説明

磁性物品振分け搬送装置

【課題】上流搬送コンベアによって搬送される缶列を損傷させることなく高速かつ任意の数量比で各下流搬送コンベアに振り分ける。
【解決手段】第1電磁部4aおよび第2電磁部4cと第1磁石部4bおよび第2磁石部4dから成る制御レーン4を第1および第2中間搬送コンベア2a,2bの裏面側に配設し、案内磁石レーン5を制御レーン4の第2電磁部4cの下流端に対向させ且つ第2中間搬送コンベア2bに並行させて配設する。そして、第1計数センサ8aまたは第2計数センサ8bによって第1下流搬送コンベア3aまたは第2下流搬送コンベア3bに移送される缶の数量を計測しながら電磁タイミング制御装置7によって第2電磁部4cの着磁時間または消磁時間の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性物品振分け搬送装置、特に磁性物品を次工程に移行させる際に磁性物品を損傷させることなく複数の下流搬送コンベアの各々に高速かつ任意の数量比で振り分けることができる省電力性の磁性物品振分け搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、磁性物品、例えばスチール缶等の製缶ラインは多数の工程からなり、各工程間の缶の搬送は搬送コンベアによって行われているが、各工程の処理時間、処理装置の直列または並列等の配置形態あるいは処理個数の各相異等に対応するため、単列搬送、多列搬送あるいは集合状態搬送またはそれらを適宜組合せた搬送を行っている。そのため、例えば単列搬送から多列搬送に切替えるには、コンベア間に缶振分け手段を講じる必要がある。従来の製缶ラインにおいては、例えば1ラインの上流側に処理装置が1台配置され、下流側に処理装置が2台配置されている場合は、下流側の2台の処理装置への連続供給または間欠供給を行うために、上流側の処理装置から単列で搬送されてくる缶を一旦幅広ベルトコンベアに移載して密集状態または多列状態にしながら備蓄した後で、2列の下流側コンベアに振り分けることが行われている。その場合、幅広ベルトコンベアは缶の損傷を防ぐためにエア搬送コンベアを採用し、2列のコンベアへの振り分けは、一般に幅広ベルトコンベア上に配置された固定のセパレータによってガイドすることにより行われている。また、他の振り分け手段として、より振り分けを確実に行うために、例えば缶セパレータとして、各セパレータの先端部に缶の搬送方向と対向するエアを缶の斜め下方に吹き付けるノズルを設けて、セパレータにより缶が損傷を受けることを防止したものが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開平7−291430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来のエア搬送方式のような幅広ベルトコンベア上で密集状態にする搬送は、缶同士が衝突して外周面に損傷を受けやすい。特に、フランジ加工・ネッキング加工後の缶は缶胴よりもフランジ径の方が大きく且つ口の縁にはバリ等が存在するので、上記密集状態での搬送は、フランジ縁が衝突することによって外周面が傷つきやすい。さらに、エア搬送コンベアあるいはエア振り分け装置の場合は、ブロワー等の送風機あるいはエアを容器に効率的に吹き付けるためのノズルプレート装置等の設備を必要とし、設備費用やエネルギーコストが嵩むなどの問題点がある。
本発明は、上記実情に鑑み創案されたものであって、磁性物品を次工程に移行させる際に磁性物品を損傷させることなく複数の下流搬送コンベアの各々に高速かつ任意の数量比で振り分けることができる省電力性の磁性物品振分け搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するため請求項1に記載の発明では、上流搬送コンベアから流入する磁性物品を中間搬送コンベアを介して各下流搬送コンベアに振り分ける振分手段を有する磁性物品振分け搬送装置であって、前記振分手段は、少なくとも1つの電磁部および少なくとも1つの磁石部の組み合わせから成る制御レーンと前記電磁部の下流に対向する位置に配設されている案内磁石レーンとを具備し、前記制御レーンの電磁部の着磁または消磁の時間を制御することによって該磁性物品を各下流搬送コンベアに振り分けることを特徴とする。
