説明

真空装置用部品及びその製造方法

【課題】半導体等のプラズマ処理装置や成膜装置に用いられる真空装置用の部品では、その使用中に部品自体の剥離、部品表面に付着する膜状物質の剥離が発生し、部品の短寿命化及び頻繁な部品交換による生産性の低下という問題があった。
【解決手段】 実質的にTiおよびTiの窒化物(TiN)から構成される溶射膜を形成した真空装置用部品であって、該溶射膜のTi(101)とTiN(112)(X=0.61)のX線回折強度の比(I=ITiN/ITi)が0.05〜0.3の範囲にあることを特徴とする真空装置用部品においては、堆積する膜状物質の付着性が従来よりも更に優れ膜状物質の付着性が高く、しかも異常粒成長による粒子の脱落がないため、長時間の連続使用が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体等の製造における成膜装置、プラズマ処理装置(プラズマエッチング装置)等の真空装置において用いられる真空装置用部品に係わるものである。本発明の真空装置用部品は、成膜、プラズマ処理の際に装置内の部品に付着する膜状物質の剥離による発塵を防止するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体等の製品基板に対して、成膜処理、プラズマ処理を実施すると、当該処理に使用した材料等に起因するパーティクルが、その装置内部に設置された部品表面に付着・堆積し、膜状物質を形成する。このような状態で成膜処理、プラズマ処理を連続で行うと、付着した膜状物質が厚くなり、それらがやがて剥離して装置内の発塵となり、装置内及び製品基板を汚染することが知られている。
【0003】
この膜状物質の剥離による発塵を低減する手法としては、従来から複数の報告があり、例えば、真空装置のチャンバ内における内部露呈面にプラズマ溶射膜を形成すること(例えば、特許文献1参照)、真空装置の成膜室内に配置された部品の表面部の素材として、前記表面部に堆積する膜状物質の熱膨張率と同等または近似した熱膨張率を有する素材を用いること(例えば、特許文献2参照)や、真空装置の構成部品として、その表面に、JISB0601−1994で規定する局部山頂の平均間隔Sが50〜150μmの範囲、最大谷深さRvおよび最大山高さRpがそれぞれ20〜70μmの範囲である表面粗さを有する溶射膜を形成すること等が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開昭60−120515号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平03−87358号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2001−247957号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
真空装置に用いられる部品においては、膜状物質の付着性を更に向上させて、成膜処理又はプラズマ処理をより長時間連続的に実施可能とする技術を、市場から常に要求されてきた。
【0006】
とりわけTiN、TaN、WN等の窒化膜の成膜においては、半導体製品における要求性能が高まるごとに、細かい溝にスパッタ膜を形成することが要求されるため、その解決策としてスパッタ原子のイオン化率を高める工夫がされてきた。その結果、窒化膜の応力も大きくなってしまい、膜状物質がより剥離しやすくなってきている。また、成膜時間の増加と共に、真空装置部品表面に堆積する膜厚も増加するが、真空装置部品表面に形成された溶射膜上に、窒化膜の異常成長粒子が生成し、その異常成長粒子が溶射膜から脱落してパーティクルが発生し、真空装置部品の寿命低下につながることがわかってきた。
【0007】
更に、Ta/TaN等のメタルのバリア材成膜工程において、膜状物質の付着力効果を上げるためにAlやTiを溶射した部材がシールド用部材として使用され、特に、シールド部材の温度が高くなる場合には耐熱性に優れたTi溶射を施したシールド部材が広く使用されている。
【0008】
