説明

相乗作用的な薬学的組成物

本発明は、作用物質としてイソフラボンもしくはイソフラボン配糖体又は該イソフラボンもしくはイソフラボン配糖体の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物を含有する薬学的組成物、並びにこのような薬学的組成物を使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はとりわけ、金属イオン及び/又はイソフラボンもしくはイソフラボン配糖体及びペプチドもしくはペプチド誘導体からの作用物質の組合せを含む薬学的組成物並びにこのような薬学的組成物を使用する方法に関する。さらに本発明は、哺乳動物における作用物質のアベイラビリティー(Verfuegbarkeit)を改善するために、2〜5のアミノ酸長を有する選択されたペプチドを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ときおりイソフラボノイドとも呼ばれるイソフラボンは、イソフラボンから派生したたいてい黄色に着色した植物色素の群を形成する。本発明の範囲内ではイソフラボンにはその配糖体も含められる。公知のイソフラボンに数えられるのは、特にイソフラボン、ダイゼイン、ゲニステイン、プルネチン、バイオチャニンA(Biochanin A)、オロボール、サンタル(Santal)、グリシテイン、プラテンセイン(Pratensein)、フォルモノネチン、ゲニスチン、6”-O-マロニルゲニスチン、6”-O-アセチルゲニスチン、ダイズイン、6”-O-マロニルダイズイン、6”-O-アセチルダイズイン、グリシチン、オノニン及びシスソトリン並びにさらにゲニスチン、ダイズイン、6”-O-マロニルグリシチン及び6”-O-アセチルグリシチンである。ゲニステインのマロニルグルコシドは大豆豆におけるイソフラボンの大部分を成す。発酵したダイズ製品の場合には上記イソフラボンは主にそれら各々のアグリコン型ゲニステイン、ダイゼイン及びグリシテインの形で存在する。
【0003】
いくつかのイソフラボンについてはそれらが例えば牧畜動物(Weidetiere)においてエストロゲン作用を示すことが知られている。いくつかのイソフラボンについてはそれらがヒトもしくは他の哺乳動物において抗酸化作用を有することが推測されるが、このような作用の証明はこれまで成功していない。同じく、イソフラボンが抗発癌性、抗アテローム発生性、抗骨粗鬆症及び/又は脂質低下作用を有するのかどうかあるいは場合によってはどのイソフラボンがそうであるかが議論されている。しかしながら、上記イソフラボンに帰せられるこれら作用を、場合によっては常用の薬学的な担体及び助剤との、純粋な該イソフラボンの投与によって再現することはこれまで多くの場合に不可能であった。例えば特に、高い投与量及びヒトの標的細胞における高濃度ゲニステインの検出にもかかわらず、ゲニステインの抗酸化作用を達成することは成功しなかった。
【0004】
しかしながら、類似の問題が他の薬学的作用の場合にも生じる。特に、特定の状況下、特に疾患時には、鉄は哺乳動物によって食物から十分には吸収されず、そして該哺乳動物、とりわけヒトにとって利用可能にはならないことが知られている。従来の鉄剤の場合には、そのうえ多くの場合に部分的に重い副作用が発生し、特に胃腸の副作用が報告されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の課題は、上記の欠点を取り除くかあるいはそれら欠点を少なくとも軽減することであった。殊に、哺乳動物への鉄及び/又はイソフラボンの作用を補助することができるかあるいはそれどころか最初からその作用を示すことができる組成物が提供されることが好ましい。可能なかぎり鉄及び/又はイソフラボンのさらなる治療的な使用分野も開拓されることが好ましい。本発明のさらなる課題は、哺乳動物における薬学的作用物質のアベイラビリティーを改善する組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明によれば、次の成分:
− 少なくとも1種のイソフラボンもしくはイソフラボン配糖体及び/又はその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物、および
− アミノ酸2〜5個を有する少なくとも1種のペプチドもしくはペプチド誘導体及び/又はその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物(少なくとも2つのアミノ酸がpH=7で負に帯電している側鎖を有する)、
を含む作用物質の組合せを含む薬学的組成物が提供される。
【0007】
有利な実施態様において、イソフラボンもしくはイソフラボン配糖体は、一般式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
で表される物質であって、式中、基R1、R2、R3、R4、R5及びR6がそれぞれ相互に無関係に以下:水素、ヒドロキシ、メトキシ又は配糖体(Glc):
【0010】
【化2】

【0011】
を意味することができ、式中、RがR1、R2、R3、R4、R5及びR6と無関係に水素、アセチル及びマロニルから成る群から選択される、
上記物質、及び/又はこのような物質の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物である。
【0012】
特に好ましいのは、作用物質がイソフラボン、ダイゼイン、ゲニステイン、プルネチン、バイオチャニンA、オロボール、サンタル、グリシテイン、プラテンセイン、フォルモノネチン、ゲニスチン、6”-O-マロニルゲニスチン、6”-O-アセチルゲニスチン、ダイズイン、6”-O-マロニルダイズイン、6”-O-アセチルダイズイン、グリシチン、オノニン、シスソトリン、およびこれらの作用物質のうちの2種以上の混合物から成る群から選択される、本発明による薬学的組成物である。
