DB画像などはプログラム上において生成しているが、これらの画像は、予め記憶部15、55などに記憶されていてもよい。
【0105】
[変形例7]
上述した実施形態においては、アイコン配置領域STに表示されるアイコン画像に対応する特徴量情報の内容は、ユーザが入力した指示に応じて決定していたが、ユーザは、アイコン画像の絵柄(またはカテゴリ)を選択することにより、この絵柄に対応するカテゴリの予め決められた代表値を特徴量情報として決定するようにしてもよい。
【0106】
[変形例8]
上述した実施形態において、DB指定データの内容は、ユーザがDB配置領域DTにDB画像を配置することにより決定されていたが、予め決められたアルゴリズムにしたがって、再生時刻範囲と特徴量DBの種類との関係を、制御部11が自動的に決定するようにしてもよい。
【0107】
[変形例9]
上述した実施形態において、DB指定データの内容として特徴量DBの種類の指定がされていない再生時刻範囲が存在する場合には、指定されていない再生時刻範囲においては、予め決められた特徴量DBの種類(全ての種類、一部の特定の種類など)が検索対象として指定されてもよいし、その範囲の直前に指定されていた種類を指定してもよい。
【0108】
[変形例10]
上述した実施形態においては、発音制御システム1は、通信回線1000を介して接続された情報処理端末10とサーバ装置50とにより構成されていたが、一体の装置として構成され、通信回線1000を介していない構成としてもよい。また、別体の装置であっても、情報処理端末10における各構成の一部がサーバ装置50の構成に含まれていてもよいし、逆に、サーバ装置50の各構成の一部が情報処理端末10の構成に含まれていてもよい。また、情報処理端末10の記憶部15に記憶されている各種情報、およびサーバ装置50の記憶部55に記憶されている各種情報は、発音制御システム1全体としていずれかの記憶部において記憶されていればよく、情報処理端末10およびサーバ装置50以外に、これらの情報の全部または一部を記憶する記憶装置が通信回線1000に接続されていてもよい。また、これらの情報は、通信回線1000に接続可能な他の情報処理端末10と共有することにより、他のユーザが使用できるようにしてもよい。
組み合わせとしては、例えば、特徴量DBはサーバ装置50の記憶部55に記憶されている一方、情報処理端末10において、記憶部15に切出DBが記憶され、特定部510の機能が実現されてもよい。さらには、検索プログラムおよび抽出プログラムの実行は情報処理端末10で実行してもよいし、情報処理端末10から得た情報をもとにサーバ装置50で実行するようにしてもよい。
【0109】
また、専用特化したシーケンサのハードウェアで構成してもよい。上記のDAWに適用した場合のMIDIシーケンサとの連携のみでよければ、上記シーケンスプログラム、テンプレートシーケンスプログラムをMIDIシーケンサに適用するようにしてもよい。
【0110】
ここで、情報処理端末10とサーバ装置50とが一体の装置として構成されている情報処理端末10Aとした場合について、図20、図21を用いて説明する。
【0111】
図20は、本発明の変形例10における情報処理端末10Aの構成を説明する図である。以下においては、実施形態における情報処理端末10と異なる構成(制御部11A、記憶部15A)について説明し、同じ構成(符号が共通している構成)については、説明を省略する。
記憶部15Aは、実施形態における記憶部15に記憶されていた内容に追加して記憶部55に記憶されていた内容が追加されたものである。
制御部11Aは、実施形態における制御部11および制御部51において別々に実行されていたプログラムを、共に実行する。共に実行されるプログラム、例えば、シーケンスプログラムと検索プログラムとは、同じプログラムとして統合されて、記憶部15Aに記憶されていてもよい。
制御部11Aがシーケンスプログラムおよび検索プログラムを実行することにより実現される機能について、図21を用いて説明する。
【0112】
図21は、本発明の変形例10における情報処理端末10Aの機能を説明する機能ブロック図である。図21に示すように、変形例10においては、実施形態において説明した図7に示す機能構成と異なる点は、発音制御部130Aと特定部510Aとが通信部を介さずに情報をやりとりする点である。この点以外については、実施形態において説明した内容と同様であるため、その説明を省略する。
【0113】
[変形例11]
テンプレートシーケンスプログラムにおける、トラックの数は4つに限定されない。それよりも少なくてもよいし多くてもよい。さらには、トラックの概念をなくし、無制限(=現実的にはシステムが許容できる最大量の)のトラック数にしてもよい。この場合、無数の特徴量データを時間軸に配置する形になり、それぞれ独立に類似音や特徴量パラメータ変更をすることができる。
【0114】
[変形例12]
上述した実施形態においては、特徴量DBのデータ範囲に応じて、適時切出DBから素材データを取得しているが、あらかじめ切出し済みの区間の素材データだけを保持しておいても良い。その場合、特徴量DBにデータ範囲の情報は不要である。
【0115】
[変形例13]
