説明

真空蒸着方法及びその装置

【課題】基板上に膜厚が均一な薄膜を形成可能な有機ELデバイス製造装置及び成膜装置を提供する。
【解決手段】有機ELデバイスの製造装置において、蒸発させた蒸着材料を線上に配置した複数のノズルを介して真空槽の内部に放出させる蒸発源の各ノズルからの有機EL材料の蒸発量を、蒸発量モニタ手段で各ノズルにモニタし、このモニタした各ノズルの有機EL材料の蒸発量の情報を用いて制御手段で蒸発源を制御するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空蒸着膜を形成する方法及びその装置に係り、特に大型の基板上に厚さが均一な薄膜を形成するのに好適な真空蒸着方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置や照明装置に用いられる有機EL素子は、有機材料からなる有機層を上下から陽極と陰極の一対の電極で挟み込んだ構造で、電極に電圧を印加することにより陽極側から正孔が陰極側から電子がそれぞれ有機層に注入されそれらが再結合することにより発光する仕組みになっている。
この有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を含む多層膜が積層された構造になっている。この有機層を形成する材料として高分子材料と低分子材料を用いたものがある。このうち低分子材料を用いる場合には、真空蒸着装置を用いて有機薄膜を形成する。
有機ELデバイスの特性は有機層の膜厚の影響を大きく受ける。一方、有機薄膜を形成する基板は年々大形化してきている。したがって、真空蒸着装置を用いる場合、大型の基板上に形成される有機薄膜の膜厚を高精度に制御する必要がある。
【0003】
真空蒸着で大型の基板に薄膜を形成する構成として、特許文献1(特開2004−95275号公報)にはライン型の蒸発源を備えた真空蒸着装置が開示されている。特許文献2(特開2002−343563号公報)には大形基板を鉛直に保持し、複数の坩堝を備えた蒸発源を用いて基板上に薄膜を形成する真空蒸着装置が開示されている。また、特許文献3(特開2004−225058号公報)には、蒸発源移動ガイド部に複数の蒸発源を設けてこの複数の蒸発源を蒸発源移動ガイド部に沿って移動しうる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−95275号公報
【特許文献2】特開2002−343563号公報
【特許文献3】特開2004−225058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1にはライン状に並ぶ複数のノズルを設けた蒸発源の上をガラス基板をノズルが並ぶ方向と直角な方向に移動させてガラス基板上に有機薄膜を形成する構成において、蒸発源の複数のノズルを非均等ピッチで配設して蒸発源の長さ方向の膜厚にばらつきが生じるのを回避することが記載されている。しかし、複数あるノズルのそれぞれについて蒸着材料の析出によるふさがり状態を検出することについては配慮されていない。
【0006】
特許文献2には大形化した基板の裏面全体を保持具で保持することにより、基板を撓みなく保持した状態で複数の坩堝を備えた蒸発源から材料を蒸発させて基板上に薄膜を形成することが記載されている。しかし、基板上に形成される薄膜を均一化させるための手段については開示されていない。
特許文献3には膜厚モニタで検出した膜厚に基づいて蒸着速度を検出し、これにより蒸着される膜厚を予測して基板上に薄膜を形成する成膜装置が記載されている。しかし、基板上に形成される薄膜を均一化させるための手段については開示されていない。
【0007】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決して、ライン状に並ぶ複数のノズルを設けた蒸発源を用いて大形化した基板に有機薄膜を均一な膜厚で形成することが可能な真空蒸着方法及びその装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、
真空排気されたチャンバ内において、基板に加熱により気化された蒸着材料を蒸着する蒸着装置を、基板を保持する基板保持手段と、蒸着材料を気化させてノズルから放出する一方向に長い形状を有する蒸発源と、蒸発源の長い一方向と垂直な方向に蒸発源又は基板を保持する基板保持手段の少なくとも一方を移動させる第1の移動手段と、蒸発源からの蒸着材料の放出レートを検出する検出手段と、蒸発源又は検出手段の少なくとも一方を蒸発源の長い一方向と平行に移動させる第2の移動手段と、基板保持手段と蒸発源と第1の移動手段と検出手段と第2の移動手段とを制御する制御手段とで構成し、制御手段で第2の移動手段を制御して検出手段又は蒸発源の少なくとも一方を移動させることにより蒸発源の放出レートの長手方向の分布を計測するようにした。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明では、蒸着装置の真空槽内において、表面をシャドウマスクで覆った被処理基板の表面に蒸着により薄膜を形成する真空蒸着部を複数備え、真空に維持された雰囲気中で被処理基板を複数の真空蒸着部間で受け渡しする被処理基板受渡部を有する真空蒸着装置を複数の真空蒸着部のうちの少なくとも一つの真空蒸着部は、線上に配置した複数のノズルを介して加熱により気化させた前記蒸着材料を真空槽内に放出させる蒸発源と、処理基板をシャドウマスクで覆った状態で保持する基板保持手段と、基板保持手段で保持された被処理基板に沿って蒸発源を線上に配置した複数のノズルの配列方向に対して直角な方向に走査させる蒸発源駆動手段と、蒸発源が有するノズルにおいて、1つ又は隣接する複数のノズルをグループとして、ノズルのグループそれぞれから放出される蒸着材料の個別の放出状態をモニタするモニタ手段で構成した。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明では、蒸着装置に対して、真空槽に複数の真空蒸着部を設けて、真空蒸着部は蒸発源の長手方向に整列させ、蒸発源は蒸発源の長手方向に順次移動し、それぞれの真空蒸着部に設けられた基板保持部に対応した位置で位置決めする位置決め手段を設け、基板保持部に対応した位置で位置決めした蒸発源を、蒸発源の長手方向と垂直方向に蒸発源を走査させて、基板保持部の基板に成膜を施すことようにし、走査成膜手段を設け、真空蒸着部に基板保持部から成膜処理済基板を取り除き、未処理基板を入替え、位置決めを行う基板入替え手段を設けていること、走査成膜中に前記基板の入替えを行うこと、真空蒸着部間の蒸発源の移動経路上に気化した前記蒸着材料の放出量のモニタ手段を設けるようにした。
【0011】
更に、上記目的を達成するために、本発明では、内部を排気して真空状態に維持した真空槽に接続した第1の真空蒸着部において、表面をシャドウマスクで覆った被処理基板の表面に蒸着により薄膜を形成し、この薄膜を形成した基板を真空に維持された雰囲気中で第1の真空蒸着部から第2の真空蒸着部に受け渡して第2の真空蒸着部で処理する真空蒸着方法において、第1の真空蒸着部において、処理基板をシャドウマスクで覆った状態で、蒸発源の線上に配置した複数のノズルを介して蒸着材料を真空槽内に放出させながら蒸発源を被処理基板に沿って線上に配置した複数のノズルの配列方向に対して直角な方向に走査させることにより、シャドウマスクを介して被処理基板に蒸着膜を形成し、この被処理基板に蒸着膜を形成しているときに蒸発源から放出される蒸着材料の放出状態を第1のモニタ手段でモニタするようにした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ライン状に並ぶ複数のノズルを設けた蒸発源の各ノズルごとの有機EL材料ガスの放出の状態をモニタすることができ、大型化した基板に有機薄膜を安定して均一な膜厚に形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】有機ELデバイス製造装置の概略の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例における搬送室と処理室の構成の模式図と動作を説明する図である。
【図3】シャドウマスクを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例における蒸発源と基板及び膜厚モニタの位置関係を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施例における蒸発源と、膜厚モニタ及びシャッタの位置関係を示す図である。
【図6】膜厚モニタの出力の例を示すグラフである。
【図7】本発明の第1の実施例における基板の蒸着処理の動作を説明するフロー図である。
【図8】本発明の第2の実施例における搬送室と処理室の構成の模式図と動作を説明する図である。
【図9】本発明の第2の実施例における蒸発源と基板及び膜厚モニタの位置関係を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施例における左右の蒸着位置と蒸発源と基板及び膜厚モニタの位置関係を説明する図である。
【図11】本発明の第2の実施例における基板の蒸着処理の動作を説明するフロー図である。
【図12】本発明の第3の実施例における搬送室と処理室の構成の模式図と動作を説明する図である。
【図13】本発明の第3の実施例におけるクラスタ形成膜装置の処理室内部の構成及び蒸発源の各ノズルの蒸着材料ガスの放出状態を検出する手段の概略の構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の第3の実施例における蒸発源の線上に配置したノズルを持つ蒸発源のノズルの形態の例を示す図である。
【図15】本発明の第3の実施例における蒸発源の各ノズルの蒸着材料ガスの放出状態を検出する手段の概略の構成を説明する断面図である。
【図16】本発明の第3の実施例における各ノズルの蒸着材料ガスの放出状態を検出する手段で得られた検出結果の例を示す。膜厚モニタの周囲を遮蔽板で囲った例で、正常な場合と異常な場合の例を示すグラフをヒータと対応付けて示した図である。
【図17】本発明の第3の実施例における各ノズルの蒸着材料ガスの放出状態を検出する手段で得られた検出結果の例を示す。膜厚モニタの周囲を遮蔽板で囲わなかった例で、正常な場合と異常な場合の例を示すグラフをヒータと対応付けて示した図である。
【図18】本発明の第3の実施例における各ノズルの蒸着材料ガスの放出状態を検出する手段から得られた情報からヒータ制御を行う場合の動作フローを示す図である。膜厚モニタ側が移動して各ノズルの蒸着材料ガスの放出状態を検出するケースを示す。
【図19】本発明の第3の実施例における蒸発源のノズルが孔状場合とスリット状の場合の各ノズルの蒸着材料ガスの放出状態を検出する手段で得られた検出結果の例を示すグラフをヒータと対応付けて示した図である。
【図20】本発明の第3の実施例における各ノズルの蒸着材料ガスの放出状態を検出する手段から得られた情報から蒸発源のノズル詰りを検出し、アラームを出力する場合の動作フローを示す図である。蒸発源側が移動して各ノズルの蒸着材料ガスの放出状態を検出するケースを示す。
【図21】本発明の第3の実施例における水晶振動子の交換の際の構成方法の動作フローを示す図である。
【図22】本発明の第4の実施例における水平状態に保持した基板に対する成膜を行う場合における装置構成の概略の構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の第4の実施例における水平状態に保持した基板に対する成膜を行う装置構成における蒸発源の移動と蒸発源の各ノズルの蒸着材料ガスの放出状態を検出する手段関係を示す斜視図である。本図では基板が並ぶ方向と直角方向に蒸発源を走査する。
