説明

研磨システム

【課題】省スペース、生産性の向上、合わせて設備費用の低減に寄与する研磨システムを提供する。
【解決手段】ワーク一括搬送装置60がワークを研磨装置10へローディングする時に、ワーク給排装置30がローディング用テーブル305を上昇させて研磨装置用ガイド部20とローディング用ガイド部304とを隣接させることでワーク一括搬送装置60がこれらガイド部を移動できる状態とし、ワーク搬送装置60がローディング用テーブル305上の全てのワークを一括して保持して研磨装置10のワークキャリアへ搬送するようにして、ローディング時間を大幅に短縮した研磨システム1とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置に対して複数ワークの高速な給排を行う研磨システムに関する。
【背景技術】
【0002】
研磨システムにおいて、ワークの研磨前では定盤上に複数のワークを配置するローディング(供給)と、ワークの研磨後では複数のワークを全て回収するアンローディング(排出)と、を行う必要がある。このようなワークの給排は従来では人手により行っており、ワークの研磨前にはワークを一枚ずつ手で配置することでローディングし、また、ワークの研磨後にはワークを一枚づつ手で回収することでアンローディングを行っていた。そして、このワークの給排は、現在でも作業員が人手で行うことも少なくない。
【0003】
そこで、従来より自動化システム(Automatic Loading & Un-loading System)の開発が進められてきた。このような自動化システムにより、履歴監理の推進に加え、生産性の向上、人手による汚染等の回避が見込める。このような自動化システムは様々な形態が提案されてきた。例えば、以下の(1)〜(4)の形態の自動化システムが知られている。
【0004】
(1)1キャリア分のワークをテーブル等に整列させ、定盤上のキャリアへハンドリングする、あるいは加工後のワークを1キャリア分ずつハンドリングして回収する。
(2)ワーク+キャリアをテーブル等に整列させ、ワーク+キャリアを一括してハンドリングする。
【0005】
一般にキャリアをハンドリングすることは装置構造が煩雑・コスト高となるので採用が困難な方法であるが、(1)のようにキャリアホール内にワークを確実に嵌合させること(研磨機の定盤上で)は技術的に難易度が高いとの理由から(2)が検討された。
【0006】
(3)1バッチ分のワークをテーブル等へ整列させ、1バッチ分のワークを一括してハンドリングする。
(4)1バッチ分のワーク+キャリアをテーブル等へ整列させ、すべてを一括してハンドリングする。
【0007】
なお、これら(3),(4)のような方式が採用されるのは、ワークが比較的小さくて1回の加工枚数(1バッチ数)が非常に多い場合(50枚から100枚あるいはそれ以上)である。
【0008】
さて上記のようなローディングを行う研磨装置の具体的な従来技術としては、例えば、特許文献1(特開昭61−241060号公報、発明の名称「平面自動研磨装置」)に記載の発明が知られている。特許文献1に記載の平面自動研磨装置は、上記の(2)に相当するものであり、ワークとキャリアとを一括給排するシステムであって、特に1キャリア毎に給排する自動化システムの基本構成である。1台のロボットで同じ給排場所で給排を行う。
【0009】
また、ローディングを行う研磨装置の他の具体的な従来技術としては、例えば、特許文献2(特開平04−013553号公報、発明の名称「研磨方法及び研磨装置」)に記載の発明が知られている。特許文献2に記載の研磨装置では、上記の(3)に相当するものであり、磁気ディスク用アルミ基板のワークの一括(バッチ毎)給排を行う自動研磨システム装置である。ワークの給排(ローディング&アンローディング)時間が短縮されるので生産性は大きく向上するシステムである。
【0010】
また、ローディングを行う研磨装置の他の具体的な従来技術としては、例えば、特許文献3(特開2006−247762号公報、発明の名称「ワークの製造方法およびワークの製造装置」)に記載の発明が知られている。特許文献3に記載の製造装置では、上記の(4)に相当するものであり、1キャリアを整列する置き場、これらを1バッチ分整列する置き場、を有し、これらワークを一括して研磨装置へ搬送し加工するようにしており、磁気ディスク基板等のワーク加工枚数が多くなっても、研磨加工を連続して行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭61−241060号公報
【特許文献2】特開平04−013553号公報
【特許文献3】特開2006−247762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記した従来技術では何れも問題点を有するものであった。
例えば、引用文献1に記載の平面自動研磨装置では、1台のロボットで同じ給排場所で給排を行うため、能率がよくないという問題があった。また、上記のような一括給排システムに比べて占有面積が小さく、設備数も比較的少ないため設備費用も少なくて済むが、加工後にワークを排出してからキャリアに未加工ワークを整列して一括ハンドリングにより定盤上へ載置するまでに多くの時間を要するため、加工後ワークの排出作業が終了するまでワークの供給ができず、この分だけ加工開始時間が遅れることにより全体の生産性が制限されるという問題があった。
【0013】
また、引用文献2に記載の研磨装置は、占有面積が大きくなってしまうと同時に、一括搬送装置も複数必要となり設備費用が大きくなるという問題があった。また、ハンドリング装置を多数搭載しているが、設備費用低減の観点からハンドリング装置も減らしたいという要請があった。
【0014】
また、引用文献3に記載の製造装置は、非常に大きな占有面積が必要であり、場所的な制約を受けるところでは採用ができない。また、搬送装置が多数必要となり、設備費用が大きくなるという問題があった。
【0015】
