説明

監視システム

【課題】画像記憶装置の操作、破壊、盗難を抑止する監視システムを提供する。
【解決手段】ネットワークに接続されカメラで撮影された画像データを取得する画像記憶装置と、画像記憶装置の画像データを閲覧する端末とを備えた監視システムを用いる。この監視システムの画像記憶装置は、画像記憶装置の周囲又は画像記憶装置内部から外側を撮影する副カメラ部を備える。また、画像記憶装置の揺れを検出する振動センサ、筐体の開閉を検出する開閉センサを備える。さらに、停電時に電源バックアップする無停電電源装置を備える。この上で、平常時には主カメラ部の画像データを記憶部に記憶し、振動センサ、前記開閉センサ、無停電電源装置により異常を検出した場合には、副カメラ部によって前記画像記憶装置周辺の状況を撮影する。また、副カメラ部によって前記画像記憶装置を開閉した人物などの対象を撮影し、端末に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システムに係り、特にカメラから撮影した画像データを記憶する画像記憶装置を含む監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セキュリティ(安全)意識の高まりや警備の省力化の要求から、監視用の動画や静止画像のカメラ(監視カメラ)を用いた監視システムが注目されている。
監視システムは、防犯用の監視カメラ等の撮像装置、及び撮像装置で取得した静止画や動画の画像の表示する装置を含むシステムである。
監視システムにおいては、ホテル、ビル、コンビニエンスストア、金融機関、ダム、又は道路のような不特定多数の人が訪れる施設等の防犯・防災用に、監視が必要な場所に撮像装置を配置する固定型のシステムがよく用いられている。
これらの固定型の監視システムにおいては、撮像された映像を、管理室等にいる監視者が監視し、目的や必要に応じて注意を喚起したり、映像を録画・保存したりする。
【0003】
しかしながら、このような監視システムは、公共の場所に設置されるために、不審者による高価なカメラの盗難等に備える必要がある。
このため、従来の盗難に備えた画像記憶装置として、特許文献1を参照すると、監視カメラシステムにおいて、本来監視するための機器であるカメラ装置自体の盗難防止をも含めた監視カメラシステムが記載されている(以下、従来技術1とする。)。
従来技術1の監視カメラシステムは、カメラ装置から撮像した画像データをカメラ装置に記憶せず、直接ネットワークにより監視用の端末に送信する。
この上で、カメラ装置のカメラハウジング(カメラケース)の扉及び制御盤の扉に扉開を検知するセンサを設置し、扉が開けられるとアラーム情報を出力し、制御装置、アラーム発生箇所を確認可能な他カメラ装置に対して制御装置から制御信号を送信しアラーム発生箇所を撮影する。
さらに、予め設定されている監視システムの管理者のPC(Personal Computer)や携帯電話等のアドレスにアラームメールを送信することができる。
【0004】
一方、近年、画像記憶装置に対するニーズの多様化及び技術の進歩により、小型、可搬型、屋外設置型等の画像記憶装置を用いた監視システムが多く用いられるようになってきている。
このような監視システムにおいては、従来技術1の装置と異なり、画像記憶装置にHDD(Hard Disk Drive)等を備えて、カメラで撮影した画像データを記憶することができる。
このような記憶部を備えた画像記憶装置は、ユーザ(関係者)以外の第三者が視認できる場所に設置されることが多く、従来技術1のような従来の固定型の監視システムよりも、ユーザ以外の不審者による操作、破壊、盗難などの被害に遭う危険性が高いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−116572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術1においては、開閉センサにより、固定されたカメラの盗難を防止することができるものの、カメラが破壊行為等により撮影できなくなった際に盗難の状況等を知ることはできなかった。
この際、画像記憶装置の管理者が設置場所の近辺に常駐していない、又は遠隔地にいる等の場合、被害発生の発見が遅れ、原因調査や容疑者追跡の対応が遅れてしまうことがあるという問題があった。
