説明

硫化剤およびオリゴヌクレオチドを合成するためのその使用

P−S−R結合を含む少なくとも1個のインターヌクレオチド結合と少なくとも2個のヌクレオシドとを有するオリゴヌクレオチドであって、Rが、式(I)
【化1】


(式中、Aは、ジェミナル置換されたアルキレン基、好ましくはCHであり、XおよびYは、SおよびOから独立に選択され、Rは、場合により置換された炭素に結合した有機残基(特に、場合により置換されたアルキルまたはアリール等)、SRx、ORx、およびNRxRy(式中、Rxおよび/またはRyは、Hおよび有機残基から選択され、少なくともRxはH以外の置換基である)からなる群から選択される)に相当する、オリゴヌクレオチド。本発明の他の目的は、オリゴヌクレオチドの製造に有用な硫化剤およびその製造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年12月23日に出願された米国仮特許出願第61/140391号明細書の利益を主張するものであり、その全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0002】
本発明は、ホスホロチオエート型オリゴヌクレオチド、新規な硫化剤を用いたその調製、上記硫化剤、およびその調製に関する。
【背景技術】
【0003】
オリゴヌクレオチドは様々な疾患(幾つか例を挙げると、癌、ウイルス感染、炎症性疾患等)の治療に幅広い可能性を持つバイオ医薬品に分類される。治療学におけるオリゴヌクレオチドを発展させる重要な手法には、特に、代謝抵抗性や化学的安定性を付与すると共に、生体内における作用部位への運搬を改善するためにオリゴマー骨格を修飾することが含まれる。修飾された骨格の化学的種類としては、例えば、ペプチド核酸(PNA)(ニールセン(Nielsen)、Methods Mol. Biol.、208、pp.3〜26、2002年参照)、ロックド核酸(LNA)(ペテルセン(Petersen)およびベンゲル(Wengel)、Trends Biotechnol.、21(2)、pp.74〜81、2003年参照)、ホスホロチオエート(エクスタイン(Eckstein)、Antisense Nucleic Acid Drug Dev.、10(2)、pp.117〜21、2000年参照)、メチルホスホネート(チビヤナサン(Thiviyanathan)ら、Biochemistry、41(3)、pp.827〜38、2002年参照)、ホスホロアミデート(グリャーズノフ(Gryaznov)、Biochem.Biophys.Acta、1489(1)、pp.131〜40、1999年;プルーザン(Pruzan)ら、Nucleic Acids Res.、30(2)、pp.559〜68、2002年参照)、チオホスホロアミデート(グリャーズノフら、Nucleosides Nucleothides Nucleic Acids、20(4〜7)、pp.401〜10、2001年;ハーバート(Herbert)ら、Oncogene、21(4)、pp.638〜42、2002年参照)が挙げられる。ホスホロチオエートの形成は、P=OをP=S部分で置換することによってオリゴヌクレオチドに核酸分解耐性が付与される一方で、ほとんどの場合は天然のオリゴマーの生物学的特性は維持されることから、最も有用な修飾に属する。
【0004】
ホスホロチオエートは酸化的硫化(oxidative sulfurization)によって形成することができる(オリゴヌクレオチド合成、方法、および応用(Oligonucleotide synthesis,methods and applications、P・ハーダウイジン(P.Herdewijn)、分子生物学の手法(Methods in Molecular Biology)、第288巻、第4章、pp.51〜63)。ホスホロチオエートの作製には、この反応に使用される亜リン酸エステルの性質および期待される生成物に応じて基本的に2種類の手法がある。そのうちの1つは、例えば、元素状硫黄、ジベンゾイルテトラスルフィド、3−H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン1,1−ジオキシド(ビューケージ(Beaucage)試薬としても周知(アイヤー(Iyer)ら、J.Org.Chem.、55、pp.4693〜4699(1990))、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、ジメチルチウラムジスルフィド(DTD)、フェニルアセチルジスルフィド(PADS)、およびビス(O,O−ジイソプロポキシホスフィノチオイル)ジスルフィド(ステック試薬(Stec’s reagent)として周知を用いることによって無置換の硫黄原子をリンに導入することを含む。これらの反応のほとんどは、ホスホロアミダイト法により固体支持体上でオリゴヌクレオチドを自動合成する際に用いられ、オリゴマー伸長反応の際に形成される亜リン酸トリエステルを酸化的硫化することが含まれる。
【0005】
ホスホロチオエートオリゴマーを作製するための第2の手法は、H−ホスホネート法と一緒に用いられ、これは、脂肪族または芳香族置換基を有する硫黄原子をリンに転移させる、H−ホスホン酸ジエステルと硫黄転移試薬(sulfur transfer reagent)との反応を含むものである。硫黄上の補助的な置換基は合成操作中に保護基の役割を果たし、通常は、オリゴヌクレオチド調製の最終段階で切断される。この方法は溶液中におけるオリゴヌクレオチド合成に特に適している。
【0006】
無置換の硫黄原子を亜リン酸エステルに導入するために利用可能な試薬の選択肢が幅広いこととは対照的に、保護された硫黄でH−ホスホン酸エステルを硫化することが可能な基の範囲は限られている(例えば、ドリーフ(Dreef)ら、Synlett、pp.481〜483、1990年、米国特許第6,506,894号明細書)。実際、各ステップでクロマトグラフィー精製を用いたオリゴヌクレオチドの液相合成におけるこの反応にはシアノエチルスルフィド基のみが幅広く使用されている。オリゴヌクレオチドの液相合成の重大な問題点は、基質の高い転化率を達成しながら、各合成ステップにおける精製の簡素化を促す(特にクロマトグラフィーを回避する)形態にある生成物を高純度で与える極めて優れた特異性を得ることが求められていることに関連している。経済的な液相合成を可能にする方法が存在しないことを考えると、現時点において液相技法は商業規模のオリゴヌクレオチド合成に用いられないようである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで本発明は、新規な硫化剤、その製造方法、ならびに経済的かつ簡便な、特に溶液中におけるホスホロチオエート型オリゴヌクレオチドの合成および精製におけるその使用を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の開示
本発明は、特に、添付の特許請求の範囲に記載する発明に関する。本発明はまた、本明細書、特に実施例に実質的に記載する方法および試薬にも関する。
【0009】
本発明は、P−S結合を形成する既存の方法と比較して、特にオリゴヌクレオチドの合成(好ましくはH−ホスホネート法を介して実施される)に関し多くの利点を有する。例えば、この新規な試薬を用いて例えばオリゴヌクレオチドに転移される残基Rは、オリゴヌクレオチドの晶析または沈殿を促進することができ、クロマトグラフィーを最小限にするかまたは一切用いることなく生成物を簡便に精製することを可能にする。この方法により作製された2個〜少なくとも16個のヌクレオチド単位を有するオリゴヌクレオチドは、必要とされるオリゴヌクレオチドを最終的に脱保護し終えるまでクロマトグラフィーで精製する必要がないことが判明した。この中間体であるオリゴマーは、所望に応じて5’および3’位を場合により脱保護し、さらにこの脱保護された粗生成物をより重合度の高いオリゴヌクレオチドに結合させるのに十分な純度で得ることができる。他の利点においては、クロマトグラフィーを用いない簡便な精製の効率を最大限にすることに関し改質された性質を有するオリゴヌクレオチドを形成するために使用することができる様々な硫化剤が本開示方法により得られる。本発明による方法のさらなる他の利点は、例えば硫黄を保護するアシルオキシメチレン基RC(O)−OCH2の簡便な切断を、温和な条件下で、例えば第1級または第2級またはヒンダードアミン、例えばn−プロピルアミンまたはtert−ブチルアミンを用いて容易に達成できることにある。アミンを用いた任意的な処理を行うと、硫黄−メチレン基等の自発的な切断が起こり、したがって、完全な(clean)P=S結合の形成が可能になる。この切断生成物は溶媒または水で洗浄することによって生成物から容易に除去することができる。例えばアシルオキシメチレン基は例えば塩基性非求核条件下において安定性を有するので、合成経路に沿った選択的脱保護反応を行うことが可能になり、したがって、例えば核酸塩基保護基の切断を阻止することによって、合成スキームの柔軟性がより高くなる。
【0010】
オリゴヌクレオチドを特に溶液中で合成する経済的なプロセスを開発するための重要な要素は、オリゴヌクレオチド鎖伸長の各ステップにおける変換生成物の純度である。例え本発明による方法が高い収率および純度を確保しても、各伸長サイクルは通常3回のステップを含むので、そのままでは途中で蓄積されてしまうであろう不純物を少量でさえも除去することは有利である。ステップの回数が多いことから、各ステップでクロマトグラフィーを用いることは実際の大規模なオリゴヌクレオチド合成においては経済的に実現不可能であろう。したがって、本発明者らはまた、鎖伸長プロセス中に形成されるオリゴヌクレオチドを精製するためのクロマトグラフィーを用いない方法論も開示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の具体的な第1の目的は、P−S−R結合を含む少なくとも1個のインターヌクレオチド結合と少なくとも2個のヌクレオシドとを含むオリゴヌクレオチドであって、Rが、式(I)
【化1】

