説明

目標追尾装置及びコンピュータプログラム及び目標追尾方法

【課題】比較的狭い範囲内に複数のピーク画素がある場合でも、少ない計算量で精度の高い相関処理をする。
【解決手段】ピーク画素抽出部132は、目標画素のなかから、隣接する画素よりも画素値が大きい画素(ピーク画素)を抽出する。特徴位置算出部133は、目標の特徴を表わす特徴点の位置(特徴位置)を算出する。特徴距離算出部134は、ピーク画素の位置と特徴位置との間の距離(特徴距離)を算出する。特徴方位算出部135は、ピーク画素の位置から見た上記特徴位置の方位(特徴方位)を算出する。相関処理部140は、特徴距離と特徴方位とを含む相関パラメータに基づいて、相関処理をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、目標を観測した画像に基づいて目標を追尾する目標追尾装置に関する。
【背景技術】
【0002】
目標を光学センサやレーダなどにより観測した画像において、画素値が最大である画素を追尾する目標追尾方式がある。
また、目標が複数の画素にわたって観測される場合において、目標が観測された領域を判定し、判定した領域の重心点を追尾する目標追尾方式がある。
また、状況に応じて、画素値が最大である画素の追尾と、重心点の追尾とを切り替えて実施する目標追尾方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−260633号公報
【特許文献2】特開平9−170898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目標が複数の画素にわたって観測される場合、各画素には目標の細部が観測されるので、画素値が最大である画素の位置が変わり、目標全体の動きと異なる動きをする場合がある。また、目標領域の重心点も、目標全体の動きと異なる動きをする場合がある。したがって、従来の方式では、安定した追尾ができない場合がある。
また、目標が複数の画素にわたって観測される場合、目標の特定の部分を追尾したい場合がある。そのため、画素値が極大(その画素の近傍において最大)である画素(ピーク画素)を追尾しようとすると、1つの目標領域内に複数のピーク画素が現れるので、精度よく追尾することが難しい。
この発明は、例えば上記のような課題を解決するためになされたものであり、比較的狭い範囲内に複数のピーク画素がある場合でも、少ない計算量で精度の高い相関処理をすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる目標追尾装置は、
目標を観測した量を表わす画素値を有する少なくとも二次元に配置された複数の画素により構成された画像に基づいて、上記目標を追尾する目標追尾装置において、
データを記憶する記憶装置と、データを処理する処理装置と、画像記憶部と、目標画素抽出部と、ピーク画素抽出部と、特徴位置算出部と、特徴距離算出部と、特徴方位算出部と、相関処理部とを有し、
上記画像記憶部は、上記記憶装置を用いて、観測時刻が異なる複数の画像について、上記複数の画素それぞれの画素値を記憶し、
上記目標画素抽出部は、上記処理装置を用いて、上記複数の画像それぞれについて、上記画像記憶部が記憶した複数の画素値に基づいて、上記画像に含まれる複数の画素のなかから、画素値が所定の閾値より大きく、かつ、不連続でない画素を抽出して、目標画素とし、
上記ピーク画素抽出部は、上記処理装置を用いて、上記複数の画像それぞれについて、上記画像記憶部が記憶した複数の画素値に基づいて、上記目標画素抽出部が抽出した目標画素のなかから、隣接する画素よりも画素値が大きい画素を抽出して、ピーク画素とし、
上記特徴位置算出部は、上記処理装置を用いて、上記複数の画像それぞれについて、上記目標画素抽出部が抽出した目標画素に基づいて、上記目標の特徴を表わす特徴点の位置を算出して、特徴位置とし、
上記特徴距離算出部は、上記処理装置を用いて、上記複数の画像それぞれについて、上記ピーク画素抽出部が抽出したピーク画素と、上記特徴位置算出部が算出した特徴位置とに基づいて、上記ピーク画素の位置と特徴位置との間の距離を算出して、特徴距離とし、
上記特徴方位算出部は、上記処理装置を用いて、上記複数の画像それぞれについて、上記ピーク画素抽出部が抽出したピーク画素と、上記特徴位置算出部が算出した特徴位置とに基づいて、上記ピーク画素の位置から見た上記特徴位置の方位を算出して、特徴方位とし、
上記相関処理部は、上記処理装置を用いて、上記特徴距離算出部が算出した特徴距離と、上記特徴方位算出部が算出した特徴方位とを含む相関パラメータに基づいて、上記複数の画像の相関処理をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明にかかる目標追尾装置によれば、特徴距離算出部が算出した特徴距離や特徴方位算出部が算出した特徴方位を含む相関パラメータに基づいて、相関処理部が相関処理をするので、比較的狭い範囲内に複数のピーク画素がある場合でも、少ない計算量で精度の高い相関処理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態1における目標追尾システム800の全体構成の一例を示すシステム構成図。
【図2】実施の形態1における目標追尾装置100のハードウェア構成の一例を示す構成図。
【図3】実施の形態1における目標追尾装置100の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図。
【図4】実施の形態1における特徴量抽出処理S500の流れの一例を示すフローチャート図。
【図5】実施の形態1における目標画素抽出工程S510の流れの一例を示すフローチャート図。
【図6】実施の形態1におけるピーク画素抽出工程S520の流れの一例を示すフローチャート図。
【図7】実施の形態1における特徴距離方位算出工程S540の流れの一例を示すフローチャート図。
【図8】実施の形態1における目標追尾装置100が処理するデータの一例を示す図。
【図9】実施の形態1における特徴量抽出部130が処理するデータの一例を示す図。
【図10】実施の形態2における特徴位置算出工程S530の流れの一例を示すフローチャート図。
【図11】実施の形態2における追尾の様子の一例を示す図。
【図12】実施の形態3における特徴位置算出工程S530の流れの一例を示すフローチャート図。
【図13】実施の形態3における追尾の様子の一例を示す図。
【図14】実施の形態4における特徴位置算出工程S530の流れの一例を示すフローチャート図。
【図15】実施の形態4における追尾の様子の一例を示す図。
【図16】実施の形態5における特徴量抽出処理S500の流れの一例を示すフローチャート図。
【図17】実施の形態5における追尾の様子の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
実施の形態1について、図1〜図9を用いて説明する。
【0009】
図1は、この実施の形態における目標追尾システム800の全体構成の一例を示すシステム構成図である。
目標追尾システム800は、目標850を観測した画像に基づいて、目標850を追尾する。目標追尾システム800は、観測装置810、目標追尾装置100、表示装置820を有する。
【0010】
目標850は、例えば、航空機、飛翔体、船舶、車両などである。
【0011】
観測装置810は、目標850を観測して画像を生成する。観測装置810は、例えば、合成開口レーダ(以下「SAR」と呼ぶ。)、逆合成開口レーダ(以下「ISAR」と呼ぶ。)、赤外線センサ、光学センサ、レーダなどのセンサを有する。観測装置810は、これらのセンサを用いて、目標850を観測する。
観測装置810が生成する画像は、複数の画素(レンジビン)により構成される。各画素は、目標850を観測した観測強度を表わす画素値を有する。例えば、センサが赤外線センサである場合、画素値は、目標から放射され、センサが観測した赤外線の強度である。また、センサがレーダである場合、画素値は、目標に反射し、センサが観測した電波の強度である。
複数の画素は、2次元または3次元に配置されている。例えば、センサがレーダなど距離情報を取得できるセンサである場合、観測方向を1次元に走査することにより、2次元に配置された画素の画素値を得ることができる。また、観測方向を2次元に走査することにより、3次元に配置された画素の画素値を得ることができる。また、センサが赤外線センサなど距離情報を取得できないセンサである場合、観測方向を2次元に走査することにより、2次元に配置された画素の画素値を得ることができる。
観測装置810は、生成した画像を表わす信号を出力する。
観測装置810は、例えば一定の間隔で画像を繰り返し生成する。観測装置810は、画像を生成するたびに、生成した画像を表わす信号を出力する。
【0012】
目標追尾装置100は、観測装置810が生成した画像に基づいて、観測された目標850を追尾する。
目標追尾装置100は、各画像のなかで、目標850が観測された画素を判定する。観測装置810から目標850までの距離が比較的近いなど、観測装置810の分解能と比較して目標850が大きい場合、1つの目標850が複数の画素にわたって観測される。その場合、目標追尾装置100は、1つの目標850が観測された画素の範囲を判定する。
また、目標追尾装置100は、観測時刻の異なる複数の画像の間で、同じ目標850が観測された画素を判定する。これにより、目標850の動きを知ることができる。
目標追尾装置100は、目標850の位置、移動方向、速度など、追尾の結果として得られた情報を表わすデータを出力する。
【0013】
表示装置820は、目標追尾装置100が出力したデータを入力する。表示装置820は、入力したデータに基づいて、目標850に関する情報を表示する。
なお、目標追尾装置100が取得した情報は、表示装置820に表示するのではなく、例えば、目標追尾システム800が搭載された移動体の自動操舵装置が利用する構成であってもよい。自動操舵装置は、目標追尾装置100が取得した情報に基づいて、例えば、目標850に近づくよう、もしくは、逆に目標850を回避するよう、移動体を操舵する。
【0014】
図2は、この実施の形態における目標追尾装置100のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
目標追尾装置100は、例えば、処理装置911、記憶装置914、入力装置902、出力装置901を有する。
処理装置911は、プログラムを実行することにより、データを処理し、目標追尾装置100全体を制御する。
記憶装置914は、処理装置911が実行するプログラムや、処理装置911が処理するデータを記憶する。記憶装置914は、例えば、不揮発性メモリ(以下「ROM」と呼ぶ。)、揮発性メモリ(以下「RAM」と呼ぶ。)、磁気ディスク装置(以下「HDD」と呼ぶ。)、光学ディスク装置などである。
入力装置902は、観測装置810など目標追尾装置100の外部からの信号や情報を入力し、処理装置911が処理できる形式のデータに変換する。入力装置902が変換したデータは、処理装置911が直接処理してもよいし、記憶装置914が一時的に記憶してもよい。
出力装置901は、処理装置911が処理したデータや記憶装置914が記憶したデータを外部に出力できる形式に変換して、表示装置820など目標追尾装置100の外部に対して出力する。
【0015】
図3は、この実施の形態における目標追尾装置100の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図である。
目標追尾装置100は、画像入力部111、画像記憶部112、ゲート処理部120、特徴量抽出部130、相関処理部140、平滑処理部150、予測処理部160、結果出力部170を有する。
【0016】
画像入力部111は、入力装置902を用いて、観測装置810が出力した信号を入力し、入力した信号を変換して、目標追尾装置100が生成した画像を表わすデータ(以下「画像データ」と呼ぶ。)を取得する。画像データには、画像を構成する各画素の画素値を表わすデータ(以下「画素値データ」と呼ぶ。)が含まれる。
