説明

皮膚治療用組成物

アルブチン含有組成物は、ユーザーの皮膚の明るさ、つや、もしくは美白を高めるための局所塗布に有用であり、なおかつ、(単体もしくはシステムで用いてChromameter(登録商標)によりb*パラメータ値を測定した場合、皮膚美白に関して)アルブチンのモル量とほぼ同じモル量〜約1.5倍のモル量のヒドロキノンを含有する実質的に対応する組成物の少なくとも85%有効である。

【発明の詳細な説明】
【図面の簡単な説明】
【0001】
【図1】図1Aおよび図1Bはアルブチン媒介の皮膚美白が用量依存であることを示す。実施例1および2の4%および7%アルブチン調合物それぞれの皮膚美白については、Minolta Chromameter(登録商標)のb*パラメータを用いて測定した。各ボランティアの4週間および8週間のb*値からベースラインとなるChromameterのb*値を引き、各時点で試験対象母集団のデルタb*を平均化してグラフを作成した。従って、グラフは経時の平均デルタb*を示す。Chromameterのb*パラメータの減少は、皮膚美白を意味する(N=10)。
【図2】図2Aおよび2Bは実施例1および2の調合物の皮膚美白効果と、漂白兼補正クリーム(4%HQ)およびブレンダー(4%HQ)の皮膚美白効果とを示す。皮膚美白についてMinolta Chromameter(登録商標)のb*パラメータを用いて測定した。各ボランティアの4週間および8週間のb*値からベースラインとなるChromameterのb*値を引き、各時点で試験対象母集団のデルタb*を平均化してグラフを作成した。従って、グラフは経時の平均デルタb*を示す。Chromameterのb*パラメータの減少は、皮膚美白を意味する(N=10)。
【図3】システムにおいて、カチオントナーおよび0.025%トレチノインを実施例1および2の調合物と併用すると、実施例1および2の調合物単体と比べて皮膚美白が改善されることを示す。皮膚美白についてMinolta Chromameter(登録商標)のb*パラメータを用いて測定した。各ボランティアの4週間および8週間のb*値からベースラインとなるChromameterのb*値を引き、各時点で試験対象母集団のデルタb*を平均化してグラフを作成した。従って、グラフは経時の平均デルタb*を示す。Chromameterのb*パラメータの減少は、皮膚美白を意味する(N=10)。
【図4】本明細書に記載されているシステム(7%アルブチンを含有する調合物を使用を含む)の皮膚美白効果と、比較用システム(4%ヒドロキノン)の皮膚美白効果とを示す。皮膚美白についてMinolta Chromameter(登録商標)のb*パラメータを用いて測定した。各ボランティアの4週間および8週間のb*値からベースラインとなるChromameterのb*値を引き、各時点で試験対象母集団のデルタb*を平均化してグラフを作成した。従って、グラフは経時の平均デルタb*を示す。Chromameterのb*パラメータの減少は、皮膚美白を意味する(N=10)。
【発明を実施するための形態】
【0002】
本発明によるアルブチン含有組成物は、ユーザーの皮膚の明るさ、つや、もしくは美白を高めるための局所塗布に有用である。本発明のアルブチン含有組成物は、(単体もしくはシステムで用いてChromameter(登録商標)によりb*パラメータ値を測定した場合、皮膚美白に関して)アルブチンのモル量とほぼ同じモル量〜約1.5倍のモル量のヒドロキノンを含有する実質的に対応する組成物の少なくとも85%有効である。「実質的に対応する」とは、組成物が、必要に応じて、粘度を等しく調整し得る量で同一成分を含有することを意味する。
【0003】
実施形態では、本発明の組成物は、アルブチンと、水相および油相を含み得る独自の混合物とを含有する。本明細書で使用する「アルブチン」という用語は、一般式を有する化合物として周知のヒドロキシフェニル−b−D−グルコピラノシドを意味する:
【化1】

【0004】
アルブチンは、基本的に、D−グルコース分子が結合したヒドロキノンである。アルブチンは、チロシナーゼを競合阻害するが、細胞機能を阻害しない。
【0005】
アルブチンは、ユーザーの皮膚に利益をもたらす量で存在する。実施形態では、アルブチンは、色素脱失をもたらすのに十分な量で存在する。一般に、全組成物の約1〜約20重量%の量のアルブチンが適当である。
【0006】
実施形態では、アルブチンは、組成物の少なくとも約5重量%の量で存在し、実施形態では、全組成物の約5〜約10重量%の量で存在する。
【0007】
水相は、水、1つ以上の湿潤剤、1つ以上の乳化剤、1つ以上の防腐剤、1つ以上のキレート剤、1つ以上の還元剤、および1つ以上のpH調整剤を含み得る。純水は、例えば、脱イオン水またはUSP水などを有利に用いることができる。
