説明

相乗効果水の製造方法

【課題】磁気活性水の活性を強化し、磁気活性水が有する浸透力・溶解力・浄化力の更なる改善と、それに伴う生理活性の強化を課題とする。
【解決手段】原水を磁場に曝して磁気処理することにより磁気活性水を製造するに際し、磁気処理と同時に、若しくは磁気処理と相前後してマイクロバブル処理を施すことを特徴とする相乗効果水の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水に磁気処理とマイクロバブル処理とを施すことによる相乗効果水の製造方法に関し、特に、磁気処理とマイクロバブル処理とを併用することにより、より強力な生理活性を有する相乗効果水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水を磁場に曝して磁気処理することにより磁気活性水を得ることは、例えば特許文献1、及び特許文献2に開示されている如く既知である。
磁気活性水とは、磁気の働きによって活性化された水のことであり、磁気活性水は通常の水と比較して、水のクラスター(水分子のかたまり)が細分化され、クラスターが非常に小さくなっていると考えられている。また、磁場の中を水が通過する瞬間、磁気によって水がイオン化され活性化の高い状態に保たれ、その結果、磁気活性水は、水の持つもっとも大切な力、即ち、浸透力・溶解力・洗浄力・浄化力が格段に活性化された状態を保つものと考えられている。
【0003】
そして、該浸透力・溶解力・浄化力については、クラスターの大きい水は浸透性が低く、その上クラスターの大きい水の中には水の分子と分子との大きな隙間に閉じ込められた化学物質や有機物などが含有されており、該水を飲料とすると直接人体に取り入れることになるが、この大きい水が濃密かつ安定した磁場の中を通り抜けることによってクラスターの小さい水に変化すると、大きなクラスターの隙間にあった余計な物質は小さくなって隙間のない水の外にはじき出され、またより小さな水分子の集合体となった結果、水として活性を取り戻し『浸透力・溶解力・浄化力』に優れた状態になることも知られている。しかしながら、該磁気活性水の更なる改善が望まれている。
【0004】
一方、水と空気とを超高速旋回装置などで処理して、水中に種々な大きさの気泡を混入すると、10μmから数十μmの大きさの気泡(マイクロバブル)は、水中ではその水圧により急速に収縮して消滅して水中に吸収されることも知られており、該処理はマイクロバブル処理として既知である。
該マイクロバブル処理を利用して自然水域からの水を浄化することが特許文献3に開示され、また、該マイクロバブル技術を水耕栽培システムに応用した例が特許文献4に開示されている。
【0005】
一般的には、水中に混合形成された泡はゆらゆら上昇しながら水面ではじけて消えるが、マイクロバブルの気泡は、従来のミリサイズ以上の気泡(マクロサイズ)とは異なり上昇しながら収縮し、水中で消える。収縮するメカニズムについては、マイクロバブルはマイクロバブル発生装置中の中心空洞部において負圧形成がなされ、それが超高速剪断でちぎれることにより発生するのであるが、発生したマイクロバブルにおいては、周囲の圧力がマイクロバブルの中の気体の圧力よりも高いことから、圧力が周囲からかかり、マイクロバブルは収縮へと向かい消滅するのであると考えられている。
そして、該マイクロバブル処理には、マイクロバブルの極小泡が細胞を刺激し、生物の血流や成長を促進し、水中の溶存酸素を増加し、酸欠を防止し、それとともに、微生物の働きを活性化させるという生理活性効果を有すること、気泡が消滅する時に発生するエネルギーにより水のクラスターが小さくなり、分散性・拡散性・凝集性に優れることも知られている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−154704号公報
【特許文献2】実用新案登録第3104080号公報
【特許文献3】特開2006−272306号公報
