説明

研磨パッド

【課題】ガラス、半導体、誘電/金属複合体及び集積回路等に平坦面を形成するのに使用される研磨用パッドにおいて、金属配線でのディッシングが起こりにくく、かつダスト発生を抑制できる優れた研磨パッドを提供する。
【解決手段】ポリウレタンと、ビニル化合物から重合される重合体が一体化して含有されている発泡構造体からなる研磨パッドで、ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率が9重量%以上58重量%以下、かつ、発泡構造体の密度が0.45g/cm以上0.70g/cm以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体、誘電/金属複合体及び集積回路等において平坦面を形成するのに使用される研磨パッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリに代表される大規模集積回路(LSI)は、年々集積化が進んでおり、それに伴い大規模集積回路の製造技術も高密度化が進んでいる。さらに、この高密度化に伴い、半導体デバイス製造箇所の積層数も増加している。その積層数の増加により、従来は問題とならなかった積層にすることによって生ずる半導体ウェハ主面の凹凸が問題となっている。その結果、例えば積層することによって生じる凹凸に起因する露光時の焦点深度不足を補う目的で、あるいはスルーホール部の平坦化による配線密度を向上させる目的で、化学機械研磨技術を用いた半導体ウェハの平坦化が検討されている(非特許文献1参照)ことが知られている。
【0003】
一般に化学機械研磨装置は、被処理物である半導体ウェハを保持する研磨ヘッド、被処理物の研磨処理をおこなうための研磨パッド、前記研磨パッドを保持する研磨定盤から構成されている。そして、半導体ウェハの研磨処理は研磨剤と薬液からなるスラリーを用いて、半導体ウェハと研磨パッドを相対運動させることにより、半導体ウェハ表面の層の突出した部分が除去されてウェハ表面の層を滑らかにするものである。半導体ウェハと研磨パッドの相対速度及び荷重にほぼ比例している。そのため、半導体ウェハの各部分を均一に研磨加工するためには、半導体ウェハにかかる荷重を均一にする必要がある。
【0004】
半導体ウェハの主面に形成された絶縁層等を研磨加工する場合、現在はショアA硬度で90度以上の発泡ポリウレタンシート(特許文献1、2参照)が使用されている。しかしながら、高硬度発泡ポリウレタンパッドは、例えばタングステンなどにおいてはダマシンによる金属配線の幅が広いところではディッシング(金属配線の中央部が縁部より高さが低くなる)が生じるという問題点やダストが発生しやすいとう問題があった。
【0005】
また、銅Low−k材料の研磨においてはウエハ表面の凹凸の密度が異なる部分では層間絶縁膜からの銅の剥離が発生するといった問題やダマシンによる金属配線の幅が広いところでのディッシング問題を解決できるパッド(特許文献3、4参照)が知られているが、タングステン材料ディッシング対策としては、発泡構造体の密度に起因した適切な研磨シートの変形量と、ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率に起因した研磨シートの適切なスラリー親和性の最適化と言う点で不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平8−500622号公報
【特許文献2】国際公開第00/12262号パンフレット
【特許文献3】特開2006−03567号公報
【特許文献4】特開2007−181913号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日経マイクロデバイス、1994年、7月号、50〜57頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、ガラス、半導体、誘電/金属複合体及び集積回路等に平坦面を形成するのに使用される研磨用パッドにおいて、金属配線でのディッシングが起こりにくく、かつダスト発生を抑制できる優れた研磨パッドを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
本発明の研磨パッドは、ポリウレタンと、ビニル化合物から重合される重合体が一体化して含有されている発泡構造体からなる研磨層を有する研磨パッドで、前記ビニル化合物から重合される重合体の前記発泡構造体に対する含有比率が9重量%以上58重量%以下、かつ、発泡構造体の密度が0.45g/cm以上0.70g/cm以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ガラス、半導体、誘電/金属複合体及び集積回路等に平坦面を形成するのに使用される研磨用パッドにおいて、金属配線でのディッシングが起こりにくく、かつダスト発生を抑制できる優れた研磨パッドを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の研磨層は、ポリウレタンと、ビニル化合物から重合される重合体が一体化して含有されている発泡構造体からなる。
【0012】
本発明でいうポリウレタンとは、ポリイソシアネートの重付加反応または重合反応に基づき合成される高分子である。ポリイソシアネートの対称として用いられる化合物は、含活性水素化合物、すなわち、二つ以上のポリヒドロキシ基、あるいはアミノ基含有化合物である。
