説明

研磨パッド、研磨装置、および半導体デバイスの製造方法

【課題】スラリーの保持性を向上させ、少ないスラリーの使用量でも高い研磨速度と良好なウェーハ平坦性を得ることができる研磨パッドを提供する。
【解決手段】独立気泡を有する高分子発泡体からなる研磨パッドであって、研磨面の気泡径400μm未満の小気泡の平均気泡径が20μm以上100μm以下であり、かつ気泡径が400μm以上1000μm以下の大気泡を研磨面に10個/100cm以上100個/100cm未満有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体ウェーハの平坦化や半導体基板上に形成される絶縁層の表面や金属配線の表面を平坦化する工程に利用できる研磨パッドおよび、それを用いた研磨装置および半導体デバイスの製造方法に関するものである
【背景技術】
【0002】
半導体メモリに代表される大規模集積回路(LSI)は、年々集積化が進んでおり、それに伴い大規模集積回路の製造技術も高密度化が進んでいる。さらに、この高密度化に伴い、半導体デバイス製造箇所の積層数も増加している。その積層数の増加により、従来は問題とならなかった積層により生じる半導体ウェーハ主面の凹凸が問題となっている。この凹凸を平坦化する方法として、化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)が使用されるようになってきている。
【0003】
一般にCMP装置は、被研磨物である半導体ウェーハを保持する研磨ヘッド、被研磨物の研磨処理をおこなうための研磨パッド、前記研磨パッドを保持する研磨定盤から構成されている。そして、半導体ウェーハの研磨処理は研磨剤と薬液からなる研磨スラリーを用いて、半導体ウェーハと研磨パッドを相対運動させることにより研磨を行い、半導体ウェーハ表面の平坦化を行うものである。
【0004】
現在CMPで使用されている代表的な研磨パッドとしては、研磨層である硬質発泡ポリウレタン、両面粘着テープ、クッション層であるポリウレタン含浸不織布、両面粘着テープをこの順に貼り合わせた二層構造の研磨パッドが挙げられる。
【0005】
一般的に使われている発泡体からなる研磨パッドの研磨面の平均気泡径は20μm〜40μm程度であり、研磨面全体にスラリーを供給、保持するためには不十分な大きさである。そのため研磨パッドの研磨面には研磨スラリーの供給性を良くするために、溝や穴などの加工がされている。例えば、幅2mm、深さ0.6mmの溝が15mm間隔で格子状に形成されているものや、直径1.7mmの穴が5.5mm間隔で千鳥格子状に穿たれているもの、その他、同心円状に加工された溝などが代表的にあげられる。
【0006】
しかしながら、このような溝や穴はウェーハと研磨パッドが接触する研磨作用箇所にスラリーを供給する一方で、スラリーを排出してしまうという問題もある。研磨作用箇所へのスラリーの供給や保持が不十分であると、研磨速度が低下したり、ウェーハの平坦性が悪化するという問題が生じる。そのため、安定した研磨特性を得るためには、大量の研磨スラリーを供給し続けなくてはならず、スラリーの費用がかかるばかりでなく、大量に発生するスラリー廃液の処理も大きな問題となってくる。
【0007】
スラリーの供給性や保持性を良くするために、幅の狭い溝を浅く狭い間隔で密に形成することも考えられるが、加工にかかる時間や費用の面で好ましくない。また、多量に溝や穴を形成すると、パッドの弾性特性が悪化し、ウェーハの平坦性を損ねるという問題もある。
【0008】
また、スラリーの供給性、保持性を良くするためにパッド表面に非常に大きな気泡を多数存在させる発明もなされている(例えば、特許文献1)。しかしながら、概発明の研磨パッドでは安定した研磨速度は実現できているものの、研磨パッドの弾性を損ねてしまうため、ウェーハの平坦性が悪いという問題があった。
【特許文献1】特開2001−244223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の問題を解決するためになされたもので、必要以上に研磨面に溝や穴を形成することなく、スラリーの保持性を向上させ、少ないスラリーの使用量でも高い研磨速度と良好なウェーハの平坦性を得ることができる研磨パッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
独立気泡を有する高分子発泡体からなる研磨パッドであって、研磨面の気泡径が400μm未満の小気泡の平均気泡径が20μm以上100μm以下であり、かつ気泡径が400μm以上1000μm以下の大気泡を研磨面に10個/100cm以上100個/100cm未満有することを特徴とする研磨パッド。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、少ないスラリー供給量でも高い研磨レートおよび良好なウェーハの平坦性を得ることが出来るようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明における独立気泡を有する高分子発泡体からなる研磨パッドは、研磨面の気泡径400μm未満の小気泡の平均気泡径が20μm以上100μm以下であり、かつ気泡径が400μm以上1000μm以下の大気泡を研磨面に10個/100cm以上100個/100cm未満有する。気泡径は研磨パッドの研磨面を走査型電子顕微鏡で撮影し、電子画像として出力した物を、画像処理によって気泡径を計測したものであり、平均気泡径はその平均値を算出した値である。
