説明

直流コンセント

【課題】多数の回路を有していても全ての回路での消弧を図ることを可能としながら製品寸法の大型化を防止し、事故電流の遮断まで行うことを可能とした直流コンセントを提供する。
【解決手段】複数の回路4a乃至4gの各々は、電流を分流させることが可能な第1の回路5と第2の回路7とを有し、第1の回路5には開閉機構6が配置され、第2の回路7には開閉機構8が配置されていると共に、各々第2の回路7の上流側は、複数の回路4a乃至4gに共通する1つの消弧回路13と接続され、この消弧回路13には遮断器14が配置されている。そして、通常時には、開閉機構6が入、開閉機構8が切の状態で運用し、プラグを直流コンセントから引き抜き又は回転させる過程で、開閉機構8と遮断器14とが順次入となり、次に開閉機構6が切となり、更に遮断器14が切となった後、開閉機構8が切となるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多数の回路を有する直流コンセントに関するもので、特にプラグを通電中に外すときに発生するアークを消す消弧回路を有する直流コンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、次世代送電網(スマートグリッド)として直流電力を供給する送電システムが採択される事態を配慮して、家屋やビル等に設置されたコンセントにプラグを差し込んで使用される電気機器においても、直流電源に対応した電気機器が開発・製品化されてきているという現状がある。
【0003】
もっとも、家屋やビル等に設置されるコンセントとして直流コンセントを用いる場合に、既存の直流コンセントでは、プラグを通電中に外す時に発生するアークにより直流コンセントの接点の劣化を招くことが知られている一方で、アーク対策として例えば特許文献1に示されるように消弧部を備えた直流コンセントも既に開発されている。この特許文献1では、消弧部として、コンセントの接続部とプラグの接点との接続の解離時に、コンセントの接続部間を接続する高抵抗並列回路を備えた構成が示されている。
【0004】
また、コンセントには、複数のプラグが差し込めるように多回路を有するコンセント装置も、例えば特許文献2の図1及び図2に示されるように存在しており、直流コンセントにおいても、多回路型のコンセントを使用することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−146782号公報
【特許文献2】特開2011−9046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば特許文献1に示されるような直流コンセントを例えば特許文献2に示されるような多回路型とした場合に、特許文献1に示されるように消弧部としてコンセントの接続部間ごと、すなわち多数の回路ごとに高抵抗並列回路を設けると直流コンセントの製品寸法が相対的に大型化するという不具合がある。また、特許文献1に示されるように高抵抗並列回路を設けた場合には、事故電流の遮断まで行うことができないという不都合もある。
【0007】
そこで、本発明は、多数の回路を有していても全ての回路での消弧を図ることを可能としながら製品寸法の相対的な大型化を防止し、しかも事故電流の遮断まで行うことを可能とした直流コンセントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る直流コンセントは、直流電源からの電流が差し込まれたプラグを介して複数の負荷に対して個別に流れるように複数の回路を有する直流コンセントであって、前記回路は、電流を分流させることが可能な第1の回路と第2の回路とを有し、前記第1の回路にはこの第1の回路を開閉するための第1の開閉機構が配置され、前記第2の回路にはこの第2の回路を開閉するための第2の開閉機構が配置されていると共に、前記第2の回路の上流側は前記複数の回路に共通する1つの消弧回路と接続され、前記消弧回路は、この消弧回路を開閉するための遮断器が配置されており、前記プラグが差し込まれた時は、前記第1の開閉機構が入の状態、前記第2の開閉機構が切の状態であり、前記プラグを引き抜き又は回転させる過程で、前記第2の開閉機構と前記遮断器とが順次入となり、次に前記第1の開閉機構が切となり、更に前記遮断器が切となった後、前記第2の開閉機構が切となることを特徴としている(請求項1)。ここで、消弧回路に配置される遮断器の数も1つとすることが望ましい。また、各開閉機構は相対的に遮断能力が高くない簡易な構成のものが用いられるようにしても良い。これに対し、遮断器には相対的に遮断能力が高いものが用いられている。第1の開閉機構が入の状態、前記第2の開閉機構が切の状態から、前記プラグを引き抜き又は回転させる過程で、第2の開閉機構と遮断器とが順次入となり、次に第1の開閉機構が切となり、更に遮断器が切となった後、第2の開閉機構が切となるとの過程は、機械的に行っても、手動で押しボタンの操作を行う等、人為的に行っても良い。また、この発明の回路は、直流コンセント以外に直流分電盤等でも使用することができる。
【0009】
より具体的には、前記回路は、前記第1の回路を一方端が前記直流電源に繋がる第1の母線と接続させ、前記第2の回路を前記第1の母線と同じ極側の電流が流れる第2の母線と接続させていると共に、前記第1の回路と前記第2の回路とは、前記開閉機構よりも下流側にて集約させて前記複数の負荷の1つと接続する負荷側回路を形成していることを特徴としている(請求項2)。
【0010】
また、前記回路は、前記第1の回路の一方端を前記直流電源と接続させ、他方端に前記第1の開閉機構を配置し、この第1の開閉機構が前記プラグとの当接と離隔とを行うことで前記第1の回路の開閉を行い、前記第2の回路の一方端を前記消弧回路から延びる複数の分岐線の1つと接続させ、他方端に前記第2の開閉機構を配置し、この第2の開閉機構が前記プラグとの当接と離隔とを行い、前記遮断器が開閉動作を行うことにより前記第2の回路の開閉を行っていることを特徴としている(請求項3)。ここで、遮断器は電磁コイルに対する給電のON/OFF制御により第2の回路の開閉を行うものとしても良い。
