説明

着色樹脂組成物およびその成形体

【課題】二酸化チタンを含有したポリプロピレン着色樹脂組成物において、その成形加工時、および成形後に加熱された場合に臭気の発生が良好に抑制された着色樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、着色顔料として二酸化チタン0.1〜200質量部、トコフェロール0.0005〜5質量部およびリン系酸化防止剤0.0005〜5質量部を配合してなることを特徴とする着色樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品などの包装分野において、例えば、電子レンジなどにて加温を行う場合に、容器中に微量含まれるポリプロピレン系樹脂の低分子量成分の揮発による臭気が発生し、内容物の香りに影響を与えることがない着色樹脂組成物に関し、さらに詳しくはポリプロピレン系樹脂に二酸化チタン、トコフェロールおよびリン系酸化防止剤を配合した低臭気性に優れた着色樹脂組成物に関する。また、前記着色樹脂組成物を含有してなる低臭気性に優れた成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン系樹脂は、170〜300℃の加工温度で成形加工し使用されるが、加工時にポリプロピレン系樹脂が酸化分解し、低分子量プロピレンやその酸化物が生成することがある。これらが成形加工された成形品の表面に付着していると、該成形品を電子レンジなどによって加温すると、上記低分子量ポリプロピレンやその酸化物が臭気として感じられることがある。
【0003】
このような成形加工時のポリプロピレン系樹脂の分解物による臭気は、該成形物が容器である場合、該容器に内容物を充填し、密閉させた状態でより強く感じることがある。このようなポリプロレン樹脂の分解物による臭気の発生は、特にポリプロピレン系樹脂の着色剤として二酸化チタンを配合する場合に促進されるので問題となっていた。
【0004】
このような問題は、ポリプロピレン系樹脂中に酸化防止剤を配合することで改良されることがよく知られている。例えば、ポリプロピレン系樹脂の酸化分解を抑制し、その結果、臭気を防止するものとして、各種の酸化防止剤を用いた方法が提案されている。
【0005】
特許文献1に記載の「プロピレン樹脂組成物およびそれを用いた食品容器」の発明には、ポリプロピレン系樹脂にリン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤および高級脂肪酸のカルシウム塩を配合した樹脂組成物と該樹脂組成物からなる食品容器の臭気の発生が抑制されることが開示されている。
【0006】
しかしながら、該組成物を二酸化チタンを配合した着色組成物に用いた場合、該着色樹脂組成物を加工温度220℃以下で成形した時は臭気が良好に抑制されるものの、220℃以上の温度で成形加工すると、樹脂組成物に配合されている酸化防止剤自体の昇華性のために、当該酸化防止剤自体の臭気が発生してしまうという問題がある。
【0007】
また、特許文献2には「プロピレン樹脂組成物およびそれを用いた食品容器」に関する発明が開示され、該発明は、ポリプロピレン系樹脂にトコフェロール類と高級脂肪酸のカルシウム塩、若しくはトコフェロール類とフェノール系酸化防止剤および高級脂肪酸のカルシウム塩を配合した樹脂組成物を開示している。該組成物はトコフェロールが配合されているため、220℃以上での酸化防止剤の昇華性は抑制されているものの、二酸化チタンが配合された場合には二酸化チタンによるポリプロピレン系樹脂の劣化臭を抑制するには至っていなかった。
【特許文献1】特開平11−172058号公報
【特許文献2】特開平11−302469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の目的は、上述のように二酸化チタンを含有したポリプロピレン着色樹脂組成物において、その成形加工時、および成形後に加熱された場合に臭気の発生が良好に抑制された着色樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリプロピレン系樹脂に対して、着色剤として臭気発生が少ない特定の表面処理された二酸化チタンを使用し、また、樹脂の酸化劣化を防止するに好適な酸化防止剤であるトコフェロールとリン系酸化防止剤を配合することで、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、着色顔料として二酸化チタン0.1〜200質量部、トコフェロール0.0005〜5質量部およびリン系酸化防止剤0.0005〜5質量部を配合してなることを特徴とする着色樹脂組成物を提供する。
【0011】
上記本発明においては、ポリプロピレン系樹脂が、プロピレンの単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体またはエチレン−プロピレンランダム共重合体であること;ポリプロピレン系樹脂が、MFR0.1〜100g/10分のプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体またはエチレン−プロピレンランダム共重合体であること;および二酸化チタンが、二酸化チタンの全質量に対してAl、Si、Zr、Sb、SnおよびZnの酸化物の群から単独若しくは複数選ばれた金属酸化物で被覆されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、ポリプロピレン系樹脂を含有するベース樹脂と前記本発明のいずれかの着色樹脂組成物とからなることを特徴とする合成樹脂製容器蓋;およびポリプロピレン系樹脂を含有するベース樹脂と前記本発明のいずれかの着色樹脂組成物とからなることを特徴とする容器蓋用合成樹脂製ライナーを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の着樹脂組成物は、その成形時および成形物の使用時における二酸化チタンによる臭気発生が少なく、その成形体が容器である場合、該容器から該容器内の内容物への臭気移り防止性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の着色樹脂組成物の構成成分は、ポリプロピレン系樹脂と、着色顔料として二酸化チタンと、酸化防止剤としてのトコフェロールおよびリン系酸化防止剤である。