【特許文献4】特開2000−236762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、磁気活性水の活性を強化し、磁気活性水が有する浸透力・溶解力・浄化力の更なる改善と、それに伴う生理活性の強化を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、磁気活性水の更なる改善と、それに伴う生理活性の強化について鋭意検討した結果、磁気活性水は水を低クラスター化し、高い生理活性を持ち、しかもその生理活性効果は時間が経過しても保持していることが判明したが、更に検討を重ねた結果、マイクロバブル処理を磁気処理に組み合わせることにより、より強い生理活性を有する処理液が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち本発明は、原水を磁場に曝して磁気処理することにより磁気活性水を製造するに際し、磁気処理と同時に、若しくは磁気処理と相前後してマイクロバブル処理を施すことを特徴とする相乗効果水の製造方法、である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、磁気活性水の活性を強化し、磁気活性水が有する浸透力・溶解力・浄化力の更なる改善と、それに伴う生理活性を強化した相乗効果水が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明で用いる磁気活性水について説明する。
1.磁気活性水の特性について
(1)磁気活性水とは、磁気の働きによって磁化され、活性化された水のことである。水は他の如何なる化学物質に比較しても特異な性質を有している。例えば、図1は、周期律表の第16族(酸素族)の4元素、即ち酸素(O)、イオウ(S)、セレン(Se)、テルル(Te)について、それぞれの水素化物が持つ融点と沸点を図示したものである。
該図1から明らかな様に、水分子(H2 O)だけが他の水素化物とは大きく異なった値を示している。もし水分子が他の水素化物と同じ性質を持つならば、水の融点は約−120℃のはずであるが、水の融点は0℃である。同様に水の沸点は、図1からの予想では約−80℃であるはずであるが実際は+100℃となっている。
【0011】
他にも表面張力や粘性など種々の点で水は変わった性質を持っている。その理由は、水分子が有する特異な分子構造にある。水分子は図2の様な構造をしているが、あらゆる化合物の中で最も強く分子内分極して、プラス部分のH元素とマイナス部分のO元素とが強く分かれている。図2の中でδ+ 、δ- と記載されているのがこれである。このため水の分子にプラスイオン、あるいは部分的にプラスに帯電している物質、が接近すると、マイナスのO元素が配位して付着する。これはプラスとマイナスがクーロン力で引き合うからであり、その逆にマイナスイオンが接近するとプラスのH元素が配位する。このようなクーロン力により、水分子は隣接する水分子同士が次々に引き合い接合し、原子間にクーロン力で生じた新たな結合、即ち水素結合により大きな集団を形成する。これがいわゆるクラスター化であり、結果として図3に示す「大きな水」が形成される。通常の原水はこの「大きな水」である。
【0012】
水素結合の強さは、水分子1mol当たり25〜30kJoulという大きさを持っており、この大きさは一般的な化学結合(有機物質の共有結合や無機物質のイオン結合など)よりは遥かに小さいが、有機物質間に働くファンデルワールス結合(有機物質の分子間結合)よりは大きな値である。前述の「水の特異性」は、この水素結合が原因と言われており、水素結合で大きなクラスター(大きな水)になったため、気化(沸点)するにも融ける(融点)にも、これらの水素結合を断ち切る必要があり、それに要する熱エネルギーが余分に必要なため、H2 O単分子状態の予測値(融点−120℃、沸点−80℃)よりも遥かに大きく(融点0℃、沸点100℃)なる。
従って、水素結合の結合力は一般的な化学結合より小さいとは言っても、決して無視できるものではない。
【0013】