【0011】
これらにより、直流コンセントからプラグが完全に外される際には、第1の開閉機構、第2の開閉機構が少なくとも切られて、回路を構成する第1の回路と第2の回路との双方が開状態となり、直流コンセントからプラグに対して電流が流れていないので、アークが発生せず、直流コンセントの接点劣化を招くことがない。
【0012】
また、直流コンセントに回路が多数あっても、遮断器が配置される消弧回路の数は1つであり、各回路に配置される第1、第2の開閉機構も、相対的に遮断能力が高くない簡易な構成のものを用いることができるので、直流コンセントの製品寸法が大きくなることが抑制される。
【0013】
更に、この発明に係る直流コンセントは、前記負荷側回路にこの負荷側回路で発生した事故を検知する検知機構が配置されており、この検知機構からの信号を受けて、前記プラグが差し込まれた状態でも、まず前記第2の開閉機構と前記遮断器とが順次入となり、次に前記第1の開閉機構が切となり、更に前記遮断器が切となった後、前記第2の開閉機構が切となることを特徴としている(請求項4)。検知機構は、例えばCT(Current Transformer)等とも称される変流器が用いられる。
【0014】
これにより、負荷側回路で地絡や短絡等の電気的な事故が発生した場合には、検知機構がこの事故を検出してこの検出信号をコントロールユニットに送り、この検出信号を受けたコントロールユニットから事故が発生した負荷側回路を遮断するように各開閉機構や遮断器の各制御部に指示信号が発せられて、プラグが差し込まれた状態でもプラグを引き抜き又は回転させる過程と同様に、まず第2の開閉機構と遮断器とが順次入となり、次に第1の開閉機構が切となり、更に遮断器が切となった後、第2の開閉機構が切となって、事故が発生した負荷側回路が遮断される。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、請求項1から請求項4に記載の発明によれば、プラグを引き抜き又は回転させる等して、直流コンセントからプラグが完全に外れる際には、第1の開閉機構、第2の開閉機構が少なくとも切られて、回路を構成する第1の回路と第2の回路との双方が開状態となり、直流コンセントからプラグに対して電流が流れていないので、通電中にプラグを外すために発生していたアークの発生を防ぐことができ、よって、アークによる直流コンセントの接点劣化を生じさせないことが可能である。
【0016】
また、請求項1から請求項4に記載の発明によれば、遮断機が配置された消弧回路の数を1つに集約することができ、第1の開閉機構及び第2の開閉機構の構成を簡略なものとすることができるので、直流コンセントの製品寸法をコンパクトなものにすることができる。
【0017】
特に請求項4に記載の発明によれば、負荷側回路で地絡や短絡等の事故が発生した場合には、検知機構がこの事故を検出してこの検出信号をコントロールユニットに送り、この検出信号を受けたコントロールユニットから事故が発生した負荷側回路を遮断するように第1、第2の開閉機構や遮断器の各制御部に指示信号が発せられて、プラグを引き抜いたりプラグを回転させたりする過程と同様に、第2の開閉機構と遮断器とが順次入となり、次に1の開閉機構が切となり、更に遮断器が切となった後、第2の開閉機構が切となるので、事故が発生した負荷側回路を遮断することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、この発明に係る直流コンセントの概略を示した説明図である。
【図2】図2は、同上の直流コンセントにおける消弧方法における各ステップの移行を示したフローチャートである。
【図3】図3は、図1に示される直流コンセントにおいて、1つの負荷への回路を抜き出し、この回路において、通常時における、第1の開閉機構が入、第2の開閉機構が切、遮断器が切の状態における電力供給の流れを示すと共に図2の上から2番目のステップに対応した説明図である。
【図4】図4は、図1に示される直流コンセントにおいて、1つの負荷への回路を抜き出し、この回路において、第2の開閉機構を入れ、遮断器を閉じた状態における電力供給の流れを示すと共に図2の上から3番目及び4番目のステップに対応した説明図である。
【図5】図5は、図1に示される直流コンセントにおいて、1つの負荷への回路を抜き出し、この回路において、第1の開閉機構を切った状態における電力供給の流れを示すと共に図2の上から5番目及び6番目のステップに対応した説明図である。
【図6】図6は、図1に示される直流コンセントにおいて、1つの負荷への回路を抜き出し、この回路において、遮断器を切った状態を示すと共に図2の上から7番目のステップに対応した説明図である。
【図7】図7は、図1に示される直流コンセントにおいて、1つの負荷への回路を抜き出し、この回路において、第1の開閉機構を切り、第2の開閉機構を切り、遮断器を開いた状態を示すと共に図2の上から8番目のステップに対応した説明図である。
【図8】図8は、図1に示される直流コンセントに対して、回路の負荷側回路に事故電流を検出する検出機構を配置した構成を示す説明図である。
【図9】図9は、この発明の直流コンセントにおける第1の開閉機構、第2の開閉機構及び遮断器の構成をより具体的に示した実施例1を説明したもので、通常時における、第1の開閉機構が入、第2の開閉機構が切、遮断器が切の状態における電力供給の流れを示した説明図である。
【図10】図10は、同上の実施1の構成における、遮断器を入れ、第2の開閉機構を入れた状態における電力供給の流れを示した説明図である。
【図11】図11は、同上の実施1の構成における、第1の開閉機構を切った状態における電力供給の流れを示した説明図である。
【図12】図12は、同上の実施1の構成における、遮断器を切った状態を示した説明図である。
