研削方法
【課題】ビード周辺の母材表面の削り過ぎを防止でき、且つ削り幅を狭くできる研削方法を提供することを課題とする。
【解決手段】研削方法は、研削装置準備工程と第1研削工程と第2研削工程とからなる。
【効果】第2研削工程で、第1研削工程でビード16の一部を研削して得た平坦面39に、逆V字を呈する研削ベルト29を当てると、研削ベルト29の接触部が水平になり、研削ベルト29の非接触部が湾曲した母材から離れやすくなるため、ビード16周辺の母材37表面の削り過ぎを防止できる。また、第2研削工程で、研削ベルト29は平坦面39のみを研削するから、削り幅W2を狭くすることができる。したがって、ビード16周辺の母材37表面の削り過ぎを防止でき、且つ削り幅W2を狭くできる研削方法を提供できる。
【解決手段】研削方法は、研削装置準備工程と第1研削工程と第2研削工程とからなる。
【効果】第2研削工程で、第1研削工程でビード16の一部を研削して得た平坦面39に、逆V字を呈する研削ベルト29を当てると、研削ベルト29の接触部が水平になり、研削ベルト29の非接触部が湾曲した母材から離れやすくなるため、ビード16周辺の母材37表面の削り過ぎを防止できる。また、第2研削工程で、研削ベルト29は平坦面39のみを研削するから、削り幅W2を狭くすることができる。したがって、ビード16周辺の母材37表面の削り過ぎを防止でき、且つ削り幅W2を狭くできる研削方法を提供できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビードの一部を研削する研削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
突合わせ溶接では、ビードが母材から突出する。外観性を向上させる必要がある場合には、ビードの一部(突出部分)を研削することがよく行われる。
【0003】
ビード研削は研削ベルトで実施されることがある(例えば、特許文献1(図14)参照。)。
【0004】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図11は従来の技術の基本構成を説明する図であり、ベルト研削装置100は、電動モータの駆動力で、プーリ101、102、103に掛け渡された研削ベルト104を走行させ、この研削ベルト104を矢印(1)のように管105の外周面に当てて、外周面に付いたさびを除去する装置である。
ところで、管105に長手方向の突合わせ溶接が施されると、外観性を向上させるためにビードの突出部分を研削する。その研削方法を次に説明する。
【0005】
図12は従来の研削方法を説明する図であり、研削ベルト104を、管105の母材106の外周面及びビード107に倣って矢印(2)のように走行させている。
このように母材106の外周面及びビード107に研削ベルト104を強く押し付けると、研削ベルト104が母材106の外周面に接触する幅W1が大きくなって、ビード107の形状を整えるまでに母材106の外周面の削り過ぎが発生する。これはワークの品質悪化を招く。
【0006】
そこで、ビード周辺の母材表面の削り過ぎを防止でき、且つ削り幅を狭くできる研削技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−090498公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ビード周辺の母材表面の削り過ぎを防止でき、且つ削り幅を狭くできる研削方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、上に凸になるように湾曲し、左右の中央が溶接で接続され、ビードの一部が逆U形断面の上端部になるように母材から上方へ突出しているワークを加工対象として、前記ビードの一部を研削する研削方法であって、前記ワークに対して昇降する昇降フレームと、この昇降フレームの左右に各々水平軸を介して回転自在に保持される左右プーリと、これらの左右プーリの一方又は前記左右プーリより上方位置にて前記昇降フレームに回転自在に取付けられる第3プーリを駆動する駆動源と、前記左右プーリ及び前記第3プーリに掛け渡され外面に砥粒が付けられている研削ベルトとからなるベルト研削装置を準備する研削装置準備工程と、前記左右プーリで走らせる前記研削ベルトの水平部分で前記ビードの一部の上部を水平に研削して平坦面を得る第1研削工程と、前記左右プーリを下げて前記平坦面に前記研削ベルトを逆V字を呈するように当てながら前記ビードの一部の下部を上に凸になるように研削して、前記ワークの湾曲に前記ビードの上面の湾曲をほぼ合わせるようにする第2研削工程と、からなることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明では、ベルト研削装置に、研削ベルトの水平部分を下方へ付勢する押圧ブロックが設けられ、第1研削工程では、前記研削ベルトを前記押圧ブロックでビードの一部の上部へ付勢しながら研削を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、研削方法は、研削装置準備工程と、第1研削工程と、第2研削工程とからなる。第1研削工程で、左右プーリで走らせる研削ベルトの水平部分でビードの一部の上部を水平に研削して平坦面を得る。第2研削工程で、研削して得た平坦面に逆V字を呈する研削ベルトを当てながらビードの一部の下部を上に凸になるように研削して、ワークの湾曲にビードの上面の湾曲をほぼ合わせるようにする。