上述した実施形態においては、抽出された素材データの特徴量情報に対して類似度の高い素材データを特徴量DBを検索して特定する(ステップS260、図10参照)ようにしているが、類似度の高さに閾値を持たせてもよい。この閾値は、あまりに類似するものが抽出されても、元の音との変わり映えがしなくなるために、ユークリッド距離が閾値に
応じた所定量以上の素材データを特定するためのものでもよいし、あまりにかけ離れたものを抽出しないようにするためにユークリッド距離が所定量以内のものとするようにしてもよい。また、前述の両方の閾値を用いてもよい。また、閾値は、ユーザが設定できるようにしてもよい。
【0116】
[変形例14]
上述した実施形態および変形例4において、ユーザが抽出ウインドウの時間軸方向の長さを調整することができるようにしてもよいことを示したが、この調整において、より細かい調整が可能となるようにしてもよい。
【0117】
図22は、本発明の変形例14における類似音置換プログラム実行時の素材データの置換対象を指定する画面を説明する図である。図22は、変形例4において説明した図19において、ユーザが抽出ウインドウwr3に対して所定の操作(ダブルクリック操作など)をしたときにの表示内容を示している。図22に示すポップアップウインドウPW1は、ユーザの操作に応じて表示され、その内容が抽出ウインドウwr3に対応する波形を拡大したものとなっている。ユーザはポップアップウインドウPW1において波形の範囲を変更することにより、時間軸方向の長さを調整することができる。このとき、波形が拡大表示されているため、その長さの調整を細かく行うことができる。
このようなポップアップウインドウを表示させて行う時間軸方向の調整は、実施形態における図8の表示においても行うことができるようにしてもよい。
【0118】
図23は、本発明の変形例14におけるシーケンスプログラム実行時の表示画面の表示例を説明する図である。図23は、実施形態において説明した図8において、ユーザがアイコン画像s3に対して所定の操作(ダブルクリック操作など)をしたときにの表示内容を示している。図23に示すポップアップウインドウPW2は、ユーザの操作に応じて表示され、その内容がアイコン画像s3に対応する波形を拡大したものとなっている。ここで、アイコン画像s3に対応する波形とは、再生時にアイコン画像s3に対応して発音される音の波形である。ユーザはポップアップウインドウPW2において波形の範囲を変更することにより、時間軸方向の長さを調整することができる。
【0119】
[変形例15]
上述した実施形態において、DB配置領域DTには、特徴量DBの種類が対応付けられたDB画像が表示されていたが、特徴量DBの種類とその検索対象となる時刻の範囲とは別々に表示されていてもよい。
【0120】
図24は、本発明の変形例15におけるシーケンスプログラム実行時の表示画面の表示例を説明する図である。この例においては、DB配置領域DTは、指定される特徴量DBが各行に分割されて表示される。各行には、指定された特徴量DBが検索対象となる時刻の範囲を示すDB期間指定画像d1a、d2a、・・・が配置される。DB配置領域DTの左側には、各行に対応した特徴量DBの種類を指定するためのDB種類指定領域DMが表示されている。ユーザは、ポップアップメニューなどにより、各行に対応する特徴量DBの種類を変更できるようになっている。
【0121】
図24に示す例では、特徴量DBa、DBb、DBc指定され、例えば、特徴量DBaについては、DB期間指定画像d1aが指定する時刻の範囲において検索対象となる。図24における表示は、図8とは異なる表示であるが、特徴量DBの種類およびその検索対象となる時刻の範囲は同じである。
なお、DB種類指定領域DMの左側に表示されているチェックボックスCBにより、対応する行において指定された検索対象を有効とするか無効とするかを指定する事ができるようにしてもよい。このチェックボックスCBは、図8に示す表示において用いられてもよい。
【0122】
[変形例16]
上述した実施形態において、図8に示す表示におけるアイコン画像は、ユーザの指示に応じて決定された特徴量情報に応じて配置されていた。ユーザが特徴量情報を指示するときに、所望の特徴量情報を特徴量DBから検索するようにしてもよい。このときには、例えば、特開2011−163171号公報に開示された方法を用いればよい。また、このときの検索対象の特徴量DBの種類については、図24に示したチェックボックスCBにおいて指定された特徴量DBとしてもよい。なお、ユーザがこのようにアイコン画像に対応する特徴量情報を指示する場合には、図8に示す表示の一部に、特徴量情報の指示をするための表示を行うようにすればよい。また、アイコン画像に対して所定の操作(ダブルクリック操作など)をしたときにポップアップウインドウなどを表示させて、そのアイコン画像に対応する特徴量情報を指示できるようにしてもよい。
【0123】
[変形例17]