これら従来技術の自動化システムにおいて生産性の向上を図った引用文献2あるいは引用文献3の方法では、いずれも給排用装置を設置するのに大きなスペースを要すると同時に、設備費用が高くなるという問題があった。このため生産性の向上と省スペース化および設備費用の低減を合わせて実現することにより普及を図りたいという要請があった。
【0016】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、省スペース、生産性の向上、合わせて設備費用の低減に寄与する研磨システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の請求項1に係る発明は、
複数のワークを保持するキャリアを円周状に複数個配置して、一括して研磨加工を行う研磨装置と、
前記研磨装置に隣接して、前記研磨装置上のすべての加工ワークと同一の配置で未加工ワークを配置するためのローディング用テーブルと、研磨加工後のすべてのワークを載置するためのアンローディング用テーブルと、を上下に配置して全体が昇降機能を有するワーク給排装置と、
前記研磨装置と前記ワーク給排装置間でワークを一括して移送するワーク一括搬送装置と、
前記ワーク一括搬送装置の移動用ガイド部材として、研磨装置の研磨定盤を挟んで対向する一対の研磨装置用ガイド部と、
前記ローディング用テーブルを挟んで対向する一対のローディング用ガイド部と、
前記アンローディング用テーブルを挟んで対向する一対のアンローディング用ガイド部と、
を備えたことを特徴とする研磨システム研磨システムとした。
【0018】
また、本発明の請求項2に係る発明は、
前記ワーク一括搬送装置が未加工ワークを研磨装置へ載置するローディング時には、
ワーク給排装置がローディング用テーブルを昇降させて研磨装置用ガイド部とローディング用ガイド部とを隣接あるいは連結させ、
ワーク一括搬送装置がローディング用テーブル上の全ての未加工ワークを一括して保持して研磨装置のワークキャリア上へ搬送してすべてのキャリア穴へワークを載置し、
また、
前記ワーク一括搬送装置が加工済みワークを研磨装置から取り出すアンローディング時には、
ワーク給排装置がアンローディング用テーブルを昇降させて研磨装置用ガイド部とアンローディング用ガイド部とを隣接あるいは連結させ、
ワーク一括搬送装置が研磨装置のワークキャリア上の全ての加工済みワークを一括して保持してアンローディング用テーブルへ搬送するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の研磨システムとした。
【0019】
また、本発明の請求項3に係る発明は、
複数のワークを収容するワーク収容部と、
ワーク収容部とワーク給排装置との間でワークの給排を行うワーク移載装置と、
をさらに備え、
ワーク移載装置は、ワークの研磨中にワーク収容部からワーク給排装置のローディング用テーブル上へ順次複数のワークを供給し、並行して、ワーク給排装置のアンローディング用テーブル上からワーク収容部へ順次複数のワークを排出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の研磨システムとした。
【0020】
また、本発明の請求項4に係る発明は、
ワーク一括搬送装置は、1回分の全ての加工ワークを把持する複数の把持装置を定盤上のすべてのワークキャリア、ローディング用テーブルおよびアンローディング用テーブルの全てのワーク収納位置に対応した位置の真上に配置し、全てのワークを一括して給排するための昇降機構と、ローディング用ガイド部と研磨装置用ガイド部間およびアンローディング用ガイド部と研磨装置用ガイド部間をそれぞれ横行する機構を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の研磨システムとした。
【発明の効果】
【0021】
このような本発明によれば、省スペース、生産性の向上、合わせて設備費用の低減に寄与する研磨システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を実施するための形態の研磨システムのシステム構成図である。
【図2】本発明を実施するための形態の研磨システムの側面から視たシステム概念図である。
【図3】本発明を実施するための形態の研磨システムの平面から視たシステム概念図である。
【図4】研磨装置の側面図である。
【図5】研磨装置を上から視た図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は上定盤から上の構成を取り去った図である。
【図6】ワーク移載装置およびワーク収容部の説明図である。
【図7】ワーク一括搬送装置の説明図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は側面図である。
【図8】ワーク一括搬送装置の説明図であり、図8(a)はワークとの対応関係の説明を含む平面図、図8(b)は正面図である。
【図9】ワーク一括搬送装置の説明図であり、図9(a)は研磨装置用ガイド部とローラとの位置関係を説明する側面図、図9(b)は研磨装置用ガイド部とローラとの位置関係を説明するA−A矢視図、図9(c)はA部拡大図である。
【図10】ワーク一括搬送装置の説明図であり、図10(a)は着脱装置昇降部の上昇状態を示す図、図10(b)は着脱装置昇降部の下降状態を示す図である。
【図11】他のワーク一括搬送装置の説明図であり、図11(a)は着脱装置昇降部の上昇状態を示す図、図11(b)は着脱装置昇降部の下降状態を示す図である。
【図12】本発明を実施するための形態の研磨システムのワーク供給・収容の一連の動作説明図である。
【図13】本発明を実施するための形態の研磨システムのワーク供給・収容の一連の動作説明図である。
【図14】本発明を実施するための形態の研磨システムのワーク供給・収容の一連の動作説明図である。
【図15】本発明を実施するための形態の研磨システムのワーク供給・収容の一連の動作説明図である。
【図16】本発明を実施するための形態の研磨システムのワーク供給・収容の一連の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