【図24】本発明の第4の実施例における水平状態に保持した基板に対して基板が並ぶ方向と直角方向に蒸発源を走査して成膜を行う場合での蒸発源の各ノズルの蒸着材料ガスの放出状態を検出する手段を示す平面図である。
【図25】本発明の第4の実施例の変形例における水平状態に保持した基板に対する成膜を行う装置構成における蒸発源の移動と蒸発源の各ノズルの蒸着材料ガスの放出状態を検出する手段関係を示す斜視図である。本図では基板が並ぶ方向と同一方向に蒸発源を走査する。
【図26】本発明の第4の実施例の変形例における水平状態に保持した基板に対して基板が並ぶ方向に蒸発源を走査して成膜を行う場合での蒸発源の各ノズルの蒸着材料ガスの放出状態を検出する手段を示す平面図である。
【図27】本発明の第4の実施例における各ノズルの蒸着材料ガスの放出状態を検出する手段から得られた情報からヒータ制御を行う場合の動作フローを示す図である。蒸発源側が移動して各ノズルの蒸着材料ガスの放出状態を検出するケースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明にかかる真空蒸着装置の一例として、有機ELデバイスの製造に適用した例を説明する。有機ELデバイスの製造装置は、陽極の上に正孔注入層や正孔輸送層、発光層(有機膜層)、陰極の下に電子注入層や輸送層をなど様々な材料の薄膜層を真空蒸着により多層積層して形成する装置である。本発明にかかる有機ELデバイス製造装置は、真空蒸着部に線上に配置した複数のノズルを介して材料を蒸発させる蒸発源と、該蒸発源の各ノズルの処理室の内部への前記材料ガスの放出の状態をモニタするモニタ手段とを備えたことを特徴とする。
以下に、本発明の実施例を図を用いて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は実施例1にかかる有機ELデバイス製造装置構成の一例を示したものである。本実施形態における有機ELデバイス製造装置100は、大別して処理対象の基板6を搬入するロードクラスタ3、前記基板6を処理する4つの処理クラスタ(A〜D)、隣接する各処理クラスタA〜D間又は処理クラスタAとロードクラスタ3あるいは次工程(封止工程)との間に設置された5つの受渡室4a〜eを備えて構成されている。
【0016】
ロードクラスタ3は、前後に真空を維持するためにゲート弁10を有するロード室31とロード室31から基板6を受取り、旋回して受渡室4aに基板6を搬入する搬送ロボット5Rを備えている。各ロード室31及び各受渡室4は前後にゲート弁10を有し、当該ゲート弁10の開閉を制御し真空を維持しながら(真空を維持するための手段、例えば真空排気ポンプの図は省略)ロードクラスタ3あるいは次のクラスタ等へ基板を受渡する。
【0017】
各クラスタ(A〜D)は、搬送ロボット5a〜dを備えた搬送室2a〜dと、搬送ロボット5a〜dから基板を受取り、所定の処理を行う図面上で上下に配置された2つの処理室1a〜d,u又はd(第1の添え字a〜dはクラスタを示し、第2の添え字u、dは上側下側を示す)を有する。各搬送室2a〜dと各処理室1a〜d,u又はdの間には、それぞれゲート弁10が設けてある。
【0018】
図2は、第1の実施例に基づく搬送室2と処理室1の内部の構成の概要を示す。処理室1の構成は処理内容によって異なるが、発光材料を蒸着しEL層を形成する真空蒸着を行う処理室1buを例にとって説明する。搬送室2bの内部に設置された搬送ロボット5bは、左右に旋回可能な構造のアーム51を有し、その先端には基板搬送用の櫛歯状ハンド52を装着している。
【0019】
一方、処理室1buは、図4(a)及び(b)に示すように、大別して発光材料を蒸発させ基板6に蒸着させる蒸発源部71とこの蒸発源部71を基板保持手段82により垂直に保持された基板6に沿って基板6と平行に上下方向に駆動させる上下駆動部72と、基板6の必要な部分に発光材料を蒸着させるシャドウマスク81と、基板6を搬送ロボット5bとの間で受渡しを行う櫛歯状ハンド94と、櫛歯状ハンド94で受け取った基板6を旋回させて直立させ基板保持手段82に移動させる基板旋回手段93とを備えている。そして、真空蒸着を実施する時には、図示していない真空排気ポンプにより処理室1buの内部は10−3〜10−4Pa程度の高真空状態に維持される。
【0020】
なお、図2では省略しているが、搬送室2bと処理室1buとは開閉可能なゲート弁10で仕切られており、搬送室2bと処理室1buとの間の基板6の受け渡しは、真空に排気された中で行われる。
【0021】
図3にシャドウマスク81の構成を示す。シャドウマスク81は、マスク81M、フレーム81Fとを備えて構成される。図示していないアライメントマーク検出手段で基板上に形成されたアライメントマーク84の位置とシャドウマスク81の窓85の位置を検出し、基板保持手段82に固定されたアライメント駆動部83で、マスク81Mに形成された窓85(図2参照)を基板6上に形成されたアライメントマーク84に位置合せをする。
【0022】
図4は、蒸発源部71と基板保持手段82により垂直に保持された基板6およびシャドウマスク81との関係を説明する図である。第4図(b)は、第4図(a)において矢印Bの方向から見た図である。
【0023】
上下駆動手段72は、蒸発源部71を一対のガイド軸76に沿って上下方向に移動させるものであり、大気側に設けられた駆動モータ72M、同モータ72Mにより回転駆動され、処理室1buの壁面1buwに設けられたシール部72Sに真空シールされた回転部72C、回転部72Cに固定され、回転部72Cに同期して回転するボールネジ72P、蒸発源部71に固定されてボールネジ72Pの回転により蒸発源部71を上下させるナット72K及び前記上下時に蒸発源部71の一対のガイド軸76上走行を案内する案内ガイド72Gを備えている。一対のガイド軸76は、一端を処理室1buの壁面1buwで、他端を支持板78で支持されている。
【0024】
蒸発源部71はn個の蒸発源71a〜n(個数nは基板6の幅方向寸法に応じて決める。nが1の場合も含む)を有し、各蒸発源71a〜nは内部に蒸着材料71Zを収納し、この収納された蒸着材料71Zを外部から加熱するヒータ71H、蒸発温度を検知する温度センサ71Sを有し、制御装置50は、温度センサ71Sで蒸発温度を検知した出力をモニタして所定の蒸着速度が得られるようにヒータ71Hを制御する。温度で蒸発速度を制御する以外に、膜厚モニタ20で検知する気化した蒸着材料71Zの放出量の値に基づきヒータ71Hの出力を直接制御しても良い。図2の引出し図に示すように、蒸発源部71には各蒸発源71a〜nに対応するノズル73a〜nがライン状に並んでおり、加熱されて気化した蒸着材料71Zをそのノズル73a〜nから処理室1buの内部に放出し、蒸発源部71と対向して垂直に保持されている基板6の表面にシャドウマスク81を介して蒸着させる。必要によっては、蒸着膜の特性を向上させるためにドーパント材料も同時に加熱して蒸着させることも可能である。この場合、複数の蒸発源を各蒸発源71a〜nに対して上下に平行に並べた構成にすればよい。
【0025】
真空内配線・配管機構40は、一端が処理室1buの壁1buwに回転可能で大気雰囲気に開放にされた状態で固定された中空の第1リンク41、一端が前記第1リンク41の他端に回転可能に接続され、他端がに回転可能に固定された中空の第2リンク42で構成されたリンク構造を有する。中空のリンク内には、前述したヒータ71Hへの電源線及び温度センサ71Sの信号線などの配線44が敷設されている。真空内配線・配管機構40は、蒸発源部71の上下方向への移動に伴い両リンク41及び42が回動することにより、前記信号線、電源線の配線を安定して目的位置に接続した状態を維持することが可能である。
【0026】
このような構成において、図5に示すように、蒸発源部71は真空蒸着を開始する前に下降端の待機位置WSLでシャッタ74を開き(シャッタ74の開閉機構を省略する)、支持ブロック22と23で支持されている水平方向のガイド21に沿って移動可能な支持体25に装着された膜厚モニタ20を駆動部24で駆動してライン状に並んだ蒸発源部71の複数の蒸発源71a〜nのノズル73a〜nに沿って一定の速度で移動(スキャン)して、蒸発量をモニタし、このモニタした信号を制御部50に送る。
【0027】
膜厚モニタ20は水晶振動子に付着した成膜材料の堆積量に応じた周波数変化に基づいて成膜レートを検出するものである。膜厚モニタ20の検出面28は、蒸発源部71に対する基板保持手段82により垂直に保持された基板6の表面に対応する位置と同じ平面内(蒸発源部71と基板6との間隔と同じ間隔)にあるように設置され、基板6の表面に対応する位置の蒸着レート(単位時間当たりに蒸着した膜の厚さ)の蒸発源部71の長手方向(ノズル73a〜nの並び方向)の分布を検出できるようになっている。
【0028】
制御部50では、膜厚モニタ20で検出した各ノズル73a〜nからの蒸発量に対応した基板表面位置における成膜レートを分析して,各ノズル73a〜nからの蒸発の状態をチェックし、他に比べて検出信号が小さいノズルを特定したり、全てのノズルからの検出信号レベルをあらかじめ設定した基準レベルと比較して蒸発量の過多をチェックすることができる。
【0029】
図6(a)〜(c)に膜厚モニタ20により検出される信号の例として、膜厚モニタ20の位置と蒸着レートとの関係を示す。図6(a)は各位置で蒸着レートが一定でしかも基準範囲の上限値Ruと下限値Rlの間に入っており、この場合には蒸着が正常に実施されることを示している。図6(b)はある位置から蒸着レートが低下しており、複数の蒸発量が低下していることを示す。これは、蒸発源71a〜nを複数のブロックに分けて各ブロック単位ごとにヒータ71Hで加熱する構成とした場合に起こり得るケースである。この場合には、対応するブロックの温度を温度センサ71Sで確認しながらそのブロックを加熱するヒータ71Hに印加する電圧を制御して蒸着レートが上記した基準範囲RuとRlの間に入るように調整すればよい。更に、図6(c)は複数の蒸発源71a〜nのうちの1つからの蒸発量が他に比べて低下している状態を示しており、対応する蒸発源71を特定してノズル73の詰りであるのか加熱温度の異常であるのか原因を究明してその対策を採ればよい。
【0030】
図6(b)及び(c)の例では、蒸着レートが下限値Rlよりも低下する異常状態に例を示したが、蒸着レートが上限値Ruよりも上昇する異常状態が発生した場合にも、上記と同様な手法で異常に対処すればよい。
【0031】
すなわち、本実施例に拠れば、気化した蒸着材料の個々のノズル73a〜nから処理室内部への放出の状態をチェックすることができるので、より細かな蒸着レートの制御、すなわち基板上に成膜される薄膜の膜厚分布の均一性を向上させることができる。
【0032】
膜厚モニタ20をスキャンさせて蒸発源71a〜nで気化した蒸着材料のノズル73a〜nから処理室内部への放出の状態をチェックし、異常が無いことを確認した後、上下駆動手段72で蒸発源部71を一定の速度で上昇させ、対向する面に設置された基板6上にシャドウマスク81を介して発光材料を蒸着させる。蒸発源部71は、対向する基板6を超えて上昇端の待機位置WSuに達し、前面をシャッタ75で覆われた状態で次の基板への蒸着の開始を待つ。
【0033】
本実施例においては、膜厚モニタ20を蒸発源部71の下降端側の待機位置WSLにしか設けていないので、蒸発源部71が上昇端側の待機位置WSuから下降を開始するときには蒸発量のモニタは行わない。
【0034】
図7は、このような構成による処理室1の処理フローを示した図である。本実施形態での処理の基本的な考え方として、基板の蒸着面を上面にして搬送し、上面搬送された基板6を垂直にたてて、アライメント部8に搬送し、蒸着する。搬送時基板6の下面が蒸着面であるならば反転する必要があるが、上面が蒸着面であるので垂直にたてるだけでよい。
