説明

皮膚消毒薬組成物ディスペンサーおよび使用方法

【課題】改良された皮膚消毒薬組成物ディスペンサーおよび使用方法を提供する。
【解決手段】本発明の皮膚消毒薬組成物ディスペンサーは、通常のエチレンオキシド殺菌プロセス間にエチレンオキシド気体に対して実質的に不透過性である1つ以上の壁を有する容器を含み得る。いくつかの実施形態において、容器は、金属箔バリヤー層を含まない屈曲性の壁を含み得る。また容器は、容器内の皮膚消毒薬組成物を分配するために使用される1つ以上の開口部に加えて、1つ以上のベントを含み得る。ディスペンサーは、親水性フォームを有するアプリケーターを含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚消毒薬組成物ディスペンサーの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外科用の患者皮膚の消毒処理には、3分〜10分の消毒石鹸溶液による患部の洗浄、それに続く水溶性消毒塗料溶液の適用が含まれる。
【0003】
これらの溶液は一般的に、ブレードに取り付けられているか、または鉗子によって保持されている、飽和したスポンジによって適用される。これらのスポンジは、しばしば、溶液のオープンパン中でそれらを浸漬することによって飽和される。付属のハンドルを有するスポンジが、スポンジを飽和させるために十分な液体を含有するプラスチックまたはアルミニウム箔ラミネートポーチに提供されることもある。いくつかの製品では、無菌「キット」中で乾燥状態でスポンジが与えられ、相対的に薄い壁を有する4オンスのポリエチレンボトル中に消毒薬溶液が提供されている。これらのボトルは一般的に、約500ミクロン未満の壁厚を有する。
【0004】
安価ではあるが、これらの技術は乱雑であり、そして望ましくない領域中への不注意による溶液の流滴に関する制御をほとんど提供しない。利用可能な溶液の多くは、領域に溜まって皮膚と接触したままの場合に刺激となり得るアルコールおよびヨウ素のような活性成分を含有し得るため、長い間、適用に関する良好な制御が望まれている。
【0005】
長年にわたって、これらの技術に関連する溶液流滴を防ぎ、かつ消毒薬溶液の適用に必要な時間を短縮する試みにおいて、装置が開発されている。特に、3M カンパニー(3M Company)(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN))から市販品として入手可能であるデュラプレプ(DURAPREP)製品は、消毒薬溶液の実質的に流滴のない都合のよい適用を提供することによって商業的成功を得ている。
【0006】
共同譲渡された米国特許第4,925,327号明細書は、アプリケーターハンドルと、ハンドルの主要オリフィスを被覆するフォームスポンジとの間の液体の流速を調整するための剛性、多孔性の計量インサートを組み合わせる液体アプリケーターを記載している。分配される液体は、ハンドルの他の主要オリフィスに取外し可能に添付された破裂可能な貯蔵所に含有される。
【0007】
共同譲渡された米国特許第5,658,084号明細書は、アプリケーター本体内部の破砕性アンプル中に液体を含有する液体アプリケーターをさらに記載する。このアンプルは、使用前の貯蔵および取扱いの間の衝撃からアンプルの無作為な破損を防ぐ変形可能な構成要素によって支持および保護されている。変形可能な構成要素の開口部を通して破砕性アンプルの少なくとも一部を押し、そしてアンプルを破壊するための手段と接触させることによって、アプリケーターを作動させる。
【0008】
これらの送達装置のデザインに関して考慮すべき点の1つは、汚染を回避するために臨床医と患者の皮膚との間の接触を防ぐことである。長さが少なくとも4インチであり、スポンジの頭部に対して30°〜90°の角度で方向付けされたハンドルを提供することによって、これは達成され得る。これは皮膚への適用のためには都合がよいが、例えば膣管中への消毒薬溶液の適用のためには完全に適切ではない。対照的に、キットで利用可能な典型的なスポンジスティックは、同一平面にスポンジおよびハンドルを有する。これは膣管を処理するためには適切であるが、臨床医の手と患者との間の接触の高い可能性のため、皮膚で使用することが困難である。
【0009】
米国特許第4,507,111号明細書は、さらにもう1つの外科用洗浄分配系を説明する。この発明において、消毒薬調製溶液は、細長い中空のハンドル部材において長軸方向にスライド可能であるように接着された別の細長いカートリッジに収容されている。ハンドル部材は、吸収性スポンジに取り付けられている。ハンドル部材は、中空ハンドル部材の内部から吸収性スポンジへの流体連通を提供する、部材内部に形成された2つの中空スパイクをさらに含む。スパイクが細長いハンドルを穿刺する時に、1つのスパイクは容器にベントを提供する役をし、そしてもう1つのスパイクは流体を送達する役をする。両スパイクが容器の一端に存在するため、適切にベントを提供するために必要な液頭差異を確実にするために、それらの間隔をあけていなければならず、そしてハンドルは正確な角度で保持されなければならない。多くの臨床医は、作動時に垂直配向でアプリケーターを保持するように訓練を受けている。しかしながら、このアプリケーターは、垂直に保持された時には適切にベントを提供しない。
【0010】
アプリケーターの外面に位置し得る微生物による患者の汚染を回避するために、典型的な消毒薬組成物アプリケーターは、無菌外面を伴って提供される。これらのアプリケーターの多くは、エチレンオキシド気体への暴露によって殺菌される。驚くべきことに、我々は、約500ミクロン未満の壁厚を有するポリエチレンボトル中にヨードフォアをベースとする消毒薬組成物を含有するキットが、著しいレベルのヨードヒドリン(2−ヨードエタノール)を含有することを見出した。ヨードヒドリンは、非常に毒性であると考えられており、容器を通して透過するエチレンオキシドと、消毒薬組成物中に見出されるヨウ化水素との反応によって形成されると思われる。エチレンオキシド自体も非常に毒性であり、医薬用装置におけるその副生物レベルは、食品医薬局(Food and Drug Administration)によって厳格に規制されている。過酸化水素プラズマ等のような他の気体による殺菌からも、同様の問題が生じ得る。従って、非ヨードフォア含有消毒薬組成物においても、殺菌間の容器中へのエチレンオキシドおよび他の化学殺菌剤の拡散を防ぐことは非常に望ましい。
【0011】
米国特許第4,799,815号明細書は、一端に吸収性スワブを有する、密封流体が充填された管が、外部ジグによる管の穿刺によって開放される、液体分配スワブアプリケーター系を記載している。流体は、管の外面上をスワブ中へと流出する。しかしながら、(術前(presurgical)流体のような)迅速に送達される必要がある多量の流量の低粘度流体に関して、吸収性物質が流体を吸収するよりも速い速度で流体が流出し、過剰の流滴および乱雑が生じるため、この送達法は実際的ではない。
【0012】
これらの製品は著しい進歩を提供しているが、それらの製造は複雑であり、何人かの保健医療消費者の資力を超えて、それらが配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、様々な実施形態において様々な利点を提供し得る皮膚消毒薬組成物ディスペンサーおよび使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
いくつかの実施形態において、皮膚消毒薬組成物ディスペンサーは、通常のエチレンオキシド殺菌プロセス間にエチレンオキシド気体に対して実質的に不透過性である1つ以上の壁を有する容器を含み得る。エチレンオキシドのような反応性殺菌剤は、活性抗菌剤と、または皮膚消毒薬組成物中の他の成分と反応して、効能を変更するか、または潜在的に毒性の化合物を生じ得る。例えばヨウ素、ならびに他の抗菌剤は、ディスペンサーの外面の殺菌間に容器中に移動するエチレンオキシドと潜在的に反応する。かかる皮膚消毒薬組成物の有効性は、エチレンオキシド気体への暴露によって損なわれ得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、金属箔バリヤー層を含まない屈曲性の壁を含む容器を提供することが望ましい。金属箔バリヤー層を含まない容器を使用することの潜在的な利点は、例えばアルミ箔のような金属箔層が、ヨウ素を含有する皮膚消毒薬組成物(例えば、ヨードフォア組成物)に暴露される場合は消毒薬組成物中のヨウ素量が迅速に低下し得ることである。金属箔層への消毒薬組成物の暴露は、コーティング中の、例えばピンホールまたは他の欠陥を通してであり得、すなわち消毒薬組成物と金属箔層との間の直接接触を防ぐことを他に意味する。消毒薬組成物中のヨウ素レベルの低下は、組成物の消毒効能の低下に関連し得る。
【0016】
金属箔バリヤー層を含まない壁で製造された容器のもう1つの潜在的な利点は、壁が好ましくは半透明または透明であってよいことである。半透明または透明である壁は、容器内の皮膚消毒薬組成物の視覚による監視を可能にし得る。対照的に、金属箔バリヤー層を含む壁は、典型的に不透明であり、従って、容器の内容物の視覚による監視を妨害する。
【0017】
金属箔バリヤー層を含まない壁で製造された容器のさらなる潜在的な利点は、いくつかの例において、容器を容易に、かつ安価に押出できることである。例えば、漏出する傾向があるフィンシールを含まずに、押出管形容器を製造することができる。
【0018】
また皮膚消毒薬組成物ディスペンサーは、容器内の皮膚消毒薬組成物を分配するために使用される1つ以上の開口部に加えて、1つ以上のベントを含んでもよい。ベントは、容器からアプリケーターへの皮膚消毒薬組成物の分配を補助し得る。ベントは、好ましくは密封されており、皮膚消毒薬組成物ディスペンサーは、捻り、または他の単純な運動によってシールの開放を補助する構造を含み得る。いくつかの例において、ベントシールは剥離によって開放され得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、皮膚消毒薬組成物ディスペンサーは、使用間のアプリケーターからの皮膚消毒薬組成物の流滴の低下または防止において有益であり得る、親水性フォームを有するアプリケーターを含む。驚くべきことに、親水性フォームは、(水性皮膚消毒薬組成物によって使用される場合)従来の疎水性フォームパッドと比較して優れた抗菌効能を提供することも示されている。親水性フォームは、例えば、35ダイン/センチメートル以上の見かけの表面エネルギーを有してよい。いくつかの皮膚消毒薬組成物に関連して、より高い表面エネルギーが望ましく、例えば40ダイン/センチメートル以上の見かけの表面エネルギーが好ましい。しかしながら、本発明のアプリケーターとして使用される親水性フォームが、45ダイン/センチメートル以上、できる限り50ダイン/センチメートル以上の見かけの表面エネルギーを有することが好ましい。いくつかの例において、親水性フォームが脱イオン水によって湿潤可能であること(従って、例えば70ダイン/センチメートル以上の見かけの表面エネルギーを有すること)が好ましい。
【0020】
いくつかの実施形態において、アプリケーターは、ディスペンサーのハンドル(例えば、容器)の長軸との角度を形成する傾斜主面を含んでよい。傾斜主面は、皮膚消毒薬組成物の適用間の使用者の手と患者の皮膚との接触の可能性を低下させるか、またはそれを防ぐ、使用者の手と患者の皮膚との間の空間のために提供され得る。傾斜主面によって形成される角度が大きすぎない場合、皮膚消毒薬組成物を、皮膚に、ならびに身体のオリフィス、例えば膣、直腸等内で適用するために、皮膚消毒薬ディスペンサーを使用することができる。
【0021】
一態様において、本発明は、内部体積を画定する容器と、容器の内部体積内に位置する皮膚消毒薬組成物と、その中に少なくとも1つの開口部を含む、容器に取り付けられた噴出口と、容器の内部体積と噴出口との間に位置する分配シールと、1センチメートルあたり35ダイン以上の見かけの表面エネルギーを有する親水性フォームを含む、噴出口上に位置するフォームパッドとを含む、皮膚消毒薬組成物ディスペンサーを提供する。
【0022】
もう1つの態様において、本発明は、金属箔層を含まない1つ以上の屈曲性の壁を含む管形状を有する、内部体積を画定する容器と、容器の内部体積内に位置する皮膚消毒薬組成物と、皮膚消毒薬組成物を分配するための分配手段とを含む、皮膚消毒薬組成物ディスペンサーを含む。容器は、皮膚消毒薬組成物の液体および蒸気相に対して不透過性であり、かつ容器は、20mg/時間/cm2以下の気体状エチレンオキシドに対する透過性を示す。
【0023】
もう1つの態様において、本発明は、金属箔層を含まない1つ以上の屈曲性の壁を有する管形状を含む、内部体積を画定する容器と、容器の内部体積内に位置する皮膚消毒薬組成物と、皮膚消毒薬組成物を分配するための分配手段とを含む、皮膚消毒薬組成物ディスペンサーを提供する。容器は、皮膚消毒薬組成物の液体および蒸気相に対して不透過性であり、かつ金属箔層を含まない1つ以上の屈曲性の壁は、内部層と外部層とを含み、内部層および外部層の少なくとも1つは、エチレンオキシドに対して実質的に不透過性である。
