説明

硬化性組成物、硬化膜、反射防止フィルム、偏光板、及び液晶表示装置

【課題】反射防止性が高く、耐擦傷性及び防汚耐久性に優れた反射防止フィルムを形成
し得る硬化性組成物及び硬化膜を提供すること。
【解決手段】エチレングリコール換算による質量平均分子量が500〜10000であ
るオルガノシランの加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれか(A)、ポリスチレン換算による質量平均分子量が5000以上であって、フルオロアルキル構造およびポリシロキサン構造を有する含フッ素樹脂(B)、ならびに、所定の一般式で示されるシランカップリング剤又はこのシランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれか(C)を含有することを特徴とする硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性に優れた反射防止フィルムの形成に有用な硬化性組成物及び硬化膜に関する。また、その硬化性組成物及び硬化膜より形成された耐久性に優れた反射防止フィルム、そのような反射防止フィルムを偏光膜の保護フィルム上に用いた偏光板、並びに反射防止フィルム又は偏光板が画像表示面に配置された画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
反射防止フィルムは一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のようなディスプレイ装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減する様にディスプレイの最表面に配置される。
【0003】
このような反射防止フィルムは、支持体上の最表面に適切な膜厚の低屈折率層、場合により支持体と低屈折率層との間に、適宜高屈折率層、中屈折率層、ハードコート層などを形成することにより作製できる。低い反射率を実現するために低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料が望まれる。
また反射防止フィルムは最表面に用いられることからディスプレイ装置の保護膜としての機能が期待される。高い透過率、高い物理強度(耐擦傷性など)、耐薬品性、防塵性、防汚性、耐候性(耐湿熱性、耐光性など)が要求される。
【0004】
反射防止フィルムは、通常最表面に配置されるため、高い耐擦傷性及び防汚性が求められる。特許文献1には、低屈折率層にフルオロアルキル構造及びポリシロキサン構造を有するフッ素化合物を用いることにより、耐擦傷性を向上させる技術が開示されている。しかし、この文献に記載の技術だけでは十分な耐擦傷性を得ることが困難である。
また、十分な防汚性を得ることも困難である。
【0005】
【特許文献1】WO 2004/046247 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、反射防止性が高く、耐擦傷性及び防汚耐久性に優れた反射防止フィルムを形成し得る硬化性組成物及び硬化膜を提供することである。
また、本発明のさらなる目的は、上記のような性質に優れた反射防止フィルムを提供し、当該反射防止フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討の結果、以下の構成の反射防止フィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置により本発明の上記目的が達成できることを見出した。
1.エチレングリコール換算による質量平均分子量が500〜10000であるオルガノシランの加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれか(A)、ポリスチレン換算による質量平均分子量が5000以上であって、フルオロアルキル構造およびポリシロキサン構造を有する含フッ素樹脂(B)、ならびに、一般式(1)で示されるシランカップリング剤又はこのシランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれか(C)を含有することを特徴とする硬化性組成物。
一般式(1):(R−Si(X4−m
(但し、Xは、水酸基または加水分解可能な基である。Rは、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルケニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基の少なくとも1つを有する置換基、mは1≦m≦3で示される整数である。)
【0008】
2.前記オルガノシランの加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれか(A)におけるオルガノシランは、一般式(2)で示される化合物であることを特徴とする上記1に記載の硬化性組成物。
一般式(2):(R−Si(X4−m
(但し、Xは、水酸基または加水分解可能な基である。Rは、無置換のアルキル基又は無置換のアリール基を表す。mは0≦m≦3で示される整数である。)
3.前記Rが、エポキシ基、アシルオキシ基、およびアシルアミノ基の少なくとも1つを有する置換基であることを特徴とする上記1又は2に記載の硬化性組成物。
4.前記Rが、アクリロイルオキシ基を有する置換基であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
5.平均粒径5nm〜100nmの無機微粒子(D)を含有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
6.前記無機微粒子(D)が、内部及び表面の少なくともいずれかに平均孔径0.01nm〜90nmの空孔を有することを特徴とする上記5に記載の硬化性組成物。
7.硬化性組成物中のフッ素原子含有量が、5〜60質量%であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
8.さらに、架橋性化合物および酸発生剤を含有していることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物。
9.上記1〜8のいずれかに記載の硬化性組成物を熱及び電離放射線の少なくともいずれかの手段で硬化させて得られる硬化膜。
【0009】
10.透明支持体上に直接または他の層を介してハードコート層が設けられており、さらにハードコート層上に反射防止層が積層された反射防止フィルムであって、
前記ハードコート層が、熱及び電離放射線の少なくともいずれかの手段で硬化可能な樹脂組成物と、一般式(1)で示されるシランカップリング剤もしくはこのシランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれかとを含有する硬化性組成物からなる硬化膜により形成され、
かつ、前記反射防止層が上記9に記載の硬化膜により形成されたものであることを特徴とする反射防止フィルム。
一般式(1):(R−Si(X4−m
(但し、Xは水酸基または加水分解可能な基であり、Rはハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルケニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基の少なくとも1つを有する置換基、mは1≦m≦3で示される整数である。)
【0010】
11.前記ハードコート層を形成する硬化組成物が、レベリング剤を含有することを特徴とする上記10に記載の反射防止フィルム。
12.前記レベリング剤がフッ素系化合物及び/またはシリコーン系化合物であることを特徴とする上記11に記載の反射防止フィルム。
13.前記ハードコート層を形成する硬化性組成物が、下記一般式(3)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーからなる化合物を含有することを特徴とする上記10〜12のいずれかに記載の反射防止フィルム。
一般式(3)
【0011】
【化1】

【0012】
(一般式(3)において、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは1以上18以下の整数を表す。)
14.前記反射防止層の最表面と最表面から80%下層における光電子スペクトル強度比Si/Cが該最表面において80%下層よりも2倍以上大きいことを特徴とする上記10〜13のいずれかに記載の反射防止フィルム。
15.表面散乱に起因するヘイズが3%以下であり、60°光沢度が60%〜120%であることを特徴とする上記10〜14のいずれかに記載の反射防止フィルム。
16.表面散乱に起因するヘイズが3.5%以上であり、60°光沢度が20%〜80%であることを特徴とする上記10〜14のいずれかに記載の反射防止フィルム。
17.さらに導電材料を有する透明帯電防止層を有し、反射防止フィルムの表面抵抗値logSRが12以下であることを特徴とする上記10〜16のいずれかに記載の反射防止フィルム。
18.10ppmのオゾンに192時間暴露後の反射防止フィルム表面の水綿棒擦り試験での限界荷重が400g以上であることを特徴とする上記10〜17のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【0013】
19.上記10〜18のいずれかに記載の反射防止フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
20.上記10〜18のいずれかに記載の反射防止フィルムを偏光膜の保護フィルムの一方に、光学異方性を有する光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いたことを特徴とする偏光板。
21.上記10〜18のいずれかに記載の反射防止フィルムまたは上記19もしくは20に記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
22.画像表示装置が、TN、STN、IPS、VA、OCB、及びECBのいずれかのモードの透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする上記21に記載の画像表示装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、反射防止性が高く、かつ、耐擦傷性及び埃など塵埃に対する防塵性や防汚性に優れた反射防止フィルムを提供することができる。
さらにこれら反射防止フィルムを用いることにより、上記特徴を備えた偏光板用保護フィルム、偏光板、及び画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明について更に詳細に説明する。
なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
【0016】
1.硬化性組成物及び硬化膜
本発明の硬化性組成物は、エチレングリコール換算による質量平均分子量が500〜10000であるオルガノシランの加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれか(A)、ポリスチレン換算による質量平均分子量が5000以上であって、フルオロアルキル構造およびポリシロキサン構造を有する含フッ素樹脂(B)、ならびに、一般式(1)で示されるシランカップリング剤又はこのシランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれか(C)を含有する。以下、各成分(A)〜(C)について説明する。
【0017】
(オルガノシランの加水分解物、縮合反応物(A))
成分(A)におけるオルガノシランは、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。硬化性組成物に一般式(2)で表される化合物を含有することにより、指紋付着性や拭き取り性に優れる反射防止フィルムが得られる。
一般式(2):(R−Si(X4−m
上記一般式(2)において、Rは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基、t-ブチル基、sec-ブチル基、デシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
【0018】
一般式(2)において、Xは、水酸基または加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基としては、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、およびRCOO基(Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCHCOO基、CCOO基等が挙げられる)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは0〜3の整数を表す。RもしくはXが複数存在するとき、複数のRもしくはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。mとして好ましくは0〜2である。
【0019】
オルガノシランの加水分解および縮合反応の少なくともいずれかは、触媒の存在下で行われることが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類等が挙げられるが、オルガノシランの加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物を含むゾル液の製造安定性やゾル液の保存安定性の点から、本発明においては、酸触媒(無機酸類、有機酸類)及び金属キレート化合物の少なくともいずれかが用いられる。
【0020】
無機酸としては、塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましい。有機酸としては、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
酸触媒の使用量は、酸触媒が無機酸の場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、酸触媒が有機酸の場合には、水の添加量によって最適な使用量が異なるが、水を添加する場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、実質的に水を添加しない場合には、加水分解性基に対して1〜500モル%、好ましくは10〜200モル%であり、より好ましくは20〜200モル%であり、更に好ましくは50〜150モル%であり、特に好ましくは50〜120モル%である。 反応は25〜100℃で撹拌することにより行われるがオルガノシランの反応性により調節されることが好ましい。
【0021】
オルガノシランの加水分解物の生成および縮合反応に金属キレート化合物を用いる場合、金属キレート化合物は、一般式ROH(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表されるアルコールと、一般式RCOCHCOR(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。)で表される化合物とを配位子とした、Zr、TiおよびAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物が好ましい。
【0022】
金属キレート化合物としては、Zr、TiまたはAlから選ばれる金属を中心金属とするものを好適に用いることができる。2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
【0023】
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
【0024】
オルガノシランの加水分解および縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができる。溶媒を用いる場合はオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物の濃度を適宜に定めることができる。溶媒としては成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。 溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また
、有機溶媒が塗布液あるいは塗布液の一部として用いられることが工程上好ましく、含フッ素ポリマーなどのその他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
【0025】
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec −ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
【0026】
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。該反応における溶媒に対する固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1質量%〜90質量%の範囲であり、好ましくは20質量%〜70質量%の範囲である。
【0027】
加水分解および縮合反応は、通常、オルガノシランの加水分解性基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、25〜100℃で撹拌することにより行われる。 加水分解性基がアルコキシ基で酸触媒が有機酸の場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができ、オルガノシランのアルコキシ基等の加水分解性基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない場合も好適である。
【0028】
成分(A)であるオルガノシランの加水分解物又はその縮合反応物は、鎖状であってもよいし3次元の網目構造を有していてもよい。
また、オルガノシランの加水分解物又はその縮合反応物の質量平均分子量は、エチレングリコール換算による質量平均分子量が500〜10000であることが好ましい。質量平均分子量が上記範囲にあると、成分(A)のSi成分が低屈折率層表面へ偏在し、低屈折率層の耐擦傷性、防汚性を充分に確保できる。また、質量平均分子量が上記範囲にあることにより硬化性組成物の塗工性および保存安定性が維持されるという利点もある。オルガノシランの加水分解物又はその縮合反応物のエチレングリコール換算による質量平均分子量は、800〜9000であることがより好ましく、1000〜8000であることがさらに好ましい。
前記質量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒(DMF)、示差屈折計検出によるエチレングリコール換算で表した分子量である。
【0029】
(フルオロアルキル構造およびポリシロキサン構造を有する含フッ素樹脂(B))
含フッ素樹脂(B)は、前記一般式(1)および前記一般式(2)のいずれか一つとフルオロアルキル構造を有する化合物(好ましくは、下記一般式(5)に示す化合物)の加水分解および縮合反応の少なくともいずれかにより得られる。
一般式(5):(Rf−L−Si(X4−n
【0030】
一般式(5)中、Rfは炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状の含フッ素アルキル基、または炭素数6〜14の含フッ素芳香族基を表す。Rfは、炭素数3〜10の直鎖、分岐、環状のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数4〜8の直鎖のフルオロアルキル基が更に好ましい。
は炭素数10以下の2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。アルキレン基は、直鎖もしくは分岐の、置換もしくは無置換の、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミド)を有していてもよいアルキレン基である。アルキレン基は置換基を有していてもよく、その場合の好ましい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
は一般式(1)のXと同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が
好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0031】
一般式(5)で表される含フッ素シランカップリング剤の中でも、下記一般式(6)で表される含フッ素シランカップリング剤が好ましい。
一般式(6):C2n+1−(CH−Si(X
一般式(6)中、nは1〜10の整数、mは1〜5の整数を表す。nは4〜10が好ましく、mは1〜3が好ましく、Xはメトキシ基、エトキシ基、または塩素原子を表す。
【0032】
含フッ素樹脂の形成に前記一般式(2)の化合物を用いる場合、一般式(2)の化合物はテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
【0033】
含フッ素樹脂を得るために加水分解および縮合反応の際に使用される溶剤、触媒、反応条件は、オルガノシランの加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物(A)において既に記載した溶剤、触媒、反応条件を適用できる。
【0034】
含フッ素樹脂の前記一般式(1)および前記一般式(2)のいずれか一つと前記一般式(5)の反応比率に特に制限はないが、一般式(1)および/または(2):一般式(5)=1〜10:1であることが好ましく、2〜10:1であることがより好ましい。
【0035】