【0008】
水相に対して適当な防腐剤としては、メチルパラベン、ブチルパラベンナトリウム、安息香酸およびその塩ならびにエステル、ベンジルアルコール、尿素誘導体(例:ジアゾリジニル尿素、イミダゾリジニル尿素)、2,3−イミダゾリジンジオン(DMDMヒダントイン)、ソルビン酸およびその塩などが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、1つ以上の防腐剤は、個々の防腐剤が組成物の約0.005%〜約5重量%の量で存在する状態で、全組成物の約0.01〜約5重量%の量で存在する。実施形態では、防腐剤は、全組成物の約0.05〜約1重量%の量で存在する。
【0009】
水相に使用するのに適当なキレート剤としては、エデト酸二ナトリウム、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)およびその塩、例えば、三ナトリウムNTA(ニトリロ三酢酸)、エチドロン酸およびその塩、ジヒドロキシエチルグリシン酸ナトリウム、クエン酸およびその塩、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、キレート剤(単数または複数)の量は、全組成物の約0.01〜約5重量%である。実施形態では、1つ以上のキレート剤は、全組成物の約0.05〜約1重量%の量で存在する。実施形態では、キレート剤の組み合わせは、個々のキレート剤が組成物の約0.005%〜約0.5重量%の量で存在する状態で存在する。
【0010】
水相に使用するのに適当な湿潤剤としては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、グルコース、マルトース、スクロース、ラクトース、キシリトース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パンテノール、ペンタエリスリトール、およびヒアルロン酸ならびにその塩を含む多価アルコールが挙げられるが、これらに限定されない。当然ながら、2つ以上の湿潤剤の組み合わせが本発明の組成物に含まれ得ることが分かるであろう。一般に、1つ以上の湿潤剤は、全組成物の約1〜約20重量%の量で存在する。実施形態では、湿潤剤は、全組成物の約2〜約5重量%の量で存在する。実施形態では、湿潤剤の組み合わせは、個々の湿潤剤が組成物の約0.5%〜約5重量%の量で存在する状態で存在する。
【0011】
水相に使用するのに適当な乳化剤は、界面活性剤である。有用な界面活性剤は、イオン性であっても非イオン性であってもよく、単独または組み合わせて用いてもよい。適当な界面活性剤の代表的な例としては、セテアリルアルコール、セテアリル硫酸ナトリウム、PEG−1000モノセチルエーテル、臭化アルキルトリメチルアンモニウムなどの四級アンモニウム塩、ポリオールエステルグリセロールモノステアレート、ステアリン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)が挙げられ、エトキシ化脂肪アルコールは、良好な共乳化剤を構成する。乳剤の粘稠度を調節するためにステアリン酸のような脂肪酸を含んでもよい。任意にカルボマーなどのポリマーを含んでもよい。水相に使用するのに特に有用な乳化剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、サポニン、またはこれらの組み合わせである。一般に、1つ以上の乳化剤は、全組成物の約1〜約20重量%の量で存在する。実施形態では、乳化剤は、全組成物の約2〜約5重量%の量で存在する。実施形態では、乳化剤の組み合わせは、個々の乳化剤が組成物の約0.005%〜約4重量%の量で存在する状態で存在する。
【0012】
水相のpHは、最終生成物のpHが約2〜4になるように約2〜4に調整してもよい。水相のpHを調整するのに適当な薬剤としては、クエン酸、リン酸、乳酸、またはグリコール酸が挙げられるが、これらに限定されない。一般に、1つ以上のpH調整剤は、全組成物の約0.01〜約5重量%の量で存在する。実施形態では、pH調整剤は、全組成物の約0.1〜約1.0重量%の量で存在する。実施形態では、pH調整剤の組み合わせは、個々のpH調整剤が組成物の約0.005%〜約1重量%の量で存在する状態で存在する。
【0013】