(式中、Aは、ジェミナル置換されたアルキレン基、好ましくはCH2であり、XおよびYは、SおよびOから独立に選択され、R0は、場合により置換された、炭素に結合した有機残基(特に、場合により置換されたアルキルまたはアリール等)、SRx、ORx、およびNRxRy(式中、RxおよびRyは、Hおよび有機残基から選択され、少なくともRxはH以外の置換基である)からなる群から選択される)に相当する、オリゴヌクレオチドを提供することにある。
【0012】
本発明によるオリゴヌクレオチドは溶解性に関し有利な性質を有しており、したがって、例えば沈殿および抽出技法を併用することにより効率的な精製を効果的に達成することができる、P−硫化オリゴヌクレオチド合成の有益な合成中間体であることが判明した。本発明によるオリゴヌクレオチドはまた、人体または動物の体内でR基を切断することによって生体内でホスホロチオエート型オリゴヌクレオチドを放出することができるプロドラッグとしても有効であると考えられている。
【0013】
本発明の範囲における「オリゴヌクレオチド」という用語は、特に核酸塩基に結合した糖単位を含むヌクレオシドモノマー単位のオリゴマーを指し、上記ヌクレオシドモノマー単位はインターヌクレオチド結合によって結合している。「インターヌクレオチド結合」とは、特に、天然の核酸中に典型的に存在するホスホジエステル結合または合成核酸および核酸類縁体中に典型的に存在する他の結合等の、2個のヌクレオシド部分の間の化学結合を指す。このようなインターヌクレオチド結合は、例えばリン酸または亜リン酸基を含んでいてもよく、このリン酸または亜リン酸基の1個またはそれ以上の酸素原子が置換基で修飾されているかまたは他の原子(例えば、硫黄原子またはモノ−もしくはジアルキルアミノ基の窒素原子)に置き換えられているかのいずれかである結合を含んでいてもよい。典型的なインターヌクレオチド結合は、リン酸のジエステルまたはその誘導体、例えば、リン酸エステル、チオリン酸エステル、ジチオリン酸エステル、ホスホロアミデート、チオホスホロアミデートである。
【0014】
「ヌクレオシド」という用語は、特に、糖に結合した核酸塩基からなる化合物を指すと理解される。糖としては、これらに限定されるものではないが、リボース、2’−デオキシリボース等のフラノース環およびシクロヘキセニル、アンヒドロヘキシトール、モルホリノ等の非フラノース環(non−furanose ring)が挙げられる。以下に示すヌクレオシド中の糖の修飾、置換、および位置はフラノース環を参照して議論するものであるが、同一の修飾および位置が他の糖環の類似の位置にも適用される。糖はさらに修飾されていてもよい。糖の非限定的な修飾の例として、特に、例えば2’または3’位、特にフラノシル糖環の2’位の修飾(例えば、水素、ヒドロキシ、アルコキシ(メトキシ、エトキシ、アリルオキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、メトキシエチル、アルコキシ、フェノキシ等)、アジド、アミノ、アルキルアミノ、フルオロ、クロロおよびブロモ等)、2’−4’−および3’−4’−に結合したフラノシル糖環の修飾、フラノシル糖環内の修飾(例えば、環4’−OのS、CH2、NR、CHF、またはCF2による置換等)等を挙げることができる。
【0015】
「核酸塩基」という用語は、特に相補的な核酸塩基または核酸塩基アナログと対合することができる、特に窒素を含有する複素環式部分を指すと理解される。典型的な核酸塩基は、天然の核酸塩基(プリン塩基であるアデニン(A)およびグアニン(G)ならびにピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)、およびウラシル(U)等)ならびに他の合成および天然核酸塩基等の修飾された核酸塩基(5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミン、および2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシン、ならびにピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6−アゾウラシル、シトシン、およびチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシル、および他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチル、および他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノ−アデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニン、3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニン、ならびにフッ素化された塩基等)である。さらなる修飾された核酸塩基としては、フェノキサジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾキサジン−2(3H)−オン)、フェノチアジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾチアジン−2(3H)−オン)等の三環性ピリミジン、置換フェノキサジンシチジン(例えば、9−(2−アミノエトキシ)−H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾオキサジン−2(3H)−オン)、カルバゾールシチジン(2H−ピリミド[4,5−b]インドール−2−オン)、ピリドインドールシチジン(H−ピリド[3’,2’:4,5]ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−オン)等のG−クランプ(G−clamp)が挙げられる。他に可能性のある好適な塩基としては、ユニバーサル塩基、疎水性塩基、非特異的塩基(promiscuous base)、および伸長された(size−expanded)塩基が挙げられる。
【0016】
「オリゴヌクレオチド」は、典型的には、約2〜約50個の連続したサブユニットを有するヌクレオシドサブユニットポリマーを指す。ヌクレオシドサブユニットは、様々なサブユニット間結合によって結合することができる。さらに、「オリゴヌクレオチド」には、当業者に周知の、糖骨格(例えば、ホスホロアミデート、ホスホロジチオエート)、糖(例えば、2’−F、2’−OMe等の2’置換)、塩基、ならびに3’および5’末端の修飾が包含される。典型的には、本発明におけるオリゴヌクレオチドは、2〜30個のヌクレオチドを含む。本発明の異なる実施形態においては、オリゴヌクレオチドは、リボヌクレオシド、2’−デオキシリボヌクレオシド、2’−置換リボヌクレオシド、2’−4’−ロックド(locked)−リボヌクレオシド、3’−アミノ−リボヌクレオシド、3’−アミノ−2’−デオキシリボヌクレオシドから選択されるヌクレオシドを含む。
【0017】
本発明の一部のオリゴヌクレオチドにおいては、Rは、メチレンアシルオキシ基、メチレンカーボネート基、およびメチレンカルバメート基から選択される。
【0018】
Rがメチレンアシルオキシ基である場合、これは、好ましくは、式−CH2−O−C(O)−R0(式中、R0は、飽和、不飽和、複素環式、または芳香族のC1〜C20炭化水素残基である)に相当する。R0が飽和炭化水素残基である場合は、好ましくは直鎖、分岐、または環式アルキル残基から選択される。R0は、例えば、低級アルキルまたはシクロアルキル(C1〜C7)残基から選択してもよい。具体的な飽和炭化水素残基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert.ブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルから選択される。メチル、エチル、またはn−プロピル基が好ましい。その中でもエチル基が特に好ましい。R0が芳香族残基である場合は、6〜14個の炭素原子を有する芳香族系から適切に選択される。具体的な芳香族残基は、例えば、アリールもしくはヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、複素環、またはヘテロ置換基(ハロゲン、アミン、エーテル、カルボキシレート、ニトロ、チオール、スルホン酸、スルホン等)で置換されていてもよい、フェニルおよびナフチル基から選択される。フェニル基が好ましい。R0が複素環式残基の場合は、環上の炭素原子を介してカルボニル基に結合している、少なくとも1個の環上N、O、またはS原子を含む複素環から選択される場合が多い。この種の複素環式残基の具体的な例としては、ピリジンおよびフランが挙げられる。
【0019】
特定の態様においては、オリゴヌクレオチドは、P−S−R結合を含む少なくとも2個のインターヌクレオチド結合と少なくとも3個のヌクレオチドとを有し、Rは本明細書に記載したメチレンアシルオキシ基である。
【0020】
Rがメチレンカルバメート基である場合は、好ましくは、式−CH2−O−C(O)−NRxRy(式中、RxおよびRyは、アルキルまたは(ヘテロ)アリールから独立に選択される)に相当する。好ましくは、Rxおよび/またはRyはアルキル基である。この場合、Rxおよび/またはRyは、例えば、低級アルキルまたはシクロアルキル(C1〜C7)残基から選択してもよい。具体的なアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tertブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルから選択される。メチル、エチル、またはn−プロピル基が好ましい。特定の好ましい態様においては、メチレンカルバメート基中のRxおよびRyは、両方共アルキル基であり、特に本明細書において上述したものである。その中でもN,N−ジメチルまたはN,N−ジエチル基が特に好ましい。本実施形態の他の態様においては、RxおよびRyは、一緒になって、O、N、およびSから選択されるさらなる環上ヘテロ原子を場合により含む3〜8員環を形成する。具体例としては、N−ピペリジルまたはN−ピロリジル基が挙げられる。
【0021】
Rがメチレンカーボネート基である場合は、好ましくは、式−CH2−O−C(O)ORx(式中、Rxは、場合により置換されたアルキル、シクロアルキル、および(ヘテロ)アリール基から選択される)に相当する。好ましくは、Rxはアルキル基である。この場合、Rxは、例えば、低級アルキルまたはシクロアルキル(C1〜C7)残基から選択してもよい。具体的なアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tertブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルから選択される。メチル、エチル、またはn−プロピル基が好ましい。その中でもエチル基が特に好ましい。Rxがアリール基である場合、6〜14個の炭素原子を有する芳香族系から適切に選択される。具体的な芳香族残基は、フェニルおよびナフチル基から選択される。フェニル基が好ましい。Rxが複素環式残基である場合、環上炭素原子を介してオキシカルボニル基に結合している、少なくとも1個の環上N、O、またはS原子を含む複素環から選択される場合が多い。この種の複素環式残基の具体例としては、ピリジンおよびフランが挙げられる。
【0022】
Rがメチレンアシルオキシ基、メチレンカーボネート基、およびメチレンカルバメート基から選択される場合に本明細書において上に示した置換基Rx、Ry、およびR0の定義および優先順位は、式(I)中のXおよび/またはYが硫黄である場合に対応するチオ類似体にも同様に適用されると理解される。上述した置換基は、例えばハロゲンまたはアルコキシ置換基で場合により置換されていてもよいし、あるいはこれらが例えば懸垂ヘテロ原子(catenary heteroatom)、特に酸素をアルキル鎖中に含むことによって修飾されていてもよいことも理解される。
【0023】
本発明の具体的な第2の目的は、式R”−S−R(式中、Rは、本発明によるオリゴヌクレオチドに関し上記と同義であり、R”は脱離基である)の硫化剤に関する。
【0024】
本発明による硫化剤により、特に効率的な硫黄転移、特にオリゴヌクレオチド中においてS−保護されたホスホロチオエート型インターヌクレオチド結合を形成することが可能になることが見出された。本発明による硫化剤は、そこから保護基を選択的かつ効率的に切断することができる保護された硫黄を導入する。
【0025】
本発明による硫化剤において、脱離基R”は、通常は求電子基である。多くの場合、R”は、硫黄に結合した求電子性窒素原子を含む基である。求電子性窒素原子は、少なくとも1個の電子引き抜き基で適切に置換されている。
【0026】
本発明の硫化剤の特定の実施形態においては、硫化剤は、式(II)
【化2】

(式中、RAおよびRBは、互いに同一であるかまたは異なっており、RAおよびRBのうちの少なくとも1つは置換されたスルホニルまたはアシル基から選択され、上記RAおよびRBは、場合により一緒になって環式置換基を形成する)に相当する。
【0027】
AおよびRBの少なくとも一方(好ましくは一方)が置換されたスルホニルである場合、通常は、アルキルおよびアリールスルホニル基から選択される。RAおよびRBの少なくとも一方がアルキルスルホニル基である(好ましい)場合、その中のアルキル置換基は、好ましくは低級アルキルまたはシクロアルキル(C1〜C7)残基から選択される。具体的なアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルから選択される。メチル、エチル、またはn−プロピル基が好ましい。その中でもメチル基が特に好ましい。RAおよびRBの少なくとも一方がアリールスルホニル基である場合、その中のアリール置換基は、例えば、場合により置換されたフェニル基である。RAおよびRBの少なくとも一方(好ましくは両方)がアシル基である場合は、通常は、アルキルおよびアリールアシル基から選択される。RAおよびRBの少なくとも一方がアルキルアシル基である(好ましい)場合、その中のアルキル置換基は、好ましくは低級アルキルまたはシクロアルキル(C1〜C7)残基から選択される。具体的なアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tertブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルから選択される。メチル、エチル、またはn−プロピル基が好ましい。メチル基がその中でも特に好ましい。特に好ましい実施形態においては、RAおよびRBは、一緒になって環式置換基、好ましくは4〜7員環を形成するアシル基である。
【0028】
特定の実施形態においては、硫化剤は、式(III)
【化3】

(式中、R1、R3、およびR4は、独立に、場合により不飽和または芳香族であるC1〜C20炭化水素残基、好ましくは直鎖または分岐のアルキル基またはシクロアルキル基である)に相当する。
【0029】
本発明によるさらなる特定の硫化剤の実施形態においては、R”はジカルボキシルアミドである。本実施形態の特定の態様においては、硫化剤は、式(IV)
【化4】