ここで、記憶部を備えた画像記憶装置には、再取得不可能な記録映像等の画像データが記憶されており、特に、この画像データに事件・事故の決定的瞬間など貴重な映像が含まれていた場合の被害は甚大なものとなっていた。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の監視システムは、ネットワークに接続されカメラで撮影された画像データを取得する画像記憶装置と、該画像記憶装置の画像データを閲覧する端末とを備えた監視システムにおいて、前記画像記憶装置は、監視用の画像を撮影する主カメラ部と、前記画像記憶装置の周囲を撮影する、及び/又は前記画像記憶装置の内部から外側を撮影する副カメラ部と、前記主カメラ部又は前記副カメラ部が撮影した画像を画像データとして記憶する記憶部と、前記画像記憶装置の動作異常を検出する異常検出部と、前記副カメラ部の撮影した画像の画像データ及び前記異常検出部の検出した動作異常の情報を異常検出データとして送信する無線伝送部と、前記主カメラ部で撮影した前記画像データと、前記異常検出データとを前記記憶部や前記無線伝送部に送出する制御部とを備え、前記制御部は、平常時には前記主カメラ部の画像データを記憶部に記憶し、前記振動センサ、前記開閉センサ、又は前記無停電電源装置により異常を検出した場合には、前記副カメラ部によって前記画像記憶装置の周辺の状況を撮影、又は副カメラ部によって前記画像記憶装置の内部から外側の画像を撮影し、前記異常検出データを、前記無線伝送部によって前記端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像記憶装置の操作、破壊、盗難を抑止し、該画像記憶装置の操作、破壊、盗難の容疑者の調査、追跡に参考となる情報を得ることができる監視システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る監視システムXのシステム構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像記憶装置10の制御構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る異常発生通報処理のフローチャートである。である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る振動センサ250が具体的に振動を検出する場合の例の概念図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る開閉センサ260により画像記憶装置10が開けられたことを検出する例の概念図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る無停電電源装置280が電源断を検出する例の概念図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る画像記憶装置11の制御構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る画像記憶装置12の制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態>
〔監視システムXの制御構成〕
以下で、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1を参照すると、監視システムXは、画像記憶装置10と、中継装置20と、端末30とが、ネットワーク5にて接続されて構成されている。
この監視システムは、単独動作可能ないわゆるスタンドアロンの画像記憶装置10を備えている監視システムである。この画像記憶装置10は、所定期間設置し、撤収後に過去の映像を確認する。
【0012】
ネットワーク5は、各装置を結ぶ、無線LAN、有線LAN、メッシュネットワーク、WiMAX、インターネット、携帯電話網等のデータ通信可能な回線である。また、ネットワーク5は、専用線、イントラネット等の有線IPネットワーク等を用いてもよく、光ファイバー、c.link、電灯線ネットワーク等も用いることができる。
画像記憶装置10は、可搬型であってもよい画像記憶装置であり、監視用の画像データを内蔵する記憶部に記憶し、記憶した静止画や映像等の画像データをネットワーク5経由で送信することも可能な画像記憶装置である。
中継装置20は、無線LANのアクセスポイント、携帯電話基地局等の装置である。中継装置20は、画像記憶装置10からの通信信号をネットワーク5に対応する信号に変換して、端末30との間で通信を行う。
端末30は、ネットワーク5を介して画像記憶装置10から取得した画像データを、液晶ディスプレイやCRT等のディスプレイモニタに画面表示し、画像検索を行うPC/AT互換機やMAC等であるPC(パーソナル・コンピュータ)等の専用の監視端末装置である。
端末30は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)等の制御部と、制御部が実行する画像検索等の処理が記載されたプログラムと結果表示用の画像データと画像データの属性と一時データとを含んで記憶するRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶部とを備えている。なお、端末30は、通常のOSがインストールされたPCの記憶部に記憶したプログラムにより実現してもよい。また、端末30は、キーボードやマウス等のユーザ入力部を備え、画像記憶装置10に記憶された画像データを閲覧することができる。この際に、画像データの再生操作や動画表示、人物に関する画像検索の実行操作や結果表示等を行うユーザインタフェースを備えていても良い。
