説明

眼科用水中油型乳剤を製造する方法

本発明は、眼科での適用で有用な水中油型乳剤の調製の新規な方法に関する。特に、水中油型乳剤の前濃縮物を調製する工程と、得られた前濃縮物を希釈して所望の水中油型乳剤を形成する工程とを含む方法を提供する。本発明はまた、発明の方法により調製される水中油型乳剤を含む医薬組成物、および眼の疾患または状態の治療にこれらの組成物を用いる方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2006年12月21日に出願し、「大量の眼科用水中油型乳剤を製造する方法(Process for Manufacturing Large Volumes of an Ophthalmic Oil-in-water Emulsion)」と題する仮特許出願第60/876,200号の優先権を主張するものである。この仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
水中油型乳剤は、眼科用製品に広く用いられている。水中油型乳剤の一般的な調製では、水溶性成分を水相に溶解し、油溶性成分を油相に溶解する。次いで、例えば、1分間に数千回転(r.p.m)で数分間から数時間混合することにより、油相を水相中に激しく分散させる。この方法は、乳化と呼ばれている。乳化は、エネルギーを消費する方法であり、非常に小さいサイズであるが、大きい総表面積を有する多数の小滴に油相を分散させるために熱および運動エネルギーが用いられる。
【0003】
眼の快適さは、眼科用製品の商業的成功で極めて重要である。高濃度の油(すなわち、一般的に6容積/容積%を超える油)を含む乳剤はあまりにも不快で、眼への使用に適さない。したがって、眼科用製品製造産業は、高度に希釈された水中油型乳剤を製造している。
【0004】
大量な希釈眼科用水中油型乳剤を製造することは、主要な装置へのかなりの投資が必要であり、時間とエネルギーを消費するものである。投入エネルギーのうちの少量が油を実際に乳化するのに用いられ、エネルギーの大部分が大量の水相中で放散されるので、大きいバッチサイズを乳化するには非常に高いエネルギーの投入が必要である。さらに、乳化の歩留りは一般的には最適でない。
【0005】
大量のため、この上述の最適の状態に及ばない方法は、乳剤成分の化学的安定性に負の影響を及ぼす可能性がある、非常に長い乳化手順の原因になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】仮特許出願第60/876,200号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「Remington's Pharmaceutical Sciences」、E.W.Martin、第18版、1990年、Mack Publishing Co.:Easton、PA
【非特許文献2】「Encyclopedia of Emulsion Technology」、P.Becher(編集)、1983年、Marcel Dekker、第1巻、217〜220頁
【非特許文献3】「Encyclopedia of Pharmaceutical Technology」、1988年、J.SwarbrickおよびJ.C.Boylan(編集)、Marcel Dekker Inc:New York
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、眼への適用のための水中油型乳剤の調製のための新たなアプローチが当技術分野において依然として必要である。現在用いられている方法に関連する上記の問題および限界を克服する調製の方法の開発が特に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、すぐに希釈できる水中油型乳剤の調製のための改善された戦略に関する。特に、小から中バッチサイズに適する装置を用いて実施することができる調製の方法を提供する。現在利用できる方法と比較して、本明細書に示す方法は、十分な歩留りを示し、限られた量のエネルギーおよび妥当な処理時間を必要とする。
【0010】
より具体的には、本発明は、眼科用水中油型マイクロエマルションまたはサブマイクロエマルションを製造する方法に関する。そのような方法は、一般的に、(1)乳剤の前濃縮物を製造する工程と、(2)前記前濃縮物を希釈水溶液で希釈して所望の水中油型乳剤を得る工程とを含む。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前濃縮物は、乳剤の形態であり、それはカチオン性乳剤、アニオン性乳剤または非イオン性乳剤であってよい。特定の好ましい実施形態において、本発明の前濃縮物は、カチオン性乳剤前濃縮物である。
【0012】
本発明による方法は、好ましくは、一般的に約10nmを超え、約500nm未満の平均サイズを有する分散小滴を含む熱力学的に安定な水中油型マイクロエマルションまたはサブマイクロエマルションを製造することを目的とする。例えば、小滴の平均サイズは、約10nmを超え、約300nm未満、好ましくは約200nm未満であってよい。
【0013】
特定の好ましい実施形態において、本発明の方法を用いて得られたマイクロエマルションまたはサブマイクロエマルションは、約12カ月を超える、好ましくは約24カ月を超える、より好ましくは約36カ月を超える期間にわたって安定である。
【0014】
他の態様において、本発明は、眼科用水中油型乳剤、好ましくは眼科用水中油型マイクロエマルションまたはサブマイクロエマルションの前濃縮物を製造する方法に関する。そのような方法は、一般的に水相および少なくとも1つの界面活性作用物質で油相を乳化して、水中油型乳剤の前濃縮物を得る工程を含む。そのような方法により調製される前濃縮物は、一般的に、前濃縮物の希釈により調製される最終水中油型乳剤の油中含量より高い油中含量を有する。好ましい実施形態によれば、本発明の前濃縮物は、患者の眼への直接の投与には適さないが、希釈後に眼への使用に適するようになる。
【0015】
より具体的には、本発明の方法において、所望の水中油型乳剤の前濃縮物を、眼への使用に適する少なくとも1つの油を含む油相を水相および少なくとも1つの界面活性剤で乳化することにより製造する。眼への使用に適する油は、例えば、ヒマシ油、MCT、植物油、鉱油および眼への投与に適するこれらの油の任意の組合せを含む。特定の実施形態において、界面活性作用物質(複数可)の平均親水性親油性バランス(HLB)は、有利には調製方法に用いる油相の油のHLBまたは平均HLB乳剤要件に実質的に等しい。
【0016】
特定の実施形態において、油相は、プロドラッグを含む、1つまたは複数の薬学的に活性な物質を含んでいてよい。例えば、薬学的に活性な物質は、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、眼圧降下薬、抗炎症薬、ステロイド、抗アレルギー化合物、抗脈管形成化合物、生物学的製剤、免疫調節薬、細胞増殖抑制薬、抗酸化薬、UVフィルター化合物、脂肪酸等からなる群から選択することができる。
【0017】
本発明により提供される方法の利点は、乳化工程をスケールアップする必要なしに、大量の乳剤の製造ができることである。
【0018】
