説明

皮膚炎症治療用の薬剤組成物を調製するためのメトロニダゾールの使用

本発明は、皮膚炎症、好ましくは酒さの炎症構成部分の治療用の薬剤組成物を調製するためのメトロニダゾールの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚炎症の分野に関するものであり、より詳細には酒さにおける皮膚炎症の治療に関する。本発明は、皮膚炎症の治療、より詳細には酒さにおける皮膚炎症の治療に有用である新規な薬剤組成物、より詳細には皮膚用組成物を提供すること、および活性剤としてメトロニダゾールを含むことを対象とする。
【背景技術】
【0002】
酒さは、血管の不安定性と関連する慢性かつ進行性の広義の炎症性皮膚炎である。それは、主として顔の中心部分に作用し、顔の赤みもしくは熱い潮紅、顔の紅班、丘疹、膿庖および血管拡張症によって特徴付けられる。重篤な症例では、特に男性では、鼻の軟組織が膨張し、酒さ鼻と呼ばれる球状の膨張がもたらされることがある。
【0003】
酒さは一般に、年齢25〜70で発症し、顔貌の整った人達での発症がはるかに多い。それは特に女性に作用するが、その疾患は一般に、男性の方がより重い。酒さは慢性的であり、何年間も継続し、その間再燃期間と寛解期間がある。
【0004】
酒さはもともと、「酒土性座瘡」と呼ばれた。というのはその丘疹(皮膚がわずかに盛り上がっている部位)およびその炎症性膿疱(膿痂皮)は、通常の座瘡のそれと非常に類似しているからである。その病因が、異常な角質化、皮脂産生の増加およびバクテリアによる炎症に基づいている通常の座瘡と異なり、酒さの炎症は本質的に血管性であり、理解が不十分である。この顔面の血管異常の結果として、真皮の恒常的な浮腫がもたらされ、これに伴ってニキビダニ、すなわち顔面の小胞中に通常見られるダニの定着が増加することもある。
【0005】
様々な研究によれば、ニキビダニは、酒さにおいて病因的な役割を果たしていると考えられている(Erbagiら、1998年、Int. J. Dermatol.、37巻、421〜425頁; Purcellら、1986年、J. Am. Acad. Dermatol.、15巻、1159〜1162頁; Sibengeら、1992年、J. Am. Acad. Dermatol.、26巻、590〜593頁)。ニキビダニは、顔面の毛嚢脂腺小胞をブロックすることによって炎症反応を引き起こしたりまたは悪化させたりし、その結果、丘疹および膿庖がもたらされると思われる(Roihuら、1998年、J. Cutan. Pathol.、25巻、550〜552頁)。さらにこの寄生虫が体液性免疫応答の引き金になると考えられている(Nunziら、1980年、Br. J. Dermatol.、103巻、543〜551頁; Mannaら、1982年、Br. J. Dermatol.、107巻、203〜208頁)。
【0006】
酒さの病因はあまり判明していない。必ずしもこの病訴を招くとはいえないが、多数の因子が関与している可能性がある。その因子として、例えば、心理学的な要因、胃腸疾患、環境因子(温度、湿度、日光への暴露)、情緒的な要因(ストレス)、食事の因子(アルコール、香辛料)、ホルモン性因子もしくは血管性因子、またはヘリコバクタピロリへの感染がある。
【0007】
酒さは4つの段階で進行するが、すべての段階を通過するとは限らない:
血管弛緩である第1段階(約20歳で)。患者の顔面および首に、熱い感覚と共に突発性の群発性赤みが現れるが、全身性の兆候はない。発症後、顔面の皮膚は正常に戻る。こうした「潮紅」の引き金は、温度の変化(高温恐怖症の元になる場合もある)、および熱い飲料もしくはアルコールの摂取である;
紅班性血管拡張症である第2段階(約30歳で)。頬骨の領域が広く赤い。標準的な酒土性座瘡を構成する拡張性毛細管がその領域に見られる。段階1と異なり、その赤みは永続性である。頬に加えて、顎および前頭部の中間にも症状が現れることがある;
丘疹-膿庖である第3段階(約40歳で)。直径2〜3ミリメートルの丘疹および膿庖が、ニキビを伴うことなく、紅班のバックグランド上に発達する。この皮膚炎は非常に広範囲であることがあり、男性の頭皮の頭髪のない部分にまで達することもあるが、口および眼の周囲の領域にはない。患者は、多くの局所用製品およびグリース性化粧品に対する不快感を自覚して、敏感な皮膚についての不満を述べる;
酒さ鼻である第4段階(約50歳以上で)。他の段階と異なり、この後期相は主として、男性に作用する。鼻の体積が増加し、広く赤く、ろ胞門口部が拡張する。皮膚は徐々に厚くなる。
【0008】
軽微な酒さは、抗脂漏性剤や抗感染症剤、例えば過酸化ベンゾイルやレチノイン酸などの活性剤で治療することができる。広がった形態の大部分の病訴についていえば、この形態はサイクリンによる一般的な抗生物質療法によく反応する。しかし、こうした治療には、刺激もしくは不耐現象など、患者にとって不快な副作用がある。
【0009】
さらに、酒さの多数の因子の側面のため、この容態に対して膨大な数の治療法があるが、患者に対するリスクのない有効な治療法を求めての研究が続いている。
【0010】
本出願人の調査によって、メトロニダゾールとある種のインターロイキンの分泌物、より詳細には特に酒さの炎症プロセスに関与するインターロイキン5、インターロイキン6およびインターロイキン10の分泌物との相互作用が実際に示された。
