破砕機
【課題】 破砕後にグリルの排出孔を目詰まりさせやすい廃材であっても、所望サイズの破砕物がスムースにグリルを通過するものとして廃材を効率的に破砕処理できるようにする。
【解決手段】 回転刃3a,4aを有し所定の動力で回転して廃材を破砕する回転軸3,4と、回転軸3,4下方に配設され所定サイズ以下に破砕された破砕物を通過させる排出孔5aを有するグリル5Aとを備えた破砕機について、グリル5Aを、一方の長辺に櫛歯51を有する帯状の櫛状部材50が櫛歯51の向きを回転軸3,4の回転方向に略一致させるとともに櫛歯51を跨ぐ破砕物の紐状部を通過・排出させるための隙間を櫛歯51先端側に有するように回転軸3,4の回転方向に沿って連設された略樋状のものとした。
【解決手段】 回転刃3a,4aを有し所定の動力で回転して廃材を破砕する回転軸3,4と、回転軸3,4下方に配設され所定サイズ以下に破砕された破砕物を通過させる排出孔5aを有するグリル5Aとを備えた破砕機について、グリル5Aを、一方の長辺に櫛歯51を有する帯状の櫛状部材50が櫛歯51の向きを回転軸3,4の回転方向に略一致させるとともに櫛歯51を跨ぐ破砕物の紐状部を通過・排出させるための隙間を櫛歯51先端側に有するように回転軸3,4の回転方向に沿って連設された略樋状のものとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業廃棄物などの廃材を減容積や再利用の目的で破砕するための破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、木材、紙材或いは金属、ガラス、合成樹脂などからなる廃材を減容積や再利用の目的で所望のサイズに破砕するために破砕機が用いられており、例えば実公昭58―6502号に提示されているように回転軸に刃部を周設した二本の回転刃を備え互いに噛み合うその刃部で廃材を剪断・破砕する二軸式のものと、実開昭47−13769号に提示されているように刃部を周設した一本の回転刃と機体側に固定された固定刃とを備え、回転刃と固定刃とで廃材を剪断・破砕する一軸式のものが知られている。
【0003】
前者の二軸式破砕機は、図5に示す破砕機1Bの縦断面図およびそのグリル5Bの平面図に示すように、二本の回転刃3,4の下方にグリル(スクリーン)5Bを配置し、互いに噛み合う刃部3a,4aにより破砕された破砕物のうち、グリル5Bの排出孔5bよりも大きくこれを通過せずにグリル5B表面に残存する切片を、刃部3a,4aの外周面側に突設させたフック12により掬い上げて互いに噛み合う刃部3a,4aの上方に搬送して再破砕を行い、最終的に排出孔5bよりも小さな切片の破砕物を得るものとしている。また、後者の一軸式破砕機も同様に、グリル表面に残存する切片を再破砕して所定サイズ以下の切片を得るものとしている。
【0004】
しかし図7,8に示すように、ビニール材のように引き延ばされて紐状になる破砕物がグリル5Bの2つの排出孔5b,5bに跨ってはまり込みこれを詰まらせることがある。そのため、破砕物がグリル5Bの下方に落下しにくくなって、所望サイズの切片を得るために何度も破砕作業を繰り返すことで作業効率が悪化したり、得られる切片が所望のサイズよりも小さくなったりすることがある。また、排出孔5bが詰まることにより回転刃3,4の回転抵抗が過大となって駆動部を損傷したり、目詰まりした破砕物を定期的に除去する作業が必要となったりして、メンテナンスコストが嵩む結果となる。
【0005】
そこで、特開平11−42439号公報には、図9の縦断面図に示すような一軸式の破砕機1Cにおいて、回転刃4Cの刃部4cの先端をグリル5C表面に押し付けた状態で回転させ、破砕物を強制的に除去して排出孔5bの目詰まりを解消するものが提示されている。これにより、複数の排出孔5bに跨った廃材を回転刃4cで引っ掛けて強制的に除去することができる。しかし、斯かる破砕機1Cは、刃部4cの回転方向に沿う紐状部材を除去しにくいことに加え、古タイヤのように内部にワイヤを有する廃材の場合など、細く強靱な紐状部が排出孔5b,5b間を跨いで掛かった場合には対応が困難となりやすい。