【0035】
まず、基板6を搬入し(S701)、基板6を垂直に立ててアライメント部8に移動し(S702)、基板6とシャドウマスク81との位置合せを行なう(S703)。このとき、基板6は蒸着面を上にして搬送されるので、垂直に立てて直ぐに位置合せを行なうことができる。位置合せは、図2の引出し図に示すように、CCDカメラ(図示せず)で撮像し、基板6に設けられたアライメントマーク84がマスク81M設けられた窓85の中心にくるように、シャドウマスク81を前記アライメント駆動部83で制御することによって行なう。窓85の大きさは例えば幅50μm、高さ150μm程度である。マスク81Mの厚さは40μmであり、今後さらに薄くなる傾向にある。
【0036】
基板6が搬入されている間、蒸発源部71は下降端の待機位置WSlに退避しており、各ノズル73a〜nの前はシャッタ74で覆われている。次に基板6の位置合わせを開始するとシャッタ74が開き(S704)、各蒸発源71a〜nから蒸発した蒸着材料が各ノズル73a〜nから処理室1の内部に放出される。
【0037】
この状態で膜厚モニタ20が各ノズル73a〜nに沿ってスキャンを開始して(S705)、基板6の表面に対応する各位置の蒸着レートをモニタして各ノズル73a〜nから処理室内部への気化した蒸着材料の放出の状態を検出する(S706)。膜厚モニタ20のスキャンが終了する(S707)と、制御部50で各ノズル73a〜n及び全体の蒸着レートをチェックして(S708)、異常がある場合には原因がノズル73a〜nの詰りであるのかヒータ71Hの印加電圧異常であるのかを判断し(S709)、ヒータ71Hの印加電圧異常の場合にはヒータ71Hの印加電圧にフィードバックし(S710)、S705に戻って再び膜厚モニタ移動を開始する。一方、ノズル73a〜nの詰りである場合には、警報を発して異常を知らせる(S711)。
【0038】
膜厚モニタ20による各ノズル73a〜nからの蒸発量のチェックと、シャドウマスク81と基板6との位置合せとが終了したら、シャッタ74を閉じて(S712),上下駆動手段72で駆動して蒸発源部71を上方への移動を開始し(S713)、蒸発源部71を一定の速度で移動させながら蒸発させた蒸発材料71Zを各ノズル73a〜nから処理室1の内部に放出させシャドウマスク81を解して基板上に蒸着させて薄膜を形成する(S714)。蒸発源部71が上端まで達すると蒸発源部71の上昇が停止し(S715)、基板6の蒸着を完了すると、上昇端の待機位置WSuで蒸発源部71の各ノズル73a〜nはシャッタ75で覆われた状態で次の基板への蒸着を開始するまで待機する。次に基板6を処理室1から搬出し(S716)、次の新たな基板6’の搬入を待つ。
【0039】
次に、新たな基板6’が搬入され(S717)、新たな基板6’が垂直に保持され、(S718)、シャドウマスクとの位置合わせが完了すると(S719) 、上下駆動手段72で駆動して蒸発源部71の下方への移動を開始し(S720)、蒸発源部71を一定の速度で移動させながら蒸発させた蒸発材料71Zを各ノズル73a〜nから処理室1の内部に放出させシャドウマスク81を解して基板上に蒸着させて薄膜を形成する(S721)。蒸発源部71が下端まで達すると蒸発源部71の下降が停止し(S722)、新たな基板6’の蒸着を完了し、蒸着を完了した基板6’を搬出する(S723)。ここで、新たな基板6’の蒸着を開始する時点において、蒸発源部71は上昇端側にあり、上昇端側には膜厚モニタ20が設置されていないので、蒸発源部71が下降を開始する前の各ノズル73a〜nからの蒸発量のモニタは行われない。すなわち(S704)〜(S711)までのフローに対応する処理は行われない。
その後、上記フローを繰返して行なう。
【0040】
以上に説明した実施形態によれば、基板6の表面における蒸発源部71の各ノズル73a〜nの並び方向の蒸着レート分布をモニタして各ノズル73a〜nからの蒸着物質の放出量を調整することにより、膜厚の分布が均一で信頼性の高い有機ELデバイス製造装置を提供することができる。
【0041】
上記の実施形態は全て基板6の蒸着面を上にして搬送する場合について説明した。その他の基板の搬送方法としては、蒸着面を下にして搬送する方法、基板をケース等に入れて立てて搬送する方法がある。
【0042】
しかしながら、上記した基板表面に対応する位置における蒸着レートの分布を検出して蒸発源の各ノズルから放出される蒸着物質の放出量を調整するという基本的な考え方は、搬送方法には関係ないので、搬送方法の如何に関わらず本発明を適用できる。
【0043】
また、上記説明では有機ELデバイスを例に説明したが、有機ELデバイスと同じ背景にある蒸着処理をする成膜装置および成膜方法にも適用できる。
【実施例2】
【0044】
実施例1においては、真空蒸着を行う処理室1bu内で基板6を1枚ずつ処理する例を説明したが、実施例2においては、処理室1bu内に基板保持手段82を1対設置して、一方の基板保持手段82Rで保持した基板を処理している間に他の基板保持手段82Lに別の基板をセットしてシャドウマスク81と、基板6との位置あわせを済ませることにより、装置のスループットを向上させる構成について説明する。
【0045】
実施例2において実施例1と異なるところは、処理室1buの内部において、シャドウマスク81と基板保持手段82、櫛歯状ハンド94、基板旋回手段93とをそれぞれ右側Rラインと左側Lラインの2系統備えて構成した点にある。
【0046】
実施例1と重複する部分については説明を省略し、実施例1と異なる点について説明する。
【0047】
図8は、第2の実施例に基づく搬送室と処理室の構成の概要を示す。
処理室の構成は処理内容によって異なるが、真空で発光材料を蒸着しEL層を形成する処理室1bu(第2の実施例においては、処理室201と表記する)を例にとって説明する。搬送室202の内部に設置された搬送ロボット205は、左右に旋回可能な構造のアーム251を有し、その先端には基板搬送用の櫛歯状ハンド252を装着している。
【0048】
一方、処理室201の内部には、大別して発光材料を蒸発させ基板6に蒸着させる蒸発源部71とこの蒸発源部71を基板保持手段82Rまたは82Lにより垂直に保持された基板6に沿って基板6と平行に上下方向に駆動させる上下駆動部76と、基板6の必要な部分に発光材料を蒸着させるシャドウマスク81と、基板6を搬送ロボット5との間で受渡しを行う櫛歯状ハンド94と、櫛歯状ハンド94で受け取った基板6を旋回させて直立させ基板保持手段82に移動させる基板旋回手段93と、蒸発源部71をLラインとRラインとの間をレール275に沿って移動させる駆動部276とを備えている。そして、真空蒸着を実施する時には、図示していない真空排気ポンプにより内部が10−3〜10−4Pa程度の高真空状態に維持される。
【0049】
なお、図8では省略しているが、搬送室202と処理室201とは開閉可能なゲート弁10で仕切られている。
【0050】
図9は、蒸発部271と基板保持手段282により垂直に保持された基板6およびシャドウマスク81との関係を説明する図である。図9(b)は、図9(a)において矢印Bの方向から見た図である。蒸発源部71は上下駆動手段72により一対のガイド軸76に沿って上下方向に移動させられる。
【0051】
また図10に示すように、蒸発源部71は、左右駆動手段74によりレール75に沿って左右のアライメント部LとRとの間を移動する。蒸発部271の左右のアライメント部LとRとの間の移動経路の途中には、膜厚モニタ220が設置されており、膜厚モニタ220の検出面221は、基板保持手段82Rまたは82Lにより垂直に保持された基板6の表面と同じ平面内にあるように設定されている。左右駆動手段276で駆動されてレール275に沿って左右のアライメント部LとRとの間を蒸発源部71が一定の速度で移動するときに、ライン状に並んだ蒸発源71a〜nの各ノズル73a〜nが膜厚モニタ220の直前を通過して各ノズル73a〜nからの蒸発量が膜厚の変化として膜厚モニタ220で検出され、この検出された信号は制御部250に送られる。
【0052】
制御部250では、膜厚モニタ220で検出した各ノズル73a〜nからの蒸発量に対応した検出信号を分析して,各ノズル73a〜nからの蒸発の状態をチェックし、他に比べて検出信号が小さいノズル73を特定したり、全てのノズル73からの検出信号レベルをあらかじめ設定した基準レベルと比較して蒸着量の過多をチェックすることができる。
【0053】
制御部250で他に比べて検出信号が小さいノズル73xを特定した場合には、蒸発源部71におけるそのノズル73xの位置を表示手段(図示せず)に出力する。
【0054】
また、全てのノズル73における検出信号レベルをあらかじめ設定した基準範囲と比較して蒸着レートが基準範囲を超えたときには、制御部250で温度センサ71Sにより蒸発温度を検知して得た信号をモニタしながら蒸発源部71のヒータ71Hの印加電圧を低減させ、蒸発量が基準範囲以下のときには、制御部50で同様に温度センサ71Sにより蒸発温度を検知して得た信号をモニタしながら蒸発源部71のヒータ71Hの印加電圧を増加させるような制御を行う。
【0055】
また、図9(b)に示した構成において蒸発源71a〜nを複数のブロックに分けて各ブロックごとに加熱するヒータ71Hと蒸発温度を検知する温度センサ71Sとを設けることにより、各ノズル73a〜nからの検出信号レベルをあらかじめ設定した基準範囲と比較して蒸発量が基準範囲を超えたときには、制御部250で各ブロックごとに、それぞれのブロックの温度センサ71Sにより蒸発温度を検知して得た信号をモニタしながら各ブロックごとのヒータ71Hの印加電圧を制御することにより、より細かい蒸着量分布の制御を行うことができる。
【0056】
さらに、モニタした各ノズル73a〜nからの検出信号レベルが予め設定した基準レベルを超えた場合、または予め設定した基準レベルよりも低下した場合には、制御部250は警報を発して作業者に装置の異常を知らせるように構成することができる。
【0057】
すなわち、本実施例に拠れば、第1の実施例において図6(a)〜(c)を用いて説明したのと同様に、個々のノズル73a〜nにおける蒸発の状態をチェックすることができるので、より細かな蒸着レートの制御、すなわち基板上に形成される薄膜の膜厚分布の均一性を向上させることができる。
【0058】
図11は、第2の実施例における処理室1の処理フローを示した図である。本実施形態での処理の基本的な考え方として第1の実施例で説明したことと同様に、基板の蒸着面を上面にして搬送し、上面搬送された基板6を垂直にたてて、アライメント部8に搬送し、蒸着する。搬送時に基板6の下面が蒸着面であるならば反転する必要があるが、上面が蒸着面であるので垂直にたてるだけでよい。
【0059】
また、本実施例においては、蒸着する工程に要する時間と、処理室1へ基板6を搬入してアライメントを完了するまでに要する時間とが略同じであり、本実施形態ではそれぞれ約1分である。そこで、本実施形態での基本的な考え方は、一方のラインで蒸着している間に、他方のラインでは処理を終えた基板を搬出して新たな基板を搬入し、位置合せをし、蒸着する準備を完了させることである。この処理を交互に行なうことによって、蒸発源の待機時間を短くすることが可能になり、待機中の無駄な材料の消費を減少させることができる。
【0060】