上記構成の磁性物品振分け搬送装置では、電磁部が着磁される時は、制御レーンは全周にわたり磁性を帯びるので、搬送される磁性物品に対して磁力が作用して磁性物品は制御レーン沿って偏向され制御レーン上を一列に移動するようになる、一方、電磁部が消磁される時は、制御レーンは電磁部で非磁性部分となるので、その電磁部上を移動していた磁性物品に対しては磁力が作用しなくなり、その磁性物品は列を乱されいっせいに中間搬送コンベアの搬送方向に移動するようになる。ところが、その電磁部の下流には案内磁石レーンが配設されているので、磁性物品は案内磁石レーンの磁力に導かれ整列して案内磁石レーンに沿って移動し、下流搬送コンベアに移行されるようになる。従って、電磁部の着磁または消磁の時間を好適に制御することによって、電磁部が着磁される場合は、磁性物品は制御レーン上を移動し下流搬送コンベアに移行される一方、電磁部が消磁される場合は、案内磁石レーンに沿って下流搬送コンベアに移行される。このように、制御レーンによって磁性物品は一例に整列されると共に制御レーンの電磁部の着磁または消磁の時間制御によって、その磁性物品列の移動する方向を変えることが可能となり、その結果、磁性物品を各下流搬送コンベアに振り分けることができるようになる。また、磁力によって缶が単列に搬送して振り分けられるので、缶同士の衝突は起こることはなく缶は損傷されない。
【0005】
請求項2に記載の上記構成の発明では、前記中間搬送コンベアは幅広ベルトコンベアで構成され、前記制御レーンは前記幅広ベルトコンベアの裏面側に、前記上流搬送コンベアからの移載側から下流側に向けて前記幅広ベルトコンベアの幅方向に傾斜して配設され、且つ前記案内磁石レーンは前記制御レーンの電磁部の下流端近傍から前記幅広ベルトコンベアの搬送方向に沿って配設されている。
上記構成の磁性物品振分け搬送装置では、中間搬送コンベアは幅広ベルトコンベアで構成され、缶列を2列にするためのスペースを十分に確保することができる。また、電磁部が着磁される時は、磁性物品は制御レーンに沿って移動する一方、電磁石が消磁される時は案内磁石レーンに沿って移動する。ところで、制御レーンは幅広ベルトコンベアの裏面側に上流搬送コンベアからの移載側から下流側に向けて幅広ベルトコンベアの幅方向に傾斜して配設されており、一方、案内磁石レーンは電磁部の下流端近傍からその幅広ベルトコンベアの搬送方向に沿って配設されている。つまり、電磁部が着磁される時は、磁性物品は互いに接触することなく単列のまま制御レーンから一の下流搬送コンベアに移送され、電磁部が消磁される時は、磁性物品は互いに接触することなく単列のまま案内磁石レーンから他の下流搬送コンベアに移送される。これにより、電磁部の着磁または消磁の時間制御によって缶を損傷させることなく各下流搬送コンベアに振り分けることが可能になる。
【0006】
請求項3に記載の上記構成の発明では、前記振分手段は、前記制御レーンの電磁部の着磁時間または消磁時間のデューティ比を変えることによって下流の各搬送コンベアに搬送される磁性物品の数量を制御する。
上記構成の磁性物品振分け搬送装置では、電磁部の着磁の時間を長くすると共に電磁部の消磁の時間を短くすると制御レーン上を介して移動する磁性物品の数量が増加すると共に案内磁石レーンを介して移動する磁性物品の数量が減少する。他方、電磁部の着磁の時間を短くすると共に電磁部の消磁の時間を長くすると制御レーン上を介して移動する磁性物品の数量が減少すると共に案内磁石レーンを介して移動する磁性物品の数量が増加する。このように、電磁部の着磁時間または消磁時間のデューティ比を好適に制御することによって、下流の各搬送コンベアに振り分けられる磁性物品の数量を制御することができる。
【0007】
請求項4に記載の上記構成の発明では、前記振分手段は、前記下流搬送コンベアの入口近傍に配設された前記磁性物品の数量を計測する計量手段を有し、該計量手段からの情報に基づいて前記制御レーンの電磁部の着磁または消磁の時間制御を行う。
