研磨方法
【課題】半導体基板上に形成されるごく薄い導電性膜から比較的厚い導電性膜まで正確に膜厚等の検出を行いながら該導電性膜を研磨する研磨方法を提供する。
【解決手段】基準ウエハのインピーダンスを渦電流センサ10で計測することで、渦電流センサ10のインピーダンスと、センサコイルに供給すべき交流電流の周波数と、膜厚との関係を較正し、渦電流センサ10は、センサコイルに一定周波数の交流電流を供給して研磨対象物上の導電性膜に渦電流を形成し、センサコイルの両端子から見た導電性膜を含めたインピーダンスを計測し、研磨対象物上の導電性膜を含めたインピーダンスの変化から、導電性膜の膜厚変化を検出する。
【解決手段】基準ウエハのインピーダンスを渦電流センサ10で計測することで、渦電流センサ10のインピーダンスと、センサコイルに供給すべき交流電流の周波数と、膜厚との関係を較正し、渦電流センサ10は、センサコイルに一定周波数の交流電流を供給して研磨対象物上の導電性膜に渦電流を形成し、センサコイルの両端子から見た導電性膜を含めたインピーダンスを計測し、研磨対象物上の導電性膜を含めたインピーダンスの変化から、導電性膜の膜厚変化を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体基板の研磨方法に係り、特に半導体ウエハ等の基板の表面に形成した導電性膜の膜厚等を検出するのに好適な渦電流センサを用いた研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に配線回路を形成するために、銅めっきを行い、形成された銅めっき層のうち、不要部分を化学機械研磨(CMP)により除去し、銅配線層を形成するプロセスが知られている。このような場合に、化学機械研磨(CMP)において、銅めっき層の研磨の進行状況を正確に管理する必要がある。このような膜厚管理として、光学的センサを用いた方法や、導電性膜に生じる渦電流の大きさから導電性膜の膜厚を計測する渦電流センサを用いた方法等が知られている。
【0003】
光学的センサを用いた方法においては、光の波長を基準として膜厚を計測するため、正確な膜厚の検出が可能である。ところが、例えば上述の化学機械研磨において、研磨中の半導体基板上の導電性膜の膜厚を検出するためには、研磨途中の基板を直接観測可能な位置に開口等を設ける必要がある。しかしながら、化学機械研磨装置にそのような開口を設けることは、装置の研磨特性上好ましいことではない。
【0004】
一方で、渦電流センサは、例えば化学機械研磨装置における研磨工具の内部に装着することも可能であり、研磨中の半導体基板の研磨の状況を非接触で研磨工具に開口等を設けることなく観測することが可能である。しかしながら、一般に渦電流センサは半導体基板の表面に設けられた導電性膜に渦電流を形成し、この渦電流により間接的に膜厚の計測を行うものであるので、正確な膜厚の検出が困難であるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、半導体基板上に形成されるごく薄い導電性膜から比較的厚い導電性膜まで正確に膜厚等の検出を行いながら該導電性膜を研磨する研磨方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明は、研磨対象物をトップリングにより保持し、該研磨対象物を研磨面に押圧して研磨する研磨方法であって、基準ウエハのインピーダンスを渦電流センサで計測することで、前記渦電流センサのインピーダンスと、センサコイルに供給すべき交流電流の周波数と、膜厚との関係を較正し、前記渦電流センサは、前記センサコイルに一定周波数の交流電流を供給して前記研磨対象物上の導電性膜に渦電流を形成し、前記センサコイルの両端子から見た前記導電性膜を含めたインピーダンスを計測し、前記研磨対象物上の前記導電性膜を含めたインピーダンスの変化から、前記導電性膜の膜厚変化を検出することを特徴とする。
【0007】
渦電流センサは、導電性膜の近傍に配置されるセンサコイルと、該センサコイルに交流信号を供給して前記導電性膜に渦電流を形成する信号源と、前記導電性膜に形成された渦電流を前記センサコイルにより検出する検出回路とを備えることが好ましい。
【0008】
発振周波数は固定したままで、例えば極薄領域の抵抗成分の変化を見ることで、その領域の膜厚の変化を直線的に良好な感度で検出することが可能である。また、導電性膜の比較的厚い膜厚領域において、リアクタンス成分の変化を見ることで、その領域の膜厚の変化を直線的に良好な感度で検出することが可能である。また、抵抗成分とリアクタンス成分を含めたインピーダンスの変化を見ることで、極薄の膜厚から比較的厚い膜厚まで、広いダイナミックレンジで膜厚の変化を直線的に良好な感度で検出することが可能である。
例えば、高比抵抗の薄い膜厚の導電性膜における渦電流損の検出が可能となり、バリア層を構成するタンタル(Ta)等のオングストロームオーダの薄膜の研磨状態を検出することができる。それ故、半導体ウエハ等を研磨するポリッシング装置において、渦電流センサを用いて、格段に精度の高い研磨終点の検出が行える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、導電性膜の検出を極薄膜から比較的厚い膜迄高精度で行える。これにより、例えば半導体ウエハ上に形成されるバリア層等の極薄の高抵抗層の研磨時の膜厚管理も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図1乃至図13を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1(a)は、本発明の実施形態の渦電流センサを示す。検出対象の導電性膜1の近傍にセンサコイル2を配置し、そのコイルに交流信号源3を接続した状態を示す。ここで、検出対象の導電性膜1は例えば半導体ウエハW上に形成された厚さが0〜1μm程度の銅めっき膜、或いはその下地に形成された厚さがオングストロームオーダのバリア層である。バリア層は、Ta,TaN,Tinからなる高抵抗層であり、この膜厚検出は上述した化学機械研磨における終点を正確に検出する上で重要である。センサコイル2は、1〜数ターンのコイルであり、検出対象の導電性膜に対して例えば10〜20mm程度の近傍に配置される。交流信号源3は、8〜32MHz程度の固定周波数の発振器であり、例えば水晶発振器が用いられる。
【0012】
また、センサコイル2の端部には、導電性膜1に形成された渦電流を前記センサコイルにより検出する同期検波回路5が接続されている。この同期検波回路5は、導電性膜1を含めてセンサコイル2側を見たインピーダンスを計測することが可能である。
【0013】
図1(b)は、交流信号源とセンサコイルと導電性膜との間の等価回路を示す。交流信号源3により供給される交流電圧により、センサコイル2に電流I1が流れる。導電性膜1の近傍に配置されたコイル2に電流が流れることで、この磁束が導電性膜1と鎖交することでその間に相互インダクタンスMが形成され、導電性膜1中に渦電流I2が流れる。ここでR1はセンサコイルを含む一次側の等価抵抗であり、L1は同様にセンサコイルを含む一次側の自己インダクタンスである。導電性膜1側では、R2は渦電流損に相当する等価抵抗であり、L2はその自己インダクタンスである。交流信号源3の端子a,bからセンサコイル側を見たインピーダンスZは、導電性膜1中に形成される渦電流損の大きさによって変化する。
【0014】
