説明

皮膚の炎症および変色のための方法ならびに組成物

本発明は、ヒトの皮膚の黒ずみおよび/または腫れ/炎症を治療するための方法ならびに化合物を提供する。組合せられた抗ヒスタミン化合物および非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)化合物は、患部の皮膚に局所的に適用されると、特に眼下の黒ずみ、腫れ、および腫脹を効果的に治療することが判明している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願の相互参照
本願は、2008年5月30日出願の米国仮特許出願第61/057700号、2008年8月13日出願の第61/088440号、2008年11月26日出願の第61/118191号、および2009年3月13日出願の第61/159984号の利益を主張する。これらの仮出願の各々の開示は、全体的にここに引用によって援用される。
【0002】
技術分野
本発明は概して、医療皮膚学、アレルギー、および化粧品の分野に関する。本願は、ヒトの眼の下に生じ得る隈および/または腫れ/炎症の美容的外観における改善をもたらす、局所的に適用される医学的治療用の組成物および方法について記載する。
【背景技術】
【0003】
大部分の人間は、人生において何度も眼の下または周りの皮膚の黒ずみを起こすことになる。これらの黒ずんだ領域(隈または「アレルギー性の黒あざ」としても知られ、ここではそのように称する)は、形状が円形またはいずれかの他の形状であり得る。一般的な原因は、限定はしないが、眼を擦り続けること、睡眠障害、アレルギー、アレルギー性および非アレルギー性(通年性)鼻炎、花粉症、湿疹、蒼白、加齢、脱水症、ならびに外傷を含む。黒ずみの出現周期は一定し得ないが、一部の人々、主に女性については、これらの黒ずんだ領域は比較的不変の特徴として残存し得る。
【0004】
眼下に出現する隈は、眼下の軟組織の静脈の血管拡張およびうっ血、ならびに皮下軟組織への血液、血液色素、および血液生成物の浸出を表わすと考えられている。この領域の皮膚は薄いため、うっ血した静脈が変色した領域として視認可能となり得る。また、後毛細血管細静脈の透過性の上昇または眼窩脂肪ヘルニア形成によって、眼下の軟組織の腫れが存在し得る。
【0005】
眼下の皮膚の腫れもしくは眼域の周りの腫脹は、隈とは無関係に、または隈と同時に起こり得る。腫れの一般的な原因は、限定はしないが、眼窩脂肪ヘルニア形成の有無に関わらず加齢、眼を擦り続けること、睡眠障害、アレルギー、アレルギー性および非アレルギー性(通年性)鼻炎、花粉症、湿疹、蒼白、脱水症、薬物反応、ならびに外傷を含み得る。眼の周りの腫れの程度は一定しないが、一旦起こると、自然に消散することは滅多にない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
眼下の黒ずみおよび腫れは特定の病的状態を引起すものではないが、美容的な懸念の元である。薬局、健康食品店、診療所、およびインターネットは、隈および眼下の腫れの美容的外観における改善を謳ったローション、クリーム、および他の組成物を提案している。その大部分は、隈を引起すと考えられている下にある血管を収縮させるために(プソイドエフェドリンおよび/またはカフェインなどの)血管収縮剤を含有する。他の薬剤は、毛細血管から眼下組織に血管外遊出する血液および血液生成物を吸収するように設計される。これらの薬剤は作用が限られており、局所的に適用されても、心臓の律動および/または血圧に悪影響を及ぼし得る神経伝達物質として機能し、何らかの全身的作用を生じさせ得る。全身的な吸収度によっては、神経学的作用などの他の作用も存在し得る。これが、先行技術の組成物の主な欠点である。したがって、眼の下および周りの黒ずみおよび腫脹を治療するのに有効であり、かつ従前の治療の負の特徴が無い組成物および方法が当該分野において強く必要とされている。特に、心臓の律動や血圧への影響、もしくは他の全身的作用を及ぼさないが、隈および/または眼下の腫れを軽減する治療が当該分野において必要とされている。このような治療は、好ましくは他の皮膚疾患(顔もしくは体の皮膚の発赤、腫れ、もしくは炎症)の利益にもなるか、または治療することになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって発明の実施形態は、抗ヒスタミン化合物と、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)化合物と、薬学的に許容可能な局所投薬のための媒体とを含有する局所用組成物を提供する。好ましい実施形態は、抗ヒスタミン化合物が、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、アゼラスチン、セチリジン、およびレボセチリジンからなる群から選択され、もっとも好ましくはフェキソフェナジンである、このような局所用組成物に関する。好ましい実施形態の局所用組成物は、約0.0001重量%〜約99重量%の抗ヒスタミン化合物、または約0.0001重量%〜約50重量%、約0.001重量%〜約10重量%、約0.01重量%〜約5重量%、約0.1重量%〜約3重量%、約0.5重量%〜約2重量%、または約1重量%の抗ヒスタミン化合物を含有する。
