説明

真空断熱ガラスユニットのための端密封部の局部的過熱および/またはそれを達成するためのユニット化されたオーブン

【課題】真空断熱ガラスユニットの端密封部を形成するために向かい合うガラス基板の周辺端部に置かれたガラス原料を溶かすときにガラス基板の破壊や焼入れ強度の低下が生じる可能性を少なくする。
【解決手段】真空断熱ガラスユニット(1)は、1つ以上の中間温度に事前に加熱される。それから、ガラス基板(2、3)の周辺端部に置かれたガラス原料を溶かすために1つ以上の実質的に線形の集束赤外線(IR)熱源(72、74)から局部的な熱が周辺端部の近傍に加えられ、冷却される。事前加熱と冷却は1つ以上の段階で行われる。それを達成するためのオーブンは複数のゾーンを含み、各ゾーンは付加的に1つ以上のチャンバーを含む。ガラス基板(2、3)の周辺端部の近傍に温度勾配が生じるため、ガラス基板(2、3)の破壊や焼入れ強度の低下のおそれが少なくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のいくつかの実施形態は、真空断熱ガラス(VIG)ユニットのための端密封技術に関する。特に、いくつかの実施形態は、ユニットの端密封部を局部的に加熱するための技術、および/またはそれを達成するためのユニット化されたオーブンに関する。いくつかの実施形態において、ユニットは1つ以上の中間温度に事前に加熱され、そのユニットの周辺端部に置かれたガラス原料を溶かすために、(例えば、1つ以上の実質的に線形の集束赤外線熱源から)周辺端部の付近がほぼ局部的に加熱され、そのユニットが冷却される。いくつかの実装において、事前加熱および/または冷却は1つ以上のステップで実行される。それを達成するためのオーブンは上記ステップを実行するために複数のゾーンを含み、各ゾーンは付加的に1つ以上のチャンバーを含む。
【背景技術】
【0002】
真空IGユニットは技術的に知られている。これは、例えば、米国特許第5,664,395号明細書、米国特許第5,657,607号明細書、および米国特許第5,902,652号明細書に記載されている。これらの開示全部を参照によりここに含める。
【0003】
図1と図2は、従来の真空IGユニット(真空IGユニットまたはVIGユニット)を示す。真空IGユニット1は間隔を置いて配置された2枚のガラス基板2とガラス基板3を含んでおり、それらは間に排気されたあるいは低圧の空間を保持している。ガラス基板2とガラス基板3は融合したはんだガラスによる周辺密封部または端密封部4とスペーサ(または支持柱)5のアレイによって相互に接続される。
【0004】
開口部(または穴)10がガラス基板2の内面からガラス基板2の外面における凹部11の底まで貫通し、排気管8が開口部10まではんだガラス9によって密封される。ガラス基板2とガラス基板3の間の内部空所が排気されて低圧区域(または空間)6を作り出すことができるように排気ポンプが排気管8に取り付けられる。排気の後で排気管8は溶融されて密閉される。凹部11には密閉された排気管8が保持される。付加的に、化学ゲッター12が凹部13の中に含まれてよい。
【0005】
融合したはんだガラスの端密封部4を備えた従来の真空IGユニットは、次のようにして製造されてきた。(最終的にはんだガラスの端密封部4を形成するために)溶解するガラス原料がガラス基板2の周辺部の内側に配置される。ガラス基板2の上面の上に他のガラス基板3の下面が配置され、それらの間にスペーサ5とガラス原料/溶液が挟み込まれる。次に、ガラス基板2、ガラス基板3、スペーサ5および密封材料を含む全体の組立品はおよそ500℃の温度に加熱され、その温度でガラス原料が溶け、ガラス基板2とガラス基板3の表面をぬらし、最終的に密封された周辺密封部または端密封部4を形成する。このおよそ500℃の温度は約1〜8時間形成のために維持される。周辺密封部/端密封部4の形成と排気管8の密封の後に、組立品は室温に冷却される。米国特許第5,664,395号明細書のカラム2には、従来の真空IG処理温度は1時間の間約500℃であると記載されていることに注意が必要である。レンゾン、ターナーおよびコリンズによる”Thermal Outgassing of Vacuum Glazing”の中で、395特許の発明者コリンズは、「端の密封処理は現在全く遅い。:一般的にサンプルの温度は時間当たり200℃で増加し、はんだガラスの構成に依存して430℃と530℃の間の範囲で1時間の間一定の温度に保たれる。」と述べる。端密封部4の形成後に、低圧区域6を形成するために排気管8を介して真空に引かれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
不幸にも、端密封部4の形成に用いられる上述した組立品全体に対する高い温度と長い加熱時間は好ましくない。特に、真空IGユニットに熱強化されたまたは焼き入れされたガラス基板2とガラス基板3を使うことが望まれる場合には好ましくない。図3と図4に示すように、高温にさらされるとき焼入れガラスは加熱時間の関数として焼入れ強度が低下する。更に、そのような高い処理温度は、ある場合にはガラス基板の一方あるいは双方に施されるある種のlow−eコーティングに不利な影響を及ぼす。
【0007】
図3は、充分に焼入れされた板ガラスが異なる時間、異なる温度にさらされたときに、初期焼入れ強度がどのように低下するかを示しているグラフであり、ここで、初期中心引張応力は1インチ当たり3,200MUである。図3のX軸は時間(1時間から1,000時間まで)を指数関数表示の時間で表したものであり、Y軸は熱にさらされた後に残っている初期焼入れ強度をパーセントで表したものである。図4は、図4のX軸が0時間から1時間まで指数関数的に延びていること以外は図3に類似しているグラフである。
【0008】
