説明

看護支援システム

【課題】 効率的に経過表を作成することのできる看護支援システムを提供する。
【解決手段】 本発明の看護支援システム20は、サーバ30とクライアントであるPC60とを備える。サーバ30において、テンポラリDB40は、複数の患者の看護データを記録する。検索処理部33は、経過表を作成する患者の複数の看護データをテンポラリDB40から検索して取得する。検索処理部33は、経過表の作成に必要な項目をインデックス化したテーブルをもとに、看護データを抽出する。テンポラリDB40は、現在入院中の患者の看護データと、既に退院した患者の看護データに分類して記録しており、検索処理部33は、検索する患者の集合を、現在入院中の患者に限定する。PC60の経過表作成部64は、検索処理部33にて取得された看護データをもとに、経過表を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、看護師などによる看護行為を支援する看護支援システムに関し、特に患者の経過表を作成する看護支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療行為、特に看護行為を管理するためのシステムは、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という)や、PDA(Personal Digital Assistants)等で構成され、それらは、有線あるいは無線のLAN(Local Area Network)によって接続される。例えば特許文献1に開示されるシステムにおいて、看護師は、情報処理端末装置としてPDAを携帯し、作業予定となっている点滴や注射等の作業予定リストを参照して、患者に対する看護行為を実施する。さらに、看護行為の終了後、看護師はPDAに実施結果を入力する。PDAは入力された実施結果を病院内情報管理システムに送信し、病院内情報管理システムにて、看護行為の実施内容を管理する。
【特許文献1】特開2004−348717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示された技術によると、看護行為を実施している場所で、看護師がPDAを操作して看護内容を確認するので、看護行為のミスを少なくできる。また、看護行為の終了後、すぐに看護師は看護行為の実施結果、すなわち血圧値や体温などの看護データを登録するため、患者の看護データを効率的に管理できる。
【0004】
入院患者の病状の経過を表現するため、クライアント端末において、看護データを時系列に並べた経過表(「温度板」とも呼ばれる)による情報表示が一般に行われる。看護データが患者毎に存在し、また患者が退院した場合であっても病院には看護データの保管義務が課されるため、大規模な病院における看護データのデータ量は膨大となる。そのため、特定の患者について経過表を作成しようとしても、患者の検索に時間がかかり、多忙な看護師の看護業務に支障をきたすことがある。また一般に、看護データの項目数は数百あるため、全ての看護データをサーバ端末からクライアント端末に転送すると、転送時間がかかるだけでなく、クライアント端末における処理負荷も高くなる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、効率的に経過表を作成することのできる看護支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の看護支援システムは、サーバとクライアントとを備え、サーバは、複数の患者の看護データを記録する記憶部と、グラフと表により患者の状態を時系列で示す経過表を作成する患者の複数の看護データを記憶部から検索して取得する検索処理部と、取得した看護データを送信する送信部とを備え、クライアントは、送信部より送信された看護データを受信する受信部と、受信した看護データをもとに、患者の経過表を作成する経過表作成部とを備える。この態様の看護支援システムにおいて、検索処理部は、記憶部に記録された看護データの複数の項目の中から、経過表におけるグラフおよび表の作成に必要な項目の看護データを抽出する。
【0007】
