説明

真空成膜装置

【課題】高融点の金属材料または非昇華性材料からなる蒸着性材料からなる薄膜を被成膜体に対して安定して形成することが可能な真空成膜装置を提供する。
【解決手段】真空成膜装置10は、被成膜体13が配置された真空チャンバー12と、蒸着性材料20を収納するるつぼ19と、プラズマビーム22をるつぼ19内の蒸着性材料20に向けて照射する圧力勾配型プラズマガン11とを備えている。るつぼ19に、蒸着性材料20を1000℃乃至2500℃の範囲内で加熱できる加熱機構40が設けられている。プラズマビーム22を蒸着性材料20の表面に導き、真空チャンバー12内の被成膜体13上に薄膜20aを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着性材料からなる薄膜を被成膜体上に形成する真空成膜装置に係り、とりわけ蒸発しにくい高融点の金属材料または非昇華性材料からなる蒸着性材料を確実に蒸発させて、この蒸発した蒸着性材料を被成膜体上に製膜させることが可能な真空成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より被成膜体上に蒸着性材料からなる薄膜を形成するため、被成膜体が配置された真空チャンバーと、プラズマビームを生成し、このプラズマビームを真空チャンバー内に送るプラズマガンと、プラズマガンから生成されたプラズマビームを収束させる収束コイルとを備えた真空成膜装置が用いられている。
【0003】
このような真空成膜装置において、プラズマガンから生成されたプラズマビームは真空チャンバー内に送られ、真空チャンバー内に設置されたるつぼ内の蒸着性材料に照射される。プラズマビームが照射された蒸着性材料は蒸発し、その後、被成膜体上に蒸着して薄膜を形成する。
【特許文献1】特開平05−33124号公報
【特許文献2】特開2000−219961号公報
【特許文献3】特開2006−124731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで従来の真空成膜装置において、蒸着性材料として、チタン、銅、アルミニウム等のような比較的蒸発しにくい高融点の金属材料、あるいは酸窒化シリコン等のような非昇華性材料を用いることは難しい。すなわちこのような蒸着性材料を用いて被成膜体上に薄膜を形成しようとした場合、蒸着性材料が十分に蒸発しない。あるいは、蒸着性材料を急激に蒸発させようとすると、蒸着性材料に突沸が生じてしまう。このため被成膜体上に蒸着性材料からなる薄膜を安定して形成することは難しい。
【0005】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、蒸発しにくい高融点の金属材料または非昇華性材料からなる蒸着性材料であっても確実に蒸発させることが可能であり、このような蒸着性材料の薄膜を被成膜体上に安定して形成することが可能な真空成膜装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、薄膜を形成する被成膜体が内部に配置され、外方に突出する短管部を有する真空チャンバーと、真空チャンバー内に設けられ、蒸着性材料を収納するるつぼと、真空チャンバーの短管部に取付けられるとともに、プラズマビームを生成し、このプラズマビームをるつぼ内に収納された蒸着性材料に向けて照射する圧力勾配型プラズマガンと、真空チャンバーの短管部を包囲し、プラズマビームの軌道および/または形状を制御する収束コイルとを備え、蒸着性材料を収納するるつぼに、蒸着性材料を1000℃乃至2500℃の範囲内で加熱できる加熱機構を設け、プラズマビームを真空チャンバー内のるつぼに収納した蒸着性材料の表面に導き、真空チャンバー内の被成膜体上に薄膜を形成することを特徴とする真空成膜装置である。
【0007】
本発明は、加熱機構は、赤外線ヒーター、LEDランプ、キセノンランプ、または重水素ランプからなることを特徴とする真空成膜装置である。
【0008】
本発明は、るつぼ内の蒸着性材料に、蒸着性材料の沸点より500℃以上沸点が高い添加剤を添加し、蒸着性材料の突沸を防止することを特徴とする真空成膜装置である。
【0009】
本発明は、加熱機構は、電気的に浮遊状態であることを特徴とする真空成膜装置である。
【0010】
本発明は、真空チャンバー内であって、るつぼ近傍に、るつぼ内に蒸着性材料を供給する材料供給装置を設け、材料供給装置から供給されたるつぼ内の蒸着性材料の量を監視するモニター装置が設けられていることを特徴とする真空成膜装置である。