本発明の組成物に使用するのに適当な還元剤としては、アスコルビン酸、没食子酸プロピル、および亜硫酸類(限定的ではないが、亜硫酸類、重亜硫酸類、メタ重亜硫酸類、これらの塩、ならびにこれらの誘導体)が挙げられるが、これらに限定されない。メタ重亜硫酸ナトリウムは、1つの有用な亜硫酸である。アルブチンは酸化によって変色しやすいことから、これらの還元剤はアルブチンよりもより酸化しやすいため有利に使用され得る。メタ重亜硫酸ナトリウムは、酸化によって変色しないという利点をさらに有する。アルブチンとメタ重亜硫酸ナトリウムの組成物では、メタ重亜硫酸ナトリウムがまず酸化してアルブチンのいかなる酸化の開始も遅らせるため、過剰な変色が遅れるかまたは完全に回避されると考えられる。一般に、1つ以上の還元剤は、全組成物の約0.1〜約10重量%の量で存在する。実施形態では、還元剤は、全組成物の約0.25〜約5重量%の量で存在する。実施形態では、還元剤の組み合わせは、個々の還元剤が組成物の約0.005%〜約1重量%の量で存在する状態で存在する。
【0014】
水相は、加熱(例:約70℃〜約75℃)して混合しながら、種々の成分を組み合わせて調製することができる。
【0015】
水相は油相と混ぜてもよい。油相は、1つ以上の皮膚軟化剤、1つ以上の防腐剤、および1つ以上の酸化防止剤を含み得る。
【0016】
油相に使用するのに適当な皮膚軟化剤としては、化粧学的に許容される液体油が挙げられる。化粧学的に許容される液体油は、室温で液体である。化粧学的に許容される液体油は、液体炭化水素油、液体天然油、液体脂肪アルコール、液体脂肪酸、液体脂肪酸エステル、液体シリコーン油、およびペーストワックス、ならびにこれらの混合物であってもよい。
【0017】
油相に使用するのに適当な液体炭化水素の非限定例としては、スクアラン、液体鉱油、および液体ポリブテンが挙げられる。本発明の組成物に有用な植物由来の液体天然油の非限定例としては、扁桃油、オリーブ油、ゴマ油、サフラワー油、アボカド油、綿実油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、パーム核油、ヤシ油、および水添野菜油が挙げられる。本発明の組成物に有用な動物源由来の液体天然油の非限定例としては、ミンク油および卵黄油が挙げられる。本発明の組成物に有用な液体脂肪アルコールの非限定例は、イソステアリルアルコール、ラノリンアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノールアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラウリルアルコール、およびアラキジルアルコールである。脂肪酸は、天然、合成、飽和、不飽和、直鎖、または分岐であってもよい。本発明の組成物に有用な脂肪酸の非限定例は、カプリル酸、イソステアリン酸、リノール酸、リシノール酸、およびオレイン酸である。本発明の組成物に有用な液体脂肪酸エステルの非限定例は、オクタン酸セチル、トリオクタン酸グリセリル、リノール酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ラウリン酸エチル、リノール酸エチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、イソペラルゴン酸オクチル、乳酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸イソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジ(カプリル/カプリン酸)プロピレングリコール、およびこれらの混合物である。他の適当なエステルとしては、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、イソステアリン酸トリグリセリド、およびアジピン酸トリグリセリドなどのトリグリセリド類が挙げられる。ジメチコーンおよびフェニルジメチコーンなどの不揮発性の直鎖および分岐のシリコーン油も有用である。日焼け止めのような他の化粧学的に許容される成分としては、メトキシけい皮酸オクチル、シノキセート、2−エチルフェキシルp−ジメチルアミノベンゾエートなどが挙げられる。
【0018】
1種類または2種類以上の化粧学的に許容される液体油を本発明の組成物に使用することができる。油相材料は単体では液体でなくともよいが、加熱、および/または、他の成分と混合すると、油相の一部として使用するのに適当な成分を提供し得ることも考えられる。特に有用な皮膚軟化剤としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびこれらの組み合わせが挙げられる。一般に、皮膚軟化剤は、全組成物の約2〜約25重量%の量で存在する。実施形態では、皮膚軟化剤は、全組成物の約5.0〜約15重量%の量で存在する。実施形態では、皮膚軟化剤の組み合わせは、個々の皮膚軟化剤が組成物の約0.5%〜約10重量%の量で存在する状態で存在する。
【0019】
