説明

眼内薬剤送達装置

眼内送達装置の製造方法は、固体の成形されたセルロースポリマーを、原薬(API)およびAPIを可溶化可能な溶媒を含む溶液に曝露することを含み、該ポリマーは、APIおよび溶媒を含む溶液の少なくとも一部を吸収する。この方法は、吸収された溶媒をポリマーから蒸発させることによりまたはポリマーを乾燥させることにより、吸収された溶媒の少なくとも一部をポリマーから除去することをさらに含むことができる。ヒドロキシプロピルセルロースを含む、さまざまなセルロースポリマーを使用することができる。シクロスポリン、トブラマイシンおよびバンコマイシンを含む、さまざまなAPIを使用することができる。この方法により製造される眼内送達装置を用いて、さまざまな眼障害を治療することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2009年10月30日出願の米国特許仮出願第61/256,915号、および2010年10月7日出願の米国特許仮出願第61/391,040号からの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
眼内挿入物(ocular inserts)は、眼のさまざまな障害を治療するために使用される。例えば、市販のLacrisert(登録商標)は、ドライアイを治療するために使用される。Lacrisert(登録商標)は、患者または開業医による眼の下盲嚢への投与のための、ヒドロキシプロピルセルロースでできた無菌の半透明のロッド状の水溶性眼科用挿入物である。挿入されると、このヒドロキシプロピルセルロースは、数時間から1日かけて目の中でゆっくり溶解する。ドライアイ治療の場合、ヒドロキシプロピルセルロースは、涙の保持を助け、涙の粘度を増加させて、ドライアイに関連する症状を軽減する。
【0003】
Lacrisert(登録商標)を含む、ポリマー眼内挿入物は、一般にポリマー成形過程、例えば圧縮成形、射出成形、または押出成形により作製される。これらの過程の各々において、ポリマー(および挿入物に組み込まれるあらゆる構成成分)は、高温に曝露される(例えば、約80℃〜約400℃の温度)。しかし、多くの有用な原薬(API)は、これらの温度では熱的に不安定である。よって、多くのポリマー眼内挿入物に組み込むことのできるAPIの種類は、高温のポリマー成形過程を生き残ることのできるものに制限される。さらに、これらの従来の成形過程は特別に設計された設備を必要とし、時間がかかり、複雑で、費用がかかる。ポリマー眼内挿入物を製造する他の方法には、フィルム流延を含み、挿入物の中に組み入れられるポリマーおよび任意の関連する構成成分(例えば、API)が高温下で溶解することが多い。この方法は、多くの場合、高温を必要とするだけでなく、ポリマーとAPIの両方を溶解させる得る溶媒も必要とする。一般に、上記の方法は、成形されたポリマーを形成するための条件を、ポリマーをその他の構成成分、例えばAPIなどを導入するための条件と無関係に最適化させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一部の眼障害は眼内挿入物で治療することができるが、ある種の眼障害は、一般に点眼薬で治療される。例えば、強化されたトブラマイシンおよびバンコマイシン点眼薬は、多くの場合、角膜支質の細菌感染を治療するために使用される。細菌性角膜炎は、そのような種類の感染である。細菌性角膜炎は、1000件の外来診療のうちの約3.02件に見られるが、発生率はコンタクトレンズを装用する集団内で増加している。すべての細菌性角膜炎培養物のうち、28.9%が、黄色ブドウ球菌(Staphlococcus aureus)(S.aureus)に起因する。角膜支質の重篤な細菌感染は、視覚、角膜、およびさらには眼全体を失うことを防ぐために即時かつ集中的な治療を必要とする。多くの場合、半時間毎に点眼薬による薬剤の投与のために、集中的な看護を伴う入院患者の入院加療が必要とされる。そのような看護は時間がかかり、費用がかかり、患者に対して侵襲性である。その上、局所用点眼薬の約90〜95%は、鼻に流出するかまたは頬に溢流することにより、非常に早く涙膜から除去される。眼の表面および角膜内で十分な薬剤濃度を実現することは、困難な挑戦を提示する。現行の局所治療様式で、角膜の重篤感染の予後は、非常に不良のままである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、眼内送達装置、眼内送達装置を製造する方法、および眼内送達装置を用いてさまざまな眼障害を治療する方法を提供する。本方法は、固体の成形されたセルロースポリマーを、APIおよびAPIを可溶化可能な溶媒を含む溶液に曝露することを含む。この工程の間、ポリマーは、APIおよび溶媒を含む溶液の少なくとも一部を吸収し、それによりAPIが導入(load)された状態となる。本方法は、吸収された溶媒をポリマーから蒸発させるかまたはポリマーを、場合により真空下で、乾燥させることにより、吸収された溶媒の少なくとも一部をポリマーから除去することをさらに含む。よって、本方法は、どのような過度の温度上昇をも必要とせずに、導入されたポリマー眼内挿入物を提供する。本開示の方法は、従来の方法よりも速く、単純で、費用がかからないだけでなく、ポリマー成形工程の条件を、ポリマーにAPIを導入する条件とは独立に最適化することを可能にする。結果として、本開示の眼内送達装置を、従来の眼内挿入物製造方法で可能なものよりも広い範囲のAPIで製造することができる。最後に、本開示の眼内送達装置は、細菌性角膜炎を含むさまざまな眼障害に対して、より効率的でより簡便な治療を提供することが可能である。
【0006】
「成形された」とは、セルロースポリマーが、長さ、幅(例えば、直径)および高さを有する三次元であることを意味する。本発明の好ましい態様では、セルロースポリマーの長さは、約0.5mm〜約7mm、好ましくは約1〜約5mm、より好ましくは約2〜約4mmの範囲内である。同様に、セルロースポリマーの一態様の幅(または円筒もしくは円板の場合には直径)は、約0.5mm〜約4mm、好ましくは約1〜約3mm、より好ましくは約1〜約2mmの範囲内である。セルロースポリマーの態様が、高さ寸法を有する場合、高さは、約0.5〜約3mm、好ましくは約1〜約2.5mm、より好ましくは約1〜約2mmの範囲内である。そのため、本発明のセルロースポリマーは、ロッド状、円板状、ブロック形状、細長い形状、フットボール形状、長方形の形状、半円筒(half−cylinder)の形状または部分円筒(semi−cylinder)の形状などとして記載され得る形状を有し得る。セルロースポリマーは、滑らかな表面(円筒または立方体のように)またはレーズンの表面のように不規則な表面(すなわち、滑らかでない円柱面またはレーズン様)を有し得る。また、セルロースポリマーは膨潤し、および/または不規則に成形され得る。さらに他の態様では、セルロースポリマーの寸法は、直径1.27mmおよび長さ3.5mmの滑らかな円筒形状の市販のLacrisert(登録商標)の示す寸法と同じではない。さらに、市販のLacrisert(登録商標)の表面の光学特性が視覚的に不透明であるのに対して、本発明のセルロースポリマーの表面は、半透明と説明し得る。しかし、Lacrisert(登録商標)に導入される薬剤の性質によって、本発明のセルロースポリマーの表面は、市販のLacrisert(登録商標)の表面に類似して、それよりも半透明に、またはそれよりも不透明に見え得る。
【0007】
固体の成形されたセルロースポリマーは、当該分野で公知の方法により作製することができる。一部の態様によれば、固体の成形されたポリマーは、押出、成形、または機械加工によって作製される。例えば、ポリマーは、単軸もしくは二軸スクリュー押出機などの押出装置で押出することができる。一部の態様では、ポリマーは、圧縮成形または溶液成形(solution molding)を用いて成形され得る。一部の態様では、固体の成形されたセルロースポリマーは、セルロースポリマーの粉末から作製され、それには、限定を意図するものではないが、セルロースポリマーのホットメルト押出によるものが含まれる。よって、そのような態様では、固体の成形されたセルロースポリマーは、粉末ではない。
【0008】
一態様では、固体の成形されたセルロースポリマーを、ポリマーの膨潤を少なくとも1つの方向(例えば、軸方向、半径方向など)について制限するように適合させた容器の中に配置すること;ポリマーを、容器の中に配置したまま、原薬および該原薬を可溶化可能な溶媒を含む溶液に曝露して、ポリマーに原薬および溶媒を含む溶液の少なくとも一部を吸収させること、吸収された溶媒をポリマーから蒸発させるかまたはポリマーを乾燥させること;ならびに、ポリマーを容器からはずし、眼内送達装置を製造することを含む、眼内送達装置の製造方法を提供する。一部の態様では、少なくとも1つの方向は、半径方向である。他の態様では、少なくとも1つの方向は、縦方向または長手方向であってもよい。一部の態様では、容器の内部表面の形状および寸法は、ポリマーの外部表面の形状および寸法と実質的に一致する。一部の態様では、容器は、管状の容器である。一部の態様では、容器はトラフ状の容器である。一部の態様では、容器の内部表面は、離型剤でコーティングされている。適した離型剤としては、限定を意図するものではないが、ジメチルジクロロシラン、ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、(ジメチルアミノ)トリメチルシラン、N−(トリメチルシリル)ジメチルアミン、ヘキサメチルジシラザン/トリメチルクロロシラン/1−クロロナフタレン、クロロトリブチルシラン、トリブチルシリルクロリドなどが挙げられる。一部の態様では、眼内送達装置は、眼内送達装置を媒体に曝露させると原薬を放出することができる。一部の態様では、媒体には涙液が含まれる。一部の態様では、吸収された溶媒の実質的にすべてをポリマーから蒸発させるか、またはポリマーを乾燥させて吸収された溶媒の実質的にすべてをポリマーから除去する。一部の態様では、ポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロースである。一部の態様では、原薬は、約80℃超で熱的に不安定である。
【0009】
一部の態様では、眼内送達装置は、1時間から最大24時間までの長期間、原薬を放出することができる。一部の態様では、眼内送達装置からの原薬の放出は、眼内送達装置を媒体に曝露してから約2〜約6時間の実質的に0次放出である。
【0010】
本発明のもう一つの態様では、眼内送達装置から原薬を放出する方法が提供され、眼内送達装置は、半円筒(または部分円筒)のセルロースポリマーおよび原薬を含み、前記方法は、眼内送達装置を、動物の涙液を含む水溶液または媒体と接触させることを含む。好適なセルロースポリマーは、上記のものである。一部の態様では、半円筒は、等分または不等分に縦方向に切断されたLacrisert(登録商標)眼内挿入物である。一部の態様では、原薬の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約35%、少なくとも約45%、少なくとも約60%、約5%〜約60%、または約5%〜約45%が、1時間にわたって放出される。一部の態様では、原薬の少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、約20%〜約80%、または約20%〜約65%が、約2時間にわたって放出される。一部の態様では、原薬の少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、約20%〜約80%、または約20%〜約65%が、約4時間にわたって放出される。後述の図13、14、16、および20も参照されたい。
【0011】
一部の態様では、原薬の約50%は、約5時間で放出される。一部の態様では、原薬の少なくとも約90%は、約5時間で放出される。
【0012】
一部の態様では、眼内薬剤送達装置からのAPI放出の確認試験は、インビトロまたはインビボで実施される。インビトロで実施される場合、このような方法は、一定の速度で眼に送達することのできる、または送達する必要のある活性医薬品剤を特定するために使用することができる。インビボで実施される場合、このような方法は、眼内薬剤送達の動物モデルとして使用することができる。ヒトにおいてインビボで放出される場合、該方法は、ヒト眼内または眼上に放出される場合に、医学的状態、特に眼の状態に関連する1以上のマイナスの影響の軽減をもたらすことができる。
【0013】
もう一つの態様では、眼内送達装置の製造方法には、固体の成形されたセルロースポリマーを、原薬および該原薬を可溶化可能な溶媒を含む溶液に曝露し、ポリマーに原薬および溶媒を含む溶液の少なくとも一部を吸収させること;ならびに、例えば、吸収された溶媒の実質的にすべてをポリマーから蒸発させるか、またはポリマーを、場合により真空下で、乾燥させることにより、吸収された溶媒の実質的にすべてをポリマーから除去し、それにより眼内送達装置を製造することが含まれる。
