説明

相乗性の洗剤と活性金属化合物との組合せ物

本発明は、洗剤組成物及び活性金属含有化合物を含有する組成物であって、前記洗剤組成物が第四級アンモニウム塩洗剤及び随意としての酸素含有洗剤を含み、前記活性金属含有化合物が有機相と非晶質形態の鉄化合物の粒子と少なくとも1種の両親媒性物質とを含むコロイド分散液の形にある、前記組成物に関する。これらの組成物は、燃料中に用いることができ、この燃料を用いた時に、特にエンジン中の燃料インジェクターの汚染を減らし且つ/又はエンジンの粒状排気ガストラップの再生を向上させることによって、改善されたエンジン性能を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第4級アンモニウム塩洗剤及び随意としての酸素含有洗剤を、活性金属含有化合物、例えば燃料触媒及び/又は排気ガストラップ用添加剤等との組合せとして含む洗剤組成物に関する。これらの組成物は、燃料中に用いることができ、この燃料を用いた時に、特にエンジン中の燃料インジェクターの汚染を減らし且つ/又は粒状排気ガストラップの再生を向上させることによって、改善されたエンジン性能を提供することができる。
【背景技術】
【0002】
使用中にディーゼルエンジンのインジェクターに付着物が形成することがあることは、よく知られている。付着物の量及び形成速度は、エンジン中に用いられる燃料及び燃料中に存在する添加物に依存する。脂肪酸メチルエステル(FAME)等の不安定な成分を含有する燃料は、このような成分を含有しない鉱油系燃料より多くの付着物を形成する傾向がある。
【0003】
さらに、金属含有燃料触媒のような燃料中の金属の存在は、より高レベルの付着物をもたらす傾向があり、そしてより高レベルのインジェクターの汚染をもたらす傾向がある。
【0004】
金属は、燃料分配システム中の金属部品との接触、汚れ混入他を含む様々な原因で燃料中に入り込むことがある。燃料中の金属の存在の1つの例は、故意に燃料に金属触媒を添加することによるものである。かかる触媒は、ディーゼル粒状フィルター(DPF)再生を助成し、従って望ましいものであるのが、それらが促進するかも知れない付着物は望ましくないものである。DPFは、ディーゼル輸送機関の排気ガスからすすを取り除くために、排気装置にしばしば用いられている。そのフィルターはすぐにすすでいっぱいになり、定期的な掃除が必要である。これは、排気ガスの温度を上げてフィルター上のすすを燃焼させることによって行われる。このプロセスは、金属触媒をディーゼル燃料に加えることによって促進される。この触媒はすす中に入り込み、低温においてすすを燃焼させる。燃焼速度も改善される。かかる触媒の好ましい送出方法は、金属含有添加剤を搭載容器から燃料中に連続的に定量供給することによるものである。この添加剤は次いでエンジン内を通り、排気装置中に入って、DPF及びDPF上のすすと接触する。残念ながら、このような金属含有添加剤は、エンジン付着物の形成を促進して、エンジン中でより高レベルのインジェクターの汚染をもたらすことがある。
【0005】
付着物は、エンジン性能の損失を引き起こすことがあり、最後にはエンジンの損傷の可能性につながることがある。インジェクターにおける付着物の形成を減らし又はなくすために洗浄用添加剤を用いることができることが知られている。しかしながら、特に燃料添加DPF触媒の場合、インジェクターの汚染及びその他のエンジン付着物に関連する問題を(しかも可能な限りの最低の添加剤量、従って可能な限りの低費用で)制御しつつ、効果的なDPF触媒及びその他の金属含有添加剤の使用を可能にする組成物を提供することに対する継続的な要望が存在する。
【0006】
燃料添加触媒(FBC)の中では、希土類又は鉄組成物の分散体がDPF再生にとって有効な添加剤であることが知られている。これらのコロイド分散体は、それらが導入された媒体中での良好な分散性、高い経時安定性及び充分な触媒活性を有していなければならない。既知のコロイド分散体はこれらの基準すべてを常に満足するわけではない。例えば、良好な分散性を有しているものの、特にバイオ燃料のようなあるタイプの燃料においては、充分な安定性を有していないというようなことがある。さらに、上記のように、この分散体はインジェクターの汚染の抑制をもたらさなければならない。さらに、燃料中に燃料添加触媒が存在すると、燃料の耐酸化性が(特にバイオ燃料の場合に)低下することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
DPF再生用の活性な添加剤の分散体から成り、良好な安定性を有し、インジェクターの汚染が抑えられ、又は燃料の耐酸化性の低下が抑えられる組成物を提供することに対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第4級アンモニウム塩洗剤(1)を含有する洗剤組成物(A)及びコロイド分散体の形にある活性金属含有化合物(B)を含む組成物を提供する。このコロイド分散体は、有機相と非晶質形態の鉄化合物の粒子と少なくとも1種の両親媒性物質とを含有する。
【0009】
ある実施形態において、本発明の洗剤組成物は、酸素含有洗剤(2)をさらに含む。
【0010】
本発明はまた、上記の洗剤(A)とコロイド分散体(B)との組合せ物を含有する組成物をエンジンの燃料と共にエンジンに供給することによって、内燃エンジンを運転する(作動させる)方法をも提供する。
【0011】
本発明はさらに、燃料と上記組合せ物を含有する組成物とを含有する燃料組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の様々な特徴及び実施形態を、非限定的な例示として以下に記載する。
【0013】
第4級アンモニウム塩洗剤
本発明の組成物は、第4級アンモニウム塩を含む。この第4級アンモニウム塩は、次の(i)と(ii)との反応生成物であることができる:
(i)次の(a)、(b)及び(c)を含むことができる少なくとも1種の化合物:
(a)ヒドロカルビル置換アシル化剤と、該アシル化剤と縮合することができる酸素又は窒素原子を含有する化合物との縮合生成物であって、少なくとも1個の第3アミノ基を有する前記縮合生成物;
(b)少なくとも1個の第3アミノ基を有するポリアルケン置換アミン;及び
(c)ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒド及びアミンから誘導された、少なくとも1個の第3アミノ基を有するマンニッヒ(Mannich)反応生成物;並びに
(ii)化合物(i)の第3アミノ基を第4級窒素に転化させるのに好適な第4級化剤。
前記第4級化剤は、硫酸ジアルキル、ハロゲン化ベンジル、ヒドロカルビル置換カーボネート;ヒドロカルビルエポキシドと酸との組合せ物又はそれらの混合物を含むことができる。
【0014】
以下により詳細に記載する成分(i)(a)、(i)(b)及び(i)(c)の化合物は、第3アミノ基を少なくとも1個含有し、アルキル化工程の後に第3アミノ基を少なくとも1個含有するようにアルキル化されていてよい化合物を包含する。
【0015】
第4級アンモニウム塩の例及びその製造方法は、米国特許第4253980号、同第3778371号、同第4171959号、同第4326973号、同第4338206号及び同第5254138号の各明細書に記載されている。
【0016】
第4級アンモニウム塩は、溶媒の存在下で調製することができ、この溶媒は反応が完了したら除去してもいいし除去しなくてもいい。好適な溶媒には、希釈剤オイル、石油ナフサ及びある種のアルコールが包含されるが、これらに限定されるわけではない。1つに実施形態において、これらのアルコールは少なくとも2個の炭素原子を有し、別の実施形態においては少なくとも4個、少なくとも6個又は少なくとも8個の炭素原子を有する。別の実施形態において、本発明の溶媒は、2〜20個の炭素原子、4〜16個の炭素原子、6〜12個の炭素原子、8〜10個の炭素原子又はちょうど8個の炭素原子を有する。これらのアルコールは通常、2−(C1〜C4アルキル)置換基、即ち、メチル、エチル又はプロピル若しくはブチルの任意の異性体を有する。好適なアルコールの例には、2−メチルヘプタノール、2−メチルデカノール、2−エチルペンタノール、2−エチルヘキサノール、2−エチルノナノール、2−プロピルヘプタノール、2−ブチルヘプタノール、2−ブチルオクタノール、イソオクタノール、ドデカノール、シクロヘキサノール、メタノール、エタノール、プロパン−1−オール、2−メチルプロパン−2−オール、2−メチルプロパン−1−オール、ブタン−1−オール、ブタン−2−オール、ペンタノール及びその異性体、並びにそれらの混合物が包含される。1つに実施形態において、本発明の溶媒には、2−エチルヘキサノール、2−エチルノナノール、2−メチルヘプタノール又はそれらの組合せ物が包含される。1つに実施形態において、本発明の溶媒には、2−エチルヘキサノールが包含される。
【0017】
スクシンイミド第4級アンモニウム塩
1つに実施形態において、第4級塩洗剤は、
(i)(a)ヒドロカルビル置換アシル化剤と、該アシル化剤と縮合することができる酸素又は窒素原子を含有する化合物との縮合生成物であって、少なくとも1個の第3アミノ基を有する前記縮合生成物と、
(ii)化合物(i)の第3アミノ基を第4級窒素に転化させるのに好適な第4級化剤と
の反応生成物を含む。
【0018】
本発明において有用なヒドロカルビル置換アシル化剤には、長鎖炭化水素(一般的にポリオレフィン)と一不飽和カルボン酸又はその誘導体との反応生成物が包含される。
【0019】
好適な一不飽和カルボン酸又はその誘導体には、(i)α,β−一不飽和C4〜C10ジカルボン酸、例えばフマル酸、イタコン酸、マレイン酸;(ii)(i)の誘導体、例えば(i)の酸無水物又はC1〜C5アルコール誘導モノ−若しくはジエステル;(iii)α,β−一不飽和C3〜C10モノカルボン酸、例えばアクリル酸及びメタクリル酸;或は(iv)(iii)の誘導体、例えば(iii)のC1〜C5アルコール誘導エステルが包含される。
【0020】
ヒドロカルビル置換アシル化剤の調製に用いるための好適な長鎖炭化水素には、次の一般式(I):
(R1)(R2)C=C(R3)(CH(R4)(R5)) (I)
(ここで、R1、R2、R3、R4及びR5は独立して水素又は炭化水素ベース基である)
で表される任意のオレフィン結合含有化合物が包含される。ある実施形態において、R3、R4及びR5の内の少なくとも1つは少なくとも20個の炭素原子を有する炭化水素ベース基である。
【0021】
これらの長鎖炭化水素(これはポリオレフィン又はオレフィンポリマーとも称することができる)を上記の一不飽和カルボン酸及び誘導体と反応させることによって、本発明の窒素含有洗剤を調製するために用いられるヒドロカルビル置換アシル化剤が生成される。好適なオレフィンポリマーには、C2〜C20、又はC2〜C5モノオレフィンを主要モル量で含むポリマーが包含される。かかるオレフィンには、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、オクテン−1又はスチレンが包含される。前記ポリマーは、ポリイソブチレンのようなホモポリマー及び2種以上のかかるオレフィンのコポリマーであることができる。好適なコポリマーには、エチレンとプロピレンとのコポリマー、ブチレンとイソブチレンとのコポリマー及びプロピレンとイソブチレンとのコポリマーが包含される。その他の好適なコポリマーには、コポリマーの少モル量のモノマー(即ち1〜10モル%)がC4〜C18ジオレフィンであるものが包含される。かかるコポリマーには、イソブチレンとブタジエンとのコポリマー、及びエチレンとプロピレンと1,4−ヘキサジエンとのコポリマーが包含される。
【0022】
1つに実施形態において、上記の式(I)中の−R基の内の少なくとも1つは、ポリブテンから誘導され、即ち1−ブテン、2−ブテン及びイソブチレンを含むC4オレフィンのポリマーから誘導される。C4 ポリマーには、ポリイソブチレンが包含される。別の実施形態において、式(I)中の−R基の内の少なくとも1つは、エチレン−プロピレン−ジエンポリマーを含めたエチレン/α−オレフィンポリマーから誘導される。エチレン/α−オレフィンコポリマー及びエチレン/低級オレフィン/ジエンターポリマーを記載した文献の例には、米国特許第3598738号、同第4026809号、同第4032700号、同第4137185号、同第4156061号、同第4320019号、同第4357250号、同第4658078号、同第4668834号、同第4937299号及び同第5324800号の各明細書が包含される。
【0023】
別の実施形態において、式(I)のオレフィン結合は、主として次式:
【化1】