他の態様において、本発明は、上述のように得られた前濃縮物を希釈することにより所望の眼科用水中油型乳剤を調製する方法に関する。そのような方法は、得られた眼科用水中油型乳剤が5容積/容積%以下、好ましくは3容積/容積%以下、より好ましくは2容積/容積%以下、さらにより好ましくは1容積/容積%以下の油中含量を有するように、1容量の前濃縮物を2〜50容量の希釈水溶液で希釈する工程を含む。好ましくは、希釈は、1容量の前濃縮物に対して2容量の希釈水溶液を用いて行う。より好ましくは、希釈は、1容量の前濃縮物に対して10容量の希釈水溶液を用いて行う。
【0019】
そのような発明の方法の1つの利点は、前濃縮物の希釈により得られた水中油型乳剤が、現在用いられている方法で必要とするより低いエネルギーの投入により形成されることである。
【0020】
特定の実施形態において、希釈水溶液は、界面活性剤および/または添加剤、例えば、等張化剤、粘稠化剤、緩衝剤、保存剤、抗酸化薬、着色剤またはミセル溶液を含む。あるいはまたはさらに、希釈水溶液は、塩化ベンザルコニウムを含む。あるいはまたはさらに、希釈水溶液は、1つまたは複数の水溶性治療薬を含む。
【0021】
他の態様において、本発明は、本発明の方法により調製される眼科用水中油型乳剤の前濃縮物を提供する。本発明の状況において、前濃縮物は、好ましくは1:1〜1:50(容積/容積)の希釈度、より好ましくは1:2〜1:10(容積/容積)の希釈度で水性媒体で希釈することにより乳剤(例えば、マイクロエマルションまたはサブマイクロエマルション)を形成しうる、希釈により希釈された乳剤を形成しうる乳剤と定義される。したがって、前濃縮物は、液体の形、ゲルの形または水性媒体でのそのさらなる希釈を考慮して適切な任意の形態であってよい。本発明の意味における前濃縮物は、最終眼科用水中油型乳剤の油中含量より高い油中含量を含む乳剤である。特定の実施形態において、眼科用水中油型乳剤の前濃縮物は、患者への投与に適していない。
【0022】
特定の実施形態において、本発明の前濃縮物は、最終眼科用水中油型乳剤の小滴サイズと実質的に等しいサイズ、例えば、約10nmを超え、約500nm未満、約300nm未満、または好ましくは約200nm未満、好ましくは約150nm未満、一般的に約100nm未満のサイズを有する小滴を含む。
【0023】
特定の実施形態において、本発明の前濃縮物は、24時間を超える、好ましくは3日を超える、より好ましくは7日を超える期間安定である。
【0024】
他の態様において、本発明は、本明細書で述べるように前濃縮物の希釈により得られた眼科用水中油型乳剤を提供する。
【0025】
他の態様において、本発明は、本明細書で開示する発明の方法により調製される有効な量の水中油型乳剤を含む医薬組成物を提供する。
【0026】
さらなる他の態様において、本発明は、眼の疾患または状態の治療のための薬剤の製造のための本明細書で開示した発明の方法により調製した水中油型乳剤の使用に関する。関連する態様において、本発明はまた、本明細書に開示する発明の方法により調製した水中油型乳剤を含む薬剤に関する。
【0027】
さらなる他の態様において、本発明は、対象における眼の疾患または状態の治療の方法を提供する。そのような方法は、本明細書で説明する発明の方法により調製される有効な量の眼科用水中油型乳剤を対象に投与する工程を一般的に含む。投与は、局所、眼内または眼周囲経路であってよい。そのような方法は、例えば、緑内障、角膜炎、ブドウ膜炎、眼内炎症、アレルギー、および眼乾燥症候群眼感染症のような眼の炎症状態、眼アレルギー、眼感染症、癌成長、角膜に由来する新生血管成長、網膜浮腫、黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、早発の網膜症、網膜の変性疾患(黄斑変性、網膜ジストロフィー)ならびにグリア増殖に関連する網膜疾患など任意の眼の疾患または状態を治療するのに用いることができる。
【0028】
本発明のこれらおよび他の目的、利点ならびに特徴は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読んだ当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1に記載するシクロスポリンAの乳剤の調製に用いる調合方法を示すスキームである。
【図2】実施例2に記載するAPIを含まない乳剤の調製に用いる調合方法を示すスキームである。
【図3】実施例3に記載するナファゾリンの乳剤の調製に用いる調合方法を示すスキームである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
定義
便宜の目的で、本明細書を通して用いる様々な用語の定義を以下に示す。
【0031】
組成物または乳剤に関連して本明細書で用いる「眼科用」という用語は、対象の眼に投与することを意図し、薬剤効果を示す組成物または乳剤に適用される。
【0032】
「対象」および「個体」という用語は、本明細書では同義で用いる。それらは、眼の疾患または状態に罹患しうるまたは罹りやすいが、疾患または状態を有する可能性がある、または可能性がないヒトまたは他の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマまたは霊長類の動物)を意味する。多くの実施形態において、対象はヒトである。「個体」および「対象」という用語は、特定の年齢を示さず、したがって、成人、小児および新生児を含む。
【0033】
「眼の疾患または状態」という用語は、緑内障、角膜炎、ブドウ膜炎、眼炎症、術後炎症、アレルギーおよび眼乾燥症候群眼感染症のような眼の炎症状態、眼アレルギー、眼感染症、癌成長、角膜に由来する新生血管成長、網膜浮腫、黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、早発の網膜症、網膜の変性疾患(黄斑変性、網膜ジストロフィー)、グリア増殖に関連する網膜疾患などの様々な眼の状態のいずれかを意味する。
【0034】
「治療」という用語は、本明細書では(1)疾患または状態(特に眼の疾患または状態)の発症を遅延または予防する、(2)疾患または状態の症状の進行、増悪または悪化を遅くするまたは抑える、(3)疾患または状態の症状の改善をもたらす、あるいは(4)疾患または状態を治癒させることを意図する方法または処置を特徴づけるために用いる。治療は、予防または防止行為では疾患または状態の発症前に行うことができる。あるいはまたはさらに、治療は、治療行為では疾患または状態の発症の後に行うことができる。
【0035】
「医薬組成物」は、有効な量の発明の眼科用乳剤および少なくとも1つの薬学的に許容できる担体または賦形剤を含むものと本明細書では定義する。
【0036】
本明細書で用いるように、「有効な量」という用語は、組織、系または対象におけるその意図する目的、例えば、所望の生物学的または薬効反応を達成するのに十分である化合物、薬物または組成物の任意の量を意味する。例えば、本発明の特定の実施形態において、目的は、眼の疾患または状態の症状の進行、増悪または悪化を遅くするまたは抑える、疾患または状態の症状の改善をもたらす、かつ/あるいは疾患または状態を治癒させることであってよい。有効な量の決定は、様々な生物学的因子または個々の変動および治療に対する反応に依存しうる点で、薬剤科学および医学の技術分野における通常の技術の範囲に十分に入っている。
【0037】
