磁力式アクチュエータおよび開閉補助装置
【課題】シリンダの軸方向長い範囲に渡って、磁力による付勢力を付与できる磁力式アクチュエータを提供すると共に、このアクチュエータによって開閉補助力を与える開閉補助装置を提供する
【解決手段】シリンダ11が、シリンダ用永久磁石21によって軸方向にN極とS極とに分極され、その分極ラインがαとされる。ピストン31が、ピストン用永久磁石32によって軸方向にN極とS極とに分極され、その分極ラインがβとされる。両永久磁石21と31との間での磁力の影響によって、αとβとが一致した基準位置以外では、両永久磁石21と31との間での磁力の影響によって、ピストン31がシリンダ11に対して軸方向の付勢力を受けることになる。この付勢力を、ドアの開動作補助用として、あるいは閉動作補助用として用いることができる。
【解決手段】シリンダ11が、シリンダ用永久磁石21によって軸方向にN極とS極とに分極され、その分極ラインがαとされる。ピストン31が、ピストン用永久磁石32によって軸方向にN極とS極とに分極され、その分極ラインがβとされる。両永久磁石21と31との間での磁力の影響によって、αとβとが一致した基準位置以外では、両永久磁石21と31との間での磁力の影響によって、ピストン31がシリンダ11に対して軸方向の付勢力を受けることになる。この付勢力を、ドアの開動作補助用として、あるいは閉動作補助用として用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁力式アクチュエータおよびこの磁力式アクチュエータを利用した開閉補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車のドア等の開閉部材を開動作させる際に、開方向への補助力を与えるために、ガススプリングが多く利用されている。特に、トランクリッドやバックドアのように、開動作がドアを上方へ持ち上げる動作となる場合に、補助力が望まれることになる。ガススプリングは、シリンダ形式とされて、シリンダとシリンダから伸びるピストンロッドとのいずれか一方が車体に連結される一方、他方がドアに連結される。そして、ピストンロッドは、シリンダ内に封入したガス圧を受けて常時伸び方向に付勢されていて、ドアを開動作させる際に、ピストンロッドを介してガス圧が開動作の補助力として作用することになる。このようなガススプリングは、シリンダ内にガスを封入することから、長期間使用するとガスもれの問題があり、またシール等の関係から精密な作りが要求され、高価なものとなる。
【0003】
一方、磁力、特に安価かつ簡単な構成となる永久磁石を利用したアクチュエータも提案されている。特許文献1には、シリンダ内面とピストン外面とにそれぞれ相対向するようにして一対の永久磁石を配置して、この一対の永久磁石をシリンダの径方向にN極とS極とに分極させると共に、対面する側の極性が互いに異極(つまり吸引関係)となるようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−54671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような磁力式アクチュエータは、シリンダ側の永久磁石とピストン側の永久磁石とが軸方向に互いにずれた位置となったときにのみ磁力による吸引作用が働くものであり、長いストロークに渡って磁力による吸引作用を得ることが事実上難しいものとなる。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、永久磁石を利用して、長いストローク範囲に渡って磁力による反発作用あるいは吸引作用が得られるようにした磁力式アクチュエータを提供することにある。
本発明の別の目的は、上記磁力式アクチュエータを利用して開閉部材の開動作あるいは閉動作に補助力を与えることのできるようにした開閉補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明における磁力式アクチュエータにあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
シリンダと、該シリンダ内に摺動自在に嵌合されたピストンと、該ピストンに一体化されて該シリンダの外部へ延びるピストンロッドと、を備え、
前記シリンダが、シリンダ用永久磁石を有して、該シリンダ用永久磁石によって該シリンダが軸方向にN極とS極とに分極されており、
前記ピストンが、ピストン用永久磁石を有して、該ピストン用永久磁石によって軸方向にN極とS極とに分極されている、
ようにしてある。
【0008】
上記解決手法によれば、シリンダ内におけるピストン位置が、シリンダの分極ライン(N極とS極との境)とピストンの分極ラインとが一致した基準位置にあるときのみ、シリンダ内で静止される。そして、ピストンが上記基準位置から軸方向にずれた位置では、シリンダ用永久磁石とピストン用永久磁石との間での軸方向に作用する磁力を受けて、基準位置からさらに離れる方向かあるいは基準位置へ戻ろうとする力(付勢力)を受けることになる。つまり、磁力によって、基準位置以外では、ピストンロッドは伸び方向または縮み方向に付勢されることになる(アクチュエータとしての機能の確保)。そして、ピストン用永久磁石が、基準位置からずれた位置にある限り、シリンダ用永久磁石の長さ範囲のどの位置にあっても、上記付勢力を確保することができる。なお、ピストンロッドが伸び方向に付勢されるか縮み方向に付勢されるかは、軸方向一端側(つまり他端側)におけるシリンダ用永久磁石とピストン用永久磁石との極性の異動関係によって決定されることになる。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置に復帰される力を受けるようにされている、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、磁力によってピストンが基準位置に向けて復帰付勢される形式の磁力式アクチュエータが提供される。
【0010】
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされている、
ようにしてある(請求項3対応)。この場合、磁力によってピストンが基準位置から離れる方向に付勢される形式の磁力式アクチュエータが提供される。
【0011】
前記シリンダ用永久磁石が、筒状とされて、前記シリンダの軸方向ほぼ全長に渡って伸びている、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、極めて簡単な構成によって、シリンダを軸方向おいて分極することができる。また、磁力による駆動力を大きく確保する上でも好ましいものとなる。
【0012】
筒状とされた前記シリンダ用永久磁石と筒状の磁性部材とが互いにその端面をつきあわせた状態で組み合わされて、該シリンダ用永久磁石と筒状の磁性部材との組み合わせ体が前記シリンダのほぼ全長に渡って伸びている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、例えば鉄部材等の安価な磁性部材を利用して、コストを極力低減しつつシリンダを軸方向に分極することができる。また、シリンダの分極ラインを、シリンダ用永久磁石側に近づける上でも好ましいものとなる。
【0013】
筒状とされると共に軸方向にN極とS極とに分極された補助永久磁石をさらに備え、
前記磁性部材の一端部側に前記永久磁石が設けられると共に、該磁性部材の他端部側に前記補助永久磁石が設けられ、
前記補助永久磁石が、前記磁性部材の端面と突き合わせた状態で配設され、
前記補助永久磁石は、少なくとも前記ピストン用永久磁石が接近した状態において、該ピストン用永久磁石に対して前記シリンダ用永久磁石から受ける磁力の影響を補助する方向の磁力を与えるように設定されている、
ようにしてある(請求項6対応)。この場合、シリンダ軸方向において部分的にシリンダ用永久磁石を用いつつも、補助永久磁石によりシリンダ用永久磁石の機能を実質的に高めることができる。
【0014】
前記シリンダ用永久磁石が、それぞれ前記シリンダの軸方向に伸びる複数の棒状永久磁石によって構成され、
前記複数の棒状永久磁石が、前記シリンダの周方向に間隔をあけて配設されている、
ようにしてある(請求項7対応)。この場合、シリンダ用永久磁石として棒状のものを用いて、シリンダ用永久磁石の形状簡単化等の上で好ましいものとなる。
【0015】
前記基準位置が、前記シリンダの軸方向中間位置よりも該一方側部側に片寄った位置とされている、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、基準位置を横切ることなくピストンが異動できるストローク範囲を長く確保する上で好ましいものとなる。
【0016】
前記シリンダの一端部側は、前記ピストンロッドが貫通しないボトムフランジ部で閉じられており、
前記シリンダの他端部側は、前記ピストンロッドが摺動自在に貫通するヘッドフランジ部で閉じられている、
ようにしてある(請求項9対応)。この場合、極く一般的なシリンダ形式として、汎用性確保等の上で好ましいものとなる。
【0017】
前記ピストンロッドが、一対設けられて、前記ピストンを境に互いに離間する方向に伸びており、
前記一対のピストンロッドのうち、一方のピストンロッドが前記シリンダの一方側端部から外部へ伸びており、他方のピストンロッドが前記シリンダの他方側端部から外部へ伸びている、
ようにしてある(請求項10対応)。この場合、ピストンロッドを一対有する形式とすることができる。
【0018】
前記別の目的を達成するため、本発明における開閉補助装置にあっては、次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項11に記載のように、
本体部材に形成された開口部が、開閉部材によって開閉されるようにされ、
磁力式アクチュエータによって、開閉部材の開動作または閉動作に補助力が与えられるようにされており、
前記磁力式アクチュエータは、シリンダ用永久磁石を有するシリンダと、該シリンダ内に摺動自在に嵌合されると共にピストン用永久磁石を有するピストンと、該ピストンに一体化されて該シリンダの外部へ延びるピストンロッドと、を備え、
前記シリンダが、前記シリンダ用永久磁石によって該シリンダが軸方向にN極とS極とに分極されており、
前記ピストンが、前記ピストン用永久磁石によって軸方向にN極とS極とに分極されており、
前記シリンダとピストンロッドとのいずれか一方が前記本体部材に連結されると共に、他方が前記開閉部材に連結されている、
ようにしてある。上記解決手法によれば、磁力式アクチュエータを、開閉部材の開動作への補助力付与または閉動作への補助力付与のために用いた開閉補助装置が提供される。
【0019】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項12以下に記載のとおりである。すなわち、
前記開閉部材が、ドアとされている、ようにしてある(請求項12対応)。この場合、ドアの開動作または閉動作をについての補助力付与を行うことができる。
【0020】
前記本体部材が車両の車体とされている、ようにしてある(請求項13対応)。この場合、車両のドアはかなり大型かつ重量物となるので、磁力式アクチュエータによる開動作あるいは閉動作の補助を与えることは、乗員等にとってドアを開くあるいは閉じる際の操作力低減となって、極めて好ましいものとなる。
【0021】
前記開閉部材は、上方へ持ち上げたときに開とされ、
前記磁力式アクチュエータによって、前記開閉部材の開動作に対して補助力が与えられる、
ようにしてある(請求項14対応)。この場合、開閉部材を持ち上げつつ開くために要する操作力を低減する上で極めて好ましいものとなる。また、開閉部材を閉じる際には、開閉部材の重量を利用して行うことができるので、磁力式アクチュエータによる抵抗が事実上問題とならないものとなる。
【0022】
