説明

真空用封止樹脂、これを用いた真空用機器および真空用磁気センサ

【課題】 真空内に配置しても排気初期でのベーキングにて速やかに目標の到達真空度までガス放出速度を低減できる真空用封止樹脂および真空用機器を得る。
【解決手段】 本発明の真空用封止樹脂は、エポキシ樹脂に充填材を配合したもので、この充填材は、粒子径が0.5μm〜2mmのポリオレフィン、フッ素樹脂またはそれらの混合物を少なくとも1種であり、その配合率を30Vol%〜70Vol%としたものである。また、真空用封止樹脂を用いた真空用機器は、磁性材料、電気配線、コイル、電子部品、絶縁材料またはそれらを組み合わせた部品をケースやフレームなどの金属枠内に備え、真空用封止樹脂を封入したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空用封止樹脂、半導体製造装置等の真空内で使用するサーボモータなどの真空用機器、そのロータの位置および速度を検出する真空用磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の真空用サーボモータを構成する磁気センサやコイルをモールド等の樹脂にて、樹脂厚さ数ミリメートル以上の厚肉にて封止していた。真空用機器の一例である磁気センサは、永久磁石や磁気抵抗効果素子や配線類がセンサケース内にエポキシ樹脂組成物によって封止や固定をされている(例えば、特許文献1、2参照)。
図2は従来の磁気センサを示す側断面図である。図2において、1は永久磁石、2は磁気抵抗効果素子、3は磁気抵抗効果素子2の出力線、4は磁気抵抗効果素子2の電源線、5はセンサケーブル、7はセンサケース、9はOリング、10はモールド用の封止樹脂である。
永久磁石1と磁気抵抗効果素子2と磁気抵抗効果素子2の出力線3と磁気抵抗効果素子2の電源線4とセンサケーブル5とが金属製のセンサケース7に納められている。封止樹脂10は、永久磁石1と磁気抵抗効果素子2と出力線3と電源線4とセンサケーブル5とを金属製のセンサケース7内に封止している。この封止樹脂10の露出面とセンサケース7との接触面に沿うように封止樹脂の外周に溝を形成してフッ素系のOリング9を取り付けている。また、磁気抵抗効果素子の出力線3と磁気抵抗効果素子の電源線4とセンサケーブル5とが図示しない基板にて固定されて樹脂10にてセンサケース7内に封止されているものもある。
このように、従来の真空用センサは、例えばセンサケース内にセンサ用部品を樹脂にて封止するように、様々なモータの部品を封止樹脂にて封止するものである。
また、従来の封止樹脂10から真空雰囲気に放出されるガスを低減させるために、封止樹脂10を図示しないセンサカバにて覆っているものもある(例えば、特許文献3参照)。また、コイルをモールドした樹脂から真空雰囲気に放出されるガスを低減させるための一般的な方策として、コイルを金属製のキャンにて覆っているものもある。
また、封止樹脂10から放出されるガスを大気側に排気するために、図示しないセンサカバに図示しない排気管を備えたものもある(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2002−281725号公報(第4頁、図3)
【特許文献2】特開2005−83846号公報(第4−5頁、図1)
【特許文献3】特開2005−274390号公報(第4−5頁、図2)
【特許文献4】特開2005−221396号公報(第4−5頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の真空用センサやコイルは、封止樹脂や、電線の被覆や基板の絶縁樹脂など内包物の吸湿水分量が大きいため、真空排気初期に加熱して水分の排出を促進しているが、封止樹脂は金属製のセンサケースやモータフレームなどの金属部品に覆われて真空雰囲気への露出面積が小さく、封止樹脂の底部に配置された永久磁石や基板や電線などの内包物は厚肉封止されて真空雰囲気から遠ざかっているため、センサケースの底部に吸湿された水分を真空雰囲気まで拡散して排出する時間が加熱ベーキングしたとしても長くなるという問題があった。また、封止樹脂がセンサカバやキャンにて覆われている場合は、樹脂の注入やセンサカバーやキャンの取り付けや排気管の取り付けなど、製造工数のかかるものであった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、センサカバやキャンなどの金属部品を用いずとも、吸湿水分を速やかに排出し、目標の真空度まで速やかに到達することができる真空用封止樹脂および真空用機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したものである。
