説明

着色シリカ系被膜形成用組成物

【課題】 半導体素子等に形成されているパターン形状を隠すために好適な着色層を形成するための着色シリカ系被膜形成用組成物を提供する。
【解決手段】 着色シリカ系被膜形成用組成物は、シロキサンポリマーと、着色剤と、溶媒とを含む。このシロキサンポリマーとしては、ラダー型シロキサンポリマーが好適に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色シリカ系被膜形成用組成物に関し、特に半導体素子に形成されているパターン形状を隠すために使用される着色層を形成するための着色シリカ系被膜形成用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LSIなどの半導体素子においては平坦化膜や層間絶縁膜としてシリカ系被膜が多用されている。このようなシリカ系被膜は、CVD法、スピンコート法等により形成される。このシリカ系被膜は、400nm以上の波長域において90%以上と透明性に優れている。そのため、半導体素子に形成されているパターン形状の情報が漏れるという問題があった。そこで、上記パターン形状の情報を隠蔽する方法が求められており、着色されたシリカ系被膜にてパターン形状を見えないように隠蔽することが検討されている。
例えば、引用文献1には、着色膜形成用塗布液が開示されている。
【特許文献1】特開平7−082527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のように、半導体素子に形成されているパターン形状を覆い隠蔽することは特許文献1には記載されていない。また、上記塗布液における、着色剤の分散性、塗布性、および保存安定性を向上させることは困難であった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、着色層を形成することができる、このましくは、塗布性、着色剤の分散性、および保存安定性に優れた着色シリカ系被膜形成用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の着色シリカ系被膜形成用組成物は、シロキサンポリマーと、着色剤と、溶剤と、を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の着色シリカ系被膜形成用組成物よれば、着色されたシリカ系被膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の着色シリカ系被膜形成用組成物はシロキサンポリマーと、着色剤と、溶剤と、を含むものである。
【0008】
本発明におけるシロキサンポリマーは、SiO単位を主骨格とするポリマーである。このシロキサンポリマーとしては、例えば、下記式(1)
SiX4−n (1)
(式中、RはHまたは1価の有機基、Xは加水分解性基を表し、nは0〜2の整数を表し、複数個のRは同一でも異なっていてもよい)
で表される少なくとも1種のシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物が挙げられる。
さらに、一般式(1)で表される化合物には、n=0の化合物が含まれていることが好ましい。これにより、機械強度をより向上させることができる。
また、n=1、2の場合には、Rが1価の有機基であるものを用いることが好ましい。
【0009】
上記Rの1価の有機基としては、炭素数1〜20の有機基が挙げられる。この有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などや、グリシジル基、グリシジルオキシ基等のエポキシ含有基、アミノ基、アルキルアミノ基等のアミノ含有基などで置換した基を挙げることができる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等の炭素数1〜6のものが好ましく、特にはメチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
上記Xの加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基、ビニロキシ基、2−プロペノキシ基等のアルケノキシ基、フェノキシ基、アセトキシ基等のアシロキシ基、ブタノキシム基等のオキシム基、アミノ基などを挙げることができる。これらの中で炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、特に加水分解、縮合時の制御のし易さから、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基が好ましい。
上記反応生成物の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準、以下同様。)は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、より好ましい範囲は1000〜5000である。
【0010】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリ−iso−プロポキシシラン、トリ−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブトキシシラン、トリ−tert−ブトキシシラン、トリフェノキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、フルオロトリ−n−プロポキシシラン、フルオロトリ−iso−プロポキシシラン、フルオロトリ−n−ブトキシシラン、フルオロトリ−sec−ブトキシシラン、フルオロトリ−tert−ブトキシシラン、フルオロトリフェノキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシランなど;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−iso−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリ−tert−ブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、i−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチル−i−トリエトキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−トリフルオロプロピルトリエトキシシランなど;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニル−ジ−エトキシシラン、ジフェニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−n−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−トリフルオロプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0011】