【0011】
本発明は、るつぼ下方にアノード電極が設けられ、蒸着性材料は絶縁性材料からなり、るつぼは融点2000℃以上の材料からなり、るつぼとアノード電極とが直接接触していることを特徴とする真空成膜装置である。
【0012】
本発明は、るつぼ下方にアノード電極が設けられ、蒸着性材料は導電性材料からなり、るつぼは融点2000℃以上の導電性材料からなることを特徴とする真空成膜装置である。
【0013】
本発明は、材料供給装置からるつぼに供給される蒸着性材料が粉体または粒体形状を有し、その粒径が3cm以下、またはその嵩密度が50%以下であることを特徴とする真空成膜装置である。
【0014】
本発明は、蒸着性材料が、チタン、銅、アルミニウム、または酸窒化シリコンからなることを特徴とする真空成膜装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、蒸着性材料を収納するるつぼに、蒸着性材料を1000℃乃至2500℃の範囲内で加熱できる加熱機構を設けたので、蒸着性材料に対して直接的に高い熱エネルギーを加えることができ、蒸着性材料を確実に蒸発させ、蒸着性材料からなる薄膜を被成膜体に対して安定して形成することができる。
【0016】
また本発明によれば、るつぼ内の蒸着性材料に、蒸着性材料の沸点より500℃以上沸点が高い添加剤を添加したので、加熱機構によって蒸着性材料を1000℃乃至2500℃の高温で加熱した場合であっても、蒸着性材料の突沸を確実に防止することができる。
【0017】
また本発明によれば、真空チャンバー内であって、るつぼ近傍に、るつぼ内に蒸着性材料を供給する材料供給装置を設け、材料供給装置から供給されたるつぼ内の蒸着性材料の量を監視するモニター装置が設けられているので、るつぼから蒸着性材料があふれ出ることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について、図1乃至図2を参照して説明する。
ここで、図1は、本発明の一実施の形態による真空成膜装置を示す図であり、図2は、真空チャンバー内のるつぼ周辺を示す拡大図である。
【0019】
まず、図1により、本実施の形態による真空成膜装置の概略について説明する。
【0020】
図1に示すように、真空成膜装置10は、薄膜20aを形成する基板(被成膜体)13が内部に配置され、側部外方に突出する短管部12Aを有する真空チャンバー12と、真空チャンバー12内に設けられ、蒸着性材料20を収納するるつぼ19とを備えている。また真空チャンバー12の短管部12Aに、プラズマビーム22を生成し、このプラズマビーム22をるつぼ19内に収納された蒸着性材料20に向けて照射する圧力勾配型プラズマガン11が取付けられている。
【0021】
さらに真空チャンバー12に真空ポンプ30が接続され、真空チャンバー12内は真空ポンプ30によって吸引されて所定の減圧状態(例えば5×10-5Pa乃至1.5×10-3Pa)に保たれている。
【0022】
図1に示すようにプラズマガン11は、放電電源14のマイナス側に接続された環状の陰極15と、放電電源14のプラス側に抵抗を介して接続された環状の第1中間電極16および第2中間電極17とを有している。また陰極15側から放電ガス(Ar)が供給され、プラズマガン11は、この放電ガスをプラズマ状態にして第2中間電極17から真空チャンバー12内に向けて流出させるようになっている。
【0023】
また、真空チャンバー12と第2中間電極17との間の短管部12Aの外側には、この短管部12Aを包囲するように収束コイル18が設けられている。この収束コイル18はプラズマビーム22を磁場により軌道および/または形状を制御するものである。なおこのような制御としては、プラズマビーム22の横断面の収束、平らな形状にすること、およびるつぼ19内に引込む等の制御が考えられる。また真空チャンバー12内の下部には、上述したようにるつぼ19が配置されており、このるつぼ19には、上述したように薄膜20aの材料となる蒸着性材料20が収納されている。
【0024】
また図1に示すように、短管部12A内にプラズマガン11の出口部から絶縁管31が突設されている。この絶縁管31はプラズマビーム22の周囲を取り囲み、プラズマガン11から電気的に浮遊状態となっている。また真空チャンバー12に連結された短管部12A内に、絶縁管31の外周側を取巻くとともに、放電電源14のプラス側に接続され、プラズマガン11の出口部よりも高い電位状態となる電子帰還電極32が設けられている。なお、前記絶縁管31としては、たとえば、セラミック製短管が採用される。