【0008】
好ましい局所用組成物は、イブプロフェン、アスピリン、アンピロン、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、ドロキシカム、インドメタシン、リコフェロン、メフェナム酸、ナプロキセン、ニメスリド、フェニルブタゾン、プロイカム(proicam)、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、オメガ−3脂肪酸、およびこれらのいずれかの組合せからなる群から選択されるNSAID化合物を含有する。NSAID化合物がイブプロフェンである局所用組成物がもっとも好ましい。好ましい実施形態の局所用組成物は、約0.0001重量%〜約99重量%のNSAID化合物、または約0.0001重量%〜約50重量%、約0.001重量%〜約10重量%、約0.01重量%〜約5重量%、約0.1重量%〜約3重量%、約0.5重量%〜約2重量%、または約1重量%のNSAID化合物を含有する。
【0009】
最も好ましい組成物は、フェキソフェナジンおよびイブプロフェンを含有する。
発明の実施形態は、それを必要としているヒトの皮膚の腫れ、腫脹、発赤、黒ずみ、または炎症を治療する方法も含み、当該方法は、上記の局所用組成物を、いずれかの患部の皮膚および眼域を含む当該皮膚に局所的に適用することを含む。
【0010】
このような方法は、概して、約1〜2または1〜10平方インチの皮膚領域当たり約0.0001cc〜約1ccの局所用組成物、または約0.0001cc〜約1cc、約0.001cc〜約0.5cc、約0.001cc〜約0.5cc、約0.01cc〜約0.3cc、約0.01cc〜約0.3cc、約0.1cc〜約0.2cc、または約0.1cc〜約0.2ccの局所用組成物を、同じ皮膚領域に適用することを伴う。
【0011】
特に一実施形態は、それを必要としているヒトの眼の下または周りの皮膚の黒ずみを治療する方法に関し、当該方法は、ここに記載される局所用組成物を患部の皮膚に局所的に適用することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施形態の詳細な説明
ヒスタミン、(2−(4−イミダゾリル)−エチル−アミン;4−アミノエチルグリオキサリン)は、大部分の体組織に存在するが、肺、皮膚、および消化管において濃度が高い二塩基性血管活性アミンである。ヒスタミンは、肥満細胞および好塩基球に蓄えられている。細胞内の顆粒中のマクロヘパリンによるイオン力は、ヒスタミンを引き止める。IgEのFc断片と結合する表面受容体によって肥満細胞および好塩基球の表面に結合したIgEと、アレルゲンとが相互作用することで、これらの細胞の脱顆粒が起こり、とりわけヒスタミン、ロイコトリエン、サブスタンスP、インターロイキン、ブラジキニン、およびカリクレインなどのメディエーターが放出される。ヒスタミンの主な生理的作用は、胃液分泌の刺激、大部分の平滑筋の収縮、心臓刺激、血管拡張、および血管透過性の上昇を含む。皮内注射されると、ヒスタミンは、血管拡張、膨疹、および紅斑を引起す。小細動脈および前毛細血管括約筋の血管拡張は発赤を引起し、後毛細血管静脈の透過性の上昇は膨疹を引起す。ヒスタミンは、血管拡張メディエーターの放出も誘起し、したがって紅斑を生じさせる。
【0013】
ヒスタミンは、内皮細胞にプロスタグランジンおよび一酸化窒素を含む血管平滑筋弛緩物質を合成させて、それによって血管拡張が引起される。ヒスタミンは、毛細血管透過性を上昇させる。血管透過性の上昇によって、流体が毛細血管から組織に流出し、それによってアレルギー反応の古典的症状、鼻水および涙目が引起される。ヒスタミンH1拮抗薬は急性炎症にはあまり効果はないものの、急性炎症反応の主なメディエーターであると考えられている。ヒスタミンは、血管拡張、浮腫、血管透過性の上昇、および平滑筋収縮を含む、炎症ならびに過敏症の作用の多くを生じさせる。H2受容体に作用することで、ヒスタミンは心拍数および心拍出量を増大させ、胃酸分泌を刺激する。
【0014】