上記化合物(1)のうち好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン、トリメチルモノエトキシシラン、トリエチルモノメトキシシラン、トリエチルモノエトキシシラン、トリフェニルモノメトキシシラン、トリフェニルモノエトキシシランが挙げられる。
【0012】
上記一般式(1)の化合物は、有機溶媒中にて、水、触媒とを混合することにより加水分解、部分縮合され、シロキサンポリマーとすることができる。
この有機溶媒としては、着色シリカ系被膜形成用組成物に用いられる後述する有機溶媒が挙げられる。
また、触媒としては、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基などを挙げることができる。
有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができる。
無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等を挙げることができる。
また、有機塩基としては、例えば、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルメタノールアミン、N−エチルメタノールアミン、N−プロピルメタノールアミン、N−ブチルメタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N−プロピルプロパノールアミン、N−ブチルプロパノールアミン、N−メチルブタノールアミン、N−エチルブタノールアミン、N−プロピルブタノールアミン、N−ブチルブタノールアミン、N,N−ジメチルメタノールアミン、N,N−ジエチルメタノールアミン、N,N−ジプロピルメタノールアミン、N,N−ジブチルメタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジエチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルプロパノールアミン、N,N−ジブチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルブタノールアミン、N,N−ジエチルブタノールアミン、N,N−ジプロピルブタノールアミン、N,N−ジブチルブタノールアミン、N−メチルジメタノールアミン、N−エチルジメタノールアミン、N−プロピルジメタノールアミン、N−ブチルジメタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、N−プロピルジプロパノールアミン、N−ブチルジプロパノールアミン、N−メチルジブタノールアミン、N−エチルジブタノールアミン、N−プロピルジブタノールアミン、N−ブチルジブタノールアミン、N−(アミノメチル)メタノールアミン、N−(アミノメチル)エタノールアミン、N−(アミノメチル)プロパノールアミン、N−(アミノメチル)ブタノールアミン、N−(アミノエチル)メタノールアミン、N−(アミノエチル)エタノールアミン、N−(アミノエチル)プロパノールアミン、N−(アミノエチル)ブタノールアミン、N−(アミノプロピル)メタノールアミン、N−(アミノプロピル)エタノールアミン、N−(アミノプロピル)プロパノールアミン、N−(アミノプロピル)ブタノールアミン、N−(アミノブチル)メタノールアミン、N−(アミノブチル)エタノールアミン、N−(アミノブチル)プロパノールアミン、N−(アミノブチル)ブタノールアミン、メトキシメチルアミン、メトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミン、メトキシブチルアミン、エトキシメチルアミン、エトキシエチルアミン、エトキシプロピルアミン、エトキシブチルアミン、プロポキシメチルアミン、プロポキシエチルアミン、プロポキシプロピルアミン、プロポキシブチルアミン、ブトキシメチルアミン、ブトキシエチルアミン、ブトキシプロピルアミン、ブトキシブチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラプロピルエチレンジアミン、テトラブチルエチレンジアミン、メチルアミノメチルアミン、メチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルアミノブチルアミン、エチルアミノメチルアミン、エチルアミノエチルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノブチルアミン、プロピルアミノメチルアミン、プロピルアミノエチルアミン、プロピルアミノプロピルアミン、プロピルアミノブチルアミン、ブチルアミノメチルアミン、ブチルアミノエチルアミン、ブチルアミノプロピルアミン、ブチルアミノブチルアミン、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モルホリン、メチルモルホリン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセンなどを挙げることができる。
無機塩基としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどを挙げることができる。
【0013】
上記触媒の量は、例えば、加水分解反応の反応系中の濃度が1〜1000ppm、特に5〜800ppmの範囲になるように調製すればよい。
また、水の添加量は、一般式(1)の化合物全体における加水分解基1モル当たり、1.5〜4.0モルの範囲が好ましい。
【0014】
また、一般式(1)の化合物を加水分解反応させた場合には、加水分解によって生じたアルコール、存在する水を除去することが好ましい。上記加水分解によって生じたアルコール、水を除去することにより、保存安定性、成膜性を向上させることができる。さらに、着色剤の分散性を高めることができ、着色剤が沈殿することを抑制することができる。このアルコールおよび水の除去は、減圧蒸留による方法が好ましい。該減圧蒸留は真空度39.9×10〜39.9×10Pa(約30〜300mmHg)、好ましくは66.5×10〜26.6×10Pa(約50〜200mmHg)、温度20〜100℃で行うのが好ましい。上記加水分解によって生じたアルコールおよび水は、例えば、着色シリカ系被膜形成用組成物中10質量%以下、好ましくは5質量%、より好ましくは2質量%以下まで除去することが好ましい。
【0015】
また、シロキサンポリマーとしては、その主骨格におけるSi原子に炭素数5〜20程度の置換基を有していてもよい炭化水素基が結合していることが好ましい。このような基を有するシロキサンポリマーを用いることにより、着色シリカ系被膜形成用組成物を塗布して形成される塗膜の均一性を向上させることができる。
上記炭化水素基としては、特に下記式
【化1】

