説明

着色硬化性組成物、カラーフィルタ及びその製造方法

【課題】 色相が良好で光堅牢性及び熱堅牢性が高く、経時安定性に優れた着色硬化性組成物を提供する。
【解決手段】 下記一般式(C1)で表される化合物と下記一般式Qで表される化合物とを含有している〔Rc1:ハロゲン、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基など;Zc1:6員環を形成するのに必要な非金属原子群;M:2個のH、金属原子、金属酸化物など;cm=0〜2、cn=0,1〜5;cr1〜cr4=0〜1(cr1+cr2+cr3+cr4≧1);R301〜R306:H、置換基〕
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタを形成するのに好適な着色硬化性組成物、並びに該着色硬化性組成物を用いたカラーフィルタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子や液晶表示素子をカラー化するために素子上に形成されるカラーフィルタとして、基板の同一平面上に互いに隣接して形成された、黄色フィルタ層、マゼンタフィルタ層、及びシアンフィルタ層で構成されたカラーフィルタや赤色フィルタ層、緑色フィルタ層、及び青色フィルタ層で構成されたカラーフィルタが知られている。そして、これらフィルタ層によって帯状のパターン若しくはモザイク状のパターンが形成されている。
【0003】
上記のようなカラーフィルタの製造方法としては、これまで種々の方法が提案されている。中でも、色素を含有する感光性樹脂組成物を露光し、現像することによってパターニングする工程を所要の回数繰り返し行なう、いわゆるカラーレジスト法は広く実用化されている。
【0004】
カラーレジスト法は、顔料を種々の感光性組成物に分散させた着色感放射線性組成物を用いてフォトリソ法によりカラーフィルタを作製する方法であり、この方法は、顔料を使用しているために光や熱等に安定であると共にフォトリソ法によってパターニングするため位置精度も充分であり、大画面、高精細カラーディスプレー用カラーフィルタの作製に好適な方法とされている。
【0005】
上記のように顔料を分散する顔料分散法によってカラーフィルタを作製する場合、ガラス基板上に感放射線性組成物をスピンコーターやロールコーター等を用いて塗布して塗膜を形成し、この塗膜をパターン露光して現像することによって着色された画素を得、この操作を所望の色相数に合わせて行なうことでカラーフィルタを得ている。顔料分散法としては、アルカリ可溶性樹脂に光重合性モノマーと光重合開始剤とを用いるネガ型感光性組成物が知られている。(例えば、特許文献1〜8及び12参照)。
【0006】
しかしながら、近年、固体撮像素子用のカラーフィルタにおいては、更なる高精細化が望まれている。しかし、上記のような従来の顔料分散系では解像度が向上せず、また、顔料の粗大粒子による色ムラが発生する等の問題点を有しているために、固体撮像素子のような微細パターンが要求される用途には適さなかった。
【0007】
このような問題に対し、従来から染料の使用が提案されている(例えば、特許文献9〜10参照)。また、ポジ型感光性組成物もある(例えば、特許文献11〜12参照)。しかしながら、染料含有の硬化性組成物は以下の課題を有しており、更なる改良が求められていた。すなわち、
(1) 染料は、一般的に顔料に比べて耐熱性、耐光性等に劣っており、堅牢性が不充分である。
(2) 染料のモル吸収光係数が低い場合には、多量の染料を添加しなければならず、この場合には硬化性組成物中の重合性化合物やバインダー、光重合開始剤等の他の成分を相対的に減らさざるを得ず、組成物硬化時の硬化性、硬化された硬化部の耐熱性、非硬化部の現像性などが低下する等がある。
(3) 染料は硬化性組成物中の他の成分と相互作用を示す場合が多く、硬化部と非硬化部の現像性(溶解性)の調節が困難である。
このように、従来から感光性組成物に用いられている染料においては、特に堅牢性が充分に満足できるものではなく、さらに感光性組成物に対する溶解性が低く、液中又は塗設された塗膜の状態で染料が析出することがあり、また、高濃度で染料を含有させることも困難であった。
【0008】
一方、カラーフィルタの緑色のフィルタアレイにはイエロー染料やシアン染料が用いられることが知られている(例えば、特許文献10参照)。しかしながら、使用されている銅フタロシアニン系色素とピリドンアゾ系色素との併用では、耐熱性及び耐光性が不充分であり、また、この銅フタロシアニン系色素は単独でも耐熱性や色素の溶解性が不充分であり、いずれの場合においても更なる改善が望まれている。また、特定のアミン系の置換基を含有するフタロシアニン系色素も知られているが(例えば、特許文献14参照)、この色素も耐熱性及び耐光性が不充分であり、更なる改良が望まれている。
【0009】
【特許文献1】特開平1−102469号公報
【特許文献2】特開平1−152499号公報
【特許文献3】特開平2−181704号公報
【特許文献4】特開平2−199403号公報
【特許文献5】特開平4−76062号公報
【特許文献6】特開平5−273411号公報
【特許文献7】特開平6−184482号公報
【特許文献8】特開平7−140654号公報
【特許文献9】特開平6−75375号公報
【特許文献10】特開2002−14221号公報
【特許文献11】特公平7−111485号公報
【特許文献12】特開2002−14223号公報
【特許文献13】特開2002−14220号公報
【特許文献14】特開平7−286110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上のように、高精細さや均一色が要求される固体撮像素子などの用途では染料含有の硬化性組成物が有用であるものの、褪色など染料の色濃度や色相を安定に保持できるまでに至っておらず、特にシアン染料、イエロー染料の耐熱性や耐光性等の堅牢性の改善が課題となっていた。また、染料が低溶解性なために液状調製物もしくは塗布された塗布膜の状態としたときの経時での安定性が低いことに伴なう染料析出性の改善も課題の一つであった。
【0011】
本発明は、上記に鑑み成されたものであり、色相が良好で熱堅牢性及び光堅牢性が高く、経時安定性に優れた着色硬化性組成物を提供することを目的とし、並びに、色相および透過率特性が良好で熱堅牢性及び光堅牢性に優れたカラーフィルタ、及び該カラーフィルタの高い生産性による作製を可能とするカラーフィルタの製造方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを本発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、良好な色相を有し、かつ光及び熱に対する堅牢性の高い各種染料化合物誘導体を詳細に検討したところ、特定のテトラアザポルフィリン系色素(染料)が特に耐熱性や耐光性をはじめとする堅牢性の改善に有用であると共に、これと特定のイエロー染料との併用が前記堅牢性を改善し良好な色相を得るのに有用であるとの知見を得、該知見に基づいて下記構成の着色硬化性組成物、カラーフィルタ及びその製造方法が提供され、前記目的が達成されたものである。
【0013】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(C1)で表される化合物の少なくとも1種と、下記一般式Qで表される化合物の少なくとも1種とを含有することを特徴とする着色硬化性組成物である。
【0014】
【化1】

【0015】
前記一般式(C1)において、Rc1は、ハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基、イミド基、またはヘテロ環チオ基を表す。Zc1は、炭素原子と共に6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、4つのZc1は同一でも異なっていてもよい。Mは、2個の水素原子、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、または2価の金属塩化物を表す。cmは、0、1または2を表し、cnは0または1〜5の整数を表し、4つのcnは同一でも異なってもよい。但し、cnの1つは1〜5の整数を表し、分子中の複数のRc1は同一でも異なっていてもよい。cr1、cr2、cr3およびcr4は0または1を表し、cr1+cr2+cr3+cr4≧1を満たす。
【0016】
【化2】

【0017】
前記一般式Qにおいて、R301、R302、R303、R304、R305、及びR306は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、R301ないしR306が隣接位にある場合は、互いに結合して5員又は6員の環を形成していてもよく、該環は更に置換基を有していてもよい。
【0018】
<2> 下記一般式(C1)で表される化合物の少なくとも1種と、下記一般式Qで表される化合物の少なくとも1種とを含有することを特徴とするカラーフィルタである。
【0019】
【化3】

【0020】
前記一般式(C1)において、Rc1は、ハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基、イミド基、またはヘテロ環チオ基を表す。Zc1は、炭素原子と共に6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、4つのZc1は同一でも異なっていてもよい。Mは、2個の水素原子、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、または2価の金属塩化物を表す。cmは、0、1または2を表し、cnは0または1〜5の整数を表し、4つのcnは同一でも異なってもよい。但し、cnの1つは1〜5の整数を表し、分子中の複数のRc1は同一でも異なっていてもよい。cr1、cr2、cr3およびcr4は0または1を表し、cr1+cr2+cr3+cr4≧1を満たす。
【0021】
【化4】