【0013】
本発明の研磨パッドは、研磨面の小気泡の平均気泡径が20μm以上100μm以下であることがスラリーの局所的な保持能力の点から必要である。平均気泡径が20μm未満であると、スラリーの局所的な保持能力が不足し、研磨速度の低下や研磨のむらが生じる。また、100μmを超えると研磨面最表層での局所的なスラリーの保持能力が低下し、研磨速度が低下するばかりでなく、パッドの弾性特性が悪化し、ウェーハの平坦性も悪化する。
【0014】
また、気泡径が400μm以上1000μm以下の大気泡を研磨面に10個/100cm以上100個/100cm以下有することがスラリーの供給性および研磨特性の点から必要である。30個/100cm以上80個/100cm以下が好ましい。大気泡が研磨面に10個/100cm未満では研磨面全体に充分にスラリーを供給することが出来ず研磨速度が低下する。また、100個/100cmより多いと研磨パッドの弾性特性が悪化し、ウェーハの平坦性が悪化する。気泡径が400μm未満では、スラリーの研磨面全体へのスラリー供給性が良くない。また、気泡径が1000μm以上では、パッドの弾性特性が悪化し、ウェーハの平坦性も悪化し、さらには、研磨パッドが使用により摩耗したときに、大気泡が研磨パッドを貫通してしまい、スラリーが貫通孔を通じて、研磨パッドを固定する両面テープを弱化させてしまい、定盤から研磨パッドが浮き上がってしまう問題がある。気泡径が400μm以上1000μm以下の大気泡の好ましい平均気泡径は、400μm以上800μm以下である。
【0015】
本発明の研磨パッドの研磨層は、独立発泡構造体で構成されているが、かかる構造体を形成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ネオプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムおよびこれらを主成分とした樹脂等が挙げられる。このような樹脂においても、独立気泡径が比較的容易にコントロールできる点でポリウレタンを主成分とする素材がより好ましい。
【0016】
本発明におけるポリウレタンとは、ポリイソシアネートの重付加反応または重合反応に基づき合成される高分子である。ポリイソシアネートの対称として用いられる化合物は、含活性水素化合物、すなわち、二つ以上のポリヒドロキシ基、あるいはアミノ基含有化合物である。ポリイソシアネートとして、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど挙げることができるがこれに限定されるものではない。ポリヒドロキシ基含有化合物としてはポリオールが代表的であり、ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、エポキシ樹脂変性ポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、シリコーンポリオール等が挙げられる。硬度、気泡径および発泡倍率によって、ポリイソシアネートとポリオール、および触媒、発泡剤、整泡剤の組み合わせや最適量を決めることが好ましい。
【0017】
独立発泡構造の形成方法としては、ポリウレタン製造時における樹脂中への各種発泡剤の配合による化学発泡法が一般的であるが、機械的な撹拌により樹脂を発泡させたのち硬化させる方法や、樹脂中へ中空のマイクロビーズを分散して硬化させ、マイクロビーズ部分を独立発泡構造とする方法も好ましく使用することができる。
【0018】
本発明の研磨パッドの研磨層は、ポリウレタンとビニル化合物から重合されている重合体が含有されていることが好ましい。
【0019】
本発明におけるビニル化合物としては特に限定されるものではないが、ポリウレタンへの含浸、重合が容易な点で、具体的にはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、アクリロニトリル、アクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは単独であっても2種以上を混合しても使用できる。
【0020】
上述したビニル化合物の中で、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートが、ポリウレタンへの独立気泡の形成が容易な点、モノマーの含浸性が良好な点、重合硬化が容易な点、重合硬化されたポリウレタンとビニル化合物から重合される重合体を含有している発泡構造体の硬度が高く平坦化特性が良好な点で特に好ましい。
【0021】
これらのビニル化合物の重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、イソプロピルパーオキシジカーボネート等のラジカル開始剤を使用することができる。また、酸化還元系の重合開始剤、例えばパーオキサイドとアミン類の組み合わせを使用することもできる。これらの重合開始剤は、単独のみならず、2種以上を混合しても使用できる。
【0022】
ビニル化合物のポリウレタン中への含浸方法としては、モノマーが入った容器中にポリウレタンを浸漬し、含浸させる方法が挙げられる。なお、その際、含浸速度を速める目的で、加熱、加圧、減圧、攪拌、振盪、超音波振動等の処理を施すことも好ましい。
【0023】