図3には異なる7つの曲線が示されており、各々は異なる華氏温度(°F)にさらされたことを示している。これらの異なる曲線/直線は400°F(図3のグラフの一番上を横切っている)、500°F、600°F、700°F、800°F、900°F、および950°F(図3のグラフの一番下の曲線)である。900°Fの温度はおよそ482℃に等しく、この温度は図1と図2の中の上記従来のはんだガラスの端密封部4を形成するために使われた温度の範囲内にある。従って、参照符号18が付けられた図3の900°F曲線に注意が払われる。図示されるように、この温度(900°Fすなわち482℃)に1時間置かれた後には、初期焼入れ強度の20%だけが残っている。そのような焼入れ強度の大幅な損失(すなわち、80%の損失)はもちろん望ましくない。
【0009】
図3と図4において、焼き入れされた板が1時間の間800°F(約428℃)の温度に加熱されると、1時間の間900°Fに加熱された場合とは異なり、その板にはかなり良好に焼入れ強度が残ることが分かる。このようなガラス板には、800°Fで1時間加熱された後に、その初期焼入れ強度の約70%が残っているが、これは900°Fで同じ時間加熱されたときの20%未満よりもかなり良好である。
【0010】
ユニット全体をあまり長く加熱しないことに関連する他の利点は、より低い温度の支持柱の材料が使用されてよいことである。これは場合によっては望ましいかどうか分からない。
【0011】
焼き入れされていないガラス基板が使われるときでさえ、VIG組立品全体に加えられる高温は、ガラスを溶かし、またはストレスを与える。これらのストレスはガラスの変形および/または破損のおそれを増加させる。
【0012】
従って、向かい合うガラス板の間に構造的にしっかりした密封部を備えた真空IGユニットとその製造方法が技術的に必要とされることがよく理解される。また、はんだガラスの端密封部を形成するためにユニット全体を加熱する従来の真空IG製造技術よりガラス板の初期焼入れ強度を保つように周辺の密封部を形成する焼入れガラス板を含む真空IGユニットのための技術的な必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のいくつかの実施形態の態様はユニットの周辺部以外の領域の加熱を低減して端密封部を形成し、従って基板破壊の危険性を低減するためにユニットの周辺部を局部的に加熱することに関する。
【0014】
いくつかの実施形態の態様は、ユニット化されたオーブンを用いてユニットの段階的な加熱、局部的な加熱、および段階的な冷却を与え、局部的な加熱は実質的に線形の集束赤外線(IR)熱源によって与えられることに関する。
【0015】
いくつかの実施形態の他の態様は、はんだガラス端部密封材料を使って従来の端部密封形成技術が使われた場合よりも、真空IGユニットの焼入れガラス基板/板の少なくともある部分がより多くの初期焼入れ強度を保つように形成された周辺密封部または端密封部を備えた真空IGユニットを提供することに関する。
【0016】
いくつかの実施形態の他の態様は、端密封部(例えば、はんだガラス端密封部)の形成後、製造された焼入れガラス基板の少なくとも一部が初期焼入れ強度の少なくとも約50%を保つ真空IGユニットとその製造方法を提供することに関する。
【0017】
いくつかの実施形態の他の態様は、真空IGユニットの周辺/端密封部を形成するために必要な焼入れ後の加熱時間を削減することに関する。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、
実質的に間隔を空けて平行に配置された第1のガラス基板と第2のガラス基板と、前記VIG窓ユニットの端部を密封するために前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の間に少なくとも部分的に配置されるガラス原料とを与えるステップと、
前記ガラス基板と前記ガラス原料を前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の融点より低く、かつ前記ガラス原料の融点より低い少なくとも1つの温度に予め加熱するステップと、
少なくとも部分的に前記ガラス原料を溶かすために、密封される前記端部の近くに局部的な近赤外線による熱を加えるステップと、
前記真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造中に、前記ユニットを冷却し、前記ガラス原料を硬化させるステップと、
を備えることを特徴とする真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造方法が提供される。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態において、端密封部を含む真空断熱ガラスユニットの製造方法が提供される。実質的に間隔を空けて平行に配置された第1のガラス基板と第2のガラス基板と、密封される前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の間の1つ以上の端部と、密封される各前記端部を密封するためのガラス原料とを含むユニットが与えられる。前記ユニットは少なくとも1つの中間温度に全体として予め加熱され、各前記中間温度は、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の融点より低く、かつ前記ガラス原料の融点より低い。実質的に線形の赤外線熱源によって生成される近赤外線放射を用いて、ガラス原料の溶ける温度で密封される前記ユニットの端部近傍に局部的な熱が加えられ、前記ガラス原料の溶ける温度は前記ガラス原料を溶かすために十分高く、密封される前記端部から離れた前記ユニットの領域が中間温度に近い温度に維持されるように、前記局部的な熱が前記ユニットに加えられる。前記ユニットは少なくとも1つの低下温度に全体として冷却され、前記ガラス原料は硬化する。
【0020】