(上記式においてpは0〜5の整数を表し、qは0〜5の整数を表す。)
が好ましいものとして挙げられる。
また、上記pは0または1であることが好ましい。上記qは、0または1であることが好ましい。
さらに、上記シロキサンポリマーとしては、ラダー型シロキサンポリマーであることが好ましい。このラダー型シロキサンポリマーとしては、特に下記式(a)および(b)で表される構成単位を含むものが好ましい。
【化2】

【化3】

とくに、構成単位(a)と、構成単位(b)とからなるシロキサンポリマーの場合、(b)で表される構成単位が10〜90モル%であるものが好ましく、20〜80モル%であるものがより好ましい。
【0016】
本発明の着色シリカ系被膜形成用組成物は、着色剤を含有している。
この着色剤は、着色シリカ系被膜形成用組成物から形成される被膜を着色できるものであれば限定されるものではない。この着色剤としては、例えば、Co酸化物、酸化銅、クロム化合物、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化ネオジウム、チタンブラック、カーボンブラック等が挙げられる。特に好ましいものとしては、Co酸化物、着色力の高いカーボンブラックが挙げられる。また、有機顔料単独、または数色混ぜたものでもよい。
【0017】
このような有機顔料としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものが挙げられる。
【0018】
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様で番号のみ記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
【0019】
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様で番号のみ記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様で番号のみ記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
【0020】
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様で番号のみ記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
【0021】
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様で番号のみ記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;等が挙げられる。
【0022】
本発明の着色シリカ系被膜形成用組成物は、有機溶媒等の溶媒を含有していることが好ましい。この有機溶媒としては、例えばn−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等のモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒;エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のエステル系溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等の含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトン等の含硫黄系溶媒等を挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。
本発明において溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、着色シリカ系被膜形成用組成物における全固形分濃度が、1〜30質量%程度となるように調製することが好ましく、5〜25質量%程度に調製することがより好ましい。上記の濃度範囲にすることにより、塗膜の膜厚が適当な範囲にすることができ、保存安定性もより優れるものとすることができる。
また、溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、3−メトキシブチルアセテート、n−ブタノール、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸ブチル、プロピレングリコールジメチルエーテルを用いることが好ましい。これらの溶媒は、用いられる全溶媒中1〜100質量%程度が好ましく、5〜30質量%程度がより好ましい。
これらのなかでも、3−メトキシブチルアセテート、n−ブタノールは、着色シリカ系被膜形成用組成物における着色剤の分散性を向上させ、沈殿を抑制する効果が高く、好ましい。これにより、着色シリカ系被膜形成用組成物から形成された着色シリカ系被膜を、ほぼ均一に着色することができる。さらに、着色シリカ系被膜形成用組成物の保存安定性を向上させ、ゲル化を防止することができとともに、塗布性、均一性を向上させることができる。
ただし、溶媒に、水、メタノール、エタノールは含まれないことが好ましい。これらの溶媒は、着色シリカ系被膜形成用組成物において、着色剤の凝集、沈殿、ゲル化を引き起こしやすい。