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材を開閉させたとき、前記ピストンは前記基準位置を横切らない範囲で作動されるように設定されて、前記磁力式アクチュエータから開方向の補助力のみを受けるようにされている、
ようにしてある(請求項15対応)。この場合、磁力式アクチュエータが、もっぱらピストンロッドの伸び方向(つまり開動作補助の方向)への駆動力付与のために作用して、不用意に閉方向への駆動力が与えられてしまう事態を防止する上でも好ましいものとなる。
【0023】
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材の開閉に応じて、前記ピストンが前記基準位置を横切って作動するように設定され、
前記開閉部材が閉位置にあるときは、磁力によって閉位置を保持するようにされ、
前記開閉部材を閉位置から開位置へと変位させたとき、前記ピストンが前記基準位置を横切った時点から磁力によって該開閉部材の開動作が補助される、
ようにしてある(請求項16対応)。この場合、それぞれ磁力を利用して、開動作への補助力付与作用と、閉位置の保持作用とを共に得ることができる。特に、閉位置にあるドアが、不用意に開方向へ変位されてしまう事態を防止する上で好ましいものとなる。
【0024】
前記シリンダ側の前記分極ラインが、該シリンダの軸方向中間位置よりも前記開閉部材の閉位置となる方向に片寄った位置となるように設定されている、ようにしてある(請求項17対応)。この場合、ドアの開閉に伴うピストンストロークのうち、極力長いストローク範囲を開動作への補助力付与のために使用することができる。
【0025】
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材の開閉に応じて、前記ピストンが前記基準位置を横切るように設定され、
前記開閉部材が閉位置にあるときは、磁力によって該閉位置を保持するようにされ、
前記開閉部材を閉位置から開位置へと変位させたとき、前記ピストンが前記基準位置を横切った時点から磁力によって該開閉部材の開動作が補助される、
ようにしてある(請求項18対応)。この場合、それぞれ磁力を利用して、開動作への補助力付与作用と、閉位置の保持作用とを共に得ることができる。特に、閉位置にあるドアが、不用意に開方向へ変位されてしまう事態を防止する上で好ましいものとなる。
【0026】
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材の開閉に応じて、前記ピストンが前記基準位置を横切るように設定され、
前記開閉部材が開位置にあるときは、磁力によって該開位置を保持するようにされ、
前記開閉部材を開位置から閉位置へと変位させたとき、前記ピストンが前記基準位置を横切った時点から磁力によって該開閉部材の閉動作が補助される、
ようにしてある(請求項19対応)。この場合、請求項18の場合とは逆に、開位置の保持作用と、閉動作への補助力付与の作用とを共に得ることができる。
【0027】
前記開閉部材が、閉位置から一方側へ変位したときおよび他方側へ変位したときのいずれも開位置となるように設定され、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置に戻る力を受けるようにされ、
前記開閉部材が前記閉位置とされたときに、前記ピストンが前記基準位置に位置するように設定されている、
ようにしてある(請求項20対応)。この場合、開閉部材を、2方向のうちいずれの方向に開いたときでも、開閉部材を閉位置に復帰させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、磁力による付勢力が得られるストロークを長く確保した磁力式アクチュエータを提供することができる。また、この磁力式アクチュエータを、開閉部材の開動作補助または閉動作補助のために利用した開閉補助装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】基準位置からピストンが離れる方向に付勢される反発場となる場合の一例を示す断面図。
【図2】ピストンが基準位置へ復帰する方向に付勢される吸引場となる場合の一例を示す断面図。
【図3】本発明による磁力式アクチュエータを自動車のバックドアの開動作補助用として適用した場合の一例を示す側面図。
【図4】図3に示す磁力式アクチュエータの一例を示す断面図。
【図5】磁力式アクチュエータを水平方向に移動されるドアの開閉補助用として適用する場合の一例を示す簡略説明図。
【図6】閉位置から2方向へ開かれるドアの一例を示す簡略平面図。
【図7】図6に示すドアに連結される磁力式アクチュエータの一例を示す要部平面図。
【図8】両開き式の一対のドアを磁力式アクチュエータによって開動作補助する場合の例を示す図。
【図9】シリンダ用永久磁石を棒状とした場合の一例を示す断面図。
【図10】図9のX10−X10線相当断面図。
【図11】シリンダ用永久磁石と磁性部材とを組み合わせた一例を示す断面図。
【図12】シリンダ用永久磁石と磁性部材と補助永久磁石とを組み合わせた一例を示す断面図。
【図13】ピストン用永久磁石を筒状とした場合の一例を示す断面図。
【図14】図13に示すピストン用永久磁石とピストンロッドとの結合例を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1、図2は、本発明の基本原理を示すものである。図中、Aは円筒状とされた第1永久磁石であり、Bは円柱状とされた第2永久磁石である。第2永久磁石Bは、第1永久磁石A内に摺動自在に嵌合されている。つまり、第1永久磁石Aがシリンダとして機能され、第2永久磁石Bがピストンとして機能する設定となっている。
【0031】
第1永久磁石Aは、軸方向にN極とS極とが分極されており、図1,図2の場合共に、上端側がS極、下端側がN極とされている。第2永久磁石Bも、軸方向にN極とS極とに分極されている。図1では、第2永久磁石Bは、上端側がS極、下端側がN極とされている。これに対して、図2においては、第2永久磁石Bは、上端側がN極、下端側がS極とされている。また、図中、αは第1永久磁石Aの分極ライン(軸方向でのN極とS極との境界)を示し、βは第2永久磁石Bの分極ラインを示す。そして、図1,図2では、それぞれ、両分極ラインαとβとが一致している場合が示される。
【0032】
図1においては、筒状の第1永久磁石Aの上端面よりも若干上側の空芯部分(第1永久磁石Aの軸線延長線上にある空間部分)はN極となる。また、第1永久磁石Aの下端面よりも若干下側の空芯部分はS極となる。上記上側の空芯部分の極性となるN極は、第2永久磁石Bの上端面側の極性となるS極を引きつける作用をなす。同様に、上記下側の空芯部分の極性となるS極は、第2永久磁石Bの下端面側の極性となるN極を引きつける作用をなす。そして、分極ラインαとβとが一致している基準位置では、第2永久磁石Bは、第1永久磁石Aに対して、この基準位置を保持しようとすることになる。
【0033】
第2永久磁石Bが第1永久磁石Aに対して、上記基準位置からずれた場合において、第2永久磁石Aの第1永久磁石Aに対する動きは、図1,図2の場合では逆の関係となる。まず、図1の場合は、分極ラインαとβとが一致している基準位置から、第2永久磁石Bが第1永久磁石Aの軸方向にわずかにでも変位された場合は、第2永久磁石Bが第1永久磁石Aに対して、上記変位がさらに大きくなる方向に移動(磁力による付勢)されることになる。具体的には、分極ラインαとβとが一致している基準位置から、第2永久磁石Bを第1永久磁石Aに対して図1上方へ変位させた場合は、第2永久磁石Bは、さらに上方へ移動しようとする力(磁力による付勢力)を受けることになる。また、上記基準位置から、第2永久磁石Bを第1永久磁石Aに対して図1下方へ変位させた場合は、第2永久磁石Bは、さらに下方へ移動しようとする力を受けることになる。このように、図1中矢印で示すように、第2永久磁石Bが基準位置から離れるような力を受ける場合を、以下の説明において反発場と呼ぶ場合がある。
【0034】
図2は、図1の場合とは逆に、第2永久磁石Bが第1永久磁石Aに対して基準位置からずれると、元の基準位置に復帰する方向の力を受けることになる。すなわち、第2永久磁石Bは、基準位置から図2中上方へ変位して場合あるいは下方へ変位した場合のいずれにあっても、基準位置に復帰することになる。このように、図2中矢印で示すように、第2永久磁石Bが基準位置に復帰するような力を受ける場合を、以下の説明において吸引場と呼ぶこともある。
【0035】
図3は、図1に示すような反発場を利用した磁力式アクチュエータを、自動車のドア開閉補助用として適用した例を示す。すなわち、図3において、自動車Vは、その車体2の後端面に形成された後部開口が、水平方向に伸びる軸線を中心として上下方向に揺動されるバックドア1によって開閉されるようになっている。図3では、バックドア1が開状態にあるときが示され、この開状態からバックドア1を下方へ揺動させることにより、閉位置とされる。換言すれば、閉状態にあるバックドア1を開状態にするときは、バックドア1の重量に抗して行う必要があり、かなり大きな操作力が必要とされる。なお、特許請求の範囲との関係において、バックドア1が開閉部材に相当し、車体2が本体部材に相当するものとなる。
【0036】
バックドア1の開動作を補助するために、磁力式アクチュエータ10が設けられている。この磁力式アクチュエータ10は、シリンダ11とピストンロッド12とを有し、シリンダ11が車体2に回動自在に連結され、ピストンロッド12がバックドア1に回動自在に連結されている。
【0037】
磁力式アクチュエータ10の詳細が、図4に示される。この図4において、シリンダ11は、円筒状のシリンダ用永久磁石21と、シリンダ用永久磁石21の内面に一体化された円筒状の内筒部材22と、シリンダ用永久磁石21の外側に配置されたボトム側外筒部材23と、シリンダ用永久磁石21の外側に位置されたヘッド側外筒部材24と、を有する。そして、シリンダ21内、より具体的には内筒部材22内には、ピストン31が摺動自在に嵌合されている。
【0038】
内筒部材22は、低摩擦部材としての非磁性部材(実施形態では合成樹脂)によって形成されて、ピストン31との間での摩擦が小さくなるようにされている。この内筒部材22およびシリンダ用永久磁石21は、シリンダ11のほぼ全長に渡って存在するように設定されている。
【0039】
ボトム側外筒部材23は、有底筒状とされて、シリンダ用永久磁石21と内筒部材22の下側の開口部を閉塞するボトムフランジ部23aを有する。また、ボトム側外筒部材23は、シリンダ用永久磁石21の外周に嵌合されてシリンダ用永久磁石21の上端部付近にまで伸びる外側カバー部23bを有する。そして、外側カバー部23bの上端外周面には、雄ねじ部23cが形成されている。
【0040】
ヘッド側外筒部材24は、シリンダ用永久磁石21と内筒部材22の上側開口部を塞ぐヘッド側フランジ部24aを有して、このヘッド側フランジ部24aに、ピストンロッド12が摺動自在に貫通するガイド孔24bが形成されている。また、ヘッド側外筒部材24は、シリンダ用永久磁石21の上端部外周を覆う外側カバー部24cを有し、この外側カバー部24cの内面には、前記雄ねじ部23cに螺合される雌ねじ部24dが形成されている。上記各外筒部材23と24は、例えば合成樹脂やアルミニウム合金等の非磁性部材によって形成されている。
【0041】
シリンダ用永久磁石21は、軸方向に分極されて、その上端側がS極、下端側がN極とされ、その分極ラインがαで示される。シリンダ用永久磁石21は、シリンダ11のほぼ全長に渡って伸びて、実質的にシリンダ11を軸方向に分極する機能を有している。
【0042】