いくつかの実施形態において、真空断熱ガラスユニットのための端密封部の製造方法が提供される。入口、端部密封、および出口ゾーンを含むオーブンが与えられる。実質的に間隔を空けて平行に配置された第1のガラス基板と第2のガラス基板と、密封される前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の間の1つ以上の端部と、密封される各前記端部を密封するためのガラス原料とを含むユニットが前記オーブンに挿入される。前記オーブンの入口ゾーンでは、前記ユニットは少なくとも1つの中間温度に予め加熱され、各前記中間温度は、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の融点より低く、かつ前記ガラス原料の融点より低い。前記オーブンの端部密封ゾーンでは、ガラス原料の溶ける温度で密封される前記ユニットの端部近傍に局部的な熱源を用いて局部的な熱が加えられ、前記ガラス原料の溶ける温度は前記ガラス原料を溶かすために十分高く、密封される前記端部から離れた前記ユニットの領域が中間温度に近い温度に維持されるように、前記局部的な熱が前記ユニットに加えられる。前記オーブンの出口ゾーンでは、前記ユニットは全体として少なくとも1つの低下温度に冷却され、前記ガラス原料は硬化する。
【0021】
いくつかの実施形態において、真空断熱ガラスユニットのための端密封部形成装置が提供される。実質的に間隔を空けて平行に配置された第1のガラス基板と第2のガラス基板と、密封される前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の間の1つ以上の端部と、密封される各前記端部を密封するためのガラス原料とを含むユニットを受け入れ、前記ユニットを全体として少なくとも1つの中間温度に予め加熱するために入口ゾーンが与えられる。各前記中間温度は、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の融点より低く、かつ前記ガラス原料の融点より低い。ガラス原料の溶ける温度で密封される前記ユニットの端部近傍に局部的な熱を加えるために局部的な熱源を含む端部密封ゾーンが提供される。前記ガラス原料の溶ける温度は前記ガラス原料を溶かすために十分高く、密封される前記端部から離れた前記ユニットの領域が中間温度に近い温度に維持されるように、前記局部的な熱が前記ユニットに加えられる。前記ユニットを全体として少なくとも1つの低下温度に冷却し、前記ガラス原料を硬化させるために前記オーブンの出口ゾーンが与えられる。
【0022】
さらに他の実施形態を実現するために、ここに記載された特徴、態様、長所および実施形態を組み合わしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下の図面と併せて実施形態の詳細な説明を参照することにより、これら、他の特徴および長所がより良く、より完全に理解される。
【図1】真空IGユニットの従来技術の断面図である。
【図2】図1に示された切断線に沿った、図1の真空IGユニットの底部ガラス基板、端密封部およびスペーサの従来技術の平面図である。
【図3】焼き入れされたガラス板が異なる時間、異なる温度にさらされた後における初期焼入れ強度の減少を示す、時間対残存焼入れ強度割合の関係を示すグラフである。
【図4】x軸についてより小さな時間が与えられることを除いて、図3と同様に時間対残存焼入れ強度割合の関係を示すグラフである。
【図5】実施形態に従う5つのチャンバーオーブンのレイアウト例を示す単純化された側面図である。
【図6】実施形態に従うユニット化されたオーブンの端部密封ゾーンの中のIR熱源の移動可能な集合を上から見た図である。
【図7】実施形態に従うIR加熱エレメントに隣接して配置された集中および/または集束ミラーの側面図である。
【図8】実施形態に従う、ユニット化されたオーブンを用いてVIG組立品のガラス原料による端密封部を局部的に加熱するためのプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のいくつかの実施形態は真空IG窓ユニットの改善された周辺密封部または端密封部、および/またはその製造方法に関する。この明細書における”周辺密封部”と”端密封部”はそれらがユニットの明白な周辺または端に位置することを意味するのではなくて、それに代えて密封部がユニットの少なくとも1つの基板の端部に、またはその近傍に(例えば、約2インチ内側に)、少なくとも部分的に位置することを意味する。同様に、この明細書で使われる”端”はガラス基板の明白な端に制限されるのではなくて、基板の明白な端の領域、またはその近傍(約2インチ内側)の領域を含んでもよい。また、ここで使われるように”VIG組立品”という用語は、例えば2枚の間隔を空けて平行に配置された基板とガラス原料を含む、VIGの端が密封されて凹部から排気される前の中間製品に言及することは良く理解される。また、この明細書ではガラス原料は1つ以上の基板の”上にある”またはそれらによって”支持されている”と言われるが、これはガラス原料が直接基板と接触しなければならないことを意味しない。言い換えると、”上”という単語は直接上、および間接的に上の両方を意味し、たとえ他の材料(例えば、コーティングおよび/または薄膜)が基板とガラス原料の間にあっても、ガラス原料は基板の”上”とみなされる。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、ユニット化され、区画されたオーブンを使う真空断熱ガラスユニットのガラス原料による端密封部のための選択的加熱方法が提供される。予備組立されたユニットは、まず密封するためのガラス原料を溶かすために必要とされる温度より低い中間温度(例えば、約200−300℃の温度)に加熱される。それから、実質的に線形の集束赤外線(IR)熱源からの局部的な熱でユニットの端が更に加熱される。ガラス原料が溶けるまで約350−500℃の局部的な温度を与えるために、赤外線熱源は近赤外線波長(例えば、約0.7−5.0μmの波長)、より好ましくは約1.1−1.4μmの波長でIR放射を生成するように構成される。同時に、焼入れまたは熱強化されたガラスが使われるならば、領域の大部分はまだ中間温度の下であるので、少なくともVLGユニットの焼入れガラス板/基板のある部分は初期焼入れ強度のわずか50%を失う。全体のより低い温度のために、いくつかの実施形態の技術はより少ないエネルギーを消費し、サンプルが冷える時間を短縮できる点で有利である。局部的な熱はガラス原料を含む材料の部分に基づいて決定されてよいことがよく理解されるであろう。例えば、鉛を含むガラス原料は銀を含むガラス原料より低い温度を必要とする傾向がある。