図2は、交流信号源側から見たインピーダンスZの変化を示す。横軸は抵抗成分(R)であり、縦軸はリアクタンス成分(X)である。点Aは膜厚が例えば100μm以上と極めて大きい場合である。この場合には、交流信号源3の端子a,bからセンサコイル2側を見たインピーダンスZは、センサコイルに近接して配置された導電性膜1の渦電流が極めて大きく、センサコイル2と等価的に並列に接続された抵抗成分(R2)とリアクタンス成分jω(M+L2)が極めて小さくなる。従って、抵抗成分(R)およびリアクタンス成分(X)が共に小さくなる。
【0015】
研磨が進行し導電性膜が薄くなると、センサコイル入力端(端子a,b)から見たインピーダンスZは、抵抗成分(R2)が増大し、リアクタンス成分jω(M+L2)も増大する。センサコイル入力端から見たインピーダンスZの抵抗成分(R)が最大となる点をBで示す。この時、センサコイル入力端から見た渦電流損が最大となる。さらに研磨が進行し、導電性膜がより薄くなると、渦電流が減少し、センサコイルから見た抵抗成分は、渦電流損が徐々に減少することから、抵抗(R)成分は徐々に小さくなる。そして、導電性膜が全て研磨により除去されると、そこには渦電流損が存在せず、等価的に並列接続された抵抗成分(R2)は無限大となり、センサコイル自体の抵抗分(R1)のみが残ることになる。この時のリアクタンス成分(X)は、センサコイル自体のリアクタンス成分(L1)である。この状態を、点Cで示す。
【0016】
実際に、例えばシリコン酸化膜中に設けられた溝に銅配線を、いわゆるダマシンプロセスで形成する場合には、シリコン酸化膜上に窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)等のバリア層が設けられ、その上に導電率の高い銅またはタングステン等の金属配線が設けられる。従って、これらの導電性膜の研磨にあたっては、バリア層の研磨の終点検出が重要となる。ところが、バリア層は上述したように窒化タンタル(TaN)または窒化チタン(TiN)等の導電率が比較的低く、かつ膜厚がオングストロームオーダの極めて薄い膜が採用されている。
【0017】
本発明の実施形態の渦電流センサにおいては、このようなバリア層の研磨終点近傍の膜厚検出が容易に可能となる。即ち、図2に示す、点Dは例えば膜厚が1000Å程度の位置を示し、これより膜厚がゼロとなる、点Cに向けて、膜厚の変化に対応して抵抗成分の変化が極めて大きく、かつ略直線的に変化する。この時に、リアクタンス成分(X)は、図示するように抵抗成分と比較して、極めて変化量が小さい。このため、リアクタンス分の変化に伴って生じる発振周波数の変化に基づいて膜厚を検出するという原理に基づく従来の渦電流センサでは、この膜厚変化に対して発振周波数の変化は極めて小さい。このため、周波数変化の分解能を上げるためには、周波数を高くする必要があった。しかしながら、この渦電流センサによれば、発振周波数は固定したままで、抵抗成分の変化を見ることにより膜厚の変化を検出するものであるので、比較的低い周波数でこの極めて薄い膜厚の研磨状態を明瞭に観察することが可能となる。
【0018】
図3は、オングストロームオーダの微細な導電性層の膜厚の検出結果を示す。それぞれ横軸は残膜厚を示し、縦軸の実線は抵抗成分(R)を示し、点線はリアクタンス成分(X)を示している。図3(a)は、タングステン(W)膜に関するデータであり、1000Å以下の微細な残膜厚で抵抗成分の変化を見ることにより明瞭に膜厚の変化を検出できることがわかる。図3(b)は、窒化チタン(TiN)膜に関するデータであり、同様に1000Å以下の領域で膜厚の変化を明瞭に検出できる。図3(c)は、チタン(Ti)膜に関するデータであり、図示するように、膜厚が500〜0Åに変化する間に、その抵抗成分が大幅に変化することで、明瞭にその膜厚の変化を検出することができる。
【0019】
交流信号源の発振周波数は、導電率が比較的低いバリア層の検出では、発振周波数を例えば32MHz程度に高くすることが望ましい。発振周波数を高くすることにより、バリア層の0〜250Åの膜厚の変化を明瞭に観察することができる。これに対して、例えば銅膜等の導電率が比較的高い金属においては、8MHz程度の低い発振周波数でも明瞭に膜厚の変化の検出が可能である。また、タングステン膜の場合には、16MHz程度の発振周波数が好適である。このように、研磨対象膜の種類に対応して、発振周波数を選択することが好ましい。
【0020】
図3に示す各例において、抵抗成分(R)の変化に対して、リアクタンス成分(X)の変化は極めて小さい。バリア層の膜厚検出例で、タンタル膜において、残膜厚が0Åと250Åでリアクタンス成分(X)の変化は、0.005%であった。これに対して抵抗成分(R)の変化は、1.8%であった。よって、検出感度の向上はリアクタンス成分の変化を見る方式に対して、約360倍検出感度が向上することになる。
【0021】
図4は、交流信号源側からセンサコイル側を見たインピーダンスZの計測回路例を示す。上述した膜厚の検出例は、主として抵抗成分(R)の変化に着目したものであるが、図4に示すインピーダンスZの計測回路においては、膜厚の変化に伴う抵抗成分(R)、リアクタンス成分(X)、振幅出力(Z)および位相出力(tan−1R/X)を取り出すことができる。従って、これらの信号出力を用いることで、例えば振幅の大きさにより膜厚を計測するなど、より多面的な研磨の進行状況のチェックが可能となる。
【0022】
センサコイル2は検出対象の導電性膜1を備えた半導体ウエハWの近傍に配置される。センサコイル2に交流信号を供給する信号源3は、水晶発振器からなる固定周波数の発振器であり、例えば、8,16,32MHzの固定周波数の電圧を供給する。信号源3で形成される交流電圧は、バンドパスフィルタ102を介してセンサコイル2に供給される。センサコイル2の端子で検出された信号は、高周波アンプ103および位相シフト回路104を経て、cos同期検波回路105およびsin同期検波回路106からなる同期検波部により検出信号のcos成分とsin成分とが取り出される。ここで、信号源3で形成される発振信号は、位相シフト回路104により信号源3の同相成分(0゜)と直交成分(90゜)の2つの信号が形成され、それぞれcos同期検波回路105とsin同期検波回路106とに導入され、上述の同期検波が行われる。
【0023】
同期検波された信号は、ローパスフィルタ107,108により、信号成分以上の不要な高周波成分が除去され、cos同期検波出力である抵抗成分(R)出力と、sin同期検波出力であるリアクタンス成分(X)出力とがそれぞれ取り出される。また、ベクトル演算回路109により、抵抗成分(R)出力とリアクタンス成分(X)出力とから振幅出力(√R2+X2)が得られる。また、ベクトル演算回路110により、同様に抵抗成分出力とリアクタンス成分出力とから位相出力(tan−1R/X)が得られる。
【0024】
図5は、本発明の渦電流センサにおけるセンサコイルの構成例を示す。センサコイル10は、導電性膜に渦電流を形成するためのコイルと、導電性膜の渦電流を検出するためのコイルとを分離したもので、ボビン11に巻回された3層のコイル12,13,14により構成されている。ここで中央のコイル12は、交流信号源3に接続される発振コイルである。この発振コイル12は、交流信号源3より供給される電流の形成する磁界により、近傍に配置される半導体ウエハW上の導電性膜1に渦電流を形成する。ボビン11の上側(導電性膜側)には、検出コイル13が配置され、導電性膜に形成される渦電流により発生する磁界を検出する。そして、発振コイル12の検出コイル13と反対側にはバランスコイル14が配置されている。
【0025】