(式中、Zは、
−CH2−CH2−、−CH=CH−、−CH2−O−CH2−、
【化5】

から選択される基であり、好ましくは、Zは
【化6】

基である)に相当する。
【0030】
本発明の具体的な第3の目的は、本発明による硫化剤の合成方法であって、(a)ハロゲン化スルフリル、好ましくは塩化スルフリルを、式R−S−C(O)−R2(式中、Rは、上記と同義であり、R2は、有機残基(好ましくは、場合により不飽和または芳香族のC1〜C20炭化水素残基から選択される)である)のチオアセタールと反応させることにより式R−S−W(式中、Wは、ハロゲン、好ましくはClである)の中間体生成物を生成させることと、(b)上記中間体生成物をN−スルホニル化合物またはN−アシル化合物と反応させることとを含む、方法に関する。本発明のより具体的な実施形態においては、チオアセタールは、式R1−C(O)−O−CH2−S−C(O)−R2(式中、R1およびR2は、独立に、場合により不飽和または芳香族のC1〜C20炭化水素残基である)であり、上記チオアセタールは、塩化スルフリルと反応させることによって、式R1−C(O)−O−CH2−S−Cl(式中、R1は、独立に、場合により不飽和または芳香族のC1〜C20炭化水素残基である)の中間体生成物を生成する。本発明の他の特定の実施形態においては、ステップ(b)において、中間体は、式R3−S(O)2−NH−R4(式中、R3およびR4は、独立に、有機残基、好ましくは、場合により不飽和または芳香族のC1〜C20炭化水素残基である)のN−スルホニル化合物と反応される。
【0031】
本発明による硫化剤の合成方法において、ステップ(a)の反応は、通常、非プロトン性極性有機溶媒、例えばハロゲン系炭化水素溶媒等、特に塩化メチレン等の塩素系炭化水素溶媒中で行われる。
【0032】
本発明による硫化剤の合成方法において、ステップ(a)の反応は、通常、−80℃〜30℃の温度で行われる。
【0033】
本発明による硫化剤の合成方法において、ステップ(b)の反応は、通常、非プロトン性極性有機溶媒、例えばハロゲン系炭化水素溶媒等、特に塩化メチレン等の塩素系炭化水素溶媒中で行われる。
【0034】
本発明による硫化剤の合成方法において、ステップ(b)は、通常は−20℃〜50℃、好ましくは0℃〜30℃の温度で行われる。
【0035】
本発明の具体的な第4の目的は、本発明による硫化剤を用いてオリゴヌクレオチドを製造する方法に関する。
【0036】
通常、本発明による方法は、少なくとも(a)ヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドから選択される2個の反応体の間にリンを含むインターヌクレオチド結合を形成する結合ステップと、(b)本発明による硫化剤を用いて上記リンを含むインターヌクレオチド結合を硫化する硫化ステップとを含む。ステップ(a)および(b)は、硫化されたオリゴヌクレオチドの3’または5’位を脱保護した後に繰り返してもよい。
【0037】
上記製造方法のステップ(a)は、好ましくは、H−ホスホン酸モノエステル塩を、遊離ヒドロキシ基を有する保護されたヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドと結合させることによってH−ホスホン酸ジエステル結合を形成することを含む。結合は、好ましくは液相で実施される。
【0038】
ステップ(a)は、好ましくは、非プロトン性極性有機溶媒、例えばハロゲン系溶媒または窒素含有溶媒、より詳細にはN−複素環式溶媒または塩素系炭化水素、よりさらに詳細にはアセトニトリルおよびピリジン、好ましくはピリジン中で行われる。H−ホスホン酸ジエステルを形成する反応は、好ましくは、カルボン酸ハロゲン化物、特に塩化ピバロイルによって活性化される。
【0039】
ステップ(a)は、通常、−40℃〜30℃、好ましくは0℃〜20℃の温度で行われる。
【0040】
本発明による方法のステップ(a)およびその具体的な実施形態においては、液体反応媒体は、通常、反応媒体の総質量に対し少なくとも20質量%のH−ホスホネートオリゴヌクレオチドを含む。好ましくは、この含有量は少なくとも20質量%である。液体反応媒体は、通常、H−ホスホネートオリゴヌクレオチドを反応媒体の総質量に対し最大で50質量%含む。
【0041】
ステップ(a)の結合生成物、特にH−ホスホン酸エステルは、ステップ(b)において単離して硫化してもよい。また、これは、好ましくは単離を行うことなくステップ(b)で使用してもよい。形成されたジエステルの硫化は、硫化剤を適切な溶媒に適切に溶解してその場で添加するかまたは形成されたジエステルを反応混合物から予備精製した後に実施してもよい。
【0042】
ステップ(b)は、好ましくは非プロトン性極性有機溶媒、例えば、ハロゲン系炭化水素溶媒、特に塩化メチレン等の塩素系炭化水素溶媒を含む溶媒中で実施される。特定の態様においては、ステップ(b)は、ハロゲン系炭化水素溶媒および窒素含有溶媒、より詳細にはN−複素環式溶媒、好ましくはピリジンを含む溶媒混合物中で行われる。特に、ステップ(a)の結合生成物を単離することなく硫化する場合は、ピリジン/塩化メチレン混合物がその中でも特に好ましい。
【0043】
ステップ(b)は、通常、−40℃〜30℃、好ましくは0℃〜20℃の温度で行われる。
【0044】
ステップ(b)において、硫化すべきインターヌクレオチド結合の量に対する硫化剤のモル比は、通常は少なくとも1であり、多くの場合は1.5〜4.0、好ましくは2.0〜3.0である。
【0045】
ステップ(b)において、中間体であるH−ホスホン酸ジエステルは、好ましくは活性化剤、特に塩基により活性化される。好適な塩基としては、アルキルアミン、特に第3級アルキルアミンが挙げられ、ジイソプロピルエチルアミンが好ましい。
【0046】
第5の態様において、本発明は、本明細書において上述した少なくとも1個のP−S−R結合を有する本発明によるオリゴヌクレオチドを精製する方法に関する。本態様の一実施形態においては、この方法は、少なくとも第2のオリゴヌクレオチドを沈殿させることを含む。より具体的な実施形態においては、この方法は、第2のオリゴヌクレオチドを、特に沈殿ステップから回収した固体物質から、溶媒を用いて抽出することをさらに含む。抽出に好適な溶媒としては、極性有機溶媒が挙げられる。
【0047】
この精製は、上述の方法に従い得られた保護されたオリゴヌクレオチドに沈殿および抽出技法を併用することにより効果的に達成することができることが見出された。正確な沈殿条件は、オリゴヌクレオチドの所与の配列および長さにより決定することができる。沈殿方法は、通常は、(a)オリゴヌクレオチドを極性有機溶媒に溶解することと、(b)溶液が濁るまで非極性有機溶媒を加えることとを含む。
【0048】
本発明によるオリゴヌクレオチドを、通常は沈殿させることによって単離および精製できることが見出された。
【0049】
ステップ(a)においてオリゴヌクレオチドの溶解に使用される溶媒は、好ましくは塩化メチレンやクロロホルム等のハロゲン系炭化水素、アセトニトリルやピリジン等の窒素含有溶媒、およびアセトン等のカルボニル含有溶媒から選択される。
【0050】
通常、ステップ(a)において使用される溶媒の量は、約0.5(n+1)mL〜約2.0(n+1)mLの範囲にある。好ましくは、約1.0(n+1)mLであり、nはホスホロチオエートトリエステル結合のミリモル数である。
【0051】
第2のオリゴヌクレオチドの溶液は、好ましくは、炭化水素、例えばヘキサン等のアルカン溶媒、エーテル溶媒、特にMTBE、およびその混合物(好ましくは、ヘキサン/MTBE混合物)から選択される非極性有機溶媒で溶液が濁るまで処理される。他の特定の実施形態においては、濁った溶液は、次いで沈殿剤で処理される。
【0052】
この場合、沈殿剤は、通常は不活性多孔質固体から選択され、好ましくは、セライト(Celite)、木炭、木材セルロース、およびシリカやアルミナ等のクロマトグラフィー固定相である。
【0053】
この場合、沈殿剤は、通常は約0.25(n+1)g〜約1.5(n+1)gの範囲内の量、好ましくは約0.75(n+1)gが使用され、nは、ホスホロチオエートトリエステル結合のミリモル数である。
【0054】
好ましくは、沈殿剤(precipitation aid)を加えた後の混合物を、本明細書において上述した非極性有機溶媒の第2の画分で処理する。上記画分の量は、通常は、約1(n+1)mL〜約4(n+1)mLの範囲、好ましくは、約2.0(n+1)mLであり、nは、ホスホロチオエートトリエステル結合のミリモル数である。
【0055】
沈殿後、特に沈殿剤を使用した場合は、得られた混合物を通常は固/液分離操作、好ましくは濾過等に付す。オリゴヌクレオチドは、通常、固/液分離操作から回収された固体から、特に沈殿剤から、好ましくはアセトン等のカルボニル型溶媒、アセトニトリル等の窒素含有溶媒、および塩化メチレンやクロロホルム等のハロゲン系炭化水素から選択される極性有機溶媒を用いて抽出することにより回収される。
【0056】
上の沈殿処理から得られたオリゴヌクレオチドは、有機溶媒および水で分液することによりさらに精製してもよい。一般に、このステップは、水層に溶解する極性不純物を生成物から分離するものである。この実施形態においては、オリゴヌクレオチドは、有機溶媒、特に、アセトニトリル、DMF等のホルムアミド、およびピリジン等のN−複素環から選択される窒素含有溶媒、アセトン等のカルボニル型溶媒、またはTHF、またはDMSO等の極性有機溶媒に適切に溶解される。
【0057】
使用される有機溶媒の量は、通常は2.0(n+1)mL〜8.0(n+1)mLの範囲内、好ましくは約4.0(n+1)mLであり、nは、ホスホロチオエートトリエステル結合のミリモル数である。溶液は、水性媒体、特に水で処理される。使用される水性媒体の量は、通常は有機溶媒の約0.5体積当量〜有機溶媒の約1.5体積当量、普通は有機溶媒の約0.7体積当量である。水性媒体で処理した後は、通常はオリゴヌクレオチド含有層を分離し、適切であれば、精製されたオリゴヌクレオチドを得るためにさらに処理してもよい。
【0058】
本発明の具体的な第6の目的は、少なくとも1個のホスホチオエート基を有する第2のオリゴヌクレオチドを生成させる方法であって、(a)本発明による第1のオリゴヌクレオチドを提供することと、(b)少なくとも1個のR基を上記第1のオリゴヌクレオチドから切断することによって少なくとも1個のチオリン酸エステル結合を有する上記第2のオリゴヌクレオチドを生成させることとを含む、方法に関する。本発明の特定の幾つかの実施形態においては、R基は、第1のオリゴヌクレオチドを、溶液中で、塩基(好ましくは、アルキル、シクロアルキル、および芳香族アミンから、より好ましくは、第1級、例えば第1級アルキルアミン(ここでアルキル基は、好ましくはC1〜C8直鎖もしくは分岐のアルキルから選択される同一または異なる置換基を有する)または第2級アルキルアミンから、最も好ましくは、n−プロピルおよびtert−ブチルアミンから選択される)と反応させることによって切断され、好ましくは、塩基は第1級ヒンダードアミンである。
【0059】
特定の実施形態においては、本発明の第6の態様による切断は、立体障害塩基および活性化剤、通常はN−複素芳香族塩基の存在下に行われる。好ましくは、活性化剤は、1,2,4−トリアゾールまたは他のトリアゾールおよびテトラゾール誘導体であり、より好ましくは、この種の活性化剤は、立体障害塩基、特にtert−ブチルアミンと一緒に使用される。
【0060】
S−メチレン−エステル、−カーボネート、または−カルバメート基の脱保護は、例えば、保護されたヌクレオチドを、立体障害塩基(例えばt−ブチルアミン等)を用いて処理することによって達成してもよい。このような嵩高いアミンは、核酸塩基、特にカルボニル酸素が保護されているものとは反応しないので特に選択的である。実際、こうすることにより、起こり得る核酸塩基部分との副反応を制限するかまたは実質的に回避することが可能になる。立体障害アミンの、例えばS−メチレンプロパノエートとの標準的な条件下における反応性を改善するために、活性化剤を適切に添加してもよいことが見出された。好適な活性化剤の例としては、例えば、ジアゾール、トリアゾール、およびこれらの誘導体等のN−複素環式塩基が挙げられる。この実施形態により、特に完全(clean)かつ高速かつ効率的な脱保護反応が可能になる。
【0061】
本発明の一部の実施形態においては、脱保護法は、アニリンのアリール基の2および/または6位に直鎖または分岐のアルキルまたはアリール置換基を含む、例えば、2,6−ジメチルアニリンや2,6−ジエチルアニリン等の置換アニリンを塩基として用いることを含む。
【0062】
第6の態様による脱保護は、好ましくは、非プロトン性極性有機溶媒、例えば窒素含有溶媒、より詳細にはN−複素環式溶媒、好ましくはピリジンを含む溶媒中で行われる。
【0063】
第6の態様による脱保護は、通常は−10℃〜50℃、好ましくは0℃〜30℃の温度で行われる。
【0064】
本発明の第6の態様およびその特定の実施形態において、液体反応媒体は、通常は、第1のオリゴヌクレオチドを反応媒体の総質量に対し少なくとも20質量%含む。好ましくは、この含有量は少なくとも50%質量である。
【0065】
本発明の第6の態様において、使用される塩基の量は、通常は5n mmol〜15n mmolの範囲、好ましくは約10n mmolであり、nはホスホロチオエートトリエステル結合のミリモル数である。
【0066】
本発明の第6の態様において活性化剤が使用される場合、使用される活性化剤の量は、通常は0.5n mmol〜3n mmolの範囲にあり、好ましくは1.5n mmolであり、nはホスホロチオエートトリエステル結合のミリモル数である。
【0067】
以下の実施例は本発明を例示することを意図するものであって、その範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0068】
これらの実施例中および本明細書全体を通して用いる略語を以下のように定義する:
CH2Cl2は、ジクロロメタン、KIはヨウ化カリウム、Na223はチオ硫酸ナトリウム、DMEはジメトキシエタン、DIPEAはジイソプロピルエチルアミン、NaClは塩化ナトリウム、MTBEはメチルtert−ブチルエーテル、EtOAcは酢酸エチル、HClは塩酸、Na2SO4は硫酸ナトリウム、N2は二窒素(dinitrogen)、Br2は臭素、SO2Cl2は塩化チオニル、NaHCO3は炭酸水素ナトリウム、CDCl3は重水素化クロロホルム、THFはテトラヒドロフラン、DMSOはジメチルスルホキシド、DMFはN,N−ジメチルホルムアミドである。
【0069】
Ap、Gp、Tpは、上述のA、G、およびT核酸塩基にそれぞれ結合した、上述の2−デオキシリボース核酸塩基であり、A、G、およびTは、以下のように保護されている:
Apは、AがN−(プリン−6−イル)ベンズアミドである2−デオキシリボース核酸塩基であり、Gpは、GがN−(6−(2,5−ジクロロフェノキシ)−プリン−2−イル)イソブチルアミドである2−デオキシリボース核酸塩基であり、Tpは、Tが5−メチル−4−フェノキシピリミジン−2−オンである核酸塩基である。
【0070】
Ap(S)、Gp(S)、およびTp(S)は、それぞれ上述のAp、Gp、およびTpの対応する4’O−P−チオメチルプロピオネートである。Ap(H)、Gp(H)、およびTp(H)は、それぞれ上述のAp、Gp、およびTpの対応する4’O−P−Hホスホネートである。
【0071】
DMTrは、当業者に周知のビスパラ−メトキシトリチル保護基であり、上述の対応するオリゴヌクレオチドに結合している場合はその5−O’位に結合している。Levは、当業者に当業者に周知のペンタン1,4−ジオン保護基であり、上述の対応するオリゴヌクレオチドに結合している場合はその3−O’に結合している。
【0072】
本発明の記載に使用される略語の慣例を以下の図においてさらに例示する。
【化7】