Tiを大気中でシールドに溶射する場合、Ti材料が溶射中に容易に窒化してTiNとなりやすい。TiNはセラミックとしての性質を有するようになるため、金属Tiより硬くなり、膜状物質の応力を緩和しにくくなるため、シールド材料として好ましくはない。このため、Tiの窒化反応を防止するために、一般的には溶射時の雰囲気を不活性の減圧状態にした減圧プラズマ溶射やコールドスプレー法が用いられる。しかしながら、減圧プラズマ溶射では、溶射膜の窒化を抑制することができるが、装置が大掛かりとなるためコスト高となる。また、コールドスプレー法では、溶射粉末の温度が上がりにくく、さらにTiの融点が高いため粉末が溶融しにくくなり、密着性のよい膜が得られにくい。
【0009】
そこで本発明は、半導体等の製品基板の成膜処理装置やプラズマ処理装置に用いる真空装置の部品において、膜状物質の付着性が高く、しかも異常成長による粒子の脱落がなく、長時間の連続使用が可能な優れた部品を提供するものであり、又、従来のシールド部材の寿命低下問題を解決し、Tiの窒化反応を抑制した溶射膜をより簡便に製造可能となる真空装置用部品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上述のような現状に鑑み、鋭意検討を行った結果、実質的にTiおよびTiの窒化物(TiN)から構成される溶射膜を基材上に形成した真空装置用部品であって、該溶射膜の算術平均粗さRaが15〜30μmの範囲にあり、かつ該溶射膜におけるTi(101)とTiN(112)(X=0.61)のX線回折強度の比I(ITiN/ITi)が0.05〜0.3の範囲にあることを特徴とする真空装置用部品においては、堆積する膜状物質の付着性が従来よりも更に優れることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明は、実質的にTiおよびTiの窒化物(TiN)から構成される溶射膜を基材上に形成した真空装置用部品であって、該溶射膜の算術平均粗さRaが15〜30μmの範囲にあり、かつ該溶射膜におけるTi(101)とTiNx(112)(X=0.61)とのX線回折強度の比I(ITiN/ITi)が0.05〜0.3の範囲にあることを特徴とする真空装置用部品に関するものである。
【0013】
本発明における、「実質的にTiおよびTiの窒化物(TiN)から構成される溶射膜」との意味は、その溶射時に、Ti粉末が基材上に堆積したもの、およびTiの一部が大気中の窒素と窒化反応を起こしてTiNの形で堆積したもので、溶射膜の構造がTiとTiNから構成されており、Ti粉末中の不可避不純物を含有するものをいう。
【0014】
本発明における溶射膜において、Tiの(101)面は、Cu−Kα線を用いたX線回折測定において、2θ:40.2度の位置に観測されるものであり、TiNx(x=0.61)の(112)面は、2θ:36.8度の位置に観測されるものである。そして、これらのX線回折強度の比I(ITiN/ITi)が0.05〜0.3にあるものである。X線回折強度の比Iが0.3を超える場合、溶射膜が硬くなり、堆積した膜状物質の応力を緩和しにくくなるので、堆積膜が剥がれ易くなる。一方、Iが0.05より小さくなる場合、溶射膜はほぼ金属の性質を有するので溶射膜としては好ましいが、大気圧のプラズマ溶射では、Tiの窒化度を小さくすることが現実的に困難である。経済的な溶射条件を考慮した場合、より好ましくは0.1〜0.2の範囲である。
【0015】
なお、本発明の溶射膜において、チタン窒化物は種々の組成を有していると考えられるが、溶射膜の規定にTiN0.61を選択した理由は、TiN0.61の(112)面回折角が表れる位置・その回折強度等との関係で、Ti(101)面のX線回折強度との比Iが再現性よく得られるためである。
【0016】
本発明でいう算術平均粗さRaとは、JISB0601:2001及びJISB0633:2001で規定されるRaのことである。本発明の溶射膜におけるRa値は、15〜30μmにあるものである。Raが15μmより小さい場合、溶射膜上に成長する窒化物の粒子が小さくなり、膜状物質の溶射膜への保持性が低下する。また、Raが30μmより大きい場合、溶射膜上に成長する窒化物の粒子が大きくなりすぎて、その粗大粒子が脱落しパーティクル発生の原因となる。好ましいRaの値としては、18〜25μmである。なお、Raは前記のJISB0601:2001及びJISB0633:2001に基づき、例えば株式会社ミツトヨ製の表面粗さ測定器、商品名「SV−3100」等を使用して測定することができる。