コイル12,13,14は、この実施形態においては同じターン数(例えば4ターン)のコイルにより形成され、検出コイル13とバランスコイル14とは互いに逆相に接続されている。従って、コイル13,14に鎖交する同一磁束に対して、発生する起電力が互いに打ち消し合うように結線されている。コイル12,13,14の直径は、例えば15mm程度である。
【0026】
図6は、各コイルの接続例を示す。検出コイル13とバランスコイル14とは、上述したように直列回路を構成し、その両端は図6に示すように可変抵抗16を含む抵抗ブリッジ回路17に接続されている。可変抵抗16の抵抗値を調整することで、コイル13,14からなる直列回路の出力電圧が、導電性膜が存在しないときにはゼロとなるように調整可能としている。コイル12は交流信号源3に接続され、交番磁束を生成することで、近傍に配置される導電性膜1に渦電流を形成する。即ち、センサコイル10の近傍に導電性膜が存在せず、ここに渦電流が形成されていないときには、互いに逆相に接続されたコイル13,14からなる直列回路の出力がゼロとなるように可変抵抗16を調整する。従って、コイル12が交番磁束を発生させても、コイル13,14の互いに逆相に接続された直列回路には出力は現れない。
【0027】
そして、導電性膜が検出コイル13の近傍に存在する時には、導電性膜中に形成される渦電流によって生じる磁束が検出コイル13とバランスコイル14とに鎖交するが、検出コイル13のほうが導電性膜に近い位置に配置されているので、両コイル13,14に生じる誘起電圧のバランスが崩れ、これにより導電性膜の渦電流によって形成される鎖交磁束を検出することができる。即ち、交流信号源に接続された発振コイル12から、検出コイル13とバランスコイル14との直列回路を分離して、抵抗ブリッジ回路でバランスの調整を行うことで、ゼロ点の調整が可能である。従って、導電性膜に流れる渦電流をゼロの状態から検出することが可能になるので、導電性膜中の渦電流の検出感度が高められる。これにより、広いダイナミックレンジで導電性膜に形成される渦電流の大きさの検出が可能となる。
【0028】
図7は、導電性膜の膜厚の変化に伴うセンサコイル10の検出端子側に現れる同期検波出力を示すもので、図7(a)は、導電性膜の膜厚の変化に対するリアクタンス分(X=ωL)の変化を示す。膜厚の変化に対するリアクタンス分の変化の関係は、膜厚が厚い方から薄い方に変化するに従ってリアクタンス分Xが図示するように変化する。即ち、導電性膜の膜厚は、極薄膜厚の領域(a)ではリアクタンス分の変化(X=ωL)が少なく、膜厚が厚くなる領域(b)ではリアクタンス分の変化(X=ωL)は大きくなる。さらにそれ以上の膜厚の領域(c)ではリアクタンス分の変化(X=ωL)は飽和する。
【0029】
図7(b)は、導電性膜の膜厚の変化に対する抵抗分の変化を示す。膜厚の変化に対する抵抗分の変化の関係は、膜厚が厚い方から薄い方に変化するに従って、抵抗分Rが図示するように変化する。即ち、極薄膜厚の領域(a)では抵抗分Rの出力が直線的に大きく変化し、ある厚さの領域(b)になると抵抗分Rの変化は飽和し、更に膜厚が厚くなる領域(c)においては抵抗分Rの出力が低下する。ここで、銅膜の場合は、(a)点が約1000Å程度を示し、(b)点が2000−3000Åを示し、(c)点が5000Å以上を示す。
【0030】
抵抗成分とリアクタンス成分の出力をそれぞれ二乗し、平方することでベクトル演算回路により導電性膜の膜厚に対応した合成インピーダンスZを出力することが可能である。図7(c)は、導電性膜の膜厚と合成インピーダンスZとの関係を示す。図7(c)から明らかなように、合成インピーダンスZでは、膜厚の変化に対して出力が直線的に変化する領域が、図7(a)または(b)の抵抗分またはリアクタンス分を単独に計測するのと比較して格段に拡張する。即ち、合成インピーダンスZによれば、ダイナミックレンジの広い導電性膜の膜厚の計測が可能になる。
【0031】
図8は、これらの渦電流センサを備えたポリッシング装置の全体構成を示す縦断面図である。図8に示されるように、ポリッシング装置は、ターンテーブル21と、半導体ウエハWを保持しつつターンテーブル21の研磨布22に押圧するトップリング(保持具)25とを具備している。ターンテーブル21はモータ27に連結されており、矢印で示すようにその軸心回わりに回転可能になっている。また、トップリング25は、モータ(図示せず)に連結されるとともに昇降シリンダ(図示せず)に連結されている。これによって、トップリング25は、矢印で示すように昇降可能かつその軸心回りに回転可能になっており、半導体ウエハWを研磨布22に対して任意の圧力で押圧することができるようになっている。トップリング25はトップリングシャフト32に連結されており、またトップリング25はその下面にポリウレタン等の弾性マット27を備えている。またトップリング25の下部外周部には、半導体ウエハWの外れ止めを行うガイドリング26が設けられている。また、ターンテーブル21の上方には研磨砥液ノズル28が設置されており、研磨砥液ノズル28によってターンテーブル21に貼設された研磨布22上に研磨砥液Qが供給されるようになっている。
【0032】
図8に示すように、ターンテーブル21内にはセンサコイル10が埋め込まれている。センサコイル10の接続ケーブルは、ターンテーブル21およびターンテーブル支持軸21a内を通り、ターンテーブル支持軸21aの軸端に設けられたロータリコネクタ(またはスリップリング)34を経由してコントローラ35に接続されている。コントローラ35は交流信号源および同期検波回路を含み、その出力は表示装置(ディスプレイ)36に接続されている。
【0033】
図9は、図8に示すポリッシング装置の平面図である。図示するように、センサコイル10a〜10f(2,10)は、トップリング25に保持された研磨中の半導体ウエハWの中心Cwを通過する位置に、この場合は6ヶ所に設置されている。符号CTはターンテーブル21の回転中心である。センサコイル10a〜10fは、半導体ウエハWの下方を通過している間、通過軌跡上で連続的に半導体ウエハWのCu層およびバリア層等の導電性膜の膜厚を検出できるようになっている。ここで、センサコイルの周波数を高低の複数種類用いるようにしてもよい。これにより、高い方でバリア層の膜厚変化を主として検出し、低い方で導電層の膜厚変化を主として検出する等の管理を行うことができる。
【0034】
この場合は、センサコイルを6ヶ所に配置しているが、配置数は適宜変更することができる。また、ターンテーブルに研磨布を配置した例について説明したが、固定砥粒プレートを用いるようにしてもよい。また、この場合には固定砥粒プレート内にセンサコイルを配置するようにしてもよい。なお、ターンテーブルは1テーブルでなく複数テーブルタイプにも対応可能である。また、ターンテーブルは研磨面を有するベルトやウエブ(Web)に代用できる。
【0035】
上記構成のポリッシング装置において、トップリング25の下面に半導体ウエハWを保持させ、半導体ウエハWを回転しているターンテーブル21の上面の研磨布22に昇降シリンダにより押圧する。一方、研磨砥液ノズル28から研磨砥液Qを流すことより、研磨布22に研磨砥液Qが保持されており、半導体ウエハWの被研磨面(下面)と研磨布22の間に研磨砥液Qが存在した状態でポリッシングが行われる。
【0036】
この研磨中に、センサコイル10a〜10fは、ターンテーブル21が一回転する毎にそれぞれ半導体ウエハWの被研磨面の直下を通過する。この場合、センサコイル10a〜10fは半導体ウエハWの中心Cwを通る軌道上に設置されているため、センサの移動に伴って半導体ウエハWの被研磨面の円弧状の軌道上で連続的に膜厚検出が可能である。そして、この場合には、センサコイルが6ヶ所に設けられているので、断続的にではあるが短い間隔で研磨の進行状況をいずれかのセンサコイルで検出できる。