【0073】
実施例1:ビスクロロメチルジスルフィドの合成
【化8】

1.0Lの丸底フラスコに無水CH2Cl2(200mL)およびジメチルジスルフィド(27.1mL、300mmol)を加えた。N2雰囲気中、混合物を撹拌して−78℃に冷却し、撹拌した混合物中にCl2ガスをゆっくりとバブリングした。混合物が黄緑色のスラリーに変化したらCl2ガスの添加を停止した。冷浴を取り除いて混合物を自発的に室温まで温めた。HClガスが発生して溶液から放散されるに従い赤色溶液が形成された。この混合物にまず最初にN2を15分間バブリングし、次いで回転蒸発によって揮発性のCH2Cl2を除去した。残渣に新鮮なCH2Cl2(300mL)を加えた。溶液を氷水浴中で撹拌した。KI(139.4g、840mmol)の水(200mL)中水溶液を15分間かけてゆっくりと加えた。冷浴を取り除き、混合物を室温で2時間撹拌した。有機層を分離し、氷水浴中で撹拌し、Na223飽和水溶液をI2の色が消失するまでゆっくりと加えた。有機層を分離した後、水(100mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥した後、濃縮することにより、生成物(42.2g)を赤色油として得た。収率:(87.3%)。この粗生成物をさらに精製することなく次のステップに用いた。
【0074】
実施例2:ビス(プロピオニルオキシメチル)ジスルフィドの合成
【化9】

1.0Lの丸底フラスコにヨウ化ナトリウム(1.50g、10.0mmol)、ビスクロロメチルジスルフィド(16.2g、100mmol)、および無水DME(150mL)を加えた。室温で20分間撹拌した後、混合物を氷水浴で冷却し、次いでDIPEA(42.0mL、240mmol)、次いでプロピオン酸(16.4mL、220mmol)を加えた。冷浴を取り除いて混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒の大部分を回転蒸発により除去した。残渣に酢酸エチル(400mL)を加えた後、混合物を水(150mL×2)、次いで食塩水(80mL)で洗浄した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製することによって所望の生成物(9.62g)を橙色油として得た。収率:(40.4%)。
【0075】
実施例3:N−メチルメタンスルホンアミドの合成
【化10】

メチルアミン水溶液(水中、40%、152mL、1.75mol)を氷水浴中で撹拌しながらメタンスルホニルクロリド(38.7mL、500mmol)を15分間かけて滴下した。滴下中は内部温度を20〜24℃に維持した。滴下後、冷浴を取り除いて混合物を室温で一夜撹拌した。NaCl(40g)を加え、混合物を室温で30分間撹拌した。混合物をCH2Cl2(150mL、100mL×2)で抽出した。Na2SO4で乾燥した後、溶媒を蒸発させることにより所望の生成物(48.7g)を無色油として得た。収率:89.2%。
【0076】
実施例4:N−メチル−N−プロピオニルオキシメチルスルファニルメタンスルホンアミドの合成
【化11】

100mLの乾燥した丸底フラスコにN−メチルメタンスルホンアミド(1.09g、10.0mmol)、ピリジン(1.66g、21.0mmol)、ビス(プロピオニルオキシメチル)ジスルフィド(1.2g、5.0mmol)、および無水CH2Cl2(8mL)を加えた。N2中、混合物を室温で撹拌し、Br2(0.882g、5.52mmol)のCH2Cl24mL中溶液を30分間で加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。MTBE(15mL)を加え、得られた混合物を濾過した。固体をCH2Cl2(5mL)およびMTBE(5mL)の混合物で洗浄した。濾液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより所望の生成物(1.62g)を無色油として得た。収率:71.3%。
【0077】
実施例5:クロロメチルプロピオネートの合成
【化12】

500mLの乾燥した丸底フラスコにパラホルムアルデヒド(90.1g、3000.0mmol)、無水塩化亜鉛(8.18g、60.0mmol)を加えた。この瓶を氷水浴に入れ、塩化プロピオニル(260.6mL、3000.0mmol)を1時間かけてゆっくりと加えた。添加後、混合物をN2中50℃で18時間撹拌した。混合物を蒸留することにより所望の生成物212.2gを無色油として得た。収率:58%。
【0078】
実施例6:プロピオン酸アセチルスルファニルメチルエステルの合成
【化13】

メカニカルスターラー、滴下漏斗、およびN2導入口を備えた2000mLの乾燥した三ツ口丸底フラスコに、クロロプロピオン酸メチル(168.0g、1370.9mmol)、無水CH2Cl2(1000mL)、およびジイソプロピルエチルアミン(194.9g、1508.0mmol)を加えた。この溶液を氷水浴で冷却して撹拌しながらチオ酢酸(98.0mL、1370.9mmol)を30分間かけてゆっくりと加えた。添加後、混合物を撹拌し、室温までゆっくりと加温し、室温で一夜撹拌した。大部分のCH2Cl2を回転蒸発させた。この混合物に、酢酸エチル(500mL)およびMTBE(500mL)の混合物を加えた。混合物を濾過し、固体を酢酸エチル(100mL)およびMTBE(100mL)の混合物で洗浄した。濾液を濃縮し、残渣を蒸留することにより所望の生成物(169.8g)を黄色油として得た。収率:76.4%。
【0079】
実施例7:N−メチル−N−プロピオニルオキシメチルスルファニルメタンスルホンアミドの合成
【化14】

1000mLの乾燥した丸底フラスコに、プロピオン酸アセチルスルファニルメチルエステル(70.0g、431.5mmol)、無水CH2Cl2(600mL)を加えた。N2中、この溶液を氷水浴中で撹拌し、塩化スルフリル(34.6mL、431.5mmol)を加えた。添加後、冷浴を取り除いて混合物を室温で1.5時間撹拌した。混合物を回転蒸発することにより揮発性物質をすべて除去した。残渣を無水CH2Cl280mLに溶解し、溶液Aを得た。
【0080】
別の1000mLの乾燥した丸底フラスコにN−メチルメタンスルホンアミド(49.5g、453.1mmol)、モレキュラーシーブ(4Å、活性化、5.0g)、および無水CH2Cl2(200mL)を加えた。N2中、溶液を氷水浴中で撹拌し、無水ピリジン(41.9mL、517.8mmol)を加えた。添加後、上の溶液Aを15分間かけてゆっくりと加えた。次いで、得られた混合物を室温で1.5時間撹拌し、ヘキサン(200mL)をゆっくりと加え、得られた混合物を室温で10分間撹拌した。混合物を濾過し、固体を酢酸エチル:ヘキサン=1:1(80mL)混合物で洗浄した。濾液を濃縮し、残渣を、シリカ800gを用いたカラムでヘキサン(2L)から開始し、次いで酢酸エチル/ヘキサン(1:9、3L)、酢酸エチル/ヘキサン(2:8、4L)、および酢酸エチル/ヘキサン(3:7、2L)で順次溶出させることによって精製した。主要な不純物は酢酸エチル20%で溶出し、生成物は酢酸エチル30%で溶出する。収率:74.4%。
【0081】
実施例8:N−メタンスルホンアミドコハク酸イミドの合成
【化15】

マグネチックスターラー、熱電対、窒素ライン、および冷却用氷浴を備えた250mLの三ツ口丸底フラスコに、アセチルスルファニルメチル9.803g(60.43mmol)の無水ジクロロメタン80mL中溶液を装入した。フラスコの内容物を約0℃に冷却し、合計11.33g(83.94mmol、1.38eq.)の二塩化スルフリルを、温度を0〜5℃に維持する速度でゆっくりと溶液に加えた。冷却浴を取り除き、反応混合物を室温でさらに1.5時間撹拌した。得られた黄色溶液をロータバップ(rotavap)で濃縮することにより粗精製アセチルメチルスルフェニルクロリド8.88gを悪臭のある黄色の粘性油として得た。この物質を、コハク酸イミドをスルフェニル化するための次のステップに即座に使用した。
【0082】
マグネチックスターラー、熱電対、窒素ライン、および冷却用氷浴を備えた250mLの三ツ口丸底フラスコに、コハク酸イミド6.12g(61.76mmol、1.02eq.)およびトリエチルアミン8.17g(80.73mmol、1.33eq.)の無水ジクロロメタン80mL中の混合物を装入した。この混合物を0℃に冷却し、粗精製アセチルメチルスルフェニルクロリド(8.88g)の無水ジクロロメタン20mL中溶液を、予め冷却しておいたコハク酸イミドおよびトリエチルアミンの懸濁液に温度を0℃〜5℃の間に維持する速度でゆっくりと加えた。添加完了後、冷却浴を取り除き、得られた褐色懸濁液を室温でさらに2時間撹拌した。冷水(300mL)および飽和NaHCO3(100mL)を用いて反応混合物の反応を停止し、ジクロロメタン(3×80mL)で抽出した。有機相を合一してNa2SO4で乾燥し、ロータバップで濃縮することにより暗色の粘性油13gを得た。この物質をシリカゲルカラム(120g)でEtOAc−ヘキサン混合物(酢酸エチル0〜30%)を溶出液として用いて精製した。スルフェンアミドN−メタンスルホンアミドコハク酸イミド4.12gを白色固体として得た。Rf=0.16、30%EtOAc−ヘキサン中、収率:32%。
【0083】
実施例9:エチルアセチルスルファニルメチルカーボネートの合成
【化16】

100mLの乾燥した丸底フラスコにクロロギ酸クロロメチル(12.9g、100.0mmol)、無水アセトニトリル(300mL)を加える。溶液を氷水浴中で撹拌し、無水エタノール(4.6g、100.0mmol)および無水ピリジン(23.7g、300mmol)の混合物を20分間かけてゆっくりと加える。添加後、混合物を室温で1時間撹拌する。ヨウ化ナトリウム(1.50g,10.0mmol)を反応混合物に加える。混合物を氷水浴中で撹拌し、チオ酢酸(7.6g、100mmol)を5分間かけて加える。添加後、冷浴を取り除き、混合物を室温で一夜撹拌する。ヘキサン(600mL)を反応混合物に加えて濾過する。濾液を濃縮し、蒸留することによって所望の生成物を得る。
【0084】
実施例10:N−メチル−N−エトキシカルボニルオキシメチルスルファニルメタンスルホンアミドの合成
【化17】