(ここで、各Rはヒドロカルビル基である)
で表されるビニリデン基であり、ある実施形態においては、
【化2】

(ここで、Rはヒドロカルビル基である)
であることができる。
【0024】
1つに実施形態において、式(I)のビニリデン含有量は、少なくとも30モル%のビニリデン基、少なくとも50モル%のビニリデン基又は少なくとも70モル%のビニリデン基を占めることができる。かかる物質及び調製方法は、米国特許第5071919号、同第5137978号、同第5137980号、同第5286823号、同第5408018号、同第6562913号、同第6683138号及び同第7037999号の各明細書並びに米国特許出願公開第2004/0176552A1号、同第2005/0137363号及び同第2006/0079652A1号の各明細書に記載されている。かかる物質は、BASF社からGLISSOPALTMの商品名で、そしてTexas PetroChemical LP社からTPC 1105TM及びTPC 595TMの商品名で、商品として入手できる。
【0025】
一不飽和カルボン酸反応成分と式(I)の化合物との反応からヒドロカルビル置換アシル化剤を製造する方法は、当技術分野においてよく知られており、米国特許第3361673号、同第3401118号、同第3087436号、同第3172892号、同第3272746号、同第3215707号、同第3231587号、同第3912764号、同第4110349号、同第4234435号、同第6077909号及び同第6165235号の各明細書に開示されている。
【0026】
別の実施形態において、ヒドロカルビル置換アシル化剤は、式(I)で表される化合物と次式で表される少なくとも1種のカルボン酸反応成分との反応から作ることができる。
【化3】

及び
【化4】

ここで、各R6、R8及びR9は独立してH又はヒドロカルビル基であり、R7は二価ヒドロカルビレン基であり、nは0又は1である。かかる化合物は及びそれらの製造方法は、米国特許第5739356号、同第5777142号、同第5786490号、同第5856524号、同第6020500号及び同第6114547号の各明細書に開示されている。
【0027】
さらに別の実施形態において、ヒドロカルビル置換アシル化剤は、式(I)で表される任意の化合物と式(IV)又は式(V)で表される任意の化合物とから、少なくとも1種のアルデヒド又はケトンの存在下で反応を実施することによって、作ることができる。好適なアルデヒドには、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタアルデヒド、オクタナール、ベンズアルデヒド及びより高級のアルデヒドが包含される。その他のアルデヒド、例えばジアルデヒド、特にグリオキサールも有用であるが、一般的にはモノアルデヒドが好ましい。1つに実施形態において、アルデヒドはホルムアルデヒドであり、これはしばしばホルマリンと称される水溶液状で供給することができるが、パラホルムアルデヒドと称されるポリマー状で用いることの方がもっと多い。パラホルムアルデヒドは、ホルムアルデヒドの反応性同等物及び/又はホルムアルデヒド源と考えられる。他の反応性同等物には、水和物や環状三量体が包含される。好適なケトンには、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、並びにその他のケトンが包含される。ある実施形態において、ケトンの2つのヒドロカルビル基の内の1つはメチル基である。また、2種以上のアルデヒド及び/又はケトンの混合物も有用である。かかるヒドロカルビル置換アシル化剤及びそれらの製造方法は、米国特許第5840920号、同第6147036号及び同第6207839号の各明細書に開示されている。
【0028】
別の実施形態において、ヒドロカルビル置換アシル化剤には、メチレンビスフェノールアルカン酸化合物が包含され得る。かかる化合物は、
(i)次式:
m−Ar−Zc (VI)
の芳香族化合物と、
(ii)上記の式(IV)及び式(V)の化合物のような少なくとも1種のカルボン酸反応成分と
の縮合生成物であることができる。
[ここで、式(VI)中、
各Rは独立してヒドロカルビル基であり、
mは0又は1〜6までの整数であり、但し、mは置換のために利用可能な対応するAr基の原子価数を超えないものとし、
Arは5〜30個の炭素原子と、随意としての0〜3個の置換基(例えばアミノ、ヒドロキシ−若しくはアルキル−ポリオキシアルキル、ニトロ、アミノアルキル、及びカルボキシ基)又はこの随意としての置換基2種以上の組合せ物とを有する芳香族基又は部分であり、
Zは−OH、−O、低級アルコキシ基又は−(OR10)bOR11(ここで、各R10は独立して二価ヒドロカルビル基であり、bは1〜30の数であり、R11は−H又はヒドロカルビル基であり、cは1〜3の範囲の整数である)である。]
【0029】
1つに実施形態において、芳香族部分上の少なくとも1つのヒドロカルビル基は、ポリブテンから誘導される。1つに実施形態において、上記のヒドロカルビル基の供給源は、三塩化アルミニウムや三フッ化ホウ素のようなルイス酸の存在下でのイソブチレンの重合によって得られるポリブテンである。
【0030】
かかる化合物は及びそれらの製造方法は、米国特許第3954808号、同第5336278号、同第5458793号、同第5620949号、同第5827805号及び同第6001781号の各明細書に開示されている。
【0031】
別の実施形態において、(i)と(ii)との、随意に酸性触媒、例えば有機スルホン酸、ヘテロポリ酸及び無機酸等の存在下における反応は、少なくとも1種のアルデヒド又はケトンの存在下で実施することができる。この実施形態において用いられるアルデヒド又はケトン反応成分は、上に記載したものと同じである。かかる化合物及びそれらの製造方法は、米国特許第5620949号明細書に開示されている。
【0032】
さらに別の好適なヒドロカルビル置換アシル化剤の製造方法は、米国特許第5912213号、同第5851966号及び同第5885944号明細書に見出すことができる。
【0033】
スクシンイミド第4級アンモニウム塩洗剤は、上記のヒドロカルビル置換アシル化剤と、該アシル化剤と縮合することができる酸素又は窒素原子を含有する化合物とを反応させることによって、誘導される。1つに実施形態において、好適な化合物は、第3アミノ基を少なくとも1個含有する。
【0034】
1つに実施形態において、この化合物は、次式の内の1つによって表すことができる。
【化5】

及び
【化6】

ここで、式(VII)及び式(VIII)の両方について、各Xは独立して1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、各Rは独立してヒドロカルビル基である
【0035】
好適な化合物には、以下のものが包含されるが、これらに限定されるわけではない:1−アミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピペリジン、1−(3−アミノプロピル)−2−ピペコリン、1−メチル−(4−メチルアミノ)ピペリジン、1−アミノ−2,6−ジメチルピペリジン、4−(1−ピロリジニル)ピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N−ジエチル−N’−メチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン、3−ジメチルアミノプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、3−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,2,2−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、2−アミノ−5−ジエチルアミノペンタン、N,N,N’,N’−テトラエチルジエチレントリアミン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、3,3’−イミノビス(N,N−ジメチルプロピルアミン)、又はそれらの組合せ物。ある実施形態において、用いられるアミンは、3−ジメチルアミノプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、又はそれらの組合せ物である。
【0036】
好適な化合物にはさらに、アミノアルキル置換ヘテロ環式化合物、例えば1−(3−アミノプロピル)イミダゾール及び4−(3−アミノプロピル)モルホリン、1−(2−アミノエチル)ピペリジン、3,3−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、3’3−アミノビス(N,N−ジメチルプロピルアミン)が包含される。これらは、前のリストで挙げたものである。
【0037】
アシル化剤と縮合することができる第3アミノ基含有窒素又は酸素含有化合物には、さらに、アルカノールアミンが包含され、このアルカノールアミンには、トリエタノールアミン、トリメタノールアミン、N,N−ジメチルアミノプロパノール、N,N−ジエチルアミノプロパノール、N,N−ジエチルアミノブタノール、N,N,N−トリス(ヒドロキシエチル)アミン、及びN,N,N−トリス(ヒドロキシメチル)アミンが包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0038】
本発明のスクシンイミド第4級アンモニウム塩洗剤は、上記の反応生成物(ヒドロカルビル置換アシル化剤と、該アシル化剤と縮合することができる酸素又は窒素原子を含有し且つさらに少なくとも1個の第3アミノ基を含有する化合物との反応生成物)と、第3アミノ基を第4級窒素に転化させるのに好適な第4級化剤とを一緒にすることによって、形成される。好適な第4級化剤は、以下により詳細に論じる。ある実施形態において、これらの調製は、上記のように、生で実施することもでき、溶媒の存在下で実施することもできる。非限定的な例として、スクシンイミド第4級アンモニウム塩の調製を以下に提供する。
【0039】
例Q−1
数平均分子量1000の高ビニリデンポリイソブチレンと無水マレイン酸とを反応させることによって調製されたポリイソブチレンコハク酸無水物(100pbw)を80℃に加熱し、撹拌機、凝縮器、サブラインの添加パイプに取付けられた供給ポンプ、窒素ライン及び熱電対/温度制御システムを備えたジャケット付き反応容器に装入する。この反応容器を100℃に加熱する。ジメチルアミノプロピルアミン(10.9pbw)を反応に、バッチ温度を120℃以下に保ちながら、8時間かけて装入する。次いで反応混合物を150℃に加熱し、温度を4時間保って、第4級化されていないスクシンイミド洗剤を得る。
【0040】
第4級化されていないスクシンイミド洗剤の一部(100pbw)を次いで同様の反応容器に装入する。酢酸(5.8pbw)及び2−エチルヘキサノール(38.4pbw)をこの容器に加え、この混合物を撹拌して75℃に加熱する。プロピレンオキシド(8.5pbw)をこの反応容器に4時間かけて加え、反応温度を75℃に保つ。このバッチをこの温度に4時間保つ。得られた生成物は、第4級化されたスクシンイミド洗剤を含有していた。
【0041】
例Q−2:
第4級化されていないスクシンイミド洗剤を、上記のポリイソブチレンコハク酸無水物(100pbw)と希釈剤オイルpilot 900(17.6pbw)との混合物から、次のようにして調製する。まず、この混合物を窒素雰囲気下で110℃において撹拌しながら加熱する。ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA、10.8pbw)を、115℃以下のバッチ温度を維持しながら、45分かけてゆっくり加える。反応温度を150℃に上昇させ、さらに3時間保つ。得られた化合物は、DMAPAスクシンイミドの第4級化されていない洗剤である。この第4級化されていないスクシンイミド洗剤の一部(100pbw)を撹拌しながら90℃に加熱する。硫酸ジメチル(6.8pbw)を反応容器に装入し、窒素シール下で300rpmにおいて撹拌を再開する。その結果としての発熱がバッチ温度を約100℃に上昇させる。反応を100℃に3時間保った後に、冷ましてデカンテーションする。得られた生成物は、硫酸ジメチル第4級アンモニウム塩を含有する。
【0042】
ポリアルケン置換アミン第4級アンモニウム塩
1つに実施形態において、第4級アンモニウム塩は、(i)(b)少なくとも1個の第3アミノ基を有するポリアルケン置換アミンと(ii)化合物(i)の第3アミノ基を第4級窒素に転化させるのに好適な第4級化剤との反応生成物である。
【0043】
好適なポリアルケン置換アミンは、オレフィンポリマーと、アンモニア、モノアミン、ポリアミン又はそれらの混合物のようなアミンとから誘導することができる。これらは、様々な方法によって調製することができる。好適なポリアルケン置換アミン又はそれらが誘導されるアミンは、第3アミノ基を含有するか、又は、第4級化剤と反応させた時にポリアルケン置換アミンが少なくとも1個の第3アミノ基を含有する限り、第3アミノ基を含有するまでアルキル化することができる。
【0044】
ポリアルケン置換アミンの1つの調製方法としては、米国特許第3275554号、同第3438757号、同第3454555号、同第3565804号、同第3755433号及び同第3822289号の各明細書に開示されたように、ハロゲン化オレフィンポリマーとアミンとを反応させることを伴うものがある。
【0045】
ポリアルケン置換アミンの別の調製方法としては、米国特許第5567845号及び同第5496383号の各明細書に開示されたように、ヒドロホルミル化オレフィンとポリアミンとを反応させ、この反応生成物を水素化することを伴うものがある。
【0046】
ポリアルケン置換アミンの別の調製方法としては、米国特許第5350429号明細書に開示されたように、ポリアルケンを触媒を用いて又は用いずに慣用のエポキシ化試薬によって対応するエポキシドに転化させ、このエポキシドを還元性アミノ化条件下でアンモニア又はアミンと反応させることによってポリアルケン置換アミンに転化させることを伴うものがある。
【0047】
ポリアルケン置換アミンの別の調製方法としては、米国特許第5492641号明細書に開示されたように、アミンをニトリルと反応させることによって作られたβ−アミノニトリルを水素化することを伴うものがある。
【0048】
ポリアルケン置換アミンのさらに別の調製方法としては、米国特許第4832702号、同第5496383号及び同第5567845号の各明細書に開示されたように、ポリブテン又はポリイソブチレンをCO、H2及びNH3の存在下で高温高圧においてロジウム又はコバルトのような触媒によりヒドロホルミル化することを伴うものがある。
【0049】
ポリアルケン置換アミンを調製するための上記の方法は、単に例示目的のものであり、網羅的なリストを意味するものではない。本発明のポリアルケン置換アミンは、上に開示されたそれらの調製方法の範囲に限定されるものではない。
【0050】
前記ポリアルケン置換アミンは、オレフィンポリマーから誘導することができる。本発明のポリアルケン置換アミンを調製するための好適なオレフィンポリマーは、上記のものと同じである。
【0051】
前記ポリアルケン置換アミンは、アンモニア、モノアミン、ポリアミン又はそれらの混合物(異なるモノアミンの混合物、異なるポリアミンの混合物及びモノアミンとポリアミン(ジアミンを含む)との混合物を含む)から誘導することができる。好適なアミンには、脂肪族、芳香族、ヘテロ環式及び炭素環式アミンが包含される。
【0052】
1つに実施形態において、前記アミンは、次式:
1213NH (IX)
(ここで、R12及びR13はそれぞれ独立して水素、炭化水素、アミノ置換炭化水素、ヒドロキシ置換炭化水素、アルコキシ置換炭化水素、又はアシルイミドイル基であり、但し、R12及びR13の両方が水素であることはできない)
によって特徴付けることができる。このアミンは、少なくとも1種の第1アミン(H2N−)又は第2アミン(H−N<)基の存在によって特徴付けることができる。これらのアミン又はそれらを用いて調製されるポリアルケン置換アミンは、第3アミノ基を少なくとも1個含有することを確実にするために、必要に応じてアルキル化することができる。好適なモノアミンの例には、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、ジブチルアミン、アリルアミン、イソブチルアミン、ココアミン、ステアリルアミン、ラウリルアミン、メチルラウリルアミン、オレイルアミン、N−メチル−オクチルアミン、ドデシルアミン、ジエタノールアミン、モルホリン、及びオクタデシルアミンが包含される。
【0053】
前記洗剤が誘導されるポリアミンには、概ね次式:
【化7】

