目隠しパネル及び防風パネル
【課題】本発明は、通風性と目隠し性を確保した状態で、防犯性に優れた目隠しパネルを構成させて、窓の格子枠、ベランダ、隣地との境界柵として展開せんとするものである。
【解決手段】ステンレススチール、アルミニウム、メッキ鋼板などの板材を鋸歯状断面とした目隠しパネルであって、その斜面の一つおきに開孔斜面が構成されていて、アルミニウムの押出形材で構成する時には、略L字形の断面で、その両端末に連結部をもつ成形体のそれぞれの斜面が帯状の開孔のある部分と無い部分で構成され、この成形体が複数個連結して、鋸歯状の斜面を形成し枠材に取付けして目隠し柵を構成する。更に、光を透過する成形体と、非透過性の成形体とで構成させても良い。
【解決手段】ステンレススチール、アルミニウム、メッキ鋼板などの板材を鋸歯状断面とした目隠しパネルであって、その斜面の一つおきに開孔斜面が構成されていて、アルミニウムの押出形材で構成する時には、略L字形の断面で、その両端末に連結部をもつ成形体のそれぞれの斜面が帯状の開孔のある部分と無い部分で構成され、この成形体が複数個連結して、鋸歯状の斜面を形成し枠材に取付けして目隠し柵を構成する。更に、光を透過する成形体と、非透過性の成形体とで構成させても良い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通風性と目隠し性を備えた目隠しパネルに於いて、パネル面全体を一体とすることで、比較的薄肉の材料を使ったパネルでも機械的強度のあるものにして、防犯性を上げた目隠しパネルを提供するものである。また、本発明は、戸建て住宅、道路の境界に立設する防風フェンス等に用いることが出来る防風パネルを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅の窓の外側に取り付けられた面格子や、隣地との境界に取り付けられる柵は、その目的が防犯の為であったり、目隠しの為であったりするが、更に透光性や十分な通風性があると申し分ないのであるが、そのようになっていない柵が多いのが実情である。
【0003】
防犯のための窓枠が一般的な住宅に取付けされていて、アルミニウム押出し形材を複数個、縦か横方向に組み合わせされたものや、斜めにひし形に組まれたものが一般的であり、防犯の意味合いではアルミニウム形材のフィンの機械的強度が弱く、あまり役になっていないという欠点がある。
【0004】
また、隣地との目隠しの目的で帯状のアルミニウム形材を複数個、縦または横方向に組合せた柵が多いが、形材を柵として構成するために外枠に固定して一体としていた。また、通風の必要な時には、隣接するアルミニウム形材の間に隙間を空けるなどして取付けられていた。
【0005】
しかしながら、このような構成で防犯性と併せて通風性と強度を考慮する必要があるが、使用しているアルミニウム形材のフィンが連結されていないので、個々に帯状のフィンで機械的強度を確保する必要があり、当然肉厚の厚い物とか、断面性能の大きいものを使わざるを得なかったのである。それでも充分な防犯性を持つ柵が無いのが実情である。
【0006】
例えば、施工現場への搬入等の取り扱いが容易であり、且つ施工も正確に且つ能率よく行えると共に強度的にも優れ、更に、良好な外観を呈する目隠しフェンスが提案されており、この目隠しフェンスは、支柱とこの支柱の前面に直列状に装着される複数個の取付具と、支柱の前面間に上下方向に並列状態に取付られる複数枚の羽根とからなり、この羽根は正面横長長方形状の前面板片の上下端縁に後方に向かって斜め下方に傾斜した傾斜片を突設していると共にこれらの上下傾斜片の後端に下方に向かって屈折した上下取付片を形成してなる。そして、左右に対向した支柱の前面に装着されている各取付具の前面間にこの羽根を架設状態に配設してその上下取付片を取付具の上向き開口の上下支持溝に差し込むことにより張設してフェンスを構成している(特許文献1参照)。
【0007】
また、採光性、通風性を有し、目隠し機能を確保できる上に、十分な強度を有し、防犯性に優れた防護柵が提案されており、この防護柵は、筒状支持部の両側部に一対の羽根板を一体に突設したプラスチック製の格子部材本体と、該格子部材本体の筒状支持部内に回転不能に嵌挿された金属製の縞強紆とからなる多数の格子部材を該格子部材の長手方向と直交する両側一対の枠部材間に隣り合う対向する羽根板先端部相互が羽根板厚み方向に一定の隙間を形成し且つ羽根板幅方向に重なり合うように配列し各格子部材の縞強紆の両端を前記両枠部材に固定してなるものである(特許文献2参照)。
【0008】
さらに、平地及び傾斜地の双方に連続的に設置する事が出来るブラインドフェンスが提案されており、このブラインドフェンスは、平行複数の縦桟に多数の横桟を軸着してフェンスを構成することによってフェンスを縦桟の平行移動に従って傾斜自在とし、支柱にブラケットを介して同じく傾斜自在に設置することによって平地及び傾斜地の設置を可能とすると共に各横桟に隣接下位の横桟の上端と前後に重合するように目隠しフィンと軸着部を被覆する被覆フィンを設けることによって等間隔のフィンを配置したものである(特許文献3参照)。
【0009】
ところで、防風機能も併せて有する目隠しフェンスや、道路等に設置される防風フェンスは、風を遮断する観点では、フェンスの風受面の全面で風を受ける、所謂遮風フェンスとすることが好ましい。しかしながら、風を完全に遮断する遮風フェンスとすると、風圧荷重が大きくなるので倒壊する恐れがあり、そのため風受面を形成する面パネルや支柱等を補強する必要があり、その結果、高価となるものであった。
【0010】
そこで、風受面に透孔又は隙間を設け、透孔又は隙間から風を逃がして全風圧を受けることなく風圧荷重を軽減し、支柱等の強度の向上を適度に抑えるとともに、可能な限り風を遮断する技術が提案されている。例えば、格子フェンスに上下の胴縁間に渉るパネルを適宜間隔で当着し、各パネルの上下部に透孔を設けた格子フェンス(特許文献4参照)、柱状材を高さ方向又は横方向に配設する共に、前記柱状材の間に隙間を介在した半透過型防風フェンスにおいて、前記柱状材に丸みを与えた防風フェンス(特許文献5参照)等が提案されている。
【0011】
また、ルーバーの間に設けられた隙間を通して風が外側から内側へ通り抜ける際に発生する風による騒音を抑制するために、フェンスの枠内に複数のルーバーを所定のピッチで並設し、各ルーバーの間に通気用の隙間を設けた目隠しフェンスにおいて、各ルーバーの風受面に風を分流して前記隙間に導くための突状部を形成するとともに、突状部により分流された気流を偏向する偏向板部を形成した目隠しフェンスが提案されている(特許文献6参照)。
【0012】
【特許文献1】特開2004−36298号公報
【特許文献2】特開平9−100654号公報
【特許文献3】特開2002−81229号公報
【特許文献4】特開平6−264419号公報
【特許文献5】特開平9−67810号公報
【特許文献6】特開2000−54642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、特許文献1で提案された目隠しフェンスは、目隠し性と透光性並びに通風性があるが、個々のフィンがバラバラであり強度的に充分な物にするためには、成形体の断面性能を上げる必要があり高価な柵となるのである。いずれにしても防犯性については問題がある。
【0014】
また、特許文献2で提案された防護柵は、プラスチックス製そのものに強度があまり期待できず防犯という切り口から、羽根板の中央に芯を入れる必要があることからこのような構成になっている。防犯性をもっと上げるにはプラスチックス並びにアルミニウム形材の強度を更に上げる事となり、高価な柵となってしまうのである。
【0015】
さらに、特許文献3で提案されたブラインドフェンスは、フェンスとして傾斜に対応出来るのであるが、特許文献1及び2で提案された目隠しフェンス及び防護柵と同様に、個々のフィンが単体の独立した成形体であることから強度的に問題があり、目隠し性と共に防犯性を要求されるフェンスとして使用される場所では使用できないのである。
【0016】
以上のように、戸建て住宅、アパート、マンション等の窓、隣地との境界などに使用されるフェンスは、目隠し性を目的とした物であり、併せて防犯性、通気性についても配慮したいのであるが、そのフェンスに通気性があっても防犯性がなかったり、目隠し性が高くても風が通らなかったり光が遮られてしまったり、景観性に欠けたりするフェンスが多いのが実情である。したがって、防犯性、通気性、目隠し性、価格等を全て満足する目隠しフェンスが求められていた。
【0017】
また、前記特許文献4で提案された格子フェンス及び特許文献5で提案された防風フェンスは、正面視において透孔又は隙間が形成されているので、目隠し効果を得ることが出来ず、また、風が方向を変えることなく透孔又は隙間をそのまま通過するので、風がフェンスから敷地内部の遠くまで達するものであった。したがって、フェンスの近傍に植栽した植木等が風に直接曝され、花を散らす等の悪影響を受け、また、フェンス近傍に居る人に風が当って不快にさせたり、砂、ゴミ等が家屋近傍まで吹き付けられるものであった。
【0018】
また、特許文献6で提案された目隠しフェンスは、目隠し効果を得ることはできるが、上述したような風が敷地内部まで達するという問題点は解消されていなかった。すなわち、フェンスに吹き付けられた風は、突上部で2つに分流され、その後、偏向板部で風向が変更されるが、騒音防止のために設けられているものであるので、風向が大きく変更されることがなく、隙間を略直進して行くものである。したがって、風が敷地内部まで達し上述した弊害をもたらすものであった。
【0019】
以上のように、従来の防風フェンスにおいては、風がフェンスを通過して遠くまで達するという問題があり、目隠し効果を得ることが出来るとともに、フェンスを通過した風が遠くまで達することの無い防風フェンスが求められていた。
【0020】
本発明は、上述した目隠しフェンスの問題点を解決し、目隠し性が高く防犯性もあって通気性もあり、透光性の要求にも対応できる目隠しパネルを提供することを目的とする。
【0021】
また、本発明は、上述した防風フェンスの問題点を解決し、風がフェンスから遠くまで達しないようにした防風パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者は、アルミニウム形材の持っている成形性に着眼すると共に、更に、孔開け加工をして連結することで、フェンスとしての機械的強度、目隠し性の機能を付与すると共に、プラスチックの持つ透光性をも取り入れて、透けて見えることで防犯性と通風性のある製品をニーズに合わせて組合せを変えて構成することにより、上述した問題点を解消できることを見出し、本発明による目隠しパネルを完成させた。
【0023】
すなわち、請求項1に係る目隠しパネルは、板材を鋸歯状断面とした目隠しパネルであって、複数個の開孔のある斜面と開孔の無い斜面とを交互に連続して複数個構成していることを特徴とする。
【0024】
請求項2に係る目隠しパネルは、請求項1記載の目隠しパネルにおいて、略L字形の断面を持つ成形体と、略L字形の断面を複数個組合せした成形体で、各々の成形体の両端末に連結部を持ちそれぞれが開孔のある斜面と開孔の無い斜面が交互に構成され、これら成形体が複数個連結され、枠材に取付けて鋸歯状の断面を形成していることを特徴とする。