【図13】図13は、同上の実施1の構成における、第2の開閉機構を切った状態を示した説明図である。 なお、以上の回転式の場合、抜き取り時の右回転操作が終了するまで、プラグの引抜が不可となるように、プラグ電極に突起、開口側に一番右の位置で抜ける溝を設けるなどの構造が必要である。
【図14】図14は、この発明の直流コンセントにおける第1の開閉機構、第2の開閉機構及び遮断器の構成をより具体的に示した実施例2を説明したもので、通常時における、第1の開閉機構が入、第2の開閉機構が切、遮断器が切の状態における電力供給の流れを示した説明図である。
【図15】図15は、同上の実施2の構成における、遮断器を入れ、第2の開閉機構を入れた状態における電力供給の流れを示した説明図である。
【図16】図16は、同上の実施2の構成における、第1の開閉機構を切った状態における電力供給の流れを示した説明図である。
【図17】図17は、同上の実施2の構成における、遮断器を切った状態を示した説明図である。
【図18】図18は、同上の実施2の構成における、第2の開閉機構を切った状態を示した説明図である。
【図19】図19は、この発明の直流コンセントにおける第1の開閉機構、第2の開閉機構及び遮断器の構成をより具体的に示した実施例3を説明したもので、通常時における、第1の開閉機構が入、第2の開閉機構につながる遮断器が切の状態における電力供給の流れを示した説明図である。
【図20】図20は、同上の実施3の構成における、第2の開閉機構を入れ、遮断器を入れた状態における電力供給の流れを示した説明図である。
【図21】図21は、同上の実施3の構成における、第1の開閉機構を切った状態における電力供給の流れを示した説明図である。
【図22】図22は、同上の実施3の構成における、遮断器を切った状態を示した説明図である。
【図23】図23は、同上の実施3の構成における、第2の開閉機構を切った状態を示した説明図である。 なお、以上の機構の場合、安全対策として、プラグを抜いている間は他のプラグが抜けないようにロックする機構を設ける。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1において、この発明に係る直流コンセントの総合回路1の一例として総合回路の概略的な構成が示されている。この直流コンセントの総合回路1は、この実施例では直流電源の負極側2と接続されるものとして示されているが必ずしもこれに限定されず、図示しないが直流電源の正極側と接続されるものであっても良い。
【0021】
そして、直流コンセントの総合回路1は、複数(この実施例では7つ)のプラグ差込回路4a乃至4gを有しており、各プラグ差込回路4a乃至4gは、開閉機構6を有する第1の回路5と、開閉機構8を有する第2の回路7とを有している。開閉機構6、8は、例えば遮断能力が相対的に低い直流スイッチであり、定格DC400V、開閉4Aの場合には、各開閉機構6、8の大きさは例えば長さ42mm、幅24mm、高さ46mm(但し、手動レバーの高さ分を除く。)程度に収めることが可能であり、例えば直流用の配線用遮断器(NFB「ノーヒューズブレーカ」とも称する。以下同じ。)を用いる場合に比し大幅に小さくすることが可能となっている。第1の回路5の一方端は母線10と接続されて直流電源の負極側2と接続し、第2の回路7の一方端は母線11と接続されて直流電源の負極側2と接続可能となっている。そして、第1の回路5と第2の回路7とは、開閉機構6と開閉機構8との間(開閉機構6、8よりも回路5、7の下流側)において集約されて成る、プラグを介して負荷F1乃至F7と接続するための負荷側回路9を有している。
【0022】
更に、直流コンセントの総合回路1は、1つの消弧回路13を有している。この消弧回路13は、プラグ差込回路4a乃至4gとは別に、一方端が母線10と接続されて直流電源の負極側2と接続し、他方端が母線11と接続されて直流電源の負極側2と接続可能となっている。すなわち、消弧回路13は、母線11を介してプラグ差込回路4a乃至4gの第2の回路7と接続されている。そして、消弧回路13には、遮断器14が1つ配置されている。この遮断器14は、例えば前述した直流用の配線用遮断器が用いられ、その寸法例としては、定格DC350V、通電電流50A、遮断電流10kAであれば、長さ155mm、幅120mm、高さ70mm(但し、手動レバーの高さ分を除く。)程の大きさとなりうる。
【0023】
次に、このような直流コンセントの総合回路1を用いた消弧方法について、図2のフローチャートと図3から図7において示される負荷F1へ電流を供給するためのプラグ差込回路4a及び消弧回路13を抽出した図とを用いて以下に説明する。
【0024】
直流コンセントに差し込まれたプラグを介して負荷F1に直流電源から電力が供給される通常状態では、図3に示されるように、開閉機構6は入、開閉機構8は切、遮断器14は切の状態になっており、これにより図2のステップ101及び図3の矢印に示されるように、直流電源からの電流は母線10より第1の回路5及びこの第1の回路5に配置された開閉機構6を経由して負荷側回路9に流れ、更に負荷F1に至るようになっている。
【0025】
これに対して、プラグが直流コンセントから引き抜かれ或いはプラグを回転させる過程では、次に示されるようなステップの切り換えが行われる。
【0026】
まず、図2のステップ102及び図4に示されるように、開閉機構6の入を維持したまま、開閉機構8、遮断器14の順に入にする。これにより、図2のステップ103及び図4の矢印に示されるように、直流電源からの電流の一方のルートとして母線10より第1の回路5及びこの第1の回路5に配置された開閉機構6を経由して負荷側回路9に流れて負荷F1に至ると共に、直流電源からの電流の他方のルートとして母線10より消弧回路13及びこの消弧回路13に配置された遮断器14を経て母線11を流れた後、第2の回路7及びこの第2の回路7に配置された開閉機構8を経由して負荷側回路9に流れて負荷F1に至る。
【0027】