(ここで、nは典型的には10未満の整数であり、
各R14は独立して水素又は典型的には30個までの炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、
アルキレン基は典型的には8個未満の炭素原子を有するアルキレン基である)
に従うアルキレンアミンが主として包含される。このアルキレンアミンには、主として、エチレンアミン、ヘキシレンアミン、ヘプチレンアミン、オクチレンアミン、その他のポリメチレンアミンが包含される。これらは、特定的には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、デカメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ジ−(ヘプタメチレン)トリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリメチレンジアミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジ−(トリメチレン)トリアミン、アミノプロピルモルホリン及びジメチルアミノプロピルアミンによって例示される。上に例示した2種以上のアルキレンアミンを縮合させることによって得られるもののようなもっと高級な類似体も同様に有用である。テトラエチレンペンタミンが特に有用である。
【0054】
ポリエチレンポリアミンとも称されるエチレンアミンは、特に有用である。これらは、Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk and Othmer, Vol. 5, pp. 898-905, Interscience Publishers, New York (1950)に「Etylene Amines」の見出しで多少詳細に記載されている。
【0055】
上記の任意のポリアルケン置換アミン又はそれらが誘導されるアミンは(第2アミン若しくは第1アミン)は、アルキル化剤を用いてアルキル化して第3アミンにした後に、第4級化剤と反応させて本発明の第4級アンモニウム塩添加剤を生成させることができる。好適なアルキル化剤には、下に論じる第4級化剤が包含される。
【0056】
本発明のポリアルケン置換アミン第4級アンモニウム塩は、上記の反応生成物(第3アミノ基を少なくとも1個有するポリアルケン置換アミン)と第3アミノ基を第4級窒素に転化させるのに好適な第4級化剤とを一緒にすることによって、生成せしめられる。好適な第4級化剤は、以下により一層詳細に論じる。非限定的な例として、ポリアルケン置換アミン第4級アンモニウム塩の調製を以下に提供する。
【0057】
例Q−3
塩素及び塩化水素ガスを取り扱うのに適した装置(ガラス反応器、ガラス撹拌機、PTFEジョイント、熱電対用ガラスサーモウェル)を水酸化ナトリウムスクラバーに連結する。このガラス容器に低ビニリデン1000Mnポリイソブチレン(PIB、100g)を装入し、110〜120℃に加熱する。この反応器に塩素(70g)を7時間かけて吹き込む。次いでこの反応混合物を110〜120℃において一晩窒素でスパージして、HClを除去する。
【0058】
得られたPIBクロリドをオートクレーブに移し、このオートクレーブを密封する。PIBクロリド1モル(約1030g)に対して気体状ジメチルアミン(DMA)1モル(45g)を加え、反応を160〜170℃に加熱して8時間、又は圧力が低下しなくなるまで、保つ。反応を室温まで冷まし、圧力を解放する。充分なSolvessoTM 150溶媒を加えて70%(w/w)活性溶液を作り、反応を均質になるまで撹拌する。得られたポリイソブテン−ジメチルアミン(PIB−DMA)溶液を分液漏斗に移し、2M水酸化ナトリウム溶液で2回洗浄してHCl及びNaClを取り除く。分離後に、生成物をMgSO4で乾燥させ、CeliteTMパッドを通して濾過する。
【0059】
得られたPIB−DMA溶液(70%活性溶液41g)をガラス反応容器に装入し、室温において撹拌する。硫酸ジメチル(3.3g)を1分かけて滴下して第4級アンモニウム塩を提供する。この混合物を窒素シール下で室温において1時間撹拌し、サンプル採取してブロモクレゾールグリーン指示薬に対して滴定する。得られた化合物は、ポリアルケン置換アミンの第4級アンモニウム塩洗剤だった。
【0060】
マンニッヒ第4級アンモニウム塩
1つに実施形態において、第4級アンモニウム塩は、(i)(c)マンニッヒ反応生成物と(ii)化合物(i)の第3アミノ基を第4級窒素に転化させるのに好適な第4級化剤との反応生成物である。好適なマンニッヒ反応生成物は、第3アミノ基を少なくとも1個有し、ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒド及びアミンの反応から調製される。
【0061】
ヒドロカルビル置換フェノールのヒドロカルビル置換基は、10〜400個の炭素原子を有し、別の例では30〜180個の炭素原子を有し、さらなる例では10又は40〜110個の炭素原子を有する。このヒドロカルビル置換基は、オレフィン又はポリオレフィンから誘導することができる。有用なオレフィンには、商品として入手できるα−オレフィン、例えば1−デセンが包含される。好適なポリオレフィンには、上の項で記載したものが包含される。ヒドロカルビル置換フェノールは、よく知られたアルキル化方法を用いてフェノールをこれらの好適なオレフィン又はポリオレフィンの内の1つ、例えばポリイソブチレン又はポリプロピレンによってアルキル化することによって、調製することができる。
【0062】
マンニッヒ洗剤を生成させるために用いられるアルデヒドは、1〜10個の炭素原子を有することができ、一般的にホルムアルデヒド又はその反応性同等物、例えばホルマリン又はパラホルムアルデヒドである。
【0063】
マンニッヒ洗剤を生成させるために用いられるアミンは、モノアミン又はポリアミンであることができる。本発明のマンニッヒ反応生成物を調製するのに好適なアミンは、前の項で記載したものと同じである。
【0064】
1つに実施形態において、マンニッヒ洗剤は、米国特許第5697988号明細書に記載されたように、ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒド及びアミンを反応させることによって調製される。1つに実施形態において、マンニッヒ反応生成物は、ポリイソブチレンから誘導されたアルキルフェノール;ホルムアルデヒド;及び第1モノアミン、第2モノアミン又はアルキレンジアミンから、調製される。かかる実施形態の内のいくつかにおいて、アミンはエチレンジアミン又はジメチルアミンである。好適なマンニッヒ反応生成物を調製するための別の方法は、米国特許第5876468号及び同第5876468号の各明細書に見出すことができる。
【0065】
上で論じたように、前記のアミンの内にいくつかについては、第3アミノ基を得るために、マンニッヒ反応生成物とエポキシド若しくはカーボネート又はその他のアルキル化剤とをさらに反応させることが必要な場合がある。
【0066】
本発明のマンニッヒ第4級アンモニウム塩は、上記の反応生成物(第3アミノ基を少なくとも1個有するマンニッヒ反応生成物)と、第3アミノ基を第4級窒素に転化させるのに好適な第4級化剤とを一緒にすることによって、生成される。好適な第4級化剤は、以下により一層詳細に論じる。非限定的な例として、マンニッヒ第4級アンモニウム塩の調製を以下に提供する。
【0067】
例Q−4
1000Mnポリイソブチレンから調製されたアルキル化フェノール(800g)及びSO-44希釈剤オイル(240g)を上の記載に適合する反応容器に装入する。この容器を窒素シールし、混合物を100rpmにおいて撹拌する。この混合物にホルマリン(55.9g)を50分かけて加える(滴下)。その後に、ジメチルアミン(DMA、73.3g)をさらに50分かけて加える(滴下)。この混合物を68℃に加熱して1時間保つ。この混合物を次いで106℃に加熱してさらに2時間保つ。次いで混合物の温度を130℃に上昇させて30分保ち、その後に昆布を周囲温度まで冷ます。この混合物を真空蒸留(130℃、−0.9バール)によって精製して残留水を除去して、DMAマンニッヒを得た。
【0068】
このDMAマンニッヒ(1700g)を反応容器に加える。この容器にスチレンオキシド(263g)、酢酸(66g)及びメタノール(4564g)を加え、この混合物を窒素シール下で撹拌しながら6.5時間加熱還流する(約75℃)。反応を真空蒸留(30℃、−0.8バール)する。得られた化合物はマンニッヒ第4級アンモニウム塩洗剤である。
【0069】
第4級化剤
上記の任意の第4級アンモニウム塩洗剤を調製するのに好適な第4級化剤には、硫酸ジアルキル、ハロゲン化ベンジル、ヒドロカルビル置換カーボネート、酸と組み合わせて用いられるヒドロカルビルエポキシド、又はそれらの混合物が包含される。
【0070】
1つに実施形態において、第4級化剤には、クロリド、ヨージド若しくはブロミド等のハライド;ヒドロキシド;スルホネート;ジメチルサルフェート等のアルキルサルフェート;スルトン;ホスフェート;C1〜C12アルキルホスフェート;ジ−C1〜C12アルキルホスフェート;ボレート;C112アルキルボレート;亜硝酸塩;硝酸塩;カーボネート;ビカーボネート;アルカノエート;O,O−ジ−C1〜C12アルキルジチオホスフェート;又はそれらの混合物が包含される。
【0071】
1つに実施形態において、第4級化剤は、硫酸ジメチル等の硫酸ジアルキル;N−オキシド;プロパン若しくはブタンスルトン等のスルトン;塩化、臭化若しくはヨウ化メチル及びエチルや塩化ベンジル等のハロゲン化アルキル、アシル若しくはアラルキル;ヒドロカルビル(若しくはアルキル)置換カーボネート;又はそれらの組合せ物であることができる。ハロゲン化アラルキルが塩化ベンジルである場合、芳香環はさらにアルキル又はアルケニル基で随意に置換されていてよい。
【0072】
ヒドロカルビル置換カーボネートのヒドロカルビル(又はアルキル)基は、基1個当たり1〜50個、1〜20個、1〜10個又は1〜5個の炭素原子を有することができる。1つに実施形態において、ヒドロカルビル置換カーボネートは、2個の同一であっても異なっていてもよいヒドロカルビル基を含有する。好適なヒドロカルビル置換カーボネートの例には、ジメチル又はジエチルカーボネートが包含される。
【0073】
別の実施形態において、第4級化剤は、次式:
【化8】