【0024】
もう1つの態様において、本発明は、長軸に沿って第2の端部から遠位にある第1の端部を有する、内部体積を画定する容器と、容器の内部体積内に位置する皮膚消毒薬組成物と、容器の第1の端部に近接する少なくとも1つの分配開口部と、少なくとも1つの分配開口部を閉鎖する分配シールと、容器の第2の端部に近接する少なくとも1つのベントオリフィスと、少なくとも1つのベントオリフィスを閉鎖するベントシールと、容器の第1の端部に取り付けられたアプリケーターとを含む、皮膚消毒薬組成物ディスペンサーであって、分配シールが開放された時に、少なくとも1つの分配開口部がアプリケーターと流体連通するディスペンサーを提供する。分配シールおよびベントシールが開放され、そして少なくとも1つのベントオリフィスが少なくとも1つの分配開口部上に位置する時に、重力下で、皮膚消毒薬組成物は分配開口部を通してアプリケーターに入る。
【0025】
もう1つの態様において、本発明は、使用のために皮膚消毒薬組成物ディスペンサーを調製する方法であって、前段落に記載の皮膚消毒薬組成物ディスペンサーを提供する工程と、分配シールを開放し、少なくとも1つの分配開口部がアプリケーターと流体連通する工程と、ベントシールを開放し、ベントオリフィスが開放される工程と、ベントオリフィスが分配開口部上に位置し、それによって皮膚消毒薬組成物がアプリケーター中に流動するように、容器を方向付けする工程とによる方法を提供する。
【0026】
もう1つの態様において、本発明は、使用のために皮膚消毒薬組成物ディスペンサーを調製する方法であって、内部体積を画定する容器と、容器の内部体積内に位置する皮膚消毒薬組成物と、容器に取り付けられたアプリケーターと、液体不透過性スリーブとを有し、アプリケーターが液体不透過性スリーブ内に位置する皮膚消毒薬組成物ディスペンサーを提供する工程と、容器からアプリケーター中へ皮膚消毒薬組成物を移動させて、アプリケーターによって保持されない皮膚消毒薬組成物が液体不透過性スリーブ内に保持される工程と、容器からアプリケーター中への皮膚消毒薬組成物の移動後に、液体不透過性スリーブからアプリケーターを取外す工程とによる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による皮膚消毒薬組成物ディスペンサーの一例の断面図。
【図2】本発明によるもう1つの皮膚消毒薬組成物ディスペンサーの部分的断面図。
【図3】本発明による皮膚消毒薬組成物ディスペンサーのための、1つのベントアセンブリの断面図。
【図4】本発明による皮膚消毒薬組成物ディスペンサーのための、もう1つのベントアセンブリの断面図。
【図5】本発明による皮膚消毒薬組成物ディスペンサーと関連する使用のための、もう1つの別のパッド形状の図。
【図6】本発明による皮膚消毒薬組成物ディスペンサーと関連する使用のための、もう1つの別のパッド形状の図。
【図7】本発明によるもう1つの皮膚消毒薬組成物ディスペンサーの図。
【図8】図7の皮膚消毒薬ディスペンサーの側面図。
【図9】本発明によるもう1つの皮膚消毒薬組成物ディスペンサーの図。
【図10】本発明の原理によるスリーブ中の皮膚消毒薬ディスペンサーのアプリケーターの部分的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点を、以下に、皮膚消毒薬ディスペンサーおよびそれらの使用方法の様々な例証となる実施形態に関連して、より完全に記載する。
【0029】
図1は、本発明の皮膚消毒薬組成物ディスペンサーの多くの態様を含む皮膚消毒薬組成物ディスペンサーの例証となる実施形態である。しかしながら、図1の皮膚消毒薬組成物ディスペンサーに描写される全ての特徴が、本発明に従う全ての皮膚消毒薬組成物ディスペンサーに必ずしも存在する必要はないことは理解されるべきである。言い換えれば、本発明の観点から可能であるいくつかの利点を達成するために、図1に描写される皮膚消毒薬組成物ディスペンサーの特徴が一致して使用されてもよく、または特徴の様々な組み合わせを利用してもよい。
【0030】
図1の皮膚消毒薬組成物ディスペンサー10は、例証となる実施形態において、端部21と22との間に延在する壁23によって管形状である容器20を含む。容器20は、円形断面を有する管の形態であってよいが、他の断面形状を有する管形容器が使用されてもよい(例えば、卵形、楕円形、六角形、長方形等)。しかしながら、それらの剛性、製造の容易さ等のため、直角柱の形状の管が好ましい。押出による容器の製造は、相対的に薄く(例えば、1000マイクロメートル未満、できる限り750マイクロメートル未満、そしてできる限り500マイクロメートル未満の壁厚)、エチレンオキシドのような殺菌性気体へのバリヤーとしても機能し得る構造を製造するために有用である。
【0031】
本発明のアプリケーターにおいて使用される容器は、ハンドルとして使用されてもよい。ハンドルとして使用される場合、容器は典型的に、少なくとも2、いくつかの例において少なくとも4、そして他の例において少なくとも6の縦横比(すなわち、長さ:直径)を有し得る。
【0032】
小規模の外科手順のための処理における使用に関して、本発明に関連して使用される容器における皮膚消毒薬組成物の量は、一般的に、例えば10平方センチメートル以上の領域を被覆できるべきであり、従って、典型的に例えば5〜15ミリリットル(ml)の体積を有するべきである。より大規模の外科手順に関して、アプリケーターは、少なくとも大きい人のトルソー、例えば少なくとも約500〜600平方センチメートルを被覆できるべきである。より大きい領域を被覆するために、容器は、少なくとも20ml、好ましくは少なくとも25ml、そしてより好ましくは少なくとも30mlの皮膚消毒薬組成物の体積を典型的に有してよい。
【0033】
本発明に関連して使用される容器は、(抗菌剤として)ヨウ素、ヨウ素錯体、クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩、またはそれらの組み合わせを含む皮膚消毒薬組成物によって充填されてよい。好ましいヨウ素錯体としては、ヨードフォア、例えば、ポビドンヨード USPを挙げることができる。好ましいクロルヘキシジン塩としては、例えばクロルヘキシジンジグルコネートおよびクロルヘキシジンジアセテートを挙げることができる。他の適切な抗菌剤としては、C2〜C5低級アルキルアルコール(例えば、エチルアルコール、1−プロパノールおよび2−プロパノールを含む)、パラクロロメタキシレノール(PCMX)、トリクロサン、ヘキサクロロフェン、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノカプレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノカプレートのようなグリセリンおよびプロピレングリコールの脂肪酸モノエステル、フェノール、界面活性剤、ならびに(C12〜C22)疎水性および第四級アンモニウム基を含むポリマー、ポリヘキサメチレンビグアニドのようなポリ第四級アミン、第四級アンモニウムシラン、銀、銀塩(例えば、塩化銀)、酸化銀およびスルファジアジン銀、メチル、エチル、プロピルおよびブチルパラベン、オクテニデン、過酸化物(例えば、過酸化水素および過酸化ベンゾイル)等、ならびにそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0034】
かかる皮膚消毒薬組成物の使用に関連する課題の中に、組成物がエチレンオキシド気体のような殺菌化合物に暴露される時に生じ得る潜在的な副生物を最小化させながら、アプリケーターの外面を殺菌する必要性が挙げられる。エチレンオキシドのような反応性殺菌剤は、活性抗菌剤と、または皮膚消毒薬組成物中の他の成分と反応して、効能を変更するか、または潜在的に毒性の化合物を生じ得る。例えば、約500マイクロメートル未満の壁厚を有する典型的な高密度ポリエチレンボトルは、エチレンオキシドが非常に容易に通過し、100パートパーミリオン(ppm)以上、いくつかの例においては200ppm以上、そしていくつかの例において600ppm程度の高さのヨードヒドリンレベルを有するヨードフォアプレップを生じさせる。
【0035】
もう1つの課題は、皮膚消毒薬組成物の有効性は、エチレンオキシド気体への暴露によって損なわれ得るということである。例えば、ヨウ素ならびに他の抗菌剤はエチレンオキシドと潜在的に反応し得、これによって皮膚消毒薬組成物の効能が変更される可能性がある。
【0036】
これらの課題を解決するために、エチレンオキシド気体に機能的に不透過性である材料の容器壁を構成することが有利であり得る。また選択される材料は、好ましくは、典型的な貯蔵条件下で適切な期間、ヨウ素、ヨウ素錯体、クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩またはそれらの組み合わせ、ならびに他の抗菌剤を含む皮膚消毒薬組成物の有効な貯蔵が可能でもある。
【0037】
上記の懸念に加えて、金属箔バリヤー層を含まない屈曲性の壁を含む容器を提供することが望ましい。本発明に関連して使用される場合、「屈曲性の壁」は、破壊または漏出することなく、容器内に位置する皮膚消毒薬組成物を分配するために手で圧縮できるか、または他の方法で変形できる壁を意味する。本発明と関連して使用される場合、「金属箔バリヤー層」は、皮膚消毒薬組成物中の成分、例えば、気体、液体、蒸気等の通過に対してバリヤーとして典型的に機能する金属または金属化合物の層を意味する。「金属箔バリヤー層を含まない」という句は、バリヤー層として作用する連続的な金属箔層を金属粒子が形成しないという条件で、内部に位置する金属粒子、例えばポリマー結合剤を含み得る層を含むように解釈されるべきではない。
【0038】
金属箔バリヤー層を含まない容器を使用することのもう1つの潜在的な利点は、例えばアルミ箔のような金属箔層が、ヨウ素を含有する皮膚消毒薬組成物(例えば、ヨードフォア組成物)に暴露される場合は消毒薬組成物中のヨウ素量が迅速に低下し得ることである。金属箔層への消毒薬組成物の暴露は、コーティング中の、例えばピンホールまたは他の欠陥を通してであり得、すなわち消毒薬組成物と金属箔層との間の直接接触を防ぐことを他に意味する。消毒薬組成物中のヨウ素レベルの低下は、組成物の消毒効能の低下に関連し得る。
【0039】
金属箔バリヤー層を含まない壁で製造された容器のもう1つの潜在的な利点は、壁が好ましくは半透明または透明であってよいことである。半透明または透明である壁は、容器内の皮膚消毒薬組成物の視覚による監視を可能にし得る。対照的に、金属箔バリヤー層を含む壁は、典型的に不透明であり、従って、容器の内容物の視覚による監視を妨害する。
【0040】
いくつかの実施形態において、金属箔バリヤー層を含まない屈曲性の壁のバリヤー特性を増強するために、セラミックバリヤーを含むことが望ましい。例えば、屈曲性の壁は、例えば200マイクロメートル以下、できる限り100マイクロメートル以下、そしていくつかの場合は50マイクロメートル以下の厚さのセラミック層を含んでよい。セラミックバリヤー層が薄いほど、壁の屈曲性を増強し得る。かかるセラミックバリヤーの例は、セラミス(CERAMIS)(カナダ、モントリオールのアルカン インコーポレイテッド(Alcan,Inc.,Montreal,Canada)から入手可能)として市販されている。ポリマー壁を有する容器の1つの潜在的な利点は、ポリマー押出およびラミネーション技術によって容器を製造することができることである。
【0041】
金属箔バリヤー層を含まない屈曲性の壁を有する容器を含む本発明の実施形態において、容器の壁は、好ましくは、容器内に位置する皮膚消毒薬組成物の液体および蒸気相に対して不透過性である。不透過性は完全ではなく、すなわち、皮膚消毒薬組成物内の1つ以上の成分のいくらかの小部分は容器の壁を通過してもよいが、典型的な条件下で通過する部分は機能的にわずかであることが理解されるだろう。例えば、14日間、摂氏60度の対流オーブン中に配置された、積送されるように包装された(すなわち、適切に充填され、密封された)典型的な容器は、典型的に、2重量%以下、好ましくは1重量%以下の内容物を損失する(少なくとも5の容器の試料径に関して)。
【0042】
また容器の壁の不透過性に加えて、(例えば、ヨウ素および他の抗菌剤のような)エチレンオキシド暴露に対して感応性である皮膚消毒薬組成物に関連して使用される容器の実施形態に関して、屈曲性の壁は、20mg/時間/cm2以下の気体状エチレンオキシドに対する透過性を示すことが好ましい。いくつかの実施形態において、気体状エチレンオキシドに対する透過性は、10mg/時間/cm2以下、できる限り1mg/時間/cm2以下程度の低さであってよい。本発明の容器のポリマー壁の気体状エチレンオキシドに対する透過性は、以下に記載の「気体状エチレンオキシド透過性」試験に従って決定される。