1937年に、BovetおよびStaubが最初のH1受容体拮抗薬を発見した。抗ヒスタミン薬は、神経、血管平滑筋、腺細胞、内皮、および肥満細胞上のヒスタミン受容体へのヒスタミンの結合を遮ることによって、ヒスタミン誘発性の膨疹および紅班反応を抑制する。抗ヒスタミン薬は、H1受容体に対して効果的にヒスタミンとの競合的な拮抗作用を発揮する。広く使用されているものの、鎮静および動作障害などの主な中枢神経系の有害な作用ならびにそれらの抗コリン作用は、広範な有用性とともに問題点ももたらしている。
【0015】
抗ヒスタミン薬は、第1世代の中枢作用性H1受容体拮抗薬(ジフェンヒドラミンなど)と、より新しい第2世代の非鎮静H1遮断薬(たとえばフェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、アゼラスチン、セチリジン、およびレボセチリジン)とを含む広範な種別の薬理作用剤である。シメチジンなどの他の抗ヒスタミン剤は主にH2受容体に効き、胃酸分泌の阻害を引起す。他の試験的な抗ヒスタミン薬は、シナプス前H3受容体およびシナプス前H4受容体に作用する。
【0016】
とりわけフェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、アゼラスチン、セチリジン、およびレボセチリジンなどの第2世代抗ヒスタミン薬は、末梢選択性H1受容体拮抗薬である。これらは、第1世代抗ヒスタミン薬よりも、はるかに選択的に末梢H1受容体に結合し、かつコリン受容体およびアルファアドレナリン受容体との結合親和性が低い。また、疎油性であり、したがって血液脳関門を容易には通過せず、ゆえに鎮静状態をそれほど引起さない。これらの第2世代抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応の治療として普及している。なぜなら、末梢ヒスタミン受容体部位に対する特異性によって、多くの有害な副作用が減少または除去されるからである。全身性抗ヒスタミン薬は、全身的に(経口で)摂取されるかまたは単体で局所的に使用されると、眼下の隈を改善しない。
【0017】
NSAID化合物の大部分は、シクロオキシゲナーゼ(COX)の阻害によって機能し、ゆえにプロスタグランジン合成を阻害すると考えられている。イブプロフェン、2−[4−(2−メチルプロピル)フェニル]プロパン酸は、鎮痛または解熱作用も示す非選択的非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)である。イブプロフェンは、軽から中程度の痛みまたは熱の対症療法において、抗炎症および鎮痛作用のために経口で使用される。
【0018】
イブプロフェンの鎮痛、解熱、および抗炎症作用は主にCOX−2阻害によって実現されると考えられているものの、イブプロフェンは、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)およびシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の両方を阻害する。COX−1阻害は、血小板凝集と胃腸粘膜とに対するイブプロフェンの望ましくない副作用(たとえば胃炎、潰瘍、および/または出血)に関与すると考えられている。COX酵素において作用する他のNSAID組成物は、たとえばイブプロフェン、アスピリン、アンピロン、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、ドロキシカム、インドメタシン、リコフェロン、メフェナム酸、ナプロキセン、ニメスリド、フェニルブタゾン、プロイカム、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、オメガ−3脂肪酸、およびこれらのいずれかの組合せを含む。非特異性のNSAID化合物およびCOX−2阻害薬が一般に好まれるものの、COX−1、COX−2、COX−3もしくはこれらのいずれかの組合せを阻害するいずれかのNSAIDまたは他の化合物と、一般に抗炎症化合物とが本発明の一部として使用されることが意図される。
【0019】
眼の下の皮膚の黒ずんだ領域およびそれに伴う腫れは、血管拡張および毛細血管透過性の変化によって引起され得る。(単体の、または黒ずんだ領域を伴った)眼の下の腫れは、後毛細血管細静脈からの組織液の血管外遊出または眼窩脂肪ヘルニア形成によって引起され得る。ヒスタミンは血管拡張および毛細血管透過性を促進するが、プロスタグランジンは促進しない。したがって、NSAID化合物は眼域の黒ずみに有利に影響するとは期待されなかったであろう。全身性NSAIDおよび局所的単独療法でのNSAIDは、眼下の隈または皮膚の腫れを改善しない。さらに、イブプロフェンは血圧を上昇させる傾向があり、当該領域への血流を増大させ、ゆえに眼下の隈または腫れを改善しないと想定されていたであろう。一部の抗ヒスタミン薬剤は、著しい抗コリン作用およびアルファアドレナリン作用を有し、したがって皮膚の紅潮を引起し、眼域の黒ずみまたは炎症を減少させるのに役立たなかったであろう。