(ここで、R15、R16、R17及びR18は独立してH又はC1〜C50ヒドロカルビル基であることができる)
で表されるヒドロカルビルエポキシドであることができる。好適なヒドロカルビルエポキシドの例には、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチルベンオキシド、C2〜C50エポキシド、又はそれらの組合せ物が包含される。
【0074】
ヒドロカルビルエポキシドを含む上記の任意の第4級化剤は、酸と組み合わせて用いることができる。好適な酸には、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸が包含される。
【0075】
酸素含有洗剤
ある実施形態において、本発明の洗剤組成物は、酸素含有洗剤を含む。酸素含有洗剤は、酸の形の少なくとも2個のカルボキシ官能基又は酸無水物の形の少なくとも1個のカルボキシ官能基で置換された炭化水素を含むことができる。ある実施形態において、この添加剤は、酸又は酸無水物の形の少なくとも2個のカルボキシ官能基で置換された炭化水素である。別の実施形態において、この添加剤は、ヒドロカルビル置換コハク酸アシル化剤である。別の実施形態において、この置換炭化水素添加剤は、二量体酸化合物である。さらに別の実施形態において、本発明の置換炭化水素添加剤には、この項に記載した2種以上の添加剤の組合せ物が包含される。
【0076】
好適な置換炭化水素添加剤には、二量体酸が包含される。二量体酸は、脂肪酸及び/又は酸官能基を含有するポリオレフィン(本明細書に記載したポリアルケンを含む)から誘導されるタイプのジ酸ポリマーである。ある実施形態において、本発明において用いられる二量体酸は、C10〜C20、C12〜C18及び/又はC16〜C18ポリオレフィンから誘導される。
【0077】
これらの置換炭化水素添加剤は、コハク酸、ハライド、酸無水物及びそれらの組合せ物が包含される。ある実施形態においてはこの添加剤は酸又は酸無水物であり、別の実施形態においてはこの添加剤は酸無水物であり、さらに別の実施形態においてこの添加剤や加水分解させた酸無水物である。置換炭化水素添加剤の炭素及び/又はヒドロカルビル置換コハク酸アシル化剤の第1級ヒドロカルビル基は一般的に平均して少なくとも8個、又は30個、又は35個であって350個まで、又は200個まで、又は100個までの炭素原子を有する。1つに実施形態において、ヒドロカルビル基はポリアルケンから誘導される。
【0078】
好適なポリアルケンには、2〜16個又は2〜6個又は2〜4個の炭素原子を有する重合性オレフィンモノマーのホモポリマー及びインターポリマーが包含される。好適なオレフィン及びポリオレフィンには、上の項に記載した任意のものが包含される。ある実施形態において、オレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン及び1−オクテン等のモノオレフィン;又はジオレフィン性モノマー等のポリオレフィン性モノマー、例えば1,3−ブタジエン及びイソプレンである。1つに実施形態において、インターポリマーはホモポリマーである。ポリマーの例には、ポリブテンがある。1つの場合において、ポリブテンの50%がイソブチレンから誘導される。ポリアルケンは、慣用の手順で調製される。
【0079】
1つに実施形態において、前記ヒドロカルビル基は、少なくとも1300又は1500又は1600であって5000まで又は3000まで又は2500まで又は2000まで又は1800までのnを有するポリアルケンから誘導され、Mw/Mnは1.5又は1.8又は2又は2.5〜3.6又は3.2である。ある実施形態において、前記ポリアルケンは、分子量800〜1200のポリイソブチレンである。
【0080】
別の実施形態において、置換炭化水素及び/又はコハク酸アシル化剤は、上記のポリアルケンと過剰量の無水マレイン酸とを反応させて、置換基1当量についてのコハク酸基の数が少なくとも1.3又は1.5又は1.7又は1.8である置換コハク酸アシル化剤を得ることによって調製される。この最大数は一般的に4.5を超えず、又は2.5まで、又は2.1まで、又は2.0までである。ここでのポリアルケンは、上記のものの内にいずれかであることができる。別の実施形態において、前記炭化水素及び/又はヒドロカルビル基は、平均して8個、又は10個、又は12個〜40個まで、又は30個まで、又は24個まで、又は20個までの炭素原子を有する。1つに実施形態において、前記ヒドロカルビル基は、平均して16〜18個の炭素原子を有する。
【0081】
前記オレフィン、オレフィンオリゴマー又はポリアルケンは、オレフィン、オレフィンオリゴマー又はポリアルケン1モル当たり少なくとも1モルのカルボン酸が存在するようにしてカルボン酸試薬と反応させることができる。
【0082】
有用なアシル化剤を調製するための様々な手順を記載した特許文献の例には、米国特許第3172892号、同第3215707号、同第3219666号、同第3231587号、同第3912764号、同第4110349号及び同第4234435号の各明細書が包含される。
【0083】
ある実施形態において 前記置換炭化水素添加剤及び/又はヒドロカルビル置換コハク酸アシル化剤は、ジ酸官能基を含有する。ある実施形態において、前記ヒドロカルビル置換コハク酸アシル化剤のヒドロカルビル基はポリイソブチレンから誘導され、前記の剤のジ酸官能基はヒドロカルビル置換コハク酸等のカルボン酸基から誘導される。ある実施形態において、前記ヒドロカルビル置換アシル化剤は、ヒドロカルビル置換コハク酸無水物基を1個以上含む。ある実施形態において、前記ヒドロカルビル置換アシル化剤は、加水分解されたヒドロカルビル置換コハク酸無水物基を1個以上含む。
【0084】
ある実施形態において、前記酸素含有洗剤は、コハク酸無水物又はコハク酸ヘッド基を有するポリイソブチレン化合物である。前記酸素含有洗剤は、ポリイソブチレンコハク酸無水物及び/又はその加水分解生成物であることができる。好適な酸素含有洗剤の調製は、国際公開WO2006/063161A2号に記載されている。
【0085】
非限定的な例として、2種の酸素含有洗剤の調製を以下に提供する。
【0086】
例O−1
シールされた容器中に100℃においてGlissopalTM 1000(18.18kg)を装入する。この容器を167℃に加熱し、真空にする。次いでこの容器を175℃に加熱しながら窒素雰囲気(1バール)によって加圧する。材料が175℃に達したら、トレース配管を備えたジャケット付きシリンジポンプ(ISCOポンプ)によって無水マレイン酸(2.32kg)を約9時間かけて加える。無水マレイン酸を供給している間に反応温度が175℃からゆっくり上昇して装入終了時に225℃になった。次いで反応を225℃にさらに10時間保つ。得られたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA)は、100oCにおいて570cSt(mm/秒)の動粘性率及び127mgKOH/gの合計酸価(TAN)を有していた。
【0087】
例O−2
例O−1のPIBSA(340g)を反応容器に装入し、PilotTM 900(60g)と混合する。容器の内容物を400rpmにおいて1時間撹拌し、次いで90℃に加熱する。次いでこの容器に窒素を装入して不活性雰囲気にする。この混合物に水(5.9g)を10分かけて加える。次いでこの混合物を2時間撹拌する。得られた加水分解されたPIBSAは、163mg/KOHの総酸価及び100℃において500mm/秒(cSt)の動粘性率を有していた。生成した生成物は、85重量%の加水分解生成物及び15重量%のPilot(登録商標)900を含有していた。カルボニル対水の比は0.5:1だった。
【0088】
本発明の洗剤組成物が第4級アンモニウム塩洗剤と酸素含有洗剤との両方を含有する場合、第4級アンモニウム塩洗剤対酸素含有洗剤の重量比は1:10〜10:1、1:8〜8:1、1:1〜8:1又は3:1〜7:1であることができ、すべての重量比は溶媒なしを基準とする。別の実施形態においてこの重量比は、2:1〜4:1であることができる。
【0089】
本明細書において用いた場合、用語「ヒドロカルビル置換基」や「ヒドロカルビル基」は、当業者によく知られたその通常の意味で用いられる。これは特定的には、その分子の残りの部分に直接結合した炭素原子を有し且つ優勢的炭化水素特徴を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例には、炭化水素置換基、即ち脂肪族(例えばアルキル又はアルケニル)、脂環式(例えばシクロアルキル, シクロアルケニル)置換基、並びに芳香族−、脂肪族−及び脂環式基置換芳香族置換基、並びに環が分子の別の部分を介して完了している環状置換基(例えば2個の置換基が一緒になって環を形成する);置換炭化水素置換基、即ち本発明において当該置換基の優勢的炭化水素特徴を変化させない非炭化水素基(例えばハロ(特にクロロ及びフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、及びスルホキシ)を含有する置換基;ヘテロ置換基、即ち、優勢的炭化水素特徴を有していながら本発明において炭素原子から成る環又は鎖中に炭素以外のものを含有する置換基:が包含される。ヘテロ原子には、硫黄、酸素、窒素が包含され、ピリジル、フリル、チエニル及びイミダゾリル等の置換基を包含する。一般的に、ヒドロカルビル基中の炭素原子10個当たりに2個以下、好ましくは1個以下の非炭化水素置換基が存在する;典型的には、ヒドロカルビル基中に非炭化水素置換基は存在しない。
【0090】
金属含有燃料触媒
本発明の組成物は、金属含有燃料触媒を含む。
【0091】
この金属含有燃料触媒は、有機相と非晶質形態の鉄化合物の粒子と少なくとも1種の両親媒性物質とを含むコロイド分散体の形にある。
【0092】
本明細書において、「コロイド分散体」という表現は、液相中の懸濁状のコロイド寸法の鉄化合物の微細固体粒子によって構成される任意の系を意味し、この粒子は、残留量の結合したイオン又は吸着したイオン、例えば酢酸イオン又はアンモニウムイオンを含有していていてもよい。かかる分散体において、鉄は完全にコロイドの形にあってもいいし、イオンの形とコロイドの形とが同時に存在していてもよいことに留意されたい。
【0093】
本発明の分散体は、有機相中の分散体である。この有機相は、分散体の用途に応じて選択される。この有機相は、無極性炭化水素をベースとすることができる。
【0094】
好適な有機相の例には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン又はノナン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロペンタン又はシクロヘプタン等の不活性脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン又は液体ナフタレン等の芳香族炭化水素が包含される。また、ISOPARやSOLVESSO(EXXON社の登録商標)の石油留分、特にメチルエチルベンゼンとトリメチルベンゼンとの混合物を本質的に含有するSOLVESSO 100、アルキルベンゼンの混合物、特にジメチルベンゼンとテトラメチルベンゼンとの混合物を含むSOLVESSO 150、並びにイソパラフィンとシクロパラフィン系C−11及びC−12炭化水素とを本質的に含有するISOPARも好適である。
【0095】
また、クロロベンゼン若しくはジクロロベンゼン又はクロロトルエン等の塩素化炭化水素を有機相として用いることもできる。エーテル類並びに脂肪族及び環状脂肪族ケトン、例えばジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン又はメシチルオキシド等も考えられる。
【0096】
明らかに、有機相は上記のタイプの2種以上の炭化水素の混合物をベースとすることができる。
【0097】
本発明の分散体の粒子は鉄化合物の粒子であり、その組成は本質的に鉄酸化物及び/又は水酸化物及び/又はオキシ水酸化物に本質的に相当する。鉄は本質的に酸化状態3で存在するのが一般的である。この粒子はまた、錯化剤をも含有する。錯化剤は、そのままで又は鉄錯体の形で分散体を調製するための方法に用いられるものに相当する。
【0098】
本発明の分散体の粒子は、非晶質の鉄化合物をベースとする。この非晶質特徴は、X線分析によって示すことができ、得られるX線図は何ら有意のピークを示さない。
【0099】
本発明の1つの特徴に従えば、鉄化合物の少なくとも85%、より特定的には少なくとも90%、さらにより一層特定的には少なくとも95%が一次粒子である。用語「一次粒子」とは、完全にばらばら(離散)で他の粒子と凝集しない粒子を意味する。この特徴は、TEM(高解像度透過型電子顕微鏡)を用いて分散体を検査することによって示すことができる。
【0100】
また、基本粒子の凝集度を測定するために低温TEM技術を用いることも可能である。これは、水や芳香族又は脂肪族溶剤等の有機希釈剤、例えばSOLVESSO及びISOPAR、又はエタノール等のある種のアルコールである中性媒体中で凍結させたサンプルの透過電子顕微鏡(TEM)検査を可能にする。
【0101】
凍結は、水性サンプルについては液状エタン中、その他については液体窒素中で、厚さ約50nm〜100nmの薄いフィルムに対して実施される。低温TEM技術は、粒子の分散度を維持し、実際の媒体中に存在するものを表す。この分散体の粒子の特徴は、その安定性に寄与する。
【0102】
さらに、本発明の分散体中の鉄化合物の粒子は、微細な粒度分布を有する。これらは、1nm〜5nmの範囲、より特定的には3nm〜4nmの範囲のd50を有する。このd50は、粒子の50%がその範囲の寸法以下の寸法を示すような粒子寸法を表す。
【0103】
この粒度分布は、銅グリッド上に保持された炭素膜上で乾燥させたサンプルを用いて慣用の態様で透過型電子顕微鏡(TEM)によって、測定される。
【0104】
このサンプル調製技術は、粒子寸法測定においてより一層良好な精度を可能にするので、好ましい。測定について選択されるゾーンは、低温TEMにおいて観察されるものと同様の分散度を有するものである。
【0105】
本発明の分散体の粒子は、等方性形態を有し、特に最大でも2の比L(最大寸法)/l(最小寸法)を有することができる。
【0106】
本発明の有機コロイド分散体は、少なくとも1種の両親媒性物質を有機相と共に含む。この両親媒性物質は、一般的に10〜50個、好ましくは15〜25個の炭素原子を有するカルボン酸であることができる。
【0107】
この酸は、直鎖状又は分岐鎖状であることができる。これは、アリール、脂肪族又はアリール脂肪族酸から選択することができ、これらは随意にその他の官能基を有していてもよいが、これらの官能基は本発明の分散体が用いられる媒体中で安定であることを条件とする。かくして、例えば脂肪族カルボン酸、脂肪族スルホン酸、脂肪族ホスホン酸、アルキルアリールスルホン酸及びアルキルアリールホスホン酸(天然又は合成に拘わらず)を用いることができる。もちろん、酸の混合物を用いることもできる。
【0108】
挙げることができる例には、トール油、大豆油、獣脂、亜麻仁油、オレイン酸、リノール酸、ステアリン酸及びそれらの異性体、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸、ヘキサン酸、トルエンスルホン酸、トルエンホスホン酸、ラウリルスルホン酸、ラウリルホスホン酸、パルミチルスルホン酸及びパルミチルホスホン酸が包含される。
【0109】
本発明内で、両親媒性物質はまた、ポリオキシエチレン化アルキルエーテルホスフェートから選択することもできる。これは、次式:
【化9】