500mLの乾燥した丸底フラスコにエチルアセチルスルファニルメチルカーボネート(8.9g、50.0mmol)、無水CH2Cl2(200mL)を加える。N2中、溶液を氷水浴中で撹拌し、塩化スルフリル(4.0mL、50.0mmol)を加える。添加後、冷浴を取り除き、混合物を室温で1.5時間撹拌する。混合物を回転蒸発させて揮発性物質をすべて除去する。残渣を無水CH2Cl250mLに溶解することにより溶液Aを得る。
【0085】
別の500mLの乾燥した丸底フラスコにN−メチルメタンスルホンアミド(6.0g、55.0mmol)、モレキュラーシーブ(4Å、活性化、3.0g)、および無水CH2Cl2(150mL)を加える。N2中、混合物を氷水浴中で撹拌し、無水ピリジン(5.3mL、65.0mmol)を加える。添加後、上の溶液Aを10分間かけてゆっくりと加える。次いで、得られた混合物を室温で1.5時間撹拌する。ヘキサン(200mL)をゆっくりと加え、得られた混合物を室温で10分間撹拌する。混合物を濾過し、固体を酢酸エチル:ヘキサン=1:1(60mL)混合物で洗浄する。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムで精製することにより所望の生成物を得る。
【0086】
実施例11:アセチルスルファニルメチルジメチルカルバメートの合成
【化18】

100mLの乾燥した丸底フラスコにクロロギ酸クロロメチル(12.9g、100.0mmol)、ジメチルアミン塩酸塩(8.15g、100mmol)、および無水アセトニトリル(acetronitrile)(300mL)を加える。混合物を氷水浴中で撹拌し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(43.5mL、250mmol)を30分間かけてゆっくりと加える。添加後、混合物を室温で1時間撹拌する。ヨウ化ナトリウム(1.50g、10.0mmol)を反応混合物に加える。混合物を氷水浴中で撹拌し、チオ酢酸(7.6g、100mmol)を5分間かけて加える。添加後、冷浴を取り除き、混合物を室温で一夜撹拌する。ヘキサン(300mL)を反応混合物に加えて濾過する。濾液を濃縮し、蒸留することによって所望の生成物を得る。
【0087】
実施例12:N−メチル−N−ジメチルカルバモイルオキシメチルスルファニルメタンスルホンアミドの合成
【化19】

500mLの乾燥した丸底フラスコにエチルアセチルスルファニルメチルジメチルカルバメート(8.9g、50.0mmol)、無水CH2Cl2(200mL)を加える。N2中、溶液を氷水浴中で撹拌し、塩化スルフリル(4.0mL、50.0mmol)を加える。添加後、冷浴を取り除き、混合物を室温で1.5時間撹拌する。混合物を回転蒸発させることにより揮発性物質をすべて除去する。残渣を無水CH2Cl250mLに溶解し、溶液Aを得る。
【0088】
別の500mLの乾燥した丸底フラスコにN−メチルメタンスルホンアミド(6.0g、55.0mmol)、モレキュラーシーブ(4Å、活性化、3.0g)、および無水CH2Cl2(150mL)を加える。N2中、混合物を氷水浴中で撹拌し、無水ピリジン(5.3mL、65.0mmol)を加える。添加後、上の溶液Aを10分間かけてゆっくりと加える。次いで、得られた混合物を室温で1.5時間撹拌する。ヘキサン(100mL)をゆっくりと加えて得られた混合物を室温で10分間撹拌する。混合物を濾過し、固体を酢酸エチル:ヘキサン=1:1(60mL)で洗浄する。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムで精製することにより所望の生成物を得る。
【0089】
実施例13:中間体であるH−ホスホン酸エステルを単離する完全に保護されたジヌクレオチドホスホロチオエートの合成
【化20】