【0022】
前記一般式Qにおいて、R301、R302、R303、R304、R305、及びR306は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、R301ないしR306が隣接位にある場合は、互いに結合して5員又は6員の環を形成していてもよく、該環は更に置換基を有していてもよい。
【0023】
<3> 前記<1>に記載の着色硬化性組成物を支持体上に塗布後、マスクを通して露光し、現像してパターン像を形成する工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、色相が良好で熱堅牢性及び光堅牢性が高く、経時安定性に優れた着色硬化性組成物を提供することができる。また、
本発明によれば、色相および透過率特性が良好で熱堅牢性及び光堅牢性に優れたカラーフィルタ、及び該カラーフィルタの高い生産性による作製を可能とするカラーフィルタの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の着色硬化性組成物、並びにカラーフィルタ及びその製造方法について詳細に説明する。
〔着色硬化性組成物〕
本発明の着色硬化性組成物は、色素として、以下に示す一般式(C1)で表される化合物と一般式Qで表される化合物と(以下、総じて「本発明に係る染料」ともいう。)を含んでなり、好ましくはバインダーや感放射線性化合物、重合性モノマーを含んでなる。また、一般には更に溶剤を用いて構成することができ、必要に応じて更に架橋剤などの他の成分を用いて構成することができる。
本発明の着色硬化性組成物は、本発明に係る染料を用いることで特に堅牢性に優れるほか、高感度で高解像度、高透過率特性をも達成し得るものである。
【0026】
以下に示す一般式については、本明細書中において、「脂肪族」は、その脂肪族部位が直鎖、分岐鎖、または環状であって飽和および不飽和のいずれであってもよく、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基を含み、無置換であっても置換基で置換されていてもよい。また、本明細書中における「アリール」は、単環および縮合環のいずれでもよく、無置換であっても置換基で置換されていてもよい。本明細書中における「ヘテロ環」は、そのヘテロ環部位が環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであり、飽和環および不飽和環のいずれであってもよく、単環および縮合環のいずれでもよく、無置換であっても置換基で置換されていてもよい。
【0027】
また、本明細書中において、「置換基」は、置換可能な基であればよく、例えば、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、イミド基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシフォスフィニル基、ジアリールオキシフォスフィニル基、等を挙げることができる。
【0028】
−一般式(C1)で表される化合物−
本発明の着色硬化性組成物は、下記一般式(C1)で表される化合物(以下、「本発明に係るフタロシアニン染料」ともいう。)の少なくとも一種を含有する。この染料は、透過率特性の高い良好なシアン色相を呈し、液状調製物もしくは塗布された塗布膜の状態としたときの経時析出がなく安定性に優れており、特に熱や光に対する優れた耐性を有する。
以下、一般式(C1)で表される化合物について、各基の説明を中心に説明する。
【0029】
【化5】

【0030】
前記一般式(C1)において、Rc1は、ハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基、イミド基、またはヘテロ環チオ基を表す。
【0031】
前記Rc1で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
前記Rc1で表される脂肪族基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、環状であってもよく、総炭素数1〜15の脂肪族基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、イソプロペニル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0032】
前記Rc1で表されるアリール基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜16のアリール基が好ましく、総炭素数6〜12のアリール基がより好ましい。例えば、フェニル基、4−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、2−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−メトキシカルボニル−4−ニトロフェニル基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるヘテロ環基としては、飽和であっても不飽和であってもよく、総炭素数1〜15のヘテロ環基が好ましく、総炭素数3〜15のヘテロ環基が好ましく、総炭素数3〜10のヘテロ環基がより好ましい。例えば、3−ピリジル基、2−ピリジル基、2−ピリミジニル基、2−ピラジニル基、1−ピペリジル基等が挙げられる。また、さらに置換基を有していてもよい。
【0033】
前記Rc1で表されるカルバモイル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜16のカルバモイル基が好ましく、総炭素数1〜12のカルバモイル基がより好ましい。例えば、カルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ジメトキシエチルカルバモイル基等が挙げられる。
【0034】
前記Rc1で表される脂肪族オキシカルボニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、環状であってもよく、総炭素数2〜16の脂肪族オキシカルボニル基が好ましく、総炭素数2〜10の脂肪族オキシカルボニル基がより好ましい。例えば、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるアリールオキシカルボニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数7〜17のアリールオキシカルボニル基が好ましく、総炭素数7〜15のアリールオキシカルボニル基がより好ましい。例えば、フェノキシカルボニル基等が挙げられる。
【0035】
前記Rc1で表されるアシル基は、脂肪族カルボニル基であってもアリールカルボニル基であってもよく、脂肪族カルボニル基を表す場合は更に置換基を有していてもよく、アリールカルボニル基を表す場合は更に置換基を有していてもよく、飽和または不飽和のいずれでもよく、環状であってもよい。該アシル基としては、総炭素数2〜15のアシル基が好ましく、総炭素数2〜10のアシル基がより好ましい。例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。また、さらに置換基を有していてもよい。
【0036】
前記Rc1で表される脂肪族オキシ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、環状であってもよい。脂肪族オキシ基としては、総炭素数1〜12の脂肪族オキシ基が好ましく、総炭素数1〜10の脂肪族オキシ基がより好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、チオフェノキシエトキシ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるアリールオキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜18のアリールオキシ基が好ましく、総炭素数6〜14のアリールオキシ基がより好ましい。例えば、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
【0037】
前記Rc1で表されるアシルオキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数2〜14のアシルオキシ基が好ましく、総炭素数2〜10のアシルオキシ基がより好ましい。例えば、アセトキシ基、メトキシアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるカルバモイルオキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜16のカルバモイルオキシ基が好ましく、総炭素数1〜12のカルバモイルオキシ基がより好ましい。例えば、ジメチルカルバモイルオキシ基、ジイソプロピルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
【0038】
前記Rc1で表されるヘテロ環オキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜15のヘテロ環オキシ基が好ましく、総炭素数3〜10のヘテロ環オキシ基がより好ましい。例えば、3−フリルオキシ基、3−ピリジルオキシ基、N−メチル−2−ピペリジルオキシ基等が挙げられる。
前記Rc1で表される脂肪族オキシカルボニルオキシ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、環状であってもよい。脂肪族オキシカルボニルオキシ基としては、総炭素数2〜16の脂肪族オキシカルボニルオキシ基が好ましく、総炭素数2〜12の脂肪族オキシカルボニルオキシ基が好ましく、総炭素数2〜10の脂肪族オキシカルボニルオキシ基がより好ましい。例えば、メトキシカルボニルオキシ基、(t)ブトキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0039】
前記Rc1で表されるアシルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数2〜15のアシルアミノ基が好ましく、総炭素数2〜12のアシルアミノ基がより好ましく、総炭素数3〜12のN−アルキルアシルアミノ基が特に好ましい。例えば、N−メチルアセチルアミノ基、N−エトキシエチルベンゾイルアミノ基、N−メチルメトキシアセチルアミノ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるカルバモイルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜16のカルバモイルアミノ基が好ましく、総炭素数1〜12のカルバモイルアミノ基がより好ましい。例えば、N,N−ジメチルカルバモイルアミノ基、N−メチル−N−メトキシエチルカルバモイルアミノ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるスルファモイルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数0〜16のスファモイルアミノ基が好ましく、総炭素数0〜12のスルファモイルアミノ基がより好ましい。例えば、N,N−ジメチルスルファモイルアミノ基、N,N−ジエチルスルファモイル基等が挙げられる。
【0040】
前記Rc1で表される脂肪族オキシカルボニルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数2〜15の脂肪族オキシカルボニルアミノ基が好ましく、総炭素数2〜10の脂肪族オキシカルボニルアミノ基がより好ましい。例えば、メトキシカルボニルアミノ基、メトキシエトキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるアリールオキシカルボニルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数7〜17のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましく、総炭素数7〜15のアリールオキシカルボニルアミノ基がより好ましい。例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、4−メトキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0041】
前記Rc1で表される脂肪族スルホニルアミノ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、環状であってもよい。脂肪族スルホニルアミノ基としては、総炭素数1〜12の脂肪族スルホニルアミノ基が好ましく、総炭素数1〜8の脂肪族スルホニルアミノ基がより好ましい。例えば、メタンスルホニルアミノ基、ブタンスルホニルアミノ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるアリールスルホニルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜15のアリールスルホニルアミノ基が好ましく、総炭素数6〜12のアリールスルホニルアミノ基がより好ましい。例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、4−トルエンスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0042】
前記Rc1で表される脂肪族チオ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、環状であってもよい。脂肪族チオ基としては、総炭素数1〜16の脂肪族チオ基が好ましく、総炭素数1〜12の脂肪族チオ基が好ましく、総炭素数1〜10の脂肪族チオ基がより好ましい。例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、エトキシエチルチオ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるアリールチオ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜22のアリールチオ基が好ましく、総炭素数6〜14のアリールチオ基が好ましい。例えば、フェニルチオ基、2−t−ブチルチオ基等が挙げられる。
【0043】
前記Rc1で表される脂肪族スルホニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜15の脂肪族スルホニル基が好ましく、総炭素数1〜8の脂肪族スルホニル基がより好ましい。例えば、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、メトキシエタンスルホニル基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるアリールスルホニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜16のアリールスルホニル基が好ましく、総炭素数6〜12のアリールスルホニル基がより好ましい。例えば、ベンゼンスルホニル基、4−t−ブチルベンゼンスルホニル基、4−トルエンスルホニル基、2−トルエンスルホニル基等が挙げられる。
【0044】
前記Rc1で表されるスルファモイル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数0〜16のスルファモイル基が好ましく、総炭素数0〜12のスルファモイル基がより好ましい。例えば、スルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるイミド基としては、更に縮環していてもよく、総炭素数3〜22のイミド基が好ましく、総炭素数3〜15のイミド基がより好ましい。例えば、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるヘテロ環チオ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、5〜7員環であって、総炭素数1〜20のヘテロ環チオ基が好ましく、総炭素数1〜12のヘテロ環チオ基がより好ましい。例えば、3−フリルチオ基、3−ピリジルチオ基等が挙げられる。
【0045】
前記一般式(C1)中、Zc1は、炭素原子と共に6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、4つのZc1は同一でも異なっていてもよい。形成される6員環は、アリール環またはヘテロ環のいずれであってもよく、縮環していてもよく、縮環した環が更に置換基を有していてもよい。6員環としては、例えば、ベンゼン環、ピリジン環、シクロヘキセン環、ナフタレン環等が挙げられ、ベンゼン環である態様が好適である。
【0046】
前記一般式(C1)中、Mは、2個の水素原子、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、または2価の金属塩化物を表す。該Mとしては、例えば、VO、TiO、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe、AlCl、InCl、FeCl、TiCl2、SnCl2、SiCl2、GeCl2、Si(OH)2、H2等が挙げられ、VO、Zn、Mn、Cu、Ni、Coである態様が好適である。
【0047】
前記一般式(C1)において、cmは0、1または2(好ましくは0)を表し、cnは0または1〜5の整数(好ましくは0または1)を表す。分子中の4ヶ所のcnは同一でも異なってもよいが、cnの1つは1〜5の整数を表し、分子中にcnが複数ある場合には、複数のRc1は互いに同一でも異なっていてもよい。
また、cr1、cr2、cr3およびcr4は、0または1を表し、cr1+cr2+cr3+cr4≧1を満たす。中でも、cr1+cr2+cr3+cr4が3または4である態様が好ましい。
【0048】
前記一般式(C1)で表される化合物の中でも、本発明の効果をより効果的に奏し得る観点から、下記一般式(C1−1)で表される化合物(本発明に係る染料)が好ましい。
【0049】
【化6】