【0006】
これに対し、特開2001−121017号公報には、図11,12に示すように、隣接する排出孔5b間を排出溝で連結した形状の排出孔5cとすることにより、紐状部を有する破砕物が跨いで掛かることを回避するものとした破砕機1Dが提示されている。しかしながら、この排出溝を有する排出孔5cの向きが、刃部4cの回転方向に沿うものであるため、破砕物の紐状部が回転刃4Cの回転方向に沿って互いに平行な排出孔5c,5cを跨ぎ回転刃4cの回転方向に対し直角方向に掛かった場合には、排出孔5cから排出されにくいという欠点がある。
【0007】
一方、対象物を所定サイズに篩い分けるための振動スクリーンの分野においては、篩い用のスクリーンについて、一方の長辺を櫛歯状とした帯状の櫛状部材を同一方向に連設して形成したフィンガースクリーンが周知であり、振動を与えることにより櫛歯の先端方向に向かって対象物を移動させながら篩い落とすものとして、篩い分け作業を効率的なものとしている。
【特許文献1】実公昭58―6502号
【特許文献2】実開昭47−13769号
【特許文献3】特開平11−42439号公報
【特許文献4】特開2001−121017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであり、破砕後にグリルの排出孔を目詰まりさせやすい廃材であっても、所望サイズの破砕物がスムースにグリルを通過するものとして廃材を効率的に破砕処理できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、刃部を周設した回転軸を所定の動力で回転させて廃材を破砕する回転刃と前記回転刃の下方に配設され所定サイズ以下に破砕された破砕物を通過させる排出孔を有するグリルとを備えた破砕機において、前記グリルが、前記回転刃に沿って配置される略樋状であって一方の長辺に櫛歯を有する帯状の櫛状部材が前記櫛歯の向きを前記回転刃の回転方向に略一致させるとともに前記櫛歯を跨ぐ破砕物の紐状部を通過・排出させるための隙間を前記櫛歯先端側に有するように前記回転刃の回転方向に沿って連設した。
【0010】
これにより、紐状部を有する破砕物が櫛歯を跨いで掛かるような場合であっても、回転刃の回転等により櫛状部材の櫛歯先端側の隙間まで紐状部が移動して破砕物がスムースにグリルを通過できるものとなる。
【0011】
また、そのグリルを構成する櫛状部材を、前記櫛歯を設けた側とは反対の端部側が所定の幅および所定の角度で下方向に屈曲されて傾斜面を形成するものとすれば、回転軸の回転で押された破砕物がその櫛状部材の端部側に掛かることによる目詰まりを回避するとともに、連続する櫛状部材同士を近接して配置或いは部分的に重ねて配設しても紐状部が通過するための隙間を確保できるものとなる。
【0012】
更に、上述した破砕機において、連続する櫛状部材の櫛歯の各先端が互いに半ピッチずつずらした状態で設けられているものとすれば、破砕物の排出がさらにスムースなものとなる。
【0013】
さらにまた、上述した回転刃を二軸式のものとし、それぞれ櫛状部材の歯先を外側に向けて対称方向とされた2枚のグリルが連設されたものとすれば、より効率的に廃材を破砕処理することが可能となる。
【0014】
加えて、上述した破砕機において、櫛状部材の櫛歯を先端側の幅と基端側の櫛歯の間隔とが略同一とされ略台形状に突出しているものとすれば、櫛歯に掛かった破砕物の紐状部が櫛歯先端側に形成された隙間に移動しやすいものとなる。
【発明の効果】
【0015】
帯状の櫛状部材を櫛歯先端側に隙間を有するように連設して樋状にグリルを形成した本発明によると、紐状部を有する破砕物が排出孔を詰まらせることなくスムースにグリルを通過するものとなり、廃材を効率的に破砕処理することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明すると、図1は本実施の形態の破砕機1Aの縦断面図を示しており、図2はそのグリル5Aの平面図を示している。