【0013】
本発明の第1の実施の形態に係る監視システムXにおいては、例えば、画像記憶装置10から送信される画像等の情報は、無線LANアクセスポイントである中継装置20にて受信し、インターネットであるネットワーク5を経由して、管理者のPC等である端末30にて受信可能である。
なお、これ以外の構成の場合、例えば、画像記憶装置10から送信される画像等の情報を、無線LANアクセスポイントである中継装置20にて受信し、専用回線であるネットワーク5を経由して、管理者のPC等である端末30にて受信可能である。
また、例えば、画像記憶装置10から送信される画像等の情報を、携帯電話基地局である中継装置20にて受信し、携帯電話回線網であるネットワーク5を経由して、管理者の携帯電話等である端末30にて受信可能である。
【0014】
〔画像記憶装置10の構成〕
次に、図2を参照して、画像記憶装置10の構成について説明する。
画像記憶装置10は、制御部200と、主カメラ部210と、副カメラ部221、222と、記憶部230と、振動センサ250と、開閉センサ260と、無停電電源装置280と、電源ケーブル285と、無線伝送部290とを主に含んで構成される。
このうち、振動センサ250と、開閉センサ260と、無停電電源装置280とは、画像記憶装置10が、不審者による破壊行為を受けた場合等の動作異常を検出する異常検出部500として構成される。
【0015】
制御部200は、CPU、MPU、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)、GPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)、画像検索専用プロセッサ等の制御部である。制御部200は、画像記憶装置10の各部を制御する。なお、制御部200は、ROMやフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部を内蔵し、その記憶部のプログラムに従って各部を制御するように構成してもよい。
主カメラ部210と、副カメラ部221、222とは、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等を用いて対象物を撮像(撮影)する撮像装置である。主カメラ部210と、副カメラ部221、222とは、例えば人感センサや動きセンサやマイク等も備えていてもよい。さらに、副カメラ部222は、画像記憶装置10の筐体内に設置し、赤外線LED等の灯光部位を備えていてもよい。また、撮像された画像データは、ネットワーク5を経由して送信可能である。
記憶部230は、HDD、フラッシュメモリ、ROM、RAM等であり、制御部200が実行する制御プログラムと、主カメラ部210、副カメラ部221、222の画像データと、振動センサ250、開閉センサ260、無停電電源装置280、無線伝送部290の動作状況の情報と、一次データ等を記憶することができる。この動作状況の情報としては、画像記憶装置10及び各部のID(Identification)、動作イベント状況の情報、時刻情報等を、テキストデータやバイナリデータ形式にて記憶可能である。
振動センサ250は、加速度センサや錘を用いたスイッチやコヒーラ等の振動を検知する公知のセンサである。振動センサ250は、画像記憶装置10を打撃されたり金鋸等で挽かれたりといった例えば筐体を破壊される可能性があるような振動や、画像記憶装置10を設置場所から移動するような振動を検知し、それ以外の振動を検知しないように構成することができる。
開閉センサ260は、画像記憶装置10の筐体の開閉を検知するためのスイッチやヒューズ等である。さらに、開閉センサ260は、これに付随するソレノイドやステッピングモータやバネ等を備えてもよい。このソレノイド等は、制御部200の制御でき、画像記憶装置10の筐体を開閉するように構成することもできる。
無停電電源装置280は、電源電圧の監視装置とバッテリとDCコンバータ等から構成され、電源バックアップを行う公知のバッテリバックアップ装置、無停電電源装置である。無停電電源装置280は、電源ケーブル285からの例えばAC100〜250Vの交流を直流に変換し、バッテリに蓄電する。そして、電源ケーブル285が切断された場合等、電圧が異常になった場合、制御部200に電源異常信号を送信すると供に、所定時間、各部に対してバッテリからの電源の供給を行う。
なお、振動センサ250と開閉センサ260と記憶部230とは、無停電電源装置280に直接接続されていて、画像記憶装置10が破壊されるまでの状況を記憶するようにすることができる。また、画像記憶装置10は、この他に、振動や筐体の開閉を検知した場合に警告するサイレンやフラッシュライトや高電圧発生装置や液体・気体放射装置等を備えていてもよい。
