説明

皮膚外用剤

【課題】 パラベン等の防腐剤を含有しなくても優れた防腐力を有する皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】 皮膚外用剤に、1)糖類もしくはその誘導体及び/又はその塩を0.1〜10質量%、2)アミノ酸及び/又はその塩を0.001〜1質量%、及び、3)4−n−ブチルレゾルシノール及び/又はその塩を0.01〜5質量%含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳細には、医薬部外品を含む化粧料に好適な皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料などの皮膚外用剤に於いて、防腐力を保持することは重要なことである。これは、皮膚外用剤に於いては、製造時にはクリーンに製造され、例えば黄色ブドウ球菌、大腸菌又は酵母などの微生物の混入が存しなくとも、販売後の使用状況により、使用者を介して微生物が混入する可能性が非常に高いためである。通常は、この様な微生物の混入に際しても、皮膚外用剤中で微生物が死滅するように、パラベンなどの防腐剤を配合して、防腐力を持たせることが一般的に行われている。その反面、この様な防腐剤の代表たるパラベンに於いては、ブチルパラベンに於ける内分泌物かく乱作用を有する疑い、パラベン全体に於ける一過性の刺激発現可能性の高さなど、パラベンの使用に制限すべき状況が存することがある。加えて、新しく開発された皮膚外用剤用の種々の成分の中には、微生物の生育を促進しがちな成分が存し、皮膚外用剤に於ける防腐力の維持はこの意味で年々困難性を高めている。特に、黄色ブドウ球菌、大腸菌或いは酵母は、防腐剤への対抗性が高く、しかも病原性が存する場合があるので、これらの菌に対する防腐力の維持は大きな課題となっている。
【0003】
パラベン以外の防腐力の向上手段としては、グルコピラノシルグリセロール、1,2−ペンタンジオール、ウンデシレン酸モノグリセリド、ヒドロキシアパタイトなどが知られているが、黄色ブドウ球菌、大腸菌又は酵母に対する防腐作用は優れているとは言い難い(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4を参照)。
【0004】
ところで、マルチトース、メチルグルセス、ポリグルコシルエチルメタクリレート又はデンプン・ポリアクリル酸ナトリウムグラフト重合体等の糖類或いはその誘導体は、皮膚外用剤に於いては、保湿作用、肌荒れ改善作用などの作用を有することが知られている(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7を参照)。
【0005】
また、皮膚外用剤に於いて、リジン、アルギニン、セリン、グリシン或いはヒドロキシプロリン等のアミノ酸類は、肌を柔軟にせしめ、保湿性向上させる作用を有することが知られている。(例えば、特許文献8、特許文献9を参照)
【0006】
さらに、4−n−ブチルレゾルシノール又はその塩については、メラニン産生抑制作用(例えば、特許文献10参照)、雲脂抑制作用(例えば、特許文献11参照)、ニキビ抑制作用(例えば、特許文献12参照)、赤外線防護剤との併用による、日焼けと火照りの改善作用(例えば、特許文献13参照)、放射線照射後の瘢痕生成の抑制作用(例えば、特許文献14参照)、活性酸素消去作用(例えば、特許文献15参照)、抗掻痒作用(例えば、特許文献16参照)等が知られている。
【0007】
しかしながら、糖類及び/又はその塩もしくは該糖類の誘導体及び/又はその塩と、アミノ酸及び/又はその塩と、4−n−ブチルレゾルシノール及び/又はその塩を含有する皮膚外用剤が、パラベンフリーで優れた防腐力を有することは知られていなかった。
【特許文献1】特開2004−331577号公報
【特許文献2】特開2000−204039号公報
【特許文献3】特開平11−5729号公報
【特許文献4】特開平10−158305号公報
【特許文献5】特開2002−193730号公報
【特許文献6】再表03/041509号公報
【特許文献7】特表2003−513998号公報
【特許文献8】特開平06−80700号公報
【特許文献9】特開2000−072616号公報
【特許文献10】特開平02−49715号公報
【特許文献11】特開平04−169516号公報
【特許文献12】特開平04−169511号公報
【特許文献13】特開平05−4905号公報
【特許文献14】特開2001−206813号公報
【特許文献15】特開2001−302505号公報