【0025】
請求項3に係る目隠しパネルは、鋸歯状断面の目隠しパネルの形成体において、L字形の二つの斜面が共に開孔の無い成形体と複数個の開孔のある成形体とを連続して複数個組合せ構成したことを特徴とする。
【0026】
請求項4に係る目隠しパネルは、請求項1記載の目隠しパネルにおいて、少なくとも両端末に連結部を持つ成形体で、複数の開孔のある帯状の成形体と開孔の無い帯状の成形体が交互になるよう可動自在に連結して、鋸歯状の断面が形成されるように、枠材を介して複数個取付け構成されていることを特徴とする。
【0027】
請求項5に係る目隠しパネルは、請求項2又は請求項3記載の目隠しパネルにおいて、透光性の成形体と非透光性の成形体とを複数個組合せて構成されていることを特徴とする。
【0028】
また、本発明者は、風受面に透孔を形成した傾斜面を設けることにより、透孔を通過した風の方向が大きく変化し、敷地の奥まで達しないことを見出し、本発明による防風パネルを完成させた。
【0029】
すなわち、請求項6に係る防風パネルは、風受面と、該風受面に形成された複数の傾斜面と、該傾斜面に形成された透孔とを有し、風を透孔を通過させることにより風圧荷重を減少させたことを特徴とする。
【0030】
請求項7に係る防風パネルは、請求項6記載の防風パネルにおいて、前記傾斜面が敷地側方向に向かって斜下向きに形成され、透孔を通過した風を上方に逃がすことを特徴とする。
【0031】
請求項8に係る防風パネルは、請求項6記載の防風パネルにおいて、前記傾斜面が敷地側方向に向かって斜下向きに形成され、敷地側方向に向かって斜上向きにガイド傾斜面が形成され、これら傾斜面とガイド傾斜面とが交互に配置されていることを特徴とする。
【0032】
請求項9に係る防風パネルは、風受面と、該風受面を形成する上下方向に連設された複数の帯状部材と、該帯状部材に形成された傾斜面と、該傾斜面に形成された透孔とを有し、風を透孔を通過させることにより風圧荷重を減少させたことを特徴とする。
【0033】
請求項10に係る防風パネルは、請求項9記載の防風パネルにおいて、前記帯状部材の下方部において敷地側方向に向かって斜下向きに形成された傾斜面と、該下向き傾斜面に形成された透孔と、帯状部材の上方部において敷地側方向に向かって斜上向きに形成されたガイド傾斜面とを有し、該ガイド傾斜面が上側に隣接する帯状部材の下向き傾斜面の透孔に風を導くことを特徴とする。
【0034】
請求項11に係る防風パネルは、風受面と、該風受面を形成する左右方向に連設された複数の帯状部材と、該帯状部材に形成された傾斜面と、該傾斜面に形成された透孔とを有し、風を透孔を通過させることにより風圧荷重を減少させたことを特徴とする。
【0035】
請求項12に係る防風パネルは、請求項6、7、8、9、10又は11記載の防風パネルにおいて、傾斜面及びガイド傾斜面が光を透過する材料で形成されていることを特徴とする。
【0036】
請求項13に係る防風パネルは、請求項6、7、8、9、10、11又は12記載の防風パネルにおいて、傾斜面における透孔の開口率が50〜70%、透孔の面積が1〜3cm2であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
請求項1に係る目隠しパネルは、複数個の開孔のある斜面と開孔の無い斜面とを交互に連続して形成しているので、防犯のための機械的強度、通気性、目隠し性、耐久性が向上している。
【0038】
請求項2に係る目隠しパネルは、開孔のある斜面と開孔の無い斜面を有する略L字形の断面を持つ成形体を複数個連結して形成しているので、防犯のための機械的強度、通気性、目隠し性、耐久性が向上している。
【0039】
請求項3に係る目隠しパネルは、L字形の二つの斜面が共に開孔の無い成形体と複数個の開孔のある成形体とを連続して複数個組合せているので、防犯のための機械的強度、通気性、目隠し性、耐久性が向上している。
【0040】
請求項4に係る目隠しパネルは、複数の開孔のある帯状の成形体と開孔の無い帯状の成形体が交互になるよう可動自在に連結したので、一枚の目隠しパネルで目隠し性の機能を中心とする位置と、通風性を重視する一とを状況に合わせて変化させることができる。
【0041】
請求項5に係る目隠しパネルは、透光性の成形体と非透光性の成形体とを複数個組合せているので、透光性を高くすることができる。
【0042】
請求項6に係る防風パネルは、風受面に当接した風が、傾斜面の透孔を通って反対側に抜けるので、風が透孔をそのまま直進することなく傾斜面方向へ変更されるので、風が敷地内部まで達することがない。
【0043】
請求項7に係る防風パネルは、傾斜が敷地側方向に向かって斜下向きに形成されているので、その透孔を通過した風は斜上方に向きが変更され、敷地内部まで達することがない。
【0044】
請求項8に係る防風パネルは、傾斜面とガイド傾斜面とが交互に配置されているので、ガイド傾斜面に当接した風は、ガイド傾斜面に案内されて上方へ流れて傾斜面に案内される。したがって、風を効率良く透孔に導くことができ、また、風向をより上方にすることができる。
【0045】
請求項9に係る防風パネルは、風受面に当接した風が、傾斜面の透孔を通って反対側に抜けるので、風が透孔をそのまま直進することなく傾斜面方向へ変更されるので、風が敷地内部まで達することがない。
【0046】
請求項10に係る防風パネルは、傾斜面とガイド傾斜面とが交互に配置されているので、ガイド傾斜面に当接した風は、ガイド傾斜面に案内されて上方へ流れて傾斜面に案内される。したがって、風を効率良く透孔に導くことができ、また、風向をより上方にすることができる。
【0047】
請求項11に係る防風パネルは、風受面に当接した風が、傾斜面の透孔を通って反対側に抜けるので、風が透孔をそのまま直進することなく傾斜面方向へ変更されるので、風が敷地内部まで達することがない。
【0048】
請求項12に係る防風パネルは、傾斜面及びガイド傾斜面が光を透過する材料で形成されているので、敷地内部に光を導くことができ、植栽等に日光を当てることができる。
【0049】
請求項13に係る防風パネルは、傾斜面における透孔の開口率が20〜50%、透孔の面積が1〜5cm2であり、このような開口率及び透孔の面積とすることにより、防風パネルの受ける風圧荷重と、強度とのバランスを取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
まず、目隠しパネルについて説明する。
本発明の目隠しパネルは、従来の格子柵や目隠し柵のように個々の成形体がバラバラでなく、複数個の孔開き斜面と孔の無い斜面が交互に構成され、一体もしくは連結されているもので、大幅にコストダウンしたい時には、金属板をプレスで帯状に複数個の孔開けをして、それをロールフォーミングすることで一気に鋸歯状断面の立体的な目隠しパネルに構成するとか、目隠しパネル全体に複数個の開孔がある部分と、開孔の無い部分が交互に帯状になるように成形体で構成して、防犯のための機械的強度もあり通気性もあり目隠し性にも優れ、耐久性に優れたすばらしい目隠しパネル柵が構成されるところにある。
【0051】
L字形、又は、L字形の断面を複数個組合せた形状のアルミニウム押出し形材の一辺の面に複数個の孔開きがあり、もう一辺の面には孔開きの無い面として、その押出し形材の両端末の凹凸が嵌合形状となっていて、孔開きがある面と無い面が交互になるように連結して、周りに枠材を構成させて一体とすることで、従来使用されている目隠しパネル柵の欠点を一挙に解決せんとするものである。
【0052】
ステンレススチール、アルミニウム、メッキ鋼板等で、0.3ミリメートルから2.0ミリメートルの厚みで、ロール加工とかプレス加工で目隠しパネルを構成する方法として、金属板のコイル幅を600ミリメートルから1210ミリメートルとすると、無開孔のままの部分を10ミリメートルから100ミリメートルとして、無開孔の部分のとなりに複数個の孔開き部を10ミリメートルから100ミリメートルに長さ方向に帯状に構成するのである。このような構成を順に行った後に、ロールフォーミングで一気に鋸歯状断面の目隠しパネルに構成する。
【0053】
この時、複数個の孔開きのある面と孔開きの無い面が隣接して別々の斜面を構成する形とする。無開孔斜面は、20ミリメートルから60ミリメートルの幅で目隠しパネルの表裏の垂直面に構成する。開孔斜面は、目隠しパネルの表裏の垂直面に構成した無開孔斜面と無開孔斜面を水平、又は斜めに10ミリメートルから50ミリメートルの長さで連結するのである。この開孔面の孔の形状は丸孔、角孔、楕円孔、長孔と好みによって自由であり、その開孔率は、略20パーセントから50パーセントであればよい。出来るだけ通風性はあるに越した事は無いが、使用する板材の厚みと材質、形状、強度を勘案して決定するのである。又、孔開き面の開孔率を目隠し性の必要の程度により小さくしたり大きくしたりすることも出来るが、通常は20パーセントから50パーセント程度とする。
【0054】
アルミニウム押出し形材で構成する場合は、形材の断面を略L字形、又は、略L字形を複数個連続させた形状とし、L字形の成形体の各辺が帯状に複数個の開孔斜面と無開孔斜面で構成され、その成形体を複数個連結して枠材に取付けするのであるが、この時、断面の両端末の凹凸の連結部が嵌合形状となっていて、目隠しパネルとして構成した時、横からの水平荷重に対して強く抵抗するように構成するのである。
【0055】
無開孔斜面の幅は、20ミリメートルから60ミリメートルで、開孔斜面の幅は10ミリメートルから50ミリメートルであればよい。この開孔面の孔の形状は丸孔、角孔、楕円孔、長孔と好みによって自由であり、その開孔率は、この時も略20パーセントから50パーセントであればよい。
【0056】
開孔されたアルミニウム押出し形材の成形体と、開孔されていないアルミニウム押出し形材の成形体を交互に複数個連結して外枠に取り付けるのであるが、この時も略鋸歯状となるよう構成する。この構成では個々のフィンが自由に可動する連結構造としておくと、一つの目隠しパネルの中で目隠し性と通風性を、横の外枠材に止める位置を変えることで自由に構成できるので好都合である。
【0057】
プラスチックスの押出し形材で構成する場合も、L字形の単位で成形体を構成して片方の斜面にだけ複数個の孔を開けて、アルミニウムの押出し形材の時と同じように、L字形の断面の両端末の凹凸の連結部が嵌合形状としていて、複数個連結してパネルとして一体に構成するのである。この場合も孔開き面の開孔率を目隠し性と通風性の必要の程度により、小さくしたり大きくしたりすることが出来る。
【0058】
アルミニウムとプラスチックスの押出し形材を混成させて構成する場合、組合せによって透光性と目隠し性がある程度自由に構成できるので、理想的な目隠しパネルとなるが、素材の持つ耐候性の違いから、経年変化で景観の悪い物になりかねないのでプラスチックスの押出し形材のみで構成しても良い。
【0059】
さらに、開孔のある斜面と無い斜面との組合せのみでなく、請求項3のように面状パネルのある部分をより目隠し性を上げたい時には、二つの斜面が開孔されていないL字形断面の形材を連続させてもよいし、又、逆に二つの斜面に複数個の開孔のあるL字形形材を連続させて通風性を上げても良い。