【0026】
いくつかの実施形態に係るユニット化されたオーブンは複数のチャンバーを含む。一般に、チャンバーは入口ゾーン、端部密封ゾーン、および出口ゾーンに対応する。実例となるユニット化されたオーブンは単一のゾーンの機能を達成するために複数のチャンバーを含んでよく(例えば、入口ゾーンの機能を果たすために2つの入口チャンバーが提供され、出口ゾーンの機能を果たすために2つの出口チャンバーが提供される等)、および/または複数のゾーンと関連する機能を達成するために単一のチャンバーが提供されてよい(例えば、単一のチャンバーが入口と出口の機能を提供してよい等)ことがよく理解されるであろう。
【0027】
例として、そして制限なしに、図5は実施形態に従う5つのチャンバーオーブン50のレイアウト例を示す単純化された側面図である。けれども、上記に示唆されるように、より多くのまたはより少ないチャンバーが使われてよいことはよく理解されるであろう。ある非制限的な実装では、隣接したチャンバーはそれらの間に位置する密封ドア(隣接したチャンバーの間に破線によって示される)によって分離される。リンケージ、滑車、および/または他の手段がそのようなドアを開閉するために提供されてよい。
【0028】
いくつかの実施形態に係るユニット化されたチャンバーオーブン50は、製品の流れに関して半連続的である。VIG組立品および/またはその中身がお互いに乱されたり、別の場所に移されたりしないように、ローラコンベヤー52または他の輸送技術が与えられたVIG組立品を1つのゾーンおよび/またはチャンバーから次のものに物理的に動かすために使われてよい。スタート地点52aで、ローラコンベヤー52は、例えば最初のドア54を通ってチャンバーオーブン50にVIG組立品を搬送する。VIG組立品は所定の場所に移され、チャンバーおよび/またはゾーン内の正しい位置に達するとき止められる。VIG組立品の位置は、例えばフォト−アイまたは他の検出手段によって決定されてよい。例として、そして制限なしに、その位置は特定のチャンバーの中心であり、(例えば、図6に関連して以下により詳細に記載されるように)特定の水平方向および垂直方向の位置等に合わせられる。いくつかの実施形態において、例えば、VIG組立品を十分に加熱することができ、はんだガラス原料を溶かすことができるように、VIG組立品を特定の位置に一時的に止めることは都合が良い。
【0029】
いくつかの実施形態において、複数のVIG組立品が一括して処理されるように同時にチャンバーオーブン50に供給されてよい。例えば、図5に示すもののように5つのチャンバーオーブンの中で、5個までVIG組立品が同時にオーブンによって処理され、その処理は各チャンバーの進捗に依存して始まり、止まってよい。例えば、出口ゾーンのチャンバーで実行される冷却よりも端部密封ゾーンはより多くの時間を必要とするかも知れない。従って、異なるゾーンおよび/またはチャンバーの異なる処理時間を考慮して処理をいくらか遅延させてもよい。
【0030】
VIG組立品をステージの中で加熱できるように、入口ゾーン(例えば、図5の実施形態におけるチャンバー1とチャンバー2)は、実質的に一様な熱源を備える。すなわち、実質的に一様にVIG組立品全体を加熱するように実質的に一様な熱がVIG組立品に加えられる。VIG組立品またはその中身の乱れを少なくするように、IR熱源または他の手段からのIR放射を介して加熱が達成される。
【0031】
端部密封ゾーン(例えば、図5のチャンバー3)には、VIG組立品を全体として予め定められたバックグラウンド温度に維持するために実質的に一様な熱源が設置される。これは、入口ゾーンからの中間温度にVIG組立品全体を維持すること、および/または入口ゾーンからの温度をわずかに増加させることによって達成される。一方で、端部に塗られたセラミックガラス原料を溶かすように、実質的に線形の集束IR熱源56がVIG組立品の周囲に局部的加熱を与える。例えば、VIG組立品に向かい合った端部における放物面鏡によって、IR熱源は周辺端部に集められる。図7を参照して集束機構の例について以下に更に詳細に説明する。この特定のゾーンは端部密封ゾーンと呼ばれるけれども、端部の密封は他のゾーンで起こってよいことはよく理解されるであろう。例えば、大部分の溶解は端部密封ゾーン内で起こり、IR放射源が弱められるとすぐに端部の密封がいくらか起こるだろう。しかし、出口ゾーンにある間に端部は密封され続けてよい(例えば、ガラス原料が硬化し始める、または硬化し続けてよい。)。
【0032】
図6は、実施形態に従うユニット化されたオーブンの端部密封ゾーンの中のIR熱源62とIR熱源64の移動可能な集合を上から見た図である。図6に示すように、ガラス原料溶解オーブンは様々な大きさのVIG組立品を密封するように設計されている。いくつかの実施形態において、集束IRバンクの角は適切な位置(例えば、バンク62aとバンク62bに隣接した角)に固定される。図6の例において、バンク62aとバンク62bは適切な位置に固定されている。そのような配置例では、ガラス原料の正しい溶解を確保するために、集束IRバンクの2つの側のみが再配置される必要がある。また、IR源は部分に分割されており、それらの部分の一部または全てをいつでも作動させ、VIG組立品のサイズに加熱の長さを調節することができる。これらのIR源のバンク64aとバンク64bの一部は、例えばアーム、レール上のローラ、および/または他のリンケージのような機械的手段によってVIG組立品の周囲の様々な位置に動かされてよい。図6において、これは、端部を密封するために、分割されたバンク64aとバンク64b、および初期位置(バンク64aとバンク64bの中で破線によって示される)からVIG組立品1’に隣接した位置(実線によって示される)に動かされたバンクセグメント64a’とバンクセグメント64b’として示される。図6の実施形態において、バンクセグメント64a’とバンクセグメント64b’、およびバンク62aとバンク62bの一部に対応するIR源のみが作動する。;バンク64aとバンク64bの残り、およびバンク62aとバンク62bの隣接していないIR源を作動させる必要はない(例えば、それらはオフのまま残ってよい。)。