「薬学的に許容できる担体または賦形剤」という用語は、有効成分の生物学的活性の有効性を妨げず、それが投与される濃度で宿主に対して過度に毒性を示さない担体媒体を意味する。この用語は、溶媒、分散媒体、抗菌および抗真菌剤、等張剤、吸着遅延剤等を含む。薬学的に活性な物質に対するそのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野でよく知られている(その全体が参照として本明細書に組み込まれている、例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、E.W.Martin、第18版、1990年、Mack Publishing Co.:Easton、PAを参照)。
【0038】
「治療薬」、「薬物」および「薬学的に活性な物質」という用語は、本明細書では同義で用いている。それらは、疾患または状態の治療に有効な物質、分子、化合物、薬剤、因子または組成物を意味する。
【0039】
「プロドラッグ」という用語は、本明細書ではその技術分野で理解された意味を有し、投与後に薬学的に活性な薬物に変換され、かつ/または放出される薬物前駆体としての働きをする薬学的に不活性な化合物を意味する。変換または放出は、化学的または生理学的過程(例えば、生理的pHになるときまたは酵素活性により)により起る可能性がある。変換または放出は、吸着の前、吸着中または吸着後に、あるいは身体の特定の標的部位で起る可能性がある。
【0040】
「おおよそ」および「約」という用語は、数に関して本明細書で用いているように、特に記載または文脈から特に明らかでない限り(そのような数が可能な値を超える場合を除き)、数のいずれかの方向(当該数より大きいまたは小さい)の10%の範囲内にある数を一般的に含む。
【0041】
「局所」という用語は、本発明の組成物の送達、投与または適用を特徴づけるために本明細書で用いるとき、局在化効果を得るために組成物を問題の部位に(すなわち、眼に)直接に送達、投与または適用することを指定することを意味する。局所投与は、対象の血流中への組成物の成分の有意な吸収を伴うことなく、実施することができる(全身性効果を避けるため)。あるいは、局所投与は、対象の血流中への組成物の成分の少なくとも一部の吸収をもたらす可能性がある。
【0042】
「界面活性作用物質」および「界面活性剤」という用語は、本明細書では同義で用いる。それらは、それらの技術分野で理解された意味を有し、液体の表面張力を低下させて、広がりをより容易にし、かつ/または2つの液体の間の界面張力を低下させる物質を意味する。界面活性剤は、一般的に両親媒性である有機化合物である(すなわち、それらは疎水性基(尾部と呼ばれる)と親水性基(頭部と呼ばれる)の両方を含む)。
【0043】
特定の好ましい実施形態の詳細な説明
上述のように、本発明は、眼科での適用における使用に適する乳剤を十分な歩留りと妥当な時間で製造するという利点を有し、小から中バッチサイズの装置を用いて実施することができる、水中油型乳剤の調製の方法に関する。
【0044】
I-眼科用水中油型乳剤の調製の方法
本発明により提供される方法は、一般的に(1)水中油型乳剤の前濃縮物を製造する工程と(2)工程(1)で得られた前濃縮物を希釈水相で希釈して、眼科での適用で用いることができる水中油型乳剤を得る工程とを含む。
【0045】
A.水中油型乳剤の前濃縮物およびその調製
本発明による水中油型乳剤の前濃縮物の製造の方法は、一般的に油相を水相および少なくとも1つの界面活性作用物質で乳化して前濃縮物を得る工程を含む。そのような方法において、油相は、眼への使用に適する少なくとも1つの油を含む。
【0046】
本発明の方法において、乳化の工程は、コロイドミル、ロータ/スタータホモジナイザー、高圧ホモジナイザーおよび音波(sonicating)ホモジナイザーを用いる方法を含むが、これらに限定されない、任意の適切な方法により実施することができる。一般的に、該乳化工程は、希釈眼科用水中油型乳剤の調製に現在用いられている方法で必要とするより低いエネルギー投入量を必要とする。特定の実施形態において、乳化工程は、現在利用可能な方法で必要とするものの約2から約50分の1のエネルギー投入量を必要とする。例えば、エネルギー投入量は、約2から約10分の1、約5から約25分の1、または約10から約50分の1となる可能性がある。
【0047】
眼への使用に適する油は、ヒマシ油、MCT、鉱油、植物油および眼レベルで十分に耐えられるこれらの油の任意の組合せを含むが、これらに限定されない。本明細書で用いているように、「MCT」という用語は、中鎖トリグリセリドを意味する。中鎖トリグリセリドは、一般的に高い水中溶解度を有し、酸化を著しく受けやすくはなく、眼科での適用に十分に適する。植物油の例は、綿実、アメリカホドイモ、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヤシ、ダイズおよびゴマ油を含むが、これらに限定されない。鉱油の例は、シリコーンおよびパラフィンを含むが、これらに限定されない。
【0048】
本発明の方法は、約3容積/容積%から約50容積/容積%の油中含量を有する前濃縮物を発生させる。例えば、特定の実施形態において、本発明の方法により、約6容積/容積%から約30容積/容積%の油中含量を有する前濃縮物が得られる。他の実施形態において、本発明の方法により、約10容積/容積%から約20容積/容積%の油中含量を有する前濃縮物が得られる。
【0049】
本発明の方法において、前濃縮物の生成につながる乳化の工程は、油相、水相および少なくとも1つの界面活性作用物質(または界面活性剤)の存在下で実施する。本発明の方法における使用に適する界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤または陰イオン界面活性剤であってよい。本発明の方法に用いることができる非イオン性界面活性剤の例は、ポロキサマー、チロキサポール、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、クレモホル(cremophors)の誘導体(例えば、クレモホルELおよびクレモホルRH)、ソルビタンエステル、スレアリン酸ポリオキシル、クレモホル(例えば、クレモホルELおよびクレモホルRH)およびその組合せを含むが、これらに限定されない。本発明における使用に適する陽イオン界面活性剤の例は、C10〜C24第一級アルキルアミン、第三級脂肪族アミン、ハロゲン化ラウラルコニウム、セトリミド、ハロゲン化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化テトラデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ドデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化セトリモニウム、ハロゲン化ベンゼトニウム、ハロゲン化ベヘナルコニウム、ハロゲン化セタルコニウム、ハロゲン化セテチルジモニウム、ハロゲン化セチルピリジニウム、ハロゲン化ベンゾドデシニウム、ハロゲン化クロルアリルメテナミン、ハロゲン化ミリスタルコニウム、ハロゲン化ステアラルコニウムまたはその2つもしくはそれ以上の混合物を含む群(ハロゲン化物は好ましくは塩化物または臭化物である)から選択される第四級アンモニウム化合物、陽イオン脂質、アミノアルコール、クロルヘキシジンおよびその塩、ポリアミノプロピルビグアニド、フェンホルミン、アルキルビグアニドまたはその2つもしくはそれ以上の混合物を含むまたはからなる群から選択されるビグアニド塩、1,2-ジオレイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロホスファチジルエタノールアミン、陽イオングリコスフィンゴ脂質または陽イオンコレステロール誘導体およびそのいずれかの組合せから選択される陽イオン化合物を含むが、これらに限定されない。本発明における使用に適する陰イオン界面活性剤の例は、レシチン、胆汁酸塩、脂肪酸およびそのいずれかの組合せを含むが、これらに