【特許文献16】特開2001−302506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の様な状況下為されたものであり、パラベン等の防腐剤を含有しなくても優れた防腐力を有する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、糖類又はその誘導体とアミノ酸を組み合わせて皮膚外用剤に配合した場合は、パラベンの防腐力が著しく低下することを見出している。そして、この様な糖類又はその誘導体とアミノ酸とを含有する皮膚外用剤に於いて、防腐力を維持する手段を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、4−n−ブチルレゾルシノール及び/又はその塩を含有せしめることにより、優れた防腐力を有する皮膚外用剤となることを見出し、発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)1)糖類及び/又はその塩もしくは該糖類の誘導体及び/又はその塩を0.1〜10質量%、2)アミノ酸及び/又はその塩を0.001〜1質量%、並びに3)4−n−ブチルレゾルシノール及び/又はその塩を0.01〜5質量%含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
(2)糖類及び/又はその塩もしくは該糖類の誘導体及び/又はその塩がグルコシル基又はポリグルコシル骨格を有することを特徴とする、(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)糖類及び/又はその塩もしくは該糖類の誘導体及び/又はその塩が、マルチトース、メチルグルセス、ポリグルコシルエチルメタクリレート及びデンプン・ポリアクリル酸ナトリウムグラフト重合体並びにそれらの塩から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、(1)に記載の皮膚外用剤。
(4)アミノ酸が、リジン、アルギニン、セリン、グリシン及びヒドロキシプロリンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、(1)〜(3)の何れかに記載の皮膚外用剤。
(5)ブチルパラベンを含有しないことを特徴とする、(1)〜(4)の何れかに記載の皮膚外用剤。
(6)パラベンを含有しないことを特徴とする、(1)〜(4)の何れかに記載の皮膚外用剤。
(7)黄色ブドウ球菌、大腸菌及び酵母の汚染に対して対抗性を有することを特徴とする、(1)〜(6)の何れかに記載の皮膚外用剤。
(8)黄色ブドウ球菌、大腸菌及び酵母の汚染に対する対抗性が、皮膚外用剤に前記微生物を植えつけた場合に於いて、前記微生物が1週間以内にコロニーを作ることなく死滅することで定義されることを特徴とする、(7)に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、糖類又はその誘導体と、アミノ酸と、4−n−ブチルレゾルシノール又はこれらの塩とを含有させることにより、パラベン等の防腐剤を含有しなくても優れた微生物に対する対抗力(防腐力)を有する皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分である糖類及び/又はその塩もしくは該糖類の誘導体及び/又はその塩
本発明の皮膚外用剤は、糖類及び/又はその塩もしくは該糖類の誘導体及び/又はその塩を必須成分として含有することを特徴とする。本発明にいう「糖類」とは、単糖もしくは多糖類(オリゴ糖を含む)をいい、かかる糖類の「誘導体」とは、これらの糖類又は多糖類の水酸基を介して糖類に分類されないモエティーが結合した化合物をいう。本発明においては、糖類又はその誘導体は、皮膚保湿作用を有するものであることが好ましい。
【0013】
前記糖類としては、グルコース、果糖、ショ糖、転化糖、異性化糖、ラムノース、ガラクトース、アラビノース、マルトース、マルチトース等の単糖類又は2糖類、及び、グルコシル基、ラムノシル基、ガラクトシル基、アラビノシル基、マルトシル基などを含む多糖類、例えばデンプン及びセルロース等のポリグルコシル骨格を有する化合物が例示でき、少なくともグルコシル基を有することが好ましい。
【0014】
糖類に分類されないモエティーとしては、アルキルオキシ基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基を有していてもよいアルキル基若しくはアルケニル基、ポリオキシエチレン鎖、ポリ(メタ)アクリル酸鎖、ポリオキシプロピレン鎖等のポリマー基体等が好適に例示できる。
【0015】
糖類の誘導体として具体的には、メチルグルセス、ポリグルコシルエチルメタクリレート及びデンプン・ポリアクリル酸ナトリウムグラフト重合体、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましく例示できる。メチルグルセスは、メチルグルコシドに酸化エチレンを付加した化合物であり、酸化エチレンの平均付加モル数が5〜25のものが好ましい。具体的には、平均付加モル数がそれぞれ10又は20であるメチルグルセス−10及びメチルグルセス−20が挙げられる。
【0016】
上記のような糖類又はその誘導体は、糖鎖に由来する水分保持性により、優れた皮膚保湿作用を有するが、糖鎖の資化性により皮膚外用剤の防腐力を著しく低下せしめる。特に、アミノ酸が共存する場合には、窒素供給源も確保されるので、この傾向は著しい。
