眼への受容体チロシンキナーゼ阻害(RTKi)化合物の送達のための医薬製剤
本発明は、眼新生血管形成および増大した血管透過性に起因する疾患を治療または予防するための、抗血管新生および/または抗血管漏出性を有する貧水溶性薬剤を治療的有効量でならびに共溶媒を適当な量で含む有効な硝子体内用医薬組成物の開発に関する。本発明の組成物は、眼新生血管形成を治療するための硝子体内注射のための眼科用組成物であって、i)0.001%〜30%の量の活性薬剤、およびii)200〜2500の分子量を有するポリエチレングリコール共溶媒を含む、眼科用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本願は、2005年12月23日に出願した米国仮出願番号60/753,713号に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は溶解度の低い化合物を含む独特の組成物およびAMD、DR、糖尿病性黄斑浮腫などの眼の炎症、血管新生および血管漏出により生ずるまたは悪化する病態を治療するために有用な方法、より具体的には眼障害治療に使用するための少なくとも1つの抗血管新生剤、抗炎症剤、または抗血管漏出剤を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連分野の説明)
異常な新生血管形成すなわち血管新生および増大した透過性は、加齢関連黄斑変性症(AMD)、未熟児網膜症(ROP)、虚血性網膜静脈閉塞症および糖尿病性網膜症(DR)を含む多くの眼障害の主原因である。AMDおよびDRは重症の不可逆的視覚喪失の最も一般的な原因に含まれる。網膜静脈閉塞症などのこれらのおよび関連疾患において、中心部視覚喪失は、血管新生、既存血管網からの新血管発生および血管透過性の変化の続発症である。
【0004】
血管新生過程は、既存血管中の静止性内皮細胞の活性化により知られる。正常網膜循環は新生血管刺激に抵抗性であり、網膜血管における内皮細胞増殖は非常に少ししか起こらない。組織低酸素、炎症性細胞浸潤および透過障壁破壊を含む網膜新生血管形成に対する多くの刺激があるように思われるが、全て、サイトカイン類(VEGF、PDGF、FGF、TNF、IGFなど)、インテグリンおよびプロテイナーゼの局所濃度を増大させる結果、新血管の形成を生じさせ、続いてそれが神経網膜の組織化された構造を破壊するか、または内境界膜を通して硝子体中に貫通する。上昇したサイトカインレベルは、内皮細胞密着接合を破壊することもでき、血管漏出および網膜浮腫の増大、ならびに神経網膜の組織化された構造の破壊に至る。VEGFが炎症性細胞浸潤、内皮細胞増殖および血管漏出の主たる媒介物質であると考えられているが、PDGF、FGF、TNF、およびIGFなどの他の増殖因子がこれらの過程に関与している。したがって、増殖因子阻害剤は、眼内への局所送達によりまたは経口投与により、網膜損傷、およびそれに伴う視覚喪失を阻止することに重要な役割を果たすことができる。
【0005】
眼新生血管形成および増大した血管透過性により惹起された疾患に治癒はない。AMDの現在の治療方法は、レーザー光凝固および光線力学的療法(PDT)を含む。眼新生血管形成および増大した血管透過性に対する光凝固の効果は、網膜細胞の熱的破壊によってのみ達成される。PDTは、通常、色素の緩徐な注入とそれに続く非熱的レーザー光の適用を必要とする。治療は、通常、異常血管のその漏出を一時的に停止または減少させる。PDT治療は、最初の1年間に3カ月毎に3から4回繰り返さなければならない可能性がある。PDT治療に伴う可能性のある問題には、頭痛、視覚における不鮮明、鮮明さの減少および間隙、ならびに1〜4%の患者における実質的視力低下が含まれ、多くの患者で部分的回復がある。その上、PDT治療の直後、患者は日焼けを避けるために5日間直射日光を避けなければならない。最近、加齢関連黄斑変性症を有する患者の治療のために、米国において、組換えヒト化IgGモノクローナル抗体フラグメント(ラニビズマブ)が承認された。この薬品は、通常、月に1回硝子体内注射により投与される。
【0006】
眼新生血管形成および増大した血管透過性に関連する障害および他の障害の治療に可能性として有用であると考えられ得る多くの化合物は、水に貧溶性である。貧水溶性化合物は、薬学的に許容される水性媒体に治療的有効濃度で溶解性でない物質である。水溶解度は貧水溶性化合物の製剤開発に重要なパラメーターである。必要とされるものは、化合物の増大した溶解度を提供する一方で、その治療的可能性を維持するのに十分な化合物のバイオアベイラビリティを提供する製剤である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、内皮細胞増殖、血管漏出、炎症および血管新生により惹起された眼疾患の治療のための貧溶性化合物の眼投与のための安全で効果的な製剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、血管新生および増大した血管透過性に起因する眼疾患を治療するための組成物を提供することにより、先行技術のこれらのおよび他の欠点を克服する。本発明の一態様において、全網膜分布を有する硝子体内用組成物が提供される。本発明の組成物は、(a)新生血管形成または眼炎症または血管漏出を制御することができる薬剤、(b)適切な量の適当な共溶媒、(c)界面活性剤、(d)懸濁剤、および(e)緩衝剤を含む。広範な種々の分子ならびに種々の適当な懸濁剤および共溶媒が、本発明の範囲内で使用され得る。共溶媒の量は、局所投与において、製剤の効能に非常に重要な役割を演ずる。
【0009】
他の実施形態において、(a)新生血管形成または眼炎症または血管漏出を制御することができる薬剤、(b)適当な量の共溶媒、(c)張度が約300mOsm/kgになるような等張化剤、(d)緩衝剤、(e)懸濁剤、および(f)界面活性剤を含む、後強膜近傍(PJ)および眼窩周囲(PO)用製剤(PO)が提供される。
【0010】
別の実施形態において、経口投与のための有効な製剤が、(a)新生血管形成または眼炎症または血管漏出を制御することができる適当量の薬剤、(b)懸濁剤、(c)界面活性剤、および(d)共溶媒を使用して調製される。この製剤は、血液−網膜障壁を回避することができて、眼の後方部分に治療的有効濃度の活性薬剤を提供する。
【0011】
さらに他の実施形態において、本発明は、(a)新生血管形成または眼炎症または血管漏出を制御することができる治療的有効量の薬剤、(b)懸濁剤、(c)界面活性剤、および(d)共溶媒を含む、局所眼投与のための製剤を提供する。この製剤は、血液−網膜障壁を回避することができて、眼の後方部分に治療的有効濃度の活性薬剤を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図面は本明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様をさらに示すために含まれる。本発明は、本明細書に提示した具体的な実施形態の詳細な記載と組み合わせてこの図面を参照することにより、よりよく理解することができる。
【0013】
(好適な実施形態の詳細な説明)
上記のように、本発明は、眼血管新生および血管漏出に関連する障害の治療に使用するための抗血管新生または抗炎症または抗血管漏出剤を含む組成物を提供する。本発明の組成物は、そのような眼障害を伴う新生血管形成および血管漏出の予防または抑制に有用である。幾つかの場合に、本発明の組成物は新生血管形成の後退を生じさせる。
【0014】
簡単にいうと、本発明の関係では、活性薬剤は、血管増殖を抑制し、血管透過性を低下させ、および/または炎症を軽減するように作用する、合成のまたは天然に生ずる任意の分子であると理解されるべきである。特に、本発明は、眼新生血管形成または眼血管漏出に関連する障害に苦しむ患者の眼に活性薬剤を送達するために、不溶性または貧溶性の活性薬剤を治療的有効量で含む組成物を提供する。
【0015】
貧水溶性である任意の活性薬剤は本発明の組成物中に含まれてよいということが考えられる。例えば、抗血管新生剤、抗炎症剤または抗血管透過性剤は、本発明の組成物において有用である。
【0016】
好ましい抗血管新生剤には、受容体チロシンキナーゼ阻害剤(RTKi)、特に、本明細書でさらに具体的に記載するものなどの多標的受容体プロファイルを有するもの;血管新生抑制コルチゾン;MMP阻害剤;インテグリン阻害剤;PDGFアンタゴニスト;抗増殖性剤;HIF−1阻害剤;線維芽細胞増殖因子阻害剤;上皮細胞増殖因子阻害剤;TIMP阻害剤;インスリン様増殖因子阻害剤;TNF阻害剤;アンチセンスオリゴヌクレオチド;抗VEGF抗体、VEGFトラップ、NSAID、ステロイド、SiRNAその他、および上述の薬剤の任意のもののプロドラッグが含まれるが、これらに限定されない。本発明における使用のために好ましい抗血管新生剤は、多標的受容体チロシンキナーゼ阻害剤(RTKi)である。最も好ましいのは、表1に列挙したものに実質的に類似する結合プロファイルを有する、AL−39324、N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素などの多標的結合プロファイルを有するRTKi類である。本発明の組成物中における使用を考慮されるさらに加わる多標的受容体チロシンキナーゼ阻害剤が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2004/0235892号に記載されている。本明細書で使用する用語「多標的受容体チロシンキナーゼ阻害剤」は、表1に示した、および参照により本明細書に組み込まれる同時係属の米国特許出願第2006/0189608号に記載されているプロファイルのような、血管新生において重要であることが示されている複数の受容体に選択性を示す受容体結合プロファイルを有する化合物を指す。より具体的に、本発明の組成物中に使用する多標的受容体チロシンキナーゼ阻害剤化合物に対する好ましい結合プロファイルは、KDR(VEGFR2)、Tie−2およびPDGFRである。