その処理フローを詳細に説明する。まず、Rラインにおいて、基板6Rを搬入し(S1101R)、基板6Rを垂直に立ててアライメント部8Rに移動し(S1102R)、基板6とシャドウマスク81との位置合せを行なう(S1103R)。このとき、垂直に立てて直ぐに位置合せを行なうために、蒸着面を上にして基板6を搬送する。位置合せは、図8の引出し図に示すように、CCDカメラなどの撮像手段(図示せず)で撮像し、基板6に設けられたアライメントマーク84がシャドウマスク81Rに設けられた窓85の中心にくるように、シャドウマスク81Rを前記アライメント駆動部83Rで制御することによって行なう。本蒸着が赤(R)を発光させる材料であるならば、図3に示すようにシャドウマスク81Rのマスク81MのRに対応する部分に窓があいており、基板6は窓の下にある部分が蒸着されることになる。その窓の大きさは例えば幅50μm、高さ150μm程度である。マスク81Mの厚さは40μmであり、今後さらに薄くなる傾向がある。
【0061】
位置合せが終了したら、Lライン側で待機してシャッタ274Lで覆われていた蒸発源部71を左右駆動手段276で駆動してレール275に沿ってRライン側に移動させる(S1101E)。このとき蒸発源部71はLライン側とRライン側との間を一定の速度で移動し、シャッタ274Lから外れた位置でライン状に並んだ蒸発源71a〜nの各ノズル73a〜nが膜厚モニタ220の直前を通過することにより各ノズル73a〜nからの蒸発量が膜厚の変化、すなわち蒸着レートとして膜厚モニタ220で検出され(S1102E)、この検出された信号は制御部250に送られる。
【0062】
蒸発源部71のRライン側への移動が完了(S1103E)した後、制御部250で各ノズル73a〜n及び全体の蒸発量に異常が無いかチェックして(S1104E)、異常がある場合には原因がノズル73a〜nの詰りであるのかヒータ71Hの印加電圧異常であるのか(ヒータ71Hの制御で対応可能か)を判断し(S1105E)、ヒータ71Hの印加電圧異常の場合にはヒータ71Hの印加電圧にフィードバックし(S1106E)、蒸発源を一旦RラインからLラインへ移動させて(S1107E)から、再度S1101Eのステップに戻って蒸発源をLラインからRラインへ移動を開始する。一方、ノズル73a〜nの詰りである場合には、警報を発して異常を知らせる(S1108E)。
【0063】
シャドウマスク81と基板6Rとの位置合せが終了し、膜厚モニタ220による各ノズル73a〜nからの蒸発量のチェックが終わりRライン側の待機位置で蒸発源部71の各ノズル73a〜nがシャッタ274Rで覆われた状態でS1104Eで蒸着レート異常なしと判断された場合、上下駆動手段72で駆動して蒸発源部71を上方に連続的な移動を開始し(S1104R)、シャッタ274Rから外れた位置で蒸発させた蒸発材料71Zを各ノズル73a〜nから処理室1の内部に放出させてシャドウマスク81を介して基板6R上に蒸着させ、薄膜を形成する(S1105R)。蒸発源部71が一対のレール276の上端付近まで達して基板6Rの蒸着を完了すると蒸発源部71の上方への移動は停止し(S1106R)、一対のガイド軸76Rの上端部で蒸発源部71の各ノズル73a〜nがシャッタ275Rで覆われた状態で待機する。
【0064】
一方、Rラインで基板6Rに蒸着中に、LラインではRラインの(S1101R)から(S1103R)までと同様の処理を行なう。すなわち、他の基板6Lを搬入し(S1101L)、当該基板6Lを垂直に立ててアライメント部8Lに移動し(S1102L)、シャドウマスク81Lとの位置合せを行なう(S1103L)。
【0065】
Rラインの基板6Rの蒸着を完了して一対のガイド軸76の上端部で待機している蒸発源部71は、基板6Lとシャドウマスク81Lとの位置合せが終了したのを確認して、駆動部276で駆動されてレール275に沿ってLライン側に移動し (S1108E)、前面(各ノズル73a〜nが設けられた面)がシャッタ275Lで覆われた状態になる。ここで、Rライン側からLライン側に移動するときに、蒸発源部71は一対のガイド軸76の上端部で待機しているために、膜厚モニタ220による各ノズル73a〜nからの蒸発量のチェックは行われない。また、シャッタ275Rと275Lとは分離せずに、連続した一体で形成しても良い。その場合、蒸発源部71は各ノズル73a〜nが設けられた面(前面)をシャッタで覆われた状態でRライン側からLライン側へ移動する。
【0066】
次に、Lライン側に到達した蒸発源部71は上下駆動手段72で駆動されて下方に移動を開始して(S1104L)、シャッタ275Lによる覆いを外れたところから蒸発させた蒸発材料71Zを各ノズル73a〜nから処理室1の内部に放出させシャドウマスク81を介して基板6L上に蒸着させて薄膜を形成し (S1105L)、蒸発源部71が一対のレール276の下端付近まで達して基板6Lの蒸着を完了すると蒸発源部71の下方への移動を停止し(S1106L)、一対のガイド軸76の下端部で蒸発源部71の各ノズル73a〜nがシャッタ274Lで覆われた状態で待機する。
【0067】
一方、Rラインにおいては、蒸発源部71がLライン側に移動を完了したのを確認して、基板6Rの処理室1からの搬出動作を開始する(S1107R)。その後新たな基板6R’を搬入し(S1108R)、基盤6R’を垂直に立ててアライメント部8Rに移動し(S1109R)、基板6R’とシャドウマスク81Rとの位置合わせを行う(S1110R)。
【0068】
その後、上記フローを繰返して行なう。本実施例によれば、蒸発源部71の移動時間を除いて無駄に蒸着材料71Zを使用することなく基板上に蒸着膜を形成することができる。本実施例において、必要な蒸着時間と処理室への基板の出し入れ及びアライメントにかかる時間とを約1分とし、蒸発源部71の移動時間を5秒とすれば、基板を1枚しか装着できない方式では基板への蒸着に寄与しない無駄な蒸着時間が1分であるのに対して、本実施例では5秒に短縮できる。
また、上記本実施例によれば、図11に示すように処理室1での基板6の1枚当たりの処理サイクルは実質的に蒸着時間と蒸発源部71の移動時間とを足し合せた時間となり、生産性を向上させることができる。前述の条件で処理時間を評価すれば、基板を1枚しか装着できない方式の2分に対し、本発明では1分5秒となり、処理室1ひとつあたりの生産性を約2倍に向上できる。
【実施例3】
【0069】
実施例1乃至3では大形基板を取り扱う上で有利な水平搬送と垂直成膜を組み合わせた実施形態について説明したが、以下では中形基板の成膜で採用されている水平搬送と水平成膜を組み合わせた装置形態を示す。
【0070】
図12は本発明にかかる水平搬送かつ水平成膜を行う有機ELデバイス製造装置300の構成の一例を示したものである。この装置形態は一般的なクラスタ装置として公知のものであるが、この構成に対して本発明を適用した例を以下に示す。
【0071】
図12の有機ELデバイス製造装置300は、中央に位置する多角形の搬送室302a〜cに対してその周辺にロードロック室331a,受渡室304a〜cや処理室301a-1〜f-2が連結される構成の装置形態である。搬送室302a〜cはその中央に搬送ロボット305a〜cを配置する。搬送ロボット305a〜cはロードロック室331aや受渡室304a〜cや処理室301a-1〜f-2に置かれた基板61を取り出し、新たに別の基板61を置く。
受渡室304a〜cは隣接するクラスタとの間で基板61の受け渡しを行うために用いられる。処理室301a-1〜f-2では、処理対象の基板61に真空蒸着による成膜処理を施す。クラスタを構成する各室との間にはゲート弁310が設けられ、各室毎に真空度を保つことが可能である。ロードロック室331では、ゲート弁310を閉じて、搬入した基板61の雰囲気を大気圧から真空、または真空から大気圧に切替える機能を持たせる。成膜処理中は各処理室301a-1〜f-2及び各搬送室302a〜cは真空ポンプ(図示せず)によって10−3〜10−5Pa台の真空度が維持されている。
【0072】
処理室301a-1〜f-2に備えられたゲート弁310を閉じることによって、成膜処理中は各処理室301a-1〜f-2で発生するガスが他の処理室301a-1〜f-2へ伝播することにより生じる膜の純度の低下を防止することが可能となる。またメンテナンス時には、特定の成膜室301a-1〜f-2や搬送室302a〜cを個別に大気開放して、メンテナンス後の装置300全体の状態復帰に掛かる時間を最小限に抑えることも可能となる。
処理室301a-1〜f-2の構成は有機層を成膜する処理301a−1を例にとって説明する。
図13には第3の実施例に基づく搬送室302a〜cと処理室301a-1〜f-2の内部構造の概要を、搬送室302aと処理室301a-1を例に挙げて説明する。図13に示すように本実施例では、蒸発源371を定点観測する膜厚モニタ319の他に、蒸発源371の上部に蒸発源371の長手方向を線上にスキャン可能な膜厚モニタ320を設けている。
【0073】
搬送室302aの内部に設置された搬送ロボット305aは旋回と伸縮動作が可能なアーム351aを有し、その先端には基板搬送用の櫛歯状ハンド352aを装着している。
【0074】
一方、処理室301a-1には、搬送ロボット305aから基板61の受け渡しを行うための受け渡し機構、シャドウマスク381、シャドウマスク381と基板61のアライメント機構、有機蒸着材料を高温加熱して気化させて、指向性を持たせて蒸着材料371Zのガス流375形成し、基板61下面に吹き付けて成膜する蒸発源371を持つ。
【0075】
搬送ロボット305aから成膜室301a-1に基板61を搬入する場合、フック387の上に基板61を保持した櫛歯状ハンド352を挿入し、搬送アーム351を下げて基板周辺部に設けたフック387に基板61を引き渡し、櫛歯状ハンド352を後退させる。櫛歯状ハンド352挿入時にフック387を上昇させて、基板を受け取っても良い。基板6を受け取ると、フック387を下げ、基板61とシャドウマスク381を近接させた状態で基板上のアライメントマーク6Aとシャドウマスク上のアライメントマーク81Aとを光学的に検出しながらフック387又はシャドウマスク381を微動させ、位置合わせを行う。位置合わせ終了後にさらにフック387を下げ、シャドウマスク381上に基板61を載せる。そしてフック387を後退させ、引き抜きシャドウマスク381から離間させる。この際、シャドウマスク381上にフック387の逃げ溝があるとフック387の爪の厚みを増やせ、大きな基板6への対応がし易くなる。シャドウマスク381は、マスク381M、フレーム381Fとを備え、アライメントマーク381Aが形成されている。
【0076】
蒸発源371は蒸着材料371Zのガス375を吹き出す方向に対して垂直方向に伸びた棒状のいわゆるリニアソースの形態を採っており、ガス流375の吹き出し口であるノズル373は、蒸発源371の長手方向に対して線上に列を成して複数設けられている。このノズルは図14(a)(b)に示したような線上に並べた円形やの孔ではなく、図14(c)(d)に示したようなスリット1個又は複数個設けても構わない。この他に、図14(f)に示したように小形の蒸発源371a〜nのそれぞれの中心に設けられたノズル373から蒸着材料のガス流753を供給するタイプの蒸発源371を採用する場合には、小形の蒸発源371a〜nを複数用意して、線上に並べれば同様な効果が得られる。この蒸発源371a〜nの各ノズル373は基板61に面した状態で所定の間隔を保ち、基板61に平行かつ蒸発源371の長手方向に対して直角方向に往復移動させる蒸発源移動機構372により所定速度でスキャンし、基板61の対象となる面全体に対して上に蒸着材料の薄膜を形成する。
各搬送室302、処理室301、搬送ロボット305受渡室304、蒸発源371を含む装置300の全体は、制御部350で制御される。
【0077】