(2)そして、該原水を磁場に曝すと、水分子はδ+ 、δ- に分極した荷電体(+、−の電荷を持った物体)と考えることができるので、「荷電体が磁場を通過すると起電力が誘起される」というファラディーの電磁誘導法則に沿って、起電力が発生し、この誘導起電力が「大きな水」の水素結合を断ち切って「小さな水」を作る原動力となって、小さくなった水、即ち低クラスター化した水が得られる。
【0014】
(3)水クラスターが有するゼータ電位
人体の表皮中の脂質など水不溶性物質を水の中に入れると、水分子がそれらの周囲を取り囲み、図4のような配位(いわゆる水和)構造をとる。該構造は、熱力学的解析の結果、水不溶性物質の周囲に配位した水クラスターは、それらの周囲を規則的に取り囲んだ「構造化」という配列を形成している。この構造化した水は「構造化水」と呼ばれているが、該「構造化水」になるには、配位する水分子集団同士の立体的障害を小さくするために極めて小さな水分子集団でなければならない。小さな水分子集団であると大きな水分子集団に比較して水不溶性物質の周囲に水分子集団が規則的にすき間無く整然と配位することが可能となる。
【0015】
一方、低クラスター化水によって「構造化水」が形成されると、図4に示すごとく「構造化水」と水不溶性物質との界面には電位が傾斜したスターン二重層という特異な層が形成される。
即ち、水不溶性物質と構造化水との接触面には「表面電位」が形成され、表面から構造化水の方へ向かって電位勾配が形成され、該電位を「ゼータ(ζ)電位」と呼んでいる。言い換えると、水不溶性物質が水と混ざり合い、その周囲に「構造化水」を形成すると、厚さδ(デルタ)のζ電位層が形成されることになる。
【0016】
一方、このζ電位は磁場の強度によって変化することが知られている。研究者の実験データによれば、磁束密度0.3T(テスラ、3,000ガウス)の磁気照射でζ電位が8%変化する。この現象は、水不溶性物質と水の混合系に磁気照射すると水不溶性物質表面(界面)の「構造化水」の構造に変化が生じ、結果としてζ電位が変化する。
その原因は、前述の“「構造化水」に成るには、低クラスター化水であること”という解釈から推論すると、磁気照射によって、より多くの水分子集団が低クラスター化し、その結果、水の「構造化」が進んで、スターン二重層の厚さが増し、それに伴ってζ電位に変化が生じた、と考えられる。そして、該ζ電位を有する水と水不溶性物質の結合体が動植物の細胞に作用して細胞を活性化し、若々しい皮膚が蘇えり保持できるという生理活性効果を奏する。
本発明で用いる磁場の強度は、高ければ高い程よいが、上記研究者の実験では、磁束密度0.3T(テスラ、3,000ガウス)の磁気照射で行っているが、本発明で使用する磁石の磁束密度が約4倍の1.2Tの磁石を用いている。
【0017】
(4)水不溶性物質に吸着する水吸着層
前項(3)で述べたとおり、水不溶性物質の周囲には「構造化」された水、すなわち低クラスター化水が取り囲むが、この現象は1998年頃、原子間力顕微鏡(AFM)によって実測され、「構造化水」の厚さが分かった。そして磁気処理によって「構造化水」の厚さが増すことも分かった。このことは、磁気照射によって水が低クラスター化し、そして「構造化水」の形成、が促進されることの証左と考られる。
一方、この現象を人体の皮膚に当てはめると、磁気活性水は表皮や真皮に存在する各種の水不溶性成分の周囲に、より厚く配位する、即ち「構造化水」の厚さが増す、ことになり、より多くの水分が水不溶性成分の周囲に保持されることになり、瑞々しい皮膚を維持することができる。
【0018】
(5)水分子集団の低クラスター化
荷電体である水が磁場を通過するとき、ファラディーの法則に沿って誘導起電力が発生し、この起電力が、水をクラスター化させている「水素結合」を断ち切り、結果として大きなクラスターを小さなクラスターにすると考えられる。これが磁気処理による「水の低クラスター化」といわれる現象であり、この時のクラスターの大きさは「H2 O」分子が4〜6個くらいと推測される(計算値)。
低クラスター化した水は、普通の水に比べて多くのプラス効果を発揮する。特に細胞の活性を高め、老化防止、生命力の高揚、アトピー性皮膚炎の改善など多くの生理活性現象を示す、これらのプラス効果を考慮して「磁気活性水」と名付けられている。