【0020】
それにもかかわらず、1つ以上の抗ヒスタミン薬と、NSAIDなどの抗炎症化合物との組合せは、局所的に適用されると眼下に生じる隈および腫れの外観における改善を驚異的に促進する。H1ヒスタミン拮抗薬もしくは遮断薬(抗ヒスタミン薬)が好ましいものの、いずれかのH1、H2、H3、H4(またはこれらのいずれかの組合せ)の抗ヒスタミン組成物が本発明で使用されることが意図される。いわゆる「第2世代」H1抗ヒスタミン薬が最も好ましい。
【0021】
発明の組成物において有用な抗ヒスタミン化合物は、いずれかのH1受容体阻害化合物を含み、したがってここで使用される用語「抗ヒスタミン薬」は、いずれかのこのような化合物を含む。「第1世代」H1抗ヒスタミン薬の具体例は、限定はしないが、アクリバスチン、ブロムフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ドキシラミン、ヒドロキシジン、フェニラミン、およびプロメタジンを含む。好ましい「第2世代」H1抗ヒスタミン薬の具体例は、限定はしないが、アゼラスチン、セチリジン、デスロラチジン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、ロラチジン、およびオロパタジンを含む。有用な化合物は、抗ヒスタミン薬の7つの構造的分類(アルキルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、フェノチアジン、ピペリジン、ピペラジン、またはノルピペリジン、イミダゾアゼピン)のうちいずれかに含まれるものであり得る。好ましい抗ヒスタミン化合物は、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、アゼラスチン、セチリジン、およびレボセチリジンである。
【0022】
本発明で使用されることが意図されるNSAID化合物は、サリチル酸エステル、アリールアルカン酸NSAID、アリールプロピオン酸NSAID、N−アリールアントラニル(フェナム)酸NSAID、ピラゾリジン誘導体NSAID、オキシカムNSAID化合物、選択的COX−2阻害薬、スルホンアミリド(sulphonamilide)NSAID化合物、および5−LOX/COX阻害薬などの他の化合物を含む。ここで使用される用語NSAIDは、したがっていずれかの非ステロイド性抗炎症薬またはCOX(COX−1、COX−2もしくはCOX−3)阻害化合物を指す。好適な化合物の非限定的な例は、アセチルサリチル酸(アスピリン)、アンピロン、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、ドロキシカム、イブプロフェン、インドメタシン、リコフェロン、メフェナム酸、ナプロキセン、ニメスリド、オメガ−3脂肪酸、フェニルブタゾン、プロイカム、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、またはこれらのいずれかの組合せである。
【0023】
非ステロイド性抗炎症化合物に加えて、ステロイド性抗炎症化合物および/またはロイコトリエン遮断薬も発明の組成物に任意に含まれ得る。たとえば、ステロイド(グルココルチコイド、鉱質コルチコイド、および副腎性コルチコイドを含む)は、限定はしないが、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、シクレソニド、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、フルドロコルチゾン、DOCA、アルドステロン、エストロゲン、アンドロゲン、およびプロゲステロンを含む。好適なロイコトリエン遮断薬は、限定はしないが、モノロイカスト(monoleukast)、ジロートン、およびザフィルルカストを含む。同様に発明の組成物において使用され得る他の化合物は、ビタミンK、ビタミンC、ブドウ種子油、カフェイン、プソイドエフェドリン、エフェドリン、局所漂白剤、ステロイド、アルカノールアミン、ハイレクシン(登録商標)、レチノール、およびテトラペプチドである。
【0024】
第2世代抗ヒスタミン薬は、第1世代抗ヒスタミン薬ほど抗コリン作用およびアルファアドレナリン作用を有さず、血管拡張を引起こしにくく、毛細血管透過性を低下させる。したがって、これらの化合物が好ましい。イブプロフェンは、プロスタグランジン合成を妨げるCOX−1およびCOX−2阻害の両方を有し、血管拡張および毛細血管透過性の発生を低減する。イブプロフェンは細動脈の緊張も増大させ、血圧の上昇に繋がり得る。第2世代抗ヒスタミン薬の減少したアルファアドレナリン作用によって、イブプロフェンによって引起される血圧上昇が低減し、その結果当該領域への血流が減少し、静脈怒張が減少する。特定の理論に縛られることを望むものではないが、これらの要因は、抗ヒスタミン薬およびNSAIDを組合せて使用した場合に、眼下の黒ずみおよび腫れに対して優れた効果をもたらすと考えられる。好ましい発明の製品は、したがって、抗ヒスタミン薬、好ましくは第2世代抗ヒスタミン薬をNSAID、好ましくはイブプロフェンと組合せる。媒体は、好ましくは水溶性であるか、またはエマルジョンであって、眼域の皮膚と適合性を有する。媒体は、医学的に試験されたものであって、眼または皮膚の刺激を引起さないことが好ましい。