【0016】
〔監視システムXの異常発生通報処理〕
ここで、図3のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施の形態に係る監視システムXを用いた画像検索処理についてより詳しく説明する。
通常の場合、例えば移動可能な画像記憶装置10は、管理者により設置され、制御部200が主カメラ部210より所定の間隔において静止画像や動画像のような監視画像を画像データとして取得し、記憶部230に記憶することで、画像データを記憶する録画装置として動作する。
この監視画像の画像データは、中継装置20とネットワーク5を介して、端末30が入手可能である。
ここで、各部により画像記憶装置10が異常を検出した場合の処理について、以下で詳しく説明する。
【0017】
まず、ステップS101において、制御部200は、振動検出処理を行う。
具体的には、振動センサ250により振動を検出した場合、制御部200は副カメラ部221により、画像記憶装置10及び周辺の画像を異常検出データとして取得する。
その後、制御部200は、異常検出データに、振動センサのデータ、振動を検出した事実、日時、必要に応じて画像記憶装置10のID等の情報を追加する。なお、この異常検出データは暗号化されていても、画像データにその他のデータをメタデータ形式で埋め込むような構成にしてもよい。
そして、制御部200は、この異常検出データを無線伝送部290を用いて外部の中継装置20に送出する。中継された異常検出データは、ネットワーク5を介して端末30が受信する。
【0018】
ここで、図4を参照して、振動センサ250が具体的に振動を検出した場合の例について説明する。上述のように、振動センサ250は、不審者Pが画像記憶装置10に対して、持ち去りのために固定具を外したり、筐体を叩いたり、鋸やノミにて傷つけたりといった破壊行為を行った場合、この振動を検知する。この際、制御部200は、副カメラ部221により、破壊行為の状況及び不審者Pを撮影する。
なお、振動センサ250は、筐体に複数取り付けられていたり、振動の加速度の変化等により筐体に振動が加えられた箇所を検知することもできる。この場合、制御部200は、副カメラ部221を振動の加えられた箇所の方に向け、不審者Pを追尾して撮影することができる。
また、副カメラ部221は目立つように設置して、不審者Pの破壊行為を威嚇することが可能である。逆に、副カメラ部221を、例えば壁の奥に設置したり、保護色で目立たなくする等、不審者Pに気づかれないように設置することも可能である。
【0019】
次に、ステップS102において、制御部200は、開閉検出処理を行う。
具体的には、開閉センサ260により画像記憶装置10が開けられたことを検出した場合、制御部200は副カメラ部221により撮像した画像を、異常検出データとして取得する。
さらに、制御部200は、画像記憶装置10内から、副カメラ部222によって筐体を開けられた方向、主に筐体の外部を撮影した画像と、開けられた事実、日時、ID等の情報を異常検出データとして、上述の振動検出時と同様に取得する。
そして、制御部200は、この異常検出データを、外部の端末30に向けて中継装置20へ送出する。この際、異常検出データには、開閉センサ260の開閉データを追加する。これに加えて、振動センサ250のデータを付加してもよい。
【0020】
ここで、図5を参照して、開閉検出処理の具体的な場合の例について説明する。
開閉センサ260が開閉を検出する例としては、不審者Pが画像記憶装置10の筐体(ケース、ケーシング、ハウジング)を開けて、副カメラ部222がその行為を撮影する場合が考えられる。
このように構成することで、筐体内が開閉された場合に光量の変化を検知して、副カメラ部222を作動させることも可能である。この場合は、開閉センサ260を破壊/ショート等させられた等の破壊行為が行われた場合に対処可能である。なお、さらにこの場合は、開閉センサ260を用いずに画像記憶装置10の筐体の開閉を検知することもできる。
また、副カメラ部222は、画像記憶装置10内に収まるサイズが求められるため、例えば、USB(Universal Serial Bus)接続カメラのような小型のカメラを用いることもできる。
さらに、副カメラ部222は、制御部200との距離を近くすることが望ましいため、制御部200と同様な基板や別基板上に、部品のように実装することも可能である。このように構成することで、不審者Pに副カメラ部222の存在を認識させにくくすることができるため、不審者Pによる副カメラ部222の撮像の妨害を抑えることができる。
また、副カメラ部222にて、画像記憶装置10の筐体の内部を撮像可能である。これにより、画像記憶装置10の内部にハッキング等に用いられる不審な部品が設置されたり、爆発物等の危険物が設置されたことを確認可能である。