【0017】
本発明の皮膚外用剤に於いては、かかる糖類又はその誘導体は唯一種を含有せしめることも出来るし、2種以上を組み合わせて含有せしめることも出来る。又、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、トリエチルアミン塩等の有機アミン塩類等が好ましく例示できる。前記の様な皮膚保湿作用を発現せしめるためには、かかる糖類又はその誘導体を、皮膚外用剤全量に対して、総量で0.1〜10質量%、より好ましくは、0.2〜5質量%含有せしめることが好ましい。下限値を下回ると前記作用を発現しない場合が存し、上限値を上回っても効果が頭打ちになる場合が存するからである。
【0018】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるアミノ酸及び/又はその塩
本発明の皮膚外用剤は、必須成分としてアミノ酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする。アミノ酸としては、通常皮膚外用剤で知られているものであれば特段の限定無く適用でき、例えば、ロイシン、イソロイシン、グルタミン、グルタミン酸、トリプトフ
ァン、グルタミン酸、リジン、アルギニン、セリン、グリシン、ヒドロキシプロリン、フェニルアラニン、アラニン等が好ましく例示でき、リジン、アルギニン、セリン、グリシン及びヒドロキシプロリンが特に好ましく例示できる。アミノ酸はL−体、D−体及びDL−体のいずれでもよいが、L−体が好ましい。
【0019】
本発明の皮膚外用剤では、かかるアミノ酸は唯一種を含有することも出来るし、2種以上を組み合わせて含有させることも出来る。又、塩としてはナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、トリエチルアミン塩等の有機アミン塩類等のアルカリ塩、クエン酸塩、酒石酸塩などの有機酸塩、リン酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩などが好ましく例示できる。
【0020】
これらのアミノ酸及び/又はその塩は、皮膚保湿作用を発現するとともに、肌荒れなどの改善を促進する作用を有する。
【0021】
本発明の皮膚外用剤に於いて、かかるアミノ酸の好ましい含有量は、0.001〜1質量%、より好ましくは、0.005〜0.5質量%である。これは下限値を下回ると皮膚保湿効果を奏さない場合が存し、上限値を上回っても効果が頭打ちになる場合が存するからである。
【0022】
(3)本発明の皮膚外用剤の必須成分である4−n−ブチルレゾルシノール及び/又はその塩
本発明の皮膚外用剤は、4−n−ブチルレゾルシノール及び/又はその塩を必須成分として、0.01〜5質量%、より好ましくは、0.05〜1質量%を含有することを特徴とする。かかる4−n−ブチルレゾルシノールは、常法に従って製造することが出来、例えば、Lille,J.;Bitter,L.A.;Peiner,V. Trudy−Nauchono−Issledovatel’skii Institut Slantsev (1969), No.18, 127−34に記載された方法に従うことができる。
即ち、レゾルシンとブタン酸を塩化亜鉛の存在下で縮合し、亜鉛アマルガム/塩酸で還元する方法や、レゾルシンとn−ブチルアルコールとを200〜400℃の高温下で縮合させる方法が例示できる。
【0023】
このようにして得られた4−n−ブチルレゾルシノールは種々の塩基性化合物と反応させることにより塩とすることが出来る。このような塩としては、生理的に許容されるものであれば特段の限定はされず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩やトリエチルアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩やアルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩などが好ましく例示できる。これらの塩の内、特に好ましいものはアルカリ金属塩であり、中でもナトリウム塩が特に好ましい。
【0024】
本発明の皮膚外用剤に於いて、4−n−ブチルレゾルシノール又はその塩は1種を単独で含有させることもできるし、2種以上を組み合わせて含有させることもできる。かかる成分の含有量が、前記の量より、少なすぎると微生物に対する対抗性(防腐効果)を発揮しない場合があり、多すぎても効果が頭打ちになる場合がある。
【0025】
(4)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分である、1)糖類及び/又はその塩もしくは該糖類の誘導体及び/又はその塩、2)アミノ酸及び/又はその塩、及び3)4−n−ブチルレゾルシノール及び/又はその塩を含有することを特徴とする。
本発明の皮膚外用剤は、かかる必須成分以外に、通常化粧料などの皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;