【0019】
2.皮膚の構成と磁気活性水との関係
化粧品原料として磁気活性水を用いたとき、前項1.で述べた「磁気活性水」が皮膚(生体)にどのようなプラス効果を及ぼすのかについて以下に述べる。
(1)皮膚(生体)に及ぼす磁気活性水の効果
皮膚を構成する角質層や表皮にはNMF(天然保湿因子)や脂質(セラミド、脂肪酸、コレステロール)などが存在し、皮膚の保湿を担っており、前述の磁気活性水はこれら保湿成分に配位して「構造化水」となり、ζ電位を有する結合体を生じることになる。
この結合体が皮膚(生体)に及ぼす効果の詳細なメカニズムについては、現時点でも結合体は表皮内であるいは真皮にまで到達して、結合体の有するエネルギー(ζ電位)で周囲の細胞を活性化し、機能を改善すると考えられる。
【0020】
(2)NMF(天然保湿因子)成分に及ぼす磁気活性水の効果
角質層で保湿機能を担っているNMFは次の表1のような組成を有しているが、これら親水性成分の多くはそれ自身の分子量が大きいため水不溶性物質と類似した挙動を示し、前述のようなメカニズムで周囲に水分子が配位し水吸着層を形成すると考えられる(分子量の大きな親水性成分:アミノ酸、PCA、グルコサミン、クレアチニン、糖、ペプチドなど)。
【表1】

従って、前述の如く、磁気活性水ではこの水吸着層の厚さが大きくなり、磁気活性水によるとより多くの水分がNMFに保持されることを意味し、結果として瑞々しい皮膚が回復し維持されることになる。
他方、セラミドなどの角質層細胞間脂質は全くの水不溶性物質であるため、前述のメカニズムがそのまま働き、細胞間脂質の周囲に多くの水分子を取り込み、あたかも厚い「水のベール」をまとったかのような外見になると考えられる。
【0021】
(3)細胞膜アクアポリンと磁気活性水の効果
2003年のノーベル化学賞を受賞したピーター・アグレ(Peter Agre)教授らの業績は、細胞の周囲を取り巻く細胞膜には、水だけを通過させる特別の水路(チャンネル、Channel )があることを発見したことである。この水路は「アクアポリン」(Aquaporin 、AQP)と名付けられているが、この水路はとても狭く、そこをかなりの勢い(高速)で水が流れて、出入りしている。アクアポリンの概念図を図5に示す。
人体の66%は水分であるが、全水分の中の約68%が細胞内水である。例えば、体重60kgの人では約40リットルが水で、その中の約27リットル(体重の約44%)が細胞の中にある水、細胞内水、ということになる。従って、これら体内の水はものすごい流速で「アクアポリン」を通って、細胞の内外に出入りしていることになり、皮膚の場合も、角質層を除けば同様の現象が日々繰り返されていることになる。
もし、体重の44%を占める細胞内水が必要量供給されない場合には、細胞が機能不全を起こし、活力の乏しい細胞となり、皮膚の場合では、張りやツヤのない老化した肌となる。
従って、アクアポリンの狭い水路を効率良く流れ、細胞内水を十分に補充するには、もちろん「小さい水」(低クラスター化水)の方が優れていることになる。
【0022】
次に、本発明で用いるマイクロバブル処理について説明する。
マイクロバブル発生装置は、水と空気との気液二相流体を混合し、該混合物に強力波・剪断力を付加してマクロバブル(ミリ単位のミリバブル)以上の径を有する気泡を発生させながら、同時にマイクロバブル(10μm〜数十μm)を発生させる。
そして、マクロバブルとマイクロバブルの両方の気泡を発生させ、主としてマイクロバブルにより気体吸収の効率を向上させる。
マクロバブルの発生量に対するマイクロバブルの発生量は、たかだか数パーセントであり、この比率を向上させることが重要であり、そのために、気液混合界面おける「剪断力」を増加させることでマイクロバブルの発生率をいかにより効率良く高めるかを工夫することが必要である。
【0023】
マイクロバブルの発生をより多くするためには、より強力な気液二相の混合・剪断方式の開発と混合・剪断面積を増加させることが重要である。
マイクロバブルの発生方式には、次の5つの方式が挙げられるが、e)の「超高速旋回方式」が好ましく用いられる。