【0013】
ポリイソシアネートとして、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど挙げることができるがこれに限定されるものではない。
【0014】
ポリヒドロキシ基含有化合物としてはポリオールが代表的であり、ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、エポキシ樹脂変性ポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、シリコーンポリオール等が挙げられる。硬度,気泡径および発泡倍率によって、ポリイソシアネートとポリオール、および触媒、発泡剤、整泡剤の組み合わせや最適量を決めることが好ましい。
【0015】
これらのポリウレタンは、発泡構造体であることが必要である。そしてCMP用研磨パッドに対する研磨要求特性点から独立気泡を有していることが好ましい。かかるポリウレタン中への独立気泡の形成方法としては、ポリウレタン製造時における樹脂中への各種発泡剤の配合による化学発泡法が一般的であるが、機械的な撹拌により樹脂を発泡させたのち硬化させる方法も好ましく使用することができる。
【0016】
ポリウレタンと、ビニル化合物から重合される重合体が一体化して含有されているとは、ポリウレタンにビニル化合物を含浸,重合させることにより、ビニル化合物から重合される重合体がポリウレタンに含有され、かつポリウレタンに複合されていることである。
【0017】
すなわち、本発明は、まず発泡ポリウレタンをつくって、この発泡ポリウレタンを、ビニル化合物、つまりモノマ液中に浸漬して、該モノマを発泡ポリウレタン基質に浸透させた後、該モノマを重合させることにより、ポリウレタン基質内にビニル化合物から重合される重合体を含有・複合させるものである。
【0018】
本発明におけるビニル化合物は、ポリウレタンへの含浸,重合が容易な点で以下の化合物が好ましい。具体的にはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、などのアクリル系化合物、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、などの芳香族化合物、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、などのイミド系化合物、アクリロニトリル、アクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらのビニル化合物は単独であっても2種以上を混合しても使用できる。
【0019】
上述したビニル化合物の中で、メチルメタクリレート,エチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,イソブチルメタクリレートが、ポリウレタンへの独立気泡の形成が容易な点、ポリウレタンへの含浸性が良好な点、重合硬化が容易な点、重合硬化されたポリウレタンとビニル化合物から重合される重合体を含有している発泡構造体の硬度が高く平坦化特性が良好な点で好ましい。
【0020】
本発明におけるビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率とは、上記ビニル化合物から重合される重合体の合計重量を、発泡構造体とビニル化合物から重合される重合体の合計重量で除した値のことである。表1に、発泡構造体の重量を1として、ビニル化合物から重合される重合体の重量が、発泡構造体の重量に対して0.1〜2になる場合それぞれの、ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率を示す。
【0021】
【表1】

【0022】
本発明におけるビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率は、9重量%以上58重量%以下であり、好ましくは17重量%以上であり、より好ましくは41重量%以上である。また、好ましくは50%以下であり、より好ましくは47重量%以下である。含有比率が58重量%より大きい場合、ディッシングが起こる場合があるので好ましくない。また9重量%未満では、シート研削での厚みムラが大きくなり、パッドを製作することができない。
【0023】
なお、重合硬化したポリウレタン中のビニル化合物から得られる重合体およびポリウレタンの含有率は熱分解ガスクロマトグラフィ/質量分析手法により測定することができる。本手法で使用できる装置としては、熱分解装置としてダブルショットパイロライザー"PY−2010D"(フロンティア・ラボ社製)を、ガスクロマトグラフ・質量分析装置として、"TRIO−1"(VG社製)を挙げることができる。
【0024】
また、ビニル化合物から得られる重合体がポリウレタンに一体化して含有されているかについてはDSC分析で確認することができる。ビニル化合物の重合体単独では観察されるガラス転移温度ピークが、一体化して含有されている場合には消失する。
【0025】
製造される研磨パッドの特性改良を目的として、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、安定剤、染料等の各種添加剤が添加されていても良い。
【0026】