【0017】
画像記憶部112は、記憶装置914を用いて、画像入力部111が取得した画像データを記憶する。画像記憶部112は、画像入力部111が画像データを取得するたびに、画像データを記憶し、画像データを蓄積していく。例えば、記憶した画像データの数が所定の数に達するまでの間、画像記憶部112は、古い画像データを消さずに、新しい画像データを追加して記憶する。記憶した画像データの数が所定の数に達した場合、画像記憶部112は、一番古い画像データを消し、新しい画像データをその上に上書きして記憶する。
【0018】
ゲート処理部120は、処理装置911を用いて、画像記憶部112が記憶した最新の画像データを入力する。ゲート処理部120は、処理装置911を用いて、入力した画像データのなかから、目標850が観測されると予測される範囲内の画素の画素値データを抽出する。例えば、一つ前までの画像に基づく追尾の結果、ある目標850の位置や速度・移動方向がわかっている場合、その目標850は、同じ速度で同じ方向に移動したときに観測される位置を中心とする所定の範囲内に観測されることが予測される。そして、その範囲内に実際に目標が観測されれば、その目標は、それまで追尾してきた目標850と同じ目標であると考えられる。
ゲート処理部120は、処理装置911を用いて、抽出した画素値データを出力する。
【0019】
特徴量抽出部130は、処理装置911を用いて、ゲート処理部120が出力した画素値データを入力する。特徴量抽出部130は、処理装置911を用いて、入力した画素値データに基づいて、特徴量を抽出する。特徴量とは、目標850を追尾するために用いられるパラメータである。特徴量抽出部130は、処理装置911を用いて、抽出した特徴量を表わすデータ(以下「特徴量データ」と呼ぶ。)を出力する。
【0020】
1つの目標850が観測される画素の数が1画素〜数画素程度である場合、ピーク画素の位置を目標850の位置として捕らえればよい。ピーク画素とは、隣接する画素と比較して画素値が最大となる画素のことである。隣接する画素とは、例えば、画素が2次元に碁盤の目状に配置されている場合、辺を介して隣接する4つの画素、もしくは、頂点を介して隣接する4つの画素を加えた8つの画素のことである。特徴量抽出部130は、特徴量として、ピーク画素の位置を抽出する。
1つの目標850が観測される画素の数がもっと多い場合、目標850の細部が観測されるため、ピーク画素が複数現れる場合がある。この場合、ピーク画素の位置は目標850の細部の位置であり、目標850全体の動きとは異なる動きをする場合がある。また、複数のピーク画素は近接しているため、ピーク画素として観測された目標850の細部を同定することが難しい。特徴量抽出部130は、目標850の細部を追尾するため、特徴量として、ピーク画素の位置の以外の情報を抽出する。
【0021】
相関処理部140は、処理装置911を用いて、特徴量抽出部130が出力した特徴量データを入力する。相関処理部140は、入力した特徴量データに基づいて、処理装置911を用いて、相関処理をする。すなわち、相関処理部140は、処理装置911を用いて、新しい画像で観測された目標850(または細部)が、新たに観測されたものであるか、1つ前までの画像で観測されていた目標850(または細部)と同じものであるか、1つ前までの画像で観測されていた目標850(または細部)と同じものである場合、どの目標850(または細部)と同じものなのかを判定する。
相関処理部140は、処理装置911を用いて、相関処理の結果を表わすデータを出力する。
【0022】
平滑処理部150は、処理装置911を用いて、相関処理部140が出力したデータを入力する。平滑処理部150は、入力したデータに基づいて、処理装置911を用いて、目標850の軌跡を平滑化する。観測間隔が十分短ければ、目標850の速度や移動方向はそれほど急に変化しないと考えられるので、相関処理部140が同定した目標850の速度や移動方向があまりにも細かく変化している場合、それは観測誤差によるものと考えられる。平滑処理部150は、目標850の軌跡を平滑化することにより、観測誤差を除去する。
平滑処理部150は、処理装置911を用いて、平滑化した目標850の軌跡(位置・速度・移動方向など)を表わすデータを出力する。
【0023】
予測処理部160は、処理装置911を用いて、平滑処理部150が出力したデータを入力する。予測処理部160は、入力したデータに基づいて、処理装置911を用いて、次の画像において目標850が観測される位置を予測する。
予測処理部160は、処理装置911を用いて、予測した結果を表わすデータを出力する。予測処理部160が出力したデータは、ゲート処理部120が入力する。ゲート処理部120は、入力したデータに基づいて、処理装置911を用いて、画像データのなかから、目標850が観測されると予測される範囲内の画素の画素値データを抽出する。
【0024】
結果出力部170は、処理装置911を用いて、平滑処理部150が出力したデータを入力する。結果出力部170は、出力装置901を用いて、入力したデータを変換し、外部に出力する。
【0025】
特徴量抽出部130は、目標画素抽出部131、ピーク画素抽出部132、特徴位置算出部133、特徴距離算出部134、特徴方位算出部135を有する。
【0026】
目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、ゲート処理部120が出力した画素値データを入力する。目標画素抽出部131は、入力した画素値データに基づいて、処理装置911を用いて、目標画素を抽出する。目標画素とは、目標850が観測された画素のことである。目標画素は、他の画素と比べて画素値が大きい。また、1つの目標850についての目標画素が複数ある場合、それらは互いに連続している。すなわち、隣接した目標画素を辿ることにより、1つの目標850についての目標画素すべてに到達することができる。
例えば、目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、各画素についての画素値データが表わす画素値を閾値と比較して、画素値が閾値より大きい画素を抽出する。閾値は、あらかじめ定められた定数であってもよい。また、画像の信号雑音比や画素値の平均値に基づいて閾値を算出する構成であってもよい。抽出した画素が複数あり不連続である場合、目標画素抽出部131は、複数の目標850が観測されたものとして、連続した1つの塊をなす画素を、1つの目標850についての目標画素であると判定する。抽出した画素が複数あり連続している場合、目標画素抽出部131は、1つの目標850が観測されたものとして、抽出した画素すべてを、1つの目標850についての目標画素であると判定する。
目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、抽出した目標画素についての画素値データを出力する。
【0027】
ピーク画素抽出部132は、処理装置911を用いて、目標画素抽出部131が出力した画素値データを入力する。ピーク画素抽出部132は、入力した画素値データに基づいて、処理装置911を用いて、ピーク画素を抽出する。
例えば、ピーク画素抽出部132は、処理装置911を用いて、各目標画素について、隣接した4つまたは8つの画素と画素値を比較することにより、その目標画素がピーク画素であるか否かを判定する。
ピーク画素抽出部132は、処理装置911を用いて、抽出したピーク画素の位置を表わすデータ(以下「ピーク位置データ」と呼ぶ。)を出力する。ピーク画素抽出部132が出力するピーク位置データは、特徴量データの一つである。
【0028】
特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素抽出部131が出力した画素値データを入力する。特徴位置算出部133は、入力した画素値データに基づいて、処理装置911を用いて、特徴位置を算出する。特徴位置とは、目標850の特徴点の位置のことである。特徴点とは、画像上において目標850の特徴を表わす点のことである。特徴点は、例えば、画像上における目標850の重心、画像上における目標850の先端などである。特徴点は、その画像上における目標画素の配置に基づく計算により特徴位置を算出できる点であればよい。
特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、算出した特徴位置を表わすデータ(以下「特徴位置データ」と呼ぶ。)を出力する。
【0029】
特徴距離算出部134は、処理装置911を用いて、ピーク画素抽出部132が出力したピーク位置データと、特徴位置算出部133が出力した特徴位置データとを入力する。特徴距離算出部134は、入力したピーク位置データと特徴位置データとに基づいて、処理装置911を用いて、ピーク画素の位置と特徴位置との間の距離(以下「特徴距離」と呼ぶ。)を算出する。1つの目標850についての目標画素に対してピーク画素や特徴点が複数ある場合、特徴距離算出部134は、それぞれのピーク画素の位置と、それぞれの特徴位置との間の特徴距離を算出する。例えば、ピーク画素が2つ、特徴点が3つある場合、特徴距離算出部134は、2×3=6つの特徴距離を算出する。
特徴距離算出部134は、処理装置911を用いて、算出した特徴距離を表わすデータ(以下「特徴距離データ」と呼ぶ。)を出力する。特徴距離算出部134が出力する特徴距離データは、特徴量データの一つである。
【0030】
特徴方位算出部135は、処理装置911を用いて、ピーク画素抽出部132が出力したピーク位置データと、特徴位置算出部133が出力した特徴位置データとを入力する。特徴方位算出部135は、入力したピーク位置データと特徴位置データとに基づいて、処理装置911を用いて、ピーク画素の位置から見た特徴位置の方位(以下「特徴方位」と呼ぶ。)を算出する。1つの目標850についての目標画素に対してピーク画素や特徴点が複数ある場合、特徴方位算出部135は、それぞれのピーク画素の位置から見た、それぞれの特徴位置の特徴方位を算出する。例えば、ピーク画素が4つ、特徴点が2つある場合、特徴方位算出部135は、4×2=8つの特徴方位を算出する。
特徴方位算出部135は、処理装置911を用いて、算出した特徴方位を表わすデータ(以下「特徴方位データ」と呼ぶ。)を出力する。特徴方位算出部135が出力した特徴方位データは、特徴量データの一つである。
【0031】
相関処理部140は、処理装置911を用いて、ピーク画素抽出部132が出力したピーク位置データと、特徴距離算出部134が出力した特徴距離データと、特徴方位算出部135が出力した特徴方位データとを、特徴量データとして入力する。相関処理部140は、入力したデータが表わすピーク画素の位置、特徴距離、特徴方位に基づいて、相関処理をする。
【0032】
図4は、この実施の形態における特徴量抽出処理S500の流れの一例を示すフローチャート図である。
特徴量抽出処理S500において、特徴量抽出部130は、特徴量を抽出する。
特徴量抽出処理S500は、目標画素抽出工程S510、ピーク画素抽出工程S520、特徴位置算出工程S530、特徴距離方位算出工程S540を有する。
【0033】
目標画素抽出工程S510において、目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、ゲート処理部120が抽出した画素のなかから、目標画素を抽出する。
ピーク画素抽出工程S520において、ピーク画素抽出部132は、処理装置911を用いて、目標画素抽出工程S510でゲート処理部120が抽出した目標画素のなかから、ピーク画素を抽出する。
特徴位置算出工程S530において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素抽出工程S510で目標画素抽出部131が抽出した目標画素に基づいて、特徴位置を算出する。