【0060】
光が入って、しかも目隠し性のある機能性に優れた目隠しパネルとしたい時には、アルミニウム押出し形材と透光性のプラスチックスの押出し形材を交互に構成すると、透光性の高い目隠しパネルとなるのであるが、この場合、多少とも目隠し性が劣るのはやむを得ないのである。
【0061】
勿論、プラスチックスの押出し形材に使用される材料は塩化ビニール、アクリル、ポリカーボネート、ポリエステルなどの樹脂が、透明から不透明まで選定出来きるが、塩化ビニールは焼却時に公害となる物質が排出されるし、アクリルは耐候性が良いが割れやすいし、ポリカーボネートは高価な素材であって使いづらい。半透明から不透明となる材料であるポリエチレン、ポリプロピレンなどが公害も少なく材料価格も安いが、樹脂の線膨張が大きいのでパネルとして構成する場合には、歪みが発生しないようにその形状と取付け方法に注意する必要がある。
【0062】
以上のように、本発明では如何に通気性と目隠し性、透光性があって防犯性の高い目隠しパネルを景観の良い形で構成するか研究したのである。
【0063】
防犯性という命題に対しては、0.5ミリメートルという薄板のステンレスやメッキ鋼板を使用して、ロールフォーミングで一気に鋸歯状断面の目隠しパネルに構成する。この時、複数個の開孔のある斜面と無い斜面が鋸歯状に隣り合わせで別々の斜面を構成する。このような量産体制を敷くことが出来ると、見かけは高級でもむしろ安価に提供できるものとなるのである。又、L字形断面で複数個の開孔のある斜面と無い斜面を持つ成形体を連結することで一体になり、相当の機械的強度を持つ防犯性の高い目隠しパネルとなる。
【0064】
機械的強度については、L字形の組合せによるパネルの厚みである出幅の寸法で、ある程度調整が自由に出来るので、コストパフォーマンスに優れたフェンスとなる。更に、全体がパネルとして一体になっているので、一点に相当強烈な集中荷重がかからない限り傷まないので、通常の使用においては、何ら問題は発生しないし、防犯性の極めて優れたものとなる。
【0065】
通風性については、目隠し性と防犯性を保ちながら確保したいのであるが、開孔面を垂直に構成すると目隠し性が落ちるのであまり好ましくない。従って、孔開きの斜面に角度を付けて断面をより広く構成して、通風性を確保するのが良いが、これらの事を限定するものではない。
【0066】
透光性については、開孔率を上げて光を出来るだけ取り入れるようにすることと目隠し性が落ちることと相反することになるので、光の透過性のあるプラスチックスで開孔のある斜面と無い斜面を構成すると良い。この時プラスチックスの一枚もので目隠しパネルを構成すると良いが、L字形などのプラスチックスの成形体を続けて構成すると、連結強度に問題を起こす可能性が高く注意が必要である。プラスチックス成形体とアルミニウムの成形体との組合せにすると、アルミニウムを変形させるとプラスチックスがアルミニウムに噛み込むことになって、強固に連結されるので好都合である。
【0067】
目隠し性については、基本的には開孔のある斜面の開孔率と開孔の無い斜面との比率で決まるが、そのL字形の形状、寸法、開孔率の組合せを自由に変えることで客先のニーズに対応できる。
【0068】
次に、防風パネルについて説明する。
本発明による防風パネルは、風受面に傾斜面が複数形成されており、この傾斜面に透孔が形成されている。そして、透孔を風が通過することにより風受面における風圧荷重を減少させるとともに、透孔が傾斜面に形成されているので、透孔を通過する風の向きを変更させることができる。その結果、防風パネルを通過する風は、そのまま直進するのではなく、防風パネルに近づくように向きが変更されて敷地内部にまで達しないものである。この傾斜面は、垂直方向(敷地側方向に向かって斜下向き方向、又は斜上向き方向)であっても、水平方法(敷地側方向に向かって斜右向き方向、又は斜左向き方向)であってもよい。これらの傾斜面の態様の中で、近傍の植栽等に与える影響が小さいので、敷地側方向に向かって斜下方向に形成し、風の方向を斜上方向に変更することが好ましい。
【0069】
また、この透孔が形成された傾斜面は、直線状であっても、円弧状であってもよい。なお、上述した「敷地側方向」における「敷地」は、戸建て住宅等においてはその住宅の敷地であり、道路においては道路側の敷地であり、防風パネルにより防風しようとする側の土地を意味するものである。
【0070】
傾斜面の透孔は、傾斜面における開口率が20〜50%であることが好ましく、開口率が50%未満であると風圧荷重を十分に軽減する効果が小さく、開口率が70%を超えると防風効果が小さくなる。また、透孔の面積は1〜3cm2が好ましく、透孔の面積が1cm2未満であると風圧荷重を十分に軽減する効果が小さく、透孔の面積が5cm2を超えると防風効果が小さくなる。そして、開口率と透孔の面積とを以上の範囲において適宜選択する。
【0071】
傾斜面の角度は、例えば、敷地側方向に向かって斜下向きに形成した場合、水平面に対し5〜45度の範囲が好ましく、15〜30度の範囲がより好ましい。傾斜面の角度が5度未満であれば、風圧荷重を十分に軽減する効果が小さく、傾斜面の角度が45度を超えると、防風効果が小さくなる。
【0072】
透孔が形成された傾斜面に隣接して、風を傾斜面に案内するガイド傾斜面を形成することができる。ガイド傾斜面により、風圧荷重を軽減するとともに、風の向きを変えて風を円滑に透孔に案内することができる。ガイド傾斜面は、透孔が形成された傾斜面の態様(上述した4態様)に対応して、その傾斜方向が選択される。例えば、透孔が形成された傾斜面が敷地側方向に向かって斜下向きの場合は、敷地側方向に向かって斜上向きに形成される。このガイド傾斜面は直線状であっても、円弧状であってもよいが、風を透孔に円滑に導ける形状が好ましい。
【0073】
風受面は、一枚のパネル体で形成しても、帯状部材を連設して複数の帯状部材で形成してもよい。一枚のパネル体で形成する際は、上述した傾斜面及びガイド傾斜面を一体に形成したパネルを使用する。帯上部材を連設して形成する際は、帯状部材に上述した傾斜面及びガイド傾斜面を一体に形成する。帯状部材は、横方向に帯状であっても、縦方向に帯状であってもよく、すなわち、横方向に帯状の帯状部材を上下方向に連設して形成し、また、縦方向に帯状の帯状部材を左右方向に連設して形成する。したがって、帯状部材は、横方向と縦方向の2つの態様があり、また、傾斜面は斜下向き、斜上向き、斜左向き、斜右向きの4つの態様があるので、これらを組み合わせた8つの態様を採ることができる。
【0074】
また、帯状部材における傾斜面とガイド傾斜面との配置は特に限定されず、例えば、傾斜面を斜下向きに形成するとともに、ガイド傾斜面を斜上向きに形成する場合、傾斜面を上方部に形成するとともに、ガイド傾斜面を下方部に形成しても、逆に、傾斜面を下方部に形成するとともに、ガイド傾斜面を上方部に形成してもよい。
【0075】
前記傾斜面及びガイド傾斜面を光を透過する材料で形成することができ、このような構成にすることにより、植栽を風に曝すことなく、日光に当てることができる。なお、上述した目隠しパネルにおいて説明した事項は、防風パネルの作用、すなわち風の向きを変更するという作用を損なわない限り、総て適用することができる。
【0076】
本発明による防風パネルは、目隠しフェンス、防風フェンス、屋外用パーテーション等に用いることができ、特に強風を緩和したい場所に設置する防風フェンスに好適である。
【0077】
本発明の目隠しパネルの第1実施形態を図1及び図2を参照して説明する。
図1は本目隠しパネルを使って柵を構成した正面図、図2は目隠しパネルの部分斜視図である。この目隠しパネルは、肉厚が1mmのアルミニウム板であり、鋸歯状の開孔斜面1及び無開孔斜面2を横長に構成している。開孔斜面1には孔3が形成されている。無開孔斜面2の幅aが40mmで、開孔斜面1の幅bが35mmである。開孔斜面1及び無開孔斜面2の外周に廻り縁である縦枠6及び横枠7が設けられ、縦cが1.5mで横の幅dが2.0mである。
【0078】
本発明の目隠しパネルの第2実施形態を図3を参照して説明する。
図3は目隠しパネルの部分斜視図である。この目隠しパネルは、肉厚が1mmのアルミニウム板で開孔斜面1と無開孔斜面2を交互に構成されている。無開孔斜面2は、40mmの幅で目隠しパネルの表裏の垂直面に構成する。開孔斜面1は目隠しパネルの表裏の垂直面に構成した無開孔斜面2と無開孔斜面2を水平、又は斜めに35mmの長さで連結するのである。この開孔斜面1の孔3の形状は丸長孔であり、その開孔率は、略40パーセントである。
【0079】
本発明の目隠しパネルの第3実施形態を図4及び図5を参照して説明する。
図4は目隠しパネルの部分斜視図、図5は連結部分の斜視図である。この目隠しパネルは、鋸歯状の開孔斜面1、及び無開孔斜面2を、L字形の断面のアルミニウム押出し形材で構成したものである。開孔斜面1に孔3が開孔率40パーセントになるように開けられている。溝4に突部5を順に差し込んで連結して、鋸歯状の斜面を持つ目隠しパネルを構成する。
【0080】
本発明の目隠しパネルの第4実施形態を図6を参照して説明する。
図6は目隠しパネルの部分斜視図である。この目隠しパネルは、鋸歯状の開孔斜面1と無開孔斜面2とを、別々のI字形の断面のアルミニウムの押出し形材で構成したものである。また、溝4と突部5を可動自在に結合の上、複数個連結して目隠しパネルを構成する。このように可動自在に連結することで、一枚の目隠しパネルで目隠し性の機能を中心とする位置と、通風性を重視する位置とを、状況に合わせて一枚のパネルの中で変化させることができる目隠しパネルとなる。
【0081】
次に、本発明の防風パネルの第1実施形態を図面を参照して説明する。
図7は防風パネルの正面図、図8は図7中A−A線の一部省略した拡大断面図、図9は図7中B−B線の一部省略した拡大断面図、図10は防風パネルの要部の拡大斜視図である。
【0082】
図7において、10は縦枠、20は横枠で、これら縦枠10と横枠20とで矩形の枠が形成されており、この枠内に風受面として多数の帯状部材30が上下方向に連設して設けられている。この帯状部材30は、図8に示すように、アルミニウム製形材を断面略「V」字状に形成されたものからなり、その下部分が敷地方向側(図中、右方向側)に向かって斜下方向に傾斜した傾斜面31となり、上部分が敷地方向側に向かって上方向に円弧状に傾斜した傾斜ガイド傾斜面32となっている。
【0083】
また、帯状部材30の下縁部にはビスホール33が形成されるとともに、上縁部にはビスホール33に外嵌する嵌合縁34が形成されている。そして、上側に位置する帯状部材30のビスホール33と下側に位置する帯状部材30の嵌合縁34とが嵌合することにより帯状部材30を上下方向に連設しており、また、ビスホール33に螺入する螺子(図示せず)により、帯状部材30を縦枠10に取り付けている。また、上側の横枠20には、嵌合縁34と嵌合するビスホール21が形成されるとともに、下側の横枠20には、ビスホール33と嵌合する嵌合縁22が形成されている。
【0084】
前記傾斜面31には、図9に示すように、風を通すための透孔35が3段に亘って多数形成されており、この透孔35の傾斜面31における開口率が40%であり、一つの透孔35の面積は1.6cm2である。また、傾斜面31の水平面に対する傾斜角度αは20度となっている。