【0012】
第2研削工程で、第1研削工程でビードの一部を研削して得た平坦面に、逆V字を呈する研削ベルトを当てると、研削ベルトの接触部が水平になり、研削ベルトの非接触部が湾曲した母材から離れやすくなるため、ビード周辺の母材表面の削り過ぎを防止できる。また、第2研削工程で、研削ベルトは平坦面のみを研削するから、削り幅を狭くすることができる。したがって、ビード周辺の母材表面の削り過ぎを防止でき、且つ削り幅を狭くできる研削方法を提供できる。
【0013】
請求項2に係る発明では、第1研削工程にて、研削ベルトを押圧ブロックでビードの一部の上部へ付勢しながら研削する。
研削ベルトを押圧ブロックでビードの一部の上部へ付勢すると、研削ベルトがビードの一部の上部により密着するため、平坦面を形成するまでの研削時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ワークの斜視図である。
【図2】本発明に係る研削方法を実施するためのベルト研削装置の正面図である。
【図3】研削装置準備工程と第1研削工程を説明する図である。
【図4】第2研削工程を説明する図である。
【図5】図2の変更例を示す図である。
【図6】押圧部の作用を説明する図である。
【図7】図2の更なる変更例を示す図である。
【図8】図7のベルト研削装置を用いた研削方法を説明する図である。
【図9】研削方法を実施するための別のベルト研削装置の正面図である。
【図10】図9の10−10線断面図である。
【図11】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【図12】従来の研削方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、以下では、ワークは自動二輪車用燃料タンクのタンク上半体として説明する。
【0016】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、自動二輪車用燃料タンクのタンク上半体10は、給油口11を備えると共に、給油口11を前側、フランジ部12を後側として、上半体左部13と上半体右部14を突合わせ溶接で接続してなる。
【0017】
また、タンク上半体10は、自動二輪車用燃料タンクの上半分の部材であり、タンク上半体10に備える接続部15に、下半分の部材であるタンク下半体が溶接で接続される。
給油口11に直交し前後方向に延びているのが、突合わせ溶接で得られたビード16である。
【0018】
ビード16を研削するベルト研削装置の構造を図2に基づいて説明する。
図2に示すように、ベルト研削装置20Aは、ロボットアーム21の先端に取付けられタンク上半体10に対して昇降する昇降フレーム22と、この昇降フレーム22から左下に延ばした左アーム部23L(Lは左を示す添え字。以下同様)に左水平軸24Lを介して回転自在に保持される左プーリ25Lと、昇降フレーム22から右下に延ばした右アーム部23R(Rは右を示す添え字。以下同様)に右水平軸24Rを介して回転自在に保持される右プーリ25Rと、これら左右プーリ25L、25Rより上方位置にて昇降フレーム22に取付けられ駆動プーリである第3プーリ26を出力軸27に直結している電動モータ28と、左右プーリ25L、25R及び第3プーリ26に掛け渡され外面に砥粒が付けられている研削ベルト29とからなる。
【0019】
第3プーリ26に対する研削ベルト29の巻掛け角が確保されているので、電動モータ28を起動すると、研削ベルト29を回転するプーリ25L、25R、26に沿って走らせることができる。
【0020】
なお、第3プーリ26は、実施例では、左右プーリ25L、25Rより上方位置に配置したが、第3プーリ26を左プーリ25Lの真上や右プーリ25Rの真上に配置してもよい。また、第3プーリ26の駆動源に、電動モータを適用したが、油圧モータやエアモータを適用してもよい。また、第3プーリ26は、電動モータ28の出力軸27に直結させたが、第3プーリ26を昇降フレーム22に回転可能に取付け、電動モータ28の出力軸27と第3プーリ26を、ベルトやチェーン等の伝動機構で繋いでもよい。
【0021】
昇降フレーム22のフランジ部31に、押圧ブロック(後述)の付勢手段である押圧シリンダ32がボルト33で取付けられ、押圧シリンダ32のピストンロッド34の下端に、研削ベルト29を内側から押す金属製の押圧ブロック35Aが取付けられている。つまり、ベルト研削装置20Aに、研削ベルト29の水平部分36を下方へ付勢する押圧ブロック35Aが設けられている。
【0022】
タンク上半体10は、断面視にて、上に凸になるように湾曲し、左右の中央が溶接で接続され、ビード16の一部が逆U形断面の上端部になるように母材37から上方へ突出している。
【0023】
以上に述べたベルト研削装置20Aを用いて実施される研削方法を次に述べる。
図3において、(a)で研削装置準備工程を説明し、(b)及び(c)で第1研削工程を説明する。(a)に示すように、ベルト研削装置20Aを準備し、電動モータ28を起動して研削ベルト29が矢印(3)のように走行させる。次に、押圧シリンダ32のピストンロッド34を押出して、押圧ブロック35Aを矢印(4)のように研削ベルト29に向けて下降させる。
【0024】