ビニル化合物のポリウレタン中への含浸量は、使用するモノマーおよびポリウレタンの種類や、製造される研磨パッドの特性により定められるべきものであり、一概にはいえないが、例えばビニル化合物を使用した場合においては、重合硬化した発泡構造体中のビニル化合物から得られる重合体とポリウレタンの含有比率が重量比で30/70〜90/10であることが好ましい。ビニル化合物から得られる重合体の含有比率が重量比で30に満たない場合は、研磨パッドの硬度が低くなるため好ましくない。また、含有比率が90を越える場合は、研磨層の有している弾力性が損なわれるため好ましくない。なお、重合硬化したポリウレタン中のビニル化合物から得られる重合体およびポリウレタンの含有率は熱分解ガスクロマトグラフィ/質量分析手法により測定することができる。本手法で使用できる装置としては、熱分解装置としてダブルショットパイロライザー“PY−2010D”(フロンティア・ラボ社製)を、ガスクロマトグラフ・質量分析装置として、“TRIO−1”(VG社製)を挙げることができる。
【0024】
なお、製造される研磨パッドの特性改良を目的として、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、安定剤、染料等の各種添加剤が添加されていても良い。
【0025】
本発明の研磨層のマイクロゴムA硬度は、高分子計器(株)製マイクロゴム硬度計MD−1で評価した値をさす。マイクロゴムA硬度計MD−1は、従来の硬度計では測定が困難であった薄物・小物の硬さ測定を可能にするもので、スプリング式ゴム硬度計(デュロメータ)A型の約1/5の縮小モデルとして、設計・製作されているため、スプリング式硬度計A型の硬度と一致した測定値が得られる。通常の研磨パッドは、研磨層または硬質層の厚みが5mmを切るので、スプリング式ゴム硬度計A型では評価できないので、該マイクロゴムMD−1で評価する。
【0026】
本発明の研磨層は、マイクロゴムA硬度で80度以上100度以下、好ましくは90度以上100度以下が必要である。マイクロゴムA硬度が80度に満たない場合は、半導体基板の局所的凹凸の平坦性が不良となるので好ましくない。
【0027】
本発明の研磨層は、密度が0.3〜1.1g/cmの範囲にあることが好ましい。密度が0.3g/cmに満たない場合、局所的な平坦性が不良となる。密度が1.1g/cmを越える場合は、スクラッチが発生しやすくなる。さらに好ましい密度は、0.6〜0.9g/cm、また、さらに好ましい密度は0.65〜0.85g/cmの範囲である。
【0028】
本発明の研磨パッドの研磨層表面には、スラリーの保持性、流動性の向上、研磨層表面からの研磨屑除去効率の向上、ハイドロプレーン現象を抑える為等の目的として、溝、孔等の加工を施すことができる。研磨層表面への溝、孔の形成方法は特に限定されるものではない。具体的には、研磨層表面をルーター等の装置を使用して切削加工することにより溝を形成する方法、研磨層表面に加熱された金型、熱線等を接触させ、接触部を溶解させることにより溝を形成する方法、溝の形成された金型等を使用し、初めから溝を形成した研磨層を成形する方法、ドリル、トムソン刃等で孔を形成する方法等が挙げられる。また、溝、孔の形状、径も特に限定されるものではない。具体的には、碁盤目状、ディンプル状、スパイラル状、同心円状等が挙げられ、通常の研磨パッドが取り得る形状にして使用される。
【0029】
本発明の研磨パッドは、研磨前または研磨中に研磨層表面を、ダイヤモンド砥粒を電着で取り付けたコンディショナーでドレッシングすることが通常おこなわれる。ドレッシングの仕方として、研磨前におこなうバッチドレッシングと研磨と同時におこなうインサイチュウドレッシングのどちらでおこなうことも可能である。
【0030】
本発明におけるクッション層の材質は特に限定されるものではない。具体的には現在一般的に使用されているポリウレタン含浸不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の各種プラスチックの発泡体、ネオプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等の各種ゴムおよびその発泡体等を使用することができる。また、クッション層が発泡体である場合、その気泡は連続気泡、独立気泡のどちらでも良い。気泡の形成方法としては特に限定されるものではない。具体的には、クッション層材質中に発泡剤を混合したのち加熱発泡させる方法、クッション層材質中に熱膨張性の微粒子を混合したのち加熱し微粒子を発泡させる方法、クッション層材質中に中空微粒子を混合したのち硬化する方法、クッション層材質中に気泡を機械的に混合した後硬化する方法、クッション層材質を良溶媒中に溶解した溶液を貧溶媒中に浸漬し、湿式凝固する方法等が挙げられる。
【0031】
クッション層の好ましい厚みは、0.1〜10mmである。0.1mmより小さい場合は、ユニフォーミティが悪化する傾向がある。また10mmより大きい場合は、局所的な凹凸の平坦性が損なわれる傾向がある。0.2〜5mm、さらには0.5〜2mmであることが好ましい。
【0032】
本発明における両面粘着テープは特に限定されるものではない。両面粘着テープの基材として、具体的には紙、不織布、布、ガラスクロス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド等の樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリウレタン、アクリル等の発泡体、アルミ、銅等の金属箔を挙げることができる。また、両面粘着テープの粘着剤として、具体的にはゴム系、アクリル系、シリコーン系の各種粘着剤を挙げることができる。また、基材を使用せず、粘着剤のみを均一なフィルム状にしたものについても、両面粘着テープに含まれる。また、両面粘着テープの粘着面の粘着力は、表裏面で同じであっても、異なっていても良い。