【0021】
次に、ステップS103において、制御部200は、電源断検出処理を行う。
具体的には、無停電電源装置280が電源断(電源切断)を検出した場合、無停電電源装置280は電源供給をバッテリ運転に切り替えるバッテリバックアップを行い、制御部200に電源断発生を通知する。
制御部200は、副カメラ部221により画像記憶装置10及び周辺の画像を異常検出データとして取得する。そして、制御部200は、電源断の事実を異常検出データに加え、上述の振動検出時と同様に外部の中継装置20へ通報する。
【0022】
ここで、図6を参照して、電源断検出処理の具体的な場合の例について説明する。
無停電電源装置280が電源断を検出する例としては、不審者Pが電源ケーブル285を切断したり、より単純に電源ケーブルのプラグをコンセントから引き抜くような場合が考えられる。
この時、副カメラ部221は、電源ケーブル285切断の状況及び不審者Pを撮影する。また、この際に、開閉センサ260に付随するソレノイドにより、画像記憶装置10の筐体をロックすることも可能である。逆に、開閉センサ260に付随するソレノイドを開けて、内部の副カメラ部222により不審者Pを撮影することもできる。
【0023】
次に、ステップS104において、制御部200は、上述の処理にて異常があったか、否か判定する。すなわち、異常検出部500にて異常を検出したかを判定する。
より具体的には、振動センサ250により振動を検出したか、開閉センサ260が開閉を検出したか、無停電電源装置280が電源断を検出したか、いずれかの場合には、Yesと判定する。それ以外の場合にはNoと判定する。
Yesの場合、制御部200は、処理をステップS105に進める。
Noの場合、制御部200は、処理をステップS101に戻して、動作異常の検出を続ける。
【0024】
ステップS105において、制御部200は、外部通報処理を行う。
具体的には、画像記憶装置10から通報される異常検出データは、例えば、無線LANアクセスポイントや携帯基地局である中継装置20で受信し、インターネットであるネットワーク5を経由して、管理者のいるPCである端末30に到達する。
端末30は、ウェブブラウザや専用の監視プログラムを実行しており、到達した異常検出データの画像や異常の状況等を警告して表示することができる。
これにより、管理者は、画像記憶装置10に異常が発生したこと、及びその種類、日時、関連カメラ画像等を取得し、保守担当者や警察への通報などの異常発生時に必要な処置を迅速に講じることができる。
また、不審者が逃亡した場合でも、記憶した異常検出データから、不審者の割り出しや捜査が可能である。
【0025】
次に、ステップS106において、制御部200は、検出の動作を停止するか判定する。
ここでは、制御部200は、異常検出データの送信が成功した後、所定時間、動作異常を検出しない場合、検出を停止する、すなわちYesと判定する。また、他にも、異常動作の検出により、制御部200が機密データを消去する等の他のタスクをする場合、記憶動作がHDDの作動等により不審者に察知されてしまう場合、バッテリの消費を抑えるために動作を停止する場合等にも、Yesと判定することができる。さらに、単純にバッテリの容量が所定の水準まで減っている場合にもYesと判定可能である。それ以外の場合にはNoと判定する。
Yesの場合、制御部200は、異常発生通報処理を終了する。
Noの場合は、制御部200は、処理をステップS101に戻して動作異常の検出を続ける。
【0026】
なお、制御部200が実行する制御プログラムの設定によっては、前述の異常通報時に通報する異常検出データの画像や各センサの値やID等の情報を記憶部230にも記憶しておくことも可能である。
この時、無線伝送部290にて外部の中継装置20と無線通信を行うより、画像記憶装置10の内部のデータの送受信速度が速いため、高品位な映像や詳細な情報を記憶部230に記憶しておくことが可能である。また、無線伝送部290が破壊された場合にも動作異常を記憶しておくことが可能になる。
また、通常運用時にも、常に、副カメラ部221や副カメラ部222の画像データを記憶するように構成することも可能である。この場合、異常検出前時点の映像も記憶されるので、異常発生後に、より詳細な調査、捜査が可能になる。
以上により、異常発生通報処理を終了する。
【0027】
このように、本発明の第1の実施の形態に係る監視システムXは、不審者Pが実際に画像記憶装置10に破壊行為や持ち去りなどの行為を行おうとした場合には、振動センサ250により振動検出、又は無停電電源装置280による電源供給断検出よりこれを検出し、制御部200が副カメラ部221を使用して画像記憶装置周辺を撮影する。
この撮影を行った画像に加え、撮影された映像及び日時、振動の度合いなどの情報を異常検出データとして、無線伝送部290により外部の端末30に向けて送信する。この端末30としては、携帯電話や、無線LAN装置端末経由で接続される専用の装置及びPC等を用いることができる。