続いて、本発明を実施するための形態の研磨システム1について、図1〜図11を参照しつつ説明する。研磨システム1は、ワーク2を平面加工する装置である。研磨システム1は、外観上は図1で示すように、研磨装置10、研磨装置用ガイド部20、ワーク給排装置30、ワーク移載装置40、ワーク収容部50を備える。
【0024】
そして、研磨システム1は、内部を透視した図2,図3で示すように、左側から研磨装置10、研磨装置用ガイド部20、ワーク給排装置30、ワーク移載装置40、ワーク収容部50と並べられて配置されており、さらにワーク一括搬送装置60が研磨装置10とワーク給排装置30との間でワークを搬送するようになされている。このような研磨システム1は、後に詳述するが、ワーク移載装置40がワーク収容部50からワーク2を取り出して、ワーク給排装置30にワークを供給する。ワーク給排装置30では、研磨装置10のワークキャリア108におけるワーク保持予定位置と予め同じ位置になるようにローディング用テーブル305に複数のワーク2が配置される。そして、ワーク一括搬送装置60がこれらワーク2を保持した状態とし、研磨装置用ガイド部20に沿ってワーク一括搬送装置60が移動して、研磨装置10にこれらワーク2を供給する。また、研磨終了後には逆動作にてワーク2を排出するというものである。
【0025】
続いて各構成について説明する。まず、研磨装置10について図を参照しつつ説明する。研磨装置10は、ワーク2の表裏両面を研磨する装置であり、図4,図5で示すように、下定盤101、上定盤102、ベース部103、台座部104、サンギア105、センタードラム106、インターナルギア107、ワークキャリア108、支柱109、コラム110、メインシリンダー111、シャフト112、自在継手113、上定盤吊り板114、上定盤支持部115を備えている。
【0026】
続いて各構成について説明する。
下定盤101は、図4,図5(b)で示すように、環状円板であり、上面にワーク2を研磨するラップ面/ポリッシュ面を有する。なお、図示しないが、下定盤101の上面に図示しない研磨布を貼り付け、研磨布によりワークを研磨することもある。
【0027】
上定盤102は、図4,図5(a)で示すように、環状円板であり、下面にワーク2を研磨するラップ面/ポリッシュ面を有する。なお、図示しないが、上定盤102の下面に図示しない研磨布を貼り付け、研磨布によりワークを研磨することもある。
ここに下定盤101および上定盤102は、共通回転軸を回転中心として回転するように支持される。
【0028】
ベース部103は、床面に固定される堅牢な構造体であり、重量物を支持することができる。
台座部104は、ベース部103上に設けられている。台座部104の内部では下盤101を回転可能に支持している。この下定盤101は、図示しない下定盤回転駆動部により回転駆動される。
【0029】
サンギア105は、外周側に歯が形成されており、図5(b)で示すように、下定盤101の内周側(中心側)に配置されている。サンギア105には図示しないサンギア駆動軸が一体に設けられており、図示しないサンギア回転駆動部によりサンギア駆動軸に回転力が付与され、サンギア駆動軸とともにサンギア105が回転駆動される。
【0030】
センタードラム106は、図4で示すように円柱体であり、下定盤101および上定盤102の中央孔にセンタードラム106が貫通するようになされ、上定盤102の中央孔からはセンタードラム106が突出するように設けられている。後述するメインシリンダー111により上定盤102を下降させると上定盤102の中央の孔部にセンタードラム106が貫通し、連結機構により上定盤102とセンタードラム106とが連結する構造となっている。そして、センタードラム106は、図示しないドラム駆動軸と連結されており、図示しない上定盤回転駆動部により回転力が付与される。
【0031】
インターナルギア107は、図5(b)で示すように、内周側(中心側)に向けて歯が形成されており、下定盤101の外周側に配置されている。インターナルギア107は、図示しないインターナルギア支持部と連結されており、図示しないインターナルギア回転駆動部により回転力が付与される。
【0032】
そして、下定盤101、上定盤102、サンギア105、および、インターナルギア107という四軸はそれぞれが独立して回転する。
【0033】
ワークキャリア108は、図4,図5(b)で示すように下定盤101上に配置されている。ワークキャリア108は、歯車が外周に形成されており、サンギア105およびインターナルギア107に噛合するようになされている。ワークキャリア108においてワーク2を保持するワーク保持孔が形成される。ワークキャリア108はワークに応じて各種用意されており、1個のワークキャリア108に1個のワーク保持孔が形成されるものであったり、または、複数個のワーク保持孔が形成されるものであったりする。本形態では図5(b)でも明らかなように例示的に4個のワーク保持孔を備えるワークキャリア108を用いるものとして説明する。そして、このようなワークキャリア108は、複数個(本形態では例示的に5個)配置されるものとして説明する。本形態ではワークは20個配置されることとなる。なお、ハードディスク用の比較的小径のワークでは1個のワークキャリア108に20個程度のワーク保持孔が形成されるものもある。
【0034】
支柱109は、下定盤101の直径方向で両対向位置にてベース部103から立設されている。後述するが、図3にも示すように、移動するワーク一括搬送装置60と干渉しないようにするため、研磨装置用ガイド部20の外側に配置される。
コラム110は、二本の支柱109に渡されて配置される支持部材である。
【0035】
メインシリンダー111は、図4にも示すように、コラム110に固定されて上定盤102の上側に配置されており、シャフト112に対し上下方向の昇降力を付与する機能を有している。
シャフト112は、メインシリンダー111により昇降するように構成されており、先端で自在継手113を介して上定盤吊り板114と連結される。
【0036】
自在継手113は、シャフト112と上定盤吊り板114との間に介在して設けられており、シャフト112を支軸として上定盤吊り板114が回転自在となるように支持し、上定盤吊り板114を三次元方向に移動可能に支持する。