【0025】
次に、図2を用いて、真空チャンバー12内に設けられたるつぼ19周辺部の構成について説明する。図2に示すように、るつぼ19下方に例えば銅からなるアノード電極23が設けられ、このアノード電極23は、上述した放電電源14のプラス側に接続されている。またアノード電極23内部に、プラズマビーム22をるつぼ19内の蒸着性材料20に引込むためのるつぼ用磁石21が埋設されている。
【0026】
また、アノード電極23の上方であってるつぼ19の周囲に、蒸着性材料20を加熱する加熱機構40が設けられている。加熱機構40は、るつぼ19周囲を取り囲むように配置されたリング形状の赤外線ヒーターからなり、るつぼ19をるつぼ19外周から略均一に加熱できるようになっている。あるいは、加熱機構40としては、LEDランプ、キセノンランプ、または重水素ランプ等が用いられても良い。また加熱機構40は、蒸着性材料20の沸点以上の温度であって、るつぼ19の融点以下の所定の温度まで加熱できる構造となっていることが好ましく、例えば、蒸着性材料20を1000℃乃至2500℃の範囲内で加熱できるもの、更に好ましくは1500℃乃至2300℃の範囲内で加熱できるものが用いられる。また加熱機構40は、電気的に浮遊状態とすることが好ましい。ここで、電気的に浮遊状態、とはアースに接続していないことを表す。このように加熱機構40が電気的に浮遊状態となることにより、プラズマ粒子の影響によるダメージを受けなくなり、ヒーター温度が変調したり破損したりせずに温度が安定するという効果が得られる。
【0027】
さらに図2において、真空チャンバー12内であってるつぼ19近傍に、るつぼ19内に蒸着性材料20を供給するための材料供給装置50が設けられている。材料供給装置50は、蒸着性材料20を貯蔵するタンク41と、タンク41からの蒸着性材料20をるつぼ19に供給する材料供給パイプ43とを有している。このうち材料供給パイプ43は、一端がバルブ(接続部)42を介してタンク41に接続されるとともに、他端がるつぼ19上に配置されている。
【0028】
またるつぼ19内の蒸着性材料20の量を監視するため、材料供給パイプ43の一端とるつぼ19上面との間に、例えば赤外線センサーからなるモニター装置44が設けられている。このモニター装置44および上述したバルブ(接続部)42は、それぞれ真空チャンバー12外方に設けられた制御装置45に電気的に接続されている。制御装置45は、モニター装置44から送信された蒸着性材料20の量に関する信号に基づき、バルブ42を制御して、るつぼ19内に供給される蒸着性材料20の量を調整する。
【0029】
制御装置45は、材料供給装置50のタンク41からるつぼ19内に蒸着性材料20が供給される間、るつぼ19内の蒸着性材料20が一定量(上限値)を超えた場合、バルブ42を制御して、タンク41からの蒸着性材料20の供給を一時的に停止する。また制御装置45は、蒸着性材料20にプラズマビーム22を照射して基板13上に薄膜20aを形成する際、蒸着性材料20がるつぼ19内で一定量(下限値)を下回った場合、バルブ42を制御して、タンク41からるつぼ19内に蒸着性材料20を供給する。
【0030】
なお、上述したタンク41および材料供給パイプ43は、表面が絶縁材料によりコーティングされ、これによりプラズマ粒子がタンク41及び材料供給パイプ43に向かうことなく、安定したプラズマ放電が得られるという効果が得られる。
【0031】
ところで、るつぼ19は、例えばグラファイト(C)、窒化ホウ素(BN)、タングステン(W)、またはニオブ(Nb)等、融点が2000℃以上の材料からなっている。一方、蒸着性材料20は、例えばチタン(Ti)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金属材料、または酸窒化シリコン(SiON)等の非昇華性材料等からなっている。また蒸着性材料20は、粉体または粒体形状を有することが好ましい。さらに、蒸着性材料20の粒体の粒径を3cm以下とし、あるいはその嵩密度を50%以下とすることが好ましい。なおここでいう嵩密度とは、理論密度に対するJISK1201−1の3.1に記載された手法で測定された数値の割合を意味する。このような粒径または嵩密度とすることにより、るつぼへ供給した際に発生する突沸を抑制することができる。