【0011】
ニキビダニへの感染が体液性免疫反応の引き金になる。体液性免疫反応には、2型ヘルパーT細胞(Th2)の活性化が含まれる。未投薬のT細胞のTh2細胞への分化はインターロイキン6によって誘発される。次いでこのTh2細胞が、インターロイキン4、インターロイキン5およびインターロイキン10を産生し、これらがB細胞の活性化および抗体の産生を刺激する。
【0012】
「好酸性コロニー刺激因子」とも呼ばれるインターロイキン5(IL-5)はTリンパ球によって分泌される。これは、造血型の成長因子群の中に分類することができる。というのは、これが寄生虫感染症との戦いにおいて重要な役割を果たす好酸球の成長、分化および活性を刺激するからである。インターロイキン5は、好酸球に対して走化性剤としても作用する。IL-5は、Bリンパ球の増殖および免疫グロブリンの分泌を誘発する。
【0013】
「肝細胞刺激因子」、「ハイブリドーマ成長因子」または「B細胞刺激因子」とも呼ばれるインターロイキン6(IL-6)は、特にT細胞、単核細胞および線維芽細胞によって分泌される糖タンパクである。それは、Bリンパ球の成長及び分化を刺激し、プラズマ細胞として、血小板の発生を増加させる。それは、肝細胞の活性化を介して、フィブリノーゲンやC反応性タンパクなどの炎症タンパクの分泌を誘発する。それは炎症促進作用を有する。
【0014】
インターロイキン10(IL-10)は、Tリンパ球、Bリンパ球および肥満細胞によって産生される。IL-10は、特にBリンパ球に対して作用し、小型Bリンパ球の生存力を増加させ、クラスIIのHLA分子の発現を増加させる。このインターロイキンは肥満細胞の増殖の調節にも関与する。
【0015】
メトロニダゾール、または(2-メチル-5-ニトロイミダゾリル)-2-エタノールは、その抗菌、抗寄生虫および抗原虫特性のために従来技術において周知である。それは、嫌気性微生物および低酸素細胞に対して選択的な毒性を発揮する。後者では、メトロニダゾールは還元されて、そうした細胞のDNA構造を損なうことができる誘導体になる。
【非特許文献1】Erbagiら、1998年、Int. J. Dermatol.、37巻、421〜425頁
【非特許文献2】Purcellら、1986年、J. Am. Acad. Dermatol.、15巻、1159〜1162頁
【非特許文献3】Sibengeら、1992年、J. Am. Acad. Dermatol.、26巻、590〜593頁
【非特許文献4】Roihuら、1998年、J. Cutan. Pathol.、25巻、550〜552頁
【非特許文献5】Nunziら、1980年、Br. J. Dermatol.、103巻、543〜551頁
【非特許文献6】Mannaら、1982年、Br. J. Dermatol.、107巻、203〜208頁
【非特許文献7】Endoら、1993年、Int. Arch. Allergy Immunol.、101巻、425〜430頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本出願人の研究によって、ある種のインターロイキンが皮膚炎症プロセスに関与すること、より詳細にはインターロイキン5、インターロイキン6およびインターロイキン10が皮膚炎症、さらに詳細には酒さの炎症構成部分に関与することが実際に示された。
【0017】
次に本出願人により、皮膚炎症、より詳細には酒さの炎症構成部分に対するメトロニダゾールの有利な特性が実際に示された。
【0018】
驚くべきことに、メトロニダゾールを使用するとインターロイキンの分泌、より詳細にはIL-5、IL-6およびIL-10の分泌が緩和されるという結果が得られることが分かった。メトロニダゾールを使用するとインターロイキンの分泌、より詳細にはIL-5、IL-6およびIL-10の分泌が抑制されるという結果が得られることも分かった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
先に示したように、本発明は、皮膚炎症を治療するための新規な方法を提供することを対象とするものであり、その方法では、少なくとも1つのインターロイキンの分泌を緩和および/または抑制できるメトロニダゾールの有効量をかかる炎症に罹患したヒトに投与する。より詳細には、本発明は、皮膚炎症を治療するための新規な方法を提供することを対象とするものであり、その方法では、IL-5、IL-6およびIL-10を含む群から選択される1つ、2つまたは3つのインターロイキンの分泌を緩和および/または抑制できるメトロニダゾールの有効量をかかる炎症に罹患したヒトに投与する。
【0020】
したがって、本発明は、より詳細には、皮膚炎症、好ましくは酒さの炎症構成部分の治療用の薬剤組成物を調製するためのメトロニダゾールの使用に関するものである。
【0021】
より詳細には、本発明は、皮膚炎症治療用の薬剤組成物を調製するためのメトロニダゾールの使用に関するものであって、前記炎症は、IL-5、IL-6およびIL-10を含む群から選択される1つ、2つまたは3つのインターロイキンの分泌によってもたらされる。
【0022】
