説明

硫酸ピッチの無公害処理

【課題】海洋投棄していた硫酸スラッジを安価なコストで無公害処理し残滓の完全再利用を図る事を提供する。
【解決手段】本発明は,脱硫しながら焼却して、硫酸塩の形で回収し、灰分を建築資材に加工すると共に,焼却の際に発生する炭化水素は燃料に使用する。そして、この硫酸ピッチスラッジに鉱物質を混合して圧縮成型して固形燃料とし火力発電やボイラー燃料とし,製鉄所の石炭と混合し石炭代用品として利用する。さらに,低温加熱工程で発生する水素ガスを燃料電池の熱源に利用し、この低温加熱においてフリ−カ−ボンとして回収する。残滓の灰はセメントの添加剤や、石膏の原料となり、硫酸ピッチの処理剤としても利用できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
この発明は,原油精製の第一工程として、先ず,原油を濃硫酸で処理して,不飽和物や硫化物を処理して、凝集せしめたスラッジを苛性アルカリで中和して炉別したスラッジを硫酸ピッチスラッジとして海洋投棄していたが、今回国際条約により、廃棄物、汚泥物は平成16年12月以降は海洋投棄ができない事になった。一般に、この硫酸処理原油スラッジには硫酸炭化水素が22〜28%含み,硫化炭化水素は12〜16%を含有し,残りの約50%近くは炭化水素となっていた。他にクマロンが入っているので、自動車、トラック燃料に混合して燃焼せしめる時には,これを除く必要があり、この硫酸石油ピッチを精製するには,石灰法やアミン法で処理しているが,この簡単分離では硫酸ピッチの硫化物は700〜1000ppm前後であったものが、50ppmまで低下せしめたものを精製硫酸ピッチ炭化水素としてトラックの軽油燃料に混合していた。
そして、その精製によって分離された脱硫酸ピッチ炭化水素は、700〜1000ppmから100〜50ppmまで脱硫化物が除去されて低下したものが使用されていた。ところが、炉別分離された硫酸化物炭化水素は産廃物として埋め立てられたり、海洋投棄されていた。それが本年12月から出来なくなり、この公害産廃物の無公害完全処理がクロ−ズアップされた。
この公害性硫化炭化水素は、焼却炉で直接焼却するとSO2ガスやSO3ガスが発生して公害となり,自動車燃料の軽油中に、軽油と硫酸ピッチを除去した炭化水素を混合したものは,可也排気ガス汚染が改善されてはいるが、排気ガスの量がまだ多いので精製硫酸ピッチスラッジを10ppm以下に低減せしめる必要がある。
然し、現在問題になっているのは、原油を硫酸で処理し、苛性アルカリで中和する精製法を採用する限りでは、この硫酸ピッチの産廃物はいつまでも存在する。四日市の石油精製工場では、工場廃水中のこれらの炭化水素汚染は0.3%とされ,水液は日量1万トンと言われていた。一般和歌山での水量は4000〜5000トンと言われていたが,硫酸ピッチスラッジの生成量はずっと多い訳です。
これを全国的に考えると石油精製工場から300トンを流すことになり極めて高い量となる。
従って,これを硫酸ピッチスラッジをスルフォン化炭化水素と硫化炭化水素をクマロンの種類別に分離除去しても,最終的スラッジは50%に減ずるだけで無にはならないから,始めから硫酸ピッチスラッジを処理するに手間暇かけて行うよりも,脱硫しながら焼却して硫酸塩の形で回収し,灰分を建築資材に加工すると共に、燃焼する際に硫酸ピッチブロックに含まれた炭化水素を燃料として使用する方が割安となる。
そこで,我々は焼却にこの炭化水素を燃料として活用すれば、最初に必要燃料をこれによって代換して燃料に利用すれば良いことになる。
そして,この硫酸ピッチスラッジを圧縮成型して固形燃料に加工すると、火力発電やボイラ−の燃料にも使えることになる。そして,この硫酸ピッチスラッジの脱硫を十分に行い吸収反応せしめて排気ガス中にSOX量が少なくなれば、このこの処理は有効と見なす事となる。
そこで,この脱硫燃焼方式を採用して出来た硫酸は水と混合して成型して建材用ブロックに利用することにした。
この硫酸ピッチスラッジを豆炭状に成型すれば一般ボイラ−やスト−ブ暖房の燃料として使用されるばかりでなく,低温加熱による炭化水素の熱分解によって発生した水素ガスを燃料電池の熱源として利用でき,ビルの発電や冷暖房に利用される。
そして、前記低温加熱に於いては,フリ−カ−ボンの回収もでき、残滓はセメントの添加剤として利用される。
又、製鉄所の石炭と混合して石炭代用品として使用される。
この様に錬炭化した硫酸ピッチの硫酸による大気汚染が殆ど無いのは,硫化物が添加物によって発生することが無いので,従来大型工場の製鉄所やセメント工場のような硫化物による大気汚染の垂れ流しが無くなる。
広く中小規模の産廃業者の出来る領域でもある。
「従来の技術」
原油精製の第一工程として、先ず,原油を濃硫酸で処理して、不飽和物や硫化物を処理して,凝集せしめて、苛性アルカリで中和して炉別したスラッジを硫酸スラッジとして海洋投棄していた。
この硫酸処理原油スラッジは、硫酸化炭化水素を22〜28%、硫化炭化水素を12〜16%含有し,残りの約50%近くは炭化水素となっていた。その他にクマロンが入っているので、自動車やトラック燃料に混合して燃焼せしめる時には炭化水素以外を取り除く必要がある。
従来は,石灰法やアミン法で硫酸ピッチを処理しているが、この簡単分離では硫酸ピッチの硫化物は減少するが,無にはならず大気を汚染している。
「本発明が解決しようとする課題」
(1)無公害完全処理。
(2)大気汚染除去。
(3)熱処理工程で発生する水素ガスを燃料電池に活用。
(4)処理残滓の再利用。
「課題を解決するための手段」
従来の処理方法で,硫酸ピッチスラッジをスルフォン化炭化水素と硫化炭化水素をクマロンの種類別に分離除去しても、最終的スラッジは50%に減ずるだけで無にはならないから,始めから硫酸ピッチスラッジ処理を手間暇かけて行うよりも、脱硫しながら焼却して、硫酸塩の形で回収し,灰分を建築資材に加工すると共に、焼却する際に硫酸ピッチブロックに含まれた炭化水素を燃料として使用する方が割安となる。
そこで,焼却にこの炭化水素を燃料に活用すれば、最初に必要燃料をこれに代換して,燃料に利用すればよいいことになる。
そして,この硫酸ピッチスラッジを圧縮成型して燃料に加工すれば,火力発電やボイラ−の燃料として使えることになる。
そして,この硫酸ピッチスラッジの脱硫を十分に行い、吸収反応せしめて排気ガス中にSOX量が少なくなれば、この処理は有効と見なす事となる。
更に,低温加熱による炭化水素の熱分解によって発生する水素ガスを燃料電池の熱源として利用できる。
又,前記低温加熱においては,フリ−カ−ボンの回収も出来、残滓はセメントの添加剤として使用できる。
更に、この石膏紛を吸着剤として再利用することも出来る。
「本発明の効果」
以上のように、練炭化した硫酸ピッチの硫酸による大気汚染が無いのは,硫化物が石膏化して添加物によって発生することが無いので,従来の大型工場の製鉄所やセメント工場のような硫化物による大気汚染の垂れ流しが無くなる。
広く中小規模の産廃業者の出来る領域でも有る。
【図面の簡単な説明】