特徴距離方位算出工程S540において、特徴距離算出部134は、処理装置911を用いて、ピーク画素抽出工程S520でピーク画素抽出部132が抽出したピーク画素の位置と、特徴位置算出工程S530で特徴位置算出部133が算出した特徴位置との間の距離を算出する。特徴方位算出部135は、処理装置911を用いて、ピーク画素抽出工程S520でピーク画素抽出部132が抽出したピーク画素の位置から見た、特徴位置算出工程S530で特徴位置算出部133が算出した特徴位置の方位を算出する。
【0034】
図5は、この実施の形態における目標画素抽出工程S510の流れの一例を示すフローチャート図である。
目標画素抽出工程S510は、画素選択工程S511、閾値比較工程S512、目標画素記憶工程S513、連続画素選択工程S514、閾値比較工程S515を有する。
【0035】
画素選択工程S511において、目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、ゲート処理部120が抽出した画素のなかから、まだ選択していない画素を1つ選択する。
すべての画素が選択済であり、まだ選択していない画素がない場合、すべての画素についての処理が終わったことになる。目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、目標画素抽出工程S510を終了する。
未選択の画素があり、画素を選択した場合、その画素が目標画素であるかを判定するため、目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、閾値比較工程S512へ進む。
【0036】
閾値比較工程S512において、目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、画素選択工程S511で選択した画素の画素値を、閾値と比較する。
画素値が閾値より大きい場合、その画素は、目標画素である。目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、目標画素記憶工程S513へ進む。
画素値が閾値より小さい場合、その画素は、目標画素ではない。目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、画素選択工程S511に戻り、次の画素を選択する。
【0037】
目標画素記憶工程S513において、目標画素抽出部131は、記憶装置914を用いて、画素選択工程S511で選択した画素を、目標画素として記憶する。
【0038】
連続画素選択工程S514において、目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、まだ選択していない画素のなかから、目標画素記憶工程S513で記憶した目標画素のいずれかに隣接した画素を1つ選択する。
まだ選択していない画素のなかに目標画素に隣接した画素がない場合、閾値比較工程S512で見つけた目標画素に連続した目標画素は、これ以上存在しない。目標画素抽出部131は、記憶装置914を用いて、ここまでに判定した目標画素を、1つの目標850についての目標画素として記憶する。目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、画素選択工程S511に戻り、目標画素に隣接していない次の画素を選択する。その後、別の目標画素が見つかった場合、それは、別の目標850についての目標画素である。
未選択の画素のなかに目標画素に隣接した画素があり、画素を選択した場合、その画素が目標画素であるかを判定するため、目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、閾値比較工程S515へ進む。
【0039】
閾値比較工程S515において、目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、連続画素選択工程S514で選択した画素の画素値を、閾値と比較する。
画素値が閾値より大きい場合、その画素は、目標画素である。新たに見つかった目標画素は、それまでに判定した目標画素と連続しているので、同じ目標850についての目標画素である。目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、目標画素記憶工程S513に戻り、連続画素選択工程S514で選択した画素を、同じ目標850についての目標画素として記憶する。
画素値が閾値より小さい場合、その画素は、目標画素ではない。他に同じ目標850についての目標画素がないか判定するため、目標画素抽出部131は、処理装置911を用いて、連続画素選択工程S514に戻り、目標画素に隣接した次の画素を選択する。
【0040】
図6は、この実施の形態におけるピーク画素抽出工程S520の流れの一例を示すフローチャート図である。
ピーク画素抽出工程S520は、目標画素選択工程S521、隣接画素選択工程S522、画素値比較工程S523、ピーク画素記憶工程S524を有する。
【0041】
目標画素選択工程S521において、ピーク画素抽出部132は、処理装置911を用いて、目標画素抽出工程S510で目標画素抽出部131が抽出した目標画素のなかから、まだ選択していない目標画素を1つ選択する。
すべての目標画素が選択済であり、まだ選択していない目標画素がない場合、すべての目標画素についての処理が終わったことになる。ピーク画素抽出部132は、処理装置911を用いて、ピーク画素抽出工程S520を終了する。
未選択の目標画素があり、目標画素を選択した場合、その目標画素がピーク画素であるかを判定するため、ピーク画素抽出部132は、処理装置911を用いて、隣接画素選択工程S522へ進む。
【0042】
隣接画素選択工程S522において、ピーク画素抽出部132は、処理装置911を用いて、目標画素選択工程S521で選択した目標画素に隣接する目標画素のなかから、まだ選択していない目標画素を1つ選択する。
隣接する目標画素がすべて選択済であり、まだ選択していない目標画素がない場合、目標画素選択工程S521で選択した目標画素に隣接するすべての目標画素との間で画素値の比較が終わったことになる。また、目標画素の画素値は閾値より大きく、目標画素でない画素の画素値は閾値より小さいから、目標画素でない画素の画素値は目標画素の画素値よりも小さい。したがって、目標画素選択工程S521で選択した目標画素の画素値は、隣接するすべての画素の画素値よりも大きい。すなわち、その目標画素はピーク画素である。ピーク画素抽出部132は、処理装置911を用いて、ピーク画素記憶工程S524へ進む。
未選択の目標画素があり、隣接する目標画素を選択した場合、ピーク画素抽出部132は、処理装置911を用いて、画素値比較工程S523へ進む。
【0043】
画素値比較工程S523において、ピーク画素抽出部132は、処理装置911を用いて、目標画素選択工程S521で選択した目標画素の画素値と、隣接画素選択工程S522で選択した隣接する目標画素の画素値とを比較する。
目標画素の画素値が、隣接する目標画素の画素値より大きい場合、目標画素選択工程S521で選択した目標画素がピーク画素である可能性がある。ピーク画素抽出部132は、処理装置911を用いて、隣接画素選択工程S522に戻り、隣接する次の目標画素を選択する。
目標画素の画素値が、隣接する目標画素の画素値より小さい場合、目標画素選択工程S521で選択した目標画素がピーク画素である可能性はない。ピーク画素抽出部132は、処理装置911を用いて、目標画素選択工程S521に戻り、次の目標画素を選択する。
【0044】
ピーク画素記憶工程S524において、ピーク画素抽出部132は、記憶装置914を用いて、目標画素選択工程S521で選択した目標画素を、ピーク画素として記憶する。
別のピーク画素を探すため、ピーク画素抽出部132は、処理装置911を用いて、目標画素選択工程S521に戻り、次の目標画素を選択する。
【0045】
図7は、この実施の形態における特徴距離方位算出工程S540の流れの一例を示すフローチャート図である。
特徴距離方位算出工程S540は、ピーク画素選択工程S541、特徴位置選択工程S542、特徴距離算出工程S543、特徴方位算出工程S544を有する。
【0046】
ピーク画素選択工程S541において、特徴距離算出部134は、処理装置911を用いて、ピーク画素抽出工程S520でピーク画素抽出部132が抽出したピーク画素のなかから、まだ選択していないピーク画素を1つ選択する。
ピーク画素がすべて選択済であり、まだ選択していないピーク画素がない場合、すべてのピーク画素について処理が終わったことになる。特徴距離算出部134は、処理装置911を用いて、特徴距離方位算出工程S540を終了する。
未選択のピーク画素があり、ピーク画素を選択した場合、そのピーク画素についての特徴距離及び特徴方位を求めるため、特徴距離算出部134は、処理装置911を用いて、特徴位置選択工程S542へ進む。
【0047】
特徴位置選択工程S542において、特徴距離算出部134は、処理装置911を用いて、特徴位置算出工程S530で特徴位置算出部133が算出した特徴位置のなかから、まだ選択していない特徴位置を1つ選択する。
特徴位置がすべて選択済であり、まだ選択していない特徴位置がない場合、ピーク画素選択工程S541で選択したピーク画素について、すべての特徴位置との間の特徴距離及び特徴方位を算出したことになる。特徴距離算出部134は、処理装置911を用いて、ピーク画素選択工程S541に戻り、次のピーク画素を選択する。
未選択の特徴位置があり、特徴位置を選択した場合、その特徴位置と、ピーク画素選択工程S541で選択したピーク画素との間の特徴距離及び特徴方位を算出するため、特徴距離算出部134は、処理装置911を用いて、特徴距離算出工程S543へ進む。
【0048】
特徴距離算出工程S543において、特徴距離算出部134は、処理装置911を用いて、ピーク画素選択工程S541で選択したピーク画素の位置と、特徴位置選択工程S542で選択した特徴位置との間の距離を算出する。
【0049】
特徴方位算出工程S544において、特徴方位算出部135は、処理装置911を用いて、ピーク画素選択工程S541で選択したピーク画素の位置から見た、特徴位置選択工程S542で選択した特徴位置の方位を算出する。
特徴距離算出部134は、処理装置911を用いて、特徴位置選択工程S542に戻り、次の特徴位置を選択する。
【0050】
図8は、この実施の形態における目標追尾装置100が処理するデータの一例を示す図である。
【0051】
画像データ410は、例えば、横10画素×縦10画素に配置された合計100個の画素からなる二次元画像を表わすデータである。画像データ410は、100個の画素値データ411を含む。それぞれの画素値データ411は、1個の画素に対応し、対応する画素の画素値を表わす。
【0052】
目標画素抽出部131は、各画素の画素値を閾値(例えば「50」)と比較して、画素値が閾値より大きい画素を目標画素421として抽出する。この例において、目標画素抽出部131は、100個の画素のなかから、47個の目標画素421を抽出している。
目標画素抽出部131は、連続している目標画素421を1つのグループとし、抽出した目標画素421をいくつかのグループに分類する。この例において、目標画素抽出部131は、抽出した47個の目標画素421を、44個の目標画素421からなる目標領域420aに属するグループと、3個の目標画素421からなる目標領域420bに属するグループとに分類する。目標画素抽出部131が分類した各グループは、それぞれが1個の目標850に対応する。この例において、目標画素抽出部131が目標画素421を2つのグループに分類したので、目標追尾装置100は、画像データ410において2個の目標850が観測されたと判定したことになる。
【0053】
ピーク画素抽出部132は、目標画素抽出部131が抽出した47個の目標画素421のなかから、隣接するすべての画素よりも画素値が大きい画素をピーク画素として抽出する。この例において、ピーク画素抽出部132は、目標領域420aに属する44個の目標画素421のなかから、2個のピーク画素422a,422bを抽出している。なお、図示していないが、ピーク画素抽出部132は、目標領域420bについても同様に、ピーク画素を抽出する。
