説明

直流回路の漏電検出システムおよび方法

【課題】非接地の交流回路に電力変換器を介して接続された非接地の直流回路の漏電を、従来に比べて簡単かつ低コストで検出するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】漏電検出システムは、コンデンサCsdと漏電検出装置Fdと備える。コンデンサCsdは、直流回路10の配電線路の各相と大地GNDとの間、または交流回路30の配電線路の各相と大地GNDとの間、または変圧器2の2次側の中性点と大地GNDとの間に設けられる。漏電検出装置Fdは、コンデンサCsdの設置箇所と直流回路30の想定される地絡事故点との間の電流経路に設けられる。漏電検出装置Fdは、この電流経路を流れる交流電流を検出し、検出した交流電流のうち、電力変換器20の変換動作によって直流回路側に生じた交流電圧の周波数と同じ周波数の電流成分に基づいて直流回路30の漏電の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非接地の交流回路に電力変換器を介して接続された非接地の直流回路の漏電を検出するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接地の交流回路に電力変換器を介して接続された非接地の直流回路では、地絡事故が発生しても非常に小さな電流しか流れない。現状は、直流母線の各相を高抵抗で接地して地絡電流の環流経路を確保し、直流母線から分岐した各直流回線に地絡電流検出装置を設置することによって各直流回線の漏電を検出している。
【0003】
直流回線に流れる地絡電流を検出する装置として、たとえば、特許第3251248号公報(特許文献1)に記載された直流地絡電流検出装置が知られている。この装置は、第1および第2鉄心と帰還回路と継電器とを含む。帰還回路には、第1および第2鉄心に地絡電流と等しい逆方向の補正電流をその補正電流と地絡電流との和が零となるまで流し続ける電線が装着されている。継電器は、補正電流と地絡電流との和が零となった時点で帰還回路に流れる補正電流を検出レベルと比較することによって地絡発生を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3251248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の文献に記載された直流地絡電流検出装置は、微小な直流地絡電流を検出できるようにするために、複雑で高価なものになっている。
【0006】
この発明の目的は、非接地の交流回路に電力変換器を介して接続された非接地の直流回路の漏電を、従来に比べて簡単かつ低コストで検出するシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は要約すれば、非接地の交流回路に電力変換器を介して接続された非接地の直流回路の漏電検出システムであって、コンデンサと漏電検出装置と備える。ここで、交流回路は、2次側が非接地の変圧器を介して上位の電力系統と接続される。コンデンサは、直流回路の配電線路の各相と大地との間、または交流回路の配電線路の各相と大地との間、または変圧器の2次側の中性点と大地との間に設けられる。漏電検出装置は、コンデンサの設置箇所と直流回路の想定される地絡事故点との間の電流経路に設けられる。漏電検出装置は、この電流経路を流れる交流電流を検出する交流電流センサと、判定部とを含む。判定部は、交流電流センサによって検出された交流電流のうち、電力変換器の変換動作によって直流回路側に生じる交流電圧の周波数と同じ周波数の電流成分に基づいて直流回路の漏電の有無を判定する。
【0008】
好ましくは、交流回路は単相回路であり、上記の電流成分は、電力系統の基本波に対する2n調波(nは1以上の整数)の電流である。
【0009】
もしくは、交流回路は三相回路であり、上記の電流成分は、電力系統の基本波に対する3n調波(nは1以上の整数)の電流である。
【0010】
もしくは、電力変換器は、パルス幅変調方式によって電力変換を行ない、上記の電流成分は、パルス幅変調に用いる搬送波の周波数を有する。
【0011】
好ましくは、直流回路の配電線路は、電力変換器に接続された直流母線と、直流母線から分岐された複数の直流回線とを含む。この場合、漏電検出装置は、複数の直流回線の各々に設けられる。コンデンサは、直流母線の各相と大地との間に設けられる。
【0012】
上記のように直流回路の配電線路が直流母線と直流回線とを含む場合において、好ましくは、交流回路の配電線路は、変圧器の2次側に接続された交流母線と、交流母線と電力変換器とを接続する交流回線とを含む。この場合、漏電検出装置は、複数の直流回線の各々に設けられる。コンデンサは、変圧器の2次側の中性点と大地との間または交流母線の各相と大地との間に設けられる。
【0013】
上記の場合において、交流電流センサは、対応の直流回線に設けられた零相変流器または対応の直流回線の各相に設けられた変流器である。
【0014】
好ましくは、交流回路の配電線路は、変圧器に接続された交流母線と、交流母線と電力変換器とを接続する交流回線とを含む。この場合、漏電検出装置は、交流回線に設けられる。コンデンサは、変圧器の2次側の中性点と大地との間または交流母線の各相と大地との間に設けられる。
【0015】
上記の場合において、交流電流センサは、交流回線に設けられた零相変流器である。
好ましくは、判定部は、上記の電流成分の大きさが所定の基準値を超えた場合に漏電と判定する。
【0016】
もしくは、判定部は、上記の電流成分の大きさが所定の基準値を超えた状態が所定の時間継続した場合に漏電と判定する。
【0017】