【0014】
もう一つの態様では、眼内送達装置の製造方法には、固体の成形されたヒドロキシプロピルセルロースポリマーを、原薬および該原薬を可溶化可能な溶媒を含む溶液に曝露し、ポリマーに原薬および溶媒を含む溶液の少なくとも一部を吸収させること;ならびに、吸収された溶媒をポリマーから蒸発させるかまたはポリマーを乾燥させて、眼内送達装置を製造することが含まれる。
【0015】
もう一つの態様では、記載される方法のいずれかにより作製される眼内送達装置を提供する。
【0016】
もう一つの態様では、眼内送達装置の製造方法を提供し、その方法は、半円筒の固体のセルロースポリマーをトラフの中に配置すること、および、半円筒を、原薬および原薬を可溶化可能な溶媒を含む溶液に曝露することを含む。本方法の一部の態様では、半円筒は、原薬および溶媒を含む溶液の少なくとも一部を吸収して、眼内送達装置を製造する。一部の態様では、トラフは、半円筒の膨潤を少なくとも1つの方向について制限するように適合されている。一部の態様では、本方法は、原薬の溶液への曝露後に、吸収された溶媒を半円筒から蒸発させるかまたは半円筒を乾燥させることをさらに含む。一部の態様では、本方法は、眼内送達装置をトラフからはずすことをさらに含む。好ましい態様では、原薬は、アセブトロール、アシクロビル、ベタキソロール、ビマトプロスト、ブリモニジン酒石酸塩、ブリンゾラミド、ブロムフェナクナトリウム、セファゾリン、セファレキシン、セファドロキシル、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン塩酸塩、シクロスポリン、デキサメタゾン、ドルゾラミド塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エリスロマイシン、ガンシクロビル(Gancicylovir)、ガチフロキサシン、ゲンタマイシン硫酸塩、ケトロラックトロメタミン、ラベタロール、ラタノプロスト、エタボン酸ロテプレドノール、モキシフロキサシン塩酸塩、ネパフェナク、オフロキサシン、オロパタジン塩酸塩、ペニシリン、ピンドロール、プレドニゾロン、プロパノロール、ポリミキシンB硫酸塩/トリメトプリム硫酸塩、スルファセタミドナトリウム、チモロールマレイン酸塩、トリフルリジン(Triflourodine)、トブラマイシン、トラボプロスト、バンコマイシン、またはそのいずれかの2以上の混合物である。一部の態様では、原薬は、シクロスポリンである。一部の態様では、半円筒は、セルロースポリマーのロッド(または円筒)を縦方向に分割して実質的に2等分にすることにより成形される。一部の態様では、Lacrisertを2等分または2つの不等分に分割して半円筒を成形する。一部の態様では、溶液には、アルコール溶媒、例えばメタノール、エタノールなどが含まれる。その他の極性もしくは非極性有機溶媒、水溶液およびそれらの混合物は、固体のセルロースポリマーと原薬を含む溶液を接触させる前に、対象の原薬を溶解するのに有用であり得る。
【0017】
もう一つの態様では、固体の成形されたセルロースポリマー、およびポリマー中に分散した治療上有効な量の原薬を含む、眼内送達装置を提供する。一部の態様では、原薬は、アセブトロール、アシクロビル、ベタキソロール、ビマトプロスト、ブリモニジン酒石酸塩、ブリンゾラミド、ブロムフェナクナトリウム、セファゾリン、セファレキシン、セファドロキシル、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン塩酸塩、シクロスポリン、デキサメタゾン、ドルゾラミド塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エリスロマイシン、ガンシクロビル、ガチフロキサシン、ゲンタマイシン硫酸塩、ケトロラックトロメタミン、ラベタロール、ラタノプロスト、エタボン酸ロテプレドノール、モキシフロキサシン塩酸塩、ネパフェナク、オフロキサシン、オロパタジン塩酸塩、ペニシリン、ピンドロール、プレドニゾロン、プロパノロール、ポリミキシンB硫酸塩/トリメトプリム硫酸塩、スルファセタミドナトリウム、チモロールマレイン酸塩、トリフルリジン、トブラマイシン、トラボプロスト、バンコマイシン、またはそのいずれかの2以上の混合物から選択される。一部の態様では、原薬は、ビマトプロスト、ブリモニジン酒石酸塩、ブリンゾラミド、ブロムフェナクナトリウム、シクロスポリン、ドルゾラミド塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、ガチフロキサシン、ゲンタマイシン硫酸塩、ケトロラックトロメタミン、ラタノプロスト、エタボン酸ロテプレドノール、モキシフロキサシン塩酸塩、ネパフェナク、オフロキサシン、オロパタジン塩酸塩、トラボプロスト、バンコマイシン、またはそのいずれかの2以上の混合物から選択される。一部の態様では、ポリマーは、30重量%超のヒドロキシプロピルセルロースを含む。他の態様では、ポリマーは、実質上ヒドロキシプロピルセルロースからなる。一部の態様では、眼内送達装置は、軟膏または液体中に懸濁されていない。これらの態様の中で、一部の態様では、眼内装置は、パッケージングされて、それ自体が眼に挿入される。
【0018】
もう一つの態様では、固体の成形されたセルロースポリマーと、ポリマー中に分散した治療上有効な量の原薬とを含む眼内送達装置を提供する。一部の態様では、固体の成形されたセルロースポリマーは、約4よりも大きい、または約5よりも大きい、または約6よりも大きい、または約7よりも大きい、または約8よりも大きい、または約9よりも大きい、または約10よりも大きい表面積対体積比を有する。一部の態様では、固体の成形されたセルロースポリマーは、約4〜約10、約5〜約10、約5〜約9、約4〜約8、約4〜約7、約5〜約7、約4〜約6、または約5〜約6の表面積対体積比を有する。本明細書において、表面積および体積を測定する長さの単位は同じである。
【0019】
もう一つの態様では、セルロースポリマーの半円筒およびその中に分散した原薬を含む眼内送達装置を提供する。一部の態様では、原薬は、アセブトロール、アシクロビル、ベタキソロール、ビマトプロスト、ブリモニジン酒石酸塩、ブリンゾラミド、ブロムフェナクナトリウム、セファゾリン、セファレキシン、セファドロキシル、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン塩酸塩、シクロスポリン、デキサメタゾン、ドルゾラミド塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エリスロマイシン、ガンシクロビル、ガチフロキサシン、ゲンタマイシン硫酸塩、ケトロラックトロメタミン、ラベタロール、ラタノプロスト、エタボン酸ロテプレドノール、モキシフロキサシン塩酸塩、ネパフェナク、オフロキサシン、オロパタジン塩酸塩、ペニシリン、ピンドロール、プレドニゾロン、プロパノロール、ポリミキシンB硫酸塩/トリメトプリム硫酸塩、スルファセタミドナトリウム、チモロールマレイン酸塩、トリフルリジン、トブラマイシン、トラボプロスト、バンコマイシン、またはそのいずれかの2以上の混合物である。一部の態様では、眼内送達装置は、治療上有効な量の原薬を含む。一部の態様では、半円筒は、ロッドを縦方向に等分、または不等分に分割することにより作製される。一部の態様では、原薬は、シクロスポリンである。
【0020】
もう一つの態様では、眼障害を治療する方法は、原薬を有する1以上の眼内送達装置を、それを必要とする被験体の下眼瞼の盲嚢の中に配置することを含む。一部の態様では、眼障害には、角膜感染が含まれる。一部の態様では、角膜感染には、細菌性角膜炎が含まれる。一部の態様では、原薬には、バンコマイシンとトブラマイシンの混合物が含まれる。
【0021】
本発明のさまざまな態様の中で、一部の態様では、本発明の眼内送達装置に含まれる治療上有効な量のAPIは、約1μg〜約7.5mg、約5μg〜約5mg、約10μg〜約1mg、約20μg〜約500μg、または約50μg〜約250μgである。
【0022】
当業者は、本開示を読んで、さまざまなAPIが本発明に従って有用であるように、これらのAPIのある種の製薬上許容される塩、およびこれらのAPIのある種の遊離塩基形態も本発明に従って有用であることを理解するであろう。
【0023】
一部の態様では、本明細書において提供される眼内送達装置により投与される分率(fraction)は、点眼薬により投与されるものを上回る。本明細書において、「分率」は、投与完了後に眼組織に保持される原薬の量の、眼内送達装置または点眼薬中の原薬の総量に対する比である。同量の原薬を眼内送達装置および点眼薬に使用する場合、分率は、単純に、眼組織に保持されるそれぞれの量によって表すことができる。例えば、本発明の眼内送達装置を用いる眼のさまざまな組織に投与される薬剤の分率または量は、点眼薬により投与されるものよりも約10%、約20%、約30%、約50%、約60%、約70%、または約80%多い。分率は、さまざまな方法を用いて決定することができ、それには、限定を意図するものではないが、下記に開示されるように、放射性同位体で標識した原薬を使用することが含まれる。比較の点眼薬は、商業的に入手可能であるか、または当業者によって既知成分を使用して既知手順に従って容易に処方することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】無処理の非導入Lacrisert(登録商標)(A)および蛍光標識されたバンコマイシンを導入して乾燥させた後のLacriserts(登録商標)(B〜D)の写真を示す図である。
【図2】蛍光標識バンコマイシン(FVanc)のLacrisert(登録商標)からの放出実験の結果を示す図である。図に示されるように、50±4%(約625μg)のFVancが、8時間にわたって導入Lacrisert(登録商標)から放出された。
【図3】バンコマイシン(Vanc)を導入したLacrisert(登録商標)の有効性のインビボ実験の結果を示す図である。この図は、対照角膜(Cntrl)、非導入Lacrisert(登録商標)(非処理)で処理した角膜、およびVanc導入Lacrisert(登録商標)(Vanc導入)で処理した角膜から培養されたコロニー形成単位(CFU)のグラフである。
【図4】市販の非導入Lacrisert(登録商標)の約2倍の長さの薬剤導入Lacrisert(登録商標)を示す図である。
【図5】市販の非導入Lacrisert(登録商標)と比較して長方形に成形された、薬剤導入Lacrisert(登録商標)を示す図である。
【図6】縦方向に分割し、端と端を接続して、ポリ(メチルメタクリレート)またはPMMAでできたポリマートラフ(すなわち型)の中に配置した非導入Lacrisert(登録商標)を示す図である。その後、薬剤の溶液を型の中に導入すると吸収が起こる。その後、薬剤導入Lacrisert(登録商標)を乾燥させることができる。得られる形状は、半円筒であるかまたはより長方形の形状であり得る。2つの半体を一緒に融合させてもよい。
【図7】本発明の2つのVanc導入セルロースポリマーの放出速度のプロットを示す図である。1つは25マイクロリットルのVanc溶液を吸収させ、2つ目は50マイクロリットルの同じVanc溶液を吸収させた。1つの装置はもう一方の2倍の量のVancを含有したが、プロットに示されるように、放出速度は、3〜8時間(時)の間に0次と説明することができる。
【図8】実施例においてより詳細に記載されるように、シクロスポリンを2つの試験に対して8時間の期間にわたって導入した、本発明の成形された送達装置であるLacrisert半体からの平均のシクロスポリン放出をグラフによって示す図である。
【図9】実施例においてより詳細に記載されるように、12時間の実験期間の終わりに、シクロスポリン導入Lacrisert半体により送達される、眼組織全体に保持されるシクロスポリンの量をグラフによって示す図である。
【図10】実施例においてより詳細に記載されるように、12時間の実験期間の終わりに、シクロスポリン導入Lacrisert半体により送達される、さまざまな眼組織に保持されるシクロスポリンの量をグラフによって示す図である。
【図11】実施例においてより詳細に記載されるように、2つの試験に対して8時間の期間にわたる、ラタノプロスト(Latanosport)導入Lacrisert半体からの平均のラタノプロスト放出特性をグラフによって示す図である。
【図12】実施例においてより詳細に記載されるように、12時間の実験期間の終わりに、ラタノプロスト(Latanosport)導入Lacrisert半体により送達される、さまざまな眼組織に保持されるラタノプロストの量をグラフによって示す図である。
【図13】実施例においてより詳細に記載されるように、バンコマイシン導入Lacrisert半体の薬剤放出特性をグラフによって示す図である。
【図14】実施例においてより詳細に記載されるように、シクロスポリン導入Lacrisert半体の薬剤放出特性をグラフによって示す図である。