ピーク画素抽出部132は、抽出したピーク画素それぞれについて、そのピーク画素の位置を算出する。ピーク画素の位置は、例えば、画像データ410の左下隅の画素を原点とし、画素の1辺の長さを単位とする直交座標系におけるx座標431とy座標432との組で表わされる。この例において、ピーク画素抽出部132は、ピーク画素422aの位置として(2,2)を算出し、ピーク画素422bの位置として(6,7)を算出する。
【0054】
特徴位置算出部133は、それぞれの目標領域について、特徴位置を算出する。特徴位置算出部133は、目標領域420aについて、1個の特徴位置423aを算出している。特徴位置は、ピーク画素の位置と同じ座標系におけるx座標441とy座標442との組で表わされる。この例において、特徴位置算出部133は、特徴位置423aとして(5.1,4.7)を算出する。この例のように、特徴位置は、必ずしも画素の位置と一致しなくてもよい。なお、図示していないが、特徴位置算出部133は、目標領域420bについても同様に、特徴位置を算出する。また、特徴位置算出部133は、1個の目標領域について、複数の特徴位置を抽出してもよい。
【0055】
特徴距離算出部134は、それぞれの目標領域について、ピーク画素抽出部132が抽出した各ピーク画素と、特徴位置算出部133が算出した各特徴位置との組に対応して、各ピーク画素の位置と各特徴位置との間の特徴距離を算出する。この例において、目標領域420aについて、ピーク画素抽出部132が抽出したピーク画素の数が「2」、特徴位置算出部133が算出した特徴位置の数が「1」であるから、特徴距離算出部134は、2×1=2個の特徴距離433を算出する。特徴距離算出部134は、ピーク画素422aの位置(2,2)と特徴位置423a(5.1,4.7)との間の特徴距離433a「4.1」を算出し、ピーク画素422bの位置(6,7)と特徴位置423a(5.1,4.7)との間の特徴距離433b「2.5」を算出する。なお、図示していないが、特徴距離算出部134は、目標領域420bについても同様に、特徴距離を算出する。ただし、目標領域が異なるピーク画素と特徴位置との間では、特徴距離を算出しない。
【0056】
特徴方位算出部135は、それぞれの目標領域について、ピーク画素抽出部132が抽出した各ピーク画素と、特徴位置算出部133が算出した各特徴位置との組に対応して、各ピーク画素の位置から見た各特徴位置の特徴方位を算出する。この例において、目標領域420aについて、ピーク画素抽出部132が抽出したピーク画素の数が「2」、特徴位置算出部133が算出した特徴位置の数が「1」であるから、特徴方位算出部135は、2×1=2個の特徴方位434を算出する。特徴方位は、例えば、所定の方向を基準として、右回りを「+」、左回りを「−」とする−180度以上180度未満の角度で表わされる。特徴方位算出部135は、ピーク画素422aの位置(2,2)から見た特徴位置423a(5.1,4.7)の特徴方位434a「49度」を算出し、ピーク画素422bの位置(6,7)から見た特徴位置423a(5.1,4.7)の特徴方位434b「−159度」を算出する。なお、図示していないが、特徴方位算出部135は、目標領域420bについても同様に、特徴方位を算出する。ただし、特徴距離算出部134と同様、目標領域が異なるピーク画素と特徴位置との間では、特徴方位を算出しない。
【0057】
特徴量抽出部130は、各ピーク画素について、ピーク画素の位置、特徴距離及び特徴方位を表わすデータを含む特徴量データを出力する。この例において、特徴量抽出部130は、ピーク画素422aについて、x座標431「2」、y座標432「2」、特徴位置423aに対する特徴距離433「4.1」、特徴位置423aに対する特徴方位「49度」を表わすデータを含む特徴量データ430aを出力する。また、特徴量抽出部130は、ピーク画素422bについて、x座標431「6」、y座標432「7」、特徴位置423aに対する特徴距離433「2.5」、特徴位置423aに対する特徴方位434「−159度」を表わすデータを含む特徴量データ430bを出力する。1個の特徴量データは、x座標431とy座標432との組を1個含み、特徴距離433と特徴方位434との組を、同じ目標領域内の特徴位置423の数と同じ数含む。
【0058】
相関処理部140は、特徴量抽出部130が出力した特徴量データに基づいて、相関処理をする。
【0059】
図9は、この実施の形態における特徴量抽出部130が処理するデータの一例を示す図である。
【0060】
例えば、観測装置810が生成した画像データ410の次の画像データに基づいて、特徴量抽出部130が、目標領域420cについて、2個のピーク画素422c,422dを抽出し、1個の特徴位置423bを算出したものとする。ピーク画素422cの位置は(2,7)、ピーク画素422dの位置は(7,3)、特徴位置423bの位置は(4.7,3.9)である。特徴量抽出部130は、ピーク画素422cについて、x座標431「2」、y座標432「7」、特徴位置423bに対する特徴距離433「4.1」、特徴位置423bに対する特徴方位434「139度」を表わすデータを含む特徴量データ430cを出力する。特徴量抽出部130は、ピーク画素422dについて、x座標431「7」、y座標432「3」、特徴距離433「2.5」、特徴方位434「−69度」を表わすデータを含む特徴量データ430dを出力する。
【0061】
相関処理部140は、特徴量抽出部130が出力した特徴量データを相関パラメータとして、特徴量抽出部130が抽出したピーク画素それぞれについて、特徴量抽出部130が前の画像データに基づいて抽出したピーク画素のなかから、同じ目標850(または細部)を観測したピーク画素を判定する。例えば、相関処理部140は、目標領域420cに観測された目標850と同じ目標を観測した目標領域が、目標領域420aであるか、目標領域420bであるか、あるいは、前の画像データには対応する目標領域がないかを判定する。仮に、目標領域420cと目標領域420aとが対応するとした場合、相関処理部140は、ピーク画素422cに観測された目標850の細部と同じ目標の細部を観測したピーク画素が、ピーク画素422aであるか、ピーク画素422bであるか、あるいは、前の画像データには対応するピーク画素がないかを判定する。同様に、相関処理部140は、ピーク画素422dに観測された目標850の細部と同じ目標の細部を観測したピーク画素が、ピーク画素422aであるか、ピーク画素422bであるか、あるいは、前の画像データには対応するピーク画素がないかを判定する。
【0062】
相関処理部140における判定のアルゴリズム自体は、従来から知られているものと同様である。例えば、相関処理部140は、前の画像データまでの相関・追尾の結果から各ピーク画素について予測した相関パラメータと、新しい画像データにおけるピーク画素の相関パラメータとを比較し、相関パラメータが最も近いピーク画素が同じ目標850(または細部)を観測したピーク画素であると判定する。
相関処理部140における判定が従来と異なる点は、ピーク画素の相関パラメータが、ピーク画素の位置だけでなく、特徴位置との間の距離や方位などを含む点である。
【0063】
例えば、ピーク画素の位置だけで考えると、ピーク画素422cの位置とピーク画素422aの位置との間の距離は、ピーク画素422cの位置とピーク画素422bの位置との間の距離とほぼ同じである。どちらかといえば、ピーク画素422cの位置とピーク画素422bの位置との間の距離のほうが近い。また、ピーク画素422dの位置とピーク画素422aの位置との間の距離は、ピーク画素422dの位置とピーク画素422bの位置との間の距離とほぼ同じである。どちらかといえば、ピーク画素422dの位置とピーク画素422bの位置との間の距離のほうが近い。
したがって、ピーク画素の位置だけで考えると、ピーク画素422c及びピーク画素422dは、どちらもピーク画素422bと同じ目標850(または細部)であり、ピーク画素422aと同じ目標850(または細部)は観測されなかったと判定することになる。あるいは、ピーク画素422c及びピーク画素422dは、ピーク画素422a及びピーク画素422bと同じ目標850(または細部)であるが、どちらがどちらに対応するかはわからないと判定することになる。
【0064】
これに対し、相関処理部140は、ピーク画素と特徴位置との間の距離及び方位を含む特徴量に基づいて対応関係を判定するので、ピーク画素422cはピーク画素422aに対応し、ピーク画素422dはピーク画素422bに対応するという判定をすることができる。
【0065】
この実施の形態における目標追尾装置100は、目標850を観測した量を表わす画素値を有する少なくとも二次元に配置された複数の画素により構成された画像に基づいて、上記目標850を追尾する。
目標追尾装置100は、データを記憶する記憶装置914と、データを処理する処理装置911と、画像記憶部112と、目標画素抽出部131と、ピーク画素抽出部132と、特徴位置算出部133と、特徴距離算出部134と、特徴方位算出部135と、相関処理部140とを有する。
上記画像記憶部112は、上記記憶装置914を用いて、観測時刻が異なる複数の画像について、上記複数の画素それぞれの画素値(画素値データ)を記憶する。
上記目標画素抽出部131は、上記処理装置911を用いて、上記複数の画像それぞれについて、上記画像記憶部112が記憶した複数の画素値に基づいて、上記画像に含まれる複数の画素のなかから、画素値が所定の閾値より大きく、かつ、不連続でない画素を抽出して、目標画素421とする。
上記ピーク画素抽出部132は、上記処理装置911を用いて、上記複数の画像それぞれについて、上記画像記憶部112が記憶した複数の画素値に基づいて、上記目標画素抽出部131が抽出した目標画素421のなかから、隣接する画素よりも画素値が大きい画素を抽出して、ピーク画素422とする。
上記特徴位置算出部133は、上記処理装置911を用いて、上記複数の画像それぞれについて、上記目標画素抽出部131が抽出した目標画素421に基づいて、上記目標850の特徴を表わす特徴点の位置を算出して、特徴位置423とする。
上記特徴距離算出部134は、上記処理装置911を用いて、上記複数の画像それぞれについて、上記ピーク画素抽出部132が抽出したピーク画素422と、上記特徴位置算出部133が算出した特徴位置423とに基づいて、上記ピーク画素422の位置と特徴位置423との間の距離を算出して、特徴距離433とする。
上記特徴方位算出部135は、上記処理装置911を用いて、上記複数の画像それぞれについて、上記ピーク画素抽出部132が抽出したピーク画素422と、上記特徴位置算出部133が算出した特徴位置423とに基づいて、上記ピーク画素422の位置から見た上記特徴位置423の方位を算出して、特徴方位434とする。
上記相関処理部140は、上記処理装置911を用いて、上記特徴距離算出部134が算出した特徴距離433と、上記特徴方位算出部135が算出した特徴方位434とを含む相関パラメータに基づいて、上記複数の画像の相関処理をする。
【0066】
この実施の形態における目標追尾装置100によれば、特徴距離算出部134が算出した特徴距離や特徴方位算出部135が算出した特徴方位を含む相関パラメータに基づいて、相関処理部140が相関処理をするので、比較的狭い範囲内に複数のピーク画素がある場合でも、少ない計算量で精度の高い相関処理をすることができる。
【0067】
この実施の形態における目標追尾装置100は、コンピュータを目標追尾装置100として機能させるコンピュータプログラムをコンピュータが実行することにより実現することができる。
【0068】
この実施の形態における目標追尾装置100が目標を追尾する目標追尾方法によれば、処理装置911が、算出した特徴距離や特徴方位を含む相関パラメータに基づいて相関処理をするので、比較的狭い範囲内に複数のピーク画素がある場合でも、少ない計算量で精度の高い相関処理をすることができる。
【0069】
実施の形態2.