【0017】
本発明における溶射膜は、真空装置用部品の中でもシールド、スパッタリングターゲット等のようなプラズマ処理装置の、少なくとも膜状物質が付着する可能性がある部分に対して、その部分を被覆するように形成すればよい。膜厚としては、特に限定されないが、50〜1000μmであることが好ましく、100〜400μmであることがさらに好ましい。
【0018】
本発明における基材としては、一般ガラスや石英ガラス、アルミニウム、ステンレス、チタン等の金属、アルミナ、ジルコニア、ムライト等のセラミック等、いかなる物でも用いることができる。溶射膜と基材は同じ材質であっても良いが、それぞれ異なる材質でも良い。溶射された粉末が基材上によく溶融して、溶射膜が均一に生成しやすくなるように、基材の上に下地層を施してもよい。下地の種類、材質、膜厚については特に限定されないが、例えば、基材と同じ材質の材料をプラズマ溶射法により、溶射条件もしくは溶射粉末を変えて成膜したり、Ni−Cr合金層をスパッタリングや電解めっき等の方法により成膜してもよい。
【0019】
続いて、本発明の真空装置用部品の製造方法の一例につき詳細に説明する。
【0020】
溶射に使用するチタン原料粉末としては、平均粒径(一次粒径)として50〜100μmであることが好ましく、60〜80μmであることがさらに好ましい。さらに、粉末の粒度分布としては、90wt%以上が30〜120μmの範囲に入っていることが好ましく、95wt%以上が40〜100μmの範囲に入っていることがさらに好ましい。なお、チタン粉末の純度は99wt%以上が好ましい。
【0021】
平均粒径が50μmより小さい場合、粉末が容易に窒化しやすくなる傾向にあり、平均粒径が100μmを超える場合には、溶射時に溶射粉末が溶融しにくくなり溶射膜の堆積効率が低下する場合がある。こうした平均粒径及び粒度分布を持つ溶射粉末を使用することにより、Ti溶射膜の窒化反応をより抑制し、効率よく溶射膜を製造することが可能となる。粉末の形状は球形もしくは、限りなく球形に近いことが好ましい。球状粉末を使用することにより、粉末の比表面積が低下するので窒化反応が進行しにくくなる。
【0022】
このような球状粉末としてガスアトマイズ粉末を例示することができる。このガスアトマイズ粉末とは、原料を溶融し、その溶湯を噴霧ガスによって粉砕し、凝固させる方法により得られる粉末であり、ガスアトマイズチタン粉末は既に市販されている。また、粉末の粒度分布測定は、COULTER社製のレーザー式粒度分布測定装置、商品名「COULTER LS」等を用いて測定することができる。
【0023】
溶射の方式としては、大気圧のプラズマ溶射を例示することができる。Ti粉末の窒化反応を防止するために、プラズマガスとして一次ガスがアルゴン、二次ガスがヘリウムの混合ガスを使用することが好ましい。このときプラズマガスの流量は使用する装置によっても異なるが、プラズマ温度の上昇を抑制するために80L/min以上、好ましくは100L/min以上とする。混合ガス中のヘリウムガスの比率としては、トータル流量に対して20〜50%が好ましく、さらに好ましくは30〜40%である。ヘリウムを混合する理由としては、プラズマフレームの速度を高くすることができ、かつTi粉末の窒化反応を抑制できるためである。
【0024】
Ti粉末をプラズマ溶射するときには、基材の温度を100〜200℃となるように制御して溶射することが好ましい。基材温度が200℃を超える場合には、Ti粉末の窒化反応が促進され、また基材の熱による変色が起こる場合がある。基材温度が100℃未満の場合には、基材温度が低いためTi粉末の堆積効率が低下する場合がある。より好ましい基板温度としては120〜180℃の範囲である。基板温度の制御方法は、特に限定されないが、自然冷却、圧縮空気、水冷治具による方法などを例示することができる。また溶射中の基板温度は、基板に熱電対を接触して測定する方法、もしくは非接触での放射温度計による方法などを例示することができる。