【0033】
次に、本発明の研磨装置について説明する。
【0034】
本発明の研磨装置は、上記述べたような研磨パッドと研磨パッドと被研磨材との間にスラリーを供給する手段、該研磨パッドと基板とを当接し相対移動させて研磨を行う手段を少なくとも具備するものである。研磨パッド以外の手段は従来公知の手段を組み合わせて構成することができる。かかる装置を用い、研磨パッドと基板との間にスラリーを介在させた状態で、該研磨パッドと該基板との間に荷重を加え、かつ該基板と該研磨パッドとを相対移動させることにより被研磨材を研磨することが可能である。
【0035】
本発明の研磨パッドを用いて、スラリーとしてシリカ系スラリー、酸化アルミニウム系スラリー、酸化セリウム系スラリー等を用いて半導体ウェーハ上での絶縁膜の凹凸や金属配線の凹凸を局所的に平坦化することができたり、グローバル段差を小さくしたり、ディッシングを抑えたりできる。スラリーの具体例として、キャボット社製のCMP用CAB−O−SPERESE SC−1、CMP用CAB−O−SPERSE SC−112、CMP用SEMI−SPERSE AM100、CMP用SEMI−SPERSE AM100C、CMP用SEMI−SPERSE 12、CMP用SEMI−SPERSE 25、CMP用SEMI−SPERSE W2000、CMP用SEMI−SPERSE W−A400等を挙げることができるが、これらに限られるわけではない。
【0036】
本発明の研磨パッドの研磨対象は、例えば半導体ウェーハの上に形成された絶縁層または金属配線の表面であるが、絶縁層としては、金属配線の層間絶縁膜や金属配線の下層絶縁膜や素子分離に使用されるシャロートレンチアイソレーションを挙げることができ、金属配線としては、アルミ、タングステン、銅等であり、構造的にダマシン、デュアルダマシン、プラグなどがある。銅を金属配線とした場合には、窒化珪素等のバリアメタルも研磨対象となる。絶縁膜は、現在酸化シリコンが主流であるが、遅延時間の問題で低誘電率絶縁膜が用いられる様になる。本発明の研磨パッドでは、スクラッチがはいりにくい状態で研磨しながら研磨状態を良好に測定することが可能である。半導体ウェーハ以外に磁気ヘッド、ハードディスク、サファイヤ等の研磨に用いることもできる。
【0037】
本発明の研磨パッドは、ガラス、半導体、誘電/金属複合体及び集積回路等に平坦面を形成するのに好適に使用される。
【実施例】
【0038】
以下、実施例によって、さらに本発明の詳細を説明する。しかし、本実施例により本発明が限定して解釈される訳ではない。なお、測定は以下のとおりに行った。
【0039】
マイクロゴムA硬度:高分子計器(株)製のマイクロゴム硬度計“MD−1”で測定する。マイクロゴム硬度計“MD−1”の構成は下記のとおりである。
1.センサ部
(1)荷重方式:片持ばり形板バネ
(2)ばね荷重:0ポイント/2.24gf。100ポイント/33.85gf
(3)ばね荷重誤差:±0.32gf
(4)押針寸法:直径:0.16mm円柱形。 高さ0.5mm
(5)変位検出方式:歪ゲージ式
(6)加圧脚寸法:外径4mm 内径1.5mm
2.センサ駆動部
(1)駆動方式:ステッピングモータによる上下駆動。エアダンパによる降下速度制御
(2)上下動ストローク:12mm
(3)降下速度:10〜30mm/sec
(4)高さ調整範囲:0〜67mm(試料テーブルとセンサ加圧面の距離)
3.試料台
(1)試料台寸法:直径 80mm
(2)微動機構:XYテーブルおよびマイクロメータヘッドによる微動。
【0040】
ストローク:X軸、Y軸とも15mm。
(3)レベル調整器:レベル調整用本体脚および丸型水準器。
【0041】
密度:JIS K 7222記載の方法により測定した。
【0042】
平均気泡径:走査型電子顕微鏡“SEM2400”(日立製作所(株)製 )を使用し、研磨パッドの研磨面を倍率200倍で観察した写真を画像処理装置で解析することにより、写真中に存在するすべての気泡径を計測し、その平均値を平均気泡径とした。
【0043】
研磨評価:
1.ウェーハ
酸化膜付き4インチシリコンウェーハ(酸化膜厚:1μm)を使用した。
2.研磨方法
試験すべき研磨層の下に両面接着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、それをクッション層である不織布湿式ポリウレタンに貼り合わせ、さらにその下に両面接着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、二層の研磨パッドを作製した。次に研磨パッドを研磨機“LM−15E”(ラップマスターSFT(株)製)の定盤上に貼り付けた。その後ダイヤモンドドレッサー“CMP−M”(旭ダイヤモンド工業(株)製)(直径142mm)を用い、押し付け圧力0.04MPa、研磨定盤回転数25rpm、ドレッサー回転数25rpmで研磨定盤と同方向に回転させ、純水を10ml/分で研磨パッド上に供給しながら5分間、研磨パッドのコンディショニングを行った。