限定されない。
【0050】
特定の実施形態において、界面活性作用物質(複数可)の平均親水性親油性バランス(HLB)は、前濃縮物の調製に用いる油相の油もしくは複数の油の必要なHLBもしくは平均HLB(RLHB)の大きさである。好ましくは、油相の油のRLHB値と界面活性作用物質(複数可)のHLB値は実質的に等しい。本明細書で用いているように、「親水性親油性バランスまたはHLB」という用語は、その技術分野で理解された意味を有する。界面活性剤に関して用いるとき、それは、分子の異なる領域の値を計算することにより決定される、界面活性剤が親水性または親油性である程度の尺度を意味する。HLB値およびRHLB値の意味は、その全体が参照として本明細書に組み込まれている、例えば、「Encyclopedia of Emulsion Technology」、P.Becher(編集)、1983年、Marcel Dekker、第1巻、217〜220頁に述べられている。
【0051】
特定の実施形態において、本発明による前濃縮物の調製に用いる油相は、少なくとも1つの薬学的に活性な物質またはプロドラッグをさらに含む。好ましくは、薬学的に活性な物質(またはプロドラッグ)は、油相に可溶である。
【0052】
本発明の実施において用いることができる薬学的に活性な物質またはプロドラッグの例は、抗生物質(例えば、アミノグリコシド、カルバセフェム、カルバペネム、マクロライド、セファロスポリン、グリコペプチド、ペニシリン、ポリペプチド、キノロン、スルホンアミド、テトラサイクリンなど)、抗ウイルス薬(例えば、シドホビル、ガンシクロビル、バラシクロビルまたはアシクロビル)、抗真菌薬(例えば、ポリエン抗生物質、イミダゾールおよびトリアゾール、アリルアミン)、眼圧降下薬(例えば、α-アドレナリン作動薬、β-アドレナリン遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、カンナビノイド、誘導体およびプロドラッグ)、非ステロイド抗炎症薬を含む抗炎症薬(例えば、COX-2阻害薬、サリチル酸塩、2-アリールプロピオン酸、N-アリールアントラニル酸、オキシカム、スルホナニリド、ピラゾリジン誘導体、アリールアルカン酸、3-ベンゾールフェニル酢酸および誘導体)、ステロイド(例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニソン、プレドニソロン、メチルプレドニソン、フルオロメタロン、メドリソン、ベタメタゾン、ロテプレドノール、フルメタソン、モメタソン、テストステロン、メチルテストステロン、ダナゾール、ベクロメタゾン、デキサメタゾン、パルミチン酸デキサメタゾン、トラムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、ジフルプレドナート)、抗アレルギー化合物(例えば、オラパタジン、ケトチフェン、アゼラスチン、エピナスチン、エメダスチン、レボカバスチブ、テルフェナジン、アステミゾールおよびロラタジン)、抗脈管形成化合物(例えば、タリドミド、VEGF阻害薬、VEGF可溶性受容体、VEGFトラップ、VEGF抗体、VEGFトラップ、抗VEGF-siRNA)、生物由来剤(例えば、抗体または抗体フラグメント、オリゴアプタマー、アプタマーおよび遺伝子フラグメント、オリゴヌクレオチド、プラスミド、リボザイム、小分子干渉RNA、核酸フラグメント、ペプチドおよびアンチセンス配列)、成長因子(例えば、表皮成長因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、トランスフォーミング成長因子ベータ、毛様体神経栄養成長因子、グリア由来神経栄養因子、NGF、EPOおよびPIGF)、免疫調節薬(例えば、グルココルチコイド、イムノフィリン作用
薬、インターフェロン、オピオイド)、細胞増殖抑制薬(例えば、アルキル化薬、代謝拮抗薬および細胞毒性抗生物質)、抗酸化薬(例えば、α-トコフェロール、アスコルビン酸、レチノイン酸、ルテインおよびそれらの誘導体、前駆体またはプロドラッグ)、UVフィルター化合物(例えば、ベンゾフェノン)、抗潮紅薬(例えば、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、エフェドリンおよびフェニルエフリン)、脂肪酸(例えば、ω-3脂肪酸)、および同様なものならびにその任意の組合せを含むが、これらに限定されない。
【0053】
特定の実施形態において、薬学的に活性な物質は、非ステロイド抗炎症薬、例えば、フルビプロフェンである。
【0054】
本発明の実施において用いることができる薬学的に活性な物質またはプロドラッグの他の例は、β-遮断薬のうちから選択することができる抗緑内障活性物質(例えば、レボブノロール、ベフンドール、メチプラノロール、ホルスコリン、カルトロロール、チモロール)、炭酸脱水酵素阻害薬(例えば、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミド、ジクロロフェナミド)、交感神経作用薬(例えば、ブリモニジン、アプラクロニジン、ジピベフリン、エピネフリン)、副交感神経作用薬(例えば、ピロカルピン)またはコリンエステラーゼ阻害薬(例えば、フィソスチグミン、エコチオフェートおよび/またはそれらの誘導体および/またはその薬学的に許容できる塩)を含むが、これらに限定されない。
【0055】
本発明の実施において用いることができる薬学的に活性な物質またはプロドラッグの他の例は、プロスタグランジン、好ましくは、例えば、ラタノプロスト、ウノプロストンイソプロピル、トラボプロスト、ビマトプロスト、タフルプロスト、8-イソプロスタグランジンE2またはそのいずれかの組合せなどのプロスタグランジンF類似体を含むが、これらに限定されない。例えば、薬学的に活性な物質は、ラタノプロストであってよい。
【0056】
本発明の実施において用いることができる薬学的に活性な物質またはプロドラッグの他の例は、眼への使用に適するコルチコステロイドおよびそのプロドラッグを含むが、これらに限定されない。コルチコステロイドの例は、ベタメタゾン、ブデノシド、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾリン、プレドニゾロン、プレドニゾンおよびトリアムシノロンを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、本発明による前濃縮物を調製するのに用いる油相は、コルチコステロイドのプロドラッグ、例えば、デキサメタゾンのプロドラッグ、例えば、パルミチン酸デキサメタゾンを含む。
【0057】
油相に含まれている薬学的に活性な物質の量は、一般的に、最終水中油型眼科用乳剤中の活性物質の量が約0.001%〜3%含まれるような量である。
【0058】