【0025】
発明の組成物は、また若々しい外観を促進する成分を含む、皮膚の鎮静または皮膚の健康状態を促進し得る追加的な成分も任意に含んでもよい。このような任意の成分は、アロエもしくは緑茶などの植物の抽出物、ビタミンおよび抗酸化剤、たとえばビタミンC、ビタミンAもしくはレチノール、ビタミンE、ビタミンK、収れん薬、ヒアルロン酸、オメガ−3脂肪酸、日焼け止め、ブドウ種子油、カフェイン、プソイドエフェドリン、エフェドリン、局所漂白剤、アルカノールアミン、ハイレクシン(登録商標)、および/またはテトラペプチドを含み得る。当該組成物は、ステロイドおよび/またはロイコトリエン遮断薬も含んでもよい。また、皮膚中への、および/または皮膚を通過しての活性成分の浸透を補助する成分も、発明の組成物に任意に含めてもよい。
【0026】
抗ヒスタミン薬およびNSAIDまたは他の任意の活性化合物のための媒体もしくは担体は、刺激、発赤、炎症、もしくは黒ずみが生じた顔または体の皮膚への、特に瞼、眉毛領域、および眼下領域のあたりの皮膚への活性化合物の局所的送達に好適な、いずれかの賦形剤もしくは賦形剤の組合せであればよい。好ましい媒体はしたがって、植物または鉱物油、ローション、クリーム、ミルク、ゲル、水溶液、エマルジョン、軟膏、リニメント剤、滑材、摩擦、香油、膏薬、漿液、懸濁液、粉末、リポソーム、およびいずれかの他の好適な局所的配合物を含む。
【0027】
好ましい媒体は水溶性であり、医学的に試験されたものであり、眼または皮膚の刺激を引起さない。これらの媒体およびそれらを用いて作製された組成物は、指または好適な棒もしくは綿棒を用いて適用するように設計されてもよいし、正確なもしくは適切な量の製品を送達するために、ブラシ、ふきん、綿棒、ローラ、スプレー、ペン、ポンプなどによって適用するように容器内に設けられてもよい。当該組成物は、上記のいずれかの好都合な方法で適用し得る。もっとも一般的には、当該組成物は、液体、半液体、またはゲル配合物に配合される。このような場合、当該組成物を、皮膚たとえば眼下領域に適用して、第4の(薬)指で皮膚に丁寧に馴染ませる。代替的に、当該組成物は、塗布器を用いて適用してもよい。発明の組成物は、色素および着色剤、隈を一時的に隠すための美容ティント剤もしくは顔料、香水もしくは香料、湿潤剤、皮膚軟化剤、乳化剤および界面活性剤、pH調節剤、結合剤、増粘剤、および/または防腐剤などの不活性成分も含有してもよい。
【0028】
発明の組成物の主な使用法は、眼域の腫脹および隈を減少させることであるが、発明の組成物は、顔の他の領域もしくはいずれかの体の領域を含む、抗炎症活動が望まれる皮膚のいずれかの領域の、いずれかの原因による炎症および腫れを治療するのに使用することもできる。たとえば、当該組成物は、打撲傷、昆虫刺傷、アレルギー性膨疹、日焼けなど、または皮膚の炎症が生じているところにはどこにでも使用することができる。また、当該組成物は、レーザ治療、電気分解法、脱毛、剥離(ケミカルピールなど)、注射、ピアス、または刺青などの美容的処置後の皮膚の領域に適用して、腫れおよび炎症を低減し、回復を早めることができる。
【0029】
発明の組成物のための抗ヒスタミン化合物の適切な濃度は、好適な媒体中、約0.0001重量%〜約99重量%、または約0.0001重量%〜約50重量%の抗ヒスタミン化合物である。好ましくは、当該組成物は、約0.001重量%〜約10重量%の抗ヒスタミン薬、または約0.01重量%〜約5重量%の抗ヒスタミン薬を含有する。もっとも好ましい組成物は、約0.1重量%〜約3重量%、または約0.5重量%〜約2重量%、または1重量%の抗ヒスタミン化合物を含有する。これらの比率濃度は、組成物1cc当たり0.0001mgの抗ヒスタミン薬〜組成物1cc当たり約25mgの抗ヒスタミン薬、または当該組成物1cc当たり0.001〜約10、約0.01〜約5、約0.1〜約3、約0.5〜約2、または約1mgの抗ヒスタミン薬とおおよそ同等である。
【0030】