【0015】
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂は、通常のポリプロピレン系樹脂であり、例えば、プロピレンの単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体またはエチレン−プロピレンランダム共重合体が挙げられる。
【0016】
上記ポリプロピレン系樹脂は、MFR0.1〜100g/10分のプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体またはエチレン−プロピレンランダム共重合体であることが好ましい。より好ましいMFRは1〜50g/10分である。
【0017】
上記のMFRが0.1g/10分未満であると、溶融時のポリプロピレン系樹脂が、高粘度となるために、ポリプロピレン系樹脂の成形加工時に発熱が生じ、トコフェロール固有の熱変色性が増し、成形品の外観を損なうなどの点で不十分である。一方、上記のMFRが100g/10分を超えると、二酸化チタンをポリプロピレン系樹脂に分散する過程において、例えば、押出機などの混練設備を使用した場合に、溶融粘度が低くなると混練による剪断力が低下し、二酸化チタンを充分に分散させることができないなどの点で不十分である。
【0018】
本発明で使用する二酸化チタンは、二酸化チタンの全質量に対してAl、Si、Zr、Sb、SnおよびZnの酸化物の群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物で被覆されていることが好ましい。
【0019】
上記金属酸化物の被覆量は、二酸化チタンの2〜10質量%となる量であることが好ましい。上記の被覆量が2質量%未満であると、二酸化チタンの触媒活性を抑制する効果が不足し、前記のポリプロピレン系樹脂の酸化を抑制するには不十分である。一方、上記の被覆量が10質量%を超えると、被覆された二酸化チタンが吸水しやすくなり、樹脂組成物の加工時の水分の揮発から成形加工時に成形物中に発泡現象が生じ、樹脂組成物の加工性が低下する。好ましくは被覆量は5〜9質量部であり、この範囲においてより優れた低臭気性および加工性を有する本発明の樹脂組成物が得られる
【0020】
上記金属酸化物による二酸化チタン粒子の被覆は、二酸化チタンの触媒活性を抑えるものである。二酸化チタンの上記金属酸化物による被覆は、二酸化チタンに前記所望量のAl、Si、Zr、Sb、SnおよびZnの群から選ばれる塩類水溶液を単独或いは複数を加えて均一に混合し、該混合液に、酸またはアルカリを加えて、上記金属の塩を酸化物として二酸化チタン粒子表面に析出させることによって行なわれる。特に珪素の酸化物とアルミニウムの酸化物との組み合わせによる被覆が好ましい。
【0021】
本発明で使用するトコフェロールは、ビタミンEとして知られるものである。トコフェロールには、α−トコフェロール(5,7,8−トリメチルトコール)、β−トコフェロール(5,8−ジメチルトコール)、γ−トコフェロール(7,8−ジメチルトコール)、δ−トフェロール(8−メチルトコール)などがあり、α−トコフェロールが最も酸化防止効果が高く本発明において最も望ましい。
【0022】
本発明で使用するリン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル−4,4’−ジイルビスフォスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトからなる群から選ばれた少なくとも1種を使用することが好ましい。より好ましくは、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトが、トコフェノールとの併用で効果が高く望ましい。
【0023】
前記被覆二酸化チタンは、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0.1〜200質量部の割合で使用する。より好ましくは0.5〜30質量部である。二酸化チタンの使用量が0.1質量部未満であると臭気の問題は発生しないが、二酸化チタンによる着色および隠蔽性が不十分である。一方、二酸化チタンの使用量が200質量部を超えるとポリプロピレン系樹脂中に点在する二酸化チタン粒子の密度が高くなり、粒子同士が近接して相互作用をすると、凝集と言われる分散不良が生じてしまうなどの点で不十分である。本発明の着色組成物がそのまま成形される着色樹脂組成物である場合には、前記被覆二酸化チタンは、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し0.5〜30質量部の割合で使用することが好ましい。二酸化チタンの使用量が高濃度になると該着色組成物はマスターバッチ(濃厚物)として使用される。マスターバッチとは、顔料および添加剤などを、成形様樹脂組成物における所定量の1倍以上に配合されたものであり、成形時に該マスターバッチをナチュラル樹脂で希釈することで、成形品における顔料および添加剤などが所定濃度になる。
【0024】