シリンダ11内に延びるピストンロッド12の基端部には、円盤状の取付フランジ部12aが形成されている。この取付フランジ部12aに、円柱状のピストン用永久磁石32が着座された状態で固定されている(例えば、接着やねじ等の固定具による固定)。このように、実施形態では、ピストンロッド12の基端部側に構成されるピストン31が、実質的にピストン用永久磁石32によって構成されている。このピストン用永久磁石32は、軸方向に分極されて、その上端側がS極、下端側がN極とされている。ピストンロッド12は、例えば合成樹脂、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の非磁性部材によって形成されている。
【0043】
上述の説明から既に明かなように、図4に示す磁力式アクチュエータ10は、図1の場合と同様に、反発場とされている。すなわち、図4では、シリンダ11(シリンダ用永久磁石21)の分極ラインαとピストン31(ピストン用永久磁石32)の分極ラインβとが一致した基準位置にある場合が示される。そして、ピストン31が基準位置から上方(ピストンロッド伸び方向)あるいは下方(ピストンロッド縮み方向)に変位したとき、この変位が大きくなる方向の磁力を受けるようになっている。なお、図4中、13、14は、バックドア1や車体2に対して連結するための取付リングである。
【0044】
図4に示すような磁力式アクチュエータ10は、バックドア1の閉状態では、ピストン31(ピストン用永久磁石32)の下端面位置が図4中CLで示す位置とされる。また、バックドア1が全開状態のときは、ピストン31(ピストン用永久磁石32)の下端面位置が図4中OPで示す位置とされる。ピストン31がCLとOPとの間の範囲で変位するとき、ピストン側分極ラインβが、シリンダ側分極ラインαを横切ることになる。つまり、ピストン31が、基準位置よりもバックドア1の閉方向へ変位されたときは、バックドア1を閉方向に付勢する力が作用し(ピストンロッド12が縮む方向の力を受ける)、バックドア1が不用意に大きく開かないような設定となっている。そして、バックドア1を閉状態から若干開いて、ピストン31の分極ラインβが基準位置を超えて上方(ピストンロッド12の伸び方向)へ変位すると、ピストンロッド12が伸び方向の力を受けて、バックドア1の開動作を補助することになる。
【0045】
分極ラインαとCLとの間でのピストン31(ピストンロッド12)のストロークは、分極ラインαとOPとの間でのピストン31のストロークに比して、十分小さくなっている。つまり、バックドア1の開動作に補助力を付与するストローク範囲が十分大きくなるように設定してある。なお、分極ラインαとCLとの間のストロークが0以下になるように設定して、磁力式アクチュエータ10が常時バックドア1の開動作を補助する設定とすることもできる。
【0046】
図5は、磁力式アクチュエータ10の別の適用例を示す。この図5において、41は、鉄道車両における乗降用ドアであり、車体42の側面に形成された乗降用開口部を開閉するようになっている。このドア41は、図示を略す電動式、空気圧式あるいは油圧式等の
アクチュエータによって自動的に閉状態とされるようになっている。この一方、ドア41の開動作は、乗降希望者(お客)がマニュアル操作によって行うようになっている。つまり、寒冷地等では、暖房効果維持のために、乗降希望者がマニュアル操作でドア41を開くようになっている。そして、車両が発車する際には、車掌等によるスイッチ操作に基づいて、ドア41が自動的に閉じられることになる。
【0047】
上記ドア41と車体42との間に、磁力式アクチュエータ10が介在されている。すなわち、例えばシリンダ11が車体42に連結される一方、ピストンロッド12が、リンク機構、歯車機構、ワイヤ機構等あるいはこれらの組み合わせからなる連動機構43を介して、ドア41に連結されている。ピストンロッド41の伸び方向(図5矢印X4で示す)が、ドア41の開方向(図5矢印Y4で示す)となるようにされている。そして、磁力式アクチュエータ10によって、ドア41の開動作に補助力が与えられるようになっている。なお図5の例では、図4の場合と同様に、分極ラインαとCLとの間のストロークを確保して、磁力式アクチュエータ10によって閉状態を保持させつつ、ドア41の開動作に補助力を与えるようになっている。なお、分極ラインαとCLとの間のストロークが0以下になるようにして、磁力式アクチュエータ10は、ドア41の開動作を補助する作用のみを有するようにしてもよい。
【0048】
図6は、磁力式アクチュエータ10の別の適用例を示すものである。本例では、室の仕仕切壁45に形成された通路46が、ドア47によって開閉されるようになっている。このドア47は、上下方向に伸びる揺動軸48に固定されて、この揺動軸48を中心として揺動される。ドア47を、図6に実線で示す閉位置から、一方側へ揺動させたときおよび他方側へ揺動させたときの両方共に、開状態とされるようになっている。
【0049】
磁力式アクチュエータ10が、ドア46の揺動軸47に対して連結されている。磁力式アクチュエータ10の例えばシリンダ11が仕切壁45に連結され、ピストンロッド12が揺動軸48に連結されている。図7に示すように、ピストンロッド12にはラック部12bが形成される一方、揺動軸48にはラック部12bに噛合する歯車49が固定されている。これにより、ピストンロッド12の伸縮動に応じて、揺動軸48(つまりドア47)が揺動されるようになっている。
【0050】
磁力式アクチュエータ10は、ドア47が図6実線で示す閉位置にあるとき、分極ラインαとβとが一致した基準位置となるように設定されている。つまり、ドア47は、閉状態から、一方側あるいは他方側いずれの方向にも、磁力式アクチュエータ10によって開方向へ補助力が与えられるようになっている。
【0051】
図6,図7の変形例として、磁力式アクチュエータ10を図2で説明した吸引場のものに変更した場合がある。すなわち、図4において、ピストン用永久磁石32の上端面側をN極とし、下端面側をS極とすることにより、ピストン31が基準位置に復帰しようとする吸引場形式の磁力式アクチュエータとなる。そして、ドア47が閉位置にあるときに、ピストン31が基準位置にあるように設定される。この場合は、反発場の場合とは逆に、ドア47を開いたときに、磁力式アクチュエータ10によってドア47が閉位置に復帰する補助力が与えられることになる(ドアクローザの機能)。
【0052】
図6,図7のさらに別の変形例として、ドア47が、閉位置から一方向にのみ揺動されて(例えば図6上方へのみ揺動可能)、開とされる場合を考える。このようなドア47は、一般家庭やホテル等のドアにおいてよくみられる設定である。なお、磁力式アクチュエータ10は、図4の場合と同様に反発場とされている。ただし、磁力式アクチュエータ10は、図4中CLの位置がドア47の全開位置とされ、図4中OPの位置がドア47の全閉位置となるように設定される。ドア47を開いている途中で、ドア47から開動作のための操作力を解放したとき、ドア47は磁力式アクチュエータ10によって閉位置に向けて付勢されることになる(磁力式アクチュエータ10がいわゆるドアクローザの作用で、ドア47の閉め忘れ防止)。ただし、ドア47を全開位置にしたときは、ピストン31が基準位置を超えるため、磁力式アクチュエータ10はドア47に対して開方向への補助力を与えることとなって、ドア47を全開位置に保持する機能を果たすことになる。
【0053】
図8は、鉄道車両の乗降用ドアが、左右一対のドア51,52によって形成された両開き式とされている。このドア51,52は、それぞれ、自動的に閉状態とされ、開動作は乗降希望者がマニュアル操作することにより行うようになっている。また、磁力式アクチュエータ10B(10に相当で、反発場である)は、一対のピストンロッド12A、12Bを有している。つまり、ピストン31の各端面からそれぞれピストンロッド12A、12Bが一体的に伸びている。各ピストンロッド12A、12Bには、ラック12cあるいは12dが形成されている。このラック12cに噛合する歯車53が、連動機構43Bを介して、一方のドア51に連結されている。ラック12dに螺合する歯車54が、連動機構43Cを介して、他方のドア52に連結されている。ピストンロッド12Aが伸び方向に変位したときに、一方のドア51が開かれるようになっている。同様に、他方のピストンロッド12Bが伸び方向に変位したときに、他方のドア52が開かれるようになっている。そして、ピストン31が基準位置にあるときは、ドア51,52が共に閉状態となるように設定されている。
【0054】
一方のドア51の開動作(X2方向の動き)は、ピストン31の図中右方(X1方向)への変位となり、このドア51の開動作に対して磁力式アクチュエータBから補助力が与えられる。ピストン31が右方へ変位したとき、ラック12dと歯車54との噛合が外れて、他方のドア52は閉状態を保持したままとされる。
【0055】
同様に、他方のドア52を開動作(Y2方向の動き)は、ピストン31の図中左方(Y1方向)への変位となり、このドア52の開動作に対して磁力式アクチュエータBから補助力が与えられる。ピストン31が左方へ変位したとき、ラック12cと歯車53との噛合が外れて、一方のドア51は閉状態を保持したままとされる。
【0056】
図9、図10は、シリンダ11をシリンダ用永久磁石によって軸方向に分極させる場合の別の例を示すものである。すなわち、シリンダ用永久磁石として、複数本(実施形態では4本)の棒状永久磁石21A〜21Dを用いてある。各棒状永久磁石21A〜21Dは、シリンダ11のほぼ全長に渡るように伸びている。そして、各棒状永久磁石12A〜12Dは、シリンダ11の周方向等間隔に配置されている。このような複数本の棒状永久磁石21A〜21dを保持するために、非磁性部材としての例えば合成樹脂からなるホルダ部材60が設けられている。このホルダ部材60は、図4における内筒部材22の機能をも有する。
【0057】
図11は、シリンダ11を軸方向に分極させる場合に、円筒状のシリンダ用永久磁石21を用いつつ、シリンダ用永久磁石21のシリンダ軸方向長さを短くできるようにしたものである。すなわち、円筒状のシリンダ用永久磁石21の一端面21aに対して、円筒状の磁性部材(例えば鉄系部材)の一端面70aを突き合わせた構造としてある。これにより、磁性部材70の他端面70bには、シリンダ用永久磁石21の一端面21aの極性(実施形態ではS極)と同種の極性が現れることになる。図11の場合は、シリンダ用永久磁石21の短縮化(コスト低減)と、シリンダ11の分極ラインαを極力シリンダ11の軸方向一端側(シリンダ用永久磁石21が存在する側)に片寄らせる(オフセット)ことができる。
【0058】
図12は、図11の変形例となるもので、円筒状の磁性部材70の他端面70bに対して、円筒状の補助永久磁石75の一端面75aを突き合わせ構造としてある。補助永久磁石75は、軸方向に分極されており、その極性の設定は、シリンダ用永久磁石21と同じになるようにしてある。すなわち、軸方向一端面側の極性が、シリンダ用永久磁石21と補助永久磁石75とで同じになるようにしてある。より具体的には、シリンダ用永久磁石21、補助永久磁石75共に、図12右方側がS極となるように設定してある。これにより、シリンダ11のうち、シリンダ用永久磁石21とは反対側の端部付近での磁力を確保することができる。
【0059】
図12の変形例として、補助永久磁石70の軸方向の極性を、図12の場合とは逆に設定することもできる。具体的には、補助永久磁石75の図中右端面側の極性をN極とすることができる。この場合は、反発場としたときに、図12では図示を略すピストンがシリンダ用永久磁石21によって図中右方への力を受けたときに、ピストン31が補助永久磁石75に近づくことにより、図中右方への力が低減されることになる(ピストン31に対してブレーキ力の付与)。
【0060】