油相に使用するのに適当な酸化防止剤としては、2,6−ジターシャリ−ブチル−4−メチルフェノール(ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)として一般に知られる)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸プロピルなどが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、1つ以上の酸化防止剤は、全組成物の約0.01〜約10重量%の量で存在する。実施形態では、酸化防止剤は、全組成物の約0.1〜約2重量%の量で存在する。実施形態では、酸化防止剤の組み合わせは、個々の酸化防止剤が組成物の約0.005%〜約1重量%の量で存在する状態で存在する。
【0020】
油相に使用するのに適当な防腐剤としては、プロピルパラベン、イソプロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベンなどが挙げられる。油相中の防腐剤は、一般に、全組成物の約0.01〜約5重量%の量で存在する。実施形態では、防腐剤は、全組成物の約0.05〜約2重量%の量で存在する。実施形態では、防腐剤の組み合わせは、個々の防腐剤が組成物の約0.01%〜約1重量%の量で存在する状態で存在する。
【0021】
油相は、油相用成分をタンクに単に加え、穏やかに攪拌しながら加熱(例:約70℃〜約75℃)することで調製できる。
【0022】
次いで、穏やかに攪拌しながら、油相を水相(例:約70℃〜約75℃の温度)に加えてもよい。本発明のアルブチン組成物は、酸素フリーの不活性雰囲気中で調製してもよい。これは、米国特許第4,229,427号に開示されており、その開示内容全体を参照によって本明細書に援用する。
【0023】
最終アルブチン組成物の粘度は、約1,000〜約50,000センチポアズ(cps)であり得る。実施形態では、最終アルブチン組成物の粘度は、約2,500〜約35,000cpsである。最終組成物の比重は、約0.5〜1.5であり得る。実施形態では、最終アルブチン組成物の比重は、約0.90〜約1.05である。
【0024】
特に有用な実施形態では、最終アルブチン組成物は、実質的に白色であり、準粘性のローション剤であってもよい。特に有用な実施形態では、本発明の組成物は、経時的にその色を実質的に維持する能力を有する。かかる実施形態では、本発明の組成物は、全保存期間にわたりフレッシュで、上品で、かつプロフェッショナルに見えるため、患者もしくは消費者の製品への信頼を高めることができる。
【0025】
実施形態では、本発明のアルブチン含有局所組成物は、以下の化合物を含み得る:
【0026】
【表1】

【実施例】
【0027】
実施例1
純水を窒素ガス下で予混合タンクに加えた。以下の水相成分(メチルパラベン、エデト酸二ナトリウム、グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、サポニン、乳酸88%、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、アルブチン)を穏やかに加熱しながら表1に示した量で加え、約70〜75℃で混合して均一分散させた。以下の油相成分(セチルアルコール、ステアリルアルコール、プロピルパラベン、ブチルパラベン、酢酸トコフェロール、およびBHT)を約70〜75℃でタンクに表1に示した量で混合した。次いで、全内容物を窒素ガス下でジャケットタンクに移し、油相と水相とを混合し、冷却し、乳剤を生成した。使用前に全溶媒を窒素で脱ガスし、全ての調合物および中間調合物を脱ガスした。アルブチン含有調合物を、容器に充填する前後に窒素でパージした貯蔵容器に移した。
【0028】
本明細書で同定した実施例1Aの組成物は、4%アルブチンを含有する以外は、実施例1の組成物と同一である。
混合実施形態
【0029】
実施形態では、本発明の組成物は、皮膚に塗布する有効成分(例:トレチノイン)を含有する組成物と混合するように設計された混合組成物である。組成物は、水、1つ以上の湿潤剤;1つ以上の皮膚軟化剤、1つ以上の防腐剤、1つ以上のキレート剤、1つ以上のpH調整剤、1つ以上の酸化防止剤、および/または1つ以上の還元剤を含有する塩基組成物中にアルブチンを含んでもよい。
【0030】
混合組成物に使用される適当な防腐剤としては、さらに、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、ジアゾリジニル尿素、2,3−イミダゾリジンジオン、イソプロピルパラベン、イソブチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンナトリウム、ソルビン酸、またはこれらの防腐剤の組み合わせが挙げられる。