この態様の看護支援システムによると、経過表におけるグラフおよび表の作成に必要な項目の看護データをクライアントに提供することで、サーバからクライアントへのデータ転送時間を短縮できるとともに、クライアントにおける処理負荷を軽減できる。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、効率的に経過表を作成することのできる看護支援システムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の実施例にかかる病院情報システム1の構成を示す。病院情報システム1は、病院などの医療施設に設置され、メインシステムである病院情報管理システム10、およびサブシステムである看護支援システム20を備えて構成される。病院情報管理システム10および看護支援システム20の間はLAN(Local Area Network)16により通信可能に接続される。図示していないが、LAN16には、医療施設内における他のサブシステム、例えば麻酔の手順を管理する麻酔支援システムや、リハビリ計画を管理するリハビリ支援システムなどが接続されていてもよい。病院情報管理システム10は、LAN16を介して接続される看護支援システム20などのサブシステムを一元的に集中管理する機能を有する。
【0011】
病院情報管理システム10は、看護支援システム20などのサブシステムの動作を管理・制御する病院情報管理サーバ12と、看護支援システム20などのサブシステムにおいて取得されたデータなどを記録するマスタDB14を有する。マスタDB14には、真正のデータが記録され、外部からのデータ改竄等を防止するための高度なセキュリティ対策が講じられる。
【0012】
看護支援システム20は、看護支援機能を実行するサーバ30、所期のデータを記録するテンポラリDB40、看護師などの医療スタッフにより携帯される携帯端末であるPDA70a〜70n(以下、代表して「PDA70」とよぶ)、PDA70との間で無線LANを構築してPDA70に対してデータを送受信するアクセスポイント50a〜50n(以下、代表して「アクセスポイント50」とよぶ)、データの入出力を行うためのパーソナルコンピュータ60a〜60n(以下、代表して「PC60」とよぶ)を備える。なお、サーバ30とテンポラリDB40とは分離した構成として図示しているが、実際にはサーバ30がテンポラリDB40を備えて構成され、テンポラリDB40はサーバ30の管理下にある。
【0013】
PC60は、据え置き型の端末であり、看護師等の医療スタッフは、PC60が設置された場所でデータの入力やデータの参照、確認等を行う。本実施例において、サーバ30に対して、PC60およびPDA70は、クライアントとして機能する。PC60は、患者の経過表を作成して、モニタに表示する機能をもつ。なおPDA70が、経過表の作成機能および表示機能を有してもよい。
【0014】
経過表は、温度板、看護日誌、温度表とも呼ばれ、グラフと表により患者の状態を時系列で示す。具体的に経過表は、体温(T)、脈拍(P)、呼吸(R)、血圧(BP)をグラフによって示すほか、体温、脈拍、呼吸、血圧、尿量、便回数などを表によって示す。グラフでは、縦軸に各項目の数値を折れ線で繋ぎ、また数値をプロットすることで、患者の状態を時系列で表現する。表では、各項目の数値を表示することで、患者の状態を時系列で表現する。横軸は、時間軸に設定される。
【0015】
PDA70は、通常のPDAの機能(例えばタッチパネル等によるデータの入力手段、入力されたデータに対するCPU等の処理手段、データの記憶手段、処理されたデータ等を表示する表示手段)の他に、無線LANによりアクセスポイント50と無線通信可能な無線LANカードと、患者や薬剤のボトルなどに付与された識別情報の読取手段とを内蔵している。また、PDA70は、薬液に対する耐性を有する防水構造を有し、医療現場で使い易い構造にしてある。
【0016】
PDA70は、アクセスポイント50からのアクセス範囲内において、任意の場所でサーバ30を介して病院情報管理システム10にアクセスして、マスタDB14に記憶された作業予定データを取得し、その取得した作業予定データをPDA70の表示部で表示できるようにしている。作業予定データは、作業内容を記述したオーダである。
【0017】
看護支援システム20は、例えば、注射等の作業予定データの登録が行われる外来システム、病棟システム、注射等の作業予定データの登録により薬剤払い出し等を行う薬剤部門システム、医療行為に対する会計処理等を行う医事システム、看護師により混注等を行うナース(ステーション)システム等に設けられる。特に、アクセスポイント50やPC60は、看護師が看護行為を行うナースシステム及び病棟システムに多く設置される。各看護師がPDA70を携帯することにより、その看護師は、看護行為の実施場所、具体的には入院している患者のベッドサイドにまで行き、その場所で看護行為に関する入出力を行うことができる。
【0018】