実施の形態2について、図10〜図11を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0070】
目標追尾システム800の全体構成、目標追尾装置100のハードウェア構成及びブロック構成は、実施の形態1と同様である。また、特徴量抽出処理S500、目標画素抽出工程S510、ピーク画素抽出工程S520、特徴距離方位算出工程S540の流れも、実施の形態1と同様である。
【0071】
特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素抽出部131が出力した画素値データを入力する。特徴位置算出部133は、入力した画素値データに基づいて、処理装置911を用いて、特徴点として、画像上における目標850の重心を算出し、算出した重心の位置を特徴位置とする。特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、算出した重心の位置を表わす特徴位置データを出力する。
【0072】
図10は、この実施の形態における特徴位置算出工程S530の流れの一例を示すフローチャート図である。
特徴位置算出工程S530は、目標選択工程S531、初期化工程S532、目標画素選択工程S533、目標画素計数工程S534、x座標累計工程S535、y座標累計工程S536、x座標算出工程S537、y座標算出工程S538を有する。
【0073】
目標選択工程S531において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素抽出部131が分類した目標画素のグループのなかから、まだ選択していないグループを1つ選択する。
すべてのグループが選択済であり、まだ選択していないグループがない場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、特徴位置算出工程S530を終了する。
未選択のグループがあり、グループを選択した場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、初期化工程S532へ進む。
【0074】
初期化工程S532において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素の数を0に設定し、記憶装置914を用いて記憶する。特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、x座標の累計値を0に設定し、記憶装置914を用いて記憶する。特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、y座標の累計値を0に設定し、記憶装置914を用いて記憶する。
【0075】
目標画素選択工程S533において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素抽出部131が抽出した目標画素のうち、目標選択工程S531で選択したグループに属する目標画素のなかから、まだ選択していない目標画素を1つ選択する。
目標選択工程S531で選択したグループに属する目標画素がすべて選択済であり、まだ選択していない目標画素がない場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、x座標算出工程S537へ進む。
未選択の目標画素があり、目標画素を選択した場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素計数工程S534へ進む。
【0076】
目標画素計数工程S534において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、記憶した目標画素の数に1を加算して、記憶装置914を用いて記憶する。
【0077】
x座標累計工程S535において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、記憶したx座標の累計値に、目標画素選択工程S533で選択した目標画素のx座標を加算して、記憶装置914を用いて記憶する。
【0078】
y座標累計工程S536において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、記憶したy座標の累計値に、目標画素選択工程S533で選択した目標画素のy座標を加算して、記憶装置914を用いて記憶する。
特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素選択工程S533に戻り、次の目標画素を選択する。
【0079】
x座標算出工程S537において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、x座標累計工程S535で累計したx座標の累計値を、目標画素計数工程S534で数えた目標画素の数で割った商を算出して、目標選択工程S531で選択したグループの特徴点のx座標とする。
【0080】
y座標算出工程S538において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、y座標累計工程S536で累計したy座標の累計値を、目標画素計数工程S534で数えた目標画素の数で割った商を算出して、目標選択工程S531で選択したグループの特徴点のy座標とする。
特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標選択工程S531に戻り、次のグループを選択する。
【0081】
特徴位置算出部133は、例えばこのようにして、1つの目標領域(グループ)に対して、その目標領域に属する目標画素のx座標及びy座標の単純平均を算出して、その目標領域の重心位置とする。特徴位置算出部133は、1つの目標領域につき、1つの重心位置を算出する。特徴位置算出部133は、算出した重心位置を、その目標領域の特徴位置とする。
【0082】
なお、特徴位置算出部133は、単純平均ではなく、目標画素の画素値によって重み付けした重み付け平均を算出して、目標領域の重心位置とする構成であってもよい。
また、特徴位置算出部133は、特徴位置として、重心位置だけでなく、他の実施の形態で説明する他の特徴点の位置を算出し、1つの目標領域について、複数の特徴位置を算出する構成であってもよい。
【0083】
この実施の形態における目標追尾装置100において、上記特徴位置算出部133は、上記処理装置911を用いて、上記目標画素421の位置を平均して、重心位置を算出し、算出した重心位置を特徴位置とする。
この実施の形態における目標追尾装置100によれば、特徴位置算出部133が算出した重心位置に基づいて、特徴距離算出部134が特徴距離を算出し、特徴方位算出部135が特徴方位を算出し、算出した特徴距離や特徴方位を含む相関パラメータに基づいて相関処理部140が相関処理をするので、比較的狭い範囲内に複数のピーク画素がある場合でも、少ない計算量で精度の高い相関処理をすることができる。
【0084】
以上説明した目標追尾装置100は、センサ上で複数の画素により構成される目標領域において、取得される画像のフレーム間で出現位置が変化する特徴点追尾の安定化を実施する。
目標追尾装置100は、例えば、信号処理部(画像入力部111)、ゲート内判定処理部(ゲート処理部120)、特徴量抽出処理部(特徴量抽出部130)、相関処理部140、平滑処理部150、予測処理部160を有する。
特徴量抽出処理部は、例えば、目標領域判定処理部(目標画素抽出部131)、ピーク画素判定処理部(ピーク画素抽出部132)、ピーク画素位置抽出処理部(ピーク画素抽出部132)、目標領域重心点位置抽出処理部(特徴位置算出部133)、目標重心点・ピーク画素間距離(重心距離)算出処理部(特徴距離算出部134)、目標重心点・ピーク画素間方位(重心方位)算出処理部(特徴方位算出部135)を有する。
【0085】
まず、目標領域判定処理部が、入力画像内における目標領域を抽出する。
次に、ピーク画素判定処理部が、目標領域判定処理部が目標領域と判定した領域中でピーク画素となる画素を抽出する。ピーク画素とは、例えば、3×3画素領域内で、中央の画素が最大値となる(周辺の8個の画素よりも画素値が大きい)場合における中央の画素のことである。
次に、ピーク画素位置抽出処理部が、ピーク画素判定処理部が抽出したピーク画素の画像内での位置情報を抽出する。
次に、目標領域重心点位置抽出処理部が、目標領域判定処理部が目標領域と判定した領域の重心点の位置情報を抽出する。重心点の座標は、例えば、閾値処理によって抽出された目標領域内全画素のx座標値とy座標値を合算し、目標領域内全画素数で割った値である。
次に、目標重心点・ピーク画素間距離(重心距離)算出処理部が、目標領域重心点位置抽出処理部が抽出した目標領域の重心点の位置から、ピーク画素位置抽出処理部が抽出したピーク画素の画像内での位置までの距離を算出し、特徴量とする。
次に、目標重心点・ピーク画素間方位(重心方位)算出処理部が、目標領域重心点位置抽出処理部が抽出した目標領域の重心点の位置から、ピーク画素位置抽出処理部が抽出したピーク画素の画像内での位置までの方位を算出し、特徴量とする。
【0086】
相関処理部140は、特徴量抽出処理部が抽出した輝点特徴量を使用して、フレーム間の輝点の相関処理を実施する。
相関処理部140は、例えば、ピーク画素数算出処理部、ピーク画素位置相関処理部、ピーク画素位置・重心距離・重心方位相関処理部、追尾対象点確定処理部を有する。
【0087】
まず、ピーク画素数判定処理部が、入力画像内における目標領域内のピーク画素数を算出する。
ピーク画素数判定処理部が算出したピーク画素数が単数である場合、ピーク画素位置相関処理部が、ピーク画素の位置情報のみによる相関処理を実施する。
ピーク画素数判定処理部が算出したピーク画素数が複数である場合、ピーク画素位置・重心距離・重心方位相関処理部が、ピーク画素の位置情報と、重心距離と、重心方位を使った相関処理を実施する。
次に、追尾対象点確定処理部が、相関されたピーク画素を追尾対象点として抽出する。
【0088】
このように、1つの目標領域内に存在するピーク画素が1つだけである場合、近接したピーク画素がないので、重心距離や重心方位を使わずに、相関処理をする構成であってもよい。そうすれば、相関処理の精度を落とすことなく、相関処理部140の計算量を抑えることができる。
【0089】
以上説明した目標追尾装置100は、目標領域全体の重心点から、目標領域全体の中に存在する全てのピーク画素までの距離と方位を追尾パラメータとして新たに付加するので、フレーム間での画素値の変動に影響されることなく、画素値最大ピーク画素とならないピーク画素でも、フレーム間での連続追尾が可能となる。
【0090】
これにより、画像上に複数の画素で構成される領域を持つ目標に対し、観測点若しくは目標、若しくは観測点と目標の双方が移動している場合など、目標領域中の画素値最大ピーク画素や重心点といった画像上の特徴点が、取得されるフレーム間で出現位置が変化することがある場合であっても、フレーム間で連続して同一特徴点を追尾することができる。
【0091】
図11は、この実施の形態における追尾の様子の一例を示す図である。
例えば、フレーム番号T1の画像において、ある目標領域内に2つのピーク画素が抽出され、左側のピーク画素のほうが画素値が大きい。
次のフレームであるフレーム番号T2の画像において、同じように、2つのピーク画素が抽出される。しかし、ピーク画素の間の画素値の大小関係が逆転し、右側のピーク画素のほうが画素値が大きい。
その次のフレームであるフレーム番号T3の画像においても同様に、2つのピーク画素が抽出され、ピーク画素の画素値の大小関係は、フレーム番号T1の画像の状態に戻っている。
【0092】