さらに、画像記憶装置10の筐体が開けられた場合には、開閉センサ260によりこれを検出し、制御装置が副カメラ部222を使用して、画像記憶装置の内部から外部方向の画像を記憶する。すなわち、画像記憶装置10を開けた不審者を撮影し、撮影された画像データ、日時、開けられた事実等の情報についても異常検出データとして、無線伝送部290により外部の端末30に向けて送信する。
【0028】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来技術1の監視カメラシステムは、設置形態として主に固定型の監視システムを対象としており、複数主監視カメラ、赤外線センサ、特殊ボルト、特殊錠による対策等を行った上で、開閉センサのみを用いて異常を検出していた。
このため、従来技術1の監視カメラシステムにおいては、主にカメラと制御盤の盗難防止について対象としていた。
また、従来技術1の監視カメラシステムは、カメラが無効化された後の監視映像の消失、盗難、悪用については対応できないという問題があった。
【0029】
これに対し、本発明の第1の実施の形態に係る監視システムXは、異常検出手段として、開閉センサ260と振動センサ250と無停電電源装置280とを備えている。
このため、本実施形態の監視システムXは、携帯型、可搬型で小型軽量、仮設置を行う画像記憶装置10に対して、高度な盗難対策を行うことができる。
すなわち、本実施形態に係る監視システムXは、それぞれのセンサのデータを異常検出データとして取得し、この異常検出データを端末30にて検知することで、画像記憶装置10の金銭的損害盗難時以降の監視機能停止のみならず、盗難前の監視映像の消失、盗難、悪用について対応することができる。
また、後述の第3の実施の形態と同様にGPSを加えることにより、画像記憶装置10が持ち去られた場合でも対応することができる。
【0030】
また、従来技術1の監視カメラシステムは、運用形態として、ネットワークで監視センタと接続したオンラインシステムであった。
このため、従来技術1の監視カメラシステムは、遠隔監視センタでの監視員によるリアルタイム(実時間)での映像の監視により、異常判断、指示、記憶を行っていた。
すなわち、ネットワークが切断されると、カメラは動作不能になり、異常時のデータを取得することができなかった。
【0031】
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る監視システムXは、ローカルの画像記憶装置10は、記憶部230に加え、振動センサ250と開閉センサ260を備え、ネットワーク5が切断されても、制御部200により、異常判断、動作指示、記憶を行うことができる。
これにより、関係者以外による立ち入りが可能な場所に設置され、管理者が近隣に常駐するような環境にない画像記憶装置10において、関係者以外による操作、破壊、盗難に対する抑止効果と、問題発生時には、容疑者及び画像記憶装置の調査、追跡に参考となる情報を得ることができる。
【0032】
また、従来技術1の監視カメラシステムは、遠隔でのリアルタイム映像監視のみ行っていたため、電源切断対策は特になかった。
このため、従来技術1においては、電源を切断された後に、どのような破壊行為が行われたのか知ることが難しかった。
すなわち、ネットワーク及び電源が切断されなかった場合のみ、異常検出時に、カメラ撮影、録画及び発報犯行後のカメラ撮影、録画が可能であり、携帯可能な画像記憶装置の盗難対策としては不十分であった。
【0033】
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る監視システムXは、無停電電源装置280により電源バックアップが可能であり、電源断のような停電検出により異常の発報、画像データの記憶が可能である。
これにより、ネットワーク5及び電源ケーブル285が切断されても、異常検出時にカメラ撮影、録画及び犯行後の録画が可能である。
さらに、副カメラ部221、222を両方備えることで、副カメラ部221による威嚇効果と、これを破壊された場合でも目立たないように備えられた副カメラ部222により、画像を記憶することができる。
また、後述するように、GPSを備えることで、持ち去られた場合の追跡も可能である。
【0034】
また、本発明の第1の実施の形態に係る監視システムXは、画像記憶装置10の制御部200に接続した副カメラ部221を、画像記憶装置10及びその周辺を撮影するように配置する。
これにより、画像記憶装置10に接近するものに対して撮影されているという意識を与え、関係者以外による操作、破壊、盗難に対する抑止効果を得ることができる。
【0035】