このように本実施例の病院情報システム1は、PDA70を効率的に利用することで、看護行為の状況をリアルタイムで記録または参照できる構成をとっている。PDA70を携帯した看護師は、看護行為を行う場合、その看護行為の作業予定の内容をPDA70により確認でき、その作業予定の内容を確認してから、作業予定の看護行為を行うことができるので、実施されるべき(予定された)看護行為を正確かつ誤りの少ない状態で行うことができる。また、看護行為の実施後、その実施場所でPDA70から看護行為の内容を容易に入力できるため、看護行為の記録を、正確かつ誤りの少ない状態で行うことができる。
【0019】
また、PDA70を携帯した看護師は、看護行為を行う場合に、携帯したPDA70を利用して任意の場所および時間に参照したり、確認することができ、看護行為を円滑に行い易い。また、PDA70を携帯した看護師は、作業予定内容が変更されるような場合においても、実施場所で、実施を行う直前に作業予定内容を確認することで、作業予定内容の変更にも容易に対処することができる。
【0020】
PDA70から看護行為の実施結果として入力された患者の看護データは、最寄りのアクセスポイント50からサーバ30を介して病院情報管理システム10に送られる。病院情報管理システム10において、病院情報管理サーバ12は、看護データをマスタDB14に記録する。PDA70から入力される看護データには、測定された患者の血圧値、脈拍、尿量、食事摂取量などの看護記録を含む。マスタDB14に記録される看護データは、看護記録だけでなく、例えば患者に対して設定された看護計画や医師からのコメント等のデータも含み、患者に関する一切の情報が含まれる。病院にもよるが、看護データの項目は多種多様であり、その数は例えば400程度に達することもある。
【0021】
本実施例の病院情報システム1において、病院情報管理システム10は、看護支援システム20だけでなく、LAN16を介して接続される他のサブシステムも一元的に集中管理する。そのため、病院情報管理システム10にはサブシステムからのアクセスが集中し、看護支援システム20のサーバ30は、マスタDB14に記録された看護データを短時間で読み出せない状況も発生する。特定の患者の経過表をすぐに作成して参照したい場合でも、マスタDB14からのデータ読出に時間がかかるため、円滑な看護行為の遂行に支障をきたすことがある。
【0022】
本実施例の病院情報システム1では、マスタDB14に記録されている看護データをテンポラリDB40にも記録することで、データ読出のレスポンスを改善する。サーバ30は看護支援システム20全体の管理・制御を行っているが、それでも病院情報システム1全体を統括管理する病院情報管理サーバ12と比較して、処理負荷は低い。テンポラリDB40に看護データを記録することで、経過表を作成する時間を大幅に短縮できる。なお、テンポラリDB40に対しても、外部からのデータ改竄等を防止するための高度なセキュリティ対策が講じられることが好ましい。
【0023】
図2は、実施例にかかる看護支援システムの構成を示す。図2では、経過表の作成処理を実行するPC60と、PC60に対して看護データを供給するサーバ30が示される。図2は、テンポラリDB40をサーバ30の構成の一つとして示している。PC60とサーバ30とは、クライアントサーバシステムを構築する。
【0024】
サーバ30は、送受信部31、要求受付部32、検索処理部33、テーブル保持部34およびテンポラリDB40を備える。PC60は、操作入力部61、送受信部62、看護データ取得部63、経過表作成部64およびモニタ65を備える。以上の構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0025】
ユーザが、操作入力部61から、特定の患者についての経過表の作成要求を生成する。操作入力部61は、キーボードやマウスなどの入力インタフェースであり、ユーザは入力インタフェースを操作することで、経過表の作成要求を入力する。経過表の作成要求は、送受信部62からLANを経由してサーバ30の送受信部31に送信される。
【0026】
送受信部31にて受信された経過表作成要求は、要求受付部32に供給される。要求受付部32は、経過表作成要求を受け付けると、検索処理部33に、経過表を作成する対象となる患者の看護データを検索させる。検索処理部33は、経過表を作成する患者の識別情報をキーとして、その患者に対して記録されている複数の看護データをテンポラリDB40から検索して取得する。
【0027】