【図15】実施例においてより詳細に記載されるように、8時間の期間にわたる、ベタキソロール導入Lacrisert半体から放出されるベタキソロールの平均量をグラフによって示す図である。
【図16】実施例においてより詳細に記載されるように、8時間の期間にわたる、ベタキソロール導入Lacrisert半体についての放出特性%をグラフによって示す図である。
【図17】実施例においてより詳細に記載されるように、投与8時間後のベタキソロール導入Lacrisert半体により送達される、眼中の組織全体のベタキソロール濃度をグラフによって示す図である。
【図18】実施例においてより詳細に記載されるように、投与8時間後のベタキソロール導入Lacrisert半体により送達される、眼中のさまざまな組織のベタキソロール濃度をグラフによって示す図である。
【図19】実施例においてより詳細に記載されるように、8時間の期間にわたる、ゲンタマイシン導入Lacrisert半体から放出されるゲンタマイシンの平均量をグラフによって示す図である。
【図20】実施例においてより詳細に記載されるように、8時間の期間にわたる、ゲンタマイシン導入Lacrisert半体についての放出特性%をグラフによって示す図である。
【図21】実施例においてより詳細に記載されるように、投与8時間後のゲンタマイシン導入Lacrisert半体により送達される、眼中の組織全体のゲンタマイシン濃度をグラフによって示す図である。
【図22】実施例においてより詳細に記載されるように、投与8時間後のゲンタマイシン導入Lacrisert半体により送達される、眼中のさまざまな組織のゲンタマイシン濃度をグラフによって示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書において、眼内送達装置、眼内送達装置の製造方法、および眼内送達装置の使用方法を提供する。
【0026】
眼内送達装置の製造方法
本開示の眼内送達装置の製造方法は、固体の成形されたセルロースポリマーを、APIおよびAPIを可溶化可能な溶媒を含有する溶液に曝露することを含む。この工程の間、ポリマーは、APIおよび溶媒を含む溶液の少なくとも一部を吸収して、APIを導入した状態となる。本方法は、吸収された溶媒をポリマーから蒸発させるかまたはポリマーを乾燥させることにより吸収された溶媒の少なくとも一部をポリマーから除去することをさらに含む。さまざまな量の吸収された溶媒を、ポリマーから除去することができる。一部の実施形態では、吸収された溶媒の少なくとも10%が除去される。これには、吸収された溶媒の少なくとも30%、50%、70%、90%、またはそれ以上がポリマーから除去される実施形態が含まれる。さらに他の実施形態では、吸収された溶媒の実質的にすべてが除去される。「実質的にすべて」とは、溶媒の一つ一つの分子が必ずしも除去されるわけではないが、当業者が乾燥していると認識するように、吸収された溶媒のほぼすべてがポリマーから除去されることを意味する。
【0027】
吸収された溶媒をポリマーから蒸発させることはさまざまな手段によって達成することができる。ほんの一例としては、ポリマーを、所望の量の溶媒がポリマーから蒸発するまでの期間、周囲環境に単に曝露すればよい。同様に、さまざまな技法を用いて、ポリマーがAPI含有溶液を吸収した後にポリマーを積極的に乾燥させることができる。ほんの一例としては、ポリマーを一定時間真空炉に入れてもよい。乾燥は、さまざまな温度および圧力でさまざまな時間実施することができる。一部の実施形態では、乾燥は、室温にて実施される。他の実施形態では、乾燥は、室温より上で実施される。さらにその他の実施形態では、乾燥は、約20℃〜約79℃の温度で実施される。一部の実施形態では、乾燥は、約30℃〜約40℃で実施される。一部の実施形態では、乾燥は、真空下約0.1〜約20psiで実施される。
【0028】
一部の実施形態では、乾燥は、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも5時間、または少なくとも10時間の間実施される。一部の実施形態では、乾燥は、約10分〜約5日、約10分〜約24時間、約10分〜12時間、約10分〜10時間、約10分〜8時間、約10分〜7時間、約10分〜6時間、約10分〜5時間、約10分〜4時間、約10分〜3時間、約30分〜8時間、約30分〜7時間、約30分〜6時間、約30分〜5時間、約30分〜4時間、約30分〜3時間、約1時間〜約15時間、約1時間〜12時間、約1時間〜8時間、約1時間〜5時間、または約1時間〜約3時間の間実施される。他の実施形態では、乾燥は、約12時間、約10時間、約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約45分、約30分、約15分、約10分、約9分、約8分、約7分、約6分、約5分、約4分、約3分、約2分、約1分、または約30秒の間実施される。さらに他の実施形態では、乾燥は、一晩、好ましくは無菌条件下で実施される。
【0029】
一部の実施形態では、本方法は、ポリマーをAPI含有溶液に曝露する前に該ポリマーを容器の中に配置することがさらを含む。ポリマーによる溶液の吸収は、ポリマーを膨潤させ、それによりその寸法を増加させ、その形状を変形させ得る。容器は、ポリマーの膨潤をポリマーの少なくとも1つの方向について、2以上の方向について、またはすべての方向について制限するように適合させることができる。「適合させる」とは、容器の内部表面が、ポリマーの膨潤をポリマーの特定の方向について制限するために十分な形状および寸法を有することを意味する。一部の実施形態では、容器の内部表面の形状および寸法は、ポリマーの外部表面の形状および寸法と実質的に一致する。「実質的に一致する」とは、容器の内部表面とポリマーの外部表面の形状および寸法が類似していて、必ずしも同一である必要はないことを意味する。形状を制限することにより、ポリマーが流動しないようにする。
【0030】
さまざまな形状および寸法を有するさまざまな容器を、ポリマーの形状および寸法に応じて使用することができる。一部の実施形態では、容器は、管状の容器である。ほんの一例としては、管状の容器を用いてロッド状のポリマーの膨潤を制限することができる。ロッド状のポリマーの外径に実質的に一致する内径を有する管状の容器は、ポリマーが溶液を吸収する時にその半径方向の膨潤を制限することができる。管状の容器の内側の長さは、ロッド状のポリマーの外側の長さと実質的に一致させ得るが、必ずしも一致する必要はない。管状の容器の内側の長さがロッド状のポリマーの外側の長さと実質的に一致しない場合、ポリマーが溶液を吸収する時にポリマーは長手方向に膨潤することが可能となり得る。もう一つの実施形態では、円板状のポリマーを受け入れるように容器を成形することができる。容器は、容器の中に含まれるポリマーに薬剤溶液を浸透させるために、1以上の穿孔を有し得る。安価で容易に入手可能な容器の限定を意図しない例は、ピペットチップおよびガラスまたはプラスチック管である。
【0031】
容器の使用を含む実施形態について、本方法は、ポリマーを容器からはずすことをさらに含んでもよい。一部の実施形態では、薬剤を導入したポリマーは、容器から容易に取り出すことができるか、または押し出すことができる。他の実施形態では、容器の内部表面を離型剤でコーティングして、ポリマーを容器からはずすことを容易にしてもよい。ポリマーの組成および容器の組成に応じて、さまざまな離型剤を使用することができる。適した離型剤としては、限定を意図するものではないが、シラン処理剤が挙げられる。例えば、プラスチックまたはガラス管を、薬剤導入後のポリマーから容易に剥離するシラン処理剤でコーティングしてもよい。シラン処理剤は、当該分野で周知であり、例としては、限定を意図するものではないが、イソシアナト−γ−プロピルトリメトキシシラン、3−(アクリロキシプロピル)トリクロロシラン、3−アミノプロピルトリエチオキシシラン、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)−トリエトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、および(3−メルカプトプロピル)−トリメトキシシランが挙げられる。最後に、容器を使用する場合、ポリマーを、蒸発または乾燥工程の間、容器の中にとどめてもよい。
【0032】
一部の実施形態では、製造された眼内送達装置は、眼内送達装置が液体媒体に曝露されることで、吸収したAPIを放出することができる。一部のこのような実施形態では、該媒体には、涙液が含まれる。涙液は、ヒト、霊長類、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット、ラット、またはマウスを含む動物由来であってよい。一部の実施形態では、涙液は、ヒト涙液または緩衝媒体である。吸収されたAPIが放出される間の時間は、さまざまであり得る。一部の実施形態では、眼内送達装置は、吸収したAPIを約1/2時間〜約72時間の期間にわたって放出する。これには、吸収されたAPIが約2時間〜約60時間、約2時間〜約48時間、約2時間〜約36時間、約2時間〜約24時間、約2時間〜約20時間、約2時間〜約15時間、または約2時間〜約12時間の期間わたって放出される実施形態が含まれる。しかし、他の時間も可能である。一部の実施形態では、ポリマーからのAPIの放出は、実質的に均一である。「実質的に均一」とは、ポリマーからのAPIの放出速度が、正確に一定でなくてもよいが、上記の時間のいずれかにわたってほぼ一定であることを意味する。一部の実施形態では、放出速度は、挿入後の最初の期間に増加し(すなわち、薬剤のダンピングが最初に起こる)、その後に実質的に均一な、または実質的に0次の放出速度が挿入の後の中間の期間で続き、その後に放出速度の低下が挿入後の後半の期間で続く。例えば、薬剤を導入した挿入物の眼への挿入後の最初の1または2時間で、挿入物からの薬剤のダンピングが起こり、それに続いて実質的に0次の放出速度が1、2、または3〜6時間にわたって起こり、それに続いて6または7時間後に放出速度の低下が起こる。
【0033】
上記のように、本開示の方法は、固体の成形されたセルロースポリマーから眼内送達装置を製造することを含む。限定を意図するものではないが、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはそのいずれかの2以上の混合物を含む、さまざまなセルロースポリマーが使用され得る。一部の実施形態では、ポリマーには、ヒドロキシプロピルセルロースが含まれる。一部のこのような実施形態では、ポリマーには、30%を超えるヒドロキシプロピルセルロースが含まれる。さらに他のこのような実施形態では、ポリマーは、実質上ヒドロキシプロピルセルロースからなる。
【0034】
本開示の方法で使用されるセルロースポリマーは、固相であること、および特定の形状を有することを特徴とする。固体のポリマーの形状および寸法は、挿入物のサイズによる眼への刺激および/またはダメージが最小限になるようにポリマーを被験体の眼に挿入できるのであれば、特に制限されない。ポリマーは、限定を意図するものではないが、ロッド、長方形、円板などを含むさまざまな形状を有することができる。ポリマーの適した寸法は、約0.1mm〜約200mmの範囲の表面積をもたらす寸法である。しかし、他の表面積も可能である。固体の成形されたセルロースポリマーを製造する方法は公知である。
【0035】
一部の実施形態では、眼内挿入装置の形状の長さは、約1mm〜約8mm、約1mm〜約7mm、約1mm〜約6mm、約1mm〜約5mm、約1mm〜約4mm、約1mm〜約3mm、約1mm〜約2.5mm、約1.5mm〜約8mm、約1.5mm〜約7mm、約1.5mm〜約6mm、約2mm〜約8mm、約2mm〜約7mm、または約2mm〜約6mm、約1.5mm〜約5、約1.5mm〜約4mm、約2mm〜約3mm、および約1.5mm〜約2.5mmである。一部の実施形態では、眼内挿入装置の形状の幅は、約1mm〜約3.5mm、約1mm〜約2mm、約1mm〜約1.5mm、約1.2mm〜約3mm、約1.5mm〜約2mm、約1.2mm〜約1.5mm、約1.3mm〜約3mm、約1.3mm〜約2mm、または約1.3mm〜約1.5mmである。一部の実施形態では、形状は、円筒に近く、幅は直径である。
【0036】
一部の実施形態では、挿入物の寸法およびまたは形状は、APIを導入していない挿入物と比較して変形している。このような変形は、表面積対体積比によって表され得る。典型的な、いかなるAPIも含まないLacrisert(登録商標)の表面積対体積比は、約3.9である。よって、一部の実施形態では、固体の成形されたセルロースポリマーの表面積対体積比は、約4よりも大きい、または約5よりも大きい、または約6よりも大きい、または約7よりも大きい、または約8よりも大きい、または約9よりも大きい、または約10よりも大きい。他の実施形態では、固体の成形されたセルロースポリマーの表面積対体積比は、約4〜約10、約4〜約9、約4〜約8、約4〜約7、約4〜約6、約4〜約5、約5〜約10、約5〜約9、約5〜約8、約5〜約7、または約5〜約6である。体積に対する表面積のそのような増加は、涙液または別の媒体と接触する表面積を大きくし、それにより眼内送達装置からの薬剤送達速度を増加または調節することができる。