【0023】
また、本発明の着色シリカ系被膜形成用組成物には、着色剤を分散させる分散剤を添加してもよい。この分散剤即ち界面活性剤でアニオン性化合物、カチオン性化合物、非イオン系化合物、高分子化合物などが挙げられる。分散させる着色剤にもよるがアニオン性化合物、高分子化合物が良くアニオン性化合物としてはアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、を挙げることができる。中でも、アルキルベンゼンスルホン酸は、入手が容易であり、分散性に優れ好ましい。
特に、前記シラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物をシロキサンポリマーとして使用する場合には、着色剤の沈殿が生じやすいため、分散剤を添加するほうが好ましい。
【0024】
また、本発明の着色シリカ系被膜形成用組成物には、塗布性の向上やストリエーション防止のための界面活性剤を添加してもよい。この界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、さらには、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを挙げることができる。
【0025】
本発明の着色シリカ系被膜形成用組成物は、半導体素子に形成されているパターン形状の隠蔽用途に好適に用いられる。本発明の着色シリカ系被膜形成用組成物を用いて着色シリカ系被膜を形成する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0026】
まず基板等の基体上に着色シリカ系被膜形成用組成物を所定の膜厚となるように、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布して塗膜を形成する。塗膜の厚さは適宜選択すればよい。
次いでホットプレート上でベークする。このベーク処理により塗膜中の有機溶剤が揮発し、さらにシロキサンポリマーの分子間で反応が生じて重合が進む。このときのベーク温度は、例えば80〜500℃程度であり、より好ましくは80〜300℃程度である。ベーク処理はベーク温度を変えつつ複数段階で行ってもよい。
この後、焼成することにより着色シリカ系被膜が得られる。焼成温度は、通常、350℃以上で行われ、350〜450℃程度が好ましい。
【実施例】
【0027】
(実施例1)
上記構成単位(a)と構成単位(b)とからなるシロキサンポリマー((a):(b)=3:7(モル比)、質量平均分子量(Mw)=9700)のPGMEA溶液(固形分濃度20質量%)50gと、着色剤としてのカーボンブラック(PDカラーTO−600K(御国色素社製)の3−メトキシブチルアセテート(固形分濃度20質量%)の分散液50gとを混合し、100gの黒色シリカ系被膜形成用組成物を得た。
上記黒色シリカ系被膜形成用組成物を、スピンコータ(タツモ社製)にてガラス基板上に塗布、その後、140℃で30分間オーブンにて乾燥させ、400℃で30分焼成した。これにより、膜厚610nmの黒色シリカ系被膜を得た。
【0028】
(実施例2)
メチルトリメトキシシラン220.0g、テトラメトキシシラン246.0g、プロピレングリコールモノプロピルエーテル301.0gを混合、撹拌した。そこに、水204.0gおよび濃度が60質量%の硝酸52μlを加え、3時間撹拌した。その後、室温で2日間反応させた。この反応溶液から、水、アルコールを除去したのち、PGMEAにて固形分濃度を20質量%となるように調整し、シロキサンポリマー溶液を調製した。このシロキサンポリマーのMwは1400であった。
得られた溶液50gと、カーボンブラック(PDカラーTO−600K)の3−メトキシブチルアセテート(固形分濃度20質量%)の分散液50gとを混合し、黒色シリカ系被膜形成用組成物を得た。
実施例1と同様にして、上記黒色シリカ系被膜形成用組成物をガラス基板に塗布、乾燥、焼成することにより黒色シリカ被膜を得た。
【0029】
(実施例3)
メチルトリメトキシシラン220.0g、テトラメトキシシラン246.0g、プロピレングリコールモノプロピルエーテル301.0gを混合、撹拌した。そこに、水204.0gおよび濃度が60質量%の硝酸52μlを加え、3時間撹拌した。その後、室温で2日間反応させた。この反応溶液から、水、アルコールを除去したのち、n−ブタノールにて固形分濃度を20質量%となるように調整し、シロキサンポリマー溶液を調製した。このシロキサンポリマーのMwは1300であった。
得られたシロキサンポリマー溶液50gに、ドデシルベンゼンスルホン酸1gとCo酸化物4gとの混合物を加え、黒色シリカ系被膜形成用組成物を得た。
実施例1と同様にして、上記黒色シリカ系被膜形成用組成物をガラス基板に塗布、乾燥、焼成することにより黒色シリカ被膜を得た。
【0030】
(実施例4)
トリエトキシシラン73.9g(0.45モル)をエチレングリコールジメチルエーテル799.0g(8.87モル)に溶解し、かきまぜた。次いで、純水24.2g(1.34モル)と濃硝酸5ppmを混合したものを、ゆっくりかきまぜながら滴下したのち、約3時間かきまぜ、その後室温で6日間静置させて溶液を得た。この反応溶液から、水、アルコールを除去したのち、PGMEAにて固形分濃度を10質量%となるように調整し、シロキサンポリマー溶液を得た。