次に、図2のステップ104及び図5に示されるように、開閉機構8の入、遮断器14の入を維持したまま開閉機構6を切にする。これにより、図2のステップ105及び図5の矢印に示されるように、直流電源からの電流は、母線10より消弧回路13及びこの消弧回路13に配置された遮断器14を経て母線11を流れた後、第2の回路7及びこの第2の回路7に配置された開閉機構8を経由して負荷側回路9に流れて負荷F1に至る。
【0028】
更に、図2のステップ106及び図6に示されるように、開閉機構6の切、開閉機構8の入を維持したまま遮断器14を切にする。これにより、図6に示されるように、第1の回路5、7の双方及びこれと接続された負荷側回路9も開状態にあるので、直流電源からの電流はプラグを経由して負荷F1に至らないものとなる。
【0029】
そして、上記のように、負荷側回路9に電流が流れない状態となっていることを確認して、図2のステップ107及び図7に示されるように、開閉機構6の切、遮断器14の切を維持したまま開閉機構8を切にする。
【0030】
以上に示される消弧方法によれば、直流コンセントであっても、プラグ差込回路4aの負荷側回路9は電流が遮断された状態とすることができるため、直流コンセントに差し込まれた状態のプラグを外しても、通電中ではないので、アークの発生を防止することが可能である。
【0031】
そして、直流コンセントの総合回路1は、図8に示されるように、各プラグ差込回路4a乃至4gの負荷側回路9にて地絡や短絡等の事故が発生した場合に過大電力・異常電力を検出することができるように、検知機構として例えばCT等の変流器15が各プラグ差込回路4a乃至4gの負荷側回路9に配置されるようにすると共に、この変流器15からの検出信号を受信して各開閉機構6、8や遮断器14を動かす制御部16、17、18に事故が発生した負荷側回路9への電力の供給を遮断するように指示信号を送るコントロールユニット19を設けるようにしても良い。
【0032】
これにより、プラグが直流コンセントに差し込まれた状態でも、上述した図2に示されるようなプラグが直流コンセントから引き抜かれ又はプラグを回転させる過程のステップと同様の制御がコントロールユニットからの信号により自動的に行われるので、事故が発生した負荷側回路9を有するプラグ差込回路4aは電流が遮断された状態とすることができ、過大電力・異常電力が流れることによって直流コンセントが故障するのを防止することが可能となる。
【0033】
次に、開閉機構6、開閉機構8及び遮断器14が入となったり切りとなったりするための具体的な構成について、実施例1、実施例2及び実施例3として説明する。
【実施例1】
【0034】
図9から図13において、この発明の実施例1が示されている。この実施例1で用いられるプラグ21は、図9(a)から図13(a)に示されるように、円柱状の2つの端子22、23を有するプラグ本体24により構成されていると共にコード25を介して負荷F(図では便宜上F1を表示。)と接続されている。
【0035】
直流コンセントは、図9(a)から図13(a)に示されるように、この実施例1では2つの円板状部材27、28を有し、これらの円板状部材27、28は、プラグ21の端子22、23の軸方向に沿って重ねるように組み合わせられている。
【0036】
円板状部材27は、回転しないようになっており、この円板状部材27の中心P1を中心として描く同じ円軌道上に形成された2つの差込孔29、30が形成されていると共に、この差込孔29、30のプラグ21側の開口縁は、差込孔29、30の一方端から中程まで延びる略U字状の電極31、32が設けられており、これらの電極31、32は差込孔29、30にプラグ21の端子22、23が接した際に端子22、23と接することができるようになっていると共に、電極31、32と端子22、22とが接し又は離れることが開閉機構6の入と切として機能する。
【0037】
円板状部材28は、この円板状部材27の中心P2に設けられた回転軸33に外部から回転力が伝達されることにより回転するようになっていると共に、この実施例1ではプラグ21とは反対側の面において円板状部材28の中心P2を中心として描く異なる円軌道上に形成された2つの隆起部34、35が形成されている。この隆起部34と隆起部35とは、隆起開始点が隆起部34の方が隆起部35よりも早く、隆起終了点は隆起部34の方が隆起部35よりも遅くなっている。すなわち、隆起部34の方が隆起部35よりも円弧軌道に沿った寸法が長くなっている。
【0038】
更に、直流コンセントは、円板状部材27、28とは別に、可動部36、37を有している。この可動部36、37は、円板状部材28の軸方向から見た位置的には動かないものとなっており、円板状部材28側に突出した突起36a、37aを有すると共に円板状部材28側に常に付勢されているもので、突起36a、37aの先端は円板状部材28の隆起部34、35と重ならない位置では隆起部34、35の隆起側面よりも円板状部材28側にあり、隆起部34、35と重なる位置ではこの隆起部34、35により押されて円板状部材28から離れる方向に動くようになっている。そして、可動部36の円板状部材28から離れる方向に動く動線上に接点38、38が配置されており、接点38、38と可動部36、37が接し又は離れることにより、開閉機構8、遮断器14の入と切とが行われる。
【0039】
プラグ21が差し込まれてプラグ21を介して負荷F1に直流電源から電力が供給される通常状態では、図9(a)に示されるように、プラグ21の端子22、23は電極31、32と接し、可動部36、37の双方は隆起部34、35と重ならずに円板状部材28から離れる方向に押されていないので接点38、38と当接していない。すなわち、開閉機構6は入、開閉機構8は切、遮断器14は切の状態にある。よって、図9(b)に示されるように、図3と同様に、直流電源からの電流は母線10より第1の回路5及びこの第1の回路5に配置された開閉機構6を経由して負荷側回路9に流れ、更に負荷F1に至るようになっている。
【0040】