【0043】
ヨウ素含有皮膚消毒薬組成物によって使用される容器に関して適切であり得るポリマー壁構造の一例を、図2の拡大断面図に描写する。描写されるポリマー壁は、内部層25、任意の中間層26および外部層27を含む多層構造である。内部層25、中間層26および外部層27はそれぞれ、単一均質層として描写されるが、各層が1つ以上の副層、粒子、フィラメント等を含んでもよいことは理解されるだろう。
【0044】
内部層25は、容器20の内部体積と面し、そして好ましくは、容器20内に位置する皮膚消毒薬組成物の1つ以上の成分の液体および蒸気相に対して不透過性バリヤーを提供し得る。またいくつかの実施形態において、内部層25が、それ自体と(例えば、一端で管を圧縮し、平面シールを形成する)、または例えば円柱状容器の端部中に挿入された他の成分とヒートシールボンドを形成することができることが好ましい。例えば、内部層25はポリオレフィン(例えば、高密度ポリエチレンのようなポリエチレン等)であってよく、これは水蒸気に対して良好なバリヤーであり、熱的に密封可能な層としても機能し得る。
【0045】
外部層27は、容器20の内部体積と関連して、内部層25の外側に位置する。外部層27は、好ましくは、上記のとおり気体状エチレンオキシドに対して限定的な透過性を提供し得る。本明細書で外部層という用語が使用されるが、外部層27が容器の実際の外面を形成しても、形成しなくてもよいことは理解されるべきである。言い換えれば、本発明による容器の外部として追加的な層が提供されてもよい。
【0046】
気体状エチレンオキシドバリヤー層は、内部層、外部層および/または中間層であってよい。図2において、外部層27はバリヤー層であり、そして容器20内の皮膚消毒薬組成物の1つ以上の成分に対して不透過性であってもよい。例えば、皮膚消毒薬組成物中のアルコール(例えば、エタノールまたは2−プロパノール)が容器20から蒸発することを防ぐために、ポリエチレンテレフタレート(PET)層を使用することができる。消毒薬組成物がアルコールを含有する場合、容器壁の少なくとも1層が、消毒薬組成物中のアルコールに対して不透過性である材料から製造されることが好ましい(用語「不透過性」は上記のとおりである)。
【0047】
内部層25および外部層27の材料が互いに十分な付着を示さない場合は、内部層25と外部層27との間の接合層として機能するように中間層26が提供されてもよい。内部層26は、接着性の押出ポリマー層等であってよい。
【0048】
本発明に関連する使用のための適切な多層ポリマー壁構造の一例において、内部層25および外部層27の1つが、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(限定されないが、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレンおよびそれらの組み合わせが挙げられる)、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブチレンコポリマー等から形成されてよい。
【0049】
内部層25および外部層27から選択される第2の層が、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、例えば、テフロン(登録商標)(TEFLON(登録商標)))のようなフッ素化層、ポリアミド(例えば、ナイロン)、クロロトリフルオロエテン(アクラー(ACLAR))、ポリフッ化ビニリデン、ならびにテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデンのコポリマー(ダイネオン カンパニー(Dyneon Company)からのTHV フルオロサーモプラスチック(THV Fluorothermoplastic))のようなペルフッ素化モノマーと部分的フッ素化モノマーとのコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン(PVDC、例えば、サラン(SARAN)HB)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンおよびそれらの組み合わせ)から形成されてよい。配向および二軸配向ポリマーが特に好ましい。
【0050】
特に好ましいバリヤー構造としては、HDPE、PET、PETG、ポリエステルとポリオレフィンとのラミネート(特に、PET/HDPEまたはHDPE/PET/HDPE)、PETとEVOHとのラミネート、二軸配向ナイロン、PVDC、ナイロン/EVOH/ナイロン(オキシシールド(OXYSHIELD)OUB−R)、クロロトリフルオロエチレンおよびそれらのラミネート、酸化ケイ素(SiOx(式中、x=0.5〜2、好ましくは1〜2))を含むセラミック材料コーティング熱可塑性材料、およびセラミックコーティングPET(ニュージャージー州オークリッジのCCL コンテナー/チューブ ディビジョン(CCL Container/Tube Division,Oak Ridge,NJ)から入手可能なセラミス(CERAMIS))が挙げられる。
【0051】
これらの構造のそれぞれにおけるバリヤー層の厚さは、材料次第である。HDPEが唯一の成分である単層構造に関しては、HDPE層の厚さは、好ましくは750マイクロメートル以上、より好ましくは1000マイクロメートル以上である。他の構造は、25マイクロメートル以下程度の薄さであってもよい。例えば、良好に機能することが見出された構造の1つは、25マイクロメートルの厚さを有するアクラー(ACLAR)11Aであった。HDPE(各側で25マイクロメートル)によってコーティングされたPET(37マイクロメートル)のラミネートも良好に機能した。他の潜在的な構造を実施例に示す。
【0052】
図1に描写されるように、容器20の各端部は、好ましくは、容器20内の流体の漏洩を防ぐために密封されている。端部21において、容器20は、任意に、容器20の端部21に固定されたベントプラグ32を含むベントアセンブリ30によって密封されている。ベントプラグ32は、容器20の端部21において、いずれかの適切な技術、例えば接着によって、溶接(化学、スピン、熱、超音波等)によって、ガスケットによるねじ込みシール等によって固定されていてもよい。
【0053】
ベントプラグ32は、ベントプラグ32の開口部35上にシール34を含む。描写された実施形態において、開口部35は、ベントプラグ32を通る通路を他の方法で閉鎖するウェブ33に位置する。いくつかの実施形態において、開口部35は、ウェブ33と同じ大きさであってよいが、シール34が穿孔されるか、または他の方法で開放された後に、容器20内から過剰量の流体が開口部35を通して通過できないように、開口部35が著しく小さいことが好ましい。
【0054】
またベントアセンブリ30は、カバー36および関連する穿孔素子37を含んでもよい。カバー36は、不必要な開放からシール34を少なくとも部分的に保護するために機能し得る。また加えて、カバー36は、好ましくは、シール34の開放が望まれるまで、穿孔素子によるシール34の開放を抑制し得る。穿孔素子37は、ピアシング、引裂き、切断、パーフォレーティング等によってシール34を開放するように設計されている。例えば、穿孔素子は、シール34を穿刺するか、または切断開放する中空円形ダイの形態であってよい。
【0055】
一実施形態において、カバー36が下方へねじ込みされる場合に穿孔素子37がシール34を開放するように、カバー36は、ベントプラグ32によってねじ込み可能に係合していてもよい。もう1つの実施形態において、カバー36が下方に押される場合に穿孔素子37がシール34を開放するように、カバー36は、ベントプラグ32とスライド可能に係合している。他の変形は、例えば包装のような分野において当業者に既知である。
【0056】
シール34と穿孔素子37との間の接着しているが間隔をあけられた関係を維持するために、様々な機構を使用してよい。例えばカバー36は、ベントプラグ32または容器20自体とねじ込み可能に係合していてもよい。カバー36がその上に部分的にねじ込まれた後に、カバー36がベントプラグ32によって開放されることを防ぐために、デテントまたは他の構造が提供されることが好ましい。もう1つの代替において、ベントプラグ32上にカバー36をアセンブルするために使用されるねじは非逆性であってもよい。いずれのデテントまたは他の構造も、好ましくは、その上に部分的にねじ込まれた時に、穿孔素子37がシール34を不必要に穿孔しないように、ベントプラグ32上のカバー36の不必要または偶発的な進行を防ぐために、ベントプラグ32上のカバー36を抑制する。
【0057】
図1に描写されるベントアセンブリ30は、容器20内の著しい量の流体がそこから漏洩できないように、そして同様に容器20の外側の著しい量の流体、例えば空気または他の気体が容器20に入ることができないように、好ましくは、容器20の端部21を密封する機能を実行する閉鎖状態にある。著しい量とは、閉鎖状態においてベントアセンブリ30を通して、極微量の気体および/または流体は通過してもよいが、消毒薬プレップの効能を変更し得る機能的に著しい量は通過しないことを意味する。例えば、14日間、摂氏60度の対流オーブン中に配置された、積送されるように包装された(すなわち、適切に充填され、密封された)典型的な容器は、典型的に、2重量%以下、好ましくは1重量%以下の内容物を損失する(少なくとも5の容器の試料径に関して)。
【0058】
図3は、穿孔素子37によってシール34を開放させるために十分な距離によるベントプラグ32上への進行後のカバー36を描写する。さらに、ベントプラグ32上へのカバー36の進行後、ベントプラグ32上へのカバー36の進行の逆転を抑制または防ぐためにデテントまたは他の構造が提供されることが好ましい。カバー36がベントプラグ32とねじ込み可能に係合する場合、軸12に対するカバー36の回転によって、穿孔素子37が軸12に対して弓状に移動され、これは、カバー36が回転する時のシール34の開放に寄与し得る。
【0059】
カバー36は、穿孔素子37がベント通路を含むように、またはベント通路がカバー36のいずれかに提供されえるように設計されてよい。好ましくは、容器中へ空気が入ることを抑制するようにベントホールのような意図的なベント通路が提供されるため、消毒薬組成物は迅速に容器20から流出しない。容器20からの流出が迅速である場合、アプリケーターからの不必要な流滴が生じ得る。容器20からの流出速度を制限することが望ましいが、例えば、外科手順の間の使用のために遅すぎない速度で消毒薬組成物が容器から流出するように、十分大きい直径を有するベントホールを提供することも望ましい。
【0060】
速すぎず、また遅すぎない容器からの流出に関する所望の釣り合いを取る場合、皮膚消毒薬組成物が60秒以内、好ましくは45秒以内、そしてできる限り、より好ましくは30秒以内で容器から流出できることが好ましい。
【0061】
連続気泡親水性フォームの内部に分配される、例えば5〜10センチポアズ以下の粘度を有する消毒薬組成物(例えば、水性組成物)を含有するアプリケーターによって使用するために適切なベントホールは、例えば、2500マイクロメートル以下、より好ましくは2000マイクロメートル以下、そして最も好ましくは1800マイクロメートル以下の直径を有してよい。低限界では、適切なベントホール直径は、例えば、500マイクロメートル以上、好ましくは750マイクロメートル以上、またはできる限り1000マイクロメートル以上であり得る。
【0062】
穿孔されるか、または他の方法で開放されるまで、シール34は、流体が容器20内から開口部35を通して漏洩することを防ぐ。同様に、シール34は、好ましくは、シール34が穿孔されるか、または他の方法で開放されるまで、流体、例えば空気、殺菌剤(例えばエチレンオキシド)等が容器20に入ることを防ぐ。シール34自体は、様々な材料から構成されてよい。シール34は、容器壁に関して選択されたものと同様のバリヤー材料を含んでよいが、またシール34は金属箔ラミネート、例えばアルミ箔ラミネートを含んでもよい。箔ラミネートが熱的に密封可能なポリオレフィン層、ポリエステル層、アルミ箔層および1つ以上の中間接合層トリシール(TRISEAL)TS−PE/1(ニュージャージー州フレミントンのテクニ−プレックス(Tekni−plex,Flemington,NJ)から入手可能)を含むことが好ましい。金属箔ラミネートの代替として、シール34は2以上のポリマー層のラミネートとして構成されてもよく、金属層のみであっても、または本明細書に記載のバリヤー特性を提供することができるいずれかの他の適切な構造であってもよい。もう1つの代替において、シール34は、上記の容器壁と同一の構造によって製造されてもよい。
【0063】
接着によって、熱的に(例えば、ヒートシール、熱溶接、超音波等によって)、化学的溶接(例えば溶媒を使用して)等のようないずれかの適切な技術によって、シール34を容器20へと取り付けてもよい。
【0064】
