説明

眼科用組成物

【課題】アシタザノラストを点眼したときに感じる不快な刺激感を改善し、使用感に優れた、アシタザノラストを含有する眼科用組成物を提供する。
【解決手段】(A)アシタザノラストと、(B)ビタミンA及びその誘導体から選ばれるビタミンA類とを含有する眼科用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アシタザノラストを含有する眼科用組成物に関する。詳しくは、アシタザノラストと、ビタミンA及び/又はその誘導体から選ばれるビタミンA類とを含有することによって、アシタザノラストを含有する眼科用組成物を点眼したときに感じる不快な刺激感を改善し、使用感に優れた眼科用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アシタザノラストは、抗原抗体反応に基づく肥満細胞からの血小板活性化因子、ヒスタミン、ロイコトリエンの遊離を有意に抑制する優れた抗アレルギー作用を示すオキサニル骨格を持つ抗アレルギー薬であり、臨床的にはアレルギー性結膜炎や春季カタルなどの治療に用いられている。しかしながら、アシタザノラストを配合した眼科用組成物は、点眼時に不快な刺激感を生じるため、使用感の面から満足のいくものではなかった。
【0003】
これを改善するための方法として、例えば、アシタザノラスト等の薬物とカフェイン等のキサンチン類を含有する眼科用組成物(例えば、特許文献1:特開2003−137781号公報参照)、アシタザノラスト及び/又はその塩と、抗ヒスタミン剤と、ボルネオール、ゲラニオール、ベルガモット油及びユーカリ油よりなる群から選択される少なくとも1種とを含有する組成物(例えば、特許文献2:特開2007−77143号公報参照)、アシタザノラスト及び/又はその塩と、抗ヒスタミン剤と、メントールとを含有する組成物(例えば、特許文献3:特開2007−106754号公報参照)が提案されている。しかしながら、これらの方法でもアシタザノラストの不快な刺激感の緩和は充分に満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−137781号公報
【特許文献2】特開2007−77143号公報
【特許文献3】特開2007−106754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アシタザノラストを点眼したときに感じる不快な刺激感を改善し、使用感に優れた、アシタザノラストを含有する眼科用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)アシタザノラストを含有する眼科用組成物に、(B)ビタミンA及び/又はその誘導体から選ばれるビタミンA類を配合することによって、アシタザノラストによる刺激感が充分満足のいくまでに緩和されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
従って、本発明は下記眼科用組成物を提供する。
[1].(A)アシタザノラストと、(B)ビタミンA及びその誘導体から選ばれるビタミンA類とを含有する眼科用組成物。
[2].(B)ビタミンA類の濃度が、(A)アシタザノラスト1gに対して、ビタミンA500I.U.以上であることを特徴とする[1]記載の眼科用組成物。
[3].さらに、(C)テルペノイドを含有する[1]又は[2]記載の眼科用組成物。
[4].コンタクトレンズ用である[1]、[2]又は[3]記載の眼科用組成物。
[5].防腐剤フリーであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の眼科用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アシタザノラストの刺激感が充分満足ゆくまで緩和された、アシタザノラスト含有眼科用組成物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の眼科用組成物は、(A)アシタザノラストと、(B)ビタミンA及び/又はその誘導体から選ばれるビタミンA類とを含有する眼科用組成物である。
【0010】
(A)アシタザノラスト
本発明に用いられるアシタザノラストは、化学名が3’−(1H−テトラゾール−5−イル)オキサニリックアシッド、その塩又はその水和物であり、分子式C9753で表される公知の化合物である。該化合物は公知の方法により合成される。アシタザノラストは、眼科用剤に使用されるグレードであれば特に制限されない。
【0011】
アシタザノラストは、眼科用組成物中に塩や水和物でないアシタザノラストとして0.0001〜2g/100mL(以下、W/V%と記載する)配合することが好ましい。この範囲より少ないと、充分な治療効果が得られないおそれがあり、この範囲より多いと沈殿が生成するなどの製剤上の問題が生じることがある。より好ましくは0.0005〜0.5W/V%、さらに好ましくは0.001〜0.2W/V%、特に好ましくは0.01〜0.1W/V%の範囲である。
【0012】
(B)ビタミンA及びその誘導体から選ばれるビタミンA類
上記(A)成分の刺激緩和剤となる(B)成分としては、ビタミンAそれ自体のほかに、ビタミンAエステル(例えば、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノールなどの脂肪酸エステル)などのビタミンA誘導体、レチノール、レチノイン酸、レチノイド等が挙げられる。中でも、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、レチノイン酸が好ましい。具体的には、DSMニュートリションジャパン株式会社製パルミチン酸レチノール170万国際単位(I.U.)などが挙げられる。また、ビタミンA油などのビタミンA類含有混合物を使用することもできる。