【0017】
【表1】
【0018】
本発明の組成物および方法において有用となる他の薬剤は、抗VEGF抗体(すなわちベバシズマブまたはラニビズマブ);VEGFトラップ;表1中の200nM未満のIC50値を有する少なくとも2つのチロシンキナーゼ受容体を標的とするsiRNA分子またはそれらの混合物;グルココルチコイド(すなわち、デキサメタゾン、フルオロメタロン、メドリゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、プレドニゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、リメキソロン、および薬学的に許容されるそれらの塩;プレドニカルベート、デフラザコルト、ハロメタゾン、チキソコルトール、プレドニリデン(21−ジエチルアミノアセテート)、プレドニバル、パラメタゾン、メチルプレドニゾロン、メプレドニゾン、マジプレドン、イソフルプレドン、ハロプレドンアセテート、ハルシノニド、ホルモコルタール、フランドレノリド、フルプレドニゾロン、フルプレドニジンアセテート、フルペロロンアセテート、フルオコルトロン、フルオコルチンブチル、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルニソリド、フルメタゾン、フルドロコルチゾン、フルクロリニド、エノキソロン、ジフルプレドネート、ジフルコルトロン、ジフロラゾンジアセテート、デソキシメタゾン(desoximetasoneまたはdesoxymethasone)、デソニド、デスシノロン、コルチバゾール、コルチコステロン、コルチゾン、クロプレドノール、クロコルトロン、クロベタゾン、クロベタゾール、クロロプレドニゾン、カフェストール、ブデソニド、ベクロメタゾン、アムシノニド、アロプレグナンアセトニド、アルクロメタゾン、21−アセトキシプレグネノロン、トラロニド、ジフロラゾンアセテート、デアシルコルチバゾール、RU−26988、ブデソニド、およびデアシルコルチバゾールオキセタノン);ナフトヒドロキノン抗生物質(すなわちリファマイシン);およびNSAID類(すなわちネパフェナク、アムフェナク)を含む。
【0019】
本明細書中に記載する製剤は、局所的に、経口的に、硝子体内注射により、または後強膜近傍、眼窩周囲および局所的眼経路により送達することができる。本発明の組成物で使用するための好ましい共溶媒には、エチレングリコール、プロピレングリコール、N−メチルピロリジノン、2−ピロリジノン、3−ピロリジノール、1,4−ブタンジオール、ジメチルグリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ソルケタール、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールその他が含まれる。特に好ましいものは、ポリエチレングリコール200から2500(PEG200からPEG2500)である。本発明の製剤で使用するために最も好ましい共溶媒は、PEG400またはPEG2000である。共溶媒は、本発明の硝子体内用製剤中に通常1%から30%の量で存在し得る。好ましくは、本発明の組成物は5%から20%の共溶媒を含むであろう。硝子体内用組成物は、最も好ましくは10%の共溶媒を含むであろう。後強膜近傍、眼窩周囲および局所投与のための組成物は、最も好ましくは、5%の共溶媒を含むであろう。
【0020】
ポリエチレングリコール(PEG)は一般化学式HOCH2(CH2OCH2)nCH2OHを有する。それらは非揮発性の、水溶性または水と混和可能な化合物で化学的に不活性であり、分子量は数百から数千の間である。それらは、およその分子量を示す数により同定される液体またはワックス状固体である。PEG400は液体であり、一方PEG2500はワックス状固体である。
【0021】
200から2500の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG200からPEG2500)は、有効な硝子体内用、眼窩周囲および後強膜近傍用製剤のための最も重要な賦形剤と認められている。多標的受容体結合プロファイルを有する、PEG400を基剤とするRTKi含有製剤は、ラットOIRモデルにおいて、他のポリマーから調製された他の製剤に比較して、単回硝子体内注射したときに優れた効能(100%抑制)を示し、かつ副作用を殆んど示さない(図1)。PEG2000を含む製剤も、本明細書中の実施例で示したように、優れた効能を示す。CMCおよびアルギン酸ナトリウムを基剤とする製剤は両方とも、それらの適用により、良好な抑制を示したが、網膜出血および炎症を含む顕著な副作用が観察された。HPMCを基剤とする製剤(PEG400なし)は副作用を惹起しなかったが、100%の抑制を示すことができなかった。HPMCおよび10%PEG400の両者を含む製剤は、副作用なしで優れた抑制を示した。ポリソルベート80を含む製剤の効能は、Cremophor ELを含む製剤よりも優れているように思われる(図1)。
【0022】
10%PEG400を含む製剤は、ラットOIRモデルにおいて単回硝子体内注射したときに完全な抑制を示したが、5%PEG400および0%PEG400の製剤は、それぞれ67%および34%の抑制を示した(表2、図2)。解剖ラット網膜は、PEG400を欠く製剤で処置したラットの眼では顕著な新生血管形成が起こることを明確に示すが、10%PEG400を含む製剤で処置したラットの眼では完全な抑制が観察される(図3および図4)。理論または機構に捉われることを望まず、観察される効能は、10%PEG400を含む製剤からの化合物のより高いバイオアベイラビリティおよびよりよい分布に基づくと信じられる。好ましい硝子体内用およびPJ用製剤の媒体の組成およびそれらの調製方法は、それぞれ実施例1および2に示す。本発明の方法で使用するための好ましい硝子体内用製剤は、その調製方法と一緒に、実施例3で提供する。
【0023】
【表2】
3%、1%、0.6%、0.3%および0.1%の濃度を有するN−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素の製剤を使用する、硝子体内経路によるラットOIRモデルにおける投与量応答試験の結果を図5に示す。3%N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素の製剤は、ウサギVEGF誘発漏出モデルにおいて、単回硝子体内注射後に網膜血管漏出を効果的に減少させた(図6)。
【0024】
硝子体内、後強膜近傍、眼窩周囲および局所投与のための医薬組成物は、非イオン性界面活性剤であるポリソルベート80の有効量を含み、その量は0.05%から2%である。好ましくは、本発明の組成物は、0.01%から1%の非イオン性界面活性剤を含み、最も好ましくは、本発明の組成物は、0.5%の界面活性剤を含むであろう。
【0025】
10%PEG400を含む1%N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素製剤の効能は優れているが、製剤の物理的安定性は理想的ではなかった。それ故、製剤の物理的安定性を向上させるために、組成物中に懸濁剤として作用するポリマーが含まれる。この目的のために、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース、カルボポール、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、キサンタン、トラガカントガム、アカシアガム、アルギン酸ナトリウムその他などの多くのポリマーを使用することができる。
【0026】
本発明の組成物で使用するための好ましい懸濁剤は、HPMC2910(EM4)である。HPMC2910の添加は、製剤の物理的安定性を実質的に向上させ、製剤は、ラットOIRモデルにおける単回硝子体内注射で100%の抑制を示す(表3、図7)。さらに、効能の結果は小さい標準偏差を示す。HPMC2910(EM4)含有製剤は、優れた投与量依存性抑制も示す(図8)。製剤は、レーザー誘発マウスCNVモデル、ラットVEGFモデル、およびレーザー誘発飼育ブタCNVモデルにおいても優れた効能を発揮する(図9)。
【0027】
【表3】
懸濁剤は、本発明の組成物中に通常0.005%から1%の量で存在するであろう。好ましくは、本発明の組成物は0.05%から0.7%の懸濁剤を含むであろう。最も好ましくは、本発明の組成物は0.5%の懸濁剤を含むであろう。
【0028】
10%PEG400を含む製剤(HPMC添加または無添加)は、レーザー誘発マウスCNVモデルに単回硝子体内注射したときに、図10に示したように、優れた効能を示す。
【0029】