(b)に示すように、押圧ブロック35Aで押された研削ベルト29の水平部分36を、ビード16の一部の上部38に当てる。
ビード16の一部の上部38を、研削ベルト29の水平部分36で研削すると、(c)に示すように、平坦面39を得る。研削ベルト29を押圧ブロック35Aでビード16の一部の上部38へ付勢すると、研削ベルト29がビード16の一部の上部38により密着するため、平坦面39を形成するまでの研削時間を短縮できる。
【0025】
次に押圧ブロック35Aを矢印(5)のように上昇させ、(a)において、ロボットアーム21により左右プーリ25L、25Rを矢印(6)のように下降させる。
【0026】
図4において、(a)〜(d)で第2研削工程を説明する。(a)に示すように、研削ベルト29を、逆V字を呈するようにビード16の一部の平坦面(図3(c)、符号39)に当てる。
(b)に示すように、研削ベルト29を、タンク上半体10の上部外面41の形状に沿わせるようにして、研削ベルト29でビード16の一部を研削する。
【0027】
(c)に示すように、ビード16の一部の下部42を、上に凸になるように研削ベルト29で研削する。次に(a)において、ロボットアーム21によりベルト研削装置20Aを矢印(7)のように上昇させる。
結果、(d)に示すように、ビード16の上面43の湾曲を、タンク上半体10の上部外面41の湾曲にほぼ合わせることができる。
【0028】
本発明の研削方法は、研削装置準備工程(図3(a)参照)と、第1研削工程(図3(b)、(c)参照)と、第2研削工程とからなる。
図3(c)において、第1研削工程で、左右プーリで走らせる研削ベルト29の水平部分36でビード16の一部の上部を水平に研削して平坦面39を得る。なお、上記研削時に研削ベルト29を押圧ブロック35Aで押さなくとも、研削ベルト29のみで平坦面を得ることも期待できる。
【0029】
図4(c)において、第2研削工程で、研削して得た平坦面に逆V字を呈する研削ベルト29を当てながらビード16の一部の下部42を上に凸になるように研削して、(d)に示すように、タンク上半体10の湾曲にビード16の上面43の湾曲をほぼ合わせるようにする。
【0030】
第2研削工程で、第1研削工程でビード16の一部を研削して得た平坦面39に、逆V字を呈する研削ベルト29を当てると、研削ベルト29の接触部が水平になり、研削ベルト29の非接触部が湾曲した母材から離れやすくなるため、ビード16周辺の母材37表面の削り過ぎを防止できる。また、第2研削工程で、研削ベルト29は平坦面39のみを研削するから、削り幅W2を狭くすることができる。したがって、ビード16周辺の母材37表面の削り過ぎを防止でき、且つ削り幅W2を狭くできる研削方法を提供できる。
【0031】
これまでに説明した研削方法では、ベルト研削装置20Aに備える金属製の押圧ブロック35Aを用いた。ところで、押圧力を受ける側であるタンク上半体10にとって、タンク上半体10に掛かる力を低減できると、タンク上半体の外観形状を維持できる。そこで、タンク上半体10に掛かる力を低減できる例を次に説明する。
【0032】
図5において、図2と共通の構造は符号を流用して詳細な説明を省略する。主たる変更点は、押圧ブロックの下端に弾性材料を設けたことである。
押圧シリンダ32のピストンロッド34の下端に、押圧部44が設けられている。押圧部44は、ピストンロッド34にボルト45で取付けられている押圧ブロック35Bと、押圧ブロック35Bの下端に接着剤で取付けられ弾性材料で構成すると共に押圧シリンダ32からの押圧力を吸収する押圧力吸収部材46と、押圧ブロック35Bの左右に2本のボルト47で取付けられ弾性材料で構成すると共に押圧力吸収部材46を覆う吸収部材カバー48とからなる。
【0033】
押圧力吸収部材46の左右と、吸収部材カバー48の下部左右との間に、ポケット部49、49が設けられている。ポケット部49は、押圧力吸収部材46に外部から力が加わり、圧縮された押圧力吸収部材46の一部が入り込む部分である。
【0034】
なお、押圧力吸収部材46に、スポンジや軟質ゴムが好適であるが、軟質樹脂やその他の弾性材料を適用してもよい。また、吸収部材カバー48に、軟質樹脂が好適であるが、軟質ゴムやその他の弾性材料を適用してもよい。
【0035】
押圧部44の作用を図6に基づいて説明する。
図6(a)に示すように、押圧部44で押された研削ベルト29の水平部分36を、ビード16の一部の上部38に当てる。
押圧シリンダ(図5、符号32)のピストンロッド34を矢印(8)のように押出すと、(b)に示すように、押圧力吸収部材46は、押圧シリンダの押圧力を吸収して、(a)に比べて高さH1だけ圧縮される。結果、押圧力吸収部材46の左右の一部51がポケット部49に入る。
【0036】
このようにして、押圧力吸収部材46で押圧シリンダの押圧力を吸収するため、タンク上半体10に掛かる力を低減でき、タンク上半体の外観形状を維持できる。したがって、タンク上半体10の品質向上に寄与する。
【0037】
ところで、自動二輪車の燃料タンクの板厚は、車両の大きさに応じて変わることがあるため、タンク上半体10のビード幅も、車両の大きさで変わる。ビード幅の変更に簡単で安価に対応できることが好ましい。その例を次に説明する。
【0038】
図7において、図2と共通の構造は符号を流用して詳細な説明を省略する。主たる変更点は、押圧ブロックを無くし、第3プーリを移動可能に支持したことである。