この発明は他の局面において、非接地の交流回路に電力変換器を介して接続された非接地の直流回路の漏電検出方法である。ここで、交流回路は、2次側が非接地の変圧器を介して上位の電力系統と接続される。この発明による直流回路の漏電検出方法は、直流回路の配電線路の各相と大地との間、または交流回路の配電線路の各相と大地との間、または変圧器の2次側の中性点と大地との間にコンデンサを設置するステップと、コンデンサの設置箇所と直流回路の想定される地絡事故点との間の電流経路における交流電流を検出するステップと、検出された交流電流のうち、電力変換器の変換動作によって直流回路側に生じる交流電圧の周波数と同じ周波数の電流成分に基づいて直流回路の漏電の有無を判定するステップとを備える。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、配電系統と大地との間にコンデンサを設けるとともに、電力変換器の変換動作によって直流回路側に生じる交流電圧の周波数と同じ周波数の電流成分を検出することによって、従来に比べて簡単かつ低コストに直流回路の漏電を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施の形態1による漏電検出システムが適用される配電系統の構成図である。
【図2】図1の配電系統において漏電検出装置Fdの配置についてさらに説明するための図である。
【図3】図1の直流回路30で地絡事故が生じた場合の零相回路を示す図である。
【図4】検出回路44の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図5】図4の検出回路44を用いた漏電検出手順を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態2による漏電検出システムが適用される配電系統の構成図である。
【図7】図6の直流回路30のP相電圧線31Pで地絡事故が生じた場合の零相回路を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態3による漏電検出システムが適用される配電系統の構成図である。
【図9】図8の直流回路30のP相電圧線31Pで地絡事故が生じた場合の零相回路を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態4による漏電検出システムが適用される配電系統の構成図である。
【図11】この発明の実施の形態5による漏電検出システムが適用される配電系統の構成図である。
【図12】この発明の実施の形態6による漏電検出システムが適用される配電系統の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の各実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
【0021】
<実施の形態1>
[漏電検出システムの構成]
図1は、この発明の実施の形態1による漏電検出システムが適用される配電系統の構成図である。図1の配電系統は、非接地の単相交流回路10と、非接地の直流回路30と、単相交流回路10と直流回路30とを接続する双方向の電力変換器20(パワーコンディショナ)とを含む。交流回路10は、単相変圧器2を介して上位の電力系統1と接続される。変圧器2の2次側は非接地である。
【0022】
交流回路10は、単相三線式の配電線路として、変圧器2の2次側に接続された交流母線と交流母線から分岐する複数の交流回線とを含む。図1には交流母線19(u相電圧線19u、v相電圧線19v、中性線19n)と、交流母線19と電力変換器20とを接続する交流回線11(u相電圧線11u、v相電圧線11v、中性線11n)とが図示されている。交流回線11の電圧線11u,11vにはブレーカ12u、12vがそれぞれ設けられる。交流回線11のu相、v相の各電圧線は対地静電容量(浮遊容量)Caを有する。
【0023】
直流回路30は、配電線路(図2の参照符号29)と、直流負荷35と、ブレーカ32P,32Nとを含む。直流回路30の配電線路は、電力変換器20に接続される直流母線と直流母線から分岐する複数の直流回線とを有する。図1には、配電線路として、直流母線39(P相電圧線39P、N相電圧線39N)と、直流母線39と直流負荷35とを接続する直流回線31(P相電圧線31P、N相電圧線31N)とが図示されている。この明細書では、直流回路の配電線路の正極側をP相と称し、負極側をN相と称する。直流回線31のP相、N相の各電圧線は対地静電容量(浮遊容量)Cdを有する。ブレーカ32PはP相電圧線31Pに設けられ、ブレーカ32NはN相電圧線31Nに設けられる。
【0024】
電力変換器20は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ:Insulated Gate Bipolar Transistor)などのスイッチング素子21a〜21dと、平滑用のリアクトル22と、平滑用のコンデンサ23とを含む。スイッチング素子21a〜21dによって単相ブリッジ回路が構成される。より詳しくは、スイッチング素子21a,21bはこの順で正極側のノード24Pと負極側のノード24Nとの間に接続され、スイッチング素子21a,21bの接続ノードにu相電圧線11uが接続される。スイッチング素子21c,21dはこの順で正極側のノード24Pと負極側のノード24Nとの間に接続され、スイッチング素子21c,21dの接続ノードにv相電圧線11vが接続される。平滑用のリアクトル22は正極側のノード24PとP相電圧線31P,33Pとの間に接続され、平滑用のコンデンサ23はリアクトル22と負極側のノード24Nとの間に接続される。