蒸発源371の移動機構372は、図13及び図15に示すように、蒸発源371を一対のガイドレール372Lに沿って移動し、大気側に設けられた駆動モータ372Mにより蒸発源ベース378に搭載された蒸発源371を移動させるものである。真空度を保つ磁性流体シールを内部に持った真空回転導入機構372Sを処理室301a-1の壁面301a-1wに設け、その真空側の回転軸によってボールねじ372Pを回転させる。ボールねじ372Pの両端は、軸受けを備えた支持板376で支持されている。蒸発源371を搭載する蒸発源ベース378にはボールねじ372Pのナット372Kと一対のガイドレール372L上の走行を案内するガイド372Gと接続しており、ボールねじ372Pの回転によって、蒸発源371はガイドレール372Lに沿う直線運動を行い、往復のスキャン成膜が可能となる。
【0078】
以上に示した機構を用いて基板61に対して蒸発源371を往復移動させてスキャン成膜した後は、蒸発源371を退避させ、基板61をシャドウマスク381から引き剥がし、再び搬送用ロボット305aで他の処理室301へ搬送し、成膜処理を行う。まず、シャドウマスク381上に基板6を載せている場合にはフック387に引っ掛けて基板61を上昇させる。そして、搬送ロボット305は櫛歯状ハンド352aを基板61下部に差込み、アーム351aを上昇させて基板6を受け取る。アーム351aを上昇させる代わりにフック387を下降させて基板61を櫛歯状ハンド352aに引き離しても良い。また、フック387で基板を引っ掛けた後で、搬送ロボット305aのハンド352aを上昇させる機能を持たせ、基板61を受け渡してもよい。
以上に示した方法により基板61に蒸着膜を成膜する場合、膜厚の均一性を確保するためには、蒸発源371長手方向の温度制御は欠かせない。図15に示すように、蒸発源371は長手方向に複数の加熱制御ブロック371Bに分割して加熱制御する。加熱制御ブロック371Bにはそれぞれヒータ371Hが設けられている。蒸発源371内部には蒸着材料371Zを仕込んだるつぼ371Cが収められており、ヒータ371Hへの通電によりるつぼ371aとそれに充填した蒸着材料371Zが加熱されて、気化する。蒸発源371には温度を検知する熱電対371Sを有し、制御装置350には、温度センサ371Sの検知する温度出力により、所定のプロセス温度になるように制御する。温度センサ371Sは、特定の加熱制御ブロック371Bに1つだけ設けても、各加熱制御ブロック371Bにそれぞれ設けてもどちらでも構わない。
【0079】
各加熱制御ブロック371Bに温度センサを設ける場合には、各加熱制御ブロックで同一の温度にするようにヒータ371Hへの電力供給を調整する。一般的に蒸発源371の長手方向の端部は熱放射が起こるため、中央部に比べて温度低下が予測される。このため、予め蒸発源371の長手方向中央部に比べて両サイドの加熱制御ブロック371Bのヒータ371Hへの電力供給を多めに設定することで、蒸発源371全体の温度の均一化を図る。
【0080】
また、特定の加熱制御ブロック371Bに温度センサ371Sが設けられている場合、例えば蒸発源371の中央の加熱制御ブロック371Bに温度センサ371Sが設けられている場合には、予め中央の加熱制御ブロックのヒータ371Hよりも周辺部のヒータ371Hの方に一定割合または一定値だけ電力供給を多くする。蒸発源371の長手方向の温度均一性は、一般的に温調に用いている温度センサ371S以外に温度センサを蒸発源371の各部に取り付けて測定を行い、その結果に基づき、各ヒータ371Hへの電力供給増分を加減して、温度の均一化を図る。
【0081】
ガスの放出レートの測定手段として、水晶振動子26式の膜厚モニタ320を用いる。これは、蒸発源371から放出される蒸着材料371Zのガス流375を冷却した水晶振動子326に当てて、水晶振動子326検出面に蒸着材料の膜を形成させ、それにより生じる水晶振動子326の水晶発信周波数の変化から単位時間当たりに付着する蒸着材料の膜厚を読み取るものである。
【0082】
通常、膜厚モニタ320A,Bは成膜に支障がない蒸発源371の端部に固定するか、蒸発源371が退避位置W(図13で蒸発源371が存在している場所)に移動した時に検出できるように処理室301a-1側に固定する。また、蒸発源371のノズル373と膜厚モニタ320A,Bの水晶振動子326A1−3,B1−3の間の距離や傾き、センサの指向性によってその検出値が依存する。
【0083】
水晶振動子326A1−3,B1−3の周囲に蒸着物質が付着するのを防止するために、カバー319A,Bで周囲を覆い、更に蒸発源371から放出された蒸着物質を指向性良く検出するために、各ノズルからの蒸発量をモニタする膜厚モニタ320Bには、筒状のシールド328で水晶振動子326B1−3の上面を覆う構造にした。さらに、水晶振動子326A1−3,B1−3毎に個体差を持っているため、スキャンした時の膜厚との間で校正を掛けなければ使用できない。膜厚モニタ320A,Bの膜厚計測精度を向上させるには、一度所定の条件で基板61上に成膜し、その基板を取り出した後に、エリプソメータなどの計測器で膜厚を測定した結果から、校正係数を算出するプロセスが必要である。それ以後は、膜厚モニタ320A,Bから検出される数値に校正係数を掛け合わせることにより、気化した蒸着材料371Zの放出レート又は蒸着レートの分布をリアルタイムで高精度に計測することが可能となる。
【0084】
本発明における実施例として、図13に示すように、蒸発源371に対して第1の膜厚モニタ320Aを固定して蒸着中に蒸発源371と一緒に移動させて蒸着中に常時蒸発源371からの蒸発量をモニタし、第2の膜厚モニタ320Bを処理室301a-1に設ける。第2の膜厚モニタ320Bは、基板61に蒸着材料371Zのガス流れ375が届かない蒸発源371の退避位置Wにおいて、蒸発源371のノズル373に対向するように水晶振動子326を向ける(図15参照)。
【0085】
第2の膜厚モニタ320Bは蒸発源371が退避中に蒸発源371の長手方向にスキャンする移動機構317によって、各ノズル373から放出される気化した蒸着材料の放出レートの分布を読み取るように設置する。蒸発源371の往復移動機構と同様に、処理室301a-1側に2本のリニアガイド321を設置し、蒸発源371のノズル321の列と平行かつノズル373の列に沿って第2の膜厚モニタ320Bを移動できるようにする。
処理室301a-1外部にモータ324Mを設け、真空気密を保つ磁性流体シールを持つ真空回転導入機構324Sを回転させ、それに接続した1対の支持部材322で支持されているボールねじ324Pを回転させる。ボールねじのナット324Kとリニアガイドのガイド機構325は第2の膜厚モニタ320Bに接続しており、モータ324Mの回転により、第2の膜厚モニタ320Bは蒸発源371の長手方向のスキャン測定を行う。
【0086】
従来は、基板61に成膜した後に蒸発源371の長手方向に基板61上の膜厚を膜厚測定機や段差測定機で測定して、膜厚が他と大きく異なる個所が無いように、蒸発源371の各加熱制御ブロック371Bのヒータ371Hを調整してきた。しかし、蒸発源371の各ノズル373から放出される気化した蒸着材料375の放出レートの分布を測定できないため、膜厚の特異な点は検出できても、どの加熱ブロック371Bの影響を受けているかが判別し難く、膜厚の均一化を図る調整作業が難しく、多大な時間を要していた。
【0087】
一方、本発明により、従来と同様に特定部分の気化した蒸着材料の放出レートを定常的にモニタリングし、蒸発源371の温度制御を行えるだけでなく、蒸発源371の各ノズル373から放出される蒸着材料の放出レートの分布の計測が可能となった。このため、蒸発源371の各ノズル373から放出される蒸着材料の放出レートの分布の計測に基づき、蒸発源371を加熱する各加熱制御ブロック371B中のヒータ371Hに対する電力供給状態を再調整し、蒸発源371の各ノズル373から放出される蒸着材料ガスの放出レートを均一化する又は想定した放出レートのプロファイルに合わせ込むことように制御しても良い。
【0088】
膜厚モニタ320A及びBは一般的に急激な温度変化が生じると計測誤差を生じるため、常時水冷が施されている。しかし、第2の膜厚モニタ320Bのスキャン開始時には、蒸発源371からの熱放射を突然受けることになり、温度変化による計測誤差が生じやすい。そこで、筆者らは、第2の膜厚モニタ320Bをスキャンさせる時には、蒸着材料のガス流れ375を受け始める位置で、一定時間停止し、温度が安定してから第2の膜厚モニタ320Bのスキャンを再開するように駆動機構317の制御を変更した。このようにすれば、精密に蒸発源371の長手方向の気化した蒸着材料の放出レートの分布を測定することができるようになった。
【0089】
第2の膜厚モニタ320Bのスキャン中に、隣接するノズル373から放出されるガス流れ375が水晶振動子326に入射するため、正確な装置診断を行う際に局所範囲、またはノズル1つずつと言う範囲で気化した蒸着材料の放出レートを正確に測定することが困難であった。そこで、図15に示すように、第2の膜厚モニタ320Bの水晶振動子326の周囲を筒状のシールド328で覆い、第2の膜厚モニタ320Bに指向性を持たせた。この結果、隣接するノズルから発する斜めから入射する蒸着材料のガス流れ375を排除することが可能となり、より的確にノズル373単位であるいは局所的な範囲で蒸発源371の長手方向の気化した蒸着材料の放出レートを測定することが可能となった。
上記の測定結果の一例を図16(a)〜(c)に示す。この例では蒸発源371のノズル373全てが同一の蒸着材料の放出レートを持つ場合に基板に対して均一な膜が得られるケースである。第2の膜厚モニタ320Bの水晶振動子326の周囲を筒状のシールド328で覆うことにより、蒸発源371のノズル373が穴状である場合には、水晶振動子326がノズルの正面に来た時に検出するレートはピークを迎える。スキャン速度を適宜調整し、スキャン開始からの秒数でノズル373の正面に水晶振動子326が通過するかを確認しておけば、それぞれのレートのピークはどのノズル373の穴に対応するかを把握することができる。正常であれば図16(a)のように同じ高さの波形が繰返し測定できる。図16(b)には、加熱制御ブロック371BLからの蒸発量が低下した状態を示す。また、図16(c)には、一つのノズルに詰まりが発生して蒸着物質の放出量が低下した状態を示す。
【0090】
なお、上記実施例では図14(a)又は(b)に示したような穴状のノズル373Cの配列を前提にしたが、図14(c)又は(d)に示したようなスロット溝タイプのノズル373Sでは観測されるレートの測定値は図17(a)〜(c)に示すグラフとなり、正常であれば図17(a)のように端部を除き、位置にかかわらず一定の値が検出される。 一方、一部の加熱制御ブロックにヒータ電力の供給不測が発生した場合には、図17(b)に示すように、不具合が発生した過熱制御ブロックに対応する位置の膜厚モニタ出力にレートの低下が発生する。更に、蒸発源371のスロット溝373Sの一部に詰まりが発生した場合、図17(c)に示すように膜厚モニタ出力の一部にピンポイント的なレート低下が発生する。
【0091】
又、図14(e)に示すように、蒸発源371の上面を多孔質の物質379で覆い、この多孔質の物質379を通って真空室側に放出された蒸着材料で成膜することもできる。以下で挙げるノズル373の長手方向又は配列方向の気化した蒸着材料の放出レートの分布の測定結果の応用例では、図14(a)又は(b)に示したような穴タイプのノズル373の検出を前提とするが、図14(c)又は(d)に示したようなスリットタイプのノズルの場合でもサンプリング位置を事前に設定し、評価を行えば同様な処理が可能である。
ノズル373の長手方向又は配列方向の気化した蒸着材料の放出レートの分布を測定した結果をヒータ制御に応用すれば、従来のように基板に膜付けを行いながら各ヒータ371Hへの供給電力調整を基板に膜付けすることなく、装置単体で自動的かつより精密に実施することができる。