このような場合において、仮に、この目標領域を画素値が最大のピーク画素に代表させて追尾したとすると、目標がほとんど動いていないにも関わらず、追尾点が左右に揺れ動くことになる。
【0093】
これに対し、目標追尾装置100は、すべてのピーク画素を追尾するので、追尾点が揺れ動くことがない。また、すべてのピーク画素を追尾することにより、ピーク画素の間の距離が近くなっても、重心点との間の位置関係を相関パラメータとして用いることにより、少ない計算量で相関処理をすることができる。
【0094】
目標追尾装置100は、目標領域内で画素値最大ピーク画素とならない、ある程度の輝度値を持つ任意の画素を追尾することができる。目標追尾装置100は、追尾対象とする任意の画素の特徴量として、従来方式で使用される画素の座標値のみでなく、目標領域全体の重心点から、追尾対象となる任意の画素までの距離と、その方位を、新たな追尾パラメータとして算出し、座標値とあわせて追尾パラメータ数を増加させ、より高精度な追尾処理を可能とする。
これにより、フレーム間で画素値最大ピーク画素の出現位置が変動するような画像による相関を実施する場合や、また、観測点が移動することにより、目標と観測点が接近や離反をする環境下において、取得画像の目標領域がフレーム間で変形することにより、目標領域の重心位置がフレーム間で変動するような画像による相関を実施する場合であっても、追尾の維持が可能となる。
【0095】
実施の形態3.
実施の形態3について、図12〜図13を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0096】
目標追尾システム800の全体構成、目標追尾装置100のハードウェア構成及びブロック構成は、実施の形態1と同様である。また、特徴量抽出処理S500、目標画素抽出工程S510、ピーク画素抽出工程S520、特徴距離方位算出工程S540の流れも、実施の形態1と同様である。
【0097】
特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素抽出部131が出力した画素値データを入力する。特徴位置算出部133は、入力した画素値データに基づいて、処理装置911を用いて、特徴点として、画像上における目標850の長軸を算出し、算出した長軸の両端の位置を特徴位置とする。特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、算出した長軸の両端の位置を表わす特徴位置データを出力する。
【0098】
図12は、この実施の形態における特徴位置算出工程S530の流れの一例を示すフローチャート図である。
特徴位置算出工程S530は、目標選択工程S551、初期化工程S552、左側目標画素選択工程S553、右側目標画素選択工程S554、距離算出工程S555、距離比較工程S556、距離記憶工程S557、左側目標画素記憶工程S558、右側目標画素記憶工程S559を有する。
【0099】
目標選択工程S551において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素抽出部131が分類した目標画素のグループのなかから、まだ選択していないグループを1つ選択する。
すべてのグループが選択済であり、まだ選択していないグループがない場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、特徴位置算出工程S530を終了する。
未選択のグループがあり、グループを選択した場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、初期化工程S552へ進む。
【0100】
初期化工程S552において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、長軸距離を0に設定し、記憶装置914を用いて記憶する。
【0101】
左側目標画素選択工程S553において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素抽出部131が抽出した目標画素のうち、目標選択工程S551で選択したグループに属する目標画素であって、左隣の画素が目標画素でない画素のなかから、まだ選択していない目標画素を1つ選択する。
目標選択工程S551で選択したグループに属する目標画素のうち左隣が目標画素でない画素がすべて選択済であり、まだ選択していない目標画素がない場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標選択工程S551に戻り、次のグループを選択する。
未選択の目標画素があり、目標画素を選択した場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、右側目標画素選択工程S554へ進む。
【0102】
右側目標画素選択工程S554において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素抽出部131が抽出した目標画素のうち、画素選択工程S511で選択したグループに属する目標画素であって、右隣の画素が目標画素でない画素のなかから、まだ選択していない目標画素を1つ選択する。
目標選択工程S551で選択したグループに属する目標画素のうち右隣が目標画素でない画素がすべて選択済であり、まだ選択していない目標画素がない場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、左側目標画素選択工程S553に戻り、左側の次の目標画素を選択する。
未選択の目標画素があり、目標画素を選択した場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、距離算出工程S555へ進む。
【0103】
距離算出工程S555において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、左側目標画素選択工程S553で選択した左側の目標画素と、右側目標画素選択工程S554で選択した右側の目標画素との間の距離を算出する。なお、距離算出工程S555で算出する距離は、距離の大小が比較できればよい。したがって、ピタゴラスの定理を用いて距離を算出する場合、特徴位置算出部133は、平方根を取らずに、距離の二乗を算出する構成であってもよい。
【0104】
距離比較工程S556において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、距離算出工程S555で算出した距離(または距離の二乗)と、記憶した長軸距離(または長軸距離の二乗)とを比較する。
距離算出工程S555で算出した距離が長軸距離よりも大きい場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、距離記憶工程S557へ進む。
距離算出工程S555で算出した距離が長軸距離よりも小さい場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、右側目標画素選択工程S554に戻り、右側の次の目標画素を選択する。
【0105】
距離記憶工程S557において、特徴位置算出部133は、記憶装置914を用いて、距離算出工程S555で算出した距離(または距離の二乗)を、長軸距離(または長軸距離の二乗)として記憶する。
【0106】
左側目標画素記憶工程S558において、特徴位置算出部133は、記憶装置914を用いて、左側目標画素選択工程S553で選択した左側の目標画素を、(暫定的に)目標選択工程S551で選択したグループについての長軸の一端の画素として記憶する。
【0107】
右側目標画素記憶工程S559において、特徴位置算出部133は、記憶装置914を用いて、右側目標画素選択工程S554で選択した右側の目標画素を、(暫定的に)目標選択工程S551で選択したグループについての長軸の他端の画素として記憶する。
特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、右側目標画素選択工程S554に戻り、右側の次の目標画素を選択する。
【0108】
特徴位置算出部133は、例えばこのようにして、1つの目標領域(グループ)に対して、その目標領域に属する目標画素のなかから、互いの距離が最も離れた2つの目標画素を判定して、特徴点とする。特徴位置算出部133は、判定した2つの目標画素の位置を特徴位置とする。特徴位置算出部133は、1つの目標領域につき、2つの特徴位置を算出する。
【0109】
なお、特徴位置算出部133は、特徴位置として、長軸の両端の画素の位置だけでなく、他の実施の形態で説明する他の特徴点の位置を算出し、1つの目標領域について、3つ以上の特徴位置を算出する構成であってもよい。
【0110】
この実施の形態における目標追尾装置100において、上記特徴位置算出部133は、上記処理装置911を用いて、上記目標画素421のなかから、互いの距離が最も離れた2つの画素を判定し、判定した2つの画素それぞれの位置を特徴位置とする。
【0111】
この実施の形態における目標追尾装置100によれば、特徴位置算出部133が算出した特徴位置に基づいて、特徴距離算出部134が特徴距離を算出し、特徴方位算出部135が特徴方位を算出し、算出した特徴距離や特徴方位を含む相関パラメータに基づいて相関処理部140が相関処理をするので、比較的狭い範囲内に複数のピーク画素がある場合でも、少ない計算量で精度の高い相関処理をすることができる。
【0112】
図13は、この実施の形態における追尾の様子の一例を示す図である。
目標領域内の長軸とは、目標領域を構成する画素群において、目標領域内と目標領域外の境界に位置する画素を境界画素と設定し、2つの境界画素間の離隔距離が最長となる距離を目標領域長軸として設定したものである。
まず、目標画素抽出部131は、目標領域を抽出する。
次に、特徴位置算出部133は、目標領域長軸を構成する2つの境界画素を長軸構成画素[A][B](特徴点)とする。特徴位置算出部133は、目標領域内の境界画素間で最長となる距離を目標領域長軸とし、ペアとなる境界画素を長軸端部画素[A]、長軸端部画素[B]とする。
次に、ピーク画素抽出部132は、目標領域内で追尾対象候補となるピーク画素[a]、ピーク画素[b]を抽出する。
次に、特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135は、この長軸構成画素から、追尾対象とするピーク画素[a]までの距離と方位を算出する。長軸構成画素は2つ存在しているため、長軸構成画素[A]からピーク画素[a]までの距離を「長軸端部距離[A][a]」、長軸構成画素[B]からピーク画素[a]までの距離を「長軸端部距離[B][a]」とする。また、長軸構成画素[A]からピーク画素[a]までの方位を「長軸端部方位[A][a]」、長軸構成画素[B]からピーク画素[a]までの方位を「長軸端部方位[B][a]」とする。特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135は、目標領域内のピーク画素[a]と長軸端部画素[A]との距離(長軸端部距離[A][a])と方位(長軸端部方位[A][a])とを抽出する。特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135は、目標領域内のピーク画素[a]と長軸端部画素[B]との距離(長軸端部距離[B][a])と方位(長軸端部方位[B][a])とを抽出する。特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135は、その他のピーク画素[b]にも同等の処理を行い、値を保持する。
相関処理部140は、抽出された長軸端部距離と長軸端部方位とを新たな相関パラメータとして使用する。
【0113】
実施の形態4.