【0013】
【表1】

【0014】
別の好ましい実施態様において、イソフラボンは、置換されていないかあるいは全てもしくは部分的に、酢酸、マロン酸、ケイ皮酸、クマル酸、コーヒー酸、フェルラ酸で部分的にアシル化された単糖を包含する単糖、又は酢酸、マロン酸、ケイ皮酸、クマル酸、コーヒー酸、フェルラ酸で部分的にアシル化された二糖を包含する二糖、メチル又はスルフェートによって置換されているOH基2〜4個を有する。
【0015】
別の好ましい実施態様において、イソフラボンもしくはイソフラボン配糖体は、イソフラボン、ダイゼイン、ゲニステイン、プルネチン、バイオチャニンA、オロボール、サンタル、グリシテイン、プラテンセイン、フォルモノネチン、ゲニスチン、6”-O-マロニルゲニスチン、6”-O-アセチルゲニスチン、ダイズイン、6”-O-マロニルダイズイン、6”-O-アセチルダイズイン、グリシチン、オノニン及びシスソトリンから成る群から選択される。
【0016】
特に好ましい実施態様において、イソフラボンはゲニステイン、ゲニスチン、ダイゼイン及び/又はダイズインであり、この場合、ゲニステインが好ましい。 別の特に好ましい実施態様において、イソフラボンはゲニステインであり、ペプチドもしくはペプチド誘導体は配列EEを有し、この場合、E=グルタミン酸である。
【0017】
本発明にはさらに、人体又は他の哺乳動物の生体の医学的適応症の治療及び/又は予防のための薬学的組成物の製造に、上記イソフラボンもしくはイソフラボン誘導体を含有する作用物質の組合せを使用する方法が含まれる。
【0018】
好ましい医学的適応症にはこの場合には心血管疾患、血小板凝集の亢進に関連する疾患、代謝性疾患又は癌疾患が含まれる。特に好ましい医学的適応症には高血圧(Hypertonie)、高コレステロール血症、心筋梗塞、動脈硬化性血管障害、卒中発作、血小板凝集の亢進によって引き起こされる疾患、糖尿病、高ホモシステイン血症(Hyperhomocysteinaemie)、悪性腫瘍、及び/又は骨粗鬆症が含まれる。
【0019】
本発明はさらに、次の成分:
− 少なくとも1種の無機塩、好ましくは鉄塩、および
− アミノ酸2〜5個を有する少なくとも1種のペプチドもしくはペプチド誘導体及び/又はその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物(少なくとも2つのアミノ酸がpH=7で負に帯電している側鎖を有する)、
を含む作用物質の組合せを含む薬学的組成物に関する。
【0020】
本発明にはさらに、人体又は他の哺乳動物の生体の医学的適応症の治療及び/又は予防のための薬学的組成物の製造に、上記無機塩を含有する作用物質の組合せを使用する方法に関する。
【0021】
この場合に、好ましい医学的適応症には、各無機塩の不足及び/又は消費増大に伴う疾患、並びに、例えば胃/腸出血による疾患性もしくは非疾患性の失血が含まれる。
【0022】
さらに本発明には、薬学的組成物中の作用物質の哺乳動物におけるアベイラビリティーを改善するための該薬学的組成物への添加物として、少なくとも1種のペプチドもしくはペプチド誘導体及び/又はその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物を含む組成物であって、
− その際少なくとも1種のペプチドはアミノ酸2〜5個を有し、
− その際少なくとも2つのアミノ酸はpH=7で負に帯電している側鎖を有する、
上記組成物を使用する方法が含まれる。
【0023】
好ましい実施態様において、ペプチドもしくはペプチド誘導体はアミノ酸3〜5個を有し、その際、少なくとも3つのアミノ酸はpH=7で負に帯電している側鎖を有する。
【0024】
好ましい実施態様において、ペプチドもしくはペプチド誘導体は、配列DD、EE、DE、ED(この場合D=アスパラギン酸及びE=グルタミン酸である)を有するペプチドの群から選択されたジペプチドである。このように短いペプチド及びその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物が、殊にゲニスチン、ダイゼイン及びダイズインとの組合せで、特に著しい相乗的作用を意外にも示すことが証明された。上記ジペプチドのうちでグルタミン酸ジペプチド(配列EEのペプチド)が特に好ましい。グルタミン酸ジペプチドを用いると、ゲニステインの血小板凝集抑制作用の特に際立った向上をインビトロで、そしてヒトにおけるインビボで観察することができた;同様にグルタミン酸ジペプチドを用いると、ヒトにとっての鉄のアベイラビリティーを改善することができた。従って、作用物質として鉄及び/又はゲニステイン、ゲニスチン、6”-O-マロニルゲニスチン及び/又は6”-O-アセチルゲニスチン並びにグルタミン酸ジペプチドを含有し、その際、他の作用物質の量及び/又はグルタミン酸ジペプチドの量がそれぞれ単独では治療的に有効でないか又は有効性が不十分であるが、しかしながら、他の作用物質とグルタミン酸ジペプチドの全体量が治療的に有効である本発明の薬学的組成物が、特に好ましい。
【0025】
別の好ましい実施態様において、ペプチドもしくはペプチド誘導体は配列
DDDDD、DDDDE、DDDED、DDDEE、DDEDD、DDEDE、DDEED、DDEEE、DEDDD、DEDDE、DEDED、DEDEE、DEEDD、DEEDE、DEEED、DEEEE、EDDDD、EDDDE、EDDED、EDDEE、EDEDD、EDEDE、EDEED、EDEEE、EEDDD、EEDDE、EEDED、EEDEE、EEEDD、EEEDE、EEEED、EEEEE、