含フッ素樹脂(B)は、水酸基およびエポキシ基の少なくともいずれかの基を有することが好ましい。含フッ素樹脂(B)の水酸基およびエポキシ基の少なくともいずれかは、オルガノシランの加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物(A)と、また、含フッ素樹脂(B)のポリシロキサン構造と反応することができ、これにより低屈折率層の皮膜強度が強くなり、耐擦傷性をさらに向上させることができる。水酸基又はエポキシ基は、フルオロアルキル構造に導入されていいてもよく、ポリシロキサン構造に導入されていてもよい。水酸基又はエポキシ基は、これら官能基を有する化合物を共重合することにより導入できる。
【0036】
含フッ素樹脂(B)は、鎖状であってもよいし、3次元の網目構造を有していてもよい。また、含フッ素樹脂(B)の質量平均分子量は、ポリスチレン換算による質量平均分子量が5000以上であることが好ましく、5000〜100000であることがより好ましく、5000〜50000であることがさらに好ましい。質量平均分子量が5000以上の場合には、低屈折率層の耐擦傷性を充分に確保できる。一方、質量平均分子量が100000以下の場合は、硬化性組成物の塗工性および保存安定性が維持される。
質量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
【0037】
(一般式(1)で示されるシランカップリング剤又はその加水分解物・縮合反応物(C))
本発明の硬化性組成物は、下記一般式(1)で示されるシランカップリング剤又はこのシランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれか(C)を含有する。シランカップリング剤として一般式(1)で示される化合物を用いることにより、密着性、特に界面密着性に優れた反射防止フィルムが得られる。
一般式(1):(R−Si(X4−m
【0038】
一般式(1)においてRに含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル基、エチル基、i-プロピル基、プロピル基、t-ブチル基等
)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i-プロポキシ基、ヘ
キシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メ
タクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-メチル-N-オクチルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリルアミノ基、メタクリルアミノ基等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。なお、本明細書においては、水素原子を置換するものが単一の原子であっても、便宜上置換基として取り扱う。
は、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基のうちのいずれかの基を有する置換基であることが好ましく、エポキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基のうちのいずれかの基を有する置換基であることがより好ましく、アクリロイルオキシ基であることが特に好ましい。
【0039】
一般式(1)において、Rが複数ある場合は、少なくとも一つが、置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。中でも該置換アルキル基もしくは置換アリール基がさらにビニル重合性基を有することが好ましく、この場合、一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(4)で表されるビニル重合性の置換基を有するオシランカップリング剤として表すことができる。
【0040】
一般式(1)において、Xは、水酸基または加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基としては、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、およびRCOO基(Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCHCOO基、CCOO基等が挙げられる)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1≦m≦3で示される整数である。RもしくはXが複数存在するとき、複数のRもしくはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。mとして好ましくは0〜2である。
【0041】
一般式(1)で表されるシランカップリング剤は、下記一般式(4)で表される化合物であることが好ましい。シランカップリング剤として一般式(4)で示される化合物を用いることにより、界面密着性がさらに優れた反射防止フィルムが得られる。
一般式(4)
【0042】
【化2】

【0043】
一般式(4)において、Rは、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子または塩素原子を表す。上記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。R1としては、
水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基またはウレア基を表す。単結合、エステル基およびアミド基が好ましく、単結合およびエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
【0044】
一般式(4)において、Lは、2価の連結鎖であり、具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル基、エステル基、アミド基)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、または内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基であり、なかでも、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、内部に連結基を有する炭素数3〜10のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
【0045】
一般式(4)において、nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は、一般式(2)のRと同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
【0046】
シランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物を得るために加水分解および縮合反応の際に使用される溶剤、触媒、反応条件は、オルガノシランの加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物(A)において既に記載した溶剤、触媒、反応条件を適用できる。
【0047】
一般式(1)で示されるシランカップリング剤又はこのシランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物(C)は、鎖状であってもよいし、3次元の網目構造を有していてもよい。また、この成分(C)のポリスチレン換算による質量平均分子量は、500〜10000であることが好ましい。さらに、800〜9000であることが好ましく、1000〜8000であることが特に好ましい。質量平均分子量が上記範囲にあると、低屈折率層の耐擦傷性を充分に確保できる。
質量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
【0048】
(無機微粒子(D))
本発明の硬化性組成物は、無機微粒子を含有することができる。
無機微粒子の平均粒径は5〜100nmが好ましく、より好ましくは10〜90nm、更に好ましくは15〜85nmである。また、硬化性組成物中、固形分に対して無機微粒子は5〜80質量%含有することが好ましく、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは15〜65質量%である。無機微粒子の含有量が該下限値以上であれば、効果的に耐擦傷性を改善することができ、また該上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な
凹凸ができたり、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化したりする不具合が生じないので、無機微粒子の含有量はこの範囲内とすることが好ましい。
【0049】
硬化性組成物に含有される無機微粒子は、低屈折率であることが望ましい。このような無機微粒子としては、例えば、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子を挙げることができる。特に、屈折率、分散安定性、コストの観点からシリカ微粒子を用いることが好ましい。シリカ微粒子は、結晶質でも、非晶質でもいずれでもよく、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題ない。なお、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
【0050】
硬化性組成物により形成される硬化膜の屈折率上昇をより一層少なくするためには、無機微粒子として内部、及び表面の少なくともいずれかに空孔を有するシリカ微粒子を用いることが好ましい。特に、中空のシリカ微粒子(以下、中空粒子ということがある)を用いることが好ましい。中空粒子はその屈折率が1.17〜1.40、さらには1.17〜1.35、特には1.17〜1.30の範囲であることが好ましい。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空粒子を形成している外殻のシリカ成分のみの屈折率を表すものではない。中空粒子の屈折率は、粒子の強度及び該中空粒子を含む低屈折率層の耐擦傷性の観点から、1.17以上とすることが好ましい。
なお、これら中空粒子の屈折率はアッベ屈折率計[アタゴ(株)製]にて測定することができ、25℃、D線での値である。
【0051】
内部及び表面の少なくともいずれかに有する(存在する)空孔の平均孔径は、0.01nm〜90nmが好ましく、より好ましくは4〜90nm、更に好ましくは4〜80nmである。無機微粒子の屈折率および強度の観点から、平均孔径は上記範囲にすることが好ましい。
平均孔径が0.01nm以上であることにより屈折率を下げる効果が大きくなる。また、平均孔径が90nm以下であることにより、粒子の強度を保つことができ、優れた耐擦傷性を維持できる。
【0052】
無機微粒子は、分散液中もしくは塗布液中での分散安定化を図るために、又はバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。
【0053】
(架橋性化合物)
硬化性組成物には架橋性化合物を配合することができる。架橋性化合物としては、例えば、メラミン樹脂、グリコール類、アクリル系樹脂、アジド類、イソシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、硬化性組成物の保存安定性から、メチロール化メラミン、アルコキシメチル化メラミンまたはこれらの誘導体などのメラミン樹脂が好ましい。架橋性化合物の使用割合は、含フッ素樹脂(B)100質量部に対して、70質量部以下が好ましい。より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは5〜30質量部である。
【0054】
(酸発生剤)
硬化性組成物には酸発生剤を配合することができる。酸発生剤は、硬化性組成物中で均一に溶解し、硬化性組成物を分解したりせず、硬化膜の皮膜透明性を低下させないものが好ましい。酸発生剤としては、p−トルエンスルホン酸、安息香酸等の有機酸や、トリアジン系化合物等の光酸発生剤などがあげられる。酸発生剤の使用割合は、フッ素化合物(B)100質量部に対して、10質量部以下が好ましい。より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
【0055】
酸発生剤は、酸と有機塩基からなる塩であることが好ましい。酸としては、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸など有機酸や硫酸、リン酸のような無機酸が挙げられ、ポリマーに対する相溶性の観点から有機酸がより好ましく、スルホン酸、ホスホン酸が更に好ましく、スルホン酸が最も好ましい。好ましいスルホン酸としては、p−トルエンスルホン酸(PTS)、ベンゼンスルホン酸(BS)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、p−クロロベンゼンスルホン酸(CBS)、1,4−ナフタレンジスルホン酸(NDS)、メタンスルホン酸(MsOH)、ノナフルオロブタン−1−スルホン酸(NFBS)などが挙げられ、何れも好ましく用いることができる(( )内は略称)。
【0056】
酸発生剤は、酸と組み合わせる有機塩基の塩基性および沸点によって大きく変化する。以下にそれぞれの観点から本発明で好ましく用いられる酸発生剤について説明する。
【0057】
有機塩基の塩基性が低い方が加熱時の酸発生効率が高く、硬化活性の観点からは好ましいが、塩基性が低すぎると保存安定性が不十分になる。従って、適度な塩基性を有する有機塩基を用いることが好ましい。塩基性の指標として共役酸のpKaを用いて表すと、本発明で用いる有機塩基のpKaは5.0〜10.5が好ましく、6.0〜10.0であることがより好ましく、6.5〜10.0であることがさらに好ましい。有機塩基のpKaの値は水溶液中での値が化学便覧 基礎編(改訂5版、日本化学会編、丸善、2004年)第2巻のII−334〜340頁に記載があるので、その中から適当なpKaを有する有機塩基を選ぶことができる。また、該文献に記載がなくても構造上適当なpKaを有すると推定できる化合物も好ましく用いることができる。下記表に該文献に記載の適当なpKaを有する化合物を示すが、本発明に好ましく用いることができる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0058】
【表1】

【0059】
有機塩基の沸点が低い方が加熱時の酸発生効率が高く、硬化活性の観点からは好ましい。従って、適度な沸点を有する有機塩基を用いることが好ましい。塩基の沸点としては、120℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましく、70℃以下であることがさらに好ましい。
【0060】
本発明で好ましく用いることができる有機塩基としては例えば以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。( )内は沸点を示す。
b−3:ピリジン(115℃)、b−14:4−メチルモルホリン(115℃)、b−20:ジアリルメチルアミン(111℃)、b−19:トリエチルアミン(88.8℃)、b−21:t−ブチルメチルアミン(67〜69℃)、b−22:ジメチルイソプロピルアミン(66℃)、b−23:ジエチルメチルアミン(63〜65℃)、b−24:ジメチルエチルアミン(36〜38℃)、b−18:トリメチルアミン(3〜5℃)。
本発明において好ましい有機塩基の沸点は35℃以上85℃以下である。これ以上の温度では耐擦傷性の悪化が生じ、また35℃未満では塗布液が不安定となる。沸点は45℃以上80℃以下であることがさらに好ましく、55℃以上75℃以下であることが最も好ましい。
【0061】
本発明の酸触媒として用いる時には、前記酸と有機塩基からなる塩を単離して用いても良いし、酸と有機塩基を混合して溶液中で塩を形成させ、その溶液を用いても良い。また、酸、有機塩基とも1種類だけで用いても良いし、複数種類のものを混合して用いても良い。酸と有機塩基を混合して用いる時には、酸と有機塩基の当量比が1:0.9〜1.5となるように混合することが好ましく、1:0.95〜1.3であることがより好ましく、1:1.0〜1.1であることがさらに好ましい。
【0062】
(溶剤)
硬化性組成物の調製に用いられる溶剤は、各成分等を分離することなく溶解できるものを特に制限なく使用することができる。たとえば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル酢酸ブチル等のエステル類があげられる。さらに、塗工性や溶液の安定性を向上させる目的で、各成分が析出しない範囲でアルコール類等の貧溶媒を用いることもできる。
硬化性組成物の溶液濃度は、溶液安定性を損なわない範囲であれば特に制限されない。硬化性樹脂組成物を反射防止層形成剤に用いる場合には薄膜を厚み精度よく形成する必要があるため、通常、0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%の程度とするのが、取扱い易く好ましい。
【0063】
また、硬化組成物には、硬化性組成物の保存安定性を高めるために、一般式(7):RCOCHCORで表される溶剤を添加することが好ましい。一般式(7)において、RおよびRは、前記金属キレート化合物を構成するRおよびRと同様である。
一般式(7)で表される溶剤は、β−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物の少なくともいずれかであり、硬化組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよびアルミニウム化合物の少なくともいずれかの化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物による一般式(3)と一般式(5)成分の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用を有するものと考えられる。
【0064】
この一般式(7)で表されるβ−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。
本発明において一般式(7)で表されるβ−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物は、両者合計して、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。少なすぎると得られる組成物の保存安定性に劣るおそれがあり好ましいものではない。
【0065】
(各成分の添加量)
本発明の硬化性組成物中、オルガノシランの加水分解物又は縮合反応物(A)と含フッ素樹脂(B)との混合割合は、当該組成物から得られる硬化膜の用途に応じて適宜に調製される。オルガノシランの加水分解物又は縮合反応物(A)の割合が多くなると、含フッ素樹脂(B)の割合が少なくなり、硬化膜の屈折率が上昇したり、防汚染性が低下する傾向がある。一方、オルガノシランの加水分解物又は縮合反応物(A)の割合が少なくなると、低屈折率層の皮膜強度が弱くなり、耐擦傷性が低下する傾向がある。これらの観点から、硬化膜を低屈折率層とする場合には、硬化性組成物中、オルガノシランの加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物(A)の割合は、オルガノシランの加水分解物又は縮合反応物(A)と含フッ素樹脂(B)との合計に対して、通常、固形分で5〜90質量%であるのが好ましい。より好ましくは、30〜75質量%である。
【0066】
本発明の硬化性組成物中、シランカップリング剤又はこのシランカップリング剤の加水分解物もしくは縮合反応物(C)は、上記成分(A)及び成分(B)の合計に対して、3〜80質量%であることが好ましい。より好ましくは、5〜70質量%であり、特に好ましいのは8〜60質量%である。
【0067】
(フッ素原子含有量)
硬化組成物中のフッ素原子含有量は、5質量%以上であることが好ましく、5〜60質量%であることがより好ましい。さらに、5〜40質量%であることが好ましく、7〜38質量%であることがより好ましく、特に10〜30質量%であることが好ましい。5質量%未満の場合、低屈折率層の防汚性が低下し、60質量%を超える場合は、耐擦傷性が低下し好ましくない。
なお、本発明において、硬化組成物中のフッ素原子含有量は、600MHzNMR(Bruker社製 AVANCE600型)にて定量した(CF−Phを内標としたacetone−d6溶液を19F−NMRにて定量)値である。
【0068】
(フッ素原子含有量)
硬化組成物中のフッ素原子含有量は、5質量%以上であることが好ましく、5〜60質量%であることがより好ましい。さらに、5〜40質量%であることが好ましく、特に7〜38質量%であることが好ましい。5質量%未満の場合、低屈折率層の防汚性が低下し、50質量%を超える場合は、耐擦傷性が低下し好ましくない。
なお、本発明において、硬化組成物中のフッ素原子含有量は、600MHzNMR(Bruker社製 AVANCE600型)にて定量した(CF−Phを内標としたacetone−d6溶液を19F−NMRにて定量)値である。
【0069】
(硬化膜の形成方法)
硬化性組成物の硬化手段としては、熱及び電離放射線の少なくともいずれかの手段を用いることが好ましい。熱硬化温度としては、60〜150℃が好ましく、80〜140℃がより好ましく、特に好ましくは100〜140℃である。上記範囲にあれば、ベースが変形しにくい。
熱硬化時間としては、0.5〜120分が好ましく、1〜60分がより好ましく、特に好ましは2〜30分である。上記範囲にある場合は、生産性を損なわない。
【0070】