【0017】
破砕機1Aは、基本的構成は先述した図5に示す従来の破砕機1Bとほぼ同様の二軸式の破砕機であり、その二本の回転刃3,4の下方に設けられたグリル5Aの構成に特徴があるものであり、全体の構成についての詳細な説明は省略する。
【0018】
そして、グリル5Aは、二本の横向き略円柱状の回転刃3,4の回転による外周面から、所定の間隔を有して配置された樋状の二枚のグリルが連設されてなるものであり、これを構成する複数の帯状の櫛状部材50が、その先端側である歯先側と隣り合う櫛状部材50の基端側との間に所定の隙間を有して配置されている。
【0019】
また、図2に示すように、グリル5Aを構成する櫛状部材50は、帯状の板材の一方の長辺に連続する櫛歯51が設けられており、その櫛歯51のある側である先端側とは反対の端部である基端側が、取付け状態で下向き(回転軸の遠心方向)に所定の幅および所定の角度で屈曲されて傾斜部52を形成し、縦断面視「へ」字状を呈している(図1参照)。
【0020】
そして、中央が上向きに突出し縦断面視略富士山状の中央分岐部材60の左右側に、複数の櫛状部材50が歯先をそれぞれ左右外側に向けて樋状とされているとともに、隣り合う櫛状部材50,50の先端側と基端側とが回転軸3,4の中心方向から見て重畳するように配設され、この重畳部において櫛状部材50の基端側である傾斜部52により充分な隙間を両櫛状部材50,50間に有したものとしている。
【0021】
このように、櫛状部材50が回転軸3,4の回転方向に歯先を向けた状態で連設されて、隣り合う櫛状部材50の隙間および各櫛歯51,51の間隔で排出孔5aを形成している。そして、回転刃3,4のフック12に押された所定サイズ以下の破砕物が、主として櫛歯51,51の間隔からグリル5Aを通過して排出されるものである。
【0022】
そして、例えば古タイヤを破砕した場合のように、破砕物同士がワイヤなどの紐状部で繋がっている場合に、これが櫛歯51を跨いで掛かった場合であっても、フック12等で押されて櫛状部材50の先端側と次の櫛状部材50の基端側とで形成される隙間を紐状部材が通過するため、排出孔5aを目詰まりさせる心配がないものとなる。
【0023】
また、図2のグリル5Aの平面図に示すように、櫛歯51はその先端側の幅と基端側の間隔、およびその高さが略同一の台形状に突出しており、櫛歯51を跨いで掛かった紐状部が先端側に移動しやすいようになっており、例えばフック12に押されなくても振動によっても先端側に移動するようになっている。
【0024】
さらに、櫛状部材50の基端側が下向きとされた傾斜部52とされていることで、押された破砕物が傾斜部52の傾斜面に当接して滑ることで基端側に引っ掛かりにくいものとなっており、排出孔5aがさらに目詰まりの生じにくいものとなっている。
【0025】
以上、述べたように、互いに隣り合う櫛状部材50,50を先端側と基端側との間に隙間を設けて連設した本実施の形態によると、古タイヤやビニール材など破砕により紐状部を形成する廃材であっても、排出孔を目詰まりさせることなく所望サイズの破砕物としてスムースに排出することができ、効率的に破砕処理できるものである。
【0026】
尚、上述した実施の形態において、グリル5Aを、図3に示すように連続する櫛状部材の櫛歯51の各先端を互いに半ピッチずつずらして設けたグリル5Eとすれば、破砕物の排出がさらにスムースなものとなる。また、破砕機は二軸式のものについて説明したが、図4に示すように、回転軸の回転方向に歯先を向けて櫛状部材50を連設した一軸式の破砕機1Eとしても、前述とほぼ同様の作用・効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明における実施の形態の破砕機を示す縦断面図。