【0031】
混合組成物に使用される適当なキレート剤としては、さらに、クエン酸、エデト酸二ナトリウム、エチレンエチレンジアミン四酢酸、エチドロン酸ジヒドロキシエチルグリシン酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、およびこれらの薬剤の組み合わせが挙げられる。
【0032】
混合組成物に使用される適当な乳化剤としては、さらに、セテアリルアルコール、エトキシ化脂肪アルコール、PEG−1000モノセチルエーテル、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、ポリオールエステルグリセロールモノステアレート、ステアリン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セテアリル硫酸ナトリウム、サポニン、およびこれらの薬剤の組み合わせが挙げられる。
【0033】
混合組成物に使用するのに適当な湿潤剤としてはさらに、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、グルコース、マルトース、スクロース、ラクトース、キシリトース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パンテノール、ペンタエリスリトール、ヒアルロン酸、およびこれらの湿潤剤の組み合わせが挙げられる。
【0034】
混合組成物に使用される適当なpH調整剤としては、さらに、クエン酸、リン酸、乳酸、グリコール酸、およびこれらのpH調整剤の組み合わせが挙げられる。
【0035】
混合組成物に使用される適当な酸化防止剤としては、さらに、パルミチン酸アスコルビル、2,6ジターシャリ−ブチル−4−メチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロール、酢酸トコフェロール、没食子酸プロピル、およびこれらの酸化防止剤の組み合わせが挙げられる。
【0036】
混合組成物に使用される適当な皮膚軟化剤としては、さらに、セチルアルコール、ステアリルアルコール、液体炭化水素油、液体天然油、液体脂肪アルコール、液体脂肪酸、液体脂肪酸エステル、液体シリコーン油、ペーストワックス、およびこれらの皮膚軟化剤の組み合わせが挙げられる。
【0037】
混合組成物に使用される適当な還元剤としては、さらに、アスコルビン酸、没食子酸プロピル、メタ重亜硫酸ナトリウム、およびこれらの還元剤の組み合わせが挙げられる。
【0038】
特に有用な混合組成物は、水、グリセリン、セチルアルコール、PPG−2プロピオン酸ミリスチルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、サリチル酸TEA、乳酸、フェニルトリメチコン、酢酸トコフェロール、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、メチルパラベン、サポニン、EDTA二ナトリウム、BHT、およびプロピルパラベンの塩基組成物中にアルブチンを含有する。
【0039】
適当な混合組成物は、表2に同定された成分に従って作製してもよい。
【0040】
【表2】

【0041】
本明細書で同定した実施例2Aの組成物は、4%アルブチンを含有する以外は、実施例2のものと同一である。
【0042】
本発明の組成物は、例えば、ボトル、チューブ、バイアルなど、いずれの種類の容器に充填してもよい。組成物は、例えば、チューブから送り出すかあるいは単に絞り出すなど、任意の適当な手段で投薬することができる。
【0043】
本発明のアルブチン含有組成物は、皮膚美白をもたらすのに十分な量で、ユーザーの皮膚領域に毎日塗布することができる。実施形態では、本発明のアルブチン含有組成物は、皮膚1平方センチメートル当たり約1ミリグラム〜約15mg/cmの量で塗布される。
【0044】
実施例3:本明細書に記載されている組成物およびシステムの用途
18歳〜60歳の10人のボランティアが試験に参加した。本試験に含まれるボランティアは、フィッツパトリックフォトタイプIII以上の家系のアジア人または白人であった。参加した対象は、医学研究者の意見において、試験の遂行、結果の解釈を妨げ得る、あるいは、有害反応のリスクを増加させ得るアレルギーもしくは他の内科疾患の公知の履歴を含む、あらゆる全身性疾患または皮膚疾患がなかった。さらに、ボランティアは、病歴に基づいて、研究者によって判断した際に試験参加に影響を及ぼし得る臨床的に著しく異常な所見は見られなかった。選ばれた女性ボランティアは、妊娠しておらず(試験開始時およびその後4週間ごとに尿妊娠試験で評価)、試験期間中には適当な避妊法を用いることに同意した。ボランティア全員は、試験期間中に、あらゆる薬剤、保湿剤、日焼け止め剤、芳香剤、または新規のパーソナルケア製品/洗濯洗剤の背中への使用を控えることを快諾し、なおかつ、試験期間中に、背中への日光暴露(即ち、日光浴)をできる限り避け、日焼け室の使用も控えることを快諾した。さらに、対象は、試験期間中に水泳を避けることに同意した。