描写された実施形態において、シール34の解放後にベントアセンブリを通しての流体の通過を抑制するような開口部35の大きさを使用する。あるいは、ベントプラグ32の内部を開放することができ、すなわち、抑制された開口部35を含まず、そして(例えば、ゆるいねじ構造等を通して)シール34の解放後の流体の通過に対して1つ以上の抑制された通路を提供するように、カバー36およびベントプラグ32を設計することができる。
【0065】
本発明による皮膚消毒薬組成物ディスペンサーに関連して使用されるベントアセンブリ30に関するもう1つの代替において、ねじ込みベントプラグ32およびカバー36を、例えば、望まれるまで穿孔素子37によるシール34の開放を抑制する所望の機能を提供するバヨネット装備カバーと交換することも可能である。バヨネット装備は、シール34の開放後のベントプラグ32上のカバー36の保持も提供し得る。シール34の保護、穿孔素子37の抑制、およびシール34の開放後のベントプラグ上のカバー36の保持が可能な他の機構は、具体的に本明細書に記載された例証となる実施形態の代わりに想像されてよい。
【0066】
本発明のディスペンサーにおいて、「ピンチポイント」を回避することも望ましい。ピンチポイントは、ディスペンサー中の成分が、使用者の皮膚、外科用グローブ、衣類等を挟むか、または他の方法で捕らえる様式で一緒になる位置である。ディスペンサー10に関して、例えば図1および図3に見られるとおり、カバー36の一部としてスカート39を提供することによって、ピンチポイントを回避することができる。スカート39は、カバー36がシール34を開放するように進行する前に他の状態で暴露されるいずれのねじまたはピンチポイント上に延在する。描写されないが、いずれの暴露されたねじまたはピンチポイントも被覆するように、分配アセンブリ40上にスカートを提供することができる。
【0067】
穿孔素子を含まないもう1つのベントアセンブリ130の一例を、図4に描写する。容器120の端部121は、ベントプラグ132上の取外し可能なシール134に沿って描写されている。シール134は、ベントプラグ132の開口部135を被覆する。描写されたシール134は、任意のタブ139を含む。タブ139を掴み、引いて、ベントプラグ132からシール134を取外すことができる。シール134を取外すと、開口部135は、空気または他の流体のための容器120中への通路を提供する。描写されないが、ベントプラグ132は、流体が開口部135を通して容器120に入り得るが、開口部135を通して容器120からの流体の排出は抑制されるような一方向のバルブを含み得る。
【0068】
次に、容器20の反対側の端部22について、本発明の皮膚消毒薬組成物ディスペンサーに関連して使用することができる分配アセンブリ40の一例を描写する。分配アセンブリ40は、容器20の末端22に位置するバリヤープラグ42を含む。バリヤープラグ42は、容器20の端部22において、いずれかの適切な技術、例えば接着によって、溶接(化学、スピン、熱、超音波等)によって、ガスケットによるねじ込みシール等によって固定されていてもよい。
【0069】
バリヤープラグ42は、バリヤープラグ42の開口部45上にシール44を含む。穿孔されるか、または他の方法で開放されるまで、シール44は、容器20内から開口部45を通しての液体の漏洩を防ぐ。同様に、シール44は、好ましくは、シール44が穿孔されるか、または他の方法で開放されるまで、流体、例えば空気が容器20に入ることを防ぐ。シール44自体は、様々な材料から構成されてよい。例えば、シール44は、金属箔を含むラミネート(例えば、アルミニウム/ポリマーラミネート)、容器壁構造の1つ、または上記シール34に関連して考察されたいずれかの他の適切な構造から形成されてよい。例えば、接着によって、熱的に(例えば、ヒートシール、熱溶接、超音波等によって)、化学的溶接(例えば溶媒を使用して)等のようないずれかの適切な技術によって、シール44を取り付けてもよい。
【0070】
また分配アセンブリ40は、分配チップ46および関連する穿孔素子47を含んでもよい。分配チップ46は、不必要な開放からシール44を少なくとも部分的に保護するために機能し得る。また加えて、分配チップ46は、好ましくは、シール44の開放が望まれるまで、穿孔素子47によるシール44の開放を抑制し得る。穿孔素子47は、ピアシング、引裂き、切断、パーフォレーティング等によってシール44を開放するために使用されるバーブを含んでよい。例えば、穿孔素子は、シール44を穿刺するか、または切断開放する中空円形ダイの形態であってよい。また分配チップ46は、その中に形成された開口部48を含み、これは、シール44が開放された後に、容器20内に位置する皮膚消毒薬組成物の通過を可能にする。
【0071】
シール44と穿孔素子47との間の接着しているが間隔をあけられた関係を維持するために、様々な機構を使用してよい。例えば分配チップ46は、バリヤープラグ42または容器20自体とねじ込み可能に係合していてもよい。分配チップ46がその上に部分的にねじ込まれた後に、分配チップ46がバリヤープラグ42によって開放されることを防ぐために、デテントまたは他の構造が提供されることが好ましい。もう1つの代替において、バリヤープラグ42上に分配チップ46をアセンブルするために使用されるねじは非逆性であってもよい。いずれのデテントまたは他の構造も、好ましくは、その上に部分的にねじ込まれた時に、穿孔素子47がシール44を不必要に穿孔しないように、バリヤープラグ42上の分配チップ46の不必要または偶発的な進行を防ぐために、バリヤープラグ42上の分配チップ46を抑制する。
【0072】
図1に描写される分配アセンブリ40は、容器20内の著しい量の流体がそこから漏洩できないように、そして同様に容器20の外側の著しい量の流体、例えば空気または他の気体が容器20に入ることができないように、好ましくは、容器20の端部22を密封する機能を実行する閉鎖状態にある。著しい量とは、閉鎖状態において分配アセンブリ40を通して、少量の気体および/または流体は通過してもよいが、機能的に著しい量は通過しないことを意味する。
【0073】
十分な距離で容器20の端部21に向けて、バリヤープラグ42上への分配チップ46の進行後、穿孔素子47は、シール44を穿孔するか、または他の方法で開放する。バリヤープラグ42上への分配チップ46の進行後、バリヤープラグ42上への分配チップ46の進行の逆転を抑制または防ぐためにデテントまたは他の構造が提供されることが好ましい。描写された分配チップ46がバリヤープラグ42とねじ込み可能に係合するため、軸12に対する分配チップ46の回転によって、穿孔素子47が軸12に対して弓状に移動され、これは、分配チップ46がシール44に関連して回転する時のシール44の開放に寄与し得る。
【0074】
ベントアセンブリ30のカバー36と、分配アセンブリ40の分配チップ46の両方が、容器20の対立する端部で皮膚消毒薬組成物ディスペンサー10とねじ込み可能に係合する場合、使用者が、軸12に対して反対方向でカバー36とチップ46を回転できるようにねじが提供されて、容器20の対立する端部でシール34および44を同時に開放することが望ましい。
【0075】
描写された皮膚消毒薬組成物ディスペンサー10において、アプリケーター50は、分配チップ46上の開口部48上に位置する。結果として、シール44が開放される時に、皮膚消毒薬組成物は開口部48を通過し、アプリケーター50中に入る。アプリケーター50は様々な材料、例えば、フォーム、不織繊維物、織物または編物構造、スティッチボンド構造等から製造されてよい。
【0076】
例えば吸収、吸着等によって流体を保持する材料からアプリケーター50を製造することが好ましい。潜在的に好ましい材料の一例は、連続気泡ポリウレタンフォームである。
【0077】
しかしながら、流体が通過可能であるフォームパッドからアプリケーター50を構成することが好ましい。いくつかの例において、相対的に親水性であるフォームからアプリケーター50を構成することが好ましい。親水性フォームは、例えば、35ダイン/センチメートル以上の見かけの表面エネルギーを有し得る。いくつかの皮膚消毒薬組成物に関連して、さらに高い見かけの表面エネルギーが望まれてもよく、例えば、40ダイン/センチメートル以上の見かけの表面エネルギーが好ましい。しかしながら、本発明でアプリケーターとして使用される親水性フォームが、45ダイン/センチメートル以上、できる限り50ダイン/センチメートル以上の見かけの表面エネルギーを有することが好ましい。いくつかの例において、親水性フォームが脱イオン水によって湿潤可能であること(従って、例えば70ダイン/センチメートル以上の見かけの表面エネルギーを有すること)が好ましい。特記されない限り、本明細書に記載の「見かけの表面エネルギー試験」手順に従って、見かけの表面エネルギーを決定する。
【0078】
驚くべきことに、従来の疎水性フォームと比較して、水性皮膚消毒薬組成物によって使用される親水性フォームは、優れた抗菌性の効能を提供する。例えば、臨床医(例えば、医師、看護婦等)の手の消毒に使用するフォーム洗浄たわしを使用して適用される水性消毒薬に関して可能である水性の増強に関して、同様の効能増強が可能であり得る。
【0079】
分配チップ46の開口部48とアプリケーター50の外面との間の最小距離が一般的に一定であることが好ましい。開口部48とアプリケーター50の外面との間の最小距離の均一性は、皮膚消毒薬組成物を分配する間のアプリケーター50からの皮膚消毒薬組成物の流滴の傾向を低下し得る。
【0080】
アプリケーター50を好ましくは均一に充填するために、分配チップ46における開口部48の大きさおよび分布を制御することも有用であり得る。開口部48の適切な寸法は、例えば5ミリメートル(mm)〜6.5mmであり得る。開口部48の大きさおよび分布は、様々な要因、例えば、分配チップ46を包囲するアプリケーター50の多孔性および見かけの表面エネルギー、容器20内の皮膚消毒薬組成物の粘度および表面張力、チップ46における開口部48の数等に基づき変化し得る。
【0081】
皮膚消毒薬組成物ディスペンサー10の使用意図次第で、アプリケーター50は様々な形状を取ってよい。アプリケーター50の1つの適切な形状は、例えば、図5に描写されるような円柱形であり得る。シリンダーが、描写されるような直角柱であることが好ましいが、斜角柱が提供されてもよい。
【0082】
本発明の皮膚消毒薬組成物ディスペンサーに関連して使用されるアプリケーターの形状のもう1つの変形を図6に描写する。皮膚消毒薬組成物ディスペンサー110の一部として描写されるアプリケーター150は、各端部で円形底部を有する円錐台の形態である。
【0083】
本発明による皮膚消毒薬組成物ディスペンサーに関連して使用されるアプリケーターの形状に関する、さらにもう1つの変形を、図7および図8に描写する。皮膚消毒薬組成物ディスペンサー210のアプリケーター250は、エッジ面254によって分離された2つの対向する主面252を含む。エッジ面254は、示される通り平坦であってもよいが、示される平坦な外形の代わりに他のエッジ外形が使用されてもよい。
【0084】
図8は、本発明の皮膚消毒薬組成物ディスペンサーに関連して使用されるアプリケーターのもう1つの潜在的な特徴を示す。容器220は、その長さに沿って長軸212を画定するように延在する。主面252は、軸212に一般的に平行である平面に位置してよいが、主面252が、容器220の長軸212と平行ではない平面に位置することが好ましい。示されたアプリケーター250の主面252は傾斜して、図7の長軸212との角度β(ベータ)を形成する。角度β(ベータ)は、例えば2.5°以上、好ましくは5°以上であってよい(これは、アプリケーター250の長さ、およびそれに連結される容器220の形態にいくらか依存する)。
【0085】
本明細書において、アプリケーターの主面が、平面に位置するように、または平面を画定するように記載される場合、主面それ自体が必ずしも平面状である必要がないことが理解されるべきである。むしろ、主面は、いくらか平面から逸脱してもよく、例えば、わずかに湾曲していても、波形であってもよく、または真の平面から逸脱した様々な他の表面を含んでもよい。
【0086】
アプリケーター250に傾斜主面252を提供することの潜在的な利点は、例えば患者の皮膚上での使用間に、表面252が皮膚に対して平坦に静止する時に、容器220(ハンドルとして機能する)が患者の皮膚から間隔をあけて離れていることである。結果として、使用者の手と患者の皮膚との間で空間が提供され得る。この空間によって、使用者の手と患者の皮膚との間の接触の可能性を低下させることができ、それによって、皮膚消毒薬組成物ディスペンサー210の使用における消毒技術が改善される。アプリケーター250が屈曲性かつ/または適合性(例えば、フォーム)である場合、傾斜主面252は、典型的に、身体のオリフィス、例えば膣、直腸等内で皮膚消毒薬組成物を分配するためのディスペンサー210の使用を妨げない。
【0087】