のホスフェート又は次式:
【化10】

を有するポリオキシエチレン化ジアルキルホスフェートを意味する。
【0110】
これら式中、R1、R2及びR3は同一であっても異なっていてもよく、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、特に2〜20個の炭素原子を有するもの;フェニル基;アルキルアリール基、より特定的にはアルキルフェニル基、特に8〜12個の炭素原子を有するアルキル鎖を有するもの;又はアリールアルキル基、より特定的にはフェニルアルキル基、特に8〜12個の炭素原子を有するアルキル鎖を有するものを表し、
nはエチレンオキシド単位の数を表し、これは例えば0〜12であることができ、
Mは水素、ナトリウム又はカリウム原子を表す。
【0111】
特に、R1はヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オレイル又はノニルフェニル基であることができる。
【0112】
これらのタイプの両親媒性化合物の例には、Rhodia社よりLUBROPHOS(登録商標)及びRHODAFAC(登録商標)の商品名で販売されているもの、特に次の製品:RHODAFAC(登録商標)RAポリオキシエチレン(C8〜C10)アルキルエーテルホスフェート;RHODAFAC(登録商標)RS710又はRS 410ポリオキシエチレントリデシルエーテルホスフェート;RHODAFAC(登録商標)PA 35ポリオキシエチレンオレオデシルエーテルホスフェート;RHODAFAC(登録商標)PA17ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルホスフェート;RHODAFAC(登録商標)RE610ポリオキシエチレン(分岐鎖状)ノニルエーテルホスフェート:が包含される。
【0113】
最後に、両親媒性物質は、式R4−(OC24)n−O−R5
{ここで、R4は直鎖状又は分岐鎖状アルキル基(これは特に4〜2個の炭素原子を有することができる)であり、
nは例えば12までであることができる整数であり、
5は−CH2COOH等のカルボン酸残基である}
を有するポリオキシエチレン化アルキルエーテルカルボキシレートであることができる。このタイプの両親媒性化合物には、Kao Chemicals社よりAKIPO(登録商標)の商品名で販売されているものが包含される。
【0114】
本発明の分散体は、少なくとも8%、より特定的には少なくとも15%、さらにより特定的には少なくとも30%であることができる鉄化合物濃度を有し、この濃度は総分散体重量に対する鉄III酸化物の当量として表したものである。この濃度は40%までであることができる。
【0115】
ここで、本発明の分散体の調製方法を説明する。
【0116】
この方法の第1工程は、錯化剤の存在下の鉄塩又は鉄錯体と塩基とを反応させることから成る。この反応は、水性媒体中で実施される。
【0117】
塩基の特定例は、水酸化物タイプの物質であることができる。アルカリ又はアルカリ土類水酸化物及びアンモニアを挙げることができる。また、第2,第3又は第4級アミンを用いることも可能である。しかしながら、アミン及びアンモニアはアルカリ又はアルカリ土類カチオンによる汚染のリスクを減らすという前提で、好ましいものであり得る。また、尿素を挙げることもできる。
【0118】
任意の水溶性塩を鉄塩として用いることができる。より特定的には、硝酸第二鉄を挙げることができる。
【0119】
本発明の方法の特定的な特徴に従えば、鉄塩を鉄錯化剤の存在下で塩基と反応させる。
【0120】
鉄錯化剤は、pKが少なくとも3であるような錯化定数Kを有する水溶性カルボン酸から選択される。
【0121】
反応
【化11】