【図2】図1の破砕機に配設されるグリルの平面図。
【図3】図2のグリルの変形例を示す平面図。
【図4】本発明の破砕機を一軸式とした場合を示す縦断面図。
【図5】従来例の破砕機を示す縦断面図。
【図6】図5の破砕機のグリルの平面図。
【図7】図5の破砕機において破砕物の紐状部が排出孔間を跨いで掛かった状態を示す縦断面図。
【図8】図7の破砕機のグリルの平面図。
【図9】異なる従来例の破砕機を示す縦断面図。
【図10】図9の破砕機のグリルの平面図。
【図11】さらに異なる従来例の破砕機を示す縦断面図。
【図12】図11の破砕機のグリルの平面図。
【符号の説明】
【0028】
1A,1E 破砕機、3,4 回転刃、3a,4a 刃部、5A,5E グリル、5a 排出孔、12 フック、50 櫛状部材、51 櫛歯、52 傾斜部
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業廃棄物などの廃材を減容積や再利用の目的で破砕するための破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、木材、紙材或いは金属、ガラス、合成樹脂などからなる廃材を減容積や再利用の目的で所望のサイズに破砕するために破砕機が用いられており、例えば実公昭58―6502号に提示されているように回転軸に刃部を周設した二本の回転刃を備え互いに噛み合うその刃部で廃材を剪断・破砕する二軸式のものと、実開昭47−13769号に提示されているように刃部を周設した一本の回転刃と機体側に固定された固定刃とを備え、回転刃と固定刃とで廃材を剪断・破砕する一軸式のものが知られている。
【0003】
前者の二軸式破砕機は、図5に示す破砕機1Bの縦断面図およびそのグリル5Bの平面図に示すように、二本の回転刃3,4の下方にグリル(スクリーン)5Bを配置し、互いに噛み合う刃部3a,4aにより破砕された破砕物のうち、グリル5Bの排出孔5bよりも大きくこれを通過せずにグリル5B表面に残存する切片を、刃部3a,4aの外周面側に突設させたフック12により掬い上げて互いに噛み合う刃部3a,4aの上方に搬送して再破砕を行い、最終的に排出孔5bよりも小さな切片の破砕物を得るものとしている。また、後者の一軸式破砕機も同様に、グリル表面に残存する切片を再破砕して所定サイズ以下の切片を得るものとしている。
【0004】
しかし図7,8に示すように、ビニール材のように引き延ばされて紐状になる破砕物がグリル5Bの2つの排出孔5b,5bに跨ってはまり込みこれを詰まらせることがある。そのため、破砕物がグリル5Bの下方に落下しにくくなって、所望サイズの切片を得るために何度も破砕作業を繰り返すことで作業効率が悪化したり、得られる切片が所望のサイズよりも小さくなったりすることがある。また、排出孔5bが詰まることにより回転刃3,4の回転抵抗が過大となって駆動部を損傷したり、目詰まりした破砕物を定期的に除去する作業が必要となったりして、メンテナンスコストが嵩む結果となる。
【0005】
そこで、特開平11−42439号公報には、図9の縦断面図に示すような一軸式の破砕機1Cにおいて、回転刃4Cの刃部4cの先端をグリル5C表面に押し付けた状態で回転させ、破砕物を強制的に除去して排出孔5bの目詰まりを解消するものが提示されている。これにより、複数の排出孔5bに跨った廃材を回転刃4cで引っ掛けて強制的に除去することができる。しかし、斯かる破砕機1Cは、刃部4cの回転方向に沿う紐状部材を除去しにくいことに加え、古タイヤのように内部にワイヤを有する廃材の場合など、細く強靱な紐状部が排出孔5b,5b間を跨いで掛かった場合には対応が困難となりやすい。
【0006】