前記トコフェロールは、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0.0005〜5質量部の割合で使用する。より好ましくは0.001〜1質量部である。トコフェロールの使用量が0.0005質量部未満であると充分な臭気低減効果が得られないなどの点で不十分である。一方、トコフェロールの使用量が5質量部を超えるとトコフェロール固有の熱変色性が目立ちやすく、また、臭気低減効果が飽和量に達するなどの点で不十分である。本発明の着色組成物がそのまま成形される着色樹脂組成物である場合には、前記トコフェロールは、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0.001〜0.2質量部の割合で使用することが好ましい。
【0025】
前記リン系酸化防止剤は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0.0005〜5質量部の割合で使用する。より好ましくは0.001〜1質量部である。リン系酸化防止剤の使用量が0.0005質量部未満であると臭気低減効果が得られ難いなどの点で不十分である。一方、リン系酸化防止剤の使用量が5質量部を超えると臭気低減効果が飽和量に達し経済的に不利である。本発明の着色組成物がそのまま成形される着色樹脂組成物である場合には、前記リン系酸化防止剤は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0.001〜0.2質量部の割合で使用することが好ましい。なお、トコフェロールとリン系酸化防止剤は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、併せて0.01〜10質量部添加することが好ましい。
【0026】
本発明の樹脂組成物は上記成分を必須成分とし、その他ポリプロピレン系樹脂の添加剤として使用されている各種添加剤、例えば、二酸化チタン以外の顔料、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、造核剤、フィラー、顔料の分散剤などを本発明の目的達成を妨げない範囲で使用することができる。特にポリプロピレン系樹脂の分散剤としては、低臭気性の分散剤、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、脂肪酸アマイド、低分子量ポリエチレンなどを使用することが好ましい。
【0027】
本発明の着色組成物は、上記の必須成分および任意成分を単に混合する方法でも製造できるし、上記必須成分および任意成分を押出し機、ニーダー、ロール等で溶融混練してペレット状やフレーク状にしてもよい。使用する二酸化チタンなどの割合が多い場合には、例えば、マスターバッチ(濃厚物)の状態であり、該マスターバッチの状態である場合には、成形に際しナチュラルのポリプロピレン系樹脂によって適当な濃度に希釈して使用する。また、二酸化チタンの濃度が所望の成形物に要求される濃度である場合には、例えば、そのままの状態で成形に供される。
【0028】
上記本発明の着色組成物は種々の樹脂成形品の原料として有用であるが、特に合成樹脂製容器蓋や容器蓋用合成樹脂製ライナーの成形原料として有用である。合成樹脂製容器蓋としては、例えば、特開2002−173157公報に記載されている容器蓋が挙げられ、その製造方法としては、例えば、ベースのポリプロピレン系樹脂に本発明の着色樹脂組成物を溶融混練し、押出し機にて押出された混合樹脂を金型内にカッターで切り落とし、金型内で圧縮成形する方法などが挙げられるが、製造方法は上記方法に限定されない。このように製造された容器蓋は、その成形時に高温における溶融混練時の臭気成分の発生が有効に抑制できる。また、上記容器蓋は80〜90℃の内容物が高温充填された容器に巻き締められるため、容器蓋内面は加熱されるが、臭気成分の発生が抑えられるので、臭気成分の容器ヘッドスペース内への臭気の意向が有効に防止される。
【0029】
また、合成樹脂製ライナーの製造方法は、例えば、ベースのポリプロピレン系樹脂に本発明の着色樹脂組成物を溶融混練し、押出し機にて押出された混合樹脂を合成樹脂製または金属製容器蓋シェルに供給して型押し成形することで合成樹脂製ライナー付容器蓋を成形することができるが、製造方法は上記方法に限定されない。本発明によれば、このようなライナー成形時に高温における溶融混練時の臭気成分の発生が有効に抑制できる。また、上記容器蓋は80〜90℃の内容物が高温充填された容器に巻き締められるため、容器蓋内面は加熱されるが、臭気成分の発生が抑えられるので、臭気成分の容器ヘッドスペース内への臭気の意向が有効に防止される。
【実施例】
【0030】
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中「部」または「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[比較例1〜5]
ポリプロピレン樹脂(MFR=10、出光化学製J700GP)100部に対し二酸化チタンE(表面処理:シリカ2%、アルミナ4%)20部および各種酸化防止剤0.2部を混合し、170℃に設定した2軸押出機(JSW製TEX30α)にて分散処理を行い着色組成物を得た。得られた着色組成物10gを洗浄乾燥した50mlのガラス瓶に入れ密閉し、ギアオーブンにて80℃、100時間加温させた。加温後のガラス瓶を常温にて1時間静置し、開封後の臭気をかぐ。臭気評価の基準として、「殆ど臭わない」をレベル1、ポリプロピレンを250℃1時間加熱して酸化劣化したものの臭気をレベル5とした。臭気評価基準を表1に記載する。酸化防止剤単独での評価結果を表2に記載する。
【0031】