【特許請求の範囲】
現在の原油を硫酸で処理し、苛性アルカリで中和した精製法を採用する限りでは、硫酸ピッチの産廃物はいつまでも存在する。
脱硫しながら焼却し、硫酸塩の形で回収して灰分を建築資材に加工すると共に、燃焼する際に硫酸ピッチブロックに含まれた炭化水素を燃料に活用すれば良いことになる。そして,この硫酸ピッチスラッジに鉱物質を混合して粉末にし,これに接合剤を加えて素練したものを圧縮成型した固形燃料に加工すると、火力発電やボイラ−の燃料としても使える事になる。
更に,低温加熱による炭化水素の熱分解によって発生する水素ガスを燃料電池の熱源として利用する。
そして、この低温加熱においてはフリ−カ−ボンの回収も出来、残滓の灰はセメントの添加剤として利用される。
又,豆炭状燃料は、製鉄所の石炭と混合して石炭代用品として使用される。
更に,この燃料を1200℃の高温で燃焼した残滓の灰は石膏の原料として利用され,又,硫酸ピッチの吸収に利用し大気汚染の垂れ流しが無くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石油原油を硫酸で処理した原油を、苛性アルカリで中和したものを更に石灰と炭酸石灰を混合して静置して、硫酸石油を脱硫し吸着せしめてクマロンを吸着分離せしめた後、遠心分離して軽く脱油し、固形物を分離してこれをブリケット又は球状に成型加工して乾燥したものを、280〜400℃で低温加熱によって含油成分を分溜せしめて回収し、又は水素ガスに分解して燃料に回収すると共に、再加熱した焼却灰をセメント原料や建材加工することを特徴とする硫酸ピッチスラッジの加工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−55827(P2006−55827A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−270532(P2004−270532)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(504352537)
【Fターム(参考)】