得られたシロキサンポリマー溶液50gに、ドデシルベンゼンスルホン酸1gと、Co酸化物4gとの混合物を加え、黒色シリカ系被膜形成用組成物を得た。
実施例1と同様にして、上記黒色シリカ系被膜形成用組成物をガラス基板に塗布、乾燥、焼成することにより黒色シリカ被膜を得た。
【0031】
(実施例5)
実施例2において、反応溶液の水およびアルコールを除去せず、固形分濃度を20質量%に調整し、シロキサンポリマー溶液を調製した。
このシロキサンポリマー溶液50gと、カーボンブラック(PDカラーTO−600K)の3−メトキシブチルアセテート(固形分濃度20質量%)の分散液50gとを混合し、黒色シリカ系被膜形成用組成物を得た。
実施例1と同様にして、上記黒色シリカ系被膜形成用組成物をガラス基板に塗布、乾燥、焼成することにより黒色シリカ被膜を得た。
ただし、本実施例では、黒色シリカ系被膜形成用組成物に凝集・沈殿が生じたため、塗布の前には、黒色シリカ系被膜形成用組成物をよく撹拌したのち塗布した。
【0032】
(実施例6)
実施例2において、反応溶液の水およびアルコールを除去せず、固形分濃度を20質量%に調整し、シロキサンポリマー溶液を調製した。
このシロキサンポリマー溶液50gに、カーボンブラック(PDカラーTO−600K)の3−メトキシブチルアセテート(固形分濃度20質量%)の分散液50gを添加し、黒色シリカ系被膜形成用組成物を得た。
実施例1と同様にして、上記黒色シリカ系被膜形成用組成物をガラス基板に塗布、乾燥、焼成することにより黒色シリカ被膜を得た。
黒色シリカ系被膜形成用組成物に沈殿が生じたため、塗布の前には、黒色シリカ系被膜形成用組成物をよく撹拌したのち塗布した。
【0033】
(実施例7)
実施例4において、ドデシルベンゼンスルホン酸を添加せずに黒色シリカ系被膜形成用組成物を調製した。
実施例1と同様にして、上記黒色シリカ系被膜形成用組成物をガラス基板に塗布、乾燥、焼成することにより黒色シリカ被膜を得た。
ただし、本実施例では、黒色シリカ系被膜形成用組成物に凝集・沈殿が生じたため、調製直後によく撹拌した後塗布した。
また、調製1時間後には、黒色シリカ系被膜形成用組成物はゲル化してしまった。
【0034】
実施例1〜7において調製された黒色シリカ系被膜形成用組成物の評価結果を表1に示す。評価項目としては、黒色シリカ系被膜の評価(被膜評価)、保存安定性、着色剤の分散性(分散性)である。
被膜評価としては、焼成後のシリカ系被膜における、隠蔽性の有無で判断した。
保存安定性としては、3日の保存期間にゲル化の有無で判断した。
分散性としては、沈殿が有無で判断した。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロキサンポリマーと、着色剤と、溶剤と、を含むことを特徴とする着色シリカ系被膜形成用組成物。
【請求項2】
前記シロキサンポリマーは、下記式
SiX4−n (1)
(式中、Rは独立してHまたは1価の有機基、Xは加水分解性基を表し、nは0〜2の整数を表し、複数個のRは同一でも異なっていてもよい)
で表される少なくとも1種のシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の着色シリカ系被膜形成用組成物。
【請求項3】
前記シロキサンポリマーは、ラダー型シロキサンポリマーであることを特徴とする請求項1または2に記載の着色シリカ系被膜形成用組成物。
【請求項4】
前記シロキサンポリマーにおける、Si原子には下記式の基が結合していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色シリカ系被膜形成用組成物。
【化1】

(式中pは0〜5の整数を表し、qは0〜5の整数を表す。)
【請求項5】
前記ラダー型シロキサンポリマーは、下記式(a)および(b)で表される構成単位を含むことを特徴とする請求項3に記載の着色シリカ系被膜形成用組成物。
【化2】

【化3】

【請求項6】
前記着色剤は、黒色顔料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色シリカ系被膜形成用組成物。
【請求項7】
前記溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、n−ブタノール、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸ブチル、プロピレングリコールジメチルエーテルから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色シリカ系被膜形成用組成物。
【請求項8】
さらに、分散剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の着色シリカ系被膜形成用組成物。


【公開番号】特開2007−211062(P2007−211062A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30329(P2006−30329)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】