上記構成の磁性物品振分け搬送装置では、電磁部の着磁または消磁の時間制御は、磁性物品の量を検知する計数手段の情報に基づいて行われるので、磁性物品を正確に下流の各搬送コンベアに振り分けることができる。
【0008】
請求項5に記載の上記構成の発明では、前記振分手段は、前記制御レーンの電磁部および磁石部の長さの比を変えることによって下流の各搬送コンベアに搬送される磁性物品の数量を制御する。
上記構成の磁性物品振分け搬送装置では、電磁部が長い場合は、電磁部が消磁される時に電磁部上に存在する磁性物品の数量は多くなるので、案内磁石レーンに沿って移動する磁性物品の数量は増加する。他方、電磁部が短い場合は、電磁部が消磁される時に電磁部上に存在する磁性物品の数量は少なくなるので、案内磁石レーンに沿って移動する磁性物品の数量は減少する。このように、電磁部および磁石部の長さの比を変えることによって、下流の各搬送コンベアに振り分けられる磁性物品の数量を制御することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の磁性物品振分け搬送装置によれば、電磁部と磁石部の組み合わせから成り、幅広ベルトコンベアの裏面側に配設されている制御レーンを用いてその電磁部の着磁または消磁の時間を好適に制御することによって、幅広ベルトコンベア上の磁性物品列に直接接触することなく且つ缶の外面に損傷を与えることなく単列のまま幅広ベルトコンベアに対し斜行させる又は並行させることが可能になる。さらに、電磁部の下流端近傍には案内磁石レーンが配設されているので、電磁部が消磁される場合は、磁性物品列は列状態を整列してスムーズに下流搬送コンベアに移行することができる。一方、電磁部が着磁される場合は、磁性物品列は制御レーンの下流端から幅広ベルトコンベアを介して下流搬送コンベアに移送される。これにより、単列のままで磁性物品を振り分けることが可能になり、磁性物品同士が衝突して磁性物品の外周面が損傷するという問題が解消される。また、下流搬送コンベアに移送された磁性物品の数量は計量手段によって正確に計数されるので、その計数情報に基づいて電磁部の着磁または消磁時間のデューティ比を好適に変えることにより、または電磁部および磁石部の長さの比を変えることにより磁性物品列を各下流搬送コンベアに対し任意の数量比で正確に振り分けることが可能となる。さらに、電磁部が消磁される場合は、電力はほとんど消費されず、またブロワ等の送風機は不要となるので使用電力を大幅に節減することができる。そして、装置全体は簡略化され、保守メンテナンスの観点から好ましくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の磁性物品振分け搬送装置を製缶ラインに適用した実施例1に係る缶振分け搬送装置100を示す要部説明図である。
この缶振分け搬送装置100が適用される本実施例における製缶ラインは、前工程、例えば缶のフランジ加工・ネッキング加工の工程が終了した缶Cを1列の缶列にして搬送する上流搬送コンベア1と、該缶列を制御レーン4上に移行させる第1中間搬送コンベア2aと、制御レーン4上の缶列を第1下流搬送コンベア3aまたは第2下流搬送コンベア3bに移送する第2中間搬送コンベア2bと、次工程、例えば缶外面検査機へ缶Cを移送する第1および第2下流搬送コンベア3a,3bとから構成され、上流搬送コンベア1から単列で搬送されてくる缶Cを最終的に第1下流搬送コンベア3a、第2下流搬送コンベア3bの搬送状況に応じて2列に振り分け搬送するように構成されている。上記製缶ラインにおいて本実施例の缶振分け搬送装置100は、第1および第2中間搬送コンベア2a,2bの裏面側に配設されている制御レーン4と、該制御レーン4の第2電磁部4cの下流端に対向し第2中間搬送コンベア2bの進行方向に対して並行し且つ同裏面側に配設されている案内磁石レーン5と、缶Cを第1下流搬送コンベア3aまたは第2下流搬送コンベア3bに案内するセンターガイド6と、制御レーン4の第2電磁部4cのオンまたはオフのタイミングを制御する電磁タイミング制御装置7と、第1下流搬送コンベア3aへ移送された缶Cの数量を計数する第1計数センサ8aと,第2下流搬送コンベア3bへ移送された缶Cの数量を計数する第2計数センサ8bとを具備して構成される。なお、電磁タイミング制御装置7を使用しての制御レーン4の電磁部4cのタイミング制御については図2から7を参照しながら後述する。