後強膜近傍投与、眼窩周囲投与または局所投与のための製剤は、投与時の刺激または他の血管損傷を回避するために、好ましくは等張性であろう。したがって、後強膜近傍投与のための製剤は5%PEG400を含み、張度は、適当量の塩化ナトリウムを添加することにより調節される(表4)。この製剤は、界面活性剤としてポリソルベート80を含む。後強膜近傍投与のための好ましい製剤の組成および調製方法を、実施例4に示す。
【0030】
【表4】
経口投与のための好ましい製剤は1%ポリソルベート80、0.2%HPMC2910(EM4)、2%エタノールおよび精製水を含む媒体中で調製される(表5)。経口投与のために調製された製剤は、ラットVEGFモデルで血液−網膜障壁の破壊に顕著な効能を示す(図12)。レーザー誘発成体マウスモデルにおいて、N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素を含む20mg/kg/日の経口製剤の全身的送達は、媒体で処置した対照に比較して、CNVの完全な(100%)抑制をもたらした(図13)。10mg/kg/日で処置したマウスではCNVが84.3%減少したが、3mg/kg/日で処置したマウスでは、媒体処置対照に比較して有意の抑制が示されなかった。同じモデルで、20mg/kg/日および10mg/kg/日で処置したマウスは、対照に比較して、既存CNVの顕著な後退(68.0%および41.8%)を誘発した(図14)。3mg/kg/日で処置したマウスは、既存CNVの後退を起こさなかった。
【0031】
経口投与のための好ましい製剤の組成および調製方法を、実施例5に示す。
【0032】
【表5】
上記の後強膜近傍および経口用製剤において使用するために好ましい懸濁剤は、HPMC2910(E4M)である。しかし、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース、ポリカルボフィル、カルボポール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、キサンタンガム、トラガカントガム、アカシアその他などの他のポリマーも、本発明の組成物における懸濁剤として首尾よく使用できることが企図される。
【0033】
局所眼投与のための好ましい製剤は等張性であり、組成および調製方法は実施例6に示す。
【0034】
任意の特定のヒトまたは動物のための具体的投与レベルは、使用される活性化合物の活性、年齢、体重、一般的健康状態、および投与時期、投与経路および治療を受ける病態の重症度を含む種々の要因に依存する。
【0035】
硝子体内注射、眼窩周囲投与、後強膜近傍投与、局所眼投与または経口投与のための好ましい本発明の製剤は、
治療的有効量の活性薬剤;
効果的な量の共溶媒としてのPEG200からPEG2500(1から30%;5から20%がより好ましい);
界面活性剤としてのポリソルベート80(0.1から5%;0.2%から2%がより好ましい);
等張化剤(特にPJおよび局所眼用)
適当な緩衝剤;
懸濁剤(0.05%から1%;0.05%から0.5%がより好ましい)
を含むことができる。
【0036】
本発明の経口投与のための好ましい製剤は、
治療的有効量の抗血管新生剤;
効果的な量の共溶媒としてのエチルアルコール(0.5%から5%;1%から3%がより好ましい);
界面活性剤としてのポリソルベート80(0.1%から5%;0.5%から3%);
適当な緩衝剤;
懸濁剤(0.05%から0.5%;0.1%から0.3%がより好ましい)
を含むことができる。
【0037】
好ましい投与経路(IVTまたはPJ)が理由で、製剤の粒子サイズが、良好な注射可能性ならびに快適性を達成するほど小さくなければならないということは、非常に重要である。1μm〜3μmの粒子サイズを有する懸濁物は、この配合手順により調製される。調製された製剤(IVTまたはPJ用)は、2μL〜10μLの製剤のみが動物の眼に注射されたときでさえ優れた注入可能性を示す。
【0038】
次の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために含まれる。以下の実施例で開示した技法は、本発明の実施においてよく機能する本発明者らにより見出された技法を示し、したがって、その実施の好ましい様式を構成すると見なされ得るということは、当業者により理解されるべきである。しかし、本発明の趣旨および範囲を逸脱せずに、開示された特定の実施形態において多くの変更をなすことができ、さらに類似のまたは同様な結果を得ることができるということを、当業者は、本開示を考慮して理解すべきである。
【実施例】
【0039】
(実施例1)
この実施例は、好ましい硝子体内用製剤媒体の組成および調製方法を例示する。
【0040】
【表6】
250mLのガラス容器に、3.60gの滅菌10%二塩基性リン酸ナトリウム十二水和物溶液を加えた。それに20gの滅菌PEG400を加えて均一溶液が形成されるまで撹拌した。上記の溶液に10gの滅菌10%ポリソルベート80溶液および50gの滅菌2%貯蔵HPMC2910(E4M)溶液を加え、均一になるまでよく撹拌した。注射用滅菌水を加えてバッチサイズの95%にした。その溶液を室温で30分間撹拌して、pHを7.2に調節した。最後に注射用の水を加えて200gの最終バッチを得た。
【0041】
(実施例2)
この実施例は、PJ、眼窩周囲および局所眼用製剤媒体の組成および調製方法を述べる。
【0042】
【表7】
250mLのガラス容器に、3.60gの滅菌10%二塩基性リン酸ナトリウム十二水和物溶液を加えた。それに10gの滅菌PEG400を加えて均一溶液が形成されるまで撹拌した。上記の溶液に10gの滅菌10%ポリソルベート80溶液、50gの滅菌2%貯蔵HPMC2910(E4M)溶液、および7.6gの5%塩化ナトリウム貯蔵溶液を加え、均一になるまでよく撹拌した。注射用滅菌水を加えてバッチサイズの95%にした。その溶液を室温で30分間撹拌して、pHを7.2に調節した。最後に注射用の水を加えて200gの最終バッチを得た。
【0043】
(実施例3)
この実施例は、RTKi、N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素を含む、硝子体内眼投与のための代表的医薬製剤の組成および調製方法を例示する。
【0044】
【表8】
RTKi原料を121℃で45分間オートクレーブ処理することにより滅菌した。滅菌RTKi原料(1g)をポリプロピレン容器中で秤量して、それに25gの滅菌2%ポリソルベート80貯蔵溶液を加えた。そのスラリーをジルコニアビーズを使用して室温で12時間ボールミルにかけた。ボールミル処理終了時に懸濁液をブフナー漏斗を通して注意深く濾過し、滅菌水でジルコニアビーズを徹底的に洗浄した。上記溶液に、10gの滅菌PEG400、3.6gの5%二塩基性リン酸ナトリウム十二水和物滅菌貯蔵溶液および25gの2%HPMC貯蔵溶液を順次加えた。注射に十分な量の滅菌水を加えてバッチサイズの95%にした。pHを7.2に調節し、十分量の注射用滅菌水によりバッチサイズ(100g)の100%にした。上記製剤をラットOIR、マウスCNV、ウサギVEGFおよびブタCNVモデルに硝子体内投与した結果を図1、2、5、6、7、8および10に示す。
【0045】
(実施例4)
この実施例は、後強膜近傍および眼窩周囲投与のための、RTKi、N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素を含む代表的医薬製剤の組成および調製方法を例示する。
【0046】
【表9】
5gの滅菌RTKi原料を滅菌ポリプロピレン容器中に取り、それに50gの1%ポリソルベート80貯蔵溶液を加えた。そのスラリーをジルコニアビーズを使用して室温で12時間ボールミルにかけた。ボールミル処理終了時に懸濁液をブフナー漏斗を通して注意深く濾過し、注射用滅菌水でジルコニアビーズを徹底的に洗浄した。上記溶液に、5gのPEG400、3.6gの5%二塩基性リン酸ナトリウム十二水和物滅菌溶液、1.7gの1%塩化ナトリウム貯蔵溶液および25gの2%HPMC貯蔵溶液を順次加えた。十分な量の注射用水を加えてバッチサイズの95%にして、室温で30分間撹拌した。製剤pHを7.2に調節し、十分量の注射用滅菌水によりバッチサイズ(100g)の100%にした。上記の製剤を飼育ブタCNVモデルに眼窩周囲経路により注射した結果を図11に示す。
【0047】
(実施例5)
この実施例は、経口投与のための、RTKi、N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素を含む代表的医薬製剤の調製を詳述する。
【0048】
【表10】
ガラス容器に、0.5gのRTKi原料を取り、それに50gの2%ポリソルベート80貯蔵溶液を加えた。そのスラリーをジルコニアビーズを使用して室温で12時間ボールミルにかけた。ボールミル処理終了時に懸濁液をブフナー漏斗を通して注意深く濾過し、滅菌水でジルコニアビーズを徹底的に洗浄した。そのスラリーに10gの2%HPMC貯蔵溶液および2gのエタノールを加えて、よく撹拌した。次いで十分量の精製水を加えてバッチサイズの95%にした。pHを7.2に調節して、十分量の滅菌水でバッチサイズの100%にした。VEGF誘発血管透過性を試験するために、製剤を経口胃管法により成体ラットに投与した結果を図12に示す。
【0049】
(実施例6)