DDDD、DDDE、DDED、DDEE、DEDD、DEDE、DEED、DEEE、EDDD、EDDE、EDED、EDEE、EEDD、EEDE、EEED、EEEE、
DDD、DDE、DED、DEE、EDD、EDE、EED、EEE
(D=アスパラギン酸及びE=グルタミン酸である);
を有するペプチドの群から選択される。
【0026】
本発明にはさらに、血小板凝集を軽減するための上記組成物を、食品添加物として、発酵槽又はバイオリアクター中の細胞を保護するための添加剤として、動物用飼料として、農薬として使用する方法が含まれる。
【0027】
さらに本発明には、以下の段階:
a)イソフラボン、ダイゼイン、ゲニステイン、プルネチン、バイオチャニンA、オロボール、サンタル、グリシテイン、プラテンセイン、フォルモノネチン、ゲニスチン、6”-O-マロニルゲニスチン、6”-O-アセチルゲニスチン、ダイズイン、6”-O-マロニルダイズイン、6”-O-アセチルダイズイン、グリシチン、オノニン及びシスソトリンから成る群から選択される作用物質及び/又は該作用物質の薬学的に許容可能な溶媒和化合物もしくは塩を用意すること、
b)2〜5アミノ酸長を有するペプチドもしくはペプチド誘導体及び/又は該ペプチドの溶媒和化合物もしくは塩(少なくとも2つのアミノ酸がpH=7で負に帯電している側鎖を有する)を用意すること、
c)作用物質及び/又はその溶媒和化合物もしくは塩をペプチドもしくはペプチド誘導体及び/又はその溶媒和化合物もしくは塩と、そして薬学的に許容可能な担体と混合すること、
を含む、殊に血小板凝集を抑制するための医薬品を製造する方法が含まれる。
【0028】
本発明の出発点は、2、3、4又は5個のアミノ酸の長さを有し、それらのうち少なくとも2つのアミノ酸がpH=7で負に帯電している側鎖を有する短いペプチドが、作用物質並びに殊に鉄及びイソフラボン及びイソフラボン配糖体のアベイラビリティーを改善する、という驚くべき観察結果にある。殊に、本発明の薬学的組成物は、薬学的な作用物質の従来公知の作用を、2〜5アミノ酸長を有し上記ペプチドを含まない対応の薬学的組成物を用いた場合に比して、治療される哺乳動物(殊にヒト)へのより少ない作用物質服用量で達成することを可能にする。従って、本発明による薬学的組成物を用いることにより始めて、場合によってはそれ自体は公知である作用物質のこれまで知られていないかもしくは統計的に証明できなかった薬学的な作用を達成することも可能になった。特に、上記ペプチドは、鉄及び/又はイソフラボンの公知でこれまで推測されてきた作用をそれぞれ純粋な鉄ないしはイソフラボンより有利に増大させるために、鉄及び/又はイソフラボンと相乗的に共同して作用することができる。この場合には、該組成物が、該組成物が治療すべき哺乳動物へ投与された場合に薬学的に有効な量で作用物質を含有することが重要であり、その際、先に述べたとおり、この薬学的に有効な量は、上記ペプチドの存在によって、ペプチド不含の対応する薬学的組成物の場合より少なくすることができる。
【0029】
本発明によれば作用物質とは、哺乳動物、殊にヒトへの投与により、治療される哺乳動物の生理学的状態の薬学的に所望される変化を惹起することができる物質のことと理解される。作用物質とは殊に医薬品の薬学的に有効な物質のことと理解される。さらに本発明の範囲内で物質がその単数形で示される場合には、他に断りのない限り、それは複数の対応する物質の混合物のことも意図するものである。従って本発明は、作用物質が2種またはそれ以上の物質の混合物であり、及び/又はペプチドが2種またはそれ以上のペプチドの混合物である薬学的組成物にも関する。さらに本発明によれば、作用物質及びペプチドにはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物もそれぞれ含まれる。
【0030】
本発明の範囲内では、ペプチドという用語には、20個の遺伝暗号化されたアミノ酸からも、人工的に産するアルファ−、ベータ−及びガンマ−アミノ酸からも成ることができる線状のもしくは枝分かれしたペプチドが含まれる。ペプチド誘導体とは、本発明の範囲内では、主鎖及び/又は側鎖において少なくとも1つの線状の、環状の、もしくは枝分かれした、ハロゲン−もしくはヒドロキシ−もしくはアミン置換されているか又は置換されていない、飽和もしくは脂肪族のアルキル基、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アルコキシ基、アシル基もしくはアリール基によって修飾されており、その際、該基が1〜20個の炭素原子を有するペプチドのことと理解される。
【0031】
今のところ、本発明によれば、使用されるペプチドが細胞膜を通しての作用物質、殊に鉄及びイソフラボンの輸送を可能にし、従って哺乳動物の標的細胞における作用物質、殊にゲニステインのアベイラビリティーを高めると推測される。しかしながら、本発明はこの作用を達成することに限定はされない。
【0032】
作用物質及びペプチドによって達成される薬学的ないしは治療的な作用は、作用物質がイソフラボン又はイソフラボン配糖体である場合には殊に抗酸化剤の作用である。本発明による薬学的組成物によって始めて、イソフラボンのこれまで推測されてきたか又は高濃度でのみ示されてきた抗酸化作用が、治療される哺乳動物、殊にヒトの標的細胞において薬学的に許容可能な濃度の作用物質を用いて達成することが可能になる。従って、本発明による薬学的組成物によって始めて、イソフラボン及びイソフラボン配糖体のこれまで推測されていたにすぎない有益な作用を再現可能に達成できる手段が提供される。従って、イソフラボン、イソフラボン配糖体及びその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物を初めて、正確に知られ、均一で再現可能な状態で薬学的組成物に使用することができる。