a)気液二相流体混合・剪断方式
b)圧力加減制御方式
c)細孔方式
d)超音波方式
e)超高速旋回方式
【0024】
「超高速旋回方式」は、気液二相流体を超高速旋回させることによって、装置内で液体と気体の遠心分離を実現させ、装置中心部に形成された旋回空洞部を装置出口前後における旋回速度差で剪断することを基本原理としており、この方式の優れた点は、流体力学的に安定して大量のマイクロバブルを発生させることができ、マイクロバブルの発生点は、旋回速度差によってマイクロメートルサイズに制御され、また、マイクロバブルの発生量や基本的性質が装置内の旋回速度に依存する。
たとえば、マイクロバブル発生装置を圧力0.2MP、流量毎分20リットル程度で運転した場合の装置内における気液二相流体の旋回速度は、毎秒400〜600回転にも達し、この超高速旋回を伴う気液界面における強力な静電摩擦がマイクロバブルの発生に重要な役割を果たしている。
本発明では、原水に対して上記のマイクロバブル処理と磁気処理とを組み合わせることにより、より強い生理活性を有する処理水を得たものであり、マイクロバブル発生装置としては上記a)〜e)の如何なる方式のものでも適用可能である。
そして、本発明では、該処理水を「相乗効果型磁気活性水」、即ち「相乗効果水」(オウ・ド・グルワール)と称する。
【0025】
以下に相乗効果水について説明する。
1.相乗効果水(オウ・ド・グルワール)の特性について
(1)水分子が持つ特異な構造
前述のとおり、水の融点、沸点、表面張力、粘性など色々な点で水は変わった性質を持っており、水分子は図1の様な構造をしているが、あらゆる化合物の中で最も強くプラス部分とマイナス部分が分かれている。プラスとマイナスがクーロンカにより引き付け合うと、水分子は隣接する水分子同士が引き合い接合し、大きな集団(クラスター)を形成する。クーロン力で生じた新たな結合を水素結合といい、水素結合で繋がっているのが、いわゆるクラスター化で、大きな水が形成する。つまり水の融点、沸点、表面張力の特異性は水素結合によるものである。
【0026】
(2)水を磁場に曝した磁気活性水
図1の様に水分子は、δ+ (デルタプラス)とδ- (デルタマイナス)に分極した荷電体であり、該荷電体が磁場を通過すると起電力が誘起され、この起電力が「大きな水」の水素結合を断ち切って「小さな水」を作る原動力になっている。小さくなった水を「低クラスター化水」と呼んでいる。
【0027】
(3)水クラスターが有するゼータ電位
水不溶性物質を水の中に入れると、水分子がそれらの周囲を取り囲み水和構造をとり、そして構造化という配列を形成し、その表面電位に電位勾配が形成され該勾配部分の電位が「ゼータ(ζ)電位」であることは先に述べた通りである。水和構造をとるためには立体的障害を小さくすること、そのための水分子集団は「低クラスター化水」でなければならない。ゼータ電位は磁場の強度によって変化する、つまり強い磁場ではゼータ電位も強くなる。
電気二重層の厚さが増すと、それに伴ってゼータ電位にも変化が生じ、高いゼータ電位を有する水と水不溶性物質の結合体は、細胞に作用して細胞を活性化し、若々しい皮膚を蘇らせ保持する効果を生じる。
【0028】
(4)水不溶性物質に吸着する水吸着層
相乗効果水は、表皮や真皮に存在する各種の水不溶性成分の周囲に、より厚く配位することになる。すなわちこのことはより多くの水分が水不溶性成分の周囲に保持されることを意味するので、保水効果は高くなる。
【0029】
(5)マイクロバブル
泡は、ゆらゆら上昇しながら水面ではじけて消えるのが一般的な概念であるが、マイクロサイズ以下の気泡は、従来のミリサイズ以上の気泡とは異なり、上昇しながら収縮し、水中で消える。これはマイクロバブルが発生する時に装置内で負圧が形成されることから、発生後のマイクロバブル内の圧力が周囲よりも低くなることに起因するが、一方で気泡が収縮すると、表面張力も増大するので、その分、より高圧状態へと移行する。このとき増大する表面張力のエネルギーが「大きな水」の水素結合を断ち切って「小さな水」を作ると考えられる。