これに対して、プラグ21を円板状部材27に対して図10(a)から図13(a)の矢印方向に回転させると、以下のようなステップの切り換えが機械的に行われる。
【0041】
まず、プラグ21の端子22、23が図9(a)の位置から図10(a)の位置まで移動するように、プラグ21を回転させた段階では、図10(a)に示すように、円板状部材27は動かず、円板状部材28は付随して回転するので、プラグ21の端子22、23は電極31、32と接した状態を維持し、可動部36、37の双方は隆起部34、35と重なり円板状部材28から離れる方向に押されて接点38、38と当接する。すなわち、開閉機構6は入、開閉機構8は入、遮断器14は入の状態となる。よって、図10(b)に示されるように、図4と同様に、直流電源からの電流の一方のルートとして母線10より第1の回路5及びこの第1の回路5に配置された開閉機構6を経由して負荷側回路9に流れて負荷F1に至ると共に、直流電源からの電流の他方のルートとして母線10より消弧回路13及びこの消弧回路13に配置された遮断器14を経て母線11を流れた後、第2の回路7及びこの第2の回路7に配置された開閉機構8を経由して負荷側回路9に流れて負荷F1に至る。
【0042】
次に、プラグ21の端子22、23が図10(a)の位置から図11(a)の位置まで移動するように、プラグ21を回転させた段階では、図11(a)に示すように、円板状部材27は動かず、円板状部材28は付随して回転するので、プラグ21の端子22、23は電極31、32から離れる一方で、可動部36、37の双方は隆起部34、35と重なり円板状部材28から離れる方向に押されて接点38、38と当接した状態を維持する。すなわち、開閉機構6は切、開閉機構8は入、遮断器14は入の状態となる。よって、図11(b)に示されるように、図5と同様に、直流電源からの電流は、母線10より消弧回路13及びこの消弧回路13に配置された遮断器14を経て母線11を流れた後、第2の回路7及びこの第2の回路7に配置された開閉機構8を経由して負荷側回路9に流れて負荷F1に至る。
【0043】
更に、プラグ21の端子22、23が図11(a)の位置から図12(a)の位置まで移動するように、プラグ21を回転させた段階では、図12(a)に示すように、円板状部材27は動かず、円板状部材28は付随して回転するので、プラグ21の端子22、23は電極31、32から離れた状態、可動部36は隆起部34と重なり円板状部材28から離れる方向に押されて接点38、38と当接した状態を維持する一方で、可動部37は隆起部35と重ならなくなり隆起部35で突起37aが円板状部材28から離れる方向に押されなくなるため可動部37に対する付勢力により円板状部材28側に動き、接点38、38から離れる。すなわち、開閉機構6は切、開閉機構8は入、遮断器14は切の状態となる。よって、図12(b)に示されるように、図6と同様に、直流電源からの電流は第1の回路5、第2の回路7のいずれも流れなくなり、よって負荷側回路9にも電流が流れなくなる。
【0044】
そして、プラグ21の端子22、23が図12(a)の位置から図13(a)の位置すなわち差込孔29、30の端まで移動するように、プラグ21を回転させた段階では、図13(a)に示すように、円板状部材27は動かず、円板状部材28は付随して回転するので、プラグ21の端子22、23は電極31、32から離れた状態、可動部37は隆起部35と重ならず接点38、38から離れた状態を維持する一方で、可動部36も隆起部34と重ならなくなり隆起部34で突起36aが円板状部材28から離れる方向に押されなくなるため可動部36に対する付勢力により円板状部材28側に動き、接点38、38から離れる。すなわち、開閉機構6は切、開閉機構8は切、遮断器14は切の状態となる。よって、図13(b)に示されるように、図7と同様に、直流電源からの電流は第1の回路5、第2の回路7のいずれにも流れず、よって負荷側回路9にも電流が流れない状態が維持された態様で、開閉機構8を切ることができる。
【0045】
以上によれば、図9に示される直流コンセントに差し込まれた状態のプラグ21を回転させて図13の状態で外しても、その時にはプラグ差込回路4aの負荷側回路9は電流が遮断された状態であり、プラグ21が通電中ではないので、アークの発生を防止することが可能である。
【実施例2】
【0046】
図14から図18において、この発明の実施例2が示されている。この実施例2で用いられるプラグ21は、図14(a)から図18(a)に示されるように、薄い直方体の板状の2つの端子22、23を有するプラグ本体24により構成されていると共にコード25を介して負荷F(図では便宜上F1を表示。)と接続されている。直流コンセントは、プラグ21の端子22、23が挿着されることで端子22、23と接する電極31、32を有している。これらの電極31、32と端子22、22とが接し又は離れることが開閉機構6の入と切として機能する。
【0047】
更に、プラグ21は、この実施例2ではプラグ本体24のうちの端子22、23の間からこれらの端子22、23の延出方向と同じ方向に延びる操作棒40を有していると共に、直流コンセントはこの操作棒40と端子22、23との間になるように配置された可動部37、38を有している。
【0048】
操作棒40は、可動部36側(端子23側)に隆起した隆起部34と可動部37側(端子22側)に隆起した隆起部35とを有し、隆起部34、35は操作棒40の軸方向に沿って延びていると共に、操作棒40の端端側における隆起部34の隆起開始点は隆起部35の隆起部35の隆起開始点よりも早く操作棒40のプラグ本体24側における隆起部34の隆起終了点は隆起部35の隆起部35の隆起終了点よりも遅くなっている。すなわち、隆起部34の方が隆起部35よりも操作棒40の軸方向に沿った寸法が長くなっている。
【0049】