請求項1に記載の発明は、エポキシ樹脂に充填材を配合した真空用封止樹脂において、前記充填材は、粒子径が0.5μm〜2mmのポリオレフィン、フッ素樹脂またはそれらの混合物を少なくとも1種であり、その配合率を30Vol%〜70Vol%としたものである。
請求項2に記載の発明は、前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリキシリレンのいずれか一つ、またはそれらを組み合わせたものである。
請求項3に記載の発明は、前記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体のいずれか一つ、またはそれらを組み合わせたものである。
請求項4に記載の発明は、前記充填材が、アルカリにて処理され表面を粗化したものである。
請求項5に記載の発明は、前記エポキシ樹脂が、少なくとも主剤と反応性希釈剤とアミン型硬化剤とから構成され、
前記主剤は、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、または、芳香族環、五員環、脂肪族六員環、ジシクロペンタジエン構造、ノボラック構造、メソゲン基のいずれかを含む環状の化学構造より選ばれる1つ、またはそれらの混合物であり、
前記反応性希釈剤の化学構造は、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどの単官能型または直鎖脂肪族、ポリグリコール、ポリエーテルなどの2官能型、またはそれらの混合物であり、
前記アミン型硬化剤の配合比が前記主剤と前記反応性希釈剤に含まれるエポキシ基の総数と前記ポリプロピルアミド型硬化剤に含まれる活性水素の総数との当量比が0.9乃至1.1のものである。
請求項6に記載の発明は、前記エポキシ樹脂が、少なくとも主剤と触媒型硬化剤と反応性希釈剤とから構成され、前記主剤は、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、または、芳香族環、五員環、脂肪族六員環、ジシクロペンタジエン構造、ノボラック構造、ベンゾオキサジン構造、メソゲン基のいずれかを含む環状の化学構造より選ばれる1つ、またはそれらの混合物であり、
前記触媒型硬化剤は、イミダゾール化合物または3フッ化ホウ素アミン錯体であり、前記イミダゾール化合物は2メチルイミダゾール、2エチル4メチルイミダゾール、nウンデシルイミダゾール、1ベンジル2メチルイミダゾールより選ばれる1つ、またはそれらの混合物であり、
前記3フッ化ホウ素アミン錯体は3フッ化ホウ素アニリン錯体、3フッ化ホウ素クロロフェニルアミン錯体、またはそれらの混合物であり、
前記反応性希釈剤の化学構造は、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどの単官能型、または直鎖脂肪族、ポリグリコール、ポリエーテル、ポリチオールなどの2官能型、またはそれらの混合物であり、
その配合比を前記主剤と前記反応性希釈剤との合計100重量部に対して前記触媒型硬化剤が1重量部以上7重量部以下としたものである。
請求項7に記載の発明は、前記充填材の一部を無機充填材で置換したものである。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7記載の真空用封止樹脂を、磁性材料、電気配線、コイル、電子部品、絶縁材料またはそれらを組み合わせた部品を収納した枠体内に封入して製造された真空用機器である。
請求項9に記載の発明は、請求項1から7記載の真空用封止樹脂を、磁性材料、電気配線、コイル、電子部品、絶縁材料またはそれらを組み合わせた部品に対してモールド、ポッティング、隙間のシーリング、接着により製造したものである。
請求項10に記載の発明は、請求項1から7記載の真空用封止樹脂を、磁気抵抗効果素子と、永久磁石とを備えたセンサケース内に封入した真空用磁気センサである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1から3に記載の発明によると、封止樹脂内底部の吸湿水分でも、真空排気にて充填材の内部または界面を速やかに拡散して排出することができる。
請求項4に記載の発明によると、エポキシ樹脂と充填材との界面の密着性が高まり、真空用封止樹脂の機械的強度を高めることができる。
請求項5、6に記載の発明によると、封止樹脂内の深い位置の吸湿水分でも、真空排気にて真空用封止樹脂のマトリックス樹脂内を速やかに拡散して排出することができ、機器に求められる真空度に速やかに到達することができる。
また、請求項7に記載の発明によると、未硬化樹脂が低粘度の場合でも、比重の大きな充填材の沈降を防止し均一な真空用封止樹脂を形成することが出来る。