【0050】
前記一般式(C1−1)中、Rc2は置換基を表し、該置換基は、置換可能な基であればよく、既述の「置換基」の項で列挙した基が挙げられる。好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、脂肪族基、N−アルキルアシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、スルホ基、カルボキシル基、ハロゲン原子である。
【0051】
前記一般式(C1−1)中、cpは0〜4の整数を表し、好ましくは0または1である。また、一般式(C1−1)におけるRc1、M、cm、cn並びにcr1、cr2、cr3およびcr4は、前記一般式(C1)おける場合と同義であり、好ましい態様も同様である。
【0052】
前記一般式(C1−1)で表される化合物の中でも、本発明の効果をより効果的に奏し得る観点から、下記一般式(C1−2)で表される化合物(本発明に係る染料)がより好ましい。
【0053】
【化7】

【0054】
前記一般式(C1−2)中、Rc1、Rc2、M、cm、cn並びにcr1、cr2、cr3およびcr4は、前記一般式(C1)及び(C1−1)における場合とそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。また、一般式(C1−2)中のcqは、0または1を表す。なお、フタロシアニン骨格はテトラアザポルフィリン骨格の外側に4つのベンゼン環が縮合した構造を有しており、各ベンゼン環には4ヶ所の置換基が入り得る部位(炭素原子)があるが、前記一般式(C1−2)は各ベンゼン環のテトラアザポルフィリン骨格から遠い2ヶ所(β位)に水素原子が結合したものである。
【0055】
前記一般式(C1)〜(C1−2)において、より効果的に本発明の効果を奏し得る観点からは、前記Rc1は、ハロゲン原子、脂肪族基、シアノ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、イミド基、またはスルホ基である態様が好ましく、脂肪族基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、イミド基、またはスルホ基である態様がより好ましく、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、カルバモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールスルホニル基、イミド基、または脂肪族スルホニル基である態様が最も好ましい。
【0056】
同様に本発明の効果をより効果的に奏し得る点で、前記Rc2は、脂肪族基、N−アルキルアシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、スルホ基、カルボキシル基、またはハロゲン原子である態様が好ましく、脂肪族基またはハロゲン原子である態様がより好ましい。同様に本発明の効果をより奏し得る点で、前記cp及びcqは0である態様が好ましい。同様に本発明の効果をより奏し得る点で、前記Mは、VO、Mn、Co、Ni、Cu、ZnまたはMgである態様が好ましく、VO、Co、CuまたはZnである態様がより好ましく、Cuである態様が最も好ましく、
また、cmは0である態様が好ましく、cnは1または2である態様が好ましく、cnは1である態様がより好ましい。
【0057】
更に効果的に本発明の効果を奏する観点からは、前記Rc1がハロゲン原子、脂肪族基、シアノ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、イミド基、またはスルホ基であって、前記MがVO、Co、CuまたはZnであって、前記cqが0であって、前記cmが0であって、前記cnが1である態様が好ましく、また、前記Rc1が脂肪族基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、イミド基、またはスルホ基であって、前記MがVO、Co、CuまたはZnであって、前記cpまたはcqが0であって、前記cmが0であって、前記cnが1である態様がより好ましい。
【0058】
特には、同様に本発明の効果の観点から、前記Rc1がカルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族オキシ基、カルバモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、またはイミド基であって、前記MがCuであって、前記cqが0であって、前記cmが0であって、前記cnが1である態様が最も好ましい。
【0059】
以下、前記一般式(C1)〜(C1−2)で表される化合物(染料)の具体例(例示化合物C−1〜C−59)を示す。但し、本発明においてはこれらに制限されるものではない。
【0060】
【化8】

【0061】
【化9】

【0062】
【化10】

【0063】
【化11】

【0064】
【化12】

【0065】
【化13】

【0066】
【化14】

【0067】
【化15】

【0068】
【化16】

【0069】
−合成例−
次に、前記一般式(C1)で表される化合物(染料)の合成例について、前記例示化合物である染料C−1の合成を一例に下記スキームを参照して詳述する。
【0070】
【化17】

【0071】
〈中間生成物Bの合成〉
まず、化合物A25.0g(0.162モル)をメタノール100mlおよびトリエチルアミン23mlの混合溶媒に溶かし、これを5℃に冷却攪拌した中に更に30%過酸化水素水9mlを内温25℃にまで保ちつつ滴下した。滴下後の反応液を25℃で更に30分間攪拌し、再び5℃に冷却して、攪拌下濃塩酸15mlを滴下した後、更に水200mlを添加し、25℃で1時間攪拌した。そして、析出した結晶を濾過し、水で充分に洗浄し、乾燥させて白色結晶である中間生成物B24.7gを得た(収率99.5%)。
【0072】
〈中間生成物C、D、及びEの合成〉
続いて、上記より得た中間生成物B17.5g(0.114モル)にトルエン100mlおよびジメチルアセトアミド0.25mlを加え、還流下、さらに塩化チオニル25mlを10分間かけて滴下した。これを更に、1時間加熱環流した後、減圧下で濃縮して粘調液体を得た。一方、ジエトキシエチルアミン38.0g(0.235モル)にジメチルアセトアミド10mlおよびアセトニトリル100mlを添加し、10℃で攪拌している中に、前記粘調液体を15分間かけて15℃にまで保ちつつ滴下した。更に30分間攪拌した後、これを水100mlおよび酢酸エチル100mlの混合溶液に注ぎ、酢酸エチル相を分液し、水100mlで2回洗浄した。酢酸エチル相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、酢酸エチルを減圧留去し、淡黄色粘調液体である中間生成物Cを得た。
【0073】
次いで、この中間生成物Cに水50ml、エタノール200ml、および亜鉛粉末12gを添加し、加熱還流下、水40mlに硫酸10mlを希釈した溶液を20分間かけて滴下した。そして更に30分間加熱攪拌した後に冷却し、不溶物を濾別した。得られた溶液に飽和食塩水50mlおよび酢酸エチル100mlを添加し、分液した後、酢酸エチル相を水100mlで2回洗浄した。酢酸エチル相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、酢酸エチルを減圧留去し、淡黄色粘調液体である中間生成物Dを得た。
【0074】
次いで、この中間生成物Dに窒素雰囲気下、攪拌下でジメチルアセトアミド70mlおよび炭酸カリウム15g(0.108モル)を添加し、更に20℃の攪拌下で3−ニトロフタロニトリル19.7g(0.113モル)を25℃以下に維持しながら徐々に添加した。これを更に30分間攪拌した後、水300ml攪拌下に注ぎ、得られた結晶を濾過し、結晶を充分に水洗した。得られた結晶をメタノール70mlで再結晶し、析出した結晶を冷メタノール30mlで洗浄、乾燥させて、白色結晶である中間生成物E35.0gを得た(収率72.6%)。
【0075】
〈染料C−1の合成〉
次に、中間生成物E34.4g(0.081モル)に、ブタノール150ml、炭酸アンモニウム6.7g(0.070モル)、および塩化銅4.7g(0.035モル)を添加し、加熱攪拌を7時間行なった。その後、ブタノールを減圧留去し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトで精製して、染料C−1の粉末25gを得た(収率72.7%)。得られた染料の酢酸エチル中における極大吸収波長(λmax)及びモル吸光係数(ε)の分光光度計UV−2400PC(島津製作所社製)による測定を行なったところ、最大吸収波長λmax706.8nm、ε55,600であった。
【0076】
なお、上記した他の例示化合物についても、目的とする染料に合わせて所望の化合物に変更することで上記同様にして合成することができる。
【0077】
−一般式Qで表される化合物−
本発明の着色硬化性組成物は、前記一般式(C1)で表される化合物と共に、下記一般式Qで表される化合物(以下、「本発明に係るキノフタロン染料」ともいう。)の少なくとも一種を含有する。
以下、一般式Qで表される化合物について、各基の説明を中心に詳述する。
【0078】
【化18】

