説明

皮膚若しくは毛髪用化粧料

【目的】皮膚に強い刺激を与えることなく、優れた防腐性を示し、皮膚を害することなく皮膚の働きを活性化し、皮膚の再生を助け皮膚を滑らかにすると共に、肌荒れや老化の治療、予防にも優れた効果を示す化粧料を提供する。
【構成】皮膚若しくは毛髪用化粧料基材に、わさびを乳酸菌で発酵させた後の抽出物若しくは圧搾液を配合した。乳酸菌で発酵させることによって、優れた防腐性を維持すると共に皮膚に対する刺激は弱まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防腐剤、殺菌剤等を加えなくとも防腐効果を有し、皮膚の美容と健康に優れた効果を与える皮膚若しくは毛髪用化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚の健全な生理機能を維持し、健康な美肌を維持するため、皮膚化粧料中に、ビタミン、レンゲソウ、ヒアルロン酸その他各種の添加物を加えることは公知である。
【0003】
また、薬用化粧料として、皮膚を害することなく、皮膚の働きを活性化し、皮膚の再生を助け、皮膚を滑らかにすると共に、肌荒れや老化の治療、予防にも効果を示す薬用化粧料も提案されている。
【0004】
これら化粧料中には、従来から各種防腐剤若しくは殺菌剤が配合されていたが、これら防腐剤及び殺菌剤は、人体に害を与える可能性があるため好ましくはなかった。
【0005】
一方わさびは、殺菌力を有することが知られているので、人体に害のない殺菌剤として化粧料中に含有させることも考えられたが、わさびの抽出物を化粧料に配合すると肌に対する刺激が強すぎるので、現実には使用し得ない問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、このような問題点を解消しようとするものであり、皮膚に強い刺激を与えることなく、優れた防腐性を示し、皮膚を害することなく皮膚の働きを活性化し、皮膚の再生を助け皮膚を滑らかにすると共に、肌荒れや老化の治療、予防にも優れた効果を示す化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明者等は鋭意研究の結果、皮膚若しくは毛髪用化粧料基材に、わさびを乳酸菌で発酵させた後の抽出物若しくは圧搾液を配合することによって、わさびの皮膚への刺激力が著しく弱まり、わさびの優れた殺菌性及び防腐性は保持されると共に薬用化粧料としても効果的であることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
わさび発酵後の抽出物は、水若しくは水性溶剤で抽出するのが好ましい(請求項2)。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化粧料は、人体に害のない成分を配合することによって、防腐、殺菌作用を示す共に皮膚に刺激を与えることなく、外用剤として直接皮膚に塗布した場合に、ニキビ及び肌荒れの治療及び予防に著しく顕著な効果を示す等、この種従来の薬用化粧料には全く見られない著しく優れた効果を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ぴりっとした緑色のわさびは、寿司につきものであるが、強い抗酸化性と抗菌特性を有することが知られている。また、わさびエキスは、フリーラジカルによって引き起こされるDNAの損傷を防御し、他の抗酸化剤の活性の促進を助けることが知られている。
【0011】
本発明に使用するわさび抽出物は、わさびの根、葉に、乳酸菌(Lactobacillus)を加えて、常法により発酵させる。特にわさびの根を使用するのが好ましい。発酵は、わさびによるビタミン、ミネラル及びその他種々の植物化学物質の産生を増加させることが実験により確認されている。
【0012】
発酵の過程で、植物化学物質とフェノール化合物が単離する。単離されるフェノール化合物として、オキシドリダクターゼ、イソシアネイトとグルコシノレーッ等が挙げられる。
【0013】
わさびの乳酸菌による発酵物から、水又は1,3ブチレングリコール、エタノール等の水溶性有機溶媒の単独若しくは混合物にて常温若しくは加温下に抽出し淡黄緑色〜褐色の液体として得られる。また圧搾液(生の汁)は、発酵物を圧搾することにより得られる。
【0014】
本発明に使用する化粧料基材は、公知のものを使用すれば良く特に限定されない。また、剤型は特に限定されず、例えば、クリーム、ローションパック、ファンデーション、シャンプー、リンス、ヘアートニック、溶剤及び石鹸等があげられる。
【0015】
化粧料基剤への水若しくは水性溶剤抽出液又は圧搾液の添加量は、広範囲に変化させることができるが、例えば、0.1〜25重量%程度が好ましい。尚、抽出液の場合は、溶媒を除去した濃縮物としての割合である。
【0016】
本願発明の化粧料は、他の防腐剤と併用し、更に防腐効果を高めることができる。
【実施例】
【0017】
次に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されない。例中数量を表す「%」は「重量%」である。実施例は配合割合のみ示すが、製造はこの配合割合で常法に従って行った。
【0018】
実施例1:クリーム
発酵わさび抽出液 2.0%
エタノ−ル
5.0%
ミッロウ 6.0%
スクワラン 20.0%
脂肪酸グリセリンエステル 4.0%
乳化剤 4.0%
1,3−ブチレングリコール 3.0%
アルフアービサボロール(エイコー101) 0.3%
精製水 44.7%
香料、防腐剤
適量
上記成分を上記の割合で均質に混合し、本発明のクリームを得る。
【0019】
実施例2:ヘアトニック
発酵わさび抽出液 3.0%
エタノール 55.3%
メントール 4.4%
アルフアービサボロール(エイコー101) 0.3%
精製水 34.3%
香料、酸化防止剤
適量
上記成分を上記の割合で均質に混合し、本発明のヘアトニックを得る。
【0020】
実施例3:シャンプー
発酵わさび抽出液 2.0%
レンゲソウ抽出液 5.0%
N−ヤシ油脂肪酸アシル−Lグルタミン酸モノ
トリエタノールアミン 26.0%
アルフアービサボロール(エイコー101)
0.5%
ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 29.0%
プロピレングリコ−ル 2.0%
精製水 37.5%
香料、酸化防止剤
適量
上記成分を上記の割合で均質に混合し、本発明のシャンプーを得る。
【0021】
実施例4:わさび発酵抽出液のチャレンジテスト
本発明のわさび発酵抽出液を1%〜3%配合した水溶液の各種菌に対する防腐力をチャレンジテストした。
(試験方法及び実験結果)
本品1%,2%水溶液のチャレンジテスト
次表1に記載の各菌種をSCDLP寒天培地で37℃、18時間〜24時間培養した後、生理食塩水に浮遊させ、菌数が10(5)〜10(6)/mlとなるように調製し、それらを試験用菌液とした。
【0022】
そして精製水を用いて本品1%、2%水溶液を調製し、それぞれ20mlに試験用菌液0.1mlを接種し、混合して試料とした。そしてそれら試料を30℃で培養させ、1週間、2週間経過時にSCDLP寒天培地を使用した混釈平板培養法(30℃、48時間培養)により、接種時のコロニー数から防腐効果を評価した。結果を次表1に示す。
【0023】
【表1】