これに対し、特開2001−121017号公報には、図11,12に示すように、隣接する排出孔5b間を排出溝で連結した形状の排出孔5cとすることにより、紐状部を有する破砕物が跨いで掛かることを回避するものとした破砕機1Dが提示されている。しかしながら、この排出溝を有する排出孔5cの向きが、刃部4cの回転方向に沿うものであるため、破砕物の紐状部が回転刃4Cの回転方向に沿って互いに平行な排出孔5c,5cを跨ぎ回転刃4cの回転方向に対し直角方向に掛かった場合には、排出孔5cから排出されにくいという欠点がある。
【0007】
一方、対象物を所定サイズに篩い分けるための振動スクリーンの分野においては、篩い用のスクリーンについて、一方の長辺を櫛歯状とした帯状の櫛状部材を同一方向に連設して形成したフィンガースクリーンが周知であり、振動を与えることにより櫛歯の先端方向に向かって対象物を移動させながら篩い落とすものとして、篩い分け作業を効率的なものとしている。
【特許文献1】実公昭58―6502号
【特許文献2】実開昭47−13769号
【特許文献3】特開平11−42439号公報
【特許文献4】特開2001−121017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであり、破砕後にグリルの排出孔を目詰まりさせやすい廃材であっても、所望サイズの破砕物がスムースにグリルを通過するものとして廃材を効率的に破砕処理できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、刃部を周設した回転軸を所定の動力で回転させて廃材を破砕する回転刃と前記回転刃の下方に配設され所定サイズ以下に破砕された破砕物を通過させる排出孔を有するグリルとを備えた破砕機において、前記グリルが、前記回転刃に沿って配置される略樋状であって一方の長辺に櫛歯を有する帯状の櫛状部材が前記櫛歯の向きを前記回転刃の回転方向に略一致させるとともに前記櫛歯を跨ぐ破砕物の紐状部を通過・排出させるための隙間を前記櫛歯先端側に有するように前記回転刃の回転方向に沿って連設した。
【0010】
これにより、紐状部を有する破砕物が櫛歯を跨いで掛かるような場合であっても、回転刃の回転等により櫛状部材の櫛歯先端側の隙間まで紐状部が移動して破砕物がスムースにグリルを通過できるものとなる。
【0011】
また、そのグリルを構成する櫛状部材を、前記櫛歯を設けた側とは反対の端部側が所定の幅および所定の角度で下方向に屈曲されて傾斜面を形成するものとすれば、回転軸の回転で押された破砕物がその櫛状部材の端部側に掛かることによる目詰まりを回避するとともに、連続する櫛状部材同士を近接して配置或いは部分的に重ねて配設しても紐状部が通過するための隙間を確保できるものとなる。
【0012】
更に、上述した破砕機において、連続する櫛状部材の櫛歯の各先端が互いに半ピッチずつずらした状態で設けられているものとすれば、破砕物の排出がさらにスムースなものとなる。
【0013】
さらにまた、上述した回転刃を二軸式のものとし、それぞれ櫛状部材の歯先を外側に向けて対称方向とされた2枚のグリルが連設されたものとすれば、より効率的に廃材を破砕処理することが可能となる。
【0014】
加えて、上述した破砕機において、櫛状部材の櫛歯を先端側の幅と基端側の櫛歯の間隔とが略同一とされ略台形状に突出しているものとすれば、櫛歯に掛かった破砕物の紐状部が櫛歯先端側に形成された隙間に移動しやすいものとなる。
【発明の効果】
【0015】
帯状の櫛状部材を櫛歯先端側に隙間を有するように連設して樋状にグリルを形成した本発明によると、紐状部を有する破砕物が排出孔を詰まらせることなくスムースにグリルを通過するものとなり、廃材を効率的に破砕処理することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明すると、図1は本実施の形態の破砕機1Aの縦断面図を示しており、図2はそのグリル5Aの平面図を示している。
【0017】
破砕機1Aは、基本的構成は先述した図5に示す従来の破砕機1Bとほぼ同様の二軸式の破砕機であり、その二本の回転刃3,4の下方に設けられたグリル5Aの構成に特徴があるものであり、全体の構成についての詳細な説明は省略する。