本発明の研磨層は、密度が0.45g/cm以上0.70g/cm以下の範囲であり、より好ましい密度は、0.45g/cm以上0.65g/cm以下の範囲である。密度が0.45g/cmに満たない場合、局所的な平坦性が不良となり、グローバル段差が大きくなる場合があり好ましくない。密度が0.70g/cmを越える場合は、ディッシングが発生しやすくなる場合があり好ましくない。なお、本発明の研磨層の密度は、ハーバード型ピクノメーター(JIS R3503基準)を用い、23℃の水を媒体に測定した値である。
【0027】
本発明の研磨層は、JIS K6253に基づいて測定されるデュロメーターD硬度で、好ましくは5以上55以下、より好ましくは35以上48以下である。かかるデュロメーターD硬度が5未満の材料では、研磨レートが極端に落ちる場合があるので好ましくない。またデュロメーターD硬度が55より大きい材料では、ディッシングの発生が多くなる場合があるため好ましくない。ここでいうデュロメーターD硬度とは、温度23℃、相対湿度50%において日本工業規格(JIS)のK6253のDタイプ(高分子計器(株)製)とゴム硬度計用定圧荷重器CL−150(高分子計器(株)製)を使用し、測定荷重5000gで3.0mm厚みのサンプルを測定した値である。
【0028】
本発明の研磨パッドの研磨層表面には、ハイドロプレーン現象を抑える為に、溝切り形状、ディンプル形状、スパイラル形状、同心円形状等、通常の研磨パッドがとり得る形状にして使用される。
【0029】
本発明の研磨パッドを用いて、スラリーとしてシリカ系スラリー、酸化アルミニウム系スラリー、酸化セリウム系スラリー等を用いて半導体ウェハ上での絶縁膜の凹凸や金属配線の凹凸を局所的に平坦化することができたり、グローバル段差を小さくしたり、ディッシングを抑えたりできる。スラリーの具体例として、キャボット社製のCMP用CAB−O−SPERESE(登録商標) SC−1、CMP用CAB−O−SPERSE(登録商標) SC−112、CMP用SEMI−SPERSE(登録商標) AM100、CMP用SEMI−SPERSE(登録商標) AM100C、CMP用SEMI−SPERSE(登録商標) 12、CMP用SEMI−SPERSE(登録商標) 25、CMP用SEMI−SPERSE(登録商標) W2000、CMP用SEMI−SPERSE(登録商標) W−A400、“i−Cue“(登録商標)5001等を挙げることができるが、これらに限られるわけではない。
【0030】
本発明の研磨パッドの対象は、例えば半導体ウェハの上に形成された絶縁層または金属配線の表面であるが、絶縁層としては、金属配線の層間絶縁膜や金属配線の下層絶縁膜や素子分離に使用されるシャロートレンチアイソレーションを挙げることができ、金属配線としては、アルミ、タングステン、銅等であり、構造的にダマシン、デュアルダマシン、プラグなどがある。絶縁膜は、現在酸化シリコンが主流であるが、遅延時間の問題で低誘電率絶縁膜が用いられる様になる。半導体ウェハ以外に磁気ヘッド、ハードディスク、サファイヤ等の研磨に用いることもできる。
【0031】
本発明のパッドは、特にタングステン材料の研磨において好適な効果を示す。このタングステン材料への好適な効果発現のメカニズムは、はっきりとはわからないが、発泡構造体の密度に起因した適切な研磨シートの変形量と、ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率に起因した研磨シートの適切なスラリー親和性とのバランスによると考えられる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例によって、さらに本発明の詳細を説明する。しかし、本実施例により本発明が限定して解釈される訳ではない。なお、測定は以下のとおりに行った。
【0033】
タングステン評価用テストウェハ:200mmシリコーンウェハ上にPTEOS膜が3000オングストローム形成されている上に深さ3000オングストロームで幅100μmのラインと100μmスペースを形成して、その上に250オングストロームのチタンを形成し、さらにその上に250オングストロームのチタンナイトライドを形成し、タングステンをCVDで5000オングストロームを形成して、テストウェハを作成する。
【0034】
ディッシング状態の観察:
研磨直後のウェハを、ウェハ表面を乾かさないようにし、すぐさま純水をかけながら、ポリビニルアルコールスポンジでウェハ表面を洗浄し、乾燥圧縮空気を吹き付けて乾燥した。乾燥後、KLAテンコール社の触針式段差計SP−1で、ディッシングを測定した。
【0035】
ダスト・スクラッチの測定:
研磨直後のウェハを、ウェハ表面を乾かさないようにし、すぐさま純水をかけながら、ポリビニルアルコールスポンジでウェハ表面を洗浄し、自然状態に放置して乾燥を行った。乾燥後、トップコン社製ゴミ検査装置WM−3で0.5μm以上のダストを検査し、その後マイクロスコープでスクラッチを検査した。
【0036】
研磨条件:
タングステン評価用テストウェハを、該研磨機の研磨ヘッドに取り付けて45rpmで回転させ、該積層研磨パッドを研磨機のプラテンに固着させ45rpmで研磨ヘッドの回転方向と同じ方向に回転させ、キャボット社製タングステン用スラリー(“W2000”)を180cc/分(研磨パッド1cm面積あたり0.089cc/分)で供給しながら研磨圧力0.04MPaで研磨を実施した。