【0033】
作用物質の量及び/又はペプチドの量が薬学的ないしは治療的な作用を達成するのにそれぞれ単独では不十分である場合が殊に有利である。
【0034】
哺乳動物、殊にヒトにおける過酸化水素のアベイラビリティーを減少させるための、前記種類のうちの1つの本発明組成物が特に好ましい。作用物質としてこの組成物は有利にはイソフラボン及び/又はイソフラボン配糖体を含有する。過酸化水素は、哺乳動物、殊にヒトの数多くの疾患の発生を惹起もしくは少なくとも促進する因子である。従来のイソフラボン組成物を用いた場合には、特にヒトの場合に、過酸化水素のアベイラビリティーを減少させ、そしてその疾患促進もしくは疾患惹起作用を除去することはできない。殊に、特にイソフラボン及びイソフラボン配糖体ゲニステイン、ダイゼイン、ゲニスチン及び/又はダイズインの投与によって、ヒト又は他の哺乳動物の体細胞中の過酸化水素のアベイラビリティーを生理学的に有効に再現可能なように減少させることはこれまで不可能であった。本発明による薬学的組成物により、ここに初めてその救済策が講じられた。
【0035】
さらに、血小板凝集の抑制、高血圧、高コレステロール血症、高ホモシステイン血症、糖尿病、心筋梗塞、卒中発作、動脈硬化性血管障害、悪性腫瘍及び骨粗鬆症の予防及び/又は治療に適合させた前記種類のうちの1つの本発明組成物が好ましく、また、作用物質としてのイソフラボン及び/又はイソフラボン配糖体が定められていることが好適である。
【0036】
好ましくは、本発明の薬学的組成物における作用物質およびペプチドは、哺乳動物、殊にヒトへ投与した場合に血小板凝集の抑制を引き起こすのに十分な量で存在する(しかし、それぞれ個々の作用物質またはペプチドは十分な量ではない)。このような作用は、特に、場合により慣用の薬学的な助剤及び担体を伴ってダイゼイン、ダイズイン、ゲニステイン及び/又はゲニスチンを投与した場合には、単独もしくは複数の上記作用物質を生理学的に許容可能な量で使用しても、再現性をもって得ることはできない。従って、本発明の薬学的組成物は、好ましくは、従来のアセチルサリチル酸−及び/又はクロピドグレル含有の薬学的組成物の代替物として好適である。本発明の薬学的組成物によって、アセチルサリチル酸−及び/又はクロピドグレルを基礎とする作用物質を含有する従来の薬学的組成物の公知の副作用なしに所望の治療効果を達成すること、殊に治療されるヒト又は他の哺乳動物の血液中の血小板凝集を抑制することが可能になる。
【0037】
上記物質、殊にゲニステインを用いて、哺乳動物、例えばヒトにおける血小板凝集の抑制に特に好適である本発明薬学的組成物を製造することができる。このような本発明組成物を用いることにより、殊に従来のアセチルサリチル酸−及び/又はクロピドグレルを基礎とする血小板凝集抑制剤の使用に関連して生じる望ましくない副作用並びに治療の失敗(Therapieversagen)を回避もしくは少なくとも軽減することができる。
【0038】
治療作用は、殊に抗酸化作用、特に哺乳動物における過酸化水素のアベイラビリティーの低下および特に好ましくは血小板凝集の抑制を含むか、またはこれらからなることができる。
【0039】
本発明による薬学的製剤は好ましくは経口的もしくは非経口的な適用向けである。そのために本発明による薬学的組成物は殊に錠剤、糖衣錠、シロップ剤(Saft)及びその他の液剤の形であることができる。本発明による薬学的組成物は好ましくは次の薬学的に許容可能な担体及び助剤を含有することができる:水及びグルコース。別の適当な助剤及び担体は、当業者であれば「Fiedler, H.P.著、“LexikonderHilfsstoffefuerPharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete”、第4版、(Aulendorf)ECV-Editio-Kantor-Verlag刊、1996年」から知ることができる。
【0040】
好ましくは、本発明による組成物は固体もしくは液体の剤形、殊に散剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、特にフィルム錠剤(Filmtabletten)、トローチ剤、サッシェ剤(Sachets)、カシェ剤(Cachets)、糖衣錠、カプセル剤、軟膏剤、クリーム剤、ヒドロゲル剤(Hydrogele)、パスタ剤(Pasten)、硬膏剤(Pflaster)、液剤、特に水中油型の乳剤、懸濁剤、例えばローション剤、注射−及び輸液製剤として調製される。
【0041】
製剤の種類に応じて本発明による薬学的製剤は上記作用物質及び上記ペプチドを場合によっては特別に選択された量で含有する。通常、本発明による製剤は、これまでも公知であって場合によっては製剤に依存する量で鉄を含有する。本発明による薬学的組成物がイソフラボン及び/又はイソフラボン配糖体を作用物質として含有する場合には、その量は1投与単位あたり(例えば1錠あたり)少なくとも1mgであり、好ましくは1投与単位あたり500mgまでである。特に有利な本発明組成物は全体で1投与単位あたり、特に1錠あたり、イソフラボン及び/又はイソフラボン配糖体10mg〜500mgを含有し、この場合、100mg〜500mgの量が錠剤の形での投与には好ましい。非経口的に使用すべき液剤の投与の場合には、イソフラボン−及び/又はイソフラボン配糖体作用物質の濃度は、少なくとも0.1mg/mlであり、好ましくは100mg/mlまでであり、特に好ましくは10〜50mg/mlである。
【0042】