図7および図8に関して記載されてよいアプリケーターの変形の中でも、アプリケーターデザインの1つの変形は、長軸212と異なる角度で傾斜している主面を含み得る。もう1つの変形において、1つの主面は、長軸212に対して平行である平面に位置してよく、もう1つの主面は、長軸212に関連して傾斜している。
【0088】
容器220が細長い管形状の形態である場合、容器220によって画定された長軸212が主面252の一方または両方と交差しないように主面252が配置されることが好ましい。
【0089】
図9は、皮膚消毒薬組成物ディスペンサーに関連して使用されるアプリケーターのもう1つの変形を描写する。皮膚消毒薬組成物ディスペンサー310のアプリケーター350は、2つの主面352を含み、描写された実施形態において、これは一般的に互いに平行である。底主面352は、容器320によって画定される長軸312と角α(アルファ)を形成する平面に位置する。傾斜したアプリケーター350は、容器320内の皮膚消毒薬組成物を分配する間に、容器320上の使用者の手と患者の皮膚との間の空間を提供するために有用である。角度α(アルファ)は、好ましくは15°以下であってよく、いくつかの例においては10°以下であってよい。範囲の反対の限度に関しては、角度α(アルファ)が5°以上であることが好ましい。
【0090】
本発明の皮膚消毒薬組成物ディスペンサーのいくつかの実施形態のもう1つの任意の特徴を図10に描写する。皮膚消毒薬組成物ディスペンサー410は、一端にアプリケーター450を含む。しかしながら、アプリケーター450はスリーブ460中に位置する。スリーブ460は、好ましくは、容器420内に位置する皮膚消毒薬組成物に対して不透過性である材料(例えばフィルム等)から製造される。結果として、アプリケーター450がスリーブ460内に位置する時にアプリケーター450へと皮膚消毒薬組成物が送達される場合、アプリケーター450から漏出したいずれの皮膚消毒薬組成物もスリーブ460内に保持される。
【0091】
さらに、シールを穿孔して、消毒薬組成物をアプリケーター中に分配するために、使用者はスリーブ460を握ることもできる。次いで、スリーブ460を取外して、アプリケーターを暴露することができる。この様式において、使用者の手によるアプリケーターの汚染を生じることなく、アプリケーターが消毒薬組成物によって容易に充填される。
【0092】
スリーブ460は、その取外しが望まれるまで、アプリケーター450の周囲に好ましく保持される。アプリケーター450上に密接に適合するような大きさのスリーブ460によって、スリーブの保持がもたらされ得る。あるいは、スリーブ460は、その取外しが望まれるまで、アプリケーター450上にスリーブ460を保持することを補助するスポット溶接、接着剤または他の材料/構造を含んでもよい。
【0093】
皮膚消毒薬組成物ディスペンサー410に関連してスリーブ460を使用する方法の1つにおいて、容器420内の皮膚消毒薬組成物は、いずれかの適切な技術(例えば、容器420の搾出、重力下でアプリケーター450中に皮膚消毒薬組成物を排出させる等)によってアプリケーター450中に分配される。アプリケーター450から他の方法で流滴する皮膚消毒薬組成物はいずれもスリーブ460内に捕捉される。皮膚消毒薬組成物を容器420から分配した後、スリーブ460およびその中に位置するアプリケーター450を圧縮し、そして解放してよい。典型的に、この圧縮および解放手順によって、実質的に全ての皮膚消毒薬組成物がアプリケーター450中へと戻される(特に、アプリケーター450が親水性フォームから構成される場合)。その後、スリーブ460をアプリケーター450から取外すことができ、これによって次いで、いつでも患者への皮膚消毒薬組成物の分配に使用することができる。記載されたような様式で使用するために意図されたスリーブは、好ましくは屈曲性であり、記載されるようにアプリケーター450の圧縮が可能である。
【0094】
スリーブ460の体積は、好ましくは、少なくとも容器420中の皮膚消毒薬組成物の体積と同程度の大きさである。典型的に、必ずではないが、スリーブ460の体積は、容器420中の皮膚消毒薬組成物の体積の少なくとも200%である。スリーブ460の体積が容器420内の皮膚消毒薬組成物の体積の300%以上であることが好ましい。スリーブの体積は、取り付けられた分配チップを有さない直立のスリーブ中に完全に挿入された空のアプリケーターパッドによって計測される。スリーブを適切に充填することができる水の質量を記録し、密度を1g/cm3として仮定して体積へと変換する。スリーブの体積は大きくなく、スリーブがディスペンサーの作動を妨害することはない。例えば、いくつかの実施形態において、分配チップ46は容器に関連して回転し、分配シール44を開放する。容器の上方へと非常に遠くに延在するスリーブは、不注意にスリーブを握ることなく、アプリケーターパッドを被覆するスリーブを片手で握って、もう片手で容器を握ることを不都合にさせる。
【0095】
さらに、スリーブ460は、容器420に面する端部で好ましく開放され、スリーブ460はいずれかの過剰量の皮膚消毒薬組成物を保持することができ、そしてなお容易に取外され得ることは留意されるべきである。さらに、スリーブ460の開放によって、殺菌剤気体(例えば、エチレンオキシド)はフォームに入ってフォームを殺菌することができ、そして殺菌が完了した後に通気によって容易に除去することができる。
【0096】
ディスペンサー410においてスリーブ460によって被覆されたアプリケーター450は、エチレンオキシドのような殺菌剤に対して透過性である袋、ポーチ、箱等のような外装中にさらに包装されてもよい。この様式において、ディスペンサー410の全外部を殺菌することができる。使用時に、臨床医によって外装が取外されて、スリーブで被覆されたアプリケーター450は殺菌領域へと無菌状態で送達される。容器420中の消毒薬組成物はアプリケーター450中に放出されて、(必要であれば)スリーブで被覆されたアプリケーター450をマッサージすることによって分散される。最終的に、スリーブ460は取外されて、アプリケーター450を使用して消毒薬が患者に適用されて、容器420はハンドルとして機能する。
【0097】
アプリケーターおよび分配チップが、容器とねじ込み可能に、またはスライド可能に係合している実施形態において、スリーブ460は、好ましくは、作動間の機構における捕捉を防ぐために十分に剛性である。低密度ポリエチレンで製造されたスリーブに関して、スリーブの厚さは、例えば、50マイクロメートルより厚く、より好ましくは75マイクロメートルより厚く、そして最も好ましくは85マイクロメートルより厚くてよい。
【0098】
試験手順
以下の試験手順を使用して、本発明に関連して上記で考察された物性を決定する。
【0099】
気体状エチレンオキシド透過性試験
以下の手順を使用して、明示された時間量に対する与えられた単位面積上で様々なポリマーフィルムを通過するエチレンオキシド(ETO)の透過を測定した。既知の厚さのフィルムを、2つのガラス試験チャンバー(底部において直径1.6インチ(4.06cm))間に固定し、各側でO−リングによってフィルムに密封した。100%ETOのシリンダーを60psi(0.41Mpa)の圧力下でフィルムの上流に配置し、そして2時間、木炭吸着管を通して40ml/時間で下流チャンバーを窒素気体によってスイープさせながら、上流チャンバーを通して緩慢に10ml/時間のETOの流れを通過させた。8mm×100mmの木炭管は2セクション、すなわち前部(400mg)および後部(200mg)において20228オーボ ココナット(ORBO Coconut)殻木炭を含有し、これはペンシルバニア州ベレフォンテのスーペルコ(Supelco,Bellefonte,Pa)から入手可能である。
【0100】
理想的に、ETOは前部で捕捉される。全てではなくても大部分のETOが前部で見出されることを示すために、後部を分析する。後部で著しいETO(>10%)が見出される場合、管は過負荷され、いくらかのETOが通過したことを暗示する。
【0101】
個々のセクションを試料管から取外し、2.0mLのアセトンによって2時間より長い時間で抽出し、ETOを脱着した。
【0102】
以下の装置および条件を使用して、ガスクロマトグラフィー(GC)によって抽出物溶液を分析した。
機器:エジレント テクノロジーズ(Agilent Technologies)6890GCまたは5890GC、あるいは同等のもの
カラム:エジレント(Agilent)HP−イノワックス(INNOWAX)30m×0.25mm 0.5μフィルム
担体:1.6mL/分のヘリウム
インジェクション:1μL スプリット 1/20(200℃)
オーブンプログラム:30℃(4分保持)、次いで20℃/分で240℃まで(10分保持)
検出:炎イオン化(240℃)
【0103】
これらの条件下で、エチレンオキシドは2.0+/−0.1分のピークとして溶出した。室温および圧力でエチレンオキシド気体の既知体積を収集することによってETOの参照溶液を調製した。既知体積のアセトンを含有する密封された容器中にこれをインジェクションし、これは極めて溶解性であった。アセトンによるこの標準物質の連続希釈によって、既知濃度の一連の標準物質溶液を作製した。
【0104】
試料抽出物と同一条件下で標準物質をインジェクションし、ピーク面積対ETO濃度のキャリブレーション曲線を設定した。この曲線におけるピーク面積値の補間によって、試料濃度を推定した。従って、ETO透過(mL/時間/インチ2)=(ETO抽出物濃度×(気体のmL/溶液のmL))×(抽出物溶液体積(mL))/(フィルム面積(インチ2))×(試験時間(時間))
(式中、抽出物溶液体積=2mL
フィルム面積=1.227インチ2(7.916cm2
試験時間=2時間)
【0105】
ETO透過を、mL ETO/時間/インチ2からmL ETO/時間/cm2へと変換した。次いで、0.882g/ccに等しいETO密度を使用して、ETO透過をmg ETO/時間/cm2へと変換し、マイクロメートル単位のフィルム厚で除算して、mgのETO/時間/cm2/μmを得た。
【0106】
気体状エチレンオキシド残留物試験
小型(3インチ(7.62cm)インチ×5インチ(12.70cm))の二重ヒートシールされたポーチを、表1aに列挙された第1の12種のフィルムからの幅0.48cmのシールラインによって構成した。ポーチに25mLの水道水を充填し、ミネソタ州セントポールの3M(3M,St.Paul,MN)からの3M ステリバック 4XL ETO ステリライザー(STERIVAC 4XL ETO Sterilizer)の標準ETO殺菌サイクルに暴露した。殺菌サイクルは、4.5時間の37℃でのETOへの暴露と、2.25時間の通気時間であった。
【0107】
ポーチの内容物を除去し、ANSI/AAMI/ISO 10993−7 医療用デバイスの生物学的評価−パート7(Biological Evaluation of Medical Devices−Part 7):エチレンオキシド殺菌およびANSI/AAMI St30(Ethylene oxide sterilization and ANSI/AAMI St30):ミネソタ州ミネアポリスのバイオテスト ラボラトリーズ,インコーポレイテッドによる医療用デバイスにおける残留エチレンクロロヒドリンおよびエチレングリコールの決定(Determining Residual Ethylene Chlorohydrins and Ethylene Glycol in Medical Devices by Biotest Laboratories,Inc.Minneapolis,MN)を使用して、ETO残留物、ならびに変換生成物、エチレンクロロヒドリン(ECH)およびエチレングリコール(EG)に関して分析した。結果をパートパーミリオン(ppm)で報告した。
【0108】
見かけの表面エネルギー
表面エネルギーの測定方法は、下記の変更を伴ってAATCC試験法118−1983であった。この変更された試験法に従って測定された表面エネルギーは、本明細書において「見かけの」表面エネルギーとして称される。変更されたAATCC試験法118−1983は、一連の選択されたメタノール/水組成物による湿潤に対するアプリケーターの抵抗を評価することによって、布またはフォームの表面エネルギーを決定する。アプリケーター抵抗試験において様々なメタノールおよび水の混合物を利用することによって、表面エネルギー範囲の測定を達成することができる。ハンドブック オブ ケミストリー アンド フィジックス(Handbook of Chemistry and Physics)第56版、第F−42頁、CRCプレス(CRC Press)に与えられたデータから、データをプロットし、次式:表面張力=−0.0000777x3+0.0163756x2−1.3499137x+71.1475488(式中、x=メタノールの体積%)を使用して回帰曲線を作成することによって、表面張力値を推定した。
【0109】
組成およびそれらの代表的な表面張力は以下の通りである。
【0110】
【表1】