図13,図14は、ピストン31を、円筒状のピストン用永久磁石32B(32に相当)を利用して構成した場合の例を示す。本例では、ピストンロッド12の基端部側に、フランジ部12eとフランジ部12eから伸びる軸部12fとを形成してある。そして、軸部12fに円筒状のピストン用永久磁石32Bをがたつきなく嵌合させ、この嵌合状態では、ピストン32B、フランジ部12eに着座される。そして、軸部12fの先端面に対して、板状の押さえ部材80をねじ81によって固定して、この押さえ部材80とフランジ部12eとでピストン用永久磁石32Bを軸方向にがたつきなく挟持、固定するようにしてある。なお、押さえ部材80は非磁性部材によって形成されている。ねじ81も非磁性部材によって形成するのが好ましいものである。
【0061】
筒状とされたピストン用永久磁石32Bは、その軸方向端部付近の空芯部の極性が、柱状(中実状)とされた図1,図2に示す第2永久磁石Bの場合とは逆になる。したがって、図4の場合において、円柱状のピストン用永久磁石32に代えて円筒状のピストン用永久磁石32Bを用いた場合は、この円筒状のピストン用永久磁石第32Bの図4上端面側の極性をN極とすることにより、反発場が得られることになる。勿論、円筒状のピストン用永久磁石32Bの図4上端面側の極性をS極としたときは、吸引場が得られることになる。
【0062】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。ピストン用永久磁石32(32B)の外側面(シリンダ11との摺動面)に、例えば円筒状の低摩擦部材を嵌合一体化したり、低摩擦部材の皮膜を形成しておくことにより、シリンダ11に対する摺動抵抗を低減するようにしてもよい。非磁性部材は、強度や剛性が要求される部位については、例えばアルミニウム合金やステンレス鋼等の金属部材を用いるのが好ましいものである。
【0063】
磁力式アクチュエータによって開閉補助されるドアとしては、例えば鉄道車両における車両間のドア、自動車Vにおける前後方向にスライド動されるスライドドア、一般家庭やホテル等の各種ドア等、全てのドアを適用範囲とすることができる。また、磁力式アクチュエータによって補助力を受ける対象物は、例えば、蓋付の容器(例えば蓋付の灰皿)において、開閉部材としての蓋部材の開動作を補助したり、あるいは閉動作を補助するために用いることができる。また、磁力式アクチュエータは、例えばプレス装置において、押圧ストロークの際に、磁力式アクチュエータによって押圧の補助力を与えるようにすることができる等、種々の分野における補助力付与のために用いることができる。磁力式アクチュエータは、スプリングとしての機能をも発揮するので、スプリングの代々物として使用することもできる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明による磁力式アクチュエータは、補助力付与等のために種々の分野で用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
A:第1永久磁石(シリンダ用永久磁石相当で、図1、図2)
B:第2永久磁石(ピストン用永久磁石相当で、図1,図2)
α:分極ライン(シリンダ)
β:分極ライン(ピストン)
1:バックドア(開閉部材で、図1)
2:車体(本体部材で、図1)
10:磁力式アクチュエータ
10B:磁力式アクチュエータ(図8)
11:シリンダ
12:ピストンロッド
12A、12B:ピストンロッド(図8)
21:シリンダ用永久磁石
21A〜21D:棒状永久磁石(図9,図10)
31:ピストン
32:ピストン用永久磁石
32B:ピストン用永久磁石(図13,図14)
41:ドア(開閉部材で、図5)
42:車体(本体部材で、図5)
45:仕切壁(本体部材で、図6)
47:ドア(開閉部材で、図6)
51,52:ドア(開閉部材で、図8)
75:補助永久磁石(図12)
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁力式アクチュエータおよびこの磁力式アクチュエータを利用した開閉補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車のドア等の開閉部材を開動作させる際に、開方向への補助力を与えるために、ガススプリングが多く利用されている。特に、トランクリッドやバックドアのように、開動作がドアを上方へ持ち上げる動作となる場合に、補助力が望まれることになる。ガススプリングは、シリンダ形式とされて、シリンダとシリンダから伸びるピストンロッドとのいずれか一方が車体に連結される一方、他方がドアに連結される。そして、ピストンロッドは、シリンダ内に封入したガス圧を受けて常時伸び方向に付勢されていて、ドアを開動作させる際に、ピストンロッドを介してガス圧が開動作の補助力として作用することになる。このようなガススプリングは、シリンダ内にガスを封入することから、長期間使用するとガスもれの問題があり、またシール等の関係から精密な作りが要求され、高価なものとなる。
【0003】
一方、磁力、特に安価かつ簡単な構成となる永久磁石を利用したアクチュエータも提案されている。特許文献1には、シリンダ内面とピストン外面とにそれぞれ相対向するようにして一対の永久磁石を配置して、この一対の永久磁石をシリンダの径方向にN極とS極とに分極させると共に、対面する側の極性が互いに異極(つまり吸引関係)となるようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−54671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような磁力式アクチュエータは、シリンダ側の永久磁石とピストン側の永久磁石とが軸方向に互いにずれた位置となったときにのみ磁力による吸引作用が働くものであり、長いストロークに渡って磁力による吸引作用を得ることが事実上難しいものとなる。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、永久磁石を利用して、長いストローク範囲に渡って磁力による反発作用あるいは吸引作用が得られるようにした磁力式アクチュエータを提供することにある。
本発明の別の目的は、上記磁力式アクチュエータを利用して開閉部材の開動作あるいは閉動作に補助力を与えることのできるようにした開閉補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明における磁力式アクチュエータにあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
シリンダと、該シリンダ内に摺動自在に嵌合されたピストンと、該ピストンに一体化されて該シリンダの外部へ延びるピストンロッドと、を備え、
前記シリンダが、シリンダ用永久磁石を有して、該シリンダ用永久磁石によって該シリンダが軸方向にN極とS極とに分極されており、
前記ピストンが、ピストン用永久磁石を有して、該ピストン用永久磁石によって軸方向にN極とS極とに分極されている、
ようにしてある。
【0008】
上記解決手法によれば、シリンダ内におけるピストン位置が、シリンダの分極ライン(N極とS極との境)とピストンの分極ラインとが一致した基準位置にあるときのみ、シリンダ内で静止される。そして、ピストンが上記基準位置から軸方向にずれた位置では、シリンダ用永久磁石とピストン用永久磁石との間での軸方向に作用する磁力を受けて、基準位置からさらに離れる方向かあるいは基準位置へ戻ろうとする力(付勢力)を受けることになる。つまり、磁力によって、基準位置以外では、ピストンロッドは伸び方向または縮み方向に付勢されることになる(アクチュエータとしての機能の確保)。そして、ピストン用永久磁石が、基準位置からずれた位置にある限り、シリンダ用永久磁石の長さ範囲のどの位置にあっても、上記付勢力を確保することができる。なお、ピストンロッドが伸び方向に付勢されるか縮み方向に付勢されるかは、軸方向一端側(つまり他端側)におけるシリンダ用永久磁石とピストン用永久磁石との極性の異動関係によって決定されることになる。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置に復帰される力を受けるようにされている、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、磁力によってピストンが基準位置に向けて復帰付勢される形式の磁力式アクチュエータが提供される。
【0010】
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされている、
ようにしてある(請求項3対応)。この場合、磁力によってピストンが基準位置から離れる方向に付勢される形式の磁力式アクチュエータが提供される。
【0011】
前記シリンダ用永久磁石が、筒状とされて、前記シリンダの軸方向ほぼ全長に渡って伸びている、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、極めて簡単な構成によって、シリンダを軸方向おいて分極することができる。また、磁力による駆動力を大きく確保する上でも好ましいものとなる。
【0012】
筒状とされた前記シリンダ用永久磁石と筒状の磁性部材とが互いにその端面をつきあわせた状態で組み合わされて、該シリンダ用永久磁石と筒状の磁性部材との組み合わせ体が前記シリンダのほぼ全長に渡って伸びている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、例えば鉄部材等の安価な磁性部材を利用して、コストを極力低減しつつシリンダを軸方向に分極することができる。また、シリンダの分極ラインを、シリンダ用永久磁石側に近づける上でも好ましいものとなる。
【0013】
筒状とされると共に軸方向にN極とS極とに分極された補助永久磁石をさらに備え、
前記磁性部材の一端部側に前記永久磁石が設けられると共に、該磁性部材の他端部側に前記補助永久磁石が設けられ、
前記補助永久磁石が、前記磁性部材の端面と突き合わせた状態で配設され、
前記補助永久磁石は、少なくとも前記ピストン用永久磁石が接近した状態において、該ピストン用永久磁石に対して前記シリンダ用永久磁石から受ける磁力の影響を補助する方向の磁力を与えるように設定されている、
ようにしてある(請求項6対応)。この場合、シリンダ軸方向において部分的にシリンダ用永久磁石を用いつつも、補助永久磁石によりシリンダ用永久磁石の機能を実質的に高めることができる。
【0014】
前記シリンダ用永久磁石が、それぞれ前記シリンダの軸方向に伸びる複数の棒状永久磁石によって構成され、
前記複数の棒状永久磁石が、前記シリンダの周方向に間隔をあけて配設されている、
ようにしてある(請求項7対応)。この場合、シリンダ用永久磁石として棒状のものを用いて、シリンダ用永久磁石の形状簡単化等の上で好ましいものとなる。
【0015】
前記基準位置が、前記シリンダの軸方向中間位置よりも該一方側部側に片寄った位置とされている、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、基準位置を横切ることなくピストンが異動できるストローク範囲を長く確保する上で好ましいものとなる。
【0016】
前記シリンダの一端部側は、前記ピストンロッドが貫通しないボトムフランジ部で閉じられており、
前記シリンダの他端部側は、前記ピストンロッドが摺動自在に貫通するヘッドフランジ部で閉じられている、
ようにしてある(請求項9対応)。この場合、極く一般的なシリンダ形式として、汎用性確保等の上で好ましいものとなる。
【0017】
前記ピストンロッドが、一対設けられて、前記ピストンを境に互いに離間する方向に伸びており、
前記一対のピストンロッドのうち、一方のピストンロッドが前記シリンダの一方側端部から外部へ伸びており、他方のピストンロッドが前記シリンダの他方側端部から外部へ伸びている、
ようにしてある(請求項10対応)。この場合、ピストンロッドを一対有する形式とすることができる。
【0018】
前記別の目的を達成するため、本発明における開閉補助装置にあっては、次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項11に記載のように、