上定盤吊り板114は、堅牢な板体である。
【0037】
上定盤支持部115は、上定盤吊り板114と上定盤102との間に複数本設けられる。これら上定盤支持部115は、平面から視ると円上に等間隔で設けられる。上定盤支持部115は上定盤吊り板114および上定盤102に図示しないボルトで連結固定されている。上定盤吊り板114、上定盤支持部115、および、上定盤102は一体に移動することになる。
【0038】
これら下定盤101、上定盤102、サンギア105、インターナルギア107は、それぞれ図示しないが、上定盤回転駆動部、下定盤回転駆動部、サンギア回転駆動部、インターナルギア回転駆動部により回転が制御されており、例えばこれら各駆動部が接続される管理制御装置により回転速度を調節して最適なラッピング・ポリッシングを行う。研磨装置10はこのようなものである。
【0039】
続いて研磨装置用ガイド部20について説明する。研磨装置用ガイド部20は、図2,図3,図9からも明らかなように2枚の板体を研磨装置10のベース部103から立設させたものである。後述するが、この2枚の研磨装置用ガイド部20はワーク一括搬送装置60が移動する際に円滑に誘導する機能を有している。2枚の研磨装置用ガイド部20は、図3でも明らかなように下定盤101の外周から外側にあって、かつ二本の支柱109の内側に配置されている。
【0040】
続いて、ワーク給排装置30について説明する。ワーク給排装置30は、図2,図3で示すように、アンローディンク用ガイド部301、アンローディング用テーブル302、アンローディング用テーブル回転駆動部303、ローディング用ガイド部304、ローディング用テーブル305、ローディング用テーブル回転駆動部306、フレーム部307、駆動部308、昇降機構309、外側フレーム310(図3)を備えている。
【0041】
アンローディンク用ガイド部301は、2枚の板体からなるものであり、アンローディング用テーブル302を挟んで平行に対向した状態であって、フレーム部307の上側に固定されている。後述するが、この2枚のアンローディンク用ガイド部301はワーク一括搬送装置60が移動する際に誘導する機能を有している。2枚のアンローディンク用ガイド部301は、図3でも明らかなように二枚の研磨装置用ガイド部20と幅が一致するように配置されている。また、ワーク一括搬送装置60が滑らかに移動できるように高さも一致するように配置される。
【0042】
アンローディング用テーブル302は、図3でも明らかなように、複数枚のワークを所定位置に配置するための窪みである多数のワーク置き部302aを有するテーブルであり、フレーム部307の上側に固定されている。このワーク置き部302aにワーク2を配置すると、収容する研磨装置10のワークキャリア108におけるワーク保持予定位置と予め同じ位置になるようにワークが配置される。アンローディング用テーブル302は、研磨装置10上のワークキャリア108のワーク保持孔の配置と同一の配置にワークを整列する収納構造を持っている。
【0043】
アンローディング用テーブル回転駆動部303は、アンローディング用テーブル302に対しテーブル中心軸周りに任意の角度に回転駆動する機能を持つ。
【0044】
ローディング用ガイド部304は、2枚の板体からなるものであり、ローディング用テーブル305を挟んで平行に対向した状態であって、フレーム部307の下側に固定されている。後述するが、この2枚のローディング用ガイド部304はワーク一括搬送装置60が移動する際に誘導する機能を有している。2枚のローディング用ガイド部304は、図3でも明らかなように二枚の研磨装置用ガイド部20と幅が一致するように配置されている。また、ワーク一括搬送装置60が滑らかに移動できるように高さも一致するように配置される。
【0045】
ローディング用テーブル305は、アンローディング用テーブル302と同様に、複数枚のワークを所定位置に配置するための窪みである多数のワーク置き部を有するテーブルであり、フレーム部307の下側に固定されている。このワーク置き部にワーク2を配置すると、収容する研磨装置10のワークキャリア108におけるワーク保持予定位置と予め同じ位置になるようにワークが配置される。ローディング用テーブル305は、研磨装置10のワークキャリア108のワーク保持孔の配置と同一の配置にワークを整列する収納構造を持っている。
【0046】
ローディング用テーブル回転駆動部306は、ローディング用テーブル305に対しテーブル中心軸周りに任意の角度に回転駆動する機能を持つ。
【0047】
フレーム部307は、アンローディンク用ガイド部301、アンローディング用テーブル302、アンローディング用テーブル回転駆動部303、ローディング用ガイド部304、ローディング用テーブル305、ローディング用テーブル回転駆動部306を一体に保持する共通の構造体である。このようにワーク給排装置30では、ローディング用テーブル305とアンローディング用テーブル302を上下に重ねた配置としている。フレーム部307は、リニアガイド部などの図示しない昇降ガイド部により上下方向に昇降するように機械的に支持されている。
【0048】
昇降機構308は、フレーム部307を昇降させる機能を有する機構系である。
駆動部309は、例えばモータなどであり、昇降機構308に駆動力を与えてフレーム部307を昇降させる。この駆動部309には図示しない上記の管理制御装置が接続されており、この管理制御装置の制御によりフレーム部307の昇降駆動がなされる。
【0049】
外側フレーム310は、床面に固定される構造体であり、先に説明したリニアガイド部などの図示しない昇降ガイド部などが固定されており、フレーム部307は、この外側フレーム310に対して上下方向に昇降する構造となっている。
【0050】
続いて、ワーク移載装置40について説明する。
ワーク移載装置40は、詳しくは、図2,図3,図6で示すように、アンローディング用ロボット401、ローディング用ロボット402を備えている。
【0051】