ベルト研削装置20Bは、ロボットアーム21の先端に取付けられている略逆V形の昇降フレーム52と、この昇降フレーム52の左下端に左水平軸24Lを介して回転自在に保持される左プーリ25Lと、昇降フレーム52の右下端に右水平軸24Rを介して回転自在に保持される右プーリ25Rと、昇降フレーム52の中央部53に取付けた左右一対のレール54L、54Rに左右のスライダ55L、55Rを介して摺動可能に設けられている電動モータ28と、中央部53に取付けられピストンロッド56に電動モータ28の出力軸27の回転を邪魔しないように挿入されるリング部57を有する引きシリンダ65と、出力軸27に取付けられ左右プーリ25L、25Rより上方位置に配置されている第3プーリ26と、プーリ25L、25R、26に掛け渡され外面に砥粒が付けられている研削ベルト29とからなる。
【0039】
引きシリンダ65のピストンロッド56を引くと、第3プーリ26と電動モータ28とスライダ55L、55Rが、レール54L、54Rに沿って移動するので、研削ベルト29の張力を弛めることができる。
【0040】
図8(a)に示すように、張力を張った状態の研削ベルト29の水平部分36を、タンク上半体10のビード16の一部に当てる。
【0041】
ここで、例えばワークを大型の燃料タンクに変えると、タンク上半体のビード幅も大きくなる。これに対応して、第3プーリ26を矢印(9)のように下降させ、左右プーリ25L、25Rを矢印(10)のように下降させると、(b)に示すように、研削ベルト29の張力が弛むため、削り幅が大きくなってタンク上半体58のビード59を研削できる。ビード幅は(a)に比べて大きくなるが、研削ベルト29の張力を弛めるだけでよく、ビード幅の変更に簡単で安価に対応できる。
【0042】
これまでのベルト研削装置は、1つの第3プーリ(駆動プーリ)と、2つの左右プーリ(従動プーリ)とを備えていた。より安価なベルト研削装置を実現するためには、従動プーリを1つにしたベルト研削装置の例を次に説明する。
【0043】
図9において、図2と共通の構造は符号を流用して詳細な説明を省略する。主たる変更点は、左右にあったプーリを1つにしたことである。
ベルト研削装置60は、ロボットアーム21の先端に取付けられている略逆V形の昇降フレーム61と、この昇降フレーム61の左下端に取付けられている電動モータ28と、この電動モータ28の出力軸27に取付けられている第3プーリ26と、昇降フレーム52の右下端に右水平軸24Rを介して回転自在に保持される右プーリ25Rと、プーリ25R、26に掛け渡され外面に砥粒が付けられている研削ベルト29と、昇降フレーム61の中央部62に取付けられている押圧シリンダ32と、この押圧シリンダ32のピストンロッド34の下端に取付けられ研削ベルト29を内側から押す金属製の押圧ブロック35Aとからなる。
【0044】
図10に示すように、押圧ブロック35Aは、押圧シリンダ32の中心線63よりも前方に突出するように、ピストンロッド34から前方に延ばされる延長部64を備える。押圧シリンダ32のピストンロッド34を押出すと、延長部64が研削ベルト29を内側から押すので、ビードに研削ベルト29を押付けることができる。
図9において、ベルト研削装置60は、1つの第3プーリ26と、1つの右プーリ25Rとを備えるので、第3プーリと左右一対のプーリを備える場合に比べてより安価なベルト研削装置60を実現できる。
【0045】
尚、本発明に係るワークは、実施の形態では自動二輪車用燃料タンクのタンク上半体に適用したが、家庭用灯油タンクのタンク上半体やその他車両用燃料タンクのタンク上半体にも適用可能であり、一般の製缶機器の上半体に適用することは差し支えない。
加えて、本発明に係る押圧ブロックの付勢手段は、実施の形態ではシリンダを適用して説明したが、ばねの伸縮を利用したばね機構やダイヤフラム等を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の研削方法は、自動二輪車用燃料タンクのタンク上半体に備えたビードの研削に好適である。
【符号の説明】
【0047】
10…ワーク、16…ビード、20A…ベルト研削装置、22…昇降フレーム、24L、24R…水平軸、25L、25R…左右プーリ、26…第3プーリ、28…駆動源、29…研削ベルト、35A…押圧ブロック、36…水平部分、37…母材、38…上部、39…平坦面、42…下部、43…上面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビードの一部を研削する研削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
突合わせ溶接では、ビードが母材から突出する。外観性を向上させる必要がある場合には、ビードの一部(突出部分)を研削することがよく行われる。
【0003】
ビード研削は研削ベルトで実施されることがある(例えば、特許文献1(図14)参照。)。
【0004】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図11は従来の技術の基本構成を説明する図であり、ベルト研削装置100は、電動モータの駆動力で、プーリ101、102、103に掛け渡された研削ベルト104を走行させ、この研削ベルト104を矢印(1)のように管105の外周面に当てて、外周面に付いたさびを除去する装置である。