【0032】
また、るつぼ19内の蒸着性材料20に、蒸着性材料20の沸点より500℃以上沸点が高い添加剤(沸騰石)25を添加している。これにより蒸着性材料20の突沸を確実に防止することができる。このような添加剤25としては多孔質形状のものが好ましく、例えば窒化ホウ素(BN)、シリカアルミナ等を用いることができる。また添加剤25は、るつぼ19内の蒸着性材料20に対して体積比で約0.01%乃至約5%程度添加することが好ましい。
【0033】
なお蒸着性材料20が絶縁性材料(例えば、酸窒化シリコン等)からなる場合、図2に示すように、るつぼ19を融点2000℃以上の導電性材料(例えばグラファイト、タングステン、ニオブ等)から構成し、かつるつぼ19とアノード電極23とを直接接触させることが好ましい。
【0034】
また、蒸着性材料20が導電性材料(例えばチタン、銅、アルミニウム等)からなる場合であっても、るつぼ19を融点2000℃以上の導電性材料(例えばグラファイト、タングステン、ニオブ等)から構成し、かつるつぼ19とアノード電極23とを直接接触させることが好ましい。
【0035】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、予め材料供給装置50のタンク41内に粉体または粒体形状を有する蒸着性材料20を収容しておく。次に、真空ポンプ30を用いて真空チャンバー12内を減圧し、真空チャンバー12内を所定の圧力とする。
【0036】
次に基板13を真空チャンバー12内に導入する。また、材料供給装置50のタンク41からるつぼ19内に粉体または粒体形状を有する蒸着性材料20を供給する。この間、タンク41からの蒸着性材料20は、材料供給パイプ43を介してるつぼ19内に供給される。この場合、モニター装置44は、材料供給パイプ43から供給されたるつぼ19内の蒸着性材料20の量を測定し、この蒸着性材料20の量を信号として制御装置45に送信する。制御装置45は、蒸着性材料20の量が上限値を超えた場合、バルブ42を制御して蒸着性材料20の供給を停止する。
【0037】
次に放電電源14によってプラズマガン11が作動して、プラズマガン11の第2中間電極17から蒸着性材料20に向けてプラズマビーム22が形成される。プラズマガン11からのプラズマビーム22は、蒸着性材料20の表面に導かれ、蒸着性材料20に照射される。
【0038】
プラズマビーム22が蒸着性材料20に照射されるのと同時に、加熱機構40によってるつぼ19が加熱される。これによりるつぼ19内の蒸着性材料20が所定の温度、例えば1000℃乃至2500℃まで加熱される。このようにして、るつぼ19内の蒸着性材料20が蒸発する。蒸発した蒸着性材料20は、イオン化して基板13の下面に蒸着し、基板13の下面に蒸着性材料20からなる薄膜20aが形成される。この間収束コイル18は、プラズマビーム22に対してプラズマビーム22の横断面を収縮させる作用を行ない、またるつぼ用磁石21は、プラズマビーム22の焦点合わせおよびプラズマビーム22を曲げさせる作用を行なう。
【0039】
またモニター装置44は、引き続きるつぼ19内の蒸着性材料20の量を測定しており、制御装置45は、蒸着性材料20の量が下限値を下回った場合、バルブ42を制御して蒸着性材料20の供給を開始する。
【0040】
このようにして基板13上に蒸着性材料20の薄膜20aを形成することができる。
【0041】
このように、本実施の形態によれば、蒸着性材料20を収納するるつぼ19に、蒸着性材料20を1000℃乃至2500℃の範囲内で加熱できる加熱機構40を設けている。これにより、蒸着性材料20に対して直接的に高い熱エネルギーを加えることができ、蒸着性材料20を確実に蒸発させることができる。このようにして、蒸着性材料20からなる薄膜20aを基板13上に安定して形成することができる。とりわけ蒸着性材料20が、チタン、銅、アルミニウム等からなる高融点の金属材料、または酸窒化シリコン等からなる非昇華性材料からなる場合であっても、薄膜20aを基板13上に安定して形成することができる。
【0042】
また、本実施の形態によれば、るつぼ19内の蒸着性材料20に、蒸着性材料20の沸点より500℃以上沸点が高い添加剤25を添加したので、加熱機構40によって蒸着性材料20を1000℃乃至2500℃の高温で加熱した場合であっても、蒸着性材料20の突沸を確実に防止することができる。