電離放射線による硬化手段において電離放射線の照射は、酸素濃度は3体積%以下の雰囲気下で行なうことが好ましい。より好ましくは1体積%以下であり、更に好ましくは0.1体積%以下である。必要以上に酸素濃度を低減するためには、不活性ガスの多量の使用量が必要であり、製造コストの観点から好ましくない。酸素濃度を低下させる手段としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の不活性気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
また、電離放射線による硬化手段を用いる場合、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を0.2秒以上の間照射することによって硬化を行なうことが特に好ましい。照射時間は照射開始から0.2秒以上60秒以下が好ましく、0.3秒以上10秒以下がより好ましい。0.2秒未満では、硬化反応が完了することができず、十分な硬化を行うことができないことがある。
【0071】
2.反射防止フィルム
本発明の反射防止フィルムは、透明支持体上に直接または他の層を介してハードコート層が設けられており、さらにハードコート層上に反射防止層が積層されたものである。
以下、反射防止フィルムを構成する各層について説明する。
【0072】
[反射防止層(低屈折率層)]
反射防止層(低屈折率層)は、上記1の硬化性組成物からなる硬化膜から形成される。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.40であることがより好ましく、1.25〜1.38であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜120nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、反射防止フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
【0073】
[ハードコート層]
ハードコート層は、熱及び電離放射線の少なくともいずれかの手段で硬化可能な樹脂組成物と、一般式(1)で示されるシランカップリング剤もしくはこのシランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれか、とを含有する硬化性組成物からなる硬化膜により形成される。
【0074】
(樹脂組成物)
熱及び電離放射線の少なくともいずれかの手段で硬化可能な樹脂組成物としては、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含むものが挙げられる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0075】
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、前記のエステルのエチレンオキサイド変性体やカプロラクトン変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。前記モノマーは2種以上併用してもよい。
また、光重合性多官能モノマーは、光重合開始剤、光増感剤を用いて重合することが好ましく、光重合反応はハードコート層の塗布及び乾燥後、紫外線照射により行うことが好ましい。
【0076】
ハードコート層には、脆性に対する耐性の付与のために質量平均分子量が500以上のオリゴマー及びポリマーの少なくともいずれかを添加してもよい。オリゴマー、ポリマーとしては、(メタ)アクリレート系、セルロース系、スチレン系の重合体や、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。好ましくは、側鎖に官能基を有するポリグリシジル(メタ)アクリレートやポリアリル(メタ)アクリレート)等が挙げ
られる。
【0077】
ハードコート層におけるオリゴマー及びポリマーの少なくともいずれかの含有量は、ハードコート層の全質量に対し5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは25〜70質量%、特に好ましくは35〜65質量%である。
【0078】
(レベリング剤)
ハードコート層はムラ防止を目的として各種のレベリング剤を使用することが好ましい。レベリング剤としては、アクリル系レベリング剤、ビニル系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、又はシリコーン系レベリング剤などが挙げられるが、フッ素系レベリング剤、又はシリコーン系レベリング剤が好ましい。
また、レベリング剤は、低分子化合物よりもオリゴマーやポリマーであることが好ましい。フッ素系レベリング剤とシリコーン系レベリング剤については後述する。
ハードコート層にレベリング剤を添加すると、塗布された液膜の表面にレベリング剤が速やかに偏在し、ハードコート層の膜乾燥後もレベリング剤がそのまま表面に偏在することになるのでハードコート層膜の表面エネルギーは、レベリング剤によって低下する。
従ってハードコート層のムラを防止するという観点からはハードコート層の表面エネルギーが低いことが好ましい。
【0079】
ハードコート層用の塗布液の表面張力は、15〜40[mN/m]の範囲にあることが好ましい。この範囲であれば、乾燥時のムラが抑止されるため好ましい。さらに好ましくは18[mN/m]〜36[mN/m]の範囲であり、20[mN/m]〜33[mN/m]の範囲が特に好ましい。この範囲であれば、塗布可能な上限の速度を落とすことがなく好ましい。
【0080】
ハードコート層の表面エネルギー(γsv:単位、mJ/m2)とはD.K.Owens:J.Appl.Polym.Sci.,13,1741(1969)を参考に、防眩性ハードコート層上で実験的に求めた純水H2Oとヨウ化メチレンCH22のそれぞれの接触角θH2O、θCH2I2から以下の連立方程式(1)(2)より求めたγsdとγshの和で表される値γsv(=γsd+γsh)で定義する防眩性ハードコート層の表面張力のエネルギー換算値である。(mN/m単位をmJ/m2単位としたもの)サンプルは測定する前に所定の温湿度条件で一定時間以上調湿を行うことが必要である。この際の温度は20℃〜27℃、湿度は50RH%〜65RH%の範囲であることが好ましく、調湿時間は2時間以上であることが好ましい。
【0081】
(1)1+cosθH2O=2√γsd(√γH2Od/γH2Ov)+2√γsh(√γH2Oh/γH2Ov)
(2)1+cosθCH2I2=2√γsd(√γCH2I2d/γCH2I2v)+2√γsh(√γCH2I2h/γCH2I2v)
ここで、γH2Od=21.8°、γH2Oh=51.0°、γH2Ov=72.8°、γCH2I2d=49.5°、γCH2I2h=1.3°、γCH2I2v=50.8°である。
【0082】
ハードコート層の表面エネルギーは、45mJ/m2以下が好ましく、20〜45mJ/mの範囲がより好ましく、25〜40mJ/m2の範囲が最も好ましい。
ハードコート層の表面エネルギーを45mJ/m2以下とすることにより、ハードコート層の塗布ムラが生じにくいという効果が得られる。
ただし、ハードコート層の上にさらに低屈折率層などの上層を塗布するため、レベリング剤は上層へ溶出することが好ましく、ハードコート層の上層塗布液の溶媒でハードコート層を浸漬した後のハードコート層の表面エネルギーは、むしろ高いことが好ましく、表面エネルギー35〜70mJ/m2であることが好ましい。
【0083】
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位と
して複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはポリエーテル基、アルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、1000〜30000であることが特に好ましく、1000〜20000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例 としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−5521、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221 (以上商品名)、東レ・ダウコーニング(株)製、SH200、DC11PA、SH28PA、ST80PA、ST86PA、ST97PA、SH550、SH710、L7604、FZ−2105、FZ2123、FZ2162、FZ−2191、FZ2203、FZ−2207、FZ−3704、FZ−3736、FZ−3501、FZ−3789 (以上商品名)、GE東芝シリコーン(株)製、TSF400、TSF401、TSF410、TSF433、TSF4450、TSF4460 (以上商品名)、などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0084】
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CFCF,−CH(CFH,−CH(CFCF,−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF,CHCF(CF,CH(CH)CFCF,CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCHOCHCFCF,CHCHOCHH,CHCHOCHCH17,CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
【0085】
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172D、F−179A、F−470、F−475、R−08、ディフェンサMCF−300 (以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0086】
これらのレベリング剤を添加する場合にはハードコート層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
【0087】
(一般式(3)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー)
ハードコート層を形成するための硬化性組成物には、一般式(3)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーを含有することが好ましい。
一般式(3)においては、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Lは2価の連結器を表し、酸素原子、イオウ原子、窒素原子を含む2価の連結器が好ましい。nは1以上18以下の整数を表し、4〜12がより好ましく、6〜8が特に好ましい。
【0088】
上記モノマーは、共重合可能な他の種類のモノマーと共重合体を形成してもよい。このような共重合可能な他の種類のモノマーとしては、PolymerHandbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975)Chapter 2Page 1〜483記載のものを用いることが出来る。
例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
【0089】
具体的には、以下の単量体をあげることができる。
アクリル酸エステル類:
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等、
メタクリル酸エステル類:
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、クロルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等、
【0090】
アクリルアミド類:
アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミドなど。
メタクリルアミド類:
メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミドなど。
アリル化合物:
アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノールなど
【0091】
ビニルエーテル類:
アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテルなど
ビニルエステル類:
ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β―フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレートなど。
【0092】
イタコン酸ジアルキル類:
イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなど。
フマール酸のジアルキルエステル類又はモノアルキルエステル類:
ジブチルフマレートなど
その他、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
マレイロニトリル、スチレンなど。
【0093】
共重合体中、一般式(3)で示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位の量は、共重合体を構成する全重合単位に対して90質量%以下であることが好ましく、80質量%で以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
【0094】
一般式(3)のフルオロ脂肪族基含有モノマーからなるポリマーの好ましい質量平均分子量は、1,000〜100,000が好ましく、1,500〜80,000がより好まし
く、2,000〜60,000が更に好ましい。
ここで、質量平均分子量及び分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
【0095】
一般式(3)のフルオロ脂肪族基含有モノマーからなるポリマーは、公知の方法で製造することができる。例えば先にあげたフルオロ脂肪族基を有する(メタ)アクリレート、直鎖、分岐または環状のアルキル基を有する(メタ)アクリレート等の単量体を有機溶媒中、汎用のラジカル重合開始剤を添加し、重合させることにより製造できる。もしくは場合によりその他の付加重合性不飽和化合物とを、添加して上記と同じ方法にて製造することができる。各モノマーの重合性に応じ、反応容器にモノマーと開始剤を滴下しながら重合する滴下重合法なども、均一な組成のポリマーを得るために有効である。
【0096】
(シランカップリング剤)
一般式(1)で示されるシランカップリング剤及びこのシランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物については、上記硬化性組成物で説明した一般式(1)の化合物、その加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物で例示したものを用いることができる。
【0097】
(微粒子)
ハードコート層には、無機および有機の少なくともいずれか1つの微粒子を用いても良い。微粒子を用いることにより、ハードコート層の屈折率を後述する範囲とすることがで
きる。
微粒子の粒径は0.01〜1μmが好ましく、さらに好ましいのは0.01〜0.5μm、特に好ましいのは0.01〜0.3μmである。上記粒径の範囲であれば塗膜の透明性が損なわれず好ましい。
【0098】
(透光性ビーズ)
本発明のフィルム、特に防眩層やハードコート層には、防眩性(表面散乱性)や内部散乱性を付与するため、各種の透光性ビーズ粒子を用いることが出来る。
【0099】
透光性粒子は有機粒子であっても、無機ビーズであってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズ値の設計が容易となる。透光性ビーズとしては、プラスチックビーズが好適である。
【0100】
(無機ビーズ)
無機ビーズとしては、シリカビーズ(屈折率1.44)、凝集性シリカビーズ(屈折率1.48)、アルミナビーズ(屈折率1.63)、ジルコニアビーズ、チタニアビーズ、また中空や細孔を有する無機ビーズが挙げられる。
無機ビーズは、樹脂100質量部に対して1〜30質量部、さらに3〜20質量部とするのが好ましい。無機ビーズを含有する塗料は、時間の経過とともに沈降する無機ビーズの量が増加するため、塗料使用時には沈殿した無機ビーズを攪拌して良く分散させる必要がある。一方、凝集シリカは一次粒子がサブミクロンオーダーのため、他の凝集性でない無機ビーズと比較して、沈降が起こり難く好ましい。
【0101】
(樹脂ビーズ)
ハードコート層には、屈折率1.40〜1.60の樹脂ビーズを用いることができる。樹脂ビーズを用いることで、ハードコート性に加えて、防眩性を付与することができる。
樹脂ビーズの屈折率がこのような範囲である好ましい理由は、ハードコート層に用いる樹脂、特にアクリレートまたはメタクリレート系樹脂の屈折率が通常1.45〜1.55であることから、この樹脂の屈折率にできるだけ近い屈折率を持つ樹脂ビーズを選択すると、塗膜の透明性が損なわれずに、しかも防眩性を付与することも可能であるからである。このように樹脂の屈折率に近い屈折率を持つ樹脂ビーズには、例えば架橋ポリメチルメタクリレートビーズ(1.49)、ポリカーボネートビーズ(1.58)、架橋ポリスチレンビーズ(1.61)、ポリアクリルスチレンビーズ(1.57)、ポリ塩化ビニルビーズ(1.54)などがあるが、上記屈折率の範囲にあるものはこれ以外のものでも使用することができる。
【0102】
これらの樹脂ビーズの粒径は、3〜8μmのものが好適に用いられ、樹脂100質量部に対して2〜20質量部、さらに5〜15質量部とするのが好ましい。この塗料のような樹脂ビーズを混入させると、塗料使用時には容器の底に沈殿した樹脂ビーズを攪拌して良く分散させる必要がある。このような不都合を無くすために、前記の塗料に樹脂ビーズの沈降防止剤として粒径0.5μm以下、好ましくは0.1〜0.25μmのシリカビーズを含ませてもよい。なお、このシリカビーズは添加すればするほど有機フィラーの沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。したがって、樹脂100質量部に対して、塗膜の透明性を損なわない程度に、しかも沈降防止することができる範囲である0.1質量部未満程度が好ましい。
【0103】
(その他の添加剤)
ハードコート層には、チクソトロピー剤、帯電防止剤等の添加剤を用いることができる。
【0104】
(ハードコート層の形成方法)
ハードコート層は、熱又は電離放射線を照射することにより、硬化性組成物中に含まれる化合物(例えば、前述の多官能モノマーや多官能オリゴマー)の架橋反応又は重合反応により形成することができる。
この架橋反応又は重合反応は、酸素濃度が3体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が3体積%以下の雰囲気で形成することにより、物理強度や耐薬品性に優れたハードコート層を形成することができる。好ましくは酸素濃度が1体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することである。更に好ましくは酸素濃度が0.5体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が0.1体積%以下ある。
酸素濃度を3体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することにより行うことが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
【0105】
また、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で熱又は電離放射線を0.3秒以上の間照射することが好ましい。照射時間は、照射開始から0.3秒以上60秒以下がより好ましく、0.5秒以上10秒以下がさらに好ましい。0.3秒未満では、硬化反応が完了することができず、十分な硬化を行うことができない。
【0106】
ハードコート層を形成する熱及び電離放射線の少なくともいずれかの手段で硬化可能な樹脂組成物が不飽和二重結合を含む場合、ハードコート層の表面に反射防止層が積層される際に前記不飽和二重結合量が未硬化前に対し10%以上残存していることが好ましい。より好ましくは15%以上、特に好ましくは20%以上残存していることである。上記範囲では、ハードコート層の表面に積層される反射防止層との界面結合力が上がり、高い耐擦傷性が得られる。
【0107】
ハードコート層と反射防止層との界面結合力を上げる他の方法としては、ハードコート層上に反射防止層の硬化性組成物を塗工する前に、表面処理を行う方法がある。ハードコート層の表面処理としては、高周波放電プラズマ法、電子ビーム法、イオンビーム法、蒸着法、スパッタリング法、アルカリ処理法、酸処理法、コロナ処理法、大気圧グロー放電プラズマ法等を挙げることができる。特に、アルカリ処理が有効である。アルカリ処理法に使用するアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液、それらに更にアルコール等の各種有機溶媒を加えたアルカリ水溶液等を挙げることができる。アルカリ処理の条件は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、0.1〜10Nの濃度の水溶液として使用することが望ましく、更には、1〜2Nの濃度が望ましい。また、アルカリ水溶液の温度は、0〜100℃、好ましくは、20〜80℃である。アルカリ処理の時間は、0.01〜10時間、好ましくは、0.1〜1時間である。
【0108】