【0032】

【0033】
[比較例6〜11]
ポリプロピレン樹脂(MFR=10、出光化学製J700GP)100部に対し二酸化チタンE(表面処理:シリカ2%、アルミナ4%)20部およびα−またはβ−トコフェロール0.05〜0.2部を混合し、170℃に設定した2軸押出機(JSW製TEX30α)にて分散処理を行い着色組成物を得た。着色組成物について、上記比較例1〜5に記載する臭気評価を行った。トコフェロール単独での評価結果を表3に記載する。
【0034】

【0035】
[比較例12〜13]
ポリプロピレン樹脂(MFR=10、出光化学製J700GP)100部に対し二酸化チタンE(表面処理:シリカ2%、アルミナ4%)20部、α−トコフェロール0.1部およびフェノール系酸化防止剤0.1部を混合し、170℃に設定した2軸押出機(JSW製TEX30α)にて分散処理を行い着色組成物を得た。着色組成物について、上記比較例1〜5に記載する臭気評価を行った。トコフェロールとフェノール系酸化防止剤の組み合わせの評価結果を表4に記載する。
【0036】

【0037】
[実施例1〜5]
ポリプロピレン樹脂(MFR=10、出光化学製J700GP)100部に対し表面処理量の異なる二酸化チタンを20部、α−トコフェロール0.1部およびリン系酸化防止剤(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト)0.1部を混合し、170℃に設定した2軸押出機(JSW製TEX30α)にて分散処理を行い着色組成物を得た。着色組成物について、上記比較例1〜5に記載する臭気評価を行った。二酸化チタンの表面処理による臭気改良結果は表5に記載する。
【0038】

【0039】
[実施例6〜10]
ポリプロピレン樹脂(MFR=10、出光化学製J700GP)100部に対し二酸化チタンE(表面処理:シリカ2%、アルミナ4%)20部、α−トコフェロール0.05〜0.1部およびリン系酸化防止剤0.05〜0.1部を混合し、170℃に設定した2軸押出機(JSW製TEX30α)にて分散処理を行い着色組成物を得た。着色組成物について、上記比較例1〜5に記載する臭気評価を行った。トコフェロールとリン系酸化防止剤の組み合わせによる臭気改良結果は表6に記載する。
【0040】