【0043】
さらに、本実施の形態によれば、真空チャンバー12内であってるつぼ19近傍に、るつぼ19内に蒸着性材料20を供給する材料供給装置50を設けている。また材料供給装置50から供給されたるつぼ19内の蒸着性材料20の量を監視するモニター装置44が設けられているので、るつぼ19に蒸着性材料20を供給する際、るつぼ19から蒸着性材料20があふれ出ることを防止することができる。また基板13上に薄膜20aを形成する際、るつぼ19内の蒸着性材料20が不足した場合に蒸着性材料20を追加供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による真空成膜装置の一実施の形態を示す図。
【図2】本発明による真空成膜装置における真空チャンバー内のるつぼ周辺を示す拡大図。
【符号の説明】
【0045】
10 真空成膜装置
11 プラズマガン
12 真空チャンバー
12A 短管部
13 基板(被成膜体)
18 収束コイル
19 るつぼ
20 蒸着性材料
20a 薄膜
21 るつぼ用磁石
22 プラズマビーム
23 アノード電極
25 添加剤(沸騰石)
30 真空ポンプ
40 加熱機構
44 モニター装置
45 制御装置
50 材料供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜を形成する被成膜体が内部に配置され、外方に突出する短管部を有する真空チャンバーと、
真空チャンバー内に設けられ、蒸着性材料を収納するるつぼと、
真空チャンバーの短管部に取付けられるとともに、プラズマビームを生成し、このプラズマビームをるつぼ内に収納された蒸着性材料に向けて照射する圧力勾配型プラズマガンと、
真空チャンバーの短管部を包囲し、プラズマビームの軌道および/または形状を制御する収束コイルとを備え、
蒸着性材料を収納するるつぼに、蒸着性材料を1000℃乃至2500℃の範囲内で加熱できる加熱機構を設け、
プラズマビームを真空チャンバー内のるつぼに収納した蒸着性材料の表面に導き、真空チャンバー内の被成膜体上に薄膜を形成することを特徴とする真空成膜装置。
【請求項2】
加熱機構は、赤外線ヒーター、LEDランプ、キセノンランプ、または重水素ランプからなることを特徴とする請求項1記載の真空成膜装置。
【請求項3】
るつぼ内の蒸着性材料に、蒸着性材料の沸点より500℃以上沸点が高い添加剤を添加し、蒸着性材料の突沸を防止することを特徴とする請求項1記載の真空成膜装置。
【請求項4】
加熱機構は、電気的に浮遊状態であることを特徴とする請求項1記載の真空成膜装置。
【請求項5】
真空チャンバー内であって、るつぼ近傍に、るつぼ内に蒸着性材料を供給する材料供給装置を設け、材料供給装置から供給されたるつぼ内の蒸着性材料の量を監視するモニター装置が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の真空成膜装置。
【請求項6】
るつぼ下方にアノード電極が設けられ、蒸着性材料は絶縁性材料からなり、るつぼは融点2000℃以上の材料からなり、るつぼとアノード電極とが直接接触していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の真空成膜装置。
【請求項7】
るつぼ下方にアノード電極が設けられ、蒸着性材料は導電性材料からなり、るつぼは融点2000℃以上の導電性材料からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の真空成膜装置。
【請求項8】
材料供給装置からるつぼに供給される蒸着性材料が粉体または粒体形状を有し、その粒径が3cm以下、またはその嵩密度が50%以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載の真空成膜装置。
【請求項9】
蒸着性材料が、チタン、銅、アルミニウム、または酸窒化シリコンからなることを特徴とする請求項1記載の真空成膜装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−287089(P2009−287089A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140899(P2008−140899)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】