純水を100ml/分で研磨パッド上に供給しながら研磨パッド上を2分間洗浄した後に、表面の酸化膜の厚みを、あらかじめ“ラムダエース”VM−2000(大日本スクリーン製造(株)製)を使用して決められた198点につき測定したウェーハを研磨ヘッドに取り付け、超純水で2倍に希釈した研磨スラリー“SS−25”(キャボット社製)を100〜300ml/min研磨パッド上に供給しながら、研磨圧力0.04MPa、研磨定盤回転数45rpm、研磨ヘッド回転数45rpmで研磨定盤と同方向に回転させ、所定時間研磨を行った。ウェーハ表面を乾燥させないようにし、直ちに純水をかけながらポリビニルアルコールスポンジでウェーハ表面を洗浄し、乾燥圧縮空気を吹き付けて乾燥した。次に研磨後の酸化膜の厚みを“ラムダエース”VM−2000(大日本スクリーン製造(株)製)を使用して決められた198点につき測定して、下記(1)式により各々の点での研磨速度を算出し、下記(2)式によりユニフォーミティを算出した。判断基準として、研磨速度は3000Å/min以上、ユニフォーミティは10%以下を合格とした。
【0044】
研磨速度=(研磨前の酸化膜の厚み−研磨後の酸化膜の厚み)/研磨時間 ……(1)。
【0045】
ユニフォーミティ(%)=(最大研磨速度−最小研磨速度)/(最大研磨速度+最小研磨速度)×100 ……(2)。
実施例1
液温を40℃に保った、ポリエーテルポリオール:”サンニックス FA−909”(三洋化成工業(株)製)100重量部、鎖伸長剤:モノエチレングリコール8重量部、アミン触媒:”Dabco 33LV”(エアープロダクツジャパン(株)製)1.95重量部、アミン触媒:”Toyocat ET”(東ソー(株)製)0.14重量部、シリコーン整泡剤:”TEGOSTAB B8462”(Th.Goldschmidt AG社製)1重量部、発泡剤:水0.55重量部を混合してなるA液と、液温を40℃に保ったイソシアネート:”サンフォーム NC−703”96.2重量部からなるB液を、RIM成型機により、吐出圧16MPaで衝突混合した後、40℃に保った金型内に吐出量760g/secで吐出し、10分間放置することで、厚み10.0mmの発泡ポリウレタンブロック(マイクロゴムA硬度:47度、密度:0.73g/cm、小気泡の平均気泡径:35μm、大気泡の平均気泡径350μm)を作製した。その後、該発泡ポリウレタンブロックをスライサーで厚み2mmにスライスした。
【0046】
次に該発泡ポリウレタンシートを、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加したメチルメタクリレートに45分間浸漬した。次にメチルメタクリレートが含浸した該発泡ポリウレタンシートを、塩化ビニル製ガスケットを介して2枚のガラス板間に挟み込んで、70℃で10時間、120℃で3時間加熱することにより重合硬化させた。ガラス板間から離型した後、50℃で真空乾燥を行った。このようにして得られた硬質発泡シートの両面を厚み1.25mmまで研削加工することにより研磨層を作製した。得られた研磨層のマイクロゴムA硬度は92度、密度は0.76g/cm、研磨層中のポリメチルメタクリレートの含有率は55重量%、気泡径400μm未満の小気泡の平均気泡径は42μm、気泡径が400μm以上1000μm以下の大気泡の平均気泡径は450μm、数は56個/100cmであった。
【0047】
該研磨層を直径380mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.5mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施した。次に該研磨層に両面粘着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、それをクッション層であるアクリロニトリルブタジエンゴム(厚み1mm、マイクロゴムA硬度50度)の上に貼り合わせ、さらにクッション層の下に両面粘着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、二層の研磨パッドを作製し、該二層研磨パッドを研磨機の定盤上に貼り付け、供給するスラリーの量を変化させて研磨評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0048】
実施例2
液温を40℃に保った、ポリエーテルポリオール:”サンニックス FA−909”(三洋化成工業(株)製)100重量部、鎖伸長剤:モノエチレングリコール8重量部、アミン触媒:”Dabco 33LV”(エアープロダクツジャパン(株)製)1.95重量部、アミン触媒:”Toyocat ET”(東ソー(株)製)0.14重量部、シリコーン整泡剤:”TEGOSTAB B8462”(Th.Goldschmidt AG社製)1重量部、発泡剤:水0.58重量部を混合してなるA液と、液温を40℃に保ったイソシアネート:”サンフォーム NC−703”96.2重量部からなるB液を、RIM成型機により、吐出圧16MPaで衝突混合した後、40℃に保った金型内に吐出量780g/secで吐出し、10分間放置することで、厚み10.0mmの発泡ポリウレタンブロック(マイクロゴムA硬度:47度、密度:0.73g/cm、小気泡の平均気泡径:31μm、大気泡の平均気泡径460μm)を作製した。その後、該発泡ポリウレタンブロックをスライサーで厚み2mmにスライスした。
【0049】