【0037】
従来の渦電流センサを用いた終点検出方法では、該渦電流センサをトップリング内に設けていたため、半導体ウエハ上に形成されたCu層等の導電性膜の膜厚はセンサコイルの直下しか計測できないという欠点があった。この場合、トップリング側に埋め込むセンサの数を増やせば、膜厚の計測箇処は増加するが、それでも、互いに離間した複数点(または多数点)の断続的な計測値が得られるにすぎず、連続したプロファイルとしての計測値を得ることができないという問題点があった。またセンサ数の増加に伴って、装置コストが増加するとともに信号処理が複雑になるという問題点があった。ターンテーブルにセンサコイルを配置した本方式では、研磨中に、センサコイルは、ターンテーブルが一回転する間に半導体基板の被研磨面の直下を通過する。この場合、センサコイルは半導体基板の中心を通る軌道上に設置されているため、センサコイルに対する相対的移動に伴って半導体基板の被研磨面の円弧状の軌道上で連続的に膜厚検出が可能である。
【0038】
図10(a)(b)に示すように、研磨が進行するにつれて、センサコイル10a〜10fの信号をコントローラ35で処理した値は漸次減少してゆく。即ち、導電性膜の膜厚が減少するにつれて、センサコイル10a〜10fの信号をコントローラ35で処理した値である検出値が減少してゆく。したがって、予め、導電性膜が配線部を除いて除去されたときの検出値の値を調べておけば、検出出力の値をモニターすることにより、CMPプロセスの終点を検出できる。
【0039】
図11は、膜厚と発振周波数との関係を較正した例を示す。例えば、1000Å(t1)または200Å(t2)等の基準ウエハを準備し、この基準ウエハにおける検出出力を測定し、これらの点を基準点とする。そして、実際の研磨の進行状況に伴う検出出力に対する膜厚変化のデータを取得し、これを点線で示す。この検出出力は、抵抗成分出力、リアクタンス成分出力、インピーダンス(振幅)出力、位相出力が可能である。このデータを上記基準点に対して最小二乗法等の手法によりカーブを形成する。このような手法により、渦電流センサの特性を較正しておくことで、検出出力の変化から直接膜厚の変化を読みとることが可能となる。
このような渦電流センサを多数備えたポリッシング装置によれば、終点検出を半導体ウエハの全面について行うことができ、且つ短時間間隔で行うことができる。そして、上述したようにバリア層であるTa、TaN、TiN層等の研磨終点を検出できるので、極めて高精度の研磨終点の検出を行える。
【0040】
また、導電性膜が配線部を除いて除去されることを渦電流センサと光学式センサの両者からの信号を処理し、モニターすることにより検出し、CMPプロセスの終点を決定するようにしてもよい。図12は、このようなポリッシング装置の構成例を示す。ベルト状研磨パッド41がローラ42,43により回転駆動され、トップリング(保持具)45に保持された研磨対象物(半導体ウエハ)が回転しつつ研磨パッド41に押圧される。研磨対象物の被研磨面は研磨パッド(研磨面)に摺接され、これにより研磨が進行する。トップリングの直下には、上記渦電流センサと光学式センサを備えた支持体46が配置され、被研磨面の表面状態をモニタする。ここで、穴47(図12(a)参照)および切欠き48(図12(b)参照)は、光学式センサが研磨面の表面状態を観察するためのものである。
【0041】
本実施の形態においては、導電性膜としてCu層およびバリア層について説明したが、Cr,W,Ti等の他の金属であってもよい。また、(1)渦電流センサ信号、(2)ターンテーブルモータもしくはトップリングモータの電流信号、(3)テーブル内もしくはテーブル外に設けた光学的手段による研磨面への入射および反射の光学信号、(4)研磨面の温度信号を単独または適切なる組合せにより使用することにより、研磨終点の検出性能を向上させることもできる。
【0042】
図13は、本発明の渦電流センサをめっき槽に配置した例を示す。めっき槽51には金属めっき膜を被着する半導体ウエハWが配置され、治具52に固定されている。治具52の内部にはセンサコイル10が配置され、コントローラ53に接続されている。コントローラ53には交流信号源および同期検波回路を備え、半導体ウエハW上に被着する金属めっき膜の膜厚を検出する。これにより、めっき膜の形成状況を非接触で確実に把握することができる。
【0043】
なお、本発明の渦電流センサは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態の渦電流センサの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す渦電流センサによる膜厚の変化に伴う抵抗成分(R)・リアクタンス成分(X)の推移軌跡を示す図である。
【図3】膜厚の変化による抵抗成分(R)およびリアクタンス成分(X)の変化例を示す図である。
【図4】同期検波回路の構成例を示す図である。
【図5】センサコイルの構成例を示す図である。
【図6】図5に示すセンサコイルの接続例を示す図である。
【図7】導電性膜の膜厚と同期検波出力の関係を示すグラフであり、(a)はリアクタンス成分の変化を示し、(b)は抵抗成分の変化を示し、(c)はインピーダンス(振幅)の変化を示す。
【図8】本発明の渦電流センサを備えたポリッシング装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図9】図8に示すポリッシング装置のターンテーブルの平面図である。
【図10】図8に示す装置における発振信号の検出例を示す図である。
【図11】渦電流センサの検出出力と膜厚の較正例を示す図である。
【図12】本発明の渦電流センサを備えた他のポリッシング装置の構成例を示す斜視図である。
【図13】本発明の渦電流センサを備えためっき槽を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 導電性膜
2,10(10a〜10f) 渦電流センサ(センサコイル)
3 交流信号源
5 同期検波回路
11 ボビン
12 発振コイル
13 検出コイル
14 バランスコイル
16 可変抵抗
17 抵抗回路網
105 cos同期検波回路
106 sin同期検波回路
109,110 ベクトル演算回路
W 半導体ウエハ
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体基板の研磨方法に係り、特に半導体ウエハ等の基板の表面に形成した導電性膜の膜厚等を検出するのに好適な渦電流センサを用いた研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に配線回路を形成するために、銅めっきを行い、形成された銅めっき層のうち、不要部分を化学機械研磨(CMP)により除去し、銅配線層を形成するプロセスが知られている。このような場合に、化学機械研磨(CMP)において、銅めっき層の研磨の進行状況を正確に管理する必要がある。このような膜厚管理として、光学的センサを用いた方法や、導電性膜に生じる渦電流の大きさから導電性膜の膜厚を計測する渦電流センサを用いた方法等が知られている。
【0003】
光学的センサを用いた方法においては、光の波長を基準として膜厚を計測するため、正確な膜厚の検出が可能である。ところが、例えば上述の化学機械研磨において、研磨中の半導体基板上の導電性膜の膜厚を検出するためには、研磨途中の基板を直接観測可能な位置に開口等を設ける必要がある。しかしながら、化学機械研磨装置にそのような開口を設けることは、装置の研磨特性上好ましいことではない。