【0013】
ビタミンAは、眼科用組成物中に1000〜300000I.U./100mL配合することができる。この範囲より少ないと充分な刺激緩和効果が得られないおそれがあり、これより多いとビタミンAの安定性が悪くなるなどの製剤上の問題が生じるおそれがある。好ましくは10000〜50000I.U./100mLの範囲である。
【0014】
また、(B)ビタミンA類の濃度は、(A)アシタザノラスト1gに対して、ビタミンA500I.U.以上が好ましい。ビタミンAがこれより少ないと充分な刺激緩和効果が得られないおそれがある。また、5000I.U.以上がより好ましく、10000I.U.以上がさらに好ましく、100000I.U.以上が特に好ましい。上限は特に制限はなく、前記組成物中のビタミンAの含有上限を超えない範囲とすることが好ましいが、通常50,000,000I.U.である。
【0015】
アシタザノラストを含有する眼科用組成物に、ビタミンA及び/又はその誘導体から選ばれるビタミンA類を配合することによって、刺激感が充分満足いくまでに緩和されるメカニズムは明確ではないが、アシタザノラストが作用する角結膜知覚神経レセプターをビタミンAが特異的に遮断したり、アシタザノラスト構造中の刺激発現部位をビタミンAが特異的に阻害することなどが考えられる。
【0016】
(C)テルペノイド
本発明の眼科用組成物には、刺激感を緩和する点から、(C)テルペノイドを配合することが好ましい。本発明に使用されるテルペノイドとしては特に制限はないが、良好な清涼感と清涼感の持続性を有するモノテルペノイド化合物が、刺激感を緩和する効果が高いため好ましい。具体的には、メントール(l−メントール、dl−メントール)、カンフル(dl−カンフル、d−カンフル)、ボルネオール(d−ボルネオール、リュウノウ)、ゲラニオール、シネオール、及びリナロール等が好ましく使用される。前記テルペノイドとしては、テルペノイドを含有する精油を用いてもよく、該テルペノイドを含有する精油としては、具体的には、ユーカリ油、ベルガモット油、ウイキョウ油、ローズ油、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油、フタバガキ科植物の精油、ロズマリン油、及びラベンダー油等が挙げられる。これらのテルペノイド(テルペノイドを含有する精油を含む)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記テルペノイドは、眼科用に使用できる市販品として、例えば、高砂香料工業(株)製のl−メントール、dl−メントール、d−カンフル、dl−カンフル、d−ボルネオール、dl−ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、リナロール、ユーカリ油、ベルガモット油、ウイキョウ油、ローズ油、ハッカ油、藤沢薬品工業(株)製や小城製薬(株)製のd−ボルネオール、dl−ボルネオール等の市販品が挙げられる。上記テルペノイドの中でもメントールが特に好ましい。
【0017】
前記テルペノイドの、眼科用組成物における含有量としては、0.0001〜2W/V%が好ましい。この範囲でより刺激緩和効果が得られ、この範囲より多いとテルペノイドが分離するなどの製剤上の問題が生じるおそれがある。また、0.0005〜1W/V%がより好ましく、0.001〜0.5W/V%がさらに好ましい(精油の場合は、含有するテルペノイドの量である)。
【0018】
本発明の眼科用組成物を充填する容器の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。ポリエチレンテレフタレートとしては、容器として成形可能なものであればよく、グレードなどは、特に問わない。容器は、紫外線遮断可能な容器が好ましい。
【0019】
本発明の眼科用組成物を容器に充填するときは、滅菌フィルターなどを用い無菌的に充填することが好ましい。充填する容器は、充填した眼科用組成物がなくなるまでキャップを開け閉めして何度でも使えるタイプでもよく、一度開けたら使い切るタイプ(ユニットドーズタイプ)でもよい。また、何度でも使えるタイプの場合、内容物の排出口に微細孔フィルターがあり、細菌や異物が容器内に入らないようなものでもよい。これら容器も充填するときは無菌であることが好ましい。
【0020】
本発明の眼科用組成物を充填した容器は、包装体で密封され、容器と包装体の間(インナースペース)に不活性ガスが充填されていることが好ましい。不活性ガスとしては、例えば窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどのガスが挙げられる。
【0021】
本発明の眼科用組成物は、特定の形態に限定されず、目的に応じて液剤、半固型剤(軟膏剤など)として使用することができる。これらの製剤は常法により調製して得られ、その際、上述の成分に加えてその製剤に応じた慣用の添加剤を使用することができる。液剤としては、均一溶液であっても懸濁液であっても、混合又は溶解して使用する組成物であってもよい。眼科用組成物としては、点眼剤、洗眼剤等が挙げられ、コンタクトレンズ用として好適である。なお、「コンタクトレンズ用」とは、コンタクト装着中、装着前後に使用するものをいう。より具体的には、点眼剤(コンタクトレンズ装用中に点眼可能なコンタクトレンズ用点眼剤を含む)、洗眼剤(コンタクトレンズ装用中に洗眼可能なコンタクトレンズ用洗眼剤を含む)が挙げられ、点眼剤が好ましい。コンタクトレンズとしては特に制限されず、ハードコンタクトレンズ、酸素透過性ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、使い捨てコンタクトレンズ、シリコンハイドロゲルコンタクトレンズなどが挙げられる。
