説明

皮下脂肪厚計

【課題】外部からの光が発光部及び受光部による皮下脂肪厚の測定に悪影響を及ぼすことを防止できて、精度良く皮下脂肪厚を測定できる皮下脂肪厚計を提供する。
【解決手段】扁平な装置本体3の裏面に被験者の被測定部位20の皮下脂肪厚を測定するための発光部15及び受光部16を備えた皮脂厚計測部12を設ける。装置本体3の表面に測定結果を表示する表示部10を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は腹部、大腿部、上腕部等の被測定部位の皮下脂肪厚を測定する皮下脂肪厚計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から例えば特許文献1等に示すような皮下脂肪厚計が知られており、このものは扁平な装置本体の側端面に被験者の被測定部位の皮下脂肪厚を測定するための皮脂厚計測部を設けてあり、また装置本体の表面には測定結果を表示する表示部を設けている。またこの特許文献1には皮下脂肪厚を計測する手段として光学式のものを採用することも記載されている。
【0003】
しかし特許文献1に示すような扁平な装置本体の側端面は表示部を設けた表面と比較して面積が狭く、このような面積の小さい装置本体の側端面に発光部や受光部を備えた光学式の皮脂厚計測部を設けた場合、被験者の被測定部位に皮脂厚計測部を十分に接触させることができず隙間が生じ、このため発光部から照射された光とは別に外乱となる外部からの光が受光部や被測定部位に侵入する等し、この外部からの光が発光部及び受光部による皮下脂肪厚の測定に悪影響を及ぼして精度の良い測定ができないという問題がある。
【特許文献1】特開2003−159227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、外部からの光が発光部及び受光部による皮下脂肪厚の測定に悪影響を及ぼすことを防止できて、精度良く皮下脂肪厚を測定できる皮下脂肪厚計を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る皮下脂肪厚計は、扁平な装置本体3の裏面に被験者の被測定部位20の皮下脂肪厚を測定するための発光部15及び受光部16を備えた皮脂厚計測部12を設け、該装置本体3の表面に測定結果を表示する表示部10を設けて成ることを特徴とする。このように扁平な装置本体3において、表示部10を設けた装置本体3の表面と同じく広い面積の装置本体3の裏面に被験者の被測定部位20の皮下脂肪厚を測定するための発光部15及び受光部16を備えた皮脂厚計測部12を設けたので、皮脂厚計測部12の被験者の被測定部位20に接触させる部位(実施例では接触面部13)の面積を大きくでき、これにより発光部15から照射された光とは別に外部からの光が受光部16や被測定部位20に侵入することを防止できる。
【0006】
また請求項2は請求項1において、装置本体3に被験者の体に接触させて生体インピーダンスを計測するための計測用電極9を設けて成ることを特徴とする。計測用電極9で被験者の生体インピーダンスを計測でき、該生体インピーダンスと皮下脂肪厚に基づいた体組成に関する測定結果を得られる。
【0007】
また請求項3は請求項1又は請求項2において、装置本体3は被験者によって把持される部分となる把持部8を備え、該把持部8は装置本体3の主体を構成する主体部22に対して移動可能に設けてあることを特徴とする。このように主体部22に対して移動可能に把持部8を設けることで、把持部8を主体部22に対して移動して持ち易い形態にするなどできる。
【0008】
また請求項4は請求項1乃至3のいずれか1項において、皮脂厚計測部12は装置本体3の主体を構成する主体部22に対して移動可能に設けてあることを特徴とする。このように主体部22に対して皮脂厚計測部12を移動可能に設けることで、皮脂厚計測部12を被測定部位20に当てやすい位置に配置する等できる。
【0009】
また請求項5は請求項1乃至4のいずれか1項において、表示部10は装置本体3の主体を構成する主体部22に対して移動可能に設けてあることを特徴とする。このように主体部22に対して表示部10を移動可能に設けることで、測定時に表示部10を被験者の見やすい位置に配置する等できる。
【0010】
また請求項6は請求項1乃至5のいずれか一項において、前記装置本体3の裏面に被測定部位20に接触させるための接触面部13を形成し、該接触面部13の中央部に突部30を設け、該突部30に発光部15及び受光部16を突部30の突端面から露出するように設けて成ることを特徴とする。このように接触面部13の中央部に突部30を設け、該突部30に発光部15及び受光部16を設けることで、突部30を接触面部13と共に被験者の被測定部位20に押し当てた際には、小さな力で突部30を被測定部位20に食い込ませることができて、突部30により発光部15からの光が外部に漏れたり、受光部16にノイズとなる外部からの光が入ったりすることを防止でき、皮下脂肪厚の測定の精度が良くなる。