1種もしくは複数種のペプチドは、好ましくは他の作用物質の全体量に対する全量比(ペプチド/他の作用物質 mol/mol)1:2〜10:1で存在し、好ましくは該全量比(ペプチド/他の作用物質 mol/mol)は3:1〜5:1である。
【0043】
本発明によればさらに、2〜5アミノ酸長を有するペプチド又はペプチドの薬学的に許容可能な溶媒和化合物もしくは塩を使用する方法が教示され、その際、哺乳動物における作用物質のアベイラビリティーを改善するために、血小板凝集を抑制するための医薬品を製造するために、高血圧、高コレステロール血症、高ホモシステイン血症、糖尿病、心筋梗塞、卒中発作、動脈硬化性血管障害、悪性腫瘍及び/又は骨粗鬆症を予防及び/又は治療するために、少なくとも2つのアミノ酸がpH7で負に帯電している側鎖を有する。好ましくは、ペプチドないしはペプチド混合物は、高血圧、高コレステロール血症、高ホモシステイン血症、糖尿病、心筋梗塞、卒中発作、動脈硬化性血管障害、悪性腫瘍及び/又は骨粗鬆症の予防及び/又は治療のための医薬品を製造するために、イソフラボン及び/又はイソフラボン配糖体あるいはこれら物質の混合物とともに使用される。このような使用によって、本発明薬学的組成物の上記利点、殊に先にそれぞれ詳説された該組成物の好ましい実施態様における利点を簡単に利用することができる。
【0044】
このような場合に、医薬品における作用物質の量及び/又はペプチドの量がそれぞれ単独では治療上有効ではないが、作用物質およびペプチドの全体量が治療上有効である使用方法が特に有利である。従って、ペプチドもしくはその薬学的に許容可能な溶媒和化合物もしくは塩の量または濃度が、該医薬品で治療される哺乳動物において上記治療的作用を引き起こす作用物質のアベイラビリティーを改善するのに十分である使用方法が好ましい。
【0045】
さらに本発明によれば以下の段階:
a)イソフラボン、ダイゼイン、ゲニステイン、プルネチン、バイオチャニンA、オロボール、サンタル、グリシテイン、プラテンセイン、フォルモノネチン、ゲニスチン、6”-O-マロニルゲニスチン、6”-O-アセチルゲニスチン、ダイズイン、6”-O-マロニルダイズイン、6”-O-アセチルダイズイン、グリシチン、オノニン及びシスソトリンから成る群から選択される作用物質及び/又は該作用物質の薬学的に許容可能な溶媒和化合物もしくは塩を用意すること、
b)5までのアミノ酸長を有するペプチド及び/又は該ペプチドの溶媒和化合物もしくは塩(少なくとも2つのアミノ酸がpH7で負に帯電している側鎖を有する)を用意すること、
c)作用物質及び/又はその溶媒和化合物もしくは塩をペプチド及び/又はその溶媒和化合物もしくは塩と、そして薬学的に許容可能な担体と混合すること、
を含む、殊に血小板凝集を抑制するための医薬品を製造する方法が提供される。
【0046】
以下に本発明を実施例及び図を用いて説明するが、本発明はこれら実施例及び図に限定されるものではない。以下のとおり図に示されている:
図1は、種々の濃度のゲニステインの作用による、血小板富化(plattchenreichem)ヒト血漿のコラーゲン誘発性血小板凝集の抑制を示す。
図2は、血小板富化ヒト血漿のコラーゲン誘発性血小板凝集に対する、グルタミン酸ジペプチドの乏しい作用を示す。
図3は、コラーゲン誘発性血小板凝集のゲニステインによる抑制への、種々の濃度のグルタミン酸ジペプチドの作用を示す。
図4は、ゲニステインによる血小板凝集抑制に対する、アラニンジペプチドの乏しい作用を示す。
図5は、グルタミン酸ジペプチドの投与有り及び無しの血清鉄濃度(mg Fe2+/ml血清)を示す。
【実施例】
【0047】
実施例1:インビトロでのゲニステインによるコラーゲン誘発性(Collagen-induzierten)血小板凝集の抑制
図1は種々のゲニステイン濃度での、コラーゲン誘発後の血小板凝集の程度を示す(U. Budde著,「Diagnose von Funktionsstorungen der Thrombozyten mit Hilfe der Aggregometrie」,J. Lab. Med. 2002年,26(11/12),564−571頁)。ゲニステイン不在下において血小板富化ヒト血漿にコラーゲンを添加すると、血小板凝集は約65%に達した。ゲニステイン100uMを添加すると血小板凝集が約35%に低下した。ゲニステイン濃度150uMの場合には最大の血小板凝集が約23%であったのに対し、ゲニステイン200uMの存在下では最大の血小板凝集は約5%であった。
【0048】
実施例2:インビトロでの血小板凝集へのグルタミン酸ジペプチド(EE)の乏しい作用
グルタミン酸ジペプチド100μモル(molar)の濃度(ゲニステインなし)を用いる以外の点では例1と同じ試験条件下において、血小板凝集は対応する対照反応に対して約65%から約60%にわずかだけ減少した。
【0049】
実施例3:血小板凝集の抑制に対するゲニステインおよびグルタミン酸ジペプチドの相乗作用
他の点では例1と同じ試験条件下で、コラーゲン誘発性血小板凝集をゲニステインおよびグルタミン酸ジペプチドの種々の濃度下に測定した。ゲニステインおよびグルタミン酸ジペプチドの不在下では例1の結果が再現された。ゲニステイン50uMが存在するがグルタミン酸ジペプチドが存在しない場合には、最大の血小板凝集は25%であった。これは例1に基づいて期待される結果にほぼ相応する。ゲニステイン50uM及びグルタミン酸ジペプチド150uMrの存在下では、最大限達成される血小板凝集が約15%に低下した。従って、グルタミン酸ジペプチドおよびゲニステインの本発明混合物の血小板凝集を抑制する作用は、純粋なゲニステインの作用より大きい。最終濃度がゲニステイン50uM及びグルタミン酸ジペプチド250uMの場合には血小板凝集は事実上観察されなかった。従って、この本発明薬学的組成物は、血小板凝集の抑制について同じ濃度のゲニステインより効果的であった。