【0092】
例えば、特定の加熱制御ブロックにおけるノズル各部の気化した蒸着材料371Zの放出レートが部分的に低下したり、過剰である場合が連続稼働中にしばしば生じる。初期の状態で蒸発源371の各加熱制御ブロック371Bの温度バランスを整えても、連続的に稼働しているうちに、蒸発源371内部の蒸着材料371Zの消費状態及びそれを収めているるつぼ371Cとの接触状態が変化し、蒸着材料の気化状態が変化するものである。従来は成膜して、膜厚を測定しなければこのような状態を検知することができなかった。
【0093】
本発明ではこのような状態を自動的に検知できるため、対応する加熱制御ブロック371Bのヒータ371Hへの電力供給量の増減調整し、再度、第2の膜厚モニタ320Bで蒸発源371をスキャンし、気化した蒸着材料の放出レートの分布が解消されたかを詳細に確認する形でフィードバックをかけることが可能となった。上記を自動的に判定し、調整するアルゴリズムを装置の制御手段350に付加すれば、装置内で自動的に基板61の膜厚が均一を維持するように、蒸発源371の各ヒータ371Hへの電力供給制御も行うことができる。
【0094】
次に、図18に基づいて、基板61への蒸着開始前に行う蒸着レート確認の方法を説明する。
先ず蒸着源371を退避位置へ移動させる(S1801).次に、退避位置で第2の膜厚モニタ320Bを蒸着源371のノズル配列方向に一定速度で移動させて、各ノズルからの気化した蒸着材料の放出量を検出する(S1802)。次に、制御部350において、膜厚モニタ320Bの移動時間と検出値のピーク値との関係から、蒸着源371のノズル373位置と測定値とのマッチングを取り(S1803)、蒸着源371の各加熱制御ブロック単位で各ノズル373からの放出量のピーク値の平均を求める(S1804)。次に、制御用熱伝対を取り付けた加熱制御ブロックの各ノズル373からの放出量の平均値を基準として、各加熱ブロックの各ノズル373からの放出量の平均値を比較して(S1805)、差が予め設定した許容量を超えて大きい加熱ブロックの有無をチェックし(S1806)、差が許容量を超えて大きいと判定された加熱ブロックについてはその過熱ブロックのヒータ電力を低減して(S1807)再びS1802からのステップを繰返す。
一方、差が許容量を超えていないと判断された場合には、次に差が許容量を超えて小さい加熱ブロックの有無をチェックし(S1808)、差が許容量を超えて小さいと判定された加熱ブロックについてはその加熱ブロックのヒータ電力を増加させて(S1809)再びS1802からのステップを繰返す。全ての加熱ブロックについて基準値との差が許容範囲内であると判定された場合には正常と判定し(S1810)、操作を終了する。
【0095】
以上では基板61の幅に比べて蒸発源371の長手方向の幅が充分長い場合を前提にしていて、その場合にはどのノズル373からも気化した蒸着材料の放出レートが同じピーク値である必要があった。しかし、基板61の幅に対して蒸発源371の張り出し量が比較的短いケースで、基板61上での膜厚均一性が確保されるようにするためには、蒸発源371の両端のノズル373から放出される蒸着材料ガスの放出レートが中央部よりも高い場合を正常とする場合も考えられる。この場合の蒸着材料ガスの放出レートの上記検出系でのプロファイルの検出例を図19(a)および(b)に示す。
【0096】
図19(a)は、図14(a)または(b)に示したような穴状のノズルを持つ蒸着源371からの蒸発の状態をモニタした結果を示す。また、図19(b)には、図14(c)または(d)に示したようなスリット状のノズルを持つ蒸着源371からの蒸発の状態をモニタした結果を示す。 端部において加熱温度を高くする、ノズル373を増設する、ノズル373を大口径化する、あるいはノズル373の長さが短くする事により、このようなプロファイルを得られる。この様なケースに対して、部分的に気化した蒸着材料ガスの放出レートが増減する場合にも同様に自動的に温度制御により状態を維持することができる。これを実現するためには、基板6上の膜が均一になる加熱制御ブロック371Bへの電力供給条件下での気化した蒸着材料の放出レート分布を基準プロファイルに定め、以後は、各ノズル373から放出される蒸着材料ガスの放出レートを合わせ込むように調整すればよい。
【0097】
一方、第二の膜厚モニタ320Bでスキャンした結果、気化した蒸着材料の放出レートが極端に減少しているノズル373がある場合や、加熱制御ブロック371Bのうち局所的に気化した蒸着材料の放出レートが低下しているものがある場合では、蒸着材料が何らかの原因でノズル373に析出して詰まる現象が疑われる。
【0098】
このような状態が確認される場合、ヒータへの供給電力の調整では気化した蒸着材料の放出レートは回復しないため、不良の造り込み防止の観点から、装置管理者にアラームを発する、又は成膜室への基板の受け入れを停止させるなどの処置を行うことが望ましい。これもやはり、上記判定アルゴリズムを制御部350に搭載することにより、自動的に不良の造り込みを防止する機能を実現できる。
【0099】
以上の動作の処理フローを、図20を用いて説明する。
先ず蒸着源371を退避位置へ移動させる(S2001).次に、退避位置で第2の膜厚モニタ320Bを蒸着源371のノズル配列方向に一定速度で移動させて、各ノズルからの気化した蒸着材料の放出量を検出する(S2002)。次に、制御部350において、膜厚モニタ320Bの移動時間と検出値のピーク値との関係から、蒸着源371のノズル373位置と測定値とのマッチングを取り(S2003)、蒸着源371の各ノズル373からの放出量のピーク値の平均を求める(S2004)。次に、各ノズル373からの放出量の平均値に基づいて基準値を設定し(S2005)、各ノズル373からの放出量を基準値と平均値を比較して差が予め設定した許容値を超えたノズルの有無をチェックし(S2006)、差が全て許容値以下の場合は正常と判断して(S2007)、操作を終了する。
【0100】
一方、差が許容値以上のノズルが有る場合には、S2002からS2006までのステップを何回繰り返したかを判断し(S2008)、繰り返し数が予め設定したn回以下の場合にはS2002のステップに戻りS2006までのステップを実行する。もし、S2002からS2006までのステップを繰返した回数がn回に達しても差が許容値以上のノズルが有る場合にはノズル詰まりと判定し(S2009)、処理室301内にある基板61を排除して処理室301のゲート弁310を閉じて基板受入禁止にし(S2010),アラームを発生させて(S2011)、終了する。
以上で示した蒸発源371の長手方向の気化した蒸着材料371Zの放出レートの分布の測定データは基板61を1枚成膜する毎において、その着工前又は後にデータを蓄積することが可能である。このため、不良発生時に原因工程の特定を行うための品質管理データとしても活用できる。
【0101】
上記の実施例では、蒸発源371のノズル373から発生するガス流れ375が基板61に到達しない退避位置Wに蒸発源371を移動させて、蒸発源371の長手方向の気化した蒸着材料の放出レートの分布を計測していた。しかし、蒸発源371を退避位置Wに移動させなくても、基板61と蒸発源371の間に図5に示したシャッタと同等な開閉可能な手段を設けて、基板61への蒸着材料のガスの流れ375の到達を阻止すれば同じ効果が得られる。
次に、実施例3において膜厚モニタ320A及び320Bをモニタしてその寿命を予測しながら基板61への蒸着を順次繰返して実行する操作の手順について、図21を用いて説明する。
先ず、基板61への蒸着を開始する前の準備作業として。以下を実施する。
最初に、蒸発源371と連動する膜厚モニタ320Aで蒸発源371の各ノズルから放出される気化した蒸着材料の放出レートを測定する(S2101)。次に、蒸発源371を所定の速度で駆動して蒸着によりサンプル基板上に薄膜を形成する(S2102)。
【0102】
次に、サンプル基板上に形成された薄膜を計測して膜厚の平均値を求める(S2103)。S1201で測定した蒸着材料の放出レートとS2103で求めた膜厚の平均値に基づいて、(数1)を用いて膜厚モニタ320Aの補正係数αを算出し(S2104)、この算出したαの値を用いて膜厚モニタ320Aを校正し(S2105)、蒸発源371を退避位置に移動させる(S2106)。
【0103】
【数1】

次に、退避位置において膜厚モニタ320Bで蒸発源371上をスキャンさせて各ノズルからの気化した蒸着材料の放出量を検出し(S2107)、各ノズルからの気化した蒸着材料の放出量のピーク値の平均値を算出する(S2108)。次に、算出した各ノズルからの気化した蒸着材料の放出量のピーク値の平均値と校正した膜厚モニタ320Aの蒸着材料の放出レートとを用いて、膜厚モニタ320Aを基準とした補正係数βを(数2)を用いて算出し(S2109)、この算出した補正係数ベータを用いて、膜厚モニタ320Bを校正する(S2110)。
【0104】
【数2】

以上で、基板61への蒸着を開始する前の準備作業を終了する。
【0105】
次に、実際の基板61への蒸着を開始する。
基板61への蒸着中又は蒸着の合間に膜厚のモニタを行う膜厚モニタ320A及び320Bの水晶振動子326の検出面に蒸着材料が堆積すると、水晶振動子326の水晶発振周波数が低下する。膜厚モニタ320A及び320Bでは単位時間当たりの水晶発信周波数の変化を成膜レートに変換するものであり、析出した膜厚と水晶発信周波数の変化が線形的に変化する範囲で使用する。そこで、この線形的に変化する範囲の下限を超える前に膜厚モニタ320A及び320Bの寿命時期を予測して寿命時期を迎える前に膜厚モニタ320A又は320Bを交換することが、膜厚不良品を出さず、且つスループットを落とさずに生産を続ける上で重要になる。
【0106】
そこで、基板61への蒸着を開始した後は、膜厚モニタ320A及び320Bの水晶発信周波数を検出してその周波数から膜厚モニタ320A及び320Bの寿命を予測し(S2121)、寿命到達が間近かどうかを判断し(S2122)、膜厚モニタ320A及び320Bの何れも未だ十分に寿命が有る場合には.S2121で膜厚モニタ320A及び320Bの水晶発信周波数を検出しながら蒸着を繰返す。
【0107】
一方、寿命到達が間近かと判断したときには、膜厚モニタ320A及び320Bの両方が同時に寿命到達が間近かになったのかそれともどちらか一方が寿命到達が間近かになったのかを判断し(S2123)、膜厚モニタ320A及び320Bの両方が同時に寿命到達が間近かになったと判断した場合には、先ず膜厚モニタ320Bの直前の検出値を記憶しておき(S2131)、膜厚モニタ320Aの水晶振動子326を交換する(S2132)。
【0108】
つぎに、この水晶振動子326を交換した膜厚モニタ320Aで蒸発源371の各ノズルから放出される気化した蒸着材料の放出レートを測定し(S2133)、膜厚モニタ320Aの補正係数αの新たな値を下記の(数3)により算出し(S2134)、膜厚モニタ320Aを校正する(S2135)。
【0109】
【数3】

つぎに、この校正した膜厚モニタ320Aを用いてS2122に戻って基板61への蒸着を行い、膜厚モニタ320A及び320Bの水晶発信周波数を検出してその周波数から再び膜厚モニタ320A及び320Bの寿命を予測する。その結果、S2123で一方の膜厚モニタの寿命到達が間近かになったと判断した場合には、何れの膜厚モニタであるかを判断して(S2141)、膜厚モニタ320Aであると判断した場合には前述したS2131からS2135までのステップを実行する。
【0110】