【0079】
前記一般式Q中、R301、R302、R303、R304、R305、及びR306は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。R301〜R306で表される置換基としては、置換可能な基であればいずれでもよく、既述の「置換基」の項で列挙した基が挙げられ、好ましくは各々独立に、ハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ニトロ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基、イミド基、又はヘテロ環チオ基である。
【0080】
前記R301ないしR306が隣接位にある場合、すなわちR301ないしR306のうちの複数の基が例えば隣り合う炭素原子に結合されている等の位置関係を有する場合は、互いに結合して5員又は6員の環を形成していてもよく、該環は更に置換基を有していてもよい。5員又は6員の環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロヘキサン環、フラン環等が挙げられ、更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば既述の「置換基」の項で列挙した基であって、置換可能な基であればよい。
【0081】
次に、R301〜R306の好ましい置換基について更に詳細に述べる。
前記R301〜R306で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が挙げられる。
【0082】
前記R301〜R306で表される脂肪族基は、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、環状であってもよく、既述の「脂肪族」の項で列挙した基で、例えばアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基及び置換アラルキル基等を意味する。脂肪族基の総炭素原子数としては1〜30であることが好ましく、1〜16であることが更に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、及びアリル基等を挙げることができる。
【0083】
前記R301〜R306で表されるアリール基は、無置換でも置換基を有していてもよく、アリール基の総炭素原子数としては、6〜30であることが好ましく、6〜16であることが更に好ましく、具体例としてフェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基、及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基等が挙げられる。
【0084】
前記R301〜R306で表されるヘテロ環基は、飽和又は不飽和のいずれでもよく、無置換でも置換基を有していてもよい。ヘテロ環基の総炭素原子数としては、1〜30であることが好ましく、1〜15であることが更に好ましく、具体例として2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、及び2−フリル基等が挙げられる。
【0085】
前記R301〜R306で表されるカルバモイル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、カルバモイル基の総炭素原子数としては、1〜30であることが好ましく、1〜16であることが更に好ましく、具体例としてメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、及びN−メチル−N−フェニルカルバモイル基等が挙げられる。
【0086】
前記R301〜R306で表される脂肪族オキシカルボニル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、環状であってもよい。脂肪族オキシカルボニル基の総炭素原子数としては、2〜30であることが好ましく、2〜16であることが更に好ましく、具体例としてメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、及び2−メトキシエトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0087】
前記R301〜R306で表されるアリールオキシカルボニル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、アリールオキシカルボニル基の総炭素原子数としては、7〜30であることが好ましく、7〜16であることが好ましく、具体例としてフェノキシカルボニル基、4−メチルフェノキシカルボニル基、及び3−クロルフェノキシカルボニル基等が挙げられる。
【0088】
前記R301〜R306で表されるアシル基は、脂肪族カルボニル基、アリールカルボニル基、又はヘテロ環カルボニル基のいずれであってもよい。アシル基の総炭素原子数としては、1〜30であることが好ましく、1〜16であることが更に好ましく、具体例としてアセチル基、メトキシアセチル基、チエノイル基、及びベンゾイル基等が挙げられる。
【0089】
前記R301〜R306で表される脂肪族オキシ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、環状であってもよい。脂肪族オキシ基の総炭素原子数としては、1〜30であることが好ましく、1〜15であることが更に好ましく、具体例としてメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、及び3−カルボキシプロポキシ基等が挙げられる。
【0090】
前記R301〜R306で表されるアリールオキシ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アリールオキシ基の総炭素原子数としては、6〜30であることが好ましく、6〜16であることが更に好ましく、具体例としてフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、及びo−メトキシフェノキシ基等が挙げられる。
【0091】
前記R301〜R306で表されるアシルオキシ基は、脂肪族カルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、又はヘテロ環カルボニルオキシ基のいずれであってもよく、該アシルオキシ基の総炭素原子数としては、1〜30であることが好ましく、1〜16であることが更に好ましく、具体例としてアセトキシ基、ニコチノイル基、及びベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0092】
前記R301〜R306で表されるカルバモイルオキシ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該カルバモイルオキシ基の総炭素原子数としては、1〜30であることが好ましく、1〜16であることが更に好ましく、具体例としてN−メチルカルバモイルオキシ基、ジメチルカルバモイルオキシ基、及びフェニルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
【0093】
前記R301〜R306で表されるヘテロ環オキシ基としては、ヘテロ環部位は飽和又は不飽和のいずれであってもよく、無置換でも置換基を有していてもよい。該ヘテロ環オキシ基の総炭素原子数としては、1〜30であることが好ましく、1〜15であることが更に好ましく、具体例として2−ピリジルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−チアゾリルオキシ基、2−ベンゾチアゾリルオキシ基、2−ベンゾオキサゾリルオキシ基、及び2−フリルオキシ基等が挙げられる。
【0094】
前記R301〜R306で表される脂肪族アミノ基としては、無置換でも更に置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、環状であってもよい。脂肪族アミノ基の総炭素原子数としては、1〜30であることが好ましく、1〜16であることが更に好ましく、具体例としてメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ビス2−エトキシエチルアミノ基、及びN−メチル−N−2−メトキシエチルアミノ基等が挙げられる。
【0095】
前記R301〜R306で表されるアリールアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、アリールアミノ基の総炭素原子数としては、6〜30であることが好ましく、6〜16であることが更に好ましく、具体例としてアニリノ基及び4−メトキシフェニルアミノ基等が挙げられる。
【0096】
前記R301〜R306で表されるヘテロ環アミノ基としては、無置換でも更に置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、環状であってもよい。ヘテロ環アミノ基の総炭素原子数としては、1〜30であることが好ましく、1〜16であることが更に好ましく、具体例として2−ピリジルアミノ基、2−チエニルアミノ基、2−チアゾリルアミノ基、及び2−ベンゾチアゾリルオキシ基等が挙げられる。
【0097】
前記R301〜R306で表されるアシルアミノ基は、脂肪族カルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、又はヘテロ環カルボニルアミノ基のいずれであってもよく、該アシルアミノ基の総炭素原子数としては、2〜30であることが好ましく、2〜16であることが更に好ましく、具体例としてアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノ基、及び3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
【0098】
前記R301〜R306で表されるカルバモイルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、該カルバモイルアミノ基の総炭素原子数としては、1〜30であることが好ましく、1〜16であることが更に好ましく、具体例としてジメチルカルバモイルアミノ基及びフェニルカルバモイルアミノ基等が挙げられる。
【0099】
前記R301〜R306で表されるスルファモイルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、該スルファモイルアミノ基の総炭素原子数としては、0〜30であることが好ましく、0〜30であることが更に好ましく、具体例としてスルファモイルアミノ基及びN,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基等が挙げられる。
【0100】
前記R301〜R306で表される脂肪族オキシカルボニルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、環状であってもよい。脂肪族オキシカルボニルアミノ基の総炭素原子数としては、1〜30であることが好ましく、1〜16であることが更に好ましく、具体例としてメトキシカルボニルアミノ基及びメトキシエトキシカルボニルアミノ基基が含まれる。
【0101】
前記R301〜R306で表されるアリールオキシカルボニルアミノ基には、無置換でも置換基を有していてもよく、該アリールオキシカルボニルアミノ基の総炭素原子数としては、7〜30であることが好ましく、7〜18であることが更に好ましく、具体例としてフェノキシカルボニルアミノ基及び3−クロルフェノキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0102】
前記R301〜R306で表される脂肪族スルホニルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、環状であってもよい。脂肪族スルホニルアミノ基の総炭素原子数としては、1〜30であることが好ましく、1〜16であることが更に好ましく、具体例としてメタンスルホニルアミノ基、N−フェニルメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、及び3−カルボキシベンゼンスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0103】
前記R301〜R306で表されるアリールスルホニルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、該アリールスルホニルアミノ基の総炭素原子数としては、6〜30であることが好ましく、6〜18であることが更に好ましく、具体例としてベンゼンスルホニルアミノ基及びトルエンスルホンアミノ基等が挙げられる。
【0104】
前記R301〜R306で表される脂肪族チオ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、環状であってもよい。脂肪族チオ基の総炭素原子数としては、1〜30であることが好ましく、1〜16であることが更に好ましく、具体例としてメチルチオ基、(t)ブチルチオ基、及びエトキシエチルチオ基等が挙げられる。
【0105】
前記R301〜R306で表されるアリールチオ基としては、置換基を有していてもよく、該アリールチオ基の総炭素原子数としては、6〜30であることが好ましく、6〜18であることが更に好ましく、具体例としてフェニルチオ基及び4−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
【0106】
前記R301〜R306で表されるヘテロ環チオ基としては、ヘテロ環部位は飽和又は不飽和のいずれでもよく、無置換でも置換基を有していてもよい。該ヘテロ環チオ基の総炭素原子数としては、1〜30であることが好ましく、1〜15であることが更に好ましく、具体例として2−ピリジルチオ基、2−チエニルチオ基、2−チアゾリルチオ基、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2−ベンゾオキサゾリルチオ基、及び2−フリルチオ基等が挙げられる。
【0107】
前記R301〜R306で表される脂肪族スルホニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、環状であってもよい。脂肪族スルホニル基の総炭素原子数としては、1〜30であることが好ましく、1〜16であることが更に好ましく、具体例としてメタンスルホニル基、メトキシメタンスルホニル基、及びエトキシエタンスルホニル基等が挙げられる。
【0108】
前記R301〜R306で表されるアリールスルホニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、該アリールスルホニル基の総炭素原子数としては、6〜30であることが好ましく、6〜18であることが更に好ましく、具体例としてベンゼンスルホニル基及びトルエンスルホニル基等が挙げられる。
【0109】
前記R301〜R306で表されるスルファモイル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、該スルファモイル基の総炭素原子数としては、0〜30であることが好ましく、0〜16であることが更に好ましく、具体例としてスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基等が挙げられる。
【0110】
前記R301〜R306で表されるイミド基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、5〜6員環のイミド基が好ましく、総炭素原子数としては4〜30が好ましく、より好ましくは4〜20である。具体例としては、コハク酸イミド基及びフタル酸イミド基などが挙げられる。
【0111】
上記の中でも、効果的に本発明の効果を奏し得る点で、前記R301及びR302は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又はカルバモイル基である態様が好ましく、互いに結合してR301又はR302と結合する炭素原子と共に6員環を形成している態様が更に好ましい。
同様に効果的に本発明の効果を奏し得る点で、前記R303は、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、脂肪族スルホンアミド基、又はアリールスルホンアミド基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アシルアミノ基、脂肪族スルホンアミド基、又はアリールスルホンアミド基である態様が更に好ましく、水素原子である態様が最も好ましい。
また同様に、効果的に本発明の効果を奏し得る点で、前記R304は、ヒドロキシ基、又は脂肪族オキシ基である態様が更に好ましく、ヒドロキシ基である態様が最も好ましい。
また同様に、効果的に本発明の効果を奏し得る点で、前記R305及びR306は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又はカルバモイル基である態様が好ましく、互いに結合してR305又はR306と結合する炭素原子と共に6員環を形成している態様が更に好ましい。
【0112】
より効果的に本発明の効果を奏し得る観点から、前記一般式Qで表される化合物の中でも、下記一般式(Q1)で表される化合物(染料)が好ましい。
【0113】
【化19】