【0011】
また請求項7は請求項1乃至6のいずれか一項において、前記装置本体3の裏面に被測定部位20に接触させるための接触面部13を形成し、該接触面部13に発光部15及び受光部16を設けると共に、接触面部13の周縁部全周に亘る環状の突起32を設けて成ることを特徴とする。このように接触面部13の周縁部に突起32を設けることで、接触面部13が被測定部位20の面に対して若干傾いた状態で押し当てられた場合にも、被測定部位20の外周部を突起32で全周に亘って押圧でき、これにより被測定部位20を均一な厚みで押圧できて皮下脂肪厚の測定の精度が良くなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、扁平な装置本体の最も広い表面及び裏面のうち、表面においては面積が大きく見やすい表示部を設けることができるのは勿論、加えてこの表示部と反対側の広い裏面においては、面積の大きい皮脂厚計測部を設けることができ、これにより光学式の皮脂厚計測部を構成する受光部や被測定部位に外部からの光が侵入することを防止できて、精度良く皮下脂肪厚を測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1に示す本実施形態の皮下脂肪厚計1は、装置本体3と、上に載った被験者の体重を計測するための体重計2とで構成されて体組成計をなすものであって、装置本体3は別体の体重計2と比べて小型である。体重計2と装置本体3は体重計2及び装置本体3間の通信を行う通信手段としてのケーブル4で接続しており、体重計2と装置本体3間での測定データや操作入力の通信はケーブル4を介して行う。なお収納の際に煩わしくないようにケーブル4に替えて自動巻取機構を備えたコードリールやカールコードを用いても良い。
【0014】
体重計2は、被験者が足を載せるための載置板5と、4隅に脚を備えた裏板11とで主体が構成されて全体として扁平な略矩形板状に形成されている。載置板5と裏板11は1又は複数の荷重センサを介して連結材により連結しており、この荷重センサと後述の制御部で体重測定手段を構成している。載置板5の上面部には体重計2側の計測用電極6として前部の両側に電流印加用電極6aを設けると共に後部の両側に電圧計測用電極6bを設けてあり、被験者は両足の足裏における足先側部分を対応する電流印加用電極6a上に載せると共に踵側部分を対応する電圧計測用電極6b上に載せた状態で載置板5上に載れるようになっている。また体重計2の載置板5の前端部には装置本体3を収納するための収納用段部7を左右方向に亘って設けてあり、収納用段部7には装置本体3を収納できるようになっている。なお装置本体3は嵌め込み等により体重計2に対して着脱自在となっている。
【0015】
装置本体3は全体として扁平な矩形板状、詳しくは長方形板状に形成してあり、長辺側の側端面にケーブル4の一端を接続している。装置本体3は長手方向の両側端部を把持部8とし、被験者はこの両側の把持部8を夫々の手で把持して両手で装置本体3を保持できるようになっている。各把持部8には装置本体3側の計測用電極9として、装置本体3の一方の長辺側の片側に電流印加用電極9aを設けると共に反対側に電圧計測用電極9bを設けてあり、これら装置本体3に設けた計測用電極9と体重計2に設けた計測用電極6と制御部で被験者の生体インピーダンスを計測するためのインピーダンス計測手段を構成している。
【0016】
上記扁平な装置本体3における厚み方向の両面(即ち装置本体3において最も面積の大きい2面)のうち、後述の表示部10を設けた片側の面が表面であり、反対側の面が裏面であるが、図2に示すように装置本体3の裏面側の中央部には被験者の被測定部位20の皮下脂肪厚を計測する皮脂厚計測部12を設けてあり、該皮脂厚計測部12と制御部で皮脂厚測定手段を構成している。
【0017】