【0025】
電力変換器20は、各スイッチング素子のスイッチングのタイミングが制御部(図示省略)によって制御されることによって、双方向の電力変換器として動作する。すなわち、電力変換器20は、交流電力を直流電力に変換する場合には全波整流回路として動作し、直流電力を交流電力に変換する場合にはインバータ回路として動作する。たとえば、直流回路30に直流負荷35の他に太陽電池などの直流電源が設けられている場合に、直流負荷35の消費電力が直流電源の発電電力よりも大きいときは、不足分に相当する交流電力が電力変換器20によって直流電力に変換されて直流回路30に供給される。逆に直流電源の発電電力が直流負荷35の消費電力よりも大きいときには、余剰の直流電力が電力変換器20によって交流電力に変換されて交流回路10に供給される。
【0026】
直流回路30の漏電を検出する漏電検出システムとして、図1の直流母線39のP相、N相の各電圧線と大地との間に付加コンデンサCsdがそれぞれ設けられる。付加コンデンサCsdによって、漏電時に交流零相電流を大地を介して環流させることができる。
【0027】
漏電検出システムとして、さらに、漏電検出装置Fdが直流回線31に設けられる。漏電検出装置Fdは、電力変換器20の変換動作によって生じた特定周波数の交流電流成分を検出する。具体的には、漏電検出装置Fdは、電力変換器20が全波整流回路として動作する場合のリップルに相当する第2調波電流または偶数調波電流を検出する。さらに、漏電検出装置Fdは、電力変換器20がPWM(パルス幅変調:Pulse Width Modulation)方式の電力変換器として動作する場合に生じるPWMのキャリア周波数の電流成分を検出する。
【0028】
漏電検出装置Fdは、変流器(CT:Current Transformer)43P,43Nと検出回路44とを含む。変流器43PはP相電圧線31Pに設けられ、変流器43NはN相電圧線31Nに設けられる。検出回路44は、変流器43P,43Nによって検出された交流電流に基づいて直流回路30での漏電の発生を検出する。たとえば、検出回路44は、変流器43Pによって検出された交流電流のうち第2調波電流成分の大きさが所定の基準値を超えたことによって、正極側の電圧線31Pの漏電を検知する。また、検出回路44は、変流器43Nによって検出された交流電流のうち第2調波電流成分の大きさが所定の基準値を超えたことによって、負極側の電圧線31Nの漏電を検知する。各相の変流器43P,43Nに代えて、零相変流器(ZCT:Zero-phase Current Transformer)を設けてもよい。ただし、零相変流器(ZCT)の場合には、正極側のP相電圧線で漏電が発生した場合と負極側のN相電圧線で漏電が発生した場合とを区別することができない。検出回路44の詳細な構成については、図4、図5を参照して後述する。
【0029】
図2は、図1の配電系統において漏電検出装置Fdの配置についてさらに説明するための図である。
【0030】
図2を参照して、直流回路30の配電線路29は、電力変換器20に接続された直流母線39と、直流母線39から分岐された直流回線31,33,38と、太陽電池などの直流電源36と、直流負荷35,37とを含む。直流電源36は直流回線33の末端に接続され、直流負荷35,37は直流回線31,38の末端にそれぞれ接続される。電力変換器20の交流回路10側の構成については図1と同じであるので同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0031】
図2に示すように、付加コンデンサCsdは、直流母線39の各相と大地との間に設けられる。漏電検出装置Fd1,Fd2,Fd3(総称する場合に、漏電検出装置Fdと称する)は、直流回線33,31,38にそれぞれ対応し、対応の直流回線上で直流母線39に近接した位置に設けられる。
【0032】
上記の配置によれば、各直流回線に設けられた漏電検出装置Fdによって、いずれの直流回線において漏電が生じているかを検出することができる。
【0033】
[直流回路の漏電検出原理]
表1は、地絡事故が生じていない健全時に、単相交流用の電力変換器20の変換動作によって交流回路側および直流回路側に生じる交流電圧(交流電流)の周波数についてまとめたものである。
【0034】
【表1】

【0035】
表1に示すように、電力変換器20の交流回路側には配電系統の基本波の成分と奇数調波の成分とが生じる。電力変換器20がPWM方式で電力変換を行なう場合には、基本波の成分とPWMのキャリア周波数の成分とが交流回路側に生じる。一方、電力変換器20の直流回路側には2n調波(nは1以上の整数)の成分が生じる。電力変換器20がPWM方式で電力変換を行なう場合には、PWMのキャリア周波数の成分が直流回路側に生じる。電力変換器20は双方向の電力変換を行なうので、交流電力を直流電力に変換する順変換の場合と、直流電力を交流電力に変換する逆変換の場合とがあり得るが、いずれの変換動作の場合にも交流回路側と直流回路側との両方に表1に示す周波数の交流電圧(交流電流)が生じる。
【0036】
直流回路側の地絡事故時には、直流回路側に生じる交流成分が事故電流として地絡事故点と付加コンデンサCsdとの間を大地を介して環流する。一方、交流回路側の地絡事故時には直流回路側に生じる交流成分による事故電流は流れない。実施の形態1の漏電検出装置Fdでは、直流回路側の事故時に特有の周波数の電流が流れるという上述の理由から、電力変換器の変換動作によって直流回路側に生じる交流電流を利用して直流回路の漏電の検出を行なう。すなわち、2n調波の電流成分またはPWMのキャリア周波数の電流成分を用いて直流回路の漏電検出が行なわれる。以下、漏電検出装置Fdで検出される交流電流についてさらに説明する。