【0012】
また、上記第1および第2中間搬送コンベア2a,2bは、いわゆる幅広ベルトコンベアを構成しているが、いずれか一方の中間搬送コンベアの幅を2倍以上に拡幅することにより一つの中間搬送コンベアによって上記製缶ラインを構成することが可能である。
【0013】
第2中間搬送コンベア2bの終端部は、第1中間搬送コンベア2aの終端部よりもより下流側に位置している。これは、第1中間搬送コンベア2aにより移送される缶列が制御レーン4によって偏向されて第2中間搬送コンベア2b上に移送されるためである。
【0014】
制御レーン4は、第1電磁部4aおよび第2電磁部4cと、第1磁石部4bおよび第2磁石部4dとから成り、上流から第1電磁部4a、第1磁石部4b、第2電磁部4c、第2磁石部4dの順に配設されている。なお、第1電磁部4aおよび第2電磁部4cは、例えば純鉄,ケイ素鋼,パーマロイ,Mn−Znフェライト等の高透磁率の軟磁性材にコイルが巻かれてある、いわゆる電磁石である。一例を挙げると、定格電圧DC90Vおよび定格電流1.33Aにおいて50mT/15mmGAP以上の表面磁束を発生する。また、第1磁石部4bおよび磁石部4dは、例えば、炭素鋼,KS鋼,MK鋼,OP鋼,Baフェライト等の硬磁性材料から成る永久磁石であるが、通常の非永久磁石を使用しても良い。
【0015】
また、第1電磁部4aは、運転時には通常、常時オンとし、振り分けの必要のない場合、又は運転停止時には、オフとする。なお、第1磁石部4bの磁力が強い場合は節電のためオフとする場合もある。あるいは、使用電力に余裕がない場合は、第1磁石部4bまたは第2磁石部4dのごとく永久磁石または非永久磁石としたり、ガイドを設けるようにしても良い。
【0016】
第2電磁部4cは、詳細については後述されるが、電磁タイミング制御装置7によってオン(着磁)またはオフ(消磁)に制御される。第2電磁部4cがオンの場合は、制御レーン4の全体が磁性体となり、制御レーン4の磁力によって、第1中間搬送コンベア2a上を進行する缶Cは偏向されて制御レーン4に沿って進行し、第2中間搬送コンベア2bを介して第2下流搬送コンベア3bに移送される。一方、第2電磁部4cがオフの場合は、第2電磁部4c上の缶Cは磁力の作用を受けなくなり、第2中間搬送コンベア2bによって過度的に乱列になろうとするが案内磁石レーン5によって第1下流搬送コンベア3aに移送される。
【0017】
制御レーン4の各部の長さの比は、一例を挙げると、第1電磁部4a:第1磁石部4b:第2電磁部4c:第2磁石部4d=1:2.4:1:1.1の比となっている。この場合、第2磁石部4dの長さが第2電磁部4cより若干長くなっているのは、第2電磁部4cがオフからオンに変化する際に、缶Cがほぼ空状態の第2電磁部4cおよび第2磁石部4dを充満するための遅れ時間が発生するために、第2磁石部4dの長さを第2電磁部4cよりも若干長く設定することで、オン時間中の第2磁石部4d上に確保される缶Cの数量を増やし、第2電磁部4cがオンからオフに変化しても暫くの間、缶Cが第2下流搬送コンベア3bに移送されるようにして遅れ時間による数量の減少を好適に補償している。
【0018】
一般に、第2電磁部4cおよび第2磁石部4dの長さの比は第1下流搬送コンベア3aおよび第2下流搬送コンベア3bに振り分けられる缶Cの数量比に対応している。則ち、第2電磁部4cの長さの比が大きいと、第2電磁部4c上に確保される缶Cの数量が多くなり、第2電磁部4cが消磁される際に、これらの缶Cが案内磁石レーン5を介して第1下流搬送コンベア3aに移行されるので、第1下流搬送コンベア3aに振り分けられる缶Cの数量は増加する。一方、第2磁石部4dの長さの比が大きいと、第2磁石部4d上に確保される缶Cの数量が多くなり、第2電磁部4cが消磁される際に、これらの缶Cが第2中間搬送コンベアを介して第2下流搬送コンベア3bに移送されるので、第2下流搬送コンベア3bに振り分けられる缶Cの数量は増加する。
【0019】