【0030】
マイクロバブルの極小泡が細胞を刺激し、生物の血流や成長を促進させ、また水中の溶存酸素を増やすことにより、酸素消費量が増大し、新陳代謝が活発となり、生物本来の活力を引き出す。
また、マイクロバブルは、その発生時に静電摩擦を発生し、これが静電分極作用を発生させ、マイクロバブル水の水素イオン濃度を変化させ、弱アルカリ化が実現する。
本発明では、該マイクロバブル処理を磁気活性水に施すことにより、それらの相乗効果により、極めて活性の高い相乗効果水が得られるものである。
【0031】
(6)水分子集団の「低クラスター化」
水分子集団が小さくなること、即ち本発明の相乗効果水が有する「低クラスター化」によって生じる効果は以下の通りである。
(1) 細胞の活性を高める
(2) 老化防止
(3) 生命力の高揚
(4) アトピー性皮膚炎の改善
(5) 血行促進
【0032】
2.皮膚の構成と相乗効果水が及ぼすプラス効果
(1)皮膚・生体に及ぼす相乗効果水の効果
相乗効果水は、NMFや脂質・セラミドなどの保湿成分に配位して構造化水となりゼータ電位を有する結合体を生じ、この結合体は表皮内あるいは真皮内に到達し、結合体の有するエネルギー(ゼータ電位)で周囲の細胞を活性化し、皮膚本来の機能を改善する効果を有する。
【0033】
(2)NMF成分に及ぼす相乗効果水
NMF成分の多くはそれ自身の分子量が大きい為、水不溶性物質と類似した挙動を示し、前述のようなメカニズムで周囲に水分子が配位し水吸着層を形成すると考えられる。
分子量の大きな親水性成分としては、アミノ酸、PCA(ピロリドンカルボン酸)、グルコサミン、クレアチニン、糖、ペプチドなどが挙げられ、より多くの水分がNMFに保持されることになり瑞々しい皮膚が回復し維持される。
当然セラミドなどの角質層細胞間脂質にもより多くの水分が保持され、細胞間脂質の周囲に多くの水分子を取り込む。
【0034】
(3)細胞のアクアポリンと相乗効果水の効果
ノーベル化学賞を受賞したアグレ教授は、細胞の周囲を取り巻く細胞膜には、水だけを通過させる特別の水路があることを発見し、この水路はとても狭く、そこをかなりの勢いで水が流れていることが判明した。
人体の66%は水分であるが、全水分の中の約68%が細胞内水である。60キロの人では約40リットルが水で、その中の約27リットル(体重の44%)が細胞の中にある水であり、体重の44%を占める細胞内水が必要量供給されない場合には、細胞の機能不全をきたし、活力の乏しい細胞となる。皮膚では張りやツヤのない老化した肌となる。
アクアポリンの狭い水路を効率よく流れ、細胞内水を十分に補充するには、もちろん小さい水、即ち相乗効果水の方が優れている。
【0035】
3.水のクラスター
水は酸素と水素でできた分子の集合体で、これをクラスターと呼んでおり、水道水に比ベミネラル水や電解水はクラスターが小さく、クラスターが小さく均一な水は細胞への浸透力が高いため「おいしく健康に良い」と言われている。電気分解の他にも磁気処理、遠赤外線、マイクロバブル、超音波を使用してもクラスターの小さい水が製造できる。
しかし「クラスターの小さい水」は、均一性と持続性がなくては意味がなく、本発明の磁気活性水にマイクロバブル処理を併用した相乗効果水は、そのクラスターが小さく、その均一性、持続性に優れている。
【0036】
4.アクアポリンの発見
生物が生きていくためには水の存在が必須であり、人の体重の66%は水分である。細胞を取り囲んでいる脂質二重膜(細胞膜)は水を通過させづらいが、受動拡散と呼ばれる通り方で膜の脂質分子の間を衝突しながらゆっくりと通過する。
しかしながら、これだけでは充分ではなく、例えば赤血球や腎臓の尿細管上皮細胞の細胞膜は、受動拡散だけでは説明できない高い水透過性を持っている。
そこで、水を選択的に効率良く通過させる膜蛋白、つまり水チャンネル(水路)が存在すると想定され、その膜蛋白が実際に発見されたのは1992年であり、水を通過させる穴に因み、アクアポリン(aquaporin ・AQP)と命名された。
本発明の相乗効果水は、該アクアポリンを通過するのに、優れた活性効果を奏するものである。