特定の実施形態において、本発明の方法により調製される前濃縮物は、約10nmを超え、約500nm未満、好ましくは約300nm未満または約200nm未満の平均サイズを有する小滴を含む。特定の好ましい実施形態において、発明の前濃縮物中の小滴の平均サイズは、それから調製される眼科用水中油型乳剤中の小滴の平均サイズと実質的に同じである。
【0059】
特定の実施形態において、本発明の方法により調製される前濃縮物は、24時間を超える、好ましくは3日間を超える、より好ましくは7日間を超える期間にわたって安定である。
【0060】
本発明の方法により調製される前濃縮物は、水性媒体によるそのさらなる希釈に適する任意の形態であってよい。したがって、特定の実施形態において、本発明の前濃縮物は、液体の形態である。他の実施形態において、前濃縮物は、ゲルの形態である。
【0061】
本発明の前濃縮物は、カチオン性乳剤(すなわち、正のゼータ電位を有するコロイド粒子を含む組成物)、アニオン性乳剤(すなわち、負のゼータ電位を有するコロイド粒子を含む組成物)または非イオン性乳剤(すなわち、ゼータ電位0を有するコロイド粒子を含む組成物)の形態であってよい。当技術分野で知られているように、ゼータ電位は、粒子間の反発または引力の尺度である。ゼータ電位は、直接測定可能でないが、理論的モデルおよび実験的に測定された電気泳動移動度または動的電気泳動移動度を用いて計算することができる。当技術分野で知られているように、電気泳動移動度は、マイクロ電気泳動または電気泳動光散乱を用いて測定することができる。特定の好ましい実施形態において、前濃縮物は、好ましくはカチオン性乳剤の形態である。
【0062】
多くの実施形態において、本発明の方法により製造される前濃縮物は、対象の眼への投与に適さないが、水性媒体による希釈後に眼への使用に適するようになる。
【0063】
B.眼科用水中油型乳剤およびその調製
本発明はまた、眼科用水中油型乳剤の製造の方法を提供する。そのような方法は、一般的に、上述のように前濃縮物を製造する工程と、1容量の前濃縮物を、2〜50容量、例えば、2〜25容量または2〜10容量の希釈水溶液で希釈する工程とを含む。上で開示したように、そのような方法で用いる前濃縮物は、約3容積/容積%から約50容積/容積%、例えば、約6容積/容積%から約30容積/容積%または約10容積/容積%から約20容積/容積%の油中含量を有し、眼科での適用における使用に適する少なくとも1つの油を含む。
【0064】
特定の実施形態において、希釈水相は、乳化剤、懸濁化剤、分散または湿潤剤、等張化剤、粘稠化剤、緩衝剤、保存剤、キレート化剤、消泡剤、抗酸化剤、着色剤およびそのいずれかの組合せからなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を含む。
【0065】
乳化剤の例は、天然に存在するゴム、天然に存在するホスファチド(例えば、ダイズレシチン、モノオレイン酸ソルビタン誘導体)、ソルビタンエステル、モノグリセリド、脂肪アルコール(例えば、セチルアルコール、オレイルアルコール)および脂肪酸エステル(例えば、脂肪酸のトリグリセリド、セトステアリル硫酸ナトリウム)である。乳化剤は、約0.01重量/重量%から約1重量/重量%までの濃度で存在していてよい。この項では、パーセントは、最終乳剤の重量/重量(w/w)で示す。
【0066】
緩衝剤の例は、クエン酸、酢酸、乳酸、リン酸水素、ジエチルアミン、水酸化ナトリウムおよびトロメタン(すなわち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンヒドロクロリド)などである。緩衝剤は、約5mMから約100mMまでの濃度で存在していてよい。
【0067】
適切な懸濁化剤は、例えば、天然に存在するゴム(例えば、アカシア、アラビア、キサンタンおよびトラガカントゴム)、セルロース(例えば、カルボキシメチル-、ヒドロキシエチル-、ヒドロキシプロピル-およびヒドロキシプロピルメチル-セルロース)、アルギン酸塩およびキトサンである。懸濁化剤は、約0.1%から約15%w/wまでの濃度で存在していてよい。
【0068】
分散または湿潤剤の例は、天然に存在するホスファチド(例えば、レシチンまたはダイズレシチン)、エチレンオキシドと脂肪酸とのまたは長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールおよびモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)である。分散または湿潤剤は、約0.001%から約5%w/wまでの濃度で存在していてよい。
【0069】
等張化剤の例は、NaCl、グリセロールおよびマンニトールを含むが、これらに限定されない。等張化剤は、約0.1%から約5%w/wまでの濃度で存在していてよい。
【0070】
製剤の安定性に影響を及ぼし、かつ/または患者における感染症を引き起こしうる微生物汚染を予防するために、保存剤を本発明の組成物に添加することができる。保存剤の適切な例は、クロルエキシジン、ポリオキシエチレンビグエニド、パラベン(メチル、エチル、プロピル、p-ヒドロキシ安息香酸、ブチル、イソブチルおよびイソプロピルパラベンなど)、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、安息香酸、安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ブロノポール、ブロニドックス、MDMヒダントイン、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、塩化ベンザルコニウム、セトリミドおよびベンジルアルコールなどである。保存剤は、約0.0001%から約0.02%w/wまでの濃度で存在していてよい。
【0071】
キレート化剤の例は、EDTAナトリウムおよびクエン酸などである。キレート化剤は、約0.001%から約0.1%w/wまでの濃度で存在していてよい。
【0072】
消泡剤は、通常組成物の製造を促進するものであり、空気-液体界面を不安定にすることにより泡を消し、液体を空気ポケットから排出させる。消泡剤の例は、シメチコン、ジメチコン、エタノールおよびエーテルなどである。消泡剤は、約0.1%から約5%w/wまでの濃度で存在していてよい。
【0073】
ゲルベースまたは増粘剤の例は、流動パラフィン、ポリエチレン、脂肪油、コロイドシリカまたはアルミニウム、グリセロール、プロピレングリコール、プロピレンカーボネート、カルボキシビニルポリマー、ケイ酸マグネシウム-アルミニウム、親水性ポリマー(例えば、デンプンまたはセルロース誘導体など)、水膨潤性ヒドロコロイド、カラゲナン、ヒアルロン酸塩、アルギン酸塩およびアクリル酸塩である。ゲルベースおよび粘度増加剤は、約0.5%から約10%w/wまでの濃度で存在していてよい。
【0074】
特定の実施形態において、本発明の方法において用いる希釈水溶液は、あるいはまたはさらに、塩化ベンザルコニウムを含む。第四級アンモニウム化合物の系列に属する含窒素陽イオン界面活性剤である塩化ベンザルコニウムは、眼科学において最も一般的に用いられている保存剤である。塩化ベンザルコニウムは、陽イオン剤特性も有し、乳剤、特に、眼科用乳剤用の陽イオン剤として用いられる。
【0075】