図3は、テンポラリDBの記憶領域を示す。テンポラリDB40は、マスタDB14に記録されている全ての看護データを同期して保持し、退院した患者も含めた全ての患者の看護データを有している。本実施例のテンポラリDB40は、看護データの記憶領域をDB領域41およびバックアップ領域42の2つに分割する。一般に経過表は、入院患者の時間的な状況の変化を確認するために作成され、既に退院した患者の経過表を作成する場面は少なく、ほとんどの場合が入院中の患者の状況把握に利用される。
【0028】
そこで、テンポラリDB40は、看護データを、現在入院中の患者の看護データと、既に退院した患者の看護データに分類して記録する。入院中の患者の看護データはDB領域41に記録され、既に退院した患者の看護データはバックアップ領域42に記録される。したがって、患者の入院中、看護データはDB領域41に記録されているが、その患者が退院すると、看護データはバックアップ領域42に退避されることになる。なお、DB領域41とバックアップ領域42は、テンポラリDB40のアドレス領域を分割して形成されてもよいが、例えばフラグを設定することで論理的に分類されてもよい。例えば、入院中の患者の看護データにはフラグ値0が設定され、退院患者の看護データにはフラグ値1が設定されて、入院または退院のステータスが論理的に確認できるようにしてもよい。なお、退院患者の看護データは、テンポラリDB40ではなく、外部の記録媒体に記録されて、病院施設内においてオフラインで保管されてもよい。
【0029】
図4は、テンポラリDBに記録されている7人の患者A〜患者Gの入院状況を示す。図4では、8月30日を本日の日付とし、説明の便宜上、8月10日から9月1日までの入院状況のみを示しているが、実際には8月10日以前の看護データも存在している。図4において、チェックが入っている日は患者が入院していたことを示し、本日以降にチェックが入っている日は、患者が入院予定であることを示す。なお、本日以前の入院日は、看護データが既に取得された状態にある。
【0030】
8月30日(本日)に、ユーザがPC60から患者Fについての経過表の作成要求を生成した場合を仮定する。患者B、D、Gについては既に退院しているため、検索する患者の集合に含める必要はない。そのため、本実施例のテンポラリDB40においては、患者A、C、E、Fの看護データをDB領域41に記録し、患者B、D、Gの看護データをバックアップ領域42に記録しておき、経過表を作成する際、検索処理部33が、DB領域41のみを検索するようにしている。
【0031】
図5は、テンポラリDBのDB領域に記録されている患者の入院状況を示す。DB領域41には、8月30日(本日)に入院中の患者のみが記録されている。
例えば、7人の患者A〜患者Gの中から患者Fを検索する場合、患者Aから順に検索していくと、患者A、患者B、患者C、患者D、患者E、患者Fと6人目に発見して、検索処理が完了する。一方、図5に示すように、4人の患者の中から患者Fを検索する場合、患者A、患者C、患者E、患者Fと4人目に発見できる。このように、検索する患者の集合をDB領域41に記録された患者に限定することで、検索時間を短縮することができる。実際のテンポラリDB40には、数千人から数万人の患者の看護データが記録されており、その大多数が既に退院済みの患者であることを考えると、検索する患者の集合の絞り込みを行うことで、経過表を作成する患者の検索時間を大幅に短縮することができる。
【0032】
図6は、検索された患者Fに対して記録されている看護データを示す。図中、チェックが入っている項目は、看護データが取得されていることを示す。患者Fは、8月16日から8月30日までの15日間、入院しており、したがって、テンポラリDB40のDB領域41には、患者Fの15日分の看護データが存在する。
【0033】
看護データは、患者の状態や医師からのコメントなどを含み、既述したように、その項目数は数百個に及ぶ。この中には、経過表におけるグラフおよび表の作成に不要なデータが多く含まれているため、看護データの送信を要求したPC60に全ての項目の看護データを送信しても無駄であり、また時間もかかる。さらに、看護支援システム20におけるLAN上のトラフィックを増大させることにもなる。
【0034】
図2に戻って、検索処理部33は、患者Fの看護データの中から、経過表におけるグラフおよび表の作成に必要な項目の看護データを抽出する。テーブル保持部34は、経過表の作成に必要な項目をインデックス化したテーブルを保持し、検索処理部33における検索処理時に、そのテーブルを検索処理部33に供給する。
【0035】