アンローディング用ロボット401は、3次元ロボットであり、複数枚のワークを収納しているアンローディング用テーブル302からそれぞれワークを1枚ずつ取り出す。後述するがこのアンローディング作業をワークの研磨加工中に並行して行うことにより、タクトタイムを短縮することができる。アンローディング用ロボット401は、アンローディング用テーブル302にて水平に載置されているワークを取り出してワーク収容部50にて垂直に立てる機能を有している。アンローディング用ロボット401は上下方向としては図2で示すように上側に配置されており、また、前後方向としては図3で示すように奥側に配置されている。アンローディング用テーブル302から加工済ワーク用カセット501への搬入速度はワーク加工時間などから算出され、この搬入速度を確保できる適当な能力のあるアンローディング用ロボット401を選択する。
【0052】
ローディング用ロボット402は3次元ロボットであり、複数枚のワークを収納しているカセットからそれぞれワークを1枚ずつ取り出す。これらの作業をワークの研磨加工中に並行して行うことにより、タクトタイムを短縮することができる。ローディング用ロボット402は、ワーク収容部50にて垂直に立てられているワークを取り出してローディング用テーブル305にてワークを水平に載置する機能を有している。ローディング用ロボット402は上下方向としては図2で示すように下側に配置されており、また、前後方向としては図3で示すように手前側に配置されている。加工前ワーク用カセット503からローディング用テーブル305への搬入速度はワーク加工時間などから算出され、この搬入速度を確保できる適当な能力のあるローディング用ロボット402を選択する。
【0053】
続いて、ワーク収容部50について説明する。ワーク収容部50は、図2,図3,図6で示すように、加工済ワーク用カセット501、中間カセット502、加工前ワーク用カセット503を備えている。
加工済ワーク用カセット501は、アンローディング用ロボット401の付近であってワークアンローディングレベルにあるカセットであり、空の加工済ワーク用カセット501へ順次ワークが排出されていく。
【0054】
加工前ワーク用カセット503は、ローディング用ロボット402の付近であってワークローディングレベルにあるカセットであり、研磨前のワークが搭載された加工前ワーク用カセット503からワーク2がローディング用ロボット402により取り出され、ワーク給排装置30へ供給されていく。
【0055】
中間カセット502は、上下方向で加工済ワーク用カセット501と加工前ワーク用カセット503との中央位置に位置する。中間カセット502は、上のアンワークローディングレベルから降りてきた加工済ワーク用カセット501と、下のアンワークローディングレベルから上がってきた加工前ワーク用カセット503と、上のアンワークローディングレベルへ上げる空のカセット、がある。
【0056】
カセット供給時では加工前ワーク用カセット503が中間カセットとしてまず配置され、この中間位置からワークローディングレベル(中間位置から下側)へ移動させてカセット充填を行う。
【0057】
また、ワーク回収用の空のカセットが中間カセットとしてまず配置され、この中間位置からワークアンローディングレベル(中間位置から上側)へ移動させてカセット充填を行う。
【0058】
また、カセット排出時では加工済ワーク用カセット501がワークアンローディングレベルから中間位置(上側から中間位置)へ移動され、この中央位置から外側へ移動させてカセット排出を行う。
【0059】
これら研磨前ワークが搭載された加工前ワーク用カセット503の充填、空カセットの充填、研磨済みワークが搭載された加工済ワーク用カセット501の排出のような操作は機械的に行うことも可能であるが、研磨装置10による研磨中に短い時間で人手により行うこともできる。
【0060】
続いて、ワーク一括搬送装置60について説明する。ワーク一括搬送装置60は、さらに、図7,図8で示すように、ベース部601、水平方向搬送ローラ602、姿勢保持ローラ603、昇降ガイド部支柱604、ワーク着脱装置605、着脱装置昇降部606を備える。このようなワーク一括搬送装置60は、定常位置ではアンローディング用テーブル302の上側に位置する(図12参照)。
【0061】
続いて、ワーク一括搬送装置60の詳細について説明する。ワーク一括搬送装置60は、図9(a)で示すように、研磨装置用ガイド部20とアンローディング用ガイド部301との間を移動する。そして、フレーム部307を上昇させると、ワーク一括搬送装置60は、研磨装置用ガイド部20とローディング用ガイド部304との間を移動する。
【0062】
ワーク一括搬送装置60は、水平方向搬送ローラ602により特に図9(b),(c)で示すように、研磨装置用ガイド部20、アンローディング用ガイド部301、ローディング用ガイド部304の上辺で支持されており、水平移動する。水平方向搬送ローラ602は多数配置されており、安定的な移動を確保する。なお、一部の水平方向搬送ローラ602にはモータ等の横方向駆動装置により回転駆動されるようになされており、自走式のワーク一括搬送装置60としている。この回転駆動には先に説明した図示しない管理制御装置が接続されており、管理制御装置の制御により横方向の駆動がなされる。
【0063】
また、姿勢保持ローラ603により、特に図9(c)で示すように、研磨装置用ガイド部20、アンローディング用ガイド部301、ローディング用ガイド部304の側面で支持されており、ワーク一括搬送装置60は、これらガイド部に接触することなく円滑に移動する。姿勢保持ローラ603は多数配置されており、安定的な移動を確保する。
【0064】
また、ワーク一括搬送装置60では、昇降ガイド部支柱604に沿って着脱装置昇降部606が昇降するように機械的に構成されており、また、図示しない上下方向駆動装置により昇降駆動されるようになされている。この上下方向駆動装置には先に説明した図示しない管理制御装置が接続されており、管理制御装置の制御により着脱装置昇降部606の昇降駆動がなされる。
【0065】
上昇時では図10(a)で示すように着脱装置昇降部606が矢印B方向に上昇し、ワーク着脱装置605も上昇している。