【0037】
気泡径測定:
日立製作所(株)製SEM2400走査型電子顕微鏡を使用し、倍率200倍で観察した写真を画像解析装置で解析することにより、写真中に存在するすべての気泡径を計測し、その平均値を平均気泡径とした。
【0038】
密度:
ハーバード型ピクノメーター(JIS R3503基準)を用い、23℃の水を媒体に測定した値である。
〔発泡ポリウレタンシートの成型〕
ポリプロピレングリコール100重量部とジフェニルメタンジイソシアネート80重量部と水1.0重量部とトリエチルアミン2.0重量部とシリコーン整泡剤2.1重量部とオクチル酸スズ0.09重量部をRIM成型機で混合して、金型に吐出して加圧成型を行なった。この際、金型への注入時間をコントロールすることで、以下6種の密度の異なる発泡ポリウレタンシートを得ることが出来た。
【0039】
ポリウレタンシートA 密度:0.65g/cm、平均気泡径:50μm
ポリウレタンシートB 密度:0.55g/cm、平均気泡径:63μm
ポリウレタンシートC 密度:0.45g/cm、平均気泡径:80μm
ポリウレタンシートD 密度:0.90g/cm、平均気泡径:25μm
ポリウレタンシートE 密度:0.25g/cm、平均気泡径:110μm
ポリウレタンシートF 密度:0.70g/cm、平均気泡径:48μm
実施例1
ポリウレタンシートA(100重量部)にアゾビスイソブチルニトリル0.2重量部含有するメチルメタクリレート(100重量部)を含浸させた。次いで70℃で6時間加熱後、100℃で3時間加熱した硬質発泡シートを作成した。
【0040】
得られた硬質発泡シートを両面研削して、厚みが1.25mmの研磨層を作製した。ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率は50重量%であった。(D硬度は54、気泡径は68μm、密度は0.65g/cm
該研磨層を直径508mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.5mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施し研磨パッドを作成し、研磨評価を行った。
【0041】
層間絶縁膜が露出した時のタングステン配線(100μm幅)中央部のデッィシング深さは0.03μmであった。また、ダスト数は5個、スクラッチ数は0個と少なかった。
【0042】
実施例2
ポリウレタンシートA(100重量部)にアゾビスイソブチルニトリル0.2重量部含有するメチルメタクリレート(20重量部)を含浸させた。次いで70℃で6時間加熱後、100℃で3時間加熱した硬質発泡シートを作成した。
【0043】
得られた硬質発泡シートを両面研削して、厚みが2.00mmの研磨層を作製した。ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率は17重量%であった。(D硬度は25、気泡径は66μm、密度は0.64g/cm
該研磨層を直径508mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.9mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施し研磨パッドを作成し、研磨評価を行った。
【0044】
層間絶縁膜が露出した時のタングステン配線(100μm幅)中央部のデッィシング深さは0.03μmであった。また、 ダスト数は7個、スクラッチ数は0個と少なかった。
【0045】
実施例3
ポリウレタンシートB(100重量部)にアゾビスイソブチルニトリル0.2重量部含有するメチルメタクリレート(90重量部)を含浸させた。次いで70℃で6時間加熱後、100℃で3時間加熱した硬質発泡シートを作成した。
【0046】
得られた硬質発泡シートを両面研削して、厚みが2.0mmの研磨層を作製した。ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率は47重量%であった。(D硬度は44、気泡径は72μm、密度は0.56g/cm
該研磨層を直径508mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.9mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施し研磨パッドを作成し、研磨評価を行った。
【0047】
層間絶縁膜が露出した時のタングステン配線(100μm幅)中央部のデッィシング深さは0.02μmであった。また、ダスト数は3個、スクラッチ数は0個と少なかった。
【0048】
実施例4
ポリウレタンシートC(100重量部)にアゾビスイソブチルニトリル0.3重量部含有するメチルメタクリレート(90重量部)とエチレングリコールジメタクリレート(10重量部)を含浸させた。次いで70℃で6時間加熱後、100℃で3時間加熱した硬質発泡シートを作成した。
【0049】
得られた硬質発泡シートを両面研削して、厚みが2.00mmの研磨層を作製した。ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率は50重量%であった。(D硬度は40、気泡径は87μm、密度は0.46g/cm