塗布溶媒としては、ケトン系溶媒であることが好ましい。ケトン系溶媒を用いることで、透明支持体(特に、トリアセチルセルロース支持体)の表面とハードコート層との接着性がさらに改良される。特に好ましい塗布溶媒は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。塗布溶媒は、ケトン系溶媒以外の溶媒を含んでいてもよい。塗布溶媒には、ケトン系溶媒が塗布組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上含まれることが好ましい。ケトン系溶媒の含有量は、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である
【0109】
なお、ハードコート層は、透明支持体の表面に直接設けてもよいし、透明支持体との間に他の層を介して設けてもよいが、反射防止フィルムに物理強度を付与するためには透明支持体の表面に直接設けることが好ましい。
【0110】
(ハードコート層の物性)
ハードコート層の硬度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、HB以上であることが好ましく、H以上であることがさらに好ましい。また、JIS K5400に従う
テーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
【0111】
本発明のハードコート層の屈折率は1.47〜1.65が好ましい。さらに好ましいのは1.49〜1.62である。
【0112】
[帯電防止層]
本発明の反射防止フィルムは、帯電防止層を設けることがフィルム表面での静電気防止の点で好ましい。帯電防止層は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性層形成用組成物の塗布液を塗工する方法、又は透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等、公知の方法で形成することができる。
【0113】
帯電防止層は、透明支持体に直接又は透明支持体との接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。また、帯電防止層を反射防止フィルムの構成の中で、最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる。塗工方法は、特に限定されず、塗布液の特性や塗布量に応じて、例えば、ロールコート、グラビアコート、バーコート、押出しコート等の公知の方法より最適な方法を選択して行えばよい。帯電防止層の屈折率を調節して、中屈折率層や高屈折率層を兼ねる層として用いることも好ましい。
【0114】
帯電防止層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。
【0115】
帯電防止層の表面抵抗は、105〜1012Ω/□であることが好ましく、105〜1011Ω/□であることがさらに好ましい。帯電防止層を設けることにより、反射防止フィルムの表面抵抗値logSRは12以下となることが、反射防止フィルム表面への埃付着防止の点で好ましく、logSRが11以下となるのが更に好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、25℃、湿度60%RH下で、超絶縁抵抗/微小電流計"TR8601"{(株)アドバンテスト製}を用いて測定することができる。
【0116】
帯電防止層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、帯電防止層のヘイズは10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。また波長550nmの光の透過率は50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
【0117】
帯電防止層はまた、硬度が高いことが好ましく、具体的な帯電防止層の硬度は、1kg荷重の鉛筆硬度(JIS K−5400の規定)で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
【0118】
(導電性微粒子)
帯電防止層には、導電性微粒子を含有することが好ましい。導電性微粒子は、金属の酸化物又は窒化物から形成される無機粒子であることが好ましい。金属の酸化物又は窒化物の例には、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛及び窒化チタンが含まれる。酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。
【0119】
導電性微粒子は、これらの金属の酸化物又は窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、V及びハロゲン原子が含まれる。酸化錫及び酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、V及びハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)及びSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
【0120】
帯電防止層に用いられる導電性微粒子の一次粒子の平均粒子径は、1〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましく、5〜70nmであることが最も好ましい。形成される帯電防止層中の導電性微粒子の平均粒子径は、1〜200nmであり、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。導電性微粒子の平均粒子径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
【0121】
導電性無機微粒子の比表面積は、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜
200m2/gであることがさらに好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
【0122】
導電性微粒子は表面処理されていてもよい。表面処理は、無機化合物又は有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例には、アルミナ及びシリカが含まれる。シリカ処理が特に好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。2種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。
【0123】
導電性微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。二種類以上の導電性微粒子を帯電防止層内で併用してもよい。
【0124】
帯電防止層中の導電性微粒子の割合は、20〜90質量%であることが好ましく、25〜85質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがさらに好ましい。
【0125】
導電性微粒子は、分散物の状態で帯電防止層の形成に使用する。
分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例えば、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
【0126】
導電性微粒子は、分散機を用いて媒体中に分散できる。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例えば、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ロー
ラーミル、アトライター及びコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが含まれる。
【0127】
[透明支持体]
透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4〜1.7であることが好ましい。
【0128】
透明支持体の素材としては、特に限定されないが、ガラス板よりもプラスチックフィルムの方が好ましい。プラスチックフィルムの材料の例には、セルロースエステル(例えばセルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4、4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例えばシンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレート及びポリエーテルケトン等が含まれる。セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートが好ましい。
【0129】
特に、液晶表示装置に用いる場合、上記のセルロースエステルのうちセルロースの脂肪酸エステルであるセルロースアシレートのフィルムが好ましい。セルロースアシレートはセルロースをエステル化することにより作製される。用いられるセルロースは、通常、リンター、ケナフ、パルプなどを精製して用いられる。
【0130】
上記のように、本発明におけるセルロースアシレートとは、セルロースの脂肪酸エステルのことであるが、特に、低級脂肪酸エステルが好ましい。
ここで低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数が2〜4のセルロースアシレートが好ましく、中でもセルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いることもまた好ましい。
【0131】
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、セルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜5.0であることが好ましい。より好ましくは、1.0〜3.0であり、特に好ましくは1.0〜2.0である。
【0132】
透明支持体としては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアシレートを使用することが好ましい。酢化度は、57.0〜62.0%であることがさらに好ましく、59.0〜61.5%が特に好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアシレート等の試験法)におけるアシル化度の測定及び計算によって求められる。
【0133】
セルロースアシレートでは、セルロースの2位、3位、6位のヒドロキシルが均等に置
換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。本発明に用いるセルロースアシレートでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度又は多い方が好ましい。2位、3位、6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30〜40%であることが好ましく、31〜40%であることがさらに好ましく、32〜40%であることが最も好ましい。
【0134】
セルロースアシレートフィルムは、長尺フィルムを用いることが好ましく、具体的には、100m〜5000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、生産性の高い反射防止フィルムを提供する観点から、樹脂フィルム基材の幅は1.3〜4mであることが好ましい。
【0135】
透明支持体の膜厚は10μm以上85μm以下が好ましく、10μm以上70μm以下がさらに好ましく、20μm以上60μm以下が最も好ましい。これより膜厚が薄いとハンドリングにおいてフィルム切断や皺などの故障が起こりやすい。これより厚いと液晶ディスプレイに貼った場合の薄手化が不十分である。
【0136】
透明支持体には、フィルムの機械的特性(膜の強度、カール、寸度安定性、滑り性等)、耐久性(耐湿熱性、耐候性等)等の特性を調整するために各種の添加剤を用いることができる。例えば、可塑剤(リン酸エステル類、フタル酸エステル類、ポリオールと脂肪酸とのエステル類等)、紫外線防止剤(例えば、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物等)、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)、微粒子(例えばSiO、Al、TiO、BaSO、CaCO、MgCO、タルク、カオリン等)、剥離剤、帯電防止剤、赤外吸収剤等が挙げられる。
【0137】
これらの詳細は、発明協会公開技法公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会),p.17−22に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。添加剤の使用量は、透明支持体の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。
【0138】
また、少量のマット剤を添加することにより、良好な平面性及びタッキング防止性、透明性も十分に確保できる方法として、少なくとも基層と表層とを有する多層構造からなっており、その表層のみにマット剤を添加する方法がある。
【0139】
この表層は、基層の片側にのみ積層されていても、基層の両側に積層されていてもよい。すなわち、特開2001−71418号公報の図1に示すように、基層1とその両面に積層された表層2とからなる三層の態様でもよいし、同公報の図2に示すように、基層1とその一方の面に積層された表層2とからなる二層の態様でもよい。また、表層は、表面に位置する個所に積層されるもので、基層と表層との間に他の層を積層することもできる。
【0140】
このような透明支持体においては、表層のみにマット剤が添加されており、基層にはマット剤が添加されていない。すなわち、表層にのみマット剤を添加することにより、透明支持体の表面の平面性及びタッキング防止性を確保するとともに、基層(中間に他の層を積層した場合は、その中間層も含む)にマット剤を添加しないことにより、透明支持体全体の透明性を確保している。
【0141】
マット剤としては、SiO2、TiO2、BaSO4、CaCO3、タルク、カオリン等が例示される。また、無機化合物には、例えば、硫酸バリウム、マンガンコロイド、二酸化
チタン、硫酸ストロンチウムバリウム、二酸化ケイ素などの無機物の微粉末があるが、さらに例えば湿式法やケイ酸のゲル化より得られる合成シリカ等の二酸化ケイ素やチタンスラッグと硫酸により生成する二酸化チタン(ルチル型やアナタース型)等が挙げられる。また、粒径の比較的大きい、例えば20μm以上の無機物から粉砕した後、分級(振動濾
過、風力分級など)することによっても得られる。好ましい無機化合物のマット剤として
、導電性を有する微粒子が挙げられる。具体的には、ZnO、TiO3、SnO2、Al2
3、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3の中から選ばれた少なくとも1種の結晶性の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物の微粒子がある。
【0142】
また、高分子化合物からなるマット剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンカーボネート、澱粉等があり、これらの粉砕分級物もあげられる。また、懸濁重合法で合成した高分子化合物、スプレードライ法あるいは分散法等により球形にした高分子化合物、または無機化合物を用いることができる。また以下に述べるような単量体化合物の1種又は2種以上の重合体である高分子化合物を種々の手段によって粒子としたものであってもよい。
【0143】
例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、スチレン類、オレフィン類が好ましく用いられる。また、特開昭62−14647号公報、同62−17744号公報、同62−17743号公報に記載されているようなフッ素原子あるいはシリコン原子を有する粒子を用いてもよい。これらの中で好ましく用いられる粒子組成としてポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=95/5)(モル比)、ポリ(スチレン/スチレンスルホン酸=95/5)(モル比)、ポリアクリロニトリル、ポリ(メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸=50/40/10)、シリカなどを挙げることができる。
【0144】
マット剤としては、以上のように種々の無機化合物及び高分子化合物を用いることができるが、メチレンクロライドを用いた分散媒では無機化合物が好ましく、特にシリカ(SiO2)は安価で入手し易いので好ましい。
【0145】
マット剤の添加量は、5〜500mg/m2が好ましく、10〜100mg/m2がより好ましい。マット剤の添加量が5mg/m2未満であると、透明支持体表面の滑り性・タ
ッキング防止性を確保することが困難になり、500mg/m2を越えると、透明性が悪
くなる。
【0146】
透明支持体の表層の中心線平均粗さは、0.01μm〜5μmであることが好ましく、中心線平均粗さが0.1μm〜1μmであることがより好ましい。表層の中心線平均粗さが0.01μm未満であると、フィルムにきしみが発生し、細かい傷が生じる。また、中心線平均粗さが5μmを越えると、平面性が悪くなる。
【0147】
透明支持体に、表面処埋を実施してもよい。表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理及びオゾン酸化処理が含まれる。具体的には、例えば、発明協会公開技法公技番号2001−1745号(発行2001年3月15日)30〜31頁に記載の内容、特開2001−9973号公報に記載の内容等が挙げられる。
好ましくは、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理及び火焔処理、更に好ましくはグロー放電処理と紫外線処理が挙げられる。
【0148】
[その他の層]
本発明の反射防止フィルムには、さらに、防湿層、帯電防止層(導電層)、プライマー層、下塗層や保護層、シールド層、滑り層、ガスバリアー層を設けてもよい。シールド層は、電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。
【0149】
[反射防止フィルムの特性]
(光電子スペクトル強度比Si/C)
反射防止フィルムにおいて、低屈折率層(反射防止層)の最表面と最表面から80%下層における光電子スペクトル強度比Si/Cが、最表面において80%下層よりも2倍以上大きいことが好ましい。Si/Cは、最表面が80%下層よりも2.5倍以上大きいことがより好ましく、3倍以上大きいことがさらに好ましい。
【0150】
なお、光電子スペクトル強度比Si/Cは以下のようにして測定することができる。まず、反射防止フィルムついて島津製作所(株)製ESCA−3400で測定(真空度1×10-5Pa、X線源;ターゲットMg、電圧12kV、電流20mA)された最表面のSi2p、C1sの光電子スペクトルの強度比Si2p/C1s(=Si(a))を求め、さらに、ESCA−3400に付属のイオンエッチング装置(イオンガン、電圧2kV、電流20mA)で低屈折率層をその層厚が1/5(±5%)になるまで削った表面から80%下層において測定した光電子スペクトルの強度比Si2p/C1s(=Si(b))を求める。これらから、エッチング前後でのそれぞれの強度比の変化、Si(a)/Si(b)を求め、Si2p/C1s比のエッチング前後における変化(低屈折率層最上部における光電子スペクトルの強度比/低屈折率層の表面から深さ80%下層付近における光電子スペクトルの強度比)により、表面偏析度を決定できる。
【0151】
なおC1sはそれぞれの光電子スペクトルのピーク位置で強度を求め、Si2pはシリコーン(ポリジメチルシロキサン)のSi原子由来のピーク位置(結合エネルギーが105eV付近)における強度を上記の強度比算出に用い、無機シリカ粒子由来のSi原子と区別した。あらかじめ種々のエッチング条件で低屈折率層表面を徐々に削り進む予備実験を実施しておき、下層のハードコート層に達するまでに要するエッチング条件を元に表面から深さ80%となる条件を求めてから測定する。
表面の特性のみをコントロールする場合に本明細書に記載の表面偏析化合物を適宜使用することによって、必要な成分のみを選択的に表面に配置可能であり、膜の内部の特性と表面の特性を独立にコントロールすることが可能となる。
【0152】
(表面ヘイズと光沢度)
反射防止フィルムの表面散乱に起因するヘイズ(表面ヘイズともいう)と光沢度は、用途に応じて、以下の(i)又は(ii)のいずれかであることが好ましい。
(i)表面散乱に起因するヘイズが3%以下であり、60°光沢度が60%〜120%であること。
(ii)表面散乱に起因するヘイズが3.5%以上であり、60°光沢度が20%〜80%であること。
【0153】
表面散乱に起因するヘイズ(以後、表面ヘイズと呼称する)は、下記のように求めることが出来る。反射防止フィルムの全ヘイズ(H)、内部ヘイズ(Hi)、表面ヘイズ(Hs)とする。
(1)JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
(2)得られたフィルムの低屈折率層側の表面および裏面にシリコーンオイルまたは、流動パラフィンを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出する。
(3)上記(1)で測定した全ヘイズ(H)から上記(2)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。
【0154】
(水綿棒擦り試験での限界荷重)