下降時では図10(b)で示すように着脱装置昇降部606が矢印C方向に下降し、ワーク着脱装置605も下降している。
【0066】
このワーク着脱装置605は、詳しくは吸着パッドとしており、着脱装置昇降部606とともに昇降するように固定されている。この場合、図示しない真空ポンプに接続される電磁弁からエアチューブを全ての吸着パッドに接続し、電磁弁の開閉により吸引か不吸引かが選択される。電磁弁は先に説明した図示しない管理制御装置が接続されており、管理制御装置の制御により開閉駆動がなされる。
【0067】
また、ワーク2にセンターホールを有するような場合には、ワーク着脱装置605は吸着パッドに代えて、図11で示すように、把持アームを採用しても良い。
上昇時では図11(a)で示すように着脱装置昇降部606が矢印D方向に上昇し、ワーク着脱装置605も上昇している。
下降時では図11(b)で示すように着脱装置昇降部606が矢印E方向に下降し、ワーク着脱装置605も下降している。
【0068】
このワーク着脱装置605でも、エア駆動としている。この場合、図示しない真空ポンプに接続される電磁弁からエアチューブを全ての把持アームに接続し、電磁弁の開閉により吸引か不吸引かが選択される。例えば吸引時に把持アームが開いて把持するように構成する。電磁弁は先に説明した図示しない管理制御装置が接続されており、管理制御装置の制御により開閉駆動がなされる。
【0069】
なお、ワークキャリア108上のワークの配置位置、ローディング用テーブル305のワークの配置位置およびアンローディング用テーブル302のワークの配置位置、ワーク着脱装置605の配置位置はそれぞれ同じ箇所に位置しており、ローディング用テーブル305上のワーク配置位置の全てのワーク2はワーク着脱装置605によりワーク2の中央付近で保持される。同様にワーク着脱装置605により中央付近で把持されるワーク2は、アンローディング用テーブル302のワークの配置位置に設置される。
ワーク一括搬送装置60はこのようなものである。
【0070】
続いて、研磨装置システムによる給排について図12〜図16を参照しつつ説明する。なお、これら図では装置の移動を理解し易くするため、敢えて研磨装置用ガイド部20の中が見える透視図として図示している。
まず、前提としてワーク収納装置50に研磨前ワークが搭載された加工前ワーク用カセット503がローディングレベルに配置されており、空のカセットである加工済ワーク用カセット501がアンローディングレベルに配置されている。また、図12で示すように、研磨装置10では加工前であって上定盤102が下降状態であり、ワーク給排装置30では、フレーム部307が下降状態でローディング用テーブル305へワーク2がローディング可能となっている。アンローディング用テーブル301やローディング用テーブル305にはワーク2が配置されていない最初の状態であるものとする。
【0071】
まず研磨装置10へワークを搭載するローディングが行われる。
制御管理装置はローディング用ロボット402を制御し、ローディング用テーブル305に順次ワーク2のローディングを行う。図3で示すように近接する1のワークキャリア用の4個のワークの配置終了後に制御管理装置はローディング用テーブル回転駆動部306を制御してローディング用テーブル305を回転させ、空のワーク置き部に新しいワークキャリア用のワークを載置して行き、最終的に全てのワークがワーク置き部上にローディングされる。
【0072】
続いて、制御管理装置はメインシリンダー111にエアを入れるように電磁弁を制御して上定盤102を矢印a方向(図13)に上昇させる。上定盤102は研磨装置用ガイド部20の上端よりも高い位置に上昇してワーク一括搬送装置60の経路を確保する。
【0073】
続いて、制御管理装置は横方向駆動装置を制御してワーク一括搬送装置60を研磨装置10側の矢印b方向(図13)に横移動させた後に下定盤101と上定盤102との間の位置で停止させる。これによりワーク給排装置30のフレーム部307を上昇可能な状態とする。研磨装置10にも下定盤101を挟んで一対の平行なガイド部レールである研磨装置用ガイド部20が配置されている。制御管理装置により、アンローディンク用ガイド部301の上辺と研磨装置用ガイド部20の上辺との高さを同じレベルに揃えており、ワーク一括搬送装置60は、アンローディンク用ガイド部301から研磨装置用ガイド部20へ水平に移動する。
【0074】
続いて、制御管理装置はワーク給排装置30の駆動部309を制御してフレーム部307を矢印c方向(図14)に上昇させ、ローディング用テーブル305からワーク2を供給可能とする位置で停止させる。
【0075】
続いて、制御管理装置は、横方向駆動装置を制御してワーク一括搬送装置60をワーク給排装置30側の矢印d方向(図15)に横移動させて研磨装置用ガイド部20からローディング用ガイド部304へ移動させ、ローディング用テーブル305の上で停止させる。制御管理装置により、ローディンク用ガイド部304の上辺と研磨装置用ガイド部20の上辺との高さを同じレベルに揃えており、ワーク一括搬送装置60は、研磨装置用ガイド部20からローディンク用ガイド部304へ水平に移動する。
【0076】
続いて、制御管理装置は、上下方向駆動装置を制御してワーク一括搬送装置60の着脱装置昇降部606を下降させて(図10(b))ローディング用テーブル305のワーク2にワーク着脱装置605の吸着パッドが接する状態とし、その後に吸着して吸着パッドに全てのワーク2を一時に吸着させる。制御管理装置により、ローディング用テーブル305のワークとワーク着脱装置605の吸着パッドとは全て中央で接するようにローディング用テーブル305の位置決めがなされており、確実に吸着される。
【0077】
続いて、制御管理装置は上下方向駆動装置を制御してワーク一括搬送装置60の着脱装置昇降部606を上昇させてワーク着脱装置605に吸着されたワーク2とともにワーク一括搬送装置60が移動可能な状態(図15の状態)とする。
【0078】