【0022】
本発明の眼科用組成物には、前記成分の他、眼科用組成物に配合する各種成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。それらの成分としては、下記に示す各種薬物、各種添加剤等が挙げられ、それぞれ1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0023】
(D)多価アルコール
本発明の眼科用組成物の溶解安定性を向上させるため、多価アルコールを配合することが好ましい。多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられるが、中でも、プロピレングリコールを使用すると安定性が特に良好である。多価アルコールの配合量は、眼科用組成物中0.01〜5W/V%が好ましく、0.05〜3W/V%がより好ましい。
【0024】
(E)界面活性剤
本発明の眼科用組成物の溶解安定性を向上させるため、界面活性剤を配合することが好ましい。界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマーなどが好ましく使用される。界面活性剤の配合量は、眼科用組成物中0.01〜2W/V%が好ましく、0.05〜1W/V%がより好ましい。
【0025】
(F)抗酸化剤
本発明の眼科用組成物には、安定性の点から、抗酸化剤を配合することが好ましい。抗酸化剤としては、トコフェロール類(トコフェロール、トコフェロール誘導体、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールなどのトコフェロールエステル)、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの脂溶性抗酸化剤、ビタミンC、ヒドロキノン、システイン、塩酸ピリドキシンなどの水溶性抗酸化剤がある。好ましくは、脂溶性抗酸化剤を使用する。具体的には、トコフェロール類としては、理研ビタミン株式会社製理研Eアセテートα、ブチルヒドロキシトルエンとしては、和光純薬工業株式会社製「BHT F」などが挙げられる。抗酸化剤は眼科用組成物中に0.0005〜0.5W/V%配合することができ、好ましくは0.001〜0.1W/V%の範囲である。
【0026】
(G)金属封鎖剤
本発明の眼科用組成物には、安定性の点から、金属封鎖剤を配合することが好ましい。金属封鎖剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、その塩(Na塩)などが挙げられる。EDTA、その塩などは眼科用組成物に配合できるものであれば特に限定されない。金属封鎖剤は眼科用組成物中に0.001〜0.5W/V%配合することができ、好ましくは0.002〜0.1W/V%の範囲である。
【0027】
(H)水溶性高分子化合物
本発明の眼科用組成物には、薬物の眼粘膜への滞留性が向上する点から、水溶性高分子化合物を配合することが好ましい。水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマーなどが挙げられる。これらの配合量は、眼科用組成物中0.001〜20W/V%が好ましく、0.01〜10W/V%であることがより好ましい。
【0028】
(I)トロメタモール、ホウ酸、ホウ砂
本発明の眼科用組成物には、低刺激でかつ組成物の防腐効果の点から、トロメタモールを配合することが好ましく、さらに、ホウ酸又はホウ砂を併用すると、特に高い防腐効果が得られる。トロメタモールの配合量は、眼科用組成物中に、0.01〜10W/V%が好ましく、0.05〜5W/V%がより好ましい。ホウ酸又はホウ砂の配合量は、眼科用組成物中0.01〜10W/V%が好ましく、0.1〜5W/V%がより好ましい。
【0029】
(J)コンドロイチン硫酸またはその塩
本発明の眼科用組成物には、アレルギーなどにより痛んだ角膜を保護する効果や刺激を緩和する効果の点から、コンドロイチン硫酸またはその塩を配合することが好ましい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。コンドロイチン硫酸またはその塩の配合量は、眼科用組成物中に0.01〜1W/V%が好ましく、0.025〜0.5W/V%がより好ましい。
【0030】
(K)薬物
薬物としては、例えば、充血除去剤(塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリン、エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、dl−塩酸メチルエフェドリン、硝酸テトラヒドロゾリン、硝酸ナファゾリンなど)、抗ヒスタミン剤(塩酸イプロヘプチン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミン、塩酸イソチペンジル、クロルフェニラミンマレイン酸塩など)、水溶性ビタミン類(フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミンなど)、殺菌剤(イオウ、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオールなど)、局所麻酔剤(リドカイン、塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、塩酸ジブカインなど)、アミノ酸類(アスパラギン酸塩類、コンドロイチン硫酸塩類、タウリン)などが挙げられる。
【0031】