請求項8に記載の発明によると、封止樹脂内底部の吸湿水分でも、真空排気にて充填材の内部または界面を速やかに拡散して排出することができ、機器に求められる真空度に速やかに到達することができる。
請求項9に記載の発明によると、真空用封止樹脂を厚肉に形成することができる。
請求項10に記載の発明によると、センサケース底部の吸湿水分でも、真空排気にて充填材の内部または界面を速やかに拡散して排出することができ、機器に求められる真空度に速やかに到達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について、真空用機器の典型的な例である磁気センサにて図を参照して説明する。なお、本発明の構成要素が従来技術と同じものついてはその説明を省略し、異なる点、つまり封止樹脂の構成について説明する。また、コイルなどのセンサ以外の部品についても、本発明の真空用封止樹脂により封止されたものは、その内包物、例えば金属フレームを持つサーボモータにおいては電線や各種絶縁材料はセンサの構成要素と同等の影響をもつものであり、その効果は以下に例示する真空用磁気センサと同等である。
【実施例1】
【0007】
図1は、本発明の真空用磁気センサの断面図である。図において、8は真空用封止樹脂である。磁気抵抗効果素子2の出力線3や電源線4は、ガラス繊維強化プラスチック製の基板6にてセンサケーブル5と接続されている場合や、基板6を用いずに直結されている場合もある。7は金属製のセンサケースであり、これらの部材を収納し、真空用封止樹脂8にて封止されている。Oリング9は求める真空度によっては用いない場合もある。
本発明が従来技術と異なる部分は、従来の封止樹脂10に代わり真空用封止樹脂8を備えた部分である。
【0008】
真空用封止樹脂の真空排気において、ケース内深くまで吸湿した水分が真空雰囲気まで移動する速度が速いほど、雰囲気の圧力は速やかに低下する。本発明のエポキシ樹脂組成物は水分の移動が速い材質の樹脂からなる充填材を充填したものである。
また充填材の粒子径について、充填材はエポキシ樹脂組成物に完全に単分散され、充填材表面はエポキシ樹脂からなるマトリックス樹脂によって完全に濡れることが必要である。充填材配合比評価に粒子径の事前検討を、直径10nmから5mmの球状シリカ充填材で行った。その結果、0.5μm以下はハンドミキサなどの一般的な攪拌では粒子の凝集が解かれず粘度が高くなり、2mm以上では沈降した。よって、凝集が解かれ完全分散しやすい0.5μm以上、沈降による充填材どうしの接触を避けるため2mm以下が望ましく、本発明の全実施例では平均粒子径0.1mmにて代表した。
また、充填材の充填率について、下限は一般的な充填材の充填効果が発現される30vol%以上、高充填による充填材どうしの接触にてエポキシ樹脂組成物の機械的特性の低下を避けるため70vol%以下が望ましい。充填材配合比評価に粒子径の事前検討を、平均直径0.1mmの球状シリカ充填材で、配合比を10〜80vol%まで変えて行った。その結果、30vol%以下では硬化収縮が大きくて反りが発生し、70vol%以上では樹脂が不足して多孔質となった。よって、本発明の全実施例では50vol%にて代表した。
また、フッ素樹脂や無機材質などの比重の高い充填材は沈降しやすいため、比重がエポキシ樹脂に近いポリオレフィンと、フッ素樹脂または無機充填材またはそれらの混合物との割合を3:7〜10:0することで沈降を防止した。
【0009】
本発明の実施例に用いた真空用封止樹脂8の材質はつぎのとおりである。一般的なエポキシ樹脂と硬化剤の組み合わせである、ビスフェノールA型エポキシ樹脂主剤100重量部に対して、ジアミノジフェニルメタンを主成分とする硬化剤を30重量部添加したものをマトリックス樹脂とした。この配合比については、充填材評価前の事前検討として、主剤のエポキシ基の総数に対する硬化剤の活性水素の総数の当量比を0.7から1.2まで変えた無充填のエポキシ樹脂硬化物を評価して、硬化剤の配合比を検討した結果である。その結果、0.9重量部未満や1.1重量部以上では軟らかくべたつきが残り硬化不十分であったため、当量比は0.9から1.1が適切であった。よって以降の実施例の試料#1〜8は当量比が約1である30重量部にて代表して充填材配合の評価を行った。そして、充填材であるポリオレフィンの例としてポリプロピレンを、フッ素樹脂の例としてポリテトラフルオロエチレンを用いた。表1に本実施例に用いた真空用封止樹脂および従来例の配合比を示す。
作製した真空用磁気センサのガス放出特性の評価は、室温、60%RHの調湿空気中で24時間加湿した後に、排気初期は100℃にて10時間加熱し、その後に室温にて24時間真空排気したときの到達真空度にて行った。また、同時に特許文献2の真空用磁気センサを従来例とした。真空用モータコイルの評価結果を表1に示す。表中のガス放出の評価結果マークにおいて、×印は到達真空度が従来例1よりも1/10以上、○印は到達真空度が従来例1よりも1/20以上1/10以下、◎印は到達真空度が従来例1よりも1/20以下の場合を表す。