【0037】
本開示の方法において、固体の成形されたセルロースポリマーは、APIおよび溶媒を有する溶液に曝露される。さまざまなAPI(例えば眼障害の治療または予防に有用なものなど)を使用することができる。例となる眼障害は後述する。一部の実施形態では、APIは、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約100℃、約200℃、または約300℃より上で熱的に不安定なAPIである。これらは一般に、圧縮成形、射出成形、または押出成形などの従来のポリマー成形過程で使用される温度である。よって、一部の実施形態では、APIは、射出成形温度または押出温度で不安定なものである。
【0038】
APIには、限定を意図するものではないが、抗生物質、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗アレルギー薬(anti−allergenics)、非ステロイド系抗炎症薬、ステロイド系抗炎症薬、鬱血除去薬、縮瞳薬、抗コリンエステラーゼ、散瞳薬、交感神経作用薬、およびβ遮断薬が含まれる。APIの限定を意図しない例としては、アセブトロール、アシクロビル、ベタキソロール、ビマトプロスト、ブリモニジン酒石酸塩、ブリンゾラミド、ブロムフェナクナトリウム、セファゾリン、セファレキシン、セファドロキシル、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン塩酸塩、シクロスポリン、デキサメタゾン、ドルゾラミド塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エリスロマイシン、ガンシクロビル、ガチフロキサシン、ゲンタマイシン硫酸塩、ケトロラックトロメタミン、ラベタロール、ラタノプロスト、エタボン酸ロテプレドノール、モキシフロキサシン塩酸塩、ネパフェナク、オフロキサシン、オロパタジン塩酸塩、ペニシリン、ピンドロール、プレドニゾロン、プロパノロール、ポリミキシンB硫酸塩/トリメトプリム硫酸塩、スルファセタミドナトリウム、チモロールマレイン酸塩、トリフルリジン、トブラマイシン、トラボプロスト、バンコマイシン、またはそのいずれかの2以上の混合物が挙げられる。APIの他の限定を意図しない例としては、アゼラスチン塩酸塩、アトロピン硫酸塩、ベタメタゾン、カルバコール、フェニラミン、クロモグリク酸ナトリウム、シクロペントラート、デメカリウム臭化物、デキサメタゾン21−リン酸塩、エリスロマイシン塩基、フルオロメトロン、ガチフロキサシン、ホマトロピン、ヒドロキシアンフェタミン、イドクスウリジン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、ナファゾリン、レゾルビン類、リン脂質類、フェニレフリン、ヨウ化ホスホリン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロンナトリウムスルフェート(Prednisolone Sodium Sulfate)、スルフィソキサゾール、テトラヒドロゾリン塩酸塩(Tetrahydrazoline HCl)、チモロール、トブラマイシン硫酸塩、トロピカミド、6−ヒドロキシ−2−スルファモイルベンゾ[b]チオフェン、6−アセトキシ−2−スルファモイルベンゾ[b]チオフェン、5,6−ジヒドロ−4H−4−ヒドロキシチエノ[2,3−b]チオピラン−2−スルホンアミド−7,7−ジオキシド、またはそのいずれかの2以上の混合物が挙げられる。一部の実施形態では、APIは、バンコマイシンである。一部の実施形態では、APIは、シクロスポリンである。他の実施形態では、APIは、バンコマイシンとトブラマイシンの混合物である。
【0039】
同様に、さまざまな溶媒を使用することができる。実際に、溶媒が所望のAPIを可溶化可能であれば、溶媒は特に制限されない。語句「可溶化可能」は、所望のAPIを完全に可溶化する溶媒および所望のAPIを部分的に可溶化する溶媒を含むことを意味する。例となる溶媒は、水である。しかし、有機溶媒を使用してもよく、それには、限定を意図するものではないが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドまたはこのような溶媒のいずれか2以上の混合物が含まれる。溶媒に関する唯一の制限は、蒸発または真空によりポリマーから乾燥されうることである。一部の実施形態では、溶媒は、脱イオン水または緩衝系である。
【0040】
溶液中のAPIの濃度は、さまざまであり得る。実際に、濃度は特に制限されず、ポリマーの曝露に用いる溶液の体積、ポリマーにより吸収されるAPIの望ましい量、および飽和前にポリマーにより吸収され得るAPIの最大量によって選択することができる。APIの望ましい量は、眼内送達装置で処置する被験体において所望の治療効果をもたらす量であり得る。吸収されるAPIの望ましい量は、少なくとも、眼障害の性質、被験体の特徴(例えば、被験体の年齢、体重、全体的な健康状態、性別、および食事)および所望の投薬計画によって決まり、吸収され得るAPIの量は、少なくとも、APIの種類、ならびにポリマーの種類および寸法によって決まるので、具体的な濃度範囲を記載することは実際的ではない。しかし、APIの適した濃度は、これらおよび他の要因を考慮して容易に決定することができる。なお、下記の実施例は、Lacrisertをポリマーとして使用し、バンコマイシンをAPIとして使用し、処置する障害が黄色ブドウ球菌感染である場合の、例となる濃度を提供する。
【0041】
上記のように、本開示の方法は、ポリマーをAPI含有溶液に曝露する工程(すなわち「導入」または「導入する」工程)および、吸収された溶媒の少なくとも一部をポリマーから除去する工程(すなわち「蒸発」または「乾燥」工程)を含む。本方法は、さらなるAPI、または異なるAPIをポリマーに導入するためにこれらの工程を繰り返すことをさらに含んでよい。言い換えれば、本方法は、1以上の導入工程および1以上の蒸発または乾燥工程を含むことができる。ほんの一例として、一実施形態では、本方法は、APIおよび溶媒を有する第1の溶液にポリマーを曝露する第1の工程、第1の溶液から吸収した溶媒をポリマーから蒸発させるかまたはポリマーを乾燥させる第2の工程、APIおよび溶媒を有する第2の溶液にポリマーを曝露する第3の工程、ならびに第2の溶液から吸収した溶媒をポリマーから蒸発させるかまたはポリマーを乾燥させる第4の工程を含む。これらの工程の各々は、繰り返すことができる。もう一つの限定を意図しない例では、本方法は、複数の導入工程および1以上の乾燥工程を含んでもよい。言い換えれば、導入工程毎に乾燥工程がある必要はなく、また乾燥工程の順序はさまざまであってもよい。
【0042】
眼内送達装置
また、上記のいずれかの方法から製造される眼内送達装置も提供される。眼内送達装置には、固体の成形されたセルロースポリマー、および該ポリマー中に分散した治療上有効な量のAPIが含まれる。「治療上有効な量」とは、特定の眼障害に所望の治療効果をもたらす量を意味する。以下にさらに記載するように、所望の治療効果とは、眼障害に関連する症状の全部または一部の軽減;それらの症状のさらなる進行または悪化の防止;または眼障害の予防であり得る。上記のように、これらの効果を達成するために必要な量は、関連する要因を考慮して容易に決定することができる(例えば、眼障害の特性、被験体の特徴、投与計画等)。該装置には上記のセルロースポリマーまたはAPIのいずれを用いてもよい。同様に、該装置は上記のいずれの特徴を有してもよい。
【0043】
本開示の眼内送達装置は、従来の眼内送達装置とは多くの点で区別される。ほんの一例として、本開示の装置には、ポリマー眼内挿入物には通常見いだせない特定のAPIが含まれ得る。それは、それらのAPIが、このような挿入物を製造する従来の方法には適合しないためである。これらの従来法としては、限定を意図するものではないが、圧縮成形、射出成形、および押出成形が挙げられ、いずれも比較的高い加工温度およびフィルム流延を必要とし、高温(80℃以上)およびポリマーとAPIの両方を可溶化可能な溶媒を必要とし得る。したがって、一部の実施形態では、眼内送達装置中のAPIは、アセブトロール、アシクロビル、ベタキソロール、ビマトプロスト、ブリモニジン酒石酸塩、ブリンゾラミド、ブロムフェナクナトリウム、セファゾリン、セファレキシン、セファドロキシル、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン塩酸塩、シクロスポリン、デキサメタゾン、ドルゾラミド塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エリスロマイシン、ガンシクロビル、ガチフロキサシン、ゲンタマイシン硫酸塩、ケトロラックトロメタミン、ラベタロール、ラタノプロスト、エタボン酸ロテプレドノール、モキシフロキサシン塩酸塩、ネパフェナク、オフロキサシン、オロパタジン塩酸塩、ペニシリン、ピンドロール、プレドニゾロン、プロパノロール、ポリミキシンB硫酸塩/トリメトプリム硫酸塩、スルファセタミドナトリウム、チモロールマレイン酸塩、トリフルリジン、トブラマイシン、トラボプロスト、バンコマイシン、もしくはシクロスポリン、またはそのいずれかの2以上の混合物から選択される。さらに、アゼラスチン塩酸塩、アトロピン硫酸塩、ベタメタゾン、カルバコール、フェニラミン、クロモグリク酸ナトリウム、シクロペントラート、デメカリウム臭化物、デキサメタゾン21−リン酸塩、エリスロマイシン塩基、フルオロメトロン、ガチフロキサシン、ホマトロピン、ヒドロキシアンフェタミン、イドクスウリジン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、ナファゾリン、レゾルビン類、リン脂質類、フェニレフリン、ヨウ化ホスホリン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロンナトリウムスルフェート、スルフィソキサゾール、テトラヒドロゾリン塩酸塩、チモロール、トブラマイシン硫酸塩、トロピカミド、6−ヒドロキシ−2−スルファモイルベンゾ[b]チオフェン、6−アセトキシ−2−スルファモイルベンゾ[b]チオフェン、5,6−ジヒドロ−4H−4−ヒドロキシチエノ[2,3−b]チオピラン−2−スルホンアミド−7,7−ジオキシド、またはそのいずれかの2以上の混合物から選択される。他の実施形態では、APIはバンコマイシンである。一部の実施形態では、APIはシクロスポリンである。さらに他の実施形態では、APIはバンコマイシンとトブラマイシンの混合物である。
【0044】
もう一つの限定を意図しない例として、本開示の装置のセルロースポリマーには、相当量のヒドロキシプロピルセルロースが含まれ得る。このような装置は、ヒドロキシプロピルセルロースがかすみ目を引き起こす可能性があるためにこのポリマーの量を制限しようとする従来の装置とは区別される。一部の実施形態では、ポリマーには30%超のヒドロキシプロピルセルロースが含まれる。他の実施形態では、ポリマーは実質上ヒドロキシプロピルセルロースからなる。
【0045】
他の実施形態では、本開示の眼内送達装置は液体または軟膏中に懸濁されていない。このような装置は、サイズなどのさまざまな制限のために、被験体に液体または軟膏ビヒクル中で送達させる必要のあり得る従来の装置とは区別される。
【0046】
最後に、本開示の眼内送達装置において、ポリマーはAPIおよび前記APIを可溶化可能な溶媒を含む溶液に曝露され、さらに、吸収された溶媒をポリマーから蒸発させるか、またはポリマーを乾燥させて吸収された溶媒を除去している。その結果として、本開示の装置のポリマーは「事前膨潤」状態であって、涙液を含む媒体にポリマーがより速く溶解することができる。一部の実施形態では、本開示の装置のポリマーは、ポリマーが事前膨潤していない場合よりも速く溶解する。一部のこのような実施形態では、その溶解は、1.5倍、2倍、3倍、5倍速いか、それ以上である。
【0047】
眼内送達装置の使用方法
眼内送達装置の使用方法は、本開示の眼内送達装置のいずれかを、それを必要とする被験体の眼の中または上に入れることにより、眼障害を治療することを含む。本発明の特定の実施形態では、眼内送達装置は眼の下盲嚢中に配置されるか、挿入されるか、または入れられる。「治療する」とは、眼障害に関連する症状の全部または一部の軽減;それらの症状のさらなる進行または悪化の防止;または眼障害の発症の予防を意味する。例えば、眼障害の治療において、障害の予防、減少、または撲滅は、望ましい治療効果の例である。最後に、治療は必ずしも1つの眼内送達装置の投与によるものではなく、特定の期間にわたる一連の眼内送達装置の投与によるものであってもよい。