本発明の反射防止フィルムは、10ppmのオゾンに192時間暴露後の反射防止フィルム表面の水綿棒擦り試験での限界荷重が400g以上であることが好ましい。より好ましくは500g以上、更に好ましくは600g以上である。
水綿棒擦り試験での限界荷重は以下のようにして求めることができる。
各試料を偏光板に加工後、オゾン10ppm、30℃、60%RHの環境下に192時間(8日)保管した後に、大気中に取り出す。ラビングテスターのこすり先端部に綿棒((株)トーヨー衛材株式会社製 ヘルスリフレ(商品名))を固定し、平滑皿中で試料の上下をクリップで固定し、室温25℃で、試料と綿棒を25℃の水に浸し、綿棒に荷重をかけて20往復擦り試験を行う。こすり距離(片道):1cm、こすり速度:約2往復/秒擦り後の試料の表面の水を乾燥させた後に、膜がはがれているかを目視で観察する。同じ試料で10回試験を行い、5回以上膜はがれが起きるまで、初期荷重100gからスタートし荷重を50gずつ上げて試験を行う。膜はがれが10回の試験中5回未満であった荷重を限界荷重と定義する。膜はがれは、目視で表面の反射状態が変わっているかで判断を行う。反射状態が変わっている膜は、その切片を電子顕微鏡で観察すると、最上層の膜厚が5%以上薄くなっているか、または最上層やその他構成層が剥離していることが観察される。
【0155】
[反射防止フィルムの製造方法]
次に、本発明の反射防止フィルムの製造方法の実施形態を説明する。
本発明の反射防止フィルムは、以下の方法で製造することができるが、この方法に限定されるものではない。
(組成物の調製及び塗布)
まず、反射防止フィルムを構成する各層を形成するための組成物を調製し、これを支持体上に塗布する。塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法が好ましく、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。
【0156】
各組成物の塗布には、図1に示すダイコーターを用いることが好ましい。図1に示すコーター10は、バックアップロール11に支持されて連続走行するウェブ12に対して、スロットダイ13から塗布液14をビード14aにして塗布することにより、ウェブ12上に塗膜14bを形成する。
スロットダイ13の内部にはポケット15、スロット16が形成されている。ポケット15は、その断面が曲線及び直線で構成されており、たとえば、図1に示されるような略円形でもよいし、又は半円形でもよい。ポケット15は、スロットダイ13の幅方向にその断面形状をもって延長された塗布液の液溜め空間で、その有効延長の長さは、塗布幅と同等か若干長めにするのが一般的である。
【0157】
ポケット15への塗布液14の供給は、スロットダイ13の側面から、又はスロット開口部16aとは反対側の面の中央から行う。また、ポケット15には塗布液14が漏れ出ることを防止する栓が設けられている。
【0158】
スロット16は、ポケット15からウェブ12への塗布液14の流路であり、ポケット15と同様にスロットダイ13の幅方向にその断面形状をもち、ウェブ側に位置する開口部16aは、一般に、図示しない幅規制板のようなものを用いて、概ね塗布幅と同じ長さ
の幅になるように調整する。このスロット16のスロット先端における、バックアップロール11のウェブ走行方向の接線とのなす角は、30°以上90°以下が好ましい。
【0159】
スロット16の開口部16aが位置するスロットダイ13の先端リップ17は、先細り状に形成されており、その先端はランドと呼ばれる平坦部18とされている。このランド18であって、スロット16に対してウェブ12の走行方向の上流側を上流側リップランド18a、下流側を下流側リップランド18bと称する。
【0160】
図2は、スロットダイ13の断面形状を従来のものと比較して示すもので、(A)は、図1に示すスロットダイ13を示し、(B)は、従来のスロットダイ30を示している。従来のスロットダイ30では、上流側リップランド31aと下流側リップランド31bのウェブ12との距離は等しい。なお、(B)において、符号32はポケット、33はスロットを示している。これに対して、スロットダイ13では、下流側リップランド長さILOが短くされており、これによって、湿潤膜厚が20μm以下の塗布を精度よく行うことができる。
【0161】
上流側リップランド18aのランド長さIUPは特に限定はされないが、100μm〜1mmの範囲が好ましく採用される。下流側リップランド18bのランド長さILOは30μm以上100μm以下であり、好ましくは30μm以上80μm以下、更に好ましくは30μm以上60μm以下である。
【0162】
下流側リップのランド長さILOが30μmよりも短い場合は、先端リップ17のエッジ又はランドが欠けやすく、塗膜にスジが発生しやすくなり、結果的には塗布が不可能になる。また、下流側の濡れ線位置の設定が困難になり、塗布液が下流側で広がりやすくなるという問題も発生する。この下流側での塗布液の濡れ広がりは、濡れ線の不均一化を意味し、塗布面上にスジなどの不良形状を招くという問題につながることが従来より知られている。
【0163】
一方、下流側リップのランド長さILOが100μmよりも長い場合は、ビードそのものを形成することができないために、薄層塗布を行うことは不可能である。
【0164】
更に、下流側リップランド18bは、上流側リップランド18aよりもウェブ12に近接したオーバーバイト形状であり、このため減圧度を下げることができて、薄膜塗布に適したビード形成が可能となる。下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブ12との距離の差(以下、オーバーバイト長さLOと称する)は30μm以上120μm以下が好ましく、更に好ましくは30μm以上100μm以下、最も好ましくは30μm以上80μm以下である。
【0165】
スロットダイ13がオーバーバイト形状のとき、先端リップ17とウェブ12の隙間GLとは、下流側リップランド18bとウェブ12の隙間を示す。
【0166】
図3は、図1に示すスロットダイ13及びその周辺を示す斜視図である。ウェブ12の走行方向側とは反対側に、ビード14aに対して充分な減圧調整を行えるよう、接触しない位置に減圧チャンバー40を設置する。減圧チャンバー40は、その作動効率を保持するためのバックプレート40aとサイドプレート40bを備えており、バックプレート40aとウェブ12の間、サイドプレート40bとウェブ12の間にはそれぞれ隙間GB、GSが存在する。
【0167】
図4及び図5は、近接している減圧チャンバー40とウェブ12を示す断面図である。サイドプレート40bとバックプレート40aは、図4のようにチャンバー本体と一体の
ものであってもよいし、図5のように適宜隙間を変えられるように、チャンバーにネジ40cなどで留められている構造でもよい。
【0168】
いかなる構造であっても、バックプレート40aとウェブ12の間、サイドプレート40bとウェブ12の間に実際にあいている部分を、それぞれ隙間GB、GSと定義する。減圧チャンバー40のバックプレート40aとウェブ12との隙間GBとは、減圧チャンバー40を図3のようにウェブ12及びスロットダイ13の下方に設置した場合、バックプレート40aの最上端からウェブ12までの隙間を示す。
【0169】
バックプレート40aとウェブ12との隙間GBを、スロットダイ13の先端リップ17とウェブ12との隙間GLよりも大きくして設置するのが好ましい。これにより、バックアップロール11の偏心に起因するビード近傍の減圧度変化を抑制することができる。
【0170】
たとえば、スロットダイ13の先端リップ17とウェブ12との隙間GLが30μm以上100μm以下のとき、バックプレート40aとウェブ12の間の隙間GBは100μm以上500μm以下とするのが好ましい。
【0171】
ウェブ12の走行方向側の先端リップ17のウェブ走行方向における長さは、長いほどビード形成に不利であり、この長さがスロットダイ幅方向における任意の個所間でばらつくと、かすかな外乱によりビードが不安定になる。したがって、この長さをスロットダイ幅方向における変動幅が20μm以内とすることが好ましい。
【0172】
また、スロットダイの先端リップ17の材質については、ステンレス鋼などのような材質を用いるとダイ加工の段階でだれてしまい、前記のようにスロットダイ先端リップ17のウェブ走行方向における長さを30〜100μmの範囲にしても、先端リップ17の精度を満足できない。
【0173】
したがって、高い加工精度を維持するためには、特許第2817053号公報に記載されているような超硬材質のものを用いることが重要である。具体的には、スロットダイの少なくとも先端リップ17を、平均粒径5μm以下の炭化物結晶を結合してなる超硬合金にすることが好ましい。
【0174】
超硬合金としては、タングステンカーバイド(以下、WCと称す)などの炭化物結晶粒子をコバルトなどの結合金属によって結合したものなどがあり、結合金属としては他にチタン、タンタル、ニオブ及びこれらの混合金属を用いることもできる。WC結晶の平均粒径としては、粒径3μm以下が更に好ましい。
【0175】
高精度な塗布を実現するためには、先端リップ17のウェブ走行方向側のランドの前記長さ及びウェブとの隙間のスロットダイ幅方向のばらつきも重要な因子となる。この二つの因子の組み合わせ、すなわち、隙間の変動幅をある程度抑えられる範囲内の真直度を達成することが望ましい。好ましくは、前記隙間のスロットダイ幅方向における変動幅が5μm以下になるように先端リップ17とバックアップロール11との真直度を出す。
【0176】
(硬化処理)
上記のようにして支持体上に各層を形成するための組成物を塗布した後、熱及び光照射の少なくともいずれかの手段による硬化処理を行う。このように塗布と硬化処理とを各層について繰り返して、支持体上にハードコート層や低屈折率層等を積層していく。また、同時重層塗布後に重層塗布した全層を同時に硬化させても良い。
透明支持体の着色や分解、変形を抑えるために、加熱硬化処理する場合は150℃以下、光照射する場合には1000mJ/cmが好ましい。更には、加熱硬化処理後に光硬化処理したり、光硬化処理の後半で加熱処理することも好ましい。特に低屈折率層においては、加熱硬化処理後に光硬化処理をするか、光硬化処理の後半で加熱処理することが好ましい。
また、上層と下層との間の層間密着性を上げるために、反射防止能に影響が出ない範囲で下層をハーフキュアし、上層塗布後にフルキュアすることが好ましい。
【0177】
光照射の光源は、紫外線光域又は近赤外線光域のものであればいずれでもよく、紫外線光の光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長350〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。また、近赤外光光源としてはハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプが挙げられ、波長750〜1400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。
【0178】
近赤外光光源を用いる場合、紫外線光源と組み合わせて用いても、又は高屈折率層塗設側とは反対側の基体表面側より光照射してもよい。このことにより、塗膜層内の深さ方向での膜硬化が、表面近傍と遅滞なく進行し、均一な硬化状態の低屈折率層が得られる。
【0179】
光照射による光ラジカル重合の場合は、空気又は不活性気体中で行うことができるが、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、又は重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。照射する紫外線の照射強度は、0.1〜100mW/cm程度が好ましく、塗布膜表面上での光照射量は10〜1000mJ/cmが好ましい。また、光照射工程での塗布膜の温度分布は、均一なほど好ましく、±3℃以内が好ましく、更には±1.5℃以内に制御されることが好ましい。この範囲において、塗布膜の面内及び層内深さ方向での重合反応が均一に進行するので好ましい。
上記工程は、各層の形成毎に行ってもよいし、塗布部−乾燥室−放射線硬化部−熱硬化室を複数設けて、各層の形成を連続的に行うことも可能であるが、生産性の観点から各層の形成を連続的に行う事が好ましい。
【0180】
熱及び光照射の少なくともいずれかの手段による硬化は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
【0181】
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3-ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。アセトフェノン類の例には、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、1-ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-4-メチルチオ-2-モルフォリノプロピオフェノンおよび2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4-ジクロロベンゾフェノン、4,4-ジクロロベンゾフェノンおよびp-クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
【0182】
最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,819,OXE01)等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n-ブチ
ルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
【0183】
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジ
アゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
【0184】
本発明においては、透明支持体及び又はハードコート層の表面に放電及び/又は放射線照射処理を施して表面改質を行っても良い。
【0185】
放電又は放射線照射処理としては、例えば、コロナ放電処理、グロー放電処理、アーク放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、及び電子線照射処理などが挙げられる。これらのうち、簡便で処理効果が高いことなどからコロナ放電処理や紫外線照射処理が好ましい。ハードコート層上にこれらの表面改質処理を施すことにより、ハードコート層と低屈折率層の密着性を高めることができ、反射防止フィルムの耐久性を向上させることができる。
【0186】
3.偏光板
本発明の偏光板は、偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)の少なくとも一方に、本発明の反射防止フィルムを有する。本発明の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、物理強度、耐候性に優れた反射防止機能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
【0187】
また、偏光板用保護フィルムの一方に本発明の反射防止フィルムを使用し、後述する光学異方性層を有する光学補償フィルムを偏光板用保護フィルムのもう一方に使用することがより好ましい。このような偏光板では、上記特性に加えて液晶表示装置の明室でのコントラストを改良し、上下左右の視野角が非常に広げることができる。
【0188】
(偏光板用保護フィルム)
偏光板用保護フィルムとして本発明の反射防止フィルムを用いる際には、反射防止フィルムの透明支持体表面(反射防止層等を設けた面と反対側)に親水化処理して、この親水化処理した面を偏向膜に貼り合わせることが好ましい。また、同様に光学補償フィルムの偏向膜との貼り合わせ面にも親水化処理を行うことが好ましい。
【0189】
透明保護フィルムの表面の親水化処理は、公知の方法で行うことができる。例えば、コロナ放電処理、グロー放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ鹸化処理等で該フィルム表面を改質する方法が挙げられる。これらについては、前記の公技番号2001−1745号、30〜32頁に詳細に記載されている。
これらの中でも特に好ましくは、セルロースアシレートフィルム表面をアルカリ鹸化処理で表面処理することが有効である。
【0190】
アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の(1)〜(4)の4つの手段から選択することができる。これらのうち、汎用のセルロースアシレートフィルムと同一の工程で処理できる点で(1)が優れているが、反射防止層表面まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。これに対し、(2)の方法では、本発明の反射防止フィルムにおける低屈折率層と下層との密着性をも向上させることができ、好ましい。
【0191】
(1)透明支持体上に反射防止層の低屈折率層まで形成した後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、反射防止フィルムの表面及び裏面を鹸化処理する。
(2)透明支持体上に低屈折率層が形成される前に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、低屈折率層形成前に形成された層を有する透明支持体の表面及び裏面を鹸化処理する。この方法では、低屈折率層が設けられる面もアルカリ処理される。
(3)透明支持体上に反射防止層の低屈折率層まで形成した後に、低屈折率層側の面をラミネートで保護し、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、反射防止フィルムの裏面を鹸化処理する。
(4)透明支持体上に反射防止層を構成する層を形成する前又は後に、アルカリ液を、該透明支持体の反射防止層を形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗及び/又は中和することで、反射防止フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
【0192】
なお、偏光板用保護フィルムは、反射防止層等を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が20度〜50度の範囲にあることが好ましい。
【0193】
(偏光膜)
偏光膜は、通常、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜、もしくはバインダーと、ヨウ素または二色性色素からなる偏光膜が好ましい。
偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素および二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
【0194】
現在、市販の偏光子(偏光膜)は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
市販の偏光子は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。
【0195】
上記のように、バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示装置の光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下がさらに好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。
【0196】
偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。ポリマーの例としては、前記の配向膜で記載のポリマーと同様のものが挙げられる。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号および同9−316127号の各公報に記載がある。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
【0197】
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。架橋したバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーを用いることができる。官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入して得られるバインダーを、光、熱あるいはpH変化により、バインダー間で反応させて偏光膜を形成することができる。
また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。架橋は一般に、ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱を行うことにより実施される。最終商品の段階で耐久性が確保できれば良いため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行っても良い。
【0198】
バインダーの架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1乃至20質量%が好ましい。偏光素子の配向性、偏光膜の耐湿熱性が良好となる。
偏光膜は、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。
但し、残存する架橋剤の量は、偏光膜中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このようにすることで、偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、偏光度の低下を生じない。