【0010】
【表1】

【0011】
表1から分かるとおり、試料#1〜#4では、従来例よりもガス放出特性が良好であった。また、試料#4により、一部無機充填材を添加してもガス放出特性は良好であった。よって、本発明の有効性が確認された。
【実施例2】
【0012】
実施例1に用いた充填材などの水分の移動が速い材質の樹脂は、一般的に疎水性が高く、エポキシ樹脂からなるマトリックス樹脂との密着性が劣る。そこで本実施例は、粒子表面をナトリウム溶液にてアルカリ処理し、エポキシ樹脂との密着性を高めた上で充填してエポキシ樹脂組成物の機械的強度を高めたものである。エポキシ樹脂との密着性は、アルカリ処理により表面が粗になるため向上する。その評価結果を表2に示す。ガス放出特性の評価は実施例1と同様であり、表2中の機械的強度の評価マークにおいて、○印はJIS K6911に規定された曲げ強度が従来例よりも優れる場合、×印は同等または劣る場合を表す。
【0013】
【表2】

【0014】
表2から分かるとおり、試料#5〜#8では、従来例よりもさらにガス放出特性が良好であり、機械的強度も良好であった。また、試料#8により、一部無機充填材を添加してもガス放出特性は良好であった。よって、本発明の有効性が確認された。
【実施例3】
【0015】
本実施例は実施例1、2に用いたマトリックス樹脂である一般的なエポキシ樹脂主剤/硬化剤の代わりに、水分の吸湿量が小さく、かつ水分の拡散移動が速いエポキシ樹脂組成物(イ)や、水分の吸湿量は一般的なエポキシ樹脂組成物と同等であるが水分の拡散移動が速いエポキシ樹脂組成物(ロ)に、実施例1、2と同じ充填材を充填して、同様の評価をしたものである。その評価結果を表3に示す。(イ)は親水性の官能基が少なく、分子鎖間隔を大きくした化学構造にて、吸湿量を低減し拡散移動速度を速くしたものである。充填材評価前の事前検討として、主剤と反応性希釈剤との合計100重量部に対して触媒を0.5重量部から10重量部まで変えた無充填のエポキシ樹脂硬化物を評価して、触媒の配合比を検討した。その結果、1重量部未満ではべたつきが残り硬化不十分であり、7重量部を超えると硬化反応が速すぎてクラックや黒化が生じたため、配合比は1から7重量部が適切であった。よって以降の実施例の試料#9,#10,#11,#14は、3重量部にて代表して充填材配合の評価を行った。(ロ)はガラス転移温度を室温以下としたアミン系硬化エポキシ樹脂にて、エポキシの分子鎖を柔軟にして水分の移動速度を速くしたものである。
(イ) ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂とナフタレン型エポキシ樹脂とフェニルグリシジルエーテルと2エチル4メチルイミダゾールの混合物。配合比(重量比)=40/30/30/3。
(ロ) ビスフェノールA型エポキシ樹脂とポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルとポリオキシプロピルアミド系硬化剤の混合物。配合比(重量比)=50/50/30。主剤であるビスフェノールA型エポキシ樹脂と反応性希釈剤であるポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルに含まれるエポキシ基の総数とポリオキシプロピルアミド系硬化剤中の活性水素との当量比は0.95±0.05。
【0016】
【表3】

【0017】
表3から分かるとおり、試料#9〜#13では、一般的なエポキシ樹脂に充填した実施例1,2での#1〜8よりもさらにガス放出特性が良好であった。また、試料#14により、一部無機充填材を添加してもこれらのエポキシ樹脂組成物のガス放出特性は良好であった。よって、本発明の有効性が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0018】
エポキシ樹脂内を吸湿水分が拡散する速度を高めることによって、真空排気初期に吸湿水分を速やかに排出することができるので、コイルを厚肉モールドした真空用モータや加熱が出来ない真空用モータのモールド樹脂という用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施例を示す真空用センサの側断面図
【図2】従来のセンサの側断面図
【符号の説明】
【0020】
1 永久磁石
2 磁気抵抗効果素子
3 出力線
4 電源線
5 センサケーブル
6 基板
7 センサケース
8 真空用封止樹脂
9 Oリング