【0114】
前記一般式(Q1)中、R307及びR308は各々独立に置換基を表し、m及びnは各々独立に0〜4の整数を表す。また、一般式(Q1)中のR303及びR304は、既述の一般式QにおけるR303及びR304と各々同義である。
【0115】
前記R307又はR308で表される置換基は、置換可能な基であればいずれでもよく、例えば既述の「置換基」の項で列挙した基が挙げられ、好ましい置換基としては、既述の一般式QにおけるR301〜R306として好ましい置換基と同様の基が挙げられる。
【0116】
前記一般式(Q1)において、R303としては、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又はカルバモイル基である態様が好ましく、水素原子又はハロゲン原子である態様が更に好ましく、R304としては、水素原子、ヒドロキシ基、又は脂肪族オキシ基である態様が好ましく、ヒドロキシ基である態様が更に好ましい。
【0117】
更に効果的に本発明の効果を奏し得る点で、前記一般式(Q1)において前記R307は、ハロゲン原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、イミド基、脂肪族カルボニルアミノ基、アシルアミノ基、又は脂肪族スルホンアミド基である態様が好ましく、ハロゲン原子、脂肪族基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、スルファモイル基、脂肪族チオ基、イミド基、脂肪族カルボニルアミノ基、又は脂肪族スルホンアミド基である態様が更に好ましい。同様に本発明の効果の点で、前記一般式(Q1)において前記R308は、ハロゲン原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、又はアシルアミノ基である態様が好ましく、ハロゲン原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族チオ基、又はアリールチオ基である態様が更に好ましい。
また同様に本発明の効果の点で、一般式(Q1)中、mは0又は1が、nは1又は2が好ましい。
【0118】
前記一般式(Q1)において、本発明の効果上特に効果的である点で、前記R303が水素原子又はハロゲン原子であって、前記R304が水素原子、ヒドロキシ基、又は脂肪族オキシ基であって、前記R307がハロゲン原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、脂肪族チオ基、又はアリールチオ基であって、前記R308がハロゲン原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、又はアシルアミノ基であって、前記mが0又は1、前記nが1又は2である態様が好ましい。
【0119】
更には、本発明の効果の点で、前記R303が水素原子又はハロゲン原子であって、前記R304がヒドロキシ基であって、前記R307がハロゲン原子、脂肪族基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、スルファモイル基、又は脂肪族チオ基であって、前記R308がハロゲン原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、又はアシルアミノ基であって、前記mが0又は1、前記nが1又は2である態様が好ましい。
【0120】
また更には、本発明の効果の点で、前記R303が水素原子であって、前記R304がヒドロキシ基であって、前記R307がハロゲン原子、脂肪族基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、スルファモイル基、又は脂肪族チオ基であって、前記R308がハロゲン原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、スルファモイル基、脂肪族チオ基、又はアリールチオ基であって、前記mが0又は1、前記nが1又は2である態様が好ましい。
【0121】
以下、前記一般式Q又は一般式(Q1)で表される化合物の具体例〔例示化合物ya-1〜ya-9、yb-1〜yb-9、yc-1〜yc-9、yd-1〜yd-9、ye-1〜ye-9、yf-1〜yf-2、及びyg-1〜yg-4〕を示す。但し、本発明においてはこれら例に限定されるものではない。
【0122】
【化20】