【0111】
試験手順は以下の通りであった。アプリケーターフォーム材料の試験片を、試験に使用される主面が水平であるように配置した。便宜上、約50%相対湿度で23℃〜25℃(室温)で試験を実行した。上記で示された最低表面張力試験液から始まることを除きAATCC118−1983法を使用して、5滴の試験液をアプリケーターの表面上に穏やかに置いた。液滴は表面上に置かれ、すなわち表面上に落下されず、または表面に衝撃を与えないことに留意すべきである。アプリケーターが均質ではない場合(例えば、ラミネートまたは他の非均質構造)、含浸した消毒薬組成物に面する表面上の様々な位置に試験液を置いた。5滴のうち3滴が60秒以内にアプリケーター中に透過した場合、次のより高い表面エネルギーの試験液を使用した。少なくとも3滴がアプリケーター表面上に残った場合、少なくとも3滴が吸収された最高数の液体の値として見かけの表面エネルギーを記録した。(表面を湿潤する液体に関して、液体の表面張力は固体の表面エネルギー未満でなければならない。見かけの表面エネルギーのより正確な決定は、上記の表に示される数の流体の中間の表面張力を有する流体を調製することによって達成され得る。)
【0112】
ヒトの皮膚の抗菌活性
健康な志願者の背中(「乾燥」部位と考えられる)に組成物を適用し、ベースラインの細菌フローラ数がASTM法の第7.1項に記載されるものほど高くなかったことを除き、ASTM試験法E−1173−93 手術前皮膚処理の評価のための標準試験(Standard Test for Evaluation of a Pre−operative Skin Preparation)と同様の方法で、抗菌活性に関して2つの配合物を検査した。プレップを、製造者の指示ごとに、ベータダイン サージカル スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)(7.5% ポビドン−ヨード、コネチカット州ノーウォーク、パーデュー フレデリック カンパニー(Purdue Frederick Company,Norwalk,CT))と、ベータダイン サージカル ソリューション(BETADINE Surgical Solution)(10% ポビドン−ヨード「塗料」、コネチカット州ノーウォーク、パーデュー フレデリック カンパニー(Purdue Frederick Company,Norwalk,CT))との2工程適用と常に比較した。全ての研究は乱塊法であった。
【0113】
研究日に、ベースライン細菌数のための2つの試料を、脊椎の反対側で1つは上部の背中から、そしてもう1つは低部の背中から採取した。試験配合物および対照を、背中で、通常、上部の背中4箇所および低部の背中4箇所でランダム化した。適用の完了から2.0分後、全ての部位から残りの細菌を試料採取した。実施例5に記載のとおり、2つのスポンジ、アプリケーターチップ上にスポンジ番号3およびスポンジスティック上にスポンジ番号4をそれぞれ使用して配合物を適用した。前後運動で30秒間(約30回)、適度な圧力によって簡単に2×5インチ(5.08×12.7cm)のストライプを塗布することによって、プレップを適用した。製造者の指示に従って、ベータダイン サージカル スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)およびベータダイン サージカル ソリューション(BETADINE Surgical Solution)を適用した。簡単に、飽和したガーゼによってベータダイン サージカル スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)を塗布して5分間洗浄し、拭き取り、そして中心かららせん状に外側へベータダイン サージカル ソリューション(BETADINE Surgical Solution)を適用した。
【0114】
ASTM試験法E1173の第8.2〜8.3項に従って、最小8の被験者を使用した。全ての被験者は、最低2週間、抗菌製品の使用を控えた。各組成物に関して、ベースラインからの平均ログ減少を決定した。多数の部位を実行した場合、各部位のログ減少を決定した。結果を平均ログ減少(ログ減少値の数平均)で報告した。
【0115】
ASTM試験法E1173−93の第6.7項に従って試験される各配合物に関して、適切な中和剤を最初に決定したことを留意すべきである。大部分のポリマー系に関して、以下の中和試料溶液を使用した。0.4gのリン酸二水素カリウム、10.1gのリン酸水素ナトリウム、1.0gのトリトン(TRITON)X100界面活性剤(テキサス州ヒューストンのユニオン カーバイド コーポレイション(Union Carbide Corp.,Houston TX)から入手可能)、4.5gのレシチン(CAS #8002−43−5,ニュージャージー州フェアローンのフィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific,Fairlawn,NJ)からカタログ番号03376−250として入手可能)、45.0gのトウィーン(TWEEN)80(ICI)、1.0gのチオ硫酸ナトリウム、および総体積1リットルをもたらす脱イオン水。全ての成分を一緒に添加し、溶解するまで約60℃まで撹拌しながら加熱することによって、試料溶液を調製した。次いで、容器中に置き、蒸気殺菌した。
【0116】
【表2】