【0004】
一方で、渦電流センサは、例えば化学機械研磨装置における研磨工具の内部に装着することも可能であり、研磨中の半導体基板の研磨の状況を非接触で研磨工具に開口等を設けることなく観測することが可能である。しかしながら、一般に渦電流センサは半導体基板の表面に設けられた導電性膜に渦電流を形成し、この渦電流により間接的に膜厚の計測を行うものであるので、正確な膜厚の検出が困難であるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、半導体基板上に形成されるごく薄い導電性膜から比較的厚い導電性膜まで正確に膜厚等の検出を行いながら該導電性膜を研磨する研磨方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明は、研磨対象物をトップリングにより保持し、該研磨対象物を研磨面に押圧して研磨する研磨方法であって、基準ウエハのインピーダンスを渦電流センサで計測することで、前記渦電流センサのインピーダンスと、センサコイルに供給すべき交流電流の周波数と、膜厚との関係を較正し、前記渦電流センサは、前記センサコイルに一定周波数の交流電流を供給して前記研磨対象物上の導電性膜に渦電流を形成し、前記センサコイルの両端子から見た前記導電性膜を含めたインピーダンスを計測し、前記研磨対象物上の前記導電性膜を含めたインピーダンスの変化から、前記導電性膜の膜厚変化を検出することを特徴とする。
【0007】
渦電流センサは、導電性膜の近傍に配置されるセンサコイルと、該センサコイルに交流信号を供給して前記導電性膜に渦電流を形成する信号源と、前記導電性膜に形成された渦電流を前記センサコイルにより検出する検出回路とを備えることが好ましい。
【0008】
発振周波数は固定したままで、例えば極薄領域の抵抗成分の変化を見ることで、その領域の膜厚の変化を直線的に良好な感度で検出することが可能である。また、導電性膜の比較的厚い膜厚領域において、リアクタンス成分の変化を見ることで、その領域の膜厚の変化を直線的に良好な感度で検出することが可能である。また、抵抗成分とリアクタンス成分を含めたインピーダンスの変化を見ることで、極薄の膜厚から比較的厚い膜厚まで、広いダイナミックレンジで膜厚の変化を直線的に良好な感度で検出することが可能である。
例えば、高比抵抗の薄い膜厚の導電性膜における渦電流損の検出が可能となり、バリア層を構成するタンタル(Ta)等のオングストロームオーダの薄膜の研磨状態を検出することができる。それ故、半導体ウエハ等を研磨するポリッシング装置において、渦電流センサを用いて、格段に精度の高い研磨終点の検出が行える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、導電性膜の検出を極薄膜から比較的厚い膜迄高精度で行える。これにより、例えば半導体ウエハ上に形成されるバリア層等の極薄の高抵抗層の研磨時の膜厚管理も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図1乃至図13を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1(a)は、本発明の実施形態の渦電流センサを示す。検出対象の導電性膜1の近傍にセンサコイル2を配置し、そのコイルに交流信号源3を接続した状態を示す。ここで、検出対象の導電性膜1は例えば半導体ウエハW上に形成された厚さが0〜1μm程度の銅めっき膜、或いはその下地に形成された厚さがオングストロームオーダのバリア層である。バリア層は、Ta,TaN,Tinからなる高抵抗層であり、この膜厚検出は上述した化学機械研磨における終点を正確に検出する上で重要である。センサコイル2は、1〜数ターンのコイルであり、検出対象の導電性膜に対して例えば10〜20mm程度の近傍に配置される。交流信号源3は、8〜32MHz程度の固定周波数の発振器であり、例えば水晶発振器が用いられる。
【0012】
また、センサコイル2の端部には、導電性膜1に形成された渦電流を前記センサコイルにより検出する同期検波回路5が接続されている。この同期検波回路5は、導電性膜1を含めてセンサコイル2側を見たインピーダンスを計測することが可能である。
【0013】
図1(b)は、交流信号源とセンサコイルと導電性膜との間の等価回路を示す。交流信号源3により供給される交流電圧により、センサコイル2に電流I1が流れる。導電性膜1の近傍に配置されたコイル2に電流が流れることで、この磁束が導電性膜1と鎖交することでその間に相互インダクタンスMが形成され、導電性膜1中に渦電流I2が流れる。ここでR1はセンサコイルを含む一次側の等価抵抗であり、L1は同様にセンサコイルを含む一次側の自己インダクタンスである。導電性膜1側では、R2は渦電流損に相当する等価抵抗であり、L2はその自己インダクタンスである。交流信号源3の端子a,bからセンサコイル側を見たインピーダンスZは、導電性膜1中に形成される渦電流損の大きさによって変化する。
【0014】
図2は、交流信号源側から見たインピーダンスZの変化を示す。横軸は抵抗成分(R)であり、縦軸はリアクタンス成分(X)である。点Aは膜厚が例えば100μm以上と極めて大きい場合である。この場合には、交流信号源3の端子a,bからセンサコイル2側を見たインピーダンスZは、センサコイルに近接して配置された導電性膜1の渦電流が極めて大きく、センサコイル2と等価的に並列に接続された抵抗成分(R2)とリアクタンス成分jω(M+L2)が極めて小さくなる。従って、抵抗成分(R)およびリアクタンス成分(X)が共に小さくなる。
【0015】
研磨が進行し導電性膜が薄くなると、センサコイル入力端(端子a,b)から見たインピーダンスZは、抵抗成分(R2)が増大し、リアクタンス成分jω(M+L2)も増大する。センサコイル入力端から見たインピーダンスZの抵抗成分(R)が最大となる点をBで示す。この時、センサコイル入力端から見た渦電流損が最大となる。さらに研磨が進行し、導電性膜がより薄くなると、渦電流が減少し、センサコイルから見た抵抗成分は、渦電流損が徐々に減少することから、抵抗(R)成分は徐々に小さくなる。そして、導電性膜が全て研磨により除去されると、そこには渦電流損が存在せず、等価的に並列接続された抵抗成分(R2)は無限大となり、センサコイル自体の抵抗分(R1)のみが残ることになる。この時のリアクタンス成分(X)は、センサコイル自体のリアクタンス成分(L1)である。この状態を、点Cで示す。
【0016】
実際に、例えばシリコン酸化膜中に設けられた溝に銅配線を、いわゆるダマシンプロセスで形成する場合には、シリコン酸化膜上に窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)等のバリア層が設けられ、その上に導電率の高い銅またはタングステン等の金属配線が設けられる。従って、これらの導電性膜の研磨にあたっては、バリア層の研磨の終点検出が重要となる。ところが、バリア層は上述したように窒化タンタル(TaN)または窒化チタン(TiN)等の導電率が比較的低く、かつ膜厚がオングストロームオーダの極めて薄い膜が採用されている。
【0017】