実施の形態4について、図14〜図15を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0114】
目標追尾システム800の全体構成、目標追尾装置100のハードウェア構成及びブロック構成は、実施の形態1と同様である。また、特徴量抽出処理S500、目標画素抽出工程S510、ピーク画素抽出工程S520、特徴距離方位算出工程S540の流れも、実施の形態1と同様である。
【0115】
特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素抽出部131が出力した画素値データを入力する。特徴位置算出部133は、入力した画素値データに基づいて、処理装置911を用いて、特徴点として、画像上における目標850の突出した先端の画素(以下「突出画素」と呼ぶ。)を検出し、検出した突出画素の位置を特徴位置とする。特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、算出した突出画素の位置を表わす特徴位置データを出力する。
【0116】
図14は、この実施の形態における特徴位置算出工程S530の流れの一例を示すフローチャート図である。
特徴位置算出工程S530は、目標選択工程S561、目標画素選択工程S562、初期化工程S563、周辺画素選択工程S564、目標画素判定工程S565、周辺目標画素計数工程S566、閾値判定工程S567、突出画素記憶工程S568を有する。
【0117】
目標選択工程S561において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素抽出部131が分類した目標画素のグループのなかから、まだ選択していないグループを1つ選択する。
すべてのグループが選択済であり、まだ選択していないグループがない場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、特徴位置算出工程S530を終了する。
未選択のグループがあり、グループを選択した場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素選択工程S562へ進む。
【0118】
目標画素選択工程S562において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素抽出部131が抽出した目標画素のうち、目標選択工程S561で選択したグループに属する目標画素のなかから、まだ選択していない目標画素を1つ選択する。
目標選択工程S561で選択したグループに属する目標画素がすべて選択済であり、まだ選択していない目標画素がない場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標選択工程S561に戻り、次のグループを選択する。
未選択の目標画素があり、目標画素を選択した場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、初期化工程S563へ進む。
【0119】
初期化工程S563において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、周辺目標画素の数を0に設定し、記憶装置914を用いて記憶する。
【0120】
周辺画素選択工程S564において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素選択工程S562で選択した目標画素の周辺に位置する画素のなかから、画素を1つ選択する。目標画素の周辺に位置する画素とは、目標画素に隣接する画素、もしくは、目標画素からの距離が所定の閾値以下である画素、もしくは、目標画素との間の座標の差が所定の閾値以下である画素のことである。
目標画素選択工程S562で選択した目標画素の周辺に位置する画素がすべて選択済であり、まだ選択していない画素がない場合、その目標画素は突出画素である。特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、突出画素記憶工程S568へ進む。
未選択の画素があり、画素を選択した場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素判定工程S565へ進む。
【0121】
目標画素判定工程S565において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、周辺画素選択工程S564で選択した画素が目標画素であるか否かを判定する。
周辺画素選択工程S564で選択した画素が目標画素である場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、周辺目標画素計数工程S566へ進む。
周辺画素選択工程S564で選択した画素が目標画素でない場合、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、周辺画素選択工程S564に戻り、次の周辺画素を選択する。
【0122】
周辺目標画素計数工程S566において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、記憶した周辺目標画素の数に1を加え、記憶装置914を用いて記憶する。
【0123】
閾値判定工程S567において、特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、記憶した周辺目標画素の数を所定の閾値と比較する。
周辺目標画素の数が閾値以上である場合、その目標画素は突出画素ではない。特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素選択工程S562に戻り、次の目標画素を選択する。
周辺目標画素の数が閾値未満である場合、その目標画素が突出画素であるか否かはまだわからない。特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、周辺画素選択工程S564に戻り、次の周辺画素を選択する。
【0124】
突出画素記憶工程S568において、特徴位置算出部133は、記憶装置914を用いて、目標画素選択工程S562で選択した目標画素を、目標選択工程S561で選択したグループについての突出画素として記憶する。
特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素選択工程S562に戻り、次の目標画素を選択する。
【0125】
特徴位置算出部133は、例えばこのようにして、1つの目標領域(グループ)に対して、その目標領域に属する目標画素のなかから、突出画素を抽出して、特徴点とする。特徴位置算出部133は、抽出した突出画素の位置を特徴位置とする。特徴位置算出部133は、1つの目標領域について、複数の突出画素を抽出する場合もあるし、突出画素を抽出しない場合もある。
【0126】
なお、特徴位置算出部133は、特徴位置として、突出画素の位置だけでなく、他の実施の形態で説明する他の特徴点の位置を算出する構成であってもよい。
【0127】
この実施の形態における目標追尾装置100において、上記特徴位置算出部133は、上記処理装置911を用いて、上記目標画素421のなかから、突出した先端の画素を抽出して、突出画素とし、抽出した突出画素の位置を特徴位置とする。
【0128】
この実施の形態における目標追尾装置100によれば、特徴位置算出部133が算出した特徴位置に基づいて、特徴距離算出部134が特徴距離を算出し、特徴方位算出部135が特徴方位を算出し、算出した特徴距離や特徴方位を含む相関パラメータに基づいて相関処理部140が相関処理をするので、比較的狭い範囲内に複数のピーク画素がある場合でも、少ない計算量で精度の高い相関処理をすることができる。
【0129】
図15は、この実施の形態における追尾の様子の一例を示す図である。
目標領域内の特徴的な形状とは、目標領域を構成する画素群において、目標領域内と目標領域外の境界に位置する画素において、1画素のみ目標領域外へ突き出した形状をしているような画素(突出画素)を指しており、任意に指定可能とする。特徴的な形状の画素のことを、特徴的形状画素と呼ぶ。
まず、目標画素抽出部131は、目標領域を抽出する。
次に、特徴位置算出部133は、目標領域内の特徴的な形状を示す画素を特徴的形状画素[A]とする。
次に、ピーク画素抽出部132は、目標領域内で追尾対象候補となるピーク画素[a]、ピーク画素[b]を抽出する。
次に、特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135は、この特徴的形状画素[A]から、追尾対象とするピーク画素[a]までの距離と方位を算出する。特徴的形状画素[A]からピーク画素[a]までの距離を「特徴的形状画素距離[A][a]」とする。また、特徴的形状画素[A]からピーク画素[a]までの方位を「特徴的形状画素方位[A][a]」とする。特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135は、目標領域内のピーク画素[a」と、特徴的形状画素[A]との距離(特徴形状画素距離[A][a])と方位(特徴形状画素方位[A][a])とを抽出する。特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135は、その他のピーク画素[b]にも同等の処理を行い、値を保持する。
相関処理部140は、抽出された特徴形状画素距離と特徴形状画素方位とを新たな相関パラメータとして使用する。
【0130】
実施の形態5.