上述した実施形態での図8に示す表示において、特徴量DBの種類、およびその検索対象となる時刻の範囲については、ユーザが指定していたが、例えば、ユーザが所定の操作(ランダムボタンの操作など)をすることにより、予め決められたアルゴリズム(例えばランダム)に従って指定されるようにしてもよい。また、図8に示すように予め特徴量DBの種類、およびその検索対象となる時刻の範囲が決められている場合には、いずれかのDB画像を指定して、指定されたDB画像に対して予め決められたアルゴリズム(例えばランダム)に従って、特徴量DBの種類、時刻の範囲が変更されるようにしてもよい。さらには、データベースのランダム選択で、DB配置領域DT自体をアクティブ(特徴量DBを選択する機能が生きている状態)にして特徴量DBを選択可能にしたり、非アクティブ(特徴量DBを選択する機能が生きていない状態)にして特定の特徴量DBのみを適用したりすることもランダムに行えるようにしてもよい。さらには、DB配置領域DTにおいて選択されている特徴量DBをアクティブ(選択されている特徴量DBを検索対象とする状態)にしたり、非アクティブ(選択されている特徴量DBを検索対象としない状態)にしたりすることもランダムに行えるようにしてもよい。このとき、アクティブな特徴量DBに対応するDB画像は色つきのままとして、非アクティブな特徴量DBに対応するDB画像はグレーアウトするなど、表示が変更されている特徴量DBについてアクティブか非アクティブか認識できるようにするとよい。
【0124】
[変形例18]
上述した実施形態での図8に示す表示において、アイコン画像に該当する音がない場合には、アイコン画像をグレーアウトさせてもよい。該当する音がないとは、例えば、そのアイコン画像に対応する時刻を範囲とする特徴量DB(検索対象となる特徴量DB)が決められていない場合、アイコン画像に対応する特徴量情報に基づいて特定部510により特定される素材データが存在しない場合などがある。特定部510により特定される素材データが存在しないとは、例えば、アイコン画像に対応する特徴量情報に最も類似する素材データが、しきい値として予め決められた類似度よりも類似していない場合、またカテゴリにより検索対象が絞り込まれる構成であるときに検索対象の特徴量DBにそのカテゴリが含まれていない場合などがある。
【0125】
[変形例19]
上述した実施形態における各プログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、情報処理端末10またはサーバ装置50は、各プログラムをネットワーク経由でダウンロードしてもよい。
【0126】
[変形例20]
上述した実施形態におけるシーケンスプログラムで作成されるファイルとテンプレートシーケンスプログラムで作成されるファイルは、それぞれ別のファイルとして、不揮発性メモリに記憶されるようにしたが、ひとつの操作でシーケンスプログラムで作成されるファイルとテンプレートシーケンスで作成されるファイルを不揮発性メモリに記憶するようにしてもよい。そのとき、それぞれのファイルを拡張子を異ならせるなどして別ファイルとして、記憶するようにしてもよいし、ひとつのファイルにまとめて記憶するようにしてもよい。さらに、いずれのファイル名は、ユーザが指示する必要をなくし、曲名や日時等の情報から自動で指定されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1…発音制御システム、10,10A…情報処理端末、11,11A…制御部、12…操作部、121…タッチセンサ、122…操作ボタン、13…表示部、131…表示画面、14…通信部、15,15A…記憶部、16…音響処理部、161…スピーカ、162…マイクロフォン、50…サーバ装置、51…制御部、54…通信部、55…記憶部、100…筐体、110…表示制御部、120…設定部、130,130A…発音制御部、140…データ出力部、510,510A…特定部、1000…通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間軸が規定された配置領域を表示画面に表示させ、音素材の波形を示す素材データの特徴量を示す特徴量情報が対応付けられたアイコン画像を、入力される指示に応じて当該配置領域に表示させる表示制御手段と、
素材データと当該素材データの前記特徴量情報とを対応付けたデータベースの種類を、入力される指示に応じて前記配置領域の時間軸に沿って設定するデータベース設定手段と、
前記アイコン画像が表示された位置と前記時間軸において対応関係にあるデータベースを参照して前記アイコン画像と前記特徴量情報が特定の関係となる素材データを特定する特定手段に当該素材データを特定させ、当該アイコン画像の前記時間軸における位置に応じたタイミングおよび当該素材データに応じた発音内容を示す楽音データを出力する出力手段に当該楽音データを出力させる発音制御手段と
を具備することを特徴とする発音制御装置。
【請求項2】
前記配置領域は、前記素材データの加工内容を指定する指定値を示す指定座標軸がさらに規定され、
前記発音制御手段は、前記アイコン画像の前記指定座標軸における位置に応じて、当該アイコン画像から前記特定された素材データに応じた発音内容が変化するように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の発音制御装置。
【請求項3】
前記配置領域は、前記素材データを特定するための特定値を示す特定座標軸がさらに規定され、
前記特定の関係は、前記アイコン画像の前記特定座標軸における位置に基づいて決定される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発音制御装置。
【請求項4】