また、本発明の第1の実施の形態に係る監視システムXは、異常があった場合のみ無線伝送部290から異常検出データを送信し、所定時間の経過等により動作異常の検出を終了することができるため、バッテリの消費を抑えることができるという効果が得られる。これにより、画像記憶装置10の動作異常の検出後、より多くの時間、画像を記憶することができる。これにより、不審者の割り出し等が容易になり、後述するGPSを用いた場合にもより長い時間追跡を行うことが可能になる。また、電源ケーブル285が切断された場合であっても、より長い時間の画像記憶装置10の動作時間を確保可能である。
さらに、いたずら、車、列車、機械、動物等による定期的な振動の付加、設置の不安定さによる筐体のロック状態の変化、不安定な電源供給による瞬間停電等による誤動作があっても、できるだけ通常の動作異常の検出動作に戻すことで、よりバッテリを保たせることが可能になる。さらに、動作異常の検出や通報を少なくすることで、不審者に動作異常の検出をしていることを悟らせにくくすることができる。加えて、画像記憶装置10の動作部位の稼働時間を減らすことで、熱による疲労等を抑えて、電子機器の寿命を長くすることも期待できる。
【0036】
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係る監視システムXは、公共スペースや屋外など関係者以外が立ち入りやすい場所に設置された画像記憶装置10に関して、副カメラ部221によって、関係者以外による操作、破壊、盗難に対する抑止効果が得られる。
また、問題発生時には、副カメラ部221、副カメラ部222又は後述する携帯端末223、振動センサ250、開閉センサ260、後述するGPS部240によって調査、追跡に参考となる情報を取得し、遠隔地においても原因調査、容疑者追跡に必要な情報を得る事が可能となる。
【0037】
<第2の実施の形態>
図7を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る画像記憶装置11の制御構成を説明する。図7の画像記憶装置11は、第1の実施の形態に係る画像記憶装置10に代わるもので、図2の画像記憶装置10と同様の符号を付した構成部位は、同様の機能を備えている。
本実施形態においては、携帯端末223は、カメラ付きの携帯電話、PDA(Personal Data Assistant)、携帯型PC等の、無線通信機能を備えた携帯端末を用いることができる。
この携帯端末223の信号は、携帯電話の基地局や無線LANのアクセスポイントや無線中継ルータ等である中継装置20を介して、端末30にて受信する。この異常発生通報処理については、上述の第1の実施の形態に係る画像記憶装置10と同様の処理を行うことができる。
このように構成し、上述の第1の実施の形態に係る副カメラ部222と無線伝送部290とを、携帯端末223で代用することで、画像記憶装置10と同等の機能を、より小型で安価に実現することができる。
【0038】
さらに、異常が検出されない場合でも、制御装置により定期的に副カメラ部222による撮影及び無線伝送装置による送信、記憶装置による記憶を行うよう設定して運用する場合もある。
これらの機能により、画像記憶装置が、関係者以外の不審者により操作、破壊、盗難にあった場合、原因調査、不審者の追跡に必要な情報を得ることができる。
なお、携帯端末223は、独立したバッテリとフラッシュメモリ等の記憶部を備えており、録画した画像を携帯端末223の記憶部に記憶してもよい。これにより、無停電電源装置280や制御部200等が破壊される等で使用不可能になっても、不審者Pの行為を記憶することができる。
また、携帯端末223の加速度センサや光センサ等を、振動センサ250や開閉センサ260として用いることも可能である。
【0039】
<第3の実施の形態>
次に、図8を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る画像記憶装置12の制御構成を説明する。図8の画像記憶装置12は、第1の実施の形態に係る画像記憶装置10や第2の実施の形態に係る画像記憶装置11に代わるものである。図7の画像記憶装置11と同様の符号を付した構成部位は、同様の機能を備えている。
画像記憶装置12は、第2の実施の形態の構成の画像記憶装置11に、GPS部240のようなGPS(Global Positioning System)を追加したものである。なお、このGPS部240は、このGPS機能付きの携帯端末223を使用してもよい。
このGPS部240により、異常発生時及び発生後の画像記憶装置10の位置情報を通報、記憶することが可能である。この際の、異常発生通報処理は上述の第2の実施の形態と同様であり、異常検出データにこのGPSの位置情報等を含めることで対応可能である。
これにより、画像記憶装置10が持ち去られた場合にも追跡が可能になる。また、GPS機能付き携帯端末223を使用することにより、画像データの送信時に、常に、画像記憶装置の現在位置情報を含めるように構成することもできる。