該研磨層を直径508mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.9mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施し研磨パッドを作成し、研磨評価を行った。
【0050】
層間絶縁膜が露出した時のタングステン配線(100μm幅)中央部のデッィシング深さは0.04μmであった。また、ダスト数は7個、スクラッチ数は0個と少なかった。
【0051】
実施例5
ポリウレタンシートC(100重量部)にアゾビスイソブチルニトリル0.3重量部含有するメチルメタクリレート(15重量部)とエチレングリコールジメタクリレート(5重量部)を含浸させた。次いで70℃で6時間加熱後、100℃で3時間加熱した硬質発泡シートを作成した。
【0052】
得られた硬質発泡シートを両面研削して、厚みが2.00mmの研磨層を作製した。ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率は17重量%であった。(D硬度は15、気泡径は84μm、密度は0.46g/cm
該研磨層を直径508mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.9mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施し研磨パッドを作成し、研磨評価を行った。
【0053】
層間絶縁膜が露出した時のタングステン配線(100μm幅)中央部のデッィシング深さは0.04μmであった。また、ダスト数は6個、スクラッチ数は0個と少なかった。
【0054】
実施例6
ポリウレタンシートB(100重量部)にアゾビスイソブチルニトリル0.2重量部含有するメチルメタクリレート(70重量部)を含浸させた。次いで70℃で6時間加熱後、100℃で3時間加熱した硬質発泡シートを作成した。
【0055】
得られた硬質発泡シートを両面研削して、厚みが2.0mmの研磨層を作製した。ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率は41重量%であった。(D硬度は38、気泡径は70μm、密度は0.55g/cm
該研磨層を直径508mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.9mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施し研磨パッドを作成し、研磨評価を行った。
【0056】
層間絶縁膜が露出した時のタングステン配線(100μm幅)中央部のデッィシング深さは0.02μmであった。また、ダスト数は4個、スクラッチ数は0個と少なかった。
【0057】
実施例7
ポリウレタンシートA(100重量部)にアゾビスイソブチルニトリル0.2重量部含有するメチルメタクリレート(90重量部)を含浸させた。次いで70℃で6時間加熱後、100℃で3時間加熱した硬質発泡シートを作成した。
【0058】
得られた硬質発泡シートを両面研削して、厚みが2.00mmの研磨層を作製した。ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率は47重量%であった。(D硬度は51、気泡径は67μm、密度は0.65g/cm
該研磨層を直径508mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.9mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施し研磨パッドを作成し、研磨評価を行った。
【0059】
層間絶縁膜が露出した時のタングステン配線(100μm幅)中央部のデッィシング深さは0.02μmであった。また、ダスト数は2個、スクラッチ数は0個と少なかった。
【0060】
実施例8
ポリウレタンシートA(100重量部)にアゾビスイソブチルニトリル0.2重量部含有するメチルメタクリレート(70重量部)を含浸させた。次いで70℃で6時間加熱後、100℃で3時間加熱した硬質発泡シートを作成した。
【0061】
得られた硬質発泡シートを両面研削して、厚みが2.00mmの研磨層を作製した。ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率は41重量%であった。(D硬度は15、気泡径は67μm、密度は0.65g/cm
該研磨層を直径508mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.9mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施し研磨パッドを作成し、研磨評価を行った。
【0062】
層間絶縁膜が露出した時のタングステン配線(100μm幅)中央部のデッィシング深さは0.02μmであった。また、ダスト数は3個、スクラッチ数は0個と少なかった。
【0063】
実施例9
ポリウレタンシートF(100重量部)にアゾビスイソブチルニトリル0.2重量部含有するメチルメタクリレート(100重量部)を含浸させた。次いで70℃で6時間加熱後、100℃で3時間加熱した硬質発泡シートを作成した。
【0064】
得られた硬質発泡シートを両面研削して、厚みが1.25mmの研磨層を作製した。ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率は50重量%であった。(D硬度は56、気泡径は63μm、密度は0.70g/cm