この実施例は、局所眼適用のための、RTKi、N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素を含む代表的医薬製剤の調製を例示する。
【0050】
【表11】
1gの滅菌RTKi原料を滅菌ポリプロピレン容器に取り、それに25gの2%ポリソルベート80貯蔵溶液を加えた。そのスラリーをジルコニアビーズを使用して室温で12時間ボールミルにかけた。ボールミル処理終了時に懸濁液をブフナー漏斗を通して注意深く濾過し、滅菌水でジルコニアビーズを徹底的に洗浄した。そのスラリーに5gの滅菌PEG400、3.6gの5%二塩基性リン酸ナトリウム十二水和物滅菌溶液、5gの5%塩化ナトリウム貯蔵溶液および25gの2%HPMC貯蔵溶液を加えた。十分量の滅菌水を加えてバッチサイズの95%にして、室温で1時間撹拌した。pHを7.2に調節し、十分量の滅菌水でバッチサイズ(100g)の100%にした。上記の製剤をウサギモデルに局所眼経路により適用した。
【0051】
本明細書において開示され請求された全て組成物および/または方法は、本開示を考慮して、不当な実験をせずに行いかつ実施することができる。本発明の組成物および方法を好ましい実施形態によって説明したが、本発明の概念、趣旨および範囲から逸脱せずに本明細書に記載した組成物および/または方法に対して、ならびに方法のステップもしくは一連のステップにおいて、変形を適用できることは当業者に明らかであろう。より具体的に、化学的および構造的に関係する特定の薬剤を、同様の結果を得るために本明細書に記載した薬剤と置換することができることは明らかであろう。当業者に明らかなそのような全ての置換および改変は、付記した特許請求の範囲により定義された本発明の趣旨、範囲および概念内にあると見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、異なった媒体中で調製されたRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)を単回硝子体内注射したときのラットOIRモデルにおける前網膜新生血管形成の抑制を示す。10%PEG400を含むこの製剤は、前網膜新生血管形成の完全な抑制を示す。
【図2】図2は、ラットOIRモデルにおける1%RTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)硝子体内用製剤の効能に対するPEG400濃度の効果を示す。10%PEG400の製剤は、100%の抑制を示すが、5%および0%PEG400の製剤は、それぞれ67%および34%の抑制を示す。
【図3】図3は、PEG400を含まない1%RTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)硝子体内用製剤で処置した解剖ラット網膜を示す。顕著な新生血管形成が観察される。
【図4】図4は、10%のPEG400を含む1%RTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)硝子体内用製剤で処置した解剖ラット網膜を示す。前網膜新生血管形成の完全な抑制が観察される。
【図5】図5は、ラットOIRモデルにおけるRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)硝子体内用製剤の投与量応答試験の結果を示す。
【図6】図6は、ウサギにおける単回硝子体内注射後のVEGF誘発網膜血管漏出に対するRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤の効能を示す。
【図7】図7は、PEG400/ポリソルベート80/HPMC媒体中で調製されたRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤による、ラットOIRモデルにおいて単回硝子体内注射したときの、前網膜新生血管形成の抑制を示す。製剤は、前網膜新血管形成の完全な抑制をもたらした。
【図8】図8は、物理的安定性の向上した改良RTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)硝子体内用製剤を使用するラットOIRモデルにおける投与量応答試験を示す。
【図9】図9は、RTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤を硝子体内注射したときの飼育ブタモデルにおけるレーザー誘発CNVの抑制を示す。
【図10】図10は、レーザー誘発CNVマウスモデルにおけるRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤の投与量応答試験を示す。
【図11】図11は、飼育ブタモデルにおける5%RTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤の眼窩周囲(PO)投与の効果を示す。
【図12】図12は、成体ラットにおけるVEFG誘発網膜血管透過性に対する経口胃管法により与えられたRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤(20mg/kg/日)の効果を示す。
【図13】図13は、成体ラットにおけるレーザー誘発CNVモデルに対する経口胃管法によるRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤の効能を示す。
【図14】図14は、レーザー誘発マウスCNVモデルにおけるRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤の経口胃管法による既存脈絡叢新生血管形成(CNV)の後退を示す。
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本願は、2005年12月23日に出願した米国仮出願番号60/753,713号に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は溶解度の低い化合物を含む独特の組成物およびAMD、DR、糖尿病性黄斑浮腫などの眼の炎症、血管新生および血管漏出により生ずるまたは悪化する病態を治療するために有用な方法、より具体的には眼障害治療に使用するための少なくとも1つの抗血管新生剤、抗炎症剤、または抗血管漏出剤を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連分野の説明)
異常な新生血管形成すなわち血管新生および増大した透過性は、加齢関連黄斑変性症(AMD)、未熟児網膜症(ROP)、虚血性網膜静脈閉塞症および糖尿病性網膜症(DR)を含む多くの眼障害の主原因である。AMDおよびDRは重症の不可逆的視覚喪失の最も一般的な原因に含まれる。網膜静脈閉塞症などのこれらのおよび関連疾患において、中心部視覚喪失は、血管新生、既存血管網からの新血管発生および血管透過性の変化の続発症である。
【0004】
血管新生過程は、既存血管中の静止性内皮細胞の活性化により知られる。正常網膜循環は新生血管刺激に抵抗性であり、網膜血管における内皮細胞増殖は非常に少ししか起こらない。組織低酸素、炎症性細胞浸潤および透過障壁破壊を含む網膜新生血管形成に対する多くの刺激があるように思われるが、全て、サイトカイン類(VEGF、PDGF、FGF、TNF、IGFなど)、インテグリンおよびプロテイナーゼの局所濃度を増大させる結果、新血管の形成を生じさせ、続いてそれが神経網膜の組織化された構造を破壊するか、または内境界膜を通して硝子体中に貫通する。上昇したサイトカインレベルは、内皮細胞密着接合を破壊することもでき、血管漏出および網膜浮腫の増大、ならびに神経網膜の組織化された構造の破壊に至る。VEGFが炎症性細胞浸潤、内皮細胞増殖および血管漏出の主たる媒介物質であると考えられているが、PDGF、FGF、TNF、およびIGFなどの他の増殖因子がこれらの過程に関与している。したがって、増殖因子阻害剤は、眼内への局所送達によりまたは経口投与により、網膜損傷、およびそれに伴う視覚喪失を阻止することに重要な役割を果たすことができる。
【0005】
眼新生血管形成および増大した血管透過性により惹起された疾患に治癒はない。AMDの現在の治療方法は、レーザー光凝固および光線力学的療法(PDT)を含む。眼新生血管形成および増大した血管透過性に対する光凝固の効果は、網膜細胞の熱的破壊によってのみ達成される。PDTは、通常、色素の緩徐な注入とそれに続く非熱的レーザー光の適用を必要とする。治療は、通常、異常血管のその漏出を一時的に停止または減少させる。PDT治療は、最初の1年間に3カ月毎に3から4回繰り返さなければならない可能性がある。PDT治療に伴う可能性のある問題には、頭痛、視覚における不鮮明、鮮明さの減少および間隙、ならびに1〜4%の患者における実質的視力低下が含まれ、多くの患者で部分的回復がある。その上、PDT治療の直後、患者は日焼けを避けるために5日間直射日光を避けなければならない。最近、加齢関連黄斑変性症を有する患者の治療のために、米国において、組換えヒト化IgGモノクローナル抗体フラグメント(ラニビズマブ)が承認された。この薬品は、通常、月に1回硝子体内注射により投与される。
【0006】