ところで、管105に長手方向の突合わせ溶接が施されると、外観性を向上させるためにビードの突出部分を研削する。その研削方法を次に説明する。
【0005】
図12は従来の研削方法を説明する図であり、研削ベルト104を、管105の母材106の外周面及びビード107に倣って矢印(2)のように走行させている。
このように母材106の外周面及びビード107に研削ベルト104を強く押し付けると、研削ベルト104が母材106の外周面に接触する幅W1が大きくなって、ビード107の形状を整えるまでに母材106の外周面の削り過ぎが発生する。これはワークの品質悪化を招く。
【0006】
そこで、ビード周辺の母材表面の削り過ぎを防止でき、且つ削り幅を狭くできる研削技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−090498公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ビード周辺の母材表面の削り過ぎを防止でき、且つ削り幅を狭くできる研削方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、上に凸になるように湾曲し、左右の中央が溶接で接続され、ビードの一部が逆U形断面の上端部になるように母材から上方へ突出しているワークを加工対象として、前記ビードの一部を研削する研削方法であって、前記ワークに対して昇降する昇降フレームと、この昇降フレームの左右に各々水平軸を介して回転自在に保持される左右プーリと、これらの左右プーリの一方又は前記左右プーリより上方位置にて前記昇降フレームに回転自在に取付けられる第3プーリを駆動する駆動源と、前記左右プーリ及び前記第3プーリに掛け渡され外面に砥粒が付けられている研削ベルトとからなるベルト研削装置を準備する研削装置準備工程と、前記左右プーリで走らせる前記研削ベルトの水平部分で前記ビードの一部の上部を水平に研削して平坦面を得る第1研削工程と、前記左右プーリを下げて前記平坦面に前記研削ベルトを逆V字を呈するように当てながら前記ビードの一部の下部を上に凸になるように研削して、前記ワークの湾曲に前記ビードの上面の湾曲をほぼ合わせるようにする第2研削工程と、からなることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明では、ベルト研削装置に、研削ベルトの水平部分を下方へ付勢する押圧ブロックが設けられ、第1研削工程では、前記研削ベルトを前記押圧ブロックでビードの一部の上部へ付勢しながら研削を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、研削方法は、研削装置準備工程と、第1研削工程と、第2研削工程とからなる。第1研削工程で、左右プーリで走らせる研削ベルトの水平部分でビードの一部の上部を水平に研削して平坦面を得る。第2研削工程で、研削して得た平坦面に逆V字を呈する研削ベルトを当てながらビードの一部の下部を上に凸になるように研削して、ワークの湾曲にビードの上面の湾曲をほぼ合わせるようにする。
【0012】
第2研削工程で、第1研削工程でビードの一部を研削して得た平坦面に、逆V字を呈する研削ベルトを当てると、研削ベルトの接触部が水平になり、研削ベルトの非接触部が湾曲した母材から離れやすくなるため、ビード周辺の母材表面の削り過ぎを防止できる。また、第2研削工程で、研削ベルトは平坦面のみを研削するから、削り幅を狭くすることができる。したがって、ビード周辺の母材表面の削り過ぎを防止でき、且つ削り幅を狭くできる研削方法を提供できる。
【0013】
請求項2に係る発明では、第1研削工程にて、研削ベルトを押圧ブロックでビードの一部の上部へ付勢しながら研削する。
研削ベルトを押圧ブロックでビードの一部の上部へ付勢すると、研削ベルトがビードの一部の上部により密着するため、平坦面を形成するまでの研削時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ワークの斜視図である。
【図2】本発明に係る研削方法を実施するためのベルト研削装置の正面図である。
【図3】研削装置準備工程と第1研削工程を説明する図である。
【図4】第2研削工程を説明する図である。
【図5】図2の変更例を示す図である。
【図6】押圧部の作用を説明する図である。
【図7】図2の更なる変更例を示す図である。
【図8】図7のベルト研削装置を用いた研削方法を説明する図である。
【図9】研削方法を実施するための別のベルト研削装置の正面図である。
【図10】図9の10−10線断面図である。
【図11】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【図12】従来の研削方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、以下では、ワークは自動二輪車用燃料タンクのタンク上半体として説明する。
【0016】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、自動二輪車用燃料タンクのタンク上半体10は、給油口11を備えると共に、給油口11を前側、フランジ部12を後側として、上半体左部13と上半体右部14を突合わせ溶接で接続してなる。
【0017】
また、タンク上半体10は、自動二輪車用燃料タンクの上半分の部材であり、タンク上半体10に備える接続部15に、下半分の部材であるタンク下半体が溶接で接続される。