図7は、テーブル保持部に保持されたインデックステーブルを示す。インデックステーブルには、経過表においてグラフおよび表の作成に用いる項目が列挙されており、検索処理部33は、看護データの数百の項目の中から、インデックステーブルに挙げられた項目のデータを抽出する。これにより、経過表の作成に必要な項目の看護データのみを抽出でき、PC60へのデータ転送速度を短くできる。なお、図7に示すインデックステーブルには、実際の経過表の項目を意識して、図6に示していない項目も含ませている。
【0036】
また検索処理部33は、複数日分の看護データの中から、設定された日数分の看護データを抽出する。例えば、検索処理部33は、本日分と、本日より未来の2日分、さらに本日より過去の5日分の看護データを抽出する。図6に示す例では、8月25日から9月1日分までの看護データが抽出されることになる。図7に示したインデックステーブルを参照すると、図6において、枠80で囲った範囲の看護データが検索処理部33により取得される。前記したように、図6においては看護データの項目を一部省略しているため、実際には、図7に示した項目の看護データが検索処理部33により取得されることになる。取得された看護データは、送受信部31によりPC60の送受信部62に送信される。
【0037】
送受信部62は、サーバ30にて取得された看護データを受信する。看護データ取得部63が、送受信部62から看護データを取得し、経過表作成部64に供給する。経過表作成部64は、取得した看護データをもとに、患者の経過表を作成する。サーバ30より送信された看護データは、経過表の作成に必要なものに限定されているため、PC60において看護データを展開するメモリは少なくてすみ、また表示処理を高速化することが可能となる。
【0038】
図8は、経過表の画面例を示す。経過表作成部64で作成された経過表は、モニタ65にて表示される。経過表は、患者の状態をグラフとして時系列で示すグラフ表示領域92と、患者の状態を表に記述する数値で時系列で示す表領域94とを含む。経過表作成部64は、グラフとして表示する項目を抽出し、抽出した看護データを時系列に並べてグラフ表示領域92に表示する。図8に示す経過表においては、経過表作成部64が、体温(T)、脈拍(P)、呼吸(R)、血圧(BP)の看護データを、グラフ表示領域92に表示する。このうち、体温(T)、脈拍(P)、呼吸(R)については、折れ線グラフとして表示し、血圧(BP)については、最大血圧(収縮期血圧)と最小血圧(拡張期血圧)の数値をグラフ中にプロットすることで表示する。本実施例では、経過表作成部64が、看護データ取得部63にて取得した全ての看護データの数値を、表領域94に表示する。したがって表に表示される項目は、グラフ化された項目も含む。経過表作成部64は、グラフ表示領域92に表示する看護データの項目をテーブルとして保持し、看護データ取得部63にて取得した看護データから、グラフ表示する看護データを抽出してもよい。
【0039】
モニタ65の画面サイズは有限であり、図8の例では、8日分の看護データのみが表示される。検索処理部33は、本日分と、本日より未来の2日分、さらに本日より過去の5日分の計8日分の看護データを抽出しており、したがって、サーバ30にて送信された看護データは、全て経過表に表示することができる。このように、経過表の作成に必要なデータのみをサーバ30側で抽出し、PC60に送信することで、無駄のない効率的なデータ処理を実現することができる。
【0040】
なおユーザは、操作入力部61を用いて日付変更キー90を押し下げることで、表示される看護データの日付を変更できる。このときも、検索処理部33は、8日分の看護データをDB領域41から取得し、無駄のないデータ処理を実現する。
【0041】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0042】
実施例では、サーバ30においてテーブル保持部34が図7に示すインデックステーブルを保持することとしたが、PC60が、このインデックステーブルを備えてもよい。インデックステーブルは、例えば経過表におけるグラフおよび表の作成に必要な項目をXMLにて記述した設定ファイルとして用意されてよく、この設定ファイルは、項目毎にグラフ化するかしないかの情報をフラグとして記憶する領域を有してよい。この場合、PC60は、設定ファイルに記録した項目についての検索要求をサーバ30に送信し、検索処理部33は、この検索要求をもとに、経過表のグラフおよび表の作成に必要な項目を所定期間分だけテンポラリDB40から抽出して、送受信部31からPC60の送受信部62に送信する。経過表作成部64は、設定ファイルに記憶されたフラグを参照して、グラフ化する項目の看護データを抽出し、グラフ表示領域92にて表示する。なお上記したように、グラフ化する項目の看護データは、グラフ表示領域92における表示だけでなく、表領域94の表示にも用いられる。