欧州および/または米国薬局方に準拠することを望む製造業者により通常供給される塩化ベンザルコニウムは、様々なアルキル鎖長の塩化n-アルキルジメチルベンジルアンモニウムの混合物である。例えば、FeF Chemicals A/S(デンマーク)は、(1)60〜70%の塩化C12-アルキルジメチルベンジルアンモニウム、(2)30〜40%の塩化C14-アルキルジメチルベンジルアンモニウム、および5%未満の塩化C16-アルキルジメチルベンジルアンモニウムを含む3種の塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムの混合物を参照8100301U(BAK USP/NF)のもとで供給している。BAKは、約0.005%から約0.02%w/wまでの濃度で存在していてよい。
【0076】
特定の実施形態において、希釈水相は、あるいはまたはさらに、少なくとも1つの水溶性治療薬を含む。適切な水溶性治療薬は、鎮痛薬、麻酔薬、弛緩薬、ホルモン、抗炎症薬、ビタミン、ミネラル、抗脈管形成薬、創傷治癒薬、サイトカイン、成長因子、抗ヒスタミン薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗生物質、かゆみ止め薬、解熱薬などを含むが、これらに限定されない、様々なクラスの薬物に見いだすことができる。
【0077】
本明細書に記載する方法により調製される眼科用水中油型乳剤は、一般的に5容積/容積%以下、好ましくは3容積/容積%以下、より好ましくは2容積/容積%以下、より好ましくは1容積/容積%以下の油中含量を有する。それらは、一般的に約10nmを超え、約500nm未満、好ましくは約300nm未満または約200nm未満の平均サイズを有する小滴を含む。特定の好ましい実施形態において、発明の水中油型乳剤中の小滴の平均サイズは、水中油型乳剤が希釈により調製される元の前濃縮物中の小滴の平均サイズと実質的に同じである。好ましい実施形態において、発明の水中油型乳剤は、約12カ月を超える、好ましくは約24カ月を超える、またはより好ましくは約36カ月を超える期間にわたって安定である。
【0078】
II-眼科用水中油型乳剤の医薬組成物
本明細書に記載する眼科用水中油型乳剤は、それ自体で、または医薬組成物の形態で投与することができる。したがって、本発明は、有効な量の本明細書に記載する水中油型乳剤および少なくとも1つの薬学的に許容できる担体、媒体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。当業者により認識されるように、薬学的に許容できる担体または賦形剤は、発明の前濃縮物からの乳剤の調製に用いる希釈水相に含めることができる。
【0079】
本発明の医薬組成物は、液体または半固体投与製剤の形態であってよい。例えば、それらは、乳剤、ローション剤、リニメント剤、ゼリー剤、軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤、ヒドロゲル剤、エアゾール剤、噴霧剤、発泡剤などとして製剤することができる。
【0080】
本発明の医薬組成物は、一般的製薬業務により調製することができる(それぞれその全体が参照として本明細書に組み込まれている、例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、E.W.Martin、第18版、1990年、Mack Publishing Co.:Easton、PAならびに「Encyclopedia of Pharmaceutical Technology」、1988年、J.SwarbrickおよびJ.C.Boylan(編集)、Marcel Dekker Inc:New Yorkを参照)。
【0081】
本発明の組成物中に組み入れるのに適する薬学的に許容できる担体、媒体および/または賦形剤は、当業者が特定の使用で定法により選択することができる。そのような担体、媒体および賦形剤は、溶媒、緩衝剤、不活性希釈剤、懸濁化剤、分散剤または湿潤剤、保存剤、安定化剤、キレート化剤、乳化剤、消泡剤、ゲル形成剤、湿潤剤などを含むが、これらに限定されない。考慮される賦形剤の特性は、投与部位における生体適合性と生分解性、存在する薬学的に活性な物質ならびに温度、圧力などのような処理条件との適合性を含むが、これらに限定されない。
【0082】
本発明の特定の実施形態において、組成物の1つまたは複数の成分の局所的放出制御を可能にするように医薬組成物を製剤する。眼への投与に適する任意の薬学的に許容できる担体、媒体または賦形剤を用いることができる。徐放性製剤の例は、ポリマー製剤(小胞またはリポソームなど)およびミクロ粒子(ミクロスフェアまたはマイクロカプセルなど)などである。
【0083】
本発明の組成物の1つまたは複数の成分の放出制御を可能にするために、様々な生分解性物質を用いることができる。放出制御物質は、自然の組織過程により、かつ適切な経過時間で投与部位から除去されるように、生体適合性であり、安全かつ薬学的に許容できる仕方でその場で分解され、溶解または吸収されるべきである。放出制御担体は、望まれない局所組織反応を引き起こし、または全身もしくは局所毒性を誘発すべきでない。
【0084】
本発明の組成物の製剤に用いるのに適した放出制御生分解性ポリマーは、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリカプロラクトン、多糖、ポリホスファゼン、タンパク質性ポリマーおよびそれらの可溶性誘導体(ゲル化生分解性合成ポリペプチド、アルキル化コラーゲンおよびアルキル化エラスチンなど)、多糖、ポリペプチド、ポリエステルおよびポリオルトエステルの可溶性誘導体を含んでいてよい。
【0085】
これらの製剤の薬物動態学的放出プロファイルは、所望の期間にわたって所望の治療効果をもたらすために1次、0次、2または多相性であってよい。所望の放出プロファイルは、薬学的に活性な物質の異なる放出速度および/または異なる負荷パーセントを有するポリマーの混合物を用いることによって達成することができる。リポソーム、ミクロスフェアおよびマイクロカプセルの製造方法は、当技術分野でよく知られている。
【0086】
本発明の医薬組成物は、投与しやすさおよび用量の均一性で単位剤形として製剤化することができる。「単位剤形」という表現は、本明細書で用いているように、患者を治療するための物理的に分離した量の乳剤を意味する。しかし、本発明の組成物の総1日量は、担当医が健全な医学的判断の範囲内で決定するものと理解されよう。
【0087】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、眼に適用することができる用具、例えば、眼用レンズと合わせ、それに被覆し、または内部に組み入れる。
【0088】
前濃縮物および/または得られた水中油型乳剤は、高圧滅菌にかけることによるなどの熱による、またはろ別もしくはろ過による、または照射による、またはガス滅菌による方法を含むが、これらに限定されない任意の適切な方法を用いて滅菌することができる。特定の実施形態において、前濃縮物を無菌的条件下で調製する。他の実施形態において、最終水中油型乳剤を希釈工程の後に滅菌する。さらなる他の実施形態において、希釈を無菌的条件下で実施する。特定の実施形態において、対象の眼に投与する医薬組成物は無菌性である。
【0089】
III-適応および投与
他の態様において、本発明は、眼の疾患または状態の治療の方法に関する。そのような方法は、本明細書に開示する方法により得られた有効な量の眼科用水中油型乳剤をそれを必要とする対象に投与する工程を一般的に含む。