【0037】
図3は、図1の直流回路30で地絡事故が生じた場合の零相回路を示す図である。図3では、直流回線31のP相電圧線31Pで地絡事故が生じた場合の零相回路が示される。以下では、P相電圧線31Pで地絡事故が生じた場合について説明するが、N相電圧線31Nで地絡事故が生じた場合も同様である。
【0038】
図1で説明したように、電力変換器20は、直流回路30側に2n調波(nは1以上の整数)の交流零相電圧(コモンモード電圧)V2nおよびPWMのキャリア周波数の交流零相電圧Vcを発生する。P相電圧線31Pの地絡事故時には、これらの交流零相電圧V2n,Vcによって生じた交流零相電流I2n,Icが、図1の直流母線39のP相電圧線39Pに設けられた付加コンデンサCsd、大地GND、地絡抵抗Rdg、直流回線31のP相電圧線31Pの順に環流する。
【0039】
図3の零相回路において、対地静電容量Cdを無視するものとすると、零相回路1相あたりの2n調波(nは1以上の整数)の交流零相電流I2nは、
I2n=V2n/Zsd2 …(1)
のように表わされる。ただし、
Zsd2=2×Rdg+j×1/(2n×ω×Csd) …(2)
である。上式において、虚数単位をjとし、付加コンデンサCsdの容量をCsdとし、電力系統1の基本波の角周波数をωとしている。PWMのキャリア周波数による交流零相電流Icは、上式(1)の交流零相電圧V2nに代えてVcを用い、上式(2)の2n×ωに代えてキャリア角周波数ωcを用いることによって得られる。
【0040】
交流零相電流I2n,Icは、漏電検出装置Fdに設けた変流器43Pまたは零相変流器によって検出することができる。これによって、地絡事故が生じた直流回線を判別することができる。
【0041】
漏電検出装置Fdによって2n調波の交流電流成分に対して十分な検出感度を得るためには、直流回線の地絡事故時に想定される地絡抵抗Rdg(たとえば、1〜5kΩ)に対して、付加コンデンサCsdによるインピーダンスの大きさが十分小さいこと(実際上、1桁程度異なること)が望ましい。すなわち、付加コンデンサCsdの容量値をCとすると、
2×Rdg>>1/(2n×ω×C) …(3)
の関係を満たすように設定することが望ましい。ただし、上式(3)において、記号「>>」は右辺が左辺に比べて十分に小さいことを表わす。
【0042】
[検出回路44の構成および動作]
図4は、検出回路44の詳細な構成の一例を示すブロック図である。図4では、P相側の変流器43Pによって交流電流を検出する部分の回路構成が示されているが、N相側の変流器43Nによる検出回路の構成や、変流器43P,43Nに代えて零相変流器を設けた場合の検出回路の構成も同様である。
【0043】
図4を参照して、検出回路44は、電流計71、増幅回路72、フィルタ回路73、整流回路74、比較器75、および参照電源76(参照電圧Vref)を含む。各構成要素の機能については、以下の検出回路44の動作説明の中で説明する。
【0044】
図5は、図4の検出回路44を用いた漏電検出手順を示すフローチャートである。
図4、図5を参照して、図5のステップS1で、変流器43Pと接続された電流計71によって、交流回線11を流れる交流電流が測定される。電流計71によって測定された交流電流信号は増幅回路72によって増幅される。
【0045】
次のステップS2で、フィルタ回路73は、増幅回路72によって増幅された交流電流信号のうち検出すべき特定周波数の信号成分のみを通過させる。この場合、フィルタ回路73は、電力系統の基本波に対する第2調波の信号成分を通過させるバンドパスフィルタとして構成されてもよいし、PWMのキャリア周波数の信号成分を通過させるバンドパスフィルタとして構成されてもよいし、これらを組合せたものであってもよい。あるいは、フィルタ回路73は、基本波よりも周波数の高い信号成分を通過させるハイパスフィルタとして構成されてもよい。
【0046】
次のステップS3で、フィルタ回路73を通過した信号成分は整流回路74によって整流される。これによって、フィルタ回路73を通過した電流信号成分の大きさが検出される。
【0047】
次のステップS4で、比較器75は、整流回路74から出力された直流信号が参照電圧Vrefを超えているか否かを判定する。整流回路74から出力された直流信号が参照電圧Vrefを超えた場合(ステップS4でYES)、比較器75はハイレベルの信号を出力する。すなわち、図1の直流回路30で漏電が生じたことが検出される(ステップS5)。この検出回路44の出力を受けて、図1のブレーカ32P,32Nがオフ状態になる。
【0048】
このように、図4の検出回路44は、2n調波またはキャリア周波数の交流電流成分の大きさが基準値を超えたことによって漏電を検知する。図4の比較器75の後段にさらにタイマ回路を設けて、比較器75がハイレベルの信号を出力する時間を測定するようにしてもよい。この場合、検出回路44は、特定の周波数の交流電流成分の大きさが所定の基準値を超えた状態が所定の時間継続したことによって漏電と判定する。
【0049】
検出回路44の構成は、図4の構成には限定されるものではない。たとえば、変流器43P,43Nで検出された交流信号に同期するパルス信号を生成して、生成したパルス信号の周期が基本波の周期の1/2であることによって第2調波であることを確認するようにしてもよい。この場合、変流器43Pまたは43Nで検出された交流信号の大きさが基準値を超え、かつ、生成したパルス信号の周期が基本波の周期の1/2である場合に直流回路30の漏電が検知される。
【0050】
<実施の形態2>