【0033】
従って、図6に示すように、局部的な熱源は赤外線熱源エレメントの第1、第2、第3、および第4のバンクを含み、赤外線熱源が端部密封ゾーン内で実質的に長方形を形作るようにそれらのバンクは配置される。第1と第2のバンクは適切な位置に固定され、実質的に長方形に形作られた赤外線熱源の2本の実質的に直交する足を構成する。そして、第3と第4のバンクは実質的に長方形に形作られた赤外線熱源の他の2本の実質的に直交する足を構成する。密封されるべき端部により近づくように、第2と第3のバンクの赤外線熱源エレメントはユニットの大きさに依存して移動可能である。
【0034】
更に、いくつかの実施形態において、熱をVIG組立品の周囲により正確に集中させることができるように、集束ミラーの角度は調整可能である(図7を参照して以下により詳細に記載する)。いくつかの実施形態において、個々のユニットの結果を調節するために、分割されたIR源の移動および/または焦点調節はコンピュータによって制御される。更に、端部が密封されるVIG組立品1’はIR源にもっと近づくように持ち上げられてよい。これは、VIG組立品1’を正しいX−Yの位置に動かし、移動可能なバンク64aとバンク64bの一部を動かし、VIG組立品1’を適切な位置に持ち上げることによって達成される。
【0035】
例として、制限なしに、バンク内のIR源はIR管であってよい。(例えば、端部の周りに”すき間”あるいは非加熱または実質的に異なって加熱される領域を残さずに、)VIG組立品の端部を横切って加熱するためにIR管は各々に十分接近している。しかし、また、そのような管の移動を許すためにお互いから十分に離れていてよい。従って、例として、制限なしに、いくつかの実施形態において、IR管はおよそ5mm離れて配置されてよい。バンクの大きさはVIGユニット製造プロセスの必要に依存して変えてよい。また、例として、制限なしに、約2−3メートルのバンクが最も標準的なVIGユニットの製造条件に適合する。
【0036】
再度図5を参照して、VIG組立品は、例えば図5のチャンバー4とチャンバー5を経由する段階的なやり方で、1つ以上のチャンバーを含む出口ゾーンで冷却される。段階的な出口ゾーン配置が実施されるとき、連続する各出口ゾーンチャンバーは先の出口ゾーンチャンバーよりも低い温度に維持される。この配置は、強制対流空気冷却、冷却水パイプ、および/または特に出口ゾーンチャンバーから熱を除くことに適した他の冷却手段を使うことによって可能になる。最終的に、VIG組立品はローラ52bを経由して出口ドア58を通ってチャンバーオーブン50から出る。
【0037】
図7は、実施形態に従うIR加熱エレメント74に隣接して配置された集中および/または集束ミラー72の側面図である。いくつかの他の実施形態に関連して任意のタイプの集中および/または集束機構を使って良いことがよく理解されるであろう。IR加熱エレメント74からのIR放射は、はんだガラス原料上に、またははんだガラス原料のもっとも近くに集束ミラー(放物面鏡)72によって集束または集中させられる。VIG組立品1’の周辺端部のより多い部分、またはより少ない部分を加熱するために集束ミラー72は動かされ、および/または再配置され、ガラス基板2とガラス基板3等に、またはガラス基板2とガラス基板3等から離れてIR放射の焦点を合わせる。
【0038】
VIG組立品端部密封プロセスのもっと詳細な記載を以下に示す。予め組み立てられたVIG組立品がオーブンに入る。そのVIG組立品は事前に塗られて燃やされた周囲のガラス原料インクを含む。入口ゾーンにおいて、VIG組立品は約200−300℃の間の所定の温度に加熱される。これは1つ以上の入口チャンバーにおける段階的な加熱を使うことによって達成され、VIG組立品全体は1つ以上の中間温度に事前に加熱される。一般に、VIG組立品は室温でオーブンに入る(例えば、室温は一般に約23℃である。ただし、他の処理環境および/または条件は異なる”室温”にすることはよく理解されるであろう。)。VIG組立品全体は最初の入口ゾーンチャンバーの中で約75℃に加熱され、それから2番目の入口ゾーンチャンバーの中で約150℃に加熱される。事前加熱の温度は約±50℃まで変えてよいことはよく理解されるであろう。
【0039】
端部密封ゾーンでは、VIG組立品全体は約200℃に加熱され、IR熱源(例えば、コンピュータ制御の実質的に線形のIR熱源)が適切な位置に移されてVIG組立品の周囲に焦点を合わせる。IR放射物が、上および/または底の基板、あるいはガラス原料にもっとも近い側面に”接する”ことを意図されているかどうかなど、集束/集中ミラーの部分に依存して、IR熱源はVIG組立品の端から所定の距離(例えば、約0.5−10cm)で活性化される。上述したように、IR熱源は、例えば、IR熱源を挟んでVIG組立品と反対側に置かれた放物面鏡によって集束される。VIG組立品の周囲におけるガラス原料の温度は約350−500℃に制御される。その温度はガラス原料を溶かすために適しているが、ガラス基板の融点よりまだ低い。なお、ガラス基板の融点はガラスの構成に基づいて約600−800℃の範囲で変わる。端部密封ゾーンにおける局部的加熱プロセスの間、ガラスの温度はバックグラウンドの温度にとどまる。従って、熱強化または焼入れされたガラスが使われてもガラス原料の加熱および/または溶解プロセスの間に焼入れの効果は失われない、または焼入れ強度の低下量が削減される。
【0040】
端部密封ゾーンにおけるガラス原料の溶解に続いて、VIG組立品は出口ゾーンに輸送される。出口ゾーンは1つ以上の温度減少領域(またはチャンバー)を含む。VIG組立品がオーブンを出るとき約100℃より低い温度であるように、温度は減少させられる。いくつかの実施形態では、最初の出口チャンバーでVIG組立品全体の温度は約150℃に減少し、それから2番目の出口チャンバーで約75℃に減少する。上述したように、減少する温度は約±50℃程度までこれらの数字と異なってよい。