【0090】
投与は、局所投与、眼内投与および眼周囲投与を含む、任意の適切な方法によるものであってよい。
【0091】
本発明の乳剤および方法を用いて治療することができる眼の疾患または状態は、緑内障、角膜炎、ブドウ膜炎、眼内炎症、術後炎症、アレルギー、および眼乾燥症候群眼感染症のような眼の炎症状態、眼アレルギー、眼感染症、癌成長、角膜に由来する新生血管成長、網膜浮腫、黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、早発の網膜症、網膜の変性疾患(黄斑変性、網膜ジストロフィー)ならびにグリア増殖に関連する網膜疾患などの様々な眼の状態のいずれかであってよい。
【0092】
本発明による治療は、単回投与またはある期間にわたる複数回の投与からなっていてよい。投与は、1日、1週(もしくは他の複数日間隔で)1または複数回、あるいは間欠的スケジュールに基づいていてよい。
【0093】
適切な用量の最適化は、臨床試験で観測された薬物動態データを考慮して当業者が容易に行うことができる。最終的な投与法は、薬物の作用を変化させる様々な因子、例えば、薬物の特異的活性、疾患または状態の重症度および患者の反応性、患者の年齢、状態、体重、性別および食事、現在の感染症の重症度、投与の時間、併用療法の使用(または非使用)ならびに他の臨床的因子を考慮して担当医が決定するであろう。
【0094】
本発明の医薬組成物は単独で、または追加の療法と組み合わせて用いることができることは認識されよう。言い換えれば、本発明による治療は、1つもしくは複数の所望の治療薬または医療処置と同時に、前に、かつ/または後に行うことができる。そのような併用療法に用いるための療法(治療薬または処置)は、所望の療法および/または処置ならびに達成されるべき所望の治療効果の適合性を考慮に入れる。
【0095】
例えば、本発明の医薬組成物は、眼手術後に対象に投与することができる。眼手術手技の例は、レーザー手術、白内障手術、緑内障手術(例えば、管形成術)、屈折手術(例えば、角膜曲率形成術、自動化層状角膜移植術、レーザー支援in situ角膜曲率形成術またはLASIK、レーザー角膜切除屈折手術、レーザー熱角膜移植術、伝導性角膜移植術および乱視角膜切開術)、角膜手術(例えば、角膜移植手術、全層角膜移植術および治療的レーザー角膜切除術)、硝子体網膜手術(例えば、硝子体切除術、網膜剥離修復および黄斑孔修復)、眼筋手術、眼形成手術、眼瞼手術、眼窩手術および他の眼科学的手術手技を含むが、これらに限定されない。
【0096】
IV-医薬品パックまたはキット
他の態様において、本発明は、医薬品パックまたはキットに関する。本発明による医薬品パックまたはキットは、対象への組成物の投与を可能にする、発明の組成物の1つまたは複数の成分を含む1つまたは複数の容器(例えば、バイアル、アンプル、試験管、フラスコ、びんまたは充填済み注射器)を含む。そのような容器は、ガラス製、プラスチック材料製、樹脂製などであってよい。それらは、透明であってよく、あるいは、有効成分が光に直接曝露するリスクを防止または低減するために着色されているか、または不透明であってよい。特定の実施形態において、容器は、発明の組成物の調節された容積(例えば、液滴)の投与を可能にする形であってよい。他の実施形態において、発明の組成物の調節された容積の投与を可能にするシステム(例えば、点滴注入器)を含む。
【0097】
医薬品パックまたはキットの各種成分は、液体の形態または固体の形態(例えば、凍結乾燥)で供給してよい。各成分は、一般的にその各容器に小分けして入れるのに適するか、または濃縮された形で供給される。医薬品パックまたはキットは、凍結乾燥成分の再構成用の媒体を含んでいてよい。キットの個々の容器は、商業規模の厳重な保管場所に保管することが好ましい。
【0098】
特定の実施形態において、医薬品パックまたはキットは、上述のような1つまたは複数の追加の承認済み治療薬を含む。そのような容器に場合によって付随するものは、医薬品または生物学的製剤の製造、使用または販売を規制する政府当局により規定された形の注意または添付文書であってよく、注意は、ヒトへの投与用の製造、使用または販売の当局による承認を反映する。注意または添付文書は、本明細書で開示する方法による医薬組成物の使用法を含んでいてよい。
【0099】
識別子、例えば、バーコード、高周波数、IDタグ等がキット中または上に存在していてよい。識別子は、例えば、品質管理、在庫管理、ワークステーション間の移動の追跡の目的等でキットを個別に識別するのに用いることができる。
【0100】
(実施例)
以下の実施例では、本発明を行い、実施する好ましい態様のいくつかを記述する。しかし、これらの実施例は、例示の目的のものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。さらに、実施例における記述が過去時制で示されていない限り、本明細書の残りのような本文は、実験が実際に実施されたか、またはデータが実際に得られたことを示唆することを意図しない。
【0101】
(実施例1)
シクロスポリンAを含む100kgの乳剤の1バッチの調製
1-組成
以下の表にシクロスポリンA乳剤の組成を示す。
【0102】
【表1】

【0103】
2-調合方法
図1に調製に用いた調合方法のスキームを示す。工程1、2および6において、油相中のAPIを含む各相を別個に調製した。工程1および2で得られた水相および油相を次に工程3で希釈して、プレミックス(重量/重量)を得た。得られたプレミックスを高せん断混合に約30分から1時間かけ(工程4)、次いで、高圧下で約5時間ホモジナイズした(工程5)。次いで、2回目の希釈を1重量プレミックス/6重量水相2の比率で行って(工程6および7)、最終乳剤を得た。次いで、これを加熱により滅菌した(工程8)。
【0104】
3-結果
以下の表に言及した手順に従って行った部分的管理の結果を示す。
【0105】
【表2】

【0106】
(実施例2)
APIを含まない乳剤の500kgの1バッチの調製
1-組成
以下の表にシクロスポリンA乳剤の組成を示す。
【0107】
【表3】

【0108】
2-調合方法
図2に調製に用いた調合方法のスキームを示す。工程1、2および6において、各相を別個に調製した。工程1および2で得られた水相および油相を次に工程3で希釈して、プレミックス(重量/重量)を得た。得られたプレミックスを高せん断混合に約1時間かけ(工程4)、次いで、高圧下で約8時間ホモジナイズした(工程5)。次いで、2回目の希釈を1重量プレミックス/10重量水相2の比率で行って(工程6および7)、最終乳剤を得た。次いで、これを加熱により滅菌した(工程8)。
【0109】
3-結果
以下の表に言及した手順に従って行った部分的管理の結果を示す。
【0110】
【表4】

【0111】
(実施例3)
ナファゾリンを含む乳剤の100kgの1バッチの調製
1-組成
以下の表にナファゾリン乳剤の組成を示す。
【0112】
【表5】

【0113】
2-調合方法
図3に調製に用いた調合方法のスキームを示す。工程1、2および6において、各相を別個に調製した。APIを水相に含めた。工程1および2で得られた水相および油相を次に工程3で希釈して、プレミックス(重量/重量)を得た。得られたプレミックスを高せん断混合に約30分かけ(工程4)、次いで、高圧下で約5時間ホモジナイズした(工程5)。次いで、2回目の希釈を1重量プレミックス/25重量水相2の比率で行って(工程6および7)、最終乳剤を得た。次いで、これを加熱により滅菌した(工程8)。