続いて、制御管理装置は横方向駆動装置を制御してワーク一括搬送装置60を研磨装置10側の矢印e方向(図14)に横移動させた後に下定盤101と上定盤102との間の位置で停止させる。これにより研磨装置10のワークキャリア108へワーク2を供給可能な状態とする。
【0079】
続いて、制御管理装置はワーク給排装置30の駆動部309を制御してフレーム部307を矢印f向に下降させ、アンローディング用テーブル302へワーク2を排出可能とする位置で停止させる(図13の状態)。
【0080】
続いて、制御管理装置は上下方向駆動装置を制御してワーク一括搬送装置60の着脱装置昇降部606を下降させてワークキャリア108の各ワーク保持孔にワーク2が入った状態とし、その後に吸着を停止してワーク着脱装置605の吸着パッドから全てのワーク2を開放してワークキャリア108へワーク2を載置する。制御管理装置により、ローディング用テーブル305のワーク置き部とワークキャリア108のワーク保持孔とは全て位置が一致するようにワークキャリア108の位置決めがなされており、確実に設置される。
【0081】
続いて、制御管理装置は上下方向駆動装置を制御してワーク一括搬送装置60の着脱装置昇降部606を上昇させてワーク一括搬送装置60が移動可能な状態とする(図13の状態)。
【0082】
なお、時間短縮の観点からフレーム部下降動作と、ワーク配置動作と、は同時に行うようにしても良い。
【0083】
続いて、制御管理装置は横方向駆動装置を制御してワーク一括搬送装置60をワーク給排装置30側の矢印g方向(図16)に横移動させた後にアンローディング用テーブル302の上で停止させる。ローディングはこのようなものである。
【0084】
そして、研磨装置10による研磨が行われる。
制御管理装置はメインシリンダー111にエアを排出するように電磁弁を制御して上定盤102を下降させる。上定盤102はワーク2と密接し、研磨が可能な状態となる(図12の状態)。この状態で研磨装置10はワーク2の研磨を開始する。下定盤101、上定盤102、サンギア105、インターナルギア107が適宜回転し、ワークが研磨されていく。
また、ワーク給排装置30ではワーク収容部50からローディング用テーブル305へのワーク2の供給が可能な状態となっており、研磨中にローディング用ロボット402によりローディング用テーブル305へのワーク2の供給がなされる。研磨と、ワーク収容装置からのワークの供給と、が同時に行われるため、時間短縮に寄与する。研磨には時間を要するため、ワーク収容装置からのワークの供給は研磨終了までには終了する。そして、研磨が終了したものとする。
【0085】
続いて、研磨装置からのワークを排出するアンローディングを行う。
制御管理装置はメインシリンダー111にエアを入れるように電磁弁を制御して上定盤102を矢印h方向に上昇させる(図16)。上定盤102は研磨装置用ガイド部20よりも高い位置に上昇させてワーク一括搬送装置60の経路を確保する。
【0086】
続いて、制御管理装置は横方向駆動装置を制御してワーク一括搬送装置60を研磨装置10側の矢印b方向(図13)に横移動させた後に下定盤101と上定盤102との間の位置で停止させる。
【0087】
続いて、制御管理装置は上下方向駆動装置を制御してワーク一括搬送装置60の着脱装置昇降部606を下降させてワークキャリア108の各ワーク保持孔のワーク2にワーク着脱装置605の吸着パッドが接する状態とし、その後に吸着して吸着パッドに全てのワーク2を一時に吸着させる。制御管理装置により、ワーク着脱装置605の吸着パッドとワークキャリア108のワーク保持孔とは全て位置が一致するようにワークキャリア108の位置決めがなされており、確実に吸着される。
【0088】
続いて、制御管理装置は上下方向駆動装置を制御してワーク一括搬送装置60の着脱装置昇降部606を上昇させてワーク着脱装置605に吸着されたワーク2とともにワーク一括搬送装置60が移動可能な状態とする。
【0089】
続いて、制御管理装置は横方向駆動装置を制御してワーク一括搬送装置60をワーク給排装置30側の矢印g方向(図16)に横移動させた後にアンローディング用テーブル302の上で停止させる。
【0090】
続いて、制御管理装置は上下方向駆動装置を制御してワーク一括搬送装置60の着脱装置昇降部606を下降させてアンローディング用テーブル302のワーク置き部302aにワーク2が入った状態とし、その後に吸着を停止して吸着パッドから全てのワーク2を開放してアンローディング用テーブル302へワークを載置する(図10(b))。制御管理装置により、アンローディング用テーブル302のワーク置き部302aとワークキャリア108のワーク保持孔とは全て位置が一致するようにアンローディング用テーブル302の位置決めがなされており、確実に設置される。
【0091】
続いて、制御管理装置は上下方向駆動装置を制御してワーク一括搬送装置60の着脱装置昇降部606を上昇させてワーク一括搬送装置60が移動可能な状態とする(図16の状態)。アンローディングはこのように行われる。
【0092】
このような本発明の研磨システムによれば、以下のような利点を有する。
(1)上記のワーク供給装置およびワーク排出装置にはそれぞれワーク供給用カセットおよびワーク回収用カセットの供給および回収装置を配置したため、一連の工程を自動化することができる。このように研磨工程を自動化することにより、生産性の向上を図ると共に、作業者によるワークの汚染を防止し、さらにワークへ与える負荷を低減する。
【0093】
(2)定盤上にある全てのワークキャリア数で給排するシステムとしたため、配給時間を大幅に短縮することができ、タクトタイムを従来の装置に比べ少なくすることができる。
【0094】
(3)同じ高さでローディング用ロボットとアンローディング用ロボットを配置するとロボットの起動が重なるため、前後方向に広くする必要が生じるが、本発明ではテーブルユニットを上下方向へ重ね、上下で異なる各テーブル毎にハンドリング装置を設けたため、平面から視てハンドリング装置の軌道が重なるとしても、実際に干渉する事態が生じないようにしており、このため特に前後方向に幅を短縮し、装置の占有面積を著しく小さくすることができ、同一面積で多くの装置を設置することができるようになった。