【0045】
妊娠している女性、授乳中の女性、試験3カ月前に妊娠へ向けて試した女性、あるいは実験期間中に妊娠が予想される女性のボランティアは、試験から除外した。試験に用いた試験製品もしくは他の臨床用品中の任意の成分に公知のアレルギーまたは感度をもつ個人についても除外した。試験開始の6カ月以内に背中に美容手術(ほくろ除去、レーザーによる皮膚若返り、化学薬品による皮膚剥離、皮膚剥離など)を予め受けたボランティアについても除外した。背中に日焼けがある個人、あるいは、彼女らの活動が日光への過剰暴露または長期暴露を伴う個人についても除外した。ステロイド性/非ステロイド性の抗炎症薬、抗生物質、または抗ヒスタミン剤の使用を含む、試験結果を妨げ得る薬剤を服用している対象についても除外した。制御不能の全身性疾患をもつ候補者、ヒト免疫不全ウイルスへの感染が分かっている候補者、活性のアトピー性皮膚炎/湿疹、乾癬がある候補者、またはあらゆる型の癌の履歴をもつ候補者についても除外した。喘息または糖尿病を治療中のボランティア、皮膚美白製品に公知の過敏症をもつボランティア、もしくは、化粧品またはパーソナルケア製品への過敏症の履歴をもつボランティアについても除外した。
【0046】
ボランティア全員は、オープンラベルで非盲検の状態で、週末を除いて毎日、試験製品の塗布について臨床現場に報告した。試験製品および用量は以下の通りであった:
【0047】
製品 成分 用量
実施例1 7%アルブチン 10mg/cm
実施例2 7%アルブチン 10mg/cmまたは5mg/cm**
実施例1A 4%アルブチン 10mg/cm
実施例2A 4%アルブチン 10mg/cm
漂白兼補正クリーム*
4%ヒドロキノン 10mg/cm
ブレンダー* 4%ヒドロキノン 10mg/cmまたは5mg/cm**
トナー* 10μL/cm
カチオントナー*** 10μL/cm
0.025%トレチノイン 5mg/cm
*OMP,Inc.,Long Beach,CAから市販
**0.025%トレチノインと併用した場合
***公開米国特許出願第2007/0269534A1号の実施例1を参照されたい(その内容全体を引用により本明細書に組み込む)
【0048】
全ての対象は背中に2cm分画し、治療部位を同定するために、プラスチックテンプレートを皮膚に貼り付けた。実施例1の調合物、実施例2の調合物、漂白兼補正クリーム、およびブレンダーで、単体もしくはシステムの一部として、対象を処理した。各投与計画を以下に示す:
【0049】
実施例1Aの調合物:20mgの製品を臨床現場で月曜日から金曜日まで1日1回、8週間にわたって塗布した。
【0050】
実施例2Aの調合物:20mgの製品を臨床現場で月曜日から金曜日まで1日1回、8週間にわたって塗布した。
【0051】
実施例1の調合物:20mgの製品を臨床現場で月曜日から金曜日まで1日1回、8週間にわたって塗布した。
【0052】
実施例2の調合物:20mgの製品を臨床現場で月曜日から金曜日まで1日1回、8週間にわたって塗布した。
【0053】
漂白兼補正クリーム:20mgの製品を臨床現場で月曜日から金曜日まで1日1回、8週間にわたって塗布した。
【0054】
ブレンダー:20mgの製品を臨床現場で月曜日から金曜日まで1日1回、8週間にわたって塗布した。
【0055】
本明細書に記載されているシステム:まず、20μlのカチオントナーを塗布し、その後、5分間吸収させた。次に、20mgの実施例1の調合物を塗布し、5分間吸収させた。最後に、10mgの実施例2の調合物を10mgの0.025%トレチノインと混合し、皮膚に塗布した。本明細書に記載されているシステムを臨床現場で月曜日から金曜日まで1日1回、8週間にわたって塗布した。
【0056】
比較用システム:まず、20μlのトナーを塗布し、5分間吸収させた。次に、20mgの漂白兼補正クリームを塗布し、5分間吸収させた。最後に、10mgのブレンダーを10mgの0.025%トレチノインと混合し、皮膚に塗布した。比較用システムを臨床現場で月曜日から金曜日まで1日1回、8週間にわたって塗布した。
【0057】