【0050】
実施例4:グルタミン酸ジペプチドの代替のアラニンジペプチドの使用
pH7で負に帯電している側鎖を有さないジペプチドがグルタミン酸ジペプチドと同様の作用を有するかどうかを検査した。そのためにその他については例1と同じ条件下で、コラーゲン誘発性血小板凝集をゲニステインおよびアラニンジペプチドの種々の濃度で測定した。図4は、ゲニステインとグルタミン酸ジペプチドの不在下においては、最大で約70%の血小板凝集が引き起こされることを示す。ゲニステイン50uMの濃度の場合には、アラニンジペプチドの濃度が0uM、50uM又は200uMであるか否かとは無関係に最大で約60%の血小板凝集が観察された。
【0051】
実施例5:インビボにおける本発明組成物の血小板凝集抑制作用
被験者は、1週間毎日、ゲニステイン、グルタミン酸ジペプチド及び薬学的に許容可能な担体の混合物を経口的に摂取した。この間に、血小板凝集の抑制が現れるかを観察した。次表にその結果を示す:
【0052】
【表2】

【0053】
従って、本発明による薬学的組成物は、ヒトにおける血小板凝集をインビボで抑制することが可能である。
【0054】
実施例6:鉄のアベイラビリティーの改善
先ず被験者の血清鉄濃度を、本発明の製剤もしくは対照製剤の摂取前に従来方法で測定した(ゼロ値の測定(Null-Wert-Bestimmung))。一試験内で被験者は引き続き正の対照(Positivkontrolle)として水150ml中のVitaferro-Brause錠剤(Fe++ 80mg)を摂取し、血清鉄濃度をその摂取後に1時間ごとに測定した(“サンプル1”は1h後、“サンプル2”は2h後など; 図5、系列1)。14日後に実施した別の試験において、ゼロ値の測定後に摂取される水150ml中のVitaferro-Brause錠剤(Fe++ 80mg)にさらにグルタミン酸ジペプチド100mgを添加した。再度、被験者の血清鉄濃度を1時間ごとに測定した(図5、系列2)。この検査方法は、Paschenら,「Pruefung der Bioaequivalenz von zwei schnellfreisetzenden Eisen(II)-Sulfat-Formulierungen,Arzneim.-Forsch./Drug Res. 第43巻(II),第11号 1993年)」の規定に従ったものである。グルタミン酸ジペプチド100mgの添加によって、被験者における鉄(Fe2+)のアベイラビリティーが顕著に改善した。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、ゲニステイン濃度を増加させた場合におけるコラーゲン誘発性血小板凝集を示す(1=0μM;2=100μM;3=150μM;4=200μM)。
【図2】図2は、glu-gluの濃度を増加させた場合の、コラーゲン誘発性血小板凝集を示す(A=0μM; B=25μM; C=50μM; D=100μM)。
【図3】図3は、50μMのゲニステイン単独を用いた場合、glu-glu(150μM又は250μM)添加後にゲニステインを用いた場合、および対照実験における場合のコラーゲン誘発性血小板凝集を示す。
【図4】図4は、50μMゲニステインの存在下での濃度を増加させた場合の、コラーゲン誘発性血小板凝集を示す(B=50μM/0μM;C=50μM/50μM;D=50μM/200μM;A=0μM/0μM 対照実験)。
【図5】図5は、グルタミン酸ジペプチドの投与有り及び無しの血清鉄濃度(mg Fe2+/ml血清)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 少なくとも1種のイソフラボンもしくはイソフラボン配糖体及び/又はその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物、および
− アミノ酸2〜5個を有する少なくとも1種のペプチドもしくはペプチド誘導体及び/又はその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物、
を含む作用物質の組合せを含む薬学的組成物であって、
− 少なくとも2つのアミノ酸がpH=7で負に帯電している側鎖を有する、
上記の薬学的組成物。
【請求項2】
イソフラボンが、置換されていないかあるいは全てもしくは部分的に、酢酸、マロン酸、ケイ皮酸、クマル酸、コーヒー酸、フェルラ酸で部分的にアシル化された単糖を包含する単糖、又は酢酸、マロン酸、ケイ皮酸、クマル酸、コーヒー酸、フェルラ酸で部分的にアシル化された二糖を包含する二糖、メチル又はスルフェートによって置換されているOH基2〜4個を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
イソフラボンもしくはイソフラボン配糖体が、イソフラボン、ダイゼイン、ゲニステイン、プルネチン、バイオチャニンA、オロボール、サンタル、グリシテイン、プラテンセイン、フォルモノネチン、ゲニスチン、6”-O-マロニルゲニスチン、6”-O-アセチルゲニスチン、ダイズイン、6”-O-マロニルダイズイン、6”-O-アセチルダイズイン、グリシチン、オノニン及びシスソトリンから成る群から選択される、請求項1または2のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項4】
イソフラボンがゲニステインである、請求項1〜3のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項5】