(ここで、Lは錯化剤を表す)
について、定数Kは次のように定義される。
【化12】

【0122】
上記の特徴を有する酸には、ギ酸又は酢酸等の脂肪族カルボン酸が包含される。また、酸−アルコール又はポリ酸−アルコールも好適である。挙げることができる酸−アルコールの例には、グリコール酸及び乳酸がある。挙げることができるポリ酸−アルコールは、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸である。
【0123】
その他の好適な酸には、リシン、アラニン、セリン、グリシン、アスパラギン酸又はアルギニン等のアミノ酸が包含される。また、エチレンジアミン四酢酸又はニトリロ三酢酸、式(HCOO−)CH2CH2−CH(COOH)N(CH2COO−H)2のN,N−二酢酸グルタミン酸又はそのナトリウム塩(NaCOO−)CH2CH2−CH(COONa)N(CH2COO−Na)2を挙げることもできる。
【0124】
用いることができるその他の好適な錯化剤には、ポリアクリル酸及びそれらの塩、例えばナトリウムポリアクリレート、及びより特定的には質量平均分子量が2000〜5000の範囲のものがある。
【0125】
最後に、複数の錯化剤を組み合わせて用いることもできるということにも留意されたい。
【0126】
上に示したように、塩基との反応は鉄錯化剤を用いて実施することもできる。この場合、用いられる鉄錯体は、鉄を上記のタイプの錯化剤で錯化した結果の生成物である。この生成物は、鉄塩と錯化剤とを反応させることによって得ることができる。
【0127】
錯化剤/鉄のモル比として表した錯化剤の使用量は、好ましくは0.5〜4の範囲、より特定的には0.5〜1.5の範囲、さらにより特定的には0.8〜1.2の範囲である。
【0128】
鉄塩と塩基との反応は、生成する反応混合物のpHが最大でも8であるような条件下で実施される。より特定的には、このpHは最大7.5であることができ、特に6.5〜7.5の範囲であることができる。
【0129】
水性混合物及び塩基性媒体は、塩基を含有する溶液に鉄塩の溶液を導入することによって接触せしめられる。鉄塩の溶液及び塩基を含有する溶液のそれぞれの流量を調節することによってpH条件を満たしながら接触を連続的に実施することができる。
【0130】
本発明の好ましい実施に当たっては、鉄塩と塩基との反応の際に形成される反応媒体のpHが一定に保たれるような条件下で操作することができる。用語「pHが一定に保たれる」とは、所定値に対して±0.2pH単位のpH変化を意味する。かかる条件は、鉄塩と塩基との間の反応の際に(例えば鉄塩溶液を塩基の溶液に導入する時に)形成される反応混合物に追加量の塩基を添加することによって達成することができる。
【0131】
この反応は通常、周囲温度において実施される。この反応は空気若しくは窒素雰囲気中又は窒素−空気混合物中で有利に実施することができる。
【0132】
反応終了時に、沈殿が得られる。随意に、この沈殿を所定時間、例えば数時間、反応媒体中に保つことによって熟成させることができる。
【0133】
この沈殿は、任意の既知の手段を用いて反応媒体から分離することができる。この沈殿は、洗浄することができる。
【0134】
好ましくは、この沈殿は、乾燥若しくは凍結乾燥工程又はそのタイプのいずれの操作にも付されない。
【0135】
この沈殿は、随意に水性懸濁液中に取り出すことができる。
【0136】
しかしながら、沈殿が製造された反応媒体から沈殿を分離しないことも充分可能であることに留意されたい。
【0137】
有機相中のコロイド分散体を得るためには、コロイド分散体の媒体にしようとしている有機相を、分離された沈殿と、又は反応媒体から沈殿を分離した後の上で得られた水性懸濁液と、又は反応媒体中に懸濁状の沈殿と、接触させる。この有機相は、上記のタイプのものである。
【0138】
この接触は、両親媒性物質の存在下で行われる。この両親媒性物質の添加量は、両親媒性物質のモル数/鉄元素のモル数のモル比rによって規定することができる。このモル比は、0.2〜1の範囲であることができ、0.4〜0.8の範囲であるのが好ましい。
【0139】
有機相の添加量は、上に挙げたような酸化物の濃度が得られるように調節される。
【0140】
この段階においては、沈殿の懸濁液から出発する場合に水性相から有機相への鉄化合物の粒子の移動を加速させる働きをし、そしてさらに得られる有機コロイド分散体の安定性を改善する働きもする促進剤を有機相に添加するのが有利であり得る。
【0141】
促進剤は、アルコール官能基を有する化合物、より特定的には6〜12個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状脂肪族アルコールであることができる。特定的な例としては、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0142】
促進剤の割合は臨界的ではなく、広く変化し得る。しかしながら、分散体全体に対して2〜15重量%の範囲の割合が一般的に好適である。
【0143】
分散体の各種成分の導入順序は重要ではない。水性懸濁液、両親媒性物質、有機相及び随意としての促進剤を同時に混合することができる。また、両親媒性物質、有機相及び随意としての促進剤を予備混合することもできる。
【0144】
水性懸濁液又は沈殿と有機相との接触は、空気雰囲気、窒素雰囲気又は空気−窒素混合雰囲気にある反応器中で行うことができる。
【0145】
水性懸濁液と有機相との接触は周囲温度(約20℃)において行うことができるが、60℃〜150℃の範囲、有利には80℃〜140℃の範囲の温度において操作するのが好ましい。
【0146】
場合によっては、有機相が揮発性であるので、その沸点より低い温度に冷却することによってその蒸気を凝縮させることができる。
【0147】
得られた反応混合物(水性懸濁液、両親媒性物質、有機相及び随意としての促進剤の混合物)を、全加熱時間(これは変化し得る)の間、撹拌する。
【0148】
加熱を停止した時に、コロイド分散体を含有する有機相及び残りの水性相との2つの相が観察される。
【0149】
有機相及び水性相を次いで慣用の分離技術(例えばデカンテーション、遠心分離)を用いて分離することによって、上記の特徴を有するコロイド分散体が得られる。
【0150】
本発明の組成物、即ち(A)洗剤組成物及び(B)コロイド分散体の形にある活性金属含有化合物は、前記の洗剤組成物とコロイド分散体とを任意の慣用の技術を用いて混合することによって得られ、この混合は一般的に周囲温度(20〜30℃)において撹拌下で実施される。
【0151】
コロイド分散体/洗剤組成物の重量比は、広く変化し得る。より特定的には、この比は10/90〜90/10の範囲、ある実施形態においては20/80〜80/20の範囲、さらなる実施形態においては40/60〜60/40の範囲である。
【0152】
本発明の組成物、即ち(A)洗剤組成物と(B)鉄のコロイド分散体とを含む組成物において、鉄の濃度は、組成物の総重量に対する鉄III酸化物の当量で表して、0.05%〜40%の範囲、より特定的には1%〜20%の範囲であることができる。
【0153】
燃料
本発明の燃料組成物は、上記の燃料添加剤と液体燃料とを含み、内燃エンジンの燃料として有用である。また、燃料は、上記の燃料添加剤を含む添加剤組成物の成分であることもできる。
【0154】
ある実施形態において,本発明に用いるのに好適な燃料には、商品として入手できる任意の燃料が包含され、ある実施形態においては商品として入手できるディーゼル燃料及び/又はバイオ燃料が包含される。
【0155】
本発明は、燃料組成物と、燃料を含有することができる燃料添加剤濃厚物組成物とを包含する。本発明において用いるのに適した燃料のタイプについての以下の説明は、本発明の添加剤含有組成物中に存在させることができる燃料及び/又はこの添加剤含有組成物を加えることができる燃料添加剤組成物を言及する。
【0156】
本発明において用いるのに適した燃料は、それほど制限されない。一般的に、好適な燃料は、周囲条件、例えば室温(20〜30℃)において通常液体である。液体燃料は、炭化水素燃料、非炭化水素燃料又はそれらの混合物であることができる。
【0157】
炭化水素燃料は、ASTM規格D4814で規定されるガソリンを含む石油留分、又はASTM規格D975若しくは欧州規格EN590で規定されるディーゼル燃料であることができる。1つに実施形態において、液体燃料はガソリンであり、別の実施形態において、液体燃料は無鉛ガソリンである。別の実施形態において、液体燃料はディーゼル燃料である。炭化水素燃料は、例えばフィッシャー・トロプシュ法等の方法によって調製される炭化水素を包含する気体−液体法によって調製される炭化水素であることができる。ある実施形態においては、本発明において用いられる燃料は、ディーゼル燃料、バイオディーゼル燃料、又はそれらの組合せ物である。
【0158】
非炭化水素燃料は、酸素含有組成物であることができ、これはしばしば酸素化物(oxygenate)と称され、アルコール、エーテル、ケトン、カルボン酸エステル、ニトロアルカン又はそれらの混合物が包含される。この非炭化水素燃料には、例えばメタノール、エタノール、メチルt−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、植物及び動物からのエステル交換オイル及び/又は脂肪、例えば菜種油メチルエステル及び大豆油メチルエステル、並びにニトロメタンが包含される。
【0159】
炭化水素及び非炭化水素燃料の混合物には、例えばガソリンとメタノール及び/又はエタノールとの混合物、ディーゼル燃料とエタノールとの混合物、並びにディーゼル燃料とエステル交換植物油、例えば菜種油メチルエステル及びその他のバイオ誘導燃料との混合物との混合物が包含され得る。1つに実施形態において、液体燃料は炭化水素燃料、非炭化水素燃料又はそれらの混合物中の水のエマルションである。本発明のいくつかの実施形態において、液体燃料は重量基準で5000ppm以下、1000ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、30ppm以下、又は10ppm以下の硫黄含有率を有することができる。
【0160】
本発明の液体燃料は、燃料組成物中に主要量、即ち一般的に95重量%超の量で存在させ、別の実施形態においては97重量%超、99.5重量%超、又は99.9重量%超の量で存在させる。
【0161】
種々雑多
本発明の組成物は、1種以上の追加の機能性添加剤、溶剤又は希釈剤を随意に含む。
【0162】
追加の機能性添加剤には、ヒンダードフェノール若しくはその誘導体及び/又はジアリルアミン若しくはその誘導体等の酸化防止剤;腐蝕防止剤;及び/又は本発明の燃料添加剤以外の洗剤/分散剤添加剤、例えばポリエーテルアミン若しくは窒素含有洗剤(PIBアミン洗剤/分散剤及びスクシンイミド洗剤/分散剤を含むがこれらに限定されない)が包含され得る。
【0163】
追加の機能性添加剤にはまた、無水マレイン酸とスチレンとのエステル化コポリマー及び/若しくはエチレンと酢酸ビニルとのコポリマー等の低温流れ改善剤;シリコーン流体等の抑泡剤及び/若しくは消泡剤;ポリアルコキシル化アルコール等の解乳化剤;脂肪カルボン酸等の潤滑剤;ベンゾトリアゾールを含む(がこれに限定されない)芳香族トリアゾール若しくはその誘導体等の金属奪活剤;並びに/又はアルカリ金属スルホコハク酸塩等のバルブシートリセッション添加剤(valve seat recession additive)も包含され得る。
【0164】
溶剤/油なしを基準とした存在させる追加の機能性添加剤化合物の合計量は、組成物の0若しくは0.01重量%〜65、50若しくはさらには25重量%までの範囲、又は0.01重量%〜20重量%の範囲であることができる。その他の機能性添加剤を1種以上存在させてもよいが、その他の機能性添加剤は互いに異なる量で存在させるのが一般的である。
【0165】
産業上の用途
1つに実施形態において、(A)洗剤組成物と(B)活性金属化合物とを含む本発明の組成物は、直接添加によって燃料と一緒にされ、この燃料は排気ガスシステム粒状トラップを備えたエンジンを運転するために用いられる。本発明の組成物を含有する燃料は、燃料タンク中に入れられ、エンジンに送出されてそこで燃焼し、金属化合物はDPF中に採集された粒子の発火温度を低下させる。別の実施形態においては、本発明の組成物を搭載しておき、燃料とは別に別個の組成物ディスペンサーにおいてエンジン(例えば自動車、バス、トラック等)によって装置を始動させる。かかる実施形態においては、エンジン運転中に組成物が燃料と一緒に又はブレンドされる。その他の技術は、本発明の組成物を動力車のタンクに入れる前に燃料貯蔵所の燃料及び/又は燃料タンクに加えることから成る。
【0166】
本発明の組成物は、燃料の重量に対する鉄原子の重量で表した鉄の量が1ppm〜50ppmの範囲、より特定的には2ppm〜20ppmの範囲と成るような量で、燃料に加えることができる。
【0167】
本発明を内燃エンジン用の液体燃料組成物として用いる場合、好適な内燃エンジンには、火花点火エンジン及び圧縮点火エンジン;2サイクル又は4サイクル;直接噴射、間接噴射、ポート噴射及びキャブレーターによって供給される液体燃料;コモンレール及びユニットインジェクターシステム;ライトエンジン(例えば客車)及びヘビーデューティーエンジン(例えば商用トラック);並びに炭化水素及び非炭化水素及びそれらの混合物を燃料とするエンジンが包含される。このエンジンは、EGRシステム;後処理含有スリーウェイ触媒、酸化触媒、NOx吸収剤及び触媒、触媒入り又は触媒なし粒状トラップ;可変弁開閉;並びに噴射タイミング及び速度シェーピングのような部品・成分・要素等を組み込んだ統合エミッション(integrated emissions)システムの一部であることができる。
【0168】
上記の材料の内のいくつかが最終配合物中で相互作用して、最終配合物の成分が最初に加えたものとは異なるものとなることがあることが知られている。それによって生成する生成物(予定される用途において本発明の組成物を用いる際に生成する生成物を包含する)は、簡単に説明することはできない。しかしながら、かかる変更及び反応生成物のすべては、本発明の範囲内に含まれる;本発明は、上記の成分を混合することによって調製される組成物を包含する。
【実施例】
【0169】
以下、特に有利な実施形態を記載した実施例によって、本発明をさらに例示する。これらの実施例は、本発明を例示するために与えたものであり、本発明を限定するものではない。
【0170】
例1.Feコロイド分散体
この分散体は、次のようにして調製される:最初に、酢酸鉄の溶液を調製した。412.2gの98%Fe(NO3)5H2Oをビーカーに導入し、脱塩水を2リットルの容量になるまで加える。この溶液はFe0.5Mだった。10%アンモニア650ミリリットルを周囲温度において撹拌しながら滴下してpH7にした。これを4500rpmにおいて10分間遠心分離した。母液を除去した。水中の懸濁液中に取り出して総容量2650cm3にした。10分間撹拌した。4500rpmにおいて10分間遠心分離し、次いで脱塩水中の懸濁液中に取り出して2650cm3にした。30分間撹拌した。次いで濃酢酸206ミリリットルを加えた。これを一晩撹拌した。溶液は透明だった。次いで、パドル型撹拌機を備え且つ脱塩水500cm3から成る初期原料を加えた1リットルの反応器から成る連続式装置中で固体を沈殿させた。この反応容量をオーバーフローによって一定に保った;上記の酢酸鉄溶液及び10Mアンモニウム溶液を含有させた2つの供給フラスコ。酢酸鉄溶液及び10Mアンモニア溶液を加えた。pHが8で一定に保たれるように、2つの溶液の流量を一定にした。得られた沈殿を4500rpmにおいて10分間遠心分離することによって母液から分離した。95.5gの回収された水和物、21.5%乾燥抽出物(即ち20.0g当量のFe23又は0.25モルのFe)を、31.5gのイソステアリン酸及び85.8gのISOPAR Lを含有する溶液中に再分散させた。この懸濁液を、恒温浴及び撹拌機を備えたジャケット付き反応器中に導入した。この反応アセンブリを90℃に5時間30分間加熱した。冷却後、試験管に移した。脱混合が観察され、水性相及び有機相が回収された。
【0171】
X線蛍光分析によって測定した有機相の鉄含有率は、金属10重量%だった。直径約3〜5nmの完全離散粒子がTEM低温顕微鏡によって観察された。分散体のX線分析は、粒子が非晶質であることを示した。この例のコロイド分散体を以下においては添加剤A又は分散体Aと称する。
【0172】
例2.洗剤組成物
例2A.
上記の例Q−1に記載したものと実質的に同様の方法によって、ジメチルアミノプロピルアミンスクシンイミド、2−エチルヘキシルアルコール及び酢酸から、プロピレンオキシドで第4級化することによって誘導されたスクシンイミド第4級アンモニウム塩から成る洗剤組成物を調製した。
【0173】
例2B.
例2Aのスクシンイミド第4級アンモニウム塩50pbwと酸素含有洗剤18pbwとを混合することによって、洗剤組成物を調製する。すべてのpbw値は溶剤なしを基準とする。成分の混合は、周囲条件において実施する。酸素含有洗剤は、数平均分子量1000の高ビニリデンポリイソブチレンと無水マレイン酸とから誘導されるポリイソブチレンコハク酸無水物であり、例O−1に記載したものと実質的に同様の方法によって調製される。
【0174】
例2C.
スクシンイミド第4級アンモニウム塩35pbwと酸素含有洗剤9pbwとを用いたことを除いて、例2Bの手順に従って、洗剤組成物を調製する。すべてのpbw値は溶剤なしを基準とする。
【0175】
例2D.
例O−2に記載したものと実質的に同様の方法によって酸素含有洗剤を水と反応させることによって加水分解してポリイソブチレンコハク酸を生成させたことを除いて例2Bの手順に従って、洗剤組成物を調製する。
【0176】
例2E.
例2Aの手順に従って洗剤組成物を調製したが、但し、スクシンイミド第4級アンモニウム塩は、ジメチルアミノプロピルアミンスクシンイミド及び硫酸ジメチルから、例Q−2に記載したものと実質的に同様の方法によって調製され、但し、より多くの溶剤を存在させて石油ナフサ溶剤中に65重量%の活性物質レベルを有する混合物をもたらした。
【0177】
例2F
例O−2に記載したものと実質的に同様の方法によって酸素含有洗剤を水と反応させることによって加水分解してポリイソブチレンコハク酸を生成させたことを除いて例2Cの手順に従って、洗剤組成物を調製する。
【0178】
例3.FeFBC及び洗剤を含有する添加剤の合成
コロイド分散体Aと例2A又は2Fの洗剤との混合物から成る2種の添加剤を、室温において制御された割合で各液体を混合することによって、調製する。
【0179】
かくして、例2Aの洗剤組成物24.68gを例1からの添加剤Aのコロイド分散体30.96gと共に加え、120rpmにおいて撹拌下に保つ。2成分の混合を30分間保ち、得られる液体の上部及び下部における鉄含有率を測定することによって混合物の品質を調節する。30分の撹拌の終わりに、液体の上部及び下部における鉄含有率は同じだった。この添加剤(以下においては添加剤Bと称する)は、分散体Aから由来する金属鉄5.56重量%を含有し、例2Aのスクシンイミド第4級アンモニウム塩を含有する。
【0180】
もう一方の添加剤は、同じ態様で、コロイド分散体A30.96gと洗剤成分{例2Fの生の洗剤組成物22.12g及び溶剤(ISOPARと2−エチルヘキサノールとの混合物)18.92gを含有させたもの}41.04gとを混合することによって、調製する。この添加剤(以下においては添加剤Cと称する)は、分散体Aから由来する金属鉄4.3重量%を含有し、例2Fの洗剤組成物(スクシンイミド第4級アンモニウム塩と酸素含有洗剤との混合物を含む)を含有する。
【0181】
例4.バイオ燃料を含有し又は含有しないディーゼル燃料中でのFe安定性
用いた燃料の説明:この試験のために、3種の燃料を用いた:
・British Petroleum(BP)社よりBP Ultimateの商品名で販売されているディーゼル燃料;
・バイオ燃料を約6容量%含有するB5タイプの試験ディーゼル燃料;
・バイオ燃料を約11容量%含有するB10タイプの試験ディーゼル燃料。
表1に、B5及びB10燃料の主な特徴を与える。
【表1】