給油口11に直交し前後方向に延びているのが、突合わせ溶接で得られたビード16である。
【0018】
ビード16を研削するベルト研削装置の構造を図2に基づいて説明する。
図2に示すように、ベルト研削装置20Aは、ロボットアーム21の先端に取付けられタンク上半体10に対して昇降する昇降フレーム22と、この昇降フレーム22から左下に延ばした左アーム部23L(Lは左を示す添え字。以下同様)に左水平軸24Lを介して回転自在に保持される左プーリ25Lと、昇降フレーム22から右下に延ばした右アーム部23R(Rは右を示す添え字。以下同様)に右水平軸24Rを介して回転自在に保持される右プーリ25Rと、これら左右プーリ25L、25Rより上方位置にて昇降フレーム22に取付けられ駆動プーリである第3プーリ26を出力軸27に直結している電動モータ28と、左右プーリ25L、25R及び第3プーリ26に掛け渡され外面に砥粒が付けられている研削ベルト29とからなる。
【0019】
第3プーリ26に対する研削ベルト29の巻掛け角が確保されているので、電動モータ28を起動すると、研削ベルト29を回転するプーリ25L、25R、26に沿って走らせることができる。
【0020】
なお、第3プーリ26は、実施例では、左右プーリ25L、25Rより上方位置に配置したが、第3プーリ26を左プーリ25Lの真上や右プーリ25Rの真上に配置してもよい。また、第3プーリ26の駆動源に、電動モータを適用したが、油圧モータやエアモータを適用してもよい。また、第3プーリ26は、電動モータ28の出力軸27に直結させたが、第3プーリ26を昇降フレーム22に回転可能に取付け、電動モータ28の出力軸27と第3プーリ26を、ベルトやチェーン等の伝動機構で繋いでもよい。
【0021】
昇降フレーム22のフランジ部31に、押圧ブロック(後述)の付勢手段である押圧シリンダ32がボルト33で取付けられ、押圧シリンダ32のピストンロッド34の下端に、研削ベルト29を内側から押す金属製の押圧ブロック35Aが取付けられている。つまり、ベルト研削装置20Aに、研削ベルト29の水平部分36を下方へ付勢する押圧ブロック35Aが設けられている。
【0022】
タンク上半体10は、断面視にて、上に凸になるように湾曲し、左右の中央が溶接で接続され、ビード16の一部が逆U形断面の上端部になるように母材37から上方へ突出している。
【0023】
以上に述べたベルト研削装置20Aを用いて実施される研削方法を次に述べる。
図3において、(a)で研削装置準備工程を説明し、(b)及び(c)で第1研削工程を説明する。(a)に示すように、ベルト研削装置20Aを準備し、電動モータ28を起動して研削ベルト29が矢印(3)のように走行させる。次に、押圧シリンダ32のピストンロッド34を押出して、押圧ブロック35Aを矢印(4)のように研削ベルト29に向けて下降させる。
【0024】
(b)に示すように、押圧ブロック35Aで押された研削ベルト29の水平部分36を、ビード16の一部の上部38に当てる。
ビード16の一部の上部38を、研削ベルト29の水平部分36で研削すると、(c)に示すように、平坦面39を得る。研削ベルト29を押圧ブロック35Aでビード16の一部の上部38へ付勢すると、研削ベルト29がビード16の一部の上部38により密着するため、平坦面39を形成するまでの研削時間を短縮できる。
【0025】
次に押圧ブロック35Aを矢印(5)のように上昇させ、(a)において、ロボットアーム21により左右プーリ25L、25Rを矢印(6)のように下降させる。
【0026】
図4において、(a)〜(d)で第2研削工程を説明する。(a)に示すように、研削ベルト29を、逆V字を呈するようにビード16の一部の平坦面(図3(c)、符号39)に当てる。
(b)に示すように、研削ベルト29を、タンク上半体10の上部外面41の形状に沿わせるようにして、研削ベルト29でビード16の一部を研削する。
【0027】
(c)に示すように、ビード16の一部の下部42を、上に凸になるように研削ベルト29で研削する。次に(a)において、ロボットアーム21によりベルト研削装置20Aを矢印(7)のように上昇させる。
結果、(d)に示すように、ビード16の上面43の湾曲を、タンク上半体10の上部外面41の湾曲にほぼ合わせることができる。
【0028】
本発明の研削方法は、研削装置準備工程(図3(a)参照)と、第1研削工程(図3(b)、(c)参照)と、第2研削工程とからなる。
図3(c)において、第1研削工程で、左右プーリで走らせる研削ベルト29の水平部分36でビード16の一部の上部を水平に研削して平坦面39を得る。なお、上記研削時に研削ベルト29を押圧ブロック35Aで押さなくとも、研削ベルト29のみで平坦面を得ることも期待できる。
【0029】
図4(c)において、第2研削工程で、研削して得た平坦面に逆V字を呈する研削ベルト29を当てながらビード16の一部の下部42を上に凸になるように研削して、(d)に示すように、タンク上半体10の湾曲にビード16の上面43の湾曲をほぼ合わせるようにする。
【0030】