眼新生血管形成および増大した血管透過性に関連する障害および他の障害の治療に可能性として有用であると考えられ得る多くの化合物は、水に貧溶性である。貧水溶性化合物は、薬学的に許容される水性媒体に治療的有効濃度で溶解性でない物質である。水溶解度は貧水溶性化合物の製剤開発に重要なパラメーターである。必要とされるものは、化合物の増大した溶解度を提供する一方で、その治療的可能性を維持するのに十分な化合物のバイオアベイラビリティを提供する製剤である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、内皮細胞増殖、血管漏出、炎症および血管新生により惹起された眼疾患の治療のための貧溶性化合物の眼投与のための安全で効果的な製剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、血管新生および増大した血管透過性に起因する眼疾患を治療するための組成物を提供することにより、先行技術のこれらのおよび他の欠点を克服する。本発明の一態様において、全網膜分布を有する硝子体内用組成物が提供される。本発明の組成物は、(a)新生血管形成または眼炎症または血管漏出を制御することができる薬剤、(b)適切な量の適当な共溶媒、(c)界面活性剤、(d)懸濁剤、および(e)緩衝剤を含む。広範な種々の分子ならびに種々の適当な懸濁剤および共溶媒が、本発明の範囲内で使用され得る。共溶媒の量は、局所投与において、製剤の効能に非常に重要な役割を演ずる。
【0009】
他の実施形態において、(a)新生血管形成または眼炎症または血管漏出を制御することができる薬剤、(b)適当な量の共溶媒、(c)張度が約300mOsm/kgになるような等張化剤、(d)緩衝剤、(e)懸濁剤、および(f)界面活性剤を含む、後強膜近傍(PJ)および眼窩周囲(PO)用製剤(PO)が提供される。
【0010】
別の実施形態において、経口投与のための有効な製剤が、(a)新生血管形成または眼炎症または血管漏出を制御することができる適当量の薬剤、(b)懸濁剤、(c)界面活性剤、および(d)共溶媒を使用して調製される。この製剤は、血液−網膜障壁を回避することができて、眼の後方部分に治療的有効濃度の活性薬剤を提供する。
【0011】
さらに他の実施形態において、本発明は、(a)新生血管形成または眼炎症または血管漏出を制御することができる治療的有効量の薬剤、(b)懸濁剤、(c)界面活性剤、および(d)共溶媒を含む、局所眼投与のための製剤を提供する。この製剤は、血液−網膜障壁を回避することができて、眼の後方部分に治療的有効濃度の活性薬剤を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図面は本明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様をさらに示すために含まれる。本発明は、本明細書に提示した具体的な実施形態の詳細な記載と組み合わせてこの図面を参照することにより、よりよく理解することができる。
【0013】
(好適な実施形態の詳細な説明)
上記のように、本発明は、眼血管新生および血管漏出に関連する障害の治療に使用するための抗血管新生または抗炎症または抗血管漏出剤を含む組成物を提供する。本発明の組成物は、そのような眼障害を伴う新生血管形成および血管漏出の予防または抑制に有用である。幾つかの場合に、本発明の組成物は新生血管形成の後退を生じさせる。
【0014】
簡単にいうと、本発明の関係では、活性薬剤は、血管増殖を抑制し、血管透過性を低下させ、および/または炎症を軽減するように作用する、合成のまたは天然に生ずる任意の分子であると理解されるべきである。特に、本発明は、眼新生血管形成または眼血管漏出に関連する障害に苦しむ患者の眼に活性薬剤を送達するために、不溶性または貧溶性の活性薬剤を治療的有効量で含む組成物を提供する。
【0015】
貧水溶性である任意の活性薬剤は本発明の組成物中に含まれてよいということが考えられる。例えば、抗血管新生剤、抗炎症剤または抗血管透過性剤は、本発明の組成物において有用である。
【0016】
好ましい抗血管新生剤には、受容体チロシンキナーゼ阻害剤(RTKi)、特に、本明細書でさらに具体的に記載するものなどの多標的受容体プロファイルを有するもの;血管新生抑制コルチゾン;MMP阻害剤;インテグリン阻害剤;PDGFアンタゴニスト;抗増殖性剤;HIF−1阻害剤;線維芽細胞増殖因子阻害剤;上皮細胞増殖因子阻害剤;TIMP阻害剤;インスリン様増殖因子阻害剤;TNF阻害剤;アンチセンスオリゴヌクレオチド;抗VEGF抗体、VEGFトラップ、NSAID、ステロイド、SiRNAその他、および上述の薬剤の任意のもののプロドラッグが含まれるが、これらに限定されない。本発明における使用のために好ましい抗血管新生剤は、多標的受容体チロシンキナーゼ阻害剤(RTKi)である。最も好ましいのは、表1に列挙したものに実質的に類似する結合プロファイルを有する、AL−39324、N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素などの多標的結合プロファイルを有するRTKi類である。本発明の組成物中における使用を考慮されるさらに加わる多標的受容体チロシンキナーゼ阻害剤が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2004/0235892号に記載されている。本明細書で使用する用語「多標的受容体チロシンキナーゼ阻害剤」は、表1に示した、および参照により本明細書に組み込まれる同時係属の米国特許出願第2006/0189608号に記載されているプロファイルのような、血管新生において重要であることが示されている複数の受容体に選択性を示す受容体結合プロファイルを有する化合物を指す。より具体的に、本発明の組成物中に使用する多標的受容体チロシンキナーゼ阻害剤化合物に対する好ましい結合プロファイルは、KDR(VEGFR2)、Tie−2およびPDGFRである。
【0017】
【表1】
【0018】
本発明の組成物および方法において有用となる他の薬剤は、抗VEGF抗体(すなわちベバシズマブまたはラニビズマブ);VEGFトラップ;表1中の200nM未満のIC50値を有する少なくとも2つのチロシンキナーゼ受容体を標的とするsiRNA分子またはそれらの混合物;グルココルチコイド(すなわち、デキサメタゾン、フルオロメタロン、メドリゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、プレドニゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、リメキソロン、および薬学的に許容されるそれらの塩;プレドニカルベート、デフラザコルト、ハロメタゾン、チキソコルトール、プレドニリデン(21−ジエチルアミノアセテート)、プレドニバル、パラメタゾン、メチルプレドニゾロン、メプレドニゾン、マジプレドン、イソフルプレドン、ハロプレドンアセテート、ハルシノニド、ホルモコルタール、フランドレノリド、フルプレドニゾロン、フルプレドニジンアセテート、フルペロロンアセテート、フルオコルトロン、フルオコルチンブチル、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルニソリド、フルメタゾン、フルドロコルチゾン、フルクロリニド、エノキソロン、ジフルプレドネート、ジフルコルトロン、ジフロラゾンジアセテート、デソキシメタゾン(desoximetasoneまたはdesoxymethasone)、デソニド、デスシノロン、コルチバゾール、コルチコステロン、コルチゾン、クロプレドノール、クロコルトロン、クロベタゾン、クロベタゾール、クロロプレドニゾン、カフェストール、ブデソニド、ベクロメタゾン、アムシノニド、アロプレグナンアセトニド、アルクロメタゾン、21−アセトキシプレグネノロン、トラロニド、ジフロラゾンアセテート、デアシルコルチバゾール、RU−26988、ブデソニド、およびデアシルコルチバゾールオキセタノン);ナフトヒドロキノン抗生物質(すなわちリファマイシン);およびNSAID類(すなわちネパフェナク、アムフェナク)を含む。
【0019】
本明細書中に記載する製剤は、局所的に、経口的に、硝子体内注射により、または後強膜近傍、眼窩周囲および局所的眼経路により送達することができる。本発明の組成物で使用するための好ましい共溶媒には、エチレングリコール、プロピレングリコール、N−メチルピロリジノン、2−ピロリジノン、3−ピロリジノール、1,4−ブタンジオール、ジメチルグリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ソルケタール、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールその他が含まれる。特に好ましいものは、ポリエチレングリコール200から2500(PEG200からPEG2500)である。本発明の製剤で使用するために最も好ましい共溶媒は、PEG400またはPEG2000である。共溶媒は、本発明の硝子体内用製剤中に通常1%から30%の量で存在し得る。好ましくは、本発明の組成物は5%から20%の共溶媒を含むであろう。硝子体内用組成物は、最も好ましくは10%の共溶媒を含むであろう。後強膜近傍、眼窩周囲および局所投与のための組成物は、最も好ましくは、5%の共溶媒を含むであろう。
【0020】
ポリエチレングリコール(PEG)は一般化学式HOCH2(CH2OCH2)nCH2OHを有する。それらは非揮発性の、水溶性または水と混和可能な化合物で化学的に不活性であり、分子量は数百から数千の間である。それらは、およその分子量を示す数により同定される液体またはワックス状固体である。PEG400は液体であり、一方PEG2500はワックス状固体である。