また、オン時間またはオフ時間のデューティ比も第1下流搬送コンベア3aおよび第2下流搬送コンベア3bに振り分けられる缶Cの数量比に対応している。則ち、オン時間のデューティ比が大きい場合は、第1および第2中間搬送コンベア2a,2bを斜行して第2下流搬送コンベア3bに移送される缶Cの数量が増え、一方、オフ時間のデューティ比が大きい場合は、案内磁石レーン5を介して第1下流搬送コンベア3aに移送される缶Cの数量が増加する。従って、第2電磁部4cおよび第2磁石部4dの長さが等しく(1:1)且つ第2電磁部4cのオン時間またはオフ時間のデューティ比が等しい(50%)の場合は、理論上はほぼ均等に振り分けられることになるが、実際は、上記遅れ時間および過度特性等を考慮しなければならず、第2電磁部4c:第2磁石部4d=1:1.1かつオン時間のデューティ比=44[%](オフ時間のデューティ比=56[%])の時に、缶Cは第1下流搬送コンベア3aまたは第2下流搬送コンベア3bへ均等に振り分けられることが確認されている。
【0020】
案内磁石レーン5は、第2電磁部4cが消磁される際に、第2電磁部4c上に確保され過度状態にある缶Cをスムーズに第1下流搬送コンベア3aに移行させる。また、案内磁石レーン5は、例えば、炭素鋼,KS鋼,MK鋼,OP鋼,Baフェライト等の硬磁性材料から成る永久磁石または通常の非永久磁石であるが、使用電力に余裕がある場合は、第1電磁部4aまたは第2電磁部4cのごとく電磁石でも良い。
【0021】
第1および第2計数センサ8a,8bは、例えば発光部としてレーザダイオードを、受光部としてフォトトランジスタを有する光学式のカウンタ、または電磁式カウンタである。
【0022】
上記缶振分け搬送装置100によれば、第1および第2電磁部4a,4cと第1および第2磁石部4b,4dの組み合わせから成る中間搬送コンベアの裏面側に配設されている制御レーン4を用いてその第2電磁部4cの着磁または消磁の時間を好適に制御することによって、中間搬送コンベア上の缶列に直接接触することなく且つ缶の外面に損傷を与えることなく又は缶同士を衝突させることなく缶列の進行方向を単列のまま中間搬送コンベアに対し斜行させる又は並行させることが可能になる。さらに、第2電磁部4cの下流には案内磁石レーン5が配設されているので、缶列は、第2電磁部4cが着磁される場合は、缶列は制御レーン4の下流端から第2中間搬送コンベア2bを介して第2下流搬送コンベア3bに移送される。一方、第2電磁部4cが消磁される場合は、缶列は列状態を整列してスムーズに第2中間搬送コンベア2bを介して第1下流搬送コンベア3aに移行することが可能になる。これにより、従来のエアー搬送コンベアでの多列搬送によって缶同士が衝突して缶の外周面が損傷するという問題が解消される。また、第1および第2下流搬送コンベア3a,3bに移送された缶の数量は第1および第2計数センサ8a,8bによって正確に計数されるので、その計数結果に基づいて第2電磁部4cの着磁または消磁時間のデューティ比を好適に変えることにより、または第2電磁部4cおよび第2磁石部4dの長さの比を変えることにより缶を第1および第2下流搬送コンベア3a,3bに対し任意の数量比で正確に振り分けることが可能となる。さらに、第2電磁部4cが消磁される場合は、電力はほとんど消費されず、またブロワ等の送風機は不要となるので使用電力を大幅に節減することができる。そして、装置全体は簡略化され、保守メンテナンスの観点から好ましくなる。
【0023】
図2から7は、電磁タイミング制御装置7を使用しての制御レーン4の第2電磁部4cのタイミング制御を示す説明図である。
先ず、図2に示すように、缶Cは上流搬送コンベア1によって第1中間搬送コンベア2aに移送され、第1中間搬送コンベア2aによって矢印方向に搬送される。
【0024】
図3に示すように、缶Cは制御レーン4に近接すると、制御レーン4の磁力によって第1中間搬送コンベア2aに対し斜行する。
【0025】
図4に示すように、電磁タイミング制御装置7は第2電磁部4cをオンにし、その結果缶Cは制御レーン4の下流端に向かって斜行するが、制御レーン4の下流端に達すると、後続の缶Cに押し出されて第2中間搬送コンベア2bに並行して搬送される。そして、センターガイド6によって第2下流搬送コンベア3bへ移送される。