架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書の記載が挙げられる。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も架橋剤として用いることができる。
【0199】
二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。
二色性色素の例としては、例えば、このような二色性染料の具体例としては、例えば、「偏光フィルムの応用」(CMC刊、昭和61年2月10日発行)、或いは「COLOUR INDEX,ThirdEdition,Volume2」(The Society of Dyers and Colourists, The American Association of Textile Chemists and Colrists 刊、1971年発行)中のC. I. Direct染料(直接染料)等を挙げることができる。
【0200】
(光学補償フィルム)
光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償シートは光学異方性層具備の複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
光学異方性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成しても良いし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成しても良い。液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
【0201】
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。これら低分子液晶性分子は重合性基を分子内に有することが好ましい(例えば、特開2000−304932号公報段落番号[0016]等記載)。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。高分子液晶性分子は、以上のような低分子液晶性分子に相当する側鎖を有するポリマーである。高分子液晶性分子を用いた光学補償シートについては、特開平5−53016号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0202】
ディスコティック液晶性分子としては、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page2655 (1994))に記載されている化合物が挙げられる。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報の記載が挙げられる。
【0203】
ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。円盤状コアと重合性基は、連結基を介して結合する化合物が好ましく、これにより重合反応においても配向状態を保つことが出来る。例えば、特開2000−155216号公報段落番号[0151]〜[0168]記載の化合物等が挙げられる。
なお、STNモードのような棒状液晶性分子がねじれ配向している液晶セルを、光学的に補償するためには、ディスコティック液晶性分子もねじれ配向させることが好ましい。
上記連結基に、不斉炭素原子を導入すると、ディスコティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させることができる。また、不斉炭素原子を含む光学活性を示す化合物(カイラル剤)を光学異方性層に添加しても、ディスコティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させることができる。
【0204】
二種類以上のディスコティック液晶性分子を併用してもよい。例えば、以上述べたような重合性ディスコティック液晶性分子と非重合性ディスコティック液晶性分子とを併用することができる。
非重合性ディスコティック液晶性分子は、前述した重合性ディスコティック液晶性分子の重合性基を、水素原子またはアルキル基に変更した化合物であることが好ましい。すなわち、非重合性ディスコティック液晶性分子は、例えば特許第2640083号明細書記載の化合物等が挙げられる。
【0205】
光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムとして用いる場合、偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
【0206】
(接着剤)
偏光膜と偏光板用保護フィルムとは、接着剤で貼りあわせることができる。接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基による変性ポリビニルアルコールを含む)やホウ素化合物水溶液を用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01乃至10μmの範囲にあることが好ましく、0.05乃至5μmの範囲にあることが特に好ましい。
【0207】
(透過率)
液晶表示装置のコントラスト比を高めるためには、偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30乃至50%の範囲にあることが好ましく、35乃至50%の範囲にあることがさらに好ましく、40乃至50%の範囲にあることが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90乃至100%の範囲にあることが好ましく、95乃至100%の範囲にあることがさらに好ましく、99乃至100%の範囲にあることが最も好ましい。
【0208】
4.画像表示装置
本発明の反射防止フィルムを、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置の画面上に配置することができる。本発明の反射防止フィル
ムは透明支持体を有しているので、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
【0209】
また、本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板を、液晶表示装置の液晶セルを挟持する2枚の偏光板のうち、画像表示面側の偏光板として用いることができる。
この場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)、Electrically Controlled Birefringence(ECB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に適用することが好ましい。
【0210】
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
【0211】
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
【0212】
ECBモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)などに記載されている。
【0213】
特にTNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001−100043号公報等に記載されているように、視野角拡大効果を有する光学補償フィルムを偏光膜の裏表2枚の保護フィルムの内の本発明の反射防止フィルムとは反対側の面に用いることにより、1枚の偏光板の厚みで反射防止効果と視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができ、特に好ましい。
【0214】
また、本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板を透過型または半透過型の液晶表示装置に用いる場合には、市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併せて用いることにより、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。
また、λ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレ
イ用表面保護板として表面および内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
【実施例】
【0215】
本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)オルガノシランの加水分解物及び縮合反応物の少なくともいずれか(A)を含む溶液(ゾル液a〜d)の調製
(ゾル液a(濃度15.7%)の調製)
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた2,000mlの反応容器に、ジメチルジメトキシシラン(KBM22、信越化学工業(株)製)116質量部、i−プロパノール600質量部とジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)3質量部を仕込み、撹拌下室温でイオン交換水20.0質量部をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間撹拌した後、60℃で4時間反応させた後、室温まで冷却しゾル液aを得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、Mw=2,500であった。
【0216】
(ゾル液b(濃度15.7%)の調製)
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた2,000mlの反応容器に、ジメチルジメトキシシラン(KBM22、信越化学工業(株)製)116質量部、i−プロパノール600質量部とジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)3質量部を仕込み、撹拌下室温でイオン交換水20.0質量部をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間撹拌した後、60℃で6時間反応させた後、室温まで冷却しゾル液bを得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、Mw=6,000であった。
【0217】
(ゾル液c(濃度15.4%)の調製)
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた2,000mlの反応容器に、テトラメトキシシラン(KBM04、信越化学工業(株)製)116質量部、i−プロパノール600質量部、アセチルアセトン15質量部とジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)3質量部を仕込み、撹拌下室温でイオン交換水20.0質量部をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間撹拌した後、60℃で1時間反応させた後、室温まで冷却しゾル液cを得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、Mw=1,200であった。
【0218】
(ゾル液d(濃度15.4%)の調製)
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた2,000mlの反応容器に、テトラメトキシシラン(KBM04、信越化学工業(株)製)116質量部、i−プロパノール600質量部、アセチルアセトン15質量部とジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)3質量部を仕込み、撹拌下室温でイオン交換水20.0質量部をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間撹拌した後、40℃で1時間反応させた後、室温まで冷却しゾル液dを得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、Mw=250であった。
【0219】
(2)含フッ素樹脂溶液(B)(ゾル液e(濃度7.9%))の調製
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた2,000mlの反応容器に、Si(OC 5.5質量部、CF(CF(CHSi(OCH47.0質量部とi−プロパノール600質量部を仕込み、撹拌下室温で0.1モル/L塩酸14.5質量部をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間撹拌した後、60℃で8時間反応させその後、室温まで冷却しゾル液eを得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、Mw=8,800であった。
【0220】
(3)シランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれか(C)を含む溶液(ゾル液f及びg)の調製
(ゾル液f(濃度10%))の調製
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた2,000mlの反応容器に、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM―5103、信越化学工業(株)製)100質量部、メチルエチルケトン800質量部とジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)3質量部を仕込み、撹拌下室温でイオン交換水20.0質量部をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間撹拌した後、60℃で3時間反応させた後、室温まで冷却しゾル液fを得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、Mw=2,000であった。
【0221】
(ゾル液g)の調製
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた1,000mlの反応容器に、アクリロキシオキシプロピルトリメトキシシラン187g(0.80mol)、メチルトリメトキシシラン27.2g(0.20mol)、メタノール320g(10mol)とKF0.06g(0.001mol)を仕込み、攪拌下室温で水15.1g(0.86mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間攪拌した後、メタノール還溜下2時間加熱攪拌した。この後、低沸分を減圧留去し、更にろ過することによりゾル液a―2を120g得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、質量平均分子量は1500であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は30%であった。
【0222】
また1H−NMRの測定結果から、得られた物質の構造は、以下の構造であった。
【0223】
【化3】

【0224】
また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは5%以下の残存率であった。
【0225】
(4)ハードコート層用塗布液の調製
(ハードコート層用塗布液(HCL−1)の調製)
PET−30 742質量部
ポリ(グリシジルメタクリレート) 277質量部
イルガキュア184 51質量部
F−470 1.5質量部
KBM−5103 112質量部
MEK(メチルエチルケトン) 728質量部
シクロヘキサノン 503質量部
【0226】
(ハードコート層用塗布液(HCL−2)の調製)
PET−30 742質量部
ポリ(グリシジルメタクリレート) 277質量部
イルガキュアOXE01 51質量部
F−470 1.5質量部
KBM−403 112質量部
MEK(メチルエチルケトン) 728質量部
シクロヘキサノン 503質量部
【0227】
(ハードコート層用塗布液(HCL−3)の調製)
PET−30 742質量部
ポリ(グリシジルメタクリレート) 277質量部
イルガキュア651 51質量部
F−470 1.5質量部
KBM−603 112質量部
MEK(メチルエチルケトン) 728質量部
シクロヘキサノン 503質量部
【0228】
(ハードコート層用塗布液(HCL−4)の調製)
PET−30 742質量部
ポリ(グリシジルメタクリレート) 277質量部
イルガキュア184 51質量部
F−470 1.5質量部
ゾル液f 800質量部
MEK(メチルエチルケトン) 28質量部
シクロヘキサノン 503質量部
【0229】
(ハードコート層用塗布液(HCL−5)の調製)
PET−30 742質量部
ポリ(グリシジルメタクリレート) 277質量部
イルガキュア184 51質量部
F−476 1.5質量部
KBM−5103 112質量部
MEK(メチルエチルケトン) 728質量部
シクロヘキサノン 503質量部
【0230】
(ハードコート層用塗布液(HCL−6)の調製)
PET−30 742質量部
ポリ(グリシジルメタクリレート) 277質量部
イルガキュア184 51質量部
P−1 1.5質量部
KBM−5103 112質量部
MEK(メチルエチルケトン) 728質量部
シクロヘキサノン 503質量部
【0231】
(ハードコート層用塗布液(HCL−7)の調製)
PET−30 854質量部
ポリ(グリシジルメタクリレート) 277質量部
イルガキュア184 51質量部
F−470 1.5質量部
MEK(メチルエチルケトン) 728質量部
シクロヘキサノン 503質量部
【0232】
(ハードコート層用塗布液(HCL−8)の調製)
PET−30 742質量部
ポリ(グリシジルメタクリレート) 277質量部
イルガキュア184 51質量部
KBM−5103 112質量部
MEK(メチルエチルケトン) 728質量部
シクロヘキサノン 503質量部
【0233】
(ハードコート層用塗布液(HCL−9)の調製)
PETA 50.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
SX−350(30%) 1.7質量部
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.3質量部
F−476 0.10質量部
KBM−5103 10.0質量部
MEK(メチルエチルケトン) 11.5質量部
MIBK(メチルイソブチルケトン) 27.0質量部
【0234】
(防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−10)の調製)
PETA 50.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
SX−350(30%) 1.7質量部
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.3質量部
F−476 0.10質量部
KBM−5103 10.0質量部
トルエン 38.5質量部
【0235】
(防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−11)の調製)
PETA 50.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
SX−350(30%) 1.7質量部
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.3質量部
F−470 0.10質量部
KBM−403 10.0質量部
トルエン 38.5質量部
【0236】
(防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−12)の調製)
PETA 60.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
SX−350(30%) 1.7質量部
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.3質量部
F−470 0.10質量部
トルエン 38.5質量部
【0237】
(防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−13)の調製)
PETA 50.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
SX−350(30%) 1.7質量部
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.3質量部
KBM−5103 10.0質量部
トルエン 38.5質量部
【0238】
(ハードコート層用塗布液(HCL−14)の調製)
デソライトZ7404 100質量部
DPHA 31質量部
KBM−5103 10質量部
メチルイソブチルケトン(MIBK) 45質量部
【0239】
(ハードコート層用塗布液(HCL−15)の調製)
デソライトZ7401 100質量部
DPHA 20質量部
KBM−5103 8質量部
イルガキュア184 4質量部
KE−P150 7.5質量部
メチルエチルケトン(MEK) 15質量部
シクロヘキサノン 10質量部
【0240】
(ハードコート層用塗布液(HCL−16)の調製)
PET−30 742質量部
ポリ(グリシジルメタクリレート) 277質量部
イルガキュア184 51質量部
F−470 1.5質量部
KBM−5103 112質量部
MEK(メチルエチルケトン) 728質量部
シクロヘキサノン 503質量部
【0241】