次に該発泡ポリウレタンシートを、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加したメチルメタクリレートに45分間浸漬した。次にメチルメタクリレートが含浸した該発泡ポリウレタンシートを、塩化ビニル製ガスケットを介して2枚のガラス板間に挟み込んで、70℃で10時間、120℃で3時間加熱することにより重合硬化させた。ガラス板間から離型した後、50℃で真空乾燥を行った。このようにして得られた硬質発泡シートの両面を厚み1.25mmまで研削加工することにより研磨層を作製した。得られた研磨層のマイクロゴムA硬度は92度、密度は0.76g/cm、研磨層中のポリメチルメタクリレートの含有率は55重量%、気泡径400μm未満の小気泡の平均気泡径は37μm、気泡径が400μm以上1000μm以下の大気泡の平均気泡径は550μm、数は88個/100cmであった。
【0050】
該研磨層を直径380mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.5mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施した。次に該研磨層に両面粘着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、それをクッション層であるアクリロニトリルブタジエンゴム(厚み1mm、マイクロゴムA硬度50度)の上に貼り合わせ、さらにクッション層の下に両面粘着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、二層の研磨パッドを作製し、該二層研磨パッドを研磨機の定盤上に貼り付け、供給するスラリーの量を変化させて研磨評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例3
液温を40℃に保った、ポリエーテルポリオール:”サンニックス FA−909”(三洋化成工業(株)製)100重量部、鎖伸長剤:モノエチレングリコール8重量部、アミン触媒:”Dabco 33LV”(エアープロダクツジャパン(株)製)1.95重量部、アミン触媒:”Toyocat ET”(東ソー(株)製)0.14重量部、シリコーン整泡剤:”TEGOSTAB B8462”(Th.Goldschmidt AG社製)1重量部、発泡剤:水0.55重量部を混合してなるA液と、液温を40℃に保ったイソシアネート:”サンフォーム NC−703”96.2重量部からなるB液を、RIM成型機により、吐出圧16MPaで衝突混合した後、40℃に保った金型内に吐出量730g/secで吐出し、10分間放置することで、厚み10.0mmの発泡ポリウレタンブロック(マイクロゴムA硬度:47度、密度:0.71g/cm、小気泡の平均気泡径:30μm、大気泡の平均気泡径600μm)を作製した。その後、該発泡ポリウレタンブロックをスライサーで厚み2mmにスライスした。
【0051】
次に該発泡ポリウレタンシートを、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加したメチルメタクリレートに45分間浸漬した。次にメチルメタクリレートが含浸した該発泡ポリウレタンシートを、塩化ビニル製ガスケットを介して2枚のガラス板間に挟み込んで、70℃で10時間、120℃で3時間加熱することにより重合硬化させた。ガラス板間から離型した後、50℃で真空乾燥を行った。このようにして得られた硬質発泡シートの両面を厚み1.25mmまで研削加工することにより研磨層を作製した。得られた研磨層のマイクロゴムA硬度は92度、密度は0.74g/cm、研磨層中のポリメチルメタクリレートの含有率は55重量%、気泡径400μm未満の小気泡の平均気泡径は36μm、気泡径が400μm以上1000μm以下大気泡の平均気泡径は720μm、数は44個/100cmであった。
【0052】
該研磨層を直径380mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.5mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施した。次に該研磨層に両面粘着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、それをクッション層であるアクリロニトリルブタジエンゴム(厚み1mm、マイクロゴムA硬度50度)の上に貼り合わせ、さらにクッション層の下に両面粘着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、二層の研磨パッドを作製し、該二層研磨パッドを研磨機の定盤上に貼り付け、供給するスラリーの量を変化させて研磨評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例4
ポリエーテル系ウレタンポリマ“アジプレン”L−325(ユニローヤル社製)78重量部と、4、4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)20重量部と、中空高分子微小球体“エクスパンセル”551DE(ケマノーベル社製)1.6重量部、中空高分子微小球体“マイクロスフェア”F−80(松本油脂(株)製)0.2重量部をRIM成型機で混合して金型に吐出して高分子成形体を作製した。この高分子成形体をスライサーで厚み1.25mmにスライスして、硬質発泡ポリウレタンのシートを作製し研磨層とした。得られた研磨層のマイクロゴムA硬度は98度、密度は0.80、気泡径400μm未満の小気泡の平均気泡径は33μm、気泡径が400μm以上1000μm以下の大気泡の平均気泡径は430μm、数は68個/100cmであった。