実施の形態5について、図16〜図17を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0131】
目標追尾システム800の全体構成、目標追尾装置100のハードウェア構成及びブロック構成は、実施の形態1と同様である。
【0132】
特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、目標画素抽出部131が出力した画素値データを入力する。特徴位置算出部133は、入力した画素値データに基づいて、処理装置911を用いて、特徴位置を算出する。特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、算出した特徴位置を表わす特徴位置データを出力する。
【0133】
相関処理部140は、ピーク画素抽出部132が抽出したピーク画素の位置や、特徴位置算出部133が算出した特徴位置に基づいて特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135が算出した特徴距離及び特徴方位を相関パラメータとして使用して、処理装置911を用いて、第一次相関処理をする。第一次相関処理では、ピーク画素同士の相関処理はせず、目標領域同士の相関処理をする。
なお、第一次相関処理において、相関処理部140は、特徴距離や特徴方位を使わず、ピーク画素の位置に基づいて、目標領域の相関処理をする構成であってもよい。あるいは、1つの目標領域を代表するピーク画素として、画素値が最も大きい1個のピーク画素を用い、相関処理部140は、目標領域内で画素値が最も大きいピーク画素の位置に基づいて、目標領域の相関処理をする構成であってもよい。
【0134】
特徴位置算出部133は、相関処理部140が第一次相関処理をした結果に基づいて、ある目標領域について算出した特徴位置と、一つ前の画像において同じ目標850を観測した目標領域について算出し記憶しておいた特徴位置との平均(以下「平均特徴位置」と呼ぶ。)を算出する。特徴位置算出部133は、処理装置911を用いて、算出した平均特徴位置を表わすデータ(以下「平均特徴位置データ」と呼ぶ。)を出力する。
【0135】
特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135は、処理装置911を用いて、特徴位置算出部133が出力した平均特徴位置データを入力する。特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135は、入力した平均特徴位置データに基づいて、処理装置911を用いて、平均特徴位置を、今回の画像及び一つ前の画像におけるその目標領域についての特徴位置とし、改めて、特徴距離及び特徴方位を算出する。特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135は、処理装置911を用いて、改めて算出した特徴距離及び特徴方位を現す特徴距離データ及び特徴方位データを出力する。
【0136】
相関処理部140は、ピーク画素抽出部132が抽出したピーク画素の位置や、特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135が改めて算出した特徴距離及び特徴方位を相関パラメータとして使用して、処理装置911を用いて、第二次相関処理をする。第二次相関処理では、1つの目標領域内の1以上のピーク画素についての相関処理をする。
【0137】
なお、相関処理部140が第一次相関処理をする代わりに、特徴位置算出部133が、一つ前の画像において同じ目標850を観測した可能性のあるすべての目標領域との間で、特徴位置を平均して平均特徴位置を算出する構成であってもよい。その場合、相関処理部140は、第二次相関処理において、最も整合性の高い平均特徴位置を判定して目標領域間の相関処理をしたのち、その平均特徴位置に基づいて特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135が算出した特徴距離及び特徴方位に基づいて、ピーク画素の相関処理をする。
【0138】
図16は、この実施の形態における特徴量抽出処理S500の流れの一例を示すフローチャート図である。
特徴量抽出処理S500は、実施の形態1で説明した工程に加えて、更に、第一次相関工程S550、平均特徴位置算出工程S560、前回特徴距離方位算出工程S570、今回特徴距離方位算出工程S580を有する。
【0139】
第一次相関工程S550において、相関処理部140は、ピーク画素抽出工程S520でピーク画素抽出部132が抽出したピーク画素の位置や、特徴距離方位算出工程S540で特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135が算出した特徴距離や特徴方位などに基づいて、処理装置911を用いて、目標領域間の相関処理をする。
【0140】
平均特徴位置算出工程S560において、特徴位置算出部133は、第一次相関工程S550で相関処理部140がした相関処理の結果に基づいて、処理装置911を用いて、今回の画像における目標領域について算出した特徴位置(例えば重心位置)と、同じ目標850を観測した1つ前の画像における目標領域について算出した特徴位置(例えば重心位置)との平均を取り、平均特徴位置とする。
【0141】
前回特徴距離方位算出工程S570において、特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135は、ピーク画素抽出部132が1つ前の画像について抽出したピーク画素の位置と、平均特徴位置算出工程S560で特徴位置算出部133が算出した平均特徴位置とに基づいて、処理装置911を用いて、特徴距離及び特徴方位を算出する。
【0142】
今回特徴距離方位算出工程S580において、特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135は、ピーク画素抽出部132が今回の画像について抽出したピーク画素の位置と、平均特徴位置算出工程S560で特徴位置算出部133が算出した平均特徴位置とに基づいて、処理装置911を用いて、特徴距離及び特徴方位を算出する。
【0143】
相関処理部140は、ピーク画素抽出部132が1つ前の画像及び今回の画像について抽出したピーク画素の位置と、前回特徴距離方位算出工程S570及び今回特徴距離方位算出工程S580で特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135が算出した特徴距離及び特徴方位とに基づいて、ピーク画素間の相関処理をする。
【0144】
この実施の形態における目標追尾装置100において、上記特徴位置算出部133は、上記処理装置911を用いて、上記複数の画像それぞれについて算出した特徴位置を平均して、平均特徴位置を算出し、算出した平均特徴位置を上記複数の画像についての特徴位置とする。
【0145】
この実施の形態における目標追尾装置100によれば、特徴位置算出部133が算出した平均特徴位置に基づいて、特徴距離算出部134が特徴距離を算出し、特徴方位算出部135が特徴方位を算出し、算出した特徴距離や特徴方位を含む相関パラメータに基づいて相関処理部140が相関処理をするので、比較的狭い範囲内に複数のピーク画素があり、かつ、特徴位置の変動が激しい場合でも、少ない計算量で精度の高い相関処理をすることができる。
【0146】
図17は、この実施の形態における追尾の様子の一例を示す図である。
入力画像において抽出される重心点の位置が、連続する2フレーム間における変動が大きい場合において、特徴位置算出部133は、連続する2フレーム間での重心点の位置の平均値を算出(これを「フレーム間平均重心点」とする)する。特徴位置算出部133は、隣接するフレーム間で重心点の出現位置を抽出する。特徴位置算出部133は、重心点T1と重心点T2との平均値を算出し、フレーム間平均重心点とする。
平均位置を算出するのに使用した連続する2フレームでは、特徴距離算出部134及び特徴方位算出部135は、この「フレーム間平均重心点」からピーク画素までの距離と方位を、「重心距離」と「重心方位」として算出する。
相関処理部140は、フレーム間平均重心点を使った重心方位・重心距離を相関パラメータとして使用する。これにより、フレーム間で位置の変動の大きな重心点を相関パラメータとして使用することができる。
【符号の説明】
【0147】
100 目標追尾装置、111 画像入力部、112 画像記憶部、120 ゲート処理部、130 特徴量抽出部、131 目標画素抽出部、132 ピーク画素抽出部、133 特徴位置算出部、134 特徴距離算出部、135 特徴方位算出部、140 相関処理部、150 平滑処理部、160 予測処理部、170 結果出力部、410 画像データ、411 画素値データ、420 目標領域、421 目標画素、422 ピーク画素、423 特徴位置、430 特徴量データ、431,441 x座標、432,442 y座標、433 特徴距離、434 特徴方位、800 目標追尾システム、810 観測装置、820 表示装置、850 目標、901 出力装置、902 入力装置、911 処理装置、914 記憶装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標を観測した量を表わす画素値を有する少なくとも二次元に配置された複数の画素により構成された画像に基づいて、上記目標を追尾する目標追尾装置において、
データを記憶する記憶装置と、データを処理する処理装置と、画像記憶部と、目標画素抽出部と、ピーク画素抽出部と、特徴位置算出部と、特徴距離算出部と、特徴方位算出部と、相関処理部とを有し、
上記画像記憶部は、上記記憶装置を用いて、観測時刻が異なる複数の画像について、上記複数の画素それぞれの画素値を記憶し、
上記目標画素抽出部は、上記処理装置を用いて、上記複数の画像それぞれについて、上記画像記憶部が記憶した複数の画素値に基づいて、上記画像に含まれる複数の画素のなかから、画素値が所定の閾値より大きく、かつ、不連続でない画素を抽出して、目標画素とし、
上記ピーク画素抽出部は、上記処理装置を用いて、上記複数の画像それぞれについて、上記画像記憶部が記憶した複数の画素値に基づいて、上記目標画素抽出部が抽出した目標画素のなかから、隣接する画素よりも画素値が大きい画素を抽出して、ピーク画素とし、
上記特徴位置算出部は、上記処理装置を用いて、上記複数の画像それぞれについて、上記目標画素抽出部が抽出した目標画素に基づいて、上記目標の特徴を表わす特徴点の位置を算出して、特徴位置とし、
上記特徴距離算出部は、上記処理装置を用いて、上記複数の画像それぞれについて、上記ピーク画素抽出部が抽出したピーク画素と、上記特徴位置算出部が算出した特徴位置とに基づいて、上記ピーク画素の位置と特徴位置との間の距離を算出して、特徴距離とし、
上記特徴方位算出部は、上記処理装置を用いて、上記複数の画像それぞれについて、上記ピーク画素抽出部が抽出したピーク画素と、上記特徴位置算出部が算出した特徴位置とに基づいて、上記ピーク画素の位置から見た上記特徴位置の方位を算出して、特徴方位とし、
上記相関処理部は、上記処理装置を用いて、上記特徴距離算出部が算出した特徴距離と、上記特徴方位算出部が算出した特徴方位とを含む相関パラメータに基づいて、上記複数の画像の相関処理をすることを特徴とする目標追尾装置。
【請求項2】
上記特徴位置算出部は、上記処理装置を用いて、上記目標画素の位置を平均して、重心位置を算出し、算出した重心位置を特徴位置とすることを特徴とする請求項1に記載の目標追尾装置。
【請求項3】
上記特徴位置算出部は、上記処理装置を用いて、上記目標画素のなかから、互いの距離が最も離れた2つの画素を判定し、判定した2つの画素それぞれの位置を特徴位置とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の目標追尾装置。
【請求項4】
上記特徴位置算出部は、上記処理装置を用いて、上記目標画素のなかから、突出した先端の画素を抽出して、突出画素とし、抽出した突出画素の位置を特徴位置とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の目標追尾装置。
【請求項5】
上記特徴位置算出部は、上記処理装置を用いて、上記複数の画像それぞれについて算出した特徴位置を平均して、平均特徴位置を算出し、算出した平均特徴位置を上記複数の画像についての特徴位置とすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の目標追尾装置。
【請求項6】
データを記憶する記憶装置と、データを処理する処理装置とを有するコンピュータが実行することにより、上記コンピュータが請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の目標追尾装置として機能することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
データを記憶する記憶装置と、データを処理する処理装置とを有する目標追尾装置が、目標を観測した量を表わす画素値を有する少なくとも二次元に配置された複数の画素により構成された画像に基づいて、上記目標を追尾する目標追尾方法において、
上記記憶装置が、観測時刻が異なる複数の画像について、上記複数の画素それぞれの画素値を記憶し、
上記処理装置が、上記複数の画像それぞれについて、上記記憶装置が記憶した複数の画素値に基づいて、上記画像に含まれる複数の画素のなかから、上記画素の画素値が所定の閾値より大きく、かつ、不連続でない画素を抽出して、目標画素とし、
上記処理装置が、上記複数の画像それぞれについて、上記記憶装置が記憶した複数の画素値に基づいて、抽出した目標画素のなかから、隣接する画素よりも画素値が大きい画素を抽出して、ピーク画素とし、
上記処理装置が、上記複数の画像それぞれについて、抽出した目標画素に基づいて、上記目標の特徴を表わす特徴点の位置を算出して、特徴位置とし、
上記処理装置が、上記複数の画像それぞれについて、抽出したピーク画素と、算出した特徴位置とに基づいて、上記ピーク画素の位置と特徴位置との間の距離を算出して、特徴距離とし、
上記処理装置が、上記複数の画像それぞれについて、抽出したピーク画素と、算出した特徴位置とに基づいて、上記ピーク画素の位置から見た上記特徴位置の方位を算出して、特徴方位とし、
上記処理装置が、算出した特徴距離と、算出した特徴方位とを含む相関パラメータに基づいて、上記複数の画像の相関処理をすることを特徴とする目標追尾方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−158409(P2011−158409A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21750(P2010−21750)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】