可動部37、38は、操作棒40側に常時付勢されていると共に、操作棒40側に突出した突起37a、38aを有している。突起36a、37aの先端は操作棒40の隆起部34、35と重ならない位置では操作棒40を挟んで相対的に近接した側にあり、隆起部34、35と重なる位置では隆起部34、35により押されて端子22又は23側に動くようになっている。そして、可動部36の端子22又は23側に動く動線上に接点38、38が配置されており、接点38、38と可動部36、37とが接し又は離れることにより、開閉機構8、遮断器14の入と切とがそれぞれ行われる。
【0050】
プラグ21が差し込まれてプラグ21を介して負荷F1に直流電源から電力が供給される通常状態では、図14(a)に示されるように、プラグ21の端子22、23は電極31、32と接し、可動部36、37の双方は隆起部34、35と重ならずに端子22又は23側に押されていないので接点38、38と当接していない。すなわち、開閉機構6は入、開閉機構8は切、遮断器14は切の状態にある。よって、図14(b)に示されるように、図3と同様に、直流電源からの電流は母線10より第1の回路5及びこの第1の回路5に配置された開閉機構6を経由して負荷側回路9に流れ、更に負荷F1に至るようになっている。
【0051】
これに対して、プラグ21を直流コンセントから図15(a)から図18(a)の矢印方向に示すように引き抜くと、以下のようなステップの切り換えが機械的に行われる。
【0052】
まず、プラグ21の端子22、23が図14(a)の位置から図15(a)の位置まで移動するようにプラグ21を矢印方向に引き抜いた段階では、図15(a)に示されるように、プラグ21の端子22、23は電極31、32と接した状態を維持し、可動部36、37の双方は隆起部34、35と重なり端子22又は23側に押されて接点38、38と当接する。すなわち、開閉機構6は入、開閉機構8は入、遮断器14は入の状態となる。よって、図15(b)に示されるように、図4と同様に、直流電源からの電流の一方のルートとして母線10より第1の回路5及びこの第1の回路5に配置された開閉機構6を経由して負荷側回路9に流れて負荷F1に至ると共に、直流電源からの電流の他方のルートとして母線10より消弧回路13及びこの消弧回路13に配置された遮断器14を経て母線11を流れた後、第2の回路7及びこの第2の回路7に配置された開閉機構8を経由して負荷側回路9に流れて負荷F1に至る。
【0053】
次に、プラグ21の端子22、23が図15(a)の位置から図16(a)の位置まで移動するようにプラグ21を矢印方向に引き抜いた段階では、図16(a)に示されるように、プラグ21の端子22、23は電極31、32から離れる一方で、可動部36、37の双方は隆起部34、35と重なり端子22又は23側に押されて接点38、38と当接した状態を維持する。すなわち、開閉機構6は切、開閉機構8は入、遮断器14は入の状態となる。よって、図16(b)に示されるように、図5と同様に、直流電源からの電流は、母線10より消弧回路13及びこの消弧回路13に配置された遮断器14を経て母線11を流れた後、第2の回路7及びこの第2の回路7に配置された開閉機構8を経由して負荷側回路9に流れて負荷F1に至る。
【0054】
更に、プラグ21の端子22、23が図16(a)の位置から図17(a)の位置まで移動するようにプラグ21を矢印方向に引き抜いた段階では、図17(a)に示されるように、プラグ21の端子22、23は電極31、32から離れた状態、可動部36は隆起部34と重なり端子23側に押されて接点38、38と当接した状態を維持する一方で、可動部37は隆起部35と重ならなくなり隆起部35で突起37aが端子22側に押されなくなるため可動部37に対する付勢力により端子23側に動き、接点38、38から離れる。すなわち、開閉機構6は切、開閉機構8は入、遮断器14は切の状態となる。よって、図17(b)に示されるように、図6と同様に、直流電源からの電流は第1の回路5、7のいずれも流れなくなり、よって負荷側回路9にも電流が流れなくなる。
【0055】
そして、プラグ21の端子22、23が図17(a)の位置から図18(a)の位置まで移動するようにプラグ21を矢印方向に引き抜いた段階では、図18(a)に示されるように、プラグ21の端子22、23は電極31、32から離れた状態、可動部37は隆起部35と重ならないため接点38、38から離れた状態を維持する一方で、可動部36も隆起部34と重ならなくなり隆起部34で突起36aが端子23側に押されなくなるため可動部36に対する付勢力により端子22側に動き、接点38、38から離れる。すなわち、開閉機構6は切、開閉機構8は切、遮断器14は切の状態となる。よって、図18(b)に示されるように、図7と同様に、直流電源からの電流は第1の回路5、第2の回路7のいずれにも流れず、よって負荷側回路9にも電流が流れない状態が維持された態様で、開閉機構8を切ることができる。
【0056】
以上によれば、図14に示される直流コンセントに差し込まれた状態のプラグ21を図18の状態から更に引き抜いてプラグ21を完全に外す時には、プラグ差込回路4aの負荷側回路9は電流が遮断された状態であり、プラグ21が通電中ではないので、アークの発生を防止することが可能である。
【実施例3】
【0057】
図19から図23において、この発明の実施例3が示されている。この実施例3で用いられるプラグ21は、図19(a)から図23(a)に示されるように、薄い直方体の板状の2つの端子22、23(但し、実施例の構成の説明の便宜から端子22のみを表示。)を有するプラグ本体24により構成されていると共にコード25を介して負荷F(図では便宜上F1を表示。)と接続されている。
【0058】