第2研削工程で、第1研削工程でビード16の一部を研削して得た平坦面39に、逆V字を呈する研削ベルト29を当てると、研削ベルト29の接触部が水平になり、研削ベルト29の非接触部が湾曲した母材から離れやすくなるため、ビード16周辺の母材37表面の削り過ぎを防止できる。また、第2研削工程で、研削ベルト29は平坦面39のみを研削するから、削り幅W2を狭くすることができる。したがって、ビード16周辺の母材37表面の削り過ぎを防止でき、且つ削り幅W2を狭くできる研削方法を提供できる。
【0031】
これまでに説明した研削方法では、ベルト研削装置20Aに備える金属製の押圧ブロック35Aを用いた。ところで、押圧力を受ける側であるタンク上半体10にとって、タンク上半体10に掛かる力を低減できると、タンク上半体の外観形状を維持できる。そこで、タンク上半体10に掛かる力を低減できる例を次に説明する。
【0032】
図5において、図2と共通の構造は符号を流用して詳細な説明を省略する。主たる変更点は、押圧ブロックの下端に弾性材料を設けたことである。
押圧シリンダ32のピストンロッド34の下端に、押圧部44が設けられている。押圧部44は、ピストンロッド34にボルト45で取付けられている押圧ブロック35Bと、押圧ブロック35Bの下端に接着剤で取付けられ弾性材料で構成すると共に押圧シリンダ32からの押圧力を吸収する押圧力吸収部材46と、押圧ブロック35Bの左右に2本のボルト47で取付けられ弾性材料で構成すると共に押圧力吸収部材46を覆う吸収部材カバー48とからなる。
【0033】
押圧力吸収部材46の左右と、吸収部材カバー48の下部左右との間に、ポケット部49、49が設けられている。ポケット部49は、押圧力吸収部材46に外部から力が加わり、圧縮された押圧力吸収部材46の一部が入り込む部分である。
【0034】
なお、押圧力吸収部材46に、スポンジや軟質ゴムが好適であるが、軟質樹脂やその他の弾性材料を適用してもよい。また、吸収部材カバー48に、軟質樹脂が好適であるが、軟質ゴムやその他の弾性材料を適用してもよい。
【0035】
押圧部44の作用を図6に基づいて説明する。
図6(a)に示すように、押圧部44で押された研削ベルト29の水平部分36を、ビード16の一部の上部38に当てる。
押圧シリンダ(図5、符号32)のピストンロッド34を矢印(8)のように押出すと、(b)に示すように、押圧力吸収部材46は、押圧シリンダの押圧力を吸収して、(a)に比べて高さH1だけ圧縮される。結果、押圧力吸収部材46の左右の一部51がポケット部49に入る。
【0036】
このようにして、押圧力吸収部材46で押圧シリンダの押圧力を吸収するため、タンク上半体10に掛かる力を低減でき、タンク上半体の外観形状を維持できる。したがって、タンク上半体10の品質向上に寄与する。
【0037】
ところで、自動二輪車の燃料タンクの板厚は、車両の大きさに応じて変わることがあるため、タンク上半体10のビード幅も、車両の大きさで変わる。ビード幅の変更に簡単で安価に対応できることが好ましい。その例を次に説明する。
【0038】
図7において、図2と共通の構造は符号を流用して詳細な説明を省略する。主たる変更点は、押圧ブロックを無くし、第3プーリを移動可能に支持したことである。
ベルト研削装置20Bは、ロボットアーム21の先端に取付けられている略逆V形の昇降フレーム52と、この昇降フレーム52の左下端に左水平軸24Lを介して回転自在に保持される左プーリ25Lと、昇降フレーム52の右下端に右水平軸24Rを介して回転自在に保持される右プーリ25Rと、昇降フレーム52の中央部53に取付けた左右一対のレール54L、54Rに左右のスライダ55L、55Rを介して摺動可能に設けられている電動モータ28と、中央部53に取付けられピストンロッド56に電動モータ28の出力軸27の回転を邪魔しないように挿入されるリング部57を有する引きシリンダ65と、出力軸27に取付けられ左右プーリ25L、25Rより上方位置に配置されている第3プーリ26と、プーリ25L、25R、26に掛け渡され外面に砥粒が付けられている研削ベルト29とからなる。
【0039】
引きシリンダ65のピストンロッド56を引くと、第3プーリ26と電動モータ28とスライダ55L、55Rが、レール54L、54Rに沿って移動するので、研削ベルト29の張力を弛めることができる。
【0040】
図8(a)に示すように、張力を張った状態の研削ベルト29の水平部分36を、タンク上半体10のビード16の一部に当てる。
【0041】
ここで、例えばワークを大型の燃料タンクに変えると、タンク上半体のビード幅も大きくなる。これに対応して、第3プーリ26を矢印(9)のように下降させ、左右プーリ25L、25Rを矢印(10)のように下降させると、(b)に示すように、研削ベルト29の張力が弛むため、削り幅が大きくなってタンク上半体58のビード59を研削できる。ビード幅は(a)に比べて大きくなるが、研削ベルト29の張力を弛めるだけでよく、ビード幅の変更に簡単で安価に対応できる。
【0042】
これまでのベルト研削装置は、1つの第3プーリ(駆動プーリ)と、2つの左右プーリ(従動プーリ)とを備えていた。より安価なベルト研削装置を実現するためには、従動プーリを1つにしたベルト研削装置の例を次に説明する。
【0043】
図9において、図2と共通の構造は符号を流用して詳細な説明を省略する。主たる変更点は、左右にあったプーリを1つにしたことである。