発明の組成物は、NSAIDも含有する。このようなNSAIDは、好ましくは、好適な媒体中、約0.0001重量%〜約99重量%のNSAID化合物、または約0.0001重量%〜約50重量%のNSAIDの範囲の濃度で存在する。好ましくは、当該組成物は、約0.001重量%〜約10重量%のNSAID、または約0.01重量%〜約5重量%のNSAIDを含有する。もっとも好ましい組成物は、約0.1重量%〜約3重量%、または約0.5重量%〜約2重量%、または約1重量%のNSAID化合物を含有する。組合された活性薬剤(抗ヒスタミン薬およびNSAID)の濃度は、したがって、各々について好ましい濃度は1〜2%であるものの、0.0002%〜実質的に100%の範囲であり得る。有用な比率濃度は、組成物1cc当たり0.0001mgのNSAID〜組成物1cc当たり約25mgのNSAID、または組成物1cc当たり約0.001〜約10、約0.01〜約5、約0.1〜約3、約0.5〜約2、または約1mgのNSAIDとおおよそ同等である。ステロイド化合物の望ましい濃度は、使用1回当たり、約0.0001mg〜約10mg、好ましくは約0.01mg〜約0.1mgのステロイド化合物の投与量を供給するためには、約0.01重量%〜約50重量%、好ましくは約1%〜約10%である。これらの同じ濃度範囲は、ロイコトリエン遮断薬化合物にも好適である。
【0031】
製品を使用する好ましい方法は、約0.0001cc〜約1ccの量の組成物を約1〜2または1〜10平方インチの領域に、たとえば皮膚の各眼下領域または眼域に、毎月少なくとも1もしくは2回〜1日当たり6回まで適用することを含む。週1回、1日1回、または必要が生じた場合の継続的使用などの投与スケジュールは、いずれも意図され、本発明の範囲内である。好ましくは、ここに記載される組成物は、皮膚表面の各平方インチ当たり約0.01〜約1cc、または最も好ましくは約0.1〜約0.2ccを用いて、1日当たり約2回、皮膚に適用される。本発明の局所用製剤は安全に使用でき、非刺激性であるため、使用される正確な量は決定的なものではない。したがって、これらの提示された範囲外の投与計画も使用上、意図されている。
【0032】
眼域の黒ずみおよび腫れの改良のための発明の組成物の有効性を試験するように設計された研究において、不活性媒体に溶解させた1%のフェキソフェナジンと1%のイブプロフェンとを含有する組成物を、59名の患者の眼下領域に局所的に適用された。実施例を参照のこと。この治療は、媒体のみと比較して、すべての患者の外観において統計的に著しい改善をもたらした。さらに、他の研究において、1%のフェキソフェナジンと1%のイブプロフェンとを含有する製品は、局所的に適用した場合、いずれかの薬剤の一方のみよりも、隈および眼下の腫れを減少させるのにより効果的であった。第3の研究によれば、2つの薬剤を組合せて全身的に(経口で)送達することと比較して、発明の組成物(1%のフェキソフェナジンおよび1%のイブプロフェン)を局所的に適用すると、隈および眼下領域の腫れの外観において統計的に著しい改善がもたらされることが判明した。したがって、発明の組成物は、経口で送達される比較組成物よりも効果的であり、局所適用されるいずれかの活性化合物の一方のみよりも効果的であることがわかった。
【実施例】
【0033】
実施例1. 局所用製剤の二重盲検プラセボ対照臨床試験
本実施例で「試験物質」と称される発明の組成物の一実施形態は、市販のアイクリームであるキールズ(登録商標)の商標Eye Alert(R)の媒体に、1%の2−[4−(2−メチルプロピル)フェニル]プロパン酸およびフェキソフェナジンを含有していた。この組成物は無菌的に調製された。試験物質および媒体のみを、番号を付け、目隠しをし、所定の位置に安全キャップを有する注入器に配置した。
【0034】
ヒトにおける二重盲検プラセボ対照試験において、18歳以上の男性および女性の患者59名は、インフォームドコンセントが得られた後、皮膚の眼下領域に局所的に適用するために、試験物質(発明の組成物)または媒体のみ(対照)のいずれかを受取った。各患者は、各側に適用するための清潔な綿を先端に取付けた塗布器を用いて、一方側に試験物質を、他方側に媒体を適用した。したがって各患者が自分自身の対照となった。患者は、クリームを1日2回適用する方法についての指示とともに、一方は媒体(対照)を有し、他方は試験物質を含有する2本の注入器を受取った。治療前の写真を撮影した。
【0035】
1週間後および2週間後、すべての患者が自己評価を完了した。次いで目隠しをした治験医師が、2つの側の間の臨床的改善および相違の観点から患者を格付けした。残存している試験物質の量が計量され、第1週の終わりに返却され、第2週の終わりに計量され、収集された。患者は、1週間治療を中止した後(第3週の終わり)に再び戻り、写真撮影し、自己評価を完了した。同じ目隠しをした治験医師が、臨床的結果の観点から患者を記録した。
【0036】