直流コンセントは、図19(a)から図23(a)に示されるように、第1の回路5及び第2の回路7を有して構成される複数のプラグ差込回路4(但し、図ではプラグ差込回路4aのみを表示。)を備えている。プラグ差込回路4の第1の回路5は、この実施例3では一方端が直流電源の正極側3に接続され、他方端に直流コンセントに差し込まれたプラグ21の端子22と接することが可能な電極42が配置されている。この電極42は開閉機構6として作用し、プラグ21の端子22と接し又は離れることにより開閉機構6の入と切とを行うものとなっている。プラグ差込回路4の第2の回路7は、一方端が下記する消弧回路13と接続され、他方端には直流コンセントに差し込まれたプラグ21の端子22と接することが可能な電極43が配置されている。この電極43は、開閉機構8として作用し、プラグ21の端子22と接し又は離れることにより開閉機構8の入と切を行うものとなっている。
【0059】
また、直流コンセントは、遮断器14が配置された消弧回路13を有している。この消弧回路13は、1つに集約されており、一方端が直流電源の正極側3に接続され他方端がD点において複数の第2の回路7と接続されるものとなっている。ダイオードやサイリスタ等の逆流防止素子44は、この実施例では第2の回路7のうちD点に最も近い側に配置されている。
【0060】
更に、直流コンセントは、遮断器14の入と切とを行うための制御回路45を有しており、この制御回路45は、一方端が直流電源の正極側3に接続され、他方端が直流電源の負極側2’に接続されるようになっていると共に、電磁コイル46が配置されている。そして、この制御回路45は、電磁コイル46と直流電源の負極側2’との間に2つの開閉機構47、48を有している。
【0061】
開閉機構47は、常にプラグ21の端子22側に付勢されている可動部49と、可動部49よりもプラグ21の端子22側に位置する2つの接点50、50とで基本的に構成されている。そして、開閉機構47は、可動部49がプラグ21の端子22の側面に当接しているときには可動部49は付勢力に抗してプラグ21に押された状態にあり、これに伴い、接点50、50と接せず、可動部49がプラグ21の端子22の側面に当接していないときには、可動部49がプラグ21に押されていないので、付勢力により接点50、50と接するようになっている。
【0062】
開閉機構48は、常にプラグ21の端子22側に付勢されている可動部51と、2つの接点52、52とで基本的に構成されており、可動部51が接点52、52よりもプラグ21の端子22側に位置している。そして、開閉機構48は、可動部51がプラグ21の端子22の側面に当接しているときには可動部51は付勢力に抗してプラグ21に押された状態にあり、これに伴い、接点52、52と接し、可動部51がプラグ21の端子22の側面に当接していないときには、可動部51がプラグ21に押されていないので、付勢力により接点52、52と接しないようになっている。すなわち、開閉機構47の可動部49がプラグ21の端子22に当接せず、開閉機構48の可動部51がプラグ21の端子22に当接している場合にのみ、制御回路45に給電され、電磁コイル46で発生する電磁力が作用して遮断器14が入となる。
【0063】
プラグ21が差し込まれてプラグ21を介して負荷F1に直流電源から電力が供給される通常状態では、図19(a)に示されるように、開閉機構6として作用する電極42は,プラグ21の端子22と接して入の状態にある一方で、開閉機構47の可動部49がプラグ21の端子22で押された状態にあるため接点50、50と接せず、電磁コイル46に給電されないため遮断器14も切の状態となっている。すなわち、開閉機構6は入、開閉機構8は入、遮断器14は切の状態にある。
【0064】
よって、図19(b)に示されるように、直流電源の正極側3からの電流は、第1の回路5を通って開閉機構6として作用する電極42からプラグ21の端子22に流れ、更に負荷F1に至るようになっている。
【0065】
これに対して、プラグ21を直流コンセントから図20(a)から図23(a)の矢印方向に示すように引き抜くと、以下のようなステップの切り換えが機械的に行われる。
【0066】
まず、プラグ21の端子22が図19(a)の位置から図20(a)の位置に移動するようにプラグ21を矢印方向に引き抜いた段階では、図20(a)に示されるように、プラグ21の端子22は開閉機構6として作用する電極42、開閉機構8として作用する電極43の双方と接した状態を維持する一方で、開閉機構47の可動部49がプラグ21の端子22で押されなくなって接点50、50と接するようになり、しかも、開閉機構48の可動部51がプラグ21の端子22で押された状態にあるため接点52、52と接した状態を維持していることから、開閉機構6として作用する電極42と開閉機構8として作用する電極43の双方が入の状態になり、電磁コイル46に給電され、遮断器14が入の状態となる。すなわち、開閉機構6は入、開閉機構8は入、遮断器14は入の状態にある。
【0067】
よって、図20(b)に示されるように、直流電源の正極側3からの電流は、第1の回路5を通って開閉機構6として作用する電極42からプラグ21の端子22に流れ、更に負荷F1に至るルートと、消弧回路13及びこの消弧回路13に配置された遮断器14、ダイオード44を経た後、第2の回路7を通って開閉機構8として作用する電極43からプラグ21の端子22に流れ、更に負荷F1に至る他のルートとができる。
【0068】
次に、プラグ21の端子22が図20(a)の位置から図21(a)の位置まで移動するようにプラグ21を矢印方向に引き抜いた段階では、図21(a)に示されるように、プラグ21の端子22は開閉機構6として作用する電極42から離れるが、開閉機構6として作用する電極43とは接した状態を維持する一方で、開閉機構47の可動部49は接点50、50と接した状態、開閉機構48の可動部51は接点52、52と接した状態をそれぞれ維持するため、電磁コイル46に給電され、遮断器14は入の状態が維持される。すなわち、開閉機構6は切、開閉機構8は入、遮断器14は入の状態にある。
【0069】
よって、図21(b)に示されるように、直流電源の正極側3からの電流は、消弧回路13及びこの消弧回路13に配置された遮断器14、ダイオード44を経た後、第2の回路7を通って開閉機構8として作用する電極43からプラグ21の端子22に流れ、更に負荷F1に至ることとなる。