【0048】
本開示の装置を用いて、さまざまな眼障害または外傷、およびさまざまな被験体を治療することができる。眼障害には、細菌またはウイルス、外科的処置により引き起こされる感染症、ならびに眼疾患、例えば緑内障、眼の黒色腫、網膜色素変性症、眼内圧上昇、光受容体の変性、眼内新血管形成、硝子体網膜症、網膜変性、網膜虚血、網膜新血管形成、網膜色素上皮疾患、ドライアイ症候群、季節性アレルギー、およびトラコーマなどが含まれ得る。一部の実施形態では、ドライアイ症候群はマイボーム腺機能不全(meibumium gland dysfunction)および涙液欠乏性ドライアイを含む。眼障害にはまた、治癒および/または感染が懸念され得る外科手術後の期間も含まれ得る。ほんの一例として、眼障害には、角膜感染が含まれ得る。角膜感染には、ウイルス性または細菌性角膜炎が含まれ得る。被験体には、本開示の装置の投与が有効であり得るあらゆる動物が含まれる。一部の実施形態では、該被験体は哺乳動物(例えば、ヒト、ウサギ、霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ラット、またはマウス)である。このような一部の実施形態では、被験体はヒトである。
【0049】
当業者に理解されるように、任意のおよびすべての目的のために、特に書面による明細書を提供することに関して、本明細書に開示したすべての範囲は、任意のおよびすべての可能な下位範囲ならびにそれらの下位範囲の組合せも包含する。あらゆる記載範囲は、その同じ範囲が少なくとも等しい半分、三分の一、四分の一、五分の一、十分の一などに分割されることを、十分に説明し、かつ可能にすると、容易に認識することができる。限定を意図しない例として、本明細書において考察される各々の範囲は、下位三分の一、中位三分の一、および上位三分の一などに容易に分解することができる。同じく当業者に理解されるように、すべての言語、例えば「まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」などには、列挙された数が含まれ、かつ、その後に上記の下位範囲に分解され得る範囲をさす。最後に、当業者に理解されるように、範囲には個々のメンバーが含まれる。
【0050】
要素を説明する文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)、用語「a」および「an」および「the」および類似の言及の使用は、本明細書において特に指示のない限り、または明らかに文脈と矛盾しない限り、単数および複数の両方に及ぶものと解釈される。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」は、特に断りのない限り、オープンエンドの用語(すなわち「〜を含むが、それに限定されない」を意味する)として解釈される。本明細書中の数値範囲の列挙は、本明細書において特に断りのない限り、単にその範囲内に該当する各個別の値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各個別の値は、本明細書中で個々に列挙されるかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書において特に指示のない限り、または明らかに文脈と矛盾しない限り、任意の適した順序で実施することができる。本明細書中で使用する任意のおよびすべての例または例示的表現(例えば、「例えば、〜など」)は、特に記載されない限り、単に実施形態の理解をより容易にすることだけを意図し、特許請求の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言語も、本発明の実施に不可欠な、特許請求されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0051】
本明細書中で用いられる場合、「約」は、当業者の理解するものであり、それが使用される文脈によってある程度変動する。当業者に明らかではない用語の使用がある場合、それが使用されている文脈を考えると、「約」は特定の用語の最大で±10%までを意味する。
【0052】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、発行された特許、およびその他の文書は、各個別の刊行物、特許出願、発行された特許、またはその他の文書が、特に、および個別に、その全体が参照により組み込まれると示されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる文章に含まれている定義は、それらが本開示の定義に矛盾する範囲まで除外されるものとする。
【0053】
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書において具体的に開示されていない任意の単数または複数の要素、単数または複数の制限がなくても適切に実施することができる。したがって、例えば、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」等は、拡張的に、制限なしに読み取られるべきである。その上、本明細書において用いられる用語および表現は、説明の用語として用いられたものであって限定するものではなく、このような用語および表現の使用において、図示および説明される特徴の任意の等価物またはその一部を排除する意図はなく、特許請求される本発明の範囲内でさまざまな改変が可能であることが理解される。その上、「実質上〜からなる」という表現は、具体的に列挙された要素、ならびに特許請求される本発明の基本的および新規な特徴に物質的に影響を及ぼさない追加要素を含むと理解される。「からなる」という表現は、具体的に明記されていないいずれの要素も排除する。その上、本開示の特徴または態様がマーカッシュ・グループの用語で説明されている場合、当業者は、本開示もまた、マーカッシュ・グループの任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループによって説明されることを理解するであろう。
【0054】
したがって、一般的に説明された本発明は、例示としてのみ提供され、本発明を制限することを意図しない、以下の実施例を参照することによって、より容易に理解されるであろう。
【実施例】
【0055】
実施例1.固体の成形されたヒドロキシプロピルセルロースポリマーによるAPIの吸収および放出
材料:蛍光標識バンコマイシン(FVanc)をAPIとして用いた。Aton Pharma,Inc.製のLacrisert(登録商標)(Lawrenceville,New Jersey,USA)を、固体の成形されたセルロースポリマーとして使用した。Lacrisert(登録商標)は、眼の下盲嚢中に投与するためのヒドロキシプロピルセルロース製の無菌の半透明から不透明のロッド状の(直径約1.27mm、長さ約3.5mm)水溶性の眼科用挿入物である。各々のLacrisert(登録商標)には5mgのヒドロキシプロピルセルロースが含まれ、防腐剤または他の成分は含有しなかった。マイクロピペットチップを容器として用いてポリマーの膨潤を制限した。
【0056】
FVancを脱イオン水に50mg/mLで溶解させた。1つのLacrisert(登録商標)を、先端を塞いでいるピペットチップの中に入れた。25μLのFVanc溶液をピペットチップに加えた。Lacrisert(登録商標)はFVanc溶液を数分以内に吸収した。Lacrisert(登録商標)は溶液を吸収すると膨潤したが、ピペットはポリマーの膨潤を半径方向に制限した。膨潤したLacrisert(登録商標)を含有するピペットを、室温にて約3時間真空オーブンに入れた。乾燥後、ピペットチップの端を切り、Lacrisert(登録商標)を開放させることにより、薬剤導入Lacrisert(登録商標)をピペットチップから取り出した。図1A〜1Dは、さまざまな乾燥時間の、非導入Lacrisert(登録商標)(A)と、FVancを導入し、乾燥させたLacrisert(登録商標)(B〜D)を示す。図1Bに示されるLacrisert(登録商標)は、直下に記載される放出試験に使用した。
【0057】
放出試験のために、導入Lacrisert(登録商標)を750μLの平衡塩類溶液(BSS)洗浄液中に入れ、32℃にて暗所で穏やかに搖動させた。1時間後、BSS洗浄液を除去し、このBBS洗浄液の蛍光を測定し、導入Lacrisert(登録商標)を別の750μLのBSSに曝露させた。図2に示されるように、50±4%(約625μg)のFVancが8時間にわたって、導入Lacrisert(登録商標)から放出された。特に、最初のうちはFVancのダンピング(速い放出速度)が起こり、それに続いて実質的に均一な放出が続いた後、後半の期間で放出速度が低下する。
【0058】
導入Lacrisert(登録商標)から放出されるFVanc量は、従来の治療において送達されるAPIの量に類似していた。従来のバンコマイシン治療は、眼に約8滴(27μL/滴)の強化されたバンコマイシン(25mg/mL)を8時間にわたり送達することを含み、結果として合計で5400μgのバンコマイシンが送達される。しかし、処置の約90%は、生物活性を発揮する前に、涙器系を介して涙液層へ、または患者の頬に流出する。したがって、従来の治療は、約540μgのバンコマイシンを8時間にわたって供給する。
【0059】
実施例2.API導入ヒドロキシプロピルセルロースポリマーのインビボ試験
材料:バンコマイシン(Vanc)をAPIとして用いた。Aton Pharma,Inc.製のLacrisert(登録商標)を、固体の成形されたセルロースポリマーとして用いた。Vanc導入Lacrisert(登録商標)は、上記実施例1に記載したように製造した。
【0060】
民間の業者から購入した5匹のニュージーランドホワイト種ウサギを使用した。黄色ブドウ球菌(S.aureus)のバンコマイシン感受性株であるATCCA 25923を、細菌性角膜炎のモデルとして使用した。以下に示す麻酔薬または鎮痛薬を、試験に用いた:ケタミン(50mg/kg)安楽死および接種;ケタミン(5mg/kg)安楽死および接種;プロパラカイン(0.5%溶液、1〜2滴)接種;およびブプレノルフィン(buprenoprphine)(0.03mg/kg)8〜10時間毎。ペントバルビタールナトリウム(90mg/kg)の心臓内注射を安楽死の方法として用いた。
【0061】
バイオセーフティ・レベル2・プロトコールを用い、研究室内でウサギの角膜内に感染を起こした。細菌希釈液のアリコート(10μL、100コロニー形成単位(CFU))を各ウサギの両眼の角膜支質内に注射した(合計10眼、ウサギ5匹)。注射前に、キシラジン/ケタミンの皮下注射および2滴のプロパラカイン塩酸塩を各眼に局所適用することによりすべてのウサギを麻酔した。感染後、各ウサギに適切なブプレノルフィン筋肉内注射を行い、角膜感染により引き起こされるあらゆる疼痛または苦痛を軽減した。1匹のウサギは不注意による角膜穿孔のため試験から除外した。
【0062】
接種後12時間に、細隙灯生物顕微鏡による細隙灯検査(SLE)により、公表された採点システムを用いて各眼を採点した。SLE採点は、処置群に対して盲検化した状態で、一人の観察者により行った。さらに、この時、薬剤導入Lacrisert(登録商標)または非導入の無処理Lacrisert(登録商標)のいずれかを、眼の前角膜下盲嚢中へ配置した。試験した合計8つの眼のうち(ウサギ4匹)、2つの眼には全く処置を施さなかった(対照);2つの眼には非導入の無処理Lacrisert(登録商標)を投与し;4つの眼には薬剤導入Lacrisert(登録商標)を投与した。処置開始後8時間に(接種後20時間)、眼をSLEで再検査し、装置を除去し、前角膜をBSSで洗浄し、動物を屠殺し、コロニーを計数するために角膜を無菌で(asceptically)摘出した。採取した角膜をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中でホモジナイズし、遠心分離し、上清を8段階希釈した。各ホモジネートおよび各々の段階希釈液を、3サンプルずつトリプティックソイ寒天上で平板培養し、CFUの計数前に48時間インキュベートした。
【0063】
培養の結果を図3に示す。この図は、対照角膜(対照)、非導入Lacrisert(登録商標)で処置した角膜(無処理)、およびVanc導入Lacrisert(登録商標)で処置した角膜(Vanc導入)から培養されたCFUをプロットしたものである。結果は、無処理Lacrisert(登録商標)は、対照眼と比較して眼に存在する感染量を増加させたが、その増加は統計学的に有意ではなかった。しかし、Vanc導入Lacrisert(登録商標)は対照の眼と比較して、黄色ブドウ球菌のCFUを有意に減少させた。
【0064】
実施例3.眼疾患の動物モデルにおけるAPI導入ヒドロキシプロピルセルロースポリマーのインビボ試験