より詳細には、本発明は、酒さの炎症構成部分の治療用の薬剤組成物を調製するためのメトロニダゾールの使用に関するものであって、その組成物中のメトロニダゾールは、IL-5、IL-6およびIL-10を含む群から選択される少なくとも1つのインターロイキンの分泌を緩和、有利には抑制することが可能である。
【0023】
本発明は、上に定義された通りの薬剤組成物を調製するためのメトロニダゾールの使用にも関するものであって、このメトロニダゾールは、IL-5、IL-6およびIL-10を含む群から選択される2つまたは3つのインターロイキンの分泌を緩和、有利には抑制することが可能である。
【0024】
より詳細には、本発明の主題である薬剤組成物は、皮膚への局所塗付用の皮膚用組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明によれば、用語「皮膚炎症の治療」とは、皮膚炎症の治療および/または予防を意味する。
【0026】
本発明によれば、用語「酒さの炎症構成部分の治療」とは、上述の1つまたは複数の段階における酒さの治療および/または予防を意味する。
【0027】
本発明の第1の実施形態によれば、組成物は、第1段階の酒さの治療を目的とする。
【0028】
本発明の第2の実施形態によれば、組成物は、第2段階の酒さの治療を目的とする。
【0029】
本発明の第3の実施形態によれば、組成物は、第3段階の酒さの治療を目的とする。
【0030】
本発明の第4の実施形態によれば、組成物は、第4段階の酒さの治療を目的とする。
【0031】
好ましい実施形態によれば、組成物は、組成物の全重量に対して、0.0001〜20重量%のメトロニダゾール、好ましくは0.1〜2重量%のメトロニダゾール、より好ましくは約0.75〜1重量%のメトロニダゾールを含む。
【0032】
言うまでもなく、本発明は、メトロニダゾールの使用の他に、その誘導体の使用にも関するものである。用語「誘導体」とは、1つまたは複数の化学基の置換、付加または除去によってメトロニダゾールとは異なるが、実質的に活性が同じである化合物を意味する。
【0033】
有利には、本発明の組成物は、メトロニダゾールの他に、治療の効果を増すことができる少なくとも1つの他の治療剤を含む。そうした薬剤の非制限的な例として、抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、抗真菌剤、麻酔剤、鎮痛薬、抗アレルギー剤、レチノイド、フリーラジカル捕捉剤、抗掻痒剤、角質溶解剤、抗脂漏剤、抗ヒスタミン剤、スルフィド、免疫抑制剤および抗増殖剤を挙げることができる。
【0034】
本発明の組成物は、メトロニダゾールに適合する、薬剤または皮膚科の分野で通常使用されるいかなる添加剤も含むことができる。特に、金属イオン封鎖剤、抗酸化剤、日焼け止め、例えばDL-α-トコフェロールなどの防腐剤、フィラー、電解質、湿潤薬、染料、通常の無機もしくは有機の酸もしくは塩基、香料、精油、美容活性剤、保湿剤、ビタミン、必須脂肪酸、スフィンゴ脂質、DHAなどのセルフタンニング化合物、アラントインなどの皮膚用の鎮静および保護剤、浸透促進剤およびゲル化剤を挙げることができる。言うまでもなく、当業者なら、本発明による組成物の有利な特性が不利な影響、または実質的に不利な影響を受けないように、このもしくはこれらの任意選択の添加化合物および/またはその量を注意して選択するであろう。
【0035】
こうした添加剤は、組成物の全重量に対して組成物中0〜20重量%の割合で存在することができる。
【0036】
金属イオン封鎖剤の例として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、およびその誘導体または塩、ジヒドロキシエチルグリシン、クエン酸および酒石酸、あるいはその混合物を挙げることができる。
【0037】
防腐剤の例として、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ジアゾリジニル尿素およびパラベン、またはその混合物を挙げることができる。
【0038】
湿潤薬の例としてグリセロールおよびソルビトールを挙げることができる。
【0039】
本発明の組成物は、組成物の全重量に対して好ましくは0〜20重量%の範囲、より好ましくは0.6〜3重量%の範囲の濃度で1つまたは複数の浸透促進剤を含むことができる。好ましく使用される浸透促進剤の中で、このリストに限定されないが、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジペラルゴン酸プロピレングリコール、ラウログリコール、エトキシジグリコールなどの化合物がある。
【0040】
有利には、本発明による組成物は、好ましくは0〜10%の範囲、より好ましくは0.1〜2%の範囲の濃度で1つまたは複数の湿潤用液体界面活性剤も含むことができる。
【0041】
本発明の組成物は、局所適用用として通常使用されるどんな製剤形態でよく、特に水性、水性-アルコール性もしくは油性の溶液;ローションタイプの分散液;水性、無水もしくは親油性のゲル;脂肪相を水相中(O/W)または逆に(W/O)分散させることによって得られる、液体もしくは半液体コンシステンシーのミルクタイプの乳濁液;あるいはソフト、半固体もしくは固体コンシステンシーのクリーム、ゲルもしくは軟膏タイプの懸濁液もしくは乳濁液;あるいはイオン性および/または非イオン性タイプのミクロエマルジョン、ミクロカプセル、ミクロ粒子もしくは小胞性分散液の形態にすることができる。