本発明の実施形態の渦電流センサにおいては、このようなバリア層の研磨終点近傍の膜厚検出が容易に可能となる。即ち、図2に示す、点Dは例えば膜厚が1000Å程度の位置を示し、これより膜厚がゼロとなる、点Cに向けて、膜厚の変化に対応して抵抗成分の変化が極めて大きく、かつ略直線的に変化する。この時に、リアクタンス成分(X)は、図示するように抵抗成分と比較して、極めて変化量が小さい。このため、リアクタンス分の変化に伴って生じる発振周波数の変化に基づいて膜厚を検出するという原理に基づく従来の渦電流センサでは、この膜厚変化に対して発振周波数の変化は極めて小さい。このため、周波数変化の分解能を上げるためには、周波数を高くする必要があった。しかしながら、この渦電流センサによれば、発振周波数は固定したままで、抵抗成分の変化を見ることにより膜厚の変化を検出するものであるので、比較的低い周波数でこの極めて薄い膜厚の研磨状態を明瞭に観察することが可能となる。
【0018】
図3は、オングストロームオーダの微細な導電性層の膜厚の検出結果を示す。それぞれ横軸は残膜厚を示し、縦軸の実線は抵抗成分(R)を示し、点線はリアクタンス成分(X)を示している。図3(a)は、タングステン(W)膜に関するデータであり、1000Å以下の微細な残膜厚で抵抗成分の変化を見ることにより明瞭に膜厚の変化を検出できることがわかる。図3(b)は、窒化チタン(TiN)膜に関するデータであり、同様に1000Å以下の領域で膜厚の変化を明瞭に検出できる。図3(c)は、チタン(Ti)膜に関するデータであり、図示するように、膜厚が500〜0Åに変化する間に、その抵抗成分が大幅に変化することで、明瞭にその膜厚の変化を検出することができる。
【0019】
交流信号源の発振周波数は、導電率が比較的低いバリア層の検出では、発振周波数を例えば32MHz程度に高くすることが望ましい。発振周波数を高くすることにより、バリア層の0〜250Åの膜厚の変化を明瞭に観察することができる。これに対して、例えば銅膜等の導電率が比較的高い金属においては、8MHz程度の低い発振周波数でも明瞭に膜厚の変化の検出が可能である。また、タングステン膜の場合には、16MHz程度の発振周波数が好適である。このように、研磨対象膜の種類に対応して、発振周波数を選択することが好ましい。
【0020】
図3に示す各例において、抵抗成分(R)の変化に対して、リアクタンス成分(X)の変化は極めて小さい。バリア層の膜厚検出例で、タンタル膜において、残膜厚が0Åと250Åでリアクタンス成分(X)の変化は、0.005%であった。これに対して抵抗成分(R)の変化は、1.8%であった。よって、検出感度の向上はリアクタンス成分の変化を見る方式に対して、約360倍検出感度が向上することになる。
【0021】
図4は、交流信号源側からセンサコイル側を見たインピーダンスZの計測回路例を示す。上述した膜厚の検出例は、主として抵抗成分(R)の変化に着目したものであるが、図4に示すインピーダンスZの計測回路においては、膜厚の変化に伴う抵抗成分(R)、リアクタンス成分(X)、振幅出力(Z)および位相出力(tan−1R/X)を取り出すことができる。従って、これらの信号出力を用いることで、例えば振幅の大きさにより膜厚を計測するなど、より多面的な研磨の進行状況のチェックが可能となる。
【0022】
センサコイル2は検出対象の導電性膜1を備えた半導体ウエハWの近傍に配置される。センサコイル2に交流信号を供給する信号源3は、水晶発振器からなる固定周波数の発振器であり、例えば、8,16,32MHzの固定周波数の電圧を供給する。信号源3で形成される交流電圧は、バンドパスフィルタ102を介してセンサコイル2に供給される。センサコイル2の端子で検出された信号は、高周波アンプ103および位相シフト回路104を経て、cos同期検波回路105およびsin同期検波回路106からなる同期検波部により検出信号のcos成分とsin成分とが取り出される。ここで、信号源3で形成される発振信号は、位相シフト回路104により信号源3の同相成分(0゜)と直交成分(90゜)の2つの信号が形成され、それぞれcos同期検波回路105とsin同期検波回路106とに導入され、上述の同期検波が行われる。
【0023】
同期検波された信号は、ローパスフィルタ107,108により、信号成分以上の不要な高周波成分が除去され、cos同期検波出力である抵抗成分(R)出力と、sin同期検波出力であるリアクタンス成分(X)出力とがそれぞれ取り出される。また、ベクトル演算回路109により、抵抗成分(R)出力とリアクタンス成分(X)出力とから振幅出力(√R2+X2)が得られる。また、ベクトル演算回路110により、同様に抵抗成分出力とリアクタンス成分出力とから位相出力(tan−1R/X)が得られる。
【0024】
図5は、本発明の渦電流センサにおけるセンサコイルの構成例を示す。センサコイル10は、導電性膜に渦電流を形成するためのコイルと、導電性膜の渦電流を検出するためのコイルとを分離したもので、ボビン11に巻回された3層のコイル12,13,14により構成されている。ここで中央のコイル12は、交流信号源3に接続される発振コイルである。この発振コイル12は、交流信号源3より供給される電流の形成する磁界により、近傍に配置される半導体ウエハW上の導電性膜1に渦電流を形成する。ボビン11の上側(導電性膜側)には、検出コイル13が配置され、導電性膜に形成される渦電流により発生する磁界を検出する。そして、発振コイル12の検出コイル13と反対側にはバランスコイル14が配置されている。
【0025】
コイル12,13,14は、この実施形態においては同じターン数(例えば4ターン)のコイルにより形成され、検出コイル13とバランスコイル14とは互いに逆相に接続されている。従って、コイル13,14に鎖交する同一磁束に対して、発生する起電力が互いに打ち消し合うように結線されている。コイル12,13,14の直径は、例えば15mm程度である。
【0026】
図6は、各コイルの接続例を示す。検出コイル13とバランスコイル14とは、上述したように直列回路を構成し、その両端は図6に示すように可変抵抗16を含む抵抗ブリッジ回路17に接続されている。可変抵抗16の抵抗値を調整することで、コイル13,14からなる直列回路の出力電圧が、導電性膜が存在しないときにはゼロとなるように調整可能としている。コイル12は交流信号源3に接続され、交番磁束を生成することで、近傍に配置される導電性膜1に渦電流を形成する。即ち、センサコイル10の近傍に導電性膜が存在せず、ここに渦電流が形成されていないときには、互いに逆相に接続されたコイル13,14からなる直列回路の出力がゼロとなるように可変抵抗16を調整する。従って、コイル12が交番磁束を発生させても、コイル13,14の互いに逆相に接続された直列回路には出力は現れない。
【0027】
そして、導電性膜が検出コイル13の近傍に存在する時には、導電性膜中に形成される渦電流によって生じる磁束が検出コイル13とバランスコイル14とに鎖交するが、検出コイル13のほうが導電性膜に近い位置に配置されているので、両コイル13,14に生じる誘起電圧のバランスが崩れ、これにより導電性膜の渦電流によって形成される鎖交磁束を検出することができる。即ち、交流信号源に接続された発振コイル12から、検出コイル13とバランスコイル14との直列回路を分離して、抵抗ブリッジ回路でバランスの調整を行うことで、ゼロ点の調整が可能である。従って、導電性膜に流れる渦電流をゼロの状態から検出することが可能になるので、導電性膜中の渦電流の検出感度が高められる。これにより、広いダイナミックレンジで導電性膜に形成される渦電流の大きさの検出が可能となる。
【0028】