【0085】
以上のような防風パネルにおいては、風が帯状部材30に当ると、傾斜面31に当った風は透孔35を通って敷地方向側へ抜けるとともに、図10に示すように、ガイド傾斜面32に当った風aは、ガイド傾斜面32に沿って上側に方向を変えられ、傾斜面31の透孔35に案内され、透孔35を通って敷地方向側へ抜ける。この時、透孔35は傾斜面31に形成されているので、透孔35を通る際、風の方向が上方に変更される。したがって、防風パネルを通り抜けた風は、防風パネル近傍において上方へ流れ、敷地内の奥まで深く入り込むことがない。
【0086】
本発明の防風パネルの第2実施形態を図面を参照して説明する。
図11は防風パネルの正面図、図12は図11中C−C線の一部省略した拡大断面図、図13は図11中D−D線の一部省略した拡大断面図である。
図11において、40は縦枠、50は横枠で、これら縦枠40と横枠50とで矩形の枠が形成されており、この枠内に風受面として多数の帯状部材60が上下方向に連設して設けられている。帯状部材60は、図12に示すように、アルミニウム製形材を断面略台形状に形成されたものからなり、その下部分が敷地方向側(図中、右方向側)に向かって斜下方向に傾斜した傾斜面61となり、上部分が敷地方向側に向かって上方向に傾斜したガイド傾斜面62となり、これら傾斜面61とガイド傾斜面62との間が略垂直方向に形成された垂直面63となっている。
【0087】
また、帯状部材60の下縁部にはビスホール64が形成されるとともに、上縁部にはビスホール64に外嵌する嵌合縁65が形成されている。そして、上側に位置する帯状部材60のビスホール64と下側に位置する帯状部材60の嵌合縁65とが嵌合することにより帯状部材60を上下方向に連設しており、また、ビスホール64に螺入する螺子(図示せず)により、帯状部材60を縦枠40に取り付けている。また、上側の横枠50には、嵌合縁65と嵌合するビスホール51が形成されるとともに、下側の横枠50には、ビスホール64と嵌合する嵌合縁52が形成されている。
【0088】
前記傾斜面61には、図13に示すように、風を通すための透孔66が3段に亘って多数形成されており、この透孔66の傾斜面31における開口率が40%であり、一つの透孔66の面積は1.6cm2である。また、傾斜面31の水平面に対する傾斜角度αは16.5度となっている。
【0089】
以上のような防風パネルにおいては、風が帯状部材60に当ると、傾斜面61に当った風は透孔66を通って敷地方向側へ抜けるとともに、ガイド傾斜面62に当った風は、ガイド傾斜面62に沿って上側に方向を変えられ、傾斜面61の透孔66に案内され、透孔66を通って敷地方向側へ抜ける。この時、透孔66は傾斜面61に形成されているので、透孔66を通る際、風の方向が上方に変更される。したがって、防風パネルを通り抜けた風は、防風パネル近傍において上方へ流れ、敷地内の奥まで深く入り込むことがない。
【0090】
次に、本発明の防風パネルの風速測定試験に付いて説明する。
[風速測定装置]
図14及び図15に示す風速測定装置を用いた。図14は風速測定装置の平面図、図15は風速測定装置の側面図である。これらの図において、71は試験体設置フロア、72は任意の速さの風を発生させる風洞形式の風発生装置(エッフェル型吹き流し低乱風洞、風量2200m3/min、回転数1150rpm、気流風速0.5〜25m/s、風速変動率±1%以内)であり、73は風速及び風向を検知する超音波風速計(株式会社カイジョー製 WA−390、サンプリング周波数100Hz、サンプリング時間30秒)である。この超音波風速計73は、支持枠体74に上下動自在に設けられた取付け棒75の下端に取付けられており、取付け棒75を上下動させることにより、任意の高さに配置できるように進退自在なっている。また、支持枠体74は試験体設置フロア71の任意の個所に設置できるようになっている。したがって、超音波風速計73は、試験体設置フロア71上の空間の任意の個所に配置できるようになっている。さらに、試験体設置フロア71には試験体を固定するための固定治具75が設けられている。
【0091】
[試験体]
試験体80としては、防風パネルの第1実施形態で説明した防風パネルを用いた。防風パネルは、高さが114cm、巾が120cm、帯状部材30の数が21枚、傾斜面31の角度が20度、傾斜面31の巾が3.5cm、透孔35の傾斜面31における開口率が40%、透孔35の面積が1.6cm2である。
【0092】
[試験方法]
試験体80を風発生装置71の吹出し口76から91cmの距離に固定し、風発生装置71で風速8m/sの風を試験体80に向かって吹き付け、この時の試験体設置フロア71上の空間の風速及び風向を超音波風速計73で検知した。検知個所は、図14及び図15において、黒丸で示した個所である。また、風発生装置71の吹き出し口76は高さ120cm、巾120cmとした。なお、図14及び15中「H」は、試験体80の高さ(114cm)を示し、前記検知個所を試験体80からの距離を試験体80の高さHを基準として表示している。
【0093】
[試験結果]
超音波風速計73で測定した結果を図15において矢印で示す。矢印の方向が風向であり、矢印の長さが風速である。なお、この矢印の長さは、風発生装置71の吹出し口76から出た風の風速(8m/s)を示す矢印を基準とし、比例して表示している。
【0094】
[評価]
試験結果から次のことが分かった。
1.防風パネルの後方面で70〜77度の角度で上方に風が流れていることが分かった。
2.防風パネルの後方1/5H(228mm)の位置では、ほとんど後流側に流れる風速は計測できなかった。
3.防風パネルの後方における風速分布は防風パネル直上に昇流する影響のため、引き込まれるように上流側に流れる傾向にある。
4.さらに風洞の吹き出し口から供試体が91cmの位置にあり、吹き出し口断面形状が□120×120cmに対して、試験体80が高さが114×120cmと大きいため試験体80下部の圧力が高まり、試験体80の前(上流部)から上方側に流れる結果になった。
【0095】
以上の結果より、試験体80を通過した風は、その殆んどの部分が、風向が急激に上方へ変化するとともに、風速も試験体80の通過前より速くなっており、また、5/5H(120cm)離れた個所においては、6/5H(137cm)の高さにおいても殆んど風が観測されなかった。これは、透孔35が敷地側方向に向かって斜下方向に傾斜した傾斜面31に形成されているので、その軸方向である斜上方向に案内されることによると考えられ、また、近傍の風も透孔35に集められるので風速が速くなったものと考えられる。したがって、試験体80により、風が敷地側の奥にまで達しないことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の目隠しパネルの第1実施形態を使って柵を構成した正面図である。
【図2】本発明の目隠しパネルの第1実施形態の部分斜視図である。
【図3】本発明の目隠しパネルの第2実施形態の部分斜視図である。
【図4】本発明の目隠しパネルの第3実施形態の部分斜視図である。
【図5】本発明の目隠しパネルの第3実施形態の連結部分の斜視図である。
【図6】本発明の目隠しパネルの第4実施形態の部分斜視図である。
【図7】本発明の防風パネルの第1実施形態の正面図である。
【図8】図7中A−A線の一部省略した拡大断面図
【図9】図7中B−B線の一部省略した拡大断面図
【図10】本発明の防風パネルの第1実施形態の要部の拡大斜視図である。
【図11】本発明の防風パネルの第2実施形態の正面図である。
【図12】図11中C−C線の一部省略した拡大断面図である。
【図13】図11中D−D線の一部省略した拡大断面図である。
【図14】風速試験装置の平面図である。
【図15】風速試験装置の側面図である。
【符号の説明】
【0097】
1 開孔斜面
2 無開孔斜面
3 孔
4 溝
5 突部
6 縦枠
7 横枠
10 縦枠
20 横枠
30 帯状部材
31 傾斜面
32 ガイド傾斜面
35 透孔
40 縦枠
50 横枠
60 帯状部材
61 傾斜面
62 ガイド傾斜面
66 透孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、通風性と目隠し性を備えた目隠しパネルに於いて、パネル面全体を一体とすることで、比較的薄肉の材料を使ったパネルでも機械的強度のあるものにして、防犯性を上げた目隠しパネルを提供するものである。また、本発明は、戸建て住宅、道路の境界に立設する防風フェンス等に用いることが出来る防風パネルを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅の窓の外側に取り付けられた面格子や、隣地との境界に取り付けられる柵は、その目的が防犯の為であったり、目隠しの為であったりするが、更に透光性や十分な通風性があると申し分ないのであるが、そのようになっていない柵が多いのが実情である。
【0003】
防犯のための窓枠が一般的な住宅に取付けされていて、アルミニウム押出し形材を複数個、縦か横方向に組み合わせされたものや、斜めにひし形に組まれたものが一般的であり、防犯の意味合いではアルミニウム形材のフィンの機械的強度が弱く、あまり役になっていないという欠点がある。
【0004】
また、隣地との目隠しの目的で帯状のアルミニウム形材を複数個、縦または横方向に組合せた柵が多いが、形材を柵として構成するために外枠に固定して一体としていた。また、通風の必要な時には、隣接するアルミニウム形材の間に隙間を空けるなどして取付けられていた。
【0005】
しかしながら、このような構成で防犯性と併せて通風性と強度を考慮する必要があるが、使用しているアルミニウム形材のフィンが連結されていないので、個々に帯状のフィンで機械的強度を確保する必要があり、当然肉厚の厚い物とか、断面性能の大きいものを使わざるを得なかったのである。それでも充分な防犯性を持つ柵が無いのが実情である。
【0006】
例えば、施工現場への搬入等の取り扱いが容易であり、且つ施工も正確に且つ能率よく行えると共に強度的にも優れ、更に、良好な外観を呈する目隠しフェンスが提案されており、この目隠しフェンスは、支柱とこの支柱の前面に直列状に装着される複数個の取付具と、支柱の前面間に上下方向に並列状態に取付られる複数枚の羽根とからなり、この羽根は正面横長長方形状の前面板片の上下端縁に後方に向かって斜め下方に傾斜した傾斜片を突設していると共にこれらの上下傾斜片の後端に下方に向かって屈折した上下取付片を形成してなる。そして、左右に対向した支柱の前面に装着されている各取付具の前面間にこの羽根を架設状態に配設してその上下取付片を取付具の上向き開口の上下支持溝に差し込むことにより張設してフェンスを構成している(特許文献1参照)。
【0007】
また、採光性、通風性を有し、目隠し機能を確保できる上に、十分な強度を有し、防犯性に優れた防護柵が提案されており、この防護柵は、筒状支持部の両側部に一対の羽根板を一体に突設したプラスチック製の格子部材本体と、該格子部材本体の筒状支持部内に回転不能に嵌挿された金属製の縞強紆とからなる多数の格子部材を該格子部材の長手方向と直交する両側一対の枠部材間に隣り合う対向する羽根板先端部相互が羽根板厚み方向に一定の隙間を形成し且つ羽根板幅方向に重なり合うように配列し各格子部材の縞強紆の両端を前記両枠部材に固定してなるものである(特許文献2参照)。