【0041】
図8は、ユニット化されたオーブンを用いてVIG組立品のガラス原料による端密封部を局部的に加熱するための実施形態に係るプロセスを示すフローチャートである。ステップS82において、密封される複数の端部を含むVIG組立品がユニット化されたオーブンに挿入される。ローラコンベヤーは、例えばドアを通ってオーブンにVIG組立品を搬送する。ステップS84において、VIG組立品はユニット化されたオーブンの入口ゾーンで1つ以上の中間温度に予め加熱される。中間温度は、ガラスと密封される端部に置かれたガラス原料の融点より下である。
【0042】
ステップS86において、(近赤外線波長(例えば、約0.7−5.0μmの波長、より好ましくは約1.1−1.4μmの波長)を持つIR放射を生じる1つ以上の実質的に線形のIR熱源を用いて)ユニット化されたオーブンの端部密封ゾーンで密封されるVIG組立品の端部が局部的に加熱される。局部的な加熱は、中間温度より上の温度を生じ、端部の周りのガラス原料を溶かすために十分である。温度はガラス原料の組成に依存して選択される。密封される周辺端部に近い領域から離れると、VIG組立品は中間温度に近い温度(例えば、中間温度から約±50℃以上までは変わらない、ガラスの融解を避けるために十分に低い温度)に保たれる。
【0043】
図示されないステップにおいて、局部的に加熱するために、例えばバンク内に複数の熱源(例えば、実質的に線形のIR熱源)が与えられる。少なくともバンクのいくつかは適切な位置に固定される。密封される端部の少なくともいくつかが固定されたバンクに隣接するように、VIG組立品は固定されたバンクの近くに配置される。固定されたバンクに隣接していない側のVIG組立品の端部に隣接して加熱するように、移動可能な熱源を含む付加的なバンクが置かれる。集中および/または集束ミラーによって、加熱される領域はもっと高精度に調整される。
【0044】
再度図8を参照して、ステップS88において、VIG組立品はオーブンの出口ゾーンで冷却される。VIG組立品の破損および/またはVIG組立品を構成する基板の焼入れ強度の低下の機会を削減するために、VIG組立品の事前加熱および/または冷却は段階的に行われる。いくつかの実施形態において、複数のチャンバーが1つ以上のゾーンのために与えられる。そのような実施形態に関連して、例えば、加熱および/または冷却プロセスが段階的に行われるとき、温度の上昇および/または冷却プロセスのために複数のチャンバーが与えられる。いくつかの他の実施形態において、単一のチャンバーが複数のゾーンの機能を実行するように構成されてよい(例えば、単一のチャンバーが基板を予め加熱し、および/または冷却してよい。単一のチャンバーが基板を予め加熱し、および/または端部を局部的に加熱してよい。単一のチャンバーが端部を局部的に加熱し、および/または基板を冷却してよい。)。
【0045】
従って、いくつかの実施形態は有利にすばやくガラス原料を加熱し、溶かし、そして冷却する。これはVIG組立品の端部近傍に温度勾配を生じさせるのに役立つ。回りまわって、温度勾配は焼入れ強度の低下および/またはガラスの破損の機会を少なくするのに役立つ。いくつかの実施形態において、VIGユニットの焼入れされたガラス板/基板の少なくともある部分は初期焼入れ強度の約50%を失うに過ぎない。
【0046】
ここに記載された実施形態がさまざまな異なるVIG組立品および/または他のユニットまたは部品に関連して使われてよいことはよく理解されるであろう。例えば、基板は、ガラス基板、熱強化された基板、焼き入れされた基板などであってよい。
【0047】
本発明は、現在最も実際的で望ましい実施形態であると考えられるものに関連して記載されているが、本発明は開示された実施形態に制限されず、特許請求の範囲の精神と範囲の中に含まれる様々な修正と等価な変更を含むことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端密封部を含む真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造方法であって、
実質的に間隔を空けて平行に配置された第1のガラス基板と第2のガラス基板と、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板における1つ以上の密封される端部と、密封される前記1つ以上の端部を密封するために前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の間に少なくとも部分的に配置されるガラス原料とを含むユニットを与えるステップと、
前記ユニットを実質的に全体として少なくとも1つの中間温度に予め加熱するステップと、
少なくとも部分的に前記ガラス原料を溶かすために、密封される前記ユニットの端部近傍に局部的な近赤外線による熱を加えるステップと、
前記真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造中に、前記ユニットを冷却し、前記ガラス原料を硬化させるステップと、
を備え、
前記予め加熱するステップにおいて、前記各中間温度が、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の融点より低く、かつ前記ガラス原料の融点より低く、
前記局部的な近赤外線による熱を加えるステップにおいて、密封される前記端部から離れた少なくともいくつかの前記ユニットの領域がガラス原料の溶ける温度より低い温度に保たれるように、前記局部的な近赤外線による熱が前記ユニットに加えられる、
ことを特徴とする真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造方法。
【請求項2】
少なくとも1つの放物面鏡を用いて前記ガラス原料に、または前記ガラス原料の近くに前記近赤外線の放射を集中させる、および/または前記赤外線の放射の焦点を合わせるステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造方法。