本体部材に形成された開口部が、開閉部材によって開閉されるようにされ、
磁力式アクチュエータによって、開閉部材の開動作または閉動作に補助力が与えられるようにされており、
前記磁力式アクチュエータは、シリンダ用永久磁石を有するシリンダと、該シリンダ内に摺動自在に嵌合されると共にピストン用永久磁石を有するピストンと、該ピストンに一体化されて該シリンダの外部へ延びるピストンロッドと、を備え、
前記シリンダが、前記シリンダ用永久磁石によって該シリンダが軸方向にN極とS極とに分極されており、
前記ピストンが、前記ピストン用永久磁石によって軸方向にN極とS極とに分極されており、
前記シリンダとピストンロッドとのいずれか一方が前記本体部材に連結されると共に、他方が前記開閉部材に連結されている、
ようにしてある。上記解決手法によれば、磁力式アクチュエータを、開閉部材の開動作への補助力付与または閉動作への補助力付与のために用いた開閉補助装置が提供される。
【0019】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項12以下に記載のとおりである。すなわち、
前記開閉部材が、ドアとされている、ようにしてある(請求項12対応)。この場合、ドアの開動作または閉動作をについての補助力付与を行うことができる。
【0020】
前記本体部材が車両の車体とされている、ようにしてある(請求項13対応)。この場合、車両のドアはかなり大型かつ重量物となるので、磁力式アクチュエータによる開動作あるいは閉動作の補助を与えることは、乗員等にとってドアを開くあるいは閉じる際の操作力低減となって、極めて好ましいものとなる。
【0021】
前記開閉部材は、上方へ持ち上げたときに開とされ、
前記磁力式アクチュエータによって、前記開閉部材の開動作に対して補助力が与えられる、
ようにしてある(請求項14対応)。この場合、開閉部材を持ち上げつつ開くために要する操作力を低減する上で極めて好ましいものとなる。また、開閉部材を閉じる際には、開閉部材の重量を利用して行うことができるので、磁力式アクチュエータによる抵抗が事実上問題とならないものとなる。
【0022】
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材を開閉させたとき、前記ピストンは前記基準位置を横切らない範囲で作動されるように設定されて、前記磁力式アクチュエータから開方向の補助力のみを受けるようにされている、
ようにしてある(請求項15対応)。この場合、磁力式アクチュエータが、もっぱらピストンロッドの伸び方向(つまり開動作補助の方向)への駆動力付与のために作用して、不用意に閉方向への駆動力が与えられてしまう事態を防止する上でも好ましいものとなる。
【0023】
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材の開閉に応じて、前記ピストンが前記基準位置を横切って作動するように設定され、
前記開閉部材が閉位置にあるときは、磁力によって閉位置を保持するようにされ、
前記開閉部材を閉位置から開位置へと変位させたとき、前記ピストンが前記基準位置を横切った時点から磁力によって該開閉部材の開動作が補助される、
ようにしてある(請求項16対応)。この場合、それぞれ磁力を利用して、開動作への補助力付与作用と、閉位置の保持作用とを共に得ることができる。特に、閉位置にあるドアが、不用意に開方向へ変位されてしまう事態を防止する上で好ましいものとなる。
【0024】
前記シリンダ側の前記分極ラインが、該シリンダの軸方向中間位置よりも前記開閉部材の閉位置となる方向に片寄った位置となるように設定されている、ようにしてある(請求項17対応)。この場合、ドアの開閉に伴うピストンストロークのうち、極力長いストローク範囲を開動作への補助力付与のために使用することができる。
【0025】
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材の開閉に応じて、前記ピストンが前記基準位置を横切るように設定され、
前記開閉部材が閉位置にあるときは、磁力によって該閉位置を保持するようにされ、
前記開閉部材を閉位置から開位置へと変位させたとき、前記ピストンが前記基準位置を横切った時点から磁力によって該開閉部材の開動作が補助される、
ようにしてある(請求項18対応)。この場合、それぞれ磁力を利用して、開動作への補助力付与作用と、閉位置の保持作用とを共に得ることができる。特に、閉位置にあるドアが、不用意に開方向へ変位されてしまう事態を防止する上で好ましいものとなる。
【0026】
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材の開閉に応じて、前記ピストンが前記基準位置を横切るように設定され、
前記開閉部材が開位置にあるときは、磁力によって該開位置を保持するようにされ、
前記開閉部材を開位置から閉位置へと変位させたとき、前記ピストンが前記基準位置を横切った時点から磁力によって該開閉部材の閉動作が補助される、
ようにしてある(請求項19対応)。この場合、請求項18の場合とは逆に、開位置の保持作用と、閉動作への補助力付与の作用とを共に得ることができる。
【0027】
前記開閉部材が、閉位置から一方側へ変位したときおよび他方側へ変位したときのいずれも開位置となるように設定され、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置に戻る力を受けるようにされ、
前記開閉部材が前記閉位置とされたときに、前記ピストンが前記基準位置に位置するように設定されている、
ようにしてある(請求項20対応)。この場合、開閉部材を、2方向のうちいずれの方向に開いたときでも、開閉部材を閉位置に復帰させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、磁力による付勢力が得られるストロークを長く確保した磁力式アクチュエータを提供することができる。また、この磁力式アクチュエータを、開閉部材の開動作補助または閉動作補助のために利用した開閉補助装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】基準位置からピストンが離れる方向に付勢される反発場となる場合の一例を示す断面図。
【図2】ピストンが基準位置へ復帰する方向に付勢される吸引場となる場合の一例を示す断面図。
【図3】本発明による磁力式アクチュエータを自動車のバックドアの開動作補助用として適用した場合の一例を示す側面図。
【図4】図3に示す磁力式アクチュエータの一例を示す断面図。
【図5】磁力式アクチュエータを水平方向に移動されるドアの開閉補助用として適用する場合の一例を示す簡略説明図。
【図6】閉位置から2方向へ開かれるドアの一例を示す簡略平面図。
【図7】図6に示すドアに連結される磁力式アクチュエータの一例を示す要部平面図。
【図8】両開き式の一対のドアを磁力式アクチュエータによって開動作補助する場合の例を示す図。
【図9】シリンダ用永久磁石を棒状とした場合の一例を示す断面図。
【図10】図9のX10−X10線相当断面図。
【図11】シリンダ用永久磁石と磁性部材とを組み合わせた一例を示す断面図。
【図12】シリンダ用永久磁石と磁性部材と補助永久磁石とを組み合わせた一例を示す断面図。
【図13】ピストン用永久磁石を筒状とした場合の一例を示す断面図。
【図14】図13に示すピストン用永久磁石とピストンロッドとの結合例を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1、図2は、本発明の基本原理を示すものである。図中、Aは円筒状とされた第1永久磁石であり、Bは円柱状とされた第2永久磁石である。第2永久磁石Bは、第1永久磁石A内に摺動自在に嵌合されている。つまり、第1永久磁石Aがシリンダとして機能され、第2永久磁石Bがピストンとして機能する設定となっている。
【0031】
第1永久磁石Aは、軸方向にN極とS極とが分極されており、図1,図2の場合共に、上端側がS極、下端側がN極とされている。第2永久磁石Bも、軸方向にN極とS極とに分極されている。図1では、第2永久磁石Bは、上端側がS極、下端側がN極とされている。これに対して、図2においては、第2永久磁石Bは、上端側がN極、下端側がS極とされている。また、図中、αは第1永久磁石Aの分極ライン(軸方向でのN極とS極との境界)を示し、βは第2永久磁石Bの分極ラインを示す。そして、図1,図2では、それぞれ、両分極ラインαとβとが一致している場合が示される。
【0032】
図1においては、筒状の第1永久磁石Aの上端面よりも若干上側の空芯部分(第1永久磁石Aの軸線延長線上にある空間部分)はN極となる。また、第1永久磁石Aの下端面よりも若干下側の空芯部分はS極となる。上記上側の空芯部分の極性となるN極は、第2永久磁石Bの上端面側の極性となるS極を引きつける作用をなす。同様に、上記下側の空芯部分の極性となるS極は、第2永久磁石Bの下端面側の極性となるN極を引きつける作用をなす。そして、分極ラインαとβとが一致している基準位置では、第2永久磁石Bは、第1永久磁石Aに対して、この基準位置を保持しようとすることになる。
【0033】
第2永久磁石Bが第1永久磁石Aに対して、上記基準位置からずれた場合において、第2永久磁石Aの第1永久磁石Aに対する動きは、図1,図2の場合では逆の関係となる。まず、図1の場合は、分極ラインαとβとが一致している基準位置から、第2永久磁石Bが第1永久磁石Aの軸方向にわずかにでも変位された場合は、第2永久磁石Bが第1永久磁石Aに対して、上記変位がさらに大きくなる方向に移動(磁力による付勢)されることになる。具体的には、分極ラインαとβとが一致している基準位置から、第2永久磁石Bを第1永久磁石Aに対して図1上方へ変位させた場合は、第2永久磁石Bは、さらに上方へ移動しようとする力(磁力による付勢力)を受けることになる。また、上記基準位置から、第2永久磁石Bを第1永久磁石Aに対して図1下方へ変位させた場合は、第2永久磁石Bは、さらに下方へ移動しようとする力を受けることになる。このように、図1中矢印で示すように、第2永久磁石Bが基準位置から離れるような力を受ける場合を、以下の説明において反発場と呼ぶ場合がある。
【0034】
図2は、図1の場合とは逆に、第2永久磁石Bが第1永久磁石Aに対して基準位置からずれると、元の基準位置に復帰する方向の力を受けることになる。すなわち、第2永久磁石Bは、基準位置から図2中上方へ変位して場合あるいは下方へ変位した場合のいずれにあっても、基準位置に復帰することになる。このように、図2中矢印で示すように、第2永久磁石Bが基準位置に復帰するような力を受ける場合を、以下の説明において吸引場と呼ぶこともある。
【0035】
図3は、図1に示すような反発場を利用した磁力式アクチュエータを、自動車のドア開閉補助用として適用した例を示す。すなわち、図3において、自動車Vは、その車体2の後端面に形成された後部開口が、水平方向に伸びる軸線を中心として上下方向に揺動されるバックドア1によって開閉されるようになっている。図3では、バックドア1が開状態にあるときが示され、この開状態からバックドア1を下方へ揺動させることにより、閉位置とされる。換言すれば、閉状態にあるバックドア1を開状態にするときは、バックドア1の重量に抗して行う必要があり、かなり大きな操作力が必要とされる。なお、特許請求の範囲との関係において、バックドア1が開閉部材に相当し、車体2が本体部材に相当するものとなる。
【0036】
バックドア1の開動作を補助するために、磁力式アクチュエータ10が設けられている。この磁力式アクチュエータ10は、シリンダ11とピストンロッド12とを有し、シリンダ11が車体2に回動自在に連結され、ピストンロッド12がバックドア1に回動自在に連結されている。
【0037】