上記薬物は、本発明の効果を損なわない範囲で、各薬物の有効量を配合することができる。その配合量は、通常、眼科用組成物中0.001〜10W/V%、好ましくは0.003〜5W/V%、より好ましくは0.005〜4W/V%である。
【0032】
(L)等張化剤
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトールなどが挙げられる。
【0033】
(M)防腐剤
防腐剤は本発明の効果を損なわない範囲で配合することもできるが、本発明の眼科用組成物は、眼刺激の点から防腐剤を含有しない防腐剤フリーとすることが好ましい。防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸またはその塩、パラオキシ安息香酸エステル(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンなど)、グルコン酸クロルヘキシジン、チロメサール、フェニルエチルアルコール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンなどが挙げられる。
【0034】
(N)pH調整剤
pH調整剤としては、例えば、酸成分としては塩酸が挙げられる。無機アルカリ成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。有機アルカリ剤成分としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。この中でも、塩酸、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミンが好ましい。
【0035】
(O)緩衝剤
緩衝剤としては、リン酸、リン酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウムなどが好ましく使用される。
【0036】
(P)色素
色素としては、カロテンなどを使用することができる。
【0037】
本発明の眼科用組成物のpH(20℃)は、特に限定されないが、生体に許容される範囲のpHに調整されることが望ましい。好ましくは3.0〜9.0であり、より好ましくは3.5〜8.0である。
【0038】
本発明の眼科用組成物は、常法に基づき製造することができる。好ましい製造方法は、例えば、ビタミンA類とトコフェロール類などの脂溶性抗酸化剤をポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60などの界面活性剤と混合し、ついで水に添加して可溶化する。その後、よく撹拌しながら水酸化ナトリウム水溶液又はモノエタノールアミン水溶液に溶解したアシタザノラストを加えて溶解し、さらに必要に応じて各種薬物、清涼化剤、色素、等張化剤、防腐剤などを加えて溶解後、塩酸または水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整し、本発明の眼科用組成物とすることができる。
【0039】
本発明は、(A)アシタザノラストを含有する眼科用組成物に、(B)ビタミンA及びその誘導体から選ばれるビタミンA類とを配合することを特徴とする、アシタザノラストによる刺激感の緩和方法を提供することができる。好適な成分、配合比率、配合量等は上記眼科用組成物と同様である。
【実施例】
【0040】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0041】
[実施例1〜23、比較例1〜6]
表1〜5に示す眼科用組成物(点眼剤)を常法にしたがって製造し、ポリエチレン製点眼容器に収納して、成人男性10名(裸眼)をパネラーとし、点眼後の刺激感を下記評価基準により評価した。結果をパネラー10名の評価の平均点で示す。また、ソフトコンタクトレンズ装用成人男性10名をパネラーとし、同様の評価を行った。
<刺激感の評価基準>
0:全く刺激感がない
1:ほとんど刺激感がない
2:刺激感が少し感じられた
3:刺激感が感じられた
4:刺激感が強く感じられた
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
【表5】

【0047】
表1〜5の結果からアシタザノラストの刺激感を、ビタミンAを配合することで充分緩和することが認められた。また、メントールをさらに配合することで更なる刺激緩和が認められた。また、防腐剤である塩化ベンザルコニウム液を配合しないことでさらなる刺激緩和が認められた。
【0048】
常法に従って表6,7に記載の眼科用組成物を調製した。これらの眼科用組成物もアシタザノラストの刺激感が緩和されていた。
【0049】
【表6】

【0050】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アシタザノラストと、(B)ビタミンA及びその誘導体から選ばれるビタミンA類とを含有する眼科用組成物。
【請求項2】
(B)ビタミンA類の濃度が、(A)アシタザノラスト1gに対して、ビタミンA500I.U.以上であることを特徴とする請求項1記載の眼科用組成物。
【請求項3】
さらに、(C)テルペノイドを含有する請求項1又は2記載の眼科用組成物。
【請求項4】
コンタクトレンズ用である請求項1、2又は3記載の眼科用組成物。
【請求項5】
防腐剤フリーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の眼科用組成物。

【公開番号】特開2009−196983(P2009−196983A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11712(P2009−11712)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】