【0042】
好ましくは、クリームは、直ちに乳濁する、鉱油と水の混合物または蜜ロウと水の混合物から配合することができ、これに、アーモンドオイルなどの少量のオイルに溶解したメトロニダゾールを加える。
【0043】
軟膏は、アーモンドオイルなどのオイルにメトロニダゾールを溶解した溶液を温パラフィン中に混合した後、混合物を放冷することによって配合することができる。
【0044】
本発明による組成物の例として(重量%表示で)
水0〜90%、好ましくは5〜25%、特に10〜20%;
湿潤用液体界面活性剤0〜10%、好ましくは0〜2%、特に0〜0.5%;
浸透促進剤0〜20%、好ましくは0〜10%、特に2〜5%;
メトロニダゾール0.0001〜20%、好ましくは0.1〜2%;
含む活性相、および、pHに無関係なゲル化剤と水とを含む水性相を含む組成物を挙げることができる。
【0045】
乳濁液の形態の本発明による組成物の水性相は、水、ヤグルマ草水などの花水あるいは、例えばeau de Vittel、Vichy basinの水、eau d'Uriage、eau de la Roche Posay、eau de la Bourboule、 eau d'Enghien-les-Bains、eau de Saint Gervais-les-Bains、eau de Neris-les-Bains、eau d'Allevard-les-Bains、eau de Digne、eau de Maizieres、eau de Neyrac-les-Bains、eau de Lons-le-Saunier、les Eaux Bonnes、eau de Rochefort、eau de Saint Christau、eau des Fumades、eau de Tercis-les-Bains、eau d'Avene およびeau d'Aix-les-Bainsから選択される天然泉水もしくは鉱水を含むことができる。
【0046】
前記水性相は、組成物の全重量に対して10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%の含有量で存在することができる。
【0047】
非限定的な例として、SEPPIC社から名称Simulgel 600で販売されているアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート-80混合物や例えばSEPPIC社から名称Sepigel 305で販売されている製品であるポリアクリルアミド/C13-14 イソパラフィン/ラウレス-7混合物などのポリアクリルアミドファミリー;名称Aculyn 44で販売されているPEG-150/デシル/SMDIコポリマー(プロピレングリコール(39%)と水(26%)の混合物中に、少なくとも、成分として、150または180モルのエチレンオキシドを含むポリエチレングリコールと、デシルアルコールと、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)とを含む重縮合物35重量%)など、疎水性鎖にカップリングされたアクリルポリマーファミリー;および名称Structure Solanaceで販売されている変性ポテトデンプンなどの変性デンプンファミリー;あるいはその混合物のゲル化剤を挙げることができる。
【0048】
好ましいゲル化剤は、Simugel 600、Sepigel 305、またはその混合物などのポリアクリルアミドファミリーに由来するものである。
【0049】
上に記載したゲル化剤は、好ましくは0.1〜15%の範囲、より好ましくは0.5〜5%の範囲の濃度で使用することができる。
【0050】
ゲルは好ましくは、カルボマー、ポロキサマーまたはセルロースベースタイプのゲル中に適切な割合でメトロニダゾールを分散または溶解することによって調製することができる。
【0051】
本発明の他の利点および特徴は、メトロニダゾールの活性に関する以下の実施例から理解されるであろう。
【0052】
実施例
実施例1
インターロイキンの分泌に対するメトロニダゾールの活性
材料および方法
IL-5、IL-6およびIL-10の分泌の測定を、Endo(Endoら、1993年、Int. Arch. Allergy Immunol.、101巻、425〜430頁)が使用した方法に従って末梢血単核球(PBMC)について行った。PBMCをヘパリン処理した末梢静脈血から単離し、密度勾配遠心分離によって分離し、RPMI 1640媒体中に懸濁させる。インターロイキンの分泌を刺激するために、20μg/mlのコンカナバリンAの存在下でPBMCを成長させる。次いで細胞をメトロニダゾールの存在下37℃で48時間インキュベートする。次いで培地の上澄液を回収し、インターロイキンの分泌のレベルを試験するために使用する。IL-5、IL-6およびIL-10の産生を、免疫測定用酵素キット(R&D System)を使用して定量する。製造者のアドバイスに従って試験を2度行う。結果を対照値の百分率および対照値の変動の百分率として示す(表1)。