【0018】
そして、グリル5Aは、二本の横向き略円柱状の回転刃3,4の回転による外周面から、所定の間隔を有して配置された樋状の二枚のグリルが連設されてなるものであり、これを構成する複数の帯状の櫛状部材50が、その先端側である歯先側と隣り合う櫛状部材50の基端側との間に所定の隙間を有して配置されている。
【0019】
また、図2に示すように、グリル5Aを構成する櫛状部材50は、帯状の板材の一方の長辺に連続する櫛歯51が設けられており、その櫛歯51のある側である先端側とは反対の端部である基端側が、取付け状態で下向き(回転軸の遠心方向)に所定の幅および所定の角度で屈曲されて傾斜部52を形成し、縦断面視「へ」字状を呈している(図1参照)。
【0020】
そして、中央が上向きに突出し縦断面視略富士山状の中央分岐部材60の左右側に、複数の櫛状部材50が歯先をそれぞれ左右外側に向けて樋状とされているとともに、隣り合う櫛状部材50,50の先端側と基端側とが回転軸3,4の中心方向から見て重畳するように配設され、この重畳部において櫛状部材50の基端側である傾斜部52により充分な隙間を両櫛状部材50,50間に有したものとしている。
【0021】
このように、櫛状部材50が回転軸3,4の回転方向に歯先を向けた状態で連設されて、隣り合う櫛状部材50の隙間および各櫛歯51,51の間隔で排出孔5aを形成している。そして、回転刃3,4のフック12に押された所定サイズ以下の破砕物が、主として櫛歯51,51の間隔からグリル5Aを通過して排出されるものである。
【0022】
そして、例えば古タイヤを破砕した場合のように、破砕物同士がワイヤなどの紐状部で繋がっている場合に、これが櫛歯51を跨いで掛かった場合であっても、フック12等で押されて櫛状部材50の先端側と次の櫛状部材50の基端側とで形成される隙間を紐状部材が通過するため、排出孔5aを目詰まりさせる心配がないものとなる。
【0023】
また、図2のグリル5Aの平面図に示すように、櫛歯51はその先端側の幅と基端側の間隔、およびその高さが略同一の台形状に突出しており、櫛歯51を跨いで掛かった紐状部が先端側に移動しやすいようになっており、例えばフック12に押されなくても振動によっても先端側に移動するようになっている。
【0024】
さらに、櫛状部材50の基端側が下向きとされた傾斜部52とされていることで、押された破砕物が傾斜部52の傾斜面に当接して滑ることで基端側に引っ掛かりにくいものとなっており、排出孔5aがさらに目詰まりの生じにくいものとなっている。
【0025】
以上、述べたように、互いに隣り合う櫛状部材50,50を先端側と基端側との間に隙間を設けて連設した本実施の形態によると、古タイヤやビニール材など破砕により紐状部を形成する廃材であっても、排出孔を目詰まりさせることなく所望サイズの破砕物としてスムースに排出することができ、効率的に破砕処理できるものである。
【0026】
尚、上述した実施の形態において、グリル5Aを、図3に示すように連続する櫛状部材の櫛歯51の各先端を互いに半ピッチずつずらして設けたグリル5Eとすれば、破砕物の排出がさらにスムースなものとなる。また、破砕機は二軸式のものについて説明したが、図4に示すように、回転軸の回転方向に歯先を向けて櫛状部材50を連設した一軸式の破砕機1Eとしても、前述とほぼ同様の作用・効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明における実施の形態の破砕機を示す縦断面図。
【図2】図1の破砕機に配設されるグリルの平面図。
【図3】図2のグリルの変形例を示す平面図。
【図4】本発明の破砕機を一軸式とした場合を示す縦断面図。
【図5】従来例の破砕機を示す縦断面図。
【図6】図5の破砕機のグリルの平面図。
【図7】図5の破砕機において破砕物の紐状部が排出孔間を跨いで掛かった状態を示す縦断面図。