皮脂厚測定手段としては光学式のものを採用する。皮脂厚測定手段を構成する皮脂厚計測部12は、装置本体3の裏面部の中央部分からなる接触面部13と、接触面部13に接触した被験者の被測定部位20に赤外線又は可視光線からなる光を照射する発光部15と、発光部15から照射されて被測定部位20に当たって反射した光を受光する受光部16とを備えている。受光部16は発光部15の近傍に位置している。具体的には、被験者の被測定部位20に面で接触することとなる接触面部13に1つの発光部15と複数(図示例では2つ)の受光部16を設け、発光部15と各受光部16の距離を皮下脂肪厚が0〜60mm程度の測定が可能となるように各受光部16を発光部15から約15〜45mm離れた位置に配置してあり、また発光部15として波長850nm付近の近赤外線を発するLEDを用いている。受光部16を複数設けたのは皮膚の色素の差を補正する等して精度の高い測定をするためである。なお上記接触面部13を反射率の低い黒色としても良く、この場合、皮下脂肪厚の測定時に外部からの光の影響を受けにくくできる。また接触面部13は平坦な面であっても良いし、被験者の被測定部位20に合わせて湾曲した弧状の曲面であっても良い。
【0018】
また図1に示すように装置本体3の表面側の中央部には計測結果や入力値等を表示するための表示部10を設けてあり、この装置本体3の表面側の表示部10と各把持部8の間の部分には、機器の操作や、身長、年齢、性別等の被験者の身体データの入力、表示切替等を行うための操作部21を設けている。
【0019】
また演算装置や記憶装置を有する制御部は体重計2に内装している。記憶装置は、体重計2の荷重センサや体重計2及び装置本体3の計測用電極6、9で計測した計測データ、年齢や性別毎に予め統計的手法によって導き出した複数の演算式、演算装置で演算した演算値等を記憶するものである。また演算装置は前記計測データ及び演算式に基づいて体組成に関する計測結果を算出するものである。
【0020】
上記皮下脂肪厚計1を用いて被験者の皮下脂肪厚を含む体組成に関する計測結果を得る場合は、例えば以下に示すように行う。
【0021】
まず図示しない電源スイッチをオンにして、入力装置を構成する操作部21により被験者の性別、年齢、身長等の身体データを入力する。入力が完了すると測定準備が完了し、被験者は床に載置した体重計2の載置板5上に各計測用電極6に足裏を接触させた状態で載ると共に、装置本体3の両把持部8を両手で把持した状態(即ち各計測用電極9に手を接触させた状態)で装置本体3を保持する。これにより荷重センサでは荷重を検出する。また装置本体3や体重計2に設けた電流印加用電極6a、9a間において所定の交流電流が流され、この時の特定の電圧計測用電極6b、9b間に発生する電圧が測定される。そしてこれら荷重センサや計測用電極6、9の測定値(出力値)は演算装置に入力され、体重と生体インピーダンスが求められる。ここで計測用電極6、9によって検出されるインピーダンス値としては、装置本体3の計測用電極9を利用して得られる被験者の両手間のインピーダンス値や体重計2の計測用電極6を利用して得られる被験者の両足間のインピーダンス値、また装置本体3の計測用電極9と体重計2の電圧計測用電極6bを利用して得られる手足間のインピーダンス値等が挙げられる。
【0022】
次に被験者は皮下脂肪厚測定手段により腹部、上腕部、大腿部等の被測定部位20の皮下脂肪厚を計測する。皮脂厚計測手段での計測は、把持部8を把持して図3の説明図に示すように装置本体3の接触面部13を被験者の被測定部位20に接触させた状態で、発光部15から光を照射すると共に受光部16で受光情報を検出し、この測定データから制御部が被測定部位20の皮下脂肪厚を求める。
【0023】
図3の17、18、19は夫々被測定部位20の表皮、皮下脂肪層、筋肉層を示し、同図に示すように発光部15から照射した光は皮下脂肪で散乱し、その内側の筋肉で吸収される。従って発光部15から出た光は皮下脂肪厚が薄い場合は皮膚の表面方向への拡散は少なく、つまり皮膚の表面に戻る光が少なくまた広がりも少ない。このため発光部15に届く光量は少なくなる。逆に皮下脂肪厚が厚い場合は発光部15から出た光の散乱が多くなり、皮膚の表面に戻る光も多くなりまた広がりも大きい。このため発光部15に届く光量は多くなる。つまり皮脂厚計測手段では発光部15から照射した光の反射を利用して皮下脂肪厚を測定できるようになっている。なお被験者の被測定部位20が異なると、例えば腹部においては外側から皮膚、皮下脂肪、筋肉、内臓脂肪、内臓があり、大腿部においては外側から皮膚、皮下脂肪、筋肉、骨があるといったように内部構成が異なる。従って被測定部位20毎に皮下脂肪厚を算出する演算式を変更できるようにすることが好ましい。
【0024】
ここで本発明では、扁平な装置本体3において、表示部10を設けた装置本体3の表面と同じく広くなった装置本体3の裏面に被験者の被測定部位20の皮下脂肪厚を測定するための発光部15及び受光部16を備えた皮脂厚計測部12を設けたので、皮脂厚計測部12において被験者の被測定部位20に接触させる部位となる接触面部13の面積を大きくでき、これにより発光部15から照射された光とは別に外乱となる外部からの光が受光部16に侵入することを防止できる。