図7は、導電性膜の膜厚の変化に伴うセンサコイル10の検出端子側に現れる同期検波出力を示すもので、図7(a)は、導電性膜の膜厚の変化に対するリアクタンス分(X=ωL)の変化を示す。膜厚の変化に対するリアクタンス分の変化の関係は、膜厚が厚い方から薄い方に変化するに従ってリアクタンス分Xが図示するように変化する。即ち、導電性膜の膜厚は、極薄膜厚の領域(a)ではリアクタンス分の変化(X=ωL)が少なく、膜厚が厚くなる領域(b)ではリアクタンス分の変化(X=ωL)は大きくなる。さらにそれ以上の膜厚の領域(c)ではリアクタンス分の変化(X=ωL)は飽和する。
【0029】
図7(b)は、導電性膜の膜厚の変化に対する抵抗分の変化を示す。膜厚の変化に対する抵抗分の変化の関係は、膜厚が厚い方から薄い方に変化するに従って、抵抗分Rが図示するように変化する。即ち、極薄膜厚の領域(a)では抵抗分Rの出力が直線的に大きく変化し、ある厚さの領域(b)になると抵抗分Rの変化は飽和し、更に膜厚が厚くなる領域(c)においては抵抗分Rの出力が低下する。ここで、銅膜の場合は、(a)点が約1000Å程度を示し、(b)点が2000−3000Åを示し、(c)点が5000Å以上を示す。
【0030】
抵抗成分とリアクタンス成分の出力をそれぞれ二乗し、平方することでベクトル演算回路により導電性膜の膜厚に対応した合成インピーダンスZを出力することが可能である。図7(c)は、導電性膜の膜厚と合成インピーダンスZとの関係を示す。図7(c)から明らかなように、合成インピーダンスZでは、膜厚の変化に対して出力が直線的に変化する領域が、図7(a)または(b)の抵抗分またはリアクタンス分を単独に計測するのと比較して格段に拡張する。即ち、合成インピーダンスZによれば、ダイナミックレンジの広い導電性膜の膜厚の計測が可能になる。
【0031】
図8は、これらの渦電流センサを備えたポリッシング装置の全体構成を示す縦断面図である。図8に示されるように、ポリッシング装置は、ターンテーブル21と、半導体ウエハWを保持しつつターンテーブル21の研磨布22に押圧するトップリング(保持具)25とを具備している。ターンテーブル21はモータ27に連結されており、矢印で示すようにその軸心回わりに回転可能になっている。また、トップリング25は、モータ(図示せず)に連結されるとともに昇降シリンダ(図示せず)に連結されている。これによって、トップリング25は、矢印で示すように昇降可能かつその軸心回りに回転可能になっており、半導体ウエハWを研磨布22に対して任意の圧力で押圧することができるようになっている。トップリング25はトップリングシャフト32に連結されており、またトップリング25はその下面にポリウレタン等の弾性マット27を備えている。またトップリング25の下部外周部には、半導体ウエハWの外れ止めを行うガイドリング26が設けられている。また、ターンテーブル21の上方には研磨砥液ノズル28が設置されており、研磨砥液ノズル28によってターンテーブル21に貼設された研磨布22上に研磨砥液Qが供給されるようになっている。
【0032】
図8に示すように、ターンテーブル21内にはセンサコイル10が埋め込まれている。センサコイル10の接続ケーブルは、ターンテーブル21およびターンテーブル支持軸21a内を通り、ターンテーブル支持軸21aの軸端に設けられたロータリコネクタ(またはスリップリング)34を経由してコントローラ35に接続されている。コントローラ35は交流信号源および同期検波回路を含み、その出力は表示装置(ディスプレイ)36に接続されている。
【0033】
図9は、図8に示すポリッシング装置の平面図である。図示するように、センサコイル10a〜10f(2,10)は、トップリング25に保持された研磨中の半導体ウエハWの中心Cwを通過する位置に、この場合は6ヶ所に設置されている。符号CTはターンテーブル21の回転中心である。センサコイル10a〜10fは、半導体ウエハWの下方を通過している間、通過軌跡上で連続的に半導体ウエハWのCu層およびバリア層等の導電性膜の膜厚を検出できるようになっている。ここで、センサコイルの周波数を高低の複数種類用いるようにしてもよい。これにより、高い方でバリア層の膜厚変化を主として検出し、低い方で導電層の膜厚変化を主として検出する等の管理を行うことができる。
【0034】
この場合は、センサコイルを6ヶ所に配置しているが、配置数は適宜変更することができる。また、ターンテーブルに研磨布を配置した例について説明したが、固定砥粒プレートを用いるようにしてもよい。また、この場合には固定砥粒プレート内にセンサコイルを配置するようにしてもよい。なお、ターンテーブルは1テーブルでなく複数テーブルタイプにも対応可能である。また、ターンテーブルは研磨面を有するベルトやウエブ(Web)に代用できる。
【0035】
上記構成のポリッシング装置において、トップリング25の下面に半導体ウエハWを保持させ、半導体ウエハWを回転しているターンテーブル21の上面の研磨布22に昇降シリンダにより押圧する。一方、研磨砥液ノズル28から研磨砥液Qを流すことより、研磨布22に研磨砥液Qが保持されており、半導体ウエハWの被研磨面(下面)と研磨布22の間に研磨砥液Qが存在した状態でポリッシングが行われる。
【0036】
この研磨中に、センサコイル10a〜10fは、ターンテーブル21が一回転する毎にそれぞれ半導体ウエハWの被研磨面の直下を通過する。この場合、センサコイル10a〜10fは半導体ウエハWの中心Cwを通る軌道上に設置されているため、センサの移動に伴って半導体ウエハWの被研磨面の円弧状の軌道上で連続的に膜厚検出が可能である。そして、この場合には、センサコイルが6ヶ所に設けられているので、断続的にではあるが短い間隔で研磨の進行状況をいずれかのセンサコイルで検出できる。
【0037】
従来の渦電流センサを用いた終点検出方法では、該渦電流センサをトップリング内に設けていたため、半導体ウエハ上に形成されたCu層等の導電性膜の膜厚はセンサコイルの直下しか計測できないという欠点があった。この場合、トップリング側に埋め込むセンサの数を増やせば、膜厚の計測箇処は増加するが、それでも、互いに離間した複数点(または多数点)の断続的な計測値が得られるにすぎず、連続したプロファイルとしての計測値を得ることができないという問題点があった。またセンサ数の増加に伴って、装置コストが増加するとともに信号処理が複雑になるという問題点があった。ターンテーブルにセンサコイルを配置した本方式では、研磨中に、センサコイルは、ターンテーブルが一回転する間に半導体基板の被研磨面の直下を通過する。この場合、センサコイルは半導体基板の中心を通る軌道上に設置されているため、センサコイルに対する相対的移動に伴って半導体基板の被研磨面の円弧状の軌道上で連続的に膜厚検出が可能である。
【0038】
図10(a)(b)に示すように、研磨が進行するにつれて、センサコイル10a〜10fの信号をコントローラ35で処理した値は漸次減少してゆく。即ち、導電性膜の膜厚が減少するにつれて、センサコイル10a〜10fの信号をコントローラ35で処理した値である検出値が減少してゆく。したがって、予め、導電性膜が配線部を除いて除去されたときの検出値の値を調べておけば、検出出力の値をモニターすることにより、CMPプロセスの終点を検出できる。
【0039】
図11は、膜厚と発振周波数との関係を較正した例を示す。例えば、1000Å(t1)または200Å(t2)等の基準ウエハを準備し、この基準ウエハにおける検出出力を測定し、これらの点を基準点とする。そして、実際の研磨の進行状況に伴う検出出力に対する膜厚変化のデータを取得し、これを点線で示す。この検出出力は、抵抗成分出力、リアクタンス成分出力、インピーダンス(振幅)出力、位相出力が可能である。このデータを上記基準点に対して最小二乗法等の手法によりカーブを形成する。このような手法により、渦電流センサの特性を較正しておくことで、検出出力の変化から直接膜厚の変化を読みとることが可能となる。