【0182】
表2に、これら3種のディーゼル燃料が脂肪酸のメチルエステルの形でバイオ燃料を6.1〜10.8容量%の範囲で含有することを示す(脂肪酸メチルエステル(EMAG)の含有率の赤外線分光分析測定に基づいて、EN14078規格に従って測定)。
【表2】

【0183】
燃料中の鉄コロイド分散体の安定性試験の手順:各燃料について、正確な量の添加剤A、B又はCを250ミリリットルの燃料に加える。
・添加剤A:14.8mg
・添加剤B:26.6mg
・添加剤C:34.4mg
【0184】
こうして、均質化の後に、Fe合計値7重量ppmの鉄コロイド分散体A及び随意としての洗剤(添加剤B及びCについて用いた添加剤の重量割合)を加えられた9種の燃料が得られた。
【0185】
試験は、添加剤を加えられた燃料を数日間の間70℃に加熱し、加熱時間に対するこの燃料中の鉄含有率の変化を追跡することから成る。燃料の上方部分において20ミリリットルの容量の燃料を採取し、0.2μmフィルター上で濾過し、次いで濾液の鉄含有率をX線蛍光分析によって測定する。このコロイド分散体は、燃料中の鉄含有率が10%以上減少しない限り、安定であると見なす。
【表3】

(*)試験を50日でやめ、安定性が50日超であることを意味する。
【0186】
ディーゼル燃料に拘わらず、洗剤を含有しない添加剤Aの安定期間は、スクシンイミド第4級アンモニウム塩洗剤を含有する他の2つの添加剤B及びCの安定期間より短いことがわかる。酸素含有洗剤をスクシンイミド第4級アンモニウム塩洗剤との組合せとして存在させた場合(添加剤C)、安定性がさらに高められる。
【0187】
例5:添加剤の存在下における燃料の耐酸化性
例4からの3つのディーゼル燃料の耐酸化性を、3種の添加剤A、B及びCのそれぞれを添加して又は添加しないで、測定した。
【0188】
試験は、一定温度に保った燃料中に酸素を吹き込み、次いで燃料の酸化による分解を測定することから成り、これはその酸性度の変化によって定量化される。
【0189】
EN ISO 12205規格(油製品−平均的油留分の酸化安定性の測定(1996年))に従ってエージングを実施する。簡単に言うと、この方法は、前もって0.7μmの多孔度のガラスファイバーフィルター上で濾過した350ミリリットルの燃料(添加剤を加えたもの又は加えていないもの)の中に115℃±1℃において6リットル/時間の流量で空気を16時間吹き込むことから成る。酸化セル中に燃料を導入し、エージング試験のその他の条件は、EN ISO 12205規格に記載されたものと同じものである。
【0190】
エージング及び室温冷却後に、添加剤入り又は添加剤なしの燃料を、0.7μmの多孔度の2つの連続したガラスファイバーフィルターを通して濾過する。次いで、エージングさせた燃料の酸性度をISO 6619規格(油製品及び潤滑剤−中和指数−電位差滴定法(1988年))に従う電位差滴定によって即座に測定し、エージングを行っていない燃料のものと比較する:酸性度は燃料1g当たりのKOHのmg数で表され、酸性度の変化はエージングを行った燃料とエージングを行っていない燃料との間の酸性度の差又はΔTANに従って表される。
【0191】
ΔTANは、次式:ΔTAN=ANa−ANbに従って計算される。ここで、ANaはエージングして濾過した燃料の酸性度であり、ANbは酸化の前の濾過した燃料の酸性度である。
【0192】
表4は、スクシンイミド第4級アンモニウム塩洗剤及び随意としての酸素含有洗剤を含有する添加剤B及びCを用いた場合には、報告されたΔTAN値によって示される酸性度の上昇によって測定される燃料の分解が減少することを示している。スクシンイミド第4級アンモニウム塩洗剤と酸素含有洗剤とを組み合わせて存在させる(添加剤C)ことによって、特にバイオ燃料に富んだ燃料(B10)について、酸化による燃料の分解をさらに減らすことができる。
【表4】

【0193】
例6.インジェクター耐汚染性エンジン試験
いくつかのサンプルを調製して、インジェクターの汚染を減らす能力を評価するために16時間DW10エンジン試験で試験した。このDW10エンジン試験は、欧州規格諮問委員会(CEC)F-98-08 DW10試験プロトコルを用いたスクリーン試験であり、Peugeot DW-10エンジンを用いる。これは、ライトデューティー直接噴射、コモンレールエンジン試験であり、エンジンパワーロスを測定する。これは燃料洗剤添加剤効率に関するものであり、パワーロス値が低ければ低いほど洗剤の性能が良好であることを示す。試験エンジンは、市場に出される新しいエンジンを代表するものであり、試験方法はこの分野において周知である。
【0194】
この試験は、試験開始時と比較したパワーロスを示すΔパワー値を報告する。汚染されたインジェクターはエンジンにおけるパワーロスをもたらすので、このパワーの変化はインジェクターの汚染を示す。試験したサンプル及び得られた結果を下記の表にまとめる。表5中の洗剤の処理レートは、溶剤なしを基準とする。
【表5】