実施例13−1:H−ホスホン酸エステル1を1.86g(2.62mmol、1.15eq.)および3’−保護デオキシチミジン2を0.78g(2.28mmol)の混合物を無水ピリジン(3×25mL)と一緒に共蒸発させた。油状の残渣を無水ピリジン10mLに溶解し、アルゴン雰囲気中約0℃に冷却した。合計0.56g(4.66mmol、2eq.)の塩化ピバロイルをシリンジで滴下し、得られた混合物を室温まで加温した。反応物をさらに15分間撹拌した後、氷50gおよび希釈した飽和NaHCO3(水80mLおよび炭酸水素ナトリウム20mL)100mLで反応を停止した。有機物をジクロロメタン(2×80mL)で抽出し、抽出液を冷水(70mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(30mL)、および食塩水(10mL)の混合物で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータバップで濃縮することにより粗生成物3を6.74gを透明油として得た。31P(162MHz,CDCl3,δ):8.58(s)および7.06(s)。
【0090】
H−ホスホン酸エステル3(6.74g)の粗生成物の無水ピリジン20mL中溶液をアルゴン雰囲気中約0℃に冷却した。合計1.21g(5.43mmol、2.3eq.)の試薬4を反応物に滴下し、5分後、ジイソプロピルエチルアミン0.502g(3.88mmol、1.7eq.)もフラスコに加えた。反応物を室温まで加温し、さらに1時間撹拌した後、希釈された炭酸水素ナトリウムの冷溶液(100mL)で反応を停止した。有機生成物をジクロロメタン(2×80mL)で抽出し、水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をロータバップで濃縮し、粗生成物5を5.02g(HPLCによる純度:約90%)を黄色油として得た。31P(162MHz,CDCl3,δ):26.77(s),26.67(s)。
【0091】
実施例13−2:方法A(実施例13−1)と同様にして、無水ピリジン20mL中の塩化ピバロイル0.49g(4.06mmol、2eq.)の存在下に、H−ホスホン酸エステル1(1.49g,2.1mmol、1.08eq.)を3’−保護デオキシチミジン2(0.66g、1.94mmol)と反応させることにより、中間体であるH−ホスホン酸エステル3を得た。反応混合物を冷水/NaHCO3水/食塩水で反応停止した後、中間体3をジクロロメタン(3×30mL)で抽出することにより単離した。有機抽出液を水(50mL)、NaHCO3水(20mL)、および食塩水(10mL)で洗浄した。Na2SO4で乾燥(約1分間)した後、有機相を元の量の約1/4まで濃縮し、0℃に冷却し、S転移試薬4(0.96g、4.3mmol、2.2eq.)を3に加えた後、ジイソプロピルエチルアミン(0.45g、3.48mmol、1.8eq.)を加えた。室温でさらに1時間撹拌した後、方法Aに記載したように反応を停止した。有機相をロータバップで濃縮することによりHPLC純度が91%である粗生成物5を3.55gを透明な黄色油として得た。
【0092】
実施例14:DMTr−Ap(s)T−Levの調製
6−N−(ベンゾイル(bezoyl))−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−デオキシアデノシン−3’H−ホスホン酸トリエチルアンモニウム(4.94g、6.0mmol)および3’−O−レブリニルチミジン(1.70g、5.0mmol)の混合物をピリジンと一緒に蒸発させることによって無水物にし、無水ピリジン(12.5mL)で希釈し、N2中、0℃で撹拌した。次いで、塩化ピバロイル(1.24mL、10.0mmol)を2分間かけてゆっくりと加えた。反応混合物を0℃で5分間撹拌し、塩化メチレン(100mL)および1.25N酢酸ナトリウム−酢酸緩衝液(2×100mL)で分液した。この緩衝液は、1.25Nの酢酸ナトリウム水溶液190mLおよび1.25Nの酢酸水溶液10mLを混合することにより作製した。有機層を乾燥(Na2SO4)して濃縮した。残渣をトルエン50mLと一緒に共蒸発させ、無水塩化メチレン(25mL)に溶解し、N2中、N−プロピオニルオキシメチルチオ−N−メチルメタンスルホンアミド(2.05g、9.0mmol)の無水塩化メチレン(1.0mL)中溶液を用いて0℃で処理した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.87mL、5.0mmol)を加えた。室温で30分間撹拌した後、溶液A(MTBE:ヘキサン=1:2、37.5mL)を10分間で加え、次いでセライト(7.5g)を加えた。混合物を撹拌し、追加分のA(37.5mL)を30分間で加えた。この撹拌をさらに30分間継続し、混合物を濾過した。固体を、溶液AおよびCH2Cl2から比率5:1で作製された溶媒の混合物(60mL)で洗浄した。次いでこの固体を塩化メチレン(4×40mL)で抽出した。塩化メチレンの濾液を濃縮した。残渣をアセトニトリル(20mL)に溶解し、氷水浴中で撹拌し、冷水(14mL)を20分間で加えた。下層を塩化メチレン(100mL)および水(1:1)食塩水溶液(60mL)で分液した。有機層を乾燥(Na2SO4)して濃縮することにより生成物(5.7g)を白色固体として得た。収率:97%。31P NMR(CDCl3,121.5MHz):δ=26.7,26.3。
【0093】
実施例15:DMTr−Gp(H)の調製
亜リン酸(78.7g、960.0mmol)をピリジン(500mL)と一緒に蒸発させることにより無水物にし、2’−デオキシ−6−O−(2,5−ジクロロフェニル)−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N−イソブチリルグアノシン(62.8g、80.0mmol)を加えて、混合物をピリジンと一緒に蒸発させることによって再び無水物にした。残渣を無水ピリジン(480mL)で処理し、塩化ピバロイル(64.0mL、520.0mmol)を30分間かけて10℃で加えた。反応混合物を室温で6時間撹拌して濃縮した。残渣を塩化メチレン800mLに溶解し、冷水(800mL)、炭酸水素トリエチルアンモニウム(2.0N、400mL×2)で順次洗浄した。有機層を乾燥(無水Na2SO4)して濃縮した。残渣を塩化メチレン80mLに溶解し、撹拌しながら溶液A(MTBE:ヘキサン=1:2、360mL)を20分間かけて加えた後、セライト(80g)を加えた。次いで、さらなる溶液A(360mL)を30分間かけてゆっくりと加えた。混合物を濾過し、固体をMTBE(300mL)で洗浄した。次いで固体を塩化メチレン(200mL×4)で抽出した。塩化メチレンの濾液を濃縮することにより生成物(70.4g)を白色の泡状物として得た。収率:93%。31P NMR(CDCl3,121.5MHz):δ=2.71。
【0094】
実施例16:DMTr−Gp(s)T−OHの調製
2’−デオキシ−6−O−(2,5−ジクロロフェニル)−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N−イソブチリルグアノシン−3’H−ホスホン酸トリエチルアンモニウム(54.9g、58.0mmol)および3’−O−レブリニル−4−O−フェニルチミジン(20.1g、48.3mmol)の混合物をピリジンと一緒に蒸発させることにより無水物にし、無水ピリジン(121mL)で希釈した。N2中、この溶液を塩化ピバロイル(11.8mL、96.6mmol)を用いて0℃で5分間処理した。さらに5分間撹拌した後、N−プロピオニルオキシメチルチオ−N−メチルメタンスルホンアミド(22.0g、96.6mmol)の無水塩化メチレン(20mL)中溶液を加え、次いでN,N−ジイソプロピルエチルアミン(8.4mL、48.3mmol)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌し、塩化メチレン600mLで希釈した。有機層を冷水(600mL)および飽和炭酸水素ナトリウム(500mL×2)で順次洗浄し、乾燥(無水Na2SO4)し、濃縮した。残渣を塩化メチレン97mLに溶解し、撹拌しながら溶液A(MTBE:ヘキサン=1:2、194mL)を20分間で加えた後、セライト(73g)を加え、追加分の溶液A(194mL)を30分間で加えた。さらに30分間撹拌した後、混合物を濾過した。固体をMTBE:ヘキサン=4:1(200mL)で洗浄し、塩化メチレン(150mL×4)で抽出した。塩化メチレンの濾液を濃縮することにより生成物(68.1g)を黄色の泡状物として得た。31P NMR(CDCl3,121.5MHz):δ=26.9,26.2。この生成物をさらに精製することなく次のステップに用いた。上の生成物(64g)の塩化メチレン117mL中溶液を0℃で撹拌しながら、ピリジン:酢酸:ヒドラジン一水和物=37.5mL:25.0mL:2.5mL(51.6mmol)の冷混合物を加えた。0℃で1時間撹拌した後、反応混合物を塩化メチレン(200mL)で希釈し、冷水(500mL)で洗浄した。水層を塩化メチレン(100mL)で逆抽出した。合一した塩化メチレン抽出液を乾燥(無水Na2SO4)して濃縮した。残渣をアセトニトリル235mLに溶解し、氷水浴中で撹拌し、冷水(188mL)を30分間かけてゆっくりと加えることによって処理した。下層の有機層を分離し、塩化メチレン200mLで希釈して乾燥した(無水Na2SO4)。これを濃縮した後、残渣を塩化メチレン94mLに溶解し、撹拌しながら溶液A(MTBE:ヘキサン=1:2、94mL)を20分間で加え、セライト(70g)を加え、再び溶液A(94mL)を30分間で加えた。混合物を濾過し、固体をMTBE:ヘキサン=4:1(300mL)で洗浄し、塩化メチレン(150mL×4)で抽出した。塩化メチレンの濾液を濃縮することにより生成物(52g)を黄色の泡状物として得た。収率:87%。この生成物をそのまま次のステップに使用した。31P NMR(CDCl3,121.5MHz):δ=28.1,25.3。
【0095】
実施例17:HO−Gp(s)A−Levの調製
2’−デオキシ−6−O−(2,5−ジクロロフェニル)−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N−イソブチリルグアノシン−3’H−ホスホン酸トリエチルアンモニウム(45.4g、48.0mmol)および2’−デオキシ−3’−O−レブリニル−6−N−ベンゾイルアデノシン(18.1g、40.0mmol)の混合物をピリジンと一緒に蒸発させることにより無水物にした。残渣を無水ピリジン(100mL)で希釈し、得られた溶液を塩化ピバロイル(9.9mL、80.0mmol)を用いてN2中0℃で10分間処理した。反応混合物を0℃でさらに5分間撹拌し、N−プロピオニルオキシメチルチオ−N−メチルメタンスルホンアミド(18.2g、80.0mmol)の無水塩化メチレン(10mL)中溶液、次いでN,N−ジイソプロピルエチルアミン(7.0mL、40.0mmol)で処理した。室温で30分間撹拌した後、反応混合物を塩化メチレン600mLで希釈し、冷水(600mL)および飽和炭酸水素ナトリウム(300mL×2)で順次洗浄した。有機層を乾燥(無水Na2SO4)して濃縮した。残渣を塩化メチレン80mLに溶解し、溶液A(MTBE:ヘキサン=1:2、160mL)で20分間、次いでセライト(60g)および追加分の溶液A(160mL)で30分間かけて順次処理した。30分間撹拌した後、混合物を濾過した。固体をMTBE:ヘキサン=4:1(200mL)で洗浄し、塩化メチレン(150mL×4)で抽出した。塩化メチレンの濾液を濃縮した。残渣をアセトニトリル160mLに溶解し、氷水浴中で撹拌し、冷水(112mL)で30分間処理した。下層の有機層を分離し、塩化メチレン(320mL)および水(320mL)で分液した。有機層を乾燥(無水Na2SO4)して濃縮することにより生成物(64.1g)を黄色の泡状物として得た。この生成物をさらに精製することなく次のステップに用いた。31P NMR(CDCl3,121.5MHz):δ=26.2,26.0。
【0096】
上の生成物(64.0g)の塩化メチレン120mL中溶液を撹拌しながら0℃でピロール(13.9mL、200.0mmol)を加えた後、ジクロロ酢酸(16.5mL、200.0mmol)を20分間かけて加えた。0℃で1時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム(200mL)を用いて反応混合物の反応を停止した。水層を塩化メチレン(60mL×2)で抽出し、合一した塩化メチレン抽出液を乾燥(無水Na2SO4)して濃縮した。残渣を塩化メチレン80mLに溶解し、溶液A(MTBE:ヘキサン=1:1、100mL)で15分間、セライト(60g)、および追加分の溶液A(100mL)で30分間かけて順次処理した。混合物を濾過し、固体をMTBE(150mL×2)で洗浄し、塩化メチレン(200mL×4)で抽出した。塩化メチレンの濾液を濃縮し、アセトニトリル160mLに溶解し、氷水浴中で撹拌し、冷水(144mL)で20分間処理した。下層の有機層を分離し、塩化メチレン(320mL)および水(1:1)食塩水溶液(320mL)で分液した。有機層を乾燥(無水Na2SO4)および濃縮して生成物(40.5g)をオフホワイトの固体として得た。収率:92%。31P NMR(CDCl3,121.5MHz):δ=26.4,26.2。
【0097】
実施例18:DMTr−Gp(s)Tp(H)の調製
亜リン酸(29.8g、364.0mmol)をピリジン(182mL)と一緒に蒸発させることにより無水物にした。残渣にDMTr−Gp(s)T−OH(33.0g、26.0mmol)を加えて混合物を再びピリジンと一緒に蒸発させることによって無水物にした。混合物を無水ピリジン(130mL)で希釈し、塩化ピバロイル(24.0mL、195.0mmol)を10℃で30分間かけて加えた。混合物を室温で16時間撹拌し、濃縮し、残渣を塩化メチレン400mLに溶解した。この溶液を冷水(400mL)および炭酸水素トリエチルアンモニウム(2.0N、200mL×3)で順次洗浄した。有機層を乾燥(無水Na2SO4)して濃縮した。トルエン150mLと一緒に共蒸発させた後、残渣を塩化メチレン52mLに溶解し、溶液A(MTBE:ヘキサン=1:1,78mL)で20分間、セライト(39g)、および追加分の溶液A(78mL)で30分間かけて順次処理した。混合物を濾過し、固体を溶液AおよびCH2Cl2から比率5:1(180mL)で作製された溶媒混合物で洗浄した。固体を塩化メチレン(150mL×4)で抽出し、濾液を濃縮することにより生成物(33.1g)をオフホワイトの泡状物として得た。収率:89%。31P NMR(CDCl3,121.5MHz):δ=26.9,25.4,3.0,2.9。
【0098】
実施例19:DMTr−Gp(s)Tp(s)Gp(s)A−OHの調製
DMTr−Gp(s)Tp(H)のトリエチルアンモニウム塩(28.6g、20.0mmol)およびHO−Gp(s)A−Lev(16.9g、15.4mmol)の混合物をピリジンと一緒に蒸発させることにより無水物にした。残渣を無水ピリジン(62.0mL)で希釈し、塩化ピバロイル(4.8mL、38.5mmol)を用いてN2中0℃で5分間処理した。0℃でさらに10分間撹拌した後、N−プロピオニルオキシメチルチオ−N−メチルメタンスルホンアミド(7.0g、30.8mmol)の無水塩化メチレン(10mL)中溶液、次いでN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.7mL、15.4mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を塩化メチレン450mLで希釈し、冷水(450mL)および飽和炭酸水素ナトリウム(300mL×2)で順次洗浄した。有機層を乾燥(無水Na2SO4)して濃縮した。トルエン100mLと共蒸発させた後、残渣を塩化メチレン62mLに溶解し、溶液A(MTBE:ヘキサン=1:1、124mL)で20分間、次いでセライト(46.2g)、および追加分の溶液A(124mL)で30分間かけて順次処理した。30分間撹拌した後、混合物を濾過し、固体を溶液A:CH2Cl2=6:1(140mL)で洗浄した。次いで、固体を塩化メチレン(150mL×4)で洗浄した。塩化メチレンの濾液を濃縮した。残渣をアセトニトリル123mLに溶解し、氷浴中で撹拌しながら冷水(86mL)で20分間処理した。下層の有機層を分離し、塩化メチレン(300mL)および水(1:1)食塩水溶液(200mL)で分液した。有機層を乾燥(無水Na2SO4)および濃縮して生成物DMTr−Gp(s)Tp(s)Gp(s)A−Lev(43.4g)を黄色の泡状物として得た。この生成物をさらに精製することなく次のステップに用いた。31P NMR(CDCl3,121.5MHz):δ=27.9−25.8(m)。
【0099】
DMTr−Gp(s)Tp(s)Gp(s)A−Lev(38.0g)の塩化メチレン38.0mL中溶液を0℃で撹拌しながら、ピリジン:酢酸:ヒドラジン一水和物=14.3mL:9.5mL:0.95mL(19.5mmol)の冷混合物を加えた。0℃で40分間撹拌した後、反応混合物を塩化メチレン(450mL)で希釈し、冷水(300mL×2)および食塩水(150mL)で洗浄した。塩化メチレン層を乾燥(Na2SO4)して濃縮した。トルエン100mLと一緒に共蒸発させた後、残渣を塩化メチレン60mLに溶解し、撹拌しながら溶液A(MTBE:ヘキサン=1:1、90mL)を20分間かけて加えた後、セライト(45g)を加えた。混合物を撹拌し、さらに溶液A(90mL)を30分間で加えた。混合物を濾過し、固体を、溶液AおよびCH2Cl2から比率5:1(150mL)で作製された溶媒混合物で洗浄した。固体を塩化メチレン(150mL×4)で抽出し、抽出液を濃縮して、残渣をシリカショートカラムで酢酸エチル中アセトニトリルを0〜80%の勾配で用いて精製した。生成物の画分を濃縮することにより生成物(26.9g)を黄色の泡状物として得た。収率:82%。31P NMR(CDCl3,121.5MHz):δ=27.6−26.0(m)。
【0100】
実施例20:HO−Gp(s)Tp(s)Gp(s)A−Levの調製
DMTr−Gp(s)Tp(s)Gp(s)A−Lev(7.2g、2.84mmol)の塩化メチレン14mL中溶液を0℃で撹拌しながら、ピロール(2.0mL、28.4mmol)、次いでジクロロ酢酸(2.34mL,28.4mmol)を3分間かけて加えた。0℃で30分間撹拌した後、反応混合物を塩化メチレン14mLで希釈し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム(50mL)をゆっくりと加えた。水層を塩化メチレン(40mL)で抽出し、合一した塩化メチレン抽出液を乾燥(無水Na2SO4)して濃縮した。残渣を塩化メチレン30mLに溶解し、溶液A(MTBE:ヘキサン=2:1、45.0mL)、セライト(9.0g)、および再び溶液A(45.0mL)で30分間かけて順次処理した。混合物を濾過し、固体をMTBE(40mL×2)で洗浄し、塩化メチレン(50mL×4)で抽出した。塩化メチレン抽出液を濃縮し、残渣をアセトニトリル28.4mLに溶解し、氷浴中で撹拌しながら冷水(28.4mL)で20分間処理した。有機層を塩化メチレン(80mL)で希釈し、乾燥(無水Na2SO4)して濃縮することにより生成物(5.7g)を白色固体として得た。収率:95%。31P NMR(CDCl3,121.5MHz):δ=27.4−26.2(m)。
【0101】
実施例21:DMTr−Gp(s)Tp(s)Gp(s)Ap(H)の調製
亜リン酸(4.7g、57.3mmol)をピリジン(29mL)と一緒に蒸発させ、DMTr−Gp(s)Tp(s)Gp(s)A−OH(8.7g、3.58mmol)と混合した。混合物にピリジンを加えて蒸発させることにより無水物にし、無水ピリジン(29.0mL)で希釈した。混合物を撹拌し、塩化ピバロイル(3.75mL、30.4mmol)を10℃で5分間かけて加えた。混合物を室温で6時間撹拌し、濃縮した。残渣を塩化メチレン200mLに溶解し、冷水(100mL)、および炭酸水素トリエチルアンモニウム(2.0N、100mL×3)で順次洗浄した。有機層を乾燥(無水Na2SO4)して濃縮することにより生成物(9.15g)をオフホワイトの泡状物として得た。収率:98%。31P NMR(CDCl3,121.5MHz):δ=27.5−25.8(m),2.9,2.8。
【0102】
実施例22:HO−Gp(s)Tp(s)Gp(s)Ap(s)Gp(s)Tp(s)Gp(s)A−Levの調製
DMTr−Gp(s)Tp(s)Gp(s)Ap(H)のトリエチルアンモニウム塩(10.1g、3.9mmol)およびHO−Gp(s)Tp(s)Gp(s)A−Lev(6.7g、3.0mmol)の混合物をピリジンと一緒に蒸発させることにより無水物にし、無水ピリジン(15.0mL)で希釈した。この混合物を撹拌しながら塩化ピバロイル(1.1mL、9.0mmol)を0℃で2分間かけてゆっくりと加えた。混合物を室温で30分間撹拌し、再び0℃に冷却し、N−プロピオニルオキシメチルチオ−N−メチルメタンスルホンアミド(1.70g、7.5mmol)の無水塩化メチレン(2.0mL)中溶液、次いでN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.78mL、4.5mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、塩化メチレン300mLで希釈した。有機層を冷水(300mL)および飽和炭酸水素ナトリウム(200mL)で順次洗浄し、乾燥(無水Na2SO4)して濃縮した。残渣を塩化メチレン(24mL)に溶解し、溶液A(MTBE:ヘキサン=1:1、48mL)で10分間、セライト(18g)、および追加分の溶液A(48mL)で30分間かけて順次処理した。30分間撹拌した後、混合物を濾過し、固体をMTBE:ヘキサン=2:1(60mL)で洗浄し、塩化メチレン(50mL×4)で抽出した。塩化メチレン抽出液を濃縮し、残渣をアセトニトリル(48mL)に溶解し、氷水浴中で撹拌しながら冷水(34mL)で20分間処理した。下層を分離し、塩化メチレン(150mL)および水(1:1)食塩水溶液(160mL)で分液した。有機層を乾燥(無水Na2SO4)し、濃縮して、生成物(11.7g)を灰色固体として得た。31P NMR(CDCl3,121.5MHz):δ=27.7−25.8(m)。この生成物をさらに精製することなくそのまま次のステップに用いた。
【0103】
上の生成物(11.2g)の塩化メチレン18mL中溶液を0℃で撹拌しながら、ピロール(2.85mL、41.1mmol)、次いでジクロロ酢酸(3.2mL、38.4mmol)を5分間かけて加えた。0℃で40分間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム(40mL)をゆっくりと加えながら反応混合物の反応を停止した。混合物を塩化メチレン20mLで希釈し、水層を分離し、塩化メチレン(40mL)で抽出し、合一した塩化メチレン抽出液を乾燥(無水Na2SO4)および濃縮した。残渣を塩化メチレン28mLに溶解し、溶液A(MTBE:ヘキサン=1:1、28mL)で10分間、セライト(16.8g)、および追加分の溶液A(28mL)で20分間かけて順次処理した。混合物を濾過し、固体を溶液A(40mL)およびMTBE(40mL)で洗浄し、塩化メチレン(4×50mL)で抽出した。塩化メチレン抽出液を濃縮してシリカゲルショートカラムで精製した。カラムを塩化メチレンで溶離した。濃縮後、生成物(8.7g)を灰色固体として得た。収率:66%。31P NMR(CDCl3、121.5MHz):δ=27.8−26.3(m)。
【0104】
実施例23:HO−Gp(s)Tp(s)Gp(s)Ap(s)Gp(s)Tp(s)Gp(s)Ap(s)Gp(s)Tp(s)Gp(s)A−Lev(SEQ.ID NO:1)の調製
DMTr−Gp(s)Tp(s)Gp(s)Ap(H)のトリエチルアンモニウム塩(6.85g、2.64mmol)およびHO−Gp(s)Tp(s)Gp(s)Ap(s)Gp(s)Tp(s)Gp(s)A−Lev(8.2g、1.81mmol)をピリジンと一緒に蒸発させることにより無水物にした。残渣に無水ピリジン(14mL)を加え、得られた溶液をN2中0℃で撹拌し、塩化ピバロイル(0.8mL、6.48mmol)を3分間かけて加えることによって処理した。冷浴を取り除いて混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、N−プロピオニルオキシメチルチオ−N−メチルメタンスルホンアミド(1.23g、5.40mmol)の無水塩化メチレン(2.0mL)中溶液、次いでN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.56mL、3.24mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を塩化メチレン250mLで希釈し、冷却した半飽和炭酸水素ナトリウム(250mL)で洗浄した。有機層を乾燥(無水Na2SO4)して濃縮した。残渣をトルエン50mLと一緒に共蒸発させ、塩化メチレン43mLに溶解し、溶液A(MTBE:ヘキサン=1:1、43mL)で20分間、セライト(19.4g)、および追加分の溶液A(43mL)で30分間かけて順次処理した。30分間撹拌した後、混合物を濾過し、固体を、溶液AおよびCH2Cl2から比率4:1で作製された混合物(100mL×2)で洗浄した。固体を塩化メチレン(100mL×4)で抽出し、抽出液を濃縮した。残渣をアセトニトリル65mLに溶解し、冷水(46mL)を20分間かけて加えながら処理した。下層の有機層を分離し、塩化メチレン(200mL)および水(1:1)食塩水溶液(200mL)で分液した。有機層を乾燥(無水Na2SO4)して濃縮することにより生成物(12.8g)を黄色の泡状物として得た。31P NMR(CDCl3,121.5MHz):δ=30.0−24.8(m)。
【0105】
上の生成物を(12.8g)塩化メチレン20mL中0℃で撹拌しながら、ピロール(2.64mL、38.0mmol)、次いでジクロロ酢酸(3.0mL、36.0mmol)を加えた。さらに0℃で30分間撹拌した後、反応混合物を塩化メチレン200mLで希釈し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム(100mL)をゆっくりと加えた。有機層を分離し、乾燥(Na2SO4)して、濃縮した。残渣を塩化メチレン40mLに溶解し、溶液A(MTBE:ヘキサン=1:1、40mL)で10分間、セライト(20g)、および追加分の溶液A(80mL)を20分間かけて加えながら順次処理した。混合物を濾過し、固体を溶液AおよびCH2Cl2から比率5:1で作製された溶媒混合物(120mL)で洗浄した。固体を塩化メチレン(100mL×4)で抽出し、抽出液を濃縮した。残渣をアセトニトリル70mLに溶解し、冷水(49mL)を30分間かけて加えて処理した。下層の有機層を分離し、塩化メチレン(150mL)および水(1:1)食塩水溶液(150mL)で分液した。有機層を乾燥(Na2SO4)して濃縮することにより、生成物(9.2g)をオフホワイトの固体として得た。収率:75%。この生成物をそのまま次のステップに用いた。31P NMR(CDCl3、121.5MHz):δ=27.7−26.4(m)。
【0106】
実施例24:HO−Gp(s)Tp(s)Gp(s)Ap(s)Gp(s)Tp(s)Gp(s)Ap(s)Gp(s)Tp(s)Gp(s)Ap(s)Gp(s)Tp(s)Gp(s)A−Lev:(SEQ.ID NO:2)の調製
DMTr−Gp(s)Tp(s)Gp(s)Ap(H)のトリエチルアンモニウム塩(3.64g、1.4mmol)およびHO−Gp(s)Tp(s)Gp(s)Ap(s)Gp(s)Tp(s)Gp(s)Ap(s)Gp(s)Tp(s)Gp(s)A−Lev(6.1g、0.89mmol)の混合物をピリジンと一緒に蒸発させることにより無水物にした。残渣を無水ピリジン(10mL)で希釈し、N2中0℃で塩化ピバロイル(0.37mL、3.0mmol)を3分間かけてゆっくりと加えることによって処理した。冷浴を取り除き、混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、N−プロピオニルオキシメチルチオ−N−メチルメタンスルホンアミド(568.3mg、2.5mmol)の無水塩化メチレン(1.0mL)中溶液、次いでN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.26mL、1.5mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を塩化メチレン120mLで希釈し、冷水(120mL)および半飽和炭酸水素ナトリウム(120mL)で順次洗浄した。有機層を乾燥(無水Na2SO4)して、濃縮した。残渣を塩化メチレン32mLに溶解し、溶液A(MTBE:ヘキサン=1:1、32mL)を20分間かけて加え、セライト(16.0g)、および追加分の溶液A(64mL)を30分間かけて加えて順次処理した。30分間撹拌した後、混合物を濾過し、固体を、溶液AおよびCH2Cl2から比率5:1で作製された溶媒混合物(60mL)で洗浄した。固体を塩化メチレン(80mL×4)で抽出し、抽出液を濃縮した。残渣をアセトニトリル40mLに溶解し、撹拌しながら冷水(28mL)を20分間かけて加えることによって処理した。下層である有機層を分離し、塩化メチレン(150mL)および水(1:1)食塩水溶液(150mL)で分液した。有機層を乾燥(Na2SO4)して濃縮することにより生成物(6.92g)を黄色固体として得た。31P NMR(CDCl3,121.5MHz):δ=27.6−26.3(m)。この生成物をさらに精製することなく次のステップで用いた。
【0107】
上の生成物の(6.92g)塩化メチレン10mL中溶液を0℃で撹拌しながら、ピロール(1.74mL、25.0mmol)、次いでジクロロ酢酸(2.0mL、24.0mmol)を2分間かけて加えた。さらに0℃で30分間撹拌した後、反応混合物を塩化メチレン100mLで希釈し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム(50mL)をゆっくりと加えた。有機層を分離し、水層を塩化メチレン50mLで抽出した。合一したCH2Cl2抽出液を乾燥(無水Na2SO4)して濃縮した。残渣を塩化メチレン32mLに溶解し、溶液A(MTBE:ヘキサン=1:1、32mL)を10分間かけて加え、セライト(16g)、および追加分の溶液A(64mL)を30分間かけて加えて順次処理した。混合物を濾過し、固体を、溶液AおよびCH2Cl2から比率5:1で作製された溶媒混合物(90mL)で洗浄した。固体を塩化メチレン(80mL×4)で抽出し、抽出液を濃縮した。残渣をアセトニトリル40mLに溶解し、混合物を氷浴中で撹拌しながら冷水(28mL)を10分間かけて加えることによって処理した。下層の有機層を分離し、塩化メチレン(100mL)および水(1:1)食塩水溶液(100mL)で分液した。有機層を乾燥(無水Na2SO4)して濃縮することにより生成物(5.8g)を黄色固体として得た。収率:71%。31P NMR(CDCl3,121.5MHz):δ=27.7−26.3(m)。
【0108】
実施例25:完全に保護されたオリゴヌクレオチドホスホロチオエートであるHO−Gp(s)Tp(s)Gp(s)A−Levの5’−OHの完全な脱保護
完全に保護されたテトラマーであるHO−Gp(s)Tp(s)Gp(s)A−Lev(1.38g、0.62mmol)にピリジンを加えて蒸発させることにより無水物にした。残渣に1,2,4−トリアゾール(192.7mg、2.79mmol)、4Åモレキュラーシーブ(1.5g)、および無水ピリジン(6.0mL)を加えた。この混合物をN2中で撹拌して0℃に冷却し、tert−ブチルアミン(1.95mL、18.6mmol)を加えた。次いで、得られた混合物を室温で4時間撹拌した。混合物を濾過し、モレキュラーシーブをピリジン(5mL×2)で洗浄した。濾液を合一し、濃縮して乾固させた。残渣にsyn−2−ピリジンアルドキシム(909mg、7.44mmol)、次いでアセトニトリル(10mL)を加えた。混合物を撹拌して0℃に冷却し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(1.67mL、11.2mmol)を加えた。室温で15時間撹拌した後、MTBE(50mL)を10分間かけてゆっくりと加えた。さらに20分間撹拌した後、上層の透明溶液を傾瀉し、残渣を酢酸エチル(20mL)で洗浄した。残渣を蒸発させることにより残留溶媒を除去し、28%アンモニア水(10.0mL)および2−メルカプトエタノール(0.5mL)の混合物に溶解した。得られた混合物を55℃で15時間加熱した。混合物を冷却した後、イソプロパノール:THF=1:3混合物(80mL)に撹拌しながら10分間かけて滴下した。さらに20分間撹拌した後、上層の透明溶液を傾瀉し、残渣をTHF(20mL)で洗浄した。残渣を逆相C18クロマトグラフィーで精製した。得られた生成物をアンバーライト(Amberlite)(登録商標)IR−120(プラス(plus))イオン交換樹脂(ナトリウム形)のカラム(8cm×直径3cm)に適用した。カラムを水で溶出し、所望の画分を合一して凍結乾燥することにより生成物である完全に脱保護されたナトリウム形のオリゴヌクレオチドホスホロチオエート684mgを白色固体として得た。収率:83%。31P NMR(D2O,121.5MHz):δ=55.4−54.6(m)。
【0109】
実施例26:以下の図式に示す完全に保護されたジヌクレオチドホスホロチオエートの合成
【化21】