図6は、この発明の実施の形態2による漏電検出システムが適用される配電系統の構成図である。図6の漏電検出システムは、直流母線39の各相と大地との間に設けられた付加コンデンサCsdに代えて、交流母線19の各相と大地との間に付加コンデンサCsaが設けられる点で、図1の漏電検出システムと異なる。
【0051】
さらに、図7の漏電検出システムは、交流回線11に漏電検出装置Faが設けられる点で図1の漏電検出システムと異なる。漏電検出装置Faは、零相変流器41と検出回路42とを含み、好ましくは、電力変換器20の交流電力の受電点付近に設けられる。検出回路42として、たとえば、図4に示した構成を用いることができる。図7のその他の構成は、図1の場合と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0052】
図7は、図6の直流回路30のP相電圧線31Pで地絡事故が生じた場合の零相回路を示す図である。
【0053】
図6、図7を参照して、直流回線31のP相電圧線31Pで地絡事故が生じたとき、電力変換器20の変換動作によって生じた交流零相電流I2n,Icは、事故点と付加コンデンサCsaとの間を大地GNDを介して環流する。このときの交流回路10側の電流経路は電力変換器20の動作状態によって異なる。たとえば、スイッチング素子21a,21dがオン状態、スイッチング素子21b,21cがオフ状態のとき、交流零相電流I2n,Icは、直流母線39のP相電圧線39P、スイッチング素子21a、交流回線11のu相電圧線11u、交流母線19のu相電圧線19u、付加コンデンサCsa、大地GND、地絡抵抗Rdg、直流回線31のP相電圧線31Pの順に環流する。
【0054】
図7において、対地静電容量Caを無視するものとすると、2n調波(nは1以上の整数)の交流零相電流I2nは、
I2n=V2n/Zsa2 …(4)
と表わされる。ただし、
Zsa2=2×Rdg+j×1/(2n×ω×Csa) …(5)
である。上式では、虚数単位をjとし、付加コンデンサCsaの容量をCsaとし、電力系統1の基本波の角周波数をωとしている。PWMのキャリア周波数による交流零相電流Icは、上式(4)の交流零相電圧V2nに代えてVcを用い、上式(5)の2n×ωに代えてキャリア角周波数ωcを用いることによって得られる。
【0055】
交流零相電流I2n,Icは、直流回線31に設けた漏電検出装置Fdおよび交流回線11に設けた漏電検出装置Faのいずれによっても検出することができる。漏電検出装置Fdによってどの直流回線で漏電が生じているかを判定でき、漏電検出装置Faによって直流回路30全体での漏電の有無が判定できる。
【0056】
漏電検出装置Faにおいても、零相変流器41に代えて相ごとの変流器を設けることは可能である。しかしながら、交流回路10では、検出すべき特定の周波数の交流電流成分の振幅は各相の基本波の電流成分の振幅に比べてかなり小さいので、特定の交流電流成分のみを取り出すために高精度のフィルタが必要になる。
【0057】
<実施の形態3>
図8は、この発明の実施の形態3による漏電検出システムが適用される配電系統の構成図である。図8の漏電検出システムは、交流母線19の各相と大地との間に設けられた付加コンデンサCsaに代えて、変圧器2の2次側の中性点5nと大地との間に付加コンデンサC2nが設けられる点で、図6の漏電検出システムと異なる。図9のその他の構成は、図6の場合と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0058】
図9は、図8の直流回路30のP相電圧線31Pで地絡事故が生じた場合の零相回路を示す図である。
【0059】
図8、図9を参照して、直流回線31のP相電圧線31Pで地絡事故が生じたとき、電力変換器20の変換動作によって生じた交流零相電流I2n,Icは、事故点と付加コンデンサC2nとの間を大地GNDを介して環流する。たとえば、スイッチング素子21a,21dがオン状態、スイッチング素子21b,21cがオフ状態のとき、交流零相電流I2n,Icは、直流母線39のP相電圧線39P、スイッチング素子21a、交流回線11のu相電圧線11u、交流母線19のu相電圧線19u、変圧器2の中性点5n、付加コンデンサC2n、大地GND、地絡抵抗Rdg、直流回線31のP相電圧線31Pの順に環流する。
【0060】
図9の零相回路において、対地静電容量Caを無視するものとすると、2n調波(nは1以上の整数)の交流零相電流I2nは、
I2n=V2n/Z2n …(6)
と表わされる。ただし、
Z2n={Rdg+j×1/(2n×ω×C2n)}×2 …(7)
である。上式において、虚数単位をjとし、付加コンデンサC2nの容量をC2nとし、電力系統1の基本波の角周波数をωとしている。PWMのキャリア周波数による交流零相電流Icは、上式(6)の交流零相電圧V2nに代えてVcを用い、上式(7)の2n×ωに代えてキャリア角周波数ωcを用いることによって得られる。
【0061】
交流零相電流I2n,Icは、直流回線31に設けた漏電検出装置Fdおよび交流回線11に設けた漏電検出装置Faのいずれによっても検出することができる。
【0062】
<実施の形態4>
実施の形態1〜3では、非接地の単相交流回路10に電力変換器20を介して直流回路30が接続される場合を示したが、交流回路が三相の場合も同様の漏電検出システムを適用することができる。
【0063】