該研磨層を直径508mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.5mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施し研磨パッドを作成し、研磨評価を行った。
【0065】
層間絶縁膜が露出した時のタングステン配線(100μm幅)中央部のデッィシング深さは0.03μmであった。また、ダスト数は6個、スクラッチ数は0個と少なかった。
【0066】
実施例10
ポリウレタンシートF(100重量部)にアゾビスイソブチルニトリル0.2重量部含有するメチルメタクリレート(20重量部)を含浸させた。次いで70℃で6時間加熱後、100℃で3時間加熱した硬質発泡シートを作成した。
【0067】
得られた硬質発泡シートを両面研削して、厚みが2.00mmの研磨層を作製した。ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率は17重量%であった。(D硬度は27、気泡径は60μm、密度は0.70g/cm
該研磨層を直径508mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.9mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施し研磨パッドを作成し、研磨評価を行った。
【0068】
層間絶縁膜が露出した時のタングステン配線(100μm幅)中央部のデッィシング深さは0.03μmであった。また、ダスト数は8個、スクラッチ数は0個と少なかった。
【0069】
比較例1
ポリウレタンシートD(100重量部)にアゾビスイソブチルニトリル0.2重量部含有するメチルメタクリレート(180重量部)を含浸させた。次いで70℃で6時間加熱後、100℃で3時間加熱した硬質発泡シートを作成した。
【0070】
得られた硬質発泡シートを両面研削して、厚みが2.00mmの研磨層を作製した。ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率は64重量%であった。(D硬度は73、気泡径は34μm、密度は0.92g/cm
該研磨層を直径508mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.9mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施し研磨パッドを作成し、研磨評価を行った。
【0071】
層間絶縁膜が露出した時のタングステン配線(100μm幅)中央部のデッィシング深さは0.27μmであった。また、ダスト数は94個とスクラッチは18個と多かった。
【0072】
比較例2
ポリウレタンシートE(100重量部)にアゾビスイソブチルニトリル0.4重量部含有するメチルメタクリレート(150重量部)とエチレングリコールジメタクリレート(50重量部)を含浸させた。次いで70℃で6時間加熱後、100℃で3時間加熱した硬質発泡シートを作成した。
【0073】
得られた硬質発泡シートを両面研削して、厚みが1.25mmの研磨層を作製した。ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率は67重量%であった。(D硬度は58、気泡径は128μm、密度は0.27g/cm
該研磨層を直径508mmの円に切り取り、その表面に幅2mm、深さ0.4mm、ピッチ幅15mmの格子状の溝加工を施し研磨パッドを作成し、研磨評価を行った。
【0074】
層間絶縁膜が露出した時のタングステン配線(100μm幅)中央部のデッィシング深さは0.29μmであった。また、ダスト数は102個とスクラッチは17個と多かった。
【0075】
比較例3
ポリウレタンシートD(ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率は0重量%)の両面研削を行ったところ、研削後の厚みムラが大きく、パッドを作成することができなかった。
【0076】
比較例4
ポリウレタンシートE(ビニル化合物から重合される重合体の発泡構造体に対する含有比率は0重量%)の両面研削を行ったところ、研削後の厚みムラが大きく、パッドを作成することができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンと、ビニル化合物から重合される重合体が一体化して含有されている発泡構造体からなる研磨層を有する研磨パッドで、前記ビニル化合物から重合される重合体の前記発泡構造体に対する含有比率が9重量%以上58重量%以下、かつ、前記発泡構造体の密度が0.45g/cm以上0.70g/cm以下であることを特徴とする研磨パッド。
【請求項2】
ビニル化合物がアクリル系化合物である請求1記載の研磨パッド。
【請求項3】
研磨パッドがタングステン配線研磨用である請求1または2記載の研磨パッド。

【公開番号】特開2010−253669(P2010−253669A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33226(P2010−33226)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】