【0025】
そして上記皮脂厚計測手段による計測が終了すると、制御部は入力された年齢、性別により、複数の演算式の中から演算する演算式を選択し、演算装置により測定した体重、インピーダンス値、入力した身長データを演算式に代入してBMI、体脂肪率や体脂肪量、内臓脂肪率、皮下脂肪率、筋肉量を演算し、これら測定結果と、前記体重と皮下脂肪厚の直接的な測定結果を表示部10に表示し、この測定後に電源スイッチを切る。なお測定結果としての内臓脂肪率や皮下脂肪率、筋肉量等は測定した皮下脂肪厚に基づいて補正したものであっても良い。
【0026】
また既述した装置本体3における把持部8、皮脂厚計測部12、表示部10を移動可能に設けても良い。
【0027】
図4に装置本体3を主体を構成する主体部22と把持部8で構成し、把持部8を主体部22に対して移動可能に設けた例を示す。この例では通信手段としてのケーブル4を設けた主体部22に皮脂厚計測部12、表示部10、操作部21を一体に設け、主体部22の両側の各把持部8の一端部(主体部の短辺方向における一端部)を主体部22に回動自在に連結し、これにより各把持部8を主体部22の長辺と平行な軸周りにおける任意の回動角度(向き)に変更できるようにしている。
【0028】
このように主体部22に対して移動可能に把持部8を設けることで、例えば図1のように装置本体3に対して把持部8を回動せずに平行としてコンパクトにした状態としたり、また図4のように腹部を測定する場合に両把持部8を主体部22に対して略垂直となるように回動して装置本体3を両手で持ち易い形態にしたり、また上腕部を測定する場合に一方の把持部8のみを装置本体3に対して略垂直に回動して装置本体3を片手で持ち易い形態としたりでき、またこれにより測定時には装置本体3の皮脂厚計測部12を対向する被測定部位20に容易に当接でき、また表示部10を被験者にとって見えやすい位置に配置できる。
【0029】
図5に装置本体3を主体を構成する主体部22と皮脂厚計測部12で構成し、皮脂厚計測部12を主体部22に対して移動可能に設けた例を示す。この例では通信手段としてのケーブル4を設けた主体部22に、把持部8、表示部10、操作部21を一体に設け、主体部22の裏面中央部に計測部用凹部23を形成し、該計測部用凹部23内に収納可能とした皮脂厚計測部12の一端部を主体部22の一方の長辺側の端部に回動自在に連結し、これにより皮脂厚計測部12を主体部22の長辺と平行な軸周りにおける任意の回動角度(向き)に変更できるようにしている。
【0030】
このように主体部22に対して移動可能に皮脂厚計測部12を設けることで、例えば装置本体3に対して皮脂厚計測部12を回動せずに平行としてコンパクトにした図1の状態としたり、また図5のように測定時に皮脂厚計測部12を主体部22に対して略垂直となるように回動して、片面に受光部16及び発光部15を設けた皮脂厚計測部12の向きを被測定部位20に当てやすい向きにしたりできる。なおこの皮脂厚計測部12を主体部22と平行にした状態では皮脂厚計測部12の片面は装置本体3の表面の一部を構成するものである。
【0031】
また図6に装置本体3を、主体を構成する主体部22と表示部10で構成し、表示部10を主体部22に対して移動可能に設けた例を示す。この例では通信手段(ケーブル4)を設けた主体部22に、把持部8、皮脂厚計測部12を一体に設け、主体部22の裏面中央部に表示部用凹部24を形成し、操作部21を一体に設けた表示部10を表示部用凹部24内に収納可能とし、該表示部10の一端部を主体部22の長辺側の端部に回動自在に連結し、これにより表示部10を主体部22の長辺と平行な軸周りにおける任意の回動角度(向き)に変更できるようにしている。
【0032】
このように主体部22に対して移動可能に表示部10を設けることで、例えば装置本体3に対して表示部10を回動せずに平行としてコンパクトにした図1の状態としたり、また図6のように測定時に表示部10を主体部22に対して略垂直となるように回動して表示部10の向きを被験者の見やすい向きにしたりできる。
【0033】
なお図4〜図6に示す把持部8、皮脂厚計測部12、表示部10は主体部22に対して回動するものだけに限られず、例えば主体部22に対してスライド移動するものや、主体部22に対してスライド移動及び回動するものなどであっても良く、即ち把持部8、皮脂厚計測部12、表示部10は主体部22に対して移動可能であれば良い。また上記図4〜6の実施形態ではユニット本体22に対して把持部8、皮脂厚計測部12、表示部10のいずれかのみ移動可能としたが、これらのうち2又3の部位をユニット本体22に対して移動可能にしても良い。
【0034】