図10は、この発明の実施の形態4による漏電検出システムが適用される配電系統の構成図である。図10の配電系統は、非接地の三相交流回路110と、直流回路30と、三相交流回路110と直流回路とを接続する双方向の電力変換器120とを含む。三相交流回路110は、三相変圧器102を介して上位の電力系統101と接続される。三相変圧器102の2次側は非接地である。直流回路30の構成は実施の形態1〜3の場合と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0064】
交流回路110は、三相三線式の配電線路として、変圧器2の2次側に接続された交流母線と交流母線から分岐する複数の交流回線とを含む。図10には、配電線路として、変圧器102の2次側に接続された交流母線19(u相電圧線19u、v相電圧線19v、w相電圧線19w)と、交流母線19と電力変換器120とを接続する交流回線11(u相電圧線11u、v相電圧線11v、w相電圧線11w)とが図示されている。交流回線11の電圧線11u,11v,11wにはブレーカ12u、12v,12wがそれぞれ設けられる。交流回線11のu相、v相、w相の各電圧線は対地静電容量(浮遊容量)Caを有する。
【0065】
電力変換器120は、IGBTなどのスイッチング素子21a〜21fと、平滑用のリアクトル22と、平滑用のコンデンサ23とを含む。スイッチング素子21a〜21fによって三相ブリッジ回路が構成される。より詳しくは、スイッチング素子21a,21bはこの順で正極側のノード24Pと負極側のノード24Nとの間に接続され、スイッチング素子21a,21bの接続ノードにu相電圧線11uが接続される。スイッチング素子21c,21dはこの順で正極側のノード24Pと負極側のノード24Nとの間に接続され、スイッチング素子21c,21dの接続ノードにv相電圧線11vが接続される。スイッチング素子21e,21fはこの順で正極側のノード24Pと負極側のノード24Nとの間に接続され、スイッチング素子21e,21fの接続ノードにv相電圧線11vが接続される。平滑用のリアクトル22は正極側のノード24PとP相電圧線31P,33Pとの間に接続され、平滑用のコンデンサ23はリアクトル22と負極側のノード24Nとの間に接続される。
【0066】
電力変換器120は、各スイッチング素子のスイッチングのタイミングが制御部(図示省略)によって制御されることによって、双方向の電力変換器として動作する。すなわち、電力変換器120は、三相交流電力を直流電力に変換する場合には全波整流回路として動作し、直流電力を三相交流電力に変換する場合にはインバータ回路として動作する。
【0067】
直流回路30の漏電を検出する漏電検出システムとして、直流母線39のP相、N相の各電圧線と大地との間に付加コンデンサCsdがそれぞれ設けられるとともに、漏電検出装置Fdが直流回線31に設けられる。付加コンデンサCsdおよび漏電検出装置Fdについては実施の形態1の場合と同様であるので説明を繰返さない。
【0068】
表2は、三相交流用の電力変換器120の変換動作によって健全時に交流回路側および直流回路側に生じる交流電圧(交流電流)の周波数についてまとめたものである。
【0069】
【表2】

【0070】
表2に示すように、電力変換器120の交流回路側には配電系統の基本波の成分と奇数調波の成分とが生じる。ただし、三相交流回路の対称性のために奇数調波のうち3n調波(nは1以上の整数)の成分は生じない。電力変換器120がPWM方式で電力変換を行なう場合には、基本波の成分とPWMのキャリア周波数の成分とが交流回路側に生じる。一方、電力変換器120の直流回路側には3n調波(nは1以上の整数)の成分が生じる。3n調波の成分は、電力変換器120が三相全波整流回路として動作する場合のリップルに相当する成分である。電力変換器120がPWM方式で電力変換を行なう場合には、PWMのキャリア周波数の成分が直流回路側に生じる。電力変換器120は双方向の電力変換を行なうので順変換と逆変換とがあり得るが、いずれの変換動作の場合にも交流回路側と直流回路側との両方に表2に示す周波数の交流電圧(交流電流)が生じる。
【0071】
直流回路側の地絡事故時には、直流回路側に生じる交流成分が事故電流として地絡事故点と付加コンデンサCsdとの間を大地を介して環流する。一方、交流回路側の地絡事故時には直流回路側に生じる交流成分による事故電流は流れない。実施の形態4の漏電検出装置Fdでは、直流回路側の事故時に特有の周波数の電流が流れるという上述の理由から、電力変換器の変換動作によって直流回路側に生じる交流電流を利用して直流回路の漏電の検出を行なう。すなわち、3n調波の交流零相電圧V3nまたはPWMのキャリア周波数の交流零相電圧Vcによって生じた交流零相電流I3nまたはIcを利用して直流回路の漏電検出を行なう。
【0072】
具体的に図10のP相電圧線31Pの地絡事故時には、直流母線39のP相電圧線39P、付加コンデンサCsd、大地GND、地絡抵抗Rdg、直流回線31のP相電圧線31Pの順に環流する。したがって、漏電検出装置Fdに設けた変流器43Pまたは零相変流器によって交流零相電流I3n,Icを検出することによって、地絡事故が生じた直流回線を判別することができる。
【0073】
P相電圧線31Pの地絡事故時における零相回路は、図3において、2n調波の交流零相電圧V2nを、3n調波の交流零相電圧V3nに置換えたものである。対地静電容量Cdを無視するものとすると、3n調波(nは1以上の整数)の交流零相電流I3nは、
I3n=V3n/Zsd3 …(8)
のように表わされる。ただし、
Zsd3=2×Rdg+j×1/(3n×ω×Csd) …(9)
である。上式では、虚数単位をjとし、付加コンデンサCsdの容量をCsdとし、電力系統1の基本波の角周波数をωとしている。PWMのキャリア周波数による交流零相電流は、上式(8)の交流零相電圧V3nに代えてVcを用い、上式(9)の3n×ωに代えてキャリア角周波数ωcを用いることによって得られる。