ベルト研削装置60は、ロボットアーム21の先端に取付けられている略逆V形の昇降フレーム61と、この昇降フレーム61の左下端に取付けられている電動モータ28と、この電動モータ28の出力軸27に取付けられている第3プーリ26と、昇降フレーム52の右下端に右水平軸24Rを介して回転自在に保持される右プーリ25Rと、プーリ25R、26に掛け渡され外面に砥粒が付けられている研削ベルト29と、昇降フレーム61の中央部62に取付けられている押圧シリンダ32と、この押圧シリンダ32のピストンロッド34の下端に取付けられ研削ベルト29を内側から押す金属製の押圧ブロック35Aとからなる。
【0044】
図10に示すように、押圧ブロック35Aは、押圧シリンダ32の中心線63よりも前方に突出するように、ピストンロッド34から前方に延ばされる延長部64を備える。押圧シリンダ32のピストンロッド34を押出すと、延長部64が研削ベルト29を内側から押すので、ビードに研削ベルト29を押付けることができる。
図9において、ベルト研削装置60は、1つの第3プーリ26と、1つの右プーリ25Rとを備えるので、第3プーリと左右一対のプーリを備える場合に比べてより安価なベルト研削装置60を実現できる。
【0045】
尚、本発明に係るワークは、実施の形態では自動二輪車用燃料タンクのタンク上半体に適用したが、家庭用灯油タンクのタンク上半体やその他車両用燃料タンクのタンク上半体にも適用可能であり、一般の製缶機器の上半体に適用することは差し支えない。
加えて、本発明に係る押圧ブロックの付勢手段は、実施の形態ではシリンダを適用して説明したが、ばねの伸縮を利用したばね機構やダイヤフラム等を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の研削方法は、自動二輪車用燃料タンクのタンク上半体に備えたビードの研削に好適である。
【符号の説明】
【0047】
10…ワーク、16…ビード、20A…ベルト研削装置、22…昇降フレーム、24L、24R…水平軸、25L、25R…左右プーリ、26…第3プーリ、28…駆動源、29…研削ベルト、35A…押圧ブロック、36…水平部分、37…母材、38…上部、39…平坦面、42…下部、43…上面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上に凸になるように湾曲し、左右の中央が溶接で接続され、ビードの一部が逆U形断面の上端部になるように母材から上方へ突出しているワークを加工対象として、前記ビードの一部を研削する研削方法であって、
前記ワークに対して昇降する昇降フレームと、この昇降フレームの左右に各々水平軸を介して回転自在に保持される左右プーリと、これらの左右プーリの一方又は前記左右プーリより上方位置にて前記昇降フレームに回転自在に取付けられる第3プーリを駆動する駆動源と、前記左右プーリ及び前記第3プーリに掛け渡され外面に砥粒が付けられている研削ベルトとからなるベルト研削装置を準備する研削装置準備工程と、
前記左右プーリで走らせる前記研削ベルトの水平部分で前記ビードの一部の上部を水平に研削して平坦面を得る第1研削工程と、
前記左右プーリを下げて前記平坦面に前記研削ベルトを逆V字を呈するように当てながら前記ビードの一部の下部を上に凸になるように研削して、前記ワークの湾曲に前記ビードの上面の湾曲をほぼ合わせるようにする第2研削工程と、
からなることを特徴とする研削方法。
【請求項2】
前記ベルト研削装置に、前記研削ベルトの水平部分を下方へ付勢する押圧ブロックが設けられ、
前記第1研削工程では、前記研削ベルトを前記押圧ブロックで前記ビードの一部の上部へ付勢しながら研削を実施することを特徴とする請求項1記載の研削方法。
【請求項1】
上に凸になるように湾曲し、左右の中央が溶接で接続され、ビードの一部が逆U形断面の上端部になるように母材から上方へ突出しているワークを加工対象として、前記ビードの一部を研削する研削方法であって、
前記ワークに対して昇降する昇降フレームと、この昇降フレームの左右に各々水平軸を介して回転自在に保持される左右プーリと、これらの左右プーリの一方又は前記左右プーリより上方位置にて前記昇降フレームに回転自在に取付けられる第3プーリを駆動する駆動源と、前記左右プーリ及び前記第3プーリに掛け渡され外面に砥粒が付けられている研削ベルトとからなるベルト研削装置を準備する研削装置準備工程と、
前記左右プーリで走らせる前記研削ベルトの水平部分で前記ビードの一部の上部を水平に研削して平坦面を得る第1研削工程と、
前記左右プーリを下げて前記平坦面に前記研削ベルトを逆V字を呈するように当てながら前記ビードの一部の下部を上に凸になるように研削して、前記ワークの湾曲に前記ビードの上面の湾曲をほぼ合わせるようにする第2研削工程と、
からなることを特徴とする研削方法。
【請求項2】
前記ベルト研削装置に、前記研削ベルトの水平部分を下方へ付勢する押圧ブロックが設けられ、
前記第1研削工程では、前記研削ベルトを前記押圧ブロックで前記ビードの一部の上部へ付勢しながら研削を実施することを特徴とする請求項1記載の研削方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−218086(P2012−218086A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83875(P2011−83875)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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