Aton Pharma,Inc.製のLacrisert(登録商標)またはLacrisert半体を、固体の成形されたセルロースポリマーとして使用する。実施例1に記載したように、Lacrisert(登録商標)に、炎症性眼疾患の治療を対象とする治療薬を導入する。ヒトの疾患をモデル化した動物は、適切な格付け基準に基づいた状態の均一性により選択し、対照群と実験群に分ける。非導入および薬剤導入Lacrisert(登録商標)を、実施例2の方法により対照動物および実験動物にそれぞれ投与する。Lacrisert半体には、治療薬を導入し、以下に例示するように一組対として適用する。適当な処置期間の後、動物を疾患の退行の程度に関して主観的に評価する。次に、動物を安楽死させ、関連組織を組織学的に観察する。関連パラメーターは表にして比較し、薬剤の有効性を評価する。
【0065】
ヒト眼疾患をモデル化するために用いられる動物としては、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、サル、ブタ、およびモルモットが挙げられる。モデル化され得る可能性のある疾患としては、限定を意図するものではないが、炎症性眼疾患、腫瘍性疾患、網膜色素変性症、眼内圧上昇、光受容体変性、眼内新血管形成、硝子体網膜症、網膜変性、網膜虚血、網膜新血管形成、網膜色素上皮疾患、およびトラコーマが挙げられる。
【0066】
実施例4.シクロスポリン導入Lacrisert半体からのシクロスポリンのインビトロ放出
眼内挿入物は、以下に示すように準備し、薬剤を導入した。個々のLacrisert(登録商標)ロッドをほぼ半分で縦方向に分割して、半分のロッドまたは半円筒形を得た。ロッド半体は、端から見た場合、半円形の形状をしていた。次にこのロッド半体を個々にトラフの中に配置し、エタノール中100%トリチウム化(H)シクロスポリン(T−CsA)に浸漬させた(Lacrisert半体またはロッド半体あたり0.0125mg、2μL)。ロッド半体あたりに使用したシクロスポリンの量は、市販のシクロスポリン点眼薬中の量の半分と等しかった。トラフであるプレキシガラス製の型を使用して、ウェル/トラフあたり2個のLacrisert半体を並べた。浸漬の間にロッド半体の形状がトラフにより実質的に維持されるように、トラフをロッド半体のサイズに近づくようにサイズを設定した。エタノール中の放射性シクロスポリン(0.0125mg、2μL)を、各Lacrisert半体にピペットで加えた。Lacrisertを型の中で室温にて1時間乾燥させた。次にこの型を20psi、37℃の真空オーブン中に20〜24時間入れた。乾燥したLacrisert半体を型半体からピンセットで取り出した。16個のT−CsA導入Lacrisertを測定し、ベースライン導入量を得た。比較のため、エタノールおよび鉱油中トリチウム化(H)シクロスポリン点眼薬(0.05%、0.0125mg/滴)を、エタノール中トリチウム化(H)シクロスポリン(100%)2μLおよび鉱油23μLを混合して調製した。市販のシクロスポリン点眼薬は、グリセリン/油基剤中にシクロスポリン0.025mgを含有する。
【0067】
インビトロ放出を以下のように試験した。1組(2個のLacrisert半体=1、n=8)の導入Lacrisert半体(登録商標)を平衡塩類溶液(BSS、750μL)とともに微小遠心管中に入れ、水浴(Labline Orbit Shaker Bath 3540)中で34℃および100rpmで撹拌した。1時間毎に8時間、この管を水浴から取り出した。BSSを各管から計数のために取り出した。BSS(750μL)を元の管に補充し、これらの管を水浴に戻した。取り出したBSSの6つの100μLのアリコートを、5mLのUniversolを含む標識液体シンチレーションバイアルの中に個々に配置した。次に、各バイアルの活性を、シンチレーションカウンター(Perkin Elmer Liquid Scintillation Analyzer Tri Carb 2900 TR)で2分間読み取り、記録した。次に、各時間期間からのアリコートの平均活性を、750μLのそれと等しくなるように乗じた。8時間の期間の終わりに、残ったLacrisertの各々も読み取った。これらの試験を2回行った。
【0068】
図8は、2つの試験に関して、8時間の期間にわたる1組のLacrisert半体からの平均シクロスポリン放出量をグラフで示す。平均合計0.0247±0.00117mgのシクロスポリンが、2個のLacrisert半体からインビトロで溶出した。2個のLacrisert半体は、平均0.0247mgの薬剤を含有し、疎水性薬剤をLacrisert半体に、例えば、エタノール中の薬剤溶液を用いて効果的に導入することができることを実証する。インビトロでは、Lacrisertは、すべてのシクロスポリンを8時間後に全部放出し、少なくとも約50%の薬剤を最初の1時間以内に送達した。その他の極性有機溶媒(例えば、酢酸エチル、メタノール、アセトンなど)も、APIの溶解度特性に応じて、使用してよく、同様に非極性有機溶媒(例えば、エーテル、クロロホルム、塩化メチレン)も使用してよい。有機溶媒と水性溶媒(緩衝溶液を含む)の混合物も適し得る。
【0069】
実施例5.シクロスポリン導入Lacrisert半体からの角膜および強膜周縁へのシクロスポリンのインビボ投与
投与前に、36匹のウサギの眼を、瞬膜の除去により準備した。これらの眼を、以下の群に分けた。
【0070】
【表1】

【0071】
2滴の薬剤または2個のLacrisert半体を、各ウサギの1つの眼の前角膜に配置した。導入Lacrisert半体は、実施例4に記載したように準備した。12時間後、ウサギを屠殺した。屠殺時に、涙液および房水を収集し、体積を記録し、個別にラベルを貼った管に入れた。次に、角膜、角膜強膜周縁(強膜周縁)、および虹彩を眼から採取した。組織は、角膜縁周縁部(cornea−limbal rim)の外側約3mmを強膜へ切り込むことにより採取した。次に、強膜を角膜縁周縁部の周囲を円周に、強膜を3mm含めるように切った。取り出された切片の内部には虹彩が含まれていた。角膜/強膜のキャップを目から除去すると、内部の虹彩を引き離してラベルを貼った管に入れた。次に、角膜中央部を10mmトレフィンで切り取った。約3mmの角膜および3mmの強膜を含む、残っている角膜−強膜を採取した。すべての組織の管を、シンチレーション計数の前に秤量した。Universol液(5mL)を各管に入れ、HとUniversolの相互作用を最大限にするために室温にて24時間保持し、シンチレーションカウンターを用いて、1分あたりのカウントを1サンプルあたり2分間読み取った。
【0072】
図9および10は、12時間の実験期間終了時にさまざまな眼組織に保持されたか、また少なくとも投与されたシクロスポリンの量をグラフで示す。眼組織になお存在する薬剤の総平均濃度は、Lacrisert半体送達に関して、3.49×10−3±6.27 10−4μg/g(固体組織、例えば、角膜、強膜、虹彩などに関して)または/μL(体液または液体のサンプル、例えば、涙液、房水などに関して)であったのに対して、点眼薬による送達では、1.73×10−3±1.37×10−4μg/gまたはμg/μLであった。インビボでは、Lacrisert半体は点眼薬よりも有意に多くの薬剤を角膜および強膜に送達した(p=0.005)。投与後12時間に、点眼薬で処置した眼と比較して、Lacrisert半体送達系を用いて処置した眼の方が、シクロスポリンが52%多かった。
【0073】
実施例6.ラタノプロスト導入Lacrisert半体による薬剤送達
本実施例は、ラタノプロスト(Latanopost)導入Lacrisert半体を作製する方法を示し、インビトロおよびインビボでのそれらの薬剤放出特性を試験した。ロッド半体またはLacrisert半体を、以下に示す方法で準備し、APIを導入した。各Lacrisertを縦方向に半分に切断した。2個の半体に、22%放射性(hot)/78%非放射性(cold)ラタノプロスト混合物0.725mgを個々に導入した。したがって、それらを一緒にした薬剤導入量は、エタノール(0.335mg)中22%放射性、トリチウム化(H)ラタノプロストおよび78%非放射性ラタノプロスト(1.165mg、1Ci@500μCi/mL、活性=10Ci/mmol)から構成される、市販のラタノプロスト(1.5mg/滴)の1滴に相当した。
【0074】
放射性(15.5μL、0.335mgラタノプロスト)および非放射性(19.4μL、1.165mgラタノプロスト)ラタノプロスト溶液の混合物をピペットでプラスチック製エッペンドルフチューブに入れた。かみそりの刃を用いて、Lacrisertを切断し、縦方向に並べた(型のウェルあたり2個)。型、Lacrisertおよび薬剤混合物を、50℃のオーブン中(真空ではない)で約30分間温め、オーブンから取り出した。混合した薬剤(8.725μL)を各々のLacrisert半体上にピペットで注入し、50℃で(真空ではない)30分から1時間、または液体がLacrisert半体に吸収されるまで乾燥させた。薬剤浸漬および乾燥を一回繰り返して、各Lacrisert半体が17.45μLの混合薬剤溶液を受け取るようにした。このLacrisert半体を、乾燥して固くなるように、20psiの真空下および50℃で一晩置いた。Lacrisert半体を型からピンセットで取り出した。16個のT−ラタノプロスト導入Lacrisert半体を測定してベースライン導入量を得た。比較のために、1滴が、合計1.5mgのラタノプロストを含有する34.9/μLに等しくなるようにした、エタノール中22%トリチウム化(H)ラタノプロスト(0.335mg/滴)を増加させた市販のラタノプロスト点眼薬を用いた。
【0075】
A.ラタノプロストのインビトロ放出
1組(2個のLacrisert半体=1、n=16)の導入されたLacrisertを平衡塩類溶液(750μL)とともに微小遠心管中に入れ、水浴(Labline Orbit Shaker Bath 3540)中で34℃および100rpmで撹拌した。1時間毎に8時間、この管を水浴から取り出した。BSS(750μL)を各管から計数のために取り出した。BSS(750μL)を元の管に補充し、それらの管を水浴に戻した。取り出したBSSの6つの100μLのアリコートを、5mLのUniversolを含む標識液体シンチレーションバイアルの中に個々に配置した。次に、各バイアルの活性を、シンチレーションカウンター(Perkin Elmer Liquid Scintillation Analyzer Tri Carb 2900 TR)で2分間読み取り、記録した。8時間の期間の終わりに、残ったLacrisertの各々の活性も読み取った。これらの試験は2回行った。結果を図11に表す。平均合計1.486±0.085mgのラタノプロストが、インビトロで各Lacrisertから8時間の間に溶出した。これらの試験は、ラタノプロスト導入Lacrisert半体を作製する方法およびそれらの薬剤放出特性を試験する方法を実証した。分割されていないLacrisert(すなわち、2つのLacrisert半体)はそれぞれ、平均で1.486mgの薬剤を含有した。インビトロでは、Lacrisert半体は8時間後にはラタノプロストを全部放出し、最初の1時間以内に約1/3の薬剤が送達された。
【0076】
B.インビボ試験
ウサギ(18匹)の瞬膜を、実験の1週間前に取り除いた。眼(36個)を以下の群に分けた。
【0077】
【表2】

【0078】
1滴の薬剤、または2個のLacrisert半体(導入または非導入)を各ウサギの1つの眼の前角膜に配置した。12時間後にウサギを屠殺した。屠殺時に、涙液および房水を収集し、体積を記録し、個別にラベルを貼った管に入れた。次に、角膜、角膜強膜周縁、および虹彩を眼から採取した。組織は、角膜縁周縁部の約3mm外側を強膜へ切り込むことにより採取した。次に、強膜を、角膜縁周縁部の周囲を円周に、強膜を3mm含めるように切った。取り出された切片の内部には虹彩が含まれていた。角膜/強膜のキャップを目から除去すると、内部の虹彩を引き離してラベルを貼った管に入れた。次に、角膜中央部を10mmトレフィンで切り取り、標識した別の管に入れた。約3mmの角膜および3mmの強膜を含む、残っている角膜−強膜を、別個のラベルを貼った管に入れた。すべての組織の管を、シンチレーション計数の前に秤量した。Universol液(5mL)を各管に入れ、HとUniversolの相互作用を最大限にするために室温にて24時間保持し、シンチレーションカウンターを用いて、1分あたりのカウントを1サンプルあたり2分間読み取った。結果を図12に表す。眼組織になお存在する薬剤の総平均濃度は、点眼薬による送達に関して、34.44×10−3±8.44 10−3mg/g(組織に関して)またはμL(涙液およびこのような液体に関して)であるのに対し、Lacrisert半体に関して、18.42×10−3±4.25×10−3mg/gまたはμLであった。インビボでは、Lacrisert半体は、さまざまな眼組織に薬剤を送達した。試験条件下では、点眼薬が、Lacrisert半体よりも多くの薬剤を角膜に送達した。