患者は、4週間、1日2回(来診1〜5の間を通して)、顔の一方側は活性薬剤、顔の他方側はプラセボ(媒体のみ)による治療を受けた。患者および治験医師は、どちら側がどの配合物で治療されているかわからない状態であった。毎週の治療時の来診(来診2〜5)および治療を中止した2週間の来診(来診6)の時、患者自身および治験医師の両方が、2つの側の間の臨床的改善または悪化および相違の観点から患者を格付けした。各来診の際に患者を写真撮影した。試験物質は、服薬率を保証するために計量した。
【0037】
すべての患者は、媒体のみの側に対して、試験物質の側において眼下領域の腫れおよび黒ずみにおける著しい改善を報告した。治験医師はこれらの評価に同意した。有害な事象はなかった。
【0038】
実施例2. ヒトにおける局所的併合療法と比較した経口併合療法の有効性
インフォームドコンセントが得られた後、18歳以上の7人の女性が1週間毎日2回摂取するように、100mgのイブプロフェンおよび60mgのフェキソフェナジンの経口用薬物を受取った。薬物は、投与ミスの可能性を小さくし、服薬率を高めるために、ブリスター包装で手渡された。経口用薬物のためのブリスター包装は、第1週の終わりに返却された。そのとき、当該女性は、清潔な綿を先端に取付けた塗布器を用いて1日2回眼の下の各側に適用するように、安定な市販のアイクリームに溶解させた1%のフェキソフェナジンと1%のイブプロフェンとを含有する局所治療用組成物を受取った。各塗布器は、1回のみ、かつ一方の側にのみ使用されることになっていた。患者は、第2週の終わりに、試験物質を計量するために局所治療用組成物を返却した。すべての患者の眼窩周囲領域の写真が、参加時、第1週の終わり、および第2週の終わりに撮影された。経口のためのフェキソフェナジンおよびイブプロフェンの組合せは眼下領域の腫れまたは黒ずみにおける改善をもたらさなかったが、早くも局所的療法を開始した後3日目に、すべての患者の腫れおよび黒ずみの外観において著しい改善が見られた。
【0039】
実施例3. ヒトにおける局所的併合療法と比較した局所的単一薬剤療法の有効性
インフォームドコンセントが得られた後、18歳以上の6人の女性患者が、不活性アイクリーム中に1%のフェキソフェナジンおよび1%のイブプロフェンを含有する本発明の実施形態に係る組成物と、媒体プラス1%のフェキソフェナジンまたは媒体プラス1%のイブプロフェンを含有する対照組成物を受取った。患者は、別個の清潔な綿を先端に取付けた塗布器によって、顔の各一方の側の眼下領域に局所的に、清潔な綿を先端に取付けた塗布器によって製品をそれぞれ適用するように指示された。
【0040】
第1週の間、患者は組合せた製品を一方の側に、他方の側にフェキソフェナジンのみまたはイブプロフェンのみのいずれか(週毎に無作為に選択される)を適用した。第2週の間、組合せた製品による治療が顔の同じ側において継続され、他方の側は、一方の化合物のみから他方(すなわち、フェキソフェナジンからイブプロフェン、またはイブプロフェンからフェキソフェナジン)に切換えられた。写真撮影および患者の満足度調査が、参加時、第1週の終わり、および第2週の終わりに行われた。局所用抗ヒスタミン薬のみ、および局所用イブプロフェンのみでは眼下の腫れおよび黒ずみは改善しなかったが、本発明の実施形態に係る1%のフェキソフェナジンおよび1%のイブプロフェンの組合せは、眼下の腫れおよび黒ずみに著しい改善をもたらした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗ヒスタミン化合物と、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)化合物と、薬学的に許容可能な局所投薬のための媒体とを含有する、局所用組成物。
【請求項2】
前記抗ヒスタミン化合物が、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、アゼラスチン、セチリジン、およびレボセチリジンからなる群から選択される、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項3】
前記抗ヒスタミン化合物がフェキソフェナジンである、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項3】
約0.0001重量%〜約99重量%の前記抗ヒスタミン化合物を含有する、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項4】
約0.0001重量%〜約50重量%の前記抗ヒスタミン化合物を含有する、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項5】
約0.001重量%〜約10重量%の前記抗ヒスタミン化合物を含有する、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項6】