磁力式アクチュエータ10の詳細が、図4に示される。この図4において、シリンダ11は、円筒状のシリンダ用永久磁石21と、シリンダ用永久磁石21の内面に一体化された円筒状の内筒部材22と、シリンダ用永久磁石21の外側に配置されたボトム側外筒部材23と、シリンダ用永久磁石21の外側に位置されたヘッド側外筒部材24と、を有する。そして、シリンダ21内、より具体的には内筒部材22内には、ピストン31が摺動自在に嵌合されている。
【0038】
内筒部材22は、低摩擦部材としての非磁性部材(実施形態では合成樹脂)によって形成されて、ピストン31との間での摩擦が小さくなるようにされている。この内筒部材22およびシリンダ用永久磁石21は、シリンダ11のほぼ全長に渡って存在するように設定されている。
【0039】
ボトム側外筒部材23は、有底筒状とされて、シリンダ用永久磁石21と内筒部材22の下側の開口部を閉塞するボトムフランジ部23aを有する。また、ボトム側外筒部材23は、シリンダ用永久磁石21の外周に嵌合されてシリンダ用永久磁石21の上端部付近にまで伸びる外側カバー部23bを有する。そして、外側カバー部23bの上端外周面には、雄ねじ部23cが形成されている。
【0040】
ヘッド側外筒部材24は、シリンダ用永久磁石21と内筒部材22の上側開口部を塞ぐヘッド側フランジ部24aを有して、このヘッド側フランジ部24aに、ピストンロッド12が摺動自在に貫通するガイド孔24bが形成されている。また、ヘッド側外筒部材24は、シリンダ用永久磁石21の上端部外周を覆う外側カバー部24cを有し、この外側カバー部24cの内面には、前記雄ねじ部23cに螺合される雌ねじ部24dが形成されている。上記各外筒部材23と24は、例えば合成樹脂やアルミニウム合金等の非磁性部材によって形成されている。
【0041】
シリンダ用永久磁石21は、軸方向に分極されて、その上端側がS極、下端側がN極とされ、その分極ラインがαで示される。シリンダ用永久磁石21は、シリンダ11のほぼ全長に渡って伸びて、実質的にシリンダ11を軸方向に分極する機能を有している。
【0042】
シリンダ11内に延びるピストンロッド12の基端部には、円盤状の取付フランジ部12aが形成されている。この取付フランジ部12aに、円柱状のピストン用永久磁石32が着座された状態で固定されている(例えば、接着やねじ等の固定具による固定)。このように、実施形態では、ピストンロッド12の基端部側に構成されるピストン31が、実質的にピストン用永久磁石32によって構成されている。このピストン用永久磁石32は、軸方向に分極されて、その上端側がS極、下端側がN極とされている。ピストンロッド12は、例えば合成樹脂、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の非磁性部材によって形成されている。
【0043】
上述の説明から既に明かなように、図4に示す磁力式アクチュエータ10は、図1の場合と同様に、反発場とされている。すなわち、図4では、シリンダ11(シリンダ用永久磁石21)の分極ラインαとピストン31(ピストン用永久磁石32)の分極ラインβとが一致した基準位置にある場合が示される。そして、ピストン31が基準位置から上方(ピストンロッド伸び方向)あるいは下方(ピストンロッド縮み方向)に変位したとき、この変位が大きくなる方向の磁力を受けるようになっている。なお、図4中、13、14は、バックドア1や車体2に対して連結するための取付リングである。
【0044】
図4に示すような磁力式アクチュエータ10は、バックドア1の閉状態では、ピストン31(ピストン用永久磁石32)の下端面位置が図4中CLで示す位置とされる。また、バックドア1が全開状態のときは、ピストン31(ピストン用永久磁石32)の下端面位置が図4中OPで示す位置とされる。ピストン31がCLとOPとの間の範囲で変位するとき、ピストン側分極ラインβが、シリンダ側分極ラインαを横切ることになる。つまり、ピストン31が、基準位置よりもバックドア1の閉方向へ変位されたときは、バックドア1を閉方向に付勢する力が作用し(ピストンロッド12が縮む方向の力を受ける)、バックドア1が不用意に大きく開かないような設定となっている。そして、バックドア1を閉状態から若干開いて、ピストン31の分極ラインβが基準位置を超えて上方(ピストンロッド12の伸び方向)へ変位すると、ピストンロッド12が伸び方向の力を受けて、バックドア1の開動作を補助することになる。
【0045】
分極ラインαとCLとの間でのピストン31(ピストンロッド12)のストロークは、分極ラインαとOPとの間でのピストン31のストロークに比して、十分小さくなっている。つまり、バックドア1の開動作に補助力を付与するストローク範囲が十分大きくなるように設定してある。なお、分極ラインαとCLとの間のストロークが0以下になるように設定して、磁力式アクチュエータ10が常時バックドア1の開動作を補助する設定とすることもできる。
【0046】
図5は、磁力式アクチュエータ10の別の適用例を示す。この図5において、41は、鉄道車両における乗降用ドアであり、車体42の側面に形成された乗降用開口部を開閉するようになっている。このドア41は、図示を略す電動式、空気圧式あるいは油圧式等の
アクチュエータによって自動的に閉状態とされるようになっている。この一方、ドア41の開動作は、乗降希望者(お客)がマニュアル操作によって行うようになっている。つまり、寒冷地等では、暖房効果維持のために、乗降希望者がマニュアル操作でドア41を開くようになっている。そして、車両が発車する際には、車掌等によるスイッチ操作に基づいて、ドア41が自動的に閉じられることになる。
【0047】
上記ドア41と車体42との間に、磁力式アクチュエータ10が介在されている。すなわち、例えばシリンダ11が車体42に連結される一方、ピストンロッド12が、リンク機構、歯車機構、ワイヤ機構等あるいはこれらの組み合わせからなる連動機構43を介して、ドア41に連結されている。ピストンロッド41の伸び方向(図5矢印X4で示す)が、ドア41の開方向(図5矢印Y4で示す)となるようにされている。そして、磁力式アクチュエータ10によって、ドア41の開動作に補助力が与えられるようになっている。なお図5の例では、図4の場合と同様に、分極ラインαとCLとの間のストロークを確保して、磁力式アクチュエータ10によって閉状態を保持させつつ、ドア41の開動作に補助力を与えるようになっている。なお、分極ラインαとCLとの間のストロークが0以下になるようにして、磁力式アクチュエータ10は、ドア41の開動作を補助する作用のみを有するようにしてもよい。
【0048】
図6は、磁力式アクチュエータ10の別の適用例を示すものである。本例では、室の仕仕切壁45に形成された通路46が、ドア47によって開閉されるようになっている。このドア47は、上下方向に伸びる揺動軸48に固定されて、この揺動軸48を中心として揺動される。ドア47を、図6に実線で示す閉位置から、一方側へ揺動させたときおよび他方側へ揺動させたときの両方共に、開状態とされるようになっている。
【0049】
磁力式アクチュエータ10が、ドア46の揺動軸47に対して連結されている。磁力式アクチュエータ10の例えばシリンダ11が仕切壁45に連結され、ピストンロッド12が揺動軸48に連結されている。図7に示すように、ピストンロッド12にはラック部12bが形成される一方、揺動軸48にはラック部12bに噛合する歯車49が固定されている。これにより、ピストンロッド12の伸縮動に応じて、揺動軸48(つまりドア47)が揺動されるようになっている。
【0050】
磁力式アクチュエータ10は、ドア47が図6実線で示す閉位置にあるとき、分極ラインαとβとが一致した基準位置となるように設定されている。つまり、ドア47は、閉状態から、一方側あるいは他方側いずれの方向にも、磁力式アクチュエータ10によって開方向へ補助力が与えられるようになっている。
【0051】
図6,図7の変形例として、磁力式アクチュエータ10を図2で説明した吸引場のものに変更した場合がある。すなわち、図4において、ピストン用永久磁石32の上端面側をN極とし、下端面側をS極とすることにより、ピストン31が基準位置に復帰しようとする吸引場形式の磁力式アクチュエータとなる。そして、ドア47が閉位置にあるときに、ピストン31が基準位置にあるように設定される。この場合は、反発場の場合とは逆に、ドア47を開いたときに、磁力式アクチュエータ10によってドア47が閉位置に復帰する補助力が与えられることになる(ドアクローザの機能)。
【0052】
図6,図7のさらに別の変形例として、ドア47が、閉位置から一方向にのみ揺動されて(例えば図6上方へのみ揺動可能)、開とされる場合を考える。このようなドア47は、一般家庭やホテル等のドアにおいてよくみられる設定である。なお、磁力式アクチュエータ10は、図4の場合と同様に反発場とされている。ただし、磁力式アクチュエータ10は、図4中CLの位置がドア47の全開位置とされ、図4中OPの位置がドア47の全閉位置となるように設定される。ドア47を開いている途中で、ドア47から開動作のための操作力を解放したとき、ドア47は磁力式アクチュエータ10によって閉位置に向けて付勢されることになる(磁力式アクチュエータ10がいわゆるドアクローザの作用で、ドア47の閉め忘れ防止)。ただし、ドア47を全開位置にしたときは、ピストン31が基準位置を超えるため、磁力式アクチュエータ10はドア47に対して開方向への補助力を与えることとなって、ドア47を全開位置に保持する機能を果たすことになる。
【0053】
図8は、鉄道車両の乗降用ドアが、左右一対のドア51,52によって形成された両開き式とされている。このドア51,52は、それぞれ、自動的に閉状態とされ、開動作は乗降希望者がマニュアル操作することにより行うようになっている。また、磁力式アクチュエータ10B(10に相当で、反発場である)は、一対のピストンロッド12A、12Bを有している。つまり、ピストン31の各端面からそれぞれピストンロッド12A、12Bが一体的に伸びている。各ピストンロッド12A、12Bには、ラック12cあるいは12dが形成されている。このラック12cに噛合する歯車53が、連動機構43Bを介して、一方のドア51に連結されている。ラック12dに螺合する歯車54が、連動機構43Cを介して、他方のドア52に連結されている。ピストンロッド12Aが伸び方向に変位したときに、一方のドア51が開かれるようになっている。同様に、他方のピストンロッド12Bが伸び方向に変位したときに、他方のドア52が開かれるようになっている。そして、ピストン31が基準位置にあるときは、ドア51,52が共に閉状態となるように設定されている。
【0054】
一方のドア51の開動作(X2方向の動き)は、ピストン31の図中右方(X1方向)への変位となり、このドア51の開動作に対して磁力式アクチュエータBから補助力が与えられる。ピストン31が右方へ変位したとき、ラック12dと歯車54との噛合が外れて、他方のドア52は閉状態を保持したままとされる。
【0055】
同様に、他方のドア52を開動作(Y2方向の動き)は、ピストン31の図中左方(Y1方向)への変位となり、このドア52の開動作に対して磁力式アクチュエータBから補助力が与えられる。ピストン31が左方へ変位したとき、ラック12cと歯車53との噛合が外れて、一方のドア51は閉状態を保持したままとされる。
【0056】
図9、図10は、シリンダ11をシリンダ用永久磁石によって軸方向に分極させる場合の別の例を示すものである。すなわち、シリンダ用永久磁石として、複数本(実施形態では4本)の棒状永久磁石21A〜21Dを用いてある。各棒状永久磁石21A〜21Dは、シリンダ11のほぼ全長に渡るように伸びている。そして、各棒状永久磁石12A〜12Dは、シリンダ11の周方向等間隔に配置されている。このような複数本の棒状永久磁石21A〜21dを保持するために、非磁性部材としての例えば合成樹脂からなるホルダ部材60が設けられている。このホルダ部材60は、図4における内筒部材22の機能をも有する。