【0079】
実施例7.ベタキソロール導入Lacrisert半体による薬剤送達
本実施例では、ベタキソロール(Betaxoxlol)導入Lacrisert半体を作製する方法を示し、インビトロおよびインビボにおけるそれらの薬剤放出特性を試験した。ロッド半体またはLacrisert半体は、以下の方法で準備し、APIを導入した。各Lacrisertを縦方向に半分に切断した。各半体には0.18%放射性/99.82%非放射性ベタキソロール31.51μgを導入し、それらの薬剤導入量を合わせると市販のベタキソロール(63.025μgベタキソロール、0.18%トリチウム化(H)ベタキソロール(0.525μg)および99.82%非放射性ベタキソロール(62.5μg)から構成される)の1滴25μL中の薬剤導入量とほぼ同じになるようにした。市販のベタキソロールの濃度は2.5mg/mLである。患者は、1滴(25μL/滴)を1日2回注入するように指示される。
【0080】
エタノール中の入手可能な放射性[H]−ベタキソロールを、バイアル中で窒素ガスを用いて乾燥させた。次に、市販のベタキソロール(1mL)を[H]−ベタキソロールバイアルに加え、バイアルのふたを閉め、ボルテックスミキサーで15秒間撹拌した。トラフであるプレキシガラス製の型を使用して、トラフ(またはウェル)あたり2個のLacrisert半体を並べた。次に、ベタキソロール[H]混合物(6.25μL、15.75μg)を、それぞれのLacrisert半体にピペットで加えた。このLacrisert半体を型の中で室温にて1時間乾燥させた。Lacrisert半体(havles)は、ゲル状に見えた。さらなる6.25μLのベタキソロール[H]混合物を各半体に加え、この半体を型の中で1時間空気乾燥させた。合計で12.5μL(31.51μg)の[H]−ベタキソロールをLacrisert半体に加えた。次にこの型を20psi、37℃の真空オーブン中に20〜24時間入れた。乾燥させたLacrisert半体を型からピンセットで取り出した。6個の全[H]−ベタキソロール導入Lacrisertを(2個の導入半体=全体)Universol(5mL)を含むシンチレーションバイアルに個別に配置し、計数してベースライン導入量を得た。
【0081】
A.ベタキソロールのインビトロ放出
ベタキソロールのベタキソロール導入Lacrisert半体からの放出は、上記実施例6Aに記載の通り行った。結果を図15および16に示す。インビトロでは、Lacrisertは、8時間後にベタキソロールを全部放出し、70%を上回る薬剤が最初の1時間以内に送達された。図15は、8時間にわたって放出された平均量をグラフで示す。平均合計51.53±11.495μgのベタキソロールが8時間にわたって各Lacrisertからインビトロで溶出した。一般に、実験期間終了時には、Lacrisertは実質的にただのHPCの小さな塊であった。一部のAPI(1.098±0.431μg)は、残存するHPCと関連していた。図16は、8時間にわたるベタキソロール導入Lacrisertの放出特性%をグラフで示す。
【0082】
B.インビボ試験
ベタキソロール導入Lacrisert半体からのベタキソロールの投与を、上記実施例6Bに記載の通りにインビボで試験した。結果を図17および18に表す。Lacrisert半体による眼の盲嚢への送達の後、眼組織になお存在する薬剤の総平均濃度を試験条件下で測定すると、2.64±1.05μg/gまたはμLであった。最終薬剤混合物中の[H]−ベタキソロール分子が非常に低い割合(0.18%)であることは、いくつかの点で問題であったが、しかしその問題は、例えばより高い濃度の放射性APIを使用することにより、容易に取り除くことができる。
【0083】
実施例8.ゲンタマイシン導入Lacrisert半体による薬剤送達
この実施例は、ゲンタマイシンを導入したLacrisert半体を作製する方法を示し、インビトロおよびインビボにおけるそれらの薬剤放出特性を試験した。ロッド半体またはLacrisert半体は、以下に示す方法で準備し、APIを導入した。各Lacrisertを縦方向に半分に切断した。各半体には39.062μgの4%放射性/96%非放射性硫酸ゲンタマイシンを導入し、それらを一緒にした薬剤導入量は、市販のゲンタマイシン(78.125μg、4%トリチウム化(H)ゲンタマイシン(3.125μg)および96%非放射性ゲンタマイシン(75μg)から構成される)の1滴25μLの薬剤導入にほぼ相当した。市販のゲンタマイシンの通常の濃度は、3mg/mLである。患者は、4時間毎に1または2滴(約25μL/滴)を加えるように指示される。
【0084】
エタノール中の放射性[H]−ゲンタマイシンを、最初に出荷された(original shipped)バイアルの中で窒素ガスで乾燥させた。1mLの市販のゲンタマイシンを[H]−ゲンタマイシンバイアルに加え、バイアルのふたを閉め、ボルテックスミキサーで15秒間撹拌した。トラフであるプレキシガラス製の型を使用して、トラフ(またはウェル)あたり2個のLacrisert半体を並べた。次に、6.25μLのゲンタマイシン[H]混合物(19.516μg)を各Lacrisert半体にピペットで加えた。Lacrisert半体を型の中で室温にて1時間乾燥させた。Lacrisert半体は、ゲル状に見えた。さらなる6.25μLのゲンタマイシン[H]混合物を各半体に加え、型内で1時間空気乾燥させた。したがって、合計12.5μL(39.062μg)の[H]−ゲンタマイシンをLacrisert半体に加えた。次に、この型を20psi、37℃の真空オーブン中に20〜24時間入れた。乾燥させたLacrisert半体を型半体からピンセットで取り出した。6個の[H]−全ゲンタマイシン導入Lacrisertを(2個の半体=全体)Universol(5mL)を入れた個々のシンチレーションバイアルに配置し、計数してベースライン導入量を得た。
【0085】
A.ゲンタマイシンのインビトロ放出
ゲンタマイシン導入Lacrisert半体からのゲンタマイシン放出は、上記実施例6Aに記載の通り行った。結果を図19および20に表す。インビトロでは、Lacrisertは8時間後にはゲンタマイシンを全部放出し、50%を上回る薬剤が最初の1時間以内に送達された。インビボでは、Lacrisertにより相当量の薬剤が眼に送達された。図19は、8時間にわたって放出されたゲンタマイシンの平均量をグラフで示す。平均合計85.690±7.565μgのゲンタマイシンが、インビトロで各全Lacrisertから8時間の間に放出されたことが測定された。一般に、実験期間終了時には、Lacrisertは実質的にただのHPCの小さな塊であった。残存するHPCとは、いずれの薬剤も関連していなかった。図20は、8時間にわたるゲンタマイシン導入Lacrisertについての放出特性%をグラフで示す。
【0086】
B.インビボ試験
ゲンタマイシン導入Lacrisert半体からのゲンタマイシン投与は、上記実施例6Bに記載の通りにインビボで試験した。図21および22は、8時間の試験期間の終了時に眼組織中に保持されたゲンタマイシンの量を示す。眼組織になお存在する薬剤の総平均濃度は、Lacrisert送達に関して3.30±0.69μg/gまたはμLであった。インビトロでは、Lacrisertは8時間後にはゲンタマイシンを全部放出し、50%を上回る薬剤が最初の1時間以内に送達された。インビボでは、Lacrisert半体により相当量の薬剤が眼に送達された。
【0087】
さまざまな態様および実施形態が本明細書において開示されるが、他の態様および実施形態は当業者には明白である。本明細書に開示されるさまざまな態様および実施形態は例証目的のためのものであって制限することを意図するものではなく、真の範囲および精神は以下の特許請求の範囲により示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体の成形されたセルロースポリマーを、ポリマーの膨潤を少なくとも1つの方向について制限するように適合させた容器の中に配置すること、
前記ポリマーを、前記容器の中に配置したまま、原薬および該原薬を可溶化可能な溶媒を含む溶液に曝露し、前記ポリマーが、前記原薬および溶媒を含む前記溶液の少なくとも一部を吸収すること、
前記吸収された溶媒を前記ポリマーから蒸発させるかまたは前記ポリマーを乾燥させること、ならびに
前記ポリマーを前記容器からはずすこと、
を含む眼内送達装置の製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの方向が、半径方向である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記容器の内部表面の形状および寸法が、前記ポリマーの外部表面の形状および寸法と実質的に一致する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記容器が、管状の容器である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記容器の内部表面が、離型剤でコーティングされている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記眼内送達装置が、該眼内送達装置を媒体に曝露させると前記原薬を放出することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記媒体が、涙液を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記媒体が、ヒト涙液を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記眼内送達装置が、約1/2時間〜約72時間、約2時間〜約60時間、約2時間〜約48時間、約2時間〜約36時間、約2時間〜約24時間、約2時間〜約20時間、約2時間〜約15時間、約2時間〜約12時間、約2時間〜約10時間、約2時間〜約8時間、約2時間〜約6時間、および約2時間〜約4時間の期間にわたって前記原薬を放出することができる、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記眼内送達装置からの前記原薬の放出が、前記眼内送達装置を前記媒体に曝露してから約2〜約6時間の実質的に0次放出である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記吸収された溶媒の実質的にすべてを、前記ポリマーから蒸発させるか、または前記ポリマーを乾燥させて前記吸収された溶媒の実質的にすべてを前記ポリマーから除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマーを真空下で乾燥させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマーが、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはそのいずれかの2以上の混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマーが、ヒドロキシプロピルセルロースである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記原薬が、約80℃より上で熱的に不安定である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記原薬が、アセブトロール、アシクロビル、ベタキソロール、ビマトプロスト、ブリモニジン酒石酸塩、ブリンゾラミド、ブロムフェナクナトリウム、セファゾリン、セファレキシン、セファドロキシル、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン塩酸塩、シクロスポリン、デキサメタゾン、ドルゾラミド塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エリスロマイシン、ガンシクロビル、ガチフロキサシン、ゲンタマイシン硫酸塩、ケトロラクトロメタミン、ラベタロール、ラタノプロスト、エタボン酸ロテプレドノール、モキシフロキサシン塩酸塩、ネパフェナク、オフロキサシン、オロパタジン塩酸塩、ペニシリン、ピンドロール、プレドニゾロン、プロパノロール、ポリミキシンB硫酸塩/トリメトプリム硫酸塩、スルファセタミドナトリウム、チモロールマレイン酸塩、トリフルリジン、トブラマイシン、トラボプロスト、バンコマイシン、アゼラスチン塩酸塩、アトロピン硫酸塩、ベタメタゾン、カルバコール、フェニラミン、クロモグリク酸ナトリウム、シクロペントラート、デメカリウム臭化物、デキサメタゾン21−リン酸塩、エリスロマイシン塩基、フルオロメトロン、ガチフロキサシン、ホマトロピン、ヒドロキシアンフェタミン、イドクスウリジン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、ナファゾリン、レゾルビン類、リン脂質類、フェニレフリン、ヨウ化ホスホリン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロンナトリウムスルフェート、スルフィソキサゾール、テトラヒドロゾリン塩酸塩、チモロール、トブラマイシン硫酸塩、トロピカミド、6−ヒドロキシ−2−スルファモイルベンゾ[b]チオフェン、6−アセトキシ−2−スルファモイルベンゾ[b]チオフェン、5,6−ジヒドロ−4H−4−ヒドロキシチエノ[2,3−b]チオピラン−2−スルホンアミド−7,7−ジオキシド、またはそのいずれかの2以上の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