【0025】
本発明により得られた真空装置用部品は、溶射膜を形成した後に、更に超純水等を使用した超音波洗浄を行って乾燥しても良い。
【発明の効果】
【0026】
本発明の真空装置用部品は、従来部品に比べて特に窒化物の成膜時に生成する膜状物質の付着性に優れるため、窒化物の成膜装置やプラズマ処理装置に使用した際に、当該膜状物質の剥離に起因する発塵や異常成長粒子に起因するパーティクルによる製品汚染がなく、なおかつ長時間の連続使用が可能である。
【実施例】
【0027】
本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0028】
実施例1
ステンレス製のボウル形状のシールド内面をグレイアルミナのGA#150を用いて、圧力0.5MPaでブラスト後、シールドの内面に、ArとHeの流量比(体積比)を70:30、トータルガス流量を100L/min、プラズマガンとシールド内面との距離を100mm、投入電力を24kWとして、大気圧プラズマ溶射によりチタン溶射膜を形成した。溶射中の基板温度は圧縮空気により150℃に制御した。溶射粉末として、平均粒径が75μm、粉末の98wt%が40〜100μmの範囲にあるガスアトマイズチタン球状粉末(純度:99.7wt%)を用いた。溶射後、超純水で超音波洗浄し、クリーンオーブンで乾燥し、シールドを完成した。
【0029】
X線回折装置により測定した溶射膜のITiN/ITi比は、0.15であり、JISB0601:2001及びJISB0633:2001に基づいて測定したRaは22μmであった。
【0030】
前述した方法により製造したボウル形状のシールドをTaN成膜用のスパッタリング装置に取り付けて使用した。スパッタリング成膜時の基板温度を450℃に制御し、チャンバー圧力は0.1Paとした。使用開始から240時間を経過した後において装置内部を確認したところ、TaN膜状物質の剥離や、窒化物の異常成長粒子は観察されなかった。
【0031】
実施例2
ステンレス製のボウル形状のシールド内面をグレイアルミナのGA#100を用いて、圧力0.5MPaでブラスト後、シールドの内面に、ArとHeの流量比(体積比)を80:20、トータルガス流量を85L/min、プラズマガンとシールド内面との距離を100mm、投入電力を28kWとして、大気圧プラズマ溶射によりチタン溶射膜を形成した。溶射中の基板温度は200℃に制御した。溶射粉末として、平均粒径が65μm、粉末の95wt%が40〜100μmの範囲あるガスアトマイズチタン球状粉末(純度:99.7wt%)を用いた。溶射後、超純水で超音波洗浄し、クリーンオーブンで乾燥し、シールドを完成した。
【0032】
X線回折装置により測定した溶射膜のITiN/ITi比は、0.20であり、JISB0601:2001及びJISB0633:2001に基づいて測定したRaは16μmであった。
【0033】
前述した方法により製造したボウル形状のシールドを、実施例1と同様の装置に取り付け、同様のスパッタリング条件にて使用した。使用開始から200時間を経過した後において装置内部を確認したところ、TaN膜状物質の剥離や、窒化物の異常成長粒子は観察されなかった。
【0034】
実施例3
実施例1において、溶射ガスとしてArとHeの流量比(体積比)を60:40、トータルガス流量を150L/min、投入電力を32kW、溶射粉末として、平均粒径が90μm、粉末の99wt%が40〜100μmの範囲にあるガスアトマイズチタン球状粉末(純度:99.7wt%)を用いること以外は実施例1と同様の条件にて、プラズマ溶射によりチタン溶射膜を形成した。
【0035】
X線回折装置により測定した溶射膜のITiN/ITi比は、0.11であり、JISB0601:2001及びJISB0633:2001に基づいて測定したRaは25μmであった。
【0036】