このような渦電流センサを多数備えたポリッシング装置によれば、終点検出を半導体ウエハの全面について行うことができ、且つ短時間間隔で行うことができる。そして、上述したようにバリア層であるTa、TaN、TiN層等の研磨終点を検出できるので、極めて高精度の研磨終点の検出を行える。
【0040】
また、導電性膜が配線部を除いて除去されることを渦電流センサと光学式センサの両者からの信号を処理し、モニターすることにより検出し、CMPプロセスの終点を決定するようにしてもよい。図12は、このようなポリッシング装置の構成例を示す。ベルト状研磨パッド41がローラ42,43により回転駆動され、トップリング(保持具)45に保持された研磨対象物(半導体ウエハ)が回転しつつ研磨パッド41に押圧される。研磨対象物の被研磨面は研磨パッド(研磨面)に摺接され、これにより研磨が進行する。トップリングの直下には、上記渦電流センサと光学式センサを備えた支持体46が配置され、被研磨面の表面状態をモニタする。ここで、穴47(図12(a)参照)および切欠き48(図12(b)参照)は、光学式センサが研磨面の表面状態を観察するためのものである。
【0041】
本実施の形態においては、導電性膜としてCu層およびバリア層について説明したが、Cr,W,Ti等の他の金属であってもよい。また、(1)渦電流センサ信号、(2)ターンテーブルモータもしくはトップリングモータの電流信号、(3)テーブル内もしくはテーブル外に設けた光学的手段による研磨面への入射および反射の光学信号、(4)研磨面の温度信号を単独または適切なる組合せにより使用することにより、研磨終点の検出性能を向上させることもできる。
【0042】
図13は、本発明の渦電流センサをめっき槽に配置した例を示す。めっき槽51には金属めっき膜を被着する半導体ウエハWが配置され、治具52に固定されている。治具52の内部にはセンサコイル10が配置され、コントローラ53に接続されている。コントローラ53には交流信号源および同期検波回路を備え、半導体ウエハW上に被着する金属めっき膜の膜厚を検出する。これにより、めっき膜の形成状況を非接触で確実に把握することができる。
【0043】
なお、本発明の渦電流センサは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態の渦電流センサの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す渦電流センサによる膜厚の変化に伴う抵抗成分(R)・リアクタンス成分(X)の推移軌跡を示す図である。
【図3】膜厚の変化による抵抗成分(R)およびリアクタンス成分(X)の変化例を示す図である。
【図4】同期検波回路の構成例を示す図である。
【図5】センサコイルの構成例を示す図である。
【図6】図5に示すセンサコイルの接続例を示す図である。
【図7】導電性膜の膜厚と同期検波出力の関係を示すグラフであり、(a)はリアクタンス成分の変化を示し、(b)は抵抗成分の変化を示し、(c)はインピーダンス(振幅)の変化を示す。
【図8】本発明の渦電流センサを備えたポリッシング装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図9】図8に示すポリッシング装置のターンテーブルの平面図である。
【図10】図8に示す装置における発振信号の検出例を示す図である。
【図11】渦電流センサの検出出力と膜厚の較正例を示す図である。
【図12】本発明の渦電流センサを備えた他のポリッシング装置の構成例を示す斜視図である。
【図13】本発明の渦電流センサを備えためっき槽を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 導電性膜
2,10(10a〜10f) 渦電流センサ(センサコイル)
3 交流信号源
5 同期検波回路
11 ボビン
12 発振コイル
13 検出コイル
14 バランスコイル
16 可変抵抗
17 抵抗回路網
105 cos同期検波回路
106 sin同期検波回路
109,110 ベクトル演算回路
W 半導体ウエハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨対象物をトップリングにより保持し、該研磨対象物を研磨面に押圧して研磨する研磨方法であって、
基準ウエハのインピーダンスを渦電流センサで計測することで、前記渦電流センサのインピーダンスと、センサコイルに供給すべき交流電流の周波数と、膜厚との関係を較正し、
前記渦電流センサは、前記センサコイルに一定周波数の交流電流を供給して前記研磨対象物上の導電性膜に渦電流を形成し、前記センサコイルの両端子から見た前記導電性膜を含めたインピーダンスを計測し、
前記研磨対象物上の前記導電性膜を含めたインピーダンスの変化から、前記導電性膜の膜厚変化を検出することを特徴とする研磨対象物の研磨方法。
【請求項2】
前記センサコイルは複数であり、前記複数のセンサコイルに供給される交流電流の周波数は、それぞれ異なることを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
【請求項3】
前記複数のセンサコイルは、前記トップリングに保持された研磨中の研磨対象物の中心を通過する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
【請求項1】
研磨対象物をトップリングにより保持し、該研磨対象物を研磨面に押圧して研磨する研磨方法であって、
基準ウエハのインピーダンスを渦電流センサで計測することで、前記渦電流センサのインピーダンスと、センサコイルに供給すべき交流電流の周波数と、膜厚との関係を較正し、
前記渦電流センサは、前記センサコイルに一定周波数の交流電流を供給して前記研磨対象物上の導電性膜に渦電流を形成し、前記センサコイルの両端子から見た前記導電性膜を含めたインピーダンスを計測し、
前記研磨対象物上の前記導電性膜を含めたインピーダンスの変化から、前記導電性膜の膜厚変化を検出することを特徴とする研磨対象物の研磨方法。
【請求項2】
前記センサコイルは複数であり、前記複数のセンサコイルに供給される交流電流の周波数は、それぞれ異なることを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
【請求項3】
前記複数のセンサコイルは、前記トップリングに保持された研磨中の研磨対象物の中心を通過する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−318169(P2007−318169A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202747(P2007−202747)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【分割の表示】特願2004−194530(P2004−194530)の分割
【原出願日】平成14年5月9日(2002.5.9)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【分割の表示】特願2004−194530(P2004−194530)の分割
【原出願日】平成14年5月9日(2002.5.9)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】
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