【0008】
さらに、平地及び傾斜地の双方に連続的に設置する事が出来るブラインドフェンスが提案されており、このブラインドフェンスは、平行複数の縦桟に多数の横桟を軸着してフェンスを構成することによってフェンスを縦桟の平行移動に従って傾斜自在とし、支柱にブラケットを介して同じく傾斜自在に設置することによって平地及び傾斜地の設置を可能とすると共に各横桟に隣接下位の横桟の上端と前後に重合するように目隠しフィンと軸着部を被覆する被覆フィンを設けることによって等間隔のフィンを配置したものである(特許文献3参照)。
【0009】
ところで、防風機能も併せて有する目隠しフェンスや、道路等に設置される防風フェンスは、風を遮断する観点では、フェンスの風受面の全面で風を受ける、所謂遮風フェンスとすることが好ましい。しかしながら、風を完全に遮断する遮風フェンスとすると、風圧荷重が大きくなるので倒壊する恐れがあり、そのため風受面を形成する面パネルや支柱等を補強する必要があり、その結果、高価となるものであった。
【0010】
そこで、風受面に透孔又は隙間を設け、透孔又は隙間から風を逃がして全風圧を受けることなく風圧荷重を軽減し、支柱等の強度の向上を適度に抑えるとともに、可能な限り風を遮断する技術が提案されている。例えば、格子フェンスに上下の胴縁間に渉るパネルを適宜間隔で当着し、各パネルの上下部に透孔を設けた格子フェンス(特許文献4参照)、柱状材を高さ方向又は横方向に配設する共に、前記柱状材の間に隙間を介在した半透過型防風フェンスにおいて、前記柱状材に丸みを与えた防風フェンス(特許文献5参照)等が提案されている。
【0011】
また、ルーバーの間に設けられた隙間を通して風が外側から内側へ通り抜ける際に発生する風による騒音を抑制するために、フェンスの枠内に複数のルーバーを所定のピッチで並設し、各ルーバーの間に通気用の隙間を設けた目隠しフェンスにおいて、各ルーバーの風受面に風を分流して前記隙間に導くための突状部を形成するとともに、突状部により分流された気流を偏向する偏向板部を形成した目隠しフェンスが提案されている(特許文献6参照)。
【0012】
【特許文献1】特開2004−36298号公報
【特許文献2】特開平9−100654号公報
【特許文献3】特開2002−81229号公報
【特許文献4】特開平6−264419号公報
【特許文献5】特開平9−67810号公報
【特許文献6】特開2000−54642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、特許文献1で提案された目隠しフェンスは、目隠し性と透光性並びに通風性があるが、個々のフィンがバラバラであり強度的に充分な物にするためには、成形体の断面性能を上げる必要があり高価な柵となるのである。いずれにしても防犯性については問題がある。
【0014】
また、特許文献2で提案された防護柵は、プラスチックス製そのものに強度があまり期待できず防犯という切り口から、羽根板の中央に芯を入れる必要があることからこのような構成になっている。防犯性をもっと上げるにはプラスチックス並びにアルミニウム形材の強度を更に上げる事となり、高価な柵となってしまうのである。
【0015】
さらに、特許文献3で提案されたブラインドフェンスは、フェンスとして傾斜に対応出来るのであるが、特許文献1及び2で提案された目隠しフェンス及び防護柵と同様に、個々のフィンが単体の独立した成形体であることから強度的に問題があり、目隠し性と共に防犯性を要求されるフェンスとして使用される場所では使用できないのである。
【0016】
以上のように、戸建て住宅、アパート、マンション等の窓、隣地との境界などに使用されるフェンスは、目隠し性を目的とした物であり、併せて防犯性、通気性についても配慮したいのであるが、そのフェンスに通気性があっても防犯性がなかったり、目隠し性が高くても風が通らなかったり光が遮られてしまったり、景観性に欠けたりするフェンスが多いのが実情である。したがって、防犯性、通気性、目隠し性、価格等を全て満足する目隠しフェンスが求められていた。
【0017】
また、前記特許文献4で提案された格子フェンス及び特許文献5で提案された防風フェンスは、正面視において透孔又は隙間が形成されているので、目隠し効果を得ることが出来ず、また、風が方向を変えることなく透孔又は隙間をそのまま通過するので、風がフェンスから敷地内部の遠くまで達するものであった。したがって、フェンスの近傍に植栽した植木等が風に直接曝され、花を散らす等の悪影響を受け、また、フェンス近傍に居る人に風が当って不快にさせたり、砂、ゴミ等が家屋近傍まで吹き付けられるものであった。
【0018】
また、特許文献6で提案された目隠しフェンスは、目隠し効果を得ることはできるが、上述したような風が敷地内部まで達するという問題点は解消されていなかった。すなわち、フェンスに吹き付けられた風は、突上部で2つに分流され、その後、偏向板部で風向が変更されるが、騒音防止のために設けられているものであるので、風向が大きく変更されることがなく、隙間を略直進して行くものである。したがって、風が敷地内部まで達し上述した弊害をもたらすものであった。
【0019】
以上のように、従来の防風フェンスにおいては、風がフェンスを通過して遠くまで達するという問題があり、目隠し効果を得ることが出来るとともに、フェンスを通過した風が遠くまで達することの無い防風フェンスが求められていた。
【0020】
本発明は、上述した目隠しフェンスの問題点を解決し、目隠し性が高く防犯性もあって通気性もあり、透光性の要求にも対応できる目隠しパネルを提供することを目的とする。
【0021】
また、本発明は、上述した防風フェンスの問題点を解決し、風がフェンスから遠くまで達しないようにした防風パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者は、アルミニウム形材の持っている成形性に着眼すると共に、更に、孔開け加工をして連結することで、フェンスとしての機械的強度、目隠し性の機能を付与すると共に、プラスチックの持つ透光性をも取り入れて、透けて見えることで防犯性と通風性のある製品をニーズに合わせて組合せを変えて構成することにより、上述した問題点を解消できることを見出し、本発明による目隠しパネルを完成させた。
【0023】
すなわち、請求項1に係る目隠しパネルは、板材を鋸歯状断面とした目隠しパネルであって、複数個の開孔のある斜面と開孔の無い斜面とを交互に連続して複数個構成していることを特徴とする。
【0024】
請求項2に係る目隠しパネルは、請求項1記載の目隠しパネルにおいて、略L字形の断面を持つ成形体と、略L字形の断面を複数個組合せした成形体で、各々の成形体の両端末に連結部を持ちそれぞれが開孔のある斜面と開孔の無い斜面が交互に構成され、これら成形体が複数個連結され、枠材に取付けて鋸歯状の断面を形成していることを特徴とする。
【0025】
請求項3に係る目隠しパネルは、鋸歯状断面の目隠しパネルの形成体において、L字形の二つの斜面が共に開孔の無い成形体と複数個の開孔のある成形体とを連続して複数個組合せ構成したことを特徴とする。
【0026】
請求項4に係る目隠しパネルは、請求項1記載の目隠しパネルにおいて、少なくとも両端末に連結部を持つ成形体で、複数の開孔のある帯状の成形体と開孔の無い帯状の成形体が交互になるよう可動自在に連結して、鋸歯状の断面が形成されるように、枠材を介して複数個取付け構成されていることを特徴とする。
【0027】
請求項5に係る目隠しパネルは、請求項2又は請求項3記載の目隠しパネルにおいて、透光性の成形体と非透光性の成形体とを複数個組合せて構成されていることを特徴とする。
【0028】
また、本発明者は、風受面に透孔を形成した傾斜面を設けることにより、透孔を通過した風の方向が大きく変化し、敷地の奥まで達しないことを見出し、本発明による防風パネルを完成させた。
【0029】
すなわち、請求項6に係る防風パネルは、風受面と、該風受面に形成された複数の傾斜面と、該傾斜面に形成された透孔とを有し、風を透孔を通過させることにより風圧荷重を減少させたことを特徴とする。
【0030】
請求項7に係る防風パネルは、請求項6記載の防風パネルにおいて、前記傾斜面が敷地側方向に向かって斜下向きに形成され、透孔を通過した風を上方に逃がすことを特徴とする。
【0031】
請求項8に係る防風パネルは、請求項6記載の防風パネルにおいて、前記傾斜面が敷地側方向に向かって斜下向きに形成され、敷地側方向に向かって斜上向きにガイド傾斜面が形成され、これら傾斜面とガイド傾斜面とが交互に配置されていることを特徴とする。
【0032】
請求項9に係る防風パネルは、風受面と、該風受面を形成する上下方向に連設された複数の帯状部材と、該帯状部材に形成された傾斜面と、該傾斜面に形成された透孔とを有し、風を透孔を通過させることにより風圧荷重を減少させたことを特徴とする。
【0033】
請求項10に係る防風パネルは、請求項9記載の防風パネルにおいて、前記帯状部材の下方部において敷地側方向に向かって斜下向きに形成された傾斜面と、該下向き傾斜面に形成された透孔と、帯状部材の上方部において敷地側方向に向かって斜上向きに形成されたガイド傾斜面とを有し、該ガイド傾斜面が上側に隣接する帯状部材の下向き傾斜面の透孔に風を導くことを特徴とする。
【0034】
請求項11に係る防風パネルは、風受面と、該風受面を形成する左右方向に連設された複数の帯状部材と、該帯状部材に形成された傾斜面と、該傾斜面に形成された透孔とを有し、風を透孔を通過させることにより風圧荷重を減少させたことを特徴とする。
【0035】
請求項12に係る防風パネルは、請求項6、7、8、9、10又は11記載の防風パネルにおいて、傾斜面及びガイド傾斜面が光を透過する材料で形成されていることを特徴とする。
【0036】
請求項13に係る防風パネルは、請求項6、7、8、9、10、11又は12記載の防風パネルにおいて、傾斜面における透孔の開口率が50〜70%、透孔の面積が1〜3cm2であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
請求項1に係る目隠しパネルは、複数個の開孔のある斜面と開孔の無い斜面とを交互に連続して形成しているので、防犯のための機械的強度、通気性、目隠し性、耐久性が向上している。
【0038】
請求項2に係る目隠しパネルは、開孔のある斜面と開孔の無い斜面を有する略L字形の断面を持つ成形体を複数個連結して形成しているので、防犯のための機械的強度、通気性、目隠し性、耐久性が向上している。
【0039】
請求項3に係る目隠しパネルは、L字形の二つの斜面が共に開孔の無い成形体と複数個の開孔のある成形体とを連続して複数個組合せているので、防犯のための機械的強度、通気性、目隠し性、耐久性が向上している。
【0040】
請求項4に係る目隠しパネルは、複数の開孔のある帯状の成形体と開孔の無い帯状の成形体が交互になるよう可動自在に連結したので、一枚の目隠しパネルで目隠し性の機能を中心とする位置と、通風性を重視する一とを状況に合わせて変化させることができる。
【0041】
請求項5に係る目隠しパネルは、透光性の成形体と非透光性の成形体とを複数個組合せているので、透光性を高くすることができる。