【0114】
3-結果
以下の表に言及した手順に従って行った部分的管理の結果を示す。
【0115】
【表6】

【0116】
他の実施形態
本発明の他の実施形態は、明細書の考慮または本明細書に開示した発明の実施から当業者には明らかであろう。明細書および実施例は例示にすぎないとみなすものとし、本発明の真の範囲は添付の特許請求の範囲により示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用水中油型乳剤の前濃縮物を製造する方法であって、
水相および少なくとも1つの界面活性作用物質で油相を乳化して前濃縮物を得る工程
を含み、油相が眼への使用に適する少なくとも1つの油を含み、得られた前濃縮物が3容積/容積%から50容積/容積%まで、好ましくは6%から30%まで、より好ましくは10%から20%までの油中含量を有する方法。
【請求項2】
眼への使用に適する油がヒマシ油、MCT、鉱油、植物油およびそのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
油相が少なくとも1つの薬学的に活性な物質をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
薬学的に活性な物質が抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、眼圧降下薬、抗炎症薬、ステロイド、抗アレルギー化合物、抗脈管形成化合物、抗体およびそのフラグメント、オリゴアプタマー、アプタマーおよび遺伝子フラグメント、オリゴヌクレオチド、プラスミド、リボザイム、小分子干渉RNA、核酸フラグメント、ペプチドおよびアンチセンス配列、成長因子、免疫調節薬、イムノフィリン作用薬、インターフェロン、オピオイド、細胞増殖抑制薬、抗酸化薬、UVフィルター化合物、抗潮紅薬、ω-3脂肪酸、そのプロドラッグならびにそのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
薬学的に活性な物質がシクロスポリンA、ラタノプロスト、パルミチン酸デキサメタゾンおよびフルビプロフェンからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
得られた前濃縮物が約10nmを超え、約500nm未満、好ましくは約10nmを超え、約300nm未満、最も好ましくは約10nmを超え、約200nm未満の平均サイズを有する小滴を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前濃縮物が少なくとも24時間、好ましくは少なくとも3日、最も好ましくは少なくとも7日を超える期間安定である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前濃縮物がカチオン性乳剤、アニオン性乳剤または非アニオン性乳剤の形態である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前濃縮物がカチオン性乳剤の形態である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
眼科用水中油型乳剤を製造する方法であって、
眼科用水中油型乳剤の前濃縮物を製造する工程と、
1容量の前濃縮物を2容量から50容量の希釈水溶液で希釈する工程と
を含み、前濃縮物が3容積/容積%から50容積/容積%まで、好ましくは6容積/容積%から30容積/容積%まで、より好ましくは10容積/容積%から20容積/容積%までの油中含量を有する方法。
【請求項11】
希釈水溶液が等張化剤、粘稠化剤、緩衝剤、保存剤、抗酸化剤、着色剤、ミセル溶液およびその組合せからなる群から選択される添加剤を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
希釈水溶液が塩化ベンザルコニウムを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
希釈水溶液が少なくとも1つの水溶性治療薬を含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
水溶性治療薬が鎮痛薬、麻酔薬、弛緩薬、ホルモン、抗炎症薬、ビタミン、ミネラル、抗脈管形成薬、創傷治癒薬、サイトカイン、成長因子、抗ヒスタミン薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗生物質、かゆみ止め薬、解熱薬などからなる群の水溶性メンバーである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
眼科用水中油型乳剤の前濃縮物の製造を請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を用いて実施する、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
水中油型乳剤が約10nmを超え、約500nm未満、好ましくは約10nmを超え、約300nm未満、最も好ましくは約10nmを超え、約200nm未満の平均サイズを有する小滴を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
水中油型乳剤が少なくとも12カ月、好ましくは少なくとも24カ月、最も好ましくは少なくとも36カ月を超える期間安定である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
水中油型乳剤がカチオン性乳剤、アニオン性乳剤または非アニオン性乳剤の形態である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
水中油型乳剤がカチオン性乳剤の形態である、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法により得られる眼科用水中油型乳剤の前濃縮物。
【請求項21】
請求項10から19のいずれか一項に記載の方法により得られる眼科用水中油型乳剤。
【請求項22】
眼の疾患または状態の治療用の薬剤の製造のための、請求項21に記載の眼科用水中油型乳剤の使用。
【請求項23】
眼の疾患または状態の治療に有効な量の請求項21に記載の眼科用水中油型乳剤を含む薬剤。
【請求項24】
眼の疾患または状態が、炎症、アレルギー、乾燥眼、網膜疾患、感染症、緑内障および眼圧上昇からなる群のメンバーである、請求項22に記載の使用または請求項23に記載の薬剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−506266(P2011−506266A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542104(P2009−542104)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/064489
【国際公開番号】WO2008/074885
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(504169407)ノバガリ・フアルマ・エス・エイ (2)
【Fターム(参考)】