【0040】
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係る画像記憶装置は、監視用の画像を撮影する主カメラ部と、前記画像記憶装置の周囲を撮影する、及び/又は前記画像記憶装置の内部から外側を撮影する副カメラ部と、前記主カメラ部又は前記副カメラ部が撮影した画像を画像データとして記憶する記憶部と、前記画像記憶装置の動作異常を検出する異常検出部と、前記副カメラ部の撮影した画像の画像データ及び前記異常検出部の検出した動作異常の情報を異常検出データとして送信する無線伝送部と、前記主カメラ部で撮影した前記画像データと、前記異常検出データとを前記記憶部や前記無線伝送部に送出する制御部とを備え、前記制御部は、平常時には前記主カメラ部の画像データを記憶装置に記憶し、前記振動センサ、前記開閉センサ、又は前記無停電電源装置により異常を検出した場合には、前記副カメラ部によって前記画像記憶装置の周辺の状況を撮影、又は副カメラ部によって前記画像記憶装置の内部から外側の画像を撮影し、前記異常検出データを、前記無線伝送部によって前記端末に送信することを特徴とする。
【0041】
また、本発明の第1の実施の形態に係る画像記憶装置の異常検出部は、揺れを検出する振動センサであることを特徴とする。
【0042】
また、本発明の第1の実施の形態に係る画像記憶装置の異常検出部は、前記画像記憶装置の筐体の開閉を検出する開閉センサであることを特徴とする。
【0043】
また、本発明の第1の実施の形態に係る画像記憶装置の異常検出部は、前記画像記憶装置の電源断時に電源バックアップする無停電電源装置であることを特徴とする。
【0044】
また、本発明の第1の実施の形態に係る画像記憶装置の異常検出部は、前記副カメラ部の撮影した画像の画像データ、前記振動センサ及び/又は開閉センサのデータ、前記無停電電源装置が検出した電源断の情報を異常検出データに含めることを特徴とする。
【0045】
また、本発明の第2の実施の形態に係る画像記憶装置は、副カメラ部222と無線伝送装置の代わりにカメラ付き携帯端末を備え、第1の実施の形態の画像記憶装置と同等の機能を持つことを特徴とする。
【0046】
また、本発明の第3の実施の形態に係る画像記憶装置は、GPS装置、又はGPS機能を備えるカメラ付き携帯端末を含み、画像記憶装置の位置情報も送信できることを特徴とする。
【0047】
なお、本実施の形態の形態に係る画像記憶装置10、11、12の各手段は、それぞれ独立したハードウェアで実現されなくてもよく、さらに一つのハードウェアで複数の手段を実現してもよい。
【0048】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
5 ネットワーク
10、11、12 画像記憶装置
20 中継装置
30 端末
200 制御部
210 主カメラ部
221、222 副カメラ部
223 携帯端末
230 記憶部
240 GPS部
250 振動センサ
260 開閉センサ
280 無停電電源装置
285 電源ケーブル
290 無線伝送部
500 異常検出部
P 不審者
X 監視システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されカメラで撮影された画像データを取得する画像記憶装置と、該画像記憶装置の画像データを閲覧する端末とを備えた監視システムにおいて、
前記画像記憶装置は、
監視用の画像を撮影する主カメラ部と、
前記画像記憶装置の周囲を撮影する、及び/又は前記画像記憶装置の内部から外側を撮影する副カメラ部と、
前記主カメラ部又は前記副カメラ部が撮影した画像を画像データとして記憶する記憶部と、
前記画像記憶装置の動作異常を検出する異常検出部と、
前記副カメラ部の撮影した画像の画像データ及び前記異常検出部の検出した動作異常の情報を異常検出データとして送信する無線伝送部と、
前記主カメラ部で撮影した前記画像データと、前記異常検出データとを前記記憶部や前記無線伝送部に送出する制御部と
を備え、
前記制御部は、
平常時には前記主カメラ部の画像データを記憶部に記憶し、
振動センサ、開閉センサ、又は無停電電源装置により異常を検出した場合には、
前記副カメラ部によって前記画像記憶装置の周辺の状況を撮影、又は副カメラ部によって前記画像記憶装置の内部から外側の画像を撮影し、
前記異常検出データを、前記無線伝送部によって前記端末に送信する
ことを特徴とする監視システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−139278(P2011−139278A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297746(P2009−297746)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】