固体の成形されたセルロースポリマーを、原薬および該原薬を可溶化可能な溶媒を含む溶液に曝露し、前記ポリマーが、前記原薬および溶媒を含む前記溶液の少なくとも一部を吸収すること、ならびに
前記吸収された溶媒の実質的にすべてを前記ポリマーから蒸発させるか、または前記ポリマーを乾燥させて前記吸収された溶媒の実質的にすべてを前記ポリマーから除去すること、
を含む眼内送達装置の製造方法。
【請求項18】
固体の成形されたヒドロキシプロピルセルロースポリマーを、原薬および該原薬を可溶化可能な溶媒を含む溶液に曝露し、前記ポリマーが、前記原薬および溶媒を含む前記溶液の少なくとも一部を吸収すること、ならびに
前記吸収された溶媒を前記ポリマーから蒸発させるかまたは前記ポリマーを乾燥させること、
を含む眼内送達装置の製造方法。
【請求項19】
請求項1の方法により作製される眼内送達装置。
【請求項20】
固体の成形されたセルロースポリマーと、
前記ポリマー中に分散した治療上有効な量の原薬と、
を含む眼内送達装置であって、
前記原薬が、アセブトロール、アシクロビル、ベタキソロール、ビマトプロスト、ブリモニジン酒石酸塩、ブリンゾラミド、ブロムフェナクナトリウム、セファゾリン、セファレキシン、セファドロキシル、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン塩酸塩、シクロスポリン、デキサメタゾン、ドルゾラミド塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エリスロマイシン、ガンシクロビル、ガチフロキサシン、ゲンタマイシン硫酸塩、ケトロラックトロメタミン、ラベタロール、ラタノプロスト、エタボン酸ロテプレドノール、モキシフロキサシン塩酸塩、ネパフェナク、オフロキサシン、オロパタジン塩酸塩、ペニシリン、ピンドロール、プレドニゾロン、プロパノロール、ポリミキシンB硫酸塩/トリメトプリム硫酸塩、スルファセタミドナトリウム、チモロールマレイン酸塩、トリフルリジン、トブラマイシン、トラボプロスト、バンコマイシン、アゼラスチン塩酸塩、アトロピン硫酸塩、ベタメタゾン、カルバコール、フェニラミン、クロモグリク酸ナトリウム、シクロペントラート、デメカリウム臭化物、デキサメタゾン21−リン酸塩、エリスロマイシン塩基、フルオロメトロン、ガチフロキサシン、ホマトロピン、ヒドロキシアンフェタミン、イドクスウリジン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、ナファゾリン、レゾルビン類、リン脂質類、フェニレフリン、ヨウ化ホスホリン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロンナトリウムスルフェート、スルフィソキサゾール、テトラヒドロゾリン塩酸塩、チモロール、トブラマイシン硫酸塩、トロピカミド、6−ヒドロキシ−2−スルファモイルベンゾ[b]チオフェン、6−アセトキシ−2−スルファモイルベンゾ[b]チオフェン、5,6−ジヒドロ−4H−4−ヒドロキシチエノ[2,3−b]チオピラン−2−スルホンアミド−7,7−ジオキシド、またはそのいずれかの2以上の混合物から選択される、眼内送達装置。
【請求項21】
前記原薬が、バンコマイシンである、請求項20に記載の眼内送達装置。
【請求項22】
前記ポリマーが、30重量%超のヒドロキシプロピルセルロースを含む、請求項20に記載の眼内送達装置。
【請求項23】
前記ポリマーが、実質上ヒドロキシプロピルセルロースからなる、請求項20に記載の眼内送達装置。
【請求項24】
前記眼内送達装置が、軟膏または液体中に懸濁されていない、請求項20に記載の眼内送達装置。
【請求項25】
固体の成形されたセルロースポリマーと、
前記ポリマー中に分散した治療上有効な量の原薬と、
を含む眼内送達装置。
【請求項26】
前記固体の成形されたセルロースポリマーが、約1mm〜7mmの長さおよび約1mm〜4mmの幅を有する、請求項25に記載の眼内送達装置。
【請求項27】
前記原薬が、バンコマイシンとトブラマイシンの混合物である、請求項25に記載の眼内送達装置。
【請求項28】
請求項25に記載の眼内送達装置の1以上を、それを必要とする被験体の眼の中に入れることを含む眼障害の治療方法。
【請求項29】
前記眼障害が、角膜感染を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記角膜感染が、細菌性角膜炎を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
近位端部、遠位端部、および長さを有する半円筒であって、前記半円筒が固体のセルロースポリマーを含む半円筒と、
前記半円筒の中に分散した治療上有効な量の原薬と、
を含み、
前記原薬が、アセブトロール、アシクロビル、ベタキソロール、ビマトプロスト、ブリモニジン酒石酸塩、ブリンゾラミド、ブロムフェナクナトリウム、セファゾリン、セファレキシン、セファドロキシル、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン塩酸塩、シクロスポリン、デキサメタゾン、ドルゾラミド塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エリスロマイシン、ガンシクロビル、ガチフロキサシン、ゲンタマイシン硫酸塩、ケトロラックトロメタミン、ラベタロール、ラタノプロスト、エタボン酸ロテプレドノール、モキシフロキサシン塩酸塩、ネパフェナク、オフロキサシン、オロパタジン塩酸塩、ペニシリン、ピンドロール、プレドニゾロン、プロパノロール、ポリミキシンB硫酸塩/トリメトプリム硫酸塩、スルファセタミドナトリウム、チモロールマレイン酸塩、トリフルリジン、トブラマイシン、トラボプロスト、バンコマイシン、アゼラスチン塩酸塩、アトロピン硫酸塩、ベタメタゾン、カルバコール、フェニラミン、クロモグリク酸ナトリウム、シクロペントラート、デメカリウム臭化物、デキサメタゾン21−リン酸塩、エリスロマイシン塩基、フルオロメトロン、ガチフロキサシン、ホマトロピン、ヒドロキシアンフェタミン、イドクスウリジン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、ナファゾリン、レゾルビン類、リン脂質類、フェニレフリン、ヨウ化ホスホリン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロンナトリウムスルフェート、スルフィソキサゾール、テトラヒドロゾリン塩酸塩、チモロール、トブラマイシン硫酸塩、トロピカミド、6−ヒドロキシ−2−スルファモイルベンゾ[b]チオフェン、6−アセトキシ−2−スルファモイルベンゾ[b]チオフェン、5,6−ジヒドロ−4H−4−ヒドロキシチエノ[2,3−b]チオピラン−2−スルホンアミド−7,7−ジオキシド、またはそのいずれかの2以上の混合物から選択される、
眼内送達装置。
【請求項32】
前記原薬が、シクロスポリンである、請求項31に記載の眼内送達装置。
【請求項33】
原薬を含む眼内送達装置の製造方法であって、
固体のセルロースポリマーを含む半円筒を、トラフの中に配置すること、ならびに
前記半円筒を、前記原薬および前記原薬を可溶化可能な溶媒を含む溶液に曝露し、前記半円筒が、前記原薬および前記溶媒を含む前記溶液の少なくとも一部を吸収すること、
を含む方法。
【請求項34】
前記トラフが、前記曝露の間に前記半円筒の形状を維持する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記吸収された溶媒を前記半円筒から蒸発させるかまたは前記半円筒を乾燥させることをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記眼内送達装置を、前記トラフからはずすことをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記原薬が、アセブトロール、アシクロビル、ベタキソロール、ビマトプロスト、ブリモニジン酒石酸塩、ブリンゾラミド、ブロムフェナクナトリウム、セファゾリン、セファレキシン、セファドロキシル、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン塩酸塩、シクロスポリン、デキサメタゾン、ドルゾラミド塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エリスロマイシン、ガンシクロビル、ガチフロキサシン、ゲンタマイシン硫酸塩、ケトロラックトロメタミン、ラベタロール、ラタノプロスト、エタボン酸ロテプレドノール、モキシフロキサシン塩酸塩、ネパフェナク、オフロキサシン、オロパタジン塩酸塩、ペニシリン、ピンドロール、プレドニゾロン、プロパノロール、ポリミキシンB硫酸塩/トリメトプリム硫酸塩、スルファセタミドナトリウム、チモロールマレイン酸塩、トリフルリジン、トブラマイシン、トラボプロスト、バンコマイシン、アゼラスチン塩酸塩、アトロピン硫酸塩、ベタメタゾン、カルバコール、フェニラミン、クロモグリク酸ナトリウム、シクロペントラート、デメカリウム臭化物、デキサメタゾン21−リン酸塩、エリスロマイシン塩基、フルオロメトロン、ガチフロキサシン、ホマトロピン、ヒドロキシアンフェタミン、イドクスウリジン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、ナファゾリン、レゾルビン類、リン脂質類、フェニレフリン、ヨウ化ホスホリン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロンナトリウムスルフェート、スルフィソキサゾール、テトラヒドロゾリン塩酸塩、チモロール、トブラマイシン硫酸塩、トロピカミド、6−ヒドロキシ−2−スルファモイルベンゾ[b]チオフェン、6−アセトキシ−2−スルファモイルベンゾ[b]チオフェン、5,6−ジヒドロ−4H−4−ヒドロキシチエノ[2,3−b]チオピラン−2−スルホンアミド−7,7−ジオキシド、またはそのいずれかの2以上の混合物から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記原薬が、シクロスポリンである、請求項37に記載の眼内送達装置。
【請求項39】
前記溶媒が、エタノールを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
請求項33に記載の方法により作製される眼内送達装置。
【請求項41】
請求項33に記載の眼内送達装置の1以上を、それを必要とする被験体の眼の中に投与することを含む眼障害の治療方法。
【請求項42】
前記眼障害が、ドライアイ症状群を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ドライアイ症状群が、マイボーム腺機能不全および涙液欠乏性ドライアイを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記原薬が、点眼薬により投与される量よりも多い、該投与量と同様の、または該投与量よりも少ない量で前記眼に投与される、請求項41に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−509436(P2013−509436A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537137(P2012−537137)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/054823
【国際公開番号】WO2011/053841
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512112390)アトーン ファルマ、インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ATON PHARMA,INC.
【出願人】(512112404)ルイジアナ ステイト ユニバーシティー アグリカルチュラル アンド メカニカル カレッジ (1)
【氏名又は名称原語表記】LOUISIANA STATE UNIVERSITY AGRICULTURAL AND MECHANICAL COLLEGE
【Fターム(参考)】