ペプチドもしくはペプチド誘導体がアミノ酸3〜5個を有し、その際、少なくとも3つのアミノ酸はpH=7で負に帯電している側鎖を有する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項6】
ペプチドもしくはペプチド誘導体が、配列DD、EE、DE、ED(D=アスパラギン酸及びE=グルタミン酸である)を有するペプチドの群から選択されるジペプチドである、請求項1〜5のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項7】
ペプチドもしくはペプチド誘導体が配列
DDDDD、DDDDE、DDDED、DDDEE、DDEDD、DDEDE、DDEED、DDEEE、DEDDD、DEDDE、DEDED、DEDEE、DEEDD、DEEDE、DEEED、DEEEE、EDDDD、EDDDE、EDDED、EDDEE、EDEDD、EDEDE、EDEED、EDEEE、EEDDD、EEDDE、EEDED、EEDEE、EEEDD、EEEDE、EEEED、EEEEE、
DDDD、DDDE、DDED、DDEE、DEDD、DEDE、DEED、DEEE、EDDD、EDDE、EDED、EDEE、EEDD、EEDE、EEED、EEEE、
DDD、DDE、DED、DEE、EDD、EDE、EED、EEE
(D=アスパラギン酸及びE=グルタミン酸である);
を有するペプチドの群から選択される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項8】
イソフラボンがゲニステインであり、そしてペプチドもしくはペプチド誘導体が配列EE(E=グルタミン酸である)を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
物質量比Q=nP/nI(nP=ペプチドもしくはペプチド誘導体の物質量であり、nI=イソフラボンもしくはイソフラボン配糖体の物質量である)が3〜5である、請求項1〜8のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項10】
以下の群:
心血管疾患、血小板凝集の亢進に関連する疾患、代謝性疾患、骨疾患又は癌疾患、
から選択される医学的適応症の治療及び/又は予防のための薬学的組成物の製造に、以下:
− 少なくとも1種のイソフラボンもしくはイソフラボン配糖体及び/又はその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物、および
− アミノ酸2〜5個を有する少なくとも1種のペプチドもしくはペプチド誘導体及び/又はその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物、
を含む作用物質の組合せを使用する方法であって、
− 少なくとも2つのアミノ酸がpH=7で負に帯電している側鎖を有する、
上記の使用方法。
【請求項11】
医学的適応症が以下の群:
高血圧、高コレステロール血症、心筋梗塞、動脈硬化性血管障害、卒中発作、血小板凝集の亢進によって引き起こされる疾患、糖尿病、高ホモシステイン血症、悪性腫瘍、骨粗鬆症、
から選択される、請求項10記載の使用方法。
【請求項12】
イソフラボンが、置換されていないかあるいは全てもしくは部分的に、酢酸、マロン酸、ケイ皮酸、クマル酸、コーヒー酸、フェルラ酸で部分的にアシル化された単糖を包含する単糖、又は酢酸、マロン酸、ケイ皮酸、クマル酸、コーヒー酸、フェルラ酸で部分的にアシル化された二糖を包含する二糖、メチル又はスルフェートによって置換されているOH基2〜4個を有する、請求項10または11のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項13】
イソフラボンもしくはイソフラボン配糖体が、イソフラボン、ダイゼイン、ゲニステイン、プルネチン、バイオチャニンA、オロボール、サンタル、グリシテイン、プラテンセイン、フォルモノネチン、ゲニスチン、6”-O-マロニルゲニスチン、6”-O-アセチルゲニスチン、ダイズイン、6”-O-マロニルダイズイン、6”-O-アセチルダイズイン、グリシチン、オノニン及びシスソトリンから成る群から選択される、請求項10または11のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項14】
イソフラボンがゲニステインである、請求項10または11のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項15】
− 少なくとも1種の無機塩、好ましくは鉄塩、および
− アミノ酸2〜5個を有する少なくとも1種のペプチドもしくはペプチド誘導体及び/又はその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物
を含む作用物質の組合せを含む薬学的組成物であって、
− 少なくとも2つのアミノ酸がpH=7で負に帯電している側鎖を有する、
上記薬学的組成物。
【請求項16】
各無機塩、特に鉄の不足及び/又は消費増大に伴う疾患の治療及び/又は予防のための薬学的組成物の製造に、以下:
− 少なくとも1種の無機塩、好ましくは鉄塩、および
− アミノ酸2〜5個を有する少なくとも1種のペプチドもしくはペプチド誘導体及び/又はその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物、
を含む作用物質の組合せを使用する方法であって、
− 少なくとも2つのアミノ酸がpH=7で負に帯電している側鎖を有する、
上記の使用方法。
【請求項17】
疾患性もしくは非疾患性の失血、例えば胃/腸出血の治療のための薬学的組成物を製造するための、請求項16記載の使用方法。
【請求項18】