【0053】
PBMCによるIL-5、IL-6およびIL-10の産生をメトロニダゾール10μMの存在下で研究する。
【0054】
【表1】

【0055】
このように、メトロニダゾールはインターロイキン-5、インターロイキン-6およびインターロイキン-10の分泌を抑制する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚炎症治療用の薬剤組成物を調製するためのメトロニダゾールの使用。
【請求項2】
前記皮膚炎症が、IL-5、IL-6およびIL-10を含む群から選択される少なくとも1つのインターロイキンの分泌によってもたらされることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記皮膚炎症が、IL-5、IL-6およびIL-10を含む群から選択される2つまたは3つのインターロイキンの分泌によってもたらされることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記炎症が、酒さの炎症構成部分であり、メトロニダゾールが、IL-5、IL-6およびIL-10を含む群から選択される少なくとも1つのインターロイキンの分泌を緩和することが可能であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
メトロニダゾールが、IL-5、IL-6およびIL-10を含む群から選択される2つまたは3つのインターロイキンの分泌を緩和することが可能であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
メトロニダゾールが、IL-5、IL-6およびIL-10を含む群から選択される少なくとも1つのインターロイキンの分泌を抑制することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
メトロニダゾールが、IL-5、IL-6およびIL-10を含む群から選択される2つまたは3つのインターロイキンの分泌を抑制することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記薬剤組成物が、局所適用用の皮膚用組成物であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
組成物が、少なくとも1つの段階の酒さを治療するためのものであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
組成物が、第1段階の酒さを治療するためのものであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
組成物が、第2段階の酒さを治療するためのものであることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
組成物が、第3段階の酒さを治療するためのものであることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
組成物が、第4段階の酒さを治療するためのものであることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
組成物が、約0.0001〜20重量%、好ましくは0.1〜2重量%のメトロニダゾール、より好ましくは約0.75〜1重量%のメトロニダゾールを含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記組成物が、抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、抗真菌剤、麻酔剤、鎮痛薬、抗アレルギー剤、レチノイド、フリーラジカル捕捉剤、抗掻痒剤、角質溶解剤、抗脂漏剤、抗ヒスタミン剤、スルフィド、免疫抑制剤および抗増殖剤の群から選択される他の活性剤も含むことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
組成物が、金属イオン封鎖剤、抗酸化剤、日焼け止め、防腐剤、フィラー、電解質、湿潤薬、着色料、通常の無機もしくは有機の酸もしくは塩基、香料、精油、美容活性剤、保湿剤、ビタミン、必須脂肪酸、スフィンゴ脂質、セルフタンニング化合物、皮膚用の鎮静および保護剤、浸透促進剤およびゲル化剤、またはその混合物の群から選択される添加剤を含むことを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2007−523134(P2007−523134A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553619(P2006−553619)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000371
【国際公開番号】WO2005/089751
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント・エス・エヌ・セ (117)
【Fターム(参考)】