【0041】
[実施例11〜13]
ポリプロピレン樹脂(MFR=10、出光化学製J700GP)100部に対し二酸化チタンE(表面処理:シリカ2%、アルミナ4%)0.5〜40部、α−トコフェロール0.004〜0.1部およびリン系酸化防止剤(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト)0.004〜0.1部を混合し、170℃に設定した2軸押出機(JSW製TEX30α)にて分散処理を行い着色組成物を得た。着色組成物について、上記比較例1〜5に記載する臭気評価を行った。二酸化チタン濃度を変えた時の臭気改良結果は表7に記載する。
【0042】

【0043】
[実施例14]
ポリプロピレン樹脂(MFR=10、出光化学製J700GP)100部に対し二酸化チタンE(表面処理:シリカ2%、アルミナ4%)0.5部、α−トコフェロール0.005部およびリン系酸化防止剤(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト)0.005部を混合し、170℃に設定した2軸押出機(JSW製TEX30α)にて分散処理を行い着色組成物を得た。該着色組成物10部とポリプロピレン樹脂(MFR=10、出光化学製J700GP)100部とを混合し、射出成形機(住友重機工業(株)製、SE350S)にて容器蓋の成形を行なった、成形条件としては、樹脂温度220℃に設定し、射出圧150MPaで成形を行なった。容器蓋としては、外径30mmM、内径26mm、高さ26mmの寸法である。このようにして得られた容器蓋10個をガラス瓶に入れ密封し、ギアオーブンにて80℃、100時間加温させた。加温後のガラス瓶を常温にて1時間静置し、開封後、臭気評価を行なった。評価結果を表8に記載する。
【0044】
[実施例15]
ポリプロピレン樹脂(MFR=10、出光化学製J700GP)100部に対し二酸化チタンE(表面処理:シリカ2%、アルミナ4%)0.5部、α−トコフェロール0.005部およびリン系酸化防止剤(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト)0.005部を混合し、170℃に設定した2軸押出機(JSW製TEX30α)にて分散処理を行い着色組成物を得た。該着色組成物10部とポリプロピレン樹脂(MFR=10、出光化学製J700GP)100部とを混合し、射出成形機(住友重機工業(株)製、SE350S)にて容器蓋用ライナーの成形を行なった、成形条件としては、樹脂温度220℃に設定し、射出圧150MPaで成形を行なった。容器蓋用ライナーとしては、外径30mmM、内径26mm、高さ3mmの寸法である。このようにして得られた容器蓋用ライナー10個をガラス瓶に入れ密封し、ギアオーブンにて80℃、100時間加温させた。加温後のガラス瓶を常温にて1時間静置し、開封後、臭気評価を行なった。評価結果を表8に記載する。
【0045】

【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、二酸化チタンを含有したポリプロピレン着色樹脂組成物において、その成形加工時、および成形後に加熱された場合に臭気の発生が良好に抑制された着色樹脂組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、着色顔料として二酸化チタン0.1〜200質量部、トコフェロール0.0005〜5質量部およびリン系酸化防止剤0.0005〜5質量部を配合してなることを特徴とする着色樹脂組成物。
【請求項2】
ポリプロピレン系樹脂が、プロピレンの単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体またはエチレン−プロピレンランダム共重合体である請求項1に記載の着色樹脂組成物。
【請求項3】
ポリプロピレン系樹脂が、MFR0.1〜100g/10分のプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体またはエチレン−プロピレンランダム共重合体である請求項1に記載の着色樹脂組成物。
【請求項4】
二酸化チタンが、二酸化チタンの全質量に対してAl、Si、Zr、Sb、SnおよびZnの酸化物の群から単独若しくは複数選ばれた金属酸化物で被覆されている請求項1に記載の着色樹脂組成物。
【請求項5】
ポリプロピレン系樹脂を含有するベース樹脂と請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物とからなることを特徴とする合成樹脂製容器蓋。
【請求項6】
ポリプロピレン系樹脂を含有するベース樹脂と請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物とからなることを特徴とする容器蓋用合成樹脂製ライナー。

【公開番号】特開2006−274129(P2006−274129A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97598(P2005−97598)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【出願人】(000228442)日本クラウンコルク株式会社 (382)
【Fターム(参考)】