【0026】
次に、図5に示すように、所定の数量の缶Cが第2下流搬送コンベア3bに移送されると、電磁タイミング制御装置7は第2電磁部4cをオフにする。その結果、第2電磁部4c上の缶列は、磁力の影響を受けなくなり、いっせいに第2中間搬送コンベア2bに並行して下流側へ搬送されるが、案内磁石レーン5によって列が整列されてスムーズに一列の状態を維持したまま第2中間搬送コンベア2bに移行される。
【0027】
図6に示すように、第2中間搬送コンベア2bに移送された缶は案内磁石レーン5の磁力の影響を受けるようになり、案内磁石レーン5に沿って搬送される。
【0028】
そして、図7に示すように、センターガイド6によって第1下流搬送コンベア3aに移送される。所定の数量の缶Cが第1下流搬送コンベア3aに移送されると、電磁タイミング制御装置7は第2電磁部4cをオンにする。その結果、缶は制御レーン4に沿って第2中間搬送コンベア2bを斜行して、第2下流搬送コンベア3bに搬送される。
【0029】
なお、第2電磁部4cは予め所定のデューティ比で電磁タイミング制御装置7によってオンまたはオンにされるが、電磁タイミング制御装置7は第1計数センサ8aまたは第2計数センサ8bからの情報に基づいて所定の数量比で缶が第1下流搬送コンベア3aまたは第2下流搬送コンベア3bに振り分けられていないと判断した場合は、所定の数量比に振り分けられるような最適なデューティ比に変更する。
【実施例2】
【0030】
図8は、本発明の磁性物品振分け搬送装置を製缶ラインに適用した実施例2に係る缶振分け搬送装置200を示す要部説明図である。
この缶振分け搬送装置200が適用される本実施例における製缶ラインは、前工程、例えばフランジ加工・ネッキング加工の工程が終了した缶Cを1列の缶列にして中間搬送コンベアに移送する上流搬送コンベア1と、該缶列を制御レーン4上に移行する第1、第2、第3および第4中間搬送コンベア2a,2b,2c,2dと、次工程、例えば缶外面検査機へ缶Cを移送する第1、第2、第3および第4下流搬送コンベア3a,3b,3c,3dとから構成され、上流搬送コンベア1から単列で搬送されてくる缶Cを最終的に第1、第2、第3または第4下流搬送コンベア3a,3b,3c,3dの各状況に応じて4列に振り分け搬送するように構成されている。上記製缶ラインにおいて本実施例の缶振分け搬送装置200は、第1、第2、第3および第4中間搬送コンベア2a,2b,2c,2dの裏面側に配設されている制御レーン4と、該制御レーン4の第2電磁部4cの下流に対向し第2中間搬送コンベア2bの進行方向に対して並行し且つ同じく裏面側に配設されている第1案内磁石レーン5aと、同第3電磁部4cの下流に対向し第2中間搬送コンベア2bの進行方向に対して並行し且つ同じく裏面側に配設されている第2案内磁石レーン5bと、缶Cを第1下流搬送コンベア3aまたは第2下流搬送コンベア3bに案内する第1センターガイド6aと、缶Cを第3下流搬送コンベア3cまたは第4下流搬送コンベア3dに案内する第2センターガイド6bと、制御レーン4の第2、第3または第4電磁部4b,4c,4eのオンまたはオフのタイミングを制御する電磁タイミング制御装置7と、第1下流搬送コンベア3aへ移送された缶Cの数量を計数する第1計数センサ8aと,第2下流搬送コンベア3bへ移送された缶Cの数量を計数する第2計数センサ8bと、第3下流搬送コンベア3cへ移送された缶Cの数量を計数する第3計数センサ8cと、第4下流搬送コンベア3dへ移送された缶Cの数量を計数する第4計数センサ8dとを具備して構成される。
【0031】
また、上記第1、第2、第3および第4中間搬送コンベア2a,2b,2c,2dは、いわゆる幅広ベルトコンベアを構成しているが、いずれか一方の中間搬送コンベアの幅を4倍以上に拡幅することにより一つの中間搬送コンベアによって上記製缶ラインを構成することが可能である。
【0032】
制御レーン4は、第1、第2、第3および第4電磁部4a,4b,4c,4eと第1および第2磁石部4d,4fとから構成されている。実施例1と同様に、電磁タイミング制御装置7によって第2、第3および第4電磁部4b,4c,4eのオンまたはオフのタイミングを制御することによって、上流搬送コンベア1によって搬送される缶Cを各下流搬送コンベア3a,3b,3c,3dに振り分けることが可能となる。