【0070】
更に、プラグ21の端子22が図21(a)の位置から図22(a)の位置まで移動するようにプラグ21を矢印方向に引き抜いた段階では、図22(a)に示されるように、プラグ21の端子22が開閉機構6として作用する電極42から離れた状態、開閉機構8として作用する電極43とは接した状態を維持する一方で、開閉機構47の可動部49は接点50、50と接した状態にあるが開閉機構48の可動部51はプラグ21の端子32が外れるためプラグ21の端子22で押されなくなって接点52、52から離れるため電磁コイル46に給電されないので遮断器14は切の状態となる。すなわち、開閉機構6は切、開閉機構8は入、遮断器14は切の状態にある。
【0071】
よって、図22(b)に示されるように、直流電源の正極側3からの電流は、第1の回路5、7のいずれにも流れなくなり、よって開閉機構6として作用する電極42及び開閉機構8として作用する電極43のいずれからもプラグ21の端子22に電流が流れなくなる。
【0072】
そして、図23(a)に示すように、プラグ21の端子22を直流コンセントから完全に引き抜いた段階では、プラグ21の端子22が開閉機構6として作用する電極42から離れた状態を維持しつつ開閉機構8として作用する電極43からも離れる一方で、開閉機構47の可動部49は接点50、50と接した状態、開閉機構48の可動部51は接点52、52から離れた状態をそれぞれ維持するため電磁コイル46に給電されないので遮断器14は切の状態が維持される。すなわち、開閉機構6は切、開閉機構8は切、遮断器14は切の状態にある。
【0073】
以上によれば、図19に示される直流コンセントに差し込まれた状態のプラグ21を図23に示されるようにプラグ21が完全に引き抜かれるようにしても、その時にはプラグ差込回路4の第1の回路5及び第2の回路7は電流が遮断された状態であり、プラグ21が通電中ではないので、プラグ21の端子22が電極43から離れるときにアークの発生を防止することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 直流コンセントの総合回路
2、2’ 直流電源の負極側
3 直流電源の正極側
4a乃至4g プラグ差込回路(回路)
5 回路(第1の回路)
6 開閉機構(第1の開閉機構)
7 回路(第2の回路)
8 開閉機構(第2の開閉機構)
9 負荷側回路
10 母線(第1の母線)
11 母線(第2の母線)
13 消弧回路
14 遮断器
15 変流器(検知機構)
16乃至18 制御部
19 コントロールユニット
21 プラグ
22、23 端子
24 プラグ本体
25 コード
27、28 円板状部材
29、30 差込孔
31、32 電極
33 回転軸
34、35 隆起部
36、37 可動部
36a、37a 突起
38 接点
40 操作棒
42 電極(第1の開閉機構)
43 電極(第2の開閉機構)
44 ダイオードもしくはサイリスタ等の逆流防止素子
45 制御回路
46 電磁コイル
47、48 開閉機構
49 可動部
50 接点
51 可動部
52 接点
F1乃至F7 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源からの電流が差し込まれたプラグを介して複数の負荷に対して個別に流れるように複数の回路を有する直流コンセントであって、
前記回路は、電流を分流させることが可能な第1の回路と第2の回路とを有し、前記第1の回路にはこの第1の回路を開閉するための第1の開閉機構が配置され、前記第2の回路にはこの第2の回路を開閉するための第2の開閉機構が配置されていると共に、前記第2の回路の上流側は前記複数の回路に共通する1つの消弧回路と接続され、前記消弧回路は、この消弧回路を開閉するための遮断器が配置されており、
前記プラグが差し込まれた時は、前記第1の開閉機構が入の状態、前記第2の開閉機構が切の状態であり、前記プラグを引き抜き又は回転させる過程で、前記第2の開閉機構と前記遮断器とが順次入となり、次に前記第1の開閉機構が切となり、更に前記遮断器が切となった後、前記第2の開閉機構が切となることを特徴とする直流コンセント。
【請求項2】
前記回路は、前記第1の回路を一方端が前記直流電源に繋がる第1の母線と接続させ、前記第2の回路を前記第1の母線と同じ極側の電流が流れる第2の母線と接続させていると共に、前記第1の回路と前記第2の回路とは、前記開閉機構よりも下流側にて集約させて前記複数の負荷の1つと接続する負荷側回路を形成していることを特徴とする請求項1に記載の直流コンセント。
【請求項3】
前記回路は、前記第1の回路の一方端を前記直流電源と接続させ、他方端に前記第1の開閉機構を配置し、この第1の開閉機構が前記プラグとの当接と離隔とを行うことで前記第1の回路の開閉を行い、前記第2の回路の一方端を前記消弧回路から延びる複数の分岐線の1つと接続させ、他方端に前記第2の開閉機構を配置し、この第2の開閉機構が前記プラグとの当接と離隔とを行い、前記遮断器が開閉動作を行うことにより前記第2の回路の開閉を行っていることを特徴とする請求項1に記載の直流コンセント。
【請求項4】
前記負荷側回路にこの負荷側回路で発生した事故を検知する検知機構が配置されており、この検知機構からの信号を受けて、前記プラグが差し込まれた状態でも、まず前記第2の開閉機構と前記遮断器とが順次入となり、次に前記第1の開閉機構が切となり、更に前記遮断器が切となった後、前記第2の開閉機構が切となることを特徴とする請求項2に記載の直流コンセント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−105563(P2013−105563A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247297(P2011−247297)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】