【図8】図7の破砕機のグリルの平面図。
【図9】異なる従来例の破砕機を示す縦断面図。
【図10】図9の破砕機のグリルの平面図。
【図11】さらに異なる従来例の破砕機を示す縦断面図。
【図12】図11の破砕機のグリルの平面図。
【符号の説明】
【0028】
1A,1E 破砕機、3,4 回転刃、3a,4a 刃部、5A,5E グリル、5a 排出孔、12 フック、50 櫛状部材、51 櫛歯、52 傾斜部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃部を周設した回転軸を所定の動力で回転させて廃材を破砕する回転刃と前記回転刃の下方に配設され所定サイズ以下に破砕された破砕物を通過させる排出孔を有するグリルとを備えた破砕機において、前記グリルが、前記回転刃に沿って配置される略樋状であって一方の長辺に櫛歯を有する帯状の櫛状部材が前記櫛歯の向きを前記回転刃の回転方向に略一致させるとともに前記櫛歯を跨ぐ破砕物の紐状部を通過・排出させるための隙間を前記櫛歯先端側に有するように前記回転刃の回転方向に沿って連設したことを特徴とする破砕機。
【請求項2】
前記櫛状部材は、前記櫛歯を設けた側とは反対の端部側が所定の幅および所定の角度で下方向に屈曲されて傾斜面を形成している請求項1に記載の破砕機。
【請求項3】
互いに隣り合う前記櫛状部材の櫛歯の各先端が、互いに半ピッチずつずらした状態で設けられている請求項1または2に記載の破砕機。
【請求項4】
前記回転刃が二軸式であって、前記櫛状部材の刃先をそれぞれ外側に向けて対称とされた2枚のグリルが連設されている請求項1,2または3に記載の破砕機。
【請求項5】
前記櫛状部材における前記櫛歯が先端側の幅と基端側の前記櫛歯の間隔とが略同一で略台形状に突出している請求項1,2,3または4に記載の破砕機。
【請求項1】
刃部を周設した回転軸を所定の動力で回転させて廃材を破砕する回転刃と前記回転刃の下方に配設され所定サイズ以下に破砕された破砕物を通過させる排出孔を有するグリルとを備えた破砕機において、前記グリルが、前記回転刃に沿って配置される略樋状であって一方の長辺に櫛歯を有する帯状の櫛状部材が前記櫛歯の向きを前記回転刃の回転方向に略一致させるとともに前記櫛歯を跨ぐ破砕物の紐状部を通過・排出させるための隙間を前記櫛歯先端側に有するように前記回転刃の回転方向に沿って連設したことを特徴とする破砕機。
【請求項2】
前記櫛状部材は、前記櫛歯を設けた側とは反対の端部側が所定の幅および所定の角度で下方向に屈曲されて傾斜面を形成している請求項1に記載の破砕機。
【請求項3】
互いに隣り合う前記櫛状部材の櫛歯の各先端が、互いに半ピッチずつずらした状態で設けられている請求項1または2に記載の破砕機。
【請求項4】
前記回転刃が二軸式であって、前記櫛状部材の刃先をそれぞれ外側に向けて対称とされた2枚のグリルが連設されている請求項1,2または3に記載の破砕機。
【請求項5】
前記櫛状部材における前記櫛歯が先端側の幅と基端側の前記櫛歯の間隔とが略同一で略台形状に突出している請求項1,2,3または4に記載の破砕機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−29908(P2007−29908A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219798(P2005−219798)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000005924)株式会社三井三池製作所 (43)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000005924)株式会社三井三池製作所 (43)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]