流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;
オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;
セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;
イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;
ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;
オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;
アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;
脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;
イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;
ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル(グリセリンモノオレイルエーテル(セラキルアルコール)等)、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;
ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール
、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;
ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;
表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類;
表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;
表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;
レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;
ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;
パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;
エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;
ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;
フェノキシエタノール等の抗菌剤;
アクリル酸−メタクリル酸アルキルコポリマー及び/又はその塩、カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩、キサンタンガムやヒドロキシプロピルセルロース等の増粘剤;などが好ましく例示できる。
【0026】
本発明の皮膚外用剤では、必須成分である4−n−ブチルレゾルシノール及び/又はその塩の作用により、優れた防腐効果を発現するため、パラベンなどの防腐剤を含有する必要性は存しない。従って、少なからず使用に懸念のあるブチルパラベンは含有しないことが好ましいし、ブチルパラベン以外のメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンなども含有しないことが好ましい。パラベンのみならず、エタノールを含有することなく防腐力を維持することも出来、アルコールフリーの皮膚外用剤が実現できる。本発明の皮膚外用剤は、この意味に於いても好ましい。しかしながら、糖類及び/又はその塩もしくは該糖類の誘導体及び/又はその塩、アミノ酸及び/又はその塩その塩、並びに4−n−ブチルレゾルシノール及び/又はその塩を含有し、さらにパラベンやエタノール等を含有する皮膚外用剤であっても、同皮膚外用剤からパラベンやエタノール等を除いた場合に微生物に対する対抗性(防腐効果)を有するものは、本願発明の皮膚外用剤に含まれる。
【0027】
本発明の皮膚外用剤の剤形としては、皮膚外用剤で知られている剤形であれば特段の限定無く適用することが出来、例えば、ローション、エッセンス、乳液、クリーム、ジェル等が好ましく例示できる。
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分と任意成分とを剤型に応じて常法に従って処理することにより製造することが出来る。かくして得られる皮膚外用剤は、皮膚保湿性、肌荒
れ改善作用に優れる、糖類又はその誘導体とアミノ酸とを含有しながら、抗微生物汚染性に優れる。
【0028】