【0021】
200から2500の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG200からPEG2500)は、有効な硝子体内用、眼窩周囲および後強膜近傍用製剤のための最も重要な賦形剤と認められている。多標的受容体結合プロファイルを有する、PEG400を基剤とするRTKi含有製剤は、ラットOIRモデルにおいて、他のポリマーから調製された他の製剤に比較して、単回硝子体内注射したときに優れた効能(100%抑制)を示し、かつ副作用を殆んど示さない(図1)。PEG2000を含む製剤も、本明細書中の実施例で示したように、優れた効能を示す。CMCおよびアルギン酸ナトリウムを基剤とする製剤は両方とも、それらの適用により、良好な抑制を示したが、網膜出血および炎症を含む顕著な副作用が観察された。HPMCを基剤とする製剤(PEG400なし)は副作用を惹起しなかったが、100%の抑制を示すことができなかった。HPMCおよび10%PEG400の両者を含む製剤は、副作用なしで優れた抑制を示した。ポリソルベート80を含む製剤の効能は、Cremophor ELを含む製剤よりも優れているように思われる(図1)。
【0022】
10%PEG400を含む製剤は、ラットOIRモデルにおいて単回硝子体内注射したときに完全な抑制を示したが、5%PEG400および0%PEG400の製剤は、それぞれ67%および34%の抑制を示した(表2、図2)。解剖ラット網膜は、PEG400を欠く製剤で処置したラットの眼では顕著な新生血管形成が起こることを明確に示すが、10%PEG400を含む製剤で処置したラットの眼では完全な抑制が観察される(図3および図4)。理論または機構に捉われることを望まず、観察される効能は、10%PEG400を含む製剤からの化合物のより高いバイオアベイラビリティおよびよりよい分布に基づくと信じられる。好ましい硝子体内用およびPJ用製剤の媒体の組成およびそれらの調製方法は、それぞれ実施例1および2に示す。本発明の方法で使用するための好ましい硝子体内用製剤は、その調製方法と一緒に、実施例3で提供する。
【0023】
【表2】
3%、1%、0.6%、0.3%および0.1%の濃度を有するN−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素の製剤を使用する、硝子体内経路によるラットOIRモデルにおける投与量応答試験の結果を図5に示す。3%N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素の製剤は、ウサギVEGF誘発漏出モデルにおいて、単回硝子体内注射後に網膜血管漏出を効果的に減少させた(図6)。
【0024】
硝子体内、後強膜近傍、眼窩周囲および局所投与のための医薬組成物は、非イオン性界面活性剤であるポリソルベート80の有効量を含み、その量は0.05%から2%である。好ましくは、本発明の組成物は、0.01%から1%の非イオン性界面活性剤を含み、最も好ましくは、本発明の組成物は、0.5%の界面活性剤を含むであろう。
【0025】
10%PEG400を含む1%N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素製剤の効能は優れているが、製剤の物理的安定性は理想的ではなかった。それ故、製剤の物理的安定性を向上させるために、組成物中に懸濁剤として作用するポリマーが含まれる。この目的のために、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース、カルボポール、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、キサンタン、トラガカントガム、アカシアガム、アルギン酸ナトリウムその他などの多くのポリマーを使用することができる。
【0026】
本発明の組成物で使用するための好ましい懸濁剤は、HPMC2910(EM4)である。HPMC2910の添加は、製剤の物理的安定性を実質的に向上させ、製剤は、ラットOIRモデルにおける単回硝子体内注射で100%の抑制を示す(表3、図7)。さらに、効能の結果は小さい標準偏差を示す。HPMC2910(EM4)含有製剤は、優れた投与量依存性抑制も示す(図8)。製剤は、レーザー誘発マウスCNVモデル、ラットVEGFモデル、およびレーザー誘発飼育ブタCNVモデルにおいても優れた効能を発揮する(図9)。
【0027】
【表3】
懸濁剤は、本発明の組成物中に通常0.005%から1%の量で存在するであろう。好ましくは、本発明の組成物は0.05%から0.7%の懸濁剤を含むであろう。最も好ましくは、本発明の組成物は0.5%の懸濁剤を含むであろう。
【0028】
10%PEG400を含む製剤(HPMC添加または無添加)は、レーザー誘発マウスCNVモデルに単回硝子体内注射したときに、図10に示したように、優れた効能を示す。
【0029】
後強膜近傍投与、眼窩周囲投与または局所投与のための製剤は、投与時の刺激または他の血管損傷を回避するために、好ましくは等張性であろう。したがって、後強膜近傍投与のための製剤は5%PEG400を含み、張度は、適当量の塩化ナトリウムを添加することにより調節される(表4)。この製剤は、界面活性剤としてポリソルベート80を含む。後強膜近傍投与のための好ましい製剤の組成および調製方法を、実施例4に示す。
【0030】
【表4】
経口投与のための好ましい製剤は1%ポリソルベート80、0.2%HPMC2910(EM4)、2%エタノールおよび精製水を含む媒体中で調製される(表5)。経口投与のために調製された製剤は、ラットVEGFモデルで血液−網膜障壁の破壊に顕著な効能を示す(図12)。レーザー誘発成体マウスモデルにおいて、N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素を含む20mg/kg/日の経口製剤の全身的送達は、媒体で処置した対照に比較して、CNVの完全な(100%)抑制をもたらした(図13)。10mg/kg/日で処置したマウスではCNVが84.3%減少したが、3mg/kg/日で処置したマウスでは、媒体処置対照に比較して有意の抑制が示されなかった。同じモデルで、20mg/kg/日および10mg/kg/日で処置したマウスは、対照に比較して、既存CNVの顕著な後退(68.0%および41.8%)を誘発した(図14)。3mg/kg/日で処置したマウスは、既存CNVの後退を起こさなかった。
【0031】
経口投与のための好ましい製剤の組成および調製方法を、実施例5に示す。
【0032】
【表5】
上記の後強膜近傍および経口用製剤において使用するために好ましい懸濁剤は、HPMC2910(E4M)である。しかし、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース、ポリカルボフィル、カルボポール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、キサンタンガム、トラガカントガム、アカシアその他などの他のポリマーも、本発明の組成物における懸濁剤として首尾よく使用できることが企図される。
【0033】
局所眼投与のための好ましい製剤は等張性であり、組成および調製方法は実施例6に示す。
【0034】
任意の特定のヒトまたは動物のための具体的投与レベルは、使用される活性化合物の活性、年齢、体重、一般的健康状態、および投与時期、投与経路および治療を受ける病態の重症度を含む種々の要因に依存する。
【0035】
硝子体内注射、眼窩周囲投与、後強膜近傍投与、局所眼投与または経口投与のための好ましい本発明の製剤は、
治療的有効量の活性薬剤;
効果的な量の共溶媒としてのPEG200からPEG2500(1から30%;5から20%がより好ましい);
界面活性剤としてのポリソルベート80(0.1から5%;0.2%から2%がより好ましい);
等張化剤(特にPJおよび局所眼用)
適当な緩衝剤;
懸濁剤(0.05%から1%;0.05%から0.5%がより好ましい)
を含むことができる。
【0036】
本発明の経口投与のための好ましい製剤は、
治療的有効量の抗血管新生剤;
効果的な量の共溶媒としてのエチルアルコール(0.5%から5%;1%から3%がより好ましい);
界面活性剤としてのポリソルベート80(0.1%から5%;0.5%から3%);
適当な緩衝剤;
懸濁剤(0.05%から0.5%;0.1%から0.3%がより好ましい)
を含むことができる。
【0037】
好ましい投与経路(IVTまたはPJ)が理由で、製剤の粒子サイズが、良好な注射可能性ならびに快適性を達成するほど小さくなければならないということは、非常に重要である。1μm〜3μmの粒子サイズを有する懸濁物は、この配合手順により調製される。調製された製剤(IVTまたはPJ用)は、2μL〜10μLの製剤のみが動物の眼に注射されたときでさえ優れた注入可能性を示す。
【0038】
次の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために含まれる。以下の実施例で開示した技法は、本発明の実施においてよく機能する本発明者らにより見出された技法を示し、したがって、その実施の好ましい様式を構成すると見なされ得るということは、当業者により理解されるべきである。しかし、本発明の趣旨および範囲を逸脱せずに、開示された特定の実施形態において多くの変更をなすことができ、さらに類似のまたは同様な結果を得ることができるということを、当業者は、本開示を考慮して理解すべきである。