実施例1および実施例2の調合物の安全性について、別の試験にて、ボランティア49人に連続パッチテストを介して評価した。研究者が4〜8週間にわたってベースラインで塗布部位をスコアリングすることで、本明細書に記載した試験に用いた全製品の安全性について評価した。さらに、試験製品を定期塗布する際に、何らかの反応について全治療部位を毎日目視検査した。Minolta CR−300 Chromameter(登録商標)を用いて4〜8週間にわたってベースラインで皮膚美白について評価した。簡潔に言えば、Chromameterは、3つの異なる色パラメータを通じて皮膚の色変化を測定するものである。L*パラメータは、黒色から白色への色変化を測定し、a*パラメータは、赤色から緑色を測定し、b*パラメータは、黄色から青色を測定する。L*パラメータの増加およびb*パラメータの減少は、皮膚美白を示すものである。しかしながら、L*パラメータは紅斑または皮膚炎によって影響を受けるため、偽陽性または偽陰性を読み取る可能性がある。b*パラメータは、皮膚美白のみを測定し、紅斑または炎症の影響を受けない。ベースラインからのChromameter(登録商標)(b*値)読取りにおける平均変化としてデータを報告した。皮膚美白は、Chromameter(登録商標)L*値、および/または、Chromameter(登録商標)のb*値およびL*値を用いて算出されるITA(Individual Typology Angle)を介しても測定することができる。Individual Typology Angleは、Chardon A,Cretois I,Hourseau C.,Skin color typology and suntanning pathways.Int J Cosmet Sci 1991;13:191−208に記載されており、その開示内容全体を参照によって本明細書に援用する。
【0058】
実施例1および実施例2の両方の調合物にRIPTおよび使用安全性試験を施した。RIPT試験では、49人のボランティアの内の1人が実施例1の調合物に中等度の反応を有することが示された。これは、実施例1の調合物を半密封のパッチ下で塗布したため意外なことではない。さらに、調合物中のSLSは、アルブチンよりも炎症を引き起こす可能性が高い。一方で、開放条件下(パッチ無し)で使用安全性試験を行ったが、皮膚反応は起こらなかった。
【0059】
4%アルブチン(実施例1Aおよび2Aの調合物)と、7%アルブチン(実施例1および2の調合物)の塗布を比較した場合、7%アルブチンが8週間で4%アルブチンよりも優れた皮膚美白を生むことが分かり、これは、Chromameter(登録商標)のb*パラメータ値によって確認された(図1Aおよび1Bを参照)。従って、実施例1および2に基づく式の調合物におけるアルブチンの皮膚美白効果は、用量に依るものである。Chromameterのb*値は、ヒドロキノンベースの漂白兼補正クリームならびにブレンダー調合物よりも、実施例1および2両方の調合物がより良いスキンライトナーであることも示している(図2Aおよび2Bを参照)。システムとして、カチオントナーおよび0.025%トレチノインを実施例1および2の調合物と併用することで、実施例1および2の調合物単体と比較して、より良い皮膚美白効果を示した(図3を参照)。さらに、本明細書に記載されているシステムは、トナー、漂白兼補正クリーム(4%ヒドロキノン)、ブレンダー(4%ヒドロキノン)、および0.025%トレチノインを含む比較用システムと実質的に等しく有効な皮膚美白システムであることが示された(図4を参照)。
【0060】
本明細書に記載のデータから分かるように、7%アルブチンは、市販されている漂白兼補正クリームやブレンダーベース調合物と類似の調合物に組み込んだ場合に、比較的フォト露光していない皮膚の美白において4%ヒドロキノンと同等に有効になり得る。ヒトメラニン細胞培養におけるアルブチンのチロシナーゼ阻害作用が、ヒドロキノンの100分の1であることが予め分かっていることを考えると、これは予測できない発見である(Maeda K,Fukuda M.Arbutin:mechanism of its depigmenting action in human melanocyte culture.J Pharmacol Exp Ther.Feb 1996;276(2):765−769を参照されたい)。従って、本明細書に記載されているアルブチン調合物は、アルブチンの皮膚美白効果を高め易くする。いかなる理論にも束縛されるものではないが、本明細書に記載されている調合物は、本明細書に記載の試験条件下で7%アルブチンの皮膚美白効果の向上に貢献し得るアルブチン(その分子量は、ヒドロキノンの2倍を超える)の経皮透過を高めると考えられる。
【0061】