また上記いずれの実施形態においても、図7に示すように略平坦な接触面部13の中央部に外面側に突となる突部30を設け、該突部30に発光部15及び受光部16を突部30の突端面から露出するように設けることが好ましい。
【0035】
図7の例では円形の接触面部13の中央部に接触面部13の径方向(詳しくは装置本体3の短辺方向)に長い直線状の突部30を設け、突部30に接触面部13の厚み方向に貫通する孔31を複数形成し、各孔31に基板25に設けた発光部15及び受光部16を収納し、これにより発光部15や受光部16を外面側から照射又は受光できるように露出している。従って発光部15から照射した光は各孔31から照射され各孔31に配した受光部16で受光される。また図7の例では円形の接触面部13の周縁部の全周に亘って外面側に突出する環状の突起32を設けている。なお突部30と突起32の突出長さは略同じで共に平坦な他の接触面部13から5mm程度突出している。また複数の受光部16のうち一つの受光部16は接触面部13の中央に位置している。
【0036】
このように突部30を設け、発光部15及び受光部16を突部30から露出するように配置することで、突部30を接触面部13と共に被験者の被測定部位20に押し当てた際には、小さな力で突部30を被測定部位20に食い込ませることができて、突部30により発光部15からの光が外部に漏れたり、受光部16にノイズとなる外部からの光が入ったりすることを防止でき、皮下脂肪厚の測定の精度が良くなる。
【0037】
また上記のように突部30に加えて、接触面部13の周縁部に突起32を設けることで、接触面部13が被測定部位20の面に対して若干傾いた状態で押し当てられた場合にも、被測定部位20の外周部を突起32で全周に亘って押圧でき、これにより被測定部位20を均一な厚みに押圧できて皮下脂肪厚の測定の精度が良くなる。なお上記図7に示す突起32を設けず、図9に示すように接触面部13から突部30のみを突出しても良い。
【0038】
また上記したいずれの実施形態においても、皮脂厚計測部12の接触面部13に所定の圧力が加わった際にのみ皮脂厚計測部12による皮下脂肪厚の計測を可能とする計測制限手段を設けることが好ましい。
【0039】
図8は計測制限手段を設けた例であり、この例では装置本体3の主体を構成する主体部22に対して皮脂厚計測部12を装置本体3の厚み方向において移動自在に設けている。皮脂厚計測部12は接触面部13で外面側が覆われた基板25を備えて、基板25に設けた発光部15及び受光部16は接触面部13を介して露出している。基板25にはスイッチ26を設けてあり、また主体部22のスイッチ26に対応する箇所にはスイッチ接触部27を設けている。ユニット本体22と皮脂厚計測部12の基板25はばね28により接続している。ばね28は皮脂厚計測部12に外力が加わっていない状態ではスイッチ接触部27がスイッチ26に接触しないように皮脂厚計測部12を支持しており、ばね28に抗して皮脂厚計測部12の接触面部13を一定の圧力以上の力で主体部22側に押し込むことでスイッチ接触部27がスイッチ26に接触するように設定してある。そしてスイッチ接触部27がスイッチ26に接触した状態で発光部15及び受光部16による皮下脂肪厚の測定を行うと共に、スイッチ接触部27がスイッチ26に接触しない状態では発光部15及び受光部16による皮下脂肪厚の測定を行わないように設定してある。つまり図8の例では、主体部22に対して移動可能に設けた皮脂厚計測部12、スイッチ26、スイッチ接触部27、ばね28等が計測制限手段を構成している。
【0040】
このように計測制限手段を設けることで、皮脂厚計測部12の接触面部13に所定の圧力が加わった際にのみ皮脂厚計測部12による皮下脂肪厚の計測を行うことができ、これにより被測定部位20の皮下脂肪厚を精度良く測定できる。つまり皮脂厚計測部12の接触面部13を被測定部位20に押し当てた時、その圧力が大きくなるにつれて脂肪層が圧縮されて脂肪層の厚みが薄くなり、この厚みはある値で略収束するのだが、ここで皮下脂肪の厚みが収束する時の圧力値を所定値として、該所定値以上の圧力でのみ接触面部13が押圧された場合にのみ測定を行えるようにすると、測定値が安定し、再現性も向上し、これにより精度良く測定できるのである。なお計測制限手段としては上記に限定されるものではなく、接触面部13にかかる圧力を測定する圧力センサを利用した計測制限手段であっても良い。また図8では図7の実施形態と同様に突部30及び突起32を設けたが、これら突部30及び突起32は設けなくても良い。さらには上記のように皮脂厚計測部12の接触面部13に所定の圧力が加わった際に測定可能であることを報知するランプやブザー等からなる報知手段を設けても良いし、またこの際、操作部21を操作することなく自動で皮下脂肪厚の測定を開始しても良い。