※ 枯草菌に関しては、微生物が持つその特徴から完全に死滅させることが困難な為、菌の接種濃度から2週間経過時に、増殖を阻止できていれば防腐効果有りとみなしている。
【0024】
上記結果から明らかなように、本発明のわさび発酵抽出液は、各種菌に対し、防腐効果を有する。
実施例5:化粧水のチャレンジテスト
実施例4の結果から本発明のわさび発酵抽出液は殺菌作用を有することが確認できたので、細菌の栄養源となり得る原料を配合した次表2に示す化粧水(No.1)に本品を2%配合し、実施例4と同様の方法でチャレンジテストを行った。結果を次表2に示す。
【0025】
【表2】

【0026】
【表3】

上記結果から、本発明のわさび発酵抽出液は、化粧水に対し、防腐できることが確認できた。
【0027】
わさび発酵抽出液を3%(化粧水No.2)配合し、同様の実験を行うと、枯草菌の結果は、終末濃度:1.7×10(5)、1週間経過時:5.5×10(3)、2週間経過時:6.1×10(3)であった。
【0028】
実施例6
皮膚の状態が外観上明らかにニキビ、肌荒れに悩んでいる19〜30才の女性10人を被験者とし、実施例1で得たクリームを1日朝夕2回通常の使用量で塗布し、経過を肉眼観察した。結果を次表4に示す。
【0029】
【表4】

但し、 − ・・・・・使用前と変わらない。
【0030】
± ・・・・・使用前と比べて症状が改善された。
【0031】
+ ・・・・・症状が、目立たなくなった。
【0032】

上記結果より明らかなように、本発明の化粧料を塗布すると、5日目以降から皮膚の状態が改善され、10日目には症状が目立たなくなる。市販の通常のニキビ治療用化粧料は、10日目以降から効果が現れ、症状が目立たなくなるのに15日は要するので、これは極めて顕著な効果である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚若しくは毛髪用化粧料基材に、わさびを乳酸菌で発酵させた後の抽出物若しくは圧搾液を配合したことを特徴とする皮膚若しくは毛髪用化粧料。
【請求項2】
前記抽出物は、水若しくは水性溶剤での抽出物である請求項1記載の皮膚若しくは毛髪用化粧料。


【公開番号】特開2007−137768(P2007−137768A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329041(P2005−329041)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(591014019)株式会社永広堂 (1)
【出願人】(505422095)アクティブ コンセプツ エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】