(防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−17)の調製)
PETA 50.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
SX−350(30%) 1.7質量部
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.3質量部
F−476 0.10質量部
ゾル液g 10.0質量部
トルエン 28.5質量部
シクロヘキサノン 10.0質量部
【0242】
(防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−18)の調製)
PETA 50.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
SX−350(30%) 1.7質量部
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.3質量部
SH28PA 0.02質量部
ゾル液g 10.0質量部
トルエン 28.5質量部
シクロヘキサノン 10.0質量部
【0243】
(防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−19)の調製)
PETA 50.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
凝集シリカ粒子(30%) 12.0質量部
F−476 0.10質量部
ゾル液g 10.0質量部
トルエン 28.5質量部
シクロヘキサノン 10.0質量部
【0244】
(防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−20)の調製)
PETA 50.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
凝集シリカ粒子(30%) 12.0質量部
SH28PA 0.02質量部
ゾル液g 10.0質量部
トルエン 28.5質量部
シクロヘキサノン 10.0質量部
【0245】
(防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−21)の調製)
PETA 50.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
SX−350(30%) 1.7質量部
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.3質量部
FZ−2191 0.02質量部
ゾル液g 10.0質量部
トルエン 28.5質量部
シクロヘキサノン 10.0質量部
【0246】
(防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−22)の調製)
PETA 50.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
凝集シリカ粒子(30%) 12.0質量部
FZ−2191 0.02質量部
ゾル液g 10.0質量部
トルエン 28.5質量部
シクロヘキサノン 10.0質量部
【0247】
(防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−23)の調製)
PETA 50.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
SX−350(30%) 1.7質量部
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.3質量部
TSF4460 0.05質量部
ゾル液g 10.0質量部
トルエン 28.5質量部
シクロヘキサノン 10.0質量部
【0248】
(防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−24)の調製)
PETA 50.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
凝集シリカ粒子(30%) 12.0質量部
FZ−3704 0.05質量部
ゾル液g 10.0質量部
トルエン 28.5質量部
シクロヘキサノン 10.0質量部
【0249】
上記の各成分は以下の通りである。
「PET−30」:ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製)。
「PETA」:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)。
「ポリ(グリシジルメタクリレート)」:質量平均分子量15,000。
「イルガキュア184/651/OXE01」:光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)。
「KBM−5103/403/603」:一般式(1)で表されるシランカップリング剤(信越化学工業(株)製)。
「SX−350」:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用)。
「架橋アクリル−スチレン粒子」:平均粒径3.5μm(屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液)。
「P−1」:F−470を精製し分子量分布(Mw/Mn)を1.2とした
「F−470/476」:フッ素系表面改質剤。(大日本インキ(株)製)
「デソライトZ7404」:ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液:固形分濃度60質量%、ジルコニア微粒子含量70質量%対固形分、平均粒子径約20nm、溶剤組成MIBK:MEK=9:1、JSR(株)製)
「デソライトZ7401」:ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液:固形分濃度48質量%、ジルコニア微粒子含量70質量%対固形分、平均粒子径約20nm、溶剤組成シクロヘキサノン:MEK=5:5、JSR(株)製
「DPHA」:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
「KE−P150」:平均粒径1.5μmシリカ粒子、日本触媒(株)製、30%シクロヘキサノン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用)
「SH28PA/FZ−2191/FZ−3704」:シリコーン系表面改質剤。(東レ・ダウコーニング(株)製)
「TSF4460」:シリコーン系表面改質剤。(GE東芝シリコーン(株)製)
「凝集シリカ粒子(30%)」:二次平均粒径1.5μm(屈折率1.48、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用)。
【0250】
(5)低屈折率層用塗布液の調製
下記に示す各々の成分をミキシングタンクに投入し、攪拌したのち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して調製した。
(低屈折率層用塗布液(LL−1)の調製)
ゾル液c 15.9質量部
ゾル液e 12.7質量部
ゾル液f 8.0質量部
サイメル303 0.1質量部
p−トルエンスルホン酸 0.03質量部
i−プロパノール 36.0質量部
MEK(メチルエチルケトン) 30.0質量部
ブタノール 4.8質量部
【0251】
(低屈折率層用塗布液(LL−2)の調製)
ゾル液c 13.7質量部
ゾル液e 11.0質量部
ゾル液f 7.0質量部
IPA−ST−L 2.3質量部
サイメル303 0.1質量部
p−トルエンスルホン酸 0.03質量部
i−プロパノール 36.0質量部
MEK(メチルエチルケトン) 30.0質量部
ブタノール 4.8質量部
【0252】
(低屈折率層用塗布液(LL−3)の調製)
ゾル液c 12.7質量部
ゾル液e 11.0質量部
ゾル液f 7.0質量部
中空シリカ微粒子ゾル 4.6質量部
サイメル303 0.1質量部
p−トルエンスルホン酸 0.03質量部
i−プロパノール 36.0質量部
MEK(メチルエチルケトン) 30.0質量部
ブタノール 4.8質量部
【0253】
(低屈折率層用塗布液(LL−4)の調製)
ゾル液c 12.7質量部
ゾル液e 11.0質量部
KBM−5103 0.7質量部
中空シリカ微粒子ゾル 4.6質量部
サイメル303 0.1質量部
p−トルエンスルホン酸 0.03質量部
i−プロパノール 36.0質量部
MEK(メチルエチルケトン) 36.0質量部
ブタノール 4.8質量部
【0254】
(低屈折率層用塗布液(LL−5)の調製)
ゾル液c 12.7質量部
ゾル液e 11.0質量部
KBM−403 0.7質量部
中空シリカ微粒子ゾル 4.6質量部
サイメル303 0.1質量部
p−トルエンスルホン酸 0.03質量部
i−プロパノール 36.0質量部
MEK(メチルエチルケトン) 36.0質量部
ブタノール 4.8質量部
【0255】
(低屈折率層用塗布液(LL−6)の調製)
ゾル液c 12.7質量部
ゾル液e 11.0質量部
KBM−603 0.7質量部
IPA−ST−L 4.6質量部
サイメル303 0.1質量部
p−トルエンスルホン酸 0.03質量部
i−プロパノール 36.0質量部
MEK(メチルエチルケトン) 36.0質量部
ブタノール 4.8質量部
【0256】
(低屈折率層用塗布液(LL−7)の調製)
ゾル液a 12.7質量部
ゾル液e 11.0質量部
KBM−5103 0.7質量部
中空シリカ微粒子ゾル 4.6質量部
サイメル303 0.1質量部
p−トルエンスルホン酸 0.03質量部
i−プロパノール 36.0質量部
MEK(メチルエチルケトン) 36.0質量部
ブタノール 4.8質量部
【0257】
(低屈折率層用塗布液(LL−8)の調製)
ゾル液b 12.7質量部
ゾル液e 11.0質量部
KBM−5103 0.7質量部
中空シリカ微粒子ゾル 4.6質量部
サイメル303 0.1質量部
p−トルエンスルホン酸 0.03質量部
i−プロパノール 36.0質量部
MEK(メチルエチルケトン) 36.0質量部
ブタノール 4.8質量部
【0258】
(低屈折率層用塗布液(LL−9)の調製)
ゾル液d 15.9質量部
ゾル液e 12.7質量部
ゾル液f 8.0質量部
サイメル303 0.1質量部
p−トルエンスルホン酸 0.03質量部
i−プロパノール 36.0質量部
MEK(メチルエチルケトン) 30.0質量部
ブタノール 4.8質量部
【0259】
(低屈折率層用塗布液(LL−10)の調製)
ゾル液c 8.8質量部
ゾル液e 30.0質量部
ゾル液f 1.0質量部
サイメル303 0.3質量部
p−トルエンスルホン酸 0.03質量部
i−プロパノール 19.0質量部
MEK(メチルエチルケトン) 36.8質量部
ブタノール 4.8質量部
【0260】
(低屈折率層用塗布液(LL−11)の調製)
ゾル液c 17.2質量部
ゾル液e 3.8質量部
ゾル液f 1.0質量部
IPA−ST−L 2.3質量部
サイメル303 0.02質量部
p−トルエンスルホン酸 0.01質量部
i−プロパノール 36.2質量部
MEK(メチルエチルケトン) 36.0質量部
ブタノール 4.8質量部
【0261】
(低屈折率層用塗布液(LL−12)の調製)
ゾル液c 13.7質量部
ゾル液e 11.0質量部
KBM−503 0.7質量部
中空シリカ微粒子ゾル 2.3質量部
サイメル303 0.1質量部
p−トルエンスルホン酸 0.03質量部
i−プロパノール 36.0質量部
MEK(メチルエチルケトン) 36.0質量部
ブタノール 4.8質量部
【0262】
(低屈折率層用塗布液(LL−13)の調製)
ゾル液c 18.1質量部
ゾル液e 14.6質量部
サイメル303 0.1質量部
p−トルエンスルホン酸 0.03質量部
i−プロパノール 36.0質量部
MEK(メチルエチルケトン) 30.0質量部
ブタノール 4.8質量部
【0263】
(低屈折率層用塗布液(LL−14)の調製)
コルコートN103(2%) 245質量部
オプスターJTA105(5%) 100質量部
オプスターJTA105A(5%) 1質量部
IPA−ST−L 23質量部
ゾル液f 15質量部
酢酸ブチル 365質量部
【0264】
(低屈折率層用塗布液(LL−15)の調製)
コルコートN103(2%) 245質量部
オプスターJTA105(5%) 100質量部
オプスターJTA105A(5%) 1質量部
中空シリカ微粒子ゾル 23質量部
ゾル液f 15質量部
酢酸ブチル 365質量部
【0265】
(低屈折率層用塗布液(LL−16)の調製)
ゾル液c 15.9質量部
ゾル液e 12.7質量部
ゾル液f 8.0質量部
サイメル303 0.1質量部
p−トルエンスルホン酸と4−メチルモルホリンの塩 0.05質量部
i−プロパノール 36.0質量部
MEK(メチルエチルケトン) 30.0質量部
ブタノール 4.8質量部
【0266】
「IPA−ST−L」:コロイダルシリカ分散液(平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)
「中空シリカ微粒子ゾル」:粒子サイズ約40〜50nm、シエル厚6〜8nm、屈折率1.31、固形分濃度20%、主溶媒イソプロピルアルコール、特開2002−79616号公報の調製例4に準じて粒子サイズを変更して作製)
「サイメル303」:メトキシ化メチルメラミン(三井サイテック株式会社製)
「KBM−5103/403/603/503」:一般式(1)で表されるシランカップリング剤(信越化学工業(株)製)。
「コルコートN103」:オルガノシロキサンオリゴマー(質量平均分子量950、コルコート社製)
「オプスターJTA105」:フッ素化合物(ポリエチレングリコール、ヘキサメチロールメラミン、酸発生剤含有、JSR社製、質量平均分子量10,000〜30,000)
「オプスターJTA105A」:硬化剤(JSR社製)
【0267】
(6)帯電防止層形成用組成物塗布液(AS−1)の調製
日本ペルノックス(株)製のATO分散ハードコート剤「ペルトロンC−4456−S7」(固形分45%)の100gにシクロヘキサノン30g、メチルエチルケトン10g、シランカップリング剤"KBM−5103"{3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製}1.5gを添加し、攪拌の後、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、帯電防止層形成用組成物塗布液(AS−1)を調製した。
【0268】
[実施例1]
(反射防止フィルムの作製)
上記のハードコート層用塗布液(HCL−1)、低屈折率層(LL−1)を用いて、下記に記載の塗布、乾燥方法にしたがって塗布を行った。80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士写真フィルム(株)製、屈折率:1.48)に、ハードコート層用塗布液(HCL−1)を、搬送速度20m/minの条件でグラビアコーターを用いて塗布し、第一(最初)の乾燥ゾーン内で30℃30秒間の乾燥の後、更に以降の第二の乾燥ゾーン内で110℃、2分の乾燥の後、酸素濃度0.1%以下の窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量300mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、巻き取った。上記第一の乾燥ゾーン内の風速は、最大で0.2m/sであり、乾燥ゾーン内で塗布膜はセットしていることが確認された。このハードコート層は屈折率1.51、層厚7μmであった。
【0269】
続いて、上記の低屈折率層用塗布液(LL−1)を搬送速度20m/minの条件でグラビアコーターを用いて塗布し、第一(最初)の乾燥ゾーン内で25℃30秒間の乾燥の後、90℃で2分間乾燥し、140℃5分で加熱硬化し、酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、240W/cmの空冷メタルハライドランプ(
アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm、照射量400mJ/cmの紫外線を照射し、低屈折率層(屈折率:1.43、層厚:86nm)を設けた。このようにして反射防止フィルム(AF−1)を作製した。
【0270】
さらに、表1及び表2に示す塗布液を使用してAF−1と同様に反射防止フィルム(AF−2)〜(AF−24)、(AF−51)〜(AF−60)を作製した。AF−2,6,14,19,23、53、54においては、帯電防止層を支持体とハードコート層との間に設けたものを作成した。なお、帯電防止層の厚さは100nmになるようにした。AF−53、54、56、58においては、ハードコート層の膜厚は2.5μmになるようにした。
AF−59においては、低屈折率層用塗布液を塗工する前にハードコート層上に2.0kW、ライン速度12m/minの条件でコロナ放電処理を施した。
但し、AF−25に使用した低屈折率層用塗布液LL−9は調液後、徐々に増粘し最終的にはゲル化し塗工できなかった。
また、AF−60に使用した低屈折率層用塗布液LL−16は、他の低屈折率層用塗布液より経時安定性に優れていた。
【0271】
【表2】

【0272】
【表3】

【0273】
(反射防止フィルム(AF)の評価)
前記に得られたフィルム試料について、以下の項目の評価を行った。
(1)鏡面反射率
分光光度計“V−550”{日本分光(株)製}にアダプター“ARV−474”を装着して、380〜780nmの波長領域において、各反射防止フィルム試料の入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの領域における平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
【0274】
(2)スチールウール耐傷性評価
ラビングテスターを用いて、以下の条件で各反射防止フィルム試料表面のこすりテストをおこなった。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に、スチール
ウール「グレードNo.0000」{日本スチールウール(株)製}を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、荷重:500g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
◎:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
○△:弱い傷が見える。
△:中程度の傷が見える。
△×:一目見ただけで分かる傷がある。
【0275】
(3)指紋拭き取り性
各反射防止フィルム試料の低屈折率層を有する側の表面に指を押しつけて指紋を付着させ、セルロース製不織布「ベンコットM−3」{旭化成(株)製}で拭取り、その取れ易さを下記の3段階評価を行った。
○:3往復できれいに拭き取れる。
△:10往復で拭き取れる。
×:10往復後も指紋の拭き残しがある。
【0276】
(4)防汚性評価
各反射防止フィルム試料の低屈折率層を有する側の表面に付着させた、油性ペン「マッキーケア」{ゼブラ製}をセルロース製不織布「ベンコットM−3」{旭化成(株)製}で拭取り、その取れ易さを下記の2段階評価を行った。
○:油性ペンを完全に拭き取ることができる。
×:油性ペンの拭き取り跡が残る。
【0277】
(5)防汚耐久性評価
前記防汚性評価を同一箇所で繰り返し、拭き取り跡が残る回数にて下記の3段階評価を行った。
○:合計6回以上拭き取れる。
△:合計2回〜5回拭き取れる。
×:1回しか拭き取れない。
【0278】
(6)ゴミ付き性評価
各反射防止フィルム試料の透明支持体側をCRT表面に張り付け、0.5μm以上のホコリ及びティッシュペーパー屑を、1ft(立方フィート)当たり100〜200万個有する部屋で24時間使用した。反射防止膜100cm当たり、付着したホコリとティッシュペーパー屑の数を測定し、それぞれの結果の平均値が20個未満の場合をA、20〜49個の場合をB、50〜199個の場合をC、200個以上の場合をDとして評価した。
【0279】
(7)色味ムラ評価
試料の裏側に油性黒インキを塗り、暗室において「ナショナル パルック 3波長型昼白色(F.L 15EX-N 15W)」の反射光で目視観察して、色味ムラを以下の基準で評価した。
◎:ほとんど気にならない。
○:かすかに見えるが気にならない。
△:やや気になる。
×:かなり気になる。
【0280】
(8)シリコーン(Si原子)、フルオロアルキル(F原子)の表面偏析度評価
島津製作所(株)製ESCA−3400で各々の反射防止フィルムついて測定(真空度1×10−5Pa、X線源;ターゲットMg、電圧12kV、電流20mA)された最表面のSi2p、C1sの光電子スペクトルの強度比Si2p/C1s(=Si(a))とESCA−3400に付属のイオンエッチング装置(イオンガン、電圧2kV、電流20mA)で低屈折率層をその層厚が1/5(±5%)になるまで削った表面から80%下層において測定した光電子スペクトルの強度比Si2p/C1s(=Si(b))から、エッチング前後でのそれぞれの強度比の変化、Si(a)/Si(b)を求め、Si2p/C1s比のエッチング前後における変化(低屈折率層最上部における光電子スペクトルの強度比/低屈折率層の表面から深さ80%下層付近における光電子スペクトルの強度比の変化)を以下3段階で評価した。上記測定を同一膜面上で互いに少なくとも2cm以上離れた場所3箇所で行った。
◎:エッチング後の強度比が2倍以上。
○:エッチング後の強度比が2倍未満、1.5倍以上。
△:エッチング後の強度比が1.5倍未満