【0053】
該研磨層を直径380mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.5mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施した。次に該研磨層に両面粘着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、それをクッション層である不織布湿式ポリウレタン(厚み1mm、マイクロゴムA硬度53度)の上に貼り合わせ、さらにクッション層の下に両面粘着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、二層の研磨パッドを作製し、該二層研磨パッドを研磨機の定盤上に貼り付け、供給するスラリーの量を変化させて研磨評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例1
液温を40℃に保った、ポリエーテルポリオール:”サンニックス FA−909”(三洋化成工業(株)製)100重量部、鎖伸長剤:モノエチレングリコール8重量部、アミン触媒:”Dabco 33LV”(エアープロダクツジャパン(株)製)1.95重量部、アミン触媒:”Toyocat ET”(東ソー(株)製)0.14重量部、シリコーン整泡剤:”TEGOSTAB B8462”(Th.Goldschmidt AG社製)1重量部、発泡剤:水0.55重量部を混合してなるA液と、液温を40℃に保ったイソシアネート:”サンフォーム NC−703”96.2重量部からなるB液を、RIM成型機により、吐出圧16MPaで衝突混合した後、40℃に保った金型内に吐出量800g/secで吐出し、10分間放置することで、厚み10.0mmの発泡ポリウレタンブロック(マイクロゴムA硬度:47度、密度:0.73g/cm、小気泡の平均気泡径:37μm、気泡径300μm以上の大気泡なし)を作製した。その後、該発泡ポリウレタンブロックをスライサーで厚み2mmにスライスした。
【0054】
次に該発泡ポリウレタンシートを、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加したメチルメタクリレートに45分間浸漬した。次にメチルメタクリレートが含浸した該発泡ポリウレタンシートを、塩化ビニル製ガスケットを介して2枚のガラス板間に挟み込んで、70℃で10時間、120℃で3時間加熱することにより重合硬化させた。ガラス板間から離型した後、50℃で真空乾燥を行った。このようにして得られた硬質発泡シートの両面を厚み1.25mmまで研削加工することにより研磨層を作製した。得られた研磨層のマイクロゴムA硬度は92度、密度は0.76g/cm、研磨層中のポリメチルメタクリレートの含有率は55重量%、気泡径400μm未満の小気泡の平均気泡径は44μm、気泡径が400μm以上1000μm以下の大気泡の数は0個/100cmであった。
【0055】
該研磨層を直径380mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.5mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施した。次に該研磨層に両面粘着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、それをクッション層であるアクリロニトリルブタジエンゴム(厚み1mm、マイクロゴムA硬度50度)の上に貼り合わせ、さらにクッション層の下に両面粘着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、二層の研磨パッドを作製し、該二層研磨パッドを研磨機の定盤上に貼り付け、供給するスラリーの量を変化させて研磨評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例2
液温を40℃に保った、ポリエーテルポリオール:”サンニックス FA−909”(三洋化成工業(株)製)100重量部、鎖伸長剤:モノエチレングリコール8重量部、アミン触媒:”Dabco 33LV”(エアープロダクツジャパン(株)製)1.95重量部、アミン触媒:”Toyocat ET”(東ソー(株)製)0.14重量部、シリコーン整泡剤:”TEGOSTAB B8462”(Th.Goldschmidt AG社製)1重量部、発泡剤:水0.56重量部を混合してなるA液と、液温を40℃に保ったイソシアネート:”サンフォーム NC−703”96.2重量部からなるB液を、RIM成型機により、吐出圧16MPaで衝突混合した後、40℃に保った金型内に吐出量780g/secで吐出し、10分間放置することで、厚み10.0mmの発泡ポリウレタンブロック(マイクロゴムA硬度:46度、密度:0.71g/cm、小気泡の平均気泡径:35μm、大気泡の平均気泡径380μm)を作製した。その後、該発泡ポリウレタンブロックをスライサーで厚み2mmにスライスした。
【0056】