【実施例】
【0117】
実施例1
上記気体状エチレンオキシド透過性試験を使用して、様々な厚さの市販品として入手可能な熱可塑性材料フィルムをETO透過性に関して評価した。29の評価されたより有用なフィルムの記述を表1aに示し、そしてフィルムの厚さおよびETO透過性試験の結果を表1bに示す。
【0118】
円形試料を2つのボトルのそれぞれから切断した。1つのボトルはHDPE(テキサス州ヒューストンのソルベー ポリエチレン ノース アメリカ(Solvay Polyethylene North America,Houston,TX)からフォーティフレックス(FORTIFLEX)B53−35H−011 ナチュラルとして市販品として入手可能)から製造され、そしてもう1つのボトルはPP/EVOH/PP/PPであり、ケチャップのボトル詰めのために使用された(ペンシルバニア州ピッツバーグのH.J.ハインツ(H.J.Heinz,Pittsburgh,PA)から市販品として入手可能)。気体状エチレンオキシド透過性試験を使用して、試料を評価した。試料の厚さおよびETO透過性試験の結果を表1bに示す。
【0119】
【表3】

【0120】
【表4】

【0121】
【表5】

【0122】
一般的に、このデータは、バリヤーフィルム厚の増加によって殺菌剤気体エチレンオキシドの透過性が減少することを示す。しかしながら、同一の化学的分類の中でも差異があるように見える。例えばフィルム5〜10は、それらが同一の一般化学的分類に属するにもかかわらず、著しい透過性の差異を示す。これは、主要バリヤー層(フッ素化熱可塑性層)の厚さ、および/または主要バリヤー層の結晶化度、および/または構造中の他の層に関連し得る。一般的に、フィルム構造7、11、17、19および21〜24が、0.011mg/ETO/時間/cm2/ミクロン未満またはそれに等しい透過性の値を有し、最良に機能した。非常に厚いHDPE(>2000ミクロン)がエチレンオキシドに対して相対的に低い透過性を有したことも明白である。
【0123】
実施例2
試験手順において上記された気体状エチレンオキシド残留物試験を使用して、12の様々な厚さの市販品として入手可能な熱可塑性材料フィルムから構成した12のポーチの内容物を、ETO、ECHおよびEGに関して分析した。
【0124】
フィルムの記述を表1aに示し、そしてフィルムの厚さおよび試験結果を表2に示す。
【0125】
【表6】

【0126】
材料の選択は、非常に低いか、または検出不可能なレベルのETO、ECHまたはEGを有するフィルムの知見に基づいた。気体状ETO透過性試験および気体状ETO残留物試験は、0〜0.93mlのETO/時間/cm2の透過性の範囲にわたって互いに非常に関連があることが見出された。従って、簡単な気体状ETO残留物試験を使用して材料を認定した。
【0127】
実施例3
一端で密封された11の共押出トリラミネート管(ウィスコンシン州バラブーのティール プラスチックス カンパニー(Teel Plastics Company,Baraboo,WI)によって製造)に、与えられた体積の水を充填した。管は19mmの外径を有し、かつ長さ16.8cmであった。HDPEから粉砕された固体プラスチックプラグを、スコッチ ウェルド(SCOTCH Weld)DP100接着剤(3Mから市販品として入手可能)によって未封端部中に接着した。充填された管を37℃で4.2時間、3M ステリバック 4XL 100% ETO ステリライゼーション サイクル(3M STERIVAC 4XL 100% ETO Sterilization Cycle)中で殺菌し、2.2時間通気した。管から水を除去し、実施例2に関して記載されたとおりに分析した。管の化学的記述、厚さ、大きさ、および与えられた体積のETO殺菌水の分析結果を表3に報告する。
【0128】
加えて、スウェーデン、カルマーのノルディック パック インターナショナル(Norden Pac International,Kalmar,Sweden)から得た2つの一層HDPE管試料、および表3に示される壁厚を有する、2つのプラスチックアンプル(長さ4インチ(10.2cm)および内径0.74インチ(1.88cm))をHDPEから粉砕した。管およびアンプルに水を充填し、殺菌し、そしてトリラミネート管と同様の様式で水を分析した。
【0129】
この結果も表3に示す。
【0130】
【表7】

【0131】
これらの実施例は、PETおよびHDPEから製造された構造がETOに対して優れたバリヤーを提供することを実証する。またこれらの構造は、半透明または透明であり、相対的に薄く、そして相対的に製造が低コストである。相対的に薄いポリエチレンボトル(17ミル(432ミクロン))は、高レベル(300ppmを超える)のエチレンオキシドを有した。しかしながら、2500ミクロンより厚い壁厚を有するHDPEアンプルは、化学殺菌剤エチレンオキシドに対して優れたバリヤーであることが証明された。これは、相対的に厚いHDPEはエチレンオキシドに対して有効なバリヤーであることを示した実施例1の結果と一致していることを留意すべきである。
【0132】
実施例4:セラミックバリヤー
カナダ、オンタリオ州ドンミルスのCCLインコーポレイテッドのCCLコンテナーディビジョン(CCL Container a division of CCL Ind.,Don Mills,Ontario,Canada)からいくつかのセラミス(CERAMIS)管を得た。管は、内径0.88インチ(2.2cm)および長さ(頸状部の基部から管の端部まで測定)4.52インチ(11.48cm)を有し、表4aに記載の層から構成されたラミネートから製造された。
【0133】
【表8】

【0134】
管の一端は頸状部であった。2つの頸状部デザインを評価した。1)ねじ部を有する鼻(nasal)チップ、および2)#16頸状部を有する、より大きい開口部(0.313インチ(0.795cm)の内部開口部径および0.469インチ(1.19cm)の外部ねじ径を有する、ねじ込みチップ)。調和するねじ込みキャップがいくつかの他の管の端部上に配置されながら、箔ラミネートバリヤーフィルムをいくつかの管の頸状部の端部に熱溶接した。
【0135】
次いで、頸状部の反対端部を通して管を約26mlの水で充填し、バーヒートシーラーを使用して熱的に密封した。セラミス(CERAMIS)管は全て透明であり、流体レベルの視覚化を可能にする。
【0136】
キャニスター4−134および37℃サイクルを使用して、3M ステリバック 4XL エチレンオキシド ステリライザー(STERIVAC 4XL Ethylene Oxide Sterilizer)で管を殺菌した。ステリライザーのチャンバーは、115リットルの体積を有した。4−134キャニスターによってエチレンオキシド(127g)を送達し、ETO供与量1104mg/lを得た。サイクル完了後の1時間(非常に短い通気時間)未満に管を取外し、そして試験までドライアイス中に包装した。
【0137】
エチレンオキシド(ETO)、エチレンクロロヒドリン(ECH)およびエチレングリコール(EG)のレベルに関して管を試験した。ANSI/AAMI/ISO 10993−7 医療用デバイスの生物学的評価−パート7(Biological Evaluation of Medical Devices−Part 7):エチレンオキシド殺菌およびANSI/AAMI ST30(Ethylene oxide sterilization and ANSI/AAMI ST30):ミネソタ州ミネアポリスのバイオテスト ラボラトリーズ インコーポレイテッドによる医療用デバイスにおける残留エチレンクロロヒドリンおよびエチレングリコールの決定(Determining Residual Ethylene Chlorohydrins and Ethylene Glycol in Medical Devices by Biotest Laboratories,Inc.Minneapolis,MN)に従って試料を試験した。比較目的のため、#16チップおよび箔シールを有する箔ラミネート管もCCLから得た。水を充填したが殺菌していない対照管も試験して、ETO、ECHおよびEGが存在しないことを確認した。
【0138】
試験結果を表4bに示す。
【0139】
【表9】

【0140】
この結果は、セラミス(CERAMIS)ラミネートはエチレンオキシドに対して優れたバリヤーであったことを示す。管端部上の箔シールおよびキャップの組み合わせによって、管中への最小のエチレンオキシドの侵入および箔管に匹敵するレベルが提供されるように見えた。
【0141】
実施例5
試験手順に記載の見かけの表面エネルギー試験法を使用して、市販品として入手可能であるか、またはディスペンサーの一部として入手可能である7つのスポンジを、見かけの表面エネルギーに関して分析した。
【0142】
表5aは、スポンジの記述を含む。表5bは、スポンジの見かけの表面エネルギーを含む。
【0143】
【表10】

【0144】
【表11】

【0145】
試験された患者の皮膚または臨床医の手を消毒するために使用された市販品として入手可能なスポンジ(番号1、2、4、5、6および7)は、23℃で試験された時に33ダイン/cm未満またはそれに等しい見かけの表面エネルギーを有することが見出された。親水性スポンジ(スポンジ番号3)は、23℃で試験された時に水よりも大きい見かけの表面エネルギー(72ダイン/cm)を有し、33ダイン/cmよりはるかに大きいことが見出された。
【0146】
実施例6
試験手順に記載のヒトの皮膚の抗菌活性を使用して、親水性スポンジ(実施例5におけるスポンジ番号3)および疎水性スポンジ(スポンジ番号4)を使用して、ヒト志願者の皮膚に表6aの消毒薬配合物AおよびBを適用した。
【0147】
【表12】

【0148】
生データをログ10 コロニー形成単位(CFU)/cm2へと変換した。二重ベースラインログ数の平均から処理後ログ数を引くことによって、プレップ配合物のそれぞれに関してログ減少を算出した。ログ数およびログ減少の平均および標準偏差を算出した。研究は乱塊法であったため、各被験者は各処理を受けた。興味深い主な比較は、スティック上の親水性スポンジ番号3対疎水性スポンジ番号4であった。
【0149】
表6bは、得られたログ減少を示す。
【0150】
【表13】