【0074】
<実施の形態5>
図11は、この発明の実施の形態5による漏電検出システムが適用される配電系統の構成図である。図11の漏電検出システムは、直流母線39の各相と大地との間に設けられた付加コンデンサCsdに代えて、交流母線19の各相と大地との間に付加コンデンサCsaが設けられる点で、図10の漏電検出システムと異なる。さらに、図11の漏電検出システムは、交流回線11に設けられた漏電検出装置Faを含む点で図1の漏電検出システムと異なる。漏電検出装置Faの構成は実施の形態2の場合と同じである。
【0075】
直流回線31のP相電圧線31Pで地絡事故が生じたとき、電力変換器20の変換動作によって生じた交流零相電流I3n,Icは、事故点と付加コンデンサCsaとの間を大地GNDを介して環流する。たとえば、スイッチング素子21a,21dがオン状態、その他のスイッチング素子21b,21c,21e,21fがオフ状態のとき、交流零相電流I3n,Icは、直流母線39のP相電圧線39P、スイッチング素子21a、交流回線11のu相電圧線11u、交流母線19のu相電圧線19u、付加コンデンサCsa、大地GND、地絡抵抗Rdg、直流回線31のP相電圧線31Pの順に環流する。
【0076】
P相電圧線31Pの地絡事故時の零相回路は、図7において、2n調波の交流零相電圧V2nを3n調波の交流零相電圧V3nに置換え、地絡抵抗2×Rdgを3×Rdgに置換えたものである。対地静電容量Caを無視するものとすると、3n調波(nは1以上の整数)の交流零相電流I3nは、
I3n=V3n/Zsa3 …(10)
と表わされる。ただし、
Zsa3=3×Rdg+j×1/(3n×ω×Csa) …(11)
である。上式において、虚数単位をjとし、付加コンデンサCsaの容量をCsaとし、電力系統1の基本波の角周波数をωとしている。PWMのキャリア周波数による交流零相電流Icは、上式(10)の交流零相電圧V3nに代えてVcを用い、上式(11)の3n×ωに代えてキャリア角周波数ωcを用いることによって得られる。交流零相電流I3n,Icは、直流回線31に設けた漏電検出装置Fdおよび交流回線11に設けた漏電検出装置Faのいずれによっても検出することができる。
【0077】
<実施の形態6>
図12は、この発明の実施の形態6による漏電検出システムが適用される配電系統の構成図である。図12の漏電検出システムは、交流母線19の各相と大地との間に設けられた付加コンデンサCsaに代えて、変圧器102の2次側の中性点105nと大地とのに付加コンデンサC3nが設けられる点で、図11の漏電検出システムと異なる。図12のその他の構成は、図11の場合と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0078】
直流回線31のP相電圧線31Pで地絡事故が生じたとき、電力変換器20の変換動作によって生じた交流零相電流I3n,Icは、事故点と付加コンデンサC3nとの間を大地GNDを介して環流する。たとえば、スイッチング素子21a,21dがオン状態、その他のスイッチング素子21b,21c,21e,21fがオフ状態のとき、交流零相電流I3n,Icは、直流母線39のP相電圧線39P、スイッチング素子21a、交流回線11のu相電圧線11u、交流母線19のu相電圧線19u、変圧器102の中性点105n、付加コンデンサC3n、大地GND、地絡抵抗Rdg、直流回線31のP相電圧線31Pの順に環流する。
【0079】
P相電圧線31Pの地絡事故時の零相回路は、図9において、2n調波の交流零相電圧V2nを、3n調波の交流零相電圧V3nに置換え、付加コンデンサ(1/2)×C2nを(1/3)×C3nに置換え、地絡抵抗2×Rdgを3×Rdgに置換えたものである。対地静電容量Caを無視するものとすると、3n調波(nは1以上の整数)の交流零相電流I3nは、
I3n=V3n/Z3n …(12)
と表わされる。ただし、
Z3n={Rdg+j×1/(3n×ω×C3n)}×3 …(13)
である。上式において、虚数単位をjとし、付加コンデンサC3nの容量をC3nとし、電力系統1の基本波の角周波数をωとしている。PWMのキャリア周波数による交流零相電流Icは、上式(12)の交流零相電圧V3nに代えてVcを用い、上式(13)の3n×ωに代えてキャリア角周波数ωcを用いることによって得られる。交流零相電流I3n,Icは、直流回線31に設けた漏電検出装置Fdおよび交流回線11に設けた漏電検出装置Faのいずれによって検出することができる。
【0080】
上記の各実施の形態では、付加コンデンサは、直流母線39の各相と大地との間、交流母線19の各相と大地との間、および変圧器2,102の2次側の中性点と大地との間のいずれかに設置されていたが、これらを組合わせてもよい。この場合、漏電検出装置は付加コンデンサと地絡事故点との間を大地を介して循環する交流零相電流を検出するものであるので、付加コンデンサの接地箇所と想定される地絡事故点との間の電流経路に漏電検出装置を設置する必要がある。
【0081】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
1,101 電力系統、2,102 変圧器、5n,105n 中性点、10 単相交流回路、11 交流回線、11n,19n 中性線、11u,19u u相電圧線、11v,19v v相電圧線、11w,19w w相電圧線、31P,39P P相電圧線、31N,39N N相電圧線、19 交流母線、20,120 電力変換器、30 直流回路、31,33,38 直流回線、39 直流母線、41 零相変流器、42,44 検出回路、43N,43P 変流器、110 三相交流回路、C2n,C3n,Csa,Csd 付加コンデンサ、Ca,Cd 対地静電容量、Fa,Fd 漏電検出装置、GND 大地、I2n,I3n,Ic 交流零相電流、Rdg 地絡抵抗、V2n,V3n,Vc 交流零相電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接地の交流回路に電力変換器を介して接続された非接地の直流回路の漏電検出システムであって、