【0123】
【化21】

【0124】
【化22】

【0125】
【化23】

【0126】
【化24】

【0127】
【化25】

【0128】
【化26】

【0129】
前記一般式Q又は前記一般式(Q1)で表されるキノフタロン系染料の合成例については、特開平6−9891号公報に記載されているような合成方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0130】
本発明に係る染料の着色硬化性組成物中における総濃度は、分子量及びモル吸光係数によって異なるが、該組成物の全固形成分に対して、0.5〜80%質量%が好ましく、0.5〜60%質量%がより好ましく、0.5〜50%質量%が特に好ましい。
【0131】
上記した本発明に係るフタロシアニン染料及びキノフタロン染料は、CCD,CMOSなどの固体撮像素子や、LCD,PDP等のディスプレーに用いられる、カラー画像を記録・再現するためのカラーフィルタ、あるいはこれらカラーフィルタを作製するための硬化性組成物に好適に利用することができる。
【0132】
本発明のカラーフィルタは、本発明に係る染料、すなわち前記一般式(C1)で表される化合物の少なくとも一種と前記一般式Qで表される化合物の少なくとも一種との二種以上の色素を用いて構成される態様であればいずれの方法でも作製することができ、例えば、本発明に係る色素を含む着色硬化性組成物を調製し、調製された着色硬化性組成物を支持体上に塗布等し、マスクを通して露光し、現像して例えばネガ型の場合は未硬化部(未露光部)を除去することでパターン像を形成する工程を(必要に応じ所望の色相となるようにカラーフィルタを構成する所望の色相数だけ繰り返して)行なうことによって好適に本発明のカラーフィルタを作製することができる。具体的には後述する。
【0133】
−バインダー−
本発明の着色硬化性組成物は、バインダーの少なくとも一種を含有することができる。本発明に係るバインダーとしては、アルカリ可溶性であれば特に限定されないが、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選ばれることが好ましい。
【0134】
アルカリ可溶性のバインダーとしては、線状有機高分子重合体で、有機溶剤に可溶性で、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号等の公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、特に、側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。このほか、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール等も有用である。
【0135】
また、親水性基を有するモノマーを共重合してもよく、この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級及び3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のブチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等を用い共重合させてなるものが挙げられる。
【0136】
上記以外に、親水性基を有するモノマーとして、テトラヒドロフルフリル基、燐酸部位、燐酸エステル部位、4級アンモニウム塩の部位、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸又はその塩の部位、モルホニルエチル基などを含むモノマー等も有用である。
【0137】
また、架橋効率を向上させる観点からは重合性基を側鎖に有してもよく、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に有するポリマー等も有用である。これら重合性基を有するポリマーの例としては、KSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、硬化被膜の強度を上げる観点からは、アルコール可溶性ナイロンや、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロルヒドリンとのポリエーテル、等も有用である。
【0138】
上記の各種バインダーのうち、耐熱性の観点で、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、また、現像性制御の観点で、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。上記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体、及びKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)などが好ましい。
【0139】
また、本発明におけるバインダーとして、アルカリ可溶性フェノール樹脂も用いることができる。該アルカリ可溶性フェノール樹脂は、本発明の着色硬化性組成物をポジ型に構成する場合に好適に用いることができ、例えば、ノボラック樹脂、ビニル重合体等が挙げられる。
前記ノボラック樹脂としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に縮合させて得られるものが挙げられる。フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、キシレノール、フェニルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、ナフトール、又はビスフェノールA等が挙げられる。フェノール類は、単独若しくは二種以上を組合せて用いることができる。また、アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、又はベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0140】
前記ノボラック樹脂の具体例としては、メタクレゾール、パラクレゾール、又はこれらの混合物とホルマリンとの縮合生成物が挙げられる。
【0141】
ノボラック樹脂は、分別等の手段を用いて分子量分布を調節してもよい。また、ビスフェノールCやビスフェノールA等のフェノール系水酸基を有する低分子量成分を前記ノボラック樹脂に混合してもよい。
【0142】
前記バインダーは、質量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×105の重合体が好ましく、2000〜1×105の重合体が更に好ましく、5000〜5×104の重合体が特に好ましい。
【0143】
バインダーの本発明の着色硬化性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%が特に好ましい。
【0144】
−架橋剤−
本発明は、既述の本発明に係る染料を使用すると共に、従来に比して膜の硬化反応がより高度に進行し、硬化性の良好な膜が得られるものであるが、補足的に架橋剤を用いて更に高度に硬化させた膜を得るようにすることも可能である。本発明の着色硬化性組成物の高解像度化を達成する観点からは有用である。
【0145】
本発明において使用可能な架橋剤は、架橋反応によって膜硬化を行なえるものであれば特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたメラミン化合物、グアナミン化合物、グルコールウリル化合物、又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたフェノール化合物、ナフトール化合物、又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも特に、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
【0146】
前記(a)エポキシ樹脂としては、エポキシ基を有し、かつ架橋性を有するものであればいずれでもよく、例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、へキサンジオールジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、N,N−ジグリシジルアニリン等の2価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールフェノールトリグリシジルエーテル、TrisP−PAトリグリシジルエーテル等に代表される3価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラメチロールビスフェノールAテトラグリシジルエーテル等に代表される4価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、ジペンタエリスリトールペンタグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル等の多価グリシジル基含有低分子化合物、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等に代表されるグリシジル基含有高分子化合物、等が挙げられる。
【0147】
前記架橋剤(b)に含まれるメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基が置換している数としては、メラミン化合物の場合は2〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は2〜4であるが、好ましくはメラミン化合物の場合は5〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は3〜4である。
【0148】
以下、前記(b)のメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物及びウレア化合物を総じて、(b)に係る化合物(メチロール基含有化合物、アルコキシメチル基含有化合物、又はアシロキシメチル基含有化合物)ということがある。
【0149】
前記(b)に係るメチロール基含有化合物は、(b)に係るアルコキシメチル基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒存在下、加熱することにより得られる。前記(b)に係るアシロキシメチル基含有化合物は、(b)に係るメチロール基含有化合物を塩基性触媒存在下、アシルクロリドと混合攪拌することにより得られる。
【0150】
以下、前記置換基を有する(b)に係る化合物の具体例を挙げる。
前記メラミン化合物として、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物、などが挙げられる。
【0151】
前記グアナミン化合物として、例えば、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をアシロキシメチル化した化合物又はその混合物などが挙げられる。
【0152】
前記グリコールウリル化合物としては、例えば、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をアシロキシメチル化した化合物又はその混合物、などが挙げられる。
【0153】
前記ウレア化合物として、例えば、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレア、などが挙げられる。
(b)に係る化合物は、単独で使用してもよく、組合わせて使用してもよい。
【0154】
前記架橋剤(c)、即ち、メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物、又はヒドロキシアントラセン化合物は、前記架橋剤(b)の場合と同様、熱架橋により上塗りフォトレジストとのインターミキシングを抑制すると共に、膜強度を更に高めるものである。
以下、これら化合物を総じて、(c)に係る化合物(メチロール基含有化合物、アルコキシメチル基含有化合物、又はアシロキシメチル基含有化合物)ということがある。
【0155】
前記架橋剤(c)に含まれるメチロール基、アシロキシメチル基、アルコキシメチル基の数としては、一分子当り最低2個必要であり、熱架橋性及び保存安定性の観点から、骨格となるフェノール化合物の2位,4位が全て置換されている化合物が好ましい。また、骨格となるナフトール化合物、ヒドロキシアントラセン化合物も、OH基のオルト位、パラ位が全て置換されている化合物が好ましい。骨格となるフェノール化合物の3位又は5位は、未置換であっても置換基を有していてもよい。また、ナフトール化合物においても、OH基のオルト位以外は、未置換であっても置換基を有していてもよい。
【0156】
前記(c)に係るメチロール基含有化合物は、フェノール性OH基のオルト位又はパラ位(2位又は4位)が水素原子である化合物を原料に用い、これを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等の、塩基性触媒の存在下でホルマリンと反応させることにより得られる。
前記(c)に係るアルコキシメチル基含有化合物は、(c)に係るメチロール基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒の存在下で加熱することにより得られる。
前記(c)に係るアシロキシメチル基含有化合物は、(c)に係るメチロール基含有化合物を塩基性触媒の存在下アシルクロリドと反応させることにより得られる。
【0157】
架橋剤(c)における骨格化合物としては、フェノール性OH基のオルト位又はパラ位が未置換の、フェノール化合物、ナフトール化合物、ヒドロキシアントラセン化合物等が挙げられ、例えば、フェノール、クレゾールの各異性体、2,3−キシレノ−ル、2,5−キシレノ−ル、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、ビスフェノールAなどのビスフェノール類、4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシアントラセン、等が使用される。
【0158】
前記架橋剤(c)の具体例としては、トリメチロールフェノール、トリ(メトキシメチル)フェノール、トリメチロールフェノールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、トリメチロール−3−クレゾール、トリ(メトキシメチル)−3−クレゾール、トリメチロール−3−クレゾールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、2,6−ジメチロール−4−クレゾール等のジメチロールクレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、テトラメトキシメチルビスフェノールA、テトラメチロールビスフェノールAの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、テトラメチロール−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、テトラメトキシメチル−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、TrisP−PAのヘキサメチロール体、TrisP−PAのヘキサメトキシメチル体、TrisP−PAのヘキサメチロール体の1〜5個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、ビスヒドロキシメチルナフタレンジオール、等が挙げられる。
【0159】
また、ヒドロキシアントラセン化合物として、例えば、1,6−ジヒドロキシメチル−2,7−ジヒドロキシアントラセン等が挙げられる。
また、アシロキシメチル基含有化合物として、例えば、上記メチロール基含有化合物のメチロール基を、一部又は全部アシロキシメチル化した化合物等が挙げられる。
【0160】
これらの化合物の中で好ましいものとしては、トリメチロールフェノール、ビスヒドロキシメチル−p−クレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)のヘキサメチロール体又はそれらのメチロール基がアルコキシメチル基及びメチロール基とアルコキシメチル基の両方で置換されたフェノール化合物が挙げられる。
これら(c)に係る化合物は、単独で使用してもよく、組合わせて使用してもよい。
【0161】
本発明において架橋剤を含有する場合、前記架橋剤(a)〜(c)の着色硬化性組成物中における総含有量としては、素材により異なるが、該組成物の固形分(質量)に対して、1〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、7〜30質量%が特に好ましい。
【0162】
−重合性モノマー−
本発明の着色硬化性組成物は、重合性モノマーの少なくとも一種を含有することによって好適に構成することができる。重合性モノマーは、着色硬化性組成物をネガ型に構成する場合に主として含有される。なお、後述のナフトキノンジアジド化合物を含有するポジ型の系に後述の光重合開始剤と共に更に含有でき、この場合には形成されるパターンの硬化度をより促進させることができる。
この重合性モノマーは、後述の光重合開始剤と共に用いることで本発明の着色硬化性組成物の高感度化、高解像度を達成し得る点で有用である。以下、重合性モノマーについて説明する。
【0163】
前記重合性モノマーとしては、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物が好ましく、その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート、及びこれらの混合物を挙げることができる。また更に、日本接着協会誌 Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものが挙げられる。
【0164】
前記重合性モノマーの着色硬化性組成物中における含有量としては、該組成物の固形分に対して、0.1〜90質量が好ましく、1.0〜80質量%がさらに好ましく、2.0〜70質量%が特に好ましい。
【0165】
−感放射線性化合物−
本発明の着色硬化性組成物は、感放射線性化合物の少なくとも一種を含有することにより好適に構成することができる。本発明に係る感放射線性化合物は、UV、Deep UV、可視光、赤外光、電子線などの放射線に対し、ラジカル発生、酸発生、塩基発生などの化学反応を起こし得る化合物であるが、上記のアルカリ可溶性樹脂を架橋、重合、酸性基の分解などの反応により不溶化させたり、塗膜中に共存する重合性モノマーやオリゴマーの重合、架橋剤の架橋などを起こすことで塗膜をアルカリ現像液に対して不溶化させる目的で用いられる。
この感放射線性化合物は、本発明の着色硬化性組成物の高感度化、高解像度を達成する観点から有用である。
【0166】
着色硬化性組成物が、ネガ型に構成される場合には光重合開始剤を、ポジ型に構成される場合にはナフトキノンジアジド化合物を、それぞれ必須成分として含有する。
【0167】
〜光重合開始剤等〜
まず、ネガ型に構成する場合に用いる光重合開始剤について説明する。光重合開始剤は、前記重合性モノマー(重合性基を有するモノマー)を重合反応させ得るものであれば特に限定されないが、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれることが好ましい。なお、ナフトキノンジアジド化合物を含有するポジ型の系に更に含有してもよく、この場合には形成されるパターンの硬化度をより促進させることができる。
【0168】
前記光重合開始剤としては、ハロメチルオキサジアゾール系化合物及びハロメチル−s−トリアジン系化合物から選択される少なくとも一つの活性ハロゲン化合物、3−アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、オキシム系化合物、等が挙げられる。
【0169】
前記ハロメチルオキサジアゾール系化合物である活性ハロゲン化合物として、特公昭57−6096号公報に記載の2−ハロメチル−5−ビニル−1,3,4−オキサジアゾール化合物等や、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、等が挙げられる。
【0170】
前記ハロメチル−s−トリアジン系化合物である活性ハロゲン化合物として、特公昭59−1281号公報に記載のビニル−ハロメチル−s−トリアジン化合物、特開昭53−133428号公報に記載の2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−ハロメチル−s−トリアジン化合物及び4−(p−アミノフェニル)−2,6−ジ−ハロメチル−s−トリアジン化合物、等が挙げられる。
【0171】
その他の具体例として、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−s−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−メトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−ブトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(2−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(6−メトキシ−5−メチル−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(6−メトキシ−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(5−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、
【0172】
2−(6−エトキシ−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4,5−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−メチル−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−メチル−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(フェニル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−クロロエチルカルボニルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N−(p−メトキシフェニル)カルボニルアミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
【0173】
4−〔m−クロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−フロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−クロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−フロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−ブロモ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−クロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−フロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−ブロモ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−クロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
【0174】
4−〔m−フロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−ブロモ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−クロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−フロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−クロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−フロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−ブロモ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−クロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−フロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−クロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−フロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、等が挙げられる。
【0175】
その他、みどり化学社製のTAZシリーズ(例えば、TAZ−107、TAZ−110、TAZ−104、TAZ−109、TAZ−140、TAZ−204、TAZ−113、TAZ−123等)、PANCHIM社製のTシリーズ(例えば、T−OMS、T−BMP、T−R、T−B等)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュアシリーズ(例えば、イルガキュア369、イルガキュア784、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア500、イルガキュア1000、イルガキュア149、イルガキュア819、イルガキュア261等)、ダロキュアシリーズ(例えばダロキュア1173等)、
【0176】
4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−(o−クロルフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、ベンゾインイソプロピルエーテル、等も有用である。
【0177】
本発明の着色硬化性組成物には、前記光重合開始剤以外の他の公知の光重合開始剤を併用することができる。具体的には、米国特許第2,367,660号明細書に記載のビシナールポリケトルアルドニル化合物、米国特許第2,367,661号及び第2,367,670号明細書に記載のα−カルボニル化合物、米国特許第2,448,828号明細書に記載のアシロインエーテル、米国特許第2,722,512号明細書に記載のα−炭化水素で置換されたアリールアシロイン化合物、米国特許第3,046,127号及び第2,951,758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3,549,367号明細書に記載のトリアリルイミダゾールダイマー/p−アミノフェニルケトンの組合せ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール系化合物/トリハロメチール−s−トリアジン系化合物、等を挙げることができる。
【0178】
前記光重合開始剤の着色硬化性組成物中における含有量は、前記重合性モノマーの固形分(質量)に対して、0.01〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が特に好ましい。該含有量が、0.01質量%より少ないと重合が進み難くなることがあり、50質量%を超えると重合率は大きくなるが分子量が低くなり膜強度が弱くなることがある。
【0179】
上記の光重合開始剤には増感剤や光安定剤を併用することができる。
その具体例として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン、9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9−アントロン、2−ブロモ−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、キサントン、2−メチルキサントン、2−メトキシキサントン、2−エトキシキサントン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、ジベンザルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニル−p−メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(又はミヒラーケトン)、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾアントロン等や、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール系化合物等、チヌビン1130、同400等が挙げられる。
【0180】
また、上記のほかに更に、熱重合防止剤を加えておくことが好ましく、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。
【0181】
〜ナフトキノンジアジド化合物〜
次に、ポジ型に構成する場合に用いるナフトキノンジアジド化合物について説明する。ナフトキノンジアジド化合物は、少なくとも1つのo−キノンジアジド基を有する化合物であり、例えば、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸アミド、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸アミド、等が挙げられる。これらのエステルやアミド化合物は、例えば特開平2−84650号公報、特開平3−49437号公報において一般式(I)で記載されているフェノール化合物等を用いて公知の方法により製造することができる。
【0182】
また、着色硬化性組成物をポジ型に構成する場合には、前記バインダー、前記架橋剤は、通常、溶剤中に添加する全固形分のそれぞれ2〜50質量%程度、2〜30質量%程度の割合で溶解させるのが好ましい。また、前記ナフトキノンジアジド化合物、前記色素の各含有量は、通常、前記バインダー及び架橋剤を溶解した溶液の質量に対してそれぞれ、2〜30質量%程度、2〜50質量%程度の割合が好ましい。
【0183】
−溶剤−
本発明の着色硬化性組成物の調製の際には一般に溶剤を含有することができる。溶剤は、各成分の溶解性や着色硬化性組成物の塗布性を満足すれば基本的に特に限定されないが、特にバインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
【0184】
溶剤の具体例としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、等;
【0185】
3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等の3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、等;2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等の2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、等;ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、等;
【0186】
エーテル類、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、等;ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、等;アリール化合物、例えば、トルエン、キシレン、等が好適に挙げられる。
【0187】
上記の中でも、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメテルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等がより好ましい。
【0188】
−各種添加物−
本発明の着色硬化性組成物には、必要に応じて各種添加物、例えば充填剤、上記以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。
【0189】
前記各種添加物の具体例としては、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレート等の結着樹脂以外の高分子化合物;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;及びポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤を挙げることができる。
【0190】
また、非硬化部のアルカリ溶解性を促進し、本発明の着色硬化性組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、該組成物に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行なうことができる。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等のアリールモノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等のアリールポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0191】
本発明の着色硬化性組成物は、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(例えばCCD、CMOSなど)等に用いられるカラーフィルタなどの着色画素形成用として、また、印刷用インキ、インクジェット用インキ、及び塗料などの作製用途として、好適に用いることができる。
【0192】
《カラーフィルタ及びその製造方法》
次に、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法を通じて詳述する。
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、既述の本発明の着色硬化性組成物が用いられる。本発明のカラーフィルタは、既述の本発明の着色硬化性組成物を用い、この着色硬化性組成物を支持体上に回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布して感放射線性組成物層を形成し、該層を所定のマスクパターンを介して露光し、現像液で現像してネガ型もしくはポジ型の着色パターンを形成することによって最も好適に作製することができる(画像形成工程)。このとき必要に応じて、形成された着色パターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を設けることができる。この際に使用される光若しくは放射線としては、特にg線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。また、着色硬化性組成物がポジ型に構成されているときには、画像形成工程後に着色パターンをポストベークする工程を設けることもできる。
【0193】
カラーフィルタの作製においては、ネガ型の場合は、前記画像形成工程(及び必要により硬化工程)を所望の色相数に合わせて繰り返すことにより、ポジ型の場合は、前記画像形成工程及びポストベークを所望の色相数に合わせて繰り返すことにより、所望数の色相に構成されたカラーフィルタを作製することができる。
【0194】
前記支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの支持体は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの支持体上には必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止あるいは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0195】
本発明のカラーフィルタの製造方法に用いる現像液としては、本発明の着色硬化性組成物の現像除去しようとする部分(例えばネガ型の場合は未硬化部)を溶解する一方、フィルタをなす硬化部は溶解しない組成よりなるものであればいかなるものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤の組合わせやアルカリ性の水溶液を用いることができる。前記有機溶剤としては、本発明の着色硬化性組成物の調製に用いる既述の溶剤を挙げることができる。
【0196】
前記アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5.4.0〕−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解してなるアルカリ性水溶液が好適である。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合は、一般に現像後水で洗浄する。
【0197】
本発明のカラーフィルタは、液晶表示素子やCCD等の固体撮像素子に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS素子等に好適である。本発明のカラーフィルタは、例えば、CCDを構成する各画素の受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。
【実施例】
【0198】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0199】
(実施例1)
1)レジスト溶液の調製(ネガ型)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・ 5.20部
(PGMEA)
・乳酸エチル(EL) ・・・52.6部
・バインダー ・・・30.5部
〔メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(共重合比[モル比]=60/20/20)の41%EL溶液〕
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート ・・・10.2部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) ・・・ 0.006部
・フッ素系界面活性剤 ・・・ 0.80部
(F−475、大日本インキ化学工業(株)製)
・TAZ−107(みどり化学社製;光重合開始剤) ・・・ 0.58部
を混合して溶解し、レジスト溶液を調製した。
【0200】
2)下塗り層付ガラス基板の作製
ガラス基板(コーニング1737)を0.5%NaOH水で超音波洗浄した後、水洗、脱水ベーク(200℃/20分)を行なった。次いで、上記1)で得たレジスト溶液を洗浄したガラス基板上に膜厚2μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、220℃で1時間加熱乾燥させて硬化膜(下塗り層)を形成した。
【0201】
3)染料レジスト溶液(着色硬化性組成物[ネガ型])の調製
上記1)で得られたレジスト溶液9.4gと、本発明に係る染料である既述の例示化合物C−1〔前記一般式(C1)で表される化合物〕0.75gおよび例示化合物ya−1〔前記一般式Qで表される化合物〕0.35gとを混合、溶解して、染料レジスト溶液(着色硬化性組成物[ネガ型]の溶液)を調製した。
【0202】
4)染料レジスト溶液の露光・現像(画像形成)
上記3)で得られた染料レジスト溶液を、上記2)で得た下塗り層付ガラス基板の下塗り層の上に膜厚が1.0μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークした。
次いで、露光装置を使用して塗布膜に365nmの波長で線幅20μmのマスクを通して500mJ/cm2の露光量で照射した。照射後、現像液CD−2000(富士フイルムアーチ社製)を用いて25℃,40秒間の条件で現像した。その後、流水で30秒間リンスした後、スプレー乾燥した。
以上のようにして、カラーフィルタを構成する緑色として好適なグリーンパターンが得られた。
【0203】
5)評価
上記で調製した染料レジスト溶液の経時での保存安定性、及び染料レジスト溶液を用いてガラス基板上に塗設された塗布膜の耐熱性、耐光性を下記のようにして評価した。評価結果は下記表1に示す。
−経時での保存安定性−
染料レジスト溶液を室温で1ヶ月保存した後、溶液中における異物の析出度合いを目視により下記判定基準にしたがって評価した。
〔判定基準〕
○:析出は認められなかった。
△:僅かに析出が認められた。
×:析出が認められた。
【0204】
−耐熱性−
染料レジスト溶液が塗布されたガラス基板を、該基板面で接するように200℃のホットプレートに載置して1時間加熱した後、色度計MCPD−1000(大塚電子社製)にて加熱前後での色差(△Eab値)を測定して耐熱性を評価する指標とし、下記判定基準にしたがって評価した。△Eab値は、値の小さい方が耐熱性が良好なことを示す。
〔判定基準〕
○:△Eab値 <5
△:5≦ △Eab値 ≦10
×:△Eab値 >10
【0205】
−耐光性−
染料レジスト溶液が塗布されたガラス基板に対し、キセノンランプを5万luxで20時間照射(100万lux・h相当)した後、照射前後での色差(△Eab値)を測定して耐光性を評価する指標とし、下記判定基準にしたがって評価した。△Eab値は、値の小さい方が耐光性が良好なことを示す。
〔判定基準〕
○:△Eab値 <3
△:3≦ △Eab値 ≦10
×:△Eab値 >10
【0206】
(実施例2〜10)
実施例1の「3)染料レジスト溶液の調製」において、本発明に係る染料を下記表1に示すように変更(但し等モル)したこと以外、実施例1と同様にして、グリーンパターンを形成し、更に同様の評価を行なった。評価結果は下記表1に示す。
【0207】
(比較例1〜2)
実施例1の「3)染料レジスト溶液の調製」において、本発明に係る染料を下記表1に示すように変更(但し等モル)したこと以外、実施例1と同様にして、比較のグリーンパターンを形成し、更に同様の評価を行なった。評価結果は、実施例の結果と共に下記表1に示す。
【0208】
【表1】