【0057】
図11は、シリンダ11を軸方向に分極させる場合に、円筒状のシリンダ用永久磁石21を用いつつ、シリンダ用永久磁石21のシリンダ軸方向長さを短くできるようにしたものである。すなわち、円筒状のシリンダ用永久磁石21の一端面21aに対して、円筒状の磁性部材(例えば鉄系部材)の一端面70aを突き合わせた構造としてある。これにより、磁性部材70の他端面70bには、シリンダ用永久磁石21の一端面21aの極性(実施形態ではS極)と同種の極性が現れることになる。図11の場合は、シリンダ用永久磁石21の短縮化(コスト低減)と、シリンダ11の分極ラインαを極力シリンダ11の軸方向一端側(シリンダ用永久磁石21が存在する側)に片寄らせる(オフセット)ことができる。
【0058】
図12は、図11の変形例となるもので、円筒状の磁性部材70の他端面70bに対して、円筒状の補助永久磁石75の一端面75aを突き合わせ構造としてある。補助永久磁石75は、軸方向に分極されており、その極性の設定は、シリンダ用永久磁石21と同じになるようにしてある。すなわち、軸方向一端面側の極性が、シリンダ用永久磁石21と補助永久磁石75とで同じになるようにしてある。より具体的には、シリンダ用永久磁石21、補助永久磁石75共に、図12右方側がS極となるように設定してある。これにより、シリンダ11のうち、シリンダ用永久磁石21とは反対側の端部付近での磁力を確保することができる。
【0059】
図12の変形例として、補助永久磁石70の軸方向の極性を、図12の場合とは逆に設定することもできる。具体的には、補助永久磁石75の図中右端面側の極性をN極とすることができる。この場合は、反発場としたときに、図12では図示を略すピストンがシリンダ用永久磁石21によって図中右方への力を受けたときに、ピストン31が補助永久磁石75に近づくことにより、図中右方への力が低減されることになる(ピストン31に対してブレーキ力の付与)。
【0060】
図13,図14は、ピストン31を、円筒状のピストン用永久磁石32B(32に相当)を利用して構成した場合の例を示す。本例では、ピストンロッド12の基端部側に、フランジ部12eとフランジ部12eから伸びる軸部12fとを形成してある。そして、軸部12fに円筒状のピストン用永久磁石32Bをがたつきなく嵌合させ、この嵌合状態では、ピストン32B、フランジ部12eに着座される。そして、軸部12fの先端面に対して、板状の押さえ部材80をねじ81によって固定して、この押さえ部材80とフランジ部12eとでピストン用永久磁石32Bを軸方向にがたつきなく挟持、固定するようにしてある。なお、押さえ部材80は非磁性部材によって形成されている。ねじ81も非磁性部材によって形成するのが好ましいものである。
【0061】
筒状とされたピストン用永久磁石32Bは、その軸方向端部付近の空芯部の極性が、柱状(中実状)とされた図1,図2に示す第2永久磁石Bの場合とは逆になる。したがって、図4の場合において、円柱状のピストン用永久磁石32に代えて円筒状のピストン用永久磁石32Bを用いた場合は、この円筒状のピストン用永久磁石第32Bの図4上端面側の極性をN極とすることにより、反発場が得られることになる。勿論、円筒状のピストン用永久磁石32Bの図4上端面側の極性をS極としたときは、吸引場が得られることになる。
【0062】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。ピストン用永久磁石32(32B)の外側面(シリンダ11との摺動面)に、例えば円筒状の低摩擦部材を嵌合一体化したり、低摩擦部材の皮膜を形成しておくことにより、シリンダ11に対する摺動抵抗を低減するようにしてもよい。非磁性部材は、強度や剛性が要求される部位については、例えばアルミニウム合金やステンレス鋼等の金属部材を用いるのが好ましいものである。
【0063】
磁力式アクチュエータによって開閉補助されるドアとしては、例えば鉄道車両における車両間のドア、自動車Vにおける前後方向にスライド動されるスライドドア、一般家庭やホテル等の各種ドア等、全てのドアを適用範囲とすることができる。また、磁力式アクチュエータによって補助力を受ける対象物は、例えば、蓋付の容器(例えば蓋付の灰皿)において、開閉部材としての蓋部材の開動作を補助したり、あるいは閉動作を補助するために用いることができる。また、磁力式アクチュエータは、例えばプレス装置において、押圧ストロークの際に、磁力式アクチュエータによって押圧の補助力を与えるようにすることができる等、種々の分野における補助力付与のために用いることができる。磁力式アクチュエータは、スプリングとしての機能をも発揮するので、スプリングの代々物として使用することもできる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明による磁力式アクチュエータは、補助力付与等のために種々の分野で用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
A:第1永久磁石(シリンダ用永久磁石相当で、図1、図2)
B:第2永久磁石(ピストン用永久磁石相当で、図1,図2)
α:分極ライン(シリンダ)
β:分極ライン(ピストン)
1:バックドア(開閉部材で、図1)
2:車体(本体部材で、図1)
10:磁力式アクチュエータ
10B:磁力式アクチュエータ(図8)
11:シリンダ
12:ピストンロッド
12A、12B:ピストンロッド(図8)
21:シリンダ用永久磁石
21A〜21D:棒状永久磁石(図9,図10)
31:ピストン
32:ピストン用永久磁石
32B:ピストン用永久磁石(図13,図14)
41:ドア(開閉部材で、図5)
42:車体(本体部材で、図5)
45:仕切壁(本体部材で、図6)
47:ドア(開閉部材で、図6)
51,52:ドア(開閉部材で、図8)
75:補助永久磁石(図12)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、該シリンダ内に摺動自在に嵌合されたピストンと、該ピストンに一体化されて該シリンダの外部へ延びるピストンロッドと、を備え、
前記シリンダが、シリンダ用永久磁石を有して、該シリンダ用永久磁石によって該シリンダが軸方向にN極とS極とに分極されており、
前記ピストンが、ピストン用永久磁石を有して、該ピストン用永久磁石によって軸方向にN極とS極とに分極されている、
ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1において、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置に復帰される力を受けるようにされている、
ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1において、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされている、
ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記シリンダ用永久磁石が、筒状とされて、前記シリンダの軸方向ほぼ全長に渡って伸びている、ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
筒状とされた前記シリンダ用永久磁石と筒状の磁性部材とが互いにその端面をつきあわせた状態で組み合わされて、該シリンダ用永久磁石と筒状の磁性部材との組み合わせ体が前記シリンダのほぼ全長に渡って伸びている、ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項6】
請求項5において、
筒状とされると共に軸方向にN極とS極とに分極された補助永久磁石をさらに備え、
前記磁性部材の一端部側に前記永久磁石が設けられると共に、該磁性部材の他端部側に前記補助永久磁石が設けられ、
前記補助永久磁石が、前記磁性部材の端面と突き合わせた状態で配設され、
前記補助永久磁石は、少なくとも前記ピストン用永久磁石が接近した状態において、該ピストン用永久磁石に対して前記シリンダ用永久磁石から受ける磁力の影響を補助する方向の磁力を与えるように設定されている、
ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記シリンダ用永久磁石が、それぞれ前記シリンダの軸方向に伸びる複数の棒状永久磁石によって構成され、
前記複数の棒状永久磁石が、前記シリンダの周方向に間隔をあけて配設されている、
ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項8】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記基準位置が、前記シリンダの軸方向中間位置よりも一方側部側に片寄った位置とされている、ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
前記シリンダの一端部側は、前記ピストンロッドが貫通しないボトムフランジ部で閉じられており、
前記シリンダの他端部側は、前記ピストンロッドが摺動自在に貫通するヘッドフランジ部で閉じられている、
ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項10】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
前記ピストンロッドが、一対設けられて、前記ピストンを境に互いに離間する方向に伸びており、
前記一対のピストンロッドのうち、一方のピストンロッドが前記シリンダの一方側端部から外部へ伸びており、他方のピストンロッドが前記シリンダの他方側端部から外部へ伸びている、
ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項11】
本体部材に形成された開口部が、開閉部材によって開閉されるようにされ、
磁力式アクチュエータによって、開閉部材の開動作または閉動作に補助力が与えられるようにされており、
前記磁力式アクチュエータは、シリンダ用永久磁石を有するシリンダと、該シリンダ内に摺動自在に嵌合されると共にピストン用永久磁石を有するピストンと、該ピストンに一体化されて該シリンダの外部へ延びるピストンロッドと、を備え、
前記シリンダが、前記シリンダ用永久磁石によって該シリンダが軸方向にN極とS極とに分極されており、
前記ピストンが、前記ピストン用永久磁石によって軸方向にN極とS極とに分極されており、
前記シリンダとピストンロッドとのいずれか一方が前記本体部材に連結されると共に、他方が前記開閉部材に連結されている、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記開閉部材が、ドアとされている、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記本体部材が車両の車体とされている、ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項14】
請求項11ないし請求項13のいずれか1項において、
前記開閉部材は、上方へ持ち上げたときに開とされ、
前記磁力式アクチュエータによって、前記開閉部材の開動作に対して補助力が与えられる、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材を開閉させたとき、前記ピストンは前記基準位置を横切らない範囲で作動されるように設定されて、前記磁力式アクチュエータから開方向の補助力のみを受けるようにされている、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項16】
請求項14において、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材の開閉に応じて、前記ピストンが前記基準位置を横切って作動するように設定され、