【0042】
請求項6に係る防風パネルは、風受面に当接した風が、傾斜面の透孔を通って反対側に抜けるので、風が透孔をそのまま直進することなく傾斜面方向へ変更されるので、風が敷地内部まで達することがない。
【0043】
請求項7に係る防風パネルは、傾斜が敷地側方向に向かって斜下向きに形成されているので、その透孔を通過した風は斜上方に向きが変更され、敷地内部まで達することがない。
【0044】
請求項8に係る防風パネルは、傾斜面とガイド傾斜面とが交互に配置されているので、ガイド傾斜面に当接した風は、ガイド傾斜面に案内されて上方へ流れて傾斜面に案内される。したがって、風を効率良く透孔に導くことができ、また、風向をより上方にすることができる。
【0045】
請求項9に係る防風パネルは、風受面に当接した風が、傾斜面の透孔を通って反対側に抜けるので、風が透孔をそのまま直進することなく傾斜面方向へ変更されるので、風が敷地内部まで達することがない。
【0046】
請求項10に係る防風パネルは、傾斜面とガイド傾斜面とが交互に配置されているので、ガイド傾斜面に当接した風は、ガイド傾斜面に案内されて上方へ流れて傾斜面に案内される。したがって、風を効率良く透孔に導くことができ、また、風向をより上方にすることができる。
【0047】
請求項11に係る防風パネルは、風受面に当接した風が、傾斜面の透孔を通って反対側に抜けるので、風が透孔をそのまま直進することなく傾斜面方向へ変更されるので、風が敷地内部まで達することがない。
【0048】
請求項12に係る防風パネルは、傾斜面及びガイド傾斜面が光を透過する材料で形成されているので、敷地内部に光を導くことができ、植栽等に日光を当てることができる。
【0049】
請求項13に係る防風パネルは、傾斜面における透孔の開口率が20〜50%、透孔の面積が1〜5cm2であり、このような開口率及び透孔の面積とすることにより、防風パネルの受ける風圧荷重と、強度とのバランスを取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
まず、目隠しパネルについて説明する。
本発明の目隠しパネルは、従来の格子柵や目隠し柵のように個々の成形体がバラバラでなく、複数個の孔開き斜面と孔の無い斜面が交互に構成され、一体もしくは連結されているもので、大幅にコストダウンしたい時には、金属板をプレスで帯状に複数個の孔開けをして、それをロールフォーミングすることで一気に鋸歯状断面の立体的な目隠しパネルに構成するとか、目隠しパネル全体に複数個の開孔がある部分と、開孔の無い部分が交互に帯状になるように成形体で構成して、防犯のための機械的強度もあり通気性もあり目隠し性にも優れ、耐久性に優れたすばらしい目隠しパネル柵が構成されるところにある。
【0051】
L字形、又は、L字形の断面を複数個組合せた形状のアルミニウム押出し形材の一辺の面に複数個の孔開きがあり、もう一辺の面には孔開きの無い面として、その押出し形材の両端末の凹凸が嵌合形状となっていて、孔開きがある面と無い面が交互になるように連結して、周りに枠材を構成させて一体とすることで、従来使用されている目隠しパネル柵の欠点を一挙に解決せんとするものである。
【0052】
ステンレススチール、アルミニウム、メッキ鋼板等で、0.3ミリメートルから2.0ミリメートルの厚みで、ロール加工とかプレス加工で目隠しパネルを構成する方法として、金属板のコイル幅を600ミリメートルから1210ミリメートルとすると、無開孔のままの部分を10ミリメートルから100ミリメートルとして、無開孔の部分のとなりに複数個の孔開き部を10ミリメートルから100ミリメートルに長さ方向に帯状に構成するのである。このような構成を順に行った後に、ロールフォーミングで一気に鋸歯状断面の目隠しパネルに構成する。
【0053】
この時、複数個の孔開きのある面と孔開きの無い面が隣接して別々の斜面を構成する形とする。無開孔斜面は、20ミリメートルから60ミリメートルの幅で目隠しパネルの表裏の垂直面に構成する。開孔斜面は、目隠しパネルの表裏の垂直面に構成した無開孔斜面と無開孔斜面を水平、又は斜めに10ミリメートルから50ミリメートルの長さで連結するのである。この開孔面の孔の形状は丸孔、角孔、楕円孔、長孔と好みによって自由であり、その開孔率は、略20パーセントから50パーセントであればよい。出来るだけ通風性はあるに越した事は無いが、使用する板材の厚みと材質、形状、強度を勘案して決定するのである。又、孔開き面の開孔率を目隠し性の必要の程度により小さくしたり大きくしたりすることも出来るが、通常は20パーセントから50パーセント程度とする。
【0054】
アルミニウム押出し形材で構成する場合は、形材の断面を略L字形、又は、略L字形を複数個連続させた形状とし、L字形の成形体の各辺が帯状に複数個の開孔斜面と無開孔斜面で構成され、その成形体を複数個連結して枠材に取付けするのであるが、この時、断面の両端末の凹凸の連結部が嵌合形状となっていて、目隠しパネルとして構成した時、横からの水平荷重に対して強く抵抗するように構成するのである。
【0055】
無開孔斜面の幅は、20ミリメートルから60ミリメートルで、開孔斜面の幅は10ミリメートルから50ミリメートルであればよい。この開孔面の孔の形状は丸孔、角孔、楕円孔、長孔と好みによって自由であり、その開孔率は、この時も略20パーセントから50パーセントであればよい。
【0056】
開孔されたアルミニウム押出し形材の成形体と、開孔されていないアルミニウム押出し形材の成形体を交互に複数個連結して外枠に取り付けるのであるが、この時も略鋸歯状となるよう構成する。この構成では個々のフィンが自由に可動する連結構造としておくと、一つの目隠しパネルの中で目隠し性と通風性を、横の外枠材に止める位置を変えることで自由に構成できるので好都合である。
【0057】
プラスチックスの押出し形材で構成する場合も、L字形の単位で成形体を構成して片方の斜面にだけ複数個の孔を開けて、アルミニウムの押出し形材の時と同じように、L字形の断面の両端末の凹凸の連結部が嵌合形状としていて、複数個連結してパネルとして一体に構成するのである。この場合も孔開き面の開孔率を目隠し性と通風性の必要の程度により、小さくしたり大きくしたりすることが出来る。
【0058】
アルミニウムとプラスチックスの押出し形材を混成させて構成する場合、組合せによって透光性と目隠し性がある程度自由に構成できるので、理想的な目隠しパネルとなるが、素材の持つ耐候性の違いから、経年変化で景観の悪い物になりかねないのでプラスチックスの押出し形材のみで構成しても良い。
【0059】
さらに、開孔のある斜面と無い斜面との組合せのみでなく、請求項3のように面状パネルのある部分をより目隠し性を上げたい時には、二つの斜面が開孔されていないL字形断面の形材を連続させてもよいし、又、逆に二つの斜面に複数個の開孔のあるL字形形材を連続させて通風性を上げても良い。
【0060】
光が入って、しかも目隠し性のある機能性に優れた目隠しパネルとしたい時には、アルミニウム押出し形材と透光性のプラスチックスの押出し形材を交互に構成すると、透光性の高い目隠しパネルとなるのであるが、この場合、多少とも目隠し性が劣るのはやむを得ないのである。
【0061】
勿論、プラスチックスの押出し形材に使用される材料は塩化ビニール、アクリル、ポリカーボネート、ポリエステルなどの樹脂が、透明から不透明まで選定出来きるが、塩化ビニールは焼却時に公害となる物質が排出されるし、アクリルは耐候性が良いが割れやすいし、ポリカーボネートは高価な素材であって使いづらい。半透明から不透明となる材料であるポリエチレン、ポリプロピレンなどが公害も少なく材料価格も安いが、樹脂の線膨張が大きいのでパネルとして構成する場合には、歪みが発生しないようにその形状と取付け方法に注意する必要がある。
【0062】
以上のように、本発明では如何に通気性と目隠し性、透光性があって防犯性の高い目隠しパネルを景観の良い形で構成するか研究したのである。
【0063】
防犯性という命題に対しては、0.5ミリメートルという薄板のステンレスやメッキ鋼板を使用して、ロールフォーミングで一気に鋸歯状断面の目隠しパネルに構成する。この時、複数個の開孔のある斜面と無い斜面が鋸歯状に隣り合わせで別々の斜面を構成する。このような量産体制を敷くことが出来ると、見かけは高級でもむしろ安価に提供できるものとなるのである。又、L字形断面で複数個の開孔のある斜面と無い斜面を持つ成形体を連結することで一体になり、相当の機械的強度を持つ防犯性の高い目隠しパネルとなる。
【0064】
機械的強度については、L字形の組合せによるパネルの厚みである出幅の寸法で、ある程度調整が自由に出来るので、コストパフォーマンスに優れたフェンスとなる。更に、全体がパネルとして一体になっているので、一点に相当強烈な集中荷重がかからない限り傷まないので、通常の使用においては、何ら問題は発生しないし、防犯性の極めて優れたものとなる。
【0065】
通風性については、目隠し性と防犯性を保ちながら確保したいのであるが、開孔面を垂直に構成すると目隠し性が落ちるのであまり好ましくない。従って、孔開きの斜面に角度を付けて断面をより広く構成して、通風性を確保するのが良いが、これらの事を限定するものではない。
【0066】
透光性については、開孔率を上げて光を出来るだけ取り入れるようにすることと目隠し性が落ちることと相反することになるので、光の透過性のあるプラスチックスで開孔のある斜面と無い斜面を構成すると良い。この時プラスチックスの一枚もので目隠しパネルを構成すると良いが、L字形などのプラスチックスの成形体を続けて構成すると、連結強度に問題を起こす可能性が高く注意が必要である。プラスチックス成形体とアルミニウムの成形体との組合せにすると、アルミニウムを変形させるとプラスチックスがアルミニウムに噛み込むことになって、強固に連結されるので好都合である。
【0067】
目隠し性については、基本的には開孔のある斜面の開孔率と開孔の無い斜面との比率で決まるが、そのL字形の形状、寸法、開孔率の組合せを自由に変えることで客先のニーズに対応できる。
【0068】
次に、防風パネルについて説明する。
本発明による防風パネルは、風受面に傾斜面が複数形成されており、この傾斜面に透孔が形成されている。そして、透孔を風が通過することにより風受面における風圧荷重を減少させるとともに、透孔が傾斜面に形成されているので、透孔を通過する風の向きを変更させることができる。その結果、防風パネルを通過する風は、そのまま直進するのではなく、防風パネルに近づくように向きが変更されて敷地内部にまで達しないものである。この傾斜面は、垂直方向(敷地側方向に向かって斜下向き方向、又は斜上向き方向)であっても、水平方法(敷地側方向に向かって斜右向き方向、又は斜左向き方向)であってもよい。これらの傾斜面の態様の中で、近傍の植栽等に与える影響が小さいので、敷地側方向に向かって斜下方向に形成し、風の方向を斜上方向に変更することが好ましい。
【0069】
また、この透孔が形成された傾斜面は、直線状であっても、円弧状であってもよい。なお、上述した「敷地側方向」における「敷地」は、戸建て住宅等においてはその住宅の敷地であり、道路においては道路側の敷地であり、防風パネルにより防風しようとする側の土地を意味するものである。