【0209】
上記表1に示すように、本発明に係る染料を用いた実施例では、これ以外の染料を用いた比較例に比し、溶液状に調製された染料レジスト溶液(着色硬化性組成物)はいずれも経時での保存安定性に優れており、しかもこの染料レジスト溶液を用いて形成されたグリーンパターンは良好な耐熱性及び耐光性を示した。
【0210】
(実施例11)
1)着色硬化性組成物[ポジ型]の調製
下記組成を混合、溶解して溶液状の着色硬化性組成物[ポジ型]を調製した。
・乳酸エチル(EL) ・・・30部
・下記樹脂P−1 ・・・ 3.0部
・下記ナフトキノンジアジド化合物N−1 ・・・ 1.8部
・ヘキサメトキシメチロール化メラミン(架橋剤) ・・・ 0.6部
・TAZ−107(みどり化学社製;光酸発生剤) ・・・ 1.2部
・F−475 ・・・ 0.0005部
(フッ素系界面活性剤;大日本インキ化学工業製)
・本発明に係る染料の例示化合物C−6 ・・・ 1.5部
(一般式(C1)で表される化合物)
・本発明に係る染料の例示化合物ya−4 ・・・ 0.7部
(一般式Qで表される化合物)
【0211】
−樹脂P−1の合成−
ベンジルメタクリレート70.0g、メタクリル酸13.0g、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル17.0g、及び2−メトキシプロパノール600gを三口フラスコに仕込み、攪拌装置、還流冷却管、温度計を取り付けて窒素気流下65℃にて重合開始剤V−65(和光純薬工業社製)を触媒量添加して10時間攪拌した。得られた樹脂溶液を20L(リットル)のイオン交換水に激しく攪拌しながら滴下し、白色粉体を得た。この白色粉体を40℃で24時間真空乾燥し、樹脂P−1を145g得た。この分子量をGPCにて測定したところ、重量平均分子量Mw=28,000 数平均分子量Mn=11,000であった。
【0212】
−ナフトキノンジアジド化合物N−1の合成−
Trisp−PA(本州化学社製)42.45g、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド61.80g、及びアセトン300mlを三口フラスコに仕込み、室温下でトリエチルアミン24.44gを1時間かけて滴下した。滴下終了後 更に2時間攪拌した後、この反応液を大量の水に攪拌しながら注いだ。沈殿したナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを吸引濾過により集め、40℃で24時間真空乾燥し、感光性のナフトキノンジアジド化合物N−1を得た。
【0213】
2)着色硬化性組成物の露光・現像(画像形成)
実施例1と同様に下塗り層付ガラス基板を用意し、上記のようにして調製した着色硬化性組成物を実施例1と同様にして、下塗り層付ガラス基板の上に塗布、プリベーク、照射、現像及びリンス、スプレー乾燥を行なってグリーンパターンを得、その後このパターンを180℃で5分間加熱した(ポストベーク)。形成されたグリーンパターンは矩形状の良好なプロファイルを示した。
【0214】
続いて、上記で調製した染料レジスト溶液の保存安定性、及び染料レジスト溶液を用いてガラス基板上に塗設された塗布膜の耐熱性、耐光性を実施例1と同様にして評価したところ、上記ネガ型の場合と同様に、保存安定性、並びに耐光性及び耐熱性のいずれにおいても良好であった。
【0215】
(実施例12〜21)
実施例1〜10のガラス基板をシリコンウエハー基板に代えたこと以外、実施例1〜10と同様の操作を行なってシリコンウエハー基板の上に塗布膜を塗設した。次いで、i線縮小投影露光装置を使用して2μm四方の正方形パターンに500mj/cm2の露光量で露光し、CD−2000(富士フイルムアーチ社製)を60%に希釈した現像液を用いて23℃で60秒間現像した。次いで、流水で30秒間リンスした後、スプレー乾燥した。以上により、正方形の断面が略矩形でプロファイルの良好な、CCD用カラーフィルタとして好適なパターンを得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(C1)で表される化合物の少なくとも1種と、下記一般式Qで表される化合物の少なくとも1種とを含有することを特徴とする着色硬化性組成物。
【化1】