前記開閉部材が閉位置にあるときは、磁力によって閉位置を保持するようにされ、
前記開閉部材を閉位置から開位置へと変位させたとき、前記ピストンが前記基準位置を横切った時点から磁力によって該開閉部材の開動作が補助される、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項17】
請求項15または請求項16において、
前記シリンダ側の前記分極ラインが、該シリンダの軸方向中間位置よりも前記開閉部材の閉位置となる方向に片寄った位置となるように設定されている、ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項18】
請求項11ないし請求項13のいずれか1項において、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材の開閉に応じて、前記ピストンが前記基準位置を横切るように設定され、
前記開閉部材が閉位置にあるときは、磁力によって該閉位置を保持するようにされ、
前記開閉部材を閉位置から開位置へと変位させたとき、前記ピストンが前記基準位置を横切った時点から磁力によって該開閉部材の開動作が補助される、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項19】
請求項11ないし請求項13のいずれか1項において、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材の開閉に応じて、前記ピストンが前記基準位置を横切るように設定され、
前記開閉部材が開位置にあるときは、磁力によって該開位置を保持するようにされ、
前記開閉部材を開位置から閉位置へと変位させたとき、前記ピストンが前記基準位置を横切った時点から磁力によって該開閉部材の閉動作が補助される、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項20】
請求項11または請求項12において、
前記開閉部材が、閉位置から一方側へ変位したときおよび他方側へ変位したときのいずれも開位置となるように設定され、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置に戻る力を受けるようにされ、
前記開閉部材が前記閉位置とされたときに、前記ピストンが前記基準位置に位置するように設定されている、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項1】
シリンダと、該シリンダ内に摺動自在に嵌合されたピストンと、該ピストンに一体化されて該シリンダの外部へ延びるピストンロッドと、を備え、
前記シリンダが、シリンダ用永久磁石を有して、該シリンダ用永久磁石によって該シリンダが軸方向にN極とS極とに分極されており、
前記ピストンが、ピストン用永久磁石を有して、該ピストン用永久磁石によって軸方向にN極とS極とに分極されている、
ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1において、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置に復帰される力を受けるようにされている、
ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1において、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされている、
ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記シリンダ用永久磁石が、筒状とされて、前記シリンダの軸方向ほぼ全長に渡って伸びている、ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
筒状とされた前記シリンダ用永久磁石と筒状の磁性部材とが互いにその端面をつきあわせた状態で組み合わされて、該シリンダ用永久磁石と筒状の磁性部材との組み合わせ体が前記シリンダのほぼ全長に渡って伸びている、ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項6】
請求項5において、
筒状とされると共に軸方向にN極とS極とに分極された補助永久磁石をさらに備え、
前記磁性部材の一端部側に前記永久磁石が設けられると共に、該磁性部材の他端部側に前記補助永久磁石が設けられ、
前記補助永久磁石が、前記磁性部材の端面と突き合わせた状態で配設され、
前記補助永久磁石は、少なくとも前記ピストン用永久磁石が接近した状態において、該ピストン用永久磁石に対して前記シリンダ用永久磁石から受ける磁力の影響を補助する方向の磁力を与えるように設定されている、
ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記シリンダ用永久磁石が、それぞれ前記シリンダの軸方向に伸びる複数の棒状永久磁石によって構成され、
前記複数の棒状永久磁石が、前記シリンダの周方向に間隔をあけて配設されている、
ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項8】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記基準位置が、前記シリンダの軸方向中間位置よりも一方側部側に片寄った位置とされている、ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
前記シリンダの一端部側は、前記ピストンロッドが貫通しないボトムフランジ部で閉じられており、
前記シリンダの他端部側は、前記ピストンロッドが摺動自在に貫通するヘッドフランジ部で閉じられている、
ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項10】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
前記ピストンロッドが、一対設けられて、前記ピストンを境に互いに離間する方向に伸びており、
前記一対のピストンロッドのうち、一方のピストンロッドが前記シリンダの一方側端部から外部へ伸びており、他方のピストンロッドが前記シリンダの他方側端部から外部へ伸びている、
ことを特徴とする磁力式アクチュエータ。
【請求項11】
本体部材に形成された開口部が、開閉部材によって開閉されるようにされ、
磁力式アクチュエータによって、開閉部材の開動作または閉動作に補助力が与えられるようにされており、
前記磁力式アクチュエータは、シリンダ用永久磁石を有するシリンダと、該シリンダ内に摺動自在に嵌合されると共にピストン用永久磁石を有するピストンと、該ピストンに一体化されて該シリンダの外部へ延びるピストンロッドと、を備え、
前記シリンダが、前記シリンダ用永久磁石によって該シリンダが軸方向にN極とS極とに分極されており、
前記ピストンが、前記ピストン用永久磁石によって軸方向にN極とS極とに分極されており、
前記シリンダとピストンロッドとのいずれか一方が前記本体部材に連結されると共に、他方が前記開閉部材に連結されている、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記開閉部材が、ドアとされている、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記本体部材が車両の車体とされている、ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項14】
請求項11ないし請求項13のいずれか1項において、
前記開閉部材は、上方へ持ち上げたときに開とされ、
前記磁力式アクチュエータによって、前記開閉部材の開動作に対して補助力が与えられる、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材を開閉させたとき、前記ピストンは前記基準位置を横切らない範囲で作動されるように設定されて、前記磁力式アクチュエータから開方向の補助力のみを受けるようにされている、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項16】
請求項14において、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材の開閉に応じて、前記ピストンが前記基準位置を横切って作動するように設定され、
前記開閉部材が閉位置にあるときは、磁力によって閉位置を保持するようにされ、
前記開閉部材を閉位置から開位置へと変位させたとき、前記ピストンが前記基準位置を横切った時点から磁力によって該開閉部材の開動作が補助される、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項17】
請求項15または請求項16において、
前記シリンダ側の前記分極ラインが、該シリンダの軸方向中間位置よりも前記開閉部材の閉位置となる方向に片寄った位置となるように設定されている、ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項18】
請求項11ないし請求項13のいずれか1項において、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材の開閉に応じて、前記ピストンが前記基準位置を横切るように設定され、
前記開閉部材が閉位置にあるときは、磁力によって該閉位置を保持するようにされ、
前記開閉部材を閉位置から開位置へと変位させたとき、前記ピストンが前記基準位置を横切った時点から磁力によって該開閉部材の開動作が補助される、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項19】
請求項11ないし請求項13のいずれか1項において、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置からさらに離れる方向の力を受けるようにされ、
前記開閉部材の開閉に応じて、前記ピストンが前記基準位置を横切るように設定され、
前記開閉部材が開位置にあるときは、磁力によって該開位置を保持するようにされ、
前記開閉部材を開位置から閉位置へと変位させたとき、前記ピストンが前記基準位置を横切った時点から磁力によって該開閉部材の閉動作が補助される、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【請求項20】
請求項11または請求項12において、
前記開閉部材が、閉位置から一方側へ変位したときおよび他方側へ変位したときのいずれも開位置となるように設定され、
前記シリンダの分極ラインに対して前記ピストンの分極ラインが一致する位置を基準位置としたとき、該ピストンが該基準位置からシリンダ軸方向に変位された状態では、磁力によって該ピストンが該基準位置に戻る力を受けるようにされ、
前記開閉部材が前記閉位置とされたときに、前記ピストンが前記基準位置に位置するように設定されている、
ことを特徴とする開閉補助装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−41962(P2012−41962A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182227(P2010−182227)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(510223623)株式会社レイホー (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(510223623)株式会社レイホー (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]