【0033】
一般に、制御レーン4の電磁部および磁石部の長さの比および配置を適切に組み合わせることにより、上流から搬送される缶を複数の下流搬送コンベアに振り分けることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は製缶システムの他、磁性物品の振り分けを行っている製造システムまたは物流システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の磁性物品振分け搬送装置を製缶ラインに適用した実施例1に係る缶振分け搬送装置を示す要部説明図である。
【図2】缶が第1中間搬送コンベアによって下流へ搬送される状態を示す説明図である。
【図3】缶が制御レーンによって斜行される状態を示す説明図である。
【図4】缶が第2下流搬送コンベアに移送される状態を示す説明図である。
【図5】缶が案内磁石レーンによって整列される状態を示す説明図である。
【図6】缶が案内磁石レーンによって第2中間搬送コンベアに並行する状態を示す説明図である。
【図7】缶が第1下流搬送コンベアに移送される状態を示す説明図である。
【図8】本発明の磁性物品振分け搬送装置を製缶ラインに適用した実施例2に係る缶振分け搬送装置を示す要部説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 上流搬送コンベア
2a 第1中間搬送コンベア
2b 第2中間搬送コンベア
3a 第1下流搬送コンベア
3b 第2下流搬送コンベア
4 制御レーン
5 案内磁石レーン
6 センターガイド
7 電磁タイミング制御装置
8a 第1計数センサ
8b 第2計数センサ
100 缶振分け搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流搬送コンベアから流入する磁性物品を中間搬送コンベアを介して各下流搬送コンベアに振り分ける振分手段を有する磁性物品振分け搬送装置であって、前記振分手段は、少なくとも1つの電磁部および少なくとも1つの磁石部の組み合わせから成る制御レーンと前記電磁部の下流に対向する位置に配設されている案内磁石レーンとを具備し、前記制御レーンの電磁部の着磁または消磁の時間を制御することによって該磁性物品を各下流搬送コンベアに振り分けることを特徴とする磁性物品振分け搬送装置。
【請求項2】
前記中間搬送コンベアは幅広ベルトコンベアで構成され、前記制御レーンは前記幅広ベルトコンベアの裏面側に、前記上流搬送コンベアからの移載側から下流側に向けて前記幅広ベルトコンベアの幅方向に傾斜して配設され、且つ前記案内磁石レーンは前記制御レーンの電磁部の下流端近傍から前記幅広ベルトコンベアの搬送方向に沿って配設されている請求項1に記載の磁性物品振分け搬送装置。
【請求項3】
前記振分手段は、前記制御レーンの電磁部の着磁時間または消磁時間のデューティ比を変えることによって下流の各搬送コンベアに搬送される磁性物品の数量を制御する請求項1又は2に記載の磁性物品振分け搬送装置。
【請求項4】
前記振分手段は、前記下流搬送コンベアの入口近傍に配設された前記磁性物品の数量を計測する計量手段を有し、該計量手段からの情報に基づいて前記制御レーンの電磁部の着磁または消磁の時間制御を行う請求項1から3のいずれかに記載の磁性物品振分け搬送装置。
【請求項5】
前記振分手段は、前記制御レーンの電磁部および磁石部の長さの比を変えることによって下流の各搬送コンベアに搬送される磁性物品の数量を制御する請求項1から4のいずれかに記載の磁性物品振分け搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−206229(P2006−206229A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18826(P2005−18826)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】