【0095】
(4)1台のワーク一括搬送装置により、ローディング工程およびアンローディング工程を円滑に行うことにより、設備費用を低減することができた。
【0096】
(5)ワーク一括搬送装置を一対の対向するレール状のガイド部で支持して横移動する構造とし、全体として門型構造としたことにより、
(a)ガイド部の占有面積を小さくでき、高剛性とすることができ、
(b)ワーク一括搬送装置は門型の高剛性レールに支持されているので、従来装置のように片持ちアーム構造で自重によるたわみ変形などにより位置決め精度が低下するような懸念がほとんどなく、複数ワークを精度良く搬送(ローディング用テーブル上→定盤上→アンローディング用テーブルおよび逆方向)することができるようになった。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のような本発明に係る両面研磨装置および研磨方法は特にハードディスク用基板、シリコンウエハや透明ガラス基板というワークの研磨に適している。
【符号の説明】
【0098】
1:研磨システム
10:研磨装置
101:下定盤
102:上定盤
103:ベース部
104:台座部
105:サンギア
106:センタードラム
107:インターナルギア
108:ワークキャリア
109:支柱
110:コラム
111:メインシリンダー
112:シャフト
113:自在継手
114:上定盤吊り板
115:上定盤支持部
20:研磨装置用ガイド部
30:ワーク給排装置
301:アンローディンク用ガイド部
302:アンローディング用テーブル
302a:ワーク置き部
303:アンローディング用テーブル回転駆動部
304:ローディンク用ガイド部
305:ローディング用テーブル
306:ローディング用テーブル回転駆動部
307:フレーム部
308:駆動部
309:昇降機構
310:外側フレーム
40:ワーク移載装置
401:アンローディング用ロボット
402:ローディング用ロボット
50:ワーク収容部
501:加工済ワーク用カセット
502:中間カセット
503:加工前ワーク用カセット
60:ワーク一括搬送装置
601:ベース部
602:水平方向搬送ローラ
603:姿勢保持ローラ
604:昇降ガイド部支柱
605:ワーク着脱装置
606:着脱装置昇降部

2:ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークを保持するキャリアを円周状に複数個配置して、一括して研磨加工を行う研磨装置と、
前記研磨装置に隣接して、前記研磨装置上のすべての加工ワークと同一の配置で未加工ワークを配置するためのローディング用テーブルと、研磨加工後のすべてのワークを載置するためのアンローディング用テーブルと、を上下に配置して全体が昇降機能を有するワーク給排装置と、
前記研磨装置と前記ワーク給排装置間でワークを一括して移送するワーク一括搬送装置と、
前記ワーク一括搬送装置の移動用ガイド部材として、研磨装置の研磨定盤を挟んで対向する一対の研磨装置用ガイド部と、
前記ローディング用テーブルを挟んで対向する一対のローディング用ガイド部と、
前記アンローディング用テーブルを挟んで対向する一対のアンローディング用ガイド部と、
を備えたことを特徴とする研磨システム。
【請求項2】
前記ワーク一括搬送装置が未加工ワークを研磨装置へ載置するローディング時には、
ワーク給排装置がローディング用テーブルを昇降させて研磨装置用ガイド部とローディング用ガイド部とを隣接あるいは連結させ、
ワーク一括搬送装置がローディング用テーブル上の全ての未加工ワークを一括して保持して研磨装置のワークキャリア上へ搬送してすべてのキャリア穴へワークを載置し、
また、
前記ワーク一括搬送装置が加工済みワークを研磨装置から取り出すアンローディング時には、
ワーク給排装置がアンローディング用テーブルを昇降させて研磨装置用ガイド部とアンローディング用ガイド部とを隣接あるいは連結させ、
ワーク一括搬送装置が研磨装置のワークキャリア上の全ての加工済みワークを一括して保持してアンローディング用テーブルへ搬送するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の研磨システム。
【請求項3】
複数のワークを収容するワーク収容部と、
ワーク収容部とワーク給排装置との間でワークの給排を行うワーク移載装置と、
をさらに備え、
ワーク移載装置は、ワークの研磨中にワーク収容部からワーク給排装置のローディング用テーブル上へ順次複数のワークを供給し、並行して、ワーク給排装置のアンローディング用テーブル上からワーク収容部へ順次複数のワークを排出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の研磨システム。
【請求項4】
ワーク一括搬送装置は、1回分の全ての加工ワークを把持する複数の把持装置を定盤上のすべてのワークキャリア、ローディング用テーブルおよびアンローディング用テーブルの全てのワーク収納位置に対応した位置の真上に配置し、全てのワークを一括して給排するための昇降機構と、ローディング用ガイド部と研磨装置用ガイド部間およびアンローディング用ガイド部と研磨装置用ガイド部間をそれぞれ横行する機構を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の研磨システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2013−103321(P2013−103321A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250838(P2011−250838)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【特許番号】特許第4947675号(P4947675)
【特許公報発行日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【出願人】(000236366)浜井産業株式会社 (30)
【Fターム(参考)】