【実施例】
【0037】
以下に、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
通常の水道水を図6に示す相乗効果水製造装置(650W×350D×1000H)を用いて相乗効果水を得た。図6の1は気液二相流体混合・剪断方式のマイクロバブル発生装置であり、装置の下部に設けた水槽8に水道水を注入する。この水道水をポンプ(インバーター式、200V、60Hz、0.75KW)で装置上部の注入口へ速度1m/秒、圧力0.7Mpaで注入する。注入された水は装置の螺旋管4の中を旋回流となって流入し、勢い良く渦を巻きながら流下し、排出口部3で空気導入部の導入口2より空気が導入されると気液混合が行われる。気液混合流は直ぐ下の細孔管5を通り排出管7に噴出する。同時に気泡の剪断が行われ、マイクロバブルが発生する。得られたマイクロバブル処理水は、排出管7の周囲に設けた永久磁石6により磁場に曝され、相乗効果水9が得られた。用いた永久磁石は、可変分割型のネオジウム磁石12個からなり、残留磁束密度が1.2テスラ(12キロガウス)のものであった。
尚、磁気処理は水分子が磁場を直角に通過する必要があり、直角に全ての水分子を通過させるには磁場との接触が十分に(10分以上)行われる必要がある。そのため、繰り返しマイクロバブルと磁気処理を行う循環式にしてこの問題を解決したのが本装置である。
【0038】
得られた相乗効果水を用いてニンジンの生育実験を行った。
低部を一部切断したニンジンを相乗効果水を満たしたビーカーに浸漬し、60日間にわたり、ニンジンの発芽・育成状況を調査した。同時に、磁気活性水についても同様な調査を行った。
得られ発芽・育成状況を、茎(葉)の長さの総計と経過日数の関係を図7に示す。12日間経過後に、相乗効果水では発芽が見られたが、磁気活性水では、発芽が見られず、その後の35日間経過では、相乗効果水の育成状況に基づく生理活性は、磁気活性水の生理活性に比較して1.8倍もの効果を奏することが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明による相乗効果水は、クラスターが極めて小さく、該状態を長時間にわたり保持するので、細胞の活性を高める、老化防止、生命力の高揚、アトピー性皮膚炎の改善、血行促進、等の効果を奏するので、飲料水、水耕栽培水、殺菌剤、乳化剤などとして有用に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】周期律表の第16族(酸素族)の4元素について、それぞれの水素化物が持つ融点と沸点を図示した図である。
【図2】水分子の構造。
【図3】大きな水(大きなクラスター)。
【図4】ゼータ(ζ)電位。
【図5】アクアポリンの概念図。
【図6】相乗効果水製造装置。
【図7】茎(葉)の長さの総計と経過日数の関係。
【符号の説明】
【0041】
1:気液二相流体混合・剪断方式のマイクロバブル発生装置
2:空気導入口
3:排出口部
4:螺旋管
5:細孔管
6:永久磁石
7:排出管
8:水槽
9:相乗効果水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を磁場に曝して磁気処理することにより磁気活性水を製造するに際し、磁気処理と同時に、若しくは磁気処理と相前後してマイクロバブル処理を施すことを特徴とする相乗効果水の製造方法。
【請求項2】
原水にマイクロバブル処理を施した後、磁場に曝すことを特徴とする請求項1に記載の相乗効果水の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−95776(P2009−95776A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270171(P2007−270171)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(593058581)株式会社ホワイトリリー (2)
【Fターム(参考)】