上記のデータが示すように、本発明のアルブチン含有組成物は、ヒドロキノン含有組成物と比較して(単体もしくはシステムで用いてChromameter(登録商標)によりb*パラメータ値を測定した場合、皮膚美白に関して)少なくとも85%有効である皮膚美白効果を8週間でもたらした。いくつかの場合において、本発明のアルブチン含有組成物は、ヒドロキノン含有組成物と比較して(Chromameter(登録商標)によりb*パラメータ値を測定した場合)より良い皮膚美白効果を8週間でもたらした。
【0062】
本明細書に開示した実施形態に種々の修正を行うことが可能であることを理解されたい。従って、上記説明は、限定的に解釈すべきではなく、実施形態の単なる例示に過ぎない。当業者であれば、本明細書に添付されている請求項の範囲および精神を逸脱することなく他の修正が考えられるであろう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
単体もしくはシステムで用いてChromameter(登録商標)によりb*パラメータ値を測定した場合、皮膚美白に関して、アルブチンのモル量とほぼ同じモル量〜約1.5倍のモル量のヒドロキノンを含有する実質的に対応する組成物の少なくとも85%有効なアルブチン含有組成物。
【請求項2】
全組成物の約1〜約20重量%の量のアルブチンを含む請求項1に記載のアルブチン含有組成物。
【請求項3】
全組成物の約5〜約10重量%の量のアルブチンを含む請求項1に記載のアルブチン含有組成物。
【請求項4】
水、湿潤剤、乳化剤、防腐剤、キレート剤、還元剤、およびpH調整剤を含む水相を含む請求項1に記載のアルブチン含有組成物。
【請求項5】
全組成物の約0.01〜約5重量%の量の防腐剤と、
全組成物の約0.01〜約5重量%の量のキレート剤と、
全組成物の約1〜約20重量%の量の湿潤剤と、
全組成物の約1〜約20重量%の量の乳化剤と、
全組成物の約0.01〜約5重量%の量のpH調整剤と、
全組成物の約0.1〜約10重量%の量の還元剤と、
を含む請求項1に記載のアルブチン含有組成物。
【請求項6】
皮膚軟化剤、防腐剤、および酸化防止剤を含む油相を含む請求項1に記載のアルブチン含有組成物。
【請求項7】
全組成物の約2〜約25重量%の量の皮膚軟化剤と、
全組成物の約0.01〜約5重量%の量の防腐剤と、
全組成物の約0.1〜約2重量%の量の酸化防止剤と、
を含む請求項1に記載のアルブチン含有組成物。
【請求項8】
約2,500〜約35,000cpsの粘度を有する請求項1に記載のアルブチン含有組成物。
【請求項9】
約0.90〜約1.05の比重を有する請求項1に記載のアルブチン含有組成物。
【請求項10】
約65%〜約85%の純水と、
約0.01%〜約0.5%のメチルパラベンと、
約0.01%〜約0.5%のエデト酸二ナトリウムと、
約1%〜約15%のグリセリンと、
約0.01%〜約5%のラウリル硫酸ナトリウムと、
約0.01%〜約5%のサポニンと、
約5%までの乳酸と、
約1%〜約25%のセチルアルコールと、
約25%までのステアリルアルコールと、
約0.01%〜約0.5%のプロピルパラベンと、
約0.5%までのブチルパラベンと、
約0.01%〜約5%の酢酸トコフェロールと、
約0.01%〜約0.5%のBHTと、
約0.01%〜約5%のアスコルビン酸と、
約0.01%〜約5%のメタ重亜硫酸ナトリウムと、
約0.1%〜約15%のアルブチンと、
を含む請求項1に記載のアルブチン含有組成物。
【請求項11】
約70%〜約85%の純水と、
約0.01%〜約1.5%の防腐剤と、
約0.01%〜約0.5%のキレート剤と、
約1%〜約10%の湿潤剤と、
約0.01%〜約5%の陰イオン界面活性剤と、
約0.01%〜約5%の乳化剤と、
約2%〜約50%のC12〜C18アルキルアルコールと、
約0.01%〜約10%の酸化防止剤と、
約0.01%〜約5%の還元剤と、
約1%〜約10%の皮膚軟化剤と、
約0.01%〜約5%のpH調整剤と、
約5%〜約10%のアルブチンと、
を含む請求項1に記載のアルブチン含有組成物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−503205(P2011−503205A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534215(P2010−534215)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/083590
【国際公開番号】WO2009/065008
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(501160058)オーエムピー インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】OMP,Inc.
【Fターム(参考)】