10 封止樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂に充填材を配合した真空用封止樹脂において、
前記充填材は、粒子径が0.5μm〜2mmのポリオレフィン、フッ素樹脂またはそれらの混合物を少なくとも1種であり、その配合率が30Vol%〜70Vol%であることを特徴とする真空用封止樹脂。
【請求項2】
前記ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリキシリレンのいずれか一つ、またはそれらを組み合わせたものであることを特徴とする請求項1記載の真空用封止樹脂。
【請求項3】
前記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体のいずれか一つ、またはそれらを組み合わせたものであることを特徴とする請求項1記載の真空用封止樹脂。
【請求項4】
前記充填材は、表面がアルカリにて処理され粗化したものであることを特徴とする請求項1記載の真空用封止樹脂。
【請求項5】
前記エポキシ樹脂は、少なくとも主剤と反応性希釈剤とアミン型硬化剤とから構成され、
前記主剤は、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、または、芳香族環、五員環、脂肪族六員環、ジシクロペンタジエン構造、ノボラック構造、メソゲン基のいずれかを含む環状の化学構造より選ばれる1つ、またはそれらの混合物であり、
前記反応性希釈剤の化学構造は、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどの単官能型または直鎖脂肪族、ポリグリコール、ポリエーテルなどの2官能型、またはそれらの混合物であり、
前記アミン型硬化剤の配合比は、前記主剤と前記反応性希釈剤に含まれるエポキシ基の総数と、前記ポリプロピルアミド型硬化剤に含まれる活性水素の総数との当量比を0.9乃至1.1としたことを特徴とする請求項1記載の真空用封止樹脂。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂は、少なくとも主剤と触媒型硬化剤と反応性希釈剤とから構成され、
前記主剤は、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、または、芳香族環、五員環、脂肪族六員環、ジシクロペンタジエン構造、ノボラック構造、ベンゾオキサジン構造、メソゲン基のいずれかを含む環状の化学構造より選ばれる1つ、またはそれらの混合物であり、
前記触媒型硬化剤は、イミダゾール化合物または3フッ化ホウ素アミン錯体であり、前記イミダゾール化合物は2メチルイミダゾール、2エチル4メチルイミダゾール、nウンデシルイミダゾール、1ベンジル2メチルイミダゾールより選ばれる1つ、またはそれらの混合物であり、
前記3フッ化ホウ素アミン錯体は3フッ化ホウ素アニリン錯体、3フッ化ホウ素クロロフェニルアミン錯体、またはそれらの混合物であり、
前記反応性希釈剤の化学構造は、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどの単官能型、または直鎖脂肪族、ポリグリコール、ポリエーテル、ポリチオールなどの2官能型、またはそれらの混合物であり、
配合比が前記主剤と前記反応性希釈剤との合計100重量部に対して前記触媒型硬化剤が1重量部以上7重量部以下であることを特徴とする請求項1記載の真空用封止樹脂。
【請求項7】
前記充填材は、その一部を無機充填材で置換したことを特徴とする請求項1記載の真空用封止樹脂。
【請求項8】
請求項1から7記載の真空用封止樹脂を、磁性材料、電気配線、コイル、電子部品、絶縁材料またはそれらを組み合わせた部品を収納した枠体内に封入して製造されたことを特徴とする真空用機器。
【請求項9】
請求項1から7記載の真空用封止樹脂を、磁性材料、電気配線、コイル、電子部品、絶縁材料またはそれらを組み合わせた部品に対してモールド、ポッティング、隙間のシーリング、接着により製造したものであることを特徴とする真空用機器。
【請求項10】
請求項1から7記載の真空用封止樹脂を、磁気抵抗効果素子と、永久磁石とを備えたセンサケース内に封入したものであることを特徴とする真空用磁気センサ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−167360(P2009−167360A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9839(P2008−9839)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】