【0151】
驚くべきことに、この結果は、両消毒薬配合物AおよびBに関して、親水性スポンジ番号3が疎水性スポンジ番号4と比較して著しく高いログ減少をもたらすことを示す(確率<0.03)。
【0152】
前記明示された実施形態は、本発明の実施の例証である。本発明は、本明細書に明確に記載されていないいずれの要素または項目が存在しなくても適切に実施されてよい。
【0153】
本発明の様々な修正および変更は、本発明の範囲から逸脱することなく当業者に明白であり、本発明が本明細書に明らかにされた例証となる実施形態に過度に限定されないが、請求項に明白にされた限定およびそれらの限定と同等であるいずれかのものによって規制されることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部体積を画定する容器と、
容器の内部体積内に位置する皮膚消毒薬組成物と、
その中に少なくとも1つの開口部を含む、容器に取り付けられた噴出口と、
容器の内部体積と噴出口との間に位置する分配シールと、
1センチメートルあたり35ダイン以上の見かけの表面エネルギーを有する親水性フォームを含む、噴出口上に位置するフォームパッドと、
を含む、皮膚消毒薬組成物ディスペンサー。
【請求項2】
親水性フォームが、1センチメートルあたり40ダイン以上の見かけの表面エネルギーを有する、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項3】
親水性フォームが、1センチメートルあたり45ダイン以上の見かけの表面エネルギーを有する、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項4】
皮膚消毒薬組成物が、ヨウ素、ヨウ素錯体、クロルヘキシジンおよびそれらの組み合わせよりなる群から選択される薬剤を含む、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項5】
皮膚消毒薬組成物が、1センチメートルあたり50ダイン以下の表面張力を有する、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項6】
皮膚消毒薬組成物が、1センチメートルあたり45ダイン以下の表面張力を有する、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項7】
皮膚消毒薬組成物が、1センチメートルあたり40ダイン以下の表面張力を有する、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項8】
容器が、皮膚消毒薬組成物の液体および蒸気相に対して実質的に不透過性であり、かつ容器が、20mg/時間/cm2以下の気体状エチレンオキシドに対する透過性を示す、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項9】
容器が、金属箔層を含まない1つ以上の屈曲性の壁を含む管形状を含む、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項10】
金属箔層を含まない1つ以上の屈曲性の壁が、内部体積に面する内部層と、内部体積から離れた方に向く外層とを含み、かつ内部層および外部層の少なくとも1つが、皮膚消毒薬組成物の液体および蒸気相に対して実質的に不透過性であり、そしてさらに内部層および外部層の少なくとも1つが、20mg/時間/cm2以下の気体状エチレンオキシドに対する透過性を示す、請求項9に記載のディスペンサー。
【請求項11】
外部層がポリエステルを含む、請求項10に記載のディスペンサー。
【請求項12】
内部層が、ポリオレフィン層、ハロゲン化ポリオレフィン層およびペルフルオロラジカル含有熱可塑性層よりなる群から選択される、請求項10に記載のディスペンサー。
【請求項13】
容器が、長軸を画定する細長い管形状を含み、かつフォームパッドが少なくとも1つの主面を含み、かつ少なくとも1つの主面が、長軸に平行ではない平面に位置し、そしてさらに長軸が少なくとも1つの主面と交差しない、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項14】
容器が、長軸を画定する細長い管形状を含み、かつフォームパッドが2つの対向する主面を含み、かつ各主面が、長軸に平行ではない平面を画定し、そしてさらに長軸が、2つの対向する主面の少なくとも1つと交差しない、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項15】
長軸が、2つの対向する主面のいずれとも交差しない、請求項14に記載のディスペンサー。
【請求項16】
分配シールが、容器中の分配オリフィス上に取り付けられたシール層を含む、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項17】
噴出口がバーブを含み、かつ容器に関連する噴出口の回転が、バーブによる分配シールの穿孔を進行させる、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項18】
容器が、容器の内部体積中へと開放しているベントを含み、ベントがフォームパッドから離れて位置する、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項19】
ベントが、ベントオリフィスと、ベントオリフィスを閉鎖するベントシールとを含む、請求項18に記載のディスペンサー。
【請求項20】
ベントシールが、ベントオリフィス上で容器に取り付けられたシール層を含む、請求項19に記載のディスペンサー。
【請求項21】
ベントシールがバーブを含み、互いに関連するベントシールおよび容器の回転が、バーブによるベントシールの穿孔を進行させる、請求項19に記載のディスペンサー。
【請求項22】
フォームパッドを含有する大きさの液体不透過性スリーブをさらに含み、フォームパッドがスリーブ内に位置する、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項23】
スリーブが、容器中の皮膚消毒薬組成物の体積の200%以上のスリーブ体積を含む、請求項22に記載のディスペンサー。
【請求項24】
金属箔層を含まない1つ以上の屈曲性の壁を含む管形状を含む、内部体積を画定する容器と、
容器の内部体積内に位置する皮膚消毒薬組成物と、
皮膚消毒薬組成物を分配するための分配手段と、
を含む、皮膚消毒薬組成物ディスペンサーであって、
容器が、皮膚消毒薬組成物の液体および蒸気相に対して不透過性であり、かつ容器が、20mg/時間/cm2以下の気体状エチレンオキシドに対する透過性を示すディスペンサー。
【請求項25】
皮膚消毒薬組成物が、ヨウ素、ヨウ素錯体、クロルヘキシジンおよびそれらの組み合わせよりなる群から選択される薬剤を含む、請求項24に記載のディスペンサー。
【請求項26】
金属箔層を含まない1つ以上の屈曲性の壁が、内部体積に面する内部層と、内部体積から離れた方に向く外層とを含み、かつ内部層および外部層の少なくとも1つが、皮膚消毒薬組成物の液体および蒸気相に対して実質的に不透過性であり、そしてさらに内部層および外部層の少なくとも1つが、20mg/時間/cm2以下の気体状エチレンオキシドに対する透過性を示す、請求項24に記載のディスペンサー。
【請求項27】
外部層がポリエステルを含む、請求項26に記載のディスペンサー。
【請求項28】
内部層が、ポリオレフィン層、ハロゲン化ポリオレフィン層およびペルフルオロラジカル含有熱可塑性層よりなる群から選択される、請求項26に記載のディスペンサー。
【請求項29】
容器中の分配オリフィス上に取り付けられたシール層を含む分配シールをさらに含む、請求項24に記載のディスペンサー。
【請求項30】
容器が、容器の内部体積中へと開放しているベントを含み、ベントが分配オリフィスから離れて位置する、請求項29に記載のディスペンサー。
【請求項31】
ベントが、ベントオリフィスと、ベントオリフィスを閉鎖するベントシールとを含む、請求項30に記載のディスペンサー。
【請求項32】
金属箔層を含まない1つ以上の屈曲性の壁を含むシリンダーを含む、内部体積を画定する容器と、
容器の内部体積内に位置する皮膚消毒薬組成物と、
皮膚消毒薬組成物を分配するための分配手段と、
を含む、皮膚消毒薬組成物ディスペンサーであって、
容器が、皮膚消毒薬組成物の液体および蒸気相に対して不透過性であり、かつ金属箔層を含まない1つ以上の屈曲性の壁が、内部層と外部層とを含み、内部層および外部層の少なくとも1つが、エチレンオキシドに対して実質的に不透過性であるディスペンサー。
【請求項33】
皮膚消毒薬組成物が、ヨウ素、ヨウ素錯体、クロルヘキシジンおよびそれらの組み合わせよりなる群から選択される薬剤を含む、請求項32に記載のディスペンサー。
【請求項34】
外部層がポリエステルを含む、請求項32に記載のディスペンサー。
【請求項35】
内部層が、ポリオレフィン層、ハロゲン化ポリオレフィン層およびペルフルオロラジカル含有熱可塑性ポリオレフィン層よりなる群から選択される層を含む、請求項32に記載のディスペンサー。
【請求項36】
容器中の分配オリフィス上に取り付けられたシール層を含む分配シールをさらに含む、請求項32に記載のディスペンサー。
【請求項37】
容器が、容器の内部体積中へと開放しているベントを含み、ベントが分配オリフィスから離れて位置する、請求項36に記載のディスペンサー。
【請求項38】
ベントが、ベントオリフィスと、ベントオリフィスを閉鎖するベントシールとを含む、請求項37に記載のディスペンサー。
【請求項39】
ベントシールが、ベントオリフィス上で容器に取り付けられたシール層を含む、請求項38に記載のディスペンサー。
【請求項40】
長軸に沿って第2の端部から遠位にある第1の端部を含む、内部体積を画定する容器と、
容器の内部体積内に位置する皮膚消毒薬組成物と、
容器の第1の端部に近接する少なくとも1つの分配開口部と、
少なくとも1つの分配開口部を閉鎖する分配シールと、
容器の第2の端部に近接する少なくとも1つのベントオリフィスと、
少なくとも1つのベントオリフィスを閉鎖するベントシールと、
容器の第1の端部に取り付けられたアプリケーターと、
を含む、皮膚消毒薬組成物ディスペンサーであって、
分配シールが開放された時に、少なくとも1つの分配開口部がアプリケーターと流体連通し、
分配シールおよびベントシールが開放され、そして少なくとも1つのベントオリフィスが少なくとも1つの分配開口部上に位置する時に、重力下で、皮膚消毒薬組成物が分配開口部を通してアプリケーターに入るディスペンサー。
【請求項41】
分配シールを開放するための第1の回転手段と、ベントシールを開放するための第2の回転手段とをさらに含む、請求項40に記載のディスペンサー。
【請求項42】
第1の回転手段および第2の回転手段が、容器の長軸に対して反対方向で回転して、分配シールおよびベントシールを開放する、請求項41に記載のディスペンサー。
【請求項43】
ベントシールが開放タブを含む、請求項40に記載のディスペンサー。
【請求項44】
アプリケーターが、1センチメートルあたり35ダイン以上の見かけの表面エネルギーを有する親水性フォームパッドを含む、請求項40に記載のディスペンサー。
【請求項45】
親水性フォームが、1センチメートルあたり40ダイン以上の見かけの表面エネルギーを有する、請求項44に記載のディスペンサー。
【請求項46】
親水性フォームが、1センチメートルあたり45ダイン以上の見かけの表面エネルギーを有する、請求項44に記載のディスペンサー。
【請求項47】
使用のために皮膚消毒薬組成物ディスペンサーを調製する方法であって、
請求項40に記載の皮膚消毒薬組成物ディスペンサーを提供する工程と、
分配シールを開放し、少なくとも1つの分配開口部がアプリケーターと流体連通する工程と、
ベントシールを開放し、ベントオリフィスが開放される工程と、
ベントオリフィスが分配開口部上に位置し、それによって皮膚消毒薬組成物がアプリケーター中に流動するように、容器を方向付けする工程と、
を含む方法。
【請求項48】
分配シールを開放する工程が、容器の長軸に対してアプリケーターを回転させる工程を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
ディスペンサーが、ベントシール上にベントカバーを含み、そしてベントシールを開放する工程が、容器の長軸に対してベントカバーを回転させる工程を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
分配シールを開放する工程が、容器の長軸に対して第1の方向でアプリケーターを回転させる工程を含み、かつディスペンサーが、ベントシール上にベントカバーを含み、そしてさらにベントシールを開放する工程が、容器の長軸に対して第2の方向でベントカバーを回転させる工程を含み、なおさらに第1の方向が第2の方向と反対である、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
ベントシールを開放する工程が、容器からベントシールを取外す工程を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
ベントシールがタブを含み、そしてベントシールを開放する工程が、ベントオフィリスが開放されるように容器からベントシールを剥離する工程を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
分配シールを開放する工程が、分配シールを穿孔する工程を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
ベントシールを開放する工程が、ベントシールを穿孔する工程を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
使用のために皮膚消毒薬組成物ディスペンサーを調製する方法であって、
内部体積を画定する容器と、容器の内部体積内に位置する皮膚消毒薬組成物と、
容器に取り付けられたアプリケーターと、液体不透過性スリーブとを含み、アプリケーターが液体不透過性スリーブ内に位置する皮膚消毒薬組成物ディスペンサーを提供する工程と、
容器からアプリケーター中へ皮膚消毒薬組成物を移動させて、アプリケーターによって保持されない皮膚消毒薬組成物が液体不透過性スリーブ内に保持される工程と、
容器からアプリケーター中への皮膚消毒薬組成物の移動後に、液体不透過性スリーブからアプリケーターを取外す工程と、
を含む方法。
【請求項56】
容器からアプリケーター中への皮膚消毒薬組成物の移動後に、液体不透過性スリーブおよびその中に位置するアプリケーターを圧縮する工程をさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
アプリケーターが、1センチメートルあたり35ダイン以上の見かけの表面エネルギーを有する親水性フォームを含むフォームパッドを含む、請求項55に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−115514(P2010−115514A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−16479(P2010−16479)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【分割の表示】特願2004−543271(P2004−543271)の分割
【原出願日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】