本発明の皮膚外用剤の種類としては、皮膚に外用で適用されるものであれば特段の限定無く適用でき、例えば、医薬部外品を含む化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨などが好適に例示でき、医薬部外品を含む化粧料に適用されることが特に好ましい。
【実施例】
【0029】
以下に、実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
尚、下記の実施例において、アミノ酸はL−体である。
【0030】
〔実施例1〕
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である、化粧水1を作製した。即ち、処方成分を80℃で加熱し、攪拌、可溶化し、攪拌下冷却して化粧水を得た。同様にして、4−n−ブチルレゾルシノールナトリウムをメチルパラベンに置換した比較例1の化粧水も作製した。
【0031】
(化粧水1)
ポリエチレングリコール1500 0.5質量%
1,3−ブタンジオール 5 質量%
グリセリン 8 質量%
マルチトース 0.4質量%
ヒドロキシプロリン1%水溶液 0.2質量%
セリン1%水溶液 0.2質量%
グリシン1%水溶液 0.2質量%
異性化糖 0.1質量%
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3質量%
メチルグルセス−20 0.5質量%
(「グルカムE−20」アマコール社製)
POP(23)POE(34)ステアリル 0.2質量%
4−n−ブチルレゾルシノール 0.3質量%
水 84.1質量%
【0032】
〔試験例〕
上記化粧水1と比較例1の化粧水について微生物の汚染に対する対抗性(防腐効果)を調べた。これらの化粧水20mlを37℃で24時間予備培養後、各化粧水に、黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus IFO12732株)もしくは大腸菌(Escherichia coli IFO3972株)の菌体、又は酵母(Candida albicans IFO1594株)の分生子をPBSで1×106個/ml(終濃度)になるように調製した菌液を加え、これをトリプトソイ寒天(TSA)培地に20μl播種して、37℃で24〜48時間培養し、コロニー数をカウントした。結果を表1に示す。これより、本発明の皮膚外用剤は黄色ブドウ球菌、大腸菌及び酵母などの微生物の汚染に対する対抗性(防腐効果)に優れることがわかる。
【0033】
【表1】

【0034】
〔実施例2〕
以下に示す処方に従って、実施例1と同様にして、化粧水2と、化粧水2の4−n−ブチルレゾルシノールナトリウムをメチルパラベンに置換した比較例2の化粧水を作製し、微生物の汚染に対する対抗性(防腐効果)を調べた。結果を表2に示す。この結果も実施例1と同様であった。
【0035】
(化粧水2)
ポリエチレングリコール1500 0.5質量%
1,3−ブタンジオール 5 質量%
グリセリン 8 質量%
マルチトース 0.4質量%
ヒドロキシプロリン1%水溶液 0.2質量%
セリン1%水溶液 0.2質量%
グリシン1%水溶液 0.2質量%
ポリグルコシルエチルメタクリレート 0.1質量%
(大日精化株式会社製)
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3質量%
デンプン・ポリアクリル酸ナトリウムグラフト重合体 0.5質量%
(三洋化成(株)製、サンフレッシュST−100)
POP(23)POE(34)ステアリル 0.2質量%
4−n−ブチルレゾルシノール 0.3質量%
水 84.1質量%
【0036】
【表2】

【0037】
〔実施例3〕
以下に示す処方に従って、実施例1と同様にして、化粧水3と、化粧水3の4−n−ブチルレゾルシノールナトリウムをメチルパラベンに置換した比較例3の化粧水を作製し、微生物の汚染に対する対抗性(防腐効果)を調べた。結果を表3に示す。この結果も実施例1及び2と同様であった。
【0038】
(化粧水3)
ポリエチレングリコール1500 0.5質量%
1,3−ブタンジオール 5 質量%
グリセリン 8 質量%
マルチトース 0.4質量%
ヒドロキシプロリン1%水溶液 0.2質量%
セリン1%水溶液 0.2質量%
グリシン1%水溶液 0.2質量%
ポリグルコシルエチルメタクリレート 0.1質量%
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3質量%
メチルグルセス−20 0.5質量%
POP(23)POE(34)ステアリル 0.2質量%
4−n−ブチルレゾルシノール 0.3質量%
水 84.1質量%
【0039】
【表3】

【0040】
〔実施例4〕
以下に示す処方に従って、実施例1と同様にして、化粧水4を作製し、微生物の汚染に対する対抗性(防腐効果)を調べた。黄色ブドウ球菌のコロニー数、大腸菌のコロニー数、酵母のコロニー数も何れも0であり、この結果も実施例1〜3と同様であった。
【0041】
(化粧水4)
ポリエチレングリコール1500 0.5質量%
1,3−ブタンジオール 8 質量%