〔一般式(C1)中、Rc1は、ハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基、イミド基、またはヘテロ環チオ基を表す。Zc1は、炭素原子と共に6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、4つのZc1は同一でも異なっていてもよい。Mは、2個の水素原子、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、または2価の金属塩化物を表す。cmは、0、1または2を表し、cnは0または1〜5の整数を表し、4つのcnは同一でも異なってもよい。但し、cnの1つは1〜5の整数を表し、分子中の複数のRc1は同一でも異なっていてもよい。cr1、cr2、cr3およびcr4は0または1を表し、cr1+cr2+cr3+cr4≧1を満たす。〕
【化2】

〔一般式Q中、R301、R302、R303、R304、R305、及びR306は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、R301ないしR306が隣接位にある場合は、互いに結合して5員又は6員の環を形成していてもよく、該環は更に置換基を有していてもよい。〕
【請求項2】
下記一般式(C1)で表される化合物の少なくとも1種と、下記一般式Qで表される化合物の少なくとも1種とを含有することを特徴とするカラーフィルタ。
【化3】

〔一般式(C1)中、Rc1は、ハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基、イミド基、またはヘテロ環チオ基を表す。Zc1は、炭素原子と共に6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、4つのZc1は同一でも異なっていてもよい。Mは、2個の水素原子、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、または2価の金属塩化物を表す。cmは、0、1または2を表し、cnは0または1〜5の整数を表し、4つのcnは同一でも異なってもよい。但し、cnの1つは1〜5の整数を表し、分子中の複数のRc1は同一でも異なっていてもよい。cr1、cr2、cr3およびcr4は0または1を表し、cr1+cr2+cr3+cr4≧1を満たす。〕
【化4】

〔一般式Q中、R301、R302、R303、R304、R305、及びR306は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、R301ないしR306が隣接位にある場合は、互いに結合して5員又は6員の環を形成していてもよく、該環は更に置換基を有していてもよい。〕
【請求項3】
請求項1に記載の着色硬化性組成物を支持体上に塗布後、マスクを通して露光し、現像してパターン像を形成する工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。

【公開番号】特開2006−58787(P2006−58787A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242735(P2004−242735)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】