なお、C1sはそれぞれの光電子スペクトルのピーク位置で強度を求め、Si2pは結合エネルギーが105eV付近のシリコーン(ポリジメチルシロキサンのSi原子)由来のピーク位置における強度を上記の強度比算出に用い、無機シリカ粒子由来のSi原子と区別した。種々のエッチング条件で低屈折率層表面を徐々に削り進む予備実験を実施しておき、下層のハードコート層に達するまでに要するエッチング条件から表面から深さ80%となる条件を求めてから測定した。
【0281】
(9)表面ヘイズ
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ(H)、内部ヘイズ(Hi)、表面ヘイズ(Hs)を測定した。
(a)JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
(b)得られたフィルムの低屈折率層側の表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
(c)上記(a)で測定した全ヘイズ(H)から上記(b)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
【0282】
(10)60°光沢度
60°光沢度は光沢度計(村上色彩技術研究所社製、GM−26PRO/Auto)を用い、JIS−Z8741に準拠して測定した。
【0283】
(11)logSR(表面抵抗)の測定
25℃、60%RHで2時間調湿した後に、表面抵抗値(SR)を円電極法で測定した。SRの常用対数をとりlogSRを算出した。
【0284】
(12)オゾン暴露後の水綿棒擦りでの限界荷重
各試料を偏光板に加工後(偏光板への加工は実施例3と同様にした)、オゾン10ppm、30℃、60%RHの環境下に192時間(8日)保管した後に、大気中に取り出した。ラビングテスターのこすり先端部に綿棒((株)トーヨー衛材株式会社製 ヘルスリフレ(商品名))を固定し、平滑皿中で試料の上下をクリップで固定し、室温25℃で、試料と綿棒を25℃の水に浸し、綿棒に荷重をかけて20往復擦り試験を行った。
こすり距離(片道):1cm、こすり速度:約2往復/秒
擦り後の試料の表面の水を乾燥させた後に、膜がはがれているかを目視で観察した。同じ試料で10回試験を行い、5回以上膜はがれが起きるまで、初期荷重100gからスタートし荷重を50gずつ上げて試験を行った。膜はがれが10回の試験中5回未満であった荷重を限界荷重と定義した。膜はがれは、目視で表面の反射状態が変わっているかで判断を行った。限界荷重が大きい方が耐擦傷性に優れることに対応する。
【0285】
以上の結果を下記表3及び表4に示した。
【0286】
【表4】

【0287】
【表5】

【0288】
上記表3及び表4に示される通り、比較例であるAF−15,20は耐傷性に劣ることがわかった。AF−7は指紋拭き取り性、ごみ付き性が劣ることがわかる。
【0289】
[実施例2]
(反射防止フィルムの作製)
超音波除塵器で、膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80UF、富士写真フイルム(株)製)の塗布側表面を除電処理した上に、ハードコート層用塗布液(HCL−1)を図1に示すダイコーター10を用いて30m/minの塗布速度で、17.5cc/mの塗布量で塗布した。減圧チャンバーの減圧度は0.5kPaとした。HCL−1の塗布に於いては、下流側リップランド18bとウェブ12との隙間GLを100μmにして塗布を行った。塗布されたウェブはその後80℃で乾燥した後、酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量500mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させて巻き取り、屈折率1.51、厚さ7μmのハードコート層を形成した。
【0290】
上記のハードコート層の上に、低屈折率層用塗布液(LL−1)を前記ダイコーターを用いて30m/minの塗布速度、5.0cc/mの塗布量で塗布した。減圧チャンバーの減圧度は0.55kPaとした。塗布されたウェブはその後25℃30秒間の乾燥の後、90℃で2分間乾燥し、140℃5分で加熱硬化し、酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm、照射量400mJ/cmの紫外線を照射し、低屈折率層(屈折率1.43、膜厚83nm)を形成した。このようにして、反射防止フィルム(AF−26)を作製した。
【0291】
さらに、下記表5及び表6に示す塗布液を使用してAF−26と同様に反射防止フィルム(AF−27)〜(AF−49)、(AF−61)〜(AF−70)を作製した。AF−27,31,39,44,48、63、64において帯電防止層の厚さは100nmになるよう調製した。AF−63、64、66、67においては、ハードコート層の膜厚は
2.5μmになるようにした。 AF−69においては、低屈折率層用塗布液を塗工する前にハードコート層上に2.0kW、ライン速度12m/minの条件でコロナ放電処理を施した。但し、AF−50に使用した低屈折率層用塗布液LL−9は調液後、徐々に増粘し最終的にはゲル化し塗工できなかった。
また、AF−70に使用した低屈折率層用塗布液LL−16は、他の低屈折率層用塗布液より経時安定性に優れていた。
【0292】
【表6】

【0293】
【表7】

【0294】
(反射防止フィルム(AF)の評価)
前記に得られたフィルム試料について、実施例1と同様の評価を行い、同じ塗布液を用いて作製したフィルム試料は同様の結果を得た。
【0295】
[実施例3]
(偏光板用保護フィルムの作製)
実施例1、2で作製した反射防止フィルム(AF−1)〜(AF−24)、(AF−26)〜(AF−49)、及び(AF−51)〜(AF−70)において、反射防止層を有する側とは反対側の透明支持体の表面に、水酸化カリウム57質量部、プロピレングリコール120質量部、イソプロピルアルコール535質量部、及び水288質量部からなるアルカリ溶液を40℃に保温した鹸化液を塗布して、その透明支持体の表面を鹸化処理した。
鹸化処理した透明支持体表面のアルカリ溶液を、水で十分に洗浄した後、100℃で十分に乾燥させた。このようにして、偏光板用保護フィルムを作製した。
【0296】
(偏光板の作製)
層厚75μmのポリビニルアルコールフィルム{(株)クラレ製}を、水1000g、ヨウ素7g、ヨウ化カリウム10.5gからなる水溶液に5分間浸漬し、ヨウ素を吸着させた。次いで、このフィルムを4質量%ホウ酸水溶液中で、4.4倍に縦方向に1軸延伸をした後、緊張状態のまま乾燥して偏光膜を作製した。
【0297】
次に、接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、上記本発明の各反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したセルロースアシレートフィルム“TD80UF”{富士写真フィルム(株)製}を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
【0298】
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の各偏光板をTN,STN,IPS,VA,OCB,及びECBのモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置に装着して、その評価を行ったところ、これらの液晶表示装置は、何れも反射防止性能に優れ、極めて視認性が優れていた。
【0299】
[実施例4]
(偏光板の作製)
光学補償フィルム「ワイドビューフィルム A 12B」{富士写真フィルム(株)製}の、光学補償層を有する側とは反対側の表面を実施例3と同様の条件で鹸化処理した。
【0300】
次に、実施例3で作製した偏光膜に、接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、実施例3で作製した各反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には鹸化処理した光学補償フィルムのトリアセチルセルロース面を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
【0301】
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の各偏光板をTN,STN,IPS,VA,OCB,及びECBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置に装着してその評価を行ったところ、これらの液晶表示装置は、光学補償フィルムを用いていない、前記の偏光板を装着した液晶表示装置よりも、何れも明室でのコントラストに優れ、上下左右の視野角が非常に広く、更に、反射防止性能に優れ、極めて視認性と表示品位が優れていた。
【0302】
[実施例5]
以下の支持体を使用して偏光板を作製した。
支持体1:特開2001−249223号公報の実施例1に準じて作製したトリアセチルセルロースフィルム。
支持体2:特開2001−249223号公報の実施例2に準じて作製したトリアセチルセルロースフィルム。
支持体3:特開2003−170492号公報の実施例2に準じて作製したトリアセチルセルロースフィルム。
支持体4:80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム「フジタックTD−80U」{富士写真フィルム(株)製}。
【0303】
それぞれのレターデーション値を以下に示す。
支持体1:Re=40nm,Rth=130nm。
支持体2:Re=50nm,Rth=240nm。
支持体3:Re=64nm,Rth=120nm。
支持体4:Re=4nm,Rth=45nm。
【0304】
[偏光板(P−1)の作製]
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光膜(PF−1)を作製した。まず市販のトリアセチルセルロース(支持体4)にケン化処理を行い、ポリビ
ニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜(PF−1)の片側に貼り付けた。次いで上記支持体1にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜(PF−1)の反対側に貼り付けた。その際に、偏光膜(PF−1)の透過軸と支持体1の遅相軸とは平行になるように配置し、偏光膜(PF−1)の透過軸と市販のトリアセチルセルロースフィルム(支持体4)の遅相軸とは、直交するように配置して偏光板を作製した。このようにして得られた偏光板をP−1とした。
【0305】
[偏光板(P−2)の作製]
偏光板(P−1)において、支持体4の代わりに、支持体1を用いた以外は全く同様にして偏光板(P−2)を作製した。
【0306】
[偏光板(P−3)の作製]
偏光板(P−1)において、支持体4の代わりに、支持体2を用いた以外は全く同様にして偏光板(P−3)を作製した。
【0307】
[偏光板(P−4)の作製]
偏光板(P−1)において、支持体4の代わりに、支持体3を用いた以外は全く同様にして偏光板(P−4)を作製した。
【0308】
[偏光板(P−1A)の作製]
偏光板(P−1)において、支持体4の代わりに、実施例1の反射防止フィルム試料AF−3を用いた以外は全く同様にして偏光板(P−1A)を作製した。
【0309】
[偏光板(P−2A)の作製]
偏光板(P−2)において、支持体4の代わりに、実施例2の反射防止フィルム試料AF−18を用いた以外は全く同様にして偏光板(P−2A)を作製した。
【0310】
[偏光板(P−3A)の作製]
偏光板(P−3)において、支持体4の代わりに、実施例2の反射防止フィルム試料AF−23を用いた以外は全く同様にして偏光板(P−3A)を作製した。
【0311】
[偏光板(P−1B)の作製]
偏光板(P−1)において、支持体4の代わりに、実施例1の反射防止フィルム試料AF−54を用いた以外は全く同様にして偏光板(P−1B)を作製した。
【0312】
[偏光板(P−2B)の作製]
偏光板(P−2)において、支持体4の代わりに、実施例2の反射防止フィルム試料AF−64を用いた以外は全く同様にして偏光板(P−2B)を作製した。
【0313】
[偏光板(P−3B)の作製]
偏光板(P−3)において、支持体4の代わりに、実施例2の反射防止フィルム試料AF−65を用いた以外は全く同様にして偏光板(P−3B)を作製した。
【0314】
[実施例6]
垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置"VL−1530S"{富士通(株)製}に設けられている、一対の偏光板及び一対の光学補償シートを剥がし、代わりに実施例5で作製した偏光板を、粘着剤を介して、観察者側及びバックライト側に1枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。作製した液晶表示装置について、画像を表示し、外光や背景の写りこみ、ギラツキの官能評価を行った。
【0315】
その結果、偏光板(P−1〜4)を有する装置に比べ、本発明の偏光板(P−1A〜3A、P−1B〜3B)を有する装置は、反射率が低下し外光や背景の写りこみが少なく、またギラツキの発生なく極めて視認性が高いことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0316】
【図1】本発明の反射防止フィルムの製造に好適に用いられるダイコーターの一例を示す断面模式図である。
【図2】図1に示すスロットダイ13の断面形状を示す図である。
【図3】図1に示すスロットダイ13を示す斜視図である。
【図4】減圧チャンバー40とウェブ12とを示す断面図である。
【図5】減圧チャンバー40とウェブ12とを示す断面図である。
【符号の説明】
【0317】
GB 隙間
GS 隙間
10 コーター
11 バックアップロール
12 ウェブ
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード
14b 塗膜を形成する。
15 ポケット
16 スロット
16a 開口部
17 先端リップ
18 ランド(平坦部)
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド
30 従来のスロットダイ
31a 上流側リップランド
31b 下流側リップランド
32 ポケット
33 スロット
40 減圧チャンバー
40a バックプレート
40b サイドプレートレート
40c ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレングリコール換算による質量平均分子量が500〜10000であるオルガノシランの加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれか(A)、ポリスチレン換算による質量平均分子量が5000以上であって、フルオロアルキル構造およびポリシロキサン構造を有する含フッ素樹脂(B)、ならびに、一般式(1)で示されるシランカップリング剤又はこのシランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれか(C)を含有することを特徴とする硬化性組成物。
一般式(1):(R−Si(X4−m
(但し、Xは、水酸基または加水分解可能な基である。Rは、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルケニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基の少なくとも1つを有する置換基、mは1≦m≦3で示される整数である。)
【請求項2】
前記オルガノシランの加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれか(A)におけるオルガノシランは、一般式(2)で示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
一般式(2):(R−Si(X4−m
(但し、Xは、水酸基または加水分解可能な基である。Rは、無置換のアルキル基又は無置換のアリール基を表す。mは0≦m≦3で示される整数である。)
【請求項3】
前記Rが、エポキシ基、アシルオキシ基、およびアシルアミノ基の少なくとも1つを有する置換基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記Rが、アクリロイルオキシ基を有する置換基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項5】
平均粒径5nm〜100nmの無機微粒子(D)を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記無機微粒子(D)が、内部及び表面の少なくともいずれかに平均孔径0.01nm〜90nmの空孔を有することを特徴とする請求項5に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
硬化性組成物中のフッ素原子含有量が、5〜60質量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項8】
さらに、架橋性化合物および酸発生剤を含有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性組成物を熱及び電離放射線の少なくともいずれかの手段で硬化させて得られる硬化膜。
【請求項10】
透明支持体上に直接または他の層を介してハードコート層が設けられており、さらにハードコート層上に反射防止層が積層された反射防止フィルムであって、
前記ハードコート層が、熱及び電離放射線の少なくともいずれかの手段で硬化可能な樹脂組成物と、一般式(1)で示されるシランカップリング剤もしくはこのシランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれかとを含有する硬化性組成物からなる硬化膜により形成され、
かつ、前記反射防止層が請求項9に記載の硬化膜により形成されたものであることを特徴とする反射防止フィルム。
一般式(1):(R−Si(X4−m
(但し、Xは水酸基または加水分解可能な基であり、Rはハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルケニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基の少なくとも1つを有する置換基、mは1≦m≦3で示される整数である。)
【請求項11】
前記ハードコート層を形成する硬化組成物が、レベリング剤を含有することを特徴とする請求項10に記載の反射防止フィルム。
【請求項12】
前記レベリング剤がフッ素系化合物及び/またはシリコーン系化合物であることを特徴とする請求項11に記載の反射防止フィルム。
【請求項13】
前記ハードコート層を形成する硬化性組成物が、下記一般式(3)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーからなる化合物を含有することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の反射防止フィルム。
一般式(3)
【化1】

(一般式(3)において、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは1以上18以下の整数を表す。)
【請求項14】
前記反射防止層の最表面と最表面から80%下層における光電子スペクトル強度比Si/Cが該最表面において80%下層よりも2倍以上大きいことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項15】
表面散乱に起因するヘイズが3%以下であり、60°光沢度が60%〜120%であることを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項16】
表面散乱に起因するヘイズが3.5%以上であり、60°光沢度が20%〜80%であることを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項17】
さらに導電材料を有する透明帯電防止層を有し、反射防止フィルムの表面抵抗値logSRが12以下であることを特徴とする請求項10〜16のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項18】
10ppmのオゾンに192時間暴露後の反射防止フィルム表面の水綿棒擦り試験での限界荷重が400g以上であることを特徴とする請求項10〜17のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項19】
請求項10〜18のいずれかに記載の反射防止フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
【請求項20】
請求項10〜18のいずれかに記載の反射防止フィルムを偏光膜の保護フィルムの一方に、光学異方性を有する光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いたことを特徴とする偏光板。
【請求項21】
請求項10〜18のいずれかに記載の反射防止フィルムまたは請求項19もしくは20に記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項22】
画像表示装置が、TN、STN、IPS、VA、OCB、及びECBのいずれかのモードの透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする請求項21に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−328367(P2006−328367A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118351(P2006−118351)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】