グリセリン 5 質量%
マルチトース 0.4質量%
ヒドロキシプロリン1%水溶液 0.2質量%
セリン1%水溶液 0.2質量%
グリシン1%水溶液 0.2質量%
異性化糖 0.1質量%
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3質量%
メチルグルセス−20 0.5質量%
POP(23)POE(34)ステアリル 0.2質量%
4−n−ブチルレゾルシノール 0.1質量%
水 84.2質量%
【0042】
〔実施例5〕
下記に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である乳液4を作製した。即ち、イ)、ロ)、ハ)をそれぞれ80℃に加熱し、イ)にロ)を加えてゲル化させ、これに攪拌下ハ)の成分を加え、乳化した後、ホモジナイザーで均一化処理し、攪拌冷却して乳液4を得た。このものの4−n−ブチルレゾルシノール0.3質量%を、ブチルパラベン0.1質量%とメチルパラベン0.2質量%に置換した比較例4、メチルパラベン0.3質量%に置換した比較例3も作製し、試験例1に準じて評価した。結果を表4に示す。これより、本発明の皮膚外用剤ではブチルパラベンを使用することなく、ブチルパラベンを配合した場合以上の微生物の汚染に対する対抗力(防腐力)を有することが判る。
【0043】
(乳液4)
イ)
アクリル酸アルキル(炭素数10〜30)・アクリル酸コポリマー
(「ペムレンTR−2」:グッドリッチ社製) 0.4質量%
ポリエチレングリコール1500 0.5質量%
1,3−ブタンジオール 5 質量%
グリセリン 8 質量%
マルチトース 0.4質量%
ヒドロキシプロリン1%水溶液 0.2質量%
セリン1%水溶液 0.2質量%
グリシン1%水溶液 0.2質量%
異性化糖 0.1質量%
(「ペンタバイテイン」;ペンタファーム社社製)
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3質量%
メチルグルセス−20 0.5質量%
POP(23)POE(34)ステアリル 0.2質量%
4−n−ブチルレゾルシノール 0.3質量%
水 77.2質量%
ロ)
10%水酸化カリウム水溶液 3 質量%
水 7 質量%
ハ)
流動パラフィン 5 質量%
ベヘニルアルコール 1 質量%
セラキルアルコール 0.5質量%
【0044】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、皮膚外用医薬や化粧料等の皮膚外用剤に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)糖類及び/又はその塩もしくは該糖類の誘導体及び/又はその塩を0.1〜10質量%、2)アミノ酸及び/又はその塩を0.001〜1質量%、並びに3)4−n−ブチルレゾルシノール及び/又はその塩を0.01〜5質量%含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【請求項2】
糖類及び/又はその塩もしくは該糖類の誘導体及び/又はその塩がグルコシル基又はポリグルコシル骨格を有することを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
糖類及び/又はその塩もしくは該糖類の誘導体及び/又はその塩が、マルチトース、メチルグルセス、ポリグルコシルエチルメタクリレート及びデンプン・ポリアクリル酸ナトリウムグラフト重合体並びにそれらの塩から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
アミノ酸が、リジン、アルギニン、セリン、グリシン及びヒドロキシプロリンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
ブチルパラベンを含有しないことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
パラベンを含有しないことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
黄色ブドウ球菌、大腸菌及び酵母の汚染に対して対抗性を有することを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
黄色ブドウ球菌、大腸菌及び酵母の汚染に対する対抗性が、皮膚外用剤に前記微生物を植えつけた場合に於いて、前記微生物が1週間以内にコロニーを作ることなく死滅することで定義されることを特徴とする、請求項7に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2006−342122(P2006−342122A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170797(P2005−170797)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】