【0070】
傾斜面の透孔は、傾斜面における開口率が20〜50%であることが好ましく、開口率が50%未満であると風圧荷重を十分に軽減する効果が小さく、開口率が70%を超えると防風効果が小さくなる。また、透孔の面積は1〜3cm2が好ましく、透孔の面積が1cm2未満であると風圧荷重を十分に軽減する効果が小さく、透孔の面積が5cm2を超えると防風効果が小さくなる。そして、開口率と透孔の面積とを以上の範囲において適宜選択する。
【0071】
傾斜面の角度は、例えば、敷地側方向に向かって斜下向きに形成した場合、水平面に対し5〜45度の範囲が好ましく、15〜30度の範囲がより好ましい。傾斜面の角度が5度未満であれば、風圧荷重を十分に軽減する効果が小さく、傾斜面の角度が45度を超えると、防風効果が小さくなる。
【0072】
透孔が形成された傾斜面に隣接して、風を傾斜面に案内するガイド傾斜面を形成することができる。ガイド傾斜面により、風圧荷重を軽減するとともに、風の向きを変えて風を円滑に透孔に案内することができる。ガイド傾斜面は、透孔が形成された傾斜面の態様(上述した4態様)に対応して、その傾斜方向が選択される。例えば、透孔が形成された傾斜面が敷地側方向に向かって斜下向きの場合は、敷地側方向に向かって斜上向きに形成される。このガイド傾斜面は直線状であっても、円弧状であってもよいが、風を透孔に円滑に導ける形状が好ましい。
【0073】
風受面は、一枚のパネル体で形成しても、帯状部材を連設して複数の帯状部材で形成してもよい。一枚のパネル体で形成する際は、上述した傾斜面及びガイド傾斜面を一体に形成したパネルを使用する。帯上部材を連設して形成する際は、帯状部材に上述した傾斜面及びガイド傾斜面を一体に形成する。帯状部材は、横方向に帯状であっても、縦方向に帯状であってもよく、すなわち、横方向に帯状の帯状部材を上下方向に連設して形成し、また、縦方向に帯状の帯状部材を左右方向に連設して形成する。したがって、帯状部材は、横方向と縦方向の2つの態様があり、また、傾斜面は斜下向き、斜上向き、斜左向き、斜右向きの4つの態様があるので、これらを組み合わせた8つの態様を採ることができる。
【0074】
また、帯状部材における傾斜面とガイド傾斜面との配置は特に限定されず、例えば、傾斜面を斜下向きに形成するとともに、ガイド傾斜面を斜上向きに形成する場合、傾斜面を上方部に形成するとともに、ガイド傾斜面を下方部に形成しても、逆に、傾斜面を下方部に形成するとともに、ガイド傾斜面を上方部に形成してもよい。
【0075】
前記傾斜面及びガイド傾斜面を光を透過する材料で形成することができ、このような構成にすることにより、植栽を風に曝すことなく、日光に当てることができる。なお、上述した目隠しパネルにおいて説明した事項は、防風パネルの作用、すなわち風の向きを変更するという作用を損なわない限り、総て適用することができる。
【0076】
本発明による防風パネルは、目隠しフェンス、防風フェンス、屋外用パーテーション等に用いることができ、特に強風を緩和したい場所に設置する防風フェンスに好適である。
【0077】
本発明の目隠しパネルの第1実施形態を図1及び図2を参照して説明する。
図1は本目隠しパネルを使って柵を構成した正面図、図2は目隠しパネルの部分斜視図である。この目隠しパネルは、肉厚が1mmのアルミニウム板であり、鋸歯状の開孔斜面1及び無開孔斜面2を横長に構成している。開孔斜面1には孔3が形成されている。無開孔斜面2の幅aが40mmで、開孔斜面1の幅bが35mmである。開孔斜面1及び無開孔斜面2の外周に廻り縁である縦枠6及び横枠7が設けられ、縦cが1.5mで横の幅dが2.0mである。
【0078】
本発明の目隠しパネルの第2実施形態を図3を参照して説明する。
図3は目隠しパネルの部分斜視図である。この目隠しパネルは、肉厚が1mmのアルミニウム板で開孔斜面1と無開孔斜面2を交互に構成されている。無開孔斜面2は、40mmの幅で目隠しパネルの表裏の垂直面に構成する。開孔斜面1は目隠しパネルの表裏の垂直面に構成した無開孔斜面2と無開孔斜面2を水平、又は斜めに35mmの長さで連結するのである。この開孔斜面1の孔3の形状は丸長孔であり、その開孔率は、略40パーセントである。
【0079】
本発明の目隠しパネルの第3実施形態を図4及び図5を参照して説明する。
図4は目隠しパネルの部分斜視図、図5は連結部分の斜視図である。この目隠しパネルは、鋸歯状の開孔斜面1、及び無開孔斜面2を、L字形の断面のアルミニウム押出し形材で構成したものである。開孔斜面1に孔3が開孔率40パーセントになるように開けられている。溝4に突部5を順に差し込んで連結して、鋸歯状の斜面を持つ目隠しパネルを構成する。
【0080】
本発明の目隠しパネルの第4実施形態を図6を参照して説明する。
図6は目隠しパネルの部分斜視図である。この目隠しパネルは、鋸歯状の開孔斜面1と無開孔斜面2とを、別々のI字形の断面のアルミニウムの押出し形材で構成したものである。また、溝4と突部5を可動自在に結合の上、複数個連結して目隠しパネルを構成する。このように可動自在に連結することで、一枚の目隠しパネルで目隠し性の機能を中心とする位置と、通風性を重視する位置とを、状況に合わせて一枚のパネルの中で変化させることができる目隠しパネルとなる。
【0081】
次に、本発明の防風パネルの第1実施形態を図面を参照して説明する。
図7は防風パネルの正面図、図8は図7中A−A線の一部省略した拡大断面図、図9は図7中B−B線の一部省略した拡大断面図、図10は防風パネルの要部の拡大斜視図である。
【0082】
図7において、10は縦枠、20は横枠で、これら縦枠10と横枠20とで矩形の枠が形成されており、この枠内に風受面として多数の帯状部材30が上下方向に連設して設けられている。この帯状部材30は、図8に示すように、アルミニウム製形材を断面略「V」字状に形成されたものからなり、その下部分が敷地方向側(図中、右方向側)に向かって斜下方向に傾斜した傾斜面31となり、上部分が敷地方向側に向かって上方向に円弧状に傾斜した傾斜ガイド傾斜面32となっている。
【0083】
また、帯状部材30の下縁部にはビスホール33が形成されるとともに、上縁部にはビスホール33に外嵌する嵌合縁34が形成されている。そして、上側に位置する帯状部材30のビスホール33と下側に位置する帯状部材30の嵌合縁34とが嵌合することにより帯状部材30を上下方向に連設しており、また、ビスホール33に螺入する螺子(図示せず)により、帯状部材30を縦枠10に取り付けている。また、上側の横枠20には、嵌合縁34と嵌合するビスホール21が形成されるとともに、下側の横枠20には、ビスホール33と嵌合する嵌合縁22が形成されている。
【0084】
前記傾斜面31には、図9に示すように、風を通すための透孔35が3段に亘って多数形成されており、この透孔35の傾斜面31における開口率が40%であり、一つの透孔35の面積は1.6cm2である。また、傾斜面31の水平面に対する傾斜角度αは20度となっている。
【0085】
以上のような防風パネルにおいては、風が帯状部材30に当ると、傾斜面31に当った風は透孔35を通って敷地方向側へ抜けるとともに、図10に示すように、ガイド傾斜面32に当った風aは、ガイド傾斜面32に沿って上側に方向を変えられ、傾斜面31の透孔35に案内され、透孔35を通って敷地方向側へ抜ける。この時、透孔35は傾斜面31に形成されているので、透孔35を通る際、風の方向が上方に変更される。したがって、防風パネルを通り抜けた風は、防風パネル近傍において上方へ流れ、敷地内の奥まで深く入り込むことがない。
【0086】
本発明の防風パネルの第2実施形態を図面を参照して説明する。
図11は防風パネルの正面図、図12は図11中C−C線の一部省略した拡大断面図、図13は図11中D−D線の一部省略した拡大断面図である。
図11において、40は縦枠、50は横枠で、これら縦枠40と横枠50とで矩形の枠が形成されており、この枠内に風受面として多数の帯状部材60が上下方向に連設して設けられている。帯状部材60は、図12に示すように、アルミニウム製形材を断面略台形状に形成されたものからなり、その下部分が敷地方向側(図中、右方向側)に向かって斜下方向に傾斜した傾斜面61となり、上部分が敷地方向側に向かって上方向に傾斜したガイド傾斜面62となり、これら傾斜面61とガイド傾斜面62との間が略垂直方向に形成された垂直面63となっている。
【0087】
また、帯状部材60の下縁部にはビスホール64が形成されるとともに、上縁部にはビスホール64に外嵌する嵌合縁65が形成されている。そして、上側に位置する帯状部材60のビスホール64と下側に位置する帯状部材60の嵌合縁65とが嵌合することにより帯状部材60を上下方向に連設しており、また、ビスホール64に螺入する螺子(図示せず)により、帯状部材60を縦枠40に取り付けている。また、上側の横枠50には、嵌合縁65と嵌合するビスホール51が形成されるとともに、下側の横枠50には、ビスホール64と嵌合する嵌合縁52が形成されている。
【0088】
前記傾斜面61には、図13に示すように、風を通すための透孔66が3段に亘って多数形成されており、この透孔66の傾斜面31における開口率が40%であり、一つの透孔66の面積は1.6cm2である。また、傾斜面31の水平面に対する傾斜角度αは16.5度となっている。
【0089】
以上のような防風パネルにおいては、風が帯状部材60に当ると、傾斜面61に当った風は透孔66を通って敷地方向側へ抜けるとともに、ガイド傾斜面62に当った風は、ガイド傾斜面62に沿って上側に方向を変えられ、傾斜面61の透孔66に案内され、透孔66を通って敷地方向側へ抜ける。この時、透孔66は傾斜面61に形成されているので、透孔66を通る際、風の方向が上方に変更される。したがって、防風パネルを通り抜けた風は、防風パネル近傍において上方へ流れ、敷地内の奥まで深く入り込むことがない。
【0090】
次に、本発明の防風パネルの風速測定試験に付いて説明する。
[風速測定装置]
図14及び図15に示す風速測定装置を用いた。図14は風速測定装置の平面図、図15は風速測定装置の側面図である。これらの図において、71は試験体設置フロア、72は任意の速さの風を発生させる風洞形式の風発生装置(エッフェル型吹き流し低乱風洞、風量2200m3/min、回転数1150rpm、気流風速0.5〜25m/s、風速変動率±1%以内)であり、73は風速及び風向を検知する超音波風速計(株式会社カイジョー製 WA−390、サンプリング周波数100Hz、サンプリング時間30秒)である。この超音波風速計73は、支持枠体74に上下動自在に設けられた取付け棒75の下端に取付けられており、取付け棒75を上下動させることにより、任意の高さに配置できるように進退自在なっている。また、支持枠体74は試験体設置フロア71の任意の個所に設置できるようになっている。したがって、超音波風速計73は、試験体設置フロア71上の空間の任意の個所に配置できるようになっている。さらに、試験体設置フロア71には試験体を固定するための固定治具75が設けられている。
【0091】
[試験体]
試験体80としては、防風パネルの第1実施形態で説明した防風パネルを用いた。防風パネルは、高さが114cm、巾が120cm、帯状部材30の数が21枚、傾斜面31の角度が20度、傾斜面31の巾が3.5cm、透孔35の傾斜面31における開口率が40%、透孔35の面積が1.6cm2である。