一方、膜厚モニタ320Bの寿命到達が間近かになったと判断した場合には、膜厚モニタ320Aの直前の検出値を記憶しておき(S2142)、膜厚モニタ320Bの水晶振動子326を交換する(S2143)。つぎに、この水晶振動子326を交換した膜厚モニタ320Bで蒸発源371の各ノズルから放出される気化した蒸着材料の放出レートを測定し(S2144)、蒸発源371の各ノズルごとの放出量検出のピーク値の平均値を計算し(S2145)、膜厚モニタAを基準とした膜厚モニタ320Bの補正係数βの新たな値を下記の(数4)により算出し(S2146)、膜厚モニタ320Bを校正する(S2147)。
【0111】
【数4】

つぎに、この校正した膜厚モニタ320Bを用いてS2122に戻って基板61への蒸着を行い、膜厚モニタ320A及び320Bの水晶発信周波数を検出してその周波数から再び膜厚モニタ320A及び320Bの寿命を予測することを基板61の処理を繰返しながら実行する。
【0112】
図15に示した構成において、蒸発源71371に固定した第一の膜厚モニタ320Aと蒸発源371のノズル373の長手方向又は配列方向の気化した蒸着材料371Zの放出レートの分布を測定する第二の膜厚モニタ320Bとの間で、蒸発源371が稼働中に従来よりも高精度に自動校正する例を示す。
【0113】
真空蒸着装置を長期間連続稼働させる場合、図15に示すように、第一と第二の膜厚モニタ320A,Bの測定では水晶振動子326を用いて行う。各膜厚モニタ320A,320Bは水晶振動子326を複数持つ。複数の水晶振動子326A−1〜3及び326B1〜3はそれぞれターレット329A又はBに固定される。水晶振動子326A−1〜3及び326B1〜3は膜厚モニタ320A,320Bと測定位置で電気的に接続されて水晶振動子326A−1〜3及び326B1〜326の発信周波数が測定される。
【0114】
水晶振動子326A−1〜3及び326B1〜3の検出面に蒸着材料が堆積すると水晶発振周波数が低下して行く。膜厚モニタ320A及び320Bでは単位時間当たりの水晶発信周波数の変化を成膜レートに変換するものである。膜厚モニタ320A,320Bでは、析出した膜厚と水晶発信周波数の変化が線形的に変化する範囲で使用するため、この範囲の下限付近でターレットを切り替えて他の水晶振動子326A−1〜3及び326B1〜3をセットする。
【0115】
一般的に膜厚モニタの構成では基板に膜付けを行い、膜厚計測を行った結果に基づいて行われている。水晶振動子326A−1〜3及び326B1〜3はその線形性にわずかながらも個体差を持つ。このため、従来は、精密に膜厚制御する場合において、すべての水晶振動子326A−1〜3及び326B1〜3に対して基板に成膜して校正をかけなければならず、段取りに時間を要した。
【0116】
本実施例では、少なくとも蒸着開始の1回だけは、基板661へ蒸着しての膜厚の測定データを用いた膜厚モニタ320A, 320Bの校正が必要であるが、それ以降連続稼働している時には、基板61への膜付けを行わずに校正をかけることが可能である。
【0117】
まず、蒸発源371を成膜するための温度設定にする。その後、所定のスキャン速度で蒸発源371をスキャンし、基板61に成膜処理を施す。その時の蒸発源371と連動して動く第一の膜厚モニタ320Aの蒸発レートを記録すると共に、基板61に付着した膜厚を計測する。そして第一の膜厚モニタの蒸発レート測定値と実際に基板に付着した膜厚の比が所定の基準値とずれを生じる場合には、補正係数(ツーリングファクタ)を掛けて計測した蒸発レートの値を校正する。なお、スキャン速度を変更する場合には、蒸発レートに対して膜厚とスキャン速度の積との比からツーリングファクタを求めても良い。
【0118】
次に、蒸発源371のノズルの長手方向又は配列方向の気化した蒸着材料371Zの放出レートの分布を読み取る第二の膜厚モニタ320Bで蒸発源371をスキャンすることにより、気化した蒸着材料371Zの放出レートの平均値を求める。そして、校正の済んだ第一の膜厚モニタ320Aとの比を求める。両者にずれが生じている場合は、補正係数を求め、所定の値になるように合わせるようにする。
【0119】
上記2つの操作では第二の膜厚モニタ320Bを先に校正し、第二の膜厚モニタ320Bを基準に第一の膜厚モニタ320Aを校正しても構わない。
【0120】
連続稼働中では、第一あるいは第二の膜厚モニタ320A, 320Bにおいてどちらか一方の水晶振動子326A−1〜3及び326B1〜3の使用限度に近づいた場合に、使用限度に近づいた膜厚モニタ320 A,Bの水晶振動子326A−1〜3及び326B1〜3を切り替え、もう一方膜厚モニタ320A, 320Bの切り替え直前の測定結果を基準に校正を掛けることで、生産を止めずに、短時間かつ高精度な校正が可能になる。
【0121】
もし、第一あるいは第二の膜厚モニタ320A, 320Bが同時に使用限度に近づいた場合には、例えば、水晶振動子326A−1〜3及び326B1〜3への膜が早く堆積する第一の膜厚モニタの水晶振動子326A−1〜3を切り替え、校正が済んでから第二の膜厚モニタの水晶振動子326B−1〜3を切り替えて校正を掛ければよい。
【0122】
本実施例では有機EL表示装置の製造工程における蒸着プロセスへの本発明の適用例を示した。本実施例によれば、有機膜のみならず金属膜の蒸着プロセスでも同様な効果を示す。また、有機EL表示装置以外にも大面積基板に対する蒸着プロセスを用いる有機EL照明装置の製造工程でも同様な効果を得られる。
【0123】
また、上記した実施例では、真空蒸着により有機蒸着膜を基板上に形成する装置の例を説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、有機膜以外の蒸着薄膜、例えば金属薄膜や、無機材料系の薄膜の形成にも適用できる。
【実施例4】
【0124】
実施例3では処理室301aに運び込まれる基板61が1枚の場合を例に挙げて説明した。ここでは図22に示すように、処理室401内に基板62を水平方向に並べて2枚置く、2つの成膜ポジションR,Lを持つ一実施形態を以下に示す。さらに図23では、処理室401と搬送ロボット405の詳細を示す。本実施例における処理室401の構成は、実施例3で説明した図13及び図15で説明した構成と基本的には同じであるが、一つの処理室401の内部に二つの成膜ポジションRとLとを設け、その間を蒸発源471が移動する点が相違する。真空内での搬送ロボット405は通常アームの伸縮、旋回、上下の3つの動作を行うものであり、例えば一つの処理室401a内に平行に並べた成膜ポジションRとLを設ける場合、基板62の向きを搬送ロボット405の伸縮方向に対して基板62を傾けないと2つの基板62は平行して並ばない。図22及び23に示すように、処理室401aにおいて2枚の基板を並列に並ばせるのに、受渡室402aで搬送ロボット405が基板62を受け取る前に所定量基板62を傾け、ハンド452上で基板62を受け取る時に搬送ロボット405のアーム451の伸縮方向に対して傾くように保持させ、処理室401aに基板62をおいた時に、2つの基板62が平行に並ぶようにする。404a〜cは、受渡室である。
【0125】
図22及び23に示した例では、処理室401aの第一の成膜ポジションRにおいて、一方の基板62に対して蒸発源471をスキャンさせて所定の膜厚の蒸着材料の膜になるように成膜する。同時に処理室401aの第二の成膜ポジションLでは、搬送ロボット405により処理済の基板62を搬出し、未処理の基板62を搬入、基板62とシャドウマスク481との位置合わせを行い、基板62をシャドウマスク481とアライメントして重ね合わせた状態で待機する。
【0126】
蒸発源471の構成は、第3の実施例で図15を用いて説明したものと同じ構造を有している。
【0127】
第一の成膜ポジションRでの成膜が完了したら、蒸発源471を退避位置Wに移動させ、基板62又はシャドウマスク481に蒸着材料のガスの流れ475が直接当たらないようにする。そして、蒸発源471は成膜ポジションRから成膜ポジションLに移動する。この時の退避位置Wでの蒸発源471の移動手段の詳細を図24に示す。2つの成膜ポジションR,Lがスキャン方向と平行した位置関係である場合は、蒸発源退避位置Wにおいて、蒸発源の長手方向(スキャン方向と直角方向)に蒸発源471を移動させる。
【0128】
蒸発源471は、退避位置Wに到達するとリニアガイド489とボールねじ492P及び移動ブロック491で構成される移動機構とガイドピン490で結合する。この状態で処理室401の外部に設置したモータ492Mで真空回転導入機構492Sを介してボールねじ492を回転させることにより移動ブロック491とガイドピン490と繋合している蒸発源471を長手方向に成膜ポジションRから成膜ポジションLに移動させることにより、成膜ポジションRに設けた蒸発源471をスキャンさせる蒸発源ベース478Aから成膜ポジションLに設けた蒸発源ベース478Bに蒸発源471をガイド溝479に沿ってスライドさせ、載せ替える。
【0129】
この蒸発源471の移動機構は一例であり、同様な効果が得られればどのような構造でも構わない。
【0130】
このようにして、基板の成膜を2つの成膜ポジションで交互に処理することで、無駄時間を排除でき、蒸発源の稼働率が高まり、高価な蒸着材料の使用効率が高くなる。特に成膜時間が基板の搬入・出、基板とマスクのアライメントに掛かる時間よりも長い場合は無駄時間を蒸発源の移動時間のみに短縮可能となる。
【0131】
上記のように蒸発源471が移動する場合には、蒸発源471のノズルの長手方向又は配列方向の気化した蒸着材料の放出レートの分布を測定する第二の膜厚モニタ420Bを蒸発源471の成膜ポジションRから成膜ポジションLへの移動経路上に設けることにより、蒸発源のノズルの長手方向又は配列方向の気化した蒸着材料の放出レートの分布を測定可能である。この場合第二の膜厚モニタ420Bは2つの成膜ポジションRとLの中間付近の処理室410側に固定すればよい。このようにすれば、実施例3と同様に蒸発源471のノズル473の長手方向又は配列方向の気化した蒸着材料471Zの放出レートの分布を測定することが可能となる。
【0132】
次に、実施例4において蒸着開始前に行う蒸着レート確認の処理手順を図27を用いて説明する。
【0133】
先ず蒸着源471を退避位置へ移動させる(S2701).次に、退避位置で第2の膜厚モニタ420Bと対向する位置で蒸着源471をノズルが配列された長手方向に一定速度で移動させて、各ノズルからの気化した蒸着材料の放出量を検出する(S2702)。次に、制御部450において、膜厚モニタ420Bの移動時間と検出値のピーク値との関係から、蒸着源471のノズル473位置と測定値とのマッチングを取り(S2703)、蒸着源471の各加熱制御ブロック単位で各ノズル473からの放出量のピーク値の平均を求める(S2704)。次に、制御用熱伝対を取り付けた加熱制御ブロックの各ノズル473からの放出量の平均値を基準として、各加熱ブロックの各ノズル473からの放出量の平均値を比較して差を求め(S2705)、差が予め設定した許容値を超えて放出量が大きい加熱ブロックの有無をチェックし(S2706)、差が許容値を超えて放出量が大きい加熱ブロックが有った場合にはその加熱ブロックのヒータ電力を低減させて(S2707)再びS2702のステップから繰返す。
【0134】
一方、差が許容量を超えて大きい加熱ブロックはないと判断された場合には、次に差が許容量を超えて小さい加熱ブロックの有無をチェックし(S2708)、差が許容量を超えて小さいと判定された加熱ブロックが有った場合には、その加熱ブロックのヒータ電力を増加させて(S2709)再びS2702からのステップを繰返す。全ての加熱ブロックについて基準値との差が許容範囲内であると判定された場合には正常と判定し(S2710)、操作を終了する。
【0135】