5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−チミジン−3’−H−ホスホン酸トリエチルアンモニウム(425.9mg、0.6mmol)、3’−O−レブリニルチミジン(170.2mg、0.5mmol)、および乾燥ピリジン(10.0mL)の溶液を回転蒸発させることにより乾固させた。残渣をピリジン10mLに再び溶解し、再び回転蒸発させることにより乾固させた。残渣にモレキュラーシーブ(300mg、活性化、3Å)および無水ピリジン(5.0mL)を加えた。混合物をN2中室温で撹拌し、塩化ピバロイル(0.22mL、1.75mmol)を加えた。室温で5分間撹拌した後、N−メチル−N−プロピオニルオキシメチルスルファニルメタンスルホンアミド(284.1mg、1.25mmol)のCH2Cl2(1.0mL)溶液、次いでDIPEA(0.17mL、2.0mmol)を加えた。得られた混合物を室温で30分間撹拌した。酢酸エチル(30mL)を加えた。混合物を濾過し、濾液を水(15mL)、半飽和炭酸水素ナトリウム水(15mL×2)、および食塩水(15mL)で洗浄した。有機層を乾燥および蒸発させることにより淡黄色油1.21gを得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/アセトン)で精製することによって生成物(389mg)を無色の泡状物として得た収率:74.4%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
P−S−R結合を含む少なくとも1個のインターヌクレオチド結合と少なくとも2個のヌクレオシドとを有するオリゴヌクレオチドであって、Rが、式(I)
【化1】