【0041】
なお上記いずれの実施形態においても、通信手段を有線のケーブル4としたが、体重計2と装置本体3の測定データとなる測定信号の授受ができれば通信手段は無線で通信を行う無線通信手段であっても良く、測定時に邪魔になるケーブル4等を設ける必要がない。また制御部は体重計2に設けたが、装置本体3に設けても良く、またこの場合、好ましくは主体部22に設けるのが良い。
【0042】
さらに上記図1〜9に示す皮下脂肪厚計1はいずれも装置本体3と体重計2を備えたものであるが、図10に示すように体重計2を設けずに皮下脂肪厚計1を装置本体3で構成しても良い。即ちこの場合、制御部は装置本体3に内蔵し、またインピーダンス計測手段は装置本体3に設けた計測用電極9と前記制御部で構成する。またこの装置本体3のみで皮下脂肪厚計1を構成した場合は、例えば操作部21により上記身体データに加えて体重も身体データとして入力できるようにして、上記実施形態と同じ測定結果を得られるものとしても良いし、また皮下脂肪厚やインピーダンス値のみが測定結果として得られるものとする等、適宜設計変形可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す皮下脂肪厚計の斜視図である。
【図2】同上の装置本体を裏面側から見た斜視図である。
【図3】光学式の皮脂厚測定手段の説明図である。
【図4】他例の皮下脂肪厚計の装置本体を裏面側から見た斜視図である。
【図5】更に他例の皮下脂肪厚計の装置本体を裏面側から見た斜視図である。
【図6】更に他例の皮下脂肪厚計の装置本体を表面側から見た斜視図である。
【図7】同上の装置本体の接触部付近の斜視図である。
【図8】更に他例の皮下脂肪厚計の装置本体の接触部付近の断面図である。
【図9】更に他例の皮下脂肪厚計の装置本体の接触部付近の斜視図である。
【図10】更に他例の皮下脂肪厚計を示し、(a)は表面側から見た斜視図であり、(b)は裏面側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 皮下脂肪厚計
3 装置本体
8 把持部
9 計測用電極
10 表示部
12 皮脂厚計測部
15 発光部
16 受光部
20 被測定部位
22 主体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平な装置本体の裏面に被験者の被測定部位の皮下脂肪厚を測定するための発光部及び受光部を備えた皮脂厚計測部を設け、該装置本体の表面に測定結果を表示する表示部を設けて成ることを特徴とする皮下脂肪厚計。
【請求項2】
装置本体に被験者の体に接触させて生体インピーダンスを計測するための計測用電極を設けて成ることを特徴とする請求項1に記載の皮下脂肪厚計。
【請求項3】
装置本体は被験者によって把持される部分となる把持部を備え、該把持部は装置本体の主体を構成する主体部に対して移動可能に設けてあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の皮下脂肪厚計。
【請求項4】
皮脂厚計測部は装置本体の主体を構成する主体部に対して移動可能に設けてあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の皮下脂肪厚計。
【請求項5】
表示部は装置本体の主体を構成する主体部に対して移動可能に設けてあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の皮下脂肪厚計。
【請求項6】
前記装置本体の裏面に被測定部位に接触させるための接触面部を形成し、該接触面部の中央部に突部を設け、該突部に発光部及び受光部を突部の突端面から露出するように設けて成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の皮下脂肪厚計。
【請求項7】
前記装置本体の裏面に被測定部位に接触させるための接触面部を形成し、該接触面部に発光部及び受光部を設けると共に、接触面部の周縁部全周に亘る環状の突起を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の皮下脂肪厚計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−330550(P2007−330550A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166579(P2006−166579)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】