なお、以上の例では2つの成膜ポジションとスキャン方向が並行である場合について示したが、図25に示すように2つの成膜ポジションが蒸発源471のスキャン方向(X方法)と同一方向に並んでいる場合は、成膜ポジションRとLの間に蒸発源71471の退避位置Wを設ける。この場合、図26に示すように第二の膜厚モニタ420Bの側に真空回転導入機構429Sを介してモータ424Mにより駆動されるボールねじ424Pと繋合している移動機構425を設け、この移動機構425で支持されたアーム426で膜厚モニタ420Bを保持する構成とし、モータ424Mでボールねじ424Pを駆動して膜厚モニタ420Bを待機位置Wで停止している蒸発源471に沿って移動させることにより、蒸発源471のノズル473各部の蒸発レートをモニタリングできる。図25及び26において、図23で説明したものと同じ部品については部品番号を共通にして、その説明を省略する。
【0136】
本実施例では基板を2枚並行処理する例を示したが、基板搬入・出や基板とマスクの位置合わせが、成膜時間よりも長い場合、3枚以上の並列処理にしても良い。この場合は、各成膜ポジションの間に第二の膜厚モニタ420Bを設けても良い。また、蒸発源471と一緒に移動し、常に定点観測する膜厚モニタ420Aを含め、複数の膜厚モニタ420A,420Bを用いると、それぞれの膜厚モニタ間の校正を掛けて、測定結果を統一する必要がある。これについては、蒸発源471の退避位置Wに設けた膜厚モニタ420A,420Bのうちどれかひとつを基準にして、校正を掛ければ良い。
【0137】
ここで求められた気化した蒸着材料の放出レートの分布を実施例1と同様に、ヒータへの供給電力を調整して蒸発源471のノズル473の長手方向又は配列方向の気化した蒸着材料471Zの放出レートの分布が低減するように制御したり、ノズル詰りを観測するなどの判断材料や品質管理に活用できる。
【符号の説明】
【0138】
1au.1ad,1bu,1bd,1cu,1cd,1du,1dd・・・真空蒸着チャンバ 2a〜d・・・搬送チャンバ 3・・・ロードクラスタ 4a〜e・・・受渡室 5R,5a〜d・・・搬送ロボット 6・・・基板 20、220・・・膜厚モニタ 21・・・水平方向ガイド 24・・・駆動部 50,250・・・制御部 71・・・蒸発源部 71a〜n・・・蒸発源 72・・・上下駆動手段 73a〜n・・・蒸発源のノズル 74,75、274R,274L、275R、275L・・・シャッタ 76・・・ガイド軸 81・・・シャドウマスク 82・・・基板保持手段 275・・・レール 276・・・左右駆動手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空排気されたチャンバ内において、基板に加熱により気化された蒸着材料を蒸着する蒸着装置であって、
基板を保持する基板保持手段と、
蒸着材料を気化させてノズルから放出する一方向に長い形状を有する蒸発源と、
前記蒸発源の長い一方向と垂直な方向に前記蒸発源又は前記基板を保持する基板保持手段の少なくとも一方を移動させる第1の移動手段と、
前記蒸発源からの前記蒸着材料の放出レートを検出する検出手段と、
前記蒸発源又は前記検出手段の少なくとも一方を前記蒸発源の長い一方向(長手方向)と平行に移動させる第2の移動手段と、
前記基板保持手段と前記蒸発源と前記第1の移動手段と前記検出手段と前記第2の移動手段とを制御する制御手段とを備え、
該制御手段で前記第2の移動手段を制御して前記検出手段又は前記蒸発源の少なくとも一方を移動させることにより前記蒸発源の放出レートの前記長手方向の分布を計測することを特徴とする真空蒸着装置。
【請求項2】
前記蒸発源は、一方向に長い形状をもって複数の加熱手段を有することを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記基板保持手段又は前記蒸発源の少なくともどちらか一方を制御して、前記検出手段で前記蒸発源の放出レートの前記長い一方向の分布の計測を行うときに、前記蒸発源のノズルから放出された蒸着材料が前記基板保持手段に保持された基板に到達しない位置に前記基板保持手段と前記蒸発源とを相対的に移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の真空蒸着装置
【請求項4】
前記基板保持手段と前記蒸発源の間に前記蒸発源と相対的に移動可能に設けられたシャッタ若しくは遮蔽板手段を更に備え、該シャッタ若しくは遮蔽板手段は、前記検出手段が前記蒸発源の放出レートの前記長手方向の分布を少なくとも計測する時に前記蒸発源のノズルの前面又は側方を覆うように設置されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の真空蒸着装置。
【請求項5】
前記検出手段の検出部が水晶振動子であり、当該検出部の周辺に筒状又は板状の遮蔽板を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の真空蒸着装置。
【請求項6】
前記基板保持手段は、前記被処理基板を垂直に立てて保持し、前記基板保持手段または前記蒸発源の少なくともどちらか一方が鉛直方向又は鉛直方向に対して直角方向に走査することで基板上に成膜を施すことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の真空蒸着装置。
【請求項7】
内部を排気して真空状態に維持した真空槽内において被処理基板の表面に蒸着により薄膜を形成する真空蒸着部を有する真空蒸着装置であって、
線上に配置した複数のノズルを介して加熱により気化させた蒸着材料を前記真空槽内に放出させる蒸発源と、
前記処理基板を保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段で保持された被処理基板に沿って前記蒸発源を前記線上に配置した複数のノズルの配列方向に対して直角な方向に相対的に走査させる駆動手段と、
前記蒸発源が有する前記ノズルにおいて、1つ又は隣接する複数のノズルをグループとして、前記ノズルのグループそれぞれから放出される前記蒸着材料の個別の放出レートを検出する検出手段と、
を備えたことを特徴とする真空蒸着装置。
【請求項8】
前記真空蒸着部は、前記基板保持手段と前記蒸発源駆動手段とを二組内部に備え、更に、前記蒸発源を前記二組の蒸発源駆動手段の間を移送する蒸発源移送手段を備え、前記検出手段を前記蒸発源移送手段で前記蒸発源を前記二組の蒸発源駆動手段の間を移送する移送系路上に配置したことを特徴とする請求項7記載の真空蒸着装置。
【請求項9】
前記真空に維持された雰囲気中で前記被処理基板を前記真空蒸着部に接続する搬送室を経由して前記複数の真空蒸着部間で受け渡しする基板受渡部を前記搬送室の内部に設置し、前記搬送室と前記複数の真空蒸着部との間にはそれぞれゲート弁が配置されていることを特徴とする請求項7記載の真空蒸着装置。
【請求項10】
真空排気手段を備えた真空槽と、
線上に配置した複数のノズルを介して前記真空槽の内部に加熱により気化させた前記蒸着材料を放出させる蒸発源と、
被処理基板を保持する前記基板保持手段と、
前記基板保持手段で保持された被処理基板に沿って前記蒸発源を前記線上に配置した複数のノズルの配列方向に対して直角な方向に走査させる蒸発源駆動手段と、
前記蒸発源が有する前記ノズルにおいて、1つ又は隣接する複数のノズルをグループとして、前記ノズルのグループそれぞれから放出される前記蒸着材料の個別の放出レートを検出する検出手段と、
を備えた事を特徴とする真空蒸着装置。
【請求項11】
前記蒸発源の線上に配置した複数のノズルに沿って前記蒸発源と前記検出手段のうち少なくとも一方を相対的に移動させることにより前記蒸発源の前記ノズルのグループ毎に前記材料の放出レートを検出する事を特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載の真空蒸着装置。
【請求項12】
気化した前記蒸着材料の放出レートの前記検出手段により、前記ノズルのグループのうちの何れかからの前記蒸着材料の放出の状態が異常である事を検知した時に、異常に関する情報を出力する異常情報出力手段を備えることを特徴とする請求項7乃至11の何れかに記載の真空蒸着装置。
【請求項13】
前記モニタ手段でモニタした前記ノズルのグループ毎の前記蒸着材料の放出レートの情報を用いて前記蒸発源を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項7乃至12の何れかに記載の真空蒸着装置。
【請求項14】
前記蒸発源は個別に制御可能な複数の加熱部を備え、前記検出手段で検出した前記ノズルのグループ毎の放出レートに応じて前記複数の加熱部を個別に制御することを特徴とする請求項7乃至13の何れかに記載の真空蒸着装置。
【請求項15】
内部を排気して真空状態に維持した真空槽に接続した第1の真空蒸着部において、表面をシャドウマスクで覆った被処理基板の表面に蒸着により薄膜を形成し、該薄膜を形成した基板を真空に維持された雰囲気中で前記第1の真空蒸着部から第2の真空蒸着部に受け渡して該第2の真空蒸着部で処理する真空蒸着方法であって、
前記第1の真空蒸着部において、
前記被処理基板に蒸着膜を形成する前に前記蒸発源を待機位置に位置している状態で、前記蒸発源の線上に配置した複数のノズルと第2のモニタ手段とを相対的に走査して前記蒸発源の線上に配置した複数のノズルの個々のノズルからの前記蒸着材料の放出状態をモニタし、
前記処理基板を前記シャドウマスクで覆った状態で、蒸発源の線上に配置した複数のノズルを介して蒸着材料を前記真空槽内に放出させながら該蒸発源を前記被処理基板に沿って前記線上に配置した複数のノズルの配列方向に対して直角な方向に相対的に移動させることにより、前記シャドウマスクを介して被処理基板に蒸着膜を形成し、
該被処理基板に蒸着膜を形成しているときに前記蒸発源から放出される前記蒸着材料の放出状態を第1のモニタ手段でモニタすることを特徴とする真空蒸着方法。
【請求項16】
前記蒸発源の複数のノズルの個々のノズルからの前記蒸着材料の放出状態をモニタすることにより、前記個々のノズル、又は、複数のノズルごとの前記蒸着材料の放出状態を判定することを特徴とする請求項15記載の真空蒸着方法。
【請求項17】
前記第1の真空蒸着部は、前記基板を保持する手段と前記蒸発源を前記基板に沿って相対的に駆動する手段とを二組備え、前記蒸発源を前記二組の蒸発源を相対的に駆動する手段の間を移送する移送系路上で前記蒸発源の線上に配置した複数のノズルの個々のノズルからの前記蒸着材料の放出レートを検出することを特徴とする請求項15又は16に記載の真空蒸着方法。
【請求項18】
前記蒸着材料の放出レートを検出して前記蒸着材料の放出の状態が異常である事を検知した時に、異常に関する情報を出力する異常情報出力手段を備えることを特徴とする請求項15乃至17の何れかに記載の真空蒸着方法。
【請求項19】
前記検出した前記複数のノズル毎の前記蒸着材料の放出のレートの情報を用いて前記蒸発源を制御することを特徴とする請求項15乃至18の何れかに記載の真空蒸着方法。
【請求項20】
前記蒸発源は個別に制御可能な複数の加熱部を備え、前記検出手段で検出した前記ノズルの放出の状態に応じて前記複数の加熱部を個別に制御することを特徴とする請求項19に記載の真空蒸着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−42868(P2011−42868A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124652(P2010−124652)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】