約0.01重量%〜約5重量%の前記抗ヒスタミン化合物を含有する、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項7】
約0.1重量%〜約3重量%の前記抗ヒスタミン化合物を含有する、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項8】
約0.5重量%〜約2重量%の前記抗ヒスタミン化合物を含有する、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項9】
約1重量%の前記抗ヒスタミン化合物を含有する、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項10】
前記NSAID化合物が、イブプロフェン、アスピリン、アンピロン、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、ドロキシカム、インドメタシン、リコフェロン、メフェナム酸、ナプロキセン、ニメスリド、フェニルブタゾン、プロイカム、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、オメガ−3脂肪酸、およびこれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項11】
前記NSAID化合物がイブプロフェンである、請求項10に記載の局所用組成物。
【請求項12】
約0.0001重量%〜約99重量%の前記NSAID化合物を含有する、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項13】
約0.0001重量%〜約50重量%の前記NSAID化合物を含有する、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項14】
約0.001重量%〜約10重量%の前記NSAID化合物を含有する、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項15】
約0.01重量%〜約5重量%の前記NSAID化合物を含有する、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項16】
約0.1重量%〜約3重量%の前記NSAID化合物を含有する、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項17】
約0.5重量%〜約2重量%の前記NSAID化合物を含有する、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項18】
約1重量%の前記NSAID化合物を含有する、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項19】
前記抗ヒスタミン化合物がフェキソフェナジンであり、前記NSAID化合物がイブプロフェンである、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項20】
請求項1の局所用組成物をその皮膚に局所的に適用することを含む、それを必要としているヒトの皮膚の腫れ、腫脹、発赤、黒ずみ、または炎症を治療する方法。
【請求項21】
請求項19の局所用組成物をその皮膚に局所的に適用することを含む、それを必要としているヒトの皮膚の腫れ、腫脹、発赤、黒ずみ、または炎症を治療する方法。
【請求項22】
前記皮膚は眼域である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記皮膚は眼域である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
請求項1の局所用組成物をその皮膚に局所的に適用することを含む、それを必要としているヒトの眼の下または周りの皮膚の黒ずみを治療する方法。

【公表番号】特表2011−521948(P2011−521948A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511653(P2011−511653)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/003320
【国際公開番号】WO2009/145921
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(510305871)フェアフィールド・クリニカル・トライアルズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】FAIRFIELD CLINICAL TRIALS, LLC
【Fターム(参考)】