【実施例】
【0039】
(実施例1)
この実施例は、好ましい硝子体内用製剤媒体の組成および調製方法を例示する。
【0040】
【表6】
250mLのガラス容器に、3.60gの滅菌10%二塩基性リン酸ナトリウム十二水和物溶液を加えた。それに20gの滅菌PEG400を加えて均一溶液が形成されるまで撹拌した。上記の溶液に10gの滅菌10%ポリソルベート80溶液および50gの滅菌2%貯蔵HPMC2910(E4M)溶液を加え、均一になるまでよく撹拌した。注射用滅菌水を加えてバッチサイズの95%にした。その溶液を室温で30分間撹拌して、pHを7.2に調節した。最後に注射用の水を加えて200gの最終バッチを得た。
【0041】
(実施例2)
この実施例は、PJ、眼窩周囲および局所眼用製剤媒体の組成および調製方法を述べる。
【0042】
【表7】
250mLのガラス容器に、3.60gの滅菌10%二塩基性リン酸ナトリウム十二水和物溶液を加えた。それに10gの滅菌PEG400を加えて均一溶液が形成されるまで撹拌した。上記の溶液に10gの滅菌10%ポリソルベート80溶液、50gの滅菌2%貯蔵HPMC2910(E4M)溶液、および7.6gの5%塩化ナトリウム貯蔵溶液を加え、均一になるまでよく撹拌した。注射用滅菌水を加えてバッチサイズの95%にした。その溶液を室温で30分間撹拌して、pHを7.2に調節した。最後に注射用の水を加えて200gの最終バッチを得た。
【0043】
(実施例3)
この実施例は、RTKi、N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素を含む、硝子体内眼投与のための代表的医薬製剤の組成および調製方法を例示する。
【0044】
【表8】
RTKi原料を121℃で45分間オートクレーブ処理することにより滅菌した。滅菌RTKi原料(1g)をポリプロピレン容器中で秤量して、それに25gの滅菌2%ポリソルベート80貯蔵溶液を加えた。そのスラリーをジルコニアビーズを使用して室温で12時間ボールミルにかけた。ボールミル処理終了時に懸濁液をブフナー漏斗を通して注意深く濾過し、滅菌水でジルコニアビーズを徹底的に洗浄した。上記溶液に、10gの滅菌PEG400、3.6gの5%二塩基性リン酸ナトリウム十二水和物滅菌貯蔵溶液および25gの2%HPMC貯蔵溶液を順次加えた。注射に十分な量の滅菌水を加えてバッチサイズの95%にした。pHを7.2に調節し、十分量の注射用滅菌水によりバッチサイズ(100g)の100%にした。上記製剤をラットOIR、マウスCNV、ウサギVEGFおよびブタCNVモデルに硝子体内投与した結果を図1、2、5、6、7、8および10に示す。
【0045】
(実施例4)
この実施例は、後強膜近傍および眼窩周囲投与のための、RTKi、N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素を含む代表的医薬製剤の組成および調製方法を例示する。
【0046】
【表9】
5gの滅菌RTKi原料を滅菌ポリプロピレン容器中に取り、それに50gの1%ポリソルベート80貯蔵溶液を加えた。そのスラリーをジルコニアビーズを使用して室温で12時間ボールミルにかけた。ボールミル処理終了時に懸濁液をブフナー漏斗を通して注意深く濾過し、注射用滅菌水でジルコニアビーズを徹底的に洗浄した。上記溶液に、5gのPEG400、3.6gの5%二塩基性リン酸ナトリウム十二水和物滅菌溶液、1.7gの1%塩化ナトリウム貯蔵溶液および25gの2%HPMC貯蔵溶液を順次加えた。十分な量の注射用水を加えてバッチサイズの95%にして、室温で30分間撹拌した。製剤pHを7.2に調節し、十分量の注射用滅菌水によりバッチサイズ(100g)の100%にした。上記の製剤を飼育ブタCNVモデルに眼窩周囲経路により注射した結果を図11に示す。
【0047】
(実施例5)
この実施例は、経口投与のための、RTKi、N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素を含む代表的医薬製剤の調製を詳述する。
【0048】
【表10】
ガラス容器に、0.5gのRTKi原料を取り、それに50gの2%ポリソルベート80貯蔵溶液を加えた。そのスラリーをジルコニアビーズを使用して室温で12時間ボールミルにかけた。ボールミル処理終了時に懸濁液をブフナー漏斗を通して注意深く濾過し、滅菌水でジルコニアビーズを徹底的に洗浄した。そのスラリーに10gの2%HPMC貯蔵溶液および2gのエタノールを加えて、よく撹拌した。次いで十分量の精製水を加えてバッチサイズの95%にした。pHを7.2に調節して、十分量の滅菌水でバッチサイズの100%にした。VEGF誘発血管透過性を試験するために、製剤を経口胃管法により成体ラットに投与した結果を図12に示す。
【0049】
(実施例6)
この実施例は、局所眼適用のための、RTKi、N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素を含む代表的医薬製剤の調製を例示する。
【0050】
【表11】
1gの滅菌RTKi原料を滅菌ポリプロピレン容器に取り、それに25gの2%ポリソルベート80貯蔵溶液を加えた。そのスラリーをジルコニアビーズを使用して室温で12時間ボールミルにかけた。ボールミル処理終了時に懸濁液をブフナー漏斗を通して注意深く濾過し、滅菌水でジルコニアビーズを徹底的に洗浄した。そのスラリーに5gの滅菌PEG400、3.6gの5%二塩基性リン酸ナトリウム十二水和物滅菌溶液、5gの5%塩化ナトリウム貯蔵溶液および25gの2%HPMC貯蔵溶液を加えた。十分量の滅菌水を加えてバッチサイズの95%にして、室温で1時間撹拌した。pHを7.2に調節し、十分量の滅菌水でバッチサイズ(100g)の100%にした。上記の製剤をウサギモデルに局所眼経路により適用した。
【0051】
本明細書において開示され請求された全て組成物および/または方法は、本開示を考慮して、不当な実験をせずに行いかつ実施することができる。本発明の組成物および方法を好ましい実施形態によって説明したが、本発明の概念、趣旨および範囲から逸脱せずに本明細書に記載した組成物および/または方法に対して、ならびに方法のステップもしくは一連のステップにおいて、変形を適用できることは当業者に明らかであろう。より具体的に、化学的および構造的に関係する特定の薬剤を、同様の結果を得るために本明細書に記載した薬剤と置換することができることは明らかであろう。当業者に明らかなそのような全ての置換および改変は、付記した特許請求の範囲により定義された本発明の趣旨、範囲および概念内にあると見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、異なった媒体中で調製されたRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)を単回硝子体内注射したときのラットOIRモデルにおける前網膜新生血管形成の抑制を示す。10%PEG400を含むこの製剤は、前網膜新生血管形成の完全な抑制を示す。
【図2】図2は、ラットOIRモデルにおける1%RTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)硝子体内用製剤の効能に対するPEG400濃度の効果を示す。10%PEG400の製剤は、100%の抑制を示すが、5%および0%PEG400の製剤は、それぞれ67%および34%の抑制を示す。
【図3】図3は、PEG400を含まない1%RTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)硝子体内用製剤で処置した解剖ラット網膜を示す。顕著な新生血管形成が観察される。
【図4】図4は、10%のPEG400を含む1%RTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)硝子体内用製剤で処置した解剖ラット網膜を示す。前網膜新生血管形成の完全な抑制が観察される。
【図5】図5は、ラットOIRモデルにおけるRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)硝子体内用製剤の投与量応答試験の結果を示す。
【図6】図6は、ウサギにおける単回硝子体内注射後のVEGF誘発網膜血管漏出に対するRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤の効能を示す。
【図7】図7は、PEG400/ポリソルベート80/HPMC媒体中で調製されたRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤による、ラットOIRモデルにおいて単回硝子体内注射したときの、前網膜新生血管形成の抑制を示す。製剤は、前網膜新血管形成の完全な抑制をもたらした。
【図8】図8は、物理的安定性の向上した改良RTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)硝子体内用製剤を使用するラットOIRモデルにおける投与量応答試験を示す。
【図9】図9は、RTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤を硝子体内注射したときの飼育ブタモデルにおけるレーザー誘発CNVの抑制を示す。