【請求項3】
少なくとも約1.1−1.4μmの波長で前記近赤外線を放射するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造方法。
【請求項4】
最初に室温で前記ユニットを与えるステップと、
予め加熱している間に、第1の中間温度と第2の中間温度をこの順番で与えるステップと、
を備え、
前記第1の中間温度は約75℃であり、前記第2の中間温度は約150℃である、
ことを特徴とする請求項1に記載の真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造方法。
【請求項5】
前記冷却の間、第1の低下温度と第2の低下温度をこの順番で与えるステップを備え、
前記第1の低下温度は約150℃であり、前記第2の低下温度は約100℃より低い、
ことを特徴とする請求項1に記載の真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造方法。
【請求項6】
前記局部的な近赤外線による熱は、少なくとも1つの実質的に線形の赤外線熱源を使って生成されることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造方法。
【請求項7】
前記ガラス原料の溶ける温度は、約350−500℃であることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造方法。
【請求項8】
前記局部的な加熱の間に、前記ユニットを前記赤外線熱源により近く移動させるために前記ユニットを上昇させるステップを備えることを特徴とする請求項6に記載の真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造方法。
【請求項9】
前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の少なくとも一部が、前記方法により製造されている間に、それぞれの初期焼入れ強度の約50%を失うに過ぎないことを特徴とする請求項1に記載の真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造方法。
【請求項10】
前記真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造中に、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の間の領域を大気圧より低い圧力に排気するステップを備え、
前記排気は、前記冷却ステップに続いて、および/または前記冷却ステップの間に行われることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造方法。
【請求項11】
事前加熱ゾーン、端部密封ゾーン、および冷却ゾーンを含むオーブンを与えるステップと、
実質的に間隔を空けて平行に配置された第1のガラス基板と第2のガラス基板と、密封される前記ガラス基板の1つ以上の端部と、密封される前記端部を密封するためのガラス原料とを含むユニットを前記オーブンに挿入するステップと、
前記オーブンの事前加熱ゾーンにおいて、前記ユニットを少なくとも1つの中間温度に予め加熱するステップと、
前記オーブンの端部密封ゾーンにおいて、少なくともガラス原料の溶ける温度で密封される前記ユニットの端部近傍に局部的な熱源を用いて局部的な熱を加えるステップと、
前記オーブンの冷却ゾーンにおいて、前記真空断熱ガラスユニットの製造中に、前記ユニットを全体として少なくとも1つの低下温度に冷却し、前記ガラス原料を硬化させるステップと、
を備え、
前記予め加熱するステップにおいて、前記各中間温度が、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の融点より低く、かつ前記ガラス原料の融点より低く、
前記局部的な熱源を用いて局部的な熱を加えるステップにおいて、前記ガラス原料の溶ける温度が少なくとも部分的に前記ガラス原料を溶かすために十分に高く、密封される前記端部から離れた前記ユニットの領域が中間温度に近い温度に維持されるように、前記局部的な熱が前記ユニットに加えられる、
ことを特徴とする真空断熱ガラスユニットのための端密封部の製造方法。
【請求項12】
最初に室温で前記ユニットを与えるステップを備え、
前記事前加熱ゾーンが入口ゾーンであり、前記冷却ゾーンが出口ゾーンであり、
予め加熱している間に、前記入口ゾーンの第1の入口ゾーンチャンバーと第2の入口ゾーンチャンバーでそれぞれ第1の中間温度と第2の中間温度をこの順番で与えるステップを備え、
前記第1の中間温度は約75℃であり、前記第2の中間温度は約150℃である、
ことを特徴とする請求項11に記載の真空断熱ガラスユニットのための端密封部の製造方法。
【請求項13】
前記冷却の間、前記冷却ゾーンの第1の冷却ゾーンチャンバーと第2の冷却ゾーンチャンバーでそれぞれ第1の低下温度と第2の低下温度をこの順番で与えるステップを備え、
前記第1の低下温度は約150℃であり、前記第2の低下温度は約100℃より低い、
ことを特徴とする請求項11に記載の真空断熱ガラスユニットのための端密封部の製造方法。
【請求項14】
前記冷却の間、前記出口ゾーンの第1の出口ゾーンチャンバーと第2の出口ゾーンチャンバーで第1の低下温度と第2の低下温度をこの順番で与えるステップを備え、
前記第1の低下温度は約150℃であり、前記第2の低下温度は約100℃より低い、
ことを特徴とする請求項12に記載の真空断熱ガラスユニットのための端密封部の製造方法。
【請求項15】
前記ガラス原料の溶ける温度は、約350−500℃であることを特徴とする請求項11に記載の真空断熱ガラスユニットのための端密封部の製造方法。
【請求項16】
前記局部的な熱源は近赤外線放射を生成するために構成された実質的に線形の赤外線熱源であることを特徴とする請求項11に記載の真空断熱ガラスユニットのための端密封部の製造方法。