(式中、Aは、ジェミナル置換されたアルキレン基、好ましくはCH2であり、XおよびYは、SおよびOから独立に選択され、R0は、場合により置換された、炭素に結合した有機残基(特に、場合により置換されたアルキルまたはアリール等)、SRx、ORx、およびNRxRy(式中、Rxおよび/またはRyは、Hおよび有機残基から選択され、少なくともRxはH以外の置換基である)からなる群から選択される)に相当する、オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
Rが、メチレンアシルオキシ基、メチレンカーボネート基、およびメチレンカルバメート基から選択される、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
Rが、式−CH2−O−C(O)−R0(式中、R0は、飽和、不飽和、複素環式、または芳香族のC1〜C20炭化水素残基である)に相当する、請求項1または2に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
Rが、式−CH2−O−C(O)−NRxRy(式中、RxおよびRyは、アルキルまたは(ヘテロ)アリールから独立に選択され、好ましくは、RxおよびRyがアルキルであるかまたはRxおよびRyが一緒になってO、N、およびSから選択されるさらなる環上ヘテロ原子を場合により含む3〜8員環を形成する)のメチレンカルバメート基に相当する、請求項1または2に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
Rが、式−CH2−O−C(O)ORx(式中、Rxは、場合により置換されたアルキル、シクロアルキルおよび(ヘテロ)アリール基から選択される)のメチレンカーボネート基に相当する、請求項1または2に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
xが、低級アルキルまたはシクロアルキル(C1〜C7)、置換フェニルおよびナフチル基を含むフェニルから選択される、請求項2〜5のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
2〜30個のヌクレオチドを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
リボヌクレオシド、2’−デオキシリボヌクレオシド、2’−置換リボヌクレオシド、2’−4’−ロックド−リボヌクレオシド、3’−アミノ−リボヌクレオシド、3’−アミノ−2’−デオキシリボヌクレオシドから選択されるヌクレオシドを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
プロドラッグとしての、請求項1〜8のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
少なくとも1個のチオリン酸エステル結合を有する第2のオリゴヌクレオチドを生成させる方法であって、(a)請求項1〜8のいずれか一項に記載の第1のオリゴヌクレオチドを提供することと、(b)前記第1のオリゴヌクレオチドから少なくとも1個のR基を切断することによって少なくとも1個のホスホロチオエート結合を有する前記第2のオリゴヌクレオチドを生成させることとを含む、方法。
【請求項11】
前記R基が、前記第1オリゴヌクレオチドを、好ましくはアルキル、シクロアルキル、および芳香族アミンから、より好ましくは第1級または第2級アルキルアミンから、最も好ましくはn−プロピルおよびtert−ブチルアミンから選択される塩基と溶液中で反応させることによって切断される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記塩基が第1級ヒンダードアミンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記切断が、立体障害塩基および通常はN−複素芳香族塩基である活性化剤の存在下に実施される、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の塩基が、アルキル基が直鎖または分岐のC1〜C20アルキルから選択される同一であるかまたは異なる置換基を有する第1級アルキルアミンである、請求項24に記載の方法。前記第1の塩基が、アリール基が2および/または6位に直鎖または分岐のアルキルまたはアリール基を有する第1級アリールアミンである、請求項24に記載の方法。
【請求項15】
前記活性化剤が、1,2,4−トリアゾールまたは他のトリアゾールおよびテトラゾール誘導体である、請求項24または25に記載の方法。
【請求項16】
請求項24〜26のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドを脱保護する方法であって、前記立体障害塩基がtert−ブチルアミンである、方法。
【請求項17】
少なくとも1個のチオリン酸エステル結合を有する前記第2のオリゴヌクレオチドを精製することをさらに含む、請求項9〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のオリゴヌクレオチドを少なくとも沈殿させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のオリゴヌクレオチドを溶媒で抽出することをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のオリゴヌクレオチドを、好ましくは塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリル、アセトン、およびピリジンから選択される極性有機溶媒に溶解することを含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
使用される溶媒の量が、約0.5(n+1)mL〜約2.0(n+1)mLの範囲内にあり、好ましくは約1.0(n+1)mLであり、nは、ホスホロチオエートトリエステル結合のミリモル数である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第2のオリゴヌクレオチドの前記溶液が、好ましくは炭化水素、エーテル溶媒、およびこれらの混合物から選択される非極性有機溶媒を用いて前記溶液が濁るまで処理される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
使用される溶媒の量が、約1(n+1)mL〜約4(n+1)mLの範囲内にあり、好ましくは約2.0(n+1)mLであり、nは、ホスホロチオエートトリエステル結合のミリモル数である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記濁った溶液が、沈殿剤で処理される、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記沈殿剤が、好ましくはセライト、木炭、木材セルロース、およびシリカ、アルミナ等のクロマトグラフィー固定相から選択される不活性多孔質固体から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記沈殿剤が、約0.25(n+1)g〜約1.5(n+1)gの範囲内、好ましくは約0.75(n+1)gの量で使用され、nは、ホスホロチオエートトリエステル結合のミリモル数である、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記沈殿剤を添加した後、前記混合物が非極性有機溶媒の第2画分で処理され、前記画分の量が、通常は約1(n+1)mL〜約4(n+1)mLの範囲内にあり、好ましくは約2.0(n+1)mLであり、nは、ホスホロチオエートトリエステル結合のミリモル数である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記沈殿ステップにおいて得られた固体物質が、濾去および洗浄される、請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記オリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチド含有沈殿物から溶媒を用いて抽出される、請求項18〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記溶媒が、好ましくはアセトニトリル、アセトン、THF、DMF、DMSOおよびピリジンから選択される極性有機溶媒と、好ましくは水である水性媒体との混合物を含み、極性有機溶媒/水性媒体の体積比が好ましくは約0.5〜約1.5、より好ましくは約0.7である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
好ましくは前記メチレンアシルオキシ基、前記メチレンカルバメート基、または前記メチレンカーボネート基から選択される前記R基が、人間の体内または動物の体内で切断される、請求項10に記載の方法。
【請求項32】
式R”−S−R(式中、Rは、式(I)
【化2】

(式中、Aは、ジェミナル置換されたアルキレン基、好ましくはCH2であり、XおよびYは、SおよびOから独立に選択され、R0は、場合により置換されたアルキルまたはアリール、SRx、ORx、およびNRxRy(式中、RxおよびRyは、Hおよび有機残基から選択され、少なくともRxはH以外の置換基である)からなる群から選択される)に相当する)の硫化剤。
【請求項33】
Rが、メチレンアシルオキシ基、メチレンカルバメート基、またはメチレンカーボネート基から選択され、R”は脱離基である、請求項32に記載の硫化剤。
【請求項34】
Rが、請求項1〜6のいずれか一項と同義である、請求項32または33に記載の硫化剤。
【請求項35】
式(II)
【化3】

(式中、RAおよびRBは、互いに同一であるかまたは異なっており、RAおよびRBの少なくとも一方は、置換スルホニルまたはアシル基から選択され、前記RAおよびRBは、場合により一緒になって環式置換基を形成している)に相当する、請求項32〜34のいずれか一項に記載の硫化剤。
【請求項36】
R”が、スルホンアミド基、好ましくはN−置換−N−アルキルスルホニルである、請求項32〜35のいずれか一項に記載の硫化剤。
【請求項37】
式(III)
【化4】

(式中、R1、R3、およびR4は、独立に、場合により不飽和または芳香族のC1〜C20炭化水素残基、好ましくは直鎖または分岐のアルキル基またはシクロアルキル基である)に相当する、請求項36に記載の硫化剤。
【請求項38】
R”がジカルボキシルアミドである、請求項32〜35のいずれか一項に記載の硫化剤。
【請求項39】
式(IV)
【化5】

(式中、Zは、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−CH2−O−CH2−、
【化6】

の群から選択される基であり、好ましくはZは、
【化7】

基である)に相当する、請求項38に記載の硫化剤。
【請求項40】
オリゴヌクレオチドの合成方法であって、前記オリゴヌクレオチドの前駆体の少なくとも1個のリンを含むインターヌクレオチド結合を硫化するために請求項32〜39のいずれか一項に記載の硫化剤を用いることを含む、方法。
【請求項41】
前記リンを含むインターヌクレオチド結合が、H−ホスホン酸ジエステル結合である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
H−ホスホン酸モノエステル塩を、遊離ヒドロキシ基を有する保護されたヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドと結合させることにより前記H−ホスホン酸ジエステル結合を形成することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記結合が、液相中で実施される、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
請求項32〜37のいずれか一項に記載の硫化剤の合成方法であって、(a)ハロゲン化スルフリル、好ましくは塩化スルフリルを、式R−S−C(O)−R2(式中、Rは、請求項1〜6のいずれか一項と同義であり、R2は、好ましくは場合により不飽和または芳香族であるC1〜C20炭化水素残基から選択される有機残基である)のチオアセタールと反応させることにより式R−S−W(式中、Wは、ハロゲン、好ましくはClである)の中間体生成物を生成させることと、(b)前記中間体生成物をN−スルホニル化合物またはN−アシル化合物と反応させることとを含む、方法。
【請求項45】
前記チオアセタールが、式R1−C(O)−O−CH2−S−C(O)−R2(式中、R1およびR2は、独立に、場合により不飽和または芳香族のC1〜C20炭化水素残基である)であり、前記チオアセタールが、塩化スルフリルと反応させることによって式R1−C(O)−O−CH2−S−Cl(式中、R1は、独立に、場合により不飽和または芳香族のC1〜C20炭化水素残基である)の中間体生成物を生成する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
ステップ(b)において、前記中間体が、式R3−S(O)2−NH−R4(式中、R3およびR4は、独立に有機残基、好ましくは、場合により不飽和または芳香族のC1〜C20炭化水素残基である)のN−スルホニル化合物と反応される、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
ステップ(b)において、前記中間体が、式
【化8】

(式中、Zは、−CH2−CH−、−CH=CH−、−CH2−O−CH2−、
【化9】

の群から選択される基であり、好ましくは、Zは、
【化10】

基である)のN−アシル化合物と反応される、請求項44または45に記載の方法。
【請求項48】
1が、低級アルキルまたはシクロアルキル(C1〜C7)、置換フェニルおよびナフチル基を含むフェニル基から選択され、より好ましくはエチル基である、請求項45〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
2、R3、およびR4が、低級アルキルまたはシクロアルキル(C1〜C7)、置換フェニルおよびナフチル基を含むフェニル基から選択され、より好ましくはメチル基である、請求項44〜47のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−513450(P2012−513450A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542834(P2011−542834)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067902
【国際公開番号】WO2010/072831
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(508033649)ギリンダス・アメリカ・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】GIRINDUS AMERICA INC.
【Fターム(参考)】