ペプチドもしくはペプチド誘導体がアミノ酸3〜5個を有し、そして少なくとも3つのアミノ酸がpH=7で負に帯電している側鎖を有する、請求項10〜17のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項19】
ペプチドもしくはペプチド誘導体が配列
DDDDD、DDDDE、DDDED、DDDEE、DDEDD、DDEDE、DDEED、DDEEE、DEDDD、DEDDE、DEDED、DEDEE、DEEDD、DEEDE、DEEED、DEEEE、EDDDD、EDDDE、EDDED、EDDEE、EDEDD、EDEDE、EDEED、EDEEE、EEDDD、EEDDE、EEDED、EEDEE、EEEDD、EEEDE、EEEED、EEEEE、
DDDD、DDDE、DDED、DDEE、DEDD、DEDE、DEED、DEEE、EDDD、EDDE、EDED、EDEE、EEDD、EEDE、EEED、EEEE、
DDD、DDE、DED、DEE、EDD、EDE、EED、EEE、
DD、EE、DE、ED、
(D=アスパラギン酸及びE=グルタミン酸である);
を有するペプチドの群から選択される、請求項10〜17のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項20】
イソフラボンがゲニステインであり、そしてペプチドもしくはペプチド誘導体が配列EE(E=グルタミン酸である)を有する、請求項10〜17のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項21】
血小板凝集の亢進を低下させるために、請求項1〜9のいずれか1つに記載の組成物を使用する方法。
【請求項22】
食品添加物として、請求項1〜9のいずれか1つに記載の組成物を使用する方法。
【請求項23】
発酵槽又はバイオリアクター中の細胞を保護するための添加剤として、請求項1〜9のいずれか1つに記載の組成物を使用する方法。
【請求項24】
動物用飼料として、請求項1〜9のいずれか1つに記載の組成物を使用する方法。
【請求項25】
農薬として、請求項1〜9のいずれか1つに記載の組成物を使用する方法。
【請求項26】
薬学的組成物中の作用物質の哺乳動物におけるアベイラビリティーを改善するための該薬学的組成物への添加物として、少なくとも1種のペプチドもしくはペプチド誘導体及び/又はその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物を含む組成物であって、
− その際少なくとも1種のペプチドはアミノ酸2〜5個を有し、
− その際少なくとも2つのアミノ酸はpH=7で負に帯電している側鎖を有する、
上記組成物を使用する方法。
【請求項27】
ペプチドもしくはペプチド誘導体が配列
DDDDD、DDDDE、DDDED、DDDEE、DDEDD、DDEDE、DDEED、DDEEE、DEDDD、DEDDE、DEDED、DEDEE、DEEDD、DEEDE、DEEED、DEEEE、EDDDD、EDDDE、EDDED、EDDEE、EDEDD、EDEDE、EDEED、EDEEE、EEDDD、EEDDE、EEDED、EEDEE、EEEDD、EEEDE、EEEED、EEEEE、
DDDD、DDDE、DDED、DDEE、DEDD、DEDE、DEED、DEEE、EDDD、EDDE、EDED、EDEE、EEDD、EEDE、EEED、EEEE、
DDD、DDE、DED、DEE、EDD、EDE、EED、EEE、
DD、EE、DE、ED、
(D=アスパラギン酸及びE=グルタミン酸である);
を有するペプチドの群から選択される、請求項25記載の使用方法。
【請求項28】
物質量比Q=nP/nW(nP=ペプチドもしくはペプチド誘導体の物質量であり、nW=薬学的組成物中の他の作用物質の物質量である)が3〜5である、請求項26または27のいずれか1つに記載の組成物の使用方法。
【請求項29】
以下の段階:
d)イソフラボン、ダイゼイン、ゲニステイン、プルネチン、バイオチャニンA、オロボール、サンタル、グリシテイン、プラテンセイン、フォルモノネチン、ゲニスチン、6”-O-マロニルゲニスチン、6”-O-アセチルゲニスチン、ダイズイン、6”-O-マロニルダイズイン、6”-O-アセチルダイズイン、グリシチン、オノニン及びシスソトリンから成る群から選択される作用物質及び/又は該作用物質の薬学的に許容可能な溶媒和化合物もしくは塩を用意すること、
e)2〜5アミノ酸長を有するペプチドもしくはペプチド誘導体及び/又は該ペプチドの溶媒和化合物もしくは塩(少なくとも2つのアミノ酸がpH=7で負に帯電している側鎖を有する)を用意すること、
f)作用物質及び/又はその溶媒和化合物もしくは塩をペプチドもしくはペプチド誘導体及び/又はその溶媒和化合物もしくは塩と、そして薬学的に許容可能な担体と混合すること、
を含む、殊に血小板凝集を抑制するための医薬品を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−514800(P2009−514800A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534866(P2008−534866)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【国際出願番号】PCT/DE2006/001795
【国際公開番号】WO2007/042010
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(508112232)トロヤノン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】