【請求項17】
少なくとも1つの放物面鏡を用いて前記ガラス原料に、または前記ガラス原料の近くに前記近赤外線の放射を集中させる、および/または前記近赤外線の放射の焦点を合わせるステップを備えることを特徴とする請求項16に記載の真空断熱ガラスユニットのための端密封部の製造方法。
【請求項18】
約1.1−1.4μmの波長で前記近赤外線を放射するステップを備えることを特徴とする請求項16に記載の真空断熱ガラスユニットのための端密封部の製造方法。
【請求項19】
密封される前記端部が前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の周辺全体の周りに広がり、密封が前記真空断熱ガラスユニットの周辺全体の周りに広がることを特徴とする請求項11に記載の真空断熱ガラスユニットのための端密封部の製造方法。
【請求項20】
実質的に間隔を空けて平行に配置された第1のガラス基板と第2のガラス基板と、密封される前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の間の1つ以上の端部と、前記ガラス基板の周辺を密封するためのガラス原料とを含むユニットを受け入れ、前記ユニットを全体として少なくとも1つの中間温度に予め加熱するための事前加熱ゾーンと、
ガラス原料の溶ける温度で密封される前記ユニットの端部近傍に局部的な熱を加えるための局部的な熱源を含む端部密封ゾーンと、
前記ユニットを全体として少なくとも1つの低下温度に冷却し、前記ガラス原料を硬化させるための前記オーブンの冷却ゾーンと、
を備え、
前記各中間温度は、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の融点より低く、かつ前記ガラス原料の融点より低く、
前記ガラス原料の溶ける温度は、前記ガラス原料を溶かすために十分に高く、
前記局部的な熱は、密封される前記端部から離れた前記ユニットの領域が中間温度に近い温度に維持されるように前記ユニットに加えられる、
ことを特徴とする真空断熱ガラスユニットのための端密封部形成装置。
【請求項21】
前記ガラス原料に、または前記ガラス原料の近くに前記局部的な熱を集中させ、および/または集めるための放物面鏡を備えることを特徴とする請求項20に記載の真空断熱ガラスユニットのための端密封部形成装置。
【請求項22】
前記事前加熱ゾーンは入口ゾーンであり、
それぞれ第1の中間温度と第2の中間温度をこの順番で与える前記入口ゾーンの第1の入口ゾーンチャンバーと第2の入口ゾーンチャンバーを備え、
前記第1の中間温度は約65−85℃であり、前記第2の中間温度は約140−160℃である、
ことを特徴とする請求項20に記載の真空断熱ガラスユニットのための端密封部形成装置。
【請求項23】
前記冷却ゾーンは出口ゾーンであり、
それぞれ第1の低下温度と第2の低下温度をこの順番で与える前記出口ゾーンの第1の出口ゾーンチャンバーと第2の出口ゾーンチャンバーを備え、
前記第1の低下温度は約140−160℃であり、前記第2の低下温度は約100℃より低い、
ことを特徴とする請求項20に記載の真空断熱ガラスユニットのための端密封部形成装置。
【請求項24】
前記局部的な熱源は、近赤外線放射を生成するために構成される実質的に線形の赤外線熱源であることを特徴とする請求項20に記載の真空断熱ガラスユニットのための端密封部形成装置。
【請求項25】
前記局部的な熱源は、赤外線熱源エレメントの第1、第2、第3、および第4のバンクを含み、当該バンクは、前記赤外線熱源が前記端部密封ゾーン内で実質的に長方形を形作るように配置され、
前記第1と第2のバンクは、適切な位置に固定され、実質的に長方形に形作られた前記赤外線熱源の2本の実質的に直交する足を構成し、
前記第3と第4のバンクは、実質的に長方形に形作られた前記赤外線熱源の他の2本の実質的に直交する足を構成し、
前記第2と第3のバンクの赤外線熱源エレメントは、密封される前記端部により近づくように、前記ユニットの大きさに依存して移動可能である、
ことを特徴とする請求項24に記載の真空断熱ガラスユニットのための端密封部形成装置。
【請求項26】
実質的に間隔を空けて平行に配置された第1のガラス基板と第2のガラス基板と、真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの端部を密封するために前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の間に少なくとも部分的に配置されるガラス原料とを与えるステップと、
前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の融点より低く、かつ前記ガラス原料の融点より低い少なくとも1つの温度に、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板と前記ガラス原料を予め加熱するステップと、
少なくとも部分的に前記ガラス原料を溶かすために、密封される前記端部の近くに、局部的な近赤外線による熱を加えるステップと、
前記真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造中に、前記ユニットを冷却し、前記ガラス原料を硬化させるステップと、
を備えることを特徴とする真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−506252(P2011−506252A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537930(P2010−537930)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/013268
【国際公開番号】WO2009/078912
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(593005002)ガーディアン・インダストリーズ・コーポレーション (21)
【Fターム(参考)】