【図10】図10は、レーザー誘発CNVマウスモデルにおけるRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤の投与量応答試験を示す。
【図11】図11は、飼育ブタモデルにおける5%RTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤の眼窩周囲(PO)投与の効果を示す。
【図12】図12は、成体ラットにおけるVEFG誘発網膜血管透過性に対する経口胃管法により与えられたRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤(20mg/kg/日)の効果を示す。
【図13】図13は、成体ラットにおけるレーザー誘発CNVモデルに対する経口胃管法によるRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤の効能を示す。
【図14】図14は、レーザー誘発マウスCNVモデルにおけるRTKi(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素)製剤の経口胃管法による既存脈絡叢新生血管形成(CNV)の後退を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼新生血管形成を治療するための硝子体内注射のための眼科用組成物であって、
i)0.001%〜30%の量の活性薬剤、および
ii)200〜2500の分子量を有するポリエチレングリコール共溶媒
を含む、眼科用組成物。
【請求項2】
前記活性薬剤が、抗血管新生剤、抗炎症剤、および抗血管透過性剤からなる群から選択される、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項3】
前記活性薬剤が抗血管新生剤である、請求項2に記載の眼科用組成物。
【請求項4】
前記抗血管新生剤が多標的受容体チロシンキナーゼ(RTK)阻害剤である、請求項3に記載の眼科用組成物。
【請求項5】
前記RTK阻害剤がN−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素である、請求項4に記載の眼科用組成物。
【請求項6】
前記抗血管新生剤の濃度が1%〜15%である、請求項3に記載の眼科用組成物。
【請求項7】
前記共溶媒がPEG400である、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項8】
製剤中のPEG400の濃度が1%〜20%である、請求項7に記載の眼科用組成物。
【請求項9】
界面活性剤としてポリソルベート80をさらに含み、ポリソルベート80の濃度が0.001%〜1%である、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項10】
HPMCをさらに含み、該HPMCの濃度が0.01%〜2%である、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項11】
後強膜近傍、眼窩周囲または局所投与のための眼科用組成物であって、
i)抗血管新生剤の濃度が0.001%〜30%である活性薬剤;および
ii)200〜2500の分子量を有するポリエチレングリコール共溶媒
を含む、眼科用組成物。
【請求項12】
前記活性薬剤が、抗血管新生剤、抗炎症剤、および抗血管透過性剤からなる群から選択される、請求項11に記載の眼科用組成物。
【請求項13】
前記活性薬剤が抗血管新生剤である、請求項12に記載の眼科用組成物。
【請求項14】
前記抗血管新生剤が多受容体標的受容体チロシンキナーゼ(RTK)阻害剤である、請求項13に記載の眼科用組成物。
【請求項15】
前記共溶媒がPEG400であり、PEG400の濃度が1%〜20%である、請求項11に記載の眼科用組成物。
【請求項16】
界面活性剤としてポリソルベート80をさらに含み、ポリソルベート80の濃度が0.001%〜1%である、請求項11に記載の眼科用組成物。
【請求項17】
HPMCをさらに含み、該HPMCの濃度が0.01%〜2%である、請求項11に記載の眼科用組成物。
【請求項18】
眼新生血管形成を治療するための硝子体内注射のための組成物であって、
0.001〜10%の多標的受容体チロシンキナーゼ阻害剤;
10%のPEG400;
0.5%のポリソルベート80;および
0.5%のHPMC2910
を含む、組成物。
【請求項19】
前記RTK阻害剤がN−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素である、請求項18に記載の組成物。
【請求項1】
眼新生血管形成を治療するための硝子体内注射のための眼科用組成物であって、
i)0.001%〜30%の量の活性薬剤、および
ii)200〜2500の分子量を有するポリエチレングリコール共溶媒
を含む、眼科用組成物。
【請求項2】
前記活性薬剤が、抗血管新生剤、抗炎症剤、および抗血管透過性剤からなる群から選択される、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項3】
前記活性薬剤が抗血管新生剤である、請求項2に記載の眼科用組成物。
【請求項4】
前記抗血管新生剤が多標的受容体チロシンキナーゼ(RTK)阻害剤である、請求項3に記載の眼科用組成物。
【請求項5】
前記RTK阻害剤がN−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素である、請求項4に記載の眼科用組成物。
【請求項6】
前記抗血管新生剤の濃度が1%〜15%である、請求項3に記載の眼科用組成物。
【請求項7】
前記共溶媒がPEG400である、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項8】
製剤中のPEG400の濃度が1%〜20%である、請求項7に記載の眼科用組成物。
【請求項9】
界面活性剤としてポリソルベート80をさらに含み、ポリソルベート80の濃度が0.001%〜1%である、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項10】
HPMCをさらに含み、該HPMCの濃度が0.01%〜2%である、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項11】
後強膜近傍、眼窩周囲または局所投与のための眼科用組成物であって、
i)抗血管新生剤の濃度が0.001%〜30%である活性薬剤;および
ii)200〜2500の分子量を有するポリエチレングリコール共溶媒
を含む、眼科用組成物。
【請求項12】
前記活性薬剤が、抗血管新生剤、抗炎症剤、および抗血管透過性剤からなる群から選択される、請求項11に記載の眼科用組成物。
【請求項13】
前記活性薬剤が抗血管新生剤である、請求項12に記載の眼科用組成物。
【請求項14】
前記抗血管新生剤が多受容体標的受容体チロシンキナーゼ(RTK)阻害剤である、請求項13に記載の眼科用組成物。
【請求項15】
前記共溶媒がPEG400であり、PEG400の濃度が1%〜20%である、請求項11に記載の眼科用組成物。
【請求項16】
界面活性剤としてポリソルベート80をさらに含み、ポリソルベート80の濃度が0.001%〜1%である、請求項11に記載の眼科用組成物。
【請求項17】
HPMCをさらに含み、該HPMCの濃度が0.01%〜2%である、請求項11に記載の眼科用組成物。
【請求項18】
眼新生血管形成を治療するための硝子体内注射のための組成物であって、
0.001〜10%の多標的受容体チロシンキナーゼ阻害剤;
10%のPEG400;
0.5%のポリソルベート80;および
0.5%のHPMC2910
を含む、組成物。
【請求項19】
前記RTK阻害剤がN−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素である、請求項18に記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−521493(P2009−521493A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547725(P2008−547725)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/062303
【国際公開番号】WO2007/076358
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(399054697)アルコン,インコーポレイテッド (102)
【出願人】(508185052)
【出願人】(508185063)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/062303
【国際公開番号】WO2007/076358
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(399054697)アルコン,インコーポレイテッド (102)
【出願人】(508185052)
【出願人】(508185063)
【Fターム(参考)】
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