1.鉄は、上記の例1に記載した鉄の安定化された分散体である燃料触媒から燃料に加えられる。
2.サンプルB、G、H及びLに用いた第4級塩洗剤は、上記の例2Aの洗剤組成物である。
3.サンプルIに用いた第4級アンモニウム塩洗剤は、上記の例2Eの洗剤組成物である。
4.この試験で用いた酸素含有洗剤は、上記の例2Fに記載した酸素含有洗剤である。
5.SMEは大豆油メチルエステルである。CEC DF-79-04燃料は10重量%のレベルにSMEでトップ処理した。
6.用いた市販のディーゼル燃料は、EN 590仕様を満たすULSD燃料である。
7.市販のB5バイオ燃料は、表1に詳細に記載したB5燃料と同じ入手元からのものであるが、ロットが違うものであり、実質的に同じ特性を有する。
8.CEC RF-93-T-95燃料は、亜鉛でトップ処理して燃料1kg当たりZn1mgのレベルにしたものである。
【0195】
結果は、本発明がインジェクターの汚染の減少をもたらすことを示している。サンプルA、B及びCを考えると、結果は、燃料触媒なしの場合、酸素含有洗剤単独(サンプルC)ではインジェクターの汚染が有意には減らないが、第4級塩洗剤と酸素含有洗剤との組合せ物(サンプルB)はインジェクターの汚染を有意に減らすことを示している。サンプルD及びEは、燃料触媒単独では有意のパワーロスを引き起こすことを示している。サンプルF、G、H及びIは、第4級塩洗剤と酸素含有洗剤と燃料触媒との組合せ物が有意に改善されたインジェクターの汚染の制御をもたらすことを示している。さらに、サンプルA〜Iの結果は、用いた燃料に多少の違いがあるにも拘わらず、概ね匹敵するものである。サンプルE及びKについての劣った結果は、試験した燃料すべてに対して再現されることが容易に予測されることであり、サンプルEとG、H及びIとの比較は、第4級塩洗剤と燃料触媒との組合せ物(サンプルG及びI)が燃料触媒だけを含有する燃料(サンプルE)と比較してインジェクターの汚染の有意の減少をもたらし、第4級塩洗剤と酸素含有洗剤と燃料触媒との組合せ物(サンプルH)がさらにより一層大きい効果をもたらすということを示している。サンプルJ、K及びLはさらに、燃料触媒だけを含有する燃料(サンプルK)は劣った結果を奏するが、第4級塩洗剤と酸素含有洗剤と燃料触媒との組合せ物はベースライン燃料と一致するインジェクター汚染性能をもたらすということを示している。燃料触媒と第4級アンモニウム塩と随意としての酸素洗剤との組合せ物によって得られるこの改善された性能は、驚くべき結果である。
【0196】
例7.フィルター再生エンジン試験
上記の例3において規定した添加剤A及びCの、粒子フィルターの再生についての性能を、PCM社より販売されているDW12TED14エンジン(4気筒、空冷式ターボ、2.2リッター、パワー97.5kw)を用いたドライビングベンチについて、評価した。用いた排気管は、Pt含有酸化触媒及びその後方の炭化ケイ素粒子フィルターを備えた市販の管である(4.1L、5.66×10インチ)。これらの試験のために用いた燃料は、EN590規格に適合した市販の燃料であり、硫黄を3ppm含有し、バイオ燃料を5%含有するものである。
【0197】
これらの試験のために、燃料に添加剤A(鉄を含有するコロイド懸濁液のみ)又は添加剤C(鉄を含有するコロイド懸濁液及びアンモニウム塩洗剤と酸素含有洗剤との2種の洗剤)を添加した。両方の場合において、添加剤の含有量は、燃料中の鉄含有率が鉄7重量ppmになるように調節する。
【0198】
試験は、添加剤入り及び添加剤なしの各試験燃料について同一の条件下で、粒子フィルターをローディング(loading)させることから成る。ローディングは、3000rpmの速度及び30Nmの偶力で10時間にわたってエンジンを運転することによって達成される。この段階の間のフィルターの上流の温度は約200℃である。これらの条件下でのこのエンジンによる粒子の放出は、2.0g/時間である(添加剤なしの燃料について酸化触媒の後ろで測定)。
【0199】
ローディングさせたら、フィルターを取り出し、ローディング段階の間に蓄積した粒子の質量を調節するために計量する。次いでこのフィルターをドライビングベンチに再装着し、加熱しながらローディング地点のエンジン条件下(3000rpm及び30Nm)に30分保つ。
【0200】
次いでエンジン条件を変化させ(偶力30Nm及び1650rpm)、粒子フィルターの上流の温度を450℃まで上昇させてフィルターの再生を開始するためにエンジンの電子制御ユニット(ECU)によって燃料ポスト噴射を整える。これらの条件を45分間維持する。
【0201】
フィルター再生の効率を、2つの基準、即ち粒子フィルター上の圧力低下の変化及び再生の間のフィルターの質量の変化によって測定する。比較のために、添加剤A、Cを含まない燃料を用いた試験も実施した。得られた結果を下記の表にまとめる。
【表6】

(*)4kg/時間の燃料消費について10時間のフィルターのローディングを考慮に入れて計算
【0202】
触媒性添加剤なしでは、450℃におけるフィルターの再生が非常に抑制される:粒子の12%が45分で燃焼し、これはフィルターの圧力低下によって確認され、プレローディング時のレベルに戻らない(21ミリバールに対して59ミリバール)。さらに、圧力低下が450℃において5分後にたった2ミリバール小さくなるだけなので、再生が非常に遅い。
【0203】
他方、燃料中に添加剤A又はCを存在させた場合には、450℃において45分後に約90%の量の粒子が燃焼する。圧力低下も再生が完了したら初期プレローディング時の値に戻る。さらに、5分後の圧力低下の減少は、再生速度(再生反応の速度)の指標を与えるので、重大な結果である。この速度が速ければ速いほど好ましい。ここでの結果は、添加剤A又はCを含有する燃料については5分後に有意の再生度を示し、好都合に速い速度をを示した。
【0204】
さらに、燃料中に存在させる添加剤の量を例えば鉄5ppm程度に減らしても、再生の時間又は度合いに有意の影響はない。最後に、鉄含有添加剤は、洗剤の存在下で導入された時に(添加剤C)、すす燃焼に関しても効果的である。
【0205】
上で言及した文献はそれぞれ、参考用に本明細書に取り入れる。実施例を除いて、又はそうでなければ明示的に示している場合、材料、反応条件、分子量、炭素原子数等を特定する本明細書中のすべて数値量は、「約」という言葉によって変更されるものと理解されたい。別段の記載がなければ、すべての百分率値は重量%であり、すべてのppm値は重量基準のものである。別段の記載がなければ、本明細書で言及する各化合物や組成物は、異性体や副生成物、誘導体他の通常工業等級中に存在するものと理解される物質を含有していてもよい工業等級の物質であるものと理解されたい。しかしながら、各化学成分の量は、別段の記載がなければ、市販の物質中に通常存在することがある溶剤や希釈剤オイルを除いたものとして示される。本明細書に記載した上限量及び下限量、並びに比率の境界値は、独立して組み合わされ得ることを理解されたい。同様に、本発明の各成分についての範囲及び量は、別の成分についての範囲又は量と一緒に用いることができる。本明細書において用いた場合、「本質的に成る」という表現は、懸案下の組成物の基本的な特徴及び新規の特徴に著しく影響を及ぼすことがない物質が含まれることを可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)第4級アンモニウム塩洗剤(1)を含む洗剤組成物;及び
(B)有機相と非晶質形態の鉄化合物の粒子と少なくとも1種の両親媒性物質とを含むコロイド分散体の形にある活性金属含有化合物:
を含む組成物。
【請求項2】
前記洗剤組成物(A)が酸素含有洗剤(2)をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第4級アンモニウム塩洗剤が、
(i) 次の(a)、(b)又は(c):
(a)ヒドロカルビル置換アシル化剤と、該アシル化剤と縮合することができる酸素又は窒素原子を含有する化合物との縮合生成物であって、少なくとも1個の第3アミノ基を有する前記縮合生成物;
(b)少なくとも1個の第3アミノ基を有するポリアルケン置換アミン;又は
(c)ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒド及びアミンから誘導された、少なくとも1個の第3アミノ基を有するマンニッヒ(Mannich)反応生成物:
を含む少なくとも1種の化合物と、
(ii)化合物(i)の第3アミノ基を第4級窒素に転化させるのに好適な第4級化剤と
の反応生成物を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第4級アンモニウム塩洗剤が、
(i) ヒドロカルビル置換アシル化剤と、該アシル化剤と縮合することができる酸素又は窒素原子を含有する化合物との縮合生成物であって、少なくとも1個の第3アミノ基をさらに有する前記縮合生成物と、
(ii)硫酸ジアルキル、ハロゲン化ベンジル、ヒドロカルビル置換カーボネート、随意に酸と組み合わされたヒドロカルビルエポキシド又はそれらの混合物を含む第4級化剤と
の反応生成物を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記ヒドロカルビル置換アシル化剤がポリイソブチレンコハク酸無水物であり且つ前記の該アシル化剤と縮合することができる酸素又は窒素原子を含有する化合物がジメチルアミノプロピルアミン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジブチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンテトラミン又はビス(ヘキサメチレン)トリアミンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記酸素含有洗剤がコハク酸無水物又はコハク酸ヘッド基を有するポリイソブチレン化合物である、請求項2〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
(B)のコロイド分散体の鉄化合物粒子の少なくとも85%が一次粒子である、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
(B)のコロイド分散体の鉄化合物粒子が1nm〜5nm、より特定的には3nm〜4nmのd50を示す、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
(B)のコロイド分散体の有機相が無極性炭化水素を基剤とする、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
(B)のコロイド分散体の両親媒性物質が10〜50個の炭素原子を有するカルボン酸である、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
金属奪活剤、成分(A)(1)若しくは(A)(2)以外の洗剤/分散剤、酸化防止剤、腐蝕防止剤、抑泡剤、解乳化剤、低温流れ改善剤、潤滑剤、バルブシートリセッション添加剤又はそれらの組合せ物をさらに含む,請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
A.内燃エンジンに次の(i)並びに(ii)を供給することを含む、内燃エンジンの運転方法:
(i) 室温において液体である燃料;並びに
(ii)次の(A)及び(B)を含む組成物:
(A)第4級アンモニウム塩洗剤(1)を含む洗剤組成物;及び
(B)有機相と非晶質形態の鉄化合物の粒子と少なくとも1種の両親媒性物質とを含むコロイド分散体の形にある活性金属含有化合物。
【請求項13】
前記洗剤組成物(A)が酸素含有洗剤(2)をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(B)のコロイド分散体の鉄化合物粒子の少なくとも85%が一次粒子である、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
(B)のコロイド分散体の鉄化合物粒子が1nm〜5nm、より特定的には3nm〜4nmのd50を示す、請求項12〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
(A)第4級アンモニウム塩洗剤(1)を含む洗剤組成物;及び
(B)有機相と非晶質形態の鉄化合物の粒子と少なくとも1種の両親媒性物質とを含むコロイド分散体の形にある活性金属含有化合物:
を含み、室温において液体である燃料組成物。
【請求項17】
前記洗剤組成物(A)が酸素含有洗剤(2)をさらに含む、請求項16に記載の燃料組成物。

【公表番号】特表2012−530840(P2012−530840A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516873(P2012−516873)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【国際出願番号】PCT/IB2009/006396
【国際公開番号】WO2010/150040
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(508076598)ロディア オペレーションズ (98)
【氏名又は名称原語表記】RHODIA OPERATIONS
【住所又は居所原語表記】40 rue de la Haie Coq F−93306 Aubervilliers FRANCE
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】