前述した方法により製造したボウル形状のシールドを、実施例1と同様の装置に取り付け、同様のスパッタリング条件にて使用した。使用開始から280時間を経過した後において装置内部を確認したところ、TaN膜状物質の剥離や、窒化物の異常成長粒子は観察されなかった。
【0037】
比較例1
実施例1において、溶射ガスとしてArとHの流量比を95:5、トータルガス流量を65L/min、投入電力を26kWとすること以外は実施例1と同様の条件にて、プラズマ溶射によりチタン溶射膜を形成した。
【0038】
X線回折装置により測定した溶射膜のITiN/ITi比は、0.34であり、JISB0601:2001及びJISB0633:2001に基づいて測定したRaは13μmであった。
【0039】
前述した方法により製造したボウル形状のシールドをTaN成膜用のスパッタリング装置に取り付けて使用した。スパッタリング成膜時の基板温度を450℃に制御し、チャンバー圧力は0.1Paとした。使用開始から200時間を経過した後において装置内部を確認したところ、TaN膜状物質が剥離していることが観察された。
【0040】
比較例2
実施例1において、溶射粉末として平均粒径が70μmであり、形状が球形を有していない塊状チタン粉末(純度:99.5wt%)を使用すること以外は実施例1と同様の条件にて、プラズマ溶射によりチタン溶射膜を形成した。
【0041】
X線回折装置により測定した溶射膜のITiN/ITi比は、0.4であり、JISB0601:2001及びJISB0633:2001に基づいて測定したRaは14μmであった。
【0042】
前述した方法により製造したボウル形状のシールドをTaN成膜用のスパッタリング装置に取り付けて使用した。スパッタリング成膜時の基板温度を450℃に制御し、チャンバー圧力は0.1Paとした。使用開始から140時間を経過した後において装置内部を確認したところ、TaN膜状物質が剥離していることが観察された。
【0043】
比較例3
ステンレス製のボウル形状のシールド内面をグレイアルミナのGA#150を用いて、圧力0.5MPaでブラスト後、シールドの内面に、ArとHeの流量比を70:30、トータルガス流量を52L/min、プラズマガンとシールド内面との距離を100mm、投入電力を22kWとしてプラズマ溶射によりチタン溶射膜を形成した。溶射中の基板温度は、圧縮空気による冷却を行い180℃に制御した。溶射粉末として、平均粒径が25μmであるガスアトマイズチタン球状粉末(純度:99.7wt%)を用いた。溶射後、超純水で超音波洗浄し、クリーンオーブンで乾燥し、シールドを完成した。
【0044】
X線回折装置により測定した溶射膜のITiN/ITi比は、1.5であり、JISB0601:2001及びJISB0633:2001に基づいて測定したRaは8μmであった。
【0045】
前述した方法により製造したボウル形状のシールドを、実施例1と同様の装置に取り付け、同様のスパッタリング条件にて使用した。使用開始から100時間を経過した後において装置内部を確認したところ、TaN膜状物質が剥離していることが観察された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的にTiおよびTiの窒化物(TiN)から構成される溶射膜を基材上に形成した真空装置用部品であって、該溶射膜の算術平均粗さRaが15〜30μmの範囲にあり、かつ該溶射膜におけるTi(101)とTiN(112)(X=0.61)のX線回折強度の比I(ITiN/ITi)が0.05〜0.3の範囲にあることを特徴とする真空装置用部品。
【請求項2】
平均粒径が50〜100μmの球状Ti粉末を、溶射ガスとしてAr−He混合ガスを使用し、トータルガス流量を80L/min以上で、大気圧中で基材に対してプラズマ溶射することを特徴とする請求項1に記載の真空装置用部品の製造方法。

【公開番号】特開2010−31317(P2010−31317A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194046(P2008−194046)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】