【0092】
[試験方法]
試験体80を風発生装置71の吹出し口76から91cmの距離に固定し、風発生装置71で風速8m/sの風を試験体80に向かって吹き付け、この時の試験体設置フロア71上の空間の風速及び風向を超音波風速計73で検知した。検知個所は、図14及び図15において、黒丸で示した個所である。また、風発生装置71の吹き出し口76は高さ120cm、巾120cmとした。なお、図14及び15中「H」は、試験体80の高さ(114cm)を示し、前記検知個所を試験体80からの距離を試験体80の高さHを基準として表示している。
【0093】
[試験結果]
超音波風速計73で測定した結果を図15において矢印で示す。矢印の方向が風向であり、矢印の長さが風速である。なお、この矢印の長さは、風発生装置71の吹出し口76から出た風の風速(8m/s)を示す矢印を基準とし、比例して表示している。
【0094】
[評価]
試験結果から次のことが分かった。
1.防風パネルの後方面で70〜77度の角度で上方に風が流れていることが分かった。
2.防風パネルの後方1/5H(228mm)の位置では、ほとんど後流側に流れる風速は計測できなかった。
3.防風パネルの後方における風速分布は防風パネル直上に昇流する影響のため、引き込まれるように上流側に流れる傾向にある。
4.さらに風洞の吹き出し口から供試体が91cmの位置にあり、吹き出し口断面形状が□120×120cmに対して、試験体80が高さが114×120cmと大きいため試験体80下部の圧力が高まり、試験体80の前(上流部)から上方側に流れる結果になった。
【0095】
以上の結果より、試験体80を通過した風は、その殆んどの部分が、風向が急激に上方へ変化するとともに、風速も試験体80の通過前より速くなっており、また、5/5H(120cm)離れた個所においては、6/5H(137cm)の高さにおいても殆んど風が観測されなかった。これは、透孔35が敷地側方向に向かって斜下方向に傾斜した傾斜面31に形成されているので、その軸方向である斜上方向に案内されることによると考えられ、また、近傍の風も透孔35に集められるので風速が速くなったものと考えられる。したがって、試験体80により、風が敷地側の奥にまで達しないことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の目隠しパネルの第1実施形態を使って柵を構成した正面図である。
【図2】本発明の目隠しパネルの第1実施形態の部分斜視図である。
【図3】本発明の目隠しパネルの第2実施形態の部分斜視図である。
【図4】本発明の目隠しパネルの第3実施形態の部分斜視図である。
【図5】本発明の目隠しパネルの第3実施形態の連結部分の斜視図である。
【図6】本発明の目隠しパネルの第4実施形態の部分斜視図である。
【図7】本発明の防風パネルの第1実施形態の正面図である。
【図8】図7中A−A線の一部省略した拡大断面図
【図9】図7中B−B線の一部省略した拡大断面図
【図10】本発明の防風パネルの第1実施形態の要部の拡大斜視図である。
【図11】本発明の防風パネルの第2実施形態の正面図である。
【図12】図11中C−C線の一部省略した拡大断面図である。
【図13】図11中D−D線の一部省略した拡大断面図である。
【図14】風速試験装置の平面図である。
【図15】風速試験装置の側面図である。
【符号の説明】
【0097】
1 開孔斜面
2 無開孔斜面
3 孔
4 溝
5 突部
6 縦枠
7 横枠
10 縦枠
20 横枠
30 帯状部材
31 傾斜面
32 ガイド傾斜面
35 透孔
40 縦枠
50 横枠
60 帯状部材
61 傾斜面
62 ガイド傾斜面
66 透孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材を鋸歯状断面とした目隠しパネルであって、複数個の開孔のある斜面と開孔の無い斜面とを交互に連続して複数個構成していることを特徴とする目隠しパネル。
【請求項2】
請求項1記載の目隠しパネルにおいて、略L字形の断面を持つ成形体と、略L字形の断面を複数個組合せした成形体で、各々の成形体の両端末に連結部を持ちそれぞれが開孔のある斜面と開孔の無い斜面が交互に構成され、これら成形体が複数個連結され、枠材に取付けて鋸歯状の断面を形成していることを特徴とする目隠しパネル。
【請求項3】
鋸歯状断面の目隠しパネルの形成体において、L字形の二つの斜面が共に開孔の無い成形体と複数個の開孔のある成形体とを連続して複数個組合せ構成したことを特徴とする目隠しパネル。
【請求項4】
請求項1記載の目隠しパネルにおいて、少なくとも両端末に連結部を持つ成形体で、複数の開孔のある帯状の成形体と開孔の無い帯状の成形体が交互になるよう可動自在に連結して、鋸歯状の断面が形成されるように、枠材を介して複数個取付け構成されていることを特徴とする目隠しパネル。
【請求項5】
請求項2又は請求項3記載の目隠しパネルにおいて、透光性の成形体と非透光性の成形体とを複数個組合せて構成されていることを特徴とする目隠しパネル。
【請求項6】
風受面と、該風受面に形成された複数の傾斜面と、該傾斜面に形成された透孔とを有し、風を透孔を通過させることにより風圧荷重を減少させたことを特徴とする防風パネル。
【請求項7】
請求項6記載の防風パネルにおいて、前記傾斜面が敷地側方向に向かって斜下向きに形成され、透孔を通過した風を上方に逃がすことを特徴とする防風パネル。
【請求項8】
請求項6記載の防風パネルにおいて、前記傾斜面が敷地側方向に向かって斜下向きに形成され、敷地側方向に向かって斜上向きにガイド傾斜面が形成され、これら傾斜面とガイド傾斜面とが交互に配置されていることを特徴とする防風パネル。
【請求項9】
風受面と、該風受面を形成する上下方向に連設された複数の帯状部材と、該帯状部材に形成された傾斜面と、該傾斜面に形成された透孔とを有し、風を透孔を通過させることにより風圧荷重を減少させたことを特徴とする防風パネル。
【請求項10】
請求項9記載の防風パネルにおいて、前記帯状部材の下方部において敷地側方向に向かって斜下向きに形成された傾斜面と、該下向き傾斜面に形成された透孔と、帯状部材の上方部において敷地側方向に向かって斜上向きに形成されたガイド傾斜面とを有し、該ガイド傾斜面が上側に隣接する帯状部材の下向き傾斜面の透孔に風を導くことを特徴とする防風パネル。
【請求項11】
風受面と、該風受面を形成する左右方向に連設された複数の帯状部材と、該帯状部材に形成された傾斜面と、該傾斜面に形成された透孔とを有し、風を透孔を通過させることにより風圧荷重を減少させたことを特徴とする防風パネル。
【請求項12】
請求項6、7、8、9、10又は11記載の防風パネルにおいて、傾斜面及びガイド傾斜面が光を透過する材料で形成されていることを特徴とする防風パネル。
【請求項13】
請求項6、7、8、9、10、11又は12記載の防風パネルにおいて、傾斜面における透孔の開口率が20〜50%、透孔の面積が1〜5cm2であることを特徴とする防風パネル。
【請求項1】
板材を鋸歯状断面とした目隠しパネルであって、複数個の開孔のある斜面と開孔の無い斜面とを交互に連続して複数個構成していることを特徴とする目隠しパネル。
【請求項2】
請求項1記載の目隠しパネルにおいて、略L字形の断面を持つ成形体と、略L字形の断面を複数個組合せした成形体で、各々の成形体の両端末に連結部を持ちそれぞれが開孔のある斜面と開孔の無い斜面が交互に構成され、これら成形体が複数個連結され、枠材に取付けて鋸歯状の断面を形成していることを特徴とする目隠しパネル。
【請求項3】
鋸歯状断面の目隠しパネルの形成体において、L字形の二つの斜面が共に開孔の無い成形体と複数個の開孔のある成形体とを連続して複数個組合せ構成したことを特徴とする目隠しパネル。
【請求項4】
請求項1記載の目隠しパネルにおいて、少なくとも両端末に連結部を持つ成形体で、複数の開孔のある帯状の成形体と開孔の無い帯状の成形体が交互になるよう可動自在に連結して、鋸歯状の断面が形成されるように、枠材を介して複数個取付け構成されていることを特徴とする目隠しパネル。
【請求項5】
請求項2又は請求項3記載の目隠しパネルにおいて、透光性の成形体と非透光性の成形体とを複数個組合せて構成されていることを特徴とする目隠しパネル。
【請求項6】
風受面と、該風受面に形成された複数の傾斜面と、該傾斜面に形成された透孔とを有し、風を透孔を通過させることにより風圧荷重を減少させたことを特徴とする防風パネル。
【請求項7】
請求項6記載の防風パネルにおいて、前記傾斜面が敷地側方向に向かって斜下向きに形成され、透孔を通過した風を上方に逃がすことを特徴とする防風パネル。
【請求項8】
請求項6記載の防風パネルにおいて、前記傾斜面が敷地側方向に向かって斜下向きに形成され、敷地側方向に向かって斜上向きにガイド傾斜面が形成され、これら傾斜面とガイド傾斜面とが交互に配置されていることを特徴とする防風パネル。
【請求項9】
風受面と、該風受面を形成する上下方向に連設された複数の帯状部材と、該帯状部材に形成された傾斜面と、該傾斜面に形成された透孔とを有し、風を透孔を通過させることにより風圧荷重を減少させたことを特徴とする防風パネル。
【請求項10】
請求項9記載の防風パネルにおいて、前記帯状部材の下方部において敷地側方向に向かって斜下向きに形成された傾斜面と、該下向き傾斜面に形成された透孔と、帯状部材の上方部において敷地側方向に向かって斜上向きに形成されたガイド傾斜面とを有し、該ガイド傾斜面が上側に隣接する帯状部材の下向き傾斜面の透孔に風を導くことを特徴とする防風パネル。
【請求項11】
風受面と、該風受面を形成する左右方向に連設された複数の帯状部材と、該帯状部材に形成された傾斜面と、該傾斜面に形成された透孔とを有し、風を透孔を通過させることにより風圧荷重を減少させたことを特徴とする防風パネル。
【請求項12】
請求項6、7、8、9、10又は11記載の防風パネルにおいて、傾斜面及びガイド傾斜面が光を透過する材料で形成されていることを特徴とする防風パネル。
【請求項13】
請求項6、7、8、9、10、11又は12記載の防風パネルにおいて、傾斜面における透孔の開口率が20〜50%、透孔の面積が1〜5cm2であることを特徴とする防風パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−90116(P2006−90116A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97173(P2005−97173)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(503373377)ワンダー技研有限会社 (24)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(503373377)ワンダー技研有限会社 (24)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【Fターム(参考)】
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