前記アイコン画像は、当該アイコン画像に対応付けられた特徴量情報に応じた絵柄の画像である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発音制御装置。
【請求項5】
前記配置領域は、前記特徴量情報を規定するための特徴量規定軸がさらに規定され、
前記表示制御手段は、前記配置領域のうち、前記アイコン画像に対応付けられた特徴量情報に対応する前記特徴量規定軸の位置に、当該アイコン画像を表示させる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発音制御装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、入力される指示に応じて、前記配置領域に表示された前記アイコン画像の前記時間軸に沿った方向の長さを変更し、
前記発音制御手段は、前記アイコン画像の長さに応じて、当該アイコン画像から前記特定された素材データに応じた発音内容が変化するように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の発音制御装置。
【請求項7】
前記アイコン画像は、前記特徴量情報が示す特徴量に応じて変化する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の発音制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の発音制御装置から、前記アイコン画像が表示された位置と前記時間軸において対応関係にあるデータベースの種類を示す種類情報および当該アイコン画像に対応付けられた特徴量情報を取得する取得手段と、
複数種類の前記データベースのうち、前記種類情報が示す種類のデータベースを参照して、当該種類情報とともに取得した前記特徴量情報と特定の関係となる素材データを特定する特定手段と、
前記特定された素材データを前記発音制御装置に出力する出力手段と
を具備することを特徴とする特定装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の発音制御装置と、
請求項8に記載の特定装置と
を具備することを特徴とする発音制御システム。
【請求項10】
コンピュータを、
時間軸が規定された配置領域を表示画面に表示させ、音素材の波形を示す素材データの特徴量を示す特徴量情報が対応付けられたアイコン画像を、入力される指示に応じて当該配置領域に表示させる表示制御手段と、
素材データと当該素材データの前記特徴量情報とを対応付けたデータベースの種類を、入力される指示に応じて前記配置領域の時間軸に沿って設定するデータベース設定手段と、
前記アイコン画像が表示された位置と前記時間軸において対応関係にあるデータベースを参照して前記アイコン画像と前記特徴量情報が特定の関係となる素材データを特定する特定手段に当該素材データを特定させ、当該アイコン画像の前記時間軸における位置に応じたタイミングおよび当該素材データに応じた発音内容を示す楽音データを出力する出力手段に当該楽音データを出力させる発音制御手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータを、
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の発音制御装置から、前記アイコン画像が表示された位置と前記時間軸において対応関係にあるデータベースの種類を示す種類情報および当該アイコン画像に対応付けられた特徴量情報を取得する取得手段と、
複数種類の前記データベースのうち、前記種類情報が示す種類のデータベースを参照して、当該種類情報とともに取得した前記特徴量情報と特定の関係となる素材データを特定する特定手段と、
前記特定された素材データを前記発音制御装置に出力する出力手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
時間軸が規定された配置領域を表示画面に表示させ、音素材の波形を示す素材データの特徴量を示す特徴量情報が対応付けられたアイコン画像を、入力される指示に応じて当該配置領域に表示させる表示制御手段、および素材データと当該素材データの前記特徴量情報とを対応付けたデータベースの種類を、入力される指示に応じて前記配置領域の時間軸に沿って設定するデータベース設定手段に対して、前記指示を入力するステップと、
前記アイコン画像が表示された位置と前記時間軸において対応関係にあるデータベースを参照して前記アイコン画像と前記特徴量情報が特定の関係となる素材データを特定するステップと、
前記アイコン画像の前記時間軸における位置に応じたタイミングおよび当該アイコン画像に対応して特定された前記素材データに応じた発音内容を示す楽音データを出力するステップと
を備えることを特徴とする発音制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−194525(P2012−194525A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242606(P2011−242606)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】