前記交流回路は、2次側が非接地の変圧器を介して上位の電力系統と接続され、
前記漏電検出システムは、
前記直流回路の配電線路の各相と大地との間、または前記交流回路の配電線路の各相と大地との間、または前記変圧器の2次側の中性点と大地との間に設けられたコンデンサと、
前記コンデンサの設置箇所と前記直流回路の想定される地絡事故点との間の電流経路に設けられた漏電検出装置とを備え、
前記漏電検出装置は、
前記電流経路を流れる交流電流を検出する交流電流センサと、
前記交流電流センサによって検出された交流電流のうち、前記電力変換器の変換動作によって前記直流回路側に生じる交流電圧の周波数と同じ周波数の電流成分に基づいて前記直流回路の漏電の有無を判定する判定部とを含む、直流回路の漏電検出システム。
【請求項2】
前記交流回路は単相回路であり、
前記電流成分は、前記電力系統の基本波に対する2n調波(nは1以上の整数)の電流である、請求項1に記載の直流回路の漏電検出システム。
【請求項3】
前記交流回路は三相回路であり、
前記電流成分は、前記電力系統の基本波に対する3n調波(nは1以上の整数)の電流である、請求項1に記載の直流回路の漏電検出システム。
【請求項4】
前記電力変換器は、パルス幅変調方式によって電力変換を行ない、
前記電流成分は、前記パルス幅変調に用いる搬送波の周波数を有する、請求項1に記載の直流回路の漏電検出システム。
【請求項5】
前記直流回路の配電線路は、
前記電力変換器に接続された直流母線と、
前記直流母線から分岐された複数の直流回線とを含み、
前記漏電検出装置は、前記複数の直流回線の各々に設けられ、
前記コンデンサは、前記直流母線の各相と大地との間に設けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の直流回路の漏電検出システム。
【請求項6】
前記直流回路の配電線路は、
前記電力変換器に接続された直流母線と、
前記直流母線から分岐された複数の直流回線とを含み、
前記漏電検出装置は、前記複数の直流回線の各々に設けられ、
前記交流回路の配電線路は、
前記変圧器の2次側に接続された交流母線と、
前記交流母線と前記電力変換器とを接続する交流回線とを含み、
前記コンデンサは、前記変圧器の2次側の中性点と大地との間または前記交流母線の各相と大地との間に設けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の直流回路の漏電検出システム。
【請求項7】
前記交流電流センサは、対応の直流回線に設けられた零相変流器または対応の直流回線の各相に設けられた変流器である、請求項5または6に記載の直流回路の漏電検出システム。
【請求項8】
前記交流回路の配電線路は、
前記変圧器に接続された交流母線と、
前記交流母線と前記電力変換器とを接続する交流回線とを含み、
前記漏電検出装置は、前記交流回線に設けられ、
前記コンデンサは、前記変圧器の2次側の中性点と大地との間または前記交流母線の各相と大地との間に設けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の直流回路の漏電検出システム。
【請求項9】
前記交流電流センサは、前記交流回線に設けられた零相変流器である、請求項8に記載の直流回路の漏電検出システム。
【請求項10】
前記判定部は、前記電流成分の大きさが所定の基準値を超えた場合に漏電と判定する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の直流回路の漏電検出システム。
【請求項11】
前記判定部は、前記電流成分の大きさが所定の基準値を超えた状態が所定の時間継続した場合に漏電と判定する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の直流回路の漏電検出システム。
【請求項12】
非接地の交流回路に電力変換器を介して接続された非接地の直流回路の漏電検出方法であって、
前記交流回路は、2次側が非接地の変圧器を介して上位の電力系統と接続され、
前記直流回路の配電線路の各相と大地との間、または前記交流回路の配電線路の各相と大地との間、または前記変圧器の2次側の中性点と大地との間にコンデンサを設置するステップと、
前記コンデンサの設置箇所と前記直流回路の想定される地絡事故点との間の電流経路における交流電流を検出するステップと、
前記検出された交流電流のうち、前記電力変換器の変換動作によって前記直流回路側に生じる交流電圧の周波数と同じ周波数の電流成分に基づいて前記直流回路の漏電の有無を判定するステップとを備えた直流回路の漏電検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−196810(P2011−196810A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63526(P2010−63526)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000214560)長谷川電機工業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】