【0043】
また実施例では、クライアントサーバシステムについて説明したが、スタンドアローン型の看護支援システムにおいても本発明を適用することができる。このとき、単独の端末装置として構成される看護支援システムは、複数の患者の看護データを記録するテンポラリDB40と、経過表を作成する患者の複数の看護データをテンポラリDB40から検索して取得する検索処理部33と、検索処理部33で取得した看護データを展開するメモリと、メモリに展開された看護データをもとに、患者の経過表を作成する経過表作成部64とを備えて構成される。検索処理部33は、テンポラリDB40に記録された看護データの複数の項目の中から、経過表におけるグラフおよび表の作成に必要な項目の看護データを抽出する。これにより、メモリに展開する看護データのデータ量を削減することができ、メモリを効率的に使用できるとともに、システムにおける処理負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例にかかる病院情報システムの構成を示す図である。
【図2】実施例にかかる看護支援システムの構成を示す図である。
【図3】テンポラリDBの記憶領域を示す図である。
【図4】テンポラリDBに記録されている患者A〜患者Gの入院状況を示す図である。
【図5】テンポラリDBのDB領域に記録されている患者の入院状況を示す図である。
【図6】検索された患者Fに対して記録されている看護データを示す図である。
【図7】テーブル保持部に保持されたインデックステーブルを示す図である。
【図8】経過表の画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1・・・病院情報システム、10・・・病院情報管理システム、12・・・病院情報管理サーバ、14・・・マスタDB、16・・・LAN、20・・・看護支援システム、30・・・サーバ、31・・・送受信部、32・・・要求受付部、33・・・検索処理部、34・・・テーブル保持部、40・・・テンポラリDB、41・・・DB領域、42・・・バックアップ領域、50・・・アクセスポイント、60・・・PC、61・・・操作入力部、62・・・送受信部、63・・・看護データ取得部、64・・・経過表作成部、65・・・モニタ、70・・・PDA、90・・・日付変更キー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバとクライアントとを備えた看護支援システムであって、
前記サーバは、
複数の患者の看護データを記録する記憶部と、
グラフと表により患者の状態を時系列で示す経過表を作成する患者の複数の看護データを前記記憶部から検索して取得する検索処理部と、
取得した看護データを送信する送信部とを備え、
前記クライアントは、
前記送信部より送信された看護データを受信する受信部と、
受信した看護データをもとに、患者の経過表を作成する経過表作成部とを備え、
前記検索処理部は、前記記憶部に記録された看護データの複数の項目の中から、経過表におけるグラフおよび表の作成に必要な項目の看護データを抽出することを特徴とする看護支援システム。
【請求項2】
前記検索処理部は、経過表におけるグラフおよび表の作成に必要な項目をインデックス化したテーブルをもとに、看護データを抽出することを特徴とする請求項1に記載の看護支援システム。
【請求項3】
前記記憶部は、現在入院中の患者の看護データと、既に退院した患者の看護データに分類して記録し、
前記検索処理部は、検索する患者の集合を、現在入院中の患者に限定することを特徴とする請求項1または2に記載の看護支援システム。
【請求項4】
前記検索処理部は、複数日分の看護データの中から、設定された日数分の看護データを抽出することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の看護支援システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−268613(P2006−268613A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87720(P2005−87720)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】