次に該発泡ポリウレタンシートを、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加したメチルメタクリレートに45分間浸漬した。次にメチルメタクリレートが含浸した該発泡ポリウレタンシートを、塩化ビニル製ガスケットを介して2枚のガラス板間に挟み込んで、70℃で10時間、120℃で3時間加熱することにより重合硬化させた。ガラス板間から離型した後、50℃で真空乾燥を行った。このようにして得られた硬質発泡シートの両面を厚み1.25mmまで研削加工することにより研磨層を作製した。得られた研磨層のマイクロゴムA硬度は91度、密度は0.75g/cm、研磨層中のポリメチルメタクリレートの含有率は55重量%、気泡径400μm未満の小気泡の平均気泡径は42μm、気泡径が400μm以上1000μm以下の大気泡の平均気泡径は450μm、数は151個/100cmであった。
【0057】
該研磨層を直径380mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.5mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施した。次に該研磨層に両面粘着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、それをクッション層であるアクリロニトリルブタジエンゴム(厚み1mm、マイクロゴムA硬度50度)の上に貼り合わせ、さらにクッション層の下に両面粘着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、二層の研磨パッドを作製し、該二層研磨パッドを研磨機の定盤上に貼り付け、供給するスラリーの量を変化させて研磨評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例3
ポリエーテル系ウレタンポリマ“アジプレン”L−325(ユニローヤル社製)78重量部と、4、4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)20重量部と、中空高分子微小球体“エクスパンセル”551DE(ケマノーベル社製)1.8重量部をRIM成型機で混合して金型に吐出して高分子成形体を作製した。この高分子成形体をスライサーで厚み1.25mmにスライスして、硬質発泡ポリウレタンのシートを作製し研磨層とした。得られた研磨層のマイクロゴムA硬度は98度、密度は0.81、気泡径400μm未満の小気泡の平均気泡径は33μmであった。気泡径が400μm以上1000μm以下の大気泡の数は0個/100cmであった。該研磨層を直径380mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.5mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施した。次に該研磨層に両面粘着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、それをクッション層である不織布湿式ポリウレタン(厚み1mm、マイクロゴムA硬度53度)の上に貼り合わせ、さらにクッション層の下に両面粘着テープ“442JS”(住友スリーエム(株)製)を貼り付け、二層の研磨パッドを作製し、該二層研磨パッドを研磨機の定盤上に貼り付け、供給するスラリーの量を変化させて研磨評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
表1に示す結果から明らかなように、従来技術ではスラリー供給量が200ml/min未満では研磨レートおよび研磨の平坦性が不合格であったのに対し、本発明によれば、少ないスラリー供給量でも高い研磨レートおよび良好なウェーハの平坦性を得ることが出来るようになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立気泡を有する高分子発泡体からなる研磨パッドであって、研磨面の気泡径400μm未満の小気泡の平均気泡径が20μm以上100μm以下であり、気泡径が400μm以上1000μm以下の大気泡を研磨面に10個/100cm以上100個/100cm未満有することを特徴とする研磨パッド。
【請求項2】
高分子発泡体がポリウレタンを含有することを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
高分子発泡体がポリウレタン、およびビニル化合物から重合される重合体を含有することを特徴とする請求項1および2に記載の研磨パッド。
【請求項4】
高分子発泡体のマイクロゴムA硬度が80度以上100度以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研磨パッド。
【請求項5】
半導体基板の研磨用であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の研磨パッド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の研磨パッド、該研磨パッドと基板とを当接し、相対移動させて研磨を行う手段、および、該研磨パッドと被研磨材との間にスラリーを供給する手段とを少なくとも具備する研磨装置。
【請求項7】
請求項6に記載の研磨装置を用いて半導体基板の表面を研磨するプロセスを含む半導体デバイスの